JP5792121B2 - 癌、特に乳癌、甲状腺癌及び肺癌のインビトロ診断のためのProNGFアッセイのための方法とProNGFの治療的使用 - Google Patents

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Description

本発明は癌腫学分野に関する。より詳しくは、本発明は、ヒト患者由来の生体試料、又は患者のインビボ腫瘍中の神経成長因子前駆物質(ProNGF)の存在をインビトロで決定することによる、ヒト患者の癌、特に乳癌、甲状腺癌、肺癌又は前立腺癌を診断するための方法であって、該方法が癌の早期診断、スクリーニング、治療的追跡調査及び予後予測並びに、癌の再発を診断するために使用することが可能である方法に関する。さらに、癌細胞、特に乳癌細胞、甲状腺癌細胞、肺癌細胞又は前立腺癌細胞のProNGFを生産する能力のおかげで、本発明は治療法にも関する。
女性において、乳癌は、先進工業国の癌による死亡率の最も頻度の高い原因である。マンモグラフィによって検出されうる腫瘍の最小サイズは2、3ミリメートル(mm)であると推定される。乳癌はゆっくり発達する。したがって、この小さい腫瘍が診断される時には、発達に既に平均8年も経過していたことになる。乳癌の病因は明確でない。家族性の素因が示されている。年齢は最も重要な危険因子である。したがって、西洋諸国では1歳につき0.5%リスクが増加する。妊娠回数、初めの妊娠時の年齢、母乳経験、思春期及び閉経時の年齢、閉経後のエストロゲン治療、ストレス及び栄養など他の危険因子が知られている。
乳癌のマススクリーニングに利用可能であり用いられる試験は画像技術のマンモグラフィである。この技術によって、乳癌による死亡率は大いに減少し(死亡率の30%の減少)、これによって公衆衛生における腫瘍スクリーニングの重要性が明確に示された。しかし、スクリーニング技術は一定の困難を伴う。マンモグラフィは高性能器材を必要とし、資格が必要とされるため、マススクリーニングにおいては高価である。
甲状腺癌はまれな癌である。フランスの一般的な集団のおよそ1%の癌に相当する。その年間発症数は低く、すなわちおよそ100000人に2.5人程度である(Cancers: evaluation, traitement et surveillance [Cancers: assessment, treatment and monitoring]. JM Andrieu & P Colonna Ed. ESTEM, Paris 1997)。2006年の米国の甲状腺癌の新規の症例数は、30000であり1500の死が推定される(American Cancer Society.: Cancer Facts and Figures 2006. Atlanta, Ga: American Cancer Society, 2006)。
通常、甲状腺癌は、正常な大きさの甲状腺又は拡大した甲状腺(甲状腺腫)内に位置する小結節の形態で発達する。若年層に多いまれな癌であり、癌が乳頭状である場合には90%の症例が回復するので予後が良好である。
甲状腺の小結節の罹患率はスクリーニング手段によって変化しうる。ヨウ素が欠乏した地域に住む高齢の女性、又は幼少期に子宮頸部領域に放射線照射の経験がある高齢の女性に多いが、これらの小結節は90%より多くの症例において良性である。若年者は、甲状腺の放射線照射に対する感度が高いためより癌の発達の危険がある。
国際的な組織分類に従うと、甲状腺カルシノーマの4つの主な組織学的種類の間で以下のような相違点がある。
- 乳頭上皮腫、
- 濾胞性上皮腫、
- 髄質上皮腫、
- 低分化な(又は未分化な)上皮腫。
これらの腫瘍は単生でも多病巣性でもありうる。
乳頭癌はより頻度が高い。乳頭癌は若年者に目立ち、甲状腺癌のおよそ80%を占める。
濾胞性癌は、甲状腺癌のおよそ10%を占め、特におよそ40歳前後に頻度が高い。
乳頭及び濾胞性の癌は、放射線感受性で分類された甲状腺癌のグループであるといえる。それらはチログロブリンを分泌する。
髄質癌は、甲状腺癌の5%を占め、神経堤由来のパラ濾胞性細胞又はC細胞の腫瘍に相当する。C細胞はカルシトニンを分泌する。
低分化ないしは未分化な癌は、まれ(5%未満の症例)であるが、極めて重篤である。
悪性の甲状腺小結節がある場合には、基本的な治療は手術である。
残余の機能的組織がある場合には、ある用量のヨウ素131が全甲状腺切除術後4〜6週間に単離されたチャンバーに投与され、完全に死滅される。
甲状腺癌転移のおよそ40%がヨウ素を溜め込むため、この方法で治療されうる。
全甲状腺切除術とヨウ素131による死滅の後、TSH分泌を阻害するホルモンであるチロキシンが投与される。このホルモン療法によっても、機能的な面において十分な甲状腺バランスの確保が可能である。
新規の診断用及び予後予測用のマーカーの開発、及び治療用薬剤の開発により、この癌の治療用及び診断用の手段が完全なものとなる。
フランスにおいて毎年25000より多くの新規症例の原因となる肺癌は、重要な公衆衛生の問題であると考えられる。肺癌は、男性に頻度の高い癌であり、実際に男性では癌による死亡率の第一位、女性では第三位の原因である。2006年の米国における肺癌(非小細胞性及び小細胞性を合わせて)の新規症例の数は174470、死亡は162460と推定される(American Cancer Society.: Cancer Facts and Figures 2006. Atlanta, Ga: American Cancer Society, 2006)。
原発性癌の中には、癌細胞の試験(組織病理学的試験)により以下の間の相違を読み取ることができる。
- 表皮状癌(35〜40%);
- 腺癌(25〜35%);
- 大細胞カルチノーマ(10〜15%);
- 小細胞カルチノーマ(20〜25%)。
これらの4種類は肺癌のほぼ95%に相当する。初めの3つはともに「非小細胞性肺癌」(NSCLC)と分類される。
小細胞性癌はより急速に進行し、他の臓器に播種するようである。
カルチノイド腫瘍及びムコ類表皮腫瘍は、よりまれで、残りの1〜2%を占める。
これらの分類は、異なる治療的な関係により「小細胞肺癌」(13%)又は「非小細胞肺癌」(87%)と要約されうる。
早期発見の取り組みは、現在の手段では有効であることが示されていない(肺X線、痰の分析及びファイブロスコープ(fibroscopy)は生存を改善しない)。螺旋形スキャン又は痰の分子分析法により早期発見が可能であり、より容易に癌を切除することができる。しかしながら、特に肺生検及び外科手術に伴うリスクが原因で、特に喫煙患者においてはなおもスクリーニング手段が発見されていない。
治療しない場合、小細胞肺癌は肺腫瘍の活動が最も活発であり、平均して2〜4か月しか生存できない。他種の肺癌と比較して、小細胞肺癌は診断の前に播種しやすいが、化学療法及び放射線療法に対してより感受性がある。
非小細胞肺癌(NSCLC)は様々な組織像の範囲に及ぶ。最も一般的な組織像は、表皮状又は鱗片状のカルシノーマ、腺癌及び大細胞上皮癌である。診断、分類、予後の確立及び治療に対する試みは類似しているのでこれら組織像は一緒に分類されることが多い。切除可能な癌を呈する患者は外科手術又は外科手術と補助的化学療法によって治癒されうる。切除不可能な癌を有する多くの患者においては放射線療法により疾患の局所のコントロールが行われうる。局所で進行し、切除不可能な疾患を呈する患者は、化学療法と組み合わせた放射線療法により長期に生存しうる。進行した転移性疾患を呈する患者は化学療法により症状や生存期間の改善が見られうる。
診断時、NSCLCを有する患者は類似する3つの治療群に分類することができる。患者の第一群は、外科的に切除可能な腫瘍(通常、ステージI、ステージII及び特定のステージIII患者)を含む。この群は最も良好な予後を有する。外科手術が医学的に禁忌である切除可能な癌を呈する患者は治療的放射線療法の候補である。
第二群は、局所的(T3−T4)及び/又は領域的(N2−N3)に進行した肺癌を有する患者を含む。
第三群は、診断時に見られた遠隔転移(M1)を有する患者を含む。この群は対症療法的放射線療法又は化学療法により治療されうる。
決定予後因子を同定するために複数の研究が試みられている(Albain KS, Crowley JJ, LeBlanc M,等: Survival determinants in extensive-stage non-small-cell lung cancer: the Southwest Oncology Group experience. J Clin Oncol 9 (9): 1618-26, 1991;Macchiarini P, Fontanini G, Hardin MJ,等: Blood vessel invasion by tumor cells predicts recurrence in completely resected T1 N0 M0 non-small-cell lung cancer. J Thorac Cardiovasc Surg 106 (1): 80-9, 1993;Ichinose Y, Yano T, Asoh H,等: Prognostic factors obtained by a pathologic examination in completely resected non-small-cell lung cancer. An analysis in each pathologic stage. J Thorac Cardiovasc Surg 110 (3): 601-5, 1995;Martini N, Bains MS, Burt ME,等: Incidence of local recurrence and second primary tumors in resected stage I lung cancer. J Thorac Cardiovasc Surg 109 (1): 120-9, 1995;Fontanini G, Bigini D, Vignati S,等: Microvessel count predicts metastatic disease and survival in non-small cell lung cancer. J Pathol 177 (1): 57-63, 1995)。不良な予後と相関する因子には以下のものが含まれる。
