JP5781820B2 - 地盤変位の予測方法および予測装置 - Google Patents
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Description
そして、このような傾斜地での土砂災害は、斜面地盤が変状したり移動したりする地盤崩壊、つまり地盤変位によって発生する。従って地盤変位の発生を予測することは、土砂災害を未然に防止するためにも重要である。
従来、地盤変位を測定する手法については、例えば、特許文献1に示されるように、地盤変位が発生するとされる任意の場所に測定用の孔を掘り、ここに歪みケーブルを挿入し、地盤変位によって生じる歪み量を計測することで地盤変位の測定をするようにしたものがある。
しかしながら、このものでは高価な測定機器が必要であるうえ、実際に斜面崩壊が発生している最中又は発生した後の地盤変位を測定するものであって、該地盤変位の発生を予測するものではない。
これに対し、特許文献2に示されるように、地すべりや表層崩壊等の斜面崩壊による地盤変位が発生する惧れのある地区の地下水中に含まれるナトリウムイオンや硫酸イオン等の特定イオンのイオン濃度を定期的に測定し、この測定値が急激に上昇した場合には、これを地すべりや表層崩壊等の斜面崩壊による地盤変位が発生する前兆であると予測するものがある。
このものは、風化の進行等により土粒子が微細化すると、地盤内の応力に変化が生じてすべり面が発生し、このすべり面が成長することによってさらにすべり面近傍の土粒子が微細化していくという現象を捉え、このように微細化した土粒子表面を通過した地下水は、摺動力を受けていない比較的大きな土粒子表面を通過した地下水に比べてイオン濃度が高くなることに着目したもので、すべり面を通過した水分子が流入する地下水のイオン濃度を継続的に測定し、イオン濃度が上昇すれば地下水が通過してきた地盤のどこかにすべり面が発生したと観測して、すべり面が発生したことによって地盤変位が起こる可能性が高いと予測するものである。
そこですべり面が発生したとして、すべり面の発生から地盤変位の発生に至るまでのプロセスには他にどのような要因が存在するのか、その要因がすべり面の発生から実際の地盤変位の発生までにどのように関わっているのか、このような要因を突き止め、その要因と地盤変位発生との関わりを解明し、これによってより正確な地盤変位の発生を予測できる手法を見出すことに本発明の解決すべき課題がある。
請求項2の発明は、地すべりや表層崩壊等の斜面崩壊による地盤変位が発生するとされる地区の地下水中に存在する特定イオンのイオン濃度を継続的に測定し、該特定イオンのイオン濃度が急激に上昇する変化があった場合、地すべりや表層崩壊等の斜面崩壊による地盤変位が発生する可能性があると予測する予測装置において、前記イオン濃度の急上昇があった場合に、該急上昇する前に観測された平均のイオン濃度に対する上昇倍率を算出する上昇倍率算出手段と、該上昇倍率が予め設定される第一設定倍率よりも高い場合には、該イオン濃度の急上昇後の降水の如何に拘らず地盤変位の発生する可能性が高いと予測する一方、前記第一設定倍率よりも低い倍率を第二設定倍率として登録し、イオン濃度の上昇倍率が第一設定倍率と第二設定倍率のあいだである場合には、該イオン濃度が急上昇してピーク濃度の最高値が観測された日から所定の期間に至るまでのあいだに、積算降水量が、予め設定される設定積算降水量に達した場合には地盤変位の発生する可能性が高いと予測し、達しない場合には地盤変位の発生する可能性が低いと予測し、第二設定倍率よりも低い場合には、イオン濃度の急上昇後の降水の如何に拘らず地盤変位の発生する可能性は低いと予測するように設定された予測手段とを備えていることを特徴とする地盤変位の予測装置。
雨水を構成しているのは水であるが、水分子は、一般に強い極性を示すことから、土粒子表面のイオン交換基(例えばシラノール基で、ケイ素原子に結合している水酸基)とのあいだでイオン交換をおこなうことが一般に知られている。このため地盤に浸透していった雨水はイオン交換がなされることによって前記バックグラウンド濃度よりも高いイオン濃度となる。このイオン濃度をベースライン濃度とする。
