以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じて通信端末20A、20Bおよび20Cのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、通信端末20A、20Bおよび20Cを特に区別する必要が無い場合には、単に通信端末20と称する。
また、以下に示す項目順序に従って当該「発明を実施するための形態」を説明する。
1.通信システムの基本構成
(各リンクへのリソース割当て例)
(無線フレームのフォーマット例)
(接続処理シーケンス)
(MBSFN)
(各セルにおける周波数割当て例)
2.通信システムの具体的構成
2−1.通信端末の構成
2−2.中継装置の構成
2−3.基地局の構成
3.制御範囲A:管理サーバの中央制御
4.制御範囲BおよびC:中継装置の自律制御
5.本発明の他の適用例
6.まとめ
<1.通信システムの基本構成>
まず、図1〜図8を参照し、本発明の一実施形態による通信システム1の基本構成を説明する。図1は、本発明の一実施形態による通信システム1の構成を示した説明図である。図1に示したように、本発明の実施形態による通信システム1は、基地局10Aおよび10Bと、バックボーンネットワーク12と、通信端末20A、20B、および20Xと、中継装置30Aおよび30Bと、を備える。
基地局10は、基地局10が形成するセル内に存在する中継装置30および通信端末20との通信を管理する。例えば、基地局10Aは、セル内に存在する通信端末20Xと通信するためのスケジューリング情報を管理し、このスケジューリング情報に従って通信端末20Xと通信する。また、基地局10Aは、セル内に存在する中継装置30Aと通信するためのスケジューリング情報、および中継装置30Aと通信端末20Aが通信するためのスケジューリング情報を管理する。
なお、スケジューリング情報の管理は、基地局10と中継装置30が協働して行っても、基地局10と中継装置30と通信端末20とが協働して行っても、中継装置30が行ってもよい。
中継装置30は、基地局10と通信端末20との通信を、基地局10が管理するスケジューリング情報に従って中継する。具体的には、中継装置30は、ダウンリンクにおいて、基地局10から送信された信号を受信して、増幅した信号を、スケジューリング情報に従った周波数―時間を利用して通信端末20に送信する。中継装置30は、このような中継を行うことにより、基地局10からセルエッジ付近の通信端末20に対して信号を直接送信する場合よりも、信号対雑音比を高くすることが可能である。
同様に、中継装置30は、アップリンクにおいても、通信端末20から送信された信号を基地局10が管理するスケジューリング情報に従って基地局10へ中継することにより、信号対雑音比を高く保つことができる。なお、図1においては、基地局10Aが形成するセルに中継装置30Aのみが存在する例を示しているが、基地局10Aが形成するセルに複数の中継装置30が存在してもよい。
このような中継装置30の種類として、Type1およびType2が提案されている。Type1の中継装置30は、個別のセルIDを有し、独自のセルを運用することが認められる。したがって、Type1の中継装置30は、通信端末20からは基地局10であると認識されるように動作することになる。しかし、Type1の中継装置30は完全に自律的に動作するわけでなく、中継装置30は、基地局10から割り当てられるリソースの範囲内でリレー通信を行う。
一方、Type2の中継装置30は、Type1と異なり、個別のセルIDを有さず、
基地局10と通信端末20間の直接通信を補助する。例えば、Cooperative relayやNetwork codingを用いたリレー伝送技術が検討されている。以下、表1に、検討中のType1とType2の特性を示す。
通信端末20は、上述したように、基地局10と直接、または中継装置30を介して、基地局10により管理されるスケジューリング情報に従って通信する。なお、通信端末20が送受信するデータとしては、音声データや、音楽、講演およびラジオ番組などの音楽データや、写真、文書、絵画、図表などの静止画データや、映画、テレビジョン番組、ビデオプログラム、ゲーム画像などの動画データなどが挙げられる。また、通信端末20は、携帯電話、およびPC(Personal computer)などの無線通信機能を備えた情報処理装置であってもよい。
管理サーバ16は、バックボーンネットワーク12を介して各基地局10と接続されている。この管理サーバ16は、MME(Mobile Management Entity)としての機能を有する。また、この管理サーバ16は、Serving Gatewayとしての機能を有してもよい。管理サーバ16は、各基地局10が形成するセルの状態を示す管理情報を各基地局10から受信し、この管理情報に基づいて各基地局10が形成するセルにおける通信を制御する。なお、管理サーバ16の機能は、複数の物理的に分離された構成に分散して実装されてもよい。
(各リンクへのリソース割当て例)
ここで、各リンクへのリソース割当てについて説明する。なお、以下では、基地局10と中継装置30の間の通信経路をリレーリンクと称し、中継装置30と通信端末20の間の通信経路をアクセスリンクと称し、基地局10と通信端末20の間の直接的な通信経路をダイレクトリンクと称する。また、基地局10へ向かう通信経路をUL(アップリンク)と称し、通信端末20へ向かう通信経路をDL(ダウンリンク)と称する。なお、各リンクにおける通信は、OFDMAに基づいて行われる。
中継装置30は、リレーリンクおよびアクセスリンク間の干渉を防止するために、リレーリンクおよびアクセスリンクを周波数または時間で分離する。例えば、中継装置30は、同一方向のリレーリンクおよびアクセスリンクを、共通の周波数を用いてTDD(Time Division Duplexing)により分離してもよい。
図2は、ULとDLとで同一の周波数を利用する場合のリソース割当て例を示した説明図である。図2に示したように、1の無線フレームは、サブフレーム0〜サブフレーム9により構成される。また、図2に示した例では、中継装置30は、基地局10からの指示に従い、サブフレーム8および9をアクセスリンクのDLのためのリソースとして認識し、基地局10から送信された信号をサブフレーム8および9において通信端末20に中継する。
なお、サブフレーム0とサブフレーム5には、ダウンリンクの同期用信号であるPSC(Primary Synchronization Channel)およびSSC(Secondary Synchronization Channel)や、PBCH(Physical Broadcast CHannel)が割り当てられる。また、サブフレーム1および6にはページングチャネルが割り当てられる。
図3は、ULとDLとで異なる周波数を利用する場合のリソース割当て例を示した説明図である。図3に示したように、周波数f0がDLのために利用され、周波数f1がULのために利用される。また、図3に示した例では、中継装置30は、基地局10からの指示に従い、周波数f0のサブフレーム6−8をアクセスリンクのDLのためのリソースとして認識し、基地局10から送信された信号を周波数f0のサブフレーム6−8を利用して通信端末20に中継する。
なお、周波数f0(DL用)のサブフレーム0とサブフレーム5には、ダウンリンクの同期用信号であるPSCおよびSSCが割り当てられ、サブフレーム4とサブフレーム9にはページングチャネルが割り当てられる。
(無線フレームのフォーマット例)
次に、図4および図5を参照し、DL無線フレームおよびUL無線フレームの詳細なフレームフォーマット例を説明する。
図4は、DL無線フレームのフォーマット例を示した説明図である。DL無線フレームは、サブフレーム0〜9で構成され、各サブフレームは2の0.5msスロットで構成され、各0.5msスロットは7OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボルで構成される。
図4に示したように、各サブフレームの先頭の1〜3OFDMシンボルには、PCFICH(Physical Control Format Indicator CHannel)、PHICH(Physical Hybrid ARQ Indicator CHannel)、およびPDCCH(Physical Downlink Control CHannel)などの制御用チャネルが配置される。
なお、上記の各チャネルは、一例として以下に示す情報を含む。
PCFICH:レイヤ1、レイヤ2に関するPDCCHのシンボル数
PHICH :PUSCHに対するACK/NACK
PDCCH :下りリンク制御情報。PDSCH/PUSCHのスケジューリング
情報(変調法、符号化率などのフォーマット)
また、リソース割り当ての最小単位である1リソースブロック(1RB)は、図4に示したように、6または7OFDMシンボル、および12サブキャリアにより構成される。このリソースブロックの一部に復調用リファレンス(リファレンス信号)が配置される。
また、サブフレーム0および5にはSSC、PBCHおよびPSCが配置される。また、図4に示した無線フレームにおける空き部分がPDSCH(Pysical Downlink Shared CHannel)として利用される。
図5は、UL無線フレームのフォーマット例を示した説明図である。UL無線フレームは、DL無線フレームと同様に、サブフレーム0〜9で構成され、各サブフレームは2の0.5msスロットで構成され、各0.5msスロットは7OFDMシンボルで構成される。
図5に示したように、0.5msスロットの各々には復調用リファレンス(リファレンス信号)が配置され、CQI測定リファレンスが分散して配置される。受信側の基地局10または中継装置30は、復調用リファレンスを用いてチャネル推定を行い、チャネル推定結果に従って受信信号を復調する。また、受信側の基地局10または中継装置30は、CQI測定リファレンスを測定することにより、送信側の中継装置30または通信端末20との間のCQIを取得する。
また、図5に示した無線フレームにおける空き部分がPUSCH(Pysical Uplink Shared CHannel)として利用される。なお、CQIレポートを要求されると、通信端末20または中継装置30は、PUSCHを利用してCQIレポートを送信する。
(接続処理シーケンス)
続いて、図6を参照し、中継装置30または通信端末20と、基地局10との間の接続処理シーケンスを説明する。
図6は、接続処理シーケンスを示した説明図である。図6に示したように、まず、中継装置30または通信端末20が基地局10にRACH(Random Access CHannel) preambleを送信する(S62)。基地局10は、RACH preambleを受信すると、TA(Timing Advance)情報を取得し、TA情報を割当てリソース情報と共に中継装置30または通信端末20へ送信する(S64)。例えば、基地局10は、RACH preambleの送信タイミングを把握できる場合、送信タイミングと、RACH preambleの受信タイミングの差分をTA情報として取得してもよい。