- 肺症状の存在。
- 大きなサイズ(>3センチメートル)の腫瘍。
- 類表皮組織像がないこと。
- TNMにて確認される、リンパ節での結節転移。
- 血管性浸潤。
同様に、肺癌において一定数のタンパク質の異常な発現の予後予測上の重要性に関して矛盾する結果が報告された。手術ができない癌患者では、全般的な症状の悪さや10%より多くの体重損失によって予後が損なわれる。
NSCLCを有するほぼすべての患者にとって治療が満足するものでないので、新規の治療上標的と早期診断のための新規の手段の開発が必要である。
前立腺癌は50歳を超える男性において最も頻度の高い癌であり、先進国世界の男性において、肺癌に次いで癌による死因の2番目となっている。
その発病は年齢につれて増加する。フランスでは、1990年の全発症率は100000につき71.4であった(35〜49歳では2.6、50〜69歳では133.8、70歳では726.9)。前立腺癌の平均年齢はおよそ70歳であるが、より若年期に発症する男性もいる。
過去20年にわたる前立腺癌に関する死亡率の23%の増加は、平均余命の増加と主な死因として前立腺癌が挙がる頻度の増加を反映するものである。フランスでは、癌による全死亡率は1990年では100000につき33.4、すなわち1年当たり9000件より多い死亡であった。前立腺癌は、全死亡の3.4%であり、癌による死亡の10.7%を占める。
前立腺癌はゆっくりと発達し、初発部位にとどまることが多い。癌が進行する場合、前立腺癌に近接する組織や臓器の直接的な浸潤により前立腺の外に播種し得、前立腺から遠い他の臓器に播種しうる。
前立腺特異的抗原(PSA)は、前立腺癌を発見するために使用する腫瘍マーカーである。血中のPSAのレベルは、ミリリットル当たりのナノグラム(ng/ml)で表され、このレベルが4ng/ml未満である場合に正常とみなす。前立腺癌の場合PSAレベルが高ければ高いほど、癌の遠隔播種のリスクが大きくなり、通常回復又は長期生存の可能性が少なくなると解される。にもかかわらず、PSAは理想的なマーカーでない。それは、増加したPSAレベルによって発見される特定の癌が非常にゆっくりと進行し、治療を必要としないためである。したがって、進行する可能性のある癌を正確に検出し、非常にゆっくりと進行する癌から再度見分けるためには、(組織レベル又は体液レベルでの診断のための)新規の診断用手段を開発することが必須である。
診断を特定するために、前立腺の直腸内超音波検査が使われる。これは前立腺の所定の部位の試料を採取するために非常に正確に針をガイドすることができる。癌細胞は顕微鏡下で可視化できるので、癌を確認できるのは生検のみである。したがって、生検は疾患の予後を決定するための必須の重要なものである。
前立腺全摘除術を比較治療とする。この手技により全前立腺と精嚢が除去される。これは癌が前立腺を越えない場合にのみ実施される。およそ10%の患者は、局所の前立腺癌のための前立腺全摘除術後5年以内に局所の再発を起こす。
放射線療法は、前立腺に局所化した癌、又は、隣接組織に達した癌を治療するために用いられる。これは、腫瘍体積を低減するか又は局所の合併症を予防するために用いられうる。
ホルモン治療の目的は、前立腺を刺激する男性ホルモン(アンドロゲン)の作用に対するためである。ゆえに、主な男性ホルモンであるテストステロンのレベルを低下させると、癌細胞の増殖がブロックされ、前立腺の体積が低減する。ホルモン治療のみは一時的な効果である。これは治癒させるものでなく癌の増殖をブロックするものである。
後期に前立腺外への播種が進むと前立腺癌において化学療法が用いられ、もはやホルモン療法に応答しない。化学療法は腫瘍増殖を低減し、癌に伴う疼痛を低減しうる。
前述の治療は、尿失禁、インポテンツ、腸管の問題(下痢、大腸炎)及び基本的に治療の間に生じる泌尿器の問題(排尿の頻度、尿流の弱さ、排尿の緊急な必要性、排尿時の灼熱感、尿中の血液の存在)を含むある程度の副作用を有しうる。長期ホルモン療法により骨が脆くなり骨粗鬆症が引き起こされる。
新たな治療のための方法は、これら一定の副作用を予防して、前立腺癌の治療の有効性を向上させうるものである。新規な診断用及び予後予測用のツールは、ゆっくり進行している癌と転移性能力を有する悪性の癌を区別することを可能とするものである。
医療の場において、腫瘍が発見された後、専門の実験室での組織学的方法によって、悪性腫瘍に関する腫瘍の特徴づけが行われる。腫瘍の大きさ、組織病理学的な進行度、関連する炎症及びリンパ節浸潤などの一連のパラメーターによって、治療の決断、及び、疾患の予後予測がなされる。
乳癌、甲状腺癌、肺癌及び前立腺癌を含む多くの癌について、腫瘍細胞と正常細胞との区別を可能にするマーカーが、何年も探索、研究されてきた。上記マーカーによって、前記疾患の早期診断、その予後予測やその治療感受性の確認、並びに、その進行のモニターが可能になるであろう。現在のところ、同定及び研究されている候補マーカーは、腫瘍遺伝子、組織マーカー、及び、腫瘍の血管形成又は転移能力に関与するマーカーであった。同定された乳癌マーカーは現在、主に追跡治療に使用されている。生物試験の中では、乳癌を初期診断又はスクリーニングできると実証されたものはなく、多くの他の癌についても同様である(結腸直腸癌のマススクリーニングでは便中のヘモグロビンの検出である)。PSAは、前立腺癌の場合に診断を補助し、前立腺の生検の必要性を示すために用いられうる。血漿中のカルシトニンについてのイムノアッセイは、髄質甲状腺癌の優れたマーカーである。特定の国では、前立腺癌のスクリーニングのために使われうるが、それはこの指標についての基礎集団に有効であることが認められなかった。乳房腫瘍組織におけるエストロゲンレセプターの検出によってのみ、乳房腫瘍がホルモン感受性であるか否かを決定することが可能であろう。乳癌におけるHER-2/neuレセプターの検出により、腫瘍がハーセプチン感受性であるか否かを決定することが可能となる。
限られた数の抗原性マーカー、特にCA15-3が癌性の乳房細胞の症例において同定されている(Basuyau, J. P., M. P. Blanc-Vincent, J. M. Bidart, A. Daver, L. Deneux, N. Eche, G. Gory-Delabaere, M. F. Pichon, and J. M. Riedinger. 2000. [Standards, Options and Recommendations (SOR) for tumor markers in breast cancer. SOR Working Group]. Bull Cancer. 87:723-37)。このマーカーは患者を追跡調査するため、特に再発を検出するために通常用いられるものであるが、感受性が低いためスクリーニング試験又は診断試験においては推奨されていない。
何年もの間、乳癌に関係する抗原についての研究は、マーカーの探索ではなく免疫療法のターゲットの探索のために行われている。このような研究は、T/Tn抗原に対する体液性免疫の証明から(Springer, G. F. 1997. Immunoreactive T and Tn epitopes in cancer diagnosis, prognosis, and immunotherapy. J Mol Med. 75: 594-602)、p53(Gnjatic, S., Z. Cai, M. Viguier, S. Chouaib, J. G. Guillet, and J. Choppin. 1998. Accumulation of the p53 protein allows recognition by human CTL of a wild-type p53 epitope presented by breast carcinomas and melanomas. J Immunol. 160:328-33)及びHER-2/neu(Disis, M. L., and M. A. Cheever. 1997. HER-2/neu protein: a target for antigen-specific immunotherapy of human cancer. Adv Cancer Res. 71: 343-71)に対する抗体及びT細胞の応答に関する近年の発見に及ぶ。
また、最近になって、新たに抗原となりうる一連の物質が、腫瘍細胞のcDNAライブラリーの構築及び自己由来の血清を使用したスクリーニングに基づいたSEREX(血清を用いた発現クローニング)法により、実証されている。このようにして、血清学的乳癌ライブラリーのスクリーニングによって、ING1抗原が明らかにされ(Jager, D., E. Stockert, M. J. Scanlan, A. O. Gure, E. Jager, A. Knuth, L. J. Old, and Y. T. Chen. 1999. Cancer-testis antigens and ING1 tumor suppressor gene product are breast cancer antigens: characterization of tissue-specific ING1 transcripts and a homologue gene. Cancer Res. 59: 6197-204.)、続いて、乳がんの80%に発現し(筆者らによる)、患者のIgG抗体産生を誘導する新規の分化抗原NY-BR-1が明らかにされた(Jager, D., E. Stockert, A. O. Gure, M. J. Scanlan, J. Karbach, E. Jager, A. Knuth, L. J. Old, and Y. T. Chen. 2001. Identification of a tissue-specific putative transcription factor in breast tissue by serological screening of a breast cancer library. Cancer Res. 61: 2055-61)。ワクチン開発に使用できる可能性のあるターゲットの探索のために主に利用されるこの種の方法は、正常組織中に存在する抗原(NY-BR-1の場合)も、限られた数の患者の血清が認識しない抗原(ING1の場合、2/14の割合)も感知すると推測される。したがって、これらはスクリーニング又は初期診断法には利用できない。この方法を使用することによって、患者の体液性免疫反応を誘導する抗原として上記以外にNY-BR-62、NY-BR-85及びD52タンパク質等が注目されている。これらの抗原はそれぞれ、乳癌の60%、90%及び60%で過剰発現していると考えられている(Scanlan, M. J., and D. Jager. 2001. Challenges to the development of antigen-specific breast cancer vaccines. Breast Cancer Res. 3: 95-8.)。
