JP5774594B2 - 僧帽弁修復のための経皮的弁口環内バンド - Google Patents

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Description

[関連出願の相互参照]
本出願は、2008年4月16日出願の米国特許出願番号12/104,011、2009年10月14日出願の米国特許出願番号12/579,330、2009年10月14日出願の米国特許出願番号12/579,331、及び2009年10月14日出願の米国特許出願番号12/579,364に関連し、これらの開示のすべては参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本発明の実施形態は一般に、例えば、僧帽弁又は大動脈弁逆流を治療するための弁口バンドの使用を伴う弁膜逆流、又は僧帽弁や三尖弁逸脱の治療に関する。
心臓は、その各部が身体のすべての部分に血液を押し進めるために一斉に働く、二重(左側と右側)の、自己調節式の筋ポンプである。心臓の右側は、身体の上大静脈と下大静脈から酸素の乏しい(「静脈」)血液を受け取り、それを酸素化のために肺動脈を通じて肺へと送り出す。左側は、肺から肺静脈を通じて酸素に富む(「動脈」)血液を受け取り、それを身体に分配するために大動脈に送り出す。
心臓は、各側に2つ、すなわち右心房と左心房、右心室と左心室の4つの心腔を有する。心房は血液を受け取る心腔であり、心室に血液を送り出す。心房中隔と呼ばれる、膜性部及び筋性部から成る壁が、右心房と左心房とを分離する。心室は血液を吐出する心腔である。心室中隔と呼ばれる、膜性部及び筋性部から成る壁が、右心室と左心室とを分離する。
心臓の右側と左側の同期性のポンプ動作が心臓周期を構成する。周期は、心室拡張期と呼ばれる心室の弛緩期で始まる。周期は、心室収縮期と呼ばれる、心室収縮期で終わる。
心臓は、心臓周期の間に血液が間違った方向に流れないことを保証する、すなわち、血液が心室から対応する心房の中に逆流しないこと、又は動脈から対応する心室の中に逆流しないことを保証する、4つの弁を有する。左心房と左心室の間の弁が僧帽弁である。左心房と左心室の間の弁が三尖弁である。肺動脈弁は肺動脈の開口部にある。大動脈弁は大動脈の開口部にある。
さまざまな疾患過程が、これらの弁の1つ以上の適正な機能を損なうことがある。これらは、変性過程(例えば、バーロー疾患、線維弾性の欠乏)、炎症性過程(例えば、リューマチ性心疾患)及び感染過程(例えば、心内膜炎)を含む。さらに、以前の心臓発作による心室の損傷(すなわち、冠動脈疾患の二次的な心筋梗塞)又は他の心臓疾患(例えば、心筋症)は、弁の幾何学的形状を歪めて機能障害を引き起こすことがある。
僧帽弁は、前尖及び後尖から成る。弁尖の基部は、弁の離開を防止する円周方向の部分的に線維性の構造体である弁輪に固定されている。索及び乳頭筋の弁下組織は、弁が左心房の中に逸脱するのを防ぐ。僧帽弁疾患は、弁又は弁下構造の病理学的病変の複雑に変化したものとして表現できるが、弁の機能状態にも関連付けることができる。機能上、僧帽弁疾患は、増加した弁尖の動き、すなわち逆流につながる弁尖逸脱、又は減少した弁尖の動き、すなわち閉塞及び/又は血液の逆流につながる制約された弁尖の動きの、2つの異常に分類することができる。
弁尖逸脱は、心室収縮中に、弁尖の一部が口の平面を乗り越える時として定義される。僧帽弁逆流はまた、輪状心室組織の変化及び心室形状の幾何学形状の変化とそれに続く不完全な弁尖接合に続いて発現することがある。虚血性心不全において、これは乳頭又は側壁筋の機能障害が原因である可能性があり、虚血性ではない心不全では、輪状拡大及び腱索係留に起因する可能性があり、すべては機能不全のリモデリングの結果である。
僧帽弁の機能障害の主な原因は逆流であり、これは無効なポンプ機能を生じさせ、心室及び心房拡大、肺高血圧症、そして最終的には死亡といった幾つかの有害な状態を招く。
外科的矯正の主な目的は正常機能を取り戻すことであり、必ずしも解剖学的矯正ではない。これは、弁の交換又は弁の再構築によって達成される。どちらの処置も、心肺バイパスの使用が必要であり、無視できない早期罹患及び死亡率のリスクと、かなりの術後疼痛と共に何ヶ月もの術後リハビリを伴う大きな外科的手術である。従来、機能的僧帽弁逆流のある患者への外科的手法は、僧帽弁の交換であったが、血栓塞栓性合併症、抗凝固療法の必要性、弁の不十分な耐久性、心室機能及び幾何学的形状の損失などある種の不都合な結果を伴う。
従って、僧帽弁の再構築は僧帽弁逆流の矯正のための好ましい治療であり、典型的には、後弁の四角切除(弁形成)とリングを弁輪の上に縫合することによる僧帽弁輪の縮小(弁輪形成術)とが組み合わされたものである。これらの処置は、外科的に困難であり、最適な外科的結果のために、無血のよく露出された手術野が必要である。この技術には事実上、30年以上にわたって変化がない。
より最近では、弁の逸脱は、逸脱している弁尖の自由縁を、対向する弁尖の対応する自由縁に固定し、それにより必ずしも接合ではなく付着を復元することによって修復されている。この処置では、完全接合を得るためにリング弁輪形成術も必要とされる。
一般にエッジ・ツー・エッジ(edge-to-edge)又は「アルフィエリ(Alfier)」修復と呼ばれるこの方法はまた、二重孔弁の形成とそれによる有効口面積の減少など特定の欠点を有する。カテーテルを通じてクリップを配置して弁の縁を縫合することによって僧帽弁逆流を修復するための、エッジ・ツー・エッジ技術に関連するあまり侵襲的でない手法が幾つか提案されている。しかし、依然として弁輪形成処置を行うには、この弁輪形成処置はカテーテル技術によって未だ解決されていないために従来の外科手術によって実施されることになり、そのためこの方法は実際的でないものになっている。
現在利用可能なさまざまな外科的技術と、将来の有望なカテーテルベースの処置の存在にもかかわらず、僧帽弁逆流を減少させるために単純であるが有効な装置、及び対応する外科的で最小限に侵襲的な、又は経脈間処置が依然として求められている。
本発明の特徴及び利点は、添付の図及び請求項とともに考慮した場合、以下の好ましい実施形態の詳細な説明を見れば当業者には明らかとなる。
本発明の一部の実施形態は、僧帽弁逸脱及び僧帽弁逆流を治療するための弁口環内バンドを対象としている。本明細書で使用される場合、「弁口」という用語は、何らかの方法で弁表面「を横切って」、「の上にある」、又は「を通りぬける」を包含し、「環内」は、生来の弁輪内又は弁輪内で機能する役割を果たす環状バンドに、軸方向の空間的基準を提供する。弁軸に関した軸方向とは、弁の軸に沿っているという意味であり、心房に関して「上の」、又は心室に対して「下の」位置を示す可能性がある。具体的には、それは平面が前述の軸によって貫通されている軸を作り、各心臓周期中の弁平面又は一連の平面での接合に対処するために環内であるが、心臓周期中に明らかに環下又は環上であり得る本発明の他の顕著な特徴を取り除かない実施形態を包含する。さらに、以下の説明の用語は、「渡環バンド」又は「バンド」を使用する場合があり、それはそれぞれの軸に関する説明用語の記載の有無にかかわらず、環下、環内、又は環上であり得るすべての特徴を含むことを意味する。また「オフセット」とは基準フレームから一方向に変位していることを指す。
一部の実施形態では、弁口環内インプラントの送達方法が開示されている。方法には、細長い本体を含む送達カテーテル、可動外鞘、及び縦軸を持ち固定部から少なくとも部分的に縦軸方向にオフセットされた弁尖支持部と固定部を含む弁口環内インプラントを提供するステップ、心臓弁輪の近辺に送達カテーテルを経皮的に送達するステップ、インプラントを半径方向に縮小された第1構成から半径方向に拡大された第2構成に変換するステップ、及びインプラントの縦軸が弁輪内に配置された心臓弁の接合縁に対して実質的に横方向に配向されるように、弁輪内にインプラントを配向するように、その第二の半径方向に拡大された構成でインプラントを心臓弁輪内に配置するステップを含む。心臓弁輪は、例えば、僧帽、大動脈、三尖、又は肺動脈弁輪であり得る。一部の実施形態では、インプラントを半径方向に縮小された第1構成から半径方向に拡大された第2構成に変換することには、送達カテーテルの可動外鞘を格納又は前方に押して、インプラントを露出させることを含む。送達カテーテルはさらに、例えば弁口インプラントに操作可能なように接続されたリング又はステントなど、自己拡張型支持構造を含み得る。弁輪の近辺への送達カテーテルの経皮的送達には、環上位置、環下位置、心房内又は心室内などの心中隔からのアプローチ、血管切開、又は胸腔鏡処置の1つ以上を含む。インプラントの固定部は、インプラントの固定部と弁輪の組織を通して組織アンカーを通過させるなど、弁輪の組織に固定し得る。一部の実施形態では、送達カテーテルの送達には、インプラントに操作可能なように取り付けられた制御ワイヤを提供することを含み、インプラントの配置には、インプラントを動かすために制御ワイヤに張力を加えることを含む。制御ワイヤは、一部の実施形態では、適切に配置した後インプラントから取り外すことができる。
