JP5782590B2 - 生体反応記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、生体の心臓および大血管そのものの動きと心臓から生体内に送られる血流の変化を胸部や腹部での変化として測定し、心臓の状況を診断することに利用することができる生体反応記録装置と生体反応記録方法に関し、さらに具体的には、防音室など特別な測定室を用いなくても生体の心尖拍動と右室拍動と左房拍動のうちの少なくとも1種類の拍動としての心拍動あるいは上行大動脈拍動あるいは肺動脈(肺動脈幹と中枢側肺動脈の少なくとも一方を含む)拍動あるいは腹部大動脈拍動あるいは肝拍動のうちの少なくとも1つを胸部や腹部における変化の測定結果として検出し記録することができ、小型化が可能で、安価な装置としても実現できる生体反応記録装置と生体反応記録方法に関する。
本発明は、まず第一に被測定生体が人間の場合に適用して大きな効果を発揮するものであるが、被測定生体が人間以外の場合にも適用できるものである。
しかしながら、特に重要な目的は人間への活用であり、以下の説明においては被測定生体が人間の場合を例にとって説明する。
近年、医学自体のみならず、工学の進歩に付随する医療の発展はめざましい。この傾向は循環器系医療の分野においても同様である。たとえば、血圧測定装置の進歩と普及は著しく、医療専門家の関与の有無にかかわらず一般の人々の間においても広く使われるようになっている。
また、病院など、医療専門家が深くかかわるところにおいては、足関節の血圧、上肢の血圧、頸動脈波、大腿動脈波、膝窩動脈波、および四肢の末梢動脈波など多くのデータがとられ、記憶装置に記憶して診断に利用されている。
循環器系測定に関しては、胸部と腹部と頸部(頸静脈)以外は防音室のような特別な環境を必須とせずに、通常のベッドサイドで測定できる実用的な記録装置が開発されており、多くのデータがとられ、活用されているが、胸部と腹部と頸部(頸静脈)に関しては、被検者に防音室など特別な測定室に入ってもらって最低2名の医療専門家をつけてデータがとられているのが現状である。
循環器系診察の中の視診・触診については、頸静脈拍動と頸動脈拍動と心尖拍動が特に重要とされている。
このうち、頸動脈拍動は頸動脈波としてすでに測定器により測定され、記録されて、診断に利用できるようになっている。
しかし、頸動脈拍動以外の心機図に関しては、後述のように、未だ実用レベルの測定装置がない。
以前から、防音室など特別な測定室での心機図記録装置(たとえば、非特許文献1:心電図・心機図検査の実際、211頁)によって心機図が計測され記録されてきた。後述する非特許文献1の記載からもわかるように、従来の心機図の記録は、被検者に防音室など特別な測定室に入ってもらい、ベッドに安静に横たわってもらって、特別な環境にセットした心機図記録装置を用いて、少なくとも2名の医師または医師と技師によってデータが心機図として測定され、紙媒体に記録されて行われている。
図48は、非特許文献1の212頁の図に記載されている防音室の外にセットした心機図記録装置本体の写真、図49は非特許文献1の212頁に記載された各種トランスデューサの例の写真である。
図48の心機図記録装置は、非特許文献1にF社製MIC8800T型と記載されているもので、装置の下に移動用の台車が設けられたものになっており、幅がおおむね60cm、高さがおおむね180cm、奥行がおおむね80cmという大型のものである。移動用のキャスター付きではあるが、一人で移動させるのは難しいほどの重い装置である。図で、心機図記録装置本体の右側に見える窓は被検者が入っている防音室の中を覗く窓である。
そして、この装置は大型であるのみならず、極めて高価である。
図49のCに示されているトランスデューサは心尖拍動図と心音図が同時に記録できると非特許文献1に記載されている。
図50は特開2000−60845号公報(以下、特許文献1という)の図1に記載された生体音検出装置の斜視図、図51は図50の生体音検出装置(特許文献1では図51の符号40で示された部分をマイクロフォンと称しており、図50ならびに図51の部品全体を生体音検出装置といっている)の断面図である。
図50ならびに図51の生体音検出装置は、被検者の皮膚の上に装着されるマイクロフォンにより心音を検出して心音図を記録するもので、心音をできるだけ正確に感度よく検出できるように、被検者以外から発生する話し声、足音、ドアの開閉音のような環境雑音の影響などを少なくするために種々の工夫がなされている。
環境雑音の影響を少なくする工夫として、図51において、筐体22とマイクロフォン40との間に空気室66(図51には64となっているが、66の誤記かと思われる)、振動吸収体64と28,振動吸収シート46、重り60などがあり、環境雑音の影響を抑制している。また、生体音検出効果を高めるためにマイクロフォン40と生体皮膚11との間に生体の表皮側からマイクロフォン側に径が小さくなっているテーパ状の集音穴が設けられている。これらは、心音測定の難しさを表していると言うこともできる。
図50ならびに図51に示した前記特許文献1に記載の心音検出装置は本発明の拍動図測定の圧力センサーとは異なるものであるが、図49のCに示されているトランスデューサは心尖拍動図と心音図が同時に記録できると非特許文献1に記載されていることを踏まえ、また心音測定においてすら多くの工夫を必要としていることを参照するために前記各引用したものである。
図52と図53は従来の心機図記録装置MIC9800型に実際に使用されているセンサーの斜視図で、図52は心音図測定用のトランスデューサ、図53は拍動図測定用のトランスデューサである。
図52と図53で、符号110は拍動図測定用のトランスデューサ、120は心音図測定用のトランスデューサ、111は圧力伝達部、121は心音測定部、112はケース外周枠、113と123はケース側面、114と124はリード線である。
拍動図測定用のトランスデューサ110で、圧力伝達部111はセラミックのような硬い物質でできており、ケース外周枠112とは分離されていて、図の外側から内側に向けて押すと少し動くようになっている。被検者の拍動測定個所の皮膚にトランスデューサー110を当てると、拍動が圧力変化として圧力伝達部111を伝わってそれに接続されている圧力センサー(図示せず)に伝わり、電気信号に変換され、リード線114から図示していない前記MIC9800型心機図記録装置に入力される。
心音図測定用のトランスデューサ120を被検者の心音測定個所の皮膚に押しつけて心音を検出し、リード線124から前記心機図記録装置に入力され、心音が測定される。
トランスデューサ110のケース外周枠112は円筒形の外周でその直径は30mm、圧力伝達部111はケース外周枠112の内側に配置されており、外周枠の内側に見える部分が直径20mmの円形の外周になっており、リード線の影響を最小限にして測ったトランスデューサ110の重量は19gである。
トランスデューサ120のケース外周枠122は円筒形の外周でその直径は25mm、リード線の影響を最小限にして測ったトランスデューサ120の重量は34gである。
このようなトランスデューサ110とトランスデューサ120を被検者の測定部位につけ、それぞれのリード線を図48に示した心機図記録装置本体に接続して、拍動と心音を測定し、拍動図と心音図を作成する。
図54は、非特許文献1の222頁の図に記載されている心機図測定の図で、心機図測定のために防音室に入ってベッド上で左側臥位になり測定用マイクロフォンを胸部につけた被検者の写真である。
写真では、マイクロフォンのリード線を上方から吊り下げて使用しており、このようにしないと環境雑音などが混入してしまう恐れがあるからである。
図48に示されている心機図記録装置の近くで、測定者は心機図記録装置の右側に見える窓から防音室内の様子をうかがいながら、測定端子とは別のマイクロフォンなどで被検者と「息を止めて」とか「息を吐いて」などと連絡をとりつつ心機図を測定しなければな
らない。
図55は前記測定の結果得られた心機図である。符号101は心尖拍動図、102は心音図(高音)、103は心音図(中音)、104は心音図(低音)、105は心電図であ
る。
図55で、被検者は若い健康人なので、心音図104に3音がでているが、このデータは健康人のデータといえる。
医療関係者の間では心機図自体は必要なものであると認識されてはいるが、非特許文献1に記載されているように、心機図の測定は非常に高度な技術と専門医としての高度な測定能力と診断能力を必要とし、多くの課題を有している。
まず第一に、被検者を防音室など特別な測定室に入れる必要があることで、被検者はこのような環境に入っての測定に耐えることができる状態の人に限られること、第二に、測定器が大きく、防音室で測定器を防音室の外においての測定であり測定者も複数人必要であること、第三に、測定が防音で密室のような制限された部屋で行われることになるため、被検者の通常とは異なる状態での測定になり、被検者が不必要に緊張してしまうことになること、第四に、装置が極めて高価であること等々である。このため、従来の心機図記録装置は、被検者の選択に大きな制限があり、被検者にも大きな負担がかかり、真に診断をしたい重症患者には適用が難しいこと、装置が極めて高価である上に測定に携わる医療専門家が複数人必要なことなどデータをとるコストが高いこと、データの記録が紙への記録でありデータの電子記録ができないことや重症患者のデータを取れないことでデータ自体の利用価値が低くなってしまっているなど多くの課題を抱えており、医療現場ではほとんど活用されていないのが現状である。通常のベッドサイドで測定できる心機図記録装置などは到底実現できないとあきらめられている。
このように、心機図の測定は極めて難しく、得られる情報も不十分で、利用価値も低いと見なされているため、そのニーズは現実には多いとは考えられておらず、医療機器メーカーにおいては心機図記録装置の開発に多額の費用をかけられないと考えられている。
一方、心機図そのものについては、医学的価値は高いと考えられ、正しく利用すれば医学の大きな進歩につながると考えられており、心機図の研究は、前記のように、研究用としか言いようがない高価で大きな心機図記録装置を用い、被検者に防音室のように特別な部屋に入ってもらい、最低2名の医療専門家によって測定して行われ、その成果が発表されている。しかし、前記のように、その研究成果や測定データは、医療現場では全くといってよいほど活用されていない。
診療機関における診療の対価を計算する点数が低いことでもこの現状を理解することができる。すなわち、従来の装置を使用して心機図の記録を行った診断の場合には、他の装置を用いた場合に比較して、相対的にかなり低い点数しか認められておらず、人件費や装置の費用の回収などを考慮すると赤字になってしまうのが実状である。ただ、この点に関しては、前記のように、従来の装置を用いた心機図の記録は非常に限られた制約の下でとられたデータに過ぎず、多くの専門家から真に診断したい患者に心機図記録装置を用いることはできないとみなされている現状を考えるとやむを得ないことであろう。
古くから医学においては身体所見が重要であると常に言われている。
身体所見を評価するための検査、特に、画像診断検査が長足の進歩を遂げ、医療分野によっては、簡便かつ明瞭に、客観的に病態の特徴を呈示できるようになってきている。そのため、これらの機器診断に頼ったり期待したりすることが多くなり、視診触診聴診という客観的に表示しにくい身体所見そのものが顧みられなくなってきた。
正しい診療を行うための適切な検査を行わずに、現状のように安易に高価な機器検査に頼ることが医療費の高騰をもたらしてきたともいえる。
これらの観点と、医師と患者とのコミュニケーションをより高める必要があるという観点などから、身体所見の重要性が叫ばれている。
一方、身体所見は主観的で客観性に乏しいという難点がある。医学教育においては、正しい診察の仕方を教えることが大切であるが、その方法が各人各様で行われてきた現状には大きな問題がある。
以上説明したような背景があり、心機図記録装置の新たな開発に関しては、医療機器メーカーでは開発の意欲があまり高くない現状であるが、この分野を真に理解している医師の観点から言えば、視診触診聴診の客観的評価が行われていない現状に鑑みて、通常のベッドサイドでも測定でき、かつ客観的な評価が可能な、小型で安価な心機図記録装置が実現すれば循環器系の診療に大きな福音をもたらすものであると考える。
(社)日本臨床衛生検査技師会発行:"心電図・心機図検査の実際"(1996年11月1日2刷発行),第212頁、222頁 特開2000−60845号公報
心機図に関しては、医学者により、前記のように研究用レベルで大型ではあるが、心機図記録装置を使って測定し、多くの研究がなされ、発表がなされてきた。
しかし、前記のように、従来の心機図記録装置では、測定コストが高いのみならず、心機図を用いた診断において真に必要な患者にとって有効なデータが得られず、測定データから診断を下すには、斯界の高度な知識を有する専門家による判断に頼らざるを得なかった。そして、データ不足から、斯界の専門家でも、測定データから正確な診断を下すのは難しいのが現状である。さらに、心臓そのものの詳しい動きを把握できないなど心臓の動きに関する情報も不十分であり、循環器系の診断に心機図記録装置は有用でないとみなされていた。通常のベッドサイドでも測定することができ、心機能の経時的変化も把握でき、かつ心臓そのものの動きの分布のように触診所見を裏付けることができるような客観的な評価が可能で、診断に必要かつ十分な情報が得られる小型で安価な心機図記録装置の実現がなされれば、循環器系診療の著しい進歩をもたらすことができる。
先般、本発明の発明者は、このような状況を改善すべく、循環器系診察の中で、心尖拍動と右室拍動と左房拍動のうちの少なくとも1種類の拍動としての心拍動あるいは上行大動脈拍動あるいは肺動脈(肺動脈幹と中枢側肺動脈の少なくとも一方を含む)拍動あるいは腹部大動脈拍動あるいは肝拍動などを、たとえば通常のベッドサイドでも、圧力センサーによる圧力変化の検出によって測定し、測定結果を記録して、患者のデータの評価判断をその場で行うことができ、患者に対して得られたデータを下に病状の説明を具体的に分かりやすく行うことができ、そして、医学教育の観点からは、医学生および研修医に対して正しい診察法(特に、視診触診に関して、診察技術そのもの、診察によって得られた所見の正しい評価)を教授できるようにして臨床医学教育を大きく改善することができる生体反応記録装置ならびに生体反応記録方法を安価に提供することを提案した。
本発明は前記本発明の発明者の提案による新規の生体反応記録装置をさらに改善し、医療の現場で使い易いものにせんとして成されたものである。
たとえば、測定用マイクロフォンを胸部につける位置が正しくないと波形が変わってしまうことは当然であるがこのほかに、検出された圧力センサーのデータ処理における測定者が設定する時定数によって波形が変わってしまう問題など多くの課題を解決して得られた心尖拍動図でなければ診断に役立たない。
現時点で、ベッドサイドで測定でき、診断に使用できるレベルの心尖拍動図が得られる心機図記録装置はない。また、従来の心機図記録装置では心機図の経時変化の把握が極めて難しく、また、心臓の平均化された動きをとらえているだけであり、心臓そのものの動きの広がりを計測するというような触診所見を裏付けることができる詳細な情報が得られない。
前記の課題を解決するためになされた本発明の技術思想の特筆すべき特徴は、持ち運びが一人でも簡単にできる小型・軽量で安価な装置を用い、被検者の胸部や腹部などに圧力センサーを配置して、測定箇所の近傍の複数箇所における圧力変化を記録するところにある。
以下、本発明の例を具体的に説明する。
課題を解決するためになされた本発明の例としての第1の発明(以下、発明1ともいう)は、生体の心尖拍動と右室拍動と左房拍動のうちの少なくとも1種類の拍動としての心拍動あるいは上行大動脈拍動あるいは肺動脈(肺動脈幹と中枢側肺動脈の少なくとも一方を含む)拍動あるいは腹部大動脈拍動あるいは肝拍動のうちの少なくとも1つを圧力変化の測定結果として検出し記録することができる新規の生体反応記録装置であって、前記生体反応記録装置は、少なくとも1つの前記拍動の検出部位の動きを圧力変化として測定することができる圧力センサーと測定された信号等の増幅手段と測定されたデータを基に生体反応情報(以下、生体情報ともいう)を検出することができる演算処理部等のデータ処理手段と測定されたデータの少なくとも主要部分とデータ処理手段を用いて検出された生体情報あるいはデータ処理手段を用いて処理された情報あるいは処理途中の情報などのデータ(以下、データ処理手段を用いて検出された生体情報あるいはデータ処理手段を用いて処理された情報あるいは処理途中の情報などのデータを検出データともいう)のうちの少なくとも一方を記憶することができる記憶手段と表示手段を有しているとともに、前記圧力センサーは前記測定する1つの拍動に関して生体の近接する複数箇所の圧力をそれぞれ測定することができ、前記記憶手段は前記複数箇所の測定データの少なくとも主要部分と前記検出データの少なくとも一方を記憶することができることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1を展開してなされた本発明の例としての第2の発明(以下、発明2という)は、発明1に記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置が同一被測定生体の異なる複数の時期に測定された前記検出データ(以下、検出データの経時変化ともいう)を記憶することができることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1または2を展開してなされた本発明の例としての第3の発明(以下、発明3という)は、発明1または2に記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置が心電図測定センサーと心音図測定センサーを有していることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜3を展開してなされた本発明の例としての第4の発明(以下、発明4という)は、発明1〜3のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置が被測定生体の心電図と心音図の少なくとも一方のデータを前記生体反応記録装置の外部から入力することができるとともに、少なくとも一つの前記データに同期させることができることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜4を展開してなされた本発明の例としての第5の発明(以下、発明5という)は、発明1〜4のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置は前記測定データや検出データのような処理されたデータの極値を選択する極値選択手段と極値の周辺データを極値周辺データ選択する手段を有していることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜5を展開してなされた本発明の例としての第6の発明(以下、発明6という)は、発明1〜5のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記表示手段に生体の健康状態に関する診断情報を表示することができることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜6を展開してなされた本発明の例としての第7の発明(以下、発明7という)は、発明1〜6のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記表示手段に、前記診断情報を健康、要注意1,要注意2,危険などの健康レベルを付して表示することができることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明6または7を展開してなされた本発明の例としての第8の発明(以下、発明8という)は、発明6または7に記載の生体反応記録装置において、前記生体の健康状態に関する診断情報が心電図と心音図と拍動図を含みさらに時間−拍動波形を時間で微分した一次微分データと前記一次微分データを時間で微分した二次微分データのうちの少なくとも一方を含む情報であることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜8を展開してなされた本発明の例としての第9の発明(以下、発明9という)は、発明1〜8のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記表示手段に前記生体の心電図と心音図と拍動図を表示することができるとともに、時間−拍動波形を時間で微分した一次微分データと前記一次微分データを時間で微分した二次微分データのうちの少なくとも一方を表示することができることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜9を展開してなされた本発明の例としての第10の発明(以下、発明10という)は、発明1〜9のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置が拍動の振幅と振幅分布の少なくとも一方を検出して表示する手段を有していることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明10を展開してなされた本発明の例としての第11の発明(以下、発明11という)は、発明10に記載の生体反応記録装置において、前記拍動の振幅と振幅分布の少なくとも一方の時間的変化を表示することができることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜11を展開してなされた本発明の例としての第12の発明(以下、発明12という)は、発明1〜11のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置が拍動の強度と強度分布の少なくとも一方を検出して表示する手段を有していることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明12を展開してなされた本発明の例としての第13の発明(以下、発明13という)は、発明12に記載の生体反応記録装置において、前記拍動の強度と強度分布の少なくとも一方の時間的変化を表示することができることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明10〜13を展開してなされた本発明の例としての第14の発明(以下、発明14という)は、発明10〜13のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記拍動の振幅もしくは強度の分布を3次元の図形として表示することができることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明14を展開してなされた本発明の例としての第15の発明(以下、発明15という)は、発明14に記載の生体反応記録装置において、前記拍動の振幅もしくは強度の分布を前記3次元の図形の所定位置の断面図として表示することができることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜15を展開してなされた本発明の例としての第16の発明(以下、発明16という)は、発明1〜15のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記拍動の検出部位が胸部であることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜16を展開してなされた本発明の例としての第17の発明(以下、発明17という)は、発明1〜16のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記拍動の検出部位が腹部であることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜17を展開してなされた本発明の例としての第18の発明(以下、発明18という)は、発明1〜17のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置は同一被測定生体の過去のデータを記憶する過去データ記憶手段を有しているとともに、生体の健康状態の診断情報の変化を表示することができることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜18を展開してなされた本発明の例としての第19の発明(以下、発明19という)は、発明1〜18のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置は同一生体と複数生体の少なくとも一方の統計データを記憶する統計データ記憶手段を有していることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜19を展開してなされた本発明の例としての第20の発明(以下、発明20という)は、発明1〜19のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置は他の装置との送受信を行うことができる装置であることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明20を展開してなされた本発明の例としての第21の発明(以下、発明21という)は、発明20に記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置は遠隔診療システムとの送受信を行い、被測定生体の健康状態を管理することができる装置であることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明20または21を展開してなされた本発明の例としての第22の発明(以下、発明22という)は、発明20または21に記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置は他の装置との送受信を行なうことができる装置で、前記装置のうちで被測定生体に装着する部分には少なくとも圧力センサーが含まれていることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜22を展開してなされた本発明の例としての第23の発明(以下、発明23という)は、発明1〜22のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記圧力センサーは、複数の圧力検出部(圧力センサー部ともいう)もしくは複数の圧力検出素子が2次元に配列されて構成されている2次元圧力センサーであることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜23を展開してなされた本発明の例としての第24の発明(以下、発明24という)は、発明1〜23のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記圧力センサーは、複数の圧力検出部もしくは複数の圧力検出素子が同心円状に配置されている2次元圧力センサーであることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜24を展開してなされた本発明の例としての第25の発明(以下、発明25という)は、発明1〜24のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記圧力センサーは、複数の圧力検出部もしくは複数の圧力検出素子が放射状に配置されている2次元圧力センサーであることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜25を展開してなされた本発明の例としての第26の発明(以下、発明26という)は、発明1〜25のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記圧力センサーは、複数の圧力検出部もしくは複数の圧力検出素子が直交する2方向にそれぞれ少なくとも3個の圧力検出素子もしくは圧力検出部を有する2次元圧力センサーであることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜26を展開してなされた本発明の例としての第27の発明(以下、発明27という)は、発明1〜26のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記圧力センサーが支持基板に複数の圧力検出素子を2次元に配列して構成されている圧力センサーであることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜27を展開してなされた本発明の例としての第28の発明(以下、発明28という)は、発明1〜27のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記圧力センサーとして少なくとも1つの3次元圧力センサーを有していることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜28を展開してなされた本発明の例としての第29の発明(以下、発明29という)は、発明1〜28のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記圧力センサーが、被測定生体の被測定部表面に当接する部分と前記圧力センサーの圧力検出部の間に圧力伝達部を有しており、前記圧力伝達部はその断面において前記被測定部表面に当接する部分の面積が前記圧力検出部側の面積よりも大きいことを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜29を展開してなされた本発明の例としての第30の発明(以下、発明30という)は、発明1〜29のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記圧力センサーの圧力検出部が圧電効果を利用した圧力検出部である圧力センサー(以下、圧電型圧力センサーあるいはピエゾ圧力センサーともいう)であることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜30を展開してなされた本発明の例としての第31の発明(以下、発明31という)は、発明1〜30のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記圧力センサーが半導体を用いたピエゾ圧力センサーであることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜31を展開してなされた本発明の例としての第32の発明(以下、発明32という)は、発明1〜31のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記圧力センサーとしてその圧力検出部が静電容量の変化を利用した圧力検出部である圧力センサー(以下、静電容量型圧力センサーともいう)を有していることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明32を展開してなされた本発明の例としての第33の発明(以下、発明33という)は、発明32に記載の生体反応記録装置において、前記圧力センサーが半導体を用いて形成された圧力センサーであることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明23〜33を展開してなされた本発明の例としての第34の発明(以下、発明34という)は、発明23〜33のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記圧力センサーの圧力検出部あるいは圧力伝達部がおおむね外周が円である領域内に配置されていることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明23〜33を展開してなされた本発明の例としての第35の発明(以下、発明35という)は、発明23〜33のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記圧力センサーの圧力検出部分あるいは圧力伝達部がおおむね外周が四角形以上の多角形である領域内に配置されていることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜35を展開してなされた本発明の例としての第36の発明(以下、発明36という)は、発明1〜35のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記圧力センサーが実装されている外装体の外形形状がおおむね円形あるいは長円形のように丸みを帯びた形状であることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜36を展開してなされた本発明の例としての第37の発明(以下、発明37という)は、発明1〜36のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記圧力センサーの圧力検出可能範囲はその外接円の直径が30mm以上の範囲であることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明37を展開してなされた本発明の例としての第38の発明(以下、発明38という)は、発明37に記載の生体反応記録装置において、前記圧力センサーの圧力検出可能範囲はその外接円の直径が40mm以上の範囲であることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜38を展開してなされた本発明の例としての第39の発明(以下、発明39という)は、発明1〜38のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記圧力センサーの少なくとも被測定生体に接触する部分の形状が変形可能な状態に形成されていることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜39を展開してなされた本発明の例としての第40の発明(以下、発明40という)は、発明1〜39のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置は、前記圧力センサーと被測定生体との間の接触圧力あるいは前記圧力センサーを構成する少なくとも2つの各圧力検出素子もしくは各圧力検出部分と被測定生体との間の接触圧力の差の少なくとも一方を検出することができる接触圧検出手段を有していることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明39または40を展開してなされた本発明の例としての第41の発明(以下、発明41という)は、発明39または40に記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置は、前記接触圧検出手段によって検出された接触圧力に対応して前記接触圧力を変える手段を有していることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜41を展開してなされた本発明の例としての第42の発明(以下、発明42という)は、発明1〜41のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置は、前記圧力センサーを被測定生体の測定部所での前記測定が可能な状態に被測定生体に装着する手段を有していることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明42を展開してなされた本発明の例としての第43の発明(以下、発明43という)は、発明42に記載の生体反応記録装置において、前記圧力センサーを被測定生体に装着する手段が吸引力を利用した手段であることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明42または43を展開してなされた本発明の例としての第44の発明(以下、発明44という)は、発明42または43に記載の生体反応記録装置において、前記圧力センサーを被測定生体に装着する手段が粘着力を利用した手段であることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜44を展開してなされた本発明の例としての第45の発明(以下、発明45という)は、発明1〜44のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置は前記測定データと検出データと生体の健康状態の診断情報の少なくとも1つを、静止画と動画の少なくとも一方としてリアルタイムで呈示することができる記録装置であることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜45を展開してなされた本発明の例としての第46の発明(以下、発明46という)は、発明1〜45のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記測定されたデータと検出データの少なくとも一部が正規化(ノーマライズ)されたデータであることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜46を展開してなされた本発明の例としての第47の発明(以下、発明47という)は、発明1〜46のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置は、前記検出データとして、前記各拍動図のうちの少なくとも1つの拍動図を表示することができることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明47を展開してなされた本発明の例としての第48の発明(以下、発明48という)は、発明47に記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置は、前記検出データとして、心音図と心電図を表示することができることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜48を展開してなされた本発明の例としての第49の発明(以下、発明49という)は、発明1〜48のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置は、前記センサーの測定データと前記検出データの少なくとも1つのデータをサンプリングするサンプリング手段を有していることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜49を展開してなされた本発明の例としての第50の発明(以下、発明50という)は、発明1〜49のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置が前記センサーの測定データと前記検出データのような処理データの少なくとも1つのデータから雑音を除去する雑音除去部を有していることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜50を展開してなされた本発明の例としての第51の発明(以下、発明51という)は、発明1〜50のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置は、データ処理条件とサンプリング条件と雑音除去条件のうちの少なくとも1つの条件を前記生体反応記録装置の使用者が変えることができる条件変更手段を有することを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜51を展開してなされた本発明の例としての第52の発明(以下、発明52という)は、発明1〜51のいずれかに記載の生体反応記録装置において、少なくとも1つの前記拍動の検出部位の動きの圧力変化として測定されたデータの信号処理において、前記圧力センサーの測定データを処理する信号処理回路のフィルタの遮断周波数あるいは時定数をパラメータ(以下、パラメータ1ともいう)として、同一もしくは同種の前記圧力センサーの測定データに対して前記パラメータ1の値を異なる値にして測定データの信号処理を行った結果を前記生体の健康状態の診断情報に利用することを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明10〜52を展開してなされた本発明の例としての第53の発明(以下、発明53という)は、発明10〜52のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記拍動の振幅分布と強度分布のいずれか一方または双方を検出して表示する時の生体の被測定領域が少なくとも直径5mmの円形の範囲であることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜53を展開してなされた本発明の例としての第54の発明(以下、発明54という)は、発明1〜53のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置は、前記検出データと対比するデータ(以下、参照データともいう)を有しており、前記検出データと参照データを対比する手段を有していることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明54を展開してなされた本発明の例としての第55の発明(以下、発明55という)は、発明54に記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置は、前記参照データを変更する手段と追加する手段のうちの少なくとも一方を有していることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明54または55を展開してなされた本発明の例としての第56の発明(以下、発明56という)は、発明54または55に記載の生体反応記録装置において、前記検出データと参照データを対比する手段が前記検出データと参照データの差異を検出して表示する手段であることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明54〜56を展開してなされた本発明の例としての第57の発明(以下、発明57という)は、発明54〜56のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記参照データに前記参照データの極値を利用しているデータが含まれていることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜57を展開してなされた本発明の例としての第58の発明(以下、発明58という)は、発明1〜57のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置はパターンマッチング技術を利用して診断情報を生成するパターンマッチング診断部を有することを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜58を展開してなされた本発明の例としての第59の発明(以下、発明59という)は、発明1〜58のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置は拍動図の時間−拍動波形と時間軸の間の面積を利用して拍動図の測定条件を設定する手段を有していることを特徴とする生体反応記録装置である。
課題を解決するためになされた本発明の例としての第60の発明(以下、発明60ともいう)は、生体の心尖拍動と右室拍動と左房拍動のうちの少なくとも1種類の拍動としての心拍動あるいは上行大動脈拍動あるいは肺動脈(肺動脈幹と中枢側肺動脈の少なくとも一方を含む)拍動あるいは腹部大動脈拍動あるいは肝拍動のうちの少なくとも1つを圧力変化の測定結果として検出し記録することができる新規の生体反応記録装置であって、前記生体反応記録装置は、少なくとも1つの前記拍動の検出部位の動きを圧力変化として測定することができる圧力センサーと測定された信号等の増幅手段と測定されたデータを基に生体情報を検出することができる演算処理部等のデータ処理手段と測定されたデータの少なくとも主要部分と検出データの少なくとも一方を記憶することができる記憶手段と表示手段を有しているとともに、前記記憶手段は前記測定データの少なくとも主要部分と前記検出データの少なくとも一方を記憶することができるとともに、同一被測定生体の検出データの経時変化を記憶することができることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明60を展開してなされた本発明の例としての第61の発明(以下、発明61という)は、発明60に記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置が心電図測定センサーと心音図測定センサーを有していることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明60または61を展開してなされた本発明の例としての第62の発明(以下、発明62という)は、発明60または61に記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置が被測定生体の心電図と心音図の少なくとも一方のデータを前記生体反応記録装置の外部から入力することができるとともに、前記の少なくとも一つのデータに同期させることができるを特徴とする生体反応記録装置である。
課題を解決するためになされた本発明の例としての第63の発明(以下、発明63ともいう)は、生体の心尖拍動と右室拍動と左房拍動のうちの少なくとも1種類の拍動としての心拍動あるいは上行大動脈拍動あるいは肺動脈(肺動脈幹と中枢側肺動脈の少なくとも一方を含む)拍動あるいは腹部大動脈拍動あるいは肝拍動のうちの少なくとも1つを圧力変化の測定結果として検出し記録することができる新規の生体反応記録方法であって、前記生体反応記録方法は、少なくとも1つの前記拍動検出部位の動きを被測定箇所の近傍の複数箇所における圧力変化として測定することができる圧力センサーを用いるとともに、少なくとも1つの前記拍動検出部位の動きの前記圧力センサーによって圧力変化として測定されたデータから生体情報を検出する手段と、検出した生体情報を記憶する手段と、前記検出した生体情報に基づいた生体の健康状態の診断情報を表示する手段を用いることを特徴とする生体反応記録方法である。
前記発明63を展開してなされた本発明の例としての第64の発明(以下、発明64という)は、発明63に記載の生体反応記録方法において、前記生体反応記録方法が心電図測定センサーと心音図測定センサーを用いることを特徴とする生体反応記録方法である。
前記発明63または64を展開してなされた本発明の例としての第65の発明(以下、発明65という)は、発明63または64に記載の生体反応記録方法において、被測定生体の心電図と心音図の少なくとも一方のデータを使用する生体反応記録装置の外部から入力することができるとともに、請求項63に記載の少なくとも一つのデータに同期させることができるを特徴とする生体反応記録方法である。
前記発明63〜65を展開してなされた本発明の例としての第66の発明(以下、発明66という)は、発明63〜65のいずれかに記載の生体反応記録方法において、前記拍動検出部位として少なくとも胸部と腹部のいずれかの部位を対象としていることを特徴とする生体反応記録方法である。
前記発明63〜66を展開してなされた本発明の例としての第67の発明(以下、発明67という)は、発明63〜66のいずれかに記載の生体反応記録方法において、前記生体の健康状態の診断情報として心電図と心音図と拍動図を用いるとともに、時間−拍動波形を時間で微分した一次微分データおよび前記一次微分データを時間で微分した二次微分データのうちの少なくとも一方を含む情報を用いることを特徴とする生体反応記録方法である。
前記発明63〜67を展開してなされた本発明の例としての第68の発明(以下、発明68という)は、発明63〜67のいずれかに記載の生体反応記録方法において、胸部における拍動の振幅と振幅分布と強度と強度分布の少なくとも1つを検出して表示する手段を用いることを特徴とする生体反応記録方法である。
前記発明63〜68を展開してなされた本発明の例としての第69の発明(以下、発明69という)は、発明63〜68のいずれかに記載の生体反応記録方法において、前記生体反応記録方法は前記測定されたデータから検出された検出データと参照データを対比する手段を用いることを特徴とする生体反応記録方法である。