癌、特に乳癌を進行させる分子の現象としては、腫瘍遺伝子(rasなど)やp53などの腫瘍抑制遺伝子の構造及び発現の変化が含まれる。多くの乳癌における腫瘍細胞の増殖は、エストロゲン性ホルモン(エストラジオール及びプロゲステロン)、並びに、増殖、移動及びアポトーシスを制御する増殖因子に依存する。前立腺癌の増殖はアンドロゲン依存性である。特定の甲状腺癌の増殖は甲状腺刺激ホルモン(TSH)-依存性である。これらの増殖因子は、腫瘍細胞の増殖、移動及び分化を刺激又は阻害して、癌の増殖及び転移を促すように作用する。例えば、インシュリン型増殖因子、トランスフォーミング増殖因子α(TGF-α)、線維芽細胞増殖因子(FGF)はいずれも乳癌細胞の増殖を促すが、乳房由来の増殖因子インヒビター(MDGI)及びトランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)はその増殖を阻害する。
国際特許出願公報第2004/040312号では、出願人は腫瘍マーカーとして及び治療標的としてのNGFの使用を記載してる。ゆえに、NGFは乳癌細胞で産生されるのに対して、対応する正常な乳房上皮細胞はNGFを産生しない。さらに、NGFは癌性の乳房上皮細胞の生存や増殖を促すのに対して、正常な乳房上皮細胞に対しては同様の効果を示さない。
NGF遺伝子は、酵素の切断によってNGF(13.6kDa)を生成するProNGF(26kDa)と称されるタンパク質前駆体をコードする(Seidah等, 1996, Biochem J., 314: 951-960)。哺乳動物でのNGFの主な供給源は顎下腺であり、顎下腺はNGFのみと微量のProNGFを含む。長い間、ProNGFには、非常に一過性の存在期間を有する代謝性前駆体としての役割しか見られなかった。
近年、様々な組織において、ProNGFがNGFよりも多くの量で見られることが示された(Bierl等, 2005, Neurosci Lett, 380: 133-137)。Hasan等はProNGFが分泌されうることを示した。これはProNGFが自己分泌、傍分泌又はさらに内分泌の様式で作用する可能性があることを意味する。最後に、ProNGFは、神経細胞の表面に、NGFとは異なる、特異的な作用を有する高親和性結合部位を有することが最近示された。ゆえに、ProNGFは、100KDaの糖タンパク質であるソルチリン(sortilin)(Mazella等, 1998, J Biol Chem, 273: 26273-26276)に結合することができ、インビトロでの神経系細胞のアポトーシスを誘導することができる(Nykjaer等, 2004, Nature, 427: 843-848)。国際特許出願公報第2004/056385号及び同第2005/076695号は、ニューロトロフィン(NGF又はProNGF)間の相互作用は特定の化合物を用いて変更され得、この変更により、泌尿生殖器系の特定の疾患に関係する疼痛や神経系の損傷を受けた患者の治療が可能となる。また、インビボのプロアポトーシス活性はProNGFによるものであった(Pedraza等, 2005, Am J Pathol, 166: 533-543)。NGF及びProNGFの発現や生物学的作用は別でありることは明らかであり、それらは異なるようである。
より一般的には、プロペプチドは長い間単なる代謝性前駆物質であると考えられていた。近年のある実験、特に神経ペプチドの実験により、場合によって、プロペプチドが独自の生物学的活性を有し、生成されうる成熟ペプチドの活性とは別なものであることが示唆されている。これは、ProNGFの場合に明らかであり、ProNGFは細胞によって分泌され、独自のレセプターを有し、そしてニューロン上のNGFとは異なる生物学的作用を有することが示される。したがって、ProNGFはNGFとは異なる特定の分子的及び生物学的実体を構成する。一般に認められているように、NGFの配列はProNGFの配列に含まれているが、これらの等電点及び分子量は、生物学的活性と同様に異なる。
現在、出願人等は、上皮癌細胞、特に上皮性乳癌細胞、甲状腺癌細胞、肺癌細胞及び前立腺癌細胞自体がProNGFを有意な量で産生及び分泌するのに対して、同じ臓器の正常上皮細胞はProNGFを産生しないので、ProNGFが腫瘍マーカー、あるいは治療用標的としても用いられうるという、驚くべきことを示した。また、出願人等は、癌細胞で過剰に発現されるProNGFはこれらの細胞に対して転移促進性の活性を有するのに対して、その一部であるNGFは抗アポトーシス活性や分裂促進活性を有するということを実証した。
ゆえに、本発明の第一主題は、癌、特に乳癌、甲状腺癌、肺癌又は前立腺癌を患うことが疑われる患者から得た生体試料中のProNGFの存在を決定することによる、癌、特に乳癌、甲状腺癌、肺癌又は前立腺癌のインビトロ診断のための方法である。
したがって、本発明の方法は、患者から採取した生体試料又はインビボでの患者の腫瘍中のProNGFの存在を探索することを含む単純な試験によって、癌、特に乳癌、甲状腺癌、肺癌又は前立腺癌の診断が可能となる。出願人等は、癌性細胞がProNGFを産生するのに対して、対応する非癌性細胞はProNGFを産生することができないという予想外のことを示した。これは以降に詳述する。したがって、試料中のProNGFの存在の決定により探索する症状が存在すると結論づけることができ、ProNGFがないことにより症状がないと結論づけることができる。また、腫瘍中のProNGFの存在は、インビボ、腫瘍中のインサイツで示されうる。
インビボで腫瘍中のProNGFの存在を示すために、当業者に公知のいずれかの画像処理法が用いられてもよい。このために、パートナーを結合する特定のProNGFは画像処理トレーサーと結合させてもよい。特定のProNGF結合パートナーはProNGFに結合することができる任意のパートナーである。例として、これは、ProNGFに結合が可能な抗体、抗体分画、レセプター及び他の任意の分子などでもよい。
結合パートナー抗体は、例えばポリクローナル抗体やモノクローナル抗体である。
「画像処理トレーサーへの結合パートナーのカップリング」なる表現は、当業者に公知の任意の画像処理法によって検出されうるトレーサー、及び検出可能なシグナルを直接又は間接的に生成することができるトレーサーの接着を意味することを意図する。ゆえに、トレーサーは、テクネチウム99などの放射性トレーサーであってもよい。この場合、原発性癌が生じた臓器又は転移に侵された臓器はProNGFとそのトレーサーを結合するであろう。臓器から放射される放射線はγカメラなどの特別なカメラによって撮影することができる。この装置は放射性物質が放つシンチレーションを集め、臓器の可視化を可能とする。
本発明の他の方法では、トレーサーは、ポジトロンを発する放射性物質(フッ素18)を含んでなる。そして、画像はポジトロン放出断層撮影システムによって捕えられるであろう。
本発明の他の好適な方法では、ProNGFパートナーをナノ粒子にカップリングさせてもよい。例として、それらは、例えば、直接細胞標識及び核磁気共鳴画像法によるインビボ検出に用いるための陰イオン性磁気性ナノ粒子などの超磁気性ナノ粒子であってもよい。また、それらは金のナノ粒子であってもよい。ProNGF結合パートナーの結合があった体内の領域であるインビボでのProNGFの検出を可能にする本発明の方法によって、ProNGFを産生する癌、特に乳癌、前立腺癌、甲状腺癌及び肺癌、並びにその遠隔の転移の位置及びリンパ節の併発を可視化してもよい。
インビトロでのProNGFの存在の測定は、ProNGFの直接検出によって、ProNGFに感受性のある細胞を培養することによって、又は、当分野で公知の、試料中のタンパク質の存在を決定する他の任意の方法によって実施することができる。
ProNGFの直接検出によるProNGFの存在の測定は、本発明の特定の実施態様を構成する。
「ProNGFの直接検出」なる用語は、生体試料中にProNGFそのものが存在すると示すことを意味することを意図する。
生体試料中のProNGFの直接検出は、当業者に公知の任意の方法によって、例えばイムノアッセイ又は質量分析によって実施でき、本発明の特定の実施態様を構成する。
イムノアッセイは、免疫反応、すなわち、ProNGFと特異的ProNGF結合パートナーとの反応を含む当業者に広く知られる任意のアッセイであってよい。
特異的なProNGF結合パートナーはProNGFに結合することのできる任意のパートナーである。例として、これはProNGFに結合することができる抗体、抗体分画、レセプター、及び任意の他の分子などでもよい。
結合パートナー抗体は、例えばポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体のいずれかである。
ポリクローナル抗体は、ProNGFで動物を免疫した後、その動物の血清を採取して、特に、抗体、特にProNGFによって特異的に認識される抗原に対するカラムによるアフィニティークロマトグラフィーによって該抗体を他の血清成分から分離して、所望の精製した抗体を回収することによって得られうる。モノクローナル抗体はハイブリドーマ法によって入手し得、その一般的な原理は以下に記載する。