その後、中継装置30または通信端末20は、割当てリソース情報の示すリソースを利用して基地局10にRRC接続要求(RRC connection request)を送信する(S66)。基地局10は、RRC接続要求を受信した場合、RRC接続要求の送信元を示すRRC connection resolutionを送信する(S68)。これにより、中継装置30または通信端末20は、基地局10がRRC接続要求を受信したか否かを確認することができる。
続いて、基地局10は、MMEとしての機能を有する管理サーバ16に、中継装置30または通信端末20がサービス要求していることを示すConnection requestを送信する(S70)。管理サーバ16は、Connection requestを受信すると、中継装置30または通信端末20に設定するための情報をConnection setupにより送信する(S72)。
そして、基地局10が、管理サーバ16からのConnection setupに基づいてRRC connection setupを中継装置30または通信端末20に送信し(S74)、中継装置30または通信端末20が接続設定を行う。その後、中継装置30または通信端末20が、接続設定が完了したことを示すRRC connection completeを基地局10に送信する(S76)。
これにより、中継装置30または通信端末20と、基地局10との間の接続が完了し、通信可能な状態となる。なお、上記の接続処理シーケンスは一例に過ぎず、中継装置30または通信端末20と基地局10とは、他のシーケンスにより接続されてもよい。
(MBSFN)
次に、基地局10が行うMBSFN(Multi−media Broadcasting Single Frequency Network)送信、およびMBSFN送信に対する中継装置30の動作例を説明する。
MBSFNは、複数の基地局10が、同じ周波数で、データを同時にBroadcast送信するモードである。したがって、MBSFNによれば、仮想的に基地局として動作するType1の中継装置30は、基地局10と同じ周波数を用いてDL用の制御チャネルなどを送信する。以下、図7を参照し、具体的なMBSFN送受信処理の流れを説明する。
図7は、MBSFN送受信処理の具体例を示した説明図である。まず、図7に示したように、基地局10と中継装置30が同時にPDCCHを送信する。ここで、基地局10は、PDCCHの後に、通信端末20に対するPDSCHに加え、中継を制御するためのR−PDCCHを送信する。このR−PDCCHの後に、中継装置30に対するPDSCH(中継対象のデータ)が送信される。なお、中継装置30に対するPDSCHの後には無送信区間が設けられる。
中継装置30は、PDCCHを送信した後、受信処理への切り替え区間を経て、基地局10からのPDSCH(中継対象のデータ)を受信する。中継装置30は、その後、基地局10からのPDSCH(中継対象のデータ)の後に設けられた無送信区間において受信処理を送信処理へ切り替える。さらに、中継装置30は、次のステップで、デコードしたPDSCH(中継対象のデータ)に、PDCCHを付加し、通信端末20に中継送信する。
これにより、中継装置30の存在を前提としない既存の通信端末も、混乱することなく中継装置30による中継を享受することができる。
(各セルにおける周波数割当て例)
続いて、複数のセルが隣接する場合の各セルにおける周波数の割り当て例を説明する。
図8は、各セルにおける周波数の割り当て例を示した説明図である。各セルが3セクタで構成される場合、周波数f1〜f3を各セクタに図8に示したように割当てることにより、セル境界における周波数の干渉を抑制することができる。このような割り当ては、トラフィックの高い人口密集エリアにおいて特に有効である。
なお、LTE−Aにおいては、End to Endでの高スループットを実現するために、Spectrum aggregation、ネットワークMIMO、UplinkマルチユーザMIMO、およびリレー技術など様々な新規技術の検討がされている。このため、高スループットの新規モバイルアプリケーションの出現により、郊外部でも周波数リソースの枯渇が問題となる可能性もある。また、LTE−Aの導入に際し、インフラ配備を低コストに実現する目的で、中継装置30の導入が活発化する可能性も高い。
<2.通信システムの具体的構成>
以上、図1〜図8を参照し、本実施形態による通信システム1の基本構成を説明した。続いて、図9〜図11を参照し、本実施形態による通信システム1の具体的構成を説明する。
(2−1.通信端末の構成)
図9は、通信端末20の構成を示した機能ブロック図である。図9に示したように、通信端末20は、複数のアンテナ220a〜220nと、アナログ処理部224と、AD・DA変換部228と、デジタル処理部230と、を備える。
複数のアンテナ220a〜220nの各々は、基地局10または中継装置30から無線信号を受信して電気的な高周波信号を取得し、高周波信号をアナログ処理部224へ供給する。また、複数のアンテナ220a〜220nの各々は、アナログ処理部224から供給される高周波信号に基づいて基地局10または中継装置30に無線信号を送信する。通信端末20は、このように複数のアンテナ220a〜220nを備えるため、MIMO(Multiple Input Multiple Output)通信やダイバーシティ通信を行うことが可能である。
アナログ処理部224は、増幅、フィルタリング、およびダウンコンバージョンなどのアナログ処理を行うことにより、複数のアンテナ220a〜220nから供給される高周波信号をベースバンド信号に変換する。また、アナログ処理部224は、AD・DA変換部228から供給されるベースバンド信号を高周波信号に変換する。
AD・DA変換部228は、アナログ処理部224から供給されるアナログ形式のベースバンド信号をデジタル形式に変換し、デジタル処理部230に供給する。また、AD・DA変換部228は、デジタル処理部230から供給されるデジタル形式のベースバンド信号をアナログ形式に変換し、アナログ処理部224に供給する。
デジタル処理部230は、同期部232と、デコーダ234と、エンコーダ240と、制御部242と、を備える。このうち、同期部232、デコーダ234、およびエンコーダ240などは、複数のアンテナ220a〜220n、アナログ処理部224、およびAD・DA変換部228と共に、基地局10や中継装置30と通信するための通信部として機能する。
同期部232は、基地局10や中継装置30から送信されたPSCやSSCなどの同期用信号がAD・DA変換部228から供給され、この同期用信号に基づいて無線フレームの同期処理を行う。具体的には、同期部232は、同期用信号と既知のシーケンスパターンとの相関を演算し、相関のピーク位置を検出することにより無線フレームの同期をとる。
デコーダ234は、AD・DA変換部228から供給されるベースバンド信号をデコードして受信データを得る。なお、上記デコードは、例えばMIMO受信処理およびOFDM復調処理を含んでもよい。
エンコーダ240は、PUSCHなどの送信データをエンコードし、AD・DA変換部228に供給する。なお、エンコードは、例えばMIMO送信処理およびOFDM変調処理を含んでもよい。
制御部242は、送信処理、受信処理、および中継装置30や基地局10との接続処理など、通信端末20における動作全般を制御する。例えば、通信端末20は、制御部242による制御に基づき、基地局10により割り当てられたリソースブロックを利用して送信処理および受信処理を行う。なお、制御部242は、基地局10または中継装置30から指定された送信パラメータに従って送信処理を制御する。例えば、基地局10がPDCCHにより通信端末20のTPC(Transmit Power Control)パラメータを指定した場合、制御部242は、基地局10により指定されたTPCパラメータに従って送信処理を制御する。
また、基地局10または中継装置30がPDCCHにより通信端末20に対してCQIレポートを要求した場合、デジタル処理部230は、基地局10または中継装置30から送信される復調用リファレンスを用いてチャネル品質(例えば、受信電力)を測定する。制御部242は、上記測定結果に基づいてCQIレポートを生成し、生成したCQIレポートをエンコーダ240に供給する。その結果、CQIレポートが基地局10または中継装置30へPUSCHを利用して送信される。
(2−2.中継装置の構成)
次に、図10を参照し、中継装置30の構成を説明する。
図10は、中継装置30の構成を示した機能ブロック図である。図10に示したように、中継装置30は、複数のアンテナ320a〜320nと、アナログ処理部324と、AD・DA変換部328と、デジタル処理部330と、を備える。
複数のアンテナ320a〜320nの各々は、基地局10または通信端末20から無線信号を受信して電気的な高周波信号を取得し、高周波信号をアナログ処理部324へ供給する。また、複数のアンテナ320a〜320nの各々は、アナログ処理部324から供給される高周波信号に基づいて基地局10または通信端末20に無線信号を送信する。中継装置30は、このように複数のアンテナ320a〜320nを備えるため、MIMO通信やダイバーシティ通信を行うことが可能である。
アナログ処理部324は、増幅、フィルタリング、およびダウンコンバージョンなどのアナログ処理を行うことにより、複数のアンテナ320a〜320nから供給される高周波信号をベースバンド信号に変換する。また、アナログ処理部324は、AD・DA変換部328から供給されるベースバンド信号を高周波信号に変換する。
AD・DA変換部328は、アナログ処理部324から供給されるアナログ形式のベースバンド信号をデジタル形式に変換し、デジタル処理部330に供給する。また、AD・DA変換部328は、デジタル処理部330から供給されるデジタル形式のベースバンド信号をアナログ形式に変換し、アナログ処理部324に供給する。
デジタル処理部330は、同期部332と、デコーダ334と、バッファ338と、エンコーダ340と、制御部342と、を備える。このうち、同期部332、デコーダ334、およびエンコーダ340などは、複数のアンテナ320a〜320n、アナログ処理部324、およびAD・DA変換部328と共に、基地局10や通信端末20と通信するための受信部、送信部、および中継部として機能する。
同期部332は、基地局10から送信された同期用信号がAD・DA変換部328から供給され、この同期用信号に基づいて無線フレームの同期処理を行う。具体的には、同期部332は、同期用信号と既知のシーケンスパターンとの相関を演算し、相関のピーク位置を検出することにより無線フレームの同期をとる。
デコーダ334は、AD・DA変換部328から供給されるベースバンド信号をデコードして基地局10宛または通信端末20宛の中継データを得る。なお、デコードは、例えばMIMO受信処理、OFDM復調処理および誤り訂正処理などを含んでもよい。
