JP5797306B2 - 無線通信システムおよび無線通信方法 - Google Patents

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Description

本発明は、無線通信システムおよび無線通信方法、特に、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)方式の改良に関する。
近年、無線通信システムでは、種々のMIMO方式が採用され始めている。たとえば、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)には、伝搬路変動に強いSTBC(Space-Time Block Coding:時空間ブロック符号化)方式やスループットの高いSM(Spatial Multiplexing:空間多重化)方式が採用されている(たとえば、非特許文献1参照)。
庄納崇著、「WiMAX教科書」、株式会社インプレスR&D、2008年7月、p145,154
MIMO方式を採用する無線通信システムでは、受信特性のさらなる向上が望まれている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、MIMO受信特性を高めることができる無線通信システムおよび無線通信方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る送信装置は、複数の送信アンテナと、受信装置の複数の受信アンテナのそれぞれについて、当該受信アンテナに指向する指向性パターンを前記複数の送信アンテナにより形成するための送信ウェイトを算出するウェイト算出手段と、前記複数の受信アンテナによって同一周波数かつ同一タイミングで送信された互いに相関の低い既知の複数の参照シンボルを前記複数の送信アンテナで受信する受信手段とを備え、前記ウェイト算出手段は、前記複数の送信アンテナで受信された参照シンボルに基づき、前記複数の受信アンテナのそれぞれについて、当該受信アンテナに主ビームを向けるとともに当該受信アンテナ以外の受信アンテナにヌルを向ける指向性パターンを形成するための送信ウェイトを算出することを特徴とする。
また、本発明では、上記の送信装置が、前記算出された送信ウェイトで前記受信アンテナに対応するデータストリームを重み付けし、該重み付けされたデータストリームを送信アンテナごとに合成して前記複数の送信アンテナからそれぞれ送信する送信手段を備えている。
また、本発明に係る無線通信方法は、複数の送信アンテナと、受信装置の複数の受信アンテナのそれぞれについて、当該受信アンテナに指向する指向性パターンを前記複数の送信アンテナにより形成するための送信ウェイトを算出するウェイト算出手段と、前記複数の受信アンテナによって同一周波数かつ同一タイミングで送信された互いに相関の低い既知の複数の参照シンボルを前記複数の送信アンテナで受信する手段とを備えた送信装置の無線通信方法において、前記複数の送信アンテナで受信された参照シンボルに基づき、前記複数の受信アンテナのそれぞれについて、当該受信アンテナに主ビームを向けるステップと、当該受信アンテナ以外の受信アンテナにヌルを向ける指向性パターンを形成するための送信ウェイトを算出するステップと、を有することを特徴とする。
本発明の実施形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。 本実施形態に係る無線通信システムにおける無線チャネル構成を示す図である。 従来のMIMO方式によるデータストリームの伝搬路を示す図である。 本実施形態に係るデータストリームの伝搬路を示す図である。 従来のMIMO方式の受信特性および本実施形態の受信特性を示す図である。 本実施形態に係る基地局の機能ブロック図である。 本実施形態に係る移動局の機能ブロック図である。 STBC方式のMIMOプリコーディングおよび重み付け合成に係る構成を示す図である。 SM方式のMIMOプリコーディングおよび重み付け合成に係る構成を示す図である。 本実施形態に係るPRUの詳細構造の一例を示す図である。 本実施形態に係る無線通信方法の一例を示すシーケンス図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る無線通信システム10の構成を示す図である。図1に示すように、無線通信システム10は、基地局12と、複数の移動局14(ここでは移動局14−1〜14−3のみを示す)と、を含んで構成される。