まず、動物、一般的にはマウス(又は、インビトロで免疫する場合は培養物中の細胞)をProNGFで免疫化すると、そして該動物のBリンパ球が該抗原に対する抗体を産生できる。次に、このような抗体産生リンパ球を「不死」骨髄腫細胞(実施例におけるマウス細胞)と融合させ、ハイブリドーマを作製する。そして、こうして得られた異種細胞混合物から、特異的な抗体を産生でき、かつ、無限に増殖できる細胞を選択する。各ハイブリドーマをクローンとして増やし、それぞれにモノクローナル抗体を産生させる。ProNGFに対するこの抗体の認識特性は、例えば、ELISAによって、一次元ないしは二次元のイムノブロットによって、免疫蛍光法によって、又は、バイオセンサーの使用によって試験してもよい。その後、こうして選択したモノクローナル抗体を、特に前記のアフィニティークロマトグラフィー法によって精製する。
また、モノクローナル抗体は、遺伝子操作によって、又は当業者に周知の技術によって得られる組み換え抗体であってもよい。
抗ProNGF抗体の例は公知であり、特にChemiconのカタログに提供されている。
特異的ProNGF結合パートナーが検出試薬として用いられる場合、ProNGF/結合パートナーの結合を可視化し、生体試料中のProNGFを直接検出するために、該結合パートナーを標識してもよい。
「結合パートナーの標識」なる用語は、検出可能なシグナルを直接又は間接的に生成することができる標識を付着させることを意味することを意図する。このような標識の例としては、
・ 例えば比色定量、蛍光又は発光によって検出可能なシグナルを生成する、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、α-ガラクトシダーゼ又はグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ等の酵素、
・ 蛍光、発光又は染料の化合物等の発色団、
32P、35S又は125I等の放射性物質、及び、
・ アレクサ(alexa)又はフィコシアニン等の蛍光性物質
などがある。
また、例えば抗リガンドと反応できるリガンド等の間接的な機構も使用できる。リガンド/抗リガンドの対は当業者に周知であり、例えば、ビオチン/ストレプトアビジン、ハプテン/抗体、抗原/抗体、ペプチド/抗体、糖/レクチン、及び、ポリヌクレオチド/このポリヌクレオチドに相補的な配列等の対が挙げられる。この場合、結合パートナーを有するのはリガンドである。抗リガンドは、上記のマーカーによって直接検出できる可能性がある、又は、リガンド/抗リガンドによって検出できる可能性がある。
これらの間接的な検出機構によって、特定の条件下でシグナルが増幅される。このシグナルの増幅方法は当業者に周知であり、本出願人による先のフランス特許出願FR98/10084又はWO−A−95/08000、又は、文献J. Histochem. Cytochem. 45: 481-491, 1997を参照することができる。
使用する標識の種類に応じて、標識を視覚化するために当業者は試薬を添加するであろう。
上記のイムノアッセイの例としては、ELISA、IRMA及びRIA等の「サンドイッチ法」、「競合」法、並びに、免疫組織化学、免疫細胞化学、ウェスタンブロッティング及びドットブロッティング等の直接免疫検出法を挙げることができる。
また、生体試料中のNGFを直接検出する際に質量分析を使用することもできる。
また、質量分析が、生体試料中のProNGFの直接検出のために使われてもよい。分光測定法の原理は当業者に広く知られており、例えば、Patterson, S., 2000, Mass spectrometry and proteomics. Physiological Genomics 2, 59-65に記述される。
前処理した場合又は前処理していない場合のいずれであっても、この方法の実施においては、生体試料を質量分析計で調べて、得られたスペクトルをProNGFのスペクトルと比較する。試料の前処理の例としては、ProNGF結合パートナーの一つ、例えばProNGFに対する抗体を含む免疫捕獲支持体の上を通過させることを含む処理を挙げることができる。試料の前処置の他の実施例は、試料のタンパク質を互いに分離するための、生体試料の前分画化であってもよい。当業者に周知の技術では、試料中の主なタンパク質は、例えば、まず第一に減少させてもよい。
ProNGFを直接検出するために使用する生体試料は、ProNGFをそのままの状態で含むことが多く、また、対象患者の腫瘍ないしは転移部の生検に由来する組織又は体液からなるものであってよい。
体液としては、全血及び血清ないしは血漿などの血液の誘導体、骨髄、乳、脳脊髄液、尿及び滲出液からなるものが挙げられる。血液又はその誘導体が好ましい。
ProNGFの検出のためには、本発明の特定の実施態様を構成する体液は特定の処理を要する可能性がある。体液は、ProNGFをそのままの状態で含む可能性があるし、他には、ProNGFを含む循環腫瘍細胞、及び/又はProNGFを分泌することができる循環腫瘍細胞を含む可能性がある。
ゆえに、本発明のある実施態様によれば、体液を前処理して、上記体液中に含まれている循環腫瘍細胞を分離する。
「循環腫瘍細胞を分離する」という表現は、循環腫瘍細胞を豊富に含む細胞分画を得ることを意味することを意図する。
循環腫瘍細胞を分離するための前記体液の処理は、フローサイトメーター中での細胞の選別によって、又は、フィコール上での濃縮によって、又は、特異的な抗体でコートした磁気ビーズを使用した濃縮によって、又は、上記以外の当業者に公知の特定の濃縮方法によって実施されうる。
体液として血液又は骨髄を使用する場合、循環腫瘍細胞は、磁気ビーズ(Dynal Biotech ASA, Norway)に結合させた抗CD45抗体を使用した血球の減少に関するフィコール上での細胞分離の技術によって分離してもよい。
ProNGFの直接検出は、体液から分離した循環腫瘍細胞に対して、例えばサイトスピンを使用してスライドグラス上に循環腫瘍細胞を配置した後でこの細胞を抗ProNGF抗体で免疫細胞化学的に標識することによって、直接実施してもよい。また、ProNGFの直接検出は、Medsi-MacGrawhillに出版されるMetezeau P, Ronot X, Le Noan-Merdrignac G, Ratinaud MH, La cytometrie en flux pour l'etude de la cellule normale ou pathologique [Flow ctyometry for studying normal or pathological cells] (Tome I)に記載のあるように、フローサイトメトリー法を用いて循環腫瘍細胞において直接実施してもよい。
これらの条件下において、前記循環細胞内部のProNGFを阻害する条件下で前記循環細胞を処理してもよい。このような処理は、例えば、Intracellular Flow Cytometry, Applied reagents and Techniques, pp 1-21, BD Pharmingenに記述される。
そして、ProNGFの検出は、特定のProNGF結合パートナーを侵入させるために、細胞の膜を透過性にした後に実施する。
循環細胞を用いたProNGFの直接検出は、本出願人等のうちの一人が出願した国際特許出願公報第03/076942号に記載の方法によっても実施できる。
また、腫瘍細胞中のProNGFの直接検出は、該細胞を培養してProNGFを分泌させた後の該細胞の培養培地中でも実施できる。
これらの培養条件は、37℃、加湿大気、5%COといった従来の条件である。
本発明の特定の実施態様を構成する、試験する生体試料が患者の腫瘍又は転移部の生検に由来する組織である場合、ProNGFの直接検出は該組織を前処理せずに得た切片に対して直接実施する。
ProNGFの存在を検出する他の方法は、ProNGFに感受性のある細胞を生体試料の存在下で培養することを含む方法であり、これは本発明の特定の実施態様を構成する。
この場合、生体試料中のProNGFの存在の検出は、ProNGFに感受性のある細胞の反応によって示される。
「ProNGFに感受性のある細胞」なる用語は、ProNGFの存在下で(増殖、アポトーシス等が)刺激される任意の細胞を意味することを意図する。
ProNGFに感受性のある細胞の例としては、例えばPC12細胞などの神経系由来の細胞が挙げられる(Pedraza等 Am. J Pathol. 2005, 166, 533-543)。
ProNGFに感受性のある細胞を培養してProNGFの存在を検出するために使用できる生体試料は、上記のようないずれかの試料であってよい。
したがって、生体試料には体液が挙げられ、上述するように、適切に前処理して循環腫瘍細胞を分離し、その後、ProNGFを分泌するような条件下で培養してもよい。
癌性細胞のみがProNGFを産生し、この産生は癌のグレードに応じて生じるので、本発明の方法は、癌、特に乳癌、甲状腺癌、肺癌又は前立腺癌の早期診断及びスクリーニング、治療上の追跡調査、予後予測並びに再発の診断に用いてもよい。
ゆえに、本発明の他の主題は、癌、特に乳癌、甲状腺癌、肺癌又は前立腺癌の早期診断及びスクリーニング、治療上の追跡調査、予後予測並びに再発の診断における本発明の方法の使用からなる。
また、腫瘍マーカーの役割に加えて、ProNGFは、治療的標的としての役割を有しうる。実際、正常細胞がProNGFを産生しないのに対して、癌性細胞、特に乳癌細胞、甲状腺癌細胞、肺癌細胞又は前立腺癌細胞はProNGF産生能を有するために、乳癌細胞、甲状腺癌細胞、肺癌細胞又は前立腺癌細胞の遠隔播種や細胞の浸潤は、ProNGFの活性をブロックすることができるProNGFインヒビターによってブロックすることができる。
さらに、ProNGFが、単独又は他の分子と組み合わさって、治療的ツールを標的とするための治療的標的として使われてもよい。治療的ツールは、この場合、活性化可能なナノ粒子、細胞障害性剤又は癌細胞を破壊することを可能にする他の任意の分子でもあってもよい。
したがって、ProNGFインヒビターは薬剤として使われてもよい。
ゆえにまた、本発明の主題は、癌、特に乳癌、甲状腺癌、肺癌又は前立腺癌の治療における薬剤を調製するためのProNGFインヒビターの使用である。
本発明の特定の実施態様によると、前記薬剤は、癌、特に乳癌、甲状腺癌、肺癌又は前立腺癌を患う患者における細胞移動又は腫瘍細胞の浸潤をブロックするために用いてもよい。
「細胞移動」なる用語は、癌、特に乳癌、甲状腺癌、肺癌又は前立腺癌を患う患者における遠隔播種(転移)を意味することを意図し、「浸潤」なる用語は癌性細胞の局所浸透を意味することを意図する。
