本発明は無線通信ネットワークの分野に関し、特に、制御プレーンとユーザプレーンとが分離されたネットワーク(control/user-plane separated networks)を有する無線通信システムの分野に関する。本発明の実施形態は、複数のユーザプレーン基地局を含んだカバレッジエリアを有する制御プレーン基地局を備えた無線通信システムにおいて、ユーザプレーン基地局を含んだ仮想的なユーザプレーンセルを構築する手法に関する。
例えば、無線アクセスネットワークのようなヘテロジニアスネットワーク(heterogeneous network)を有する無線通信ネットワークにおいて、制御信号及びユーザデータ信号は、オーバーレイ型の2つの異なるネットワークへと分離される場合がある。これらネットワークは、いわゆる、制御プレーンとユーザプレーンとが分離されたネットワーク(control/user-plane separated networks)、すなわちCプレーンとUプレーンとが分離されたネットワーク(C/U-plane separated networks)である。
図1は、CプレーンとUプレーンとが分離されたネットワークの全体構造を示している。CプレーンとUプレーンとが分離されたネットワークは、1以上の制御プレーン基地局(CプレーンBS)を備えたアンブレラネットワーク(umbrella network, UNW)を有している。図1は、単一の制御プレーン基地局すなわちCプレーンBS100を示している。CプレーンBS100は、マクロセル又はマイクロセルの基地局とすることができる。図1は、CプレーンBS100がマクロセルの基地局である構造を示している。これらのセルは、LTE又はLTE−Aのような既に標準化されているシステムを用いて、現在の既存の周波数帯、例えば、2ギガヘルツ周波数帯において動作し、旧型の移動局(mobile station, MS)、すなわち、現在の標準規格のみをサポートする移動局に対しての下位互換性を保証するものである。CプレーンBS100は、Cプレーンとも呼ばれるカバレッジエリア102を有している。CプレーンとUプレーンとが分離されたネットワークは、複数のユーザプレーン基地局すなわちUプレーンBS1041〜1045を備えた、分離されたセルのネットワーク(detached cell network, DCN)を更に有している。各基地局は、各々に関連付けられている、ユーザセルすなわちUセルを定める各カバレッジエリア1061〜1065を有している。Uセル106といった、UプレーンBSにより形成されるセルは、小型セルと呼ばれる。Uセル1061〜1065は、CプレーンとUプレーンとが分離されたネットワークのUプレーンすなわちユーザプレーン108を形成している。Uセル1061〜1065は、マクロセルのカバレッジエリア102より小さい。DCNは幾つかのUプレーンBS1041〜1045を備えている。このUプレーンBSは、マクロセルすなわちアンブレラネットワークにおいて用いられる周波数帯とは異なる周波数帯、例えば、3〜5ギガヘルツ帯といった高い周波数帯において動作することのできる、より小さなセルすなわちUセル1061〜1065を形成している。Uセル1061〜1065は、それぞれのバックホールリンク1101〜1105を通じてアンブレラネットワークへと接続される。図1は、矢印114により示しているようにマクロセル100から制御信号を受信し、矢印116により示しているようにUセルのうちの1つを通じて、図1の例ではUプレーンBSを通じてユーザデータ信号を通信する移動局112を更に示している。
移動局(MS)は、幾つかのモードのうちの1つを用いて、例えば、レガシーモード又は分離されたセル(detached cell, DC)のモードを用いて、図1に示したネットワークに接続することができる。レガシーモードでは、アンブレラネットワークは、制御信号及びユーザデータ信号の両方の送信(C+U送信)を扱う。このモードは、旧型のMSをサポートするために、又は非常に高いモビリティを有するか、若しくは低いデータ速度要件を有する少数の新型MSをサポートするために用いられる。このモードにおいては、分離されたセルのネットワークは使用されない。DCモードにおいては、アンブレラネットワークがCプレーン通信すなわち制御信号の送信(C送信)の役割を担い、分離されたセルのネットワークが、Uプレーン通信すなわちユーザデータ信号の送信(U送信)の役割を担う。UプレーンBSは、必要なときにのみオンに切り替えられる。旧型の移動局はこのモードをサポートしていないため、レガシーモードによってのみネットワークに接続する。
図1に示したネットワークに関する問題は、Uプレーンにおいて何らかの形の干渉制御を行わない場合に、干渉が、達成可能なシステム容量に対して深刻な影響を及ぼす可能性があるということである。さらに、突然のトラフィック変動及びネットワークの動態がネットワークの一部に深刻な負荷をかける場合がある。その結果、ネットワークの当該部分においてユーザに対するサービス品質(quality of service, QoS)が劣化することになるが、その一方で、ネットワークの他の部分ではリソースが使用されていない場合がある。
小型セル展開において干渉を軽減する従来の手法は、2つのカテゴリに分けることができる。第1のカテゴリは、マクロセル及び小型セルの送信時に時間又は周波数において直交性を条件とすることに焦点を当てたものである。これは、マクロ基地局(例えば、図1のCプレーンBS100)の場合にのみ、又は小型セル基地局(図1のUプレーンBS104)の場合にのみ送信が許されるリソースユニットを定めることによりなされる。その一例が、更なる変更を加えながら当該技術分野において説明されているLTE−Advanced標準規格において定められているようなABS(almost blank subframe)−eICIC手法である。この手法はマクロセルと小型セルとの間の干渉を何らかの形で軽減するものの、一部のリソースが使用されないままであるため、ネットワーク容量を犠牲にして干渉を軽減するものである。さらに、このようにリソースを準静的に割り当てることにより、ネットワークが、ネットワーク内のユーザ分布及びトラフィック変化に適応することが妨げられる。最も重要なこととして、この方策では小型セル間で生じる干渉に対処できない。
干渉軽減のための第2のカテゴリは、小型セルがその環境に動的に適応できるようにする、小型セルの自律的で分散型の動作を重視したものである。この手法によれば、干渉を軽減し、容量を改善するために、小型セル基地局はその環境を検知し、周波数又は電力といったリソースの使用量を調整する。この手法を、図2において、異なる時点で各々の周波数使用量を調整する複数の小型セル基地局に基づいて示している。図2(a)は、各UプレーンBS1041〜1044によって定められる4つのUセル1061〜1064を有するUプレーン108を示している。CプレーンBS100も示している。第1の時点iにおいて、UプレーンBSは、隣接するUセルとは別の周波数で動作するように、自己の使用する周波数を調整する。図2(a)において、Uセル1061及び1064は、これらの2つのセルが同じ周波数を用いた場合でも干渉が生じないと予想されるほど互いに十分に長い距離を有しているため、同じ周波数で動作することができる。時点iより後の時点jにおけるUプレーン108を示している図2(b)において、第2の時点では、2つのUセル1061及び1062が時点iにおいて用いた周波数とは別の周波数を使用し、これら2つのUセルに関する干渉の状況がいくらか変化する。この手法に関する欠点は、小型セルの局所的性能のみを最適化する傾向があり、小型セルにおいて広域的情報を欠いているために、必ずしもマクロセルのカバレッジエリア108の性能を全体として最適化できないということである。さらに、自律的かつ動的な調整により、ネットワーク内の突然のトラフィック変化及び/又はユーザのモビリティに対してネットワークが迅速に反応する能力が制限される。
小型セルの展開を扱う幾つかの手法、及び基地局とユーザ端末との間の通信のための送信電力制御を教示した手法が既に知られている。他の手法によれば、ユーザ端末から受信した測定値に基づいて、制御信号の送信電力レベルを変更することにより、セルがそのサイズを動的に変更できるようになる。しかし、これらの手法は、基地局がユーザからの測定報告に基づいて、制御信号のために用いる送信電力を自律的に変更できるようにすることに焦点を当てたものである。
