JP5787517B2 - ポリメラーゼ連鎖反応を使用して出発試薬の量を決定するためのシステムおよび方法 - Google Patents

ポリメラーゼ連鎖反応を使用して出発試薬の量を決定するためのシステムおよび方法 Download PDF

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Description

ミカエリスーメンテン速度式によって律則される個別ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅曲線から試料中の標的核酸の初期量N0に関する定量的情報を抽出するためのシステムおよび方法が開示される。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、限定された核酸配列の酵素的合成または増幅を行うためのインビトロ方法である。この反応は、典型的には、DNA分子の逆鎖にハイブリダイズし、増幅されるテンプレートまたは標的DNA配列の両端に隣接する2つのオリゴヌクレオチドプライマーを使用する。プライマーの伸長は、熱安定DNAポリメラーゼによって触媒される。テンプレート変性、プライマーアニーリング、およびポリメラーゼによるアニーリングされたプライマーの伸長を伴う反復する一連のサイクルの結果、特定DNAフラグメントの指数関数的累積が生じる。蛍光プローブまたはマーカーは、典型的には、リアルタイムPCR、または速度論的PCRで使用され、これにより、増幅プロセスの検出および定量化が容易になる。
図1を参照すると、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)におけるサイクルのステップが説明されている。PCRサイクルには3つのステップがある。サイクルのステップ1で、温度は約95度に上げられ、次いで、増幅されるべき標的DNAがその時点で変性して2つの鎖に分離する。サイクルのステップ2で、温度は約50度に下げられ、その時点で、プライマーは一本鎖にアニーリングされる。これらのプライマーは、2本の変性DNA鎖のそれぞれに特異的に結合する短いオリゴマーである。サイクルのステップ3で、温度は72度に上げられ、ポリメラーゼ酵素が、分離された鎖を伸長させ、その結果、それぞれのサイクルの後に二本鎖DNA毎に二本鎖DNAの2つのコピーが生成される。これらのステップは、標的核酸を増幅するために各サイクルにおいて繰り返される。例えば、PCRサイクルの前述のステップは、40回又はそれ以上繰り返すことができる。
図2を参照すると、リアルタイムPCR中には、サイクリング中に蛍光シグナルが測定される。この蛍光シグナルは、生成された二本鎖DNAの個数の尺度となる。曲線202は、絶対目盛での各サイクル後の蛍光シグナルの測定結果であり、曲線204は、対数目盛での各サイクル後の蛍光シグナルの測定結果である。曲線202から、リアルタイムPCR中には3つの異なる期があることがわかる。第1の期は、指数期である。図2に例示されている特定の場合において、指数期は、おおよそ、サイクル1〜26からなる。第2の期は、直線期である。直線期では、蛍光シグナルはPCRサイクルの関数として直線的に増大し、次いで、シグナルは横ばい状態になり始める。図2に例示されている特定の場合において、直線期は、PCRサイクル27〜31からなる。蛍光シグナルが横ばい状態になり始めるサイクルは、定常期と称される。図2に例示されている特定の場合において、定常期は、PCRサイクル32〜40からなる。
指数期の一部は、蛍光シグナルが背景より小さいため見えない。これは、図2からわかり、蛍光シグナルはPCRサイクル1から20の背景ノイズより小さい。したがって、第1のPCRサイクルでは、検出可能な蛍光シグナルが読み取られない。蛍光シグナルは、測定するのに十分に強くなるまで観察されない。図1に例示されている特定の場合において、蛍光シグナルは、21番目のPCRサイクルの後に測定するのに十分に強いものである。多くの場合、蛍光シグナルは、第1の複数のPCRサイクルについては検出できないが、それは、典型的には、増幅されるオリジナルの標的二本鎖核酸の20から100コピー程度と少ないからである。したがって、蛍光シグナルの強度が反応混合物中にある二本鎖核酸のコピーの数に比例するため、リアルタイムPCRの初期段階において測定すべきものは本質的に何もない。
100%の効率を仮定すると、それぞれのPCRサイクルにより、反応混合物中の二本鎖標的核酸の数は2倍になる。したがって、PCRの効率が100%であると仮定すると、それぞれのサイクルにおけるテンプレート(二本鎖標的核酸)の総数は2倍になり、その結果、nサイクル後には、反応混合物中のテンプレート数Nnは、リアルタイムPCR増幅が開始する前の初期反応混合物中のテンプレートのコピーの数N0に2のn乗を掛けたものになる。すなわち、
Figure 0005787517
効率が100%以外の場合、nサイクル後の反応混合物中のテンプレート数Nnは、Eを効率として、式
Figure 0005787517
で表される。実際には、リアルタイムPCRの効率は100%ではなく、したがって、Eは1未満の実数値である。式(2)の対数をとると、
Log(Nn)=Log(N0)+nLog(1+E)n (3)
が得られ、
式中、n番目のサイクルにおける反応混合物中のテンプレートのコピー数の対数であるLog(Nn)は、テンプレートの数の初期値N0の対数と効率に1を足した値のn乗の対数のn倍との和である。図3を参照すると、Nnを式3の対数形式で表すことの利点は、閾値線Tを確定できるという点である。閾値線Tは、背景ノイズより高い値に設定される。閾値線Tの配置は、変えることができるが、背景ノイズより高い曲線の指数期内のいずれかに設定される。閾値線Tが配置された後の目的は、T以上の蛍光シグナルを得るために要求されるリアルタイムPCRサイクルの数CTを正確に決定することである。式(3)からCTは、
T=−Log(N0)/Log(1+E)+Log(T)/Log(1+E) (4)
となる。
図3から、蛍光シグナルの対数は、コピー数の初期値に対し負の値を持つことがわかる。閾値Tは変化しうるが、式4から、CTは−Log(N0)に依存することがわかる。
図4を参照すると、定量PCRにおいて、いくつかの増幅曲線が計算されている。これは、均等目盛(402)または対数目盛(404)で行うことができる。図4では、増幅曲線は、標的核酸PBEF1に対するものである。これらの増幅曲線のそれぞれは、PBEF1の初期試料の連続希釈を表す。さらに、これらの連続希釈のそれぞれを3回(トリプリケート)実行することができる。言い換えると、初期試料は3つの試料に分けられ、標的核酸の数は試料のそれぞれにおいて同じである。これら3つの試料のそれぞれについてリアルタイムPCRが実行される。次いで、これら3つの試料のそれぞれは連続希釈され、この連続希釈された試料に対しリアルタイムPCRが実行される。この作業すべておよびすべての増幅曲線の計算の目的は、試料中に最初にあったテンプレート核酸のコピーの数(No)を割り出すことである。
連続希釈の背後にある前提条件は、N0がオリジナルの試料中の標的核酸の数であり、また試料が繰り返し2倍希釈されるときに、N0も同様に2倍の減少となるべきというものである。そこで、式(4)によれば、連続希釈のそれぞれについてCTが計算されるときに、CTは、傾きを−1/Log(1+E)とするLog(N0)の一次関数となるべきである。Log(N0)の関数としてのCTの計算は、標準曲線と称される。このような標準曲線は、図5のPBEF1の増幅曲線について例示されている。値Log(N0)は、例示されているy軸に取り、CTはx軸に取る。さらに、図5に例示されているように、標準曲線は直線である。
標準曲線は直線であるため、決定係数R2、または調整されたR2および効率Eを計算することが可能である。調整されたR2は、
Figure 0005787517
として定義され、式中、pはモデル内のリグレッサーの総数であり、nは例数である。図5に標準曲線としてプロットされている、図4のデータについて、調整されたR2は0.999011である。そこで、図5は、N0が小さければ小さいほど、CTを達成するのに要するサイクル数が少なくなり、N0が対数的に増大すると、直線的にCTは大きくなることを示している。したがって、標準曲線を使用すると、初期未希釈試料N0に対する値CTは、この傾きから計算されうる。式4から
T=−Log(N0)/Log(1+E)+Log(T)/Log(1+E) (6)
=−3.4Log(N0)+26.081 (7)
となる。
図5に標準曲線としてプロットされている、図4のデータについて、効率Eは96.8%であり、これはほぼ完全な100%である。
式4、ならびに式4の計算例である図6および7に示されている計算では、多数の基本的仮定を用いている。仮定の1つは、蛍光シグナルが背景より大きくなるすべてのサイクルについて、蛍光シグナルは標的核酸のコピー(およびその増幅コピー)の数に比例するということである。この仮定は、問題にならない。さらに、式4では、CTに至るサイクルのそれぞれが指数期にあると仮定している。Tを直線期または定常期で設定できないのは、式4の基礎となる仮定がこれらの期において働かないからである。ここでもまた、この仮定は問題にならないが、それというのも、Tは指数期で設定されうるからである。さらに、多くのPCR機の自動化ソフトウェアが自動的にTに対する妥当な値を見つけることができるか、またはユーザが指数期のどこかでTを設定できる。
式4の背後にある問題となる仮定の1つは、CTに至るサイクルのそれぞれにおける効率Eは、蛍光シグナルが背景に比べてまだ小さいため単に測定可能でないサイクルを含めて、同じであると仮定していることである。しかし、第1の複数のPCRサイクルから測定可能なシグナルが得られない場合に、この仮定を検証することは可能でない。さらに、他の問題となる仮定は、式4では、初期テンプレート濃度および個別反応条件と無関係に、すべての応答曲線(例えば、図4に例示されている応答曲線)について同じになると仮定していることである。したがって、式4では、応答曲線実験のセット全体について、Eは同じであると仮定している。与えられたPCR実験におけるCTの前のそれぞれのサイクルについてEが同じであり、連続希釈で行われたPCR実験のそれぞれについてEが一定であるという仮定は、これらの仮定が実際に妥当であるという保証はないため大きな問題を引き起こす。例えば、それぞれ異なる標的核酸を使用する異なる試料が2つあり、目的が2つの試料中の標的核酸の初期濃度を定量的に比較することである場合を考えてみる。上記の分析結果から、2つの標的核酸の初期濃度の比較は、従来の技術を使用したのでは問題になる可能性があることがわかるが、それは、Eが2つの試料について増幅曲線を生成するために使用されるPCR実験において同じになるという保証がないからである。この点については、以下の説明とともに図7を参照するとわかるであろうが、IFNAR1増幅曲線に対するPCR反応の効率が、図4のPBEF1増幅曲線に対するPCR反応の効率より実質的に低いことが示されている(E=83.5%(IFNAR1)とE=96.8%(PBEF1)との対比)。
図6を参照しつつ、与えられたPCR実験の効率をチェックすることができる。定義により、PCR実験Enにおける与えられたサイクルnの効率(PCR実験の複数のサイクル全体を通してPCR実験全体の効率が一定であると仮定しているのとは反対に、局所効率と称する)は、(i)現在のサイクルにおける標的核酸のコピー数Nnを(ii)前の+サイクルにおける標的核酸のコピー数Nn-1で割った値マイナス1である、つまり
n=Nn/Nn-1−1 (8)
となる。
PBEF1増幅曲線におけるリアルタイムPCR実験のサイクルのそれぞれに対する局所効率Enをプロットした図6は、Enが至る所で変化することを示す。式4に基づいて計算するためにEnが100パーセントに設定されるべきであるという要件はないが、そのような計算では、Enが定数であると仮定している。図6からわかるように、測定可能な蛍光シグナルがないため、Enの値は初期サイクルでは知られていない。また、測定可能な蛍光シグナルが見える指数期におけるこれらのサイクルについては、Enは低下する。図6に示されているように、サイクル20の近くで測定可能な蛍光シグナルが検出された場合、効率は1の周りのどこかにある。次いで、これは低下し、ゼロにまで下がる。さらに、20未満のサイクルに対する効率は一定しているという保証もない。観察可能なものから見て、効率は一定ではない。
図6は、PCR反応の効率が97%付近のどこにもないことを例示している。しかし、図4および5に例示されているように、同じ試料に対する標準曲線は、PCR反応の効率が実際には97%であることを示す。したがって、図5の標準曲線によって計算された効率Eと図6で計算された局所効率との間に食い違いがある。
さらに、上で示されているように、図5に例示されている標準曲線には、異なる試薬または異なる反応条件が標準曲線に対するデータを生成するために使用されるさまざまなPCR反応で使用される場合に生じる効率の変動を補正するメカニズムがない。
図7を参照すると、標的核酸IFNAR1に対する増幅曲線、さらにはそれらの増幅曲線からの標準曲線が例示されている。標準曲線から
T=−Log(N0)/Log(1+E)+Log(T)/Log(1+E) (9)
=−3.795Log(N0)+30.955 (10)
となる。
さらに、IFNAR1データに対するEは、83.5パーセントである。IFNAR1増幅曲線におけるリアルタイムPCR実験のサイクルのそれぞれに対する局所効率Enをプロットした図8を参照すると、これはEnが至る所で変化することを示す。
図9を参照すると、調整されたR2および効率が閾値Tの配置の関数として上で説明されているPBEF1およびIFNAR1データセットに対しどのように変化するかが決定されることがわかる。図8を参照すると、図9に対するデータは、例えば、閾値Tの直線802をある値に設定し、CTを計算し、Tをどこか別の所に移動し、CTを再計算し、というように行うことで計算されることがわかる。閾値T(線802)が高く移動しすぎた場合、データはもはや、特に対数目盛の場合に、完全には指数領域内に収まらない。対数目盛では、この指数期は直線的であるべきである。線802(T)が低下し始める位置より高い位置へ移動した場合、すでに式4の指数期には入っていない。したがって、閾値が十分に高く移動した場合、式4の基礎となる仮定はもはや有効でなく、効率は下がることが予期される。図9に例示されているように、設定される閾値Tが(蛍光シグナル強度に関して)高ければ高いほど、より効率が低下し始める。そのため、効率が出発試薬に依存するだけでなく(PBEF1対IFNAR1)、Tの値に対する選択にも依存する。
理想的には、十分に低いTがあるべきであり、これにより計算された効率は98%または98%に近い値になる。また、閾値が高くなった場合、効率は、効率が下がりつつあるPCR実験の領域が組み込まれているため下がるはずである(例えば、図6および8のPBEF1およびIFNAR1について計算された局所効率を参照)。しかし、図9に例示されているように、これが常にそうであるとは限らない。図9に例示されているように、IFNAR1は行うと考えられることを行う。効率は、0.85程度で始まる。次いで、閾値Tでより高く設定され、効率は低下する。しかし、PBEF1の場合、効率は0.98から始まり、Tが増大するとこれにより効率の低いサイクルが計算に含まれ、効率は低下しないが、図9に例示されているように、実際には増大する。
上記の分析結果は、効率の概念に問題があることを示している。そこで、一方の試料中の標的核酸の出発濃度と他方の試料中の標的核酸の出発濃度とを比較するために効率に依存する方法は、問題がある。
0に対する出発値を計算し、予測するために標準曲線が使用されうる。これは、定量PCRの目的、つまり、標準曲線に基づく、CTからのN0の計算である。したがって、原理上、標準曲線が計算され、これにより、CTとN0との間の関係が与えられる。N0に対する特定の値を予測するためにさらなる実験においてこの関係が使用されうる。したがって、標準曲線を計算するために使用される同じデータから、N0に対する特定の値を予測して、同じデータセットに対しこの方法がどの程度働くかチェックすることを試みることができる。図10を参照すると、試料の実際のN0が知られているときに、上記のように標準曲線を使用するN0の予測における絶対誤差AEを計算できることがわかる。絶対誤差は、
Figure 0005787517
として定義される。
言い換えると、AEは、知られている初期N0と予測されたN0との差の絶対値である。AEは、初期N0が増大すると感度が低下するので、絶対相対誤差は、絶対誤差を実際のN0で割ったものであり、N0の値の関数として著しく変化しない誤差値を与える。図10から、PBEF1データについては、平均ARE(すべての連続希釈にわたる)は3.9%であるが、IFNAR1については、平均ARE(すべての連続希釈にわたる)は6.5%である。これは、AREが遺伝子毎に、N0の関数として変化するが、PBEF1およびIFNAR1について得られた値は、完全定量PCRに対しては典型的なものであることを示している。
遺伝子発現測定には、付加的ステップがあるが、それは、所望の量がmRNA濃度であり、測定されたcDNAではないからである。したがって、付加的ステップでは、所望の量、初期mRNA濃度、測定された量、cDNAから逆転写の効率を決定する。逆転写酵素反応は、mRNAの量の測定に対する変動の大部分に関わっている。逆転写反応の効率、したがって所望の値、初期mRNA濃度を決定することが可能であるが、実際には、これは難しいプロセスである。そのため、逆転写酵素反応の効率を決定する必要性を回避するために、実際に行われるのは、注目する遺伝子の測定された存在量値と参照遺伝子の測定された存在量値とを比較することである。以下に示されるように、これにより、注目する遺伝子に対する逆転写酵素反応の効率を知る必要がなくなる。この方法では、同時に2つの異なる遺伝子が、すなわち注目する遺伝子と変化しないと仮定される遺伝子(例えば、研究下の生物学的状態によって調節されない)測定される。2つの遺伝子AおよびBに対する相対発現は、
Figure 0005787517
によって与えられ、
式中、
κRSは、遺伝子AおよびBに対する検出化学の相対的感度であり、
ηAは、遺伝子Aに対するcDNA逆転写酵素収量であり、
ηBは、遺伝子Bに対するcDNA逆転写酵素収量であり、
Aは、遺伝子Aに対するPCR反応の効率であり、
Bは、遺伝子Bに対するPCR反応の効率であり、
Aは、遺伝子AのmRNA存在量であり、
Bは、遺伝子BのmRNA存在量であり、
TBは、遺伝子Aに対するCTであり、
TBは、遺伝子Bに対するCTである。
値κRSは、多くの異なる反応条件に依存する。未知のパラメータκRS、ηA、およびηBを決定するという問題を回避するために、「比較定量」法(またはΔΔCT法)が使用される。パラメータの値が試料毎に変化しないと仮定すると、パラメータκRS、ηA、およびηBは、異なる試料に対する比NA/NBの比が考察される場合に相殺される。
典型的には、この注目する遺伝子(遺伝子A)が、注目する遺伝子である。例えば、遺伝子AのmRNAの存在量が研究されているが、それは、その遺伝子のmRNAの存在量が母集団の要素における研究対象の疾病の状態に応じて変化しうると考えられるからである。このような場合、遺伝子Bは、母集団の要素における研究対象の疾病の状態に応じて変化すると考えられない式12による計算に対する参照遺伝子として選択され、さらに、その場合に、遺伝子Bに対するmRNAの発現レベルは母集団の要素において変化しないと考えられる。したがって、2つの定量PCR反応は、同時に実行され、一方の反応は注目する遺伝子(例えば、遺伝子A)に対するものであり、もう1つは参照遺伝子(例えば、遺伝子B)に対するものである。これらの実験から、NAおよびNBが計算される。パラメータκRS、ηA、およびηBが変化しない場合、Ψ=ηA/ηBκRSが一定であるとして、異なる試料について比
Figure 0005787517
を単純に比較するだけで十分である。これは、ηA、ηB、およびκRSに対する値は、試料毎に変わることがなければ重要でないからである。そのため、目標が、疾病状態と健全状態とを比較することであれば、ηA、ηB、およびκRSが変化しない場合には量
Figure 0005787517
と量
Figure 0005787517
との比があれば十分である。それに加えて、遺伝子AとB(注目する遺伝子と参照遺伝子)の両方に対する効率が同じであり、効率はE(EA=EB≡E)であるという仮定を置くと、式13は式14
Figure 0005787517
に簡約される。
式14では、異なる試料を定量的に比較するために、ΔCT≡CTB−CTAを比較するだけでよい。効率EAおよびEBが知られている場合、式14からのρを計算できる。