バッファ338は、デコーダ334により得られた基地局10宛または通信端末20宛の中継データを一時的に保持する。そして、制御部342の制御により、アクセスリンクのDL用のリソースブロックにおいてバッファ338からエンコーダ340へ通信端末20宛の中継データが読み出される。同様に、制御部342の制御により、リレーリンクのUL用のリソースブロックにおいてバッファ338からエンコーダ340へ基地局10宛の中継データが読み出される。
エンコーダ340は、バッファ338から供給される中継データをエンコードし、AD・DA変換部328に供給する。なお、エンコードは、例えばMIMO送信処理およびOFDM変調処理を含んでもよい。
制御部342は、送信処理、受信処理、および基地局10や通信端末20との接続処理など、中継装置30における動作全般を制御する。例えば、中継装置30は、制御部342による制御に基づき、基地局10により割り当てられたリソースブロックを利用して送信処理および受信処理を行う。
また、この制御部342の制御可能な範囲は基地局10により選択される。具体的には、制御範囲A〜Cのうちのいずれかを基地局10が選択し、制御部342は、基地局10により選択された制御範囲にしたがって通信を制御する。基地局10による制御範囲の選択基準、および制御範囲A〜Cの内容の詳細については後述する。なお、本明細書においては、制御部342の制御範囲を基地局10が選択する例に重きをおいて説明するが、制御部342の制御範囲の選択は管理サーバ16が行ってもよい。
(2−3.基地局の構成)
図11は、基地局10の構成を示した機能ブロック図である。図11に示したように、基地局10は、複数のアンテナ120a〜120nと、アナログ処理部124と、AD・DA変換部128と、デジタル処理部130と、バックボーン通信部146と、を備える。
複数のアンテナ120a〜120nの各々は、中継装置30または通信端末20から無線信号を受信して電気的な高周波信号を取得し、高周波信号をアナログ処理部124へ供給する。また、複数のアンテナ120a〜120nの各々は、アナログ処理部124から供給される高周波信号に基づいて無線信号を中継装置30または通信端末20に送信する。基地局10は、このように複数のアンテナ120a〜120nを備えるため、MIMO通信やダイバーシティ通信を行うことが可能である。
アナログ処理部124は、増幅、フィルタリング、およびダウンコンバージョンなどのアナログ処理を行うことにより、複数のアンテナ120a〜120nから供給される高周波信号をベースバンド信号に変換する。また、アナログ処理部124は、AD・DA変換部128から供給されるベースバンド信号を高周波信号に変換する。
AD・DA変換部128は、アナログ処理部124から供給されるアナログ形式のベースバンド信号をデジタル形式に変換し、デジタル処理部130に供給する。また、AD・DA変換部128は、デジタル処理部130から供給されるデジタル形式のベースバンド信号をアナログ形式に変換し、アナログ処理部124に供給する。
デジタル処理部130は、デコーダ134と、エンコーダ140と、制御部142と、記憶部144と、制御範囲選択部148と、を備える。このうち、デコーダ134、およびエンコーダ140などは、複数のアンテナ120a〜120n、アナログ処理部124、およびAD・DA変換部128と共に、中継装置30や通信端末20と通信するための通信部として機能する。
デコーダ134は、AD・DA変換部128から供給されるベースバンド信号をデコードして受信データを得る。なお、デコードは、例えばMIMO受信処理、OFDM復調処理および誤り訂正処理などを含んでもよい。
エンコーダ140は、例えばPDSCHをエンコードし、AD・DA変換部128に供給する。なお、エンコードは、例えばMIMO送信処理およびOFDM変調処理を含んでもよい。
制御部142は、送信処理、受信処理、中継装置30や通信端末20の接続処理、スケジューリング情報の管理など、基地局10が形成するセルにおける通信全般を制御する。例えば、制御部142は、基地局10と中継装置30とのリレーリンク通信、および中継装置30と通信端末20とのアクセスリンク通信をスケジュールする。
また、制御部142は、基地局10が形成するセルの状態を示す管理情報を記憶部144に保持する。管理情報の一例を以下に示す。
(1)基地局10に属する各中継装置30および各通信端末20の位置に関する情報
(2)基地局10に属する各中継装置30および各通信端末20のID、Qos classおよびスケジューリング情報
(3)各ダイレクトリンク、各リレーリンク、および各アクセスリンクの通信品質情報(例えば、CQI情報、TPC情報、または双方)
(4)基地局10に属する各通信端末20の干渉許容レベル(例えば、各通信リンクに期待されるQosベースの所要SNIRと、実際の観測SINRとの差分)
なお、中継装置30の位置に関する情報は、GPSにより取得された位置情報、基地局10と中継装置30との距離を示すTA情報、または中継装置30の方向を示す情報を含んでもよい。中継装置30の方向は、中継装置30から送信された信号の到来方向を推定するアルゴリズムや、指向受信を行うことにより取得できる。同様に、通信端末20の位置に関する情報は、GPSにより取得された位置情報、通信端末20と中継装置30との距離を示すTA情報、または通信端末20の方向を示す情報を含んでもよい。
制御範囲選択部148は、基地局10に属する中継装置30に認める制御範囲を、複数の制御範囲から選択する。例えば、複数の制御範囲は、制御範囲A(第1の制御範囲)、制御範囲B(第2の制御範囲)、および制御範囲C(第3の制御範囲)を含む。以下、各制御範囲を簡単に説明した後に、制御範囲の選択基準を説明する。
制御範囲Aは、中継装置30による余分なリソースの「追加」が不要な制御(例えば、TPC、リソースの追加の必要のない範囲でのリンクアダプテーション)を含み、リソースの変更、設定が必要な制御を含まない。したがって、制御範囲Aが選択された場合、中継装置30は、基地局10により動作の大部分を制御される。
制御範囲Bは、リソースの追加の必要がある範囲でのリンクアダプテーション、中継装置30のハンドオーバー、および中継装置30に属する通信端末20のハンドオーバーを含む。また、制御範囲Cは、制御範囲Bに加え、基地局10から割り当てられた余剰リソースの範囲内での通信端末20への柔軟なリソーススケジューリングを含む。ここで、リソーススケジューリングとは、新規接続希望端末のリンク創出に必要な動作を示している。例えば、制御範囲Bの場合において、制御範囲Bに割り振られたリソース配分量では、ハンドオーバー要求や受け入れの動作が、十分に実現できないケースがある。その場合には、例えば、ハンドオーバー先にさらに余剰なリソースを割り振るか、中継装置30にさらに余剰なリソースを割り振り、制御範囲をCに変更するか、などを行ってもよい。
制御範囲選択部148は、上記のような制御範囲A〜Cのうちのいずれかを、基地局10が形成するセルにおけるトラフィック量に応じて選択する。例えば、制御範囲選択部148は、トラフィック量が所定範囲に含まれる場合には制御範囲Bを選択し、トラフィック量が所定範囲を上回る場合には制御範囲Aを選択し、トラフィック量が所定範囲を下回る場合には制御範囲Cを選択してもよい。
具体的には、制御範囲選択部148は、トラフィックが混んでおりリソースに空きがない場合には制御範囲Aを選択し、リソースの空きが3割以下である場合には制御範囲Bを選択し、リソースの空きが3割を上回る場合には制御範囲Cを選択してもよい。
なお、制御部142は、制御範囲Aが選択された場合、中継装置30には必要最低限のリソースを割り当てるが、通信端末20からのUL接続要求に対応するため、ULのリソースを優先的に確保しておく。
また、制御部142は、制御範囲Bが選択された場合、中継装置30にリソースを多めに割当てる。例えば、中継装置30が使用中のリソース量を「10」とすると、制御部142は、中継装置30に割当てるリソース量を「15」としてもよい。これにより、中継装置30が、新たなリソースを必要とするリンクアダプテーションを即時的に行うことが可能となる。
また、制御部142は、制御範囲Cが選択された場合、余剰リソースを、中継装置30に属する通信端末20の数に応じて中継装置30に割当てる。例えば、制御部142は、属する通信端末20の数が多い中継装置30ほど、余剰リソースを多く割り当ててもよい。より具体的には、例えば、余剰リソース量が「40」であり、中継装置30Aに1の通信端末20が属し、中継装置30Bに3の通信端末20が属する場合、制御部142は、中継装置30Aに割当てる余剰リソース量を「10」とし、中継装置30Bに割当てる余剰リソース量を「30」としてもよい。これにより、中継装置30は、割当てられたリソースの範囲内で自律的にリソーススケジューリングを行うことが可能となる。ここで、ある中継装置30に通信端末20からのアクセスが集中している場合、制御部142は、負荷分散のために、通信端末20を基地局10や他の中継装置30にハンドオーバーさせてもよい。
なお、上記では制御範囲選択部148がトラフィック量に応じて制御範囲を選択する例を説明したが、選択方法はこの例に限定されない。例えば、制御範囲選択部148は、基地局10の負荷、消費電力、通信端末20の数、中継装置30が屋外イベントのための一時的な設置であるか否か、他の基地局との関係など、多様な要素のいずれか、または組み合わせに基づいて動的に制御範囲を選択してもよい。
バックボーン通信部146は、バックボーンネットワーク12を介して管理サーバ16と通信する。例えば、バックボーン通信部146は、記憶部144に保持される上記(1)〜(4)に示した情報を管理サーバ16へ送信する。その際、上記(2)に関し、基地局10が他の基地局と非同期で動作している場合を考慮し、バックボーン通信部146は、基地局10と他の基地局間での同期のズレを検知するための基準カウンター情報をさらに送信してもよい。
以上説明したように、中継装置30は、基地局10により選択される制御範囲に従った制御を行う。このため、通信システムの全体の動作も、基地局10により選択される中継装置30の制御範囲に応じて変化する。そこで、以下では、制御範囲Aが選択された場合、および、制御範囲Bまたは制御範囲Cが選択された場合の干渉回避動作について詳細に説明する。
<3.制御範囲A:管理サーバの中央制御>
基地局10が制御範囲Aを選択した場合、中継装置30に自律的な動作はほとんど認められないので、干渉の有無の判断、および干渉回避制御の指示を管理サーバ16が行う。以下、このような管理サーバ16の構成を説明する。なお、本実施形態においては、以下の点を前提とする。
・中継装置30は、ダイレクトリンクを利用し、通信端末20と同様の手順で基地局10とRRC connection completeまでの手順を終了しており、サブセルID、レファレンスパターン割当てなども決定している。
・基地局10と、配下の中継装置30は、同期がとれている。
・中継装置30と、中継装置30に属する通信端末20を示すグルーピング情報が基地局10により事前に与えられている(基地局10がCQIレポートやTA情報から中継の必要性を判断し、必要な場合には中継のためのリソースを割り当てる)。
・Ptx_DL>>Ptx_RLかつPtx_AL(Ptx:最大送信電力、、DL:ディレクトリンク(基地局10と通信端末20間の直接リンク)、AL:アクセスリンク、RL:リレーリンク)