特許文献1は、最も遠方にあるユーザ機器により受信された電力が所定の動作帯域から外れているときに、ユーザ機器が小型セル基地局に対し、その制御信号の送信電力のレベルを低減するようにメッセージを送信する手法を記述したものである。この手法は、セルのフットプリント(又はセルの電波到達範囲)(cell footprint)を動的に調整し、他の小型セルに生じる干渉を最小限に抑えるために制御チャネルの送信電力を最適化することに焦点を当てたものである。
特許文献2は、制御信号の干渉を軽減するために、ユーザ機器からの測定報告に基づいて小型セルがそのパイロットの送信電力を調整する方法を記述したものである。
特許文献3は、マクロ基地局及び他の小型セル基地局からの制御信号の受信信号の強度に基づいて、小型セル基地局がその制御信号の送信電力を自律的に変更する方法を記述したものである。小型セル基地局は、受信信号に基づいて、経路損失及び他の基地局の送信電力を求める。その信号を送信した基地局のタイプが分類され、マクロ基地局からの受信電力の情報を用いて、小型セル基地局の送信電力を単独で調整する。
特許文献4は、指向性アンテナ及び電力制御により同じ基地局の周囲に幾つかの固定的なセルを形成し、空白地点(blind spot)が生じないように対象エリアを完全にカバーする方法を記述したものである。
特許文献5は、カバレッジを適応させてネットワーク内のユーザの要求を満たすために、複数の基地局のパイロット信号の送信電力を適応させる方法を記述したものである。
非特許文献1及び2は、干渉軽減及び容量向上のために小型セルネットワークにおいて利用されるセル関連付けの概念を記述したものである。
本発明の目的は、集中した小型セルの展開において干渉制御及びリソース割当てを改善し、ネットワーク内のユーザ分布及びトラフィック要件の動的な変化に対処できるようにする手法を提供することにある。
上記目的は、請求項1に記載の方法、請求項12に記載のコンピュータシステム、請求項13に記載の装置、請求項14に記載の制御プレーン基地局、請求項15に記載の無線通信システムによって達成される。
本発明によれば、複数のユーザプレーン基地局を含むカバレッジエリアを有する制御プレーン基地局を備えた無線通信システムにおいて、あるユーザプレーン基地局を含む仮想的なユーザプレーンセルを構築する方法が提供される。本方法は、
前記制御プレーン基地局のカバレッジエリア内のユーザの集合からアンカーユーザを特定するステップと、
前記制御プレーン基地局のカバレッジエリア内の前記複数のユーザプレーン基地局から、前記アンカーユーザにサービスを提供することのできるユーザプレーン基地局を選択するステップと、
前記ユーザの集合のうち、選択されたユーザプレーン基地局からサービスの提供を受けることのできる移動局を、選択されたユーザプレーン基地局へと関連付けるステップと、
選択されたユーザプレーン基地局と、選択されたユーザプレーン基地局に関連付けられているユーザとを含む前記仮想的なユーザプレーンセルを構築するステップと
を含む。
実施形態によれば、前記アンカーユーザを特定するステップは、1以上の所定の要件を満たすユーザを前記ユーザの集合から選択するステップを含む。
実施形態によれば、前記ユーザプレーン基地局を選択するステップは、前記制御プレーン基地局のカバレッジエリア内の各々のユーザプレーン基地局の周囲のネットワーク状況に基づいて行われる。
実施形態によれば、ユーザからの測定報告により、又は前記制御プレーン基地局のカバレッジエリア内の各々の前記ユーザプレーン基地局の周囲の広域伝搬状態を有するデータベースから、広域伝搬状態が得られる。
実施形態によれば、本方法は、前記制御プレーン基地局のカバレッジエリア内の前記複数のユーザから、前記制御プレーン基地局のカバレッジエリア内の前記ユーザプレーン基地局からサービスの提供を受ける可能性のある一組のユーザを選択することにより、前記ユーザの集合を決定するステップを含む。
実施形態によれば、前記モバイルユーザの集合から、ユーザの能力と、ユーザのモビリティと、ユーザのレート要件と、ユーザの契約クラスと、ユーザの送信履歴とのうちの1以上の基準によってユーザが選択される。前記ユーザの能力は、動作周波数の範囲と、最大送信電力と、送信能力とのうちの1以上を含む。
実施形態によれば、前記仮想的なユーザプレーンセルを構築するステップは、前記仮想的なユーザプレーンセルに仮想セル識別情報を割り当てるステップを含む。
実施形態によれば、前記仮想的なユーザプレーンセルの構築は、前記制御プレーン基地局によって行われる。前記制御プレーン基地局は、バックホールリンクを通して前記ユーザプレーン基地局に情報を送るとともに、無線により前記ユーザに情報を送る。前記ユーザに送られる情報は、該ユーザが関連付けられている仮想セルと、該仮想セルを提供するユーザプレーン基地局とについての情報を含む。前記ユーザプレーン基地局に送られる情報は、前記ユーザプレーン基地局によって制御される各仮想セルに関連付けられているユーザについての情報を含む。前記ユーザプレーン基地局は、離脱するユーザに関するデータを、新たにサービスを提供するユーザプレーン基地局と直接的に、又は制御プレーン基地局を通して交換する。
実施形態によれば、前記特定するステップと、前記選択するステップと、前記関連付けるステップと、前記構築するステップとは定期的に実行される。
実施形態によれば、前記ネットワーク内の状況によりリソースの再割当てが必要な場合に、次の実行までの時間が短縮される。この状況には、ユーザのモビリティと、変化するトラフィック要件と、マクロセルの負荷と、ユーザの加入という状況と、ユーザの離脱という状況とのうちの1以上が含まれる。
実施形態によれば、本方法は、構築された仮想的小型セルごとに、選択されたユーザプレーン基地局と、関連付けられているユーザと、必要とされる容量と、最大送信電力スペクトル密度とを列挙したテーブルを生成するステップを含む。
本発明は、本発明の実施形態による方法をコンピュータに実行させるコンピュータシステムを提供する。
本発明によれば、複数のユーザプレーン基地局を含むカバレッジエリアを有する制御プレーン基地局を備えた無線通信システムのための装置が提供される。この装置は、本方法に従って、ユーザプレーン基地局を含む仮想的なユーザプレーンセルを構築するコントローラを備えている。
本発明によれば、制御プレーン基地局を備えた無線通信システムにおける制御プレーン基地局が提供される。前記制御プレーン基地局は複数のユーザプレーン基地局を含むカバレッジエリアを有している。前記制御プレーン基地局は、本発明の実施形態による方法に従って、ユーザプレーン基地局を含む仮想的なユーザプレーンセルを構築するコントローラを備えている。
本発明によれば、無線通信システムが提供される。この無線通信システムは、1以上のユーザにサービスを提供する複数のユーザプレーン基地局を含むカバレッジエリアを有する制御プレーン基地局を備えている。該システムは、本発明の実施形態による方法に従って、ユーザプレーン基地局を含む仮想的なユーザプレーンセルを構築する。
本発明の実施形態によれば、無線通信システム内のユーザの分布及びトラフィック要件の動的な変化に応じるだけの融通性がある仮想的小型セルを動的に構築する新規の手法が提供される。小型セルのフットプリントを定めるためにアンカーユーザが選択され、アンカーユーザにサービスを提供することのできるUプレーンBSが選択され、選択されたUプレーンBSからサービスの提供を受ける可能性のある別のユーザも選択される。選択されたUプレーンBS及びそれに関連付けられているユーザにより仮想的小型セルが定められる。本発明の実施形態によれば、ネットワーク内のユーザの分布又はトラフィック要件が時間とともに変化したとしても、効率的にリソースを割り当てて、ネットワークの容量要求を満たすことができるようになる。この手法は、小さなオーバーヘッドしかもたらさず、マクロセルと小型セルとの間に存在する様々なバックホール接続に関する厳密な制約を不要とし、その結果、融通性があり、低コストのネットワークが展開されるため有利である。本発明の実施形態の更なる利点は、マクロセル及び幾つかの小型セルを含むオーバーレイ型のネットワークのアーキテクチャにおいて、特にこのようなネットワークの将来の展開時に、無線アクセスネットワークに求められる大容量の需要に対処する可能性を提供することと、予想される容量要求を満たし、かつ干渉制御及びリソース割当てのための実効的な技法を提供するために、このようなネットワークの最大限の可能性を実現できるようになることとである。