また、本明細書には弁口環内送達システムも開示されている。システムには、細長い本体を含む経皮的送達カテーテル、可動外鞘、及び縦軸を持ち固定部から少なくとも部分的に縦軸方向にオフセットされた弁尖支持部と固定部を含む弁口環内インプラントを含み、ここで弁口インプラントは半径方向に縮小された第1構成から半径方向に拡大された第2構成に変換されるように構成され、弁口インプラントはその半径方向に縮小された第1構成で経皮的送達カテーテル内に収納されるように構成され、インプラントの縦軸が弁輪内に配置された心臓弁の接合縁に対して実質的に横方向に配向されるように、弁輪内にインプラントを配向するように、弁口インプラントはその第二の半径方向に拡大された構成で心臓弁輪内に配置されるように構成される。システムは、インプラントを心臓弁輪内に配置するために、インプラントに操作可能なように取り付けられた制御ワイヤも含み得る。一部の実施形態では、システムは、弁輪の組織にインプラントを取り付けるために、少なくとも1つの組織アンカーも含む。一部の実施形態では、システムは、インプラントを弁輪の組織に固定するために、弁口インプラントに操作可能に接続された自己拡張型支持構造も含む。
1つの実施形態によると、弁口環内バンドが本明細書に開示されている。バンドは、第1端部、第1端部に近接して配置された第1固定部、第2端部、第2端部に近接して配置された第2固定部、及び中央部を有する細長い弓状本体を含む。中央部は、第1端部と第2端部を含む平面から横方向に変位され得る。第1端部と第2端部は、弁輪の平面内の大動脈弁輪に取り付けられるように構成され、中央部は、平面から心室に向かって変位した点で、大動脈弁尖を支持するように構成される。一部の実施形態では、中央部は、第1固定部と第2固定部のどちらよりも狭い。中央部は、オフセット支持部と第1アーム部と第2アーム部も含むことができ、オフセット支持部は第1アーム部と第2アーム部よりも幅が広い。中央部は、さまざまな断面形状、例えば、実質的に三角形、長方形、正方形、円形、卵形、又はその他を持ち得る。
また、本明細書には大動脈弁逆流の治療方法も開示されている。方法には、第1端部、第1端部に近接して配置された第1固定部、第2端部、及び中央部を有する細長い弓状本体を持つ環内バンドを、大動脈弁輪に植え込むことを含む。中央部は、第1及び第2端部を含む平面から変位され得る。次に第1固定部を大動脈弁輪の一部に取り付けることができる。一部の実施形態では、バンドは、大動脈弁輪の直径の約90%、80%、70%、60%、50%、40%又はそれ以下よりも短い距離、横方向にわたるように構成される。バンドは、第2端部に近接して配置された第2固定部も含み得る。環内バンドが大動脈弁の閉鎖によって形成される接合性縁を横方向に横切って延び、中央部が第1固定部及び第2固定部に対して左心室の方に変位されるように、方法は、環内バンドが第2固定部を大動脈弁輪の別の部分に取り付けるステップを含み得る。
また、本明細書には大動脈弁の治療方法も開示されている。方法には、凸形側及び凸形側から延びる突出部を持つ弁口バンドを用意するステップと、凸形側が心室の方向に弁輪の平面を横切って延び、突起部が血流の下流方向に延びて、第1弁尖が突出部の第1側に接触して閉じ、第2弁尖が突出部の第2側に接触して閉じるように、バンドを弁輪に固定するステップを含む。固定ステップには、凸形側が平面から心室の方向に延びて早期弁尖閉鎖をもたらすように、第1端部と第2端部を弁輪の平面内に固定するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、第1及び第2弁尖を突出部に固定するステップも含む。
大動脈弁尖接合を心臓周期のより早い時点に移動させる方法も開示されている。方法には、大動脈弁輪の平面内で取り付けるように寸法設定された環内弁口バンドを用意すること、及び、バンドの一部が平面の心室側に延び、弁尖を支持して弁閉鎖の間に接合性縁の位置が心室の方向に持ち上がるように、バンドを弁輪の平面内に取り付けることを含む。位置を持ち上げるステップは、接合性縁の位置を少なくとも4mm、又は他の実施形態では約6mm〜約12mmの範囲内で持ち上げるステップを含み得る。
また、本明細書には大動脈弁逆流の治療方法も開示されている。方法には、第1組織アンカーを大動脈小葉間三角形の壁に沿った第1位置に送達するステップ、第2組織アンカーを大動脈小葉間三角形の壁に沿った第2位置に送達するステップを含み、第2組織アンカーは第1組織アンカーに操作可能なように接続されており、心臓拡張期中に大動脈弁尖の接合性を改善するために第1位置から第2位置までの距離を減少する。一部の実施形態では、第1組織アンカーと第2組織アンカーは、テザーで操作可能なように接続される。第1位置から第2位置までの距離を減少することには、テザーに張力を与えることを含み得る。張力は、一部の実施形態ではシンチ機構を使って与えることができる。
本発明の1つの態様に従って、虚血性又は拡張型心筋症の治療方法が提供されている。方法は、僧帽弁の平面内に取り付けるように寸法設定された、環内弁口バンドを用意するステップを含む。バンドの一部が平面の心室側に延び、弁尖を支持して弁閉鎖の間に接合性縁の位置が心室の方向に持ち上がるように、バンドは弁輪の平面内に取り付けられている。弁尖の接合を可能にするために、少なくとも1つの辺縁索が操作される。
望まれる臨床転帰によっては、弁尖の接合を可能にするために、少なくとも2個又は3個又は4個又はそれ以上の辺縁索が操作される。辺縁索の操作は、機械的切断機器、又は高周波、マイクロ波、超音波、レーザー、冷凍アブレーション又は当技術分野で知られている他の切断様式を含む、さまざまな組織切断エネルギー様式のうち任意のものによって索を切断することを含み得る。
本発明の特徴及び利点は、添付の図及び請求項とともに考慮した場合、以下の好ましい実施形態の詳細な説明を見れば当業者には明らかとなる。
収縮期中の、正常な僧帽弁を有する心臓の簡易化した断面図である。環内平面は、環上及び環下に対して示されている。 拡張期中の、正常な僧帽弁を有する心臓の断面図である。僧帽弁の軸が図示されており、環内平面を貫通していることが示されている。 左心房から左心室を見た、収縮期中の図1の正常な僧帽弁の底面図である。 左心房から左心室を見た、拡張期中の図2の正常な僧帽弁の底面図である。 収縮期中の、図1の正常な僧帽弁の断面図であり、接合領域の深さを示している。 拡張期中の、図2の正常な僧帽弁の断面図である。 前尖に付着した腱索の断裂によって生じた逸脱前尖を有する僧帽弁を示した、収縮期の心臓の断面図である。 左心房から左心室を見た、逸脱前尖を有する図7の僧帽弁の底面図である。 後尖に付着した腱索の断裂によって生じた逸脱後尖を有する僧帽弁を示した、収縮期の心臓の断面図である。 左心房から左心室を見た、逸脱後尖を有する図9の僧帽弁の底面図である。 前尖逸脱を有する僧帽弁を示した、収縮期の心臓の断面図である。 図11と同様の断面図で、後尖逸脱を示している。 図11と同様の断面図で、僧帽弁逆流を伴う二尖逸脱を示している。 虚血性心筋症において、両方の弁尖がほとんど又は全く接合していない拡張僧帽弁輪が、中央僧帽弁逆流を生じている様子を示す。 弁口バンドの実施形態の上面図である。 図12の弁口バンドの実施形態の側面図である。 三角形の断面図を持つ弁口バンドの断面図である。 楕円形の断面図を持つ弁口バンドの断面図である。 円形の断面図を持つ弁口バンドの断面図である。 長方形の断面図を持つ弁口バンドの断面図である。 弁口バンドの別の実施形態の上面図である。 接合性縁支持部が広がっている弁口バンドのまた別の実施形態の透視図である。 