JP5786820B2 - 成形性、破壊特性及び疲労特性に優れた熱延鋼板及びその製造方法 - Google Patents

成形性、破壊特性及び疲労特性に優れた熱延鋼板及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、成形性、破壊特性及び疲労特性に優れた熱延鋼板及びその製造方法に関するものである。
近年自動車の燃費低減に向け自動車の軽量化が望まれている。自動車のアーム部品には引張強度で440MPa級の熱延鋼板が多く用いられている。それらの部品は、素材となる鋼板の穴広げ性といった成形性を改善し複雑な断面構造を可能とすることにより軽量化が可能となる。これは、成形性の改善により、部品強度を得るために必要な断面係数を板厚でなくて断面形状により得ることができるようになるためである。
穴広げ性の改善に当たっては、その評価指標である穴広げ率はばらつきが比較的大きいことから、穴広げ性を改善する上では、その穴広げ率の平均値(λave)のみならず、ばらつきを表す指標となる穴広げ率の標準偏差σλを低減させることが重要である。
また、自動車が縁石に乗り上げる等して強い衝撃荷重が足回り部品に負荷された場合に、その足回り部品の打ち抜き面を起点として延性破壊が生じる恐れがある。このため、このような足回り部品等の構造用部材として用いられる鋼板について、その破壊特性を向上させる必要がある。この破壊特性を表す指標としては、後述のような、切り欠き付き三点曲げ試験によって得られる特性値であるき裂発生抵抗値Ji(J/m)が挙げられる。き裂発生抵抗値Jiは、衝撃荷重が加わった際の構造用部材を構成する鋼板からのき裂の発生(破壊の開始)に対する抵抗を表す。衝撃荷重が加わった際に構造用部材の安全性を損なわないためにはその改善が重要である。
上述の観点で十分な軽量化効果を得る観点から、引張強度が440MPa〜590MPaの熱延鋼板に対して、かつ穴広げ率の平均値λave≧150%、穴広げ率の標準偏差σλ≦15%、Ji値≧1600000J/mが求められている。また、足回り部品には、路面からの衝撃や加減速時の自動車部品への負荷による繰り返し応力による疲労破壊を防ぐ観点から、自動車用鋼板には上記の他に高い疲労強度も求められており、疲労限度比(疲労強度/引張強度)で0.47以上が求められている。
穴広げ性に優れた高強度鋼板としては、特許文献1に示されるような技術が知られている。これは、引張強度が440MPa以上の鋼を対象として、フェライトマトリックスを微細とした上で、パーライトまたはセメンタイトを微細に分散させることにより良好な穴広げ性を得る技術であるが、本技術は、主に組織制御により高い穴広げ性を得るものであり、そのために成分や製造条件に制約が加わるため、製造コストの増加を招くので、実用上好ましくない。また、破壊特性、疲労特性には言及されていない。
特開平6−299236号公報
そこで、本発明の一態様は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは成形性、破壊特性及び疲労特性に優れた熱延鋼板及びその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上述した課題を解決するために、鋭意検討の末、下記の成形性、破壊特性及び疲労特性に極めて優れた熱延鋼板及びその製造方法を発明した。
[1]質量%で、
C :0.01〜0.07%、
Si :0.001〜2.0%、
Mn :0.01〜2.0%、
P :0.02%以下、
S :0.01%以下、
Al :0.005〜1.0%、
N :0.02%以下、
希土類元素(以下、「REM」という。):0.0001〜0.02%、
Ca :0.0001〜0.01%
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼板であって、
下記の式(1)を満足し、
ミクロ組織がフェライト組織からなる主相と、パーライト及びベイナイトの一方または双方の組織からなる第二相の混合組織であり、圧延方向の直線上に隣り合う他の介在物に対して50μm以下の間隔を空けて並んだ長径が3μm以上である介在物の集まりからなる圧延方向長さが30μm以上の介在物群と、圧延方向の直線上に隣り合う他の介在物に対して50μm超の間隔を空け、圧延方向長さが30μm以上である介在物との断面1mm当たりの圧延方向長さの総和が0.38mm以下であり、第二相のサイズが円相当径で5.5μm以下であり、フェライト粒内に析出した最大長さが500nm以上のセメンタイトの密度が1mm当たりに33000個以下であることを特徴とする成形性、破壊特性及び疲労特性に優れた熱延鋼板。
{[S]/32−([Ca]/40+[REM]/140)}×32≦0.003
・・・式(1)
[S]、[Ca]、[REM]:各成分の質量%での含有量
[2]質量%で、
B :0.0005〜0.003%
Cu :0.001〜1.0%、
Cr :0.001〜1.0%、
Mo :0.001〜1.0%、
Ni :0.001〜1.0%
V :0.01〜0.2%
Ti:0.001〜0.02%
Nb:0.001〜0.05%
の何れか一種又は二種以上を含有することを特徴とする上記[1]に記載の成形性、破壊特性及び疲労特性に優れた熱延鋼板。
[3]下記の式(1)を満足し、
ミクロ組織がフェライト組織からなる主相と、パーライト及びベイナイトの一方または双方の組織からなる第二相の混合組織であり、圧延方向の直線上に隣り合う他の介在物に対して50μm以下の間隔を空けて並んだ長径が3μm以上である介在物の集まりからなる圧延方向長さが30μm以上の介在物群と、圧延方向の直線上に隣り合う他の介在物に対して50μm超の間隔を空け、圧延方向長さが30μm以上である介在物との断面1mm 当たりの圧延方向長さの総和が0.38mm以下であり、第二相のサイズが円相当径で5.5μm以下であり、フェライト粒内に析出した最大長さが500nm以上のセメンタイトの密度が1mm 当たりに33000個以下である成形性、破壊特性及び疲労特性に優れた熱延鋼板の製造方法であって、