基地局12は、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:直交周波数分割多元接続)方式およびTDMA/TDD(Time Division Multiple Access/Time Division Duplex:時分割多元接続/時分割複信)方式により、複数の移動局14と多重通信を行う。
図2は、無線通信システム10における無線チャネル構成を示す図である。同図に示すように、無線通信システム10では、所定時間幅のTDMAフレーム(ここでは5ms)が上りサブフレーム(2.5ms)と下りサブフレーム(2.5ms)とに区分され、さらに各サブフレームがそれぞれ複数のタイムスロット(ここではSlot1〜Slot4)に均等に区分されている。また、所定の周波数帯域に複数のOFDMAサブチャネル(ここではSch1〜Sch18)が規定されている。基地局12が移動局14に割り当てる無線チャネルの最小単位はPRU(Physical Resource Unit)と呼ばれ、各PRUは、タイムスロット(Slot1〜Slot4)のいずれかと、サブチャネル(Sch1〜Sch18)のいずれかと、に属している。
また、基地局12および移動局14は、複数のアンテナを有しており、送信データにMIMOプリコーディングを施すMIMO方式(STBC−MIMO方式、SM−MIMO方式など)により、高速通信を行うことができる。
従来のMIMO方式では、基地局(MIMO送信装置)が、MIMOプリコーディングにより移動局(MIMO受信装置)宛ての送信データを複数のデータストリームに変換した後、それら複数のデータストリームを複数の送信アンテナからそれぞれ送信する(図3A参照)。そして、移動局は、基地局の送信アンテナからそれぞれ送信された複数のデータストリームが重なり合った多重信号を複数の受信アンテナで受信し、受信された多重信号にMIMOデコードを施すことにより、送信データを取得する。
これに対し、無線通信システム10では、基地局12(送信装置)が、MIMOプリコーディングにより移動局14(MIMO受信装置)宛ての送信データを複数のデータストリームに変換した後、それら複数のデータストリームのそれぞれを当該データストリームに対応する移動局14の受信アンテナに指向する指向性パターンで空間分割多重送信する(図3B参照)。そして、移動局14は、基地局12から送信された複数のデータストリームのそれぞれを当該データストリームに対応する受信アンテナで受信し、受信されたデータストリームにMIMOデコードを施すことにより、送信データを取得する。
このため、無線通信システム10では、基地局12と移動局14との間に介在する無線伝搬路の変動が小さい場合に、基地局12が形成する空間分割多重の指向性パターンによるビームフォーミング利得が得られやすい。このビームフォーミング利得は、送信が無指向性である従来のMIMO方式により得られるMIMO受信合成利得を上回る。また、ヌルステアリングにより干渉抑圧も可能である。一方、無線伝搬路の変動が大きい場合には、空間分割多重の指向性パターンの乱れによりビームフォーミング利得が得られにくいが、代わりに従来のMIMO方式と同等のMIMO受信合成利得を得ることができる。すなわち、無線通信システム10によれば、図4に示すように、特に基地局12と移動局14との間に介在する無線伝搬路の変動が小さい場合に、移動局14におけるMIMO受信特性を高めることができる。
以下では、上記処理を実現するために基地局12および移動局14が備える構成を具体的に説明する。
図5は、基地局12の機能ブロック図である。図5に示すように、基地局12は、複数のアンテナ20(ここではアンテナ20−1,20−2)、無線通信部22、1次復調部24、ウェイト演算部26、2次復調部28、2次変調部30、MIMOプリコーディング部32、重み付け合成部34、および1次変調部36を含んで構成される。