課題を解決するためになされた本発明の例としての第70の発明(以下、発明70ともいう)は、生体の心尖拍動と右室拍動と左房拍動のうちの少なくとも1種類の拍動としての心拍動あるいは上行大動脈拍動あるいは肺動脈(肺動脈幹と中枢側肺動脈の少なくとも一方を含む)拍動あるいは腹部大動脈拍動あるいは肝拍動のうちの少なくとも1つを圧力変化及び/あるいは波動の反射の測定結果として検出し記録することができる新規の生体反応記録装置であって、前記生体反応記録装置は、少なくとも1つの前記拍動の検出部位の動きを、圧力変化として測定することができる圧力センサー及び/あるいは波動の反射を利用して測定する反射検出センサーと測定された信号等の増幅手段と測定されたデータを基に生体反応情報(以下、生体情報ともいう)を検出することができる演算処理部等のデータ処理手段と測定されたデータの少なくとも主要部分とデータ処理手段を用いて検出された生体情報あるいはデータ処理手段を用いて処理された情報あるいは処理途中の情報などのデータ(以下、データ処理手段を用いて検出された生体情報あるいはデータ処理手段を用いて処理された情報あるいは処理途中の情報などのデータを検出データともいう)のうちの少なくとも一方を記憶することができる記憶手段と表示手段を有しているとともに、前記圧力センサー及び/あるいは反射検出センサーは前記測定する1つの拍動に関して生体の圧力及び/あるいは反射情報をそれぞれ測定することができ、前記記憶手段は前記複数箇所の測定データの少なくとも主要部分と前記検出データの少なくとも一方を記憶することができることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜62と発明70を展開してなされた本発明の例としての第71の発明(以下、発明71という)は、発明1〜62と発明70のいずれかに記載の生体反応記録装置において、心音図から2音(大動脈弁閉鎖音)を同定し、心尖拍動図波形において、時間軸(横軸)方向で、2音より前に存在し、2音との間隔が50msec未満の2音に最も近い陽性極値(微分値が+から−に転じる時点で零点を示す)をS点とし、S点が存在すれば、高度の左室障害(収縮障害、拡張障害)の可能性は低いとし、S点が存在しなければ、左室拡張障害が示唆されるとし、及び/あるいは左室拡張障害とは別に左室収縮障害が示唆されるとし、及び/あるいは中等度以上の左室肥大があり、左室収縮が正常である例が疑われるとして情報処理を行うことを特徴とする生体反応記録装置である。
心尖拍動図からS点を同定する。心音図から2音(大動脈弁閉鎖音)を同定する。時間軸(横軸)において、心尖拍動図波形において2音より前に存在し、2音との間隔が50msec未満の2音に最も近い陽性極値(微分値が+から−に転じる時点で零点を示す)をS点とする。2音より前に存在し、2音まで50msec以上離れた陽性極値はS点としては扱わない。圧力値(縦軸)において、S点の高さは計測しない方法がある。S点は収縮期の終了を意味し、同時に拡張期の開始も意味する。S点は左室拡張障害の指標であるとともに、収縮障害の指標となる。S点が存在すれば、高度の左室障害(収縮障害、拡張障害)の可能性は低い。S点が存在しなければ、左室拡張障害が示唆される。また、左室拡張障害とは別に左室収縮障害が示唆される。加えて、中等度以上の左室肥大があり、左室収縮が正常である例が疑われる。
前記発明1〜62と発明70,71を展開してなされた本発明の例としての第72の発明(以下、発明72という)は、発明1〜62と発明70,71のいずれかに記載の生体反応記録装置において、心音図から2音(大動脈弁閉鎖音)を同定し、時間軸(横軸)において、心尖拍動図波形において2音から50msec以上後で、心尖拍動図の最初の陰性極値をO点とし、2音からO点までの時間を2−O時間とし、2−O時間が150msec未満を正常とし、150msec以上から200msec未満を異常として情報処理を行うことを特徴とする生体反応記録装置である。
心尖拍動図からO点を同定することが、生体情報処理において重要な情報として使える場合がある。心音図から2音(大動脈弁閉鎖音)を同定する。時間軸(横軸)において、心尖拍動図波形において2音から50msec以上後で、心尖拍動図の最初の陰性極値をO点とする。2音からO点までの時間を2−O時間という。2−O時間が150msec未満を正常とし、150msec以上から200msec未満を異常とする。2音より200msec以上離れた最初の陰性極値は計測しない。 圧力値(縦軸)において、心尖拍動図波形を正規化し、O点の高さを零点とする。O点は僧帽弁開放時点付近にある。2−O時間は等容性拡張期に近似し、2−O時間は拡張障害時に延長する。左室心筋の伸展性が低下している状態すなわち、高血圧症、大動脈弁狭窄あるいは肥大型心筋症による左室肥大、線維化や変性をきたす心筋梗塞、二次性心筋症などが疑われる。
前記発明1〜62と発明70〜72を展開してなされた本発明の例としての第73の発明(以下、発明73という)は、発明1〜62と発明70〜72のいずれかに記載の生体反応記録装置において、O点から後に存在し、O点から150msec未満の最初の陽性極値をF点とし、O点からF点までの時間をO―F時間とし、O―F時間が100msec未満を正常とし、100msec以上で150msec未満を異常として情報処理を行うことを特徴とする生体反応記録装置である。
O点から後に存在し、O点から150msec未満の最初の陽性極値をF点とする。O点より後で、O点から150msec以上離れた陽性極値F点として扱わない。O点からF点までの時間をO―F時間という。O―F時間が100msec未満を正常とし、100msec以上で150msec未満を異常とする。O―F時間時間が100msec以上で150msec未満の時、左室心筋の伸展性が低下している状態すなわち、高血圧症、大動脈弁狭窄あるいは肥大型心筋症による左室肥大、線維化や変性をきたす心筋梗塞、二次性心筋症などが疑われる。
前記発明1〜62と発明70〜73を展開してなされた本発明の例としての第74の発明(以下、発明74という)は、発明1〜62と発明70〜73のいずれかに記載の生体反応記録装置において、正規化した心尖拍動図の縦軸において、F点の高さが50ポイント未満を異常とし、50ポイント以上で200ポイント未満を正常とし、200ポイント以上を異常として情報処理を行うことを特徴とする生体反応記録装置である。
F点の高さが重要な情報として使える場合がある。正規化した心尖拍動図の縦軸において、F点の高さが50ポイント未満を異常とし、50ポイント以上で200ポイント未満を正常とし、200ポイント以上を異常とする。F点が50ポイント未満の時、左室拡張障害を示唆する。 左室心筋の伸展性が低下している状態すなわち、高血圧症、大動脈弁狭窄あるいは肥大型心筋症による左室肥大、線維化や変性をきたす心筋梗塞、二次性心筋症などが疑われる。
F点が200ポイント以上の時、左室拡張障害を示唆する。拡張初期の荷重増大が疑われる。左室機能正常で特に左室心筋の伸展性がよい例で認められることもある。
また、左室拡張初期の病的状態を示す場合もある。病的状態に二つあり、ひとつは絶対的な心室拡張期荷重増大を疑わせる所見である。僧帽弁口を通過する血流の増大を示す疾患(僧帽弁閉鎖不全、心室中隔欠損、動脈管開存)や高心拍出状態(甲状腺機能亢進症、中等度以上の貧血、妊娠、発熱時)が疑われる。
もう一つは、相対的心室拡張期荷重増大を疑わせる場合がある。すなわち、左室心筋が障害され僧帽弁口通過血流の増大なしに負荷が過剰となる状態である。左室収縮障害による収縮末期における左室残留血液量の増大と拡張早期における左室充満圧の上昇とが相俟って左心不全を来たすことによってF点高値を生ずる。通常、左室拡大と左室充満圧上昇が存在する鬱血性心不全の状態を呈する。頻度の高い例として心筋梗塞患者や拡張型心筋症患者がある。
前記発明1〜62と発明70〜74を展開してなされた本発明の例としての第75の発明(以下、発明75という)は、発明1〜62と発明70〜74のいずれかに記載の生体反応記録装置において、心尖拍動図の一次微分波形におけるA波、E波およびF波の陽性ピーク値をそれぞれa点、e点、f点とし、各a点、e点、f点を相対値として比較し検討し、f点の高さがe点の高さの2分の1未満の時を正常と判定し、f点の高さがe点の高さの2分の1以上で、3分の2未満の時、境界域で要注意と判定し、f点の高さがe点の高さの3分の2以上で異常と判定して情報処理を行うことを特徴とする生体反応記録装置である。
f点の高さが重要な情報として使える場合がある。各a点、e点、f点を相対値として比較し検討する。f点の高さがe点の高さの2分の1未満の時を正常と判定する。f点の高さがe点の高さの2分の1以上で、3分の2未満の時、境界域で要注意と判定する。f点の高さがe点の高さの3分の2以上で異常と判定する。
f点がe点と比較して、相対的に高い時(f点がe点の2分の1以上の時)、左室拡張初期の荷重負荷を示唆する。この時の病的状態に二つあり、ひとつは絶対的な心室拡張期荷重増大の場合である。僧帽弁口を通過する血流の増大を示す疾患(僧帽弁閉鎖不全、心室中隔欠損、動脈管開存)や高心拍出状態(甲状腺機能亢進症、中等度以上の貧血、妊娠、発熱時)が疑われる。もう一つは、相対的心室拡張期荷重増大の場合がある。すなわち、左室心筋が障害され僧帽弁口通過血流の増大なしに負荷が過剰となる状態である。左室収縮障害による収縮末期における左室残留血液量の増大と拡張早期における左室充満圧の上昇とが相俟って左心不全を来たす。通常、左室拡大と左室充満圧上昇が存在する鬱血性心不全の状態を呈する。頻度の高い例として心筋梗塞患者や拡張型心筋症患者がある。
前記発明1〜62と発明70〜75を展開してなされた本発明の例としての第76の発明(以下、発明76という)は、発明1〜62と発明70〜75のいずれかに記載の生体反応記録装置において、A点の高さが300ポイント以上を異常とし、300ポイント未満を正常と判定して情報処理を行うことを特徴とする生体反応記録装置である。
A波が存在しない場合がある。C点前にほとんど陽性波が認められない場合は、A波なしと判定し、A点もa点も存在しない。左室拡張末期に負荷がかかっていない正常の場合や、左房収縮機能が消失ないし低下している病的な場合がある。
A点の高さが300ポイント以上を異常とし、300ポイント未満を正常とする。
A点の高さが300ポイント以上では左室拡張末期の荷重増大を示唆する。
左室心筋の伸展性が低下している状態すなわち、高血圧症、大動脈弁狭窄あるいは肥大型心筋症による左室肥大、線維化や変性をきたす心筋梗塞、二次性心筋症などが疑われる。また、拡張初期からの荷重増大の影響も受けるため、僧帽弁口を通過する血流の増大を示す疾患(僧帽弁閉鎖不全、心室中隔欠損、動脈管開存)や高心拍出状態(甲状腺機能亢進症、中等度以上の貧血、妊娠、発熱時)が疑われる。
心筋梗塞や拡張型心筋症などの左室心筋が障害され僧帽弁口通過血流の増大なしに負荷が過剰となる病態が疑われる。
前記発明1〜62と発明70〜76を展開してなされた本発明の例としての第77の発明(以下、発明77という)は、発明1〜62と発明70〜76のいずれかに記載の生体反応記録装置において、a点がe点の2分の1以上は異常と判定し、a点がe点の4分の1以上で2分の1未満の時は境界域で要注意と判定し、a点がe点の4分の1未満を正常と判定して情報処理を行うことを特徴とする生体反応記録装置である。
a点の高さが重要な情報として使える場合がある。a点がe点の2分の1以上は明らかに異常と判定する。a点がe点の4分の1以上で2分の1未満の時は境界域で要注意と判断する。a点がe点の4分の1未満を正常と判定する。
a点が高いことは、拡張末期の左房収縮増強による左室圧上昇が示唆される。
左室心筋の伸展性の低下した高血圧症、大動脈弁狭窄あるいは肥大型心筋症による左室肥大、線維化や変性をきたす心筋梗塞、二次性心筋症などが疑われる。
a点がf点より低い時、正常左室機能で特に左室拡張能のよい場合か、逆に重症心不全(代償不全)場合が考えられる。
前記発明1〜62と発明70〜77を展開してなされた本発明の例としての第78の発明(以下、発明78という)は、発明1〜62と発明70〜77のいずれかに記載の生体反応記録装置において、C点が300ポイント未満の時、正常と判定し、C点が300ポイント以上を異常と判定して情報処理を行うことを特徴とする生体反応記録装置である。
C点が300ポイント未満の時、正常と判定する。C点が300ポイント以上を異常と判定する。拡張末期の左室荷重増大の可能性がある。
前記発明1〜62と発明70〜78を展開してなされた本発明の例としての第79の発明(以下、発明79という)は、発明1〜62と発明70〜78のいずれかに記載の生体反応記録装置において、C点から150msec未満での陽性極値(一次微分波形が+から−に転じる点)をE点とし、C点からE点までが125msecから150msecまでは要注意と判定し、C点からE点までが125msec未満を正常と判定して情報処理を行うことを特徴とする生体反応記録装置である。
E点およびP点の時相が重要な情報として使える場合がある。
C点から150msec未満での陽性極値(一次微分波形が+から−に転じる点)をE点とし、C点から150msec未満にE点と判定せず、150msec以上にのみ陽性極値を認める場合にはその極値をP点とする。P点が存在する時は異常と判断する。左室収縮障害または中等度以上の左室肥大が疑われる。中等度以上の左室肥大の場合は収縮障害を伴うことも伴わないこともある。
前記発明1〜62と発明70〜79を展開してなされた本発明の例としての第80の発明(以下、発明80という)は、発明1〜62と発明1〜62と70〜79のいずれかに記載の生体反応記録装置において、C点から150msec未満にE点が存在せず、150msec以上にのみ陽性極値を認める場合にはその極値をP点とし、P点が存在する時は異常と判定して情報処理を行うことを特徴とする生体反応記録装置。
C点からE点までが125msecから150msecまでは要注意。病的な可能性がある。C点からE点までが125msec未満を正常とする。
前記発明1〜62と発明70〜80を展開してなされた本発明の例としての第81の発明(以下、発明81という)は、発明1〜62と発明70〜80のいずれかに記載の生体反応記録装置において、F波にオーバーシュートの有無の判定を用いて情報処理を行うことを特徴とする生体反応記録装置である。
オーバーシュートとは、上昇した波が頂点に達した後、その直後に一過性に下方に落ち込み、その後再び上昇する現象をいう。
F波にオーバーシュートの所見があれば、左室心筋の伸展性が正常(コンプライアンス良好)であるか、または拡張初期の左室荷重増大が疑われる。オーバーシュートがなければ、左室拡張障害がないか、または、左室心筋の伸展性が低下(コンプライアンス不良)していることを意味する拡張障害が疑われる。
前記発明1〜62と発明70〜81を展開してなされた本発明の例としての第82の発明(以下、発明82という)は、発明1〜62と発明70〜81のいずれかに記載の生体反応記録装置において、心尖拍動図の一次微分波形のe点からf点直前の最下点までの間の微分値が零の近傍に、微分波形のみから水平に推移すると判断できる区間があれば正常と判定し、なければ正常といえないと判定して情報処理を行うことを特徴とする生体反応記録装置である。
図23と図24を用いて後述するように、心尖拍動図の一次微分波形のe点からf点の前の最下点までの間の微分値が零の近傍に、微分波形のみから水平に推移すると判断できる区間があれば、正常と判定し、なければ左室収縮障害ありと判定できる、特徴的な左室収縮状態を把握できる方法がある。
前記発明82を展開してなされた本発明の例としての第83の発明(以下、発明83という)は、発明82に記載の生体反応記録装置において、心尖拍動図の一次微分波形のf点直前の最下点の位置が、前記最下点の直前の微分値が零の点と前記最下点の直後の微分値が零の点との間の区間の前半部分に位置する場合は正常の左室拡張能を有すると判定して情報処理を行うことを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜62と発明70〜83を展開してなされた本発明の例としての第84の発明(以下、発明84という)は、発明1〜62と発明70〜83のいずれかに記載の生体反応記録装置において、心尖拍動図および/またはその一次微分波形の各特徴点(A点、C点、E点、S点、O点、F点,a点,e点,f点)の少なくとも1つに関し、時相、高さに関して設定された所定の範囲を有しており、測定された各データがその範囲に入るか否かを判定する手段を有していることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜62と発明70〜84を展開してなされた本発明の例としての第85の発明(以下、発明85という)は、発明1〜62と発明70〜84のいずれかに記載の生体反応記録装置において、心尖拍動図および/またはその一次微分波形の各特徴点(A点、C点、E点、S点、O点、F点,a点,e点,f点)の少なくとも1つに関し、時相、高さに関する所定の範囲を測定者が入力して設定することができる手段を有しており、測定された各データがその範囲に入るか否かを判定する手段を有していることを特徴とする生体反応記録装置である。
前記発明1〜62と発明70〜85を展開してなされた本発明の例としての第86の発明(発明82という)は、発明1〜62と発明1〜62と70〜85のいずれかに記載の生体反応記録装置において、心尖拍動図および/またはその一次微分波形の各特徴点(A点、C点、E点、S点、O点、F点,a点,e点,f点)の少なくとも1つに関し、時相、高さに関する所定の範囲を測定者がタブレットなどを用いて図形として入力して設定することができる手段を有しており、測定された各データがその範囲に入るか否かを判定する手段を有していることを特徴とする生体反応記録装置である。
本分割出願においては、課題を解決するのに効果のある請求項として、次の請求項1〜20の20項目を提案した。
請求項1に記載の生体反応記録装置は、生体の心尖拍動図を作成することができる測定値を圧力変化及び/あるいは波動の反射の測定結果として検出することができる新規の生体反応記録装置であって、前記生体反応記録装置は、少なくとも1つの前記拍動の検出部位の動きを、圧力変化として測定することができる圧力センサー及び/あるいは波動の反射を利用して測定する反射検出センサーと測定された信号等の増幅手段と測定されたデータを基に生体反応情報(以下、生体情報ともいう)を検出することができる演算処理部等のデータ処理手段と測定されたデータの少なくとも主要部分とデータ処理手段を用いて検出された生体情報あるいはデータ処理手段を用いて処理された情報あるいは処理途中の情報などのデータのうちの少なくとも一方を記憶することができる記憶手段(以下、データ処理手段を用いて検出された生体情報あるいはデータ処理手段を用いて処理された情報あるいは処理途中の情報などのデータを検出データともいう)と表示手段を有しているとともに、前記圧力センサー及び/あるいは反射検出センサーは測定部位の複数箇所の測定データを区別して測定することができる複数の検出センサーから構成されており、前記圧力センサー及び/あるいは反射検出センサーは前記測定する1つの拍動に関して生体の圧力及び/あるいは反射情報をそれぞれ測定することができ、前記記憶手段は前記複数箇所の測定データの少なくとも主要部分と前記検出データの少なくとも一方を記憶することができることを特徴とする生体反応記録装置において、
心尖拍動図に関する特徴点を、1拍動期間において、心音図から2音(大動脈弁閉鎖音)を同定し、心尖拍動図波形において、時間軸(横軸)方向で、2音より前に存在し、2音との間隔が50msec未満の2音に最も近い陽性極値をS点とし、心電図のQRS波の頂点付近に陰性極値が存在するときはその陰性極値点をC点とし、心電図のQRS波の頂点付近に陰性極値がない場合は、心電図のRから垂線を下ろし、その垂線と心尖拍動図波形が交わった点をC点とし、左房収縮による陽性波であるA波の陽性極値をA点とし、A波が陽性極値を持たず、持続的に上昇し、後述のC点にまで至る場合は、C点をA点とみなすものとし、C点から150msec未満後の陽性極値をE点とし、E点もS点も存在しないときにC点から150msec以上遅れて、かつ、心音図の2音から50msec以上前に存在する陽性極値をP点とし、2音から50msec以上後で、心尖拍動図の最初の陰性極値をO点とし、O点から後に存在し、O点から150msec未満の最初の陽性極値をF点とし、左房収縮による陽性波をA波とし、左室収縮期波をE波とし、急速流入波をF波とし、心尖拍動図の一次微分波形におけるA波、E波およびF波の陽性ピーク値をそれぞれa点、e点、f点としたとき、心尖拍動図波形の振幅軸(縦軸)を最小値を0ポイント,最大値を1000ポイントに正規化した状態において、
前記生体反応記録装置は、前記特徴点の少なくとも1つの存在有無を判定する手段を有しているとともに、さらに、
A点の高さが300ポイント未満であるか300ポイント以上であるかを判定する判定手段と、
C点の高さが300ポイント未満であるか300ポイント以上であるかを判定する判定手段と、
a点の高さがe点の4分の1未満であるか、4分の1以上で、かつ、2分の1未満であるか、2分の1以上であるかを判定する判定手段と、
F点の高さが50ポイント未満であるか、50ポイント以上で、かつ、200ポイント未満であるか、200ポイント以上であるかを判定する判定手段と、
f点の高さがe点の2分の1未満であるか、2分の1以上で、かつ、3分の2未満であるか、3分の2以上であるかを判定する判定手段と、
F波にオーバーシュートがあるか否かを判定する判定手段のうちの少なくとも一つの判定手段を有していることを特徴とする生体反応記録装置である。
請求項2に記載の生体反応記録装置は、生体の心尖拍動図を作成することができる測定値を圧力変化及び/あるいは波動の反射の測定結果として検出することができる新規の生体反応記録装置であって、前記生体反応記録装置は、少なくとも1つの前記拍動の検出部位の動きを、圧力変化として測定することができる圧力センサー及び/あるいは波動の反射を利用して測定する反射検出センサーと測定された信号等の増幅手段と測定されたデータを基に生体反応情報(以下、生体情報ともいう)を検出することができる演算処理部等のデータ処理手段と測定されたデータの少なくとも主要部分とデータ処理手段を用いて検出された生体情報あるいはデータ処理手段を用いて処理された情報あるいは処理途中の情報などのデータのうちの少なくとも一方を記憶することができる記憶手段(以下、データ処理手段を用いて検出された生体情報あるいはデータ処理手段を用いて処理された情報あるいは処理途中の情報などのデータを検出データともいう)と表示手段を有しているとともに、前記圧力センサー及び/あるいは反射検出センサーは測定部位の複数箇所の測定データを区別して測定することができる複数の検出センサーから構成されており、前記圧力センサー及び/あるいは反射検出センサーは前記測定する1つの拍動に関して生体の圧力及び/あるいは反射情報をそれぞれ測定することができ、前記記憶手段は前記複数箇所の測定データの少なくとも主要部分と前記検出データの少なくとも一方を記憶することができることを特徴とする生体反応記録装置において、
前記生体反応記録装置は前記特徴点の少なくとも2つの存在有無を判定する手段を有しているとともに、前記センサーの測定データとその処理データの少なくとも一方から雑音を除去する雑音処理手段をを有していることを特徴とする生体反応記録装置である。
請求項3に記載の生体反応記録装置は、生体の心尖拍動図を作成することができる測定値を圧力変化及び/あるいは波動の反射の測定結果として検出することができる新規の生体反応記録装置であって、前記生体反応記録装置は、少なくとも1つの前記拍動の検出部位の動きを、圧力変化として測定することができる圧力センサー及び/あるいは波動の反射を利用して測定する反射検出センサーと測定された信号等の増幅手段と測定されたデータを基に生体反応情報(以下、生体情報ともいう)を検出することができる演算処理部等のデータ処理手段と測定されたデータの少なくとも主要部分とデータ処理手段を用いて検出された生体情報あるいはデータ処理手段を用いて処理された情報あるいは処理途中の情報などのデータのうちの少なくとも一方を記憶することができる記憶手段(以下、データ処理手段を用いて検出された生体情報あるいはデータ処理手段を用いて処理された情報あるいは処理途中の情報などのデータを検出データともいう)と表示手段を有しているとともに、前記圧力センサー及び/あるいは反射検出センサーは測定部位の複数箇所の測定データを区別して測定することができる複数の検出センサーから構成されており、前記圧力センサー及び/あるいは反射検出センサーは前記測定する1つの拍動に関して生体の圧力及び/あるいは反射情報をそれぞれ測定することができ、前記記憶手段は前記複数箇所の測定データの少なくとも主要部分と前記検出データの少なくとも一方を記憶することができることを特徴とする生体反応記録装置において、
前記生体反応記録装置は前記特徴点の少なくとも2つの存在有無を判定する手段を有しているとともに、
測定されたデータの少なくとも主要部分からデータ処理手段を用いて検出された生体情報あるいはデータ処理手段を用いて処理された情報あるいは処理途中の情報などのデータ(以下、データ処理手段を用いて検出された生体情報あるいはデータ処理手段を用いて処理された情報あるいは処理途中の情報などのデータを検出データという)と対比する参照データを有していることを特徴とする生体反応記録装置である。
請求項4に記載の生体反応記録装置は、請求項3に記載の生体反応記録装置において、前記参照データを生体反応記録装置の外部から入力することができることを特徴とする生体反応記録装置である。
請求項5に記載の生体反応記録装置は、請求項3に記載の生体反応記録装置において、前記参照データを変更する手段を有していることを特徴とする生体反応記録装置である。