従来の定量PCRでは、ΔCTは、異なる試料同士を比較するために使用される計量である。しかし、上述のように、ΔCTについては、EAおよびEBが同じであると仮定する。代表的なデータから、EAおよびEBが同じであるという仮定は、研究されているさまざまな遺伝子について計算された効率はさまざまな範囲にわたるため問題になる。例えば、遺伝子PBEF1に対すEは、E=0.9684±0.0094となり、遺伝子ADMに対するEは、E=0.9141±0.0164となり、IL1R2に対するEは、E=0.7744±0.0156となり、IRAK3に対するEは、1.0118±0.0130であり、JAK3に対するEは、0.9777±0.0102である。なおいっそう問題になるのは、いくつかの遺伝子に対するEが試験毎に異なることである。例えば、参照遺伝子(考察されている実施例における遺伝子18S)に対するEは、0.88、0.93、0.97、および1.1とさまざまに計算される。
式14においてそのような変動がないと仮定した場合EAおよびEBにおける変動が与えられたとすると、注目するのは、異なる試料同士を比較するためにΔCTが使用されたときにEAおよびEBの変動で比NA/NB内にどれだけの誤差が入り込むかである。標準誤差伝播の法則
z=f(x1,x2,・・・,xn) (15)
Figure 0005787517
を適用し、したがって
Figure 0005787517
とし、パラメータ
A≡EB≒96%、
CTA≒9.5、
CTB≒26、および
σ(CTA)=σ(CTB)≒0.12
を使用することで、
Log10ρの変動係数、CV(Log10ρ)を計算できる。Log10ρは、遺伝子AおよびBの比の尺度である。CV(EB)およびCV(EA)の関数として、CV(Log10ρ)≡σ(Log10ρ)/Log10ρである。図11の上のグラフに例示されているように、CV(Log10ρ)は、低いCTを有する遺伝子(ここでは遺伝子B)の変動係数の関数としてあまり大きく変化しない。典型的には、参照遺伝子は、低いCTを有する。そのため、参照遺伝子の効率の変動係数が例えば2%から8%に変わっても、CV(Log10ρ)は、図11の上側のグラフの平坦な曲線によって示されているように、それほど大きくは変化しない。他方で、図11の下側のグラフを参照すると、高いCTを有する遺伝子(ここでは遺伝子B)の効率の変動係数は、Log10ρの誤差に対し劇的な効果をもたらすことがわかる。図11の下側のグラフに示されているように、遺伝子Bの変動係数とLog10ρの誤差との間の関係は、直線関係を共有する。したがって、下側のグラフは、実際には変化しているのに効率が変化していないと仮定した場合に有意な誤差が生じることを示している。
図12を参照すると、それぞれ試料毎に3つの複製を用意した4つの異なる試料に対する参照遺伝子18SのCT値は、試料と試料との間でほんの少ししか変動を示さず、18S遺伝子がそれらの試料を提供した被検体中に発現しないという仮定と一致することがわかる。図13は、3つの複製に基づく18Sの平均CT値およびその95%信頼区間(CI)を示している。図13に示されているように、18SのCTには試料毎にごくわずかの変動があり、試料を提供した被検体に18Sが発現されていないという仮定と一致している。したがって、図12および13は、まとめて、それらの試料は完全に異なる患者からのものであるけれども、18S mRNAの存在量が試料毎に変化しないことを示している。図14では、それぞれの試料について3つの複製を持つ4つの異なる試料に対する発現される遺伝子PBEF1のCT値が与えられている。図15では、PBEF1に対する平均CT値は、異なる試料について十分に隔たっている。図15では、示されている95%信頼区間は、各試料について3つの複製に基づく。図16では、ΔCT≡CTPBEF1−CT18Sの平均は、試料と試料との間できわめて十分に隔てられていることがわかる。しかし、上の背景技術の項で説明されているように、ΔCTは、異なる試料に対する比N18S/NPBEF1の潜在的な差を直接的には反映せず、これらの比(または少なくともρもしくはLog10ρ)の変動性を考慮しなければならない。
図17を参照すると、遺伝子効率EPBEF1およびE18Sが試料毎に変化せず、効率不確定性の唯一の源は、標準曲線の回帰に関係する場合、計算されたlog10ρの平均は、それでも潜在的に十分に隔てられている。これは、標準定量PCR(qPCR)解析は、もしそのような差が存在すれば、試料を提供した被検体の比N18S/NPBEF1の差を検出することができることを示唆している。この実施例では、PBEF1と18Sの両方について、E=0.9684±0.0094が仮定されている。18Sのこの効率では、考察されている例示的遺伝子および試料について結果として得られる尺度log10ρに対する変動値の典型的な係数は、約1.5%から3%までの範囲である。
しかし、図18を参照すると、試料と試料との間のEPBEF1およびE18Sの変動性が考慮される場合、比N18S/NPBEF1のlog10ρの信頼区間が非常に大きく、試料分離が疑わしくなる。この実施例では、E18S=0.97±0.094(CV約10%)およびEPBEF1=0.97±0.047(CV約5%)が仮定されており、これは潜在的な最悪の場合のシナリオを表している。これらの結果は、効率変動を制御するために何らかの処置を講じることができない限り、ここに示されている標準qPCR解析によって、比N18S/NPBEF1の差の確実な検出に至ることはありえない。
図17の条件が真であれば、95%信頼区間は重なり合わないため、さまざまな被検体において比N18S/NPBEF1の差があるかどうかの判定を行うことができる。しかし、図18の条件が真であれば、効率の仮定で誤りを犯した場合に、信頼区間は重なり合い始め、試料毎に比N18S/NPBEF1の変化を弁別する能力が失われる。
そのため、式の基礎となる仮定が実際には正しくない場合に上記の式の可能性の高い誤差発生源が与えられたとすると、必要なのは、個別PCR増幅曲線から標的核酸の初期量に関する定量的情報を抽出するための新しい方法である。
Duda et al., Pattern Classification, 2nd ed., John Wiley & Sons, New York, 2001 Hastie et al., The Elements of Statistical Learning, Springer-Verlag, 2001 American College of Chest Physicians Society of Critical Care Medicine, Chest, 1997, 101:1644-1655
本発明は、個別PCR増幅曲線から核酸の初期標的濃度に関する定量的情報を抽出するためのシステムおよび方法を実現する。このアプローチは、部分的には、PCR反応がミカエリスーメンテン式(MMK)によって律則されるという事実に基づく。本発明では、PCR増幅曲線は、MMKモデルにフィッティングされ、これにより、初期テンプレートDNA濃度の直接的推定およびPCR反応の実効ミカエリスーメンテン定数が得られる。上述の従来の方法とは異なり、本発明の方法は、PCR増幅効率に関する情報も仮定も必要としない。有利なことに、従来の方法とは異なり、本発明のシステムおよび方法では、背景ノイズの上に利用可能な指数期点が十分にない場合に指数期と直線期の両方からの増幅曲線上の点を使用することができる。MMKモデルは、別の効率研究を実施しなくても初期テンプレートDNA濃度の直接的推定を行える。有利なことに、本発明のシステムおよび方法では、較正点は1つあればよいが、標準qPCRアプローチでは、少なくとも2つの較正点を必要とする。上述の標準qPCRアプローチとは対照的に、初期テンプレート濃度の均等目盛による標準曲線を作成し、二次項を含めるか、または加重回帰を使用して例えば平均絶対相対誤差(MARE)を最小にすることによって精密化することが可能である。背景技術の項で説明されているように、標準qPCR定量方法を使用すると、PCR効率変動により考察される遺伝子AおよびBの初期数の比NA/NBの不確定性が非常に高くなる可能性がある。対照的に、本発明のシステムおよび方法では、PCR効率に関係する不確定性が排除され、またLog(NA/NB)の変動係数を標準qPCRアプローチと比較して10倍程度に低減できる。
本発明の一態様では、試料中の標的核酸の初期量N0を計算する方法を提供する。この方法では、第1の複数の蛍光測定値を受け取る。第1の複数の蛍光測定値のうちの蛍光測定値FSnは、試料の第1のPCR増幅実験において異なるサイクルnでとった蛍光測定値を含む。次いで、第1のPCR増幅実験について、第1のモデルを計算する。このモデルでは、試料中の標的核酸の初期量N0の計算が行われる。第1の複数の蛍光測定値のうちのそれぞれの蛍光測定値について、第1のモデルは、Nnに対する各式を含み、(i)Nnは、各蛍光測定値がとられた第1のPCR増幅実験のサイクルnにおける標的核酸の計算された量であり、(ii)Nnに対する各式は、第1のPCR増幅実験のサイクルnに関係なく、KおよびN0のみで表され、Kは、第1のPCR増幅実験の実効ミカエリスーメンテン定数である。第1のモデルの精密化を行うことができる。例えば、第1のモデルの精密化は、第1のモデルによって計算される値Nnと第1の複数の蛍光測定値のうちの対応する蛍光測定値との間の差が最小になるまでKおよびN0を調節し、それにより標的核酸の初期量N0を第1のモデルに対するN0の最小値として計算することを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1のモデルの精密化は、実行されず、むしろ、KおよびN0の値は、KおよびN0の可能なすべての値に対する完全検索によって識別される。このような完全検索では、完全検索から識別された値KおよびN0が、モデルで使用されるnの値のそれぞれについて第1のモデルによって計算される値Nnに対する最良の一致をもたらすべきである。
いくつかの実施形態では、この方法は、さらに、計算ステップで計算された標的核酸の計算された初期量N0を例えばユーザインターフェースデバイス、モニタ、コンピュータ可読ストレージ媒体、コンピュータ可読メモリ、またはローカルもしくはリモートコンピュータシステムに出力すること、あるいは計算ステップで計算された標的核酸の計算された初期量N0を表示することを含む。
いくつかの実施形態では、第1のモデルは、第1のPCR増幅実験のサイクル1における標的核酸の計算された量である、N1に対する式、
Figure 0005787517
を含む。
いくつかの実施形態では、第1のモデルは、第1のPCR増幅実験のサイクル2における標的核酸の計算された量である、N2に対する式、
Figure 0005787517
を含む。
いくつかの実施形態では、第1のモデルは、第1のPCR増幅実験のサイクル3における標的核酸の計算された量である、N3に対する式、
Figure 0005787517
を含む。
いくつかの実施形態では、KおよびN0の調節による第1のモデルの精密化は、N0およびKに関する複数の残差Nn−FSnの平方和を最小にすることを含む。いくつかの実施形態では、第1のPCR増幅実験は、直線期のサイクルと指数期のサイクルを含み、第1の複数の蛍光測定値は、第1のPCR増幅実験の指数期のサイクルおよび第1のPCR増幅実験の直線期のサイクルからとられる蛍光測定値からなる。
いくつかの実施形態では、第1の複数の蛍光測定値は、サイクルnstartおよびサイクルnendによって制約される第1のPCR増幅実験の複数の連続するサイクルからとられる蛍光測定値である。いくつかの実施形態では、nstartは、(i)第1のPCR増幅実験におけるその後のすべてのサイクルの局所効率が一貫して減少し、(ii)第1のPCR増幅実験のサイクルnstart+1の効率が1.05未満である第1のPCR増幅実験におけるPCRサイクルである。いくつかの実施形態では、nendは、観察された蛍光シグナルの二次導関数(d2FS/dn2)がゼロ未満となる第1のPCR増幅実験における第1のサイクルである。いくつかの実施形態では、第1のPCR増幅実験は、直線期のサイクルを含み、第1の複数の蛍光測定値は、典型的には、第1のPCR増幅実験の直線期の7個から12個までの点からなる。
いくつかの実施形態では、受け取るステップは、複数のPCR増幅実験のうちのそれぞれのPCR増幅実験に対する複数の蛍光測定値を受け取ることを含む。このような実施形態では、計算するステップは、複数のPCR増幅実験のうちのそれぞれのPCR増幅実験に対する複数のモデルのうちの1つのモデルを計算することを含み、それらの複数のモデルのうちの各モデルについて、各モデルは各モデルに対応するPCR増幅実験における対応する蛍光測定値のNnに対する各式を含む。各モデルにおけるそれぞれのNnは、各蛍光測定値がとられた各モデルに対応するPCR増幅実験のサイクルnにおける標的核酸の量である。この実施形態では、各モデルにおけるNnに対する各式は、Kを対応するPCR増幅実験に対するミカエリスーメンテン定数として、Nnに対する各式に対応している対応するPCR増幅実験における対応する蛍光測定値のサイクルnに関係なく、KおよびN0のみで表される。いくつかの実施形態では、複数のモデルが精密化される。例えば、複数のモデルのうちの各モデルの精密化は、各モデルによって計算される値Nnと各モデルに対応するPCR増幅実験の複数の蛍光測定値のうちの対応する蛍光測定値との間の差が最小になるまで各モデルにおけるNnに対するそれぞれの式についてKおよびN0を調節し、それにより標的核酸の初期量N0を各モデルに対するN0の最小値として計算することによって行うことができる。
いくつかの実施形態では、複数のPCR増幅実験のうちのそれぞれのPCR増幅実験は、試料の連続希釈を表す。このような実施形態では、この方法は、複数のモデルのうちのそれぞれのモデルについてPCR増幅実験で使用される試料の相対濃度の関数として複数のモデルのうちのそれぞれのモデルについて計算された標的核酸の初期量N0のlog10(N0)をプロットすることをさらに含む。試料の相対濃度は、それぞれの連続希釈で使用される希釈係数によって決定される。いくつかの実施形態では、複数のPCR増幅実験のうちのそれぞれのPCR増幅実験は、試料の連続希釈を表し、この方法は、複数のモデルのうちのそれぞれのモデルについてPCR増幅実験で使用される試料の相対濃度の関数として複数のモデルのうちのそれぞれのモデルについて計算された標的核酸の初期量N0をプロットすることをさらに含む。
いくつかの実施形態では、複数のPCR増幅実験のうちのそれぞれのPCR増幅実験は、試料の連続希釈を表し、この方法は、試料の相対濃度の関数として複数のモデルのうちのそれぞれのモデルについて計算された値N0を精密化し、N0に対する単一の精密化された値がこれらの複数のモデルについて計算されるようにすることをさらに含む。いくつかの実施形態では、精密化ステップは、複数のモデルのうちのそれぞれのモデルによって計算された値N0に関して複数のARE値の平均ARE(絶対相対誤差)を最小にする加重回帰を実行することを含み、複数のARE値におけるそれぞれの
Figure 0005787517
値は、複数のモデルのうちの各モデルに対する値であり、
Figure 0005787517
は各モデルに対応するPCR増幅実験に使用される試料の実際の相対濃度であり、
Figure 0005787517
は各モデルに対する計算された値N0によって決定される各モデルに対応するPCR増幅実験に使用される試料の計算された相対濃度である。
いくつかの実施形態では、複数のPCR増幅実験のうちのそれぞれのPCR増幅実験は、試料の連続希釈を表し、連続希釈は、2点併行または3点併行で行われ(または複製数をさらに増やして)、異なるモデルは、それぞれの連続希釈のそれぞれの2点併行について、またはそれぞれの連続希釈のそれぞれの3点併行(または複製数をさらに増やして)について計算される。いくつかの実施形態では、受け取るステップは、試料を使用して第2のPCR増幅実験に対する複数の蛍光測定値を受け取ることを含む。さらに、計算するステップは、第2のPCR増幅実験に対する第2のモデルを計算することを含み、第2の複数の蛍光測定値のうちのそれぞれの蛍光測定値について、第2のモデルは、Nnに対する各式を含み、(i)Nnは、各蛍光測定値がとられた第2のPCR増幅実験のサイクルnにおける標的核酸の計算された量であり、(ii)第2のモデルにおけるNnに対する各式は、サイクルnに関係なく、K2およびN0のみで表され、K2は、第2のPCR増幅実験のミカエリスーメンテン定数であり、第2のモデルの精密化は、前記第2のモデルによって計算された値Nnと第2の複数の蛍光測定値のうちの対応する蛍光測定値との間の差が最小になるまでK2およびN0を調節することを含む。この方法は、
Figure 0005787517
を計算することをさらに含み、式中、NAMは第1のモデルによって計算される試料に対する計算されたN0であり、NBMは第2のモデルによって計算された試料に対する計算されたN0である。いくつかの実施形態では、第1の増幅実験では、第1の遺伝子のmRNAを増幅し、第2の増幅実験では、第2の遺伝子のmRNAを増幅し、NAMは、試料中の第1の遺伝子のmRNAの存在量の尺度であり、NBMは、試料中の第2の遺伝子のmRNAの存在量の尺度である。いくつかの実施形態では、第1の遺伝子は、表現型の特徴に関連する遺伝子であり、第2の遺伝子は、表現型の特徴に関連しない遺伝子である。
いくつかの実施形態では、ρは、閾値を超えており、試料に関わった種の構成要素は、表現型の特徴を持つとみなされる。いくつかの実施形態では、ρは、閾値を超えており、試料に関わった種の構成要素は、表現型の特徴を持たないとみなされる。いくつかの実施形態では、ρは、閾値未満であり、試料に関わった種の構成要素は、表現型の特徴を持つとみなされる。いくつかの実施形態では、ρが閾値未満である場合、試料に関わった種の構成要素は、表現型の特徴を持たないとみなされる。いくつかの実施形態では、表現型の特徴は、細胞型、細胞形態、病態(非存在、存在、段階)、組織または器官内の異常な状態、異常な細胞型、または異常な細胞形態である。いくつかの実施形態では、表現型の特徴は、試料が採取された試験被検体が敗血症を起こす可能性のあることを示す指標である。いくつかの実施形態では、試料中の標的核酸の初期量N0は、試料中の第1の遺伝子のmRNAの濃度である。いくつかの実施形態では、試料中の標的核酸の初期量N0は、試料中の第1の遺伝子から転写されたmRNA分子の数である。
本発明の他の態様は、試料が表現型の特徴を有するかどうかを判定する方法を提供する。この方法は、(A)第1の複数のサイクルを含む第1のPCR増幅実験に対する第1のモデルを計算することを含み、第1のPCR増幅実験は、第1の複数の蛍光測定値を含む。第1の複数の蛍光測定値のうちのそれぞれの測定は、第1のPCR増幅実験の第1の複数のサイクルのうちの異なる1つのサイクルから行われた。第1のPCR増幅実験は、試料中の第1の遺伝子のPCR増幅である。第1のモデルは、第1のPCR増幅実験におけるそれぞれのサイクルnに対する第1の遺伝子の量Nnの各式を含む。いくつかの実施形態では、第1のモデルにおけるNnに対する各式は、各式Nnによって表されるサイクルnに関係なく、K1およびNAMのみで表され、K1は、第1のPCR増幅実験に対するミカエリスーメンテン定数であり、NAMは、試料の第1のPCR増幅実験の前の試料中の第1の遺伝子の量である。この方法は、(B)第2の複数のサイクルを含む第2のPCR増幅実験に対する第2のモデルを計算することをさらに含む。第2のPCR増幅実験は、第2の複数の蛍光測定値を含む。第2の複数の蛍光測定値のうちのそれぞれの測定は、第2のPCR増幅実験の第2の複数のサイクルのうちの異なる1つのサイクルから行われる。第2の増幅実験は、試料中の第2の遺伝子のPCR増幅である。第2のモデルは、第2のPCR増幅実験におけるそれぞれのサイクルnに対する第2の遺伝子の量Nnの各式を含む。第2のモデルにおけるNnに対する各式は、各式Nnによって表されるサイクルnに関係なく、K2およびNBMのみで表され、K2は、第2のPCR増幅実験に対するミカエリスーメンテン定数であり、NBMは、試料の第2のPCR増幅実験の前の試料中の第2の遺伝子の量である。この方法は、(C)第1のモデルを使用してNAMに対する値を決定し、第2のモデルを使用してNBMに対する値を決定することをさらに含む。この方法は、さらに、(D)計算
Figure 0005787517
を含み、ρについて計算された値は、試料が表現型の特徴を有するかどうかを示す。
いくつかの実施形態では、複数の第1のモデルが計算され、それぞれの第1のモデルは、試料の連続希釈からの第1の遺伝子のPCR増幅実験であり、NAMは、第1のモデルのそれぞれから決定された値NAMの中心傾向の尺度としてみなされる。さらに、複数の第2のモデルが計算され、それぞれの第2のモデルは、試料の連続希釈からの第2の遺伝子のPCR増幅実験であり、NBMは、第2のモデルのそれぞれから決定された値NBMの中心傾向の尺度としてみなされる。