接合性縁支持部が広がっている弁口バンドのまた別の実施形態の透視図である。 弁口バンドのその他の実施形態の上面図である。 弁口バンドのその他の実施形態の上面図である。 弁口バンドのその他の実施形態の上面図である。 弁口バンドのその他の実施形態の上面図である。 後弁形成リングを伴う僧帽弁口バンドの中央部を示す。 長いワイヤから形成された環内バンドを示す。 弁口バンドのその他の実施形態の側面図である。 弁口バンドのその他の実施形態の側面図である。 弁口バンドのその他の実施形態の側面図である。 弁口バンドのその他の実施形態の側面図である。 僧帽弁輪に弁口バンドが植え込まれた状態の、収縮期の心臓の断面図である。 左心房から左心室を見た、僧帽弁輪に弁口バンドが植え込まれた状態の、収縮期中の図28の僧帽弁の底面図である。 僧帽弁輪に弁口バンドが植え込まれた状態の、拡張期の心臓の断面図である。 左心房から左心室を見た、僧帽弁輪に弁口バンドが植え込まれた状態の、拡張期中の図30の僧帽弁の底面図である。 僧帽弁輪に弁口バンドが植え込まれた状態の、収縮期中の図28の僧帽弁の断面図である。 僧帽弁輪に弁口バンドが植え込まれていない状態の、収縮期中の図32の僧帽弁の断面図である。 僧帽弁輪に弁口バンドが植え込まれた状態の、拡張期中の図30の僧帽弁の断面図である。 僧帽弁輪に弁口バンドが植え込まれていない状態の、拡張期中の図34の僧帽弁の断面図である。 左心房から左心室を見た、僧帽弁輪に別の実施形態の弁口バンドが植え込まれた状態の、収縮期の僧帽弁の底面図である。 横方向の弁尖支持部を有する弁口バンドの断面図である。 図37の弁口バンド及びアルフィエリ型の処置で治療された僧帽弁の断面概略図である。 経中隔横断による僧帽弁への典型的順行性アプローチを示す、心臓の概略断面図である。 図39と同様の断面図で、僧帽弁を通したガイドワイヤの配置を示している。 大腿動脈アクセスによる僧帽弁への典型的逆行性アプローチを示す、心臓の断面図である。 僧帽弁を横切ってガイドワイヤが配置されている、図41の逆行性アプローチを示す。 その中に自己拡張型インプラントが配置されている、経皮的配備カテーテルの遠位端の概略図である。 インプラントがカテーテルから部分的に配備されている、図43Aと同様の概略図である。 配備部位で完全に拡張しているもののまだ配備カテーテルに繋がれているインプラントを示す、配備カテーテルの概略図である。 図43Cのインプラントの側面図である。 図43Dのライン43E−43Eに沿って得た端面図である。 本発明によるアンカー配備カテーテルの側面斜視図である。 図44Aのライン44B−44Bに沿って得た断面図である。 図44Aのアンカー配備カテーテルを示す図である。 本発明による自己拡張型弁口バンドの概略平面図である。 縮小断面プロファイルの(折り畳まれた)構成で、3つの制御ワイヤに取り付けられていることを示す、図45Aの弁口バンドの側面図である。 その中に自己拡張型インプラントが含まれている、配備カテーテルの遠位端の切断斜視図である。 インプラントが部分的に配備されている、図46Aと同様の配備カテーテルである。 配備カテーテルから解放されているものの、3つの制御ワイヤに接続されているインプラントを示す、図46Bと同様の図である。 組織アンカー配備カテーテルを有する図46Cと同様の図である。 インプラントアンカーが配置され、配備カテーテルが除去されている僧帽弁の断面図である。 インプラントがそこから部分的に配備されている、配備カテーテルの遠位端の側面図である。 僧帽弁で植え込み中の図47Aのカテーテルとインプラントの概略図である。 組織アンカー配備ガイドを取り外した、図47Bと同様の概略図である。 インプラントが接合を心臓周期の早期に移動させるように構成されている、図47Cと同様の概略図である。 配備カテーテルが取り外された、図47Dのインプラントの概略図である。 僧帽弁を横切って配置された経心尖配備装置の概略断面図である。 僧帽弁輪に組織アンカーが噛合している、図48Aの装置の概略図である。 僧帽弁を通して配備カテーテルが引き戻されている、図48Bと同様の概略図である。 経心室支持部を有する実施形態の、図48Cと同様の概略図である。 経心尖アクセスによる僧帽弁への弁口バンドの植込み順序を示す。 経心尖アクセスによる僧帽弁への弁口バンドの植込み順序を示す。 経心尖アクセスによる僧帽弁への弁口バンドの植込み順序を示す。 経心尖アクセスによる僧帽弁への弁口バンドの植込み順序を示す。 経心尖アクセスによる僧帽弁への弁口バンドの植込み順序を示す。 経心尖アクセスによる僧帽弁への弁口バンドの植込み順序を示す。 経心尖アクセスによる僧帽弁への弁口バンドの植込み順序を示す。 弁口バンドに経心室トラス及び心外膜アンカーが追加的に用意されている、代替的な終点を示す。 その中に丸めた弁口バンドを有する配備カテーテルの遠位端の概略側面図である。 弁口バンドの遠位配備後の、図50Aと同様の図である。 本発明による弁口バンドの上面図と側面図である。 本発明による弁口バンドの上面図と側面図である。 丸めた構成で送達心棒に取り付けられている弁口バンドの一実施形態の斜視図を示す。 図51Bの支柱の少なくとも非直線部分の図を示す。 「Tタグ(t−tag)」配備システム及び縫合伸長機能を有する弁口バンドを示す。 「Tタグ(t−tag)」配備システム及び縫合伸長機能を有する弁口バンドを示す。 「Tタグ(t−tag)」配備システム及び縫合伸長機能を有する弁口バンドを示す。 縫い目上に一緒に輪になっている複数の組織アンカーの実施形態を示す。 本発明による弁口バンドの側面斜視図である。 本発明の弁口バンドに使用されるさまざまな縫合ロック構成の概略図である。 その上に有刺組織アンカーを有する弁口バンドの側面斜視図である。 その上に弓状組織アンカーを有する、本発明による弁口バンドの側面斜視図である。 索の生理学的力の実験に関するデータを示すグラフである。 索の生理学的力の実験に関するデータを示すグラフである。 大動脈基部の断面図である。 大動脈弁の透視図である。 正常な大動脈弁を有する収縮期の心臓の断面図である。 正常な大動脈弁を有する拡張期の心臓の断面図である。 大動脈から左心室を見た、収縮期中の図59の正常な大動脈弁の底面図である。 大動脈から左心室を見た、拡張期中の図60の正常な大動脈弁の底面図である。 逸脱大動脈弁尖を有する、拡張期中の大動脈弁の概略断面図である。 大動脈から左心室を見た、図63の大動脈弁の底面図である。 渡環大動脈バンドを有する、拡張期中の大動脈弁を有する心臓の断面図である。 大動脈から左心室を見た、図65の大動脈弁及び弁口バンドの底面図を示す。 部分的渡環大動脈バンドを有する、拡張期中の大動脈弁の概略断面図である。 大動脈から左心室を見た、図67の大動脈弁及び渡環バンドの底面図を示す。 異なる渡環バンド構成の側面図である。 異なる渡環バンド構成の側面図である。 異なる渡環バンド構成の側面図である。 大動脈弁逆流を引き起こしている拡張大動脈基部の断面図である。 大動脈弁逆流を引き起こしている拡張大動脈基部の断面図である。 大動脈から左心室を見た、拡張小葉間三角形を有する拡張大動脈基部の底面図である。 大動脈から左心室を見た、複数の拡張小葉間三角形を有する拡張大動脈基部の底面図である。 拡張小葉間三角形を有する拡張大動脈基部を修復することにより、大動脈弁逆流を治療する方法の、大動脈から左心室を見上げた底面図を示す。 拡張小葉間三角形を有する拡張大動脈基部を修復することにより、大動脈弁逆流を治療する方法の、大動脈から左心室を見上げた底面図を示す。 拡張小葉間三角形を有する拡張大動脈基部を修復することにより、大動脈弁逆流を治療する方法の、大動脈から左心室を見上げた底面図を示す。 部分的周縁弁形成の断面図を示す。 部分的弁形成の逆行性及び経心尖アプローチを概略的に示す。 虚血性又は拡張心筋症において、左心室の拡大による後乳頭筋の変形を原因とする後尖の動きの制限を有する拡張僧帽輪を示す。これは、中央僧帽弁逆流を引き起こす弁尖の接合不良を示す。 左心房から左心室を見た、収縮期中の正常な僧帽弁輪の図である。 左心房から左心室を見た、収縮期の虚血性及び拡張心筋症の僧帽弁の底面図である。これは、後尖のP2 P3歯形領域における中央僧帽弁逆流を示す。 虚血性拡張心筋症において後僧帽弁の辺縁索に噛合した切断器を有する経中隔カテーテルを示す。 切断器が左心房の中に引き込まれた経中隔カテーテルを示し、左心房の中への逸脱後僧帽弁尖を有する僧帽弁の後尖の切断辺縁索を示している。 後僧帽弁の後尖の辺縁索に噛合した索切断器を有する経心尖カテーテルを示す。 収縮期中に、後尖の左心房への逸脱を防止している、僧帽弁輪を横切って配置された経僧帽弁輪バンドを示す。切断辺縁索が示されている。弁尖の接合は、収縮期の間に左心房への逆流なしで示されている。