請求項6に記載の生体反応記録装置は、生体の心尖拍動図を作成することができる測定値を圧力変化及び/あるいは波動の反射の測定結果として検出することができる新規の生体反応記録装置であって、前記生体反応記録装置は、少なくとも1つの前記拍動の検出部位の動きを、圧力変化として測定することができる圧力センサー及び/あるいは波動の反射を利用して測定する反射検出センサーと測定された信号等の増幅手段と測定されたデータを基に生体反応情報(以下、生体情報ともいう)を検出することができる演算処理部等のデータ処理手段と測定されたデータの少なくとも主要部分とデータ処理手段を用いて検出された生体情報あるいはデータ処理手段を用いて処理された情報あるいは処理途中の情報などのデータのうちの少なくとも一方を記憶することができる記憶手段(以下、データ処理手段を用いて検出された生体情報あるいはデータ処理手段を用いて処理された情報あるいは処理途中の情報などのデータを検出データともいう)と表示手段を有しているとともに、前記圧力センサー及び/あるいは反射検出センサーは測定部位の複数箇所の測定データを区別して測定することができる複数の検出センサーから構成されており、前記圧力センサー及び/あるいは反射検出センサーは前記測定する1つの拍動に関して生体の圧力及び/あるいは反射情報をそれぞれ測定することができ、前記記憶手段は前記複数箇所の測定データの少なくとも主要部分と前記検出データの少なくとも一方を記憶することができることを特徴とする生体反応記録装置において、
前記生体反応記録装置は前記特徴点の少なくとも2つの存在有無を判定する手段を有しているとともに、
パターンマッチング技術を利用して判断情報を生成するデータ処理手段を有していることを特徴とする生体反応記録装置である。
請求項7に記載の生体反応記録装置は、請求項1〜6のいずれかに記載の生体反応記録装置において、少なくとも1つの前記拍動の検出部位の動きの圧力変化として測定されたデータの信号処理において、前記センサーの測定データを処理する信号処理回路のフィルタの遮断周波数あるいは時定数をパラメータ(以下、パラメータ1ともいう)として、同一もしくは同種の前記センサーの測定データに対して前記パラメータ1の値を異なる値にして測定データの信号処理を行った結果を前記生体の健康状態の診断情報に利用することを特徴とする生体反応記録装置である。
請求項8に記載の生体反応記録装置は、請求項1〜7のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記センサーの少なくとも被測定生体に接触する部分の形状が変形可能な状態に形成されていることを特徴とする生体反応記録装置である。
請求項9に記載の生体反応記録装置は、請求項1〜8のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記センサーの少なくとも被測定生体に接触する部分がフレキシブルに形成されていることを特徴とする生体反応記録装置である。
請求項10に記載の生体反応記録装置は、請求項1〜9のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置は、前記センサーと被測定生体との間の接触圧力あるいは前記センサーを構成する少なくとも2つの各圧力検出素子もしくは各圧力検出部分と被測定生体との間の接触圧力の差の少なくとも一方を検出することができる接触圧検出手段を有していることを特徴とする生体反応記録装置である。
請求項11に記載の生体反応記録装置は、請求項9または10に記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置は、前記接触圧検出手段によって検出された接触圧力に対応して前記接触圧力を変える手段を有していることを特徴とする生体反応記録装置である。
請求項12に記載の生体反応記録装置は、請求項1〜11のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置は、前記センサーを被測定生体の測定部所での前記測定が可能な状態に被測定生体に装着する手段を有していることを特徴とする生体反応記録装置である。
請求項13に記載の生体反応記録装置は、請求項12に記載の生体反応記録装置において、前記センサーを被測定生体に装着する手段が吸引力を利用した手段であることを特徴とする生体反応記録装置である。
請求項14に記載の生体反応記録装置は、請求項12または13に記載の生体反応記録装置において、前記センサーを被測定生体に装着する手段が粘着力を利用した手段であることを特徴とする生体反応記録装置である。
請求項15に記載の生体反応記録装置は、請求項1〜14のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置は前記測定データと検出データと生体の健康状態の診断情報の少なくとも1つを、静止画と動画の少なくとも一方としてリアルタイムで呈示することができる記録装置であることを特徴とする生体反応記録装置である。
請求項16に記載の生体反応記録装置は、請求項1〜15のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置は同一生体と複数生体の少なくとも一方の統計データを記憶する統計データ記憶手段を有していることを特徴とする生体反応記録装置である。
請求項17に記載の生体反応記録装置は、請求項1〜16のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記心尖拍動図もしくはその測定データが被測定生体の心電図と心音図と外部から入力したデータのいずれかに同期していることを特徴とする生体反応記録装置である。
請求項18に記載の生体反応記録装置は、請求項1〜17のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記拍動の振幅もしくは強度の分布を3次元の図形として及び/または3次元の図形の所定位置の断面図として表示することができることを特徴とする生体反応記録装置である。
請求項19に記載の生体反応記録装置は、請求項1〜18のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記センサーの圧力検出可能範囲はその外接円の直径が30mm以上の範囲であることを特徴とする生体反応記録装置である。
請求項20に記載の生体反応記録装置は、請求項1〜18のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記拍動の振幅分布と強度分布のいずれか一方または双方を検出して表示する時の生体の被測定領域が少なくとも直径5mmの円形の範囲であることを特徴とする生体反応記録装置である。
来は、拍動を、被検者に前記のように防音室のような雑音の入りにくい環境に入ってもらい、胸部における代表点においてマイクロフォンを密着させた範囲の全体のあるいは平均的な値として測定して心尖拍動図を求め、その記録を紙に記録してきたが、これでは前記のように実際の診断に使えなかった。
そして、従来の心機図記録装置に用いられていたマイクロフォンは測定者による時定数の設定に専門的な知識を必要とされ、マイクロフォンの当て方は当然正しく当てなければならないが、マイクロフォンを正しく当てただけではだめで、測定者による時定数の設定如何ではその測定データは心機図として診断に用いることができないといわれてきた。
本発明の生体反応記録装置及び生体反応記録方法はこの点をも解決し、時定数の問題は、測定器の内部で解決し、例えば圧力センサの使用事情による必要性により回路を構成し、測定者による従来のような時定数の設定を問題にしなくても正しいデータを得ることができるものである。
本発明の各例のように、前記圧力センサーによる測定において、たとえば1つの拍動に関して、生体の近接する複数箇所の圧力を区別して測定することができるという特徴は、従来では期待できなかった重要な情報を得られることに加えてそれを利用した診断に長足の進歩をもたらすという大きな効果を奏するものである。さらに、1つの拍動に関して、複数箇所の圧力を同時に測定することができるという特徴は、たとえば心臓の複雑な動きをより詳しく観測することが出来るなど、従来では期待できなかったきわめて重要な情報を得ることができるという大きな効果を奏するものである。そして、1つの拍動に関して、複数箇所の圧力のうちの最大の圧力を抽出して測定することができるという特徴は、心臓の複雑な動きをより詳しく観測することが出来るなど、従来では期待できなかったきわめて重要な情報を得ることができるという大きな効果を奏するものである。さらに、本発明の圧力センサーの例では、一次元、二次元の圧力検出部分の部分的平均値、合計値、あるいは全体の平均値、合計値を利用することが出きる効果も大きい。
ここで、同時に測定することができるとは、測定がたとえばデータを1000分の1秒とか1200分の1秒でサンプリングしている場合、測定データを一時的にメモリーに記憶しておき、読み出すときにサンプリング順による遅れ分を補正して読み出すなど真に同時のデータをとることができるが、これに限られず、たとえば圧力センサーの圧力検出素子数をnとして、nが極めて大きい数の時を除けば、1000分のn秒以内のデータを同時に測定したデータとして取り扱って問題ない場合が多い。おおむね0.3秒以内のデータを同時に測定したデータとして取り扱って心臓の動きの重要な情報を得ることができる。
本発明の発明者による研究の結果、データの利用の観点から、前記の例のような真に同時のデータを測定値として得ることが特に好ましい。心電図と心音図の少なくとも一方に同期して、心電図のQRS波の始まりからあるいは心音図の1音の特定位置から0.02秒後のデータをとること、あるいは0.04秒後のデータあるいは0.08秒後のデータをとることは重要な情報を得ることができ、特に好ましいことといえる。このようなデータは、例えば、心尖拍動図のグラフのピークや心尖拍動そのもの以外の衝撃としての棘波(ノッチ)の出現に対するより正確な判断をするのに役立てることができる。E点の近傍にノッチが現れた場合、それが僧帽弁の閉鎖による振動か否かを想定できたり、心臓の回転を考察するのに役立てる等々。
しかしながら、医療の観点からは、これに狭く限定せず、0.1秒以内の測定値を同時に測定したデータとして扱っても拍動の振幅や強度などをかなり正確に把握することができ、0.3秒以内の測定値を同時に測定したデータとして扱っても心臓の動きをおおまかに把握することができることから、0.3秒以内の時間差を以て測定されたデータを同時に測定したデータということができる。
2音の特定位置を指定する手段、2音の特定位置から一定時間後を指定してその拍動図のデータを表示させる手段を有する本発明による心尖拍動図測定装置を作成したところ、病状の解析に大きく貢献できることがわかった。
心臓に関するデータとして、専門的見地から、測定者が判断した1拍のデータをその被験者の診断に用いることができるデータとして種々の情報を得ることができるが、より好ましくは、少なくとも3拍のデータの平均をデータとして用いることが実用的に好ましく、診断の正確さを向上させることができる。
測定系をより簡素化することや診察の目的に適した程度に正確なデータを得ること、病状に応じた適切な診断を行うことなどの観点から、多数回の拍動に関して適宜サンプリングして、複数回の拍動の代表的な拍動情報を得ることもできる。
また、前記各発明は、後述の説明から明らかなことではあるが、それを展開して多くの新たな発明をもたらすことができるものであり、多くのバリエーションを可能とするものである。
たとえば、前記記憶手段の一部に測定データを記憶して、測定データ記憶手段と前記信号増幅手段の間にフィルタを挿入して、フィルタを種々変えて信号処理を行い、種々の変化した形のグラフを検出し、その結果で得られた信号を診断等に用いることができることを特徴とする生体反応記録装置を得ることができる。
本発明は、胸部や腹部の生体反応の記録を、防音室など特別な測定室でなくても、たとえば外来診察室や病室でも測定が可能となり、また、一人の医師によって記録することも可能となり、循環器系疾患の正確な診断を下すことを可能にするという極めて大きな効果をもたらすものである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の例について説明する。なお、説明に用いる各図は本発明の例を理解できる程度に各構成成分の寸法、形状、配置関係などを概略的に示してある。そして本発明の説明の都合上、部分的に拡大率を変えて図示する場合もあり、本発明の例の説明に用いる図は、必ずしも実施例などの実物や記述と相似形でない場合もある。また、各図において、同様な構成成分については同一の番号を付けて示し、重複する説明を省略することもある。
従来は、前記のように極めて大きな装置を用いても、そして環境雑音を抑制しても、被測定生体に防音室など特別な測定室に入ってもらい、測定用各種センサーを皮膚上に装着してもらい、隣室などに記録装置をおいて、時には窓越しに、時には通信手段を介して被測定生体の様子を見たり、センサーの状況を修正したりしながら、何とか心機図をとってきた。
しかし、このようにしてとられた心機図は被測定生体の自然な状態でのデータではなく、実際の診療には心機図の利用を、少しの例外を除いて、期待できないと考えられていたのが実状であった。
本発明は、従来は正しい診療には用いることができないと考えられていた心機図を、従来の先入観を一掃し、それが必要な患者に適用できて、有用なデータとしての心機図を、患者のベッドサイドでもとることができ、過去のデータをも記録しておき、患者の継続的な診療にも利用できる、小型で安価な記録装置を実現し、それを用いた記録方法と診察方法ならびに教育方法を提供したものである。
本発明の技術思想の特筆すべき特徴の1つは、本発明の生体反応記録装置が生体の胸部あるいは腹部の少なくとも1カ所に圧力センサーを配置して、心尖拍動と右室拍動と左房拍動のうちの少なくとも1種類の拍動としての心拍動あるいは上行大動脈拍動あるいは肺動脈拍動あるいは腹部大動脈拍動あるいは肝拍動のうちの少なくとも1つを圧力変化として検出し記録することができる新規の生体反応記録装置であって、圧力センサーを用いて、一つの拍動に関して、生体の被測定位置の近傍において近接する複数箇所の圧力を測定することができ、測定データ記憶手段に前記複数箇所の測定データを記憶することができるところにある。
そして、本発明の技術思想の特筆すべき特徴の一つは、前記複数箇所の圧力変化を区別して記憶しておくことができる。これらの複数箇所の圧力変化を同時に測定し、たとえば心臓の複雑な動きをより詳しく観測することができるようにしたところにある。
さらに、前記検出データ記憶手段は生体情報の時間的経過も記憶することができる。
本発明の技術思想の特筆すべき特徴の1つは、生体反応記録装置を医師一人でも簡単に持ち運びすることができるほどに小型軽量化を可能にしたところにあり、たとえば、装置本体を手提げカバンに入る程度の小型にすることもできるようにしたところにある。
図1は本発明の実施の形態例としての生体反応記録装置を説明するブロック図である。図1で、符号200は本発明の実施の形態例としての生体反応記録装置、201は拍動を測定する圧力センサー、202は心音を測定する心音センサー、203は心電図を測定する心電図用センサー、220は制御・測定データ処理部、230は記憶部、240は表示部、211は圧力センサー201と制御・測定データ処理部220の間を結ぶ配線、212は心音センサー202と制御・測定データ処理部220の間を結ぶ配線、213は心電図用センサー203と制御・測定データ処理部220の間を結ぶ配線、231は記憶部230と制御・測定データ処理部220の間を結ぶ配線、241は表示部240と制御・測定データ処理部220の間を結ぶ配線である。
圧力センサー201は複数箇所の圧力測定を互いに区別されたデータとして検出することができる複数の圧力検出素子あるいは圧力検出部を有する圧力センサーで、たとえば、半導体で構成されたピエゾ素子など圧電素子を用いて構成することができる。
心音センサー202は心音を測定するセンサーで、従来の心音センサーを用いることもできる。
心電図用センサー203は心電図を測定するセンサーで、従来の心電図用電極を用いることもできる。
図1で、圧力センサー201、心音センサー202、心電図用センサー203はそれぞれ被測定生体の測定個所に配置され、それぞれの測定データを各配線を介して制御・測定データ処理部220に送る。
圧力センサー201から送られた測定データは、制御・測定データ処理部220において、拍動図作成用データその他諸データとして処理され、記憶部230に記憶され、必要に応じて表示部240に表示される。前記その他諸データは、不要な場合もあるが、たとえば、胸部における所定範囲の圧力検出強度の2次元的分布、接触圧などがある。
心音センサー202と心電図用センサー203から送られた測定データは、制御・測定データ処理部220においてそれぞれ心音図と心電図用のデータとして処理され、記憶部230に記憶され、必要に応じて表示部240に表示される。
図2は本発明の実施の形態例としての遠隔管理を行うこともできる生体反応記録装置を説明するブロック図である。
図2で、符号300は本発明の実施の形態例としての生体反応記録システム、301は拍動を測定する圧力センサー、305aは心音を測定する心音センサー、305bは心電図を測定する心電図用センサー等のセンサー、320は制御・測定データ処理部、330は記憶部、340は表示部、350は遠隔管理部、311は圧力センサー301と制御・測定データ処理部320の間を結ぶ連絡手段、315aはセンサー305aと制御・測定データ処理部320の間を結ぶ連絡手段、315bはセンサー305bと制御・測定データ処理部320の間を結ぶ連絡手段、331は記憶部330と制御・測定データ処理部320の間を結ぶ連絡手段、341は表示部340と制御・測定データ処理部320の間を結ぶ連絡手段、351は遠隔管理部350と制御・測定データ処理部320の間の連絡手段である。連絡手段の少なくとも一部は無線通信や光通信などの通信手段を用いて構成することができる。
図2で、拍動を測定する圧力センサー301、心音を測定する心音センサーならびに心電図を測定する心電図用センサー等のセンサー305、制御・測定データ処理部320、記憶部330、表示部340が生体反応記録装置に相当するが、制御・測定データ処理部320、記憶部330、表示部340の各内容の一部が遠隔管理部350に設けられている点が図1の場合と大きな違いである。
図2の生体反応記録装置システムは生体反応記録装置の必要最小限の部分を被測定生体に装着してもらいセンサーの測定情報に基づいて被測定生体の健康管理を行うことができる。
図3は、本発明の実施の形態例としての生体反応記録装置における測定データ処理の例を説明するブロック図である。処理の流れは以下の如くである。図中で四角の中に記した数字271〜287は処理ステップや処理内容や機能等を説明するための符号である。以下、測定データ処理の代表的なステップ等を説明する。
ステップ271で圧力センサーやその他センサーの測定データを取り込み、10秒間に12000ポイントでサンプリングした測定データを、メモリー283に記憶するとともに、測定データをステップ272で示した増幅・雑音除去部に入力する。測定データはデジタルデータである。
ステップ272の増幅・雑音除去部における増幅および雑音除去では、フィルタの条件など雑音除去の条件を設定して測定データの増幅を行う。
たとえば、拍動図の場合は、10秒間に出現する拍動の振幅の最大値が1000になるようにデータを正規化すると評価しやすい。
以下に説明する本発明による心尖拍動図の測定例は、1つの波形を正規化した例を示したものと、複数の波形を正規化したものの1つの波形を中心に示したものがある。
ステップ272で増幅されたデータはメモリー283に記憶されるとともにステップ273の波形化・図形化処理部に入力される。ステップ273の波形化・図形化処理部では、たとえば、データが拍動図用(圧力センサーによる測定データ)か心電図用か心音図用のデータの場合はグラフ作成が行われ、拍動の振幅分布や強度分布用の場合は図形化処理が行われる。
ステップ273で波形化・図形化処理を施されたデータは、メモリー283に記憶されるとともにステップ274で特徴抽出処理が行われる。特徴抽出処理では、たとえば、拍動図のグラフにおける極値の抽出、極値の大小の比較、一次微分波形および二次微分波形の形、拍動図の波形などの特徴が抽出される。
ステップ274で特徴抽出処理が行われたデータは、検出データとしてメモリー283に記憶されるとともにステップ275で前記抽出された波形や特徴等の評価が行われる。たとえば、心尖拍動図のグラフの形は、ステップ272の増幅・雑音除去部における雑音除去の条件によって大きく変わることがある。ステップ275では、ステップ273で波形化・図形化処理された結果のグラフや図形が被測定生体の診断に適切か否かを評価した結果、適切でないと判断されたときには、あるいは研究等のために処理条件を変えてみたいときにはステップ284に移り増幅・雑音除去条件設定部で新たなあるいは変更された増幅・雑音除去条件や特徴抽出条件を設定し、ステップ272や274等にフィードバックして、前記設定にしたがって増幅・雑音除去・特徴抽出を行う。
ステップ275で前記抽出された波形や特徴等が適切と判断された場合には、メモリー283に記憶されるとともにステップ276で第一次診断あるいは評価が行われて、生体情報等の検出データを作成可能な場合にステップ277に送られて検出データが作成され、メモリー283に記憶されるとともにステップ278で、必要に応じて血圧や薬剤投与情報など今回の測定データに基づく情報以外の情報を記憶してある記憶部286を用いるなどして、第二次診断あるいは評価が行われる。
ステップ278でさらに検討が必要と判断された場合にはステップ284や285に移り、たとえば前記のような処理が行われ、さらなる診断・評価が行われる。
なお、ステップ275や278で前記抽出された波形や特徴等が適切でないと判断された場合にも、必要に応じてメモリー283に記憶しておくことができる。
また、図3の説明における各種の診断あるいは評価は、プログラム等にしたがって自動あるいは半自動で行われることもあり、専門医による診断・評価として行われることもあり、これらの組合せとして行われることもある。
ステップ276の第一次診断あるいは評価で生体情報等の検出データを作成に問題があると判断された場合には、ステップ285の処理条件設定部に移り、波形化・図形化条件等を設定し、たとえばステップ273に戻り波形化・図形化処理が行われる。
第二次診断あるいは評価の結果はメモリー283に記憶されるとともにステップ279で第一次診断情報が作成される。
ステップ279で作成された第一次診断情報はメモリー283に記憶されるとともにステップ280に移り、必要に応じて参照データ記憶部287を参照し、第二次診断情報を作成することができる。
参照データ記憶部には、たとえば同一被測定生体の検出データ等の経時変化情報、診断に参考になる統計データ、拍動図のモデルパターン等を記憶しておくことにより、一層客観的で、正確な診断を実現することができる。
第二次診断情報はメモリー283に記憶され、必要に応じてステップ282に移り表示
装置に表示されるとともに、ステップ281に移り、被測定生体の健康情報を作成する。
ステップ281で作成された被測定生体の健康情報はステップ282で表示装置に表示される。
表示装置への表示はこれに限られず各ステップで必要なときにはその都度ステップ282に移り表示装置に表示することができる。また、表示画面を複数部分に区分して同時に表示することができるように構成しておき、複数ステップの結果を一覧できるように表示するようにすることもできる。このように構成することにより、より正確に素早く診断することができる。
拍動図の特徴抽出や診断において、拍動図自体は当然重要な情報であるが、後述の例からも明らかなように、拍動図の微分データも重要な役割を果たす。たとえば、プログラムにしたがって特徴抽出をしたり特徴の評価をしたり、自動診断や半自動診断をしたり、判断しにくい拍動図を医師が解釈する場合、一次微分、二次微分データを利用すれば多くの場合容易に特徴抽出やその評価、諸診断を行うことができる。
前記各ステップは多くのバリエーションが可能なものである。たとえば、図形化処理の結果として得られるグラフとしての心尖拍動図は、ステップ272の雑音除去条件を変更すると変わる。どのようなときにどのような処理条件にすべきかは装置の診断の正確さに大きな影響を与える。本発明の生体反応記録装置の例はこれらの条件をも発明の一部として有している。
前記測定データとしては胸部もしくは腹部における前記拍動のうちの該当する拍動の圧力センサーによる測定値が含まれるが、心電図センサーと心音図センサーによる測定値が含まれる場合がある。心電図用と心音図用のデータは、本発明の例としての前記生体反応記録装置とは別の測定手段によって拍動図を同期させることが可能なように測定されたデータを前記生体反応記録装置に外部入力データとして受信するなどにより取り入れて使用するように装置を構成することもできる。このようにすることにより、装置の小型化、低価格化を行うことができる。