実施形態によれば、集中型の小型セル展開における干渉制御及びリソース割当てに関する統合的な処理が提供される。この処理には、ネットワーク内のユーザの分布及びトラフィック要件の動的な変化に応答するだけの融通性がある。この処理は、小型セルの構築及びユーザ関連付けの概念を利用し、特定の基準を用いて、仮想的小型セルのフットプリントを定めるアンカーユーザを選択する。動的に構築された仮想的小型セルにユーザを関連付ける処理において、送信電力の要件及び容量の要件が考慮される。
更なる実施形態によれば、仮想的小型セル間の干渉の過程を制御して、リソースの再利用の度合を最大化できるようにするための簡単な集中型電力制御手法が提供される。
更なる実施形態によれば、周波数分割及び割当ての処理が説明される。この処理は、別の仮想的小型セルの容量要求を満たすだけの十分な周波数リソースを動的に割り当てる。
別の実施形態では、ユーザ機器と、本発明の手法を実施できるようにする小型セル基地局とによって実行されることになる、特定のシグナリング及び特定の測定が提供される。
上記の実施形態によれば、ネットワーク内のユーザの分布又はトラフィック要件が時間とともに変化したとしても、ネットワークの容量要求を満たすための効率的なリソース割当てを達成できるようになる。同時に、実施形態は最小のオーバーヘッドを受けるだけであり、マクロセルと小型セルとの間に存在するタイプのバックホール接続に関する厳密な制約を不要にし、その結果として、非常に融通性があり、かつ低コストのネットワークが展開できる。
上記でまとめた従来技術と比べて、本発明の実施形態は、小型基地局が送信のために用いることのできる最大電力をあらかじめ決定することに焦点を合わせている、すなわち、ユーザ機器の電力制御から独立した基地局による電力制御に焦点を合わせているという点において、本発明の実施形態は、基地局とユーザ端末との間の通信のための送信電力を制御できるようにする簡易な手法とは異なる。
ユーザ端末から受信した測定値に基づいて制御信号の送信電力レベルを変更する、例えば、セルブリージング(cell breathing)によって、セルが自己のサイズを動的に変更できるようにする上記で言及した従来の手法に比べて、本発明の実施形態によれば、中央のエンティティ、すなわちマクロ基地局又はCプレーン基地局が、仮想セルの最大のサイズを前もって決定できるようになる。このサイズは、小型セル基地局によって別個に変更することはできない。
特許文献1に記述されている手法と比べて、本発明の実施形態によれば、マクロ基地局は、任意の通信のために用いることのできる最大送信電力についての信号を、小型セル基地局に明示的に送信する。小型セル基地局は、最大値以下の範囲内でデータ送信のために実際に使用すべき送信電力を決定する。さらに、仮想的小型セルのフットプリントはCプレーン基地局によって決定され、Uプレーン基地局からの従来の制御シグナリングによって決定されるわけではない。
特許文献2とは異なり、本発明の実施形態は、パイロット送信に焦点を当てていない。むしろ、仮想的小型セルにおいて用いることのできる最大送信電力は、マクロ基地局からのシグナリングによって設定される。小型セル基地局は、あらかじめ設定された範囲内で実際の送信電力を独立して選択する。
特許文献3と比べて、本発明の実施形態によれば、マクロ基地局は、小型セル基地局が送信のために使用することを許される最大送信電力のみを指示する信号を小型セル基地局に送信する。しかし、マクロ基地局は、小型セル基地局が使用する実際の送信電力を明示的にも、暗黙のうちにも指示するわけではない。
特許文献4と比べて、本発明の実施形態は、別の容量要求を満たすために仮想的小型セルを動的に形成できるようにするものであって、空白地点(blind spot)を回避することに焦点を当てているわけではない。さらに、アンカーユーザ機器という概念を用いて、仮想的小型セルのフットプリントを決定し、この概念は、構築される固定的なセルの境界を決定する教示とは対照的である。
特許文献5と比べて、本発明の実施形態は、パイロット信号の送信電力を適応させることに焦点を合わせるのではなく、むしろ、マクロ基地局は、小型セル基地局からのパイロット信号の送信ではなく、仮想的小型セルのフットプリントを決定する。
非特許文献1及び2とは異なり、本発明の実施形態は、アンカーとなるユーザ機器又はユーザを用いて、仮想的小型セルのサービスエリアを決定するという概念を導入することを教示するものである。
したがって、上記でまとめた従来の手法とは異なり、本発明の実施形態は、バックホールリンクを用いて小型セルとマクロセルとの間で交換される情報に基づいて、小型セルのための集中型の干渉制御及びリソース割当てを実施する可能性を提供するものである。本発明の実施形態は、集中型の干渉制御によって、小型セル間の干渉を効率的に管理できるようになり、それに関連してシステム容量を改善できるようになるため有利である。
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら更に詳細に説明する。
本発明の実施形態によれば、仮想的なユーザプレーンセルが構築される。より具体的には、図1に示したものに類似する、複数のユーザプレーン基地局を含んだカバレッジエリアを有する制御プレーン基地局を備えた無線通信システムにおいて、各々がユーザプレーン基地局を有する1以上の仮想的なユーザプレーンセルが構築される。実施形態によれば、統合されたリソース割当ての方法が提供される。本方法において、マクロ基地局、例えば図1のCプレーンBSが、関連する情報を用いて、仮想的小型セルを動的に構築し、その仮想的小型セルにユーザ機器(UE)を関連付け、小型セルの基地局の電力スペクトル密度を調整し、ネットワーク容量の要求を満たすものとなるように周波数リソースを動的に分割する。図3は、図2と同様の図である。すなわち、ユーザプレーン108は個々のUセル1061〜1064を有しており、各UセルはそれぞれUプレーンBS1041〜1044を有している。また、CプレーンBS100も示している。図2と同様に、図3も、第1の時点iにおけるユーザプレーン108(図3(a))と、その後の第2の時点jにおけるユーザプレーン108(図3(b))とを示している。図3(a)及び図3(b)に示しているように、本発明の実施形態によれば、それぞれのユーザプレーン基地局の電力が変更され、リソース(例えば、周波数)の割当ても変更されることがわかる。例えば、Uセル1061に関して、後の時点jにおいて電力は増加しており、中央のエリアと比べて、Uセル1061のエッジにおいては、別の周波数が用いられるものとなるように周波数が分割される。同じようにして、Uセル1062及びUセル1063も変更される。さらに、時点iにおける同じセルと比べて、より小さなUセル1064として示しているように、Uセル1064は少ない電力で動作する。
以下の実施形態において、上記で言及した従来技術の方法の欠点に対処するために、本発明の実施形態による仮想セルの形成を行う方法を説明する。
図4は、図1に類似した、CプレーンとUプレーンとが分離されたネットワークの構造を示している。図4では、図1と同じ符号を用いている。図4において、バックホール接続1101〜1105に加えて、本発明の実施形態によれば、1以上のUプレーン基地局の間にバックホールリンクを設けることができる。図4に示した例では、Uセル1062のUプレーンBS1042と、Uセル1063のUプレーンBS1043との間に第1のUプレーンバックホールリンク1181が存在している。Uプレーン基地局1042と1044との間と、Uプレーン基地局1043と1044との間と、Uプレーン基地局1044と1045との間とに、別のバックホール接続1182〜1184が存在している。本発明の実施形態は、小型セルのための集中型リソース割当ての方法を提供し、リソースの再利用を容易にし、システム容量を向上させるために、CプレーンBS100が仮想的小型セルを動的に構築する新規のセル関連付けの概念を適用し、UプレーンBSの電力制御を利用して、仮想的小型セル間の潜在的な干渉を軽減するものである。
