JP5789689B1 - 糸 - Google Patents

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Abstract

【課題】リフトアップの効果を得られ、挿入時の傷も小さくて済み、且つ体内に留置した場合であっても患者にとって異物感の少ない糸を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の糸は、患者内に挿入可能な細長い柔軟体と、柔軟体の挿入端側に形成され、複数の糸状部材を含む留置部とを有する。糸状部材は、柔軟体の挿入端側の端部に対し、その一部分が固定されており、柔軟体に固定されない部分は端部に対して後方に延びている。【選択図】図5

Description

本発明は、美容整形で使用される糸に関する。
美容整形の分野において、しわやたるみのある部分(当該部分の皮下脂肪層)に生体適合性のある糸を通して皮膚を引き上げるフェザーリフト(切らないフェイスリフト)と呼ばれる手技がある。フェザーリフトは、皮膚を切開する従来のフェイスリフトに比べて患者負担が少ない。なお、以下において、皮膚の引き上げを「リフトアップ」という場合がある。
フェザーリフトに用いられる糸は、たとえば、糸の表面に複数の突起を設けたものがある(先行文献1参照)。この糸を皮下脂肪層に留置した場合、複数の突起が皮下脂肪層に引っ掛かることにより皮膚を引き上げ、しわやたるみを解消する。
また、リフトアップの効果をより高めるための手法として、先行文献2のような糸を用いる手技も行われている。先行文献2における糸は、複数の組織係合要素(コーン)が設けられている。この糸を皮下脂肪層に留置した場合、複数の組織係合要素が皮下脂肪層に引っ掛かることで皮膚を引き上げ、より確実にしわやたるみを解消できる。
特表2005−532848号公報 特表2010−500102号公報
しかし、先行文献1のように糸の表面に突起を設けただけでは皮下脂肪層に対する引っ掛かりが弱く、十分なリフトアップの効果は得られないという問題がある。また、引っ掛かりが弱いため、患者の日常生活中(たとえば、大きな口をあける)に糸がずれてしまう可能性もある。
一方、先行文献2で示された組織係合要素(コーン)のように立体的な大型の部材を用いる場合、挿入時の傷(糸を挿入するために患者の皮膚に開ける穴)が大きくなるという問題がある。更には、そのような部材を留置した場合、患者が異物感を覚えることが多いという問題もある。
本発明は、これらの課題を解決するためになされたものであり、リフトアップの効果を得られ、挿入時の傷も小さくて済み、且つ体内に留置した場合であっても患者にとって異物感の少ない糸を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に係る糸は、患者内に挿入可能な細長い柔軟体と、柔軟体の先端部分に形成され、複数の糸状部材を含む留置部とを有する。複数の糸状部材それぞれは、柔軟体の先端部分に対し、その先端を含む一部分が柔軟体の長手方向に沿って当該柔軟体に圧着されており、圧着されていない部分は、先端部分に対して後方に延びており、且つ互いに連結されていない。
また、上記課題を解決するために、請求項に係る糸は、請求項1記載の糸であって、柔軟体は、その表面に複数の突起が形成されている。
また、上記課題を解決するために、請求項に係る糸は、請求項記載の糸であって、柔軟体に圧着されていない部分は、複数の突起よりも高くなっている。
本発明によれば、柔軟体に留置部(柔軟体に固定されていない部分)を設けたため、皮下脂肪層に対して引っ掛かりが強く、リフトアップの効果を得ることができる。また、留置部を糸状部材で形成しているため、コーンを用いる場合のように引っ掛かる部分が大型化せず、挿入時の傷も小さくて済み、且つ留置した場合に患者が異物感を感じることも少ない。