質量%で、
C :0.01〜0.07%、
Si :0.001〜2.0%、
Mn :0.01〜2.0%、
P :0.02%以下、
S :0.01%以下、
Al :0.005〜1.0%、
N :0.02%以下、
REM:0.0001〜0.02%、
Ca :0.0001〜0.01%
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼片を鋳造しスラブとした後、1350℃〜1250℃の間を平均冷却速度3℃/秒以上の冷却速度で1250℃以下まで冷却し、続いて、熱間圧延工程にて、粗圧延での1150℃以上の圧下率を70%以下とし、仕上圧延をその終了温度をAr3以上Ar3+150℃以下として行い、続いて冷却速度を20℃/秒以上、60℃/秒以下として冷却を行い、続いて600℃以上650℃以下の温度域において、0.5秒以上、10秒以内の時間、20℃/秒以下の冷却速度で冷却を行い、続いて20℃/秒以上、60℃/秒以下で冷却を行い、460℃以上、600℃以下の温度域において巻き取ることを特徴とする成形性、破壊特性及び疲労特性に優れた熱延鋼板の製造方法。
{[S]/32−([Ca]/40+[REM]/140)}×32≦0.003
・・・式(1)
[S]、[Ca]、[REM]:各成分の質量%での含有量
[4]前記鋼片は、
質量%で、
B :0.0005〜0.003%
Cu :0.001〜1.0%、
Cr :0.001〜1.0%、
Mo :0.001〜1.0%、
Ni :0.001〜1.0%
V :0.01〜0.2%
Ti:0.001〜0.02%
Nb:0.001〜0.05%
の何れか一種又は二種以上を含有することを特徴とする上記[3]に記載の成形性、破壊特性及び疲労特性に優れた熱延鋼板の製造方法。
本発明の一態様によれば、穴広げ性に優れており、更には破壊特性、疲労特性にも優れた鋼板を得ることが可能となる。
(a)はノッチ付三点曲げ試験について説明するための図であり、(b)は(a)のノッチ付試験片のノッチを通る断面の側面断面図であり、(c)はノッチ付三点曲げ試験をした後に更に強制破壊をして得られたノッチ付試験片の側面の状態を示す側面図である。 (a)はノッチ付三点曲げ試験により得られる荷重変位曲線であり、(b)はストロークを様々に変化させた条件下でノッチ付三点曲げ試験を行なうことによって求められるき裂伝搬量Δa毎の「J」の関係を示すグラフである。 疲労試験片を示す図である。 介在物の圧延方向長さの総和Mについて説明するための模式図である。 粒内セメンタイト密度と穴広げ率の関係を示す図である。 粒内セメンタイト密度とJi値の関係を示す図である。 巻取り温度と粒内セメンタイト密度の関係を示す図である。 介在物長さMと穴広げ率の標準偏差の関係を示す図である。 介在物の圧延方向長さの総和Mと疲労限度比の関係を示す図である。 式(1)の値と介在物の圧延方向長さの総和Mの関係を示す図である。 鋳造後の鋳片の1350℃〜1250℃の間の平均冷却速度と延伸介在物長さMを示す図である。
以下では、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
本発明の一態様として、穴広げ性、破壊特性及び疲労特性に優れた熱延鋼板及びその製造方法について説明する。
最初に、本発明の一態様を完成するに至った基礎的研究結果について説明する。
本発明者は、引張強度が440〜590MPa級の熱延鋼板の穴広げ性、破壊特性及び疲労特性の改善に向け、表1に示す成分の鋼を表2に示す条件で熱間圧延、冷却、巻取りを行い、板厚2.9mmの熱延鋼板を製造した。なお、熱延鋼板のミクロ組織は、組織全体の硬さが比較的均一で、良好な穴広げ性が得られやすいフェライト組織からなる主相と、パーライト及びベイナイトの一方または双方の組織からなる第二相の混合組織とした。これらの鋼の穴広げ性、破壊特性に対する支配要因について調査するため、以下のような検討を行なった。
Figure 0005786820
Figure 0005786820
得られた熱延鋼板について、その引張強度、穴広げ率の平均値λaveやその標準偏差σλ等の穴広げ性、破壊特性、疲労特性とともに、そのミクロ組織、介在物を調査した。
引張強度については、供試鋼の1/2板幅部より試験片の長手方向が板幅方向と平行となるようにJIS Z 2201記載の5号試験片を製作し、得られた試験片からJIS Z 2241記載の方法に準拠して引張試験を行なって測定した。
穴広げ性については、供試鋼の1/2板幅部より圧延方向長さが150mm、板幅方向長さが150mmである試験片を製作し、日本鉄鋼連盟規格JFS T 1001−1996記載の方法に準拠して穴広げ試験を行ない評価した。その評価にあたっては、一つの供試鋼から20枚の試験片を製作し、製作した各試験片に穴広げ試験を行なって得られた測定値を算術平均して得られた穴広げ率の平均値λaveと、その標準偏差σを評価対象とすることにした。なお、ここでいう穴広げ率の平均値λaveは、一の供試鋼につき20本の試験片について穴広げ試験を行なって得られた測定値を平均して求め、標準偏差σは、下記の数式(2)に基づき求めた。下記の数式(2)におけるλiは、20本の試験片それぞれの穴広げ率である。
Figure 0005786820
ここで行なう穴広げ試験としての打ち抜き穴広げ試験では、直径10mmの打ち抜きパンチを用い、打ち抜きパンチとダイ穴との隙間を試験片の板厚で除して得られる打ち抜きクリアランスを12.5%として、初期穴径(D0)10mmの打ち抜き穴を試験片に設け、次にその打ち抜き穴に頂角60°の円錐パンチを、打ち抜きパンチと同じ方向から押し込み、打ち抜き端面に発生したき裂が板厚方向に貫通した時点での穴内径Dfを測定し、下記の式(3)から穴拡げ率λ(%)を求めることとした。ここでき裂の板厚貫通は目視で行った。
λ(%)={(Df−D0)/D0}×100 ・・・式(3)
破壊特性については、以下のノッチ付三点曲げ試験によって得られるき裂発生抵抗値Ji(J/m)によって評価することとした。