また、前記課題を解決するための手段に記載したように、本発明の例としての生体反応記録装置は、図1に示した構成のうちの圧力センサーのみあるいはそれを含む最小限の部分を被測定生体に装着するようにし、その部分と外部装置との送受信機能を被測定生体に装着する部分と外部装置とのうちの必要な部分に設ける構成にすると、前記外部装置としては、たとえば、病院に設けて遠隔健康管理を行ったり、パーソナルコンピュータや携帯電話や腕時計など携帯装置に前記外部装置としての必要な機能をもたせて、全体として、生体反応記録装置を構成することができ、広く用いることにより、多くの国民の健康管理に役立てることができる。
図4は本発明の実施の形態例としての生体反応記録装置の拍動を測定する圧力センサーの例を説明する図で、センサーの外形が円形の例である。
図4で、符号201aは圧力センサー、241a〜241c,242a〜242c,243a〜243cは生体の拍動を検出する圧力センサー部、244a〜244dは生体との接触圧を検出する圧力センサー部、248は半導体基板、245は圧力センサーの外周部の内壁、246は圧力センサーの外周部の外壁、247は外壁246と内壁245の間に形成されている空間部、247aは空間部247を仕切っている間仕切り部、249a〜249dは装着位置修正手段、249e〜249hは心音センサーにも使用することができるマイクロフォンである。
図4で、各圧力センサーは半導体基板248に形成されたピエゾ素子である。
圧力センサー201aは、たとえば、図1に記載のように配線を介して制御・測定データ処理部と結ばれており、各センサーの測定データを制御・測定データ処理部に送るとともに、必要に応じて送られる制御・測定データ処理部からの指令に基づいて測定しその測定値を制御・測定データ処理部に送るようにすることもできる。
生体との接触圧を検出する圧力センサー部244a〜244dは、生体との接触圧を検出することができるとともに、生体反応記録装置の使用目的によっては、たとえば制御・測定データ処理部からの指令に基づいて、装着位置修正手段249a〜249dのような圧力センサー201aと生体との相対位置を変える手段を有することもある。
空間部247は複数箇所に区切られている場合もあり部分的に吸引作用をする部分と押圧作用をする部分に分けて使用することもできる。
生体反応記録装置の使用目的によっては、空間部247内の圧力を変化させ、圧力センサー201aの生体への着脱に利用することができる。たとえば、図4の間仕切り部247aによって空間部247が複数箇所に区切られている場合は、区切られた箇所毎に空間部内の圧力を変えることができるようにしておき、圧力センサー201aの生体への着脱や圧力センサー201aと生体との相対位置を変えることに利用することができる。
マイクロフォン249e〜249hの図示の部分はマイクロフォン自体を配置する場合もあり、マイクロフォン自体の位置を集音穴として使い、基板248の内部あるいは裏側に音検出部を設けることもできる。このようにすることにより、小型化を図ることができ、音検出特性を向上させることもできる。
生体反応記録装置の使用目的によっては、生体の拍動を検出する圧力センサー部の数は増減されるが、3個以上が好ましく、2次元に配置されていることが特に好ましい。さらに、生体反応記録装置の使用目的によって、生体との接触圧を検出する圧力センサー部244a〜244dを設けない場合もある。
装着位置修正手段249a〜249d、マイクロフォン249e〜249h、空間部247のいずれかあるいは全てを設けずに圧力センサー201aを構成しても拍動の検出をする圧力センサーとして使用することができる。
図4に示したような圧力センサー201aは、生体の拍動を検出する圧力センサー部が3行3列の2次元に配置された例で、各圧力センサー部の位置における生体の圧力変化をそれぞれを区別できるように測定することができ、生体の拍動を正確に検出することができる。そして、各圧力センサー部の位置における生体の圧力変化を同時に測定したり、動画として測定したりすることができるように測定系を構成すると、心臓の触診と同等あるいは同等以上の観測ができ、極めて高い信頼度の診察を行うことができる。
2次元の圧力センサー部あるいは圧力検出素子の数と配置の仕方は前記に限られない。センサー部の数を3×3、5×5、7×7等のマトリクス状に配置すると比較的少ない数のセンサー部で心臓の実際の動きを把握することもできるセンサーを安価に実現することができ、配置の仕方はマトリクス状の他に、同心円状や中心から放射状に配置して検出精度を高めることができる。操作性と検出精度等の観点から、センサー部の中心を検出できる数と配置の仕方が好ましい。
図示しないが、複数箇所の圧力変化を検出する圧力センサーに周知の素子MEMSを利用することもできる。
半導体技術を駆使して、極めて多数の圧力センサー部を構成して用いることができる。
これらの圧力センサー部は、拍動自体の圧力検出を行うだけでなく、生体への圧力センサーを当てるべき位置や適切な位置になるべく修正を指示することなどにも用いることが好ましく、このようにすることにより、使いやすくて正確に測定できる圧力センサーを実現することができる。
圧力センサー201aの外周形状は円形である。
圧力センサーの外周形状は実際の測定に際して極めて重要であり、通常は圧力センサーを被測定生体の皮膚に多少の押圧力を以て当てることになるため、被測定生体に痛みなどの苦痛がないような形状にすることが好ましく、センサーの外形を円形や楕円形などにすると、被測定生体に強く押し当てても痛くなく、より正確な測定をすることができる。同様の理由あるいは測定精度の向上のため、フレキシブルな圧力センサーを用いると、たとえば肋骨の目立つ人の場合など胸部の形状による測定精度の低下を少なくすることができる。さらに、事情により円形でなく、たとえば四角形以上の多角形を基本とそる形状を用いる場合は角を丸めることが好ましい。
センサーの外形を四角形以上の多角形にすると、付加機能を付けるのに便利である。
圧力センサーの外形としては、それに用いられる圧力検出素子の種類や形態、測定目的、被測定生体の状況等に応じて種々の形を選ぶことができる。
拍動の測定には多くの雑音の混入が心配される。当然のことながら、この雑音除去には従来心音測定において配慮されていた雑音抑制手段を選択的に利用することも有用である。
図5は本発明の実施の形態例としての生体反応記録装置の拍動を測定する圧力センサーの例説明する図で、センサーの外形が四角形の例である。
図5で、符号201bは圧力センサー、251a〜251c,252a〜252c,253a〜253c、254a〜254fは生体の拍動を検出する圧力センサー部、258は基板、255は圧力センサーの外周部の外壁である。
圧力センサー部253a〜253cでそれぞれ対応する位置の拍動を測定することができる。圧力センサー部254a〜254fはその位置における圧力を検出することができ、たとえば圧力センサー部253a〜253cで検出した圧力情報を補足する情報を得ることができる。
本発明における圧力変化を検出するための圧力センサーは、被測定生体が生体であるために、信号増幅のあり方や雑音処理等において周知のように特別に配慮された条件が必要であるが、圧力センサーに圧電現象を利用した圧電素子や電極間の静電容量変化を利用した静電型のように、形態は異なるにしても、種々の分野で広く使われている素子を医療用に必要な条件を満たすようにして用いることができ、このようにすることにより多くの圧力検出素子や変位検出素子の技術を利用することができ、信頼性が高く、医療に適した圧力センサーを安価に実現することができる。
図4と図5に例示した本発明の実施の形態例としての圧力センサーはこれに狭く限定されるものではなく、たとえば、2次元に配置する圧力検出素子の数を、mとnを整数として、m×n個にし、5×9とか9×15などの圧力検出素子あるいは圧力検出部を短径1cm×長径3cmの楕円状に配置したり、たとえば人の肋骨の間に入るように構成して肋骨の目立った人の心尖拍動を精度良く測定できるようにしたり、多くのバリエーションを可能とするものである。本発明における圧力センサーの圧力検出素子あるいは圧力検出部を2次元に配置することは、拍動図の測定にとどまらず、ねじれて動くことをも含めて複雑な動きをする心臓の動きを正確に把握することができ、正しい診断を可能にするという極めて大きな効果を奏するものである。
図6〜図9は本発明の実施の形態例としての生体反応記録装置を用いて、普通の病室のベッド上に左側臥位になってもらった被測定生体の心尖拍動図を同時に測定した心電図および心音図ならびに心尖拍動図の一次微分曲線とともに示した心機図の例である。
図6〜図9で、符号500,510,520,530は心機図、502,512,522,532は心尖拍動図、503,513,523,533は心音図、504,514,524,534は心電図、501,511,521,531はそれぞれ心尖拍動図502,512,522,532の一次微分曲線、5011は一次微分曲線501の等容性収縮期のピーク、5013は急速流入波(3音に対応)に対応する一次微分曲線501のピーク、5014は左心房収縮波(4音に対応)に対応する一次微分曲線501のピーク、5111は一次微分曲線511の等容性収縮期のピーク、5113はほとんどわからない程度だが急速流入波に対応する一次微分曲線511のピーク、5114は左心房収縮波に対応する一次微分曲線511のピーク、5211は一次微分曲線521の等容性収縮期のピーク、5213は急速流入波に対応する一次微分曲線521のピーク、5214は左心房収縮波に対応する一次微分曲線521のピーク、5311は一次微分曲線531の等容性収縮期のピーク、5313は急速流入波に対応する一次微分曲線531のピーク、5314は左心房収縮波に対応する一次微分曲線531のピーク、5031,5131,5231,5331は1音、5032,5132,5232,5332は2音、5333は3音と4音が重合した状態、5034,5134は4音、5041,5141,5241,5341はQRS波である。
図6〜図9で、横軸は各グラフ(図)に共通で時間軸であり、横軸の数字は始点(図示せず)を0秒とし、10秒を12000ポイントとしたときのポイント値を示しており、縦軸は振幅(強度)の目安値で、心電図と心音図に関しては検出強度の目安を示した相対値、心尖拍動図に関しては10秒間の最大値を1000に正規化した数値、一次微分曲線に関しては微分した値である。
図6のグラフの特徴の1つは、等容性収縮期に対応する一次微分曲線のピーク5011が高く、急速流入波に対応する一次微分曲線のピーク5013が低く、左心房収縮波に対応する一次微分曲線のピーク5014が低いことである。
図7のグラフの特徴の1つは、等容性収縮期に対応する一次微分曲線のピーク5111が高く、急速流入波に対応する一次微分曲線のピーク5113はほとんどわからない程度で、左心房収縮波に対応する一次微分曲線のピーク5114がピーク5111の4割程度であることである。
図8のグラフの特徴の1つは、急速流入波に対応する一次微分曲線のピーク5213と左心房収縮波に対応する一次微分曲線のピーク5214が等容性収縮期に対応するピーク5211よりも高いことである。
図9のグラフの特徴の1つは、急速流入波に対応する一次微分曲線のピーク5313が等容性収縮期に対応するピーク5311よりも高く、左心房収縮波に対応する一次微分曲線のピーク5314は等容性収縮期に対応するピーク5311よりも高くはないがその半分程度あることである。重症になると左心房収縮波が目立たなくなり急速流入波だけになる。
図6は激しいスポーツもできるような健常者の場合の、図7は左心室の収縮は正常であるが拡張に障害を持つ患者の場合の、図8は重症患者の例で収縮拡張ともに障害を持つ患者の場合の、図9は重症患者の例で収縮拡張とも図8の場合よりもさらに悪く動くことができない患者の場合の各データである。さらに具体的に説明すると、図7は激しいスポーツはできないが階段の上り下りができ、外出もでき、旅行もできるような患者のデータで、図8はゆっくりしか歩けない患者のデータで、図9はベッドからトイレへの移動もままならず歩行できない患者のデータである。
図10〜図16は本発明の実施の形態例としての生体反応記録装置を用いて測定した心機図の時間的変化の例を説明する図で、図10〜図12は同一被測定生体の心機図、図13と図14は図10〜図12の被測定生体とは別の同一被測定生体の心機図、図15と図16は図10〜図12や図13と図14の被測定生体とは別の同一被測定生体の心機図である。
図10〜図16で、符号554,558,562,566,570,574,578は心電図、553,557,561,565,569,573,577は心音図、552,556,560,564,568,572,576は心尖拍動図、551,555,559,563,567,571,575は心尖拍動図の一次微分曲線、A1〜A5は各心尖拍動図のA波(左心房収縮波)、5511,5551,5591,5631,5671は等容性収縮期における微分波形の極値、5514,5554,5594,5634,5674はA波の極値である。
図10は被測定生体が血圧が230/130mmHgの時の心機図、図11は図10の被測定生体に降圧薬を投与して血圧が200/110mmHgになった状態の心機図で、図10の測定から14日後の測定データ、図12は図10の被測定生体が治療によって血圧が160/90mmHgになり、さらに病状が良くなった状態の心機図で、図11の測定から8日後の測定データである。
図10〜図12では、心尖拍動図のA波が、図10でははっきり目立っており、図11では図10より低くなり、図12ではほとんど目立たなくなっている。これは左心室の拡張障害が改善していることを示唆する現象である。実際に血圧が前記のように230/130mmHgから200/110mmHgへ、さらに、160/90mmHgへと下がっていることからも心臓の負荷が軽減されていることがわかる。符号A3で示したA波は、図12はわかりにくい例であるが、どこをとって良いかわかりにくい場合がある。そのような場合にも図12のように微分波形を用いると抽出しやすくなる。
図13は被測定生体が悪い状態における心機図で、図14は図13の被測定生体が治療の結果病状が良くなった状態の心機図で、図13の測定から14日後の測定データである。これは図10〜図12と類似のケースといえる左心室の拡張障害の例で、A波の減高からしても左心室の拡張障害が改善していることを示唆する現象である。血圧のデータでは、血圧降下剤を投与して血圧が190/110mmHgから160/85mmHgに下がっている。
図10〜図12において、微分波形で等容性収縮期における極値(図10の符号5511、図11の符号5551、図12の符号5591、図13の符号5631、図14の符号5671)に対するA波の極値(図10で符号5514、図11の符号5554、図12の符号5594、図13の符号5634、図14の符号5674)の比を見ることによって左心室拡張末期の状況が把握できる。A波の極値の比率が減少すれば左室の拡張末期の負荷が軽減しているが示唆される。
図15は被測定生体が悪い状態における心機図で、図16は図15の被測定生体が治療の結果病状が良くなった状態の心機図で、図15の測定から約6ヶ月後の測定データである。符号d1〜d9,d31〜d3,d91は心尖拍動図の一次微分波形の特徴の例を説明する点である。
何れの場合も拍動図のグラフの山の形の時間的変化に特徴があり、図15では、A波を除外して考えて、微分波形のd1点(微分値の極大点)からd2点(微分値がおおむね零の点)(前記d1点からd2点に至る過程で微分値が下がって再び上がってから下がりd2点に至ることもある)を経てd3点(微分値の極小点)までおおむね直線的に下がっており、続いてd3点から微分値が零であるd31点に上がり、d31点からd32点までおおむね水平に(雑音やその他の事情で多少の揺れはあるが、おおむね水平といってよい)経過し、d32点からd33点(次のサイクルのd1点に相当する点)に上がり、以下これを繰り返すという推移をし、図16ではd4点(微分値の極大点)からd5点(微分値がおおむね零の点)までおおむね直線的に下がって後d6点までおおむね水平に推移し、d6点からd7点(微分値の極小点)までおおむね直線的に下がって後、d8点(微分値がおおむね零の点)におおむね直線的に(微分値が零の点を過ぎて上がり下がるが、微細な変化であり、おおむね直線的に移動といえる)移動して後d9点までおおむね水平に推移し、d91点(次のサイクルのd4点に相当する)点に上がり、以下これを繰り返すという推移をている。
図15の状態は左心室の収縮能(左室駆出率)が40%の状態で心不全状態の例、図16は図15の状態の患者に心不全治療薬を投与して左室駆出率が60%の状態まで改善した例である。
図17、図18、図19は本発明の実施の形態例としての拍動の振幅分布の例について説明する図で、図17は圧力センサーの圧力検出位置を説明する図でP1〜P9は圧力検出位置を示す符号、図18と図19は図17の圧力センサーで測定した拍動の振幅分布の典型的なパターンの例を3次元表示の図形の所定の位置における断面図として示した図である。図18と図19で、各図(グラフ)の横軸は図17の圧力検出位置を示しており、縦軸はそれぞれ横軸に示した各圧力検出位置における拍動の振幅の大きさを正規化データとして示している。
拍動の振幅分布の典型的なパターンとして、図17の圧力検出位置P4,P5,P6の位置の少なくとも図18の(A)に示したタイプ(以下、パターンAともいう)と図18の(B)に示したタイプ(以下、パターンBともいう)がある。
さらに詳述すると、図17のP1〜P9で示した各位置に多数の圧力検出素子あるいは圧力検出部を配置した圧力センサーで心尖拍動を測定した場合、パターンAの場合、図19の(A)に示すように、図17の圧力検出位置P1〜P3、P4〜P6、P7〜P9における振幅分布が図示のようなおおむね一様な振幅になり、パターンBの場合、図19の(B)に示すように、図17の圧力検出位置P1〜P3、P7〜P9における振幅分布がP4〜P6における振幅分布と異なり、図17の圧力検出位置P5における振幅が最大振幅になり、圧力検出位置P2,P4,P6,P8においては圧力検出位置P5における振幅より小さいが圧力検出位置P1,P3,P7,P9における振幅よりも大きな振幅になっている。
心臓の状態が健常でない被測定生体の拍動の振幅分布はパターンAが多く、心臓の状態が健常な被測定生体の拍動の振幅分布はパターンBが多い。しかし、病状によっては、非健常者の場合にもパターンBの振幅分布を示す場合がある。このような場合、心尖拍動図や血圧などと拍動の振幅分布を総合して正しい診断を行うことができる。この例からも明らかなように、心電図と心音図と心尖拍動図だけの測定データに、拍動の振幅分布、強度分布の測定データをあせて診断を行うことにより、実際の病状を的確に診断することができる。
なお、図18および図19に図示の拍動の振幅分布はある瞬間のデータである。特に、パターンBの場合の最大振幅(図19の圧力検出位置P5における振幅)は一拍の拍動の間にその出現位置がP5から他の位置に移動する。
さらに、本発明における拍動の強度の検出は心臓の勢いを推測することを助ける情報となる。
心尖拍動図は、被検者の健康状態に関して多くの情報を提供してくれるといわれながら、前記のように、従来は被検者のあるがままの状態での生体情報を得ることができなかった。すなわち、従来は、測定コストが高いという大きな問題のみならず、防音室のような制約された環境で、被検者が緊張した状態あるいは特別な注意を払った状態での測定にならざるを得なかった。このため、診療に役立つ程度は極めて低いとみなされていた。
本発明は測定コストが高いという大きな課題を解決したのみならず、被検者のあるがままの状態での生体情報を得ることを可能にした。
前記各実施例においてもわかるように、本発明によって記録された生体情報の例としての心尖拍動図は、被検者の健康状態に関して多くの情報を提供してくれている。
この生体情報から診療に必要な情報を適切に抽出することが重要である。しかし、その情報を適切に検出して活用するアルゴリズムは残念ながらまだ確立されていないのが現状である。本願の発明者は、この情報を如何に抽出して活用できるかについてさらなる検討をし、生体情報抽出のアルゴリズムを見出し、それを用いた生体情報記録方法と生体情報記録装置を実現することに成功した。
以下に、実施例を基に本発明をさらに詳細に説明する。
説明の重複を避けるため、本発明の生体情報記録方法と生体情報記録装置を実施するときに用いる測定手段として、前記のように、圧力センサーを用いて心臓の動きを圧力の変化として検出し、例えば前記のような、あるいは以下に説明するような心尖拍動図を得る測定手段を説明するが、本発明の発明者による検討の結果、超音波診断装置を利用して心尖拍動図を測定することも可能であることがわかった。したがって、本発明の心尖拍動図の説明が超音波診断装置を利用して心尖拍動図を測定する生体情報記録方法と生体情報記録装置にも当てはまるものである。
図20は本発明の生体反応記録装置の一例としての心尖拍動図測定器を用いた心尖拍動図測定方法を説明する図で、測定の流れを説明するブロック図である。これによって実質的に本発明の生体反応記録装置の一例としての心尖拍動図測定器を併せて説明するが、この一部のみを用いて測定器を構成することができ、また、全てを用いて測定器を構成することもでき、さらに、この一部または全部に他の手段を組み合わせて測定器を構成することもできる。
図20で、符号Y1ではスタートボタンを押す操作を示し、Y2では被検者情報を入力する操作を示している。被検者情報とは、測定・診断に必要な情報を含む情報のことで、
たとえば、
(Z−1)被検者疾病情報を入力
Z−1A :被検者による入力。
患者もしくは被験者みずから入力する。
目的:自己管理、予防的。年齢、性別、身長、体重、血圧、既往歴等も必要なことを入力する。
Z−1B :専門医による入力ペースメーカーの有無、 投薬情報、不整脈、心不全の有無などを入力する。
ある種の異常心電図の場合、本来の左室心筋の機能に関係なく、左室収縮様態が変化することがあるために心電図を調べる。
Y3ではペースメーカーの有無により判断する手順で、本例ではペースメーカーが作動していない被検者を測定対象とする。
Y4では不整脈の有無により判断する手順で、たとえば、頻拍性心房細動、心室頻拍、発作性上室性頻拍、高度房室ブロック以外を測定対象とする。たとえば心房細動の場合、測定しようとする心尖拍動図波形に含まれるQRS波とその直前のQRS波との間隔が800msec以上の時に測定する。また、連発する期外収縮の場合や2段脈の場合は、測定対象外とする。少なくとも一定の整脈が3回以上続く場合を測定対象とする。
Y5では伝導障害の有無による判断手順で、たとえば、完全左脚ブロック以外を測定対
象とする。
Y6では開胸術の有無を入力する。
Y7では内服薬および注射薬の投薬状況を入力する。
Y8では心不全の有無を入力する。
Y9で測定を開始する。
測定時間は適当に設定し選択可能とする。たとえば、測定時間を10秒、20秒、30秒などのように選択でき、被検者の呼吸状態に対応できるようにする。
測定条件は次の如くである。基本的には左半側臥位で記録する。緊張を解いた状態での半呼気位で記録する。安静呼吸のまま呼吸を止めずに記録する方法では心尖拍動図の基線がゆれて評価が困難になることがある。深呼気位(息を吐ききった時点)で記録すると、筋緊張が高まりやすく息こらえの状態になりやすいため評価が困難になることがある。息こらえすることにより、血圧および心拍数の変化をきたすことが知られており、安静時と異なる状態になるので、深呼気位では好ましくない状況となりうる。以下に示すデータでは、原則として、体位は左半側臥位とし、半呼気位で軽く呼吸をとめてリラックスした状態で10秒間記録した。
以下にY9で行なう測定の詳細を測定器内部の動作も含めて説明する。
測定にあたり、外来診察室および一般病室で測定器を用いて被検者の心尖拍動図を記録する。原則として被検者の右上肢と左下肢に心電図導子を装着し、標準肢誘導の第2誘導で心電図を記録し、原則として中位肋間胸骨左縁付近に心音計マイクを貼り付けた後、被検者を左半臥位にし、医師が心尖拍動を触り、最も拍動の強い箇所を確認した後、その部位にセンサーを当て、原則として半呼気位で心尖拍動図を記録する。以上の操作記録測定の全ては、1名の医師が行ない、心電図、心音図、心尖拍動図の測定準備をする。
まず、心電図の波形(QRS波)に同期させて、測定データを取り込む。
測定データは、心電図、心音図、心尖拍動図の3項目である。必要に応じて、頸静脈波、傍胸骨拍動波、肝拍動波を記録することもできる。各測定波形測定のために、センサーとセンサーを当てる位置は最適に選定することができる。
心尖拍動図を解析するには、心電図と心音図の情報が役立つ。たとえば、心電図のR波の同定が必要で、これは周知の方法で行なうことができる。心音図の1音、2音、3音、4音の情報が役立つ場合もある。これらの同定も周知の方法で行なうこともできる。また、心音図の2音大動脈成分は頸動脈波を用いる周知の方法に必ずしも制限されるものではなく、頸動脈にセンサーを当てた測定を行なわなくても、信号を得ることができる。
心尖拍動図のセンサー内に心電図、心音図のセンサーを埋め込んで用いることもできる。この場合、操作が大幅に簡略化されるなど、顕著な効果をもたらすことができる。
測定データを取り込んだら、データノイズを除去する。たとえば、筋電フィルター、ハムフィルター、ドリフト除去手段等を使うことができる。
測定例1.