いくつかの実施形態では、試料の第1のアリコート(分割量)が、ステップ(A)の連続希釈で使用され、試料の第2のアリコートが、ステップ(B)の連続希釈で使用される。いくつかの実施形態では、ステップ(A)の連続希釈は、2点併行または3点併行で行われ(または複製数をさらに増やして)、異なる第1のモデルは、第1の遺伝子について、それぞれの希釈のそれぞれのPCR増幅実験について計算され、NAMは、第1のモデルのそれぞれから決定された値NAMの中心傾向の尺度としてみなされる。さらに、いくつかの実施形態では、ステップ(B)の連続希釈は、2点併行または3点併行で行われ(または複製数をさらに増やして)、異なる第1のモデルは、第2の遺伝子について、それぞれの希釈のそれぞれのPCR増幅実験について計算され、NBMは、第2のモデルのそれぞれから計算された値NBMの中心傾向の尺度としてみなされる。
いくつかの実施形態では、複数のPCR増幅実験のうちのそれぞれのPCR増幅実験は、試料の連続希釈を表し、この方法は、さらに、計算するステップ(C)の前に試料の相対濃度の関数として複数の第1のモデルのうちのそれぞれのモデルについて計算された値NAMを精密化すること、および、計算するステップ(C)の前に試料の相対濃度の関数として複数の第2のモデルのうちのそれぞれのモデルについて計算された値NBMを精密化することを含む。いくつかの実施形態では、NAMの精密化は、第1のモデルのそれぞれによって計算されたNAMに関して複数のARE値の平均ARE(絶対相対誤差)を最小にする加重回帰を実行することを含み、複数のARE値におけるそれぞれの
Figure 0005787517
値は、複数の第1のモデルのうちの各第1のモデルに対する値であり、
Figure 0005787517
は各第1のモデルに対応する第1のPCR増幅実験で使用される試料の実際の相対濃度であり、
Figure 0005787517
は各第1のモデルに対する計算された値NAMによって決定される各第1のモデルに対応する第1のPCR増幅実験に使用される試料の計算された相対濃度である。さらに、NBMの精密化は、第2のモデルのそれぞれによって計算されたNBMに関して複数のARE値の平均ARE(絶対相対誤差)を最小にする加重回帰を実行することを含み、複数のARE値におけるそれぞれの
Figure 0005787517
値は、複数の第2のモデルのうちの各第2のモデルに対する値であり、
Figure 0005787517
は各第2のモデルに対応する第2のPCR増幅実験で使用される試料の実際の相対濃度であり、
Figure 0005787517
は各第2のモデルに対する計算された値NAMによって決定される各第2のモデルに対応する第2のPCR増幅実験に使用される試料の計算された相対濃度である。
いくつかの実施形態では、NAMは、試料中の第1の遺伝子のmRNAの濃度であり、NBMは、試料中の第1の遺伝子のmRNAの濃度である。いくつかの実施形態では、NAMは、試料中の第1の遺伝子から転写されたmRNA分子の個数であり、NBMは、試料中の第2の遺伝子から転写されたmRNA分子の個数である。いくつかの実施形態では、第1の増幅実験では、第1の遺伝子のmRNAを増幅し、第2の増幅実験では、第2の遺伝子のmRNAを増幅し、NAMは、試料中の第1の遺伝子のmRNAの存在量の尺度であるが、NBMは、試料中の第2の遺伝子のmRNAの存在量の尺度である。いくつかの実施形態では、第1の遺伝子は、表現型の特徴に関連する遺伝子であり、第2の遺伝子は、表現型の特徴に関連しない遺伝子である。
いくつかの実施形態では、ρが閾値より高い場合、試料に関わった種の構成要素は、表現型の特徴を持つとみなされる。いくつかの実施形態では、ρが閾値より高い場合、試料に関わった種の構成要素は、表現型の特徴を持たないとみなされる。いくつかの実施形態では、ρが閾値未満である場合、試料に関わった種の構成要素は、表現型の特徴を持つとみなされる。いくつかの実施形態では、ρが閾値未満である場合、試料に関わった種の構成要素は、表現型の特徴を持たないとみなされる。
いくつかの実施形態では、表現型の特徴は、細胞型、細胞形態、病態、組織または器官内の異常な状態、異常な細胞型、または異常な細胞形態である。いくつかの実施形態では、試料中の標的核酸の初期量N0は、試料中の第1の遺伝子のmRNAの濃度である。いくつかの実施形態では、試料中の標的核酸の初期量N0は、試料中の第1の遺伝子から転写されたmRNA分子の数である。いくつかの実施形態では、この方法は、さらに、(D)ρをユーザインターフェースデバイス、モニタ、コンピュータ可読ストレージ媒体、コンピュータ可読メモリ、またはローカルもしくはリモートコンピュータシステムに出力すること、あるいはρを表示することを含む。
本発明の他の態様は、第1の複数の蛍光測定値を行うPCR解析モジュールを備えるPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)システムを実現し、第1の複数の蛍光測定値のうちのそれぞれの蛍光測定値FSnは、試料の第1のPCR増幅実験において異なるサイクルnでとられる蛍光測定値である。PCRシステムは、さらに、試料中の標的核酸の初期量N0の推定値をもたらす第1のPCR増幅実験のモデルを計算することによって第1の複数の蛍光測定値を処理するように適合されているインテリジェント型モジュールを備える。第1の複数の蛍光測定値のうちのそれぞれの蛍光測定値について、モデルは、Nnに対する各式を含み、(i)Nnは、各蛍光測定値がとられた第1のPCR増幅実験のサイクルnにおける標的核酸の計算された量であり、(ii)Nnに対する各式は、第1のPCR増幅実験のサイクルnに関係なく、KおよびN0のみで表され、Kは、第1のPCR増幅実験のミカエリスーメンテン定数であり、N0は、試料中の標的核酸の初期量である。いくつかの実施形態では、モデルが精密化される。例えば、モデルの精密化は、モデルによって計算される値Nnと第1の複数の蛍光測定値のうちの対応する蛍光測定値との間の差が最小になるまでKおよびN0を調節し、それにより試料中の標的核酸の初期量N0を決定することによって行える。いくつかの実施形態では、このインテリジェント型モジュールは、さらに、N0をユーザインターフェースデバイス、モニタ、コンピュータ可読ストレージ媒体、コンピュータ可読メモリ、またはローカルもしくはリモートコンピュータシステムに出力するための命令、あるいはN0を表示するための命令を備える。
本発明の他の態様は、試料中の標的核酸の初期量N0を計算するためのコンピュータシステムを実現するものであり、このコンピュータシステムは、プロセッサおよびプロセッサに結合されたメモリを備え、メモリは第1の複数の蛍光測定値を受け取るための命令を備えるモジュールを格納し、第1の複数の蛍光測定値のうちのそれぞれの蛍光測定値FSnは、試料の第1のPCR増幅実験において異なるサイクルnでとられる蛍光測定値である。メモリは、さらに、標的核酸の初期量N0の推定を与える第1のPCR増幅実験のモデルを計算するための命令を格納し、第1の複数の蛍光測定値のうちのそれぞれの蛍光測定値について、モデルは、Nnに対する各式を含む。ここで、(i)Nnは、各蛍光測定値がとられた第1のPCR増幅実験のサイクルnにおける標的核酸の計算された量であり、(ii)Nnに対する各式は、第1のPCR増幅実験のサイクルnに関係なく、KおよびN0のみで表され、Kは、第1のPCR増幅実験のミカエリスーメンテン定数である。いくつかの実施形態では、モデルが精密化される。例えば、モデルの精密化は、モデルによって計算される値Nnと第1の複数の蛍光測定値のうちの対応する蛍光測定値との間の差が最小になるまでKおよびN0を調節し、それによりモデルに対するN0の最小化された値として標的核酸の初期量N0を計算することによって行える。いくつかの実施形態では、モジュールは、さらに、標的核酸の計算された初期量N0をユーザインターフェースデバイス、モニタ、コンピュータ可読ストレージ媒体、コンピュータ可読メモリ、またはローカルもしくはリモートコンピュータシステムに出力するための命令、あるいは標的核酸の計算された初期量N0を表示するための命令を備える。
本発明の他の態様は、試料中の標的核酸の初期量N0を計算するためのコンピュータによって実行可能なコンピュータプログラムを格納するコンピュータ可読媒体を備える。コンピュータプログラムは、(A)第1の複数の蛍光測定値を受け取るための命令を含み、第1の複数の蛍光測定値のうちのそれぞれの蛍光測定値FSnは、試料の第1のPCR増幅実験において異なるサイクルnでとられる蛍光測定値である。コンピュータプログラムは、さらに、(B)標的核酸の初期量N0の推定を与える第1のPCR増幅実験の第1のモデルを計算するための命令を備え、第1の複数の蛍光測定値のうちのそれぞれの蛍光測定値について、第1のモデルは、Nnに対する各式を含み、(i)Nnは、各蛍光測定値がとられた第1のPCR増幅実験のサイクルnにおける標的核酸の計算された量であり、(ii)Nnに対する各式は、第1のPCR増幅実験のサイクルnに関係なく、KおよびN0のみで表され、Kは、第1のPCR増幅実験のミカエリスーメンテン定数である。いくつかの実施形態では、モデルが精密化される。例えば、モデルの精密化は、第1のモデルによって計算される値Nnと第1の複数の蛍光測定値のうちの対応する蛍光測定値との間の差が最小になるまでKおよびN0を調節し、それにより第1のモデルに対するN0の最小化された値として標的核酸の初期量N0を計算することによって行える。いくつかの実施形態では、コンピュータプログラム製品は、さらに、標的核酸の計算された初期量N0をユーザインターフェースデバイス、モニタ、コンピュータ可読ストレージ媒体、コンピュータ可読メモリ、またはローカルもしくはリモートコンピュータシステムに出力するための命令、あるいは標的核酸の計算された初期量N0を表示するための命令を備える。
本発明の他の態様は、第1の複数の蛍光測定値を受け取るための命令を実行するコンピュータを制御するプログラムを表すコンピュータデータ信号を含み、第1の複数の蛍光測定値のうちのそれぞれの蛍光測定値FSnは、試料の第1のPCR増幅実験において異なるサイクルnでとられる蛍光測定値である。プログラムは、さらに、標的核酸の初期量N0の推定を与える第1のPCR増幅実験の第1のモデルを計算するための命令を備え、第1の複数の蛍光測定値のうちのそれぞれの蛍光測定値について、第1のモデルは、Nnに対する各式を含む。ここで、(i)Nnは、各蛍光測定値がとられた第1のPCR増幅実験のサイクルnにおける標的核酸の計算された量であり、(ii)Nnに対する各式は、第1のPCR増幅実験のサイクルnに関係なく、KおよびN0のみで表され、Kは、第1のPCR増幅実験のミカエリスーメンテン定数である。いくつかの実施形態では、モデルが精密化される。例えば、モデルの精密化は、第1のモデルによって計算される値Nnと第1の複数の蛍光測定値のうちの対応する蛍光測定値との間の差が最小になるまでKおよびN0を調節し、それにより第1のモデルに対するN0の最小化された値として標的核酸の初期量N0を計算することによって行える。いくつかの実施形態では、プログラムは、さらに、標的核酸の計算された初期量N0をユーザインターフェースデバイス、モニタ、コンピュータ可読ストレージ媒体、コンピュータ可読メモリ、またはローカルもしくはリモートコンピュータシステムに出力するための命令、あるいは標的核酸の計算された初期量N0を表示するための命令を実行するコンピュータを制御する。
一般に、本発明のモデルはどれも、精密化することができる。いくつかの実施形態では、このようなモデルは精密化されず、むしろ、KおよびN0の値は、KおよびN0の可能なすべての値に対する完全検索によって識別される。このような完全検索では、完全検索から識別された値KおよびN0が、モデルで使用されるnの値のそれぞれについて第1のモデルによって計算される値Nnに対する最良の一致をもたらすべきである。モデルを精密化するために精密化が使用される場合、限定はしないが、回帰、最小二乗、確率統計的手法(例えば、シミュレーテッドアニーリング;simulated annealing、遺伝的アルゴリズム;genetic algorithms)、または線形判別関数(linear discriminant functions)を含む、精密化技術が使用できる。(例えば、モデル精密化方法に関してそれぞれ参照により本明細書に組み込まれている、非特許文献1および非特許文献2を参照。)
従来技術によるリアルタイムPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)のステップを示す図である。 絶対目盛および対数目盛でリアルタイムPCR実験のそれぞれのサイクルの後に測定される蛍光シグナルを示す図である。 閾値線Tの確定およびT以上の蛍光シグナルを得るために要求されるリアルタイムPCRサイクルの数(CT)の決定を示す図である。 PBEF1の初期試料の連続希釈を表す均等目盛と対数目盛の両方における定量PCR増幅曲線を示す図である。 図4の増幅曲線からのPBEF1に対する標準曲線の計算を示し、標準曲線はN0を初期テンプレート核酸の濃度としてLog(N0)の関数としてTより大きい蛍光シグナルを得るために必要なサイクル数であるCTをプロットした曲線である、図である。 遺伝子PBEF1に対するPCR実験におけるそれぞれのサイクルの局所効率Enを示す図である。 IFNAR1の初期試料の連続希釈を表す均等目盛と対数目盛の両方における定量PCR増幅曲線、およびIFNAR1増幅曲線からのIFNAR1に対する標準曲線を示す図である。 遺伝子IFNAR1に対するPCR実験におけるそれぞれのサイクルの局所効率Enを示す図である。 PBEF1およびIFNAR1データに対する閾値Tの配置の関数としてPCR反応の推定効率の変動を示す図である。 定量PCR試料中の標的核酸の実際の初期量が知られている場合の定量PCR試料中の標的核酸の初期量の予測における絶対誤差AEおよび絶対相対誤差AREを定義する図である。 Tに対する異なる値を持つ遺伝子のPCR効率の誤差の変動がLog10ρの誤差の大きさにどのような影響を及ぼすかを示す図である。 それぞれの試料について3つの複製を持つ4つの異なる試料に対する参照遺伝子18SのCT値を示す図である。 3つの複製に基づく参照遺伝子18Sの平均CTおよびその95%信頼区間(CI)を示す図である。 それぞれの試料について3つの複製を持つ4つの異なる試料に対する発現される遺伝子PBEF1のCT値を示す図である。 3つの複製に基づく遺伝子PBEF1の平均CT値およびその95%信頼区間を示す図である。 ΔCT≡CTPBEF1−CT18Sの平均を示す図である。 PBEF1およびE18Sが変化しないと仮定した場合の比N18S/NPBEF1に対するLog10ρを示す図である。 PBEF1およびE18Sの典型的な変動を試料毎に考慮したときの比N18S/NPBEF1に対するLog10ρの信頼区間を示す図である。 ミカエリスーメンテン式に基づくモデルを使用してPCRサイクル数の関数として局所効率を示す図である。 ミカエリスーメンテン式に基づくモデルを使用してPCRサイクル数の関数として試料中の標的核酸の量を示す図である。 ミカエリスーメンテン式に基づくモデルを使用してPCRサイクル数nの関数としてのNnの計算を示す図である。 ミカエリスーメンテン式に基づくモデルを使用してPCRサイクル数nの関数としてのLog(Nn)の計算を示す図である。 本発明の一実施形態によりパラメータN0およびKのフィッティングを行うために選択された第1のPCRサイクルnstartがどのように選択されるかを示す図である。 本発明の一実施形態によりパラメータN0およびKのフィッティングを行うために選択された最後のPCRサイクルnendがどのように選択されるかを示す図である。 ミカエリスーメンテン式に基づくモデルを使用して解析されたPCR増幅曲線を示す図である。 ミカエリスーメンテン式に基づくモデルを使用して解析された2つの異なる遺伝子の連続希釈された試料のPCR増幅によって生成された均等目盛上の標準曲線を示す図である。 ミカエリスーメンテン式に基づくモデルを使用して解析された2つの異なる遺伝子の連続希釈された試料のPCR増幅によって生成された後対数目盛上の標準曲線を示す図である。 絶対誤差と絶対相対誤差の両方の誤差を、従来の定量PCRアプローチとPBEF1の試料を3点併行で連続希釈する場合のミカエリスーメンテン式に基づくモデル(MMKアプローチ)について比較した図である。 絶対誤差と絶対相対誤差の両方の誤差を、従来の定量PCRアプローチとIFNAR1の試料を3点併行で連続希釈する場合のMMKアプローチについて比較した図である。 MMKアプローチをどのように使用して均等目盛上に標準曲線を構成できるか、次いで二次項を含めることでどのように精密化できるかを示す図である。 二次項を組み込んだMMK均等目盛モデルの平均AREがどのようにPBEF1データセットについて標準qPCRによって生成された平均ARE(3.9%)より小さい(2.4%)かを示す図である。 加重二次項を組み込んだMMK均等目盛モデルの平均AREがどのようにIFNAR1データセットについて標準qPCRによって生成された平均ARE(6.5%)より小さい(5%)かを示す図である。 試料毎に効率が5〜10%程度変動すると仮定して標準qPCRを使用してlog10ρに対する変動係数CVを計算するとPBEF1データセットを使用するMMKqPCRアプローチと比べて変動係数が大きいlog10ρがどのように生成されるかを示す図である。 試料毎に効率が変動しないと仮定して標準qPCRを使用してlog10ρに対する変動係数CVを計算するとPBEF1データセットを使用するMMKqPCRアプローチと比べて変動係数が大きいlog10ρがどのように生成されるかを示す図である。 MMKモデルを使用して計算された、各試料について3つの複製を有する4つの異なる試料に対する参照遺伝子18SのN0値(上側グラフ)および3つの複製に基づくその95%信頼区間(下側グラフ)を示す図である。 図35の18Sデータセットで実行された4つの異なる試料のそれぞれの3つの複製のそれぞれに対するミカエリスーメンテン定数K値(上側グラフ)および18Sデータセット内の4つの試料のそれぞれについて計算された値N0における信頼区間(下側グラフ)を示す図である。 MMKモデルを使用して計算された、各試料について3つの複製を有する4つの異なる試料に対する遺伝子PBEF1のN0値(上側グラフ)および3つの複製に基づくその95%信頼区間(下側グラフ)を示す図である。 図37のPBEF1データセットで実行された4つの異なる試料のそれぞれの3つの複製のそれぞれに対するミカエリスーメンテン定数K値(上側グラフ)およびこのPBEF1データセット内の4つの試料のそれぞれについて計算された値N0における信頼区間(下側グラフ)を示す図である。 試料毎に効率が5〜10%程度変動すると仮定して標準qPCRを使用してlog10ρに対する変動係数CVの計算と、ADMデータセットを使用するMMKqPCRアプローチとの対比を示す図である(それぞれの試料が3つの複製を含む4つの異なる試料を含む)。 試料毎に効率が変動しないと仮定して標準qPCRを使用してlog10ρに対する変動係数CVの計算を、図39のADMデータセットを使用するMMKqPCRアプローチと対比して示す図である。 試料毎に効率が5〜10%程度変動すると仮定して標準qPCRを使用してlog10ρに対する変動係数CVの計算を、IL1R2データセットを使用するMMKqPCRアプローチと対比して示す図である(それぞれの試料が3つの複製を含む4つの異なる試料を含む)。 試料毎に効率が変動しないと仮定して標準qPCRを使用してlog10ρに対する変動係数CVの計算を、図41のIL1R2データセットを使用するMMKqPCRアプローチと対比して示す図である。 試料毎に効率が5〜10%程度変動すると仮定して標準qPCRを使用してlog10ρに対する変動係数CVの計算を、IRAK3データセットを使用するMMKqPCRアプローチと対比して示す図である(それぞれの試料が3つの複製を含む4つの異なる試料を含む)。 試料毎に効率が変動しないと仮定して標準qPCRを使用してlog10ρに対する変動係数CVの計算を、図43のIRAK3データセットを使用するMMKqPCRアプローチと対比して示す図である。 試料毎に効率が5〜10%程度変動すると仮定して標準qPCRを使用してlog10ρに対する変動係数CVの計算を、JAK3データセットを使用するMMKqPCRアプローチと対比して示す図である(それぞれの試料が3つの複製を含む4つの異なる試料を含む)。 試料毎に効率が変動しないと仮定して標準qPCRを使用してlog10ρに対する変動係数CVの計算を、図45のJAK3データセットを使用するMMKqPCRアプローチと対比して示す図である。 本発明の一実施形態により試料中の標的核酸の初期量N0を計算するためのコンピュータシステムを示す図である。
図面のいくつかの図全体を通して類似の参照番号は、対応する部分を指す。