別の実施形態によれば、ネットワークの種々の部分における動的な容量要求に対処するだけの十分なリソースをUプレーンBS104に対して与えることのできる集中型で動的な周波数分割アルゴリズムが提供される。本発明の実施形態によれば、結果として図4に示したような構造を生じさせるネットワーク展開は、マクロ基地局又はCプレーンBS100を備えている。この基地局は、1組の小型セル基地局つまりUプレーンBS1041〜1045を制御するものである。上記のように、制御プレーンとユーザプレーンとは互いに分離されており、マクロ基地局はCプレーン及びUプレーンの両方の通信を担当するのに対し、小型セルのBSは、Uプレーン通信のみを担当する。Uプレーン基地局とCプレーン基地局との間の必要な通信は、Uプレーン108とCプレーン102との間のバックホール110を通じて行われ、Uプレーン内にバックホール接続118が設けられている場合には、該バックホール接続118をも用いて行われる。
仮想的小型セルの構築に関する以下の実施形態において、UEと仮想的小型セルとの関連付けと、その仮想的小型セルの電力割当てとについて説明する。これらの実施形態によれば、UE(user equipment, ユーザ機器)のアンカーと、UEの位置、UEのモビリティ、UEのQoS要件、UEの測定報告、UEの能力及びUプレーンBSの能力に関する情報に基づいて行うことのできるマクロセル支援型のUEと仮想セルとの関連付けとに基づいて、仮想的小型セルが動的に構築される。さらに、集中型の干渉制御手法を説明する。この手法によれば、各UプレーンBSが、それぞれに割り当てられた周波数リソースにおいて使用が許される最大電力スペクトル密度を、CプレーンBSが動的に調整する。
図5は、一実施形態による、仮想的小型セルとUEとの関連付け及び電力割当ての方法のフロー図である。図5に示す方法は、仮想的小型セルの構築と、UEと仮想的小型セルとの関連付けと、仮想的小型セルの電力割当てという組み合わせの処理を実行するものである。
図5に示す方法は、符号200として示しているように、定期的に、又は所定のイベントに応じて開始する。第1のステップ202において、UE(ユーザ機器、ユーザ又はモバイルユーザ)の集合を作る。符号204として示すように、本発明の実施形態による方法は、種々の入力、例えば、UEの位置、そのモビリティ及びそのレート要件についての情報を含んだ第1の入力204aを受信する。さらに、Uプレーン基地局の位置及びその能力についての情報を含んだ情報204bと、各Uプレーン基地局の周囲の広域伝搬状態(large-scale propagation condition)を表す情報204cとが、本方法への入力として与えられる。UEの集合を作るステップ202では、カバレッジエリア102内のUプレーン基地局104からサービスの提供を受けることになる、Cプレーン基地局100(図4を参照)のマクロカバレッジ又はカバレッジエリア102内のUEの部分的な集合を決定する。Cプレーン基地局100は、UEの能力、例えば、動作周波数の範囲、最大送信電力、送信能力等、UEのモビリティ(例えば、高速で移動するUEが、Uプレーン基地局からサービスの提供を受ける場合には、極めて多くのハンドオーバを引き起こすことになる)、UEのレート要件、UEの契約クラス、UEの送信履歴及び更なる入力パラメータ204等の基準を用いて、ネットワークのカバレッジエリア102内のUプレーン基地局104からサービスの提供を受ける可能性のあるUEの部分的な集合を決定する。UEの集合は本方法の各々の実行の前に動的に更新され、仮想的小型セルに関連付けられているUEを除去するために、実行時に動的に更新される。ステップ202においてUEの集合が作られると、本方法はステップ206に進み、ステップ202において作られたUEの集合の中からアンカーとなるUEが特定される。アンカーUEは、仮想的小型セルのフットプリント(または電波到達範囲)(footprint)を決定するものである。幾つかの基準を用いて、UEの集合の中からアンカーUEを選択することができる。例えば、アンカーUEは、UEの集合の中から最も低いレート要件を有するUEとして選択することができる。このようにして、仮想的小型セルの境界は低いレート要件を有するUEを含み、仮想的小型セルのエッジにおいてQoS要件を満たすことが容易となる。あるいは、高いレートのUEがUプレーン基地局に対してできる限り多くオフロードされることを確実にするために、アンカーUEは最も高いレート要件を有するUEとして選択することができる。別の実施形態によれば、アンカーUEは、モビリティ、レート要件又は以前の履歴の観点から最も安定しているUEとして選択することができ、仮想的小型セルの境界が長期にわたって安定した状態を保つことを確実にする。ステップ206において、他の基準、及び種々の基準の重み付けされた組み合わせを調べて、アンカーUEを選択することもできることに留意されたい。
UEの集合の中からアンカーUEが決定された後に、本方法はステップ208に進み、アンカーUEにとって最良の伝搬状態を有するUプレーン基地局が特定される。Cプレーン基地局100は、各Uプレーン基地局104の周囲の広域伝搬状態についてあらかじめ入手した情報を用いて、アンカーUEに対して最良のSNRを与えるUプレーン基地局を選択することができる。他の基準を用いて、その選択肢を絞り込むことができ、例えば、最も小さな電力によりアンカーUEの要件を満たすUプレーン基地局を、アンカーUEの要件を満たす全てのUプレーンBS104の中から選択することができる。UEからの測定報告(近傍のUプレーン基地局のパイロットの測定に基づく)を用いて、又はCプレーンBSのフットプリント内の各Uプレーン基地局の周囲の広域伝搬状態を有するデータベースから、広域伝搬環境を得ることができる。
アンカーUEにサービスを提供するために利用できるUプレーン基地局が存在しない場合には、本方法はステップ210に進み、適切なUプレーン基地局が存在しないと判断される。この場合、ステップ206において選択されたアンカーUEは、Cプレーン基地局100に関連付けられ、UEの集合からは削除される。その後、本方法はステップ206に戻り、削減が行われたUEの集合内の残りのUEから、新たなアンカーUEが特定され、さらに、該新たなアンカーUEに対して、Uプレーン基地局の特定もなされる。
ステップ208においてUプレーン基地局が特定された場合には、本方法はステップ212に進み、アンカーUEにとって最良のUプレーン基地局を特定した後に、そのUプレーン基地局を中心として位置し、アンカーUEまで延びる仮想セルがCプレーン基地局によって構築され、特定のID、すなわち、仮想セルIDが割り当てられる。その後、本方法はステップ214に進み、そのカバレッジエリア内で確実にサービス提供を受けることのできるUEの集合内の全てのUEが、ステップ212において構築された仮想的小型セルに関連付けられる。
その後、本方法はステップ216に進み、特定されたユーザプレーン基地局と、仮想セルIDと、UEと、全レート要件と、スペクトル電力密度の割当てとが、例えば、符号218として示すような、UEと仮想的小型セルとの関連付けテーブルに保存される。このテーブルにおいては、セル内のアンカーUEを、関連するUEのリストの先頭に保存することができる。実施形態に従ってテーブルを生成するための更なる詳細は後に説明する。仮想セルごとの最大電力スペクトル密度は、仮想的小型セル内のアンカーUEに対して確実にサービスを提供するために、担当するUプレーンBS(特定されたUプレーンBS)が必要とする最小電力スペクトル密度として決定することができる。幾つかの手順を用いて、アンカーUEに対して確実にサービスを提供するために必要となる最小電力スペクトル密度を決定することができ、そのうちの幾つかを後に更に詳細に説明する。ステップ216において、構築された仮想的小型セルと、関連付けられているUEと、仮想的小型セルごとの担当のUプレーンBSと、仮想的小型セルごとの必要な容量と、仮想セルごとの最大送信電力スペクトル密度とを列挙したテーブル218が作成される。
その後、本方法はステップ219に進み、保存された全てのUEがUEの集合から削除される。ステップ220において、残りのUEがあるかどうかが判断される。残っている場合には、本方法はステップ206に戻り、削除がなされたUEの集合内の残りのUEから、新たな小型セルのための新たなアンカーUEが特定される。あるいは、UEが残っていない場合には、本方法は周波数割当てプロセス222に進む。このプロセスは後に更に詳細に説明する。