図6は、移動局14の機能ブロック図である。図6に示すように、移動局14は、複数のアンテナ40(ここではアンテナ40−1,40−2)、無線通信部42、1次復調部44、チャネル演算部46、MIMOデコード部48、2次復調部50、2次変調部52、および1次変調部54を含んで構成される。
まず、図5に基づいて基地局12が備える構成を説明する。
アンテナ20−1,20−2は、移動局14から無線信号を受信し、受信された無線信号を無線通信部22に出力する。また、アンテナ20−1,20−2は、無線通信部22から供給される無線信号を移動局14に対して送信する。
無線通信部22は、低雑音増幅器、電力増幅器、周波数変換器、帯域通過フィルタ、A/D変換器、およびD/A変換器を含んで構成される。無線通信部22は、アンテナ20−1,20−2から入力される無線信号を低雑音増幅器で増幅した後、中間周波数信号にダウンコンバートし、さらにディジタル信号に変換してから、1次復調部24に出力する。また、無線通信部22は、1次変調部36から入力されるディジタル信号をアナログ信号に変換した後、無線信号にアップコンバートし、電力増幅器で送信出力レベルまで増幅してから、アンテナ20−1,20−2に供給する。
1次復調部24は、FFT(Fast Fourier Transform)部および直並列変換器を含んで構成される。1次復調部24は、無線通信部22から入力されるディジタル信号に、GI(Guard Interval)の除去、直並列変換、離散フーリエ変換などを施し、得られた複素シンボルをPRUごとに連結した後、PRUごとに連結された複素シンボル列をウェイト演算部26に出力する。
ウェイト演算部26は、1次復調部24から入力される複素シンボル列に基づいて、移動局14のアンテナ40−1,40−2のそれぞれについて、空間分割多重による、当該アンテナ40に指向する指向性パターンをアンテナ20−1,20−2により形成するための送信ウェイトを算出する。本実施形態では、移動局14が、互いに相関の低い既知の複数(ここでは2種類)の参照シンボル(トレーニングシンボル)を同一周波数かつ同一タイミングでアンテナ40−1,40−2からそれぞれ送信し、基地局12が、移動局14のアンテナ40−1,40−2からそれぞれ送信される2種類の参照シンボルをアンテナ20−1,20−2で受信するものとする。こうすれば、ウェイト演算部26は、アンテナ20−1,20−2で受信された参照シンボルと、既知の2種類の参照シンボルと、に基づき、移動局14のアンテナ40−1,40−2のそれぞれについて、当該アンテナ40に主ビームを向けるとともに当該アンテナ40以外のアンテナ40にヌルを向ける指向性パターンを形成するための受信ウェイトを算出することができる。この受信ウェイトの演算には、たとえばLMS(Least Mean Square)やRLS(Recursive Least Squares)などのアルゴリズムが用いられる。そして、ウェイト演算部26は、算出された受信ウェイトの複素共役に予め測定しておいたキャリブレーションベクトル(校正情報)を乗じたものを送信ウェイトとする。
2次復調部28は、受信ウェイトの複素共役で重み付け合成された複素シンボル列に対して、チャネル推定、チャネル等化、ソフトビット処理、デインターリーブ、デパンクチャ、FEC(Forward Error Correction:前方誤り訂正)、デスクランブル、CRC(Cyclic Redundancy Check:巡回冗長検査)などの復調処理を施し、復調された受信データを図示しない上位レイヤ(MACレイヤ)に出力する。
2次変調部30は、上位レイヤ(MACレイヤ)から入力される移動局14宛ての送信データに対して、CRC符号の付加、スクランブル、畳み込み符号化、パンクチャ、インターリーブ、コンスタレーションマッピングなどの変調処理を施し、変調された送信データ(複素シンボル列)をMIMOプリコーディング部32に出力する。
MIMOプリコーディング部32は、2次変調部30から入力される送信データに対して、STBC方式やSM方式などの所定のMIMOプリコーディングを施すことにより、その送信データを移動局14のアンテナ40−1,40−2にそれぞれ対応する複数(ここでは2つ)のデータストリームに変換する。そして、MIMOプリコーディング部32は、これら2つのデータストリームを重み付け合成部34に出力する。