ノッチ付三点曲げ試験では、長手方向が板幅方向と平行となるように図1(a)、図1(b)に示すようなノッチ付試験片1を一つの供試鋼から五本以上製作した。試験片は、図1(b)に示すように、板厚Bが2.6mm、ノッチ深さaが2.6mm、リガメントbが2.6mmの試験片を用いた。試験片は、素材を表裏から同じ厚さ分を研削し、2.6mmとした。得られたノッチ付試験片に対しては、図1(a)に示すように、その長手方向の両端部を支持点2、その中央部を荷重点3として、荷重点の変位量(ストローク)の強制変位4を様々に変化させた条件下でノッチ付三点曲げ試験を行なった。所定ストロークの条件下でノッチ付三点曲げ試験を行なったノッチ付試験片は、大気中で250℃、30分保持した後、空冷にかける熱処理を行なうことによって、ノッチ付三点曲げ試験により生じた破面に酸化着色を行なった。この後、ノッチ付試験片を液体窒素温度まで液体窒素により冷却した後、その温度でノッチ付試験片のノッチからノッチ深さ方向にき裂が伸展するようにノッチ付試験片を強制破壊した。強制破壊後は、図1(c)に示すように、ノッチ付三点曲げ試験により生じた破面が酸化着色により強制破壊により生じた破面および曲げ試験により生じた破面とが明確となるので、下記の数式(4)に基づき、き裂伝搬量Δa(m)を求めた。
Δa=(D1+D2+D3)/3 ・・・式(4)
ここで、D1:板厚1/4位置での曲げ試験によって生じた破面長さ、D2:板厚1/2位置での曲げ試験によって生じた破面長さ、D3:板厚3/4位置での曲げ試験によって生じた破面長さを意味する。
図2(a)は、所定ストロークの条件下で行なったノッチ付三点曲げ試験により得られる荷重変位曲線である。この荷重変位曲線からは、試験により試験片に対して加えたエネルギーに相当する加工エネルギーA(J)を求め、これと試験片の板厚B(m)とリガメントb(m)とから、2×加工エネルギーA/{板厚B×リガメントb}の値を求め、これを「J(J/m)」とした。なお、ここでいうリガメントbとは、ノッチ付試験片におけるノッチを含む断面のノッチ以外の部分のノッチ深さ方向の長さを意味する。また、図3(b)に示すように、ストロークを様々に変化させた条件下のノッチ付三点曲げ試験後に得られたノッチ付試験片から求めた各ノッチ付試験片のき裂伝搬量Δa(m)毎の「J(J/m)」をプロットした。そして、図2(b)に示すようにプロットしたΔa、Jに対する一次回帰直線と原点を通る傾き=3×(YP+TS)/2の直線との交点となる縦軸値Jを求め、これを供試鋼のき裂発生抵抗を表す値であるき裂発生抵抗値Ji(J/m)とした。き裂発生抵抗値Jiは、き裂を発生させるために必要な単位面積当たりの加工エネルギーに相当する値であり、衝撃荷重が加わった際の構造用部材を構成する鋼板からのき裂の発生(破壊の開始)に対する抵抗を表す。
疲労特性については、図3に示すような、表面が熱延ままである疲労試験片5を加工し、試験片の中央部に曲げの繰り返し応力を加え、試験片が疲労破壊するまでの繰り返し数である疲労寿命を測定し、この疲労寿命によって評価することとした。このとき、試験片に加える繰り返し応力の条件は、完全両振り、即ち、応力振幅=σ0とした場合に、応力の時間変化が、最大応力=σ0、最小応力=-σ0、応力の平均値=0の正弦波となるような応力を加える条件とし、応力振幅を徐々に種々変えて試験片が疲労破壊するまでの繰り返し回数を計測し、10000000回の繰り返し数でも疲労破壊により試験片が破断しない最大の応力振幅を求め疲労強度とした。疲労強度を引張強度で除した値を求め疲労限度比とした。その他の試験条件はJIS Z 2275に準拠するものとした。
ミクロ組織の調査は、鋼板の1/2板幅位置から、板幅方向を法線に持つ断面(以下、L断面という。)が露出するように切り出して研磨し、ナイタール試薬によりこれを腐食した後、光学顕微鏡を用いて200〜500倍の倍率で鋼板の1/4板厚位置を観察して行なった。更に、ナイタール腐食されたサンプルにて、電子顕微鏡で約5000倍の倍率で組織の観察を行い、粒内のセメンタイトの析出状態の観察を行った。
任意に決めた30μm×30μmの視野におけるセメンタイトの観察を任意の異なる30視野内で電子顕微鏡にて行い、観察された最大長さが500nm以上のセメンタイトの個数密度を求めた。最大長さはセメンタイトの形状を観察し、圧延方向の長さとした。
介在物の調査は同じ断面のサンプルを鏡面研磨し、×500の倍率で観察した。また、介在物を調査する上では、穴広げ性改善のため延性破壊を抑制する観点から介在物の圧延方向長さの総和M(mm/mm)の測定を行った。
初めに、延伸介在物長さMを測定し、穴広げ性改善の指針について考察した結果について説明する。
介在物は、鋼板の変形時にボイドを鋼中に形成して延性破壊を促進し、穴広げ性を劣化させる要因となる。介在物が穴広げ性を劣化させる影響は、その形状が圧延方向に長く延伸された形状であるほど介在物近傍の応力集中が増大し、これに応じて大きくなることになる。従来より、単一の介在物の圧延方向長さが大きいほど、穴広げ性を大きく劣化させることが知られている。
ここで、本発明者は、延伸した介在物や球状の介在物が、き裂伝搬方向である圧延方向に所定の間隔の範囲内で分布して構成される介在物の集まりからなる介在物群も、単一の延伸した介在物と同じように、穴広げ性の劣化に影響していることを見出した。これは、鋼板の変形時に介在物群を構成する各介在物の近傍に導入される歪みの相乗効果により、介在物群の近傍に大きな応力集中を生じさせるためと考えられる。定量的には、圧延方向の直線上に隣り合う他の介在物に対して50μm以下の間隔を空けて並んでいる介在物の集まりからなる介在物群が、その介在物群の圧延方向長さと同程度の長さに延伸した単一の介在物と同程度、穴広げ性に対して影響を及ぼすことを見出した。
そこで、穴広げ性を評価するうえでは、以下に説明するような形状、位置の介在物を測定対象とすることとした。