前述のすべり面が発生している周辺では、摩擦や部分的な破壊によって土粒子が微細化した状態となっており、土粒子全体としての有効表面積が大きくなっているため、すべり面発生箇所を通過した地下水はピーク濃度となる。
(1)イオン濃度の上昇率がかなり高い場合
この場合は、イオン濃度の上昇率が高いことから地盤に発生したすべり面の規模がかなり大きいと推察されるものであって、上昇率の変化があった後、2〜3箇月までのあいだに地盤変位が発生する可能性が高いことが確認され、このような場合には、多量の降水や長く続く降水といった降水量に関する要因がなくとも単独で地盤変位を引き起こす程にすべり面の規模が大きいものであったと推察される。
(2)イオン濃度の上昇率が(1)の場合ほど高くはないが、上昇以前のイオン濃度と比較すると高い上昇率でイオン濃度が上昇している場合
この場合は、イオン濃度の上昇率が(1)ほどではないがそれなりの上昇をしていることから中規模のすべり面が発生していると推察され、この場合はこのイオン濃度の上昇後に多量の降水や長く続く降水等の一定の降水量が観測された場合には、数箇月のあいだに地盤変位が発生する可能性が高いことが確認され、このような場合には、すべり面の発生と降水量が直接の要因となって地盤変位が引き起こされるものと推察される。
(3)イオン濃度の上昇率が(2)よりも低い場合
この場合は、イオン濃度の上昇率が低いが故に、すべり面の発生が小さいものと推察され、その後、多量の降水や長く続く降水があっても地盤変位が発生する可能性が低いことが確認された。
以下にある一つの場所での観測事例について説明するが、実際の観測事例は複数あり、何れの場合も略同様の現象が観測されている。
この地区の表層地盤は風化を強く受けた泥岩であって、過去に幾度かの地すべりが繰り返し発生している。
観測対象地である地すべり発生地に近接した2箇所に傾斜計孔を掘削し、該傾斜計孔の最奥部に設置した各傾斜計a、bによって地盤変位の変位量を計測している。傾斜計aは深さ7mの位置に設置されており、傾斜計bは深さ3mの位置に設置されている。
また、2つの傾斜計孔のうち、山裾側の傾斜計孔内に貯留されている地下水を分析用試料として採取している。採取量は地下水100mL(ミリリットル)であり、2週間毎に採取してポリエチレンびんに入れ、分析を行った。分析は、イオンクロマトグラフィー/電気伝導率検出法を用い、前記採取した地下水中のナトリウムイオン(Na+)およびカルシウムイオン(Ca2+)の濃度を定量した。図5には、これら定量したイオン濃度値と、前記傾斜計a、bに表れた地盤変位との関係も示されている。
(A)観測初年度の1月から3月にイオン濃度が100mg/Lを超える急上昇をしてピーク濃度を示し、3月25日にはピーク濃度の最高値が観測された。そこでこのピーク濃度の最高値を観測した3月25日を降水量の積算開始日として降水量を積算していくと、3箇月後の6月25日に積算降水量が400mmを超えた。しかしながら該イオン濃度の急上昇日から次にイオン濃度が急上昇する日までのあいだに大きな地盤の変位は発生しなかった。
(B)観測初年度の7月から8月にかけてイオン濃度が100mg/Lを超える急上昇をしてピーク濃度を示し、8月10日にはピーク濃度の最高値が観測された。このピーク濃度の最高値を観測した8月10日を降水量の積算開始日として降水量を積算していくと、3箇月に至る前の9月5日に積算降水量が400mmを超えた。そして9月7日に約3mmの地盤の変位を観測した。
(C)観測開始1年後の5月から7月にかけてイオン濃度が200mg/Lを超える急上昇をしてピーク濃度を示し、6月3日にはピーク濃度の最高値が観測された。このピーク濃度の最高値を観測した6月3日を降水量の積算開始日として降水量を積算していくと、3箇月に至る前の7月10日に積算降水量が400mmを超えた。そして7月15日に約5mmの地盤の変位を観測し、さらに9月19日に約2mmの地盤の変位を観測した。
