JP5777401B2 - コンベヤスケール - Google Patents
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Description
コンベヤを両側から支持する2個のロードセルの出力する荷重信号に基づいて、前記コンベヤ上を搬送される被計量物の輸送量を算出するコンベヤスケールにおいて、
前記ロードセルの起歪部に貼付した少なくとも4個のストレインゲージで構成されるホイートストーンブリッジ回路における2個の端子からの出力信号に基づいて生成される2個のハーフブリッジ荷重信号が、前記ロードセルへの同一の負荷荷重に対して略同じ大きさの荷重信号となるように調整して出力するハーフブリッジ荷重信号出力手段を備えることを特徴とするものである(第1発明)。
図1には、本発明の一実施形態に係るコンベヤスケールの構造を説明する斜視図が示されている。図示のように、コンベヤスケール本体1は、コンベヤベルト(以下、「コンベヤ」という。)2を支持する複数個の搬送ローラ3,4,5を備え、これら搬送ローラ3,4,5のうち1個の搬送ローラ4が計量ローラ(以下、「計量ローラ4」という。)にて構成されたものである。計量ローラ4は、両端a点,b点がそれぞれロードセル6,7にて支持され、これらロードセル6,7によりコンベヤ2上を搬送される被計量物の搬送重量(以下、「輸送量」という。)を測定するようにされている。本実施形態においては、ロードセル6,7として、金属弾性体に設けた伸縮起歪部にストレインゲージを貼り付けてなるロバーバルロードセル(2本梁に2箇所起歪部が設けられた平行四辺形型ロードセル)が用いられた例を示す。
図3に示されるように、ロードセル6,7は、取付部13の先端側にロバーバル(平行四辺形)をなす起歪部を有するロバーバルロードセルである。本実施形態では、防水、防塵のため、起歪部を含む起歪体14が金属蛇腹よりなるカバー(図示せず)で覆われたものが使用される。また、起歪体(ロードセル本体部)14には以下に述べる測定回路基板(以下、「測定回路」という。)15が一体的に装着されて、デジタルロードセルの構成をなしている。なお、測定回路15は取付部13の内部に設けられる場合もある。
第1演算増幅器33において、入力正端子33aはフルブリッジ回路21の接続点24に接続され、入力負端子33bは出力端子33cに接続され、出力端子33cは抵抗器40に接続されている。
第2演算増幅器34において、入力正端子34aは2つの固定抵抗器28,29の接続点41に接続され、入力負端子34bは出力端子34cに接続され、出力端子34cは抵抗器42,43に接続されている。
第3演算増幅器35において、入力正端子35aは回路のアース44に接続され、入力負端子35bは、抵抗器40,42に接続されるとともに、抵抗器45を介して出力端子35cに接続され、出力端子35cはA/D変換器31に接続されている。
第4演算増幅器36において、入力正端子36aはフルブリッジ回路21の接続点25に接続され、入力負端子36bは、抵抗器43に接続されるとともに、抵抗器46を介して出力端子36cに接続され、出力端子36cはA/D変換器32に接続されている。
図6に示されるように、コンベヤスケール本体1の各ロードセル6,7は、表示操作装置60の演算回路とシリアル信号通信用の共通のシリアルラインcを介して接続され、表示操作装置60側がマスターコントローラ、ロードセル6,7側がスレーブコントローラをなし、表示操作装置60側からのポーリングによって双方向にデータが通信される。より具体的には、シリアルラインcは、後述する基本区間の輸送量を表示操作装置60へ出力するとともに、表示操作装置60から零点調整時の零点記憶、初期重量記憶、スパン係数の算出記憶などの操作指令信号(コード)が伝送される。
表示操作装置60はキースイッチ66によって稼働運転ON又はOFFが設定される。表示操作装置60で稼働運転ONがキースイッチ66によって設定されると、表示操作装置60は動的計測モードになり、動的計測モード指令信号がコンベヤスケール本体1のロードセル6,7へ送られる。また、稼働運転OFFがキースイッチ66によって設定されると、表示操作装置60は静止計測モードになり、静止計測モード指令信号がコンベヤスケール本体1のロードセル6,7へ送られる。