図5を参照して説明した方法は、幾つかの入力204を受けて行うものである。本発明の実施形態によるこれらの入力を得る方法を、図6を参照して更に詳細に説明する。図6は、図5の仮想セルの構築及び関連付けの方法のために必要となる入力と、それらの入力が与えられる方法とを示している。より具体的には、図6は、後に更に詳細に説明するように、仮想的小型セルの構築と、UEと仮想的小型セルとの関連付けと、仮想的小型セルの電力割当てと、干渉源の特定とにおいて用いることのできる潜在的干渉源テーブル及びSNRテーブルの両方を得るために、Cプレーン基地局100において入力がどのように処理されるかを示している。図6の左側に、図5にも示した入力204を示している。UEの位置及びレート要件に関する入力204aは、各UEから得られる。より具体的には、符号224として示しているように、UEの位置及びレート要件は、各UEからCプレーン基地局100へと信号により伝えられる。入力204b、すなわち、Uプレーン基地局の位置及び能力は、符号226として示しているように、Cプレーン基地局100において既知である。
入力204c、すなわち、各Uプレーン基地局の周囲の広域伝搬状態は、種々の方法において、例えば、チャネルサウンディングの手法を適用することにより得ることができる。図6は、各Uプレーン基地局の周囲の広域伝搬状態を得るための更なる実施形態を示している。第1のステップ228において、量子化された一組の最大送信スペクトル電力密度レベルT1、T2、・・・、TNが定められる。これらのレベルはCプレーン基地局によって定めることができるか、又は用いられる通信標準規格において指定することができる。
次のステップ230において、各Uプレーン基地局204は、本目的のために割り当てられた、対応するリソースブロック(例えば周波数)において、サポートされる電力レベルによりパイロットを送信する。リソースブロックは、Cプレーン基地局100によって決定することができるか、又は標準規格によって指定することができる。パイロットの送信は、過度の干渉を回避するために、Cプレーン基地局100によって調整される。次のステップ232において、各ユーザ機器UEは、定期的に、又は必要に応じてパイロットの帯域を測定し、以下の情報を報告する。
− 送信電力レベルにより検出されるUプレーン基地局
− 対応するRSRP(reference signal received power, 基準信号受信電力)及びSNR(signal to noise ratio, 信号対雑音比)
この情報は、各UEからCプレーン基地局100に送られる。Cプレーン基地局は、ステップ234において、この情報を用いてSNRテーブル236及び潜在的干渉源テーブル238を生成する。SNRテーブルは、セルの関連付け及び電力割当てのために用いることができ、定められた最大送信スペクトル電力密度レベルT1〜TNごとに、かつユーザ機器UE1〜UEMごとに、最大のSNRをもたらす、各レベルにおいて検出された各Uプレーン基地局を示すものである。例えば、ユーザ機器UE1は、レベルT2において、14dBのSNRを有するユーザプレーン基地局「1」(ID=「1」)を検出する。
潜在的干渉源テーブル238は、干渉源を特定するために用いることができ、最大送信スペクトル電力密度レベルT1〜TNごとに、かつユーザ機器UE1〜UEMごとに、各レベルにおいて各ユーザ機器によって検出された、あるしきい値を上回るユーザプレーン基地局を示すものである。例えば、ユーザ機器UE1は、レベルT2において、潜在的干渉源であるユーザプレーン基地局「1」及び「3」を検出する。
Uプレーン基地局の周囲の広域伝搬状態を得るための上記の手法は、1つの可能性であることに留意されたい。より具体的には、量子化されたレベルにおけるパイロット送信の使用は、広域伝搬環境を得るための1つの方法である。プロービングのような他の手法を用いることもできる。主要な点は、SNRテーブル及び潜在的干渉源テーブルが、図6を参照して上記で説明した手法に基づいて、又は他の手法に基づいて生成されるということである。なぜならば、これらのテーブルが、次に、ユーザ機器のためのユーザプレーン内の基地局を選択し、かつ潜在的干渉源に基づいて仮想セルに割り当てられることになる周波数リソースを決定する根拠としての役割を果たすためである。
言い換えると、Cプレーン基地局100は、UEからの測定報告を用いて、上記のSNRテーブル236及び潜在的干渉源テーブル238を構成する。図6に関して説明した実施形態では、仮想セルのための最大送信電力密度は、仮想セル内のアンカーUEのレート要件を実現するために、制御するUプレーン基地局が使用することのできる最小電力密度として選択される。仮想的小型セルごとの最大電力割当てに基づいて、Cプレーン基地局は、潜在的干渉源テーブルを用いて、干渉グラフを構成する。
以下、図7を参照して、図5の方法を用いた、仮想的小型セルの構築及びUEと仮想的小型セルとの関連付けに関する一例を説明する。図7(a)〜図7(k)は、仮想的小型セルがどのように生成されるか、及び各ユーザすなわち各UEがそれぞれの仮想的小型セルにどのように関連付けられるかを示している。図7(a)には、開始時の状況を示している。ユーザプレーン108は、ユーザプレーン基地局BS1、BS2、BS3を有している。Uプレーン108内に11台のUEがあるとする。図7(a)において、ユーザ機器の左上にある数字はUEの番号を示しており、右下にある数字はユーザ機器ごとの所望のデータレートを示している。図の下側の部分には、図5のアルゴリズムが適用されるときに追加されることになる、図5を参照して説明したテーブル218を示している。図7(a)は、ステップ200(図5を参照)にて開始し、図5のステップ202として説明したように、UEの集合が既に作られているアルゴリズムを示している。図7の例において、UEの集合は、関連付けられているそれぞれの所望のデータレートを有する11台のUEを含んでいる。次のステップにおいて、UEの集合からアンカーUEが特定される(図5のステップ206を参照)。図7の例では、アンカーUEは、最も高いデータレート要件を有するUEとして選択される。図5を参照して上記で述べたように、他の要件が考慮される場合もあるが、図7を参照して説明する例では、最も高いレート要件を前提とする。図7(a)に示したUEの集合において、破線の円によって示したユーザ機器UE1が最も高いレート要件、すなわち、最も高い所望のデータレートを有する。そのため、図5のステップ206において、UE1がアンカーUEとして選択される。アンカーUE1に関して、Uプレーン基地局BS1が、アンカーUEにとって最良の伝搬状態を有する基地局として特定される(図5のステップ208を参照)。このようにして、ユーザプレーン基地局1及びユーザ機器UE1により、アンカーユーザと仮想的小型セルが定められ、このセルに対して仮想セルID、例えばID「a」が割り当てられる(ステップ212を参照)。その後、比較的小さなスペクトル電力密度でカバーすることのできる全てのUEが、UプレーンBS1に関連付けられる(ステップ214を参照)。図7の例では、Uプレーン基地局BS1の周囲の全てのUEすなわちUE2、UE3、UE4のうち、UE4のみが、小さなスペクトル電力密度でカバーすることのできるUEとして特定され、同じく仮想的小型セル「a」も示している図7(b)に示しているように、Uプレーン基地局BS1に対して関連付けられる。図7(c)に示しているように、テーブル218において、選択されたUプレーン基地局BS1つまりID「a」と、関連付けられているUE、すなわちUE1及びUE4とが保存される(ステップ216を参照)。このテーブルにおいて、関連付けられているUEの欄の第1のエントリがアンカーUEを示すものとなるように、アンカーUEは最初に保存される。この場合は、UE1である。さらに、関連付けられているUEの全レート要件が示されており、図7に示す例では、12である。UE1のレート要件が10であり、UE4のレート要件が2であるからである。また、最大送信電力T1,BS1も保存される。ステップ216に従って上記で言及した情報を保存した後に、図5に関して説明した方法は、ステップ219において、図7(c)に示すように、保存されたUEをUEの集合から削除し、UE2、UE3、UE5〜UE11のみが残る。UEの集合は依然としてUEを含んでいるため、本方法は、ステップ206に戻る。UEの集合に残っているUEの中から、最も高いレート要件を有するUEがアンカーUEとして選択される。