重み付け合成部34は、MIMOプリコーディング部32から入力される2つのデータストリームのそれぞれを当該データストリームに対応する移動局14のアンテナ40について算出された送信ウェイトで重み付けし、重み付けされた複数のデータストリームをアンテナ20ごとに合成することにより、アンテナ20−1,20−2にそれぞれ供給される複数(ここでは2つ)の合成データストリームを生成する。そして、重み付け合成部34は、これら2つの合成データストリームを1次変調部36に出力する。
1次変調部36は、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部および並直列変換器を含んで構成される。1次変調部36は、重み付け合成部34から入力される合成データストリームに、逆離散フーリエ変換、並直列変換、GIの付加などを施し、得られたディジタル信号を無線通信部22に出力する。
ここで、MIMOプリコーディング部32がSTBC方式のMIMOプリコーディングを施す場合、MIMOプリコーディング部32がSM方式のMIMOプリコーディングを施す場合、のそれぞれについて、MIMOプリコーディングおよび重み付け合成に係る構成をより具体的に説明する。
図7は、STBC方式のMIMOプリコーディングおよび重み付け合成に係る構成を示す図である。同図に示すように、2次変調部30から出力される送信データは、MIMOプリコーディング部32によりSTBC方式のMIMOプリコーディングが施され、2つのデータストリーム1,2に変換される。このデータストリーム1,2は、それぞれ移動局14のアンテナ40−1,40−2に向けて送信されるものである。
ここで、MIMOプリコーディング部32に入力される送信データをS(t)とし、MIMOプリコーディング部32から出力されるデータストリーム1,2をそれぞれX1(t),X2(t)とすると、X1(t),X2(t)は次式(1)で表される。
Figure 0005797306
次に、MIMOプリコーディング部32から出力されるデータストリーム1,2は、重み付け合成部34で重み付け合成される。すなわち、データストリーム1は、ウェイト演算部26で算出された移動局14のアンテナ40−1についての送信ウェイトWTX1(アンテナ40−1に指向する指向性パターンをアンテナ20−1,20−2により形成するための送信ウェイト)で重み付けされる。また、データストリーム2は、ウェイト演算部26で算出された移動局14のアンテナ40−2についての送信ウェイトWTX2(アンテナ40−2に指向する指向性パターンをアンテナ20−1,20−2により形成するための送信ウェイト)で重み付けされる。そして、重み付けされたデータストリーム1,2は、アンテナ20ごとに合成され、アンテナ20−1,20−2にそれぞれ供給される合成データストリーム1,2が生成される。
この合成データストリーム1,2は、1次変調部36を介してアンテナ20−1,20−2からそれぞれ送信される。これにより、移動局14のアンテナ40−1ではデータストリーム1が主に受信され,アンテナ40−2ではデータストリーム2が主に受信されることになる。
一方、図8は、SM方式のMIMOプリコーディングおよび重み付け合成に係る構成を示す図である。同図に示すように、2次変調部30から出力される送信データは、MIMOプリコーディング部32によりSM方式のMIMOプリコーディングが施され、2つのデータストリーム1,2に変換される。このデータストリーム1,2は、それぞれ移動局14のアンテナ40−1,40−2に向けて送信されるものである。
ここで、MIMOプリコーディング部32に入力される送信データをS1(t),S2(t)とし、MIMOプリコーディング部32から出力されるデータストリーム1,2をそれぞれX1(t),X2(t)とすると、X1(t),X2(t)は次式(2)で表される。
Figure 0005797306
なお、MIMOプリコーディング部32以降の処理は上記STBC方式におけるそれと同様であるため、ここではその説明を省略する。
次に、図6に基づいて移動局14が備える構成を説明する。