ロードセル6,7の異常判定処理に関して、ハーフブリッジ出力1,2の荷重信号W11,W21,W12,W22の処理には、それぞれ独立してスパン係数、零点重量記憶メモリ、初期重量記憶メモリを設ける。
ロードセル6,7単体の調整においては、ロードセル6,7のシリアルラインcが、図6に示されるのと同じ構成のロードセル調整装置のシリアルラインcと接続され、ロードセル6,7への供給電源がロードセル調整装置から供給される。ロードセル6,7は負荷荷重試験装置にセットされる。また、ロードセル調整装置には初期荷重記憶スイッチ、スパン係数設定スイッチ、調整モード計測スイッチが設けられる。
上述したように静止計測モードではWa11がT1時間毎に生成される。ハーフブリッジ出力1の荷重信号W11は、次式にて算出される。
W11=K11・(Wa11−Wi11´)
次に、既知の荷重値Msを持つ基準荷重をロードセル6に掛ける。すると、W11は基準荷重だけ増加変化し、表示値もそれだけ増加する。W11の表示値を観測しながら、作業者がロードセル調整装置にてスパン記憶スイッチを操作すると、スパン係数記憶指令コードがロードセル6へ伝送され、ロードセル6の演算回路27にてK11=Ms/(Wa11−Wi11´)と演算され、K11の値がスパン係数として演算される。この算出されたスパン係数K11は当該ロードセルのスパン係数としてロードセル6内のメモリブロック53に登録される。こうして、W11の表示値は、スパン係数が1よりK11に置き換えられ、Msの値となる。
これ以降、ロードセルが調整用静止計測モードに指定されていれば、スパン係数K11の値の定まったW11=K11・(Wa11−Wi11´)の値がロードセルよりWa11の内容が更新され、W11が更新される毎に出力される。
次に、上述のように単体で調整されたデジタルロードセルをコンベヤスケールの計量ローラ4の両端に装着し、図6に示されるように、ロードセル6,7のシリアルラインcを表示操作装置60のシリアルラインcと接続し、ロードセル6,7への供給電源も表示操作装置60の電源64から与える。なお、調整時点でロードセル6,7は正常な出力であるとする。
ロードセル6のハーフブリッジ出力1,2の荷重信号:
W11=K11・(Wa11−Wi11)−Wz11
W21=K21・(Wa21−Wi21)−Wz21
ロードセル7のハーフブリッジ出力1,2の荷重信号:
W12=K12・(Wa12−Wi12)−Wz12
W22=K22・(Wa22−Wi22)−Wz22 ・・・(1)
以下、ロードセル6について述べる。まず、静止計測モードに指定されたロードセルにおいて、上述のようにWa11,Wa21がT1時間毎に生成されて表示操作装置60へ伝送され、表示操作装置60の中央演算処理装置62でWa11,Wa21の複数個の平均値が算出されて上記式(1)に入れられ、W11,W21の値として、M個の移動平均値又はM個単位毎の平均値が算出され、表示操作装置60へ伝送され、表示器65に表示される。
ロードセル7についてもロードセル6と同様に実施される。
パルス発信器8はコンベヤ2がΔL(m)進む毎に1パルスを出力するものとし、働長をL(m)とし、これら1パルス当たりのコンベヤ移動距離ΔLと、働長Lとを表示操作装置60に設定する。コンベヤ重量などを初期荷重として差し引くものとし、L(m)のコンベヤ働長部にW(kg)の負荷が積載されているとき、1本の計量ローラ4を支持するロードセル6の被計量物の負荷荷重による出力をW1、ロードセル7の出力をW2とすると、コンベヤ2の単位長さ当たりのロードセル6,7への負荷荷重はそれぞれW1/L,W2/L(kg/m)である。
Q110=Q110´−W11dz
Q210=Q210´−W21dz
Q120=Q120´−W12dz
Q220=Q220´−W22dz ・・・・・(4)
これらQ110,Q210の値はパルス数N0毎にロードセル6から、またQ120,Q220の値はパルス数N0毎にロードセル7から表示操作装置60へ伝送される。一方、コンベヤ2としての基本区間輸送量Qt0は、表示操作装置60内の演算回路で次式(5)にて演算され、Q110,Q210,Q120,Q220の値が表示器65に表示される。なお、ハーフブリッジ出力1,2に基づく輸送量の和を2で割るのは、ロードセル6,7への負荷荷重に相当する信号をハーフブリッジ出力1,2がそれぞれ単独で出力するように調整しているためである。