・ダイレクトリンクへの干渉対策、特に中継装置30の存在を前提としない通信装置(LTE UE)のダイレクトリンクへの干渉対策を重要課題とする。
図12は、管理サーバ16の構成を示した機能ブロック図である。図12に示したように、管理サーバ16は、通信部160と、記憶部162と、干渉判断部164と、基地局管理部166と、を備える。なお、この管理サーバ16の機能は、一つの基地局10に実装して集中制御を実現してもよいし、複数の基地局10に実装して自律的制御を実現してもよい。
通信部160は、各基地局10と接続されており、各基地局10から情報を受信する受信部、および各基地局10へ情報を送信する送信部の機能を有する。例えば、通信部160は、各基地局10から上記(1)〜(4)に示した管理情報を受信する。通信部160により受信された管理情報は記憶部162に記録される。
干渉判断部164は、上記(1)〜(4)に示した管理情報の一部または全てを用いて、異なる基地局10が制御する通信間で干渉が生じるか否かを判断する。例えば、干渉判断部164は、ある基地局10に属する中継装置30または通信端末20と、他の基地局10に属する中継装置30または通信端末20と、の距離が設定値以下である場合に干渉が生じると判断してもよい。さらに、干渉判断部164は、距離が設定値以下であるペアの各々が利用するリソースが重なっている場合に干渉が生じると判断してもよい。または、干渉判断部164は、通信端末20における測定により得られた隣接基地局10や隣接中継装置30からの情報に基づいて干渉の有無を判断してもよい。
基地局管理部166は、干渉を生じないと干渉判断部164により判断された基地局10には、スケジュール情報の更新、通信端末20の位置の更新などがあるまで、または所定の報告周期が経過するまで、基地局10による通常の自律的な動作を許可する。一方、基地局管理部166は、干渉判断部164により干渉が生じると判断された通信を制御する基地局10に、干渉回避動作を指示する。干渉回避制御は、干渉を回避できる可能性がある制御、または、ある条件下では干渉を回避できる制御を示す。以下、この干渉回避制御について説明する。
(干渉回避制御)
干渉が生じると判断された通信を制御する一方の基地局10のトラフィックに空きがあり、一方の基地局10のリソーススケジューリングを変更できる場合、基地局管理部166は、一方の基地局10のスケジューリング情報の変更を干渉回避制御として指示する。具体的には、基地局管理部166は、一方の基地局10のスケジューリング情報において、干渉が生じると判断された通信に割当てられているリソースを、異なるリソースに変更し、変更後のスケジューリング情報を一方の基地局10に送信してもよい。この際、スケジューリング変更の旨を伝えるだけでもよい。ここで、基地局管理部166は、一方の基地局10と中継装置30の通信のスケジューリング情報だけでなく、中継装置30と通信端末20との通信のスケジューリング情報も変更する。
また、基地局管理部166は、通信端末20に、通信端末20における干渉成分が大きいリソースブロック、またはサブキャリアを避けてリソースを割り当ててもよい。以下、OFDMAの概要と併せて、当該事項を説明する。
OFDMAでは、人口密集エリアにおいて、隣接基地局が互いに同じ中心周波数のキャリアを用いて通信を行う。この際、複数の基地局のカバレッジの重なるセルエッジに位置する通信端末との通信には、複数の基地局が互いに直交するサブキャリアあるいは、異なる時間スロットを利用して干渉を回避することにより、限られたリソースを有効活用する。一方、人口密集地でないエリアでは、あらかじめ、リソースに余裕があることが多いので、各基地局に異なる直交サブキャリアを固定して割り当てる。
このように、隣接基地局が互いに直交するサブキャリアを用いて隣接セルを運用する場合、多様な原因による周波数ずれ(例えば、ドップラ周波数による影響など)によって、帯域外放射電力が互いの端のサブキャリアに重なり、干渉が生じる場合がある。したがって、周波数割り当てや対域外抑圧フィルタリングは重要である。
あるいは、隣接基地局が異なる時間スロットを割り当てて隣接セルを運用する場合には、セルエッジに位置する通信端末への正確な伝播路遅延をもとに、時間スロットのバンダリーが互いに直交するように(少なくとも、先頭シンボルのGuardInterval(GI)内に超えないように)送信タイミングを調節することが重要である。
ここで、図13および図14を参照し、周波数選択性フェージングの影響を説明する。
図13および図14は、周波数選択性フェージングの影響を示した説明図である。図13に示したように、OFDM変調信号は、送信時に各サブキャリアの送信電力が同一であっても、受信時には、周波数選択性フェージングの影響により各サブキャリアの受信電力にばらつきが生じる。また、図14に示したように、リソースブロックごとに、干渉成分の大きさは異なる。
したがって、基地局管理部166は、リソースブロックごとの通信端末20における干渉成分の大きさを認識できる場合、干渉成分の大きいリソースブロックを避けて通信端末20にリソースを割り当てることにより、干渉を回避できる。さらに、基地局管理部166は、サブキャリアごとの干渉成分の大きさを認識できる場合、リソースブロック内の干渉の大きいサブキャリアの利用を避ける、または変調方式を下げることにより、干渉を回避することが可能である。
なお、基地局管理部166は、自身がスケジューリング情報を変更するのでなく、干渉が生じると判断された通信を一方の基地局10に通知し、一方の基地局10にスケジューリング情報の変更を促してもよい。
また、基地局管理部166は、干渉が生じると判断された通信を制御する一方の基地局10に属する中継装置30または基地局20の、他方の基地局10または他方の基地局10に属する中継装置30へのハンドオーバーを、干渉回避制御として指示してもよい。なお、基地局管理部166は、他方の基地局10または他方の基地局10に属する中継装置30に、ハンドオーバーを受け入れる余剰リソースがあることを前提としてもよい。
例えば、基地局管理部166は、一方の基地局10に属する中継装置30を他方の基地局10にハンドオーバーさせることにより干渉を回避できると判断される場合には、上記ハンドオーバーを一方の基地局10に指示する。その際、基地局管理部166は、基地局10に、ハンドオーバー先の基地局10のIDや、接続のための情報などを通知する。これに応じ、ハンドオーバーのための一連の動作が行われる。ここで、接続のための情報として、ハンドオーバー先の基地局10との相対距離、上述した干渉成分の大きいリソースブロックまたはサブキャリアを示す情報などがあげられる。以下、図15〜図18を参照し、通常のハンドオーバー手順などを説明した後に、本実施形態による中継装置30のハンドオーバーの流れを具体的に説明する。
図15は、LTEのネットワーク構成を示した説明図である。図15に示したように、LTEのネットワークには、MMEとしての機能を有する管理サーバ16や基地局10に加え、ユーザデータを管理するS−GW(Serving GW)18が含まれる。このようなネットワーク構成における基地局間のハンドオーバーは、図16に示す手順で行われる。
図16は、基地局間のハンドオーバーの手順を示した説明図である。図16に示したように、通信端末20と基地局10Aが接続されている場合、基地局10Aは、隣接する基地局10Bなどの測定すべき対象を示すコンテキスト情報(Adjacent eNB context information)を通信端末20に送信する(S404)。その後、通信端末20は、基地局10Aと通信しつつ、コンテキスト情報に従って基地局10Bなどが送信した信号の電波強度などを測定する。そして、通信端末20は、所定の周期、または規則に従って、測定情報(Mesurement report)を基地局10Aに報告する(S408)。なお、S404およびS408は、ネットワーク側の強制的な判断により基地局10Aが通信端末20をハンドオーバーさせる場合には、省略されてもよい。
その後、基地局10Aは、基地局10Bに通信端末20のハンドオーバーの受け入れを要求し(S412)、基地局10Bにより受入れが認められると(S416)、ハンドオーバーの実行を通信端末20に指示する(S420)。すると、通信端末20は、基地局10Bと接続処理を行った後、ハンドオーバーの準備が整ったことを基地局10Bに通知する(S424)。基地局10Bは、この通知に対してACKを返信すると共に(S428)、管理サーバ16/S−GW16に、通信端末20が基地局10Bにハンドオーバーされたことを報告する(S432)。
上記では、管理サーバ16またはS−GW18などのネットワーク側が、通信端末20の測定した測定情報に基づいてハンドオーバーの実行を決定する場合(通信端末20も協力する場合)を説明したが、ハンドオーバーのトリガーはかかる例に限定されない。例えば、ハンドオーバーは、管理サーバ16またはS−GW18などのネットワーク側による強制的な判断に基づいて行われてもよい。また、通信端末20が、測定情報に従って基地局10を選択して接続処理を行うことにより、主体的にハンドオーバーを行ってもよい。また、管理サーバ16は、物理的に、MMEやS−GWのように、複数の基地局10(eNB)を管理する配置となっていてもよいし、管理サーバ16が基地局10に包含されると想定し、論理的に、複数基地局10間のX2 IFを用いて情報交換を行ってもよい。
ここで、LTE−Aでは、CoMP(Cordinated Multipoint Transmission and reception)と呼ばれる基地局間の協調送信などが検討されており、各IF(S11 IF、S1−MME IF、S1−U IF)が強化され、1の通信端末20が複数の基地局10に属しているかのように管理される可能性が高い。
また、現在のところ、中継装置30の存在を考慮したハンドオーバーなどのリンクマネジメントの管理方法については具体的に議論されていない。そこで、以下では、中継装置30の接続までの流れを説明した後に、中継装置30のハンドオーバー手順を説明する。なお、以下では、管理サーバ16がS−GW16の機能も包含するものとする。
図17は、通信端末20と中継装置30の接続手順を示したシーケンス図である。図17に示したように、通信端末20と基地局10Aが接続されている場合、基地局10Aは、隣接基地局や周囲の中継装置30などの測定すべき対象を示すコンテキスト情報(Adjacent eNB & RN context information)を通信端末20に送信する(S454)。その後、通信端末20は、基地局10Aと通信しつつ、コンテキスト情報に従って中継装置30Aなどが送信した信号の電波強度などを測定する。そして、通信端末20は、所定の周期、または規則に従って、測定情報を基地局10Aに報告する(S458)。