発明の詳細な説明
本発明は、試料から取った個別PCR増幅曲線から試料中の核酸の初期量に関する定量的情報を抽出するためのシステムおよび方法を実現する。このアプローチは、PCR反応がミカエリスーメンテン式(MMK)によって律則されるという事実に基づく。
定義
本明細書で使用されている「受け取る(受信する)」および「受け取っている(受信している)」という用語は、それぞれ「入手する」または「入手しようとしている」を意味する。これは、例えば、ローカルまたはリモートコンピュータシステム、ネットワーク、またはインターネットからデータを取り出すことによって行うことができる。これは、例えば、直接測定によって行うこともできる。
本明細書で使用されている「試料」という用語は、器官、組織、または生体液からの任意の生体試料などを指し、例えば、任意の被検体から得られる肝組織試料、膵臓組織試料、軟組織、筋肉組織、骨組織、膀胱組織、肺組織、上皮組織、内皮組織、血液試料、尿、粘膜スワブは、生物検体として役立つことができる。典型的には、生体試料は、少なくとも第1の遺伝子のmRNAを含み、試料中のmRNAに関する定量的情報が望ましい。遺伝子の定量的情報は、例えば、試料中の遺伝子に対するmRNAの濃度、試料中の他の遺伝子のmRNAの存在量に関する試料中の遺伝子のmRNAの存在量、および/または試料中の遺伝子に対するmRNAの分子の数とすることができる。
本明細書で使用されている「敗血症」という用語は、SIRSの感染に加えて文書に記載されている感染に対する全身性宿主反応を指す(例えば、微生物に対する陽性培養などの臨床的に有意な感染の研究室におけるその後の確認)。したがって、敗血症は、文書に記載されている感染への全身性炎症反応を指す(例えば、参照により本明細書に組み込まれている非特許文献3を参照)。本明細書で使用されているように、「敗血症」は、限定はしないが、敗血症、重篤の敗血症、敗血症性ショック、および敗血症の末期に伴って生じる多臓器機能不全(「MOD」)の発症を含む、敗血症のすべての段階を含む。
本明細書で使用されているように、「被検体」は、動物、好ましくは哺乳類、より好ましくはヒト以外の霊長類、および最も好ましくはヒトである。「被検体」、「個体」、および「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
MMKモデル
本発明では、試験試料中の標的核酸の濃度および/または存在量に関する定量的情報をもたらすためのアプローチは、本明細書ではMMKモデルと称するモデルを使用して構成される。MMKモデルは、PCR反応が酵素反応であり、したがってミカエリスーメンテン式によって律則されるという事実に基づく。PCR反応は、典型的な酵素反応を律則する同じミカエリスーメンテン式に基づくので、PCR反応のそれぞれのステップは式
Figure 0005787517
によって律則され、
式中、Zは酵素であり、Sは基質である。そこで、Z・Sに対し擬似定常状態を仮定して、Z・Sの濃度は、
[ZS]=[Z][S]/KM (19)
のようにミカエリスーメンテン式によって決定され、
式中、KM=(kcat+k-1)/k1は、ミカエリスーメンテン定数である。したがって、生成物生成速度は
Figure 0005787517
によって与えられ、
式中、[Zt]は全酵素濃度である。式20は、ミカエリスーメンテン式によって律則される反応に対する生成物生成速度を与える。PCRにおける実際の伸長プロセスは、複雑な多段階酵素反応であるけれども、それぞれのPCRサイクルをミカエリスーメンテン式によって律則される有効な酵素反応として記述するのが妥当である。そこで、PCRサイクルnにおける生成物(DNA)生成速度vnは、
Figure 0005787517
としてモデル化される。
前の(n−1)サイクル[Dn-1]〜Nn-1からの標的DNAの濃度は、サイクルnにおける基質濃度の役割を果たす。KMは、PCRプロセスの実効ミカエリスーメンテン定数であり、プロセス全体を通して一定であると仮定される(つまり、KM(n)=KM=一定)。式21では、前のサイクルからのDNAの濃度は、次のサイクルに対する基質と考えられる。
サイクルnにおける局所PCR効率Enは、遊離濃度対全酵素濃度の比によって決定され、生成物生成速度vnに関して
Figure 0005787517
のように表すことができる。
式21を使用した場合、n番目のサイクルの効率は、前のサイクル[Dn-1]においてDNAのコピーがいくつあったかに依存する。
試料中の標的核酸のコピー数であるN0から始めて、それぞれのサイクルにおけるテンプレート分子の数を計算することができる。そこで、第1のサイクルの後の試料中の標的核酸の個数(N1)および第2のサイクルの後の試料中の標的核酸の個数(N2)は、
Figure 0005787517
で与えられる。
そこで、標的核酸のコピーの出発数であるN0から始めて、PCRプロセス全体を続けることができる。第1のサイクルにおける標的核酸のコピーの数N1は、1+第1のサイクルにおける効率E1をN0に掛けた値である。しかし、次に、第1のサイクルにおける効率が式22からわかる。これは、KをK+N0で割った値であり、Kはミカエリスーメンテン定数である。第2のサイクルにおける標的核酸のコピーの数N2は、1+第2のサイクルにおける効率E2をN1に掛けた値である。しかし、第2のサイクルにおける効率が式22からわかる。これは、KをK+N1で割った値である。さらに、N1がわかり、N0で表すことができる。このようにして、与えられたステップに対するNnを、式23によって例示されている再帰的方法で計算することができる。
式(23)について与えられる形式の式が、MMKモデルの基礎をなす。MMKモデルの特徴は、MMKモデルが、PCR増幅実験の複数の蛍光測定値のうちのそれぞれの蛍光測定値について、Nnに対する各式を含み、(i)Nnは、各蛍光測定値がとられたPCR増幅実験のサイクルnにおける標的核酸の計算された量であり、(ii)Nnに対する各式は、第1のPCR増幅実験のサイクルnに関係なく、KおよびN0のみで表され、Kは、PCR増幅実験のミカエリスーメンテン定数であることである。後述のように、MMKモデルは、有利には、MMKによって計算される値NnとPCR増幅実験における対応する蛍光測定値との間の差が最小になるまでKおよびN0を調節し、それにより第1のモデルに対するN0の最小化された値として標的核酸の初期量N0を計算するために使用されうる。いくつかの実施形態では、このようにして計算した標的核酸の初期量N0は、ユーザインターフェースデバイス、モニタ、コンピュータ可読ストレージ媒体、コンピュータ可読メモリ、またはローカルもしくはリモートコンピュータシステムに出力される。いくつかの実施形態では、このようにして計算された標的核酸の計算された初期量N0が表示される。
図19を参照すると、そこにはPCRサイクル数の関数としての局所効率がMMKモデルを使用してプロットされており、局所効率は、
Figure 0005787517
として定義され、Kに対する特定の値が仮定されている。図19では、線1902は、MMKモデルによって予測される値を示しているが、データ点は測定された値である。図19からわかるように、サイクル数が少なく、N0が小さい場合には、Nn-1はKに比べてかなり小さい。したがって、式24から、効率は100パーセントに近づくことがわかる。図19では、サイクル20より下のサイクルに対する測定可能なデータはなく、したがってこれらのサイクルの計算された効率は考えられないことに留意されたい。Nが増大するにつれ、図19からわかるように効率は徐々に減少する。その一方で、図20に示されているように、大きなnについては、関係式
Figure 0005787517
が成り立つ。
図20では、線2002は、MMKモデルによって予測される値を示しているが、データ点は測定された値である。
図21および22を参照すると、そこではNnはPCRサイクル数nの関数として計算され(図21)、log(Nn)はPCRサイクル数の関数として計算され(図22)、その際にMMKモデルが使用され、MMKモデルはPCRの指数期と直線期の両方を記述することがわかる。図21では、線2102は、MMKモデルによって予測される値を示しているが、データ点は測定された値である。図22では、線2202は、MMKモデルによって予測される値を示しているが、データ点は測定された値である。
そのため、図21および22は、MMKモデルがPCR反応の指数部分と直線期の両方を記述することをまとめて示している。さらに、図21および22からわかるように、MMKモデルと定常期(図21におけるPCRサイクル35のあたり)までの測定データとの間の適合が優れており、そこでは、いくつかの試薬が消耗し始め、またPCR反応の速度が低下し始めるが、それは、プライマーが不十分であるか、酵素が不十分であるか、または酵素の効率が落ち始めたせいである。PCR反応の定常期は、N0の値に関する情報的な値をもたらさない。
図21および22は、PCRプロセスの直線期が、基礎となる酵素反応のミカエリスーメンテン式の結果であり、一般に考えられているように、PCR試薬が切れてしまった結果ではないことをまとめて示している。ミカエリスーメンテン式は、PCR増幅の直線的部分に関わっている。試薬は、PCR増幅反応の定常期でのみ使い尽くされつつある。さらに、上述のように、定常期には、標的核酸の初期量(N0)に関する有用な情報はないが、それは、出発試薬の量、それらがPCRサイクルの早い段階でまたは後になって使い果たしてしまうかどうか、およびN0に固有でない他の因子に依存するからである。
PCR反応の第3のサイクルに取り出される、MMKモデルは、
Figure 0005787517
で与えられる。
式(26)から、モデル全体では2つのパラメータN0およびKに対して適合(フィッティング)のみすればよいことがわかる。都合のよいことに、値N0およびKがそれぞれのPCR増幅曲線に個別にフィッティングされるため、それぞれの試料および試料のそれぞれの連続希釈に対する効率は同じであるという仮定がない。この方法では、残差Nn−FSnの平方和(式中、Nnは再帰的モデルからの値であり、FSnはPCRサイクルnで測定された蛍光シグナルである)は、N0およびKに関して最小にされ、これにより、増幅軌跡のN0およびKの直接推定が得られる。例えば、PCR増幅のサイクル20を考えてみる。KとN0だけに関してN20を表す再帰的な式を、式26と同じ形式で書くことができる。次いで、この式と測定されたシグナルとの差が、2つのパラメータN0およびKに関して最小にされる。
ミカエリスーメンテン式に基づくモデルの場合、1つ問題になるのは、値N0およびKを導き出すためにPCR反応のどのサイクルをフィッティングすべきかという点である。明らかに、蛍光シグナルが背景ノイズより高くないサイクルは、フィッティングに適しない。図23を参照すると、一実施形態において、フィッティングのため選択された与えられたPCR増幅実験における第1のPCRサイクルnstartは、(i)その後のすべてのサイクルの局所効率が一貫して減少し、(ii)サイクルnstart+1の効率が1.05未満であるという基準に適合するPCRサイクルである。図23を参照すると、図23に示されているデータに対するこの一組の基準に適合するサイクルは、PCR増幅実験サイクル数19である。
図24を参照すると、一実施形態において、フィッティングに選択された与えられたPCR増幅実験の最後のPCRサイクルnendは、nstart以上のそれぞれのサイクルに対する観察されたシグナルの二次導関数(d2FS/dn2)をとり、二次導関数がゼロより小さい(d2FS/dn2<0)場合の第1のサイクルとなるようにnendを選択することによって決定される。これは、尺度シグナルが一次従属性から逸脱し始めるサイクルに対応する。図24の上側のプロットは、サイクル数nの関数として測定された蛍光シグナル(FS)を示している。図24の下側のプロットは、サイクル数nに関して測定された蛍光シグナル(FS)の二次導関数を示している。PCRサイクル数26では、図24に示されているデータに関して、d2FS/dn2<0であり、したがってnendはPCRサイクル数26となるように選択される。
いくつかの実施形態では、nstartおよびnendは、図23および24に関して上で説明されている基準によって選択される。次いで、ミカエリスーメンテン式に基づくモデルにおけるパラメータN0およびKは、集合{nstart,...,nend}に含まれるPCRサイクルに対する残差Nn−FSnの平方和が最小になるように調節され、これによりN0およびKを得る。いくつかの実施形態では、ミカエリスーメンテン式に基づくモデルにおけるパラメータN0およびKは、隣接する部分集合{nstart,...,nend}に含まれるPCRサイクルに対する残差Nn−FSnの平方和が最小になるように調節され、これによりN0およびKを得る。いくつかの実施形態では、ミカエリスーメンテン式に基づくモデルにおけるパラメータN0およびKは、集合{nstart,...,nend}に含まれるPCRサイクルに対する残差Nn−FSnの平方和が最小になるように調節され、これによりN0およびKを得る。
いくつかの実施形態では、ミカエリスーメンテン式に基づくモデルにおけるパラメータN0およびKは、PCR増幅の測定可能な指数期および直線期から5から20のPCRサイクルの集合に含まれるPCRサイクルに対する残差Nn−FSnの平方和が最小になるように調節され、これによりN0およびKを得る。いくつかの実施形態では、ミカエリスーメンテン式に基づくモデルにおけるパラメータN0およびKは、PCR増幅の測定可能な指数期および直線期から約7から12のPCRサイクルの集合に含まれるPCRサイクルに対する残差Nn−FSnの平方和が最小になるように調節され、これによりN0およびKを得る。いくつかの実施形態では、ミカエリスーメンテン式に基づくモデルに対し回帰が求められるPCRサイクルの集合は、連続的でない(例えば、nstartとnendの間の増幅系列内の1つまたは複数のサイクルが存在しない)。
そのため、上記の本発明の方法により、残差Nn−FSnの平方和の数値的最小化により、PCR増幅実験のN0およびKの直接推定が行われる。そこで、nstartおよびnendが図23および24でそれぞれ使用されている方法を使用して識別されるこれらの方法を図25に示されているPCR増幅実験に適用すると、N0=1.57×10-7およびK=0.858となる。
ミカエリスーメンテン式に基づくモデルの精度を検査するために、初期核酸テンプレート既知濃度の連続希釈[C0=80,40,20,...1.25ng/μL]を3点併行で実行し、これにPCR増幅を行った。このような希釈は、2点併行で、またはそれよりも多くの複製を使用して行われている可能性があることも理解され、本発明のMMKモデルに任意の数の複製からのデータを含めることは、本発明の範囲内にある。その結果得られるPCR増幅反応のフィッティングを、ミカエリスーメンテン式に基づくモデルで行った。これらの実験の結果は、表26に示されている。図26は、均等目盛でのPBEF1データとIFNAR1データの両方に対する初期試料の連続希釈[C0]とN0との間に予期された直線関係があることを示している。さらに、Kの値は、PBEF1については約0.8から0.93、IFNAR1については0.70から0.85の範囲に制限される。
図27を参照すると、本発明では、ミカエリスーメンテン式に基づく本発明のモデルを使用することで、標準曲線を、従来のqPCR解析と同様に、後対数目盛で作成することができる。図27に示されているように、調節されたR2はPBEF1については0.9993であり、IFNAR1については0.9971である。このデータは、ミカエリスーメンテン式に基づく本発明のモデルの妥当性を証明している。
図28は、誤差、つまり絶対誤差と絶対相対誤差を、背景技術の項で与えられている標準の定量PCRアプローチとPBEF1の試料を3点併行で連続希釈する場合に上に提示されているミカエリスーメンテン式に基づく本発明のモデル(MMKアプローチ)について比較している。図28に示されているように、PBEF1については、標準定量PCRアプローチにおけるすべての連続希釈にわたる平均(ARE)は3.9パーセントである。対照的に、MMKアプローチにおけるすべての連続希釈にわたる平均(ARE)は3.2パーセントである。そのため、MMKアプローチで生じる誤差は小さい。
図29は、誤差、つまり絶対誤差と絶対相対誤差を、背景技術の項で与えられている標準の定量PCRアプローチとIFNAR1の試料を3点併行で連続希釈する場合に上に提示されているミカエリスーメンテン式に基づく本発明のモデル(MMKアプローチ)について比較している。図29に示されているように、IFNAR1については、標準定量PCRアプローチにおけるすべての連続希釈にわたる平均(ARE)は6.5パーセントである。さらに、MMKアプローチでは、同じ6.5パーセントという値が得られる。
従来の定量PCRでは、標準曲線は対数目盛でしか作成できない。しかし、図30を参照すると、MMKモデルは、初期テンプレートDNA濃度の直接推定を行うので、MMKアプローチの範囲内で、均等目盛で標準曲線を作成し、二次項を含めるか、または加重回帰を実行して例えば平均AREを最小にすることによって精密化することが可能である。均等目盛は、N0がゼロに近づく場合を取り扱えるため有利である。対照的に、実際のN0がゼロに近づくと、計算されたN0は対数目盛上では無限大に近づく。
そのため、図26から29は、複数のPCR増幅実験のうちのそれぞれのPCR増幅実験について複数の蛍光測定値が得られる(受け取る、測定する)本発明の一態様を示している。次いで、複数のMMKモデルのうちのそれぞれのMMKモデルを精密化する。複数のMMKモデルのうちのそれぞれのMMKモデルは、複数のPCR増幅実験のうちの1つのPCR増幅実験に対するモデルである。複数のモデルのうちのそれぞれのモデルについて、各モデルは各モデルに対応するPCR増幅実験における対応する蛍光測定値に対するNnの各式を含み、(i)各モデルにおけるそれぞれのNnは、各蛍光測定値がとられた各モデルに対応するPCR増幅実験のサイクルnにおける標的核酸の量であり、(ii)各モデルにおけるNnに対する各式は、Nnに対する各式に対応している対応するPCR増幅実験における対応する蛍光測定値のサイクルnに関係なく、KおよびN0のみで表される。ここで、Kは、対応するPCR増幅実験のミカエリスーメンテン定数である。複数のモデルのうちの各モデルの精密化は、各モデルによって計算される値Nnと各モデルに対応するPCR増幅実験の複数の蛍光測定値のうちの対応する蛍光測定値との間の差が最小になるまで各モデルにおけるNnに対するそれぞれの式についてKおよびN0を調節し、それにより標的核酸の初期量N0を各モデルに対するN0の最小値として計算することを含む。
いくつかの実施形態では、複数のPCR増幅実験のうちのそれぞれのPCR増幅実験は、試料の連続希釈を表し、この方法は、複数のモデルのうちのそれぞれのモデルについてPCR増幅実験で使用される試料の相対濃度の関数として複数のモデルのうちのそれぞれのモデルについて計算された標的核酸の初期量N0のlog10(N0)をプロットすることをさらに含む。
いくつかの実施形態では、複数のPCR増幅実験のうちのそれぞれのPCR増幅実験は、試料の連続希釈を表し、この方法は、複数のモデルのうちのそれぞれのモデルについてPCR増幅実験で使用される試料の相対濃度の関数として複数のモデルのうちのそれぞれのモデルについて計算された標的核酸の初期量N0をプロットすることをさらに含む。
いくつかの実施形態では、複数のPCR増幅実験のうちのそれぞれのPCR増幅実験は、試料の連続希釈を表し、この方法は、試料の相対濃度の関数として複数のモデルのうちのそれぞれのモデルについて計算された値N0を精密化し、N0に対する単一の精密化された値がこれらの複数のモデルについて計算されるようにすることをさらに含む。いくつかの実施形態では、この精密化ステップは、複数のモデルのうちのそれぞれのモデルによって計算された値N0に関して複数のARE値の平均ARE(絶対相対誤差)を最小にする加重回帰を実行することを含み、複数のARE値におけるそれぞれの
Figure 0005787517
値は、複数のモデルのうちの各モデルに対する値であり、
Figure 0005787517
は各モデルに対応するPCR増幅実験に使用される試料の実際の相対濃度であり、
Figure 0005787517
は各モデルに対する計算された値N0によって決定される各モデルに対応するPCR増幅実験に使用される試料の計算された相対濃度である。
いくつかの実施形態では、複数のPCR増幅実験のうちのそれぞれのPCR増幅実験は、試料の連続希釈を表し、連続希釈は、2点併行または3点併行で行われ(または複製数をさらに増やして)、異なるモデルは、それぞれの連続希釈のそれぞれの2点併行について、またはそれぞれの連続希釈のそれぞれの3点併行(または複製数をさらに増やして)について計算される。