また、活性成分として少なくとも一のProNGFインヒビターを、場合によって製薬的に受容可能な賦形剤と組み合わせて含有する製薬的組成物も本発明に包含される。
癌に対して用いられうる製薬的組成物は、活性成分として、細胞移動又は浸潤をブロックすることができる少なくとも一のProNGFインヒビターを含有する。
「ProNGFインヒビター」なる用語は、直接的なProNGFのインヒビター、すなわち、ProNGF結合パートナーなどのタンパク質の生物学的活性をブロックするインヒビター、及びProNGFレセプターのインヒビター又はProNGFシグナル伝達経路の任意のインヒビター、生物学的活性をブロックするか否かとは無関係にProNGFに特異的に結合することができる任意の分子を意味することを意図する。
腫瘍性及び正常な乳房上皮細胞の両方で発現するProNGFレセプターの例にはソルチリン(Sortilin)がある。
活性成分として好適な特定のProNGF結合パートナーはイムノアッセイにおいては特に上記に定義したものであり、細胞移動又は浸潤をブロックすることができる、当業者に公知のいずれかの他のパートナーであってもよい。ある実施態様では、乳癌細胞の移動又は浸潤をブロックすることができる特定のパートナーは抗ProNGF抗体である。
ProNGFの直接的なインヒビターの他の例は、可溶型の、ProNGFレセプターの類似体、例として、可溶型のソルチリン類似体が含まれ、これもまた、本発明の実施態様を構成する。
「腫瘍性及び正常な乳房上皮細胞が発現するProNGFレセプターのインヒビター」なる表現は、例えば、該レセプターによる又はその産生をブロックすることによる、ProNGFの活性をブロックする任意の分子を意味することを意図する。前記レセプターによるProNGF活性のブロックは、例えば、ProNGFに取って代わる前記レセプターに結合することができる薬剤を用いて、前記レセプターへのProNGFの結合を防止することによって実施してもよい。このようなインヒビターの例には、前記レセプターに結合する性質を保持したProNGF由来のペプチド又は該レセプターに対する抗体が含まれる。また、ProNGFの活性は、前記レセプターのmRNA、又は前記レセプターをコードする遺伝子のインヒビターを用いて前記レセプターの産生をブロックすることによって遮断されてもよい。レセプターmRNAのインヒビターとして、このmRNAの合成断片が用いられてもよい。実際、干渉RNA技術(小干渉RNA又はsiRNA)は、阻害される細胞性mRNAの短い配列に対応する二本鎖RNAオリゴヌクレオチドの使用に基づく。二本鎖の形態のオリゴヌクレオチド(おそらくプラスミド内に導入される)は、細胞に侵入すると、ダイサー/RISC酵素システムに処理されて、対応する細胞内のmRNAの分解を引き起こすであろう(Dykxhoorn D等, 2003, Nature Reviews, vol. 4, p457-467)。レセプターをコードする遺伝子のインヒビターとして、該レセプターのアンチセンスオリゴヌクレオチドが挙げられる。このオリゴヌクレオチドは当業者によって迅速に調製することができる(Lefrancois S等 Biol. Proced. online. 2005, 7(1): 17-25)。
本発明のある実施態様では、ProNGFインヒビターはProNGFレセプターのsiRNAである。
「ProNGFシグナル伝達経路インヒビター」なる表現は、細胞移動及び浸潤に対する活性といった、ProNGFの生物学的活性をブロックする任意の分子を意味することを意図する。
様々なインヒビターの治療的作用をターゲットとするために、腫瘍細胞などの対象の細胞に特異的に浸透するような条件下に置いてもよく、これは本発明の他の実施態様を構成する。
この効果のために、例えば、前記浸透を可能にするパートナー、例えば担体分子、遺伝子治療に用いられるポリマーなどのポリマー、又はやはり遺伝子治療に用いられるアデノウイルスやポックスウイルスなどのウイルスベクターに付着させてもよい。
例えば、乳癌の場合、担体分子は、抗MUC1抗体又は抗上皮細胞抗体、あるいは抗HER/2/neu抗体であってもよい。甲状腺癌の場合、担体分子は、抗チログロブリン抗体又は抗上皮細胞抗体であってもよい。前立腺癌では、担体分子は、抗PSA抗体又は抗上皮細胞抗体であってもよい。肺癌の場合、担体分子は、抗上皮細胞抗体であってもよい。
ProNGFシグナル伝達経路インヒビターもまた抗癌剤に付着してもよい。「抗癌剤」なる用語は、癌細胞に毒性を示す化合物を意味することを意図する。例えば、ProNGFパートナーは、活性化されると腫瘍の標的とする破壊を起こしうる治療用ナノ粒子と結合させてもよい。本発明の他の方法では、ProNGFパートナーは、細胞障害性剤、又は発癌プロセスをブロックするための分子に共役させてもよい。
好ましくは、上記薬剤的組成物が活性成分としてProNGFインヒビター、例えば直接的インヒビターないしはProNGFシグナル伝達経路インヒビターを含む場合、対象の腫瘍細胞に特異的に浸透するような条件下に置くと、ProNGF mRNAインヒビター及びNGFをコードする遺伝子のインヒビターは自然と該細胞内に浸透することができる。
賦形剤の量及び性質は、当業者によって容易に測定されうる。それは、剤型及び所望の投与方法に応じて選択される。
本発明の薬剤的組成物は、経口、舌下、皮下、筋肉内、腫瘍内、静脈内、局所的、部分的、気管内、鼻腔内、経皮的、直腸内、眼内又は耳介内の投与に好適であり、前記活性成分は、単位投与の形状で投与可能である。
単位投与の形状とは、例えば、錠剤、ゲルカプセル、顆粒、粉末、注射可能な経口用溶液ないしは懸濁液、経皮パッチ、舌下、頬内、気管内、眼内、鼻腔内又は耳介内に投与する形状、吸入による投与の形態、局所的、経皮的、皮下、筋肉内、腫瘍内ないしは静脈内に投与する形状、直腸内に投与する形状、又は、インプラントである。局所投与については、クリーム、ゲル、軟膏、ローション又は目薬を考えることができる。
これらのガレン形状(galenical form)は、考慮中の分野における通常の方法によって調製される。
前記単位形状は、ガレン形状にして、体重kgにつき0.001〜10mgの活性成分を毎日投与可能なように用量を含む。
適切な投与量がより多い又は少ないという特別な場合があるかもしれない。このような用量であっても本発明の範囲外ではない。通常の業務では、患者ごとの適切な投与量は、投与方法並びに患者の体重及び反応に応じて医師が決定する。
他の実施態様では、本発明は、患者に有効量のProNGF結合パートナー又はProNGFインヒビターを投与することを含む乳癌の治療方法にも関する。
本発明は、非限定的に例示するための以下の実施例、ならびに表1及び2と添付の図1から10によってより明確に理解されるであろう。
実施例1:細胞培養
1.1.材料
用いた細胞は、LilleのOscar Lambret施設で乳房形成術を行った患者から得た、初代培養のATCC(アメリカ培養細胞系統保存機関)とNMEC(正常乳房上皮細胞)から得た株化乳房癌細胞系統(BT-20、MCF-7、MDA-MB-231、T-47D)である。MCF-7、MDA-MB-231及びT-47Dは腺癌を患う患者の胸水に由来する上皮細胞である。一方、BT-20は原発性カルシノーマに由来する。MCF-7及びT-47Dは、エストロゲンレセプターを発現するので「ホルモン感受性」と言えるのに対し、BT-20及びMDA-MB-231は該レセプターを発現しないので「ホルモン非感受性」と言える。
生検は、非悪性の組織の乳房形成術(Professeur Pellerin CHRU, Lille)又は癌性組織捻除術(exeresis)(Docteur Laurent, Croise Laroche, Marcq en Baroeul)を行った患者から得る。
腫瘍及び正常の乳房組織のスポットを含む免疫組織化学スライド(組織アレイ)はBiochain Inc.(カタログ番号T8235731)から得る。様々な臓器(癌性組織及び対応する正常組織)由来の組織を含む他の免疫組織化学スライドは、Superbio Chips (カタログ番号MA(癌性組織)、MAN(対応する正常組織)及びAA(様々な正常臓器))から得る。雌6週齢のSCID(重症複合免疫不全)マウスはIffa Credo (France)から得、少なくとも2週間気候順応させた。これらのマウスは20〜22℃、12時間で昼夜を変え(午前6時から午後6時まで明るくする)、適宜餌を与え、Institutional Animal Careによって設定されたガイドラインに従って飼育した。
用いたProNGFは、SCILタンパク質(Germany)から市販のヒト組み換えNGFである。組み換えEGF、HGF及びNGFはR&D systems (France)から得た。コルチゾール、インシュリン、DMSO(ジメチルスルホキシド)、コレラ毒素、トランスフェリン、C2セラミド類似体(NアセチルDスフィンゴシン)、及びヘキスト33258(ビスベンズイミド)はSigma (France)から得た。EMEM(イーグル最少必須培地)、DMEM/F12(ダルベッコ変更イーグル培地)、トリプシンEDTA(エチレンジアミンテトラアセテート)、HEPES(N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N’-2'-エタンスルホン酸)、Lグルタミン、非必須アミノ酸、ペニシリン/ストレプトマイシン、及びゲンタマイシンはCambrex (France)から市販されている。FCS(胎仔血清)はGibco Invitrogen Corporation (France)から市販されている。使用する様々なプラスチック:1mlのクリオチューブ、15ml及び50mlの遠心用チューブ、100mm直径のペトリ皿、75cm2のディッシュ、175cmのディッシュ及び6ウェルのプレート(直径35mmのウェル)はStarstedt (Germany)から市販されている。transwell(登録商標)はCostar (France)から得る。フィブロネクチンはBecton Dickinson (France)から得る。グリセルゲルはDako (France)から市販されている。galardinはTebu Bio (France)から得る。I型コラーゲンはUpstate (United States of America)から市販されている。
1.2.細胞の解凍と維持