その後、基地局10Aは、周囲の中継装置30の測定情報(Relay link information report)を管理サーバ16に報告する(S462)。なお、基地局10Aは、隣接基地局の測定情報を併せて報告してもよい。そして、管理サーバ16は、測定情報に対するconfirmationを基地局10Aに送信する(S466)。また、管理サーバ16は、通信端末20が中継装置30と接続するための情報(例えば、接続すべき中継装置30のID)を判断し、基地局10Aに送信する(S470)。そして、基地局10Aは、管理サーバ16から受信した情報に基づき、対象の中継装置30(図17に示した例では、中継装置30A)に対して中継要求を行う(S474)。
続いて、中継装置30Aが中継要求に対するconfirmationを基地局10Aに送信すると(S478)、基地局10Aが通信端末20に対して中継装置30Aとの接続を指示する(S482)。ここで、基地局10Aは、接続を推奨する中継装置30AのID(サブセルID)を通知してもよい。これにより、通信端末20と中継装置30Aの接続処理が行われので、通信端末20が中継装置30Aを介して基地局10Aと通信することが可能となる。なお、管理サーバ16が必要とされない自律動作や分散動作の場合、S462、S466およびS470のステップは行われなくてもよい。また、図17においては、「Adjacent eNB & RN specific context information」が中継装置30Aから送信される例を示したが、基地局10Aから通信端末20へ直接送信されてもよい。
図18は、中継装置30のハンドオーバー手順を示したシーケンス図である。図18に示した例では、通信端末20が、基地局10Aに属する中継装置30Aと接続されている。この場合、中継装置30Aは、隣接基地局や周囲の中継装置30などの測定すべき対象を示すコンテキスト情報(Adjacent eNB & RN context information)を通信端末20に送信する(S504)。その後、通信端末20は、中継装置30Aと通信しつつ、コンテキスト情報に従って基地局10Bなどが送信した信号の電波強度などを測定する。そして、通信端末20は、中継装置30Aを介して測定情報を基地局10Aに報告する(S508、S512)。
ここで、測定情報は、被干渉のサブキャリア、リソースブロック、中心周波数や帯域幅、干渉対象ノードのID、リンクID(ダイレクトリンク、アクセスリンク、またはリレーリンクのいずれかを示すID)、サブキャリアまたはリソースブロックごとの干渉レベルまたはSINRレベルなどを含んでもよい。
その後、基地局10Aが、測定情報(Relay link information report)を管理サーバ16に報告し(S516)、管理サーバ16が、測定情報に対するconfirmationを基地局10Aに送信する(S520)。そして、管理サーバ16は、報告された測定情報やその他の多様な情報に基づき、中継装置30Aによる通信が他の通信と干渉すると判断した場合、干渉回避制御に関するリンク管理情報を基地局10Aに送信する(S524)。ここで、干渉回避制御に関する情報としては、中継装置30Aと干渉する通信を行う中継装置のID、利用チャネル、最大送信電力、位置情報、およびスケジューリング情報などがあげられる。
基地局10Aは、管理サーバ16から受信した干渉回避制御に関するリンク管理情報に基づき、基地局10Bに中継装置30Aのハンドオーバーの受け入れを要求し(S528)、基地局10Bにより受入れが認められると(S532)、ハンドオーバーの実行を中継装置30Aに指示する(S536)。すると、中継装置30Aは、基地局10Bと接続処理を行った後(S540)、ハンドオーバーの準備が整ったことを基地局10Bに通知する(S544)。基地局10Bは、この通知に対してACKを返信すると共に(S548)、管理サーバ16に、中継装置30Aが基地局10Bにハンドオーバーされたことを報告する(S552)。
ここで、中継装置30Aは、基地局10Aと基地局10Bの双方に接続しているマルチリンク接続の状態であってもよい。この場合、中継装置30Aは、通信端末20のアクセスリンクのリレー通信時のみ、基地局10Bにリレーリンクを切替えてもよい。この結果、通信端末20は基地局10Bに属するので、基地局10Bが、通信端末20を含む基地局10Bに属する通信端末間の干渉回避を一元的に制御することが可能となる。
なお、中継装置30は、S1−MMEIFや、S1−UIFのフォーマットに従って管理サーバ16への信号を生成し、基地局10に無線送信してもよい。この場合、基地局10は、中継装置30から受信した信号を管理サーバ16にトンネリングさせることができる。したがって、中継装置30と管理サーバ16との接続関係が直接接続と等価になるので、管理サーバ16による中央制御の効率化を図ることができる。また、図18においては、S508で「Mesurement report」が通信端末20から中継装置30Aに送信される例を示したが、「Mesurement report」は通信端末20から基地局10Aに直接送信されてもよい。同様に、図18の下部においては、通信端末20から送信された「Mesurement report」を中継装置30Aが基地局10Bに送信する例を示したが、通信端末20は「Mesurement report」を基地局10Bに直接送信してもよい。また、図18においては、「Adjacent eNB & RN specific context information」が中継装置30Aから送信される例を示したが、基地局10Aから通信端末20へ直接送信されてもよい。
また、ハンドオーバーの他の例として、基地局管理部166は、基地局10に属する通信端末20を同一の基地局10に属する他の中継装置30にハンドオーバーさせることにより干渉を回避できると判断される場合には、上記ハンドオーバーを基地局10に指示する。その際、基地局管理部166は、基地局10に、ハンドオーバー先の中継装置30のIDや、接続のための情報などを通知する。これに応じ、ハンドオーバーのための一連の動作が行われる。以下、図19を参照し、通信端末20のハンドオーバーの流れを具体的に説明する。
図19は、通信端末20のハンドオーバー手順を示したシーケンス図である。図19に示した例では、中継装置30Aおよび30Xが基地局10Aに属しており、通信端末20が中継装置30Aと接続されている。また、図19のS554〜S570の処理は、図18に示したS504〜S520の処理と実質的に同一であるため、詳細な説明を省略する。
管理サーバ16は、S566において基地局10Aから受信した測定情報や、他の多様な情報に基づき、通信端末20による通信の干渉が、通信端末20を中継装置30Xにハンドオーバーさせることにより解消すると判断した場合、通信端末20の中継装置30Xへのハンドオーバーをリンク管理情報において指示する(S574)。
基地局10Aは、管理サーバ16から受信したリンク管理情報に基づき、中継装置30Xに通信端末20のハンドオーバーの受け入れを要求し(S578)、中継装置30Xにより受入れが認められると(S582)、ハンドオーバーの実行を中継装置30Aを介して通信端末20に指示する(S584、S586)。すると、通信端末20は、中継装置30Xと接続処理を行った後(S590)、ハンドオーバーの準備が整ったことを中継装置30Xを介して基地局10Aに通知する(S592、S594)。そして、基地局10Aは、管理サーバ16に通信端末20が中継装置30Xにハンドオーバーされたことを報告する(S596)。なお、図19においては、「Adjacent eNB & RN specific context information」が中継装置30Aから送信される例を示したが、基地局10Aから通信端末20へ直接送信されてもよい。また、図19においては、S558で「Mesurement report」が通信端末20から中継装置30Aに送信される例を示したが、「Mesurement report」は通信端末20から基地局10Aに直接送信されてもよい。また、S566、S570、およびS574のステップは行われなくてもよい。また、S586の「Relay connection command」は、基地局10Aが通信端末20に直接送信してもよい。また、図19においては、通信端末20が送信する「Mesurement report」を中継装置30Xが基地局10Aに中継する例を示したが、通信端末20は「Mesurement report」を基地局10Aに直接送信してもよい。また、「Adjacent eNB & RN specific context information」は、中継装置30Xでなく基地局10Aから送信されもよい。
さらに、ハンドオーバーの他の例として、基地局管理部166は、一方の基地局10に属する通信端末20を他方の基地局10に属する中継装置30にハンドオーバーさせることにより干渉を回避できると判断される場合には、上記ハンドオーバーを一方の基地局10に指示する。その際、基地局管理部166は、基地局10に、ハンドオーバー先の中継装置30のIDや、接続のための情報などを通知する。これに応じ、ハンドオーバーのための一連の動作が行われる。以下、図20を参照し、通信端末20のハンドオーバーの流れを具体的に説明する。
図20は、通信端末20のハンドオーバー手順を示したシーケンス図である。図20に示した例では、中継装置30Aが基地局10Aに属しており、中継装置30Bが基地局10Bに属しており、通信端末20が中継装置30Aと接続されている。また、図20のS604〜S620の処理は、図18に示したS504〜S520の処理と実質的に同一であるため、詳細な説明を省略する。
管理サーバ16は、S616において基地局10Aから受信した測定情報や、他の多様な情報に基づき、通信端末20による通信が中継装置30Bによる通信と干渉すると判断した場合、通信端末20の中継装置30Bへのハンドオーバーをリンク管理情報において指示する(S624)。
基地局10Aは、管理サーバ16から受信したリンク管理情報に基づき、中継装置30Bへの通信端末20のハンドオーバーの受け入れを基地局10Bに要求し(S628)、基地局10Bにより受入れが認められると(S632)、ACKを返信する(S636)。
その後、基地局10Bは、中継装置30Bにハンドオーバーを受け入れ可能であるか否かを問い合わせる(S640)。そして、中継装置30Bがハンドオーバーを受け入れ可能である場合(S644)、基地局10Bは、中継装置30Bがハンドオーバーを受け入れ可能である旨を、基地局10Aを介して中継装置30Aに通知する(S648、S652)。したがって、この通知は、中継装置30Bのトラフィックが混んでいる場合や、余剰リソースがない場合には送信されない。
そして、中継装置30Aが中継装置30Bとの接続を通信端末20に指示すると(S656)、通信端末20は、中継装置30Bと接続処理を行った後(S660)、ハンドオーバーの準備が整ったことを中継装置30Bに通知する(S664)。続いて、中継装置30Bがこの通知を基地局10Bに送信し(S668)、基地局10Bが基地局10Aに送信する(S672)。そして、基地局10Aは、管理サーバ16に通信端末20が中継装置30Bにハンドオーバーされたことを報告する(S676)。なお、図20においては、「Adjacent eNB & RN specific context information」が中継装置30Aから送信される例を示したが、基地局10Aから通信端末20へ直接送信されてもよい。また、図20においては、S608で「Mesurement report」が通信端末20から中継装置30Aに送信される例を示したが、「Mesurement report」は通信端末20から基地局10Aに直接送信されてもよい。また、S652の「Relay connection command」は、基地局10Aが通信端末20に直接送信してもよい。