まず、図3(a)に示すように、圧延方向の直線上に隣り合う他の介在物に対して50μm以下の間隔を空けて並んでいる介在物の集まりを1個の介在物群とみなしてその圧延方向長さL1を測定し、そのうち圧延方向長さが30μm以上のもののみを評価対象とすることとした。また、図3(b)に示すように、圧延方向の直線上に隣り合う他の介在物に対して50μm超の間隔が空いている介在物であってもその圧延方向長さL2を測定し、そのうち圧延方向長さが30μm以上のもののみを評価対象とすることとした。ここで、測定対象として、圧延方向長さが30μm以上のものに限定したのは、圧延方向長さがこれ未満の介在物群等は穴広げ性の劣化に対する影響が小さいと考えられるためである。なお、ここでいう圧延方向の直線とは、圧延方向に延長した仮想的な直線のことを意味する。
なお、測定対象となる介在物は、長径が3.0μm以上のもののみに限定することとした。これは、長径がこれ未満の介在物では穴広げ性の劣化に対する影響が小さいためである。また、ここでいう長径とは、観察される介在物の断面形状において最も長い直径のことを意味しており、多くの場合圧延方向の径である。
また、図3(c)に示すように、圧延方向長さが30μm以上の介在物であっても、圧延方向の直線上に隣り合う他の介在物に対して50μm以下の間隔が空いている介在物については、介在物群の一部であるとして測定することとした。以下においては、介在物群に含まれず、圧延方向長さが30μm以上の介在物については、「延伸介在物」と記載する。
これら評価対象とした介在物群の圧延方向長さL1や延伸介在物の圧延方向長さL2は、1視野中で観察される総ての介在物群についての圧延方向長さL1と、同視野中で観察される総ての延伸介在物についての圧延方向長さL2とを測定して、これらを総和してL(mm)を求め、得られたLに基づき下記の数式(5)に基づき数値M(mm/mm)を求め、得られたMを単位面積(1mm)当たりの介在物の圧延方向長さの総和Mとして定義して、この総和Mによって穴広げ性を評価することとした。なお、数式(5)におけるSは、観察した視野の面積(mm)のことである。
M=L/S ・・・(5)
ここで、観察する視野の面積Sは測定の精度を得る為に広い範囲とする必要があり、5mm以上とする。
得られた介在物の圧延方向長さの総和Lから、これの平均値ではなく、単位面積当たりの総和Mを求めることとしたのは以下の理由による。
鋼板の変形時においては、介在物群、延伸介在物の個数が少ないと、これら介在物群等の周囲で生じたボイドが途切れながらき裂が伝搬するのに対し、これら介在物群等の個数が多いと、介在物群等の周囲のボイドが途切れることなく連結して、長く連続的なボイドを形成し、延性破壊を促進するものと考えられる。このような介在物群等の個数の影響は、介在物群等の圧延方向長さの平均値によっては表せないが、介在物群等の圧延方向長さの総和Mによっては表せるので、この点から介在物の圧延方向長さの単位面積当たりの総和Mを求めることとした。
また、鋼板の変形時においては、変形による応力集中部で、介在物郡、延伸介在物を基点としてき裂の発生、伝播が起きる。介在物の圧延方向長さの総和Mが大きい場合、この傾向が強くなるため、き裂発生抵抗値Jiが低下する。
以上の観点から、介在物の圧延方向長さの総和Mを測定し、これに基づき穴広げ率の平均値λave、き裂発生抵抗値Jiを評価することとした。
初めに、穴広げ率の改善に向け、その影響因子について鋭意検討した結果を説明する。
図5は粒内セメンタイトの密度と穴広げ率の関係を示す図である。これらのサンプルでは、介在物長さMは全て0.25〜0.28mm/mmである。これより、粒内セメンタイト密度が大きいほど穴広げ性は劣化している。これは、粒内セメンタイトが延性破壊の起点となることにより穴広げ性が劣化するためと考えられる。
粒内セメンタイト密度≦33000個/mmとすることにより目標の穴広げ率150%を得ることができることが分る。
図6は粒内セメンタイト密度とJi値の関係を示す図である。粒内セメンタイト密度が小さいほどJi値は増加する。これは、変形部においては粒内セメンタイトからが延性破壊の起点となるためと推定される。Jiを目標の160000J/mとするためには粒内セメンタイト密度は35000個/mm以下とする必要があることが分る。
以上から、本発明の一態様の目的である穴広げ率とJi値の目標達成に向けては、フェライト粒内のセメンタイト密度の制御が重要であることが判明した。この知見が本発明の一態様の趣旨とするところである。
以上から穴広げ率及びJi値の目標に達する為の粒内セメンタイトの上限は33000個/mmとする。
次に、粒内セメンタイトを上記範囲内とするための条件について検討した結果を説明する。
図7は巻取り温度と粒内セメンタイトの関係を示す図である。巻取り温度が高いほど粒内セメンタイトの密度は低下している。これは、巻取り温度が高い場合、巻取り後の高温ではフェライト粒内に固溶しているCの拡散速度が速いため、Cが粒界に拡散してセメンタイトとして析出し、逆にフェライト粒内のC固溶量が低減し、粒内のセメンタイトの析出が抑制されるためである。図より、巻取り温度≧460℃で粒内セメンタイトの密度≦33000個/mmとすることができることが分る。
次に穴広げ性のばらつきの影響要因について考察した結果を示す。
図8は、介在物長さMと穴広げ率λの標準偏差σλの関係を示す図である。ここで、セメンタイト密度=20000〜30000個/mmであり、第二相サイズは4.5〜5.5μmである。これより、穴広げ率の標準偏差σλは介在物長さMが小さいほど低下していることが分る。これは、延伸した介在物が多い場合、その長さや分布のばらつきによる延性破壊挙動のばらつきが生じるためと考えられる。介在物長さM≦0.38mm/mmとすれば穴広げ率の標準偏差σλを15%以下とすることができることが分る。
尚、従来より知られているように延伸介在物は延性破壊を促進する効果を有し、その為穴広げ性も劣化させる。この観点からも延伸介在物長さMを低減することが必須である。しかし、粒内セメンタイト密度≦33000個/mmの場合、上述の介在物長さ≦0.38であれば目標の穴広げ率≧150%は得ることができる。
次に疲労限度比における支配因子について得た知見を説明する。