細胞クリオチューブは液体窒素から取り出し、37℃に2分間置いて解凍した。その後、懸濁液に戻し、19mlのMEM(最少必須培地)を含む50mlの遠心チューブに移す。全体を200gで(15分間)遠心し、微量のDMSO(ジメチルスルホキシド)を取り除く。細胞ペレットを戻し、その後10mlの完全培地(以下の組成物)にて取り出し、75cmディッシュに移す。24時間後に培地を交換し、24時間後に細胞を継代した。次いで、細胞をいずれかの実験の前、2週間維持した。
癌株は75cmディッシュ中で維持し、そのディッシュに癌株を付着させ、完全培地中で単層として増殖させる。EMEMは、10%FCS、20mM HEPES、2g/Lの重炭酸ナトリウム、2mM Lグルタミン、1%非必須アミノ酸、40μg/mlのペニシリン/ストレプトマイシンと50μg/mlのゲンタマイシンを添加する。NMECは75cmディッシュ中で維持し、そのディッシュにNMECを付着させ、完全培地中で単層として増殖させる。DMEM/F12は、5%FCS、10μg/mlのインスリン、5μM コルチゾール、2ng/mlのEGF、0.01ng/mlのコレラ毒素、100μg/mlのペニシリンと45μg/mlのゲンタマイシンを添加する。
細胞は、加湿大気中、5%CO、37℃で培養する。維持培地は2日ごとに交換し、細胞をコンフルエンスまで継代した。
実施例2:ProNGFの検出
2.1.方法
乳房細胞の細胞溶解及び生検:タンパク質抽出
細胞を3つの直径100mmのペトリ皿に播き、そして、95%のコンフルエンスにし、細胞を氷冷のPBS:107mM KCl、59mM KHPO、137mM NaCl、56mM NaHPOにて2回すすぎ、そして、50mM トリスHCl、pH7.5、150mM NaCl、1%ノニデットP-40、1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、及びタンパク質分解活性インヒビター:1mM フェニルメチルスルホニドフッ化物、1mM バナジン酸、1mM Na、10μg/mlのロイペプチン及び10μg/mlのアプロチニンを含有する100μl/ディッシュの溶解バッファにて溶解した。ディッシュは12時間凍らし、その後スクレイプし、溶解物をプールし、100℃で5分間加熱し、10000g(4℃で10分間)で遠心分離し、そして上清を回収する。
生検は重さを測り、その10倍量の溶解バッファ(上記)に回転させながら(4℃に1時間)置く。その後、氷上で加圧型細胞破砕装置にて砕き、凍結させ(−80℃に20分間)、氷上で解凍する。最後に、13000g(4℃で10分間)で遠心分離し、脂質ディスクを取り除き、上清を回収する。
上清は、ある範囲のウシ血清アルブミンと比較するビシンコニン酸法によって検定し、その後、50μlの等量に等分して凍結させる。
条件培地と血清の獲得
175cmのディッシュに完全培地の、MCF-7細胞を播く。90%のコンフルエンスで、これらのディッシュを欠乏培地中で2回すすぎ、その後、14mlの欠乏培地にて24時間細胞を枯渇状態にする。その後、細胞によって条件付けした培地を回収し、1000g(4℃で15分間)で遠心分離する。その後上清を直接用いるか、−20℃で凍結させる。10kDaのカットオフ閾値を有する濃縮/脱塩ユニット(Centricon Plus 20, Millipore, France)に、それぞれ14mlのMCF-7条件培地を流し(load)、そして、4000g(4℃で15分間)で遠心分離する。これらの同じユニットに14mlの条件培地をさらに3回流した(これにより欠乏培地が4倍濃縮する)。その後、14mlのmQ品質水(18.2osm)を流すことによって脱塩し、4000g(4℃で15分間)で遠心分離し、これを製造業者の指示に従って2回行う。最後に、濃縮したものを、ユニットの反転(inversion)と1000g(4℃で4分間)の遠心分離にて回収する。250μLが回収される。その後、濃縮した条件培地を50μLの一定量に等分して−20℃で凍結させる。4×14000/250(すなわち224回)の濃縮係数に達する。
MDA-MB-231細胞(3×10)をPBSに再懸濁し、そして8週齢のSCIDマウスの側腹部に皮下投与する。2週間後、2日ごとに腫瘍体積を測定する。7週間後、マウスをエーテルにて麻酔し、循環器内試料採取によって血液を採取し、動物を屠殺する。血液を4℃に終夜置いて凝固させ、遠心後血液を回収して、アッセイし、−20℃で凍結させる。
SDS-PAGE
使用前に一定量(50μl)を解凍し、12.5μLの5×Laemmliバッファ:5%SDS、5%β-メルカプトエタノール、50%グリセロール、50mM トリス、pH6.8、0.3%ブロムフェノールブルーにて利用する。12.5%のポリアクリルアミドゲルのウェルにタンパク質を流す。泳動(30mAで5時間)してニトロセルロースメンブレンにトランスファした(200mAで1時間)後に、トランスファの質をポンソーレッド(Ponceau red)にて染色して評価する。
免疫検出
メンブレンは、0.1%Tween20(17.54gのNaCl、2.42gのトリス、2mlのTween20、2L QSP、pHを7.4に調整)を含有するTBS(トリス緩衝生理食塩水)溶液中の4%ウシ血清アルブミンにて、室温で2時間かけて飽和する。飽和後、メンブレンを1:2000の様々な一次抗体:抗ProNGF(ChemiconのAB9040)、1:2000の様々な一次抗体:抗NGF(SigmaのSC548)、又は1:5000の様々な一次抗体:抗アクチン(SigmaのA-2066)を含む飽和溶液にて4℃で終夜インキュベートする。TBS 0.1%Tween20にてすすいだ後、メンブレンを、西洋ワサビペルオキシダーゼにカップリングさせた抗ウサギ二次抗体(Sigma, FranceのA-1949)を1:20000で含む飽和溶液にて室温で1時間インキュベートする。すすいだ後、使用のための推奨されたデータに従って、ECLシステム(Pierce Interchim, France)にて可視化した。
免疫組織化学
第一工程では、組織アレイスライドを脱パラフィン化する。このために、以下の浴槽中で10分間連続してインキュベートする。メチルシクロヘキサン(2回)、100%エタノール、95%エタノール、70%エタノール、及び水。それから、スライドを、TBS 0.1%Tween20(TBS-T)にて撹拌しながら10分間すすぐ。90℃で40分間加熱してその後室温に30分間置いて冷ますことによって、抗原を10mM クエン酸バッファ、pH6中で反応させる。内在性ペルオキシダーゼを、3%のHを含むTBS-T中で5分間インキュベートすることによって阻害する。その後、加湿容器内でスライドを3%BSAを含むTBS-Tにて37℃で1時間かけて飽和する。そして、スライドを、3%BSAを含むTBS-Tにて1/200に希釈した抗ProNGF一次抗体(ChemiconのAB9040)にて2時間インキュベートする(加湿容器内で37℃でインキュベート)。TBS-Tにて10分間、3回洗浄した後、スライドを、飽和溶液にて1/400に希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼにカップリングさせた抗ウサギ二次抗体(カタログ番号711-035-152 Jackson Immunoresearch)にて、加湿容器内で37℃で2時間インキュベートする。TBS-Tにて10分間、3回スライドを洗浄し、その後さらにPBSにて10分間、3回洗浄する。Sigma Fast基質(カタログ番号D-4168、Sigma-Aldrich)にて5分間可視化する。PBSにて洗浄することによって染色を止める。Harrisヘマトキシリン(カタログ番号MHS16、Sigma-Aldrich)にて30秒間対比染色する。水及びPBSにて洗浄した後、観察のためにスライドを顕微鏡にマウントする。
質量分析(MS)
MCF-7条件培地をC4 LC(液体クロマトグラフィ)ナノカラム(Dionex, France)に注入して、漸増疎水性の勾配によって全タンパク質の分離を可能にする。ゆえに、最も疎水性であるタンパク質は最後に溶出される。分離すると、nanoESI(ElectroSpray Ionization)によって全タンパク質を電離し、そして、その質量(m)とその電荷(z)によってイオントラップ(Thermo ElectronのLCQ Deca XP+TMステーション)にて分析する。本発明者等は、対象の特定のイオンのみをスキャンするSIM(Selected Ion Monitoring)スキャン技術を用いた。組み換えProNGFの特徴である多荷電イオンは、予めnanoLC nanoESI/MSで測定した。SIMを用いて条件培地中でProNGFを検出すると、対応する多荷電質量スペクトルを分解して、このスペクトルを生成したタンパク質の質量を求める。
2.2.結果
上皮細胞を用いた検出
SDS-PAGEのために乳房上皮細胞の全タンパク質抽出物の50μgをゲルに流す。ニトロセルロースメンブレンにトランスファした後、AB9040抗体とA-2066抗体(等しい負荷コントロール)を用いて免疫検出を行う。NMEC:正常乳房上皮細胞、BT-20、MCF-7、MDA-MB-231及びT-47Dは癌性乳房上皮細胞株である。
結果を図1に示す。これは、癌性乳房上皮細胞(MCF-7、T47-D、BT-20及びMDA-MB-231)によってProNGFが産生されるが、正常細胞(NMEC細胞)によってはProNGFが産生されないことを示すウェスタンブロットの写真を示す。アクチンはポジティブコントロールとして用いた。
乳房生検を用いたウェスタンブロッティングによる検出
SDS-PAGEのために生検のタンパク質抽出物の50μgをゲルに流す。ニトロセルロースメンブレンにトランスファした後、AB9040抗体とA-2066抗体(等しい負荷コントロール)を用いて免疫検出を行う。SS-x:正常胸部生検数x、ST-x:腫瘍胸部生検数x。
結果を図2に示す。これは、癌性乳房生検(ST-1〜4)ではProNGFが存在するが正常生検(SS-1〜4)ではProNGFが存在しないことを示すウェスタンブロットの写真を示す。アクチンはポジティブコントロールとして用いた。
乳房生検を用いた検出(免疫組織化学による)