一方、基地局管理部166は、干渉が生じると判断された通信を制御する一方の基地局10のトラフィックがスケジューリング情報を変更できない位に混んでいる場合、干渉の原因となる中継装置30の利用禁止を干渉回避制御として一方の基地局10に指示してもよい。例えば、隣接する異なる基地局10に属する中継装置30に割り当てられたリソースが重なっている場合や、隣接する異なる基地局10の間に各々に属する通信端末20が存在する場合に中継装置30の利用禁止を指示される。
または、基地局管理部166は、各基地局10から受信される位置に関する情報やスケジューリング情報に基づき、制御パラメータの調整により干渉を回避できると判断される場合、一方の基地局10が制御する通信の制御パラメータを決定し、決定した制御パラメータの利用を干渉回避制御として指示してもよい。ここで、制御パラメータとしては、送信電力、ビームフォーミング、送信タイミング、ガードインターバルの変更、または無送信区間の挿入などに関するパラメータがあげられる。基地局10は、制御パラメータを管理サーバ16から指示されると、制御パラメータを中継装置30に通知する。そして、中継装置30は、管理サーバ16の決定した制御パラメータに従ってリレーリンクおよびアクセスリンクの通信を行う。以下、図面を参照して、制御パラメータの決定の具体例を説明する。
図21は、送信電力の決定の具体例を示した説明図である。図21の上図に示した例では、基地局10Aに中継装置30Aが属し、中継装置30Aに通信端末20Aが属し、基地局10Bに中継装置30Bが属し、中継装置30Bに通信端末20Bが属する。また、通信端末20Bが、中継装置30Bの電波到達範囲32Bだけでなく、中継装置30Aの電波到達範囲32Aにも含まれている。したがって、管理サーバ16の干渉判断部164は、中継装置30Aが通信端末20Aに送信する信号と、中継装置30Bが通信端末20Bに送信する信号が、通信端末20Bにおいて干渉すると判断する。
この場合、基地局管理部166は、中継装置30Aから通信端末20Aへの信号の送信電力を、干渉を回避できる送信電力に決定する。具体的には、基地局管理部166は、図21の下図に示したように、中継装置30Aが通信端末20Aに送信する信号の電波到達範囲32Aに通信端末20Bが含まれなくなるように送信電力を減少させる。これにより、中継装置30Aが原因となる干渉を回避することができる。
図22は、ビームフォーミングの決定の具体例を示した説明図である。図22の上図に示した例では、基地局10Aに中継装置30Aが属し、中継装置30Aに通信端末20Aが属し、基地局10Bに中継装置30Bが属し、中継装置30Bに通信端末20Bが属する。また、通信端末20Bが、中継装置30Bの電波到達範囲32Bだけでなく、中継装置30Aの電波到達範囲32Aにも含まれている。したがって、管理サーバ16の干渉判断部164は、中継装置30Aが通信端末20Aに送信する信号と、中継装置30Bが通信端末20Bに送信する信号が、通信端末20Bにおいて干渉すると判断する。
この場合、基地局管理部166は、中継装置30Aから通信端末20Aへ送信される信号が干渉の原因とならないようにビームフォーミングを行うことを決定する。具体的には、基地局管理部166は、図22の下図に示したように、中継装置30Aが通信端末20Aに送信する信号の電波到達範囲32Aに通信端末20Bが含まれなくなるようにビームフォーミングを行わせる。このように、ビームフォーミングによっても、中継装置30Aが原因となる干渉を回避することができる。
図23〜図25は、送信タイミングや無送信区間の挿入などの決定の具体例を示した説明図である。図23に示した例では、通信端末20Bが、基地局10Aおよび中継装置30Bの信号到達範囲に含まれる。ここで、基地局10Aおよび中継装置30Bが、図24に示したように、時間的に直交するスロットにおいて信号を送信しても、通信端末20Bにおける受信時間が重なってしまう場合がある。具体的には、図24には、基地局10Aが送信する信号の前半と、中継装置30Bが送信する信号の後半が干渉する例を示している。
この場合、基地局管理部166は、図25に示したように、基地局10Aによる信号の送信タイミングを遅らせてもよい。または、基地局管理部166は、基地局10Aが送信する信号の先頭の数OFDMシンボルを無送信区間としてもよいし、GIを長くしてもよい。あるいは、基地局管理部166は、中継装置30Bの送信タイミングを早めてもよい。このように、送信タイミングの調整や無送信区間の挿入などにより干渉を回避することも場合によっては可能である。
以上説明したように、基地局管理部166は、多様な干渉回避制御の実行を指示することができる。さらに、各基地局10は、干渉回避制御の実行の過程、または実行後の通信品質情報を管理サーバ16に報告し、基地局管理部166は、報告された通信品質情報に従って制御パラメータを適宜調整する。なお、各基地局10は、管理サーバ16から通信品質情報を要求された場合、準備ができ次第通信品質情報を管理サーバ16に報告してもよい。
例えば、基地局管理部166は、基地局10から報告されるHARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)リクエストの発生回数が規定回数以上である場合や、パケットロスが所定レベル以上である場合、該当するリンクのTPCを用いて送信電力の増加を指示してもよい。
また、図21に示した配置において、中継装置30Bから基地局10Bへの信号が、通信端末20Aから中継装置30Aへの信号と干渉する場合、基地局管理部166は、通信端末20Aから中継装置30Aへの信号のレートの減少またはHARQの変更を指示してもよい。なお、HARQの方式としては、Chase Combiningや、Incremental Redundancyなどがあげられる。
<4.制御範囲BおよびC:中継装置の自律制御>
基地局10が制御範囲BまたはCを選択した場合、中継装置30に自律的な動作が認められるので、中継装置30が、自律的に干渉回避制御を決定し、干渉回避制御を実行する。以下、中継装置30による自律的な動作について説明する。
(管理サーバ16から供給される情報)
管理サーバ16は、干渉判断部164により干渉の原因になると判断された中継装置30に、基地局10を介して以下の情報を供給する。
・中継装置30と干渉する通信を制御する近隣の基地局10に属する中継装置30および通信端末の位置に関する情報。なお、中継装置30の通信が干渉を与える側である場合、および干渉を受ける側である場合の双方を含む。
・中継装置30と干渉する通信を制御する近隣の基地局10に属する中継装置30および通信端末のID、Qos情報、スケジューリング情報。なお、中継装置30と近隣の基地局10とが非同期である場合、同期のズレを検知するための基準カウンター情報を含む。
ここで、管理サーバ16は、上記の位置に関する情報やスケジューリング情報の一部のみを選択して供給してもよい。また、管理サーバ16は、中継装置30に推奨する干渉回避制御(制御パラメータなど)を通知してもよい。
中継装置30は、管理サーバ16から供給される上記の情報に基づき、干渉回避制御を決定および実行する。干渉回避制御としては、ハンドオーバーおよびリンクアダプテーションが挙げられる。以下、このような干渉回避制御について詳細に説明する。
(干渉回避制御:ハンドオーバー)
図26は、中継装置30のハンドオーバーの具体例を示した説明図である。図26の上図に示した例では、基地局10Aに中継装置30Aが属しており、中継装置30Aに通信端末20Aが属しており、基地局10Bに通信端末20Bが属している。なお、中継装置30Aは、図26の上図に示したセル構成を、管理サーバ16から供給される位置に関する情報に基づいて把握することができる。
図26の上図に示した例においては、中継装置30Aが基地局10AにリレーリンクULにより信号を送信すると同時に、通信端末20Bが基地局10BにダイレクトリンクULにより信号を送信すると、双方の信号が基地局10Bにおいて干渉してしまう場合がある。そこで、中継装置30Aの制御部342は、管理サーバ16から供給される基地局10Bのスケジューリング情報を参照し、基地局10Bにハンドオーバーを受け入れる余剰リソースがある場合、中継装置30Aの基地局10Bへのハンドオーバーを実行してもよい。
これにより、図26の下図に示したように、中継装置30Aが基地局10Bと接続され、基地局10Bに属することなる。中継装置30Aが基地局10Bに属するようになると、基地局10Bが、通信端末20Bおよび中継装置30Aが干渉しないようにスケジューリングを行うため、中継装置30Aが送信する信号と通信端末20Bが送信する信号の干渉を回避できる。
なお、中継装置30Aは、通信端末20Aから報告される測定情報に基づいてハンドオーバーを実行してもよい。以下、通信端末20Aと中継装置30Aの接続手順の変形例を説明した後に、ハンドオーバー手順を説明する。
図27は、通信端末20Aと中継装置30Aの接続手順の変形例を示したシーケンス図である。通信端末20Aは、中継装置30Aから割り当てられたリソースを利用して、中継装置30AにRRC接続要求(RRC connection request)を送信する(S704)。中継装置30Aは、通信端末20AからRRC接続要求を受信すると、基地局10Aに、リレーリンクとアクセスリンクのためのリソースの割り当てを要求する(S708)。基地局10Aは、中継装置30Aから要求されたリソースの割り当てが可能な場合、割当てが可能である旨と割当てリソースを中継装置30Aに送信する(S712)。
続いて、中継装置30Aは、基地局10AにACKを送信した後(S716)、RRC接続要求の送信元を示すRRC connection resolutionを送信する(S720)。そして、基地局10Aは、管理サーバ16に、通信端末20Aがサービス要求していることを示すConnection requestを送信する(S724)。管理サーバ16は、Connection requestを受信すると、通信端末20Aに設定するための情報をConnection setupにより送信する(S728)。
そして、基地局10が、管理サーバ16からのConnection setupを中継装置30Aに転送し(S732)、中継装置30Aは、RRC connection setupを通信端末20Aに送信し(S736)、通信端末20Aが接続設定を行う。その後、通信端末20Aが、接続設定が完了したことを示すRRC connection completeを中継装置30Aに送信する(S740)。これにより、通信端末20Aと中継装置30Aが接続され、通信端末20Aが基地局10Aと中継装置30Aを介して通信することが可能となる