アンテナ40−1,40−2は、基地局12から無線信号を受信し、受信された無線信号を無線通信部42に出力する。また、アンテナ40−1,40−2は、無線通信部42から供給される無線信号を基地局12に対して送信する。
無線通信部42は、低雑音増幅器、電力増幅器、周波数変換器、帯域通過フィルタ、A/D変換器、およびD/A変換器を含んで構成される。無線通信部42は、アンテナ40−1,40−2から入力される無線信号を低雑音増幅器で増幅した後、中間周波数信号にダウンコンバートし、さらにディジタル信号に変換してから、1次復調部44に出力する。また、無線通信部42は、1次変調部54から入力されるディジタル信号をアナログ信号に変換した後、無線信号にアップコンバートし、電力増幅器で送信出力レベルまで増幅してから、アンテナ40−1,40−2に供給する。
1次復調部44は、FFT部および直並列変換器を含んで構成される。1次復調部44は、無線通信部42から入力されるディジタル信号に、GIの除去、直並列変換、離散フーリエ変換などを施し、得られた複素シンボルをサブチャネルごとに連結した後、サブチャネルごとに連結された複素シンボル列をチャネル演算部46に出力する。
チャネル演算部46は、1次復調部44から入力される複素シンボル列に基づいて、基地局12と移動局14との間に介在する無線伝搬路(基地局12が移動局14に割り当てた各PRU)の特性を推定する。本実施形態では、基地局12が既知の制御シンボル(パイロットシンボル)を含むデータストリームを移動局14に割り当てたPRUのそれぞれを介して送信するものとする。こうすれば、チャネル演算部46は、アンテナ40−1,40−2で受信された合成データストリームと、既知の制御シンボルと、に基づいて、基地局12と移動局14との間に介在する無線伝搬路の特性を推定することができる。
たとえば、基地局12のアンテナ20−1,20−1から送信される無線信号をそれぞれX1(t),X2(t)とし、移動局14のアンテナ40−1,40−2で受信される無線信号をそれぞれY1(t),Y2(t)とすると、基地局12と移動局14との間に介在する無線伝搬路の特性を示す伝搬路行列H(各要素の左側の添え字は移動局14のアンテナ40を示し、右側の添え字は基地局のアンテナ20を示す)は、次式(3)で表される。
Figure 0005797306
なお、伝搬路行列Hを精度よく求めるためには、各PRUにできるだけ満遍なく既知の制御シンボルが配置されるようにデータストリームを生成することが望ましい。図9は、1タイムスロットが21シンボル分の時間幅(カードタイムを含む)からなり、1サブチャネルが24サブキャリア(ガードバンドを含む)からなる場合の、PRUの詳細構造の一例を示す図である。たとえば、図9に示すように、制御シンボルが主にアンテナ40−1で受信されるデータストリーム1および主にアンテナ40−2で受信されるデータストリーム2のそれぞれに広範に含まれるよう、複数の制御シンボルを移動局14宛てのデータシンボルの間に分散配置してもよい。
MIMOデコード部48は、アンテナ40−1,40−2で受信された合成データストリームに対して基地局12で施されるMIMOプリコーディングに対応するMIMOデコードを施すことにより、移動局14宛ての送信データを受信データとして取得する。MIMOデコード部48は、その受信データを2次復調部50に出力する。
たとえば、基地局12でSTBC方式のMIMOプリコーディングが施される場合、アンテナ40−1,40−2でそれぞれ受信される無線信号Y1(t),Y2(t)と、移動局14宛ての送信データS1(t),S2(t)と、の間には、式(1)および式(3)から導かれる次式(4)の関係が成立する。このため、MIMOデコード部48は、式(4)にチャネル演算部46で求められる伝搬路行列Hを代入することにより、基地局12からの送信データを受信データとして取得することができる。
Figure 0005797306
一方、基地局12でSM方式のMIMOプリコーディングが施される場合、アンテナ40−1,40−2でそれぞれ受信される無線信号Y1(t),Y2(t)と、移動局14宛ての送信データS1(t),S2(t)と、の間には、式(2)および式(3)から導かれる次式(5)の関係が成立する(ここではZF(Zero Forcing)アルゴリズムを適用)。このため、MIMOデコード部48は、式(5)にチャネル演算部46で求められる伝搬路行列Hを代入することにより、基地局12からの送信データを受信データとして取得することができる。