Qt0=(Q110+Q210+Q120+Q220)/2・・・・・(5)
次に、稼働運転中に行われるロードセルの出力異常を検出するための演算処理について説明する。この演算処理は表示操作装置60の演算回路における中央演算処理装置62の中の出力異常検出部(本発明における「出力異常検出手段」に対応する。)において実行される。表示操作装置60へロードセル6,7についての基本区間輸送量Q110,Q210,Q120,Q220が伝送される毎に、ロードセル6についてハーフブリッジ出力1,2の基本区間輸送量比率R1と、ロードセル7についてハーフブリッジ出力1,2の基本区間輸送量比率R2とを次式(8)により算出し、式(9)に示されるように、予め設定された許容値Rhと比較する(出力変化検出手段)。
R1=(Q110/Q210)−1
R2=(Q120/Q220)−1 ・・・・・(8)
|R1|又は|R2|>Rh ・・・・・(9)
式(9)のいずれかが成立すれば、成立した方のロードセルが異常であると特定される。なお、R1,R2は出力比較比率と称する。この出力比較比率について、ロードセルへの負荷荷重の増減による出力変動については相殺される。出力比較比率の変動は1つのロードセルの中でいずれかのハーフブリッジ出力のスパン又は零点の変動を意味する。
異常なハーフブリッジを自動的に特定するための演算処理は、表示操作装置60の演算回路における中央演算処理装置62の中の出力異常ハーフブリッジ特定部(本発明における「出力異常ハーフブリッジ特定手段」に対応する。)において実行される。特定のロードセルのいずれかのハーフブリッジ出力のスパン又は零点変動が異常な大きさであると判定された場合、稼働運転を停止させることなく、自動的に、いずれのハーフブリッジ出力のスパン又は零点が増加方向又は減少方向に変動したかについては、特定ロードセルのハーフブリッジ出力による基本区間輸送量と、残りのロードセルに出力による基本区間輸送量との関係を以下のように定義して行う。
W1=(1/2)・(W11+W21)
W2=(1/2)・(W12+W22)
であるから、ロードセル6,7におけるフルブリッジ出力W1,W2による基本区間輸送量Q10,Q20は、次式(10)となる。
Q10=(1/2)・(Q110+Q210)
Q20=(1/2)・(Q120+Q220) ・・・・・(10)
これらの値は各ロードセル6,7から表示操作装置60へ伝送されたQ110,Q210,Q120,Q220を用いて表示操作装置60にて算出される。また、これ以降の演算、判定についても表示操作装置60にて行われる。
ロードセル6について
r11=(Q110/Q20)−1
r21=(Q210/Q20)−1
ロードセル7について
r12=(Q120/Q10)−1
r22=(Q220/Q10)−1 ・・・・・(11)
ハーフブリッジ出力の比較(出力比較比率)によって出力の異常なロードセルが特定されたとき、いずれのハーフブリッジ出力が異常で、かつその出力が増加また減少しているかの判定は上記の相対比率の増減の判定によって行う。
ロードセルを単体で調整する時点で基準の負荷荷重に対する各ロードセルのフルブリッジ出力変化と2つのハーフブリッジ出力変化は等しくなるようにそれぞれのスパンが調整・設定され、かつ零点も調整されているので、全てのロードセルのハーフブリッジ出力が正常で、コンベヤ2上の物品の負荷荷重がロードセル6,7に均等に配分されるのであれば、任意の荷重負荷に対して、ほぼ、r11=r21=r12=r22=0である。
〔判定論理1〕
式(9)において、R1>Rhによる異常検出があるときには、W2の出力と比べて
1)W11の出力がeを超えて増加、W21の出力は正常
2)W11の出力は正常、W21の出力がeを超えて減少
のいずれかであるから、r11の値が増加変化していれば1)による故障であり、r21の値が減少変化していれば2)による故障である。
〔判定論理2〕
式(9)において、R1<―Rh=−eによる異常検出があるときには、W2の出力と比べて
1)W11の出力がeを超えて減少、W21の出力は正常
2)W11の出力は正常、W21の出力がeを超えて増加
のいずれかであるから、r11の値が減少変化していれば1)による故障であり、r21の値が増加変化していれば2)による故障である。