図28は、中継装置30Aのハンドオーバー手順を示したシーケンス図である。図28に示した例では、基地局10Aに中継装置30Aが属しており、基地局20Aと中継装置30Aが接続されている。この場合、中継装置30Aは、隣接基地局や周囲の中継装置30などの測定すべき対象を示すコンテキスト情報(Adjacent eNB & RN context information)を通信端末20Aに送信する(S754)。その後、通信端末20Aは、中継装置30Aと通信しつつ、コンテキスト情報に従って基地局10Bなどが送信した信号の電波強度などを測定する。そして、通信端末20Aは、測定情報を中継装置30Aに報告する(S758)。
続いて、中継装置30Aは、通信端末20Aから受信した測定情報、および管理サーバ16からの情報などに基づき、基地局10Bへのハンドオーバーが干渉回避に有効であると判断した場合、基地局10Bとの接続処理を行う(S762)。ここで、中継装置30Aが接続処理を行う間、中継装置30Aは通信端末20Aの通信を中継することが困難である。そこで、中継装置30Aは、複数の処理を並行して行える送受信リソース(例えば、複数のアンテナ)を有する場合、通信端末20Aとの通信のために一部の送受信リソースを利用しつつ、他の送受信リソースを基地局10Bとの接続処理に利用してもよい。または、中継装置30Aは、通信端末20Aを基地局10Aに直接接続させ、基地局10Bとの接続処理が終了した後に、通信端末20Aを中継装置30Aの配下に戻してもよい。
その後、中継装置30Aは、基地局10Bから受信するコンテキスト情報に基づいて測定を行い、測定情報を基地局10Bに送信する(S766)。また、中継装置30Aは、通信端末20Aにコンテキスト情報を送信し、通信端末20Aにおける測定により得られた測定情報を通信端末20Aから受信する(S770)。
一方、以下に説明するように、中継装置30でなく、通信端末20をハンドオーバーさせることによっても干渉を回避できる場合がある。
図29は、通信端末20のハンドオーバーの具体例を示した説明図である。図29の上図に示した例では、基地局10Aに中継装置30Aが属しており、中継装置30Aに通信端末20Aが属しており、基地局10Bに中継装置30Bおよび通信端末20Bが属している。
図29の上図に示した例においては、中継装置30Aが通信端末20Aから受信した信号を基地局10AにリレーリンクULにより送信するのと同時に、通信端末20Bが基地局10BにダイレクトリンクULにより信号を送信すると、双方の信号が基地局10Bにおいて干渉してしまう場合がある。そこで、中継装置30Aの制御部342は、管理サーバ16から供給される基地局10Bのスケジューリング情報を参照し、基地局10Bにハンドオーバーを受け入れる余剰リソースがある場合、通信端末20Aが基地局10Bにハンドオーバーさせてもよい。
具体的には、中継装置30Aは、通信端末20Aとの接続を切断してもよい。その後、通信端末20Aは基地局10Bとの接続を試みると考えられるためである。または、中継装置30Aは、基地局10Bまたは中継装置30Bに通信端末20Aのハンドオーバーを明示的に依頼してもよい。
図29の下図に示したように、通信端末20Aが中継装置30Bにハンドオーバーされると、通信端末20Aから送信された信号を中継装置30Aが中継しなくなるので、図20の上図に示した干渉を回避することができる。なお、中継装置30Aは、中継装置30Aに属する通信端末20の数が所定数以上である場合(扱える数が限界に近付いている場合)に通信端末20のハンドオーバーを制御してもよい。また、中継装置30Aは、アクセスリンクのCQIが所定の基準を満たさない通信端末20をハンドオーバーの対象として選択してもよい。
なお、中継装置30Aは、通信端末20Aから報告される測定情報に基づいてハンドオーバーを実行してもよい。以下、図30を参照し、通信端末20Aのハンドオーバー手順を説明する。
図30は、通信端末20Aのハンドオーバー手順を示したシーケンス図である。図30に示した例では、基地局10Aに中継装置30Aが属しており、基地局10Bに中継装置30Bが属しており、通信端末20Aが中継装置30Aに接続されている。この場合、中継装置30Aは、隣接基地局や周囲の中継装置30などの測定すべき対象を示すコンテキスト情報を通信端末20Aに送信する(S804)。その後、通信端末20Aは、中継装置30Aと通信しつつ、コンテキスト情報に従って基地局10Bや中継装置30Bなどが送信した信号の電波強度などを測定する。そして、通信端末20Aは、測定情報を中継装置30Aに報告する(S808)。
続いて、中継装置30Aは、通信端末20Aから受信した測定情報、および管理サーバ16からの情報などに基づき、通信端末20Aの中継装置30Bへのハンドオーバーが干渉回避に有効であると判断したとする。この場合、中継装置30Aは、通信端末20Aの中継装置30Bへのハンドオーバーを、基地局10Aを介して基地局10Bに要求する(S812、S816)。そして、基地局10Bは、ハンドオーバーの要求に対するConfirmationを基地局10Aに送信し(S820)、基地局10AからACKを受信すると(S824)、
その後、基地局10Bは、中継装置30Bにハンドオーバーを受け入れ可能であるか否かを問い合わせる(S828)。そして、中継装置30Bが通信端末20Aを受け入れ可能である場合(S832)、基地局10Bは、中継装置30Bがハンドオーバーを受け入れ可能である旨を、基地局10Aを介して中継装置30Aに通知する(S836、S840)。
そして、中継装置30Aは、コンテキスト情報、および中継装置30Bへのハンドオーバーを推奨する信号を送信する(S844、S848)。さらに、中継装置30Aは、中継装置30Aとの接続解除を通信端末20Aに要求し(S852)、通信端末20Aから接続解除に対するConfirmationを受信すると(S856)、通信端末20AにACKを返信する(S860)。これにより、通信端末20Aと中継装置30Aの接続が解除され、通信端末20Aは、ハンドオーバーを推奨された中継装置30Bとの接続処理を行う(S864)。
なお、上記では、中継装置30Bへのハンドオーバーを推奨と、中継装置30Aとの接続解除の要求の双方を行う例を説明したが、一方、または双方とも行われなくてもよい。例えば、中継装置30Aは、上記の双方とも行わず、通信端末20Bとの接続を強制的に解除してもよい。この場合、通信端末20Bが、コンテキスト情報に含まれる基地局10または中継装置30と主体的に接続処理を行うことが期待される。
また、上記では、通信端末20Aが、属する基地局が異なる中継装置30Bにハンドオーバーする例を説明したが、以下に説明するように、同一の基地局10Aに属する中継装置30Xにハンドオーバーしてもよい。
図31は、通信端末20Aのハンドオーバー手順を示したシーケンス図である。図31に示した例では、基地局10Aに中継装置30Aおよび中継装置30Xが属しており、通信端末20Aが中継装置30Aと接続されている。中継装置30Aは、通信端末20Aから測定情報を受信し(S904)、測定情報および管理サーバ16から供給される情報などに基づき、通信端末20Aとの通信の干渉回避制御を判断する。ここで、中継装置30Aは、通信端末20Aの中継装置30Xへのハンドオーバーが干渉回避に有効であると判断した場合、コンテキスト情報、および中継装置30Xへのハンドオーバーを推奨する信号を送信する(S908、S912)。
さらに、中継装置30Aは、中継装置30Aとの接続解除を通信端末20Aに要求し(S916)、通信端末20Aから接続解除に対するConfirmationを受信すると(S920)、通信端末20AにACKを返信する(S924)。これにより、通信端末20Aと中継装置30Aの接続が解除され、通信端末20Aは、ハンドオーバーを推奨された中継装置30Xとの接続処理を行う(S928)。
以上説明したように、中継装置30は、隣接する基地局10へのハンドオーバーを実行したり、中継装置30に属する通信端末20を他の中継装置30にハンドオーバーさせたりすることにより干渉を回避することができる。
(干渉回避制御:リンクアダプテーション)
中継装置30は、管理サーバ16から、干渉を起こす可能性のあるスロット、干渉相手の中継装置30、通信端末20または基地局10のID、位置に関する情報、および干渉許容レベルを通知されると、リンクアダプテーションにより干渉を回避できる場合もある。中継装置30が制御可能なアクセスリンクのリンクアダプテーションとしては、TPC、AMC(Advanced Modulation Control)、およびHARQなどが挙げられる。以下、各リンクアダプテーションについて具体的に説明する。
中継装置30は、他の通信に与える干渉レベルを抑制するよう管理サーバ16などから指示された場合、または、他の通信に与える干渉レベルを抑制すべきであると判断した場合、以下のいずれかのリンクアダプテーションを実行する。
(1)送信電力を下げる。また、HARQを用いて受信SNIRを向上させる。
(2)送信電力を下げる。また、Modulation and Coding rateを下げることにより、所要SNIRを下げる。
中継装置30は、上記(1)または(2)のいずれを実行する場合にも、追加的なリソースが必要となる。したがって、中継装置30は、基地局10から事前に余剰リソースが割り当てられている場合には余剰リソースを利用し、余剰リソースが足りない場合には基地局10や管理サーバ16にリソース割当てを要求する。なお、基地局10や管理サーバ16は、干渉回避のためのリソース割当てを要求された場合、他の要求よりも優先してリソース割当てを行う。
一方、中継装置30は、他の通信から受ける干渉レベルが高いが通信を行う場合、以下のいずれかのリンクアダプテーションを実行する。
(3)送信電力を上げる。
(4)HARQを用いて受信SNIRを向上させる。
(5)Modulation and Coding rateを下げることにより、所要SNIRを下げる。
上記の(4)と(5)を実行するためには、追加的なリソースが必要となる。したがって、中継装置30は、基地局10から事前に余剰リソースが割り当てられている場合には余剰リソースを利用し、余剰リソースが足りない場合には基地局10や管理サーバ16にリソース割当てを要求する。なお、基地局10や管理サーバ16は、干渉回避のためのリソース割当てを要求された場合、他の要求よりも優先してリソース割当てを行う。
また、OFDMAにおいては、リソースブロックまたはサブキャリア単位でリンクアダプテーションを行い得る。そこで、中継装置30は、上記の(1)〜(5)に示したリンクアダプテーションを、干渉レベルが所定レベルを上回るサブキャリアまたはリソースブロックのみに実行してもよい。具体的には、中継装置30は、他の通信から受ける干渉レベルが所定レベルを上回るリソースブロックAと所定レベルを下回るリソースブロックBを利用して信号を送信する場合、リソースブロックAのみに上記(3)〜(5)のいずれかを実行してもよい。
<5.本発明の他の適用例>
以上、中継装置30に認める制御範囲を複数種類の制御範囲から選択すること、管理サーバ16が各基地局10により形成されるセル間の干渉を回避するための中央制御を実現すること、中継装置30が自律的に干渉回避制御を判断して干渉回避制御を実行することを説明したが、上記における中継装置30は以下に説明するヘテロジニアスネットワークにおける中小規模基地局の一例に過ぎない。