図9は介在物長さMと疲労限度比の関係を示している。疲労限度比には、介在物長さMが小さいほど改善し、介在物長さM≦0.55mm/mmとすれば疲労限度比≧0.47を得ることができることが分る。これは、延伸した介在物が疲労破壊の起点となっているためと考えられる。
以上から穴広げ率の標準偏差、及び疲労限度比の目標に達する為の介在物長さの上限は0.38mm/mmとする。
以上より延伸介在物を抑制することが穴広げ性のばらつきや疲労限度比の改善に有効であることが判明した。次に延伸介在物長さMの支配要因について説明する。
図10は下記の式(1)の値と介在物長さの関係を示す図である。式(1)の値が小さいほど介在物長さMは小さくなる。これは、式(1)はCaやREMと結びつかず、延伸した硫化物となるS量を表わし、これが少ない場合、延伸した硫化物が減少するためである。式(1)≦0.003で介在物長さMは0.38mm/mm以下となることが分る。ここでスラブ冷却速度は約3℃/秒以上である。
{[S]/32−([Ca]/40+[REM]/140)}×32≦0.003
・・・式(1)
[S]、[Ca]、[REM]:各成分の質量%での含有量
式(1)は、介在物の圧延方向長さの総和Mを低減させるためにS、Ca、REMの含有量を規定するための式である。この式で規定される延伸した介在物とは、本発明の一態様の対象の鋼の場合、MnS(硫化マンガン)である。MnSは凝固の後、比較的高温で粗大に生成し、圧延時に延ばされて延伸した形状となり、鋼材の加工性を劣化させる。MnSの生成を抑制するためには、溶綱段階でCaやREMと結合させ、逆に固溶状態のSを低減することが有効である。式(1)左片の第一〜三項は、それぞれ鋼に含まれるS、Ca、REMの原子数比を意味し、式(1)の左辺はSの原子数−(Ca,REMの原子数の和)を意味し、これはCa,REMが全てSと結合した後に、固溶状態で残留するSの原子数に相当する。式(1)はこの上限を規定し、延伸介在物の量を規制するための式である。
図11は、1350℃〜1250の温度域のスラブ冷却速度と介在物長さMの関係を示す図である。スラブ冷却速度が大きいほど介在物長さMは小さく、介在物長さM≦0.38mm/mmとするためには、スラブ冷却速度≧3℃/秒とする必要があることが分かる。これは、スラブ冷却速度が速いほど析出するMnSは微細となり、かつ微細なMnSほど延伸しにくいためと考えられる。
また、粗圧延の条件と延伸介在物長さMの関係について調査し、図示はしないが、比較的高温での圧下率が高い場合に延伸介在物長さMが大きくなることが判明した。これは、高温での圧延によりMnSが延伸し易いことが理由と推定される。この観点からは、粗圧延での1150℃以上の圧延下率を70%以下とすることが必要である。ここで1150℃以上の圧下率R(%)は、式(6)で示される。
R(%)=(t−t1150)/t×100(%)・・・式(6)
ここで、tは粗圧延開始時の板厚(mm)、t1150は1150℃時点の板厚(mm)である。
以上から延伸介在物長さMの抑制には、組成、スラブの冷却速度の、粗圧延の制御が必須であることが判明した。
本発明の一態様は以上の発明を基に為されたものである。
続いて、本発明の一態様における鋼板の組成の限定理由について説明する。なお、以下では、組成における質量%を、単に%と記載する。
C :0.01〜0.07%
Cは、第二相を増加させ鋼の強化に寄与する。この観点から低く過ぎると強度が劣化するので、その下限は0.01%とする。また、Cは、その含有量が大きすぎると、粒内セメンタイトといった延性破壊の起点となる相を生成し、穴広げ率の平均値λaveを劣化させる。このため、Cの含有量は0.07%以下とする。
Si:0.001〜2.0%
Siは、固溶強化元素として引張強度の向上に寄与する元素であり、この観点からは添加することが好ましい。しかし、Siが過多に添加されると、その効果が飽和する一方でコスト増加の要因となる。このため、Siの含有量は、0.001%以上、2.0%以下とする。
Mn:0.01〜2.0%
Mnは、固溶強化元素として鋼板の引張強度向上に寄与する元素である。Mnは、本発明の一態様の目的とする引張強度を得るためには0.01%以上含有する必要がある。また、Mnの含有量は、2.0%超であると、熱間圧延時のスラブ割れが生じやすくなる。このため、Mnの含有量は、0.01〜2.0%とする。
P :0.02%以下
Pは、不可避的に混入する不純物であり、含有量の増加に伴い粒界での偏析量が増大し、穴広げ率の平均値λaveの劣化を招く元素である。このため、Pの含有量は、低いほど望ましく、この観点からPの含有量は0.02%以下とする。
S :0.01%以下
Sは、不可避的に混入する不純物であり、含有量が多すぎると、鋼片加熱時に鋼中でMnSを多量に生成し、これが熱間圧延により延伸されて介在物の圧延方向長さの総和Mの増大を招き、本発明の一態様の目的とする穴広げ率の平均値λaveが得られない。このため、Sは、その含有量を0.01%以下とする。
Al:0.005〜1.0%
Alは、溶鋼の脱酸に必要な元素である。また、鋼の強化にも有効である。溶鋼の脱酸の観点から0.005%以上添加する必要がある。1.0%を超えて添加しても、溶鋼の脱酸の効果や鋼の強化の効果が飽和する一方で、経済的でなくなる。以上の観点から、Alの含有量は、0.005%以上、1.0%以下とする。
N :0.02%以下
Nは、不可避的不純物として鋼に含まれる元素である。これが過多にあると鋼材が時効しやすくなり、腰折れ等による表面清浄の劣化が生じやすくなるので、0.02%を上限とする。
REM:0.0001〜0.02%