組織アレイスライドを用いて多数の試料をスクリーニングした。スライド上にスポットした乳房生検がある。ここで用いた組織アレイは、1つのコントロール、4つの正常ドナー、及び乳癌を患う25の患者に対応する60スポットの生検を2通り含む。患者の特徴と、抗ProNGF抗体による免疫標識の強度を表1に示す。正常ドナー由来の乳房生検では、弱い標識(4/4の患者では強度+)が存在するのに対して、癌性乳房組織ではよりシグナルが強い(20/25の患者では強度++/+++)。さらに、標識の特性は2種の組織間で異なり、癌性組織では標識が基本的に上皮であるのに対して、正常生検ではそうではない。
表1.乳癌組織アレイに存在する乳房生検の特徴と抗ProNGF抗体による免疫組織化学標識の強度。
Figure 0005792121
免疫組織化学による肺及び甲状腺の生検を用いた検出
他の組織アレイスライドを用いて、乳癌以外の癌の種類におけるProNGFの発現を分析した。本発明者等は、各癌について9人の患者をスクリーニングし、同一患者の腫瘍に近いところから採取した正常組織と腫瘍組織を同時に分析した。こうして、肺癌と甲状腺癌の症例におけるProNGFの過剰発現を示した。患者の特徴と、抗ProNGF抗体を用いた免疫標識の強度を表2に示す。甲状腺癌と同様、肺癌でも、9人の患者のうち7人の患者において正常組織よりも腫瘍組織において標識がより強い。他の患者(各癌について2/9)では、腫瘍組織でも正常組織でもシグナルは同じ強度である。我々の分析技術は単に半定量的なものであって、発現のわずかな差異は表せないことは注記すべき点である。
表2.組織アレイに存在する肺及び甲状腺の生検の特徴と抗ProNGF抗体による免疫組織化学標識の強度。
Figure 0005792121
ProNGFの分泌
ProNGFが分泌されるか否かを決定するために、本発明者等は、MCF-7条件培地を濃縮した。これを行うため、電気泳動とトランスファの後に、224倍濃縮した100μlの条件培地を、SC-548抗体を用いた免疫検出に用いる。組み換えNGF及び組み換えProNGFはコントロールとして分析した。
結果を図3Aに示す。これは、MCF-7癌細胞とNGFの分泌の欠失(濃縮条件培地レーン)によるProNGFの分泌を示すウエスタンブロットの写真を表す。右の2つのレーンはコントロールレーンである。この実験はProNGFの量のために早く止まり、NGFが観察できないので、NGFの分泌が観察されないことを注記する。実験が続いている場合、NGFのバンドも観察される。これにより、ProNGFが腫瘍マーカーであるだけでなく、大量に分泌されることも示唆される。
10kDaのカットオフ閾値を有する、用いた濃縮/脱塩ユニットがNGF(13.6kDa)を保持することができたことを確かめるために、本発明者等は、同じ実験条件下で組み換えProNGFと組み換えNGFの混合物を濃縮した。20ngのProNGFと20ngのNGFを条件培地に加え、その後条件培地と同じ条件にした。
結果(図3B)から、濃縮/脱塩ユニットがNGFとProNGFを保持することができるということが明らかにされる。
血清中の検出
SDS-PAGEのために100μgのマウス血清のタンパク質抽出物をゲルに流す。ニトロセルロースメンブレンにトランスファした後、AB9040抗体による免疫検出を行う。等しい負荷(loading)コントロールでは、ポンソーレッドで染色した後メンブレン上に24kDaの可視バンドが示される。癌性:MDA-MB-231細胞を投与したマウスからの血清 6、正常:PBSを投与したマウスからの血清 2。
結果を図4に示す。これは、癌性細胞を投与したマウスの6つの血清のうち5つにおいて26kDa(ProNGFの大きさ)のProNGFに免疫反応するバンドが現れるのに対して、コントロールマウスの血清においてはこのバンドが検出されないことを示す。
質量分析による検出
本発明者等は上記の手順を実行した。結果を図5に示す。これは、MCF-7細胞にて条件付けした培地中でのProNGF(図5A、5C及び5E)、又は組み換えProNGF(図5B及び5D)の質量分析による検出のグラフを表す。質量の関数として、相対的な量を示す。図5A及びBは、ProNGFの3つの特徴的なイオンのうちの少なくとも1つのSIMに対応するnanoLCからのタンパク分画のものである。図5CはAの29.43分に溶出されるタンパク質の質量スペクトルのものである。図5Dは、赤の3つの特徴イオンによる組み換えProNGFの質量スペクトルのものである。最後に、図5EはAの29.43分に溶出されるタンパク質の質量スペクトルの逆重畳積分を示す。
これらの結果から、MCF-7条件培地において、組み換えProNGF(30.17分、図5B)と同じ時間(29.43分、図5A)に溶出されるProNGFのSIM(Selected Ion Monitoring)に相当するタンパク質が出現することが示される。このタンパク質は、電荷されると、組み換えProNGF(996.2、1037.5、1082.6、図5D)と同じ多電荷イオン(998.2、1039.9、1083.4、図5C)を生成する。さらに、タンパク質の質量の逆重畳積分による計算は、25971Daの値を示す(図5E)。ゆえに、これらの結果から、第一に、本発明者等は実際にMCF-7条件培地においてProNGFを同定したこと、第二に、質量分析によるProNGFの検出が可能であることが示唆される。
実施例3:ProNGF治療的標的
3.1.方法論
ProNGFレセプターであるソルチリンの発現
タンパク質抽出を行うための方法は、ProNGFについて記載したものと同じである(上記の項目2.1を参照)。
ウェスタンブロッティングのために、メンブレンは、0.1%Tween20(17.54gのNaCl、2.42gのトリス、2mlのTween20、2L QS、pHを7.4に調整)、TBS(トリス緩衝生理食塩水)の溶液中の4%ウシ血清アルブミンにて、室温で2時間かけて飽和する。飽和後、メンブレンを1:2000の様々な一次抗体:抗ソルチリン(BD BiosciencesのBD612101)、1:5000の様々な一次抗体:抗アクチン(SigmaのA-2066)を含む飽和溶液にて4℃で終夜インキュベートする。TBS 0.1%Tween20にてすすいだ後、メンブレンを、西洋ワサビペルオキシダーゼにカップリングさせた抗ウサギ二次抗体(Sigma, FranceのA-1949)を1:20000で含む飽和溶液にて室温で1時間インキュベートする。すすいだ後、使用のために推奨されたデータに従って、ECLシステム(Pierce Interchim, France)にて可視化した。
干渉RNA(siRNA)の形質移入
AmaxaのCell Line Nucleofectorキットと相当する電気穿孔装置を用いて干渉RNA(siRNA)形質移入実験を行った。このシステムにより高い効率の核への遺伝子移入(ヌクレオフェクション)が可能となる。
トランスフェクション(形質移入)の前にMDA-MB-231細胞を2日継代し、実験時に80%のコンフルエンスとした。トランスフェクションする細胞はトリプシン処理して、計数する。細胞ペレット(100万細胞個)を100μlのNucleofectorキットV溶液に溶かし、3μgのsiRNAを加える。この細胞懸濁液をエレクトロポレーションキュベットに移し、Amaxa装置に配置し、X-13プログラムに従って電気穿孔する。その後、6ウェルプレートのウェルの培地に細胞を戻し、24〜72時間置く。時間の経過につれて細胞が増殖し、一定の時間間隔で細胞を計数する。前段落の「ソルチリンの発現」に記載のプロトコールに従って、様々な時間に回収した溶解物に対して抗ソルチリンウェスタンブロッティングを行う。
MCF-7細胞をトランスフェクションの前3〜4日間継代し、実験時に50%のコンフルエンスにする。200万細胞個を100μlのNucleofectorキットV溶液に溶かし、3μgのsiRNAを加える。Nucleofectorに用いたトランスフェクションプログラムはE-14である。項目2.1に記載のプロトコールに従って24時間後又は48時間後に回収した溶解物に対して、抗ProNGFウェスタンブロッティングを行う。ブロッティングによって検出されるProNGFの相対量は、QuantityOneソフトウェア(Bio-Rad)によって評価し、等しい負荷(アクチン)と比較し、siGFPコントロール条件を100%とした棒グラフの形で示す。
ProNGF生物活性測定値
「欠乏」培地を用いたが、この「欠乏」は血清を含まず、2μg/mlのフィブロネクチンと30μg/mlのトランスフェリンを添加した完全培地と同じ培地を意味する。様々な生物学的活性の測定のために、様々な試験分子(ProNGF、NGF及びgalardin)をこの欠乏培地に加える。処理の間、培地を24時間ごとに新しくする。
移動及び浸潤
移動及び浸潤試験は、既にBracke等 (1999, J Natl Cancer Inst, 91: 354-359)に記載のあるように実施される。以下、ボイデンチャンバを使用するため、そしてコラーゲンゲルの浸潤のためのプロトコールについて記載する。
ボイデンチャンバ(transwell(登録商標))
12μmの孔直径を有するtranswell(登録商標)を含有する12ウェルプレートを欠乏培地にて平衡化し、5%CO下、37℃に2時間置く。その後培地を取り出し、下部チャンバは様々な試験分子を加えた欠乏培地と交換し、上部チャンバは欠乏培地単独に40000細胞個を播く。24時間後、transwell(登録商標)をPBSにてすすぎ、上面をこすり、その後ヘキスト標識を行って(生存試験について記載したように)、メンブランと反応した細胞を可視化する。transwell(登録商標)は、55℃に加熱したグリセルゲルを滴下することによってスライドとカバーガラスの間にマウントし、その後計数するまでスライドを4℃の暗所に保存する。各条件は2通り実行する。各条件について40視野以上を計数する。データは、40視野についての計数の標準偏差によって加重した、平均を表す。50ng/mlのHGFコントロールを100%の移動としたときの移動率として示す。
コラーゲンゲル浸潤試験
I型コラーゲンゲルは以下のようにして調製する。2.1mlのI型コラーゲン、0.8mlのEMEM(10倍)、4.6mlのPBS、0.8mlの0.25M NaHCO及び0.15mlの1M NaOH。6ウェルプレートのウェルに1.25mlを入れる。ゲルが凝固したら、100000細胞を欠乏培地と様々な試験分子とともに播いて24時間置いた。その後細胞を計数し、浸潤指標を決定する(表面の細胞数に比較した深部細胞の数)。各条件を3通り行い、各条件45視野以上を計数する。