カニューレの構成を示す図である。 カニューレの構成を示す図である。 カニューレの構成を示す図である。 カニューレの構成を示す図である。 糸の構成を説明する図である。 糸の構成を説明する図である。 カニューレ及び糸を用いた手技を説明する図である。 カニューレ及び糸を用いた手技を説明する図である。 カニューレ及び糸を用いた手技を説明する図である。 カニューレ及び糸を用いた手技を説明する図である。 カニューレ及び糸を用いた手技を説明する図である。 糸の別構成を説明する図である。 糸の別構成を説明する図である。
<カニューレの構成>
図1〜図4を参照して、カニューレ1の構成について述べる。図1は、カニューレ1の全体構成を示す図である。図2は、穿刺部2(後述)の構成を示す図である。図3は、外筒部3(後述)の構成を示す図である。図4は、図1におけるA−A断面である。
カニューレ1は、本発明に係る糸4(後述)を患者の体内に挿入・留置する際に使用される医療器具である。図1に示すように、カニューレ1は、穿刺部2と外筒部3とを有する。穿刺部2は、外筒部3に対して挿入・抜去が可能である。カニューレ1は、適用部位により様々な長さのものを使用することができる。
図2に示すように、穿刺部2は、針部2Aと把持部2Bとを有する。穿刺部2は、たとえば、金属等の硬質の材料で形成されている。
針部2Aは、把持部2Bと一体的に形成されている細長の部材である。針部2Aは、穿刺部2が外筒部3に挿入された状態において、先端側の一部が外筒部3の先端側から突出する長さを有する(図1参照)。また、針部2Aの先端は鋭利に形成されている。よって、針部2Aは、患者の皮膚(及び皮下脂肪層)に糸4(後述)を挿入するための穴を空けることができる。
把持部2Bは、穿刺部2を把持するための部分である。術者は、把持部2Bを把持して穿刺部2を操作することにより、外筒部3に対して穿刺部2を挿入・抜去したり、外筒部3内で穿刺部2を回転させることができる。
図3に示すように、外筒部3は、筒部3Aと把持部3Bとを有する。外筒部3は、たとえば、穿刺部2と同様の材料で形成されている。
筒部3Aは、円筒形状の部材である。筒部3Aの径(貫通孔)は、少なくとも針部2B及び糸4(後述)を挿入・抜去できる大きさとなっている。なお、針部2B及び糸4(後述)を挿入・抜去できる大きさの貫通孔を有する構成であれば、筒部3Aの形状は円筒に限られない。
把持部3Bは、外筒部3を把持するための部分である。把持部3Bは、筒部3Aと同様、少なくとも針部2B及び糸4(後述)を挿入・抜去できる大きさの貫通孔が設けられている。この貫通孔は、筒部3Aの貫通孔と繋がっている。たとえば、穿刺部2を外筒部3に挿入・抜去する場合、術者は、把持部3Bを抑えたまま、穿刺部2を操作する。なお、手技の際には、穿刺部2及び外筒部3のいずれか一方の操作に加え、穿刺部2を外筒部3に挿入した状態(図1参照)のまま、把持部2B及び把持部3Bを持ってカニューレ1を患者の皮下に挿入する場合もある(後述の図7A参照)。
また、図4に示すように、把持部3Bは、対向する位置に凹部が設けられている。凹部は、人の指の形状に合わせて湾曲している。従って、把持部3Bは、指にフィットするため、術者にとって把持しやすい。
<糸の構成>
次に、図5及び図6を参照して、本発明に係る糸4の構成について述べる。図5は、糸4の外観図である。図6は、柔軟体5(後述)に対して糸状部材7(後述)を圧着する例を示す図である。図5及び図6では糸4の後端側の一部の記載を省略している。
糸4は、カニューレ1を介して患者の体内に挿入・留置される医療器具である。糸4は、柔軟体5及び留置部6を有する。
柔軟体5は、患者内(患者の皮下脂肪層内)に挿入可能な細長の柔軟性を有する部材である。柔軟体5は少なくともその一部が患者内に留置される。柔軟体5は、患者の体内に留置されることから、生体適合性のある材料により形成される。また、柔軟体5は伸縮性に優れた材料で形成されていることが望ましい。更に、柔軟体5は、生分解性ポリマーのような生体内で分解・吸収される材料により形成されていることが望ましい。この場合、糸4を体内から取り出す作業が不要となるため、患者負担が少ない。