REM(希土類元素)は、粒化物を形成することにより延伸したMnSを低減し、介在物の圧延方向長さの総和Mを低減し、穴広げ率の平均値λave、き裂発生抵抗値Jiを改善する元素である。この点から、REMは、前述の数式(1)を満足する必要がある。REMの含有量が0.0001%未満であると、MnS等の硫化物の形態を球形化させる効果が十分得られないので、その下限を0.0001%とする。REMの添加により、REMを含む微細な介在物がより多く生じ、後にこの微細な介在物の周囲にMnSが析出する。硬質、微細な介在物の周囲に分散して析出したMnSは圧延により延伸にくいため、所定量REM添加された鋼中では比較的Sが高くても延伸MnSは生じにくい。この観点から、25ppm以上の添加が好ましい。REMの含有量が0.02%超であると、このような効果が飽和して経済性の低下を招く。このため、REMの含有量は、0.02%以下とする。REMとしては、La、Ce等を用いることができるが、ミッシュメタルを用いるのが簡便である。
Ca:0.0001〜0.010%
Caは、鋼中Sを球形のCaSとして固定しMnSの生成を抑制し、その圧延方向長さの総和Mを低減させる元素である。この点から、前述の数式(1)を満足するような含有量とすることが必要である。Caの含有量が0.0001%未満であると、MnS等の硫化物の形態を球形化させる効果が十分得られないので、その下限を0.0001%とする。また、Caの含有量が0.010%超であると、延伸した形状の介在物となりやすいカルシウムアルミネートが多量に生じ、かえって介在物の圧延方向長さの総和Mを増大させてしまう恐れがある。このため、Caの含有量の上限は0.010%以下とする。
以上が本発明の一態様の鋼に関わる基本的な元素である。本発明の一態様では、以上に加え、鋼の強度増加のため適宜下記の元素を添加しても良い。これらの元素の添加量の下限は、強度増加の効果を得るために設定されており、一方、上限は元素の添加により経済性が損なわれることを防ぐために設定されている。
B :0.0005〜0.003%
Cu :0.001〜1.0%
Cr :0.001〜1.0%
Mo :0.001〜1.0%
Ni :0.001〜1.0%
V :0.01〜0.2%
Ti:0.001〜0.02%
Nb:0.001〜0.05%
本発明の一態様に係る鋼板は、この基本成分の他の残部がFe及び不可避的不純物からなることになる。なお、不可避的不純物としては、O、Zn、Pb、As、Sb等が挙げられ、これらをそれぞれ以下の範囲で含んでいても本発明の一態様の効果を失するものではない。
O≦0.005%
Zn≦0.05%
Pb≦0.05%
As≦0.05%
Sb≦0.05%
また、本発明の一態様においては、必要に応じて、Zr、Sn、Co、W、Mgを、合計1%以下含有していてもかまわない。
次に、本発明の一態様に係る熱延鋼板のミクロ組織、介在物の限定理由について説明する。
ミクロ組織は、フェライト組織、及び、パーライトとベイナイトの一方または双方の組織からなる第二相の混合組織である必要がある。これは、これらの組織の場合に、ミクロ組織全体の硬さが比較的均一となり、延性破壊が抑制されて、本発明の一態様の目的とする穴広げ率の平均値λave、き裂発生抵抗値Jiを得ることが可能となるためである。
本発明の一態様においては、第二相を微細化する必要がある。これは、第二相は相対的に硬質であり、延性破壊の起点となるが、それを微細化することにより相対的にその影響を弱めることができるためである。
介在物は、その圧延方向長さの総和Mが0.38mm/mm以下である必要がある。これは、総和Mが0.38mm/mm超である場合、鋼板の変形時において延性破壊が顕著に促進され、本発明の一態様の目的とする穴広げ率の平均値λave、き裂発生抵抗値Jiが得られなくなる。なお、この総和Mは、零であってもよい。
なお、ここでいう介在物は、例えば、鋼中のMnSのことをいう。
また、これらミクロ組織、介在物の測定方法や、介在物の圧延方向長さの総和Mの定義は上述の通りである。
本発明の一態様においては、穴広げ性と破壊特性を良好とするため、フェライト粒内に析出した500nm以上のセメンタイトの密度を33000個/mm以下とする必要がある。これは、粒内のセメンタイトが延性破壊の起点となり穴広げ性や破壊特性を劣化するためである。
次に、本発明の一態様に係る熱延鋼板を製造するための製造方法について説明する。
製鋼工程においては、例えば、高炉等によって溶銑を得た後、転炉にて脱炭処理や合金添加を行い、その後、出鋼した溶鋼に各種の二次精錬装置で脱硫処理、脱酸処理等を行なうことによって、目的とする成分含有量の溶鋼を溶製する。
以上の条件で精錬を行った後、連続鋳造により鋳片を得る。鋳片の冷却速度は、1350℃〜1250の温度域において、延伸介在物長さMを低減するため3℃/秒以上とする必要がある。以上の条件を満たせば、高温鋳片のまま熱間圧延機に直送してもよいし、この他に、室温まで冷却後に加熱炉によって再加熱した後にこれを熱間圧延するようにしてもよい。また、高炉によって溶銑を得る代替として、原料として鉄スクラップを使用し、これを電炉にて溶解した後、各種の二次精錬を行い、目的とする成分含有量の溶鋼を得るようにしてもよい。
鋳片の1350℃〜1250℃の温度域での冷却速度が小さすぎると、その温度域での冷却中にMnSが粗大に析出し、それが圧延時に延伸した粗大な介在物となるので、延伸介在物長さMが大きくなる。この観点から、鋳片の1350℃〜1250℃の温度域での冷却速度は3℃/秒以上とする必要がある。
次に、連続鋳造等により得られた鋼片を熱間圧延する際の製造条件について説明する。
まず、連続鋳造等により得られた鋳片は、一度低温まで冷却した場合は、適宜、所定の熱間圧延が可能なように再び加熱炉にて加熱する。この際の加熱温度は、粗圧延、仕上げ圧延をAr3温度以上のオーステナイト域で行うために十分高温とする必要があり、この観点から1150℃以上に加熱することが望ましい。
続いて、加熱炉より抽出した鋼片に対して粗圧延を行い、続いて仕上げ圧延を行う。
粗圧延では、延伸介在物長さMをより低減する観点から高温での圧下率を低減することが重要であり、この観点から1150℃以上の圧下率を70%以下とすることが必要である。1150℃以上の圧下率が小さすぎると、所定の板厚を得る為に低温(1150℃以下)での大圧下が必要となり、その場合圧延荷重が過大となり操業上で好ましくない。この観点から1150℃以上の圧下率は40%以上とすることが好ましい。