そこで、本発明は、対数目盛または均等目盛のいずれかで実行されうるMMKモデルを実現する。図28および29と併せて上で示されているように、従来の対数に基づく定量PCRに対するMMKモデルの性能が比較可能である。しかし、有利には、本発明では、MMKモデルは、均等目盛で実行することができ、次いで、例えば加重回帰を使用してより適切なモデルを構成するように精密化できる。図31は、二次項を組み込んだMMK均等目盛モデルの平均AREが如何にPBEF1データセットについて標準qPCRによって生成された平均ARE(3.9%)よりかなり小さい(2.4%)かを示す。図32は、加重二次項を組み込んだMMK均等目盛モデルの平均AREが如何にIFNAR1データセットについて標準qPCRによって生成された平均ARE(6.5%)よりかなり小さい(5.0%)かを示す。
式27を参照すると、相対検出感度および逆転写酵素関連パラメータが知られていないので、試料中の実際のmRNAレベルを決定するために、まだ計量ρ
Figure 0005787517
が必要であり、式中、NAMおよびNBMは、遺伝子AおよびBの分子の初期数についてMMKモデルによって計算された値である。有利には、ρは、パラメータが追加されてもそれらのパラメータに依存しない。例えば、効率、あるいはミカエリスーメンテン定数Kすら知る必要がないか、またはその変動を考慮する必要がない。初期濃度NAMおよびNBMは、個別のPCR増幅実験について別々に計算され、個別の反応速度に依存せず、さらに効率を調べる必要はない。
式27および本明細書で開示されている本発明のMMKモデルが与えられたとすると、本発明の他の態様は、第1のPCR増幅実験に対する第1の複数の蛍光測定値および第2のPCR増幅実験に対する第2の複数の蛍光測定値を受け取る(測定する、取得する)ことを含み、第1および第2のPCR増幅実験では、第1の遺伝子に対するmRNAおよび第2の遺伝子に対するmRNAを含む与えられた試料を使用する。
第1の複数の蛍光測定値のうちのそれぞれの蛍光測定値について、第1のモデルは、Nnに対する各式を含み、(i)Nnは、各蛍光測定値がとられた第1のPCR増幅実験のサイクルnにおける第1の遺伝子に対するmRNAの計算された量であり、(ii)Nnに対する各式は、第1のPCR増幅実験のサイクルnに関係なく、KおよびNAMのみで表され、Kは、第1のPCR増幅実験のミカエリスーメンテン定数であり、NAMは、第1のPCR増幅実験の前の試料中の第1の遺伝子の量である。
第2の複数の蛍光測定値のうちのそれぞれの蛍光測定値について、第2のモデルは、Nnに対する各式を含み、(i)Nnは、各蛍光測定値がとられた第2のPCR増幅実験のサイクルnにおける第2の遺伝子に対するmRNAの計算された量であり、(ii)第2のモデルにおけるNnに対する各式は、サイクルnに関係なく、K2およびNBMのみで表され、K2は、第2のPCR増幅実験に対するミカエリスーメンテン定数であり、NBMは、第2のPCR増幅実験の前の試料中の第2の遺伝子の量である。
いくつかの実施形態では、第1のPCR増幅実験は、試料の第1のアリコートを使用して実行され、第2のPCR増幅実験は、試料の第2のアリコートを使用して実行される。
第1のモデルの精密化は、第1のモデルによって計算される値Nnと第1の複数の蛍光測定値のうちの対応する蛍光測定値との間の差が最小になるまでKおよびNAMを調節し、それにより第1のPCR増幅実験における増幅前の試料中の第1の遺伝子に対するmRNAの初期量(NAM)を第1のモデルに対するNAMの最小値として計算することを含む。第2のモデルの精密化は、前記第2のモデルによって計算された値Nnと第2の複数の蛍光測定値のうちの対応する蛍光測定値との間の差が最小になるまでK2およびNBMを調節することを含む。この方法は、
Figure 0005787517
を計算することをさらに含む。
いくつかの実施形態では、第1の遺伝子は、表現型の特徴に関連する遺伝子であり、第2の遺伝子は、表現型の特徴に関連しない遺伝子である。例えば、いくつかの実施形態では、第1の遺伝子は、特定の表現型の特徴を有する被検体においてアップレギュレーション(発現増加制御)されるものとして知られている。いくつかの実施形態では、第1の遺伝子は、特定の表現型の特徴を有する被検体においてダウンレギュレーション(発現減少制御)されるものとして知られている。対照的に、第2の遺伝子は、表現型の特徴を有しない被検体と比べて特定の表現型の特徴を有する被検体においてアップレギュレーションもダウンレギュレーションもされない。
いくつかの実施形態では、ρが閾値より高い場合、試料に関わった種(例えば、ヒト、雌牛、イヌ、ヒツジ、任意の哺乳類、任意の植物など)の構成要素は、表現型の特徴を持つとみなされる。閾値は、適用事例に特有であるが、従来の技術を使用して過度の実験を行うことなく導くことができる。いくつかの実施形態では、ρが閾値より高い場合、試料に関わった種の構成要素は、表現型の特徴を持たないとみなされる。いくつかの実施形態では、ρが閾値未満である場合、試料に関わった種の構成要素は、表現型の特徴を持つとみなされる。いくつかの実施形態では、ρが閾値未満である場合、試料に関わった種の構成要素は、表現型の特徴を持たないとみなされる。
いくつかの実施形態では、表現型の特徴は、細胞型、細胞形態、病態、組織または器官内の異常な状態、異常な細胞型、または異常な細胞形態である。いくつかの実施形態では、表現型の特徴は、試料が採取された試験被検体が敗血症を起こす可能性のあることを示す指標である。いくつかの実施形態では、試料中の標的核酸の初期量NAMは、試料中の第1の遺伝子のmRNAの濃度である。いくつかの実施形態では、試料中の標的核酸の初期量NAMは、試料中の第1の遺伝子から転写されたmRNA分子の数である。いくつかの実施形態では、試料中の標的核酸の初期量NBMは、試料中の第1の遺伝子のmRNAの濃度である。いくつかの実施形態では、試料中の標的核酸の初期量NBMは、試料中の第1の遺伝子から転写されたmRNA分子の数である。
図33を参照し、試料毎に5〜10%程度の効率の変動があると仮定する従来の定量PCRを使用するlog10ρに対する変動係数(CV)の計算とPBEF1データセットを使用する革新的なMMKqPCRアプローチとを比べると、標準qPCRアプローチのlog10ρの変動係数は、6.90%から7.63%までの範囲であるが、MMKqPCRアプローチの変動係数は、0.99%から1.28%の範囲であることがわかる。本発明のMMKアプローチでは、変動係数の値が改善される(小さくなる)理由の1つは、MMKアプローチでは、N0が曲線毎に計算されるためPCR増幅実験のそれぞれにおいて一定であると仮定する必要がないことである。しかし、図34を参照すると、効率Eに変動がないと仮定しても、標準qPCRアプローチは、log10ρに対して大きな変動係数値を有する。
キット
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書で説明されている方法のどれかを実行するためのキットを備えることもできる。限定しない一実施例において、プライマー、逆転写用の酵素、増幅用の酵素、および追加作用物質、ならびに本明細書で開示されている方法の任意の組合せを実行するためのソフトウェアをキットに入れることができる。したがって、これらのキットは、好適な容器手段内にこれらの試薬の1つまたは複数を収容する。キットは、RNA単離、増幅生成物の精製、標識などのための薬剤も入れることができる。
ソフトウェア以外の、キットの構成要素は、水媒体または凍結乾燥形態でパッケージすることができる。キットの好適な容器手段は、一般的に、少なくとも1つのバイアル瓶、試験管、フラスコ、ボトル、注射器、または他の容器手段を備え、これらの中に構成要素を入れ、適宜一定分量に分けて入れることができる。キット内に複数の構成要素がある場合、キットは、さらに、一般的に、追加の構成要素を別々に入れることができる第2、第3、または他の追加の容器を含む。しかし、構成要素のさまざまな組合せをバイアル瓶に入れてもよい。本発明のキットは、委託販売のため厳重に密封した試薬容器を収納する手段も備える。このような容器は、所望のバイアル瓶が中に入れられて保持される射出もしくはブロー成形プラスチック容器を備えることができる。
コンピュータシステム
図47は、本発明の方法により試料中の標的核酸の初期量N0を計算する際に使用するための例示的なシステム11の詳細を示している。このシステムは、好ましくは、以下のコンポーネントを有するコンピュータシステム10を含む。
・ 中央演算処理装置22。
・ ストレージコントローラ12によって制御される、ソフトウェアおよびデータを格納するための主不揮発性ストレージユニット14、例えば、ハードディスクドライブ。
・ 不揮発性ストレージユニット14からロードされたプログラムおよびデータを含む、システム制御プログラム、データ、およびアプリケーションプログラムを格納するための、システムメモリ36、好ましくは高速ランダムアクセスメモリ(RAM)。システムメモリ36は、読み取り専用メモリ(ROM)も含むことができる。
・ 1つまたは複数の入力デバイス(例えば、キーボード28、マウス)およびディスプレイ26または他の出力デバイスを含む、ユーザインターフェース32。
・ 有線または無線通信ネットワーク34(例えば、インターネットなどのワイドエリアネットワーク)に接続するためのネットワークインターフェースカード20(通信回路)。
・ 前述の要素に給電するための電源24。
・ システムの前述の要素を相互接続するための内部バス30。
コンピュータ10の動作は、中央演算処理装置22によって実行される、オペレーティングシステム40によってもっぱら制御される。オペレーティングシステム40は、システムメモリ36内に格納できる。典型的な実装では、システムメモリ36は以下の要素も含む。
・ 本発明によって使用されるさまざまなファイルおよびデータ構造体へのアクセスを制御するためのファイルシステム42。
・ PCR増幅実験46における複数の蛍光測定値48を生成し、複数の蛍光測定値のうちのそれぞれの蛍光測定値FSn 48は試料のPCR増幅実験46において異なるサイクルnでとられる蛍光測定値である、PCR解析モジュール44。
・ PCR増幅実験52のモデルを精密化することによって複数の蛍光測定値48を処理するように適合され、複数の蛍光測定値のうちのそれぞれの蛍光測定値48についてモデル52はNnに対する各式54を含む、インテリジェント型モジュール50。
ここで、(i)Nnは、各蛍光測定値48がとられたPCR増幅実験46のサイクルnにおける標的核酸の計算された量であり、(ii)Nnに対する各式54は、PCR増幅実験46のサイクルnに関係なく、KおよびN0のみで表され、Kは、PCR増幅実験のミカエリスーメンテン定数であり、N0は、試料中の標的核酸の初期量である。インテリジェント型モジュール50によるモデルの精密化は、モデルによって計算される値Nnと複数の蛍光測定値のうちの対応する蛍光測定値との間の差が最小になるまでKおよびN0を調節し、それにより試料中の標的核酸の初期量N0を決定することを含む。
図47に示されているように、コンピュータ10は、PCR増幅実験46を含む。PCR増幅実験46は、限定はしないが、フラットファイル、リレーショナルデータベース(SQL)、またはオンライン分析処理(OLAP)データベース(MDXおよび/またはそれらの変種)を含む任意のデータストレージとすることができる。いくつかの実施形態では、図47に示されているソフトウェア、モジュール、およびデータ(例えば、モジュール44および50)は、単一コンピュータ(例えば、コンピュータ10)上にあり、他の実施形態では、これらはいくつものコンピュータ(図に示されていない)によってホストされる(格納される)。実際には、1つまたは複数のコンピュータ上の図47に示されているモジュールの配列構成は、それらの1つまたは複数のコンピュータがネットワーク34上で、または他の電子的手段によって互いに関してアドレッシング可能(アドレス可能)である限り、本発明の範囲内にある。したがって、本発明は、広範なコンピュータシステムのアレイを完全に包含する。
本発明は、コンピュータ可読ストレージ媒体に埋め込まれたコンピュータプログラムメカニズムを備えるコンピュータプログラム製品として実施されうる。さらに、本発明の方法はどれも、1つまたは複数のコンピュータで実施されうる。さらに、本発明の方法はどれも、1つまたは複数のコンピュータプログラム製品で実施されうる。本発明のいくつかの実施形態は、本明細書で開示されている方法のどれか、またはすべてを符号化するコンピュータプログラム製品を実現する。このような方法は、CD−ROM、DVD、磁気ディスクストレージ製品、または他のコンピュータ可読データもしくはプログラムストレージ製品上に格納されうる。このような方法は、ROM、1つまたは複数のプログラム可能チップ、あるいは1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)などの固定ストレージ内に埋め込むこともできる。このような固定ストレージは、サーバ、802.11アクセスポイント、802.11無線ブリッジ/無線局、リピータ、ルータ、携帯電話、または他の電子デバイス内にローカル配置することができる。コンピュータプログラム製品内に符号化されるこのような方法は、デジタル方式または搬送波でのコンピュータデータ信号(ソフトウェアモジュールが埋め込まれている)の伝送によって、インターネットまたは他の手段を介して、電子的に配送することもできる。
本発明のいくつかの実施形態は、図47に示されているプログラムモジュールのどれか、またはすべてを含むコンピュータプログラム製品を実現する。これらのプログラムをモジュールは、CD−ROM、DVD、磁気ディスクストレージ製品、または他のコンピュータ可読データもしくはプログラムストレージ製品上に格納されうる。プログラムモジュールは、ROM、1つまたは複数のプログラム可能チップ、あるいは1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)などの固定ストレージ内に埋め込むこともできる。このような固定ストレージは、サーバ、802.11アクセスポイント、802.11無線ブリッジ/無線局、リピータ、ルータ、携帯電話、または他の電子デバイス内にローカル配置することができる。コンピュータプログラム製品内のソフトウェアモジュールは、デジタル方式または搬送波でのコンピュータデータ信号(ソフトウェアモジュールが埋め込まれている)の伝送によって、インターネットまたは他の手段を介して、電子的に配送することもできる。
[実施例1]
図35を参照すると、上側のグラフに示されているのは、革新的なMMKモデルを使用して計算されたそれぞれの試料に対し3つの複製を用意した4つの異なる試料の参照遺伝子18SのN0値である。下側のグラフに示されているのは、3つの複製に基づく18Sの平均N0値およびその95%信頼区間である。図35は、革新的MMKモデルを使用して計算したときにどのように18SのN0が試料毎にあまり変化しないかを示している。さらに、N0の変動係数は、7.5%〜9.5%である(N0の均等目盛に注意)。図36を参照すると、上側グラフには、図35に示されている18Sデータセットに対するミカエリスーメンテン定数K値が、4つの測定される異なる試料のそれぞれの3つの複製のそれぞれについて与えられている。図36の下側のグラフには、4つの試料のそれぞれに対する信頼区間が与えられている。データは、Kの平均がそれぞれの試料についてほとんど同じであることを示している。しかし、Kは、複製毎に著しく異なり、(K)の変動係数は8%〜13.5%程度である。反応がそれぞれのウェル内で同じ速度で進むと予期する理由はないが、18Sに対する平均Kは、4つの試料のそれぞれについてほぼ同じであるべきである。図36の下側のグラフからわかるように、試料の平均Kの変動は非常に小さい。
[実施例2]
図37を参照すると、上側のグラフに示されているのは、革新的なMMKモデルを使用して計算されたそれぞれの試料に対し3つの複製を用意した4つの異なる試料の発現遺伝子PBEF1のN0値である。下側のグラフに示されているのは、3つの複製に基づくPBEF1の平均N0値およびその95%信頼区間である。図37は、PBEF1のN0の大きさは18Sの場合に比べて4〜5桁小さいことを示している。さらに、PBEF1(および典型的には他の発現遺伝子も)の平均N0値は、異なる試料に対し十分に隔たっており、これは、MMKモデルが、異なる試料に対するN0の値の差を認識できることを意味している。図37の下側のグラフでは、信頼区間は、3つの複製に基づいており、N0の変動係数(CV(N0))は均等目盛で4%〜9%程度である。図38を参照すると、上側グラフには、図37に示されているPBEF1データセットに対するミカエリスーメンテン定数K値が、4つの測定される異なる試料のそれぞれの3つの複製のそれぞれについて与えられている。図38の下側のグラフには、4つの試料のそれぞれにおけるKの平均およびその信頼区間が与えられている。データは、Kの平均がそれぞれの試料についてほとんど同じであることを示している。しかし、Kは、複製毎に著しく異なり、(K)の変動係数は1%〜6%程度である。反応がそれぞれのウェル内で同じ速度で進むと予期する理由はないが、それぞれの試料に対する平均Kは、ほぼ同じであるべきである。図38の下側のグラフからわかるように、試料の平均Kの変動は非常に小さい。
[実施例3]
図39を参照し、試料毎に5〜10%程度の効率の変動があると仮定する標準qPCRを使用するlog10ρに対する変動係数CVの計算と遺伝子に対するデータセットを使用する革新的なMMKqPCRアプローチ(それぞれの試料が3つの複製を含む、4つの異なる試料を含む)とを比べると、標準qPCRアプローチのlog10ρの変動係数は、10.14%から10.58%までの範囲であるが、MMKqPCRアプローチの変動係数は、0.7%から0.9%の範囲であることがわかる。図40を参照すると、効率Eに変動がないと仮定しても、標準qPCRアプローチは、log10ρに対して大きな変動係数値を有することがわかる。
[実施例4]
図41を参照すると、試料毎に効率が5〜10%程度変動すると仮定して標準qPCRを使用するlog10ρに対する変動係数CVの計算が、遺伝子IL1R2に対するデータセットを使用する革新的なMMKqPCRアプローチに基づく同じ値の計算と比較されている(それぞれの試料が3つの複製を含む4つの異なる試料を含む)。標準qPCRアプローチに対するlog10ρの変動係数は、12.87%から13.87%までの範囲であるが、MMKqPCRアプローチに対する変動係数は、0.77%から0.84%までの範囲であることがわかる。図42を参照すると、効率Eに変動がないと仮定しても、標準qPCRアプローチは、log10ρに対して大きな変動係数値を有することがわかる。
[実施例5]
図43を参照すると、試料毎に効率が5〜10%程度変動すると仮定して標準qPCRを使用するlog10ρに対する変動係数CVの計算が、遺伝子IRAK3に対するデータセットを使用する革新的なMMKqPCRアプローチに基づく同じ値の計算と比較されている(それぞれの試料が3つの複製を含む4つの異なる試料を含む)。標準qPCRアプローチに対するlog10ρの変動係数は、7.32%から7.73%までの範囲であるが、MMKqPCRアプローチに対する変動係数は、0.72%から1.23%までの範囲であることがわかる。図42を参照すると、効率Eに変動がないと仮定しても、標準qPCRアプローチは、log10ρに対して大きな変動係数値を有することがわかる。
[実施例6]
図45を参照すると、試料毎に効率が5〜10%程度変動すると仮定して標準qPCRを使用するlog10ρに対する変動係数CVの計算が、遺伝子JAK3に対するデータセットを使用する革新的なMMKqPCRアプローチに基づく同じ値の計算と比較されている(それぞれの試料が3つの複製を含む4つの異なる試料を含む)。標準qPCRアプローチに対するlog10ρの変動係数は、6.57%から7.05%までの範囲であるが、MMKqPCRアプローチに対する変動係数は、0.96%から1.5%までの範囲であることがわかる。図46を参照すると、効率Eに変動がないと仮定しても、標準qPCRアプローチは、log10ρに対して大きな変動係数値を有することがわかる。
引用文献
本明細書で引用されているすべての参考文献は、そっくりそのまま参照により、またそれぞれの個別の刊行物または特許もしくは特許出願が、すべての目的に関して参照によりそっくりそのまま組み込まれることを特に、また個別に指示されていた場合と同じ程度にすべての目的に関して、本明細書に組み込まれる。
修正
本発明の多くの修正ならびに変更は、当業者には明らかなように、本明細書の精神および範囲から逸脱することなく行うことができる。本明細書で説明されている特定の実施形態は、例としてのみ示されており、本発明は、付属の請求項の表現によってのみ、そのような請求項が関係する均等物の全範囲ともに、制限されるものとする。