図7(d)に示す状況では、最も高く同じレート要件を有する2つのUE候補、すなわち、UE5及びUE8を示している。アンカーUEとしてUE8が選択され、アンカーUEにとって最良の伝搬状態を有するUプレーン基地局として、UプレーンBS3が特定される。アンカーUE8及びUプレーンBS3によって定められる仮想的小型セルは、関連付けられている仮想セルID「b」を有している。残りのUEのうち、UE9のみが小さなスペクトル電力密度でカバーすることができ、そのため、UプレーンBS3に関連付けると判断される。図7(e)に示すように、UプレーンBS3に関して、仮想セルID「b」と、9という全レート要件を有する、関連付けられているUE8及び9とを示すこの情報が、テーブル218に保存される。また、最大送信電力T8,BS3も示している。図7(e)から更にわかるように、UEの集合からUプレーンBS3に関連付けられたUEが削除され、UE2、UE3、UE5〜UE7、UE10、UE11が残る。
本方法は次の反復に進み、図7(f)に示すように、最も高いレート要件を有するUE5が、次のアンカーUEとして選択され、UE5にとって最良の伝搬状態を有する基地局としてUプレーンBS2が特定される。UプレーンBS2及びアンカーUE5によって定められる仮想的小型セルは、ID「c」を有する。残りのUEのうち、UE6のみが小さなスペクトル電力密度でカバーすることができ、そのため、UプレーンBS2に関連付けるUEであると判断される。図7(g)に示すように、この情報は、テーブル218に保存され、すなわち、UプレーンBS2が仮想セルID「c」に関連付けられ、全レート要件として10を有するUE5及び6を含むことが示されている。また、最大送信電力T5,BS2も示されている。さらに、保存されたUEがUEの集合から削除され、UE2、UE3、UE7、UE10、UE11のみが残る。
その後、本方法は次の反復ステップに進み、図7(h)に示すように、次のアンカーとして、残りのUEのうちの最も高いレート要件を有するUE10が選択される。このアンカーUEに関して、最良の伝搬状態を有する基地局としてUプレーンBS3が決定される。UプレーンBS3及びUE10によって定められる仮想的小型セルは、セルID「d」を有する。残りのUEのうち、UE7のみを小さなスペクトル電力密度でカバーすることができ、UE7もUプレーンBS3に関連付けると更に判断される。図7(i)に示すように、テーブル218がそれに応じて更新される。そして、保存されたUEがUEの集合から削除され、UEの集合内にUE2、UE3、UE11のみが残る。
図7(j)に示すように、これらの残りのUEのうち、UE3が次のアンカーUEとして選択され、UプレーンBS1がアンカーUE3にとって最良の伝搬状態を有すると判断される。UプレーンBS1及びアンカーUE3によって定められる仮想セルはID「e」を有する。残りのUEのうち、UE2のみが、UプレーンBS1によって小さなスペクトル電力密度でカバーすることのできるUEと判断される。図7(k)に示すように、テーブル218がそれに応じて更新され、保存されたUEがUE集合から削除され、UE集合内にUE11のみが残る。その後、本システムはステップ206に戻り、UE11が次のアンカーUEとして特定される。しかし、UE11が利用できる適切なUプレーンBSが存在しないため、図5を参照して説明したように(ステップ210を参照)、UE11はCプレーン基地局100(図3を参照)に関連付けられる。
その後、UEの集合内にUEは残っていないと判断されるため、図5の方法は終了する。実施形態によって、図5のステップ222に示すような周波数割当て手法が望まれる場合は、本方法は、その周波数割当てに進むことができる。
以下の記述では、仮想的小型セルの周波数割当てを可能にする本発明の実施形態を更に詳細に説明する。この実施形態によれば、仮想セルの周波数割当てのための2段階の方法が与えられる。第1の段階で、動的な電力制御によってもたらされる動的な干渉環境において干渉源を特定し、別の段階で、周波数リソースを動的に分割し、不必要な干渉を引き起こすことも、周波数リソースを無駄にすることもなく、種々の仮想的小型セルの容量の要求を満たすだけの十分なリソースを割り当てる。
図8は、本発明の実施形態による仮想的小型セルの干渉制御及びリソース割当ての手法を示している。干渉源特定ステップに関して、干渉特定アルゴリズム300が実行される。このアルゴリズムは、図5の方法によって生成されたUEと仮想的小型セルとの関連付けテーブル218と、図6に関して上記で説明した潜在的干渉源テーブル238との情報を入力として受ける。これらのテーブルからの入力に基づいて、干渉特定アルゴリズム300は、仮想セル干渉グラフ302を出力する。干渉特定アルゴリズムは、CプレーンBS100によって集中的に、又はUプレーンBS104によって分散的に実行して、Cプレーン基地局100において定期的に、又は要求に応じて集約することができる。次のステップでは、干渉源の特定後に、CプレーンBS100によって集中的に実行することのできる、動的な周波数リソース分割及び割当てアルゴリズム304が実行される。このアルゴリズム304は、周波数の割当てのために、干渉特定アルゴリズム300によって生成された仮想セル干渉グラフ302と、テーブル218において示されている全レート要件から導き出される、仮想セルごとのリソース要件306とを入力として受ける。その後、このアルゴリズム308は、仮想セルごとの周波数割当て結果308を出力する。
動的な電力割当ては、UプレーンBSの送信電力が変化するに伴い、干渉の環境が絶えず変化するため、干渉の特定に新たな課題をもたらす。これを、図9を参照して説明する。同図は、固定的な電力割当て(図9(a))と動的な電力割当て(図9(b))との違いを示している。同図は、動的な電力割当てが、潜在的な干渉源を特定することを難しくする動的な干渉環境をどのようにもたらすかを示している。図9の上側部分には、第1の時点iにおける状況を示しており、下側部分には、後の第2の時点jにおける状況を示している。ユーザ機器UE及び3つのUプレーンBS1〜3が与えられている状況を前提とする。図9(a)に示す固定的な電力割当ての状況では、全てのUプレーンBSが最大電力Tmaxにおいて送信を行うとする。さらに、UEに対する実線の矢印によって示すように、BS1が所望の信号を送信し、UEがBS1からサービスの提供を受けるとする。BS2及びBS3の存在に起因して、UEは干渉信号も受信する。UEは、BS3よりもBE2に近いため、BS2からは強い干渉信号(点線矢印によって示す)を受信し、BS3からは、破線矢印によって示すように弱い干渉信号を受信する。図9(a)では固定的な電力割当てを行うため、時点i及び時点jにおいて状況は同じである。図9(b)に示すような動的な電力割当てを行う場合は、状況が変化する。時点iにおいて、各基地局1、2及び3がそれぞれ、異なる電力レベルT1a、T2a、T3aにて送信を行うとする。図9(b)に関して説明する例では、UEは基地局1からサービスの提供を受け、実線の矢印により示すような所望の信号を受信する。基地局2及び3のそれぞれの送信電力レベルは、基地局2の送信電力が、破線矢印によって示すように弱い干渉信号を生成するのみであり、基地局3の送信電力T3aが、ユーザ機器にとって干渉が観測されない程度であるとする。しかし、時点jにおいて送信電力レベルを変更すると、干渉の状況は、図9(b)の下側部分において示すように変化する場合がある。基地局1の送信電力T1aは変わらないものの、基地局2及び3の送信電力T2b及びT3bは増加する。それにより、UEは、時点iとは異なり、この時点では基地局2及び基地局3の両方から点線によって示すような強い干渉信号を受信することになると想定される。