その後の仕上圧延工程では、その終了温度がAr3℃以上、Ar3+150℃以下となるようにする。この終了温度をAr3℃以上としたのは、その終了温度がAr3温度以下であると得られる鋼板の表層が混粒となり、成形性が劣化するためである。仕上げ圧延温度の上限をAr3+150℃としたのは、仕上げ圧延温度が高すぎると粒径が過大となり引張強度が劣化するためである。また、その際に第二相も粗大となるので穴広げ性が劣化する。
なお、Ar3は、下記数式(7)から求められる。下記数式(7)における[C]、[Si]等は、それぞれ鋼中における質量%での各成分の含有量を意味する。
Ar3=868−396×[C]+25×[Si]−68×[Mn]−36×[Ni]−21×[Cu]−25×[Cr]+30×[Mo] ・・・(7)
続いて、仕上圧延工程により得られた鋼板をランアウトテーブル等で冷却する。
この冷却工程では、650〜600℃の間の温度域で、0.5秒以上10秒以下の時間、緩冷却を行い、それ以外を急速に冷却する三段冷却とする必要がある。
初めの急速冷却はその冷却速度を20℃/秒以上とする必要がある。これは、この冷却速度が20℃/秒未満であると、第二相の円相当径の粗大化も招き、穴広げ性が劣化するためである。また、この冷却速度が大きすぎる場合、巻取り温度の精度が劣化する等の問題が生じるため、その上限は60℃/秒以下とする。
初めの急速冷却の後、セメンタイト密度を低減するために、600℃〜650℃の温度域で20℃/秒以下の冷却速度で0.5秒以上緩冷却する必要がある。この緩冷却によりセメンタイト密度が低減するのは、この冷却中にフェライト粒内の固溶Cが粒界に拡散し、粒界セメンタイトとして析出し逆に粒内の固溶Cを低減するためである。
緩冷却の開始温度が高すぎると、第二相が粗大となり穴広げ性が劣化する可能性がある。このため、緩冷却の開始温度は650℃以下とする。
一方、600℃以下の低温において緩冷却を行っても上述の粒界セメンタイトの析出効果は得られないので、緩冷却の下限温度は600℃とする。
緩冷却による粒界セメンタイトの析出効果を十分得る為には、所定の時間以上緩冷却を行う必要があり、この観点から緩冷却の時間の下限は0.5秒とする。
緩冷却する時間が10秒以上であると、第二相の円相当径の粗大化も招き、穴広げ性も劣化する。このため、緩冷却する時間は10秒以内とする。
緩冷却の後の急速冷却は、その冷却速度を20℃/秒以上とする必要がある。これは、この冷却速度が20℃/秒未満であると、第二相の円相当径の粗大化も招き、穴広げ性が劣化するためである。この冷却速度が大きすぎると巻取り温度の精度が劣化するので、この冷却速度は60℃/秒以下とする。
続いて、冷却された鋼板を巻き取り装置等により巻き取る。この巻き取り工程では、600℃以下の温度域において鋼板を巻き取ること必要となる。これは、600℃超の温度域において鋼板を巻き取ると、粗大なパーライトからなる第二相が生成し、穴広げ性が劣化するためである。
巻取り温度は460℃以上とする必要がある。これは、巻取り温度がこれ以下であると、ランアウトテーブルでの冷却中にフェライト中に過飽和に固溶したCの析出駆動力が高くなり、セメンタイトが高密度に析出し穴広げ率λが低下するためである。
以上が本発明の一態様に係る熱間圧延工程の製造条件となるが、熱間圧延工程の終了後に、鋼板の形状の矯正を図ることを目的として、スキンパス圧延をするようにしてもよい。また、熱間圧延工程の終了後に酸洗してもよい。
また、熱間圧延工程終了後に溶融めっき法によりめっき処理をして、鋼板の耐食性を向上させるようにしてもよい。また、溶融めっきに加えて合金化処理をするようにしてもよい。
以下、実施例により本発明の一態様を更に詳細に説明する。
まず、表3に示すような鋼成分A〜Mの組成からなる鋼を連続鋳造でスラブとし、表4に示す条件で熱間圧延を行い、板厚2.9mmの鋼板を得た。得られた鋼板のミクロ組織、介在物、機械的特性も表4に示す。ミクロ組織、介在物の測定方法や機械的性質の測定方法は、上述の通りである。表3〜表4における下線は、本発明の一態様の範囲外である、又は、好ましい範囲外であることを意味する。
Figure 0005786820
Figure 0005786820
鋼番1〜10、15、15−2、15−3は組成、製造条件共に本発明の一態様の要件を満たすものであり、良好なλ、σλ、Ji値、疲労限度比を示す。特に鋼番21はランアウトテーブルで三段冷却を行っており、特にセメンタイト密度が小さく、穴広げ性が良好である。
鋼番11は、Sが所定より高く、そのため延伸介在物が多量に生成し式(1)が満たされておらず、そのため、穴広げ率λ(%)、穴広げ率のばらつきσλ(%)、Ji、疲労限度比が劣位である。
鋼番12はSに対してCa、REMが少なく、組成が式(1)の値を満たしていない。このため、そのため延伸介在物が多量に生成しており、そのため、穴広げ率λ(%)、穴広げ率のばらつきσλ(%)、Jiが劣位である。
鋼番13はSに対してCa、REMが少なく、組成が式(1)の値を満たしていない。このため、そのため延伸介在物が多量に生成しており、そのため、穴広げ率λ(%)、穴広げ率のばらつきσλ(%)、Jiが劣位である。
鋼番14は巻取り温度が所定より高い。このため粗大なパーライトからなる第二相が生成しており、そのためλ、Jiが小さい。
鋼番15は圧延温度が所定より高い。このため粗大な第二相が生成しており、そのためλが小さい。
鋼番16、17、17−2は巻取り温度が所定より低い。このためセメンタイト密度が大きく、そのためλが小さい。
鋼番18、19は鋳片の冷却速度が遅い。このため、延伸介在物長さMが大きく、そのため、穴広げ率λ(%)、穴広げ率のばらつきσλ(%)、Ji、疲労限度比が劣位である。
鋼番20は粗圧延での1150℃以上の圧下率が所定より大きい。そのため、延伸介在物長さMが大きく、穴広げ率λ(%)、穴広げ率のばらつきσλ(%)、Jiが劣位である。


鋼番21は、ランアウトテーブルでの緩冷却開始温度が高い。このため、粗大な第二相が生成しており、穴広げ率、Jiが劣位である。
鋼番22は、ランアウトテーブルでの緩冷却終了温度が低すぎる。このため、粒内セメンタイトが過多に生成しており、穴広げ率、Jiが劣位である。