Claims (49)

  1. 試料中の標的核酸の初期量N0を計算する方法であって、
    該方法が、
    第1の複数の蛍光測定値を受け取るステップ(A)であって、
    前記第1の複数の蛍光測定値のうちのそれぞれの蛍光測定値FSnは、前記試料の第1のPCR増幅実験において異なるサイクルnでとられる蛍光測定値である、
    受け取るステップと、
    前記第1のPCR増幅実験において前記標的核酸の前記初期量N0をコンピュータシステムにより計算する第1のモデルを計算するステップ(B)であって、
    前記第1の複数の蛍光測定値のうちのそれぞれの蛍光測定値について、前記第1のモデルが以下のNnに対する式を有し、
    Figure 0005787517
    式中、
    (i)前記Nnは、前記各蛍光測定値が測定された前記第1のPCR増幅実験のサイクルnにおける前記標的核酸の前記計算された量であり、
    (ii)前記Nnに対する前記式は、前記第1のPCR増幅実験のサイクルnに関係なく、KおよびN0のみで表され、Kは、前記第1のPCR増幅実験のミカエリスーメンテン定数である、
    計算するステップと、
    前記第1のモデルを用いて、前記第1のPCR増幅実験における前記標的核酸の初期量N0を計算するステップ(C)と、
    前記第1のモデルによってコンピュータシステムにより計算される値Nnと前記第1の複数の蛍光測定値のうちの対応する蛍光測定値との間の差が最小になるまでKおよびN0を調節し、
    それにより標的核酸の前記初期量N0を前記第1のモデルに対するN0の前記最小値として計算することによって前記第1のモデルを精密化するステップ(D)と、
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、
    前記計算ステップ(C)で計算された標的核酸の前記計算された初期量N0を、ユーザ可読形式でユーザインターフェースデバイス、
    モニタ、
    コンピュータ可読ストレージ媒体、
    コンピュータ可読メモリ、または
    ローカルもしくは、
    リモートコンピュータシステムに出力するか、
    あるいは前記計算ステップ(C)で計算された標的核酸の前記計算された初期量N0を表示するステップ(E)をさらに含むことを特徴とする方法。
  3. 請求項1に記載の方法であって、
    KおよびN0の調節による前記第1のモデルの精密化は、N0およびKに関する複数の残差Nn−FSnの平方和を最小にするステップを含むことを特徴とする方法。
  4. 請求項1に記載の方法であって、
    前記第1のPCR増幅実験が、直線期のサイクルと指数期のサイクルを含み、
    前記第1の複数の蛍光測定値が、前記第1のPCR増幅実験の前記指数期のサイクルおよび前記第1のPCR増幅実験の前記直線期のサイクルからとられる蛍光測定値からなることを特徴とする方法。
  5. 請求項1に記載の方法であって、
    前記第1の複数の蛍光測定値が、
    前記第1のPCR増幅実験の複数の連続するサイクルからとられる蛍光測定値からなり、
    前記第1のPCR増幅実験における前記複数の連続するサイクルの最初のサイクルはnstartと表され、および前記第1のPCR増幅実験における前記複数の連続するサイクルの最後のサイクルはnendと表される、ことを特徴とする方法。
  6. 請求項5に記載の方法であって、
    前記nstartが、
    (i)前記第1のPCR増幅実験におけるその後のすべてのサイクルの効率が一貫して減少し、及び、
    (ii)前記第1のPCR増幅実験の前記サイクルnstart+1の効率が1.05未満である前記第1のPCR増幅実験における前記PCRサイクルであることを特徴とする方法。
  7. 請求項5に記載の方法であって、
    endは、前記観察された蛍光シグナルの二次導関数(d2FS/dn2)がゼロ未満となる前記第1のPCR増幅実験における第1のサイクルであることを特徴とする方法。
  8. 請求項1に記載の方法であって、
    前記第1のPCR増幅実験は、
    直線期のサイクルを含み、
    前記第1の複数の蛍光測定値が、前記第1のPCR増幅実験の測定可能な指数および直線期の7個から12個までの点からなることを特徴とする方法。
  9. 請求項1に記載の方法であって、
    前記受け取るステップ(A)が、
    複数の増幅実験のうちのそれぞれのPCR増幅実験に対する複数の蛍光測定値を受け取り、
    前記第1のPCR増幅実験が前記複数のPCR増幅実験に含まれることを含み、
    前記計算ステップ(B)が、
    前記複数のPCR増幅実験のうちのそれぞれのPCR増幅実験に対する以下の式で示される複数のモデルのうちのあるモデルを計算し、
    前記複数のモデルのうちのそれぞれのモデルについて、前記各モデルは前記各モデルに対応する前記PCR増幅実験における前記対応する蛍光測定値に対するNn式中
    (i)前記各モデルにおけるそれぞれのNnは、前記各蛍光測定値が測定された前記各モデルに対応する前記PCR増幅実験のサイクルnにおける標的核酸の量であり、
    (ii)前記各モデルにおけるNnに対する式は、Nnに対する式に対応している前記対応するPCR増幅実験における前記対応する蛍光測定値の前記サイクルnに関係なく、KXおよびN0のみで表され、
    Xは前記対応するPCR増幅実験xのミカエリスーメンテン定数である式を含み、
    (iii)それぞれのモデルはNnに対する式
    Figure 0005787517
    を含むことを特徴とする方法。
  10. 請求項9に記載の方法であって、
    前記複数のモデルのうちの各モデルの精密化を、
    前記各モデルによって計算される値Nnと前記各モデルに対応する前記PCR増幅実験の前記複数の蛍光測定値のうちの対応する蛍光測定値との間の差が最小になるまで前記各モデルにおけるNnに対するそれぞれの式についてKおよびN0を調節し、
    それにより標的核酸の前記初期量N0を各モデルに対するN0の前記最小値として計算することによって行うステップ(D)をさらに含むことを特徴とする方法。
  11. 請求項9に記載の方法であって、
    前記複数のPCR増幅実験のうちのそれぞれのPCR増幅実験は、
    前記試料の連続希釈を表し、
    前記複数のモデルのうちのそれぞれのモデルについて、
    前記PCR増幅実験で使用される前記試料の相対濃度の関数として前記複数のモデルのうちのそれぞれのモデルについて計算された標的核酸の前記初期量N0のlog10(N0)をプロットするステップ(D)をさらに含むことを特徴とする方法。
  12. 請求項9に記載の方法であって、
    前記複数のPCR増幅実験のうちのそれぞれのPCR増幅実験は、前記試料の連続希釈を表し、
    前記複数のモデルのうちのそれぞれのモデルについて、
    前記PCR増幅実験で使用される前記試料の相対濃度の関数として前記複数のモデルのうちのそれぞれのモデルについて計算された標的核酸の前記初期量N0をプロットするステップ(D)をさらに含むことを特徴とする方法。
  13. 請求項9に記載の方法であって、
    前記複数のPCR増幅実験のうちのそれぞれのPCR増幅実験は、前記試料の連続希釈を表し、
    前記試料の相対濃度の関数として前記複数のモデルのうちのそれぞれのモデルについて計算された前記値N0を精密化し、
    0に対する単一の精密化された値が前記複数のモデルについて計算されるようにするステップ(D)をさらに含むことを特徴とする方法。
  14. 請求項13に記載の方法であって、
    前記精密化ステップ(D)は、
    前記複数のモデルのうちのそれぞれのモデルによって計算された前記値N0に関して複数のARE値の平均ARE(絶対相対誤差)を最小にする加重回帰を実行することを含み、
    前記複数のARE値におけるそれぞれの
    Figure 0005787517