図1は、正常な僧帽弁18を持つ心臓10の収縮期の断面図を示す。図示されるように、心臓10は、酸素化された血液を肺静脈14から受け取る左心房12及び左心房12から血液を受け取る左心室16を含む。僧帽弁18は、左心房12と左心室16の間に位置し、左心房12から左心室16への血流を制御する機能を果たす。心室拡張期には、僧帽弁18は開いて血液が左心室16を満たすことを可能にする。収縮期には、左心室16は収縮し、これは左心室16内の圧力の増加につながる。僧帽弁18は、左心室16内の圧力が左心房12内の圧力より増加した時に閉じる。左心室16内の圧力は、左心室16内の圧力が大動脈20内の圧力を超えるまで増加し続け、これによって大動脈弁22が開いて血液が左心室から排出されて大動脈20内に入る。
僧帽弁18は、僧帽弁輪28と呼ばれる線維性リングに付着した基部部分を持つ前尖24及び後尖26を含む。各弁尖24及び26は、それぞれ自由縁36及び38を有する。弁尖24及び26の心室側には、比較的弾力性のない腱索30が付着している。腱索30は、心室中隔34から延びる乳頭筋32に固定されている。腱索30及び乳頭筋32は、弁尖24及び26が逸脱するのを防ぐ働きをし、僧帽弁18の閉鎖中の弁尖24及び26の適正な接合を可能にする。環内平面を示す弁輪28を通るライン9も概略的に示されている。矢印8は、左心房12に向かって環上を指し示し、矢印7は左心室16に向かって環下を指し示す。
図2は、正常な僧帽弁18を持つ心臓10の拡張期の断面図を示す。左心室16が血液を大動脈に排出した後、左心室は弛緩して、これは左心室16内の圧力の低下を引き起こす。左心室16の圧力が大動脈20の圧力より低下した時、大動脈弁22が閉じる。左心室16内の圧力は、左心室16の圧力が左心房12の圧力より低くなるまで低下し続け、図2に示すように、その時点で僧帽弁18が開く。早期充満期中、血液は受動的に左心室16を満たし、これは個人の安静時の左心室16の充満の大部分を占める。充満期の終わりに、左心房12は収縮し、追加的な血液を左心室に排出する最終的反動を提供する。また、上述の環内平面9及び弁18の縦軸6を示すライン6が示されている。
図3は、左心房から左心室を見た、収縮期の正常な僧帽弁18の底面図を示す。示されるように、前尖24及び後尖26は適正に接合されており、これによって接合性縁40を形成し、僧帽弁逆流として知られる、僧帽弁18を通した血液の逆行を防止するシールを形成する。図4は、拡張期の正常な僧帽弁18の底面図を示す。図5は、収縮期の正常な僧帽弁18の垂直断面図を提供する。図5に示されるように、弁尖24及び26は通常、弁輪によって画定された平面Pを交差せず、自由縁36及び38は互いに接合して接合性縁40を形成する。
図5は、接合性領域41も示す。接合の深さ(弁尖24及び26が接触している、血流方向の区域41の長さ)は、好ましくは少なくとも約2mm又は5mmであり、僧帽弁の場合は好ましくは約7mmから約10mmの範囲内である。
従って、本発明による装置の植込みは、接合の深さの増加を達成することが好ましい。少なくとも約1mmの増加、好ましくは少なくとも約2mm、一部の場合は少なくとも約3mm〜5mm又はそれ以上の増加が達成され得る。
接合の深さの改善に加えて、本発明による装置の植込みは、接合平面に沿った接合の幅も増加させることが好ましい。これは、例えば下記の図19A及び19Bに関連して示されるように、接合領域において弁尖と接触するために広がった部分を有するインプラントを利用して達成され得る。本発明によって達成される弁尖の接合性動作のさらなる修正は、早期接合を達成することである。これは、心室方向へのインプラントの湾曲又は他の隆起によって達成される。これにより、本発明による装置の植込み前の接合時点と比較して、心臓周期に対して早期の接合を達成することが本発明で可能となる。
図4及び6は、拡張期の正常な僧帽弁18を示す。示されるように、前尖24及び後尖26は、血液が左心房から左心室に流れることを可能にする、完全に開かれた構成に存在する。
図7及び8は、僧帽弁18の前尖24が逸脱している、収縮期の心臓10を示す。前尖24の逸脱は、さまざまな機構に起因することがある。例えば、図7に示されるように、前尖24に付着した腱索30の一部の断裂42は、僧帽弁18の閉鎖中、前尖24の自由縁36を反転させることがある。図8に示されるように、前尖24の反転44は、僧帽弁24及び26が適正に接合してシールを形成することを妨げることがある。前尖24の自由縁36が僧帽弁18の閉鎖中に左心房12の中に入るこの状況は、僧帽弁逆流につながることがある。
同様に、図9及び10は、後尖26に付着した腱索30の断裂に起因する後尖26の逸脱を示す。この場合、後尖26は、僧帽弁18の閉鎖中、反転して左心房12の中に入ることがある。後尖26の反転は、僧帽弁尖24及び26が適正に接合してシールを形成するのを妨げ、僧帽弁逆流につながる可能性がある。
僧帽弁逆流はまた、細長い弁尖24及び26に起因することがある。例えば、図11に示されるような細長い前尖24は、僧帽弁18の閉鎖中に弁尖24及び26が適正に接合するのを妨げることがある。これは、左心房12の中への前尖24の過度の張り出しと、接合時の自由縁36及び38の位置合わせ不良につながることがあり、僧帽弁逆流を引き起こすことがある。
僧帽弁尖24及び26の接合を改善し、僧帽弁逆流を防止又は減少させる弁口バンド50の一実施形態が図12及び13に示されている。図12は弁口バンド50の上面図を提供し、図13は弁口バンド50の側面図を提供する。この実施形態では、弁口バンド50は、第1端部52、第2端部54、2つの端部52及び54の間に配置された中央部64、及び弁輪を横切って延びることができる長さを持つ、細長い湾曲した構造を備える。図13に最もよく示されるように、弁尖接触表面56は、縦軸方向に沿って凸形である。他の実施形態では、弁尖接触表面56は、異なる形状及び輪郭を持つことができる。例えば、接触表面56は、凹形、直線形、凹形、凸形及び/又は直線形の組み合わせ、又は頂点で結合された2つの凹形部分又は直線形部分であり得る。図12に示されるように、弁口バンド50は、第1端部52と第2端部54の間に実質的に一定の幅を持つことができる。第1端部52は、第1固定部58を持ち、第2端部54は第2固定部60を持つ。
固定部58及び60は、弁口バンド50が弁輪に固定されるのを可能にする、縫合糸のための穴62を持つことができる。又は、他の実施形態では、固定部58及び60は、弁口バンド50を弁輪に固定するための他の手段を有することができる。例えば、固定部58及び60は、膜又はDacronやePTFEなどの他の布状の材料から作ることができる。縫合糸は、個別の穴62を必要とすることなく、直接布に通すことができる。布は、さまざまな技術で、弁口バンド50の他の部分に取り付けることができる。例えば、布は、接着剤を使用して、各部を互いに縫合、結束、クランプ止め、又は溶着することにより、弁口バンド50の他の部分に取り付けることができる。弁輪に弁口バンドを固定する別の非限定的技術は、可鍛金属素地を被覆することで、これはシリコンなどのポリマーで弁口バンドの骨格を固定するための構造を作り、望ましい時の総合的な組織内成長のために、PET(すなわちDacron)ベロアなどの材料を結合する。
弁口バンド50の中央部は、図14〜17に示されるように、さまざまな断面形状を持つことができる。例えば、断面形状は、実質的に長方形、円形、楕円形又は三角形であり得る。弁口バンド50の縁は、弁口バンド50が弁尖に対して傷をつけない表面51となるように、丸みをつけるか又はその他の方法で構成され得る。一部の実施形態では、断面は、弁口バンド50の性能を強化するために特定の形式で方向付けることができる。例えば図14に示されるように、三角形の断面を持つ弁口バンド50は、三角形の比較的大きな表面56が弁尖に接触する一方、表面51とは反対側の三角形の低い方の前縁53が左心房に接触するように設計することができる。この構成は、より大きな表面積が僧帽弁尖と接触して支持する一方、左心房から左心室へ流れる血液に対する抵抗を減らす、より流線型の形状を与えることも可能にする。血流への抵抗を減らすことは、乱流を減少させ左心室の充満に対する弁口バンド50のインピーダンスを減少させるので、望ましい。同様に、楕円形又は長方形の断面を持つ弁口バンド50は、弁尖と接触する表面積を増加させるように方向付けるか、又は血流への抵抗を減少させるように方向付けることができる。