なお、他のロードセル7のハーフブリッジ出力W12,W22については、ロードセル6のフルブリッジ出力W1に基づく基本区間輸送量と比較され、同様に判定される。
r11=(k1/k2)・(1+e)=(k1/k2)+(k1/k2)・e
・・・・・(12)
D11=r11v−r11i=(k1/k2)・e ・・・・・(13)
として変化量(k1/k2)・eを評価するようにすれば、k1/k2≠1であるから、この変化量はeではないが、十分大きい基本輸送量を見込めばk1/k2は約1であるのでほぼeに近い変化量を評価することができる。
ロードセル出力が正常に近い状態(下記1)及び3))における相対比率と、ロードセル出力が異常に近い状態(下記2)及び4))における相対比率を、出力比較比率(出力変化率)の範囲によって分類して統計データを求めるために集計する。ここで、ハーフブリッジ出力1,2のスパン異常又は零点異常を判定する出力比較比率の許容値をRh(=e)とする(Rhの値は予め設定される。)。
式(8)の出力比較比率R1と、式(11)の相対比率r11、r21とを算出して、
1)0<R1≦(Rh/4)の範囲
レジスタR11aにr11をストア、レジスタR11a´にr112をストア、レジスタR21aにr21をストア、レジスタR21a´にr212をストアして、回数カウンタCA1aをインクリメントする。
この1)の範囲では、R1ができるだけ0に近い時点の値のr11,r21の値、すなわちr11,r21の変化ができるだけ小さい時点の値を扱う方が下記2)の範囲の集計値との差(下記D11,D21)が大きくなって判定が精確になるので、R1が0に近い間にr11,r21を集める。
シフトレジスタにv個集めた時点でストアを停止させ、下記の正常時の平均値r11ai,r21aiと正常時の標準偏差σ11ai,σ21aiを算出する。一方、ロードセルが異常になる変化が早く、R1が初めてR1>(Rh/4)になった時点で集計回数がv個に至らなかった場合には、自己復帰不可能の旨を警報すると同時にロードセル6の出力異常も警報・サイン表示する。
レジスタR11bにr11をストア、レジスタR11b´にr112をストア、レジスタR21bにr21をストア、レジスタR21b´にr212をストアして、回数カウンタCA1bをインクリメントする。
この2)の範囲では、R1ができるだけRhに接近した時点の値のr11,r21の値、すなわちr11,r21の変化ができるだけ小さい時点の値を扱う方が上記1)の範囲の集計値との差(下記D11,D21)が大きくなって判定が精確になるので、v個のメモリからなるシフトレジスタを用意し、r11,r21とr112,r212のv個分のストアが完了すると、最も古い集計値を捨てて新たな集計値をシフトレジスタにストアし、シフトレジスタには常に最新のv個のデータが保存されるようにし、R1>Rhになった時点で下記の異常時の平均値r11av,r21avをシフトレジスタの内容を用いて求める。また、異常時の標準偏差σ11av,σ21avもシフトレジスタの内容に基づいて算出する。
レジスタR11cにr11をストア、レジスタR11c´にr112をストア、レジスタR21cにr21をストア、レジスタR21c´にr212をストアして、回数カウンタCA1cをインクリメントする。
この3)の範囲での集計は上記1)の範囲での集計と同様に実施する。
レジスタR11cにr11をストア、レジスタR11d´にr112をストア、レジスタR21dにr21をストア、レジスタR21d´にr212をストアして、回数カウンタCA1dをインクリメントする。
この4)の範囲での集計は上記2)の範囲での集計と同様に実施する。
i)R1>Rhが成立したとすると、上記1)2)の集計結果を持って比較判定する。
また、
ii)R1<−Rhが成立したとすると、上記3)4)の集計結果を持って比較判定する。
・上記1)の0<R1≦(Rh/4)の範囲の集計レジスタのデータを使用してr11の平均値r11aiと標準偏差σ11ai及びr21の平均値r21aiと標準偏差σ21aiを求める。
・上記2)のR1>(3/4)・Rhの範囲の集計レジスタのデータを使用して異常時のr11の平均値r11avと異常時の標準偏差σ11av及びr21の平均値r21avと標準偏差σ21avを求め、r11,r21の正常時から異常時への変化量D11,D21を、次式(14)にて算出する。