心尖拍動図の特徴点について説明する。図21は本発明の心尖拍動図測定器を用いて測定した左室機能が正常な被検者の心尖拍動図の例で、符号Rは心電図QRS波の頂点を表す。符号1は心音で1音を意味し、2は同じく心音で2音を意味する。符号X1は心電図、X2は心音図、X3は心尖拍動図を表す曲線、X4は心尖拍動図の曲線X3を横軸にとってある時間により微分した一次微分曲線を示す。
図21を参照して、測定データを解釈する心尖拍動図波形における特性値について説明する。まず、左房収縮による陽性波を認める。これをA波とする。その陽性極値をA点とする。A波が陽性極値を持たず、持続的に上昇し、後述のC点にまで至る場合は、C点をA点とみなす。心音図では左房収縮によって発生する4音を認めることがある。A点は4音とほぼ同時に認められ、QRS波の前に存在する。ついで、立ち上がり点C点を生じる。これは左室収縮期波(E波)の開始点で、心電図QRS波の頂点付近に認められる。E波はC点から急峻に立ち上がり収縮早期に陽性極値E点を形成する。E点は、左室駆出開始点とほぼ一致する。C点からE点までの間が等容性収縮期に相当する。その後、緩徐に下降し、収縮後期に再上昇し、陽性極値S点を示す。S点は、2音直前に存在する。S点は左室拡張開始点である。S点の直後に2音を生じ、急降下しO点に至る。O点は拡張早期に存在し、通常、心尖拍動図の最低点(陰性極値)となる。時相的には、僧帽弁開放時点付近に存在する。O点から比較的急峻な上行波を認める。この上行波を急速流入波(F波)とする。その頂点をF点とする。F波は、左室拡張初期の左房から左室への血液の急速流入によって起こる。F波の終了は、3音と時間的にほぼ一致する。以後、左室拡張中期の左房から左室への血液の緩徐流入による、なだらかな上行波を認め、A波に至る。
心尖拍動図の一次微分波形X4におけるA波、E波およびF波の陽性ピーク値をそれぞれa点、e点、f点とする。X5とX6は、いずれも微分値が零点となる点で時相的にそれぞれE点とS点に一致する。
図21の心尖拍動図は前記各点が比較的明確に現れているグラフであるが、被検者によっては、あるいはセンサーの寸法形状によっては、各特徴点(A点、C点、E点、S点、O点、F点)が不明瞭に見えたりするグラフが測定されることもある。このような場合にも、医療現場の経験その他から医療専門家には各点を同定できる場合がある。この専門家としての判断手法を利用したエキスパートシステムを本発明の生体反応記録装置の例としての心尖拍動図測定器に適用したり、本発明の心尖拍動図測定器で測定した実際の測定データを医療専門家が見て判断することと併せて用いることも本発明の効果を一層大ならしめるものである。
選択波形について、A点から次のA点直前までを1波形と規定する。記録された波形のうち、原則として最大振幅を持つ波形を選択し、その波形の全振幅を1000ポイントと正規化した上で、測定する。但し、波形が滑らかで、異常な振動の混入がないことが必要である。C点を最初に規定するため、測定波形のC点とその直前の波形のC点の位置がほぼ同じである時(正規化して50ポイント未満)の波形を選択する。振幅はデータを正規化する前の実測値として好ましくは400ポイント必要である。その理由の一つは、心尖拍動図以外の小さな振動が混入してくることがあるからである。振動が小さくても、心尖拍動図の振幅が小さければ、その振動が強調されやすくなる。場合によっては測定保存した任意の区間の複数の連続した波形を正規化し、計測に用いることもある。また状況によっては、連続しない波形を複数個用いることもデータの正しい診断には有効である。図の横軸は、10秒間を12000分割した値を1として表示したもので、縦軸は心尖拍動図の場合は、原則として、おおむね1波形の最大値、最小値を1000分割した値を表しており、心電図と心音図については目安としての相対値である。
図21は19歳の男性で正常左室機能を有する被検者の例である。図21を用いて、測定の手順を述べる。まず心尖拍動図波形におけるC点を検出する。心電図のRから垂線を下ろし、その垂線と心尖拍動図波形が交わった点の前後各々20msecの間(計40msec)の陰性極値(一次微分波形が−から+に転じる点)をC点とする。上記の40msec間に陰性極値がない場合は垂線と心尖拍動図波形が交わった点をC点とする。C点より前160msec未満の陽性極値(一次微分波形が+から−に転じる点)をA点とする。図22の例に示したように、A波がC点まで持続的に上行し、陽性極値がない(心尖拍動図の一次微分波形がC点まで陽性)場合はC点をA点とみなす。
心尖拍動図波形におけるC点から150msec未満での陽性極値(一次微分波形が+から−に転じる点)をE点とする。150msec未満にE点を認めず、150msec以上にのみ陽性極値を認める場合にはその極値をP点とする。通常は、C点からE点までは125msec未満である。C点からE点までが125〜150msec未満の場合は、左室収縮能が低下しているか、もしくは、中等度以上の左室肥大が存在する可能性があり、要注意の状態である。
C―E時間(C点からE点までの時間)<125msecのときいに正常である。すなわち、このパラメータについては正常の範囲といえる。
125≦C―E時間<150msecは境界域で、要注意の病状である。P点の存在は明らかに異常所見である。すなわち、左室収縮能が低下しているか、もしくは、中等度以上の左室肥大が存在する可能性が大である。
2音より前に存在し、2音まで50msec未満の2音に最も近い陽性極値をS点とする。2音より前に存在し、2音まで50msec以上離れた陽性極値はS点として扱わない。
2音より30msec以上後で、心尖拍動図の最初の陰性極値をO点とする。2音より200msec以上離れた最低値はO点とはしない。
2−O時間(2音からO点迄の時間)<150msecを正常値とする。150msec<2−O時間<200msecを異常値とする。
O点から後に存在し、O点から100msec未満の陽性極値をF点とする。O点より後で、O点から100msec以上離れた陽性極値はF点としては扱わない。
前記各特徴点は、被検者の違いと健康状態の違いによって、全て存在する場合もあり、全ては存在しない場合もあり得る。
図21では、A点C点E点S点O点F点がそれぞれ同定できている。A点は300ポイント未満である。C点は300ポイント未満である。C点から125msec未満にE点が存在する。E点から下行波を呈する。2音より前の50msec未満に頂点Sを有する再上行波を認める。S点から下行波を示す。2音から150msec未満にO点を認める。O点から100msec未満にF点を認める。F点はC点より低値である。F点はオーバーシュート(overshoot)を示している。
オーバーシュートとは、上昇した波が頂点に達した後、その直後に一過性に下方に落ち込み、その後再び上昇する現象をいう。
この所見は、左室心筋の伸展性のある(コンプライアンスの高い)正常左室拡張能を有する例に認められ、また、左室拡張初期荷重増大の場合にも認められる。微分波形X4において、X5とX6の間隔がC点とO点の間隔に比べて、30%以上であることは、左室機能が保たれていることを表している。このことは、心エコー図でのドプラ法で評価して正常であったことから裏づけられている。aはeの1/4未満であり、拡張末期の左房収縮力が異常に亢進していないことを示すデータである。fはeの1/2未満であり、拡張初期の左室荷重が増大していないことを示すデータである。またaがfより小さいことは正常所見である。
心尖拍動図の時間による一次微分波形において、a点の値がe点の値の4分の1未満を正常とし、4分の1以上から2分の1未満を境界域すなわち要注意とし、2分の1以上を異常とする。また、f点の値がe点の値の2分の1未満を正常とし、2分の1以上から3分の2未満を境界域すなわち要注意とし、3分の2以上を異常とする。aがfと同等か、小であることを正常とする。aがfより大であることを異常とする。
図21において、微分波形X4においてe点(微分値の極大点)からX5点(微分値がおおむね零の点)まで急峻におおむね直線的に至って、一旦陰性部分を経た後、おおむね水平に推移した後一旦陽性部分を示しX6点(微分値がおおむね零の点)に至り、X6点からL4点(微分値の極小点)までおおむね直線的に下がって、後おおむね直線的に上がって、L5(微分値がおおむね零の点)を経てf点に至る。符号L1はe点とX5点を直線で結んだ線分、L2はX5とX6を直線で結んだ線分、L3はX6とL4を直線で結んだ線分である。
この状態を図21に記入したものが図23である。
一方、図24は、図21とは異なる症状の被検者の心尖拍動図の微分波形に図23と同様の考察を加えたものである。図24で符号X31は心電図、X32は心音図、X33は心尖拍動図、X34は心尖拍動図X33を時間で微分した微分波形、L8とL10は微分波形X34の0点、L9は微分値の極小点、L6はe点とL8点を直線で結んだ線分、L7はL8とL9を直線で結んだ線分である。
微分波形X34においてe点からL8点(微分値がおおむね零の点)までおおむね直線的に至って後、そこから、図23のX5―X6の場合のように、おおむね水平に推移することなく、L9点までおおむね直線的に下がって、その後おおむね直線的に上がって、L10点に至る。
図23は前記のように正常心機能の被検者のデータであり、図24は左室収縮能の低下した被検者のデータである。図23と図24を対比すると、微分波形において、図23でe点から急峻に下がって零点に達した後に、おおむね水平に推移する区間がある。すなわちL2が存在することである。このように図23の微分波形X4を検討することにより、心尖拍動図においてE点とS点が存在することを裏づける特徴点となり収縮能がおおむね正常であることを示唆する。一方図24の微分波形X34においてe点からL9点まで水平に推移する区間がないことは、図23における線分L2に相当する線分がなく、心尖拍動図の収縮期波形が1峰性であることを裏づけ、収縮障害を示唆する特徴的な所見となる。
次に図23における一次微分波形の横軸(時間軸)に注目する。
S点からO点の区間、すなわち等容性拡張期にほぼ相当する区間は、一次微分波形ではX6とL5の区間(X6−L5区間)に相当する。拡張期において、左室心筋の伸展性がよいほど、早期から弛緩すると考えられる。すなわち弛緩のピークが早期に出現すると考えられる。心尖拍動図においてはS点から弛緩が始まる。その弛緩の変化率を示す一次微分波形において最大変化率を示すL4点がX6―L5区間の前半部分に位置することは前述の正常例の弛緩が早期に起こることを示すといえる。以上のように、等容性拡張期における拡張動態を特徴的に且つ容易に判定できる。
以上説明したように、本発明の生体反応記録装置ならびに生体反応記録方法は「防音室」に連れて行くことが出来る健常者あるいは軽い症状の人のみならず、従来では全く期待できなかった「防音室」のような測定環境に連れて行けない重症の患者の心尖拍動図などもベッドサイドで測定することができ、且つ、医学的に本発明とは別に判断した症状と一致度の高い信頼性で被検者の健康状態を判定できることが分かる。
図25は心周期の収縮期と拡張期の区分について説明する図である。
心尖拍動図は左心系とくに左室機能を評価するのに有用である。前記測定例の各特徴点(A点、C点、E点、S点、O点、F点,a点,e点,f点)の時相、高さを評価することにより、左室機能をより詳細に検討できることが分かる。その中でも特にS点が重要な鍵を握っていると思われる。すなわち、収縮終了点であり、拡張開始点でもあり、左室が収縮を終えて、弛緩し始める時に記録される、律動的な左室の動きの特徴の一つである。多くの左室心筋細胞が同期して収縮終了から弛緩し始める時に発生すると考えられる。したがって、左室心筋のある程度の心筋量の異常がある(中等度以上の肥大、錯綜配列、線維化、変性等)場合は、S点は生じにくいと考えられる。そういう観点から、S点は左室拡張障害の指標であると考えられる。S点が存在すれば、拡張能がおおむね正常と予想される。また、左室機能障害はまず拡張障害が先行し、その後収縮障害が起こってくるとされている。すなわち拡張障害は単独でも発生し得るが、収縮障害を合併することもあり得る。一方、収縮障害には必ず拡張障害が存在する。S点が存在しなければ、拡張障害が存在する可能性があり、また併せて、収縮障害の疑いも出てくる。したがって、S点は、左室機能を評価する場合にまず、第1に注目すべき特徴点であると思われる。S点は、Wiggersによりprotodiastolic phase(PD)と名づけられている区間の開始点である。PDは、大動脈弁閉鎖時点から始まる等容性拡張期の直前に存在する。すなわち、S点から大動脈弁閉鎖時点までがPDである。左室心筋の張力が減少し始める点であり、この時点では左室心筋の筋長は最短であり、まだ伸展してはいない。過去の測定からPD間隔は平均39msecと言われている。そこで、本発明者は50msecで正常群と異常群とに分けた。
以上の仮説に他の人の仮説も加えて図に表したのが図25である。
測定例2.図26は正常左室機能を有する52歳の男性の例である。C点E点S点O点F点がそれぞれ同定できている。わずかに上に凸の波形を示すA波を認め、C点まで上行し、陽性極値を持たないため、A点とC点は一致する。C点からE点までが125msec未満であり、正常と判定される。
微分波形X10において、X11―X12間隔は、C−O間隔の30%以上であるため、左室機能が保たれていることの1指標である。F点は明らかなオーバーシュートは示していない。これは左室心筋の伸展性が図21の例に比して低いことを示唆する。加齢による左室心筋の伸展性の低下で、生理的な正常所見と考えられる。aはeの1/4未満であり、拡張末期の左房収縮力が異常に亢進していないことを示すデータである。fはeの1/2未満であり、拡張初期の左室荷重が増大していないことを示すデータである。またaがfより小さいことは正常所見である。
測定例3.
図27は25歳の女性で正常左室機能を有する被検者の例である。A点C点E点S点O点F点がそれぞれ同定できている。A点は320ポイントである。C点は320ポイントである。これは若年者で左室収縮能が正常で、特に拡張能のよい例で認められる。O点が低値を示し、F波が急峻で、相対的にA点とC点が高値を示すためである。C点から125msec未満にE点が存在する。E点から下行波を呈する。2音より50msec未満に頂点Sを有する再上行波を認める。S点から下行波を示す。2音から150msec未満にO点を認める。O点から100msec未満にF点を認める。F点はC点より低値である。F点はわずかにオーバーシュートを示している。これは図21と同様に、正常左室機能を有する若年者によく認められる所見である。左室の柔軟性の良さを表している。微分波形X16において、X17―X18間隔は、C−O間隔の40%以上であるため、左室機能が保たれていることの1指標である。aはeの1/4未満であり、拡張末期の左房収縮力が異常に亢進していないことを示すデータである。fはeの1/2未満であり、拡張初期の左室荷重が増大していないことを示すデータである。またaがfより小さいことは正常所見である。
測定例4.
図28は心疾患の既往のない71歳の女性の心尖拍動図である。A点、C点、E点、S点、O点は識別できるが、F点は認めない。左室心筋の伸展性が低下していることを表している。左室拡張能の低下所見である。この所見は加齢に伴う年齢相応の生理的なものと考えられる。また、C点からE点までが125〜150msec未満であり、左室収縮能が低下しているか、もしくは、中等度以上の左室肥大が存在する可能性があり、要注意の状態である。微分波形X22において、X23―X24間隔は、C−O間隔の30%以上であるため、左室機能が保たれていることの1指標である。またa点の値がe点の値の4分の1以上から2分の1未満であるため左室拡張末期の負荷と思われ、境界域であり要注意である。fが存在しないため、aとの比較はできない。
測定例5.
図29は正常左室機能を有する30歳の女性の例である。
A点とC点ともに300ポイントを越えている。これは若年者で左室収縮能が正常で、特に拡張能のよい例で認められる。O点が低値を示し、F波が急峻で、相対的にA点とC点が高値を示すためである。一次微分曲線においてa点が低値であることは左房収縮が増強していないことを示す所見である。また、E点が比較的早期に尖鋭化しているのが認められ、かつE点付近に2峰性の波形(矢印)を認める。これは、左室の反時計方向回転の影響もしくは、1音の振動が伝わったことによる影響が考えられる。この所見単独では異常所見とは断定できない。比較的若年の正常左室機能の被検者によく認められ、また高度貧血状態、交感神経緊張状態、甲状腺機能亢進症および僧帽弁狭窄の患者でも認められることがある。
測定例6.
図30は高血圧を持つ70歳の男性の例である。A点は300ポイントを越えて高値を示している。C点は300ポイント未満で正常範囲である。E点とS点は正常である。C点からE点までが125〜150msec未満であり、左室収縮能が低下しているか、もしくは、中等度以上の左室肥大が存在する可能性があり、要注意の状態である。O点は2音の150msec未満で正常範囲である。F点は同定できない。このことは拡張初期の左室拡張障害を示唆している。またA点が高値であり、かつ一次微分曲線のa点がe点の2分の1以上を示していることは左房収縮の増強による拡張末期の左室拡張障害を示唆する。
次に心不全状態の例を示す。
測定例7.
図31は高血圧性心疾患による心不全を来たした30歳の男性の例である。ベッド上安静を強いられ、酸素吸入と心不全治療薬の点滴を受けているNYHA心機能分類(ニューヨーク心臓協会心機能分類)4度の状態での記録である。A点は490ポイントで、C点は310ポイントをしめしており、いずれの点も異常値である。
C点から150msec未満での陽性極値E点を認めず、150msec以上にのみ陽性極値を認める。したがってこの陽性極値はP点である。またS点を認めない。2音にほぼ一致して認められる小さな波(↓)は2音の前のS点ではなく、2音の振動が伝播した棘波(ノッチ)である可能性が高い。O点から100msec未満にF点を認めるが400ポイントと高値であり、かつC点(310ポイント)より高値である。
一次微分曲線において、aはeの2分の1以上である。この所見は左室拡張末期の左房収縮が増強していることを意味している。fはeより大きい。この所見は左室拡張初期の左室荷重が増大している所見である。以上の所見から左室収縮能低下と左室拡張能低下のいずれも示しており、重篤な左室不全状態を示しているとおもわれる例である。また、S点が存在しないため、微分波形の時相的解析はできない。
図8、図9に示した例も同様に判断して、左室収縮能低下と左室拡張能低下のいずれも示しており、重篤な左室不全状態を示している例である。
測定例8.
図32は、拡張型心筋症と診断された42歳男性の例である。ベッド上安静と酸素吸入を強いられているNYHA心機能分類4度の状態の記録である。A点とC点がともに高く、a点の高さはe点の2分の1以上である。拡張末期圧上昇と左房収縮増強が示唆される。またf点はe点の3分の2以上である。拡張初期と拡張末期に負荷がかかっていることが示されている。特にf点が高いことは重篤な心不全状態を示唆している。E点は明瞭であるが、S点は認めない。S点を認めないことは、左室収縮障害例もしくは、左室収縮能は保たれているが、中等度以上の左室肥大例の可能性が高い。
測定例9.
図33は虚血性心筋症の54歳の男性の例である。心不全で緊急入院し、ベッド上安静と酸素吸入を強いられている状態(NYHA心機能分類4度)の記録である。A点とC点は
いずれも300ポイントを越える高い位置にある。a点はe点の4分の1から2分の1未満であり、左房収縮増強による左室拡張末期負荷が可能性が示唆され、C点が高値であることから、左室拡張末期圧が上昇していることが示唆される。収縮期波ではE点を認めず、P点を認め、左室収縮能低下もしくは中等度以上の左室肥大を示唆する所見である。S点を認めておらず、左室収縮能低下もしくは中等度以上の左室肥大を示唆する所見である。O点からF点までは急峻に立ち上がっており、F波はF点でオーバーシュートを呈している。54歳という年齢から考えて、このオーバーシュートの所見は左室拡張初期の荷重増大を示唆する。f点はe点の3分の2を越えており、左室拡張初期の荷重増大を示唆している。拡張期波と収縮期波のいずれにも異常所見があり重症心不全を疑わせる心尖拍動図波形である。
測定例10.
図34は拡張型心筋症の66歳の男性の例である。数メートルの平地歩行で息切れが出現しているNYHA心機能分類3度の状態での記録である。A点とC点はいずれも300ポイントを越えており、拡張末期の左室負荷が増大している可能性がある。a点はe点の4分の1から2分の1の間にあり、左房収縮増強の可能性がある。E波は丸みを帯びており、E点が不明瞭である。左室収縮能低下または左室肥大の可能性がある。S点は認めない。S点を認めないことは、左室収縮障害例もしくは、左室収縮能は保たれているが、中等度以上の左室肥大例の可能性が高い。F点はC点より低値であるが、f点はe点の3分の2を越えており、拡張初期の左室荷重の増大が疑われる。
測定例11.
図35は陳旧性心尖部心筋梗塞を有する57歳の男性の例である。NYHA心機能分類2度で、重労働以外の通常の生活が出来ている。A点が300ポイントで高値である。E点を認める。E点直前のノッチ(↑)は左室収縮時の反時計方向回転の影響もしくは、1音の振動が伝わったことによる影響が考えられる。S点を認めないことは、左室収縮障害例もしくは、左室収縮能は保たれているが、中等度以上の左室肥大例の可能性が高い。
O点とF点は認めるが、fは小さい。aはeの4分の1から2分の1未満であり、左房収縮による負荷の可能性がある。aがfより大であることは異常所見である。
測定例12.
図36は75歳の女性で、高血圧症と閉塞性動脈硬化症と陳旧性心尖部心筋梗塞の患者である。NYHA心機能分類2度である。明瞭な4音に一致してA点を認め、高さは300ポイントを越えており、またa点はe点の2分の1をはるかに越えている。左房収縮増強による左室拡張末期負荷が示唆される。C点は300ポイント未満である。収縮期波ではE点を認めず、P点を認める。左室収縮能低下もしくは中等度以上の左室肥大が疑われる。S点は認めず、左室収縮能低下もしくは中等度以上の左室肥大が疑われる。左室拡張末期負荷と左室収縮能低下あるいは中等度以上の左室肥大が考えられる心尖拍動図である。
測定例13.
図37は拡張型心筋症を持つ51歳の女性(NYHA心機能分類2度)の例である。日常生活は出来ているが、駅の階段は途中で休まないと登れない。A波は認めず、左房収縮による左室拡張末期負荷は少ないと思われる。また、E点が存在せず、P点が認められる。左室の収縮障害か中等度以上の左室肥大が示唆される。S点は認められるが、F点は認めない。左室心筋の伸展性の低下の所見であり、拡張初期の左室拡張能低下が示唆される。
測定例14.
図38は拡張型心筋症の66歳の女性の例である。日常生活においては、中等度以下の労作が可能なNYHA心機能分類2度である。A波はC点まで持続的に上昇しているため、定義上、A点とC点は同一となる。C点は150ポイント以下であり、またaも不明瞭で左房収縮による拡張末期の左室拡張障害の可能性は低いと思われる。E点ではなく、P点が認められる。左室収縮能低下もしくは、中等度以上の左室肥大を示唆する所見である。S点は認めない。この所見も左室収縮能低下もしくは中等度以上の左室肥大を示唆する所見である。O点とF点はいずれもかろうじて判別出来る程度に小さい。拡張初期の左室心筋の伸展性の低下の所見であり、左室拡張能低下を示唆する。
次に陣旧性心筋梗塞の2例を示す。
測定例15.
図39は陳旧性前壁中隔心筋梗塞で心不全(代償期)を呈する69歳の男性の例である。A波はC点までなだらかに上昇している。前述の定義より、A点とC点は同一となる。E点を認める。S点は認めないことより、左室収縮不全あるいは中等度以上の左室肥大を疑う。O点を辛うじて認める。F波およびF点は認めない。拡張初期の左室拡張能低下が示唆される。e点はみとめるがa点とf点はいずれも認めない。拡張初期の左房から左室への急速流入による負荷はないと考えられる。また、拡張末期の左房収縮増強による左室負
荷もないと考えられる。
測定例16.