弁口バンド50の寸法は、バンド50の特定の構成及び対象とする患者によって異なる。一般的に、弁口バンド50は、約20mm〜約32mmの範囲内で、第1端部52から第2端部54までの軸方向の長さを持つ。典型的な成人男性を対象とした一実施形態では、弁口バンド50の軸方向の長さは約24mm〜26mmである。中央区域64の弁口バンド50の幅は、本明細書で説明されるように、望まれる性能に応じて変化し得る。一般的に、それに接して弁尖が据え付けられる後面51は、閉じた弁尖とインプラントとの間の反復接触により生じるびらんのリスクを最小化するのに十分なだけ大きいことが好ましい。前縁53の幅は、前述のように、乱流及び流れの閉塞を最小化するために、最小にされることが好ましい。一般的に、血液の流れに対して垂直方向に測定した表面51の幅は現在約5mm未満として考慮され、接合区域ではしばしば約5mm〜約10mmの範囲内である。
図18に示されるような一部の実施形態では、弁口バンド50の中央部64は、血流に対して垂直方向に測定した幅が第1及び第2固定部58及び60よりも狭いことがある。中央部64を狭くすることにより、血流への抵抗を減少させることができる。しかし、中央部64を狭くすることは、弁尖を支持する弁尖接触表面56の表面積を減少させる。
図18に示される実施形態では、狭くなった中央部64は、第1ショルダ57及び第2ショルダ59によって、第1固定部58及び第2固定部60から分離されている。第1ショルダ57と第2ショルダ59の間の中央部64の長さは、装置の全長の約50%未満、又は弁が閉じている時に弁尖を支持するためのより広い横方向の表面を提供しながら流路の中央の閉塞を最小にすることが望ましい場合は、装置の全長の約30%未満とすることができる。又は、中央区域64の長さは、インプラントの全長の50%より大きくてもよく、一部の実施形態では75%よりも大きい。
図19A、19B、21、及び23に示されるような一部の実施形態では、弁口バンド50の中央部64の接合性縁支持部66は、第1及び第2固定部58及び60に至り、潜在的に前記固定部を含む弁口バンド50の隣接部分よりも広くすることができる。接合性縁支持部66の幅及び表面積を増加させることにより、接合性縁で弁尖にさらなる支持が提供され得る。この支持の増加により、弁尖接合の幅を増加させることができる。中央部64の他の部分は、血流への抵抗を減少させるために狭いままにすることができる。支持部66は固定位置に配置されるか、又は外科医がその位置を最適化した後に縫合などによって固定点に固定したり、又は必要ないと見なされる場合は除去できるように、弁口バンドに沿って調節可能でもあり得る。
本発明の1つの実施では、弁口バンドは一次減少のための第1構成要素と、微調節のための第2構成要素を含む。例えば、図19Aに示される装置は、調節可能な(例えばスライド可能な)支持部66を備え得る。弁口バンドは、本明細書に記述されているように弁輪を横切って配置することができ、弁の血液力学的機能を評価し得る。この後、支持部66は、接合区域を増加させることなどにより、残存する漏れを処理するため、又はインプラントの機能を最適化するために弁口バンドの長さに沿って調節され得る。第2構成要素(例えば支持部66)は、その後、縫合糸、クリップ、接着剤、又は当分野で知られている他の技術などによって、弁口バンドに対して固定され得る。又は、第2部分は、弁口バンドから分離されており、縫い合わせ、クリップ、縫合又は当技術分野で知られている他の技術などで弁口バンドに接続し得る。
さらに、接合性縁支持部66は、前尖と後尖の間の非対称性を反映させるために、弁口バンド50の中央からオフセットすることができる。例えば、接合性縁支持部66は、第2固定部60よりも第1固定部58の近くに配置することができる。特定の実施形態では、縁支持部66は、最も近い端部から全長の約20%〜約45%の範囲内の点を中心とする。
図20は、図18に示される弁口バンド50の修正である弁口バンド50の別の実施形態を示す。図20に示されるように、弁口バンド50は、血流に対して比較的低い抵抗をもたらす狭い中央部64を持つ。しかし、第1及び第2固定部58及び60は横方向にさらに延び、僧帽弁輪に適合するように弓状にすることができる。これらの横要綱に延びた固定部58及び60は、弁口バンド50の追加的固定を提供し、植込み後の装置の安定性の向上に役立つ。横方向に延びている固定部58及び60は、弁輪への固定を促進するためのさまざなな構造を備え得る。例えば、従来的な縫い合わせ又はさまざまなクリップ又は組織アンカーのいずれかを受け入れるための複数の孔61を備え得る。固定部は、代替的に、さまざまな止め又はホックを備えることができ、又は縫合を容易にするためにDacronスリーブなどの布カバーを備え得る。さらに、一部の実施形態では、この縫合リングは、インプラントを保持するためのより適合した構造を提供するために、その上にDacronを固定する弾性中心を持ち得る。円周方向に(インプラント50の縦軸を横断する方向に)測定した時に横方向に延びる固定部は約5mmより大きく一部の実施形態では約1cmより大きな円弧長さを持つ。望まれる臨床性能によって、及び少なくとも約2cm、一部の実施形態では少なくとも約3cmの円弧長さが利用されることがある。
図21は、延長した固定部58及び60と、より広いオフセット接合性縁支持部66を持つ弁口バンド50の別の実施形態を示す。この実施形態は、延長した固定部分58及び60と接合性縁の支持強化によって提供される追加的安定性という利点を持つ。
図22及び23は、環状輪68と組み合わされた弁口バンド50の別の実施形態を示す。環状輪68は、弁口バンド50に対する支持として、また必要であれば、僧帽弁輪自体のサイズ及び形状を安定化させる助けとしての両方として使用できる。一部の実施形態では、環状輪68は、僧帽弁輪のサイズを減少させ、僧帽弁尖を互いに近づけるために使用することができる。これは、例えば、僧帽弁輪をより小さな直径の環状輪68に縫合することによって達成できる。さらに、環状輪68は、弁口バンド50に追加的指示と安定性を提供する。弁口バンド50の固定部58及び60は、環状輪68と一体に形成することができ、又は固定部58及び60は縫合、結合、接着剤、ステープル留め及び溶着などさまざまな手段で環状輪68に取り付けることができる。図22は、狭い中央部64を持つ実施形態を開示する一方、図23はより広いオフセット接合性縁支持部66を持つ実施形態を開示している。
図23Aは、後弁輪形成術で虚血性僧帽弁逆流を治療するために適合された、本発明のさらなる実施を示す。本明細書で記述されているように、弁尖接合平面にわたるような弁口バンド61が提供される。他の弁口バンドと関連して本明細書に記述された任意の特徴を、弁口バンド61に組み込み得る。
弓形の後弁輪形成支持部63が弁口バンド61に接続され、生来の弁輪に沿った円弧長さにわたって延びるように適合される。図示された実施形態では、支持63は、第1三角取付区域65から第2三角取付区域67に延びる約180°の円弧に広がる。取付区域は、組織への取付を容易にするための縫い孔、布カバー、又は他の構造を備え得る。一般的に、弁口バンド61は、本明細書の他の箇所で記述されたものと同様の寸法を持つ。第1三角区域65から第2三角区域67までの横方向の寸法は、生来の弁輪のサイズによって異なることがあるが、一般的に約35mm〜約45mmの範囲内となる。
図23Bを参照すると、単一の長さ又は幾つかの長さの柔軟ワイヤから形成された、本発明による弁口バンドが示されている。図示された実施形態の支柱の曲げ角及び向きは、特定の配備処置に対して望ましい所望の圧力軸に適合させるために、容易に変更し得る。