鋼番23は、ランアウトテーブルでの二段目の冷却速度が所定より速い。このため、粒内セメンタイトが過多に生成しており、穴広げ率、Jiが劣位である。
鋼番24はランアウトテーブルでの一段目の冷却速度が所定より遅い。このため、粗大な第二相が生成しており、穴広げ率、Jiが劣位である。
鋼番25はランアウトテーブルでの緩冷却時間が長すぎる。粗大な第二相が生成しており、穴広げ率、Jiが劣位である。
鋼番26はランアウトテーブルでの緩冷却時間が短か過ぎる。このため、粒内セメンタイトが過多に生成しており、穴広げ率、Jiが劣位である。
鋼番27はランアウトテーブルでの三段目の冷却速度が所定より遅い。このため、粗大な第二相が生成しており、穴広げ率、Jiが劣位である。
1ノッチ付試験片
2支持点
3荷重点
4強制変位
5疲労試験片

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C :0.01〜0.07%、
    Si :0.001〜2.0%、
    Mn :0.01〜2.0%、
    P :0.02%以下、
    S :0.01%以下、
    Al :0.005〜1.0%、
    N :0.02%以下、
    REM:0.0001〜0.02%、
    Ca :0.0001〜0.01%
    を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼板であって、
    下記の式(1)を満足し、
    ミクロ組織がフェライト組織からなる主相と、パーライト及びベイナイトの一方または双方の組織からなる第二相の混合組織であり、圧延方向の直線上に隣り合う他の介在物に対して50μm以下の間隔を空けて並んだ長径が3μm以上である介在物の集まりからなる圧延方向長さが30μm以上の介在物群と、圧延方向の直線上に隣り合う他の介在物に対して50μm超の間隔を空け、圧延方向長さが30μm以上である介在物との断面1mm当たりの圧延方向長さの総和が0.38mm以下であり、第二相のサイズが円相当径で5.5μm以下であり、フェライト粒内に析出した最大長さが500nm以上のセメンタイトの密度が1mm当たりに33000個以下であることを特徴とする成形性、破壊特性及び疲労特性に優れた熱延鋼板。
    {[S]/32−([Ca]/40+[REM]/140)}×32≦0.003
    ・・・式(1)
    [S]、[Ca]、[REM]:各成分の質量%での含有量
  2. 質量%で、
    B :0.0005〜0.003%
    Cu :0.001〜1.0%、
    Cr :0.001〜1.0%、
    Mo :0.001〜1.0%、
    Ni :0.001〜1.0%
    V :0.01〜0.2%
    Ti:0.001〜0.02%
    Nb:0.001〜0.05%
    の何れか一種又は二種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の成形性、破壊特性及び疲労特性に優れた熱延鋼板。
  3. 下記の式(1)を満足し、
    ミクロ組織がフェライト組織からなる主相と、パーライト及びベイナイトの一方または双方の組織からなる第二相の混合組織であり、圧延方向の直線上に隣り合う他の介在物に対して50μm以下の間隔を空けて並んだ長径が3μm以上である介在物の集まりからなる圧延方向長さが30μm以上の介在物群と、圧延方向の直線上に隣り合う他の介在物に対して50μm超の間隔を空け、圧延方向長さが30μm以上である介在物との断面1mm 当たりの圧延方向長さの総和が0.38mm以下であり、第二相のサイズが円相当径で5.5μm以下であり、フェライト粒内に析出した最大長さが500nm以上のセメンタイトの密度が1mm 当たりに33000個以下である成形性、破壊特性及び疲労特性に優れた熱延鋼板の製造方法であって、
    質量%で、
    C :0.01〜0.07%、
    Si :0.001〜2.0%、
    Mn :0.01〜2.0%、
    P :0.02%以下、
    S :0.01%以下、
    Al :0.005〜1.0%、
    N :0.02%以下、
    REM:0.0001〜0.02%、
    Ca :0.0001〜0.01%
    を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼片を鋳造しスラブとした後、1350℃〜1250℃の間を平均冷却速度3℃/秒以上の冷却速度で1250℃以下まで冷却し、続いて、熱間圧延工程にて、粗圧延での1150℃以上の圧下率を70%以下とし、仕上圧延をその終了温度をAr3以上Ar3+150℃以下として行い、続いて冷却速度を20℃/秒以上、60℃/秒以下として冷却を行い、続いて600℃以上650℃以下の温度域において、0.5秒以上、10秒以内の時間、20℃/秒以下の冷却速度で冷却を行い、続いて20℃/秒以上、60℃/秒以下で冷却を行い、460℃以上、600℃以下の温度域において巻き取ることを特徴とする成形性、破壊特性及び疲労特性に優れた熱延鋼板の製造方法。
    {[S]/32−([Ca]/40+[REM]/140)}×32≦0.003
    ・・・式(1)
    [S]、[Ca]、[REM]:各成分の質量%での含有量
  4. 前記鋼片は、
    質量%で、
    B :0.0005〜0.003%
    Cu :0.001〜1.0%、
    Cr :0.001〜1.0%、
    Mo :0.001〜1.0%、
    Ni :0.001〜1.0%
    V :0.01〜0.2%
    Ti:0.001〜0.02%
    Nb:0.001〜0.05%
    の何れか一種又は二種以上を含有することを特徴とする請求項3に記載の成形性、破壊特性及び疲労特性に優れた熱延鋼板の製造方法。
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