(D)観測開始2年後の6月から7月にかけてイオン濃度が200mg/Lを超える急上昇をしてピーク濃度を示し、7月29日にはピーク濃度の最高値が観測された。このピーク濃度の最高値を観測した7月29日を降水量の積算開始日として降水量を積算していくと、3箇月に至る前の8月27日に積算降水量が400mmを超えた。そして8月30日に約2mmの地盤の変位を観測し、さらに9月15日に約4mmの地盤の変位を観測した。
(E)観測開始2年後の9月と11月の2回にわたってイオン濃度が200mg/Lを超える急上昇をしてピーク濃度を示し、9月23日にはピーク濃度の最高値が観測された。このピーク濃度の最高値を観測した9月23日を降水量の積算開始日として降水量を積算していくと、3箇月後の12月23日になったときの積算降水量は約170mmであった。そして該イオン濃度の急上昇から次にイオン濃度が急上昇するまでの間に大きな地盤の変位は発生しなかった。
(F)観測開始3年後の6月から7月にかけてイオン濃度が400mg/Lを超える急上昇をしてピーク濃度を示し、7月4日にはピーク濃度の最高値が観測された。このピーク濃度の最高値を観測した7月4日を降水量の積算開始日として降水量を積算していくと、3箇月後の10月4日に積算降水量が漸く400mmを超えたが、それ以前の8月25日には12mmの大きな地盤変位を観測した。
(i) (F)の現象では、急上昇したイオン濃度の値は、該イオン濃度が急上昇する前2箇月間のイオン濃度の平均値の約8倍に上昇している。この場合、イオン濃度がピーク濃度の最高値を観測した日を降水量の積算開始日とし、積算降水量が400mmを超す3箇月後よりも前の8月25日に12mmの大きな地盤変位量が観測されており、このことから、イオン濃度が(F)のように大きく急上昇した場合には、その後の降水の如何に拘らず地盤変位が発生する可能性が高いといえる。
(ii) (B)、(C)、(D)の現象では、急上昇したイオン濃度の値は、該該イオン濃度が急上昇する前2箇月間に観測されたイオン濃度の平均値の約2倍と4倍のあいだとなっている。そして、ピーク濃度の最高値が観測された日から3箇月に至るまでのあいだに積算降水量が400mmを超えた場合には、その後、地盤変位が発生している。このことから急上昇が観測されたイオン濃度値が、イオン濃度の急上昇が観測される前2箇月間のイオン濃度の平均値の2倍〜4倍程度であった場合は、該イオン濃度のピーク濃度の最高値が観測された日から降水量の積算を開始していった場合に、3箇月に至るまでのあいだに積算降水量が400mmに達すると、地盤変位が発生する可能性が高いといえる。
尚、前記イオン濃度の急上昇が観測される前2箇月間のイオン濃度の平均値の2倍〜4倍程度であった場合において、イオン濃度のピーク濃度の最高値が観測された日から降水量の積算を開始していった場合に、3箇月に至るまでのあいだの積算降水量が400mmを超えなかった場合については、図面には記載されていないが、地盤変位の発生がなかったことが別途時期の観測で確認されており、この場合には地盤変位の発生の可能性が低いといえる。
(iii) (A)、(E)の現象では、急上昇したイオン濃度の値そのものは200mg/L以上となっているが、該上昇する前の2箇月間に観測されたイオン濃度の平均値と比較すると2倍にまで至っておらず、イオン濃度の上昇倍率は低いといえる。そして、(E)の場合、イオン濃度の最高値が観測されてから3箇月までのあいだに積算降水量が400mmを超える降水および地盤の変位については何れも観測されなかった。これに対し、(A)の場合、イオン濃度の最高値が観測されてから3箇月に至る以前に積算降水量が400mmを超えたにも拘わらず、その後にイオン濃度の急上昇が観測されるまで地盤の変位は観測されなかった。このことから急上昇したイオン濃度の値が、該急上昇する前の2箇月間に観測されたイオン濃度の平均値の2倍よりも低い場合には、その後の降水の如何に拘らず地盤変位の発生の可能性は低いといえる。