D11=r11av−r11ai
D21=r21av−r21ai ・・・・・(14)
また、R1の値が上記2)のR1>(3/4)・Rhの範囲の場合には、r11としてはほとんどK1´・(1+(3/4)・Rh)〜K1´・Rhの値が集計される。一方、r21としてはほとんど−K1´・(1−Rh/2)〜K1´・(1+Rh/2)の値が集計される。
D11≒(3/4)・Rh
D21≒0 ・・・・・(15)
また、異常検出がr21の減少変化によるものであれば、変化量D11,D21は、次式(16)にて算出される。
D11≒0
D21≒−(3/4)・Rh ・・・・・(16)
まず、変化量D11=r11av−r11aiにおけるr11av,r11aiのバラツキ量を調べる。ここで、特別な運転条件の変更がない限り、稼働運転開始後のv個の集計データと稼働運転途中のv個の集計データにおけるバラツキの標準偏差σ11aiとσ11avとはほぼ等しいと考えられるので、稼働運転開始後のv個の集計データによってD11のバラツキσd1を次式(17)にて定め、D21のバラツキσd2についても上述の標準偏差σ11aiと同様に算出して次式(17)にて定める。
σd1=(σ11ai2+σ11av2)1/2≒21/2・σ11ai
σd2=(σ21ai2+σ21av2)1/2≒21/2・σ21ai・・・・(17)
バラツキの大きさを2シグマ(3シグマとしても良い。)で評価するものとすれば、
2・σd1<(3/4)・Rh ・・・・・(18)
であれば、図7に示されるように、D11(D21についても同様)がほぼ確実にスパンが0から増加変動しているものであることを識別することができる。
Rh>(8/3)・σd1 ・・・・・(19)
こうして、
D11>0で、かつD11>Rhであれば、r11がスパン増加
D21<0で、かつD21>Rhであれば、r21がスパン減少・・・・(20)
であると判定することができる。
Max.|(v個の個別データ−v個のデータの平均値|×2
を使用しても良い。
Rhが式(19)のように設定されていなければ異常なハーフブリッジを特定することができないので、バラツキ量については稼働運転中は常に同じ条件であるから、式(17)が成立するものとして許容値を次式(21)を満足するように設定する必要がある。すなわち、式(17)を式(19)に代入して、
Rh>(8/3)・21/2・σ11ai ・・・・・(21)
1)まず、稼働運転前に許容値Rhを設定する。
2)稼働運転後は上述の分類集計演算における1)3)に定めたR1,R2の範囲に基づいてレジスタへ集計する。
3)シフトレジスタにv個のデータが集計されると、その時点でr11,r21についてσ11ai,σ21aiを算出する。
1台のコンベヤ2における各ロードセルに対するバラツキ条件はほぼ同じであるから、R2についてもR1と並列に演算され、ほぼ同じ値の標準偏差Rh´が得られる。ここで、r11〜r22についての最大の標準偏差を選択してRh´であるとする。これが仮にr11についての標準偏差であったとすると、次式(22)となる。
Rh´=(8/3)・21/2・σ11ai ・・・・・(22)
4)a.設定値RhがRh>Rh´であれば、
・上記分類集計演算において、R1,R2に関する範囲2)4)のRhをそのまま使用する。
・R1,R2のいずれかがRhを超えると(|Rn|>Rhであると)、ロードセルLCnのスパン異常を警報し、サイン表示する。同時に自己復帰操作可能サインを表示する。
b.設定値RhがRh≦Rh´であれば、
上記分類集計演算において、R1,R2に関する範囲2)4)のRhをRh´に置き換えて実施する。ただし、ロードセルの異常判定は予め設定されたRhに基づいて行う。
・R1,R2のいずれかがRhを超えると(|Rn|>Rhであると)、ロードセルLCnのスパン異常を警報し、サイン表示する。同時に自己復帰操作可能サインを表示する。
・R1,R2のいずれかがRh´を超えると自己復帰操作可能サインを表示する。
上述の説明では、収容バラツキによるr11〜r22のバラツキを平均値を求めることによって減衰させるようにしたが、他の手段にて行っても良い。例えば基本区間輸送量毎に中央値を求めて代表値とし、v個の代表値による平均値、標準偏差を求める方法、あるいは、基本区間輸送量毎に最小二乗法によって直線式を求め、この直線式から中央の回数である(v/2)回に対応する値を代表値とし、v個の代表値による平均値、標準偏差を求めるなど、種々のバラツキ減衰演算を用いることができる。