    値は、前記複数のモデルのうちの各モデルに対する値であり、
    Figure 0005787517

    は前記各モデルに対応する前記PCR増幅実験に使用される前記試料の実際の相対濃度であり、
    Figure 0005787517

    は前記各モデルに対する前記計算された値N0によって決定される前記各モデルに対応する前記PCR増幅実験に使用される前記試料の前記計算された相対濃度であることを特徴とする方法。
  15. 請求項9に記載の方法であって、
    前記複数のPCR増幅実験のうちのそれぞれのPCR増幅実験は、
    前記試料の連続希釈を表し、
    前記連続希釈は、2点併行または3点併行で行われ、
    異なるモデルは、それぞれの連続希釈のそれぞれの2点併行について、またはそれぞれの連続希釈のそれぞれの3点併行について計算されることを特徴とする方法。
  16. 請求項1に記載の方法であって、
    前記受け取るステップ(A)は、
    前記試料を使用して第2のPCR増幅実験に対する複数の蛍光測定値を受け取ることを含み、
    前記計算ステップ(B)は、
    前記第2のPCR増幅実験に対する第2のモデルを計算することを含み、
    前記第2の複数の蛍光測定値のうちのそれぞれの蛍光測定値について、前記第2のモデルは、Nnに対する式を含み、
    式中、
    (i)Nnは、前記各蛍光測定値が測定された前記第2のPCR増幅実験のサイクルnにおける標的核酸の前記計算された量であり、
    (ii)前記第2のモデルにおけるNnに対する前記式は、サイクルnに関係なく、K2およびN0のみで表され、
    2は、前記第2のPCR増幅実験に対するミカエリスーメンテン定数であり、
    第2のモデルへの式Nn
    Figure 0005787517
    を含み、
    前記第1のモデルによってコンピュータシステムにより計算されるN0に対応する前記試料、および前記第2のモデルによって計算されるN0に対応する前記試料をコンピュータシステムにより計算するステップ(D)と、

    Figure 0005787517

    を計算するステップ(E)をさらに含み、
    式中、
    AMは、前記第1のモデルによって計算される前記試料に対する前記計算されたN0であり、
    BMは、前記第2のモデルによって計算される前記試料に対する前記計算されたN0であることを特徴とする方法。
  17. 請求項16に記載の方法であって、
    前記第2のモデルは、前記第2のモデルによって計算された値Nnと、
    前記第2の複数の蛍光測定値のうちの対応する蛍光測定値との間の差が最小になるまでK2およびN0を調節することによって前記計算ステップ(B)の実行において精密化されることを特徴とする方法。
  18. 請求項16に記載の方法であって、
    前記第1の増幅実験は、第1の遺伝子のmRNAを増幅し、
    前記第2の増幅実験は、第2の遺伝子のmRNAを増幅し、
    式中、
    AMは、前記試料中の前記第1の遺伝子の前記mRNAの存在量の尺度であり、
    BMは、前記試料中の前記第2の遺伝子の前記mRNAの存在量の尺度であることを特徴とする方法。
  19. 請求項18に記載の方法であって、
    前記第1の遺伝子は、表現型の特徴に関連する遺伝子であり、
    前記第2の遺伝子は、表現型の特徴に関連しない遺伝子であることを特徴とする方法。
  20. 請求項19に記載の方法であって、
    ρが閾値より高い場合、前記試料に関わった種の構成要素は、前記表現型の特徴を持つとみなされることを特徴とする方法。
  21. 請求項19に記載の方法であって、ρが閾値より高い場合、前記試料に関わった種の構成要素は、前記表現型の特徴を持たないとみなされることを特徴とする方法。
  22. 請求項19に記載の方法であって、ρが閾値より低い場合、前記試料に関わった種の構成要素は、前記表現型の特徴を持つとみなされることを特徴とする方法。
  23. 請求項19に記載の方法であって、ρが閾値より低い場合、前記試料に関わった種の構成要素は、前記表現型の特徴を持たないとみなされることを特徴とする方法。
  24. 請求項19に記載の方法であって、前記表現型の特徴は、細胞型、細胞形態、病態、組織または器官内の異常な状態、異常な細胞型、または異常な細胞形態であることを特徴とする方法。
  25. 請求項19に記載の方法であって、
    前記表現型の特徴は、前記試料が採取された試験被検体が敗血症を起こす可能性のあることを示す指標であることを特徴とする方法。
  26. 請求項1に記載の方法であって、
    前記試料中の標的核酸の前記初期量N0は、前記試料中の第1の遺伝子の前記mRNAの濃度であることを特徴とする方法。
  27. 請求項1に記載の方法であって、
    前記試料中の標的核酸の前記初期量N0は、前記試料中の第1の遺伝子から転写されたmRNA分子の個数であることを特徴とする方法。
  28. 試料が表現型の特徴を有するかどうかを判定する方法であって、
    第1の複数のサイクルを含む第1のPCR増幅実験に対する第1のモデルを計算するステップ(A)であって、
    (i)前記第1のPCR増幅実験は、第1の複数の蛍光測定値を含み、
    (ii)前記第1の複数の蛍光測定値のうちのそれぞれの測定は、前記第1のPCR増幅実験の前記第1の複数のサイクルのうちの異なる1つのサイクルから行われ、
    (iii)前記第1のPCR増幅実験は、前記試料中の第1の遺伝子のPCR増幅であり、
    (iv)前記第1のモデルは、前記第1のPCR増幅実験におけるそれぞれのサイクルnに対する以下の前記第1の遺伝子の量Nnの式を含み、
    (v)前記第1のモデルにおけるNnに対する式は、前記式Nnによって表される前記サイクルnに関係なく、K1およびNAMのみで表され、および、
    前記第1のモデルに対するNnに対応する前記式は