3.2.結果
ProNGFレセプターであるソルチリンの発現
SDS-PAGEのために乳房上皮細胞の全タンパク質抽出物の50μgをゲルに流す。ニトロセルロースメンブレンにトランスファした後、BD612101抗体とA-2066抗体(等しい負荷コントロール)を用いて免疫検出を行う。NMEC:正常乳房上皮細胞、BT-20、MCF-7、MDA-MB-231及びT-47Dは癌性乳房上皮細胞株である。
結果を図6に示す。これは、癌性乳房上皮細胞(MCF-7、T47-D、BT-20及びMDA-MB-231)及び正常細胞(NMEC細胞)にはソルチリンが存在することを示すウェスタンブロットの写真を示す。アクチンはポジティブコントロールとして用いた。したがって、ソルチリンはこれらすべての細胞に見られる。一方、このバンドは正常細胞よりも癌細胞においてより強いのに対して、負荷コントロールであるアクチンは変化がないようである。したがって、乳癌細胞よりも正常乳房上皮細胞においてソルチリンが少ないと考えられる。
干渉RNAによるソルチリン発現の低減(ソルチリンのノックダウン)
EMEM培養培地で維持したMDA-MB-231細胞に、培地単独(Mock)、又はGFPタンパク質に対する干渉RNA(siGFP)、又はソルチリンに対する干渉RNA(siSORT)を形質移入した。
その結果を図7に示す。これは、選択した培養条件下において、siSORTの存在下で時間の経過につれて培養物中のMDA-MB-231細胞の数が増加しないことを示す。Mock又はsiGFPコントロール群では、細胞の数は培養の24時間と48時間の間で2倍になる。したがって、MDA-MB-231癌性乳房細胞株の増殖は、ソルチリンに対する干渉RNAの形質移入によって遅くなる。発明者等は、ウェスタンブロッティングによって、siSORT形質移入によって実際にソルチリンタンパク質の発現レベルが低減したことを確かめた。ゆえに、この実験によって、発明者等は、干渉RNAを用いて、ProNGFレセプターであるソルチリンをターゲットとすることによって乳癌細胞の異常な増殖を制御することが可能であることを示した。
移動
乳房上皮細胞の移動に対するProNGFの効果は、ボイデンチャンバ(transwell(登録商標))の試験によって確認した。各条件を2通り行い、40視野以上を計数した。MCF-7細胞をtranswell(登録商標)の上面の欠乏培地に播き、下面は、欠乏培地単独、又は200ng/mlのProNGFを添加した欠乏培地、又は200ng/mlのProNGFと20μMのgalardinを添加した欠乏培地、又は20μMのgalardinを添加した欠乏培地、又は200ng/mlのNGFを添加した欠乏培地に浸した。そして、transwell(登録商標)に反応した細胞を計数した。*p<0.05、欠乏培地単独条件と比較。
結果を図8に示す。これは、様々な培地に浸したMCF-7細胞を用いた細胞移動の割合をグラフで表す。これらの結果から、ProNGFによるMCF-7癌細胞の処置により、等量のNGFにと同じ様式でその移動能を増加させることができることが示唆される。ProNGFからのNGFの合成を阻害することができるgalardinの培養培地への添加により、ProNGFによって移動活性が促進されるが生成することができるNGFによっては促進されないことが示唆される。
浸潤
ProNGFで刺激したMCF-7細胞の浸潤能を、I型コラーゲンゲルにおいて試験した。各条件を3通り行い、各条件45視野以上を計数した。MCF-7細胞を、欠乏培地単独、又は200ng/mlのProNGFを添加した欠乏培地、又は200ng/mlのProNGFと20μMのgalardinを添加した欠乏培地、又は20μMのgalardinを添加した欠乏培地、又は200ng/mlのNGFを添加した欠乏培地のI型コラーゲンゲルに播く。*p<0.05、欠乏培地単独条件と比較。
結果を図9に示す。これは、様々な培地に浸したMCF-7細胞を用いた浸潤指標を示すグラフを表す。これらの試験は、ProNGFがMCF-7浸潤を促すことを示す。
干渉RNAによるProNGF発現の低減
MCF-7細胞に、3μgのGFPに対する干渉RNA(siRNA)(siGFP)又はProNGFに対する干渉RNA(siProNGF)を形質移入した。24〜48時間の培養の後、細胞を溶解し、ProNGFウェスタンブロッティングを行った。ブロッティングによって検出されるProNGFの相対量は、QuantityOneソフトウェア(Bio-Rad)によって評価し、等しい負荷であるアクチンと比較し、siGFPコントロール条件を100%とした棒グラフの形で示す(図10)。ブロットの写真では、本発明者等は、siProNGFの形質移入によりMCF-7細胞においてProNGFタンパク質の発現が減少することが既に観察できた。濃度測定分析により、形質移入の24時間後に59%の減少であると確認できた。
この実験によって、本発明者等は干渉RNA計画を用いることによって乳癌細胞におけるProNGFの発現レベルを減少させることが可能であったことを示すことができた。
癌性乳房上皮細胞(MCF-7、T47-D、BT-20及びMDA-MB-231)によってProNGFが産生されるが、正常細胞(NMEC細胞)によってはProNGFが産生されないことを示すウェスタンブロットの写真を示す。アクチンはポジティブコントロールとして用いた。 癌性乳房生検(ST-1〜4)ではProNGFが存在するが正常生検(SS-1〜4)ではProNGFが存在しないことを示すウェスタンブロットの写真を示す。アクチンは基準コントロールとして用いた。 ウエスタンブロットの写真を表す。A:MCF-7癌細胞(濃縮条件培地レーン)によるProNGFの分泌を示す。右の2つのレーンはコントロールレーンである。B:Aの実施例で用いた濃縮/脱塩ユニットがNGFを保持することができたことを示す。 癌性細胞を投与したマウスの血清中にProNGFが存在するが正常なマウスの血清中にはProNGFが存在しないことを示すウェスタンブロットの写真を示す。 MCF-7細胞にて条件付けした培地中でのProNGF(図5A、5C及び5E)、又は組み換えProNGF(図5B及び5D)の質量分析による検出のグラフを表す。質量の関数として、相対的な量を示す。 癌性乳房上皮細胞(MCF-7、T47-D、BT-20及びMDA-MB-231)及び正常細胞(NMEC細胞)にはソルチリンが存在することを示すウェスタンブロットの写真を示す。アクチンはポジティブコントロールとして用いた。 培地単独(Mock)、又はネガティブコントロールである干渉RNA(部分的に相補的な配列である配列番号1及び配列番号2から構成される二本鎖RNA分子であるsiGFP、ヌクレオチドNはチミン(T)を表す)、又はソルチリンの発現を低減する干渉RNA(部分的に相補的な配列である配列番号3及び配列番号4から構成される二本鎖RNA分子であるsiSORT、塩基Nはチミン(T)を表す)を形質移入したMDA細胞を、EMEM培養培地中で24、48及び96時間培養した後の細胞数を示すグラフである。配列siGFP:配列番号1 5'-GCUGACCCUGAAGUUCAUCNN-3'。配列番号2 5'-GAUGAACUUCAGGGUCAGCNN-3'。配列siSORT:配列番号3 5'-GGUGGUGUUAACAGCAGAGNN-3'。配列番号4 5'-CUCUGCUGUUAACACCACCNN-3' 欠乏培地単独、又は200ng/mlのProNGFを添加した欠乏培地、又は200ng/mlのProNGFと20μMのgalardinを添加した欠乏培地、又は20μMのgalardinを添加した欠乏培地、又は200ng/mlのNGFを添加した欠乏培地中に置いたMCF-7細胞を用いた細胞移動の割合を示すグラフである。 欠乏培地単独、又は200ng/mlのProNGFを添加した欠乏培地、又は200ng/mlのProNGFと20μMのgalardinを添加した欠乏培地、又は20μMのgalardinを添加した欠乏培地、又は200ng/mlのNGFを添加した欠乏培地中に置いたMCF-7細胞を用いた浸潤指標を示すグラフである。 ProNGF干渉RNA(siProNGF)を形質転換した後に24又は48時間培養した後の、MCF-7細胞におけるProNGFの発現の減少を示すウエスタンブロット写真のプロットを示す。アクチンは等しい負荷を有効と認めるためのポジティブコントロールとして用いた。MCF-7細胞はGFPに対する干渉RNA(siRNA)(部分的に相補的な配列である配列番号1及び配列番号2から構成されるsiGFP)、又はProNGFに対する干渉RNA(部分的に相補的な配列である配列番号5及び配列番号6から構成される二本鎖RNA分子であるsiProNGF、塩基Nはチミン(T)を表す)を形質移入した。ブロッティングによって検出されるProNGFの相対量は、等負荷物質と比較して、QuantityOneソフトウェア(Bio-Rad)によって評価し、siGFPコントロール条件を100%とした棒グラフの形で表した。配列siGFP:配列番号1 5'-GCUGACCCUGAAGUUCAUCNN-3'。配列番号2 5'-GAUGAACUUCAGGGUCAGCNN-3'。配列siProNGF:配列番号5 5'-CAGUGUAUUCAAACAGUAUNN-3'。配列番号6 5'-GUACUGUUUGAAUACACUGNN-3'。

Claims (4)

  1. 治療的有効量の可溶型のProNGFレセプター又はProNGFレセプターのsiRNAを含む、乳癌、甲状腺癌又は肺癌を治療するための医薬。
  2. 量が、癌を患う患者における細胞移動又は浸潤をブロックするのに有効な、請求項1に記載の医薬。
  3. 治療的有効量の可溶型のProNGFレセプター又はProNGFレセプターのsiRNAを含む、乳癌、甲状腺癌又は肺癌性細胞の移動をブロックするための医薬。
  4. 活性成分として可溶型のProNGFレセプター又はProNGFレセプターのsiRNAと、製薬的に受容可能な賦形剤とを組み合わせて含有する、ProNGFを発現する癌を治療するための製薬的組成物。
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