D11=r11av
D21=r21av
であり、式(19)は、
σd1=σ11ai=σ11av
σd2=σ21ai=σ21av
となる。したがって、Rh´=σ11aiと算出する。
(1)稼働運転停止できないときの復帰法
まず、自己復帰操作可能サインが表示されたとき、稼働運転を停止せずに補正を実施する方法について述べる。
稼働運転が停止できないときにはロードセルに異常な出力変動があってもそれがスパンの異常によるものか、零点の異常によるものかを識別することができない。コンベヤスケールは長時間連続運転されるので、零点調整する機会がない。しかし、故障の確率からすれば、電気的には絶縁抵抗低下による起歪部に貼付されたストレインゲージのいずれかの等価抵抗値の変化や、機械的衝撃による起歪部のいずれかの歪みによる出力バランス変化による零点変動の方が、起歪部の腐食によるバネ定数の変化やゲージベースの吸湿によるスパン変動より高いので、基本区間の輸送量の変動率だけロードセルの零点が変動したものとして以下のように補正として異常な方のハーフブリッジ出力の零点補正を実施する。
Wz11q+Q110・Rh→Wz11q ・・・・・(23)
そして、基本区間輸送量Q110に対して、
Q110−Wz11q ・・・・・(24)
と補正し、補正した値を新たな基本区間輸送量とする。
なお、Q110がバラツキの大きな値であることが問題になる場合には、Q110〜Q220についてもそれぞれ最新のv個を記憶するシフトレジスタを用意し、補正時点でシフトレジスタの内容を加算してv個の平均値を求めてQ110〜Q220の代わりに使用するようにすると良い。
(1−Rh)・M11q→M11q
を演算し、Q110を新たに算出したM11qでもって、
M11q・Q110 ・・・・・(25)
と補正し、この補正した値を新たな基本区間輸送量Q110とする。
ここで、M11qの初期値は1にセットされている。M11qの内容を1に戻すには、強制スパン補正リセットスイッチを押すか、又はコンベヤの稼働運転停止にて後述のスパン補正スイッチを押す。
自己復帰操作可能サインが表示される、されないに拘わらず、ロードセルの異常警報が出力されたり、異常サインが表示された際に、コンベヤを停止できる状況の場合には、稼働運転を停止させて異常なロードセルの方の異常なハーフブリッジの零点及びスパンの異常変動を精確に判定し、補正を実施する。
表示操作装置60の基準重量参照値呼び出しスイッチを押すと、基準重量参照値呼び出し指令がロードセル6,7の演算回路へ出力され、指令を受けた演算回路から基準重量参照値記憶メモリWs11,Ws21;Ws12,Ws22に登録された参照用重量値ws11,ws21;ws12,ws22が呼び出され、表示操作装置60へ伝送され、表示器65に表示される。
ロードセル6について、現在の基準重量ローラ11の荷重表示値ws11´,ws21´が、ロードセルが正常時に記憶された参照用重量値ws11,ws21と異なっていれば、スパン異常と判定できるので、現在の荷重表示値を参照値と比較することによっていずれのロードセルのいずれのハーフブリッジ出力がスパン異常であるかを判定することができる。
S11=(ws11´/ws11)−1
S21=(ws21´/ws21)−1 ・・・・・(26)
ロードセル6のハーフブリッジ1のスパン補正指令であれば、演算回路内でS11の値がスパン変動率メモリMe11に登録されるとともに、この指令を受けて以降はロードセル6の演算回路内ではW11において、スパン係数K11として、次式によって出力が算出される。
W11=K11(1−Me11)・(Wa11−Wi11)−Wz11・・(27)
なお、これら基準重量参照値の呼び出しやスパン補正操作は、異常検出の警報の有無に拘わらず、任意の時点でコンベヤ2の稼働運転を停止させて実施しても良い。
前記実施形態におけるロードセルでは、図4に示されるように、ハーフブリッジ毎の荷重信号を得るとともに、フルブリッジ出力は2つのハーフブリッジ出力を加算することにより得るものについて説明したが、このようなシステム構成に代えて、図8に示されているように、フルブリッジ出力をハーフブリッジ出力から独立させて検出するようなシステム構成とすることもできる。なお、本実施形態において、先の実施形態と同一又は共通する部分については図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略することとし、以下においては先の実施形態と異なる点を中心に説明することとする。