図40は陳旧性前壁中隔心筋梗塞で非代償性心不全を呈する68歳の男性の例である。A波がC点まで持続的に上昇しているため、A点とC点は同一となる。A点は高く、左室拡張末期負荷が疑われる。a点はe点の4分の1から2分の1の間にあり、左房収縮増強による左室負荷の可能性がある。E点を認めるが、S点は認めない。左室収縮不全あるいは中等度以上の左室肥大を疑う所見である。O点とF点は明瞭である。F波はオーバーシュートを呈している。68歳という年齢から考えて、このオーバーシュートの所見は左室拡張初期の荷重増大を示唆する。f点はe点の3分の2を越えており、左室拡張初期の荷重増大を示唆している。F点はC点より低いが、f点はe点の3分の2以上であり、拡張初期の左室荷重の増大を疑う所見である。図39の例と異なり、非代償性の心不全と推測される。
次に非閉塞性肥大型心筋症の2例を示す。
測定例17.
図41は、非閉塞性肥大型心筋症の70歳の男性である。労作時に息苦しさが出現する。A点、C点ともに300ポイント以下である。a点はe点の2分の1以上で左房収縮による拡張末期の左室拡張負荷が示唆される。1音の振動によると思われるノッチ(↓)が認められる。E点はなく、P点がある。また、S点は認めない。P点の存在と、S点がないことから、左室の収縮障害か中等度以上の左室肥大が示唆される。F点は認められないことより、拡張初期の左室拡張障害が疑われる。
測定例18.
図42は、非閉塞性肥大型心筋症の68歳の女性である。重労働以外の労作は可能である。A波がC点まで持続的に上昇しているため、A点とC点は同一となる。C点は300ポイント以下である。a点はe点の2分の1以上で左房収縮による拡張末期の左室拡張負荷が示唆される。E点はなく、P点がある。また、S点は認めない。P点の存在と、S点がないことから、左室の収縮障害か中等度以上の左室肥大が示唆される。F点は低値で、拡張初期の左室拡張障害が疑われる。
次に弁膜症の4例を示す。
測定例19.
図43は高度の大動脈弁狭窄を有する72歳の女性である。A点とC点のいずれも高値であり、また一次微分曲線のa点がe点の2分の1以上を示していることは左房収縮の増強による拡張末期の左室拡張障害を示唆する。F点が低値であることは拡張早期の左室拡張障害を示唆する。
測定例20.
図44は重症の大動脈弁閉鎖不全を有する72歳の男性である。A点とC点のいずれも高値であり、また一次微分曲線のa点がe点の2分の1以上を示していることは左房収縮の増強による拡張末期の左室拡張障害を示唆する。S点は認めないため、左室収縮不全あるいは中等度以上の左室肥大を疑われる所見である。F点が不明であることは拡張早期の左室拡張障害を示唆する。この疾患の特徴は拡張期において、O点からA点まで持続的に上
行する波形を呈することである。拡張期を通じて、大動脈から左室へ逆流する血液による左室圧上昇の影響が考えられる。
測定例21.
図45は中等度の僧帽弁狭窄を有する60歳の男性の例である。E点が早期に出現し、尖った形を呈しているのは、増強した1音の振動の影響が考えられる。左房収縮は、僧帽弁狭窄によって、左室には伝わりにくい状態であるため、aは非常に低い値となっている。A点とC点はともに300ポイント未満であり、左室の拡張末期負荷の可能性は低い。拡張期において、狭窄した僧帽弁を介して左房から左室への血液が通過するため、急速流入波(F波)を認めず、A波まで持続的に上行する波を形成するのが僧帽弁狭窄の特徴である。
測定例22.
図46は高度の僧帽弁閉鎖不全を有し、心不全を来たした61歳の女性である。A点とC点はいずれも300ポイント未満である。a点はe点の4分の1から2分の1の間にあり、左房収縮による左室拡張末期の負荷が示唆される。E波は丸みを帯び、E点は不明瞭である。S点は存在しない。S点を認めないことは、左室収縮障害もしくは、左室収縮能は保たれているが、中等度以上の左室肥大の可能性が高い。左房から左室へ急速流入する大量の血液によってひき起こされる、オーバーシュートを伴う鋭いF波が重症僧帽弁閉鎖不全の特徴である。そのためf点が著明に高く、e点の3分の2を越えている。
次に本発明の例におけるアルゴリズム関連について説明する。
まず。心尖拍動図におけるS点の有無を調べる。S点は心尖拍動図において心音図の2音の直前50msec未満にあり、かつ陽性極値(微分値が+から−に転じる時点で零点を示す)である。S点は収縮期の終了を意味し、同時に拡張期の開始も意味する。S点は左室拡張障害の指標であるとともに、収縮障害の指標となる。S点が存在すれば、高度の左室障害(収縮障害、拡張障害)の可能性は低い。
S点が存在しなければ、左室拡張障害が示唆される。また、左室拡張障害とは別に左室収縮障害が示唆される。加えて、中等度以上の左室肥大があり、左室収縮が正常である例が疑われる。
次にO点について検討する。
一般に、O点は拡張初期に認められる心尖拍動図曲線の最低点である。2音からO点までの間隔は、左室の拡張能を表す1指標である。左室心筋の伸展性を示す。2音からO点までの間隔が長ければ、左室心筋の伸展性が低下していることを意味する。2音からO点までの間隔:150msec未満が正常と判定し、2音からO点までの間隔:150msec以上で200msecが異常と判定し、2音から200msec以上離れた最初の陰性極値はO点として扱わない。
次にF波について説明する。
F波は、心尖拍動図上、O点から始まる比較的急峻な上行波であり、拡張初期の左房から左室への血液の急速流入により形成される。F点はF波の頂点である。F波の終了は、3音と時間的にほぼ一致する。f点は、心尖拍動図の一次微分波形におけるF波の陽性ピーク値である。
緩徐に上行し、屈曲点を示さない心尖拍動図波形ではF波を認めないと判定する。この場合はF点もf点も存在しないと判定する。F波を認めない時は、左室拡張障害と判定する。高さにおいて、F点がC点以上に高い時は、異常と判定する。F点がC点未満の時は正常と判定する。F点が50ポイント未満のときは、異常と判定する。拡張初期に左室が拡がりにくい状態を意味する左室拡張障害を示唆する所見である。F点が50ポイント以上で200ポイント未満を正常と判定する。F点が200ポイント以上を異常と判定する。
F点が200ポイント以上の時、拡張初期の荷重増大を意味する左室拡張障害を示唆する。このF点が200ポイント以上を示す所見は、左室機能正常で特に左室心筋の伸展性がよい例で認められることもある。また、左室拡張初期の病的状態も示す。病的状態に二つあり、ひとつは絶対的な心室拡張期荷重増大を疑わせる所見である。僧帽弁口を通過する血流の増大を示す疾患(僧帽弁閉鎖不全、心室中隔欠損、動脈管開存)や高心拍出状態(甲状腺機能亢進症、中等度以上の貧血、妊娠、発熱時)が疑われる。もうひとつは、相対的心室拡張期荷重増大を疑わせる場合がある。すなわち、左室心筋が障害され僧帽弁口通過血流の増大なしに負荷が過剰となる状態である。左室収縮障害による収縮末期における左室残留血液量の増大と拡張早期における左室充満圧の上昇とが相俟って左心不全を来たすことによってF点高値を生ずる。通常、左室拡大と左室充満圧上昇が存在する鬱血性心不全の状態を呈する。頻度の高い例として心筋梗塞患者や拡張型心筋症患者がある。
F波にオーバーシュートの所見があれば、左室心筋の伸展性が正常(コンプライアンス良好)であるか、または拡張初期の左室荷重増大が疑われる。オーバーシュートがなければ、左室拡張障害がないか、または、左室心筋の伸展性が低下(コンプライアンス不良)していることを意味する拡張障害が疑われる。
次にf点について説明する。
f点の高さがe点の高さの2分の1未満の時を正常と判定する。f点の高さがe点の高さの2分の1以上で、3分の2未満の時、境界域で要注意と判定する。f点の高さがe点の高さの3分の2以上で異常と判定する。f点がe点と比較して、相対的に高い時(f点がe点の2分の1以上の時)左室拡張初期の荷重負荷を示唆する。F点と同様に、左室拡張初期の病的状態も示す。病的状態に二つあり、ひとつは絶対的な心室拡張期荷重増大の場合である。僧帽弁口を通過する血流の増大を示す疾患(僧帽弁閉鎖不全、心室中隔欠損、動脈管開存)や高心拍出状態(甲状腺機能亢進症、中等度以上の貧血、妊娠、発熱時)が疑われる。もうひとつは相対的心室拡張期荷重増大の場合がある。すなわち、左室心筋が障害され僧帽弁通過血流の増大なしに負荷が過剰となる状態である。左室収縮障害による収縮末期における左室残留血液量の増大と拡張早期における左室充満圧の上昇とが相俟って左心不全を来たす。通常、左室拡大と左室充満圧上昇が存在する鬱血性心不全の状態を呈する。頻度の高い例として心筋梗塞患者や拡張型心筋症患者がある。
F波、F点、f点はいずれも左室拡張早期の現象を示す指標である。
重症心不全ほど、F波、F点、f点が目立つ(高値を示す)とともに、F波、F点、f点の出現時相も早まる。ただし、例外として左室心筋の伸展性が良好である左室機能正常者であることを示す場合もある。
次にA点について説明する。
A波の分類を図47に示す。A波のタイプは下記4つに分類される。タイプ1は、A波が明らかで陽性極値A点も明瞭である場合で、C点も明らかである。タイプ2は、A波の立ち上がりからC点まで上昇する波形である。A点とC点がほぼ同じ高さにあるが、一次微分波形において、C点に対応する部分に陰性極値(微分値が−から+へ転じる)を有する。タイプ3は、A波がC点まで持続的に上昇する波形で、一次微分波形においてC点に対応する部分に陰性極値(微分値が−から+へ転じる)を有しないもの。この場合A点とC点は同一と定義する。タイプ4は、C点前にほとんど陽性波が認められない場合で、A波は認めないと判定する。この場合A点もa点も存在しない。
A波がない場合、すなわちC点前にほとんど陽性波が認められない場合は、A波なしと判定し、A点もa点も存在しない。左室拡張末期に負荷がかかっていない正常の場合や、左房収縮機能が消失ないし低下している病的な場合がある。
A波が認められる場合はA点があり、またa点も存在する。タイプ3のようにA点がC点と同一となることもある(A波が持続的に上行し、C点に至る時)。
A点の高さが300ポイント以上の場合、異常と判定する。A点の高さが300ポイント以上では左室拡張末期の荷重増大を示唆する。左室心筋の伸展性が低下している状態すなわち、高血圧症、大動脈弁狭窄あるいは肥大型心筋症による左室肥大、線維化や変性をきたす心筋梗塞、二次性心筋症などが疑われる。また、拡張初期からの荷重増大の影響も受けるため、僧帽弁口を通過する血流の増大を示す疾患(僧帽弁閉鎖不全、心室中隔欠損、動脈管開存)や高心拍出状態(甲状腺機能亢進症、中等度以上の貧血、妊娠、発熱時)が疑われる。心筋梗塞や拡張型心筋症などの左室心筋が障害され僧帽弁口通過血流の増大なしに負荷が過剰となる病態も疑われる。
A点の高さが300ポイント未満を正常と判定する。
次にa点について説明する。
a点がe点の2分の1以上は明らかに異常と判定する。a点が高いことは、拡張末期の左房収縮増強による左室圧上昇が考えられる。左室心筋の伸展性の低下した高血圧症、大動脈弁狭窄あるいは肥大型心筋症による左室肥大、線維化や変性をきたす心筋梗塞、二次性心筋症などが疑われる。a点がe点の4分の1以上で2分の1未満の時は境界域で要注意と判断する。a点がe点の4分の1未満を正常と判定する。a点がf点より低い時は、正常左室機能で特に左室拡張能のよい場合か、逆に重症心不全(代償不全)場合が考えられる。
A点、a点とC点ともに、左室拡張末期の動態を示す指標である。A点、a点とC点は関連しているため、この3項目について相互の関係を検討すると、下記のように病態を分類できると思われる。図47に示したタイプ1とタイプ2の場合は、A点が高く、C点が高く、a点が高い時は、左房収縮能亢進と左室拡張末期圧上昇が示唆される。A点が高く、C点が高く、a点が低い時は、左房収縮能亢進は存在しない左室拡張末期圧上昇が示唆
される。A点が高く、C点が正常で、a点が高い時は、左房収縮能亢進が示唆される。A点が高く、C点が正常で、a点が低い時は、左室拡張末期の負荷は軽度であることが示唆される。A点が低く、C点が正常で、a点が低い時は、左室拡張末期の負荷はないことが示唆される。A点が低く、C点が正常で、a点が高い時は、左房収縮能亢進が示唆される。
タイプ3のように、A点とC点が同一となる場合は、C点が高く、a点が低い時は、左室拡張末期負荷は軽度であることが示唆される。C点が高く、a点が高い時は、左房収縮能亢進と左室拡張末期圧上昇が示唆される。C点が低く、a点が低い時は、左室拡張末期の負荷はないことが示唆される。C点が低く、a点が高い時は、左房収縮能亢進が示唆される。
A波増高は、左房収縮力、左房収縮による僧帽弁口通過血流量および左室心筋の伸展性によって規定され、下記の状態を示唆する。
1:左室肥大、虚血、線維化による左室心筋の伸展性低下。
2:鬱血性心不全。
3:高心拍出状態。
4:急性僧帽弁逆流。
原因としては1に示した左室肥大、虚血、線維化による左室心筋の伸展性低下が最も多い。左室充満に対する抵抗が大きいため左房収縮が増強し、左室拡張末期圧が上昇すると考えられる。一般に、血行動態的には、心拍出量は維持され、必ずしも左室収縮能は低下せず、左室充満圧も正常であることが多い。それゆえ、A波増高は必ずしも心不全を意味するわけではない。左室肥大があり、左室収縮能が正常な例としては、肥大型心筋症、高血圧症、大動脈弁狭窄が挙げられる。左室拡大と左室収縮能低下がある例としては心筋梗塞、拡張型心筋症が挙げられる。2に示した鬱血性心不全では、左室拡張末期圧上昇と左房収縮増強が起こり、この場合は左室充満圧の上昇もあり、F波が増高する。
左房収縮前の左室内圧が上昇した状態では、左房収縮後ただちに左室内圧の急激な上昇が起こり、A波、A点は早期に出現する。3に示した高心拍出状態では、左房収縮力が保たれていることことと、僧帽弁口通過血流量の増加のためA波とA点が増高する。4に示した急性僧帽弁逆流では、左房病変がなく、左房収縮能が保たれていることと、急激な左室容量負荷により、左室拡張末期圧が上昇することによってA波、A点およびa点の増高がおこる。心不全が重症になるほど、A波、A点の出現時相が早まる。
次にC点について説明する。
C点は左室収縮の開始点である。C点は拡張末期の状態も反映する。C点は300ポイント以上を異常と判定する。左室拡張末期圧上昇の可能性がある。その病態としては、上述の左室肥大、虚血、線維化による左室心筋の伸展性低下や鬱血性心不全、高心拍出状態。急性僧帽弁逆流で高値を示す。
次にE点とP点について説明する。
C点からE点まで125msec未満であれば、左室収縮障害の可能性は低いと考えられる。C点からE点まで125msecから150msecまでは要注意で左室収縮障害、あるいは左室収縮障害はないものの、中等度以上の左室肥大の可能性がある。E点が存在せず、P点が存在する場合は、左室収縮障害、あるいは左室収縮障害はないものの、中等度以上の左室肥大の可能性が大となり、異常と判断される。
本発明による生体反応記録装置においては、心尖拍動図の基礎データを測定し、装置に取り込んでから、以上説明した各特徴点に関する事項を用い、被検者の健康状態を判定し、記録し、必要な表示を行うことができる。
前記のように、心尖拍動図の一次微分波形すなわち時間−拍動波形の一次微分波形は被測定生体の拍動に関する特徴抽出などに利用することができ、心尖拍動図の二次微分波形は心尖拍動図の一次微分波形の特徴点を抽出などに利用することができる。心機図の診断への活用に於いて、心電図や心音図に同期したデータとしての心尖拍動図の波形だけでなく、その一次微分、二次微分の活用、さらに、拍動の振幅、振幅分布、強度、強度分布の
情報の活用は正確な診断を行うにあたって極めて重要である。
心臓の動きの把握に関して、前記拍動図や拍動の振幅や振幅の分布を知ることをあげることができるが、このほかに、たとえば心臓が勢いよく動いているか、力強く動いているかなど、駆動の強度や強度分布を知ることをあげることができる。触診を行う医師にとっては周知のように、心臓は複雑な動きをしており、心臓の動く勢いの良さ、動きの強さなどとして触診で感じることができる拍動の強度と強度分布を本発明において圧力センサーによって検出できるようになることは正確な診断を行う上で重要な情報となる。
前記実施例は、必要に応じて種々の活用ができ、従来は期待できなかった効果を発揮させることができる。
たとえば、心機図を測定して後、速やかに患者に結果を説明することができ、心機図を患者に示して説明することもでき得る。さらに、本発明の装置に参照データの一つとして被測定生体の過去のデータや被測定生体の診断に役立つ統計データなどを入れておき、被測定生体の健康状態の位置づけをしたり、健康状態の変化を把握したり、被測定生体に説明して効果的な健康管理を行ったりすることができる。
圧力センサーに心電図測定用の電極や、圧力センサーに心音図測定用のマイクロフォンを組み込むこともできる。このように構成することによって、記録装置の高精度化、簡素化、小型化、低価格化などを可能にすることができるのみならず、被測定生体に多くのセンサーを装着して測定することによる心的負担を大幅に軽減することができる。
圧力センサーを3次元構成にすることにより、圧力と心音などの検出を行うことができたり、測定データのS/N比を高めたりすることができる。
前記のような種々の構成の圧力センサーに送信手段あるいは送受信手段を組込んで被測定生体に装着し、あるいは、圧力センサーと小型軽量の送信装置あるいは送受信装置を被測定生体に装着して、被測定生体が携帯している外部装置や被測定生体から離れたところにある外部装置にセンサーによる測定データ等を送信あるいは送受信して本発明の装置を構成し、被測定生体自身による健康管理に役立てたり、医療専門家による被測定生体の診断や健康管理を行うことができる。
前記例では拍動図として心尖拍動図を例にあげて説明したが、本発明は、前記のように、心尖拍動図に限定されるものではなく、前記各種拍動に適用され同様の大きな効果を奏するものである。
心機図の測定においては、心電図と心音図用のセンサーを本発明の装置に備えている場合でも、心電図と心音図用のデータを本発明の装置とは別に測定して本発明の装置に入力する場合でも、拍動図を心電図と心音図の少なくとも一方に同期させることが重要である。このようにすることにより高い信頼性で診断を行うことができる。
以上説明したように、従来は患者に防音室など特別な測定室に入ってもらい、大がかりな測定設備で、最低2名の医師あるいは医師と技師によって記録しなければできなかった胸部や腹部の生体反応の記録を、本発明によれば、病院の外来診察室や病室でも測定が可能となり、また、一人の医師によって記録することも可能となり、データをコンピュータのメモリーなどに記録し、コンピュータのメモリーなどに記録されたデータからその場で動画として再生することもできるようになる。すなわち、本発明は、その場で患者にフィードバックすることができるという診療としては極めて大きな効果をもたらし、患者の満足度も上がり、また、防音室など特別な測定室までつれていけない状態の患者の検査も可能にし、視診触診聴診という診察技能の質を高め、循環器系疾患の正確な診断を下すことを可能にするという極めて大きな効果をもたらすものである。
また、医師の生涯教育、医学生および研修医に対する臨床医学教育にも極めて大きな効果を発揮するものである。
さらに、本発明は、通常の健康管理、遠隔健康管理など、医療の専門知識の広い応用を可能とするものである。
以上、実施例を参照して本発明の電子部品の実施の形態例を説明したが、本発明は前記実施例に狭く限定されるものではなく、前記本発明の技術思想を利用した多くのバリエーションを可能とするものである。
以上説明したように、本発明によって、循環器系の診療では極めて重要であるが実際には難しいとされて正確に測定され記録されていなかった胸部や腹部に関する拍動図をかなり高い正確さで測定して記録し、たとえば、その場で診療にフィードバックしたり過去データとして活用したりすることができるようになる。
本発明は、循環器系の診療レベルを著しく向上させるとともに、他の医療分野との連携効果も高め、医学の発展に寄与するところ極めて大であり、医療費の節約にも大きく寄与するなど、経済的効果も大きく、医療分野と医学教育分野で広く用いられるものである。
本発明の実施の形態例としての生体反応記録装置を説明する図である。 本発明の実施の形態例としての本発明の実施の形態例としての遠隔管理を行うこともできる生体反応記録装置を説明するブロック図である。 本発明の実施の形態例としての生体反応記録装置における測定データ処理の例を説明するブロック図である。 本発明の実施の形態例としての圧力センサーを説明する図である。 本発明の実施の形態例としての圧力センサーを説明する図である。 本発明の実施の形態例としての生体反応記録装置で測定した心機図の例である。 本発明の実施の形態例としての生体反応記録装置で測定した心機図の例である。 本発明の実施の形態例としての生体反応記録装置で測定した心機図の例である。 本発明の実施の形態例としての生体反応記録装置で測定した心機図の例である。 本発明の実施の形態例としての生体反応記録装置で測定した心機図の時間的変化の例を説明する図である。 本発明の実施の形態例としての生体反応記録装置で測定した心機図の時間的変化の例を説明する図である。 本発明の実施の形態例としての生体反応記録装置で測定した心機図の時間的変化の例を説明する図である。 本発明の実施の形態例としての生体反応記録装置で測定した心機図の時間的変化の例を説明する図である。 本発明の実施の形態例としての生体反応記録装置で測定した心機図の時間的変化の例を説明する図である。 本発明の実施の形態例としての生体反応記録装置で測定した心機図の時間的変化の例を説明する図である。 本発明の実施の形態例としての生体反応記録装置で測定した心機図の時間的変化の例を説明する図である。 本発明の実施の形態例としての生体反応記録装置における圧力センサーの圧力検出位置を説明する図である。 本発明の実施の形態例としての生体反応記録装置で測定した拍動の振幅分布の例を説明する図で、3次元表示の図形の所定の位置における断面図として示した図である。 本発明の実施の形態例としての生体反応記録装置で測定した拍動の振幅分布の例を説明する図で、3次元表示の図形の所定の位置における断面図として示した図である。 本発明の生体反応記録装置の一例としての心尖拍動図測定器を用いた心尖拍動図測定方法を説明する図で、測定の流れを説明するブロック図である。 本発明の心尖拍動図測定器を用いて測定した心尖拍動図の例である。 本発明の心尖拍動図測定器を用いて測定した心尖拍動図の例である。 本発明の心尖拍動図測定器を用いて測定した心尖拍動図の例である。 本発明の心尖拍動図測定器を用いて測定した心尖拍動図の例である。 心周期の収縮期と拡張期の区分について説明する図である。 本発明の心尖拍動図測定器を用いて測定した心尖拍動図の例である。 本発明の心尖拍動図測定器を用いて測定した心尖拍動図の例である。 本発明の心尖拍動図測定器を用いて測定した心尖拍動図の例である。 本発明の心尖拍動図測定器を用いて測定した心尖拍動図の例である。 本発明の心尖拍動図測定器を用いて測定した心尖拍動図の例である。 本発明の心尖拍動図測定器を用いて測定した心尖拍動図の例である。 本発明の心尖拍動図測定器を用いて測定した心尖拍動図の例である。 本発明の心尖拍動図測定器を用いて測定した心尖拍動図の例である。 本発明の心尖拍動図測定器を用いて測定した心尖拍動図の例である。 本発明の心尖拍動図測定器を用いて測定した心尖拍動図の例である。 本発明の心尖拍動図測定器を用いて測定した心尖拍動図の例である。 本発明の心尖拍動図測定器を用いて測定した心尖拍動図の例である。 本発明の心尖拍動図測定器を用いて測定した心尖拍動図の例である。 本発明の心尖拍動図測定器を用いて測定した心尖拍動図の例である。 本発明の心尖拍動図測定器を用いて測定した心尖拍動図の例である。 本発明の心尖拍動図測定器を用いて測定した心尖拍動図の例である。 本発明の心尖拍動図測定器を用いて測定した心尖拍動図の例である。 本発明の心尖拍動図測定器を用いて測定した心尖拍動図の例である。 本発明の心尖拍動図測定器を用いて測定した心尖拍動図の例である。 本発明の心尖拍動図測定器を用いて測定した心尖拍動図の例である。 本発明の心尖拍動図測定器を用いて測定した心尖拍動図の例である。 A波について説明する図である。 従来の心機図記録装置本体の写真である。 従来の各種トランスデューサの例の写真である。 従来の生体音検出装置の斜視図である。 図50の生体音検出装置の断面図である。 従来の心機図記録装置の拍動図測定用のトランスデューサーの斜視図である。 従来の心機図記録装置の心音図測定用のトランスデューサーの斜視図である。 従来の装置での心機図測定被測定生体の写真である。 従来の心機図記録装置で測定の結果得られた心機図である。