柔軟体5の表面には、複数の突起5aが形成されている。突起5aは、柔軟体5の長手方向において所定の高さだけ突出している。患者内に糸4を留置する場合、突起5aは、皮下脂肪層に引っ掛かり、皮膚を引き上げる。また、留置した状態を保つことで、柔軟体5の周囲にコラーゲン組織が生成され、皮膚の引き上げ効果が長期に渡って継続できる。突起5aの数、位置、形状、傾き角度、突出の方向等は任意に設計することが可能である。なお、本発明に係る糸4において、突起5aは必須の構成ではない。
留置部6は、柔軟体5の挿入端側に形成され、複数の糸状部材7を含む。留置部6は、柔軟体5と共に、患者内に留置される部分である。留置部6(留置部6の径)は、柔軟体5(柔軟体5の径)よりも大型に形成されている。
糸状部材7は、柔軟体5と同様、細径の柔軟性のある部材である。糸状部材7は、少なくとも生体適合性のある材料であればよく、柔軟体5と同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。
糸状部材7は、柔軟体5の挿入端側の端部Eに対し、その一部分が固定されており、柔軟体5に固定されない部分は端部Eに対して後方(端部Eから柔軟体5の後端側に向かう方向)に延びている。なお、「端部」とは端部Eの近傍を含む概念である。
留置部6の具体例について、図6を参照して述べる。ここでは、一本の柔軟体5に対して三本の糸状部材7a〜7cが圧着されている例について述べる。複数の糸状部材7a〜7cは、その先端Tを含む一部分が柔軟体5の長手方向に沿って柔軟体5に圧着されている(圧着部分P(柔軟体5に固定されている部分))。圧着されていない部分Fは、柔軟体5の挿入端側の端部Eに対し、後方に広がって延びている。また、圧着されていない部分Fは、複数の突起5aよりも高くなるよう形成されている(突起5aよりも外側(柔軟体5から離れる側)に広がっている)。この例において、圧着部分P及び圧着されていない部分Fはいずれも約3mm程度である。圧着されていない部分Fは、「柔軟体5に固定されていない部分」の一例である。また、本発明において、「圧着」は「固定」の概念に含まれる。
図6に示すように、中心の柔軟体5に対して周囲に設けた複数の糸状部材7a〜7cを圧着することで、糸4の先端部分を丈夫に形成できる。よって、糸4は、患者内への挿入や留置が容易になる。
また、留置部6を柔軟体5の先端に設けることにより、引っ掛かりを強くできる。特に、圧着されていない部分F(後方に延びている部分)は引っ掛かりが強くなる。また、圧着されていない部分Fは、柔軟体5の突起5aより高くなっているため、突起5aよりも引っ掛かりが強くなる。よって、リフトアップの効果を得ることができる。
更に、先端を糸状部材7で形成していることから、先端の小型化・糸4の細径化が可能となる。よって、挿入時の傷も小さくて済み、留置した場合にも患者が異物感を覚えることも少ない。
<手技>
次に、図7A〜図7Eを参照して、カニューレ1を用いて糸4を患者内に留置する手技について説明する。図7A〜図7Eは患者の顔面及びカニューレ1等を模式的に示したものであり、患者の顔面に対するカニューレ1等の実際の大きさは必ずしもこのサイズではない。図7A〜図7Eにおいて、カニューレ1等のうち、患者の皮下にある部分は破線で示す。また、理解し易くするため、図7A〜図7Eでは突起5aの記載を省略している。
まず、術者は、患者の皮下脂肪層にカニューレ1を挿入する(図7A)。カニューレ1を挿入する位置や方向は予め施されたマーキングに基づいて決定される。
糸4の先端(留置部6)を留置する位置までカニューレ1を押し込んだ後、術者は、穿刺部2のみを引き抜く(図7B)。この場合、外筒部3のみ(筒部3Aのみ)が皮下に残ることになる。
次に、術者は、外筒部3内に糸4を挿入し、穿刺部2を用いて、糸4の先端(留置部6)を留置する位置まで押し込む(図7C)。これにより、留置部6が皮下脂肪層に留置される。糸4は、その先端に引っ掛かりが強い部分(留置部6)が設けられているため、目的の位置に留置できる。
次に、術者は、カニューレ1を抜く(図7D)。このとき、糸4の先端(留置部6)は皮下脂肪層に留置されているため、糸4のみが皮下に残る(柔軟体5の表面に突起5aがある場合には、突起5aも周りの皮下脂肪層に引っ掛かるため、より確実に糸4のみが皮下に残る)。