また、先の実施形態では、フルブリッジ回路21における接続点22の電位が+Vで接続点23の電位が零の直流電圧が印加されているが、本実施形態では、接続点22の電位が+Vで接続点23の電位が−Vの直流電圧が印加されている。この場合、先の実施形態では必要とされる電圧参照用の固定抵抗28,29によるハーフブリッジ回路21a,21bは不要となる。
第1演算増幅器71において、入力正端子71aはフルブリッジ回路21の接続点24に接続され、入力負端子71bは出力端子71cに接続され、出力端子71cは抵抗器76,77に接続されている。
第2演算増幅器72において、入力正端子72aはフルブリッジ回路21の接続点25に接続され、入力負端子72bは出力端子72cに接続され、出力端子72cは抵抗器78及び第4演算増幅器74の入力正端子74aにそれぞれ接続されている。
第3演算増幅器73において、入力正端子73aは、抵抗器78に接続されるとともに、抵抗器79を介して回路のアース80に接続され、入力負端子73bは、抵抗器76に接続されるとともに、抵抗器81を介して出力端子73cに接続され、出力端子73cはアナログスイッチ82を介してA/D変換器70に接続されている。
第4演算増幅器74において、入力正端子74aは第2演算増幅器72の出力端子72cに接続され、入力負端子74bは、抵抗器83を介して回路のアース80に接続されるとともに、抵抗器84を介して出力端子84cに接続され、出力端子84cはアナログスイッチ85を介してA/D変換器70に接続されている。
第5演算増幅器75において、入力正端子75aは抵抗器86を介して回路のアース80に接続され、入力負端子75bは、抵抗器77に接続されるとともに、抵抗器87を介して出力端子75cに接続され、出力端子75cはアナログスイッチ88を介してA/D変換器70に接続されている。
2 コンベヤ(ベルト)
4 計量ローラ
6,7 ロードセル(ロードセル)
8 パルス発信器
9,10 基準重量支持金具
11 基準重量ローラ
12 位置決め機構
14 起歪体
145 測定回路
16〜19 ストレインゲージ
20 荷重支持部
21 ホイートストーンブリッジ回路
26,26A 増幅・A/D変換回路
27 演算回路
51 入出力回路
52 中央演算処理装置
53 メモリブロック
60 表示操作装置
61 入出力回路
62 中央演算処理装置
63 メモリブロック
65 表示器
Claims (15)
- コンベヤを両側から支持する2個のロードセルの出力する荷重信号に基づいて、前記コンベヤ上を搬送される被計量物の輸送量を算出するコンベヤスケールにおいて、
前記ロードセルの起歪部に貼付した少なくとも4個のストレインゲージで構成されるホイートストーンブリッジ回路における2個の端子からの出力信号に基づいて生成される2個のハーフブリッジ荷重信号が、前記ロードセルへの同一の負荷荷重に対して略同じ大きさの荷重信号となるように調整して出力するハーフブリッジ荷重信号出力手段を備えることを特徴とするコンベヤスケール。 - 前記ハーフブリッジ荷重信号出力手段から出力される2個のハーフブリッジ荷重信号の零点を個別に調整する個別零点調整手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のコンベヤスケール。
- 前記個別零点調整手段によって零点変動分を相殺できるように生成される少なくとも1個のハーフブリッジ荷重信号を表示するハーフブリッジ荷重信号表示手段を備えることを特徴とする請求項2に記載のコンベヤスケール。
- 前記ハーフブリッジ荷重信号出力手段から出力される2個のハーフブリッジ荷重信号を比較することによって前記ロードセルのうちで出力変動の異常なロードセルを検出する出力異常検出手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のコンベヤスケール。