一般的に、弁口バンド71は、本明細書に記述されているように、弁尖の支持を提供するために、蛇行パターンに形成された細長い柔軟バンド73を含む。図23Bには示されていないが、本明細書の別の箇所で説明されたように早期閉鎖を達成するために、ワイヤ73は心室の方向に曲がるか又は傾斜するように形成され得る。ワイヤ73は、第1接続部分75及び第2接続部分77の中に延長し得る。接続部分75及び77のそれぞれは、インプラントを弁輪に取り付けるための縫合糸を受け入れるために、複数のアイレット79を備え得る。インプラントは、本明細書の他の箇所で記述されたさまざまなポリマー及び、チタン、チタン合金、ニチノール、ステンレス鋼、エルジロイ、MP35N、又は当技術分野で知られる他の金属を含む、種々の柔軟材料から形成され得る。この設計は、弁尖に対して比較的大きな支持占有面積を提供すると同時に、そこを通る血流が最大になるようにオープンスペース領域を最適化する利点を持つ。本設計は、血栓形成又は腐食などの有害作用を除外するために、シリコン又は他の適切な材料で処理又は被覆してもよい。処理は逐次的で、適切な材料の電解研磨、ハーパライジング、回転、酸洗い、めっき、封入又は物理的蒸着の1つ以上を含むことができるが、これに限定されない。
図24〜27は、異なる傾斜を持つ弁口バンド50の側面図を示す。本発明の目的の1つは、収縮期の弁尖に支持を提供するだけでなく、接合平面を心室の方向に上昇させて、本明細書の他の箇所で説明したように心臓周期に対する早期接合(閉鎖)をもたらすことである。条件の変化及び患者間の他の変化は、所定のケースに適したインプラントを選択するための臨床的判断を下すことができるように、本発明の弁口バンドを数々のサイズ及び/構成で生産することの正当な理由となり得る。又は、弁口バンドは、臨床施設での手術中に望ましい構成のインプラントを構築又は修正できるように、調節可能な形式又はモジュール形式で提供され得る。図24〜27に示されるような3つのセグメントの実施形態では、中央セグメントは、流路の中央内、又は弁尖の接合性縁を中心として配置するために提供され得る。組織アンカーに対して中央部分を支持するために、第1及び第2端部は中央部に接続され得る。第1及び第2端部は、さまざまな長さと湾曲で提供することができ、これにより特定の患者に対して望ましい、比較的カスタム化されたモジュール式インプラントを構築することが可能になる。
例えば、図24は、中央部64及び緩い角度のついた2つのアーム部70及び72を持つ弁口バンド50を示す。第1及び第2端部52及び54は、それぞれ高さh1及びh2分だけ中央部64から変位される。図24では、h1及びh2はほぼ等しく、約0mm〜約10mmの範囲であり得る。h1及びh2は、少なくとも約2mmで、しばしば少なくとも約4mm又は6mm又はそれ以上となるが、一般的に約10mm又は12mmを超えない。
図25は、中央部64及び鋭く角度のついた2つのアーム部70及び72を持つ弁口バンド50を示す。第1及び第2端部52及び54は、それぞれ高さh1及びh2分だけ中央部64から変位される。図25では、h1及びh2はほぼ等しく、約8mm〜約12mmの範囲であり得る。図26は、中央部64、大きく角度のついた第1アーム70、及び緩い角度のついたアーム部72を持つ弁口バンド50を示す。第1及び第2端部52及び54は、それぞれ高さh1及びh2分だけ中央部64から変位される。図26では、h1はh2より大きい。h1は約6mm〜約10mmの範囲である一方、h2は約2mm〜約6mの範囲である。図27は、中央部64、緩い角度のついた第1アーム70、及び大きく角度のついたアーム部72を持つ弁口バンド50を示す。第1及び第2端部52及び54は、それぞれ高さh1及びh2分だけ中央部64から変位される。図27は図26の鏡像であり得る。
弁口バンド50は、患者の身体内の植込みに適合するさまざまな材料の任意のものから作ることができ、僧帽弁尖を支持するために必要な構造一体性を有する。例えば、適切な材料には、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、ステンレス鋼合金、ニチノール、エルジロイ、MP35N、他の金属及び合金、セラミックス、及びPTFE、ポリカーボネート、ポリプロピレン、UHMWPE、HDPE、PEEK、PEBAXなどのようなポリマーを含む。
弁口バンド50の血栓形成性を減少させるために、弁口バンド50は滑らかな表面を備えるか、又は一部の実施形態では多孔質又は微孔性構造などで適切に表面に微小な質感を持たせることができる。バンドの表面を調整する上で、その場(in situ)でのニーズに適した表面の化学的性質、エネルギー、形態、マクロ的特長及び一般的材料特性を考慮することもできる。さらに、弁口バンド50は、血栓形成性を減少させるために、さまざまな物質で被覆することができる。例えば、弁口バンド50は、ヘパリンなどの抗血栓薬、PTFEなどのポリマー、又はヘパリン又は別の抗血栓薬と抱合したポリマーで被覆できる。ヘパリン被覆はさまざまな方法で達成でき、その中の1つはTDMAC-ヘパリン(トリドデシルメチルアンモニウム・へパリナート)中で人工器官を被覆又は滴下することである。
図28〜31に示されるように、弁口バンド50は、前尖26に付着した腱索30の断裂42に起因する前尖26の逸脱を患う患者の僧帽弁輪28の平面内に植え込まれる。逸脱した前尖26が図示されているが、当然のことながら、本明細書に記述された方法は、後尖逸脱や細長い弁尖24及び26に起因する後尖逸脱など、他のタイプの逸脱の治療にも適用できる。弁口バンド50は、縫合糸、アンカー、止め、ステープル、自己拡張ステント、又は当業者に知られているか又は明らかである他の技術などのさまざまな技術によって、弁口28に取り付けることができる。
図29及び31に最もよく示されるように、弁口バンド50は、僧帽弁尖24及び26の閉鎖によって形成される接合性縁42に対して弁口バンド50がほぼ横方向に配置されるように、弁輪28の中で方向付けられる。弁口バンド50は、弁口バンド50が前尖24の逸脱部分を直接支持し、前尖24を僧帽弁輪28の平面よりも下方に保つように、すなわち心室の方向又は順行性の方向に持ち上げて、それにより逸脱及び僧帽弁逆流を防止又は減少させるように、前尖26の逸脱部分の上に配置することができる。
図28及び29は、収縮期中の僧帽弁18に対する弁口バンド50の影響を示す。示されるように、前尖24及び後尖26は両方とも僧帽弁18の閉鎖中に弁口バンドによって支持される。弓形の弁口バンド50は、両方の弁尖24及び26を弁輪28の平面の下方に保つ働きをし、弁尖24及び26が接合性縁40を形成することを可能にする。単一の弁口バンド50が図示されているが、一部の実施形態では、僧帽弁尖24及び26に対して追加的支持を提供するために、2つ又は3つ又はそれ以上など複数の弁口バンド50を、弁輪28にわたって植え込むことができる。
図30及び31は、拡張期の間の僧帽弁18に対する弁口バンド50の影響を示す。拡張期中、左心房12からの血液が左心室16に充満できるように、僧帽弁18が開く。図31に最もよく示されるように、弁口バンド50は僧帽弁18の開口部のほんの小さい部分を塞ぐため、血流に対して過度の抵抗を生じない。
図32〜35は、弁口バンド50の支持がある場合とない場合の僧帽弁18の断面側面図である。収縮期中、僧帽弁18は閉じる。図33に示されるように、弁口バンド50なしでは、前尖24は僧帽弁輪28によって画定される平面Pを超えて逸脱し、僧帽弁逆流につながる。しかし、弓形の弁口バンド50が左心室に向かって弓なりになり、中央部64が平面Pから変位されるように弁口バンド50を弁輪28の中に植え込むことによって、前尖24が平面Pの上方に逸脱することが防止され、このため逆行性の流れが除去又は低減される(図33に示す)。弁尖24及び26は弁口バンド50の上にあり、血液によって弁尖24及び26の遠位部にかかる圧力が接合性縁40を形成する。図34及び35に示されるように、拡張期中の僧帽弁18の性能は、弁口バンド50によって実質的に影響されない。
弁口バンド50の植込み及び配置の方法が、弁口バンド50の一実施形態で説明されているが、上述のような他の実施形態も使用できる。例えば、図36は、僧帽弁輪に植え込まれた、より広いオフセット接合性縁支持部66を持つ弁口バンド50を示す。図示されるように、接合性縁支持66は、僧帽弁18の接合性縁を支持するために配置されるようにオフセットされている。さらに、弁口バンド50は、上述のような別々に又は一体化して取り付けられた環状又は弁輪形成リングなどの他の装置又は処置と併せて使用することができる。さらに、弁口バンド50は、図38に示されるように、僧帽弁尖24及び26の先端が互いに縫合74される、アルフィエリ処置と併せて使用することができる。