(i)イオン濃度が急上昇した場合、該急上昇したイオン濃度の急上昇する前2箇月間に観測されたイオン濃度の平均値に対する上昇倍率を算出し、該上昇倍率が4倍以上の場合は、降水の如何に拘らず地盤変位の発生する可能性が高い。尚、ここで上昇倍率4倍を基準倍率として設定したが、これを第一設定倍率とする。
(ii)イオン濃度が急上昇した場合、該急上昇したイオン濃度の急上昇する前2箇月間に観測されたイオン濃度の平均値に対する上昇倍率を算出し、該上昇倍率が2倍以上4倍未満の場合は、イオン濃度の最高値が観測された日から3箇月に至るまでのあいだに積算降水量が400mmを超えたら地盤変位の発生する可能性が高い。
(iii)イオン濃度が急上昇した場合、該急上昇したイオン濃度の急上昇する前2箇月間に観測されたイオン濃度の平均値に対する上昇倍率を算出し、該上昇倍率が2倍以上4倍未満の場合は、イオン濃度の最高値が観測された日から3箇月に至るまでのあいだに積算降水量が400mmを超えなかったら地盤変位の発生する可能性は低い。
(iv)イオン濃度が急上昇した場合、該急上昇したイオン濃度の急上昇する前2箇月間に観測されたイオン濃度の平均値に対する上昇倍率を算出し、該上昇倍率が2倍未満の場合は降水の如何に拘らず地盤変位の発生する可能性は低い。
(i)の場合は、イオン濃度の急上昇の上昇倍率が第一設定倍率である4倍よりも高い場合であり、それだけ大規模なすべり面が発生したことを示すものであって、イオン濃度急上昇後の降水の如何に拘らず地盤変位が発生する可能性は高いと推定される。
(ii)および(iii)の場合は、イオン濃度の急上昇の上昇倍率が第一設定倍率である4倍よりも低く第二設定倍率である2倍よりも高い場合であり、イオン濃度急上昇後の積算降水量によって地盤変位の発生可能性の有無が分かれると推定される。
(iv)の場合は、イオン濃度の急上昇の上昇倍率が第二設定倍率である2倍よりも低い場合であって、この程度のイオン濃度の上昇では地盤の変位を発生させるほどのすべり面が発生していないと推測され、イオン濃度急上昇後の降水の如何に拘らず地盤変位が発生する可能性は低いと推定される。
そして第一、第二設定倍率を設定するにあたり、イオン濃度が急上昇する前2箇月間のイオン濃度の平均値を基準にして算出したが、これに限定されるものではなく、例えば、イオン濃度が急上昇する前の1箇月間のイオン濃度の平均値や、前回のイオン濃度の急上昇が治まってから今回のイオン濃度の急上昇が始まる前までのイオン濃度の平均値等、観測地域の実情に応じて適宜設定できるものである。
さらに前記実施の形態では、第一設定倍率を4倍、第二設定倍率を2倍に設定し、第一設定倍率未満第二設定倍率以上のイオン濃度の場合の地盤変位発生予測基準を、ピーク濃度の最高値が観測されたときから3箇月の間に積算降水量が400mmに達することとしたが、これに限定されるものではないことは勿論であって、これらの数値は、観測地域の環境等によって大きく左右されるものであり、このためこれらの数値については当該観測地域において実際に観測をして求める必要がある。
また第一設定倍率は、第二設定倍率よりも高いものであれば、他の倍率を選択して実施してもよい。そして、設定倍率は第一設定倍率だけでもよいが、その場合は、第一設定倍率以上であれば所定期間の降水を考慮することなく地盤変位発生の可能性を予測し、第一設定倍率未満(以下)であればイオン濃度急上昇後のピーク濃度の最高値から所定期間に至るまでのあいだの積算降水量を観測してこの観測結果を基に地盤変位発生の可能性を予測するよう構成してもよい。
そして次に、予測手順について、図8に示す制御フローに基づいて説明する。まずステップ1(S1)で、既に求められているイオン濃度の上昇倍率である第一、第二設定倍率N1、N2、イオン濃度が急上昇してピーク濃度の最高値が観測された日からカウントする所定期間T、この所定期間Tに至るまでのあいだの積算降水量として設定される設定積算降水量Mが初期設定として入力される。次に、ステップ2(S2)で、前記入力した地下水のイオン濃度の本日(n日)の測定値Xnから2箇月前までのイオン濃度の平均値Xaを算出し、ステップ3(S3)で、該平均値Xaに対する本日の測定値Xnの上昇倍率Uを算出する。次にステップ4(S4)で、ステップ3で算出された上昇倍率Uが第二設定倍率(本実施の形態では2倍)N2を超えた(N2<U)かを判別し、超えたと判別された場合、ステップ5(S5)において、ステップ3で登録された上昇倍率Uが第一設定倍率(本実施の形態では4倍)N1以上(U≧N1)か否かを判別し、以上であると判別された場合には、近々、地盤変位が発生する可能性が大きいと予測し、これを報知する。