40:マイクロフォン
101,502,512,522,532,552,556,560,564,568,572,576:心尖拍動図
102,103,104,553,557,561,565,569,573,577:心音図
105,554,558,562,566,570,574,578:心電図
110:拍動図測定用のトランスデューサー
111:圧力伝達部
112,122:ケース外周枠
113,123:ケース側面
114,124:リード線
120:心音図測定用のトランスデューサー
121:心音測定部
200:生体反応記録装置
201,201a,201b,301:圧力センサー
202,305a:心音センサー
203:心電図用センサー
211,212,213,231,241:配線
220,320:制御・測定データ処理部
230,330:記憶部
240,340:表示部
241a〜241c,242a〜242c,243a〜243c,244a〜244d,251a〜251c,252a〜252c,253a〜253c:圧力センサー部
245:圧力センサーの外周部の内壁
246,255:圧力センサーの外周部の外壁
247:空間部
248,258:基板
271〜287:処理ステップ、処理内容、機能等を説明するための符号
300:生体反応記録システム
305b:センサー
311,315a,315b,331,341,351:連絡手段
350:遠隔管理部
500,510,520,530:心機図
501,511,521,531,551,555,559,563,567,571,575:心尖拍動図の一次微分曲線
503,513,523,533:心音図
504,514,524,534:心電図
5011,5013,5014,5111,5113,5114,5211,5213,5214,5311,5313,5314:心尖拍動図の一次微分曲線のピーク
5031,5131,5231,5331:1音
5032,5132,5232,5332:2音
5333:3音と4音が重合した状態
5034,5134:4音
5041,5141,5241,5341:QRS波
5511,5551,5591,5631,5671:等容性収縮期における微分波形の極値
5514,5554,5594,5634,5674:A波の極値
A1〜A5:各心尖拍動図のA波(左心房収縮波)
d1〜d9,d31〜d3,d91:心尖拍動図の微分波形の特徴の例を説明する点
P1〜P9:圧力検出位置を示す符号

Claims (20)

  1. 生体の心尖拍動図を作成することができる測定値を圧力変化及び/あるいは波動の反射の測定結果として検出することができる新規の生体反応記録装置であって、前記生体反応記録装置は、少なくとも1つの前記拍動の検出部位の動きを、圧力変化として測定することができる圧力センサー及び/あるいは波動の反射を利用して測定する反射検出センサーと測定された信号等の増幅手段と測定されたデータを基に生体反応情報(以下、生体情報ともいう)を検出することができる演算処理部等のデータ処理手段と測定されたデータの少なくとも主要部分とデータ処理手段を用いて検出された生体情報あるいはデータ処理手段を用いて処理された情報あるいは処理途中の情報などのデータのうちの少なくとも一方を記憶することができる記憶手段(以下、データ処理手段を用いて検出された生体情報あるいはデータ処理手段を用いて処理された情報あるいは処理途中の情報などのデータを検出データともいう)と表示手段を有しているとともに、前記圧力センサー及び/あるいは反射検出センサーは測定部位の複数箇所の測定データを区別して測定することができる複数の検出センサーから構成されており、前記圧力センサー及び/あるいは反射検出センサーは前記測定する1つの拍動に関して生体の圧力及び/あるいは反射情報をそれぞれ測定することができ、前記記憶手段は前記複数箇所の測定データの少なくとも主要部分と前記検出データの少なくとも一方を記憶することができることを特徴とする生体反応記録装置において、
    心尖拍動図に関する特徴点を、1拍動期間において、心音図から2音(大動脈弁閉鎖音)を同定し、心尖拍動図波形において、時間軸(横軸)方向で、2音より前に存在し、2音との間隔が50msec未満の2音に最も近い陽性極値をS点とし、心電図のQRS波の頂点付近に陰性極値が存在するときはその陰性極値点をC点とし、心電図のQRS波の頂点付近に陰性極値がない場合は、心電図のRから垂線を下ろし、その垂線と心尖拍動図波形が交わった点をC点とし、左房収縮による陽性波であるA波の陽性極値をA点とし、A波が陽性極値を持たず、持続的に上昇し、後述のC点にまで至る場合は、C点をA点とみなすものとし、C点から150msec未満後の陽性極値をE点とし、E点もS点も存在しないときにC点から150msec以上遅れて、かつ、心音図の2音から50msec以上前に存在する陽性極値をP点とし、2音から50msec以上後で、心尖拍動図の最初の陰性極値をO点とし、O点から後に存在し、O点から150msec未満の最初の陽性極値をF点とし、左房収縮による陽性波をA波とし、左室収縮期波をE波とし、急速流入波をF波とし、心尖拍動図の一次微分波形におけるA波、E波およびF波の陽性ピーク値をそれぞれa点、e点、f点としたとき、心尖拍動図波形の振幅軸(縦軸)を最小値を0ポイント,最大値を1000ポイントに正規化した状態において、
    前記生体反応記録装置は、前記特徴点の少なくとも1つの存在有無を判定する手段を有しているとともに、さらに、
    A点の高さが300ポイント未満であるか300ポイント以上であるかを判定する判定手段と、
    C点の高さが300ポイント未満であるか300ポイント以上であるかを判定する判定手段と、
    a点の高さがe点の4分の1未満であるか、4分の1以上で、かつ、2分の1未満であるか、2分の1以上であるかを判定する判定手段と、
    F点の高さが50ポイント未満であるか、50ポイント以上で、かつ、200ポイント未満であるか、200ポイント以上であるかを判定する判定手段と、
    f点の高さがe点の2分の1未満であるか、2分の1以上で、かつ、3分の2未満であるか、3分の2以上であるかを判定する判定手段と、
    F波にオーバーシュートがあるか否かを判定する判定手段のうちの少なくとも一つの判定手段を有していることを特徴とする生体反応記録装置。
  2. 生体の心尖拍動図を作成することができる測定値を圧力変化及び/あるいは波動の反射の測定結果として検出することができる新規の生体反応記録装置であって、前記生体反応記録装置は、少なくとも1つの前記拍動の検出部位の動きを、圧力変化として測定することができる圧力センサー及び/あるいは波動の反射を利用して測定する反射検出センサーと測定された信号等の増幅手段と測定されたデータを基に生体反応情報(以下、生体情報ともいう)を検出することができる演算処理部等のデータ処理手段と測定されたデータの少なくとも主要部分とデータ処理手段を用いて検出された生体情報あるいはデータ処理手段を用いて処理された情報あるいは処理途中の情報などのデータのうちの少なくとも一方を記憶することができる記憶手段(以下、データ処理手段を用いて検出された生体情報あるいはデータ処理手段を用いて処理された情報あるいは処理途中の情報などのデータを検出データともいう)と表示手段を有しているとともに、前記圧力センサー及び/あるいは反射検出センサーは測定部位の複数箇所の測定データを区別して測定することができる複数の検出センサーから構成されており、前記圧力センサー及び/あるいは反射検出センサーは前記測定する1つの拍動に関して生体の圧力及び/あるいは反射情報をそれぞれ測定することができ、前記記憶手段は前記複数箇所の測定データの少なくとも主要部分と前記検出データの少なくとも一方を記憶することができることを特徴とする生体反応記録装置において、
    心尖拍動図に関する特徴点を、1拍動期間において、心音図から2音(大動脈弁閉鎖音)を同定し、心尖拍動図波形において、時間軸(横軸)方向で、2音より前に存在し、2音との間隔が50msec未満の2音に最も近い陽性極値をS点とし、心電図のQRS波の頂点付近に陰性極値が存在するときはその陰性極値点をC点とし、心電図のQRS波の頂点付近に陰性極値がない場合は、心電図のRから垂線を下ろし、その垂線と心尖拍動図波形が交わった点をC点とし、左房収縮による陽性波であるA波の陽性極値をA点とし、A波が陽性極値を持たず、持続的に上昇し、後述のC点にまで至る場合は、C点をA点とみなすものとし、C点から150msec未満後の陽性極値をE点とし、E点もS点も存在しないときにC点から150msec以上遅れて、かつ、心音図の2音から50msec以上前に存在する陽性極値をP点とし、2音から50msec以上後で、心尖拍動図の最初の陰性極値をO点とし、O点から後に存在し、O点から150msec未満の最初の陽性極値をF点とし、左房収縮による陽性波をA波とし、左室収縮期波をE波とし、急速流入波をF波とし、心尖拍動図の一次微分波形におけるA波、E波およびF波の陽性ピーク値をそれぞれa点、e点、f点としたとき、
    前記生体反応記録装置は前記特徴点の少なくとも2つの存在有無を判定する手段を有しているとともに、前記センサーの測定データとその処理データの少なくとも一方から雑音を除去する雑音処理手段をを有していることを特徴とする生体反応記録装置。
  3. 生体の心尖拍動図を作成することができる測定値を圧力変化及び/あるいは波動の反射の測定結果として検出することができる新規の生体反応記録装置であって、前記生体反応記録装置は、少なくとも1つの前記拍動の検出部位の動きを、圧力変化として測定することができる圧力センサー及び/あるいは波動の反射を利用して測定する反射検出センサーと測定された信号等の増幅手段と測定されたデータを基に生体反応情報(以下、生体情報ともいう)を検出することができる演算処理部等のデータ処理手段と測定されたデータの少なくとも主要部分とデータ処理手段を用いて検出された生体情報あるいはデータ処理手段を用いて処理された情報あるいは処理途中の情報などのデータのうちの少なくとも一方を記憶することができる記憶手段(以下、データ処理手段を用いて検出された生体情報あるいはデータ処理手段を用いて処理された情報あるいは処理途中の情報などのデータを検出データともいう)と表示手段を有しているとともに、前記圧力センサー及び/あるいは反射検出センサーは測定部位の複数箇所の測定データを区別して測定することができる複数の検出センサーから構成されており、前記圧力センサー及び/あるいは反射検出センサーは前記測定する1つの拍動に関して生体の圧力及び/あるいは反射情報をそれぞれ測定することができ、前記記憶手段は前記複数箇所の測定データの少なくとも主要部分と前記検出データの少なくとも一方を記憶することができることを特徴とする生体反応記録装置において、
    心尖拍動図に関する特徴点を、1拍動期間において、心音図から2音(大動脈弁閉鎖音)を同定し、心尖拍動図波形において、時間軸(横軸)方向で、2音より前に存在し、2音との間隔が50msec未満の2音に最も近い陽性極値をS点とし、心電図のQRS波の頂点付近に陰性極値が存在するときはその陰性極値点をC点とし、心電図のQRS波の頂点付近に陰性極値がない場合は、心電図のRから垂線を下ろし、その垂線と心尖拍動図波形が交わった点をC点とし、左房収縮による陽性波であるA波の陽性極値をA点とし、A波が陽性極値を持たず、持続的に上昇し、後述のC点にまで至る場合は、C点をA点とみなすものとし、C点から150msec未満後の陽性極値をE点とし、E点もS点も存在しないときにC点から150msec以上遅れて、かつ、心音図の2音から50msec以上前に存在する陽性極値をP点とし、2音から50msec以上後で、心尖拍動図の最初の陰性極値をO点とし、O点から後に存在し、O点から150msec未満の最初の陽性極値をF点とし、左房収縮による陽性波をA波とし、左室収縮期波をE波とし、急速流入波をF波とし、心尖拍動図の一次微分波形におけるA波、E波およびF波の陽性ピーク値をそれぞれa点、e点、f点としたとき、
    前記生体反応記録装置は前記特徴点の少なくとも2つの存在有無を判定する手段を有しているとともに、
    測定されたデータの少なくとも主要部分からデータ処理手段を用いて検出された生体情報あるいはデータ処理手段を用いて処理された情報あるいは処理途中の情報などのデータ(以下、データ処理手段を用いて検出された生体情報あるいはデータ処理手段を用いて処理された情報あるいは処理途中の情報などのデータを検出データという)と対比する参照データを有していることを特徴とする生体反応記録装置。
  4. 請求項3に記載の生体反応記録装置において、前記参照データを生体反応記録装置の外部から入力することができることを特徴とする生体反応記録装置。
  5. 請求項3に記載の生体反応記録装置において、前記参照データを変更する手段を有していることを特徴とする生体反応記録装置。
  6. 生体の心尖拍動図を作成することができる測定値を圧力変化及び/あるいは波動の反射の測定結果として検出することができる新規の生体反応記録装置であって、前記生体反応記録装置は、少なくとも1つの前記拍動の検出部位の動きを、圧力変化として測定することができる圧力センサー及び/あるいは波動の反射を利用して測定する反射検出センサーと測定された信号等の増幅手段と測定されたデータを基に生体反応情報(以下、生体情報ともいう)を検出することができる演算処理部等のデータ処理手段と測定されたデータの少なくとも主要部分とデータ処理手段を用いて検出された生体情報あるいはデータ処理手段を用いて処理された情報あるいは処理途中の情報などのデータのうちの少なくとも一方を記憶することができる記憶手段(以下、データ処理手段を用いて検出された生体情報あるいはデータ処理手段を用いて処理された情報あるいは処理途中の情報などのデータを検出データともいう)と表示手段を有しているとともに、前記圧力センサー及び/あるいは反射検出センサーは測定部位の複数箇所の測定データを区別して測定することができる複数の検出センサーから構成されており、前記圧力センサー及び/あるいは反射検出センサーは前記測定する1つの拍動に関して生体の圧力及び/あるいは反射情報をそれぞれ測定することができ、前記記憶手段は前記複数箇所の測定データの少なくとも主要部分と前記検出データの少なくとも一方を記憶することができることを特徴とする生体反応記録装置において、
    心尖拍動図に関する特徴点を、1拍動期間において、心音図から2音(大動脈弁閉鎖音)を同定し、心尖拍動図波形において、時間軸(横軸)方向で、2音より前に存在し、2音との間隔が50msec未満の2音に最も近い陽性極値をS点とし、心電図のQRS波の頂点付近に陰性極値が存在するときはその陰性極値点をC点とし、心電図のQRS波の頂点付近に陰性極値がない場合は、心電図のRから垂線を下ろし、その垂線と心尖拍動図波形が交わった点をC点とし、左房収縮による陽性波であるA波の陽性極値をA点とし、A波が陽性極値を持たず、持続的に上昇し、後述のC点にまで至る場合は、C点をA点とみなすものとし、C点から150msec未満後の陽性極値をE点とし、E点もS点も存在しないときにC点から150msec以上遅れて、かつ、心音図の2音から50msec以上前に存在する陽性極値をP点とし、2音から50msec以上後で、心尖拍動図の最初の陰性極値をO点とし、O点から後に存在し、O点から150msec未満の最初の陽性極値をF点とし、左房収縮による陽性波をA波とし、左室収縮期波をE波とし、急速流入波をF波とし、心尖拍動図の一次微分波形におけるA波、E波およびF波の陽性ピーク値をそれぞれa点、e点、f点としたとき、
    前記生体反応記録装置は前記特徴点の少なくとも2つの存在有無を判定する手段を有しているとともに、
    パターンマッチング技術を利用して判断情報を生成するデータ処理手段を有していることを特徴とする生体反応記録装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の生体反応記録装置において、少なくとも1つの前記拍動の検出部位の動きの圧力変化として測定されたデータの信号処理において、前記センサーの測定データを処理する信号処理回路のフィルタの遮断周波数あるいは時定数をパラメータ(以下、パラメータ1ともいう)として、同一もしくは同種の前記センサーの測定データに対して前記パラメータ1の値を異なる値にして測定データの信号処理を行った結果を前記生体の健康状態の診断情報に利用することを特徴とする生体反応記録装置。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記センサーの少なくとも被測定生体に接触する部分の形状が変形可能な状態に形成されていることを特徴とする生体反応記録装置。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記センサーの少なくとも被測定生体に接触する部分がフレキシブルに形成されていることを特徴とする生体反応記録装置。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置は、前記センサーと被測定生体との間の接触圧力あるいは前記センサーを構成する少なくとも2つの各圧力検出素子もしくは各圧力検出部分と被測定生体との間の接触圧力の差の少なくとも一方を検出することができる接触圧検出手段を有していることを特徴とする生体反応記録装置。
  11. 請求項9または10に記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置は、前記接触圧検出手段によって検出された接触圧力に対応して前記接触圧力を変える手段を有していることを特徴とする生体反応記録装置。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置は、前記センサーを被測定生体の測定部所での前記測定が可能な状態に被測定生体に装着する手段を有していることを特徴とする生体反応記録装置。
  13. 請求項12に記載の生体反応記録装置において、前記センサーを被測定生体に装着する手段が吸引力を利用した手段であることを特徴とする生体反応記録装置。
  14. 請求項12または13に記載の生体反応記録装置において、前記センサーを被測定生体に装着する手段が粘着力を利用した手段であることを特徴とする生体反応記録装置。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置は前記測定データと検出データと生体の健康状態の診断情報の少なくとも1つを、静止画と動画の少なくとも一方としてリアルタイムで呈示することができる記録装置であることを特徴とする生体反応記録装置。
  16. 請求項1〜15のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記生体反応記録装置は同一生体と複数生体の少なくとも一方の統計データを記憶する統計データ記憶手段を有していることを特徴とする生体反応記録装置。
  17. 請求項1〜16のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記心尖拍動図もしくはその測定データが被測定生体の心電図と心音図と外部から入力したデータのいずれかに同期していることを特徴とする生体反応記録装置。
  18. 請求項1〜17のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記拍動の振幅もしくは強度の分布を3次元の図形として及び/または3次元の図形の所定位置の断面図として表示することができることを特徴とする生体反応記録装置。
  19. 請求項1〜18のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記センサーの圧力検出可能範囲はその外接円の直径が30mm以上の範囲であることを特徴とする生体反応記録装置。
  20. 請求項1〜18のいずれかに記載の生体反応記録装置において、前記拍動の振幅分布と強度分布のいずれか一方または双方を検出して表示する時の生体の被測定領域が少なくとも直径5mmの円形の範囲であることを特徴とする生体反応記録装置。
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