図37を参照すると、心室の方向又は順行性と見なされ得る拡張期の血流の方向に延びている横方向の突出部又は支持部51を持つ弁口バンド50の斜視図が示されている。支持部51は、少なくとも約3mm、一部の実施形態では少なくとも約5mm、及び他の実施形態では少なくとも約1.0cmであり得る幅Wを持つ。突出部51は、僧帽弁の弁尖が突出部の対向する側壁53及び55に接触して閉じるように、アルフィエリ縫合なしで利用されてもよい。突出部51はそのようにして、弁尖の閉鎖が中心に来るように、また接合の幅を管理することを支援する。さらに、バンド50は、本明細書で説明されているような早期閉鎖を達成するために、心室の方向に凸形として示されている。
本発明による弁口バンドは、開腹外科手術、開胸術(例えば、経心尖的)によって、又は代替的には経管腔的植込み型の実施形態を使用した経皮的処置によって植え込むことができる。経管腔的植込み型の実施形態では、その拡張直径に対して比較的短い軸方向の長さを持つ自己拡張型リング又は自己拡張型ステントなどの自己拡張型支持構造に、1つ以上の弁口バンドを取り付けることができる。弁口バンド及び圧縮された自己拡張型支持構造は、経皮的に挿入されて、経管腔的に僧帽弁の中に又はこれを超えて前進させる引き込み可能な外鞘を持つカテーテルの中に装填される。引き込み可能な外鞘は、自己拡張型支持構造が弁輪に隣接して又はこれに接して拡張し、これによって僧帽弁の平面内に1つ以上の弁口バンドを配置することが可能になるように、引き込むことができる。各弁口バンドは、縦軸によって特徴付けることができ、弁口バンドは、弁口バンドの縦軸が僧帽弁の接合性縁に対して実質的に横方向に方向付けられるように、僧帽弁の中で方向付けられる。
「経皮的」とは、心臓から遠い血管系の位置に、例えば、セルジンガー技術などによる針のアクセスなどを使用して、皮膚を通してアクセスすることを意味する。しかし、外科的縮小処置又は低侵襲処置の使用も含み得る。遠位血管系に経皮的にアクセスできることはよく知られており、特許及び医学文献に記述されている。
血管系のアクセス点に応じて、僧帽弁へのアプローチは順行性となり、肺静脈を通して、又は心房中隔を横切ることによって、左心室に入ることが必要となり得る。又は、僧帽弁へのアプローチは、大動脈弁を通して左心室に入る逆行性であることもある。経皮的アクセスが達成されると、介入ツールと支持カテーテルは経脈管的に前に進められ、ここで本明細書の他の箇所に記述したようなさまざまな方法で、標的心臓弁に隣接して配置され得る。本方法は経皮的及び経脈管的であることが好ましいが、本明細書に記述のインプラントとカテーテルの多くも、心臓が拍動しているか停止され心臓弁に心筋組織を通してアクセスする、開腹外科技術の実施に対してもちろん有用である。装置の多くは低侵襲処置にも利用され、その場合、胸腔鏡によってアクセスが達成され、心臓は通常停止されるが一部の例では拍動し続けていることもある。
僧帽弁への典型的順行性アプローチが図39に示されている。僧帽弁MVには、標準的アプローチで下大静脈IVC又は上大静脈SVCから、右心房RAを通り、心房中隔IASを横切って、僧帽弁MVの上方の左心房LAに入ることによってアクセスできる。図示されるように、針122を持つカテーテル120を下大静脈IVCから右心房RA内へと進めることができる。カテーテル120が心房中隔IASに達すると、卵円窩FO又は卵円孔で針122が中隔を貫通して左心房LAに入るように、針を前に進めてもよい。この時点で、ガイドワイヤを針122から外へ前進させ、カテーテル120を引き戻すことができる。
図40に示されるように、心房中隔IASを通してのアクセスは、典型的には上述のように配置されたガイドワイヤ124の上にガイドカテーテル125を配置することによって、通常維持される。ガイドカテーテル125は、下記に詳述する弁又は組織修正を実施するために使用されるツールの導入を可能にするその後のアクセスを提供する。
僧帽弁への典型的逆行性アプローチが図41に示されている。僧帽弁MVには、大動脈弓AAから、大動脈弁AVを横切って、僧帽弁MVの下の左心室内へのアプローチによってアクセスし得る。大動脈弓AAには、従来的な大腿動脈アクセス経路、及び上腕動脈、腋窩動脈、又は橈骨動脈又は頚動脈を介したより直接的なアプローチによってアクセスし得る。図42に示されるように、かかるアクセスはガイドワイヤ128の使用で達成され得る。一旦配置されると、ガイドカテーテル126は、ガイドワイヤ128上をたどることができる。ガイドカテーテル126は、下記に詳述する弁修正を実施するために使用されるツールの導入を可能にするその後のアクセスを提供する。
一部の例では、僧帽弁へのアクセス経路は、順行性及び逆行性の両方のアプローチ方向で確立され得る。これは、例えば、1つの経路から導入された特定の装置を使用して把握を行い、別の経路から導入された別の装置を使用して固定が達成される場合、有用であり得る。可能性のある1つの状況では、弁口バンドは逆行性アプローチで導入され得る。弁口バンドが定位置に保持しながら、固定ツールを順行性アプローチで導入して弁口バンドを定位置に配置し得る。弁口バンド及び固定ツールのためのアクセス経路は、もう1つの方法として、反対にすることができる。従って、さまざまなアクセス経路を個別に、又は本発明の方法と装置の組み合わせで使用し得る。
図43Aを参照すると、本発明の態様の1つによる経皮的に送達可能なインプラントの概略図を示す。配備システムには、配備カテーテル200を含み、その遠位端のみが本明細書に図示されている。配備カテーテル200は、従来的寸法及び本技術分野で知られている材料を利用して、僧帽弁にアクセスする既知の技術に従って構成されている。一般的に、配備カテーテル200は、近位端(図示せず)と遠位端204の間に延びる細長い柔軟管状体202を含む。近位端は、カテーテル200の各機能的管腔と連通しているルアーコネクタなどのアクセスポータルを含む、近位マニホールドを備えている。
遠位端204は、中央管腔206によって近位端と連通している、遠位に面した開口部208を備える。
中央管腔206内には折り畳まれたインプラント210が配置される。インプラント210は、配備カテーテル200内に配置するためなどの第1半径方向に縮小された構成と、治療部位で配置するための第2半径方向に拡大された構成(図43C参照)の間で転換できる。インプラントの第1構成から第2構成への転換は、バルーン拡張を介してなど、正の力の下で達成され得る。又は、本明細書に図示されるように、転換は管状体202によって提供される制約の除去に反応したインプラント210の自己拡張によって達成される。
一般的に、インプラント210は、フレーム又はアンカー要素212及び支持要素214を含む。弁尖支持要素214は、配備カテーテル内に配置するために環状バンドが半径方向に縮小され、その後僧帽弁に広がるために半径方向に拡大されるように構成又は再構成された環状バンドとして本明細書に上述したものと類似のさまざまな構造のうち任意のものを含み得る。インプラント210はさらに、治療部位で弁尖支持部214を固定するためのアンカー要素を含む。図示された実施形態では、アンカー212は、制約が排除された後に半径方向に拡大可能なジグザグのワイヤ又はフィラメント構造として概略的に示されている。しかし、さまざまな構成をアンカー212に対して利用できる。
図43Bを参照すると、外側管状可撓体202は、インプラントから部分的に引き戻され、インプラントの半径方向への拡大開始を可能にしていることが示されている。図43Cは、配備部位でアンカー212を完全に解放するための、管状体202のさらなる引き戻しを示す。図示されるように、アンカー212は左心房内で半径方向に拡大する。弁尖支持部214は、僧帽弁の接合性縁に対してほぼ横方向に延び、本明細書の他の箇所で記述されているように、僧帽弁尖の接合を心室の方向に進めるために、僧帽弁の方向に凸状であるか又は傾斜している。
図43Aに見られるように、インプラント210は少なくとも1つの制御ライン216で制御される。制御ライン216は、近位マニホールドの上又は近くの少なくとも1つのコントロールまで、配備カテーテル200の長さ全体にわたって延びる。これは、インプラント210に対する可撓体202の近位引き戻し、及び配備システムからの最終分離前のインプラント210の制御を可能にする。