最後に、術者は、皮膚から出ている糸4をカットする(図7E)。留置された糸4は、留置部6(及び柔軟体5の突起5a)が皮下脂肪層に引っ掛かり、皮膚を引き上げる。
このように、本発明に係る糸4を用いた新たな手技では、患者の所望の部位に糸4を留置させることができるため、しわやたるみを解消できる。また、この手技では、一つの糸4を皮下に挿入するために一つの穴を設けるだけでよい(先行文献1、2等は複数の穴を設ける必要がある)。また、細径化した糸4を使用するため、カニューレ1の径も細くできる。すなわち、傷を少なく、且つ小さくできることから患者の肉体的な負担が少ない。また、留置部6自体は小さいため、糸4を患者内に留置した場合の異物感も少ない。なお、生分解性の材料で形成された糸4を用いた場合、約1年程度で糸4は体内から消滅するが、それまでに糸4周辺に集積したコラーゲン組織によって、皮膚のリフトアップが継続される。
なお、上記では、患者の頬に糸4を一本入れる例を説明したが、糸4を挿入する部分は頬に限られない。また、糸4を数本入れても構わない。
<糸の構成の変形例>
糸4における留置部6の形状は、上記に限られない。たとえば、図8に示すように、留置部6は、複数の糸状部材7d〜7g及び円形状のリング部材8により構成されていてもよい。リング部材8は、生体適合性を有し、且つ糸状部材7を傘状に保持できるような材料で形成されていることが望ましい。
具体的には、複数の糸状部材7d〜7gは、その先端が柔軟体5の端部Eと固定されている。そして、固定されていない部分をリング部材8で連結する。この場合、複数の糸状部材7d〜7gは、傘状に形成される。このように柔軟体5の先端を立体的に構成することにより、皮下脂肪層に対してリング部材8を含む固定されていない部分がより引っ掛かりやすくなるため、リフトアップの効果が高い。また、立体部分を細径の柔軟な糸状部材7で形成しているため、コーンのような部材を留置する場合に比べ、患者の異物感も少ない。
なお、図8のような傘形状にするためには、糸状部材7を4つ用いる必要はない。たとえば、2本の糸状部材7をアーチ形状に湾曲させ、それぞれの頂部(それぞれの頂部を重ねた部分)と柔軟体5の端部Eとを固定する。そして、固定されていない部分(アーチ形状の脚部分)を円形状のリング部材8で連結することにより傘状に形成することも可能である。この場合、使用する糸状部材7の数を少なくすることができる。
また、上記例では糸4において柔軟体5が1本の例について述べたがこれに限られない。一つの留置部6に対して複数の柔軟体5が設けられていてもよい。或いは、たとえば、図9に示すように細長の柔軟体5をリング状に形成し、その両端部に対応する部分に留置部6を設ける構成であってもよい。この場合、両端部分が「挿入端側の端部」に該当する。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。たとえば、留置部6は、一つに限らず複数設けられていてもよい。これら実施形態は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。それらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
4 糸
5 柔軟体
6 留置部

Claims (3)

  1. 患者内に挿入可能な細長い柔軟体と、
    前記柔軟体の先端部分に形成され、複数の糸状部材を含む留置部と、
    を有し、
    前記複数の糸状部材それぞれは、前記柔軟体の先端部分に対し、その先端を含む一部分が前記柔軟体の長手方向に沿って当該柔軟体に圧着されており、
    圧着されていない部分は、前記先端部分に対して後方に延びており、且つ互いに連結されていないことを特徴とする請求項1記載の糸。
  2. 前記柔軟体は、その表面に複数の突起が形成されていることを特徴とする請求項記載の糸。
  3. 前記柔軟体に圧着されていない部分は、前記複数の突起よりも高くなっていることを特徴とする請求項記載の糸。
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