これに対し、上昇倍率Uが第一設定倍率N1を超えていない(U<N1)と判断された場合には、ステップ6(S6)において、イオン濃度のピーク濃度最高値が観測された日から3箇月に至るまでのあいだ降水量を積算していく。そしてステップ7(S7)において、ステップ6で積算された積算降水量が、積算開始日から3箇月以内にステップ1で入力された設定積算降水量Mに達したか否かを判断し、達したと判断された場合には、近々、地盤変位が発生する可能性が大きいと予測し、これを報知する。
一方、積算開始日から3箇月を経過しても積算降水量が設定積算降水量Mに達しない場合には、ステップ8(S8)で3箇月間の積算降水量をリセットし、リターンする。
尚、ここで入力される第一、第二設定倍率N1、N2や設定積算降水量M或いは所定期間Tの数値は前述したように本発明の実施の形態に限定されるものではなく、観測対象地の状況に応じて適宜変更し得るものである。
4 地盤
Claims (2)
- 地すべりや表層崩壊等の斜面崩壊による地盤変位が発生するとされる地区の地下水中に存在する特定イオンのイオン濃度を継続的に測定し、該特定イオンのイオン濃度が急激に上昇する変化があった場合、地すべりや表層崩壊等の斜面崩壊による地盤変位が発生する可能性があると予測する予測方法において、
前記イオン濃度の急上昇があった場合に、該急上昇する前に観測された平均のイオン濃度に対する上昇倍率を算出し、
該上昇倍率が予め設定される第一設定倍率よりも高い場合には、該イオン濃度の急上昇後の降水の如何に拘らず地盤変位の発生する可能性が高いと予測し、
前記第一設定倍率よりも低い倍率を第二設定倍率として設定し、イオン濃度の上昇倍率が第一設定倍率と第二設定倍率のあいだである場合、該イオン濃度が急上昇してピーク濃度の最高値が観測された日から所定の期間に至るまでのあいだに、積算降水量が、予め設定される設定積算降水量に達した場合には地盤変位の発生する可能性が高いと予測し、達しない場合には地盤変位の発生する可能性が低いと予測し、第二設定倍率よりも低い場合には、イオン濃度の急上昇後の降水の如何に拘らず地盤変位の発生する可能性は低いと予測するようにしたことを特徴とする地盤変位の予測方法。 - 地すべりや表層崩壊等の斜面崩壊による地盤変位が発生するとされる地区の地下水中に存在する特定イオンのイオン濃度を継続的に測定し、該特定イオンのイオン濃度が急激に上昇する変化があった場合、地すべりや表層崩壊等の斜面崩壊による地盤変位が発生する可能性があると予測する予測装置において、
前記イオン濃度の急上昇があった場合に、該急上昇する前に観測された平均のイオン濃度に対する上昇倍率を算出する上昇倍率算出手段と、
該上昇倍率が予め設定される第一設定倍率よりも高い場合には、該イオン濃度の急上昇後の降水の如何に拘らず地盤変位の発生する可能性が高いと予測する一方、
前記第一設定倍率よりも低い倍率を第二設定倍率として登録し、イオン濃度の上昇倍率が第一設定倍率と第二設定倍率のあいだである場合には、該イオン濃度が急上昇してピーク濃度の最高値が観測された日から所定の期間に至るまでのあいだに、積算降水量が、予め設定される設定積算降水量に達した場合には地盤変位の発生する可能性が高いと予測し、達しない場合には地盤変位の発生する可能性が低いと予測し、第二設定倍率よりも低い場合には、イオン濃度の急上昇後の降水の如何に拘らず地盤変位の発生する可能性は低いと予測するように設定された予測手段とを備えていることを特徴とする地盤変位の予測装置。
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