Figure 0005797306
2次復調部50は、MIMOデコード部48から入力される受信データに対して、ソフトビット処理、デインターリーブ、デパンクチャ、FEC、CRCなどの復調処理を施し、復調された受信データを図示しない上位レイヤ(MACレイヤ)に出力する。
2次変調部52は、上位レイヤ(MACレイヤ)から入力される基地局12宛ての送信データに対して、CRC符号の付加、スクランブル、畳み込み符号化、パンクチャ、インターリーブ、コンスタレーションマッピング、シンボルマッピングなどの変調処理を施し、変調された送信データ(複素シンボル列)を1次変調部54に出力する。
1次変調部54は、IFFT部および並直列変換器を含んで構成される。1次変調部54は、2次変調部52から入力される変調後の送信データに、逆離散フーリエ変換、並直列変換、GIの付加などを施し、得られたディジタル信号を無線通信部42に出力する。
次に、基地局12および移動局14の動作を説明する。
図10は、無線通信システム10における無線通信方法の一例を示すシーケンス図である。ここでは、1スロットまたは複数スロットごとに行われる基地局12から移動局14へのデータ送信処理を中心に説明する。
図10に示すように、移動局14は、データシンボルとともに、互いに相関の低い既知の2種類の参照シンボル(ウェイト演算用)をアンテナ40−1,40−2から同一周波数かつ同一タイミングでそれぞれ送信する(S100)。一方、基地局12は、移動局14のアンテナ40−1,40−2からそれぞれ送信される2種類の参照シンボルをアンテナ20−1,20−2で受信する。
次に、基地局12は、アンテナ20−1,20−2で受信された参照シンボルと、既知の2種類の参照シンボルと、に基づき、移動局14のアンテナ40−1,40−2のそれぞれについて、空間分割多重による、当該アンテナ40に指向する指向性パターンを形成するための送信ウェイトを算出する(S102)。
次に、基地局12は、移動局14宛ての送信データに2次変調処理を施し(S104)、変調された送信データに対してMIMOプリコーディングを施すことにより、その送信データを移動局14のアンテナ40−1,40−2にそれぞれ対応する2つのデータストリームに変換する(S106)。このデータストリームには、データシンボルの他に、既知の制御シンボル(伝搬路特性推定用)が含まれる。その後、基地局12は、2つのデータストリームのそれぞれを当該データストリームに対応する移動局14のアンテナ40について算出された送信ウェイトで重み付けし、重み付けされた2つのデータストリームをアンテナ20ごとに合成することにより、アンテナ20−1,20−2にそれぞれ供給される2つの合成データストリームを生成する(S108)。
そして、基地局12は、2つの合成データストリームに逆離散フーリエ変換などの1次変調処理を施し(S110)、制御シンボルおよびデータシンボルを含むそれら2つの合成データストリームをアンテナ20−1,20−2からそれぞれ送信する(S112)。一方、移動局14は、基地局12のアンテナ20−1,20−2からそれぞれ送信される2つの合成データストリームをアンテナ40−1,40−2で受信する。実際には、S108での重み付け合成処理によるビームフォーミング効果により、2つのデータストリームの一方が主にアンテナ40−1で受信され、他方が主にアンテナ40−2で受信されることになる。
次に、移動局14は、アンテナ40−1,40−2で受信された合成データストリームに離散フーリエ変換などの1次復調処理を施す(S114)。また、移動局14は、アンテナ40−1,40−2で受信された合成データストリームと、既知の制御シンボルと、に基づいて、基地局12と移動局14との間に介在する無線伝搬路(基地局12が移動局14に割り当てた各PRU)の特性を推定する(S116)。その後、移動局14は、推定された無線伝搬路の特性に基づいて、アンテナ40−1,40−2で受信された合成データストリームに対してMIMOデコードを施すことにより、移動局14宛ての送信データを受信データとして取得する(S118)。そして、移動局14は、MIMOデコードが施された受信データに2次復調処理を施す(S120)。