干渉源の状況の変化に対処するために、周波数の制御及び電力の割当てのための拡張可能な手法と、潜在的干渉源を特定するための信頼性のある手法とが必要となる。さらに、これは、小型セルの送信電力が変化する場合でも小型セルの発見を容易にする必要がある。この問題に対処するために、Cプレーン基地局は、各Uプレーン基地局の周囲の広域伝搬環境を得る必要があり、この情報を得るための幾つかの機構を用いることができる。これを果たす一例は、チャネル測定にあたり、Uプレーン基地局がパイロットを送信することである。UEはパイロットを測定し、チャネル状態をCプレーン基地局に報告する。Cプレーン基地局は、この情報を利用して、各Uプレーン基地局に最適なやり方で電力を割り当てて、潜在的な干渉を軽減することができる。別の手法は、Cプレーン基地局において、各Uプレーン基地局の周囲の広域伝搬環境を取得し、この情報を入力として用いて種々の電力割当てのための潜在的干渉テーブルを構成するデータベースを保持することを伴う。本発明の実施形態によれば、この目的のために実施することのできる更に別の手法が提供される。この手法によれば、Uプレーン基地局によって使用することのできる電力レベルは、決まった数に制限される。Uプレーン基地局は、この目的のために割り当てられた特定のリソースブロックにおいて、サポートされた電力レベルによりパイロットシンボルを送信するとともに、Cプレーン基地局は、干渉を軽減するために、パイロット送信と、そのパイロット送信のために用いられる特定のリソースとを調和させる。UEは定期的に又は必要に応じて特定のリソースブロックを測定し、各電力レベル及び担当のUプレーンBSによる達成可能な最大SNRと、各電力レベルにおいて所与のしきい値を超えて検出される場合があるUプレーン基地局の識別情報となどの情報を報告する。この情報は、CプレーンBSに直接報告されるか、又はUプレーンBSにおいて収集され、CプレーンBSにおいて集約される。CプレーンBSは、この情報を用いて、図6に関して上記で説明した潜在的干渉源テーブルを構成する。図5に関して説明したUEと仮想的小型セルとの関連付けテーブル218とともに、CプレーンBSは、任意の電力割当てのために全ての仮想セルに関する干渉グラフを構成するために必要な全ての情報を得る。
動的な周波数割当て手法は、干渉グラフ及び仮想セルの相対的な容量の要件を用いて、干渉を引き起こすことなく全てのセルの容量の要求を公平に満たすことができるように、利用可能な周波数リソースを動的に分割する。この手法を図10に示している。第1のステップでは、全ての仮想的小型セルの容量の要求が正規化され、仮想セルごとに全レート要件を示すテーブル218から容量の要求が求められる。その後、符号310に示すように、仮想的小型セルの干渉グラフの頂点彩色アルゴリズムを適用して、色の数を求める。色ごとに、図10の符号312に示すように、その色が割り当てられた全ての仮想セルの最大の相対的容量要求が求められ、色ごとの最大の相対的容量要件に応じて、周波数帯域(X MHz)が分割される。動的な周波数分割の後に、CプレーンBSは、各UプレーンBSの能力、仮想的小型セル内において関連付けられているUEの能力、及びUプレーンBSごとの以前の割当ての履歴といった幾つかの要因を考慮して、図10の符号314に示すように、各仮想的小型セルにサービスを提供するUプレーンBSに周波数リソースを割り当てる。
以下、支援型の仮想的小型セルの発見に関する本発明の実施形態を説明する。上記のように、CプレーンBSによって、UEと仮想的小型セルとの関連付けが行われる。そのため、UEは、接続する必要がある仮想セルを前もって知っているわけではない。仮想的小型セルの発見を容易にするために、マクロセル支援型の仮想的小型セル発見方法を説明する。この方法によれば、CプレーンBSは、関連する情報を、バックホールリンクを通してUプレーンBSに送るとともに、かつ無線によりUEに送る。UプレーンBSは、離脱するUEに関するバッファデータを、直接的なリンクが存在する場合は、新たにサービスを提供するUプレーンBSと直接的に、あるいはUプレーンBS間にこのような直接的なバックホールリンクが存在しない場合には、CプレーンBSを通して、交換することができる。本発明の実施形態によれば、CプレーンBSは、以下の情報を各UプレーンBSに送る。
− 以下のものを含む、UプレーンBSの制御下にある各仮想的小型セルに対するリソース割当て
○ 使用対象の周波数リソース
○ 各周波数リソースにおいて許される最大送信電力スペクトル密度
○ パイロット信号を送信するためのリソースブロック
− 各仮想セルに関連付けられているUE
− 離脱するUEに関するバッファデータの送信先
以下の情報が、CプレーンBSからカバレッジエリア内の各UEに送られる。
− UEが関連付けられている仮想的小型セル
− パイロット信号を探すためのリソースブロック
− 関連付けられている仮想セルについての接続情報
以下、動的な処理の課題を扱うための実施形態を説明する。仮想的小型セルの構築と、UEと仮想的小型セルとの関連付けと、動的な周波数割当てとについての上記手法から最大の利益を得るために、幾つかの機構を実施して現実の世界における展開を容易にすることができる。これは、上記の方法を実行する時点を決定する手法と、その方法の各実行後に、システムへのUEの加入又は離脱に対応する方法を決定する手法とを伴う。本発明の実施形態は、図5に示した方法と、動的な周波数分割及び割当てのための更なるステップとを含む。実施形態によれば、仮想的小型セルの構築と、UEと仮想的小型セルとの関連付けと、仮想的小型セルの電力割当て及び動的な周波数分割割当てとを行うための統合された方法が定期的に実行される。本方法の次の実行時までの時間は、リソース割当て(resource allocation, RA)リフレッシュカウンタを用いて監視される。本方法を定期的に実行するために、低い時間的粒度(low time granularity)、例えば5分〜10分が設定される。しかしながら、実施形態によれば、ネットワーク内の状況によりリソースの再割当てが必要とされる場合に、本方法がより高い時間的粒度(higher time granularity)で実行できるようにする機構が提供される。これは、UEのモビリティ、変化するトラフィック要件、マクロセルの負荷等の外部の要因を用いて、通常の状況において生じるような速度よりも速くRAカウンタを減少させることによってなされる。
以下、UEの加入及び離脱を扱う方法を説明するための例を示す。UEを仮想的小型セルに関連付けた後に、ネットワークは、UEの移動と、新たなUEの、システムへの加入要求と、既存のUEのシステムからの離脱要求と、既存のUEの新規のQoS要求等を扱わなければならない。このようなイベントが生じたときにいつでも上記の方法を実行することは困難である。その一方で、次の更新時期まで待つとなると、幾つかのUEに対するサービスに劣化が生じるおそれがある。そのため、実施形態によれば、ネットワークの性質を変更することができ、新たなリソース割当ての検討を促すことのできる2つの状況が特定される。これらの状況は、UEの加入又はUEの離脱のいずれかである。
UEがネットワークへのアクセスを最初に要求するときか、又はモビリティのために、若しくはサービスを提供する仮想的小型セルが満たすことのできない新たなQoS要件のために、既存のUEが別の仮想的小型セルに接続する必要があるときかに、加入の状況が生じる。他方、例えば、既存のUEがカバレッジの範囲外に移動しつつあるために、その既存のUEのQoS要件が、サービスを提供している仮想的小型セルによってもはや満たされない可能性があるときか、又は既存のUEがネットワークから離脱するとき(例えば、電源がオフになるか、若しくは別のマクロセルに加入するとき)かに、離脱の状況が生じる。
図11は、UEの加入を扱う実施形態を示している。加入の状況は、新たなUEがネットワークに加入するときか、又は既存のUEが関連付けられている仮想セルのカバレッジ外に移動し、別の仮想セルのカバレッジエリアに進入するときかに生じる。この実施形態によれば、第1のステップ400において、対象のUEに関し、最も実現性の高い仮想セルにおいてそのUEがアンカーになるかどうかが判断される。これに当てはまらない場合には、ステップ402において、そのUEは最も実現性の高い仮想セルへと関連付けられることになり、本方法はステップ404にて終了する。さもなければ、すなわち、当該UEが最も実現性の高い仮想セルにおいてアンカーである場合には、本方法はステップ406に進み、そのUEはまずマクロBS(例えば、Cプレーン基地局)からサービスの提供を受ける。ステップ408において、マクロBSは、RAリフレッシュカウンタを、現在のマクロセルの負荷及び仮想的小型セルの負荷によって重み付けすることのできる量だけ減少させる。ステップ410において、リフレッシュカウンタの更新が新たなリソース割当ての要因となるかどうかが判断される。要因となる場合には、マクロセルBSは、上記のセル関連付け及びRAアルゴリズムを実行する(ステップ412を参照)。さもなければ、本方法は終了する。実施形態によれば、UEの加入の状況において、最も実現性の高い仮想セルは、UEの所望のQoS要件を満たすだけの十分な利用可能容量を有する全ての仮想セルの中で、UEの所望のQoS要件を満たすために最小の電力スペクトル密度を使用する仮想的小型セルとして定めることができる。別の基準を用いて、最も実現性の高い仮想セルを定めることもできる。