- 前記出力異常検出手段によって検出された出力変動の異常なロードセルにおける前記2個のハーフブリッジのうちで荷重信号出力が異常なハーフブリッジを自動的に特定する出力異常ハーフブリッジ特定手段を備えることを特徴とする請求項4に記載のコンベヤスケール。
- 前記出力異常ハーフブリッジ特定手段は、前記荷重信号出力が異常であると特定されたロードセルにおいて前記ハーフブリッジ荷重信号出力手段から出力される2個のハーフブリッジ荷重信号を比較することにより出力変化を検出する出力変化検出手段と、前記荷重信号出力が異常であると特定されたロードセルにおいて前記ハーフブリッジ荷重信号出力手段から出力される2個のハーフブリッジ荷重信号のそれぞれの出力信号と、前記荷重信号出力が異常であると特定されたロードセル以外のロードセルからの出力信号とを比較する相対比較手段とを備え、前記出力変化検出手段による比較結果と前記相対比較手段による比較結果とに基づいて荷重信号出力が異常なハーフブリッジを特定することを特徴とする請求項5に記載のコンベヤスケール。
- 前記相対比較手段による比較結果のバラツキの大きさに基づいて前記出力異常ハーフブリッジ特定手段における前記荷重信号出力が異常であるハーフブリッジを特定するための許容値を設定することを特徴とする請求項6に記載のコンベヤスケール。
- 前記出力変化検出手段は、該出力変化検出手段による比較結果の変化の大きさが0の近傍である時点において前記相対比較手段の比較結果を集計するとともに、前記出力変化検出手段による比較結果の変化の大きさが許容値の近傍である時点において前記相対比較手段の比較結果を集計することによって、ロードセルが正常である状態からの出力変化の大きさを算出することにより出力変化を検出することを特徴とする請求項6に記載のコンベヤスケール。
- 前記出力変化検出手段における2個のハーフブリッジ荷重信号の比較は、前記荷重信号出力が異常であると特定されたロードセルにおいて前記ハーフブリッジ荷重信号出力手段から出力される2個のハーフブリッジ荷重信号に基づく前記コンベヤが所定距離だけ移動したときの輸送量の比較であることを特徴とする請求項6に記載のコンベヤスケール。
- 前記相対比較手段による比較に際して、前記荷重信号出力が異常であると特定されたロードセルにおいて前記ハーフブリッジ荷重信号出力手段から出力される2個のハーフブリッジ荷重信号に基づく前記コンベヤが所定距離だけ移動したときの輸送量に基づき前記輸送量のバラツキを減衰させるバラツキ減衰手段を備えることを特徴とする請求項6に記載のコンベヤスケール。
- 前記出力異常ハーフブリッジ特定手段は、前記出力変化検出手段による比較結果に基づいて、前記異常であると特定されたハーフブリッジについてのハーフブリッジ荷重信号のスパンを補正するスパン補正手段を備えることを特徴とする請求項6に記載のコンベヤスケール。
- 前記出力異常ハーフブリッジ特定手段は、前記出力変化検出手段による比較結果に基づいて、前記異常であると特定されたハーフブリッジについてのハーフブリッジ荷重信号を、異常であると特定されない方のハーフブリッジについてのハーフブリッジ荷重信号で代替させるハーフブリッジ信号代替手段を備えることを特徴とする請求項6に記載のコンベヤスケール。
- 前記出力異常ハーフブリッジ特定手段は、前記出力変化検出手段による比較結果と前記相対比較手段による比較結果とに基づいて、前記荷重信号出力が異常であるロードセルを特定した時点で、前記特定したロードセルにおける異常であるハーフブリッジを特定することを特徴とする請求項6に記載のコンベヤスケール。
- 前記2個のロードセルに対して、基準重量物品の荷重が一定の比率に配分されるように前記基準重量物品を積載する積載機構と、前記2個のロードセルに一定比率配分された基準重量物品の荷重に基づく、前記2個のロードセルから出力される前記2個のハーフブリッジ荷重信号のそれぞれを基準重量参照値として記憶する基準重量参照値記憶手段とを備える請求項1に記載のコンベヤスケール。
- 前記積載機構に前記基準重量物品を積載することによって前記2個のロードセルに一定比率配分された基準重量物品の荷重信号と、前記2個のロードセルから出力される2個のハーフブリッジ毎の基準重量参照値とに基づいて、前記ロードセルのスパン補正操作が実施される請求項14に記載のコンベヤスケール。
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