以上説明した無線通信システム10によれば、基地局12と移動局14との間に介在する無線伝搬路の変動が小さい場合に、基地局12が形成する指向性パターンによるビームフォーミング利得が得られやすくなる。このビームフォーミング利得は、送信が無指向性である従来のMIMO方式により得られるMIMO受信合成利得を上回る。一方、無線伝搬路の変動が大きい場合には、指向性パターンの乱れによりビームフォーミング利得が得られにくいが、代わりに従来のMIMO方式と同等のMIMO受信合成利得を得ることができる。このため、図4に示すように、特に基地局12と移動局14との間に介在する無線伝搬路の変動が小さい場合に、移動局14におけるMIMO受信特性を高めることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
たとえば、上記実施形態では、基地局12を送信装置とし、移動局14をMIMO受信装置とする例を示したが、移動局14を送信装置とし、基地局12をMIMO受信装置としてもよい。また、基地局12のアンテナ本数および移動局14のアンテナ数の少なくとも一方を、3つ以上としてもよい。
また、送信装置側のアンテナ間隔を、MIMO受信装置側のアンテナ間隔より広くしてもよい。こうすれば、送信装置側のアンテナ相関がMIMO受信装置側のアンテナ相関より低くなるため、ビームフォーミング効果がより発揮されやすくなり、MIMO受信特性をさらに高めることができる。
また、本発明は、STBC−MIMO方式やSM−MIMO方式に限らず、送信データにMIMOプリコーディングを施すMIMO方式を採用する無線通信システム全般に適用可能である。
10 無線通信システム、12 基地局、14 移動局、20,40 アンテナ、22,42 無線通信部、24,44 1次復調部、26 ウェイト演算部、28,50 2次復調部、30,52 2次変調部、32 MIMOプリコーディング部、34 重み付け合成部、36,54 1次変調部、46 チャネル演算部、48 MIMOデコード部

Claims (3)

  1. 複数の送信アンテナと、
    受信装置の複数の受信アンテナのそれぞれについて、当該受信アンテナに指向する指向性パターンを前記複数の送信アンテナにより形成するための送信ウェイトを算出するウェイト算出手段と、
    前記複数の受信アンテナによって同一周波数かつ同一タイミングで送信された互いに相関の低い既知の複数の参照シンボルを前記複数の送信アンテナで受信する受信手段とを備え、
    前記ウェイト算出手段は、前記複数の送信アンテナで受信された参照シンボルに基づき、前記受信装置の複数の受信アンテナのそれぞれに主ビームを向けるとともに当該受信アンテナ以外の受信アンテナにヌルを向ける指向性パターンを形成するための送信ウェイトを算出する送信装置。
  2. 前記算出された送信ウェイトで前記受信アンテナに対応するデータストリームを重み付けし、該重み付けされたデータストリームを送信アンテナごとに合成して前記複数の送信アンテナからそれぞれ送信する送信手段を備えた請求項1に記載の送信装置。
  3. 複数の送信アンテナと、
    受信装置の複数の受信アンテナのそれぞれについて、当該受信アンテナに指向する指向性パターンを前記複数の送信アンテナにより形成するための送信ウェイトを算出するウェイト算出手段と、
    前記複数の受信アンテナによって同一周波数かつ同一タイミングで送信された互いに相関の低い既知の複数の参照シンボルを前記複数の送信アンテナで受信する手段と
    を備えた送信装置の無線通信方法において、
    前記複数の送信アンテナで受信された参照シンボルに基づき、前記受信装置の複数の受信アンテナのそれぞれに主ビームを向けるステップと、
    当該受信アンテナ以外の受信アンテナにヌルを向ける指向性パターンを形成するための送信ウェイトを算出するステップと、を有する無線通信方法。
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