図12は、UEの離脱の状況を扱う方法を示している。UEがネットワークから離れるときか、関連付けられている仮想セルのカバレッジエリアから離れるときか、電源が切られるときかに、離脱が生じる。ステップ414において、当該UEがサービス提供を行っている仮想セルにおけるアンカーであるかどうかが判断される。アンカーではない場合には、本方法はステップ416において終了する。このUEの離脱によって状況が実質的に変わるわけではなく、その結果、リソースの割当てが不要だからである。これに対し、既存のUEが、サービスの提供を行っている仮想セルのアンカーである場合には、ステップ417において、マクロ基地局は、RAリフレッシュカウンタを、現在のマクロセルの負荷及び仮想的小型セルの負荷によって重み付けされる量だけ減少させる。ステップ418において、リフレッシュカウンタの更新が新たなリソース割当ての要因となるかどうかが判断される。要因となる場合には、マクロセルBSは、ステップ420において、セル関連付け及びRAアルゴリズムを実行する。さもなければ、本方法は終了する。
図11及び図12を参照して説明した方法を容易にするために、各UプレーンBSは、定期的に、又は必要に応じて、バッファのサイズを含んだ、各UプレーンBSによって制御される各仮想セル内の現在の負荷についての情報をCプレーンBSに対して送る。この情報は、CプレーンBSによって、本方法の各々の実行のタイミングを決定し、ハンドオーバの可能性を最小限に抑えるために用いることができる。
本発明の実施形態による上記の手法は、有益である。この手法は、効率的なロード・バランシングを可能とし、周波数のプランニングがセルの負荷及びUEの要件に基づいて動的に行われるために詳細なプランニングを必要とすることなく柔軟な小型セルの展開を可能とし、さらに高性能のバックホールの能力も不要であるからである。更なる利点は、干渉の制御によりリソースの再利用の度合が高まることと、ユーザの分布及び容量の要件の変化に迅速に対応できることと、固定的な電力割当てを用いる集中型小型セル展開は一般的に最大送信電力において処理を行うため、このような従来の手法と比べてエネルギー効率が改善できることとである。別の利点は、ユーザにとってのQoE(Quality of Experience, 体感品質)を更に改善できることである。
実施形態によれば、各々が複数の小型セルを有する複数のマクロセル1001〜1004を含む無線通信システムが提供される。すなわち、この無線通信システムは、図13に示しているように、図1に示したような1以上の、分離されたセルのシステムを有している。
実施形態によれば、本発明の手法は、コントローラ100aを含むCプレーンBS100において実施することができる。コントローラ100aは、上記のようにして、1以上のUプレーンBSの動作状態を制御する。図14は、図1と同様の、分離されたセルのシステムを示している。このシステムにおいて、CプレーンBS100は上記のコントローラ100aをも有している。さらに、実施形態によれば、CプレーンBS100は、図14に示しているようにデータベース100bをも有している。このデータベース100bは、CプレーンBS100のカバレッジエリア102を分割してできる地理的グリッド要素の各グリッド要素について、トラフィックの値及びユーザの数を保存するものである。
更なる実施形態によれば、装置を提供することができる。図15は、データベース500a及びコントローラ500bを備えた装置500を有する、図1の分離されたセルのシステムを示している。この装置は、接続502により示しているインタフェースを介してCプレーンBS100と接続される。装置500は、上記で説明した各テーブルをデータベース500aに保存し、コントローラを用いて、インタフェース502を通じて各UプレーンBSとの間で通信される各信号を提供する。
さらに、実施形態によれば、UプレーンBS104には、例えばそのバックホール接続によって、上記のようにして自己の動作状態を制御する信号を受信するインタフェースが設けられる。
説明された概念の幾つかの態様は装置との関係で説明されたが、これらの態様は対応する方法の説明も表し、ここでブロック又はデバイスは方法ステップ又は方法ステップの特徴に対応することが明らかである。それに類似して、方法ステップとの関係で説明された態様も、対応する装置の対応するブロック又はアイテム又は特徴の記述を表すものである。
ある実施態様要件に依拠して、本発明の実施形態はハードウェア又はソフトウェアで実施することができる。実施態様は、電子的に読取り可能な制御信号が格納されたデジタルストレージ媒体、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、DVD、ブルーレイ、CD、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、又はフラッシュメモリを用いて実行することができ、それらは、それぞれの方法が実行されるようにプログラム可能なコンピュータシステムと連携する(又は連携可能である)。したがって、デジタルストレージ媒体はコンピュータ可読とすることができる。
本発明による幾つかの実施形態は、本明細書に記載された方法のうちの1つが実行されるようにプログラム可能なコンピュータシステムと連携することができる電子的に読取り可能な制御信号を有するデータ担体を含む。
概して、本発明の実施形態は、プログラムコードを有するコンピュータプログラム製品として実装することができる。上記プログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されると、方法のうちの1つを実行するように動作可能である。プログラムコードは、例えば機械可読担体上に格納することができる。
他の実施形態は、機械可読担体上に格納された、本明細書に記載された方法のうちの1つを実行するコンピュータプログラムを含む。
したがって、換言すれば、本発明の方法の一実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに本明細書に記載された方法のうちの1つを実行するプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
したがって、本発明の方法の更なる実施形態は、データ担体(又はデジタルストレージ媒体若しくはコンピュータ可読媒体)であり、そのデータ担体は、そのデータ担体上に記録された、本明細書に記載された方法のうちの1つを実行するコンピュータプログラムを含む。
したがって、本発明の方法の更なる実施形態は、本明細書に記載された方法のうちの1つを実行するコンピュータプログラムを表すデータストリーム又は信号シーケンスである。データストリーム又は信号シーケンスは、例えば、データ通信接続を介して、例えばインターネットを介して送られるように構成することができる。
更なる実施形態は、本明細書に記載された方法のうちの1つを実行するように構成又は適合された処理手段、例えばコンピュータ又はプログラム可能な論理デバイスを含む。
更なる実施形態は、本明細書に記載された方法のうちの1つを実行するコンピュータプログラムがインストールされたコンピュータを含む。
幾つかの実施形態では、プログラム可能な論理デバイス(例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ)を用いて、本明細書に記載された方法の機能のうちの幾つか又は全てを実行することができる。幾つかの実施形態では、フィールドプログラマブルゲートアレイが、本明細書に記載された方法のうちの1つを実行するためにマイクロプロセッサと連携することができる。概して、本方法は任意のハードウェア装置によって実行されることが好ましい。
上述した実施形態は、単に本発明の原理を例示したものに過ぎない。本明細書に記載された構成及び詳細の変更及び変形は当業者には明らかであることが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲によってのみ定められ、本明細書における実施形態の記述及び説明のために提示した特定の詳細に限定されるものではないことが意図される。