    Figure 0005787517
    を含み、
    式中、
    (vi)K1は、前記第1のPCR増幅実験に対するミカエリスーメンテン定数であり、
    (vii)NAMは、前記試料の前記第1のPCR増幅実験の前の前記試料中の前記第1の遺伝子の量である、計算するステップと、
    第2の複数のサイクルを含む第2のPCR増幅実験に対する第2のモデルを計算するステップ(B)であって、
    (i)前記第2のPCR増幅実験は、第2の複数の蛍光測定値を含み、
    (ii)前記第2の複数の蛍光測定値のうちのそれぞれの測定は、前記第2のPCR増幅実験の前記第2の複数のサイクルのうちの異なる1つのサイクルから行われ、
    (iii)前記第2のPCR増幅実験は、前記試料中の第2の遺伝子のPCR増幅であり、
    (iv)前記第2のモデルは、前記第2のPCR増幅実験におけるそれぞれのサイクルnに対する前記第2の遺伝子の量Nnの式を含み、
    (v)前記第2のモデルにおけるNnに対する式は、前記式Nnによって表される前記
    サイクルnに関係なく、K2およびNBMのみで表され、および、
    前記第2のモデルに対するNnに対応する前記式は

    Figure 0005787517
    を含み、
    式中、
    (vi)K2は、前記第2のPCR増幅実験に対するミカエリスーメンテン定数であり、
    (vii)NBMは、前記試料の前記第2のPCR増幅実験の前の前記試料中の前記第2の遺伝子の量である、計算するステップと、
    AMを計算させる前記第1のモデルおよび、NBMを計算させる前記第2のモデルを用いるステップ(C)と、

    Figure 0005787517

    をコンピュータシステムにより計算するステップ(D)と、および、
    ρは閾値よりも上か下かをコンピュータシステムにより決定するステップ(E)であって、
    ρについて計算された前記値は、前記試料が前記表現型の特徴を有するかどうかを示すことを決定するステップと、
    を含み、
    前記複数のPCR増幅実験のうちのそれぞれのPCR増幅実験は、前記試料の連続希釈を表し、前記方法がさらに、
    前記計算するステップ(C)の前に前記試料の相対濃度の関数として前記複数の第1のモデルのうちのそれぞれのモデルについて計算された前記値NAMを精密化すること、および、
    前記計算するステップ(C)の前に前記試料の相対濃度の関数として前記複数の第2のモデルのうちのそれぞれのモデルについて計算された前記値NBMを精密化することを含み、
    前記NAMの精密化は、前記第1のモデルのそれぞれによって計算されたNAMに関して複数のARE値の平均ARE(絶対相対誤差)を最小にする加重回帰を実行するステップを含み、
    前記複数のARE値におけるそれぞれの
    Figure 0005787517

    値は、前記複数の第1のモデルのうちの各第1のモデルに対する値であり、
    Figure 0005787517

    は前記各第1のモデルに対応する第1のPCR増幅実験で使用される前記試料の実際の相対濃度であり、
    Figure 0005787517

    は前記各第1のモデルに対する前記計算された値NAMによって決定される前記各第1のモデルに対応する前記第1のPCR増幅実験に使用される前記試料の前記計算された相対濃度であり、
    BMの精密化は、前記第2のモデルのそれぞれによって計算されたNBMに関して複数のARE値の平均ARE(絶対相対誤差)を最小にする加重回帰を実行することを含み、
    前記複数のARE値におけるそれぞれの
    Figure 0005787517

    値は、前記複数の第2のモデルのうちの各第2のモデルに対する値であり、
    Figure 0005787517

    は前記各第2のモデルに対応する第2のPCR増幅実験で使用される前記試料の実際の相対濃度であり、
    Figure 0005787517

    は前記各第2のモデルに対する前記計算された値NAMによって決定される前記各第2のモデルに対応する前記第2のPCR増幅実験に使用される前記試料の前記計算された相対濃度であることを特徴とする方法。
  29. 請求項28に記載の方法であって、
    前記ステップ(A)は、複数の第1のモデルを計算し、
    それぞれの第1のモデルは、前記試料の連続希釈からの前記第1の遺伝子のPCR増幅実験であり、
    式中、
    AMは、前記第1のモデルのそれぞれから決定された前記値NAMの中心傾向の尺度としてみなされることをさらに含み、
    前記ステップ(B)は、複数の第2のモデルを計算し、
    それぞれの第2のモデルは、前記試料の連続希釈からの前記第2の遺伝子のPCR増幅実験であり、
    式中、
    BMは、前記第2のモデルのそれぞれから決定された前記値NBMの中心傾向の尺度としてみなされることをさらに含むことを特徴とする方法。
  30. 請求項29に記載の方法であって、
    前記試料の第1のアリコートは、ステップ(A)の前記連続希釈で使用され、
    前記試料の第2のアリコートは、ステップ(B)の前記連続希釈で使用されることを特徴とする方法。
  31. 請求項29に記載の方法であって、
    前記ステップ(A)の前記連続希釈は、2点併行または3点併行で行われ、
    異なる第1のモデルは、前記第1の遺伝子について、それぞれの希釈のそれぞれのPCR増幅実験についてコンピュータシステムにより計算され、
    式中、
    AMは、前記第1のモデルのそれぞれから計算された前記値NAMの中心傾向の尺度としてみなされ、
    前記ステップ(B)の前記連続希釈は、2点併行または3点併行で行われ、
    異なる第1のモデルは、前記第2の遺伝子について、それぞれの希釈のそれぞれのPCR増幅実験についてコンピュータシステムにより計算され、
    式中、
    BMは、前記第2のモデルのそれぞれから計算された前記値NBMの中心傾向の尺度としてみなされることを特徴とする方法。
  32. 請求項28に記載の方法であって、
    式中、
    前記NAMは、前記試料中の前記第1の遺伝子の前記mRNAの濃度であり、
    前記NBMは、前記試料中の前記第2の遺伝子の前記mRNAの濃度であることを特徴とする方法。
  33. 請求項28に記載の方法であって、
    式中、
    前記NAMは、前記試料中の前記第1の遺伝子から転写されたmRNA分子の個数であり、
    前記NBMは、前記試料中の前記第2の遺伝子から転写されたmRNA分子の個数であることを特徴とする方法。
  34. 請求項28に記載の方法であって、
    前記第1の増幅実験は、第1の遺伝子のmRNAを増幅し、
    前記第2の増幅実験は、第2の遺伝子のmRNAを増幅し、
    式中、
    AMは、前記試料中の前記第1の遺伝子の前記mRNAの存在量の尺度であり、
    BMは、前記試料中の前記第2の遺伝子の前記mRNAの存在量の尺度であることを特徴とする方法。
  35. 請求項28に記載の方法であって、
    前記第1の遺伝子は、表現型の特徴に関連する遺伝子であり、
    前記第2の遺伝子は、表現型の特徴に関連しない遺伝子であることを特徴とする方法。
  36. 請求項35に記載の方法であって、
    ρが閾値より高い場合、前記試料に関わった種の構成要素は、前記表現型の特徴を持つとみなされることを特徴とする方法。
  37. 請求項35に記載の方法であって、
    ρが閾値より高い場合、前記試料に関わった種の構成要素は、前記表現型の特徴を持たないとみなされることを特徴とする方法。
  38. 請求項35に記載の方法であって、
    ρが閾値より低い場合、前記試料に関わった種の構成要素は、前記表現型の特徴を持つとみなされることを特徴とする方法。
  39. 請求項35に記載の方法であって、
    ρが閾値より低い場合、前記試料に関わった種の構成要素は、前記表現型の特徴を持たないとみなされることを特徴とする方法。
  40. 請求項35に記載の方法であって、
    前記表現型の特徴は、細胞型、細胞形態、病態、組織または器官内の異常な状態、異常な細胞型、または異常な細胞形態であることを特徴とする方法。
  41. 請求項28に記載の方法であって、
    前記試料の前記第1のPCR増幅実験の前の前記試料中の前記第1の遺伝子の量は、前記試料中の前記第1の遺伝子の前記mRNAの濃度であることを特徴とする方法。
  42. 請求項28に記載の方法であって、
    前記試料の前記第1のPCR増幅実験の前の前記試料中の前記第1の遺伝子の量は、前記試料中の前記第1の遺伝子から転写されたmRNA分子の個数であることを特徴とする方法。
  43. 請求項28に記載の方法であって、
    ρをユーザ可読形式でユーザインターフェースデバイス、
    モニタ、
    コンピュータ可読ストレージ媒体、
    コンピュータ可読メモリ、または
    ローカルもしくはリモートコンピュータシステムに出力すること、あるいは
    ρを表示するステップ(D)をさらに含むことを特徴とする方法。
  44. PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)システムであって、
    複数の蛍光測定値を生成し、前記複数の蛍光測定値のうちのそれぞれの蛍光測定値FSnが試料のPCR増幅実験において異なるサイクルnでとられる蛍光測定値である、PCR解析モジュールと、
    前記試料中の前記標的核酸の計算された初期量N0をもたらす前記PCR増幅実験のモデルをコンピュータシステムにより計算することによって前記複数の蛍光測定値を処理するように適合されたインテリジェント型モジュールとを備え、
    前記複数の蛍光測定値のうちのそれぞれの蛍光測定値について前記インテリジェント型モデルが以下のNnに対する式を含み、
    式中、
    (i)Nnは、前記各蛍光測定値が測定された前記PCR増幅実験のサイクルnにおける前記標的核酸の前記計算された量であり、
    (ii)Nnに対する前記式は、前記PCR増幅実験のサイクルnに関係なく、KおよびN0のみで表され、
    KはPCR増幅実験のミカエリスーメンテン定数である式を含み、
    前記Nnに対する式が、
    Figure 0005787517
    を含み、
    前記インテリジェント型モジュールは、
    前記モデルによって計算される値Nnと、及び、
    前記複数の蛍光測定値のうちの対応する蛍光測定値との間の差が最小になるまでKおよびN0を調節し、それにより前記試料中の前記標的核酸の前記計算された初期量N0を決定するための命令とを含む、
    ことを特徴とするPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)システム。
  45. 請求項44に記載のPCRシステムであって、
    前記インテリジェント型モジュールは、
    0をユーザインターフェースデバイス、
    モニタ、
    コンピュータ可読ストレージ媒体、
    コンピュータ可読メモリ、
    またはローカルもしくはリモートコンピュータシステムに出力するための命令、
    あるいはN0を表示するための命令をさらに備えることを特徴とするPCRシステム。
  46. 試料中の標的核酸の初期量N0を計算するためのコンピュータシステムであって、
    前記コンピュータシステムはプロセッサ、前記プロセッサに結合されたメモリおよび前記メモリ格納するモジュールを備え、
    前記モジュールは、
    第1の複数の蛍光測定値を受け取るための命令であって、
    前記複数の蛍光測定値のうちのそれぞれの蛍光測定値FSnが前記試料の第1のPCR増幅実験において異なるサイクルnでとられる蛍光測定値である命令(A)と、
    前記試料中の前記標的核酸の計算された初期量N0をもたらす前記PCR増幅実験のモデルを計算するための命令(B)とを含み、
    前記第2の複数の蛍光測定値のうちのそれぞれの蛍光測定値について、前記モデルは、以下のNnに対する式を含み、
    式中、
    (i)Nnは、前記各蛍光測定値が測定された前記PCR増幅実験のサイクルnにおける前記標的核酸の前記計算された量であり、
    (ii)Nnに対する前記式は、前記PCR増幅実験のサイクルnに関係なく、KおよびN0のみで表され、Kは、PCR増幅実験のミカエリスーメンテン定数であって、
    前記Nnに対する式が、
    Figure 0005787517
    を含む、
    命令からなるモジュールを備え、
    前記命令は前記モデルを計算するための命令であって、
    前記命令は、
    前記モデルによって計算される値Nnと前記複数の蛍光測定値のうちの対応する蛍光測定値との間の差が最小になるまでKおよびN0を調節し、それにより前記モデルに対するN0の前記最小値として標的核酸の前記計算された初期量N0を計算することによって前記モデルを精密化するための命令であることを特徴とするコンピュータシステム。
  47. 請求項46に記載のコンピュータシステムであって、
    前記モジュールは、
    前記計算(B)のための前記命令によって計算された標的核酸の前記計算された初期量N0をユーザインターフェースデバイス、モニタ、コンピュータ可読ストレージ媒体、コンピュータ可読メモリ、またはローカルもしくはリモートコンピュータシステムに出力するための命令、あるいは前記計算(B)のための前記命令によって計算された標的核酸の前記計算された初期量N0を表示するための命令をさらに備えることを特徴とするコンピュータシステム。
  48. 試料中の標的核酸の初期量N0を計算するためのコンピュータによって実行可能なコンピュータプログラムを格納する固定ストレージ内に埋め込まれたコンピュータ可読媒体であって、
    前記コンピュータプログラムが、
    複数の蛍光測定値を受け取るための命令(A)であって、
    前記複数の蛍光測定値のうちのそれぞれの蛍光測定値FSnが前記試料のPCR増幅実験において異なるサイクルnでとられる蛍光測定値である、命令と、
    前記試料中の前記標的核酸の計算された初期量N0をもたらす前記PCR増幅実験のモデルを計算するための命令(B)であって、
    前記複数の蛍光測定値のうちのそれぞれの蛍光測定値について、前記モデルは、以下のNnに対する式を含み、
    Figure 0005787517
    式中、
    (i)Nnは、前記各蛍光測定値が測定された前記PCR増幅実験のサイクルnにおける前記標的核酸の前記計算された量であり、
    (ii)Nnに対する前記式は、前記PCR増幅実験のサイクルnに関係なく、KおよびN0のみで表され、Kは、PCR増幅実験のミカエリスーメンテン定数である命令と、を含み、
    前記固定ストレージ内に埋め込まれたコンピュータ可読媒体であって、
    計算するための前記命令は、
    前記モデルによって計算される値Nnと、
    前記複数の蛍光測定値のうちの対応する蛍光測定値との間の差が最小になるまでKおよびN0を調節し、
    それにより前記モデルに対するN0の前記最小値として標的核酸の前記初期量N0を計算することによって前記モデルを精密化することをさらに含むコンピュータプログラムを格納することを特徴とするコンピュータ可読媒体。
  49. 請求項48に記載の固定ストレージ内に埋め込まれたコンピュータ可読媒体であって、
    前記コンピュータプログラム製品は、
    ユーザ可読形式で計算(B)のための前記命令によって計算された標的核酸の前記計算された初期量N0をユーザインターフェースデバイス、モニタ、コンピュータ可読ストレージ媒体、コンピュータ可読メモリ、またはローカルもしくはリモートコンピュータシステムに出力するための命令、
    あるいは計算(B)のための前記命令で計算された標的核酸の前記計算された初期量N0を表示するための命令をさらに備えることを特徴とするコンピュータ可読媒体。
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