すなわち、中小規模基地局に認める制御範囲を複数種類の制御範囲から選択すること、管理サーバ16が各基地局10または中小規模基地局により形成されるセル間の干渉を回避するための中央制御を実現すること、中小規模基地局が自律的に干渉回避制御を判断して干渉回避制御を実行すること、も本発明の技術的範囲に属する。
ヘテロジニアスネットワークは、マクロセル内で、複数種類の中小規模基地局が、オーバレイ送信またはスペクトラムシェアリングを行うことにより共存するネットワークである。中小規模基地局としては、RRH(Remote RadioHead)セル基地局、ホットゾーン基地局(Pico/micro cell eNB)、フェムセル基地局(Home eNB)、および中継装置(リレー基地局)などがあげられる。以下、ヘテロジニアスネットワークの構成を具体的に説明する。
図32は、ヘテロジニアスネットワークの構成例を示した説明図である。図32に示したように、ヘテロジニアスネットワークは、マクロセル基地局10(基地局10と同義)と、中継装置30と、ホットゾーン基地局31と、フェムセル基地局32と、RRHセル基地局33と、管理サーバ16Aおよび16Bと、を備える。
管理サーバ16Aおよび16Bは、マクロセル基地局10および中小規模基地局が協調して動作するための機能を有する。例えば、管理サーバ16Aは、「3.制御範囲A:管理サーバの中央制御」において説明したように、マクロセル基地局10、中小規模基地局、および中小規模基地局に属する通信端末20などに関する情報(位置情報、スケジューリング情報、Qos情報など)を受信し、他の通信と干渉する通信を制御するマクロセル基地局10または中小規模基地局を判断し、干渉回避動作を指示する。なお、管理サーバ16の機能は、マクロセル基地局10またはいずれかの中小規模基地局に実装されていてもよい。
マクロセル基地局10は、マクロセル内の中小規模基地局、通信端末20を管理する。例えば、マクロセル基地局10は、「2−3.基地局の構成」において説明したように、各中小規模基地局に認める制御範囲を、制御範囲A、制御範囲Bまたは制御範囲Cのうちから選択する。そして、各中小規模基地局は、マクロセル基地局10により選択された制御範囲に従って通信端末20との通信を制御する。
ホットゾーン基地局31(ピコセル基地局、ミクロセル基地局)は、最大送信電力がマクロセル基地局10より小さく、マクロセル基地局10とはコアネットワークのX2やS1などのインタフェースを用いて通信する。なお、ホットゾーン基地局31は、どの通信端末20からもアクセス可能なOSG(Open Subscriber Group)を形成する。
フェムセル基地局32は、最大送信電力がマクロセル基地局10より小さく、マクロセル基地局10とはADSLなどのパケット交換ネットワークを用いて通信する。または、フェムトセル基地局32は、無線リンクによりマクロセル基地局10と通信することも可能である。なお、フェムセル基地局32は、限られた通信端末20からしかアクセスできないCSG(Closed Subscriber Group)を形成する。
RRHセル基地局33は、マクロセル基地局10と光ファイバで接続されている。このため、マクロセル基地局10は、地理的に異なる場所に配置されたRRHセル基地局33Aおよび33Bに光ファイバを介して信号を伝送し、RRHセル基地局33Aおよび33Bから信号を無線送信させることができる。例えば、通信端末20の位置に近いRRHセル基地局33のみを利用することも可能である。なお、制御系の機能はマクロセル基地局10に実装されており、通信端末20の分布に応じて、最適な送信形態を選択する。
以上説明した各中小規模基地局の概要を図33にまとめた。これらホットゾーン基地局31やフェムセル基地局32などの中小規模基地局は、「4.制御範囲BおよびC:中継装置の自律制御」において説明した方法に準じて、自律的に干渉回避制御を決定し、決定した干渉回避制御を実行することができる。以下、ヘテロジニアスネットワークにおける干渉モデル、および干渉回避制御について説明する。
(ヘテロジニアスネットワークにおける干渉モデル)
図34は、ヘテロジニアスネットワークにおける干渉モデルを示した説明図である。なお、図34および後述の図35〜図37においては、中継装置30、ホットゾーン基地局31、およびフェムセル基地局32などを特に区別せず、中小規模基地局40として示す。
図34に示したように、ヘテロジニアスネットワークにおいては、以下に示す干渉の発生が想定される。
(1)中小規模基地局40Aからの送信信号とマクロセル基地局10からの送信信号が通信端末20A−2において干渉するケース
(2)通信端末20B−2からの送信信号とマクロセル基地局10からの送信信号が中小規模基地局40Bにおいて干渉するケース
(3)中小規模基地局40Cからの送信信号とマクロセル基地局10からの送信信号が中小規模基地局40Dにおいて干渉するケース
(4)中小規模基地局40Eからの送信信号と通信端末20F−2からの送信信号が通信端末20E−2において干渉するケース
(ヘテロジニアスネットワークにおける干渉回避制御)
上記のように、ヘテロジニアスネットワークにおいては多様な干渉が発生するが、これらの干渉は、「3.制御範囲A:管理サーバの中央制御」や「4.制御範囲BおよびC:中継装置の自律制御」において説明した干渉回避制御により対処することが可能である。以下、干渉回避制御例について具体的に説明する。
図35は、ハンドオーバーによる干渉回避例を示した説明図である。図35の左図においては、中小規模基地局40Aからの送信信号とマクロセル基地局10からの送信信号が通信端末20A−2において干渉している。この場合、通信端末20A−2を、中小規模基地局40Aから、マクロセル基地局10と送信タイミングが異なる中小規模基地局40Gにハンドオーバーさせることにより、上記干渉を解消することができる。
また、図35の左図においては、中小規模基地局40Eからの送信信号と通信端末20F−2からの送信信号が通信端末20E−2において干渉している。この場合、通信端末20E−2を中小規模基地局40Eから中小規模基地局40Fにハンドオーバーさせることにより、上記干渉を解消することができる。
なお、中小規模基地局40のハンドオーバーは、例えば図19を参照して説明した同一基地局10に属する中継装置30間のハンドオーバーシーケンスに準じて行うことができる。また、異なるマクロセル基地局10に属する中小規模基地局40間のハンドオーバは、例えば図20を参照して説明したハンドオーバーシーケンスに準じて行うことができる。ここで、中小規模基地局40は、管理サーバ16と直接的に通信するためのインタフェースを備える場合もあるが、マクロセル基地局10の管理下にあるので、図19などに示したようにマクロセル基地局10とハンドオーバーのための通信を行う。
ただし、マクロセル基地局10と中小規模基地局40とのインタフェースは、中小規模基地局40の種別に応じて異なる。例えば、中小規模基地局40がホットゾーン基地局31である場合、中小規模基地局40とマクロセル基地局10とはX2インタフェースを利用して通信を行う。また、中小規模基地局40とマクロセル基地局10とのインタフェースが有線である場合、通信リンクの品質の判断基準としてレイテンシを用いてもよい。
図36は、ビームフォーミングによる干渉回避例を示した説明図である。図36の左図においては、中小規模基地局40Aからの送信信号とマクロセル基地局10からの送信信号が通信端末20A−2において干渉している。この場合、通信端末20A−2は、中小規模基地局40Aの配置方向に受信指向性を向けることにより、上記干渉を解消することができる。
また、図36の左図においては、中小規模基地局40からの送信信号と通信端末20F−2からの送信信号が通信端末20E−2において干渉している。この場合、通信端末20F−2が、中小規模基地局40Fの配置方向に送信指向性を向けることにより、通信端末20F−2からの送信信号が通信端末20E−2に到達しなくなるので、上記干渉を解消することができる。
図37は、送信電力制御による干渉回避例を示した説明図である。図37の左図においては、中小規模基地局40Aからの送信信号とマクロセル基地局10からの送信信号が通信端末20A−2において干渉している。この場合、中小規模基地局40Aの送信電力を下げると、通信端末20A−2が中小規模基地局40Aの電波到達範囲から外れるので、通信端末20A−2と中小規模基地局40Aとの接続が切断される。これにより、通信端末20A−2は、新たな接続先を探して例えばマクロセル基地局10と接続するので、中小規模基地局40Aの送信電力を下げることにより上記干渉を解消することができる。
また、図37の左図においては、中小規模基地局40からの送信信号と通信端末20F−2からの送信信号が通信端末20E−2において干渉している。この場合、中小規模基地局40Fの送信電力を下げると、通信端末20F−2が中小規模基地局40Fの電波到達範囲から外れるので、通信端末20F−2と中小規模基地局40Fとの接続が切断される。これにより、通信端末20F−2は、新たな接続先を探して例えばマクロセル基地局10と接続するので、中小規模基地局40Fの送信電力を下げることにより上記干渉を解消することができる。
<6.まとめ>
以上説明したように、本実施形態によれば、中継装置30などの中小規模基地局に認める制御範囲を、複数種類の制御範囲から選択することができる。また、本実施形態によれば、管理サーバ16が、各基地局10が形成するセル間の干渉を回避するための中央制御を実現することができる。さらに、本実施形態によれば、中継装置30などの中小規模基地局が自律的に干渉回避制御を判断し、干渉回避制御を実行することができる。
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記では中継装置30に認められる制御範囲が動的に選択される例を説明したが、中継装置30に認められる制御範囲は固定されていてもよい。したがって、中継装置30に制御範囲Aが固定的に設定されている場合には「3.制御範囲A:管理サーバの中央制御」で説明した手順で干渉回避制御が行われる。また、中継装置30に制御範囲BまたはCが固定的に設定されている場合には「4.制御範囲BおよびC:中継装置の自律制御」で説明した手順で干渉回避制御が行われる。
また、本明細書の通信システム1の処理における各ステップは、必ずしもシーケンス図として記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、通信システム1の処理における各ステップは、シーケンス図として記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
また、基地局10、管理サーバ16、および中継装置30などに内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアを、上述した基地局10、管理サーバ16、および中継装置30の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。