図43Cを参照すると、少なくとも第1制御ワイヤ216、第2制御ワイヤ218、及び第3制御ワイヤ220が、アンカー212に接続して示されている。制御ワイヤ216、218及び220は、その所望する最終位置へのインプラントの操作を可能にし、最終分離前にインプラントを取り外すという判断がなされた場合で、必要であれば、配備カテーテル内でのインプラントの近位引き戻しを可能にする。
インプラント210の最終分離前に、インプラントをその所望する植込み位置に保持するため、追加的固定構造を噛合し得る。例えば、アンカー212は、僧帽弁輪又は弁尖の基部又は他の隣接する解剖学的構造を噛合するために、組織アンカー又は止めを備え得る。又は、別の組織アンカーを配備カテーテル200を通して前に進め、アンカー212を隣接組織に固定するために利用してもよい。適切なアンカーは、配備カテーテル200を通って移動し組織を貫通するための第1縮小断面構成から、組織からの除去に抵抗するための第2拡大構成に拡大できることが好ましい。図43Cに示される実施形態では、簡潔にするために第2固定構造は図示されていない。
インプラント210の位置が確認され容認可能であることが分かり、第2固定構造を導入するかどうかの決定が下されると、制御ワイヤ216、218及び220はアンカー212から取り外され、配備カテーテル200が患者から取り外される。インプラント210からの制御ワイヤの分離は、電解分離、軟化性又は可溶融性結合の温度上昇による分離、制御ワイヤのねじ端がアンカー212からねじ式に外れるように制御ワイヤを回転させるなどの機械的分離、又は所望の機能性及びシステムのプロファイルに応じた他の分離技術など、さまざまな方法のうち任意のもので達成され得る。
図43Dを参照すると、制約されていない(例えばベンチトップ)拡大した構成でのインプラント210の側面図が示されている。アンカー210は、時に「Zステント」構成と呼ばれるジグザグ構造を生成するために、第1端部で複数の頂点224により、第2端部で複数の頂点226によって結合している複数の支柱222を含む。任意のさまざまな構造を利用し得るが、この構成は便利で血管内インプラント技術ではよく理解されている。例えば、ジグザグのワイヤパターン、金網パターン、又は正弦ワイヤパターンを利用し得る。管ストックからなどのレーザー切断壁パターンも利用でき、多種多様な複雑な壁パターンを備え得る。一般的に、任意のさまざまなニチノール合金などのニッケル・チタン合金が好ましい。しかし、壁パターンによっては、ステンレス鋼、エルジロイ、特定のポリマー又は他の材料も利用できる。ニチノールなどの合金を焼きなまして形状設定するには熱処理が必要な場合がある。他の合金は、その前の処理中に生じたストレスを取り除くために、焼きなましのみが必要であり得る。
図43Eを参照すると、インプラントの弁口バンド部分の横方向構成を示すために、図43Dに示されたインプラントの端面図が示されている。この図では、弁口バンドは、接合点232でアンカー212に接続されている複数の支柱230を含む。次に支柱230は、弁の接合性縁に沿って測定される有効占有面積を増加させながら、そこを通る血流に対する閉塞を最小化するために、弁口バンドの分岐セクション234又は他の構成に分割され得る。植え込まれた弁の接合性縁は、植え込まれたバンドの図43Eに示される横軸236にほぼ揃っていることが好ましい。僧帽弁の接合の軸は、植え込まれた構成において軸236に並行であることが好ましいが、軸236の約45°以内、好ましくは約20°以内、最も好ましくは約10°以内であってもよい。
図44A及び44Bを参照すると、隣接組織への固定構造212の一次的又は二次的固定を提供するために利用され得るアンカー配備カテーテルを示している。アンカー配備カテーテル250は、僧帽弁の近傍にアクセスするように構成された細長い柔軟管状体252を含む。管状体252は、近位端254と遠位端256の間に延びる。遠位端256は遠位開口部258を備え、中央管腔260へのアクセスを可能にしている。細長い柔軟コアワイヤ262は、近位端254から管腔260の長さの大部分にわたって遠位表面264まで延びる。図44Cを参照のこと。コアワイヤ262の近位端は、中央管腔260内でのコアワイヤ262の軸方向の往復運動を可能にするコントロール266を備える。
組織アンカー268は、配備カテーテル250の遠位端内に配置され得る。使用中、管状体252に対しての遠位軸方向への前進などによるコントロール266の操作は、コアワイヤ262を遠位軸方向に前進させ遠位開口部258を通してアンカー268を排出する。遠位開口部258は、鋭い遠位先端270を提供するために傾斜又は角度のついた切断部を備えることが好ましい。これは、標的組織内にアンカー268のすべて又は一部を配備するためにコントロール266が操作されるように、遠位先端270を所望の部位で組織内へと遠位軸方向に前進させることを可能にする。
インプラント及びインプラントアンカー接合部分の所望の構成に応じて、任意のさまざまな組織アンカー268を利用し得る。図示されている実施形態では、アンカー268は二重「Tタグ」アンカーとして構成されている。第1組織噛合要素272は、フィラメント276により第2インプラント噛合要素274に接続される。使用中、遠位先端270は僧帽弁の組織内に配置される。コントロール266は第1要素272を組織表面の下に配備するように操作される。管状体252はその後、近位に引き戻され、第2要素274がインプラントに噛合し、それを隣接組織に接して保持することを可能にする。
アンカー送達カテーテル250は、配備カテーテル200を通して、及び/又はガイドワイヤ又は支持ワイヤなどのガイドに沿って前進させることができる。図示された実施形態では、アンカー配備カテーテル250は、アンカー配備カテーテルがガイドワイヤに沿ってたどることを可能にするガイド管腔278を備える。ガイド管腔278は管状壁280によって画定される。管状壁280は、カテーテル体を二重管腔押出しとして形成することなどにより、アンカー配備カテーテル250の長さ全体にわたって延び得る。又は、管状壁280は、長さが約3cm以下又は好ましくは約2cmなど、カテーテルの全体の長さと比較するとより短い軸方向長さを備える。これは、以下に説明されるようなモノレール又は急速交換の方法で、アンカー送達カテーテルがガイドワイヤに沿って進むことを可能にする。
図45A及び45Bを参照すると、上記のアンカー送達カテーテルとの使用のために構成されたインプラントが示されている。一般的に、インプラントは、柔軟接続部296によって分離された第1弁尖支持部292及び第2弁尖支持部294を含む。柔軟接続部296は、配備カテーテル内でインプラント290が折り畳まれ、その後インプラント290が前述の弁口バンドとして機能できる方法で拡張されることを可能にする。インプラント290は、当業者には当然のことながら、ワイヤフレームの使用、又はシートストックからのレーザー切断などのさまざまな方法で製造され得る。
図示されている実施形態では、第1及び第2柔軟接続部296は、植え込まれた方向として接合の軸に実質的に平行であるように構成された平面上に位置する。第1弁尖支持部292と第2弁尖支持部294のそれぞれの外側縁は、組織アンカーを受け入れるために、少なくとも1つ、好ましくは2つ又は3つの穴298、布パッチ、又は他のアンカー取付構造を備える。
図45Bを参照すると、図45Aのインプラントは、柔軟接続部296の周囲で屈曲され部分的に折り畳まれた構成で図示されている。さらに、制御ワイヤ300、302及び304は、インプラント290に解放可能なように接続された状態で示されている。制御ワイヤ300、302及び304は、インプラント290を上述のカテーテル200などの配備カテーテルから前進させ、アンカーが完全に配備されるまでインプラントを操作するために利用され得る。従って、制御ワイヤ300、302及び304は、装置の望ましい機能に応じて、電解分離、ポリマー結合の溶融、ねじ止めを外すこと、又は他の分離機構などによって取り外すことができる。
図46A〜46Eを参照すると、順行性方向から僧帽弁にインプラントを配備する順序を示している。インプラント290は、図45A及び45Bに示されたものと類似しているか、又は本明細書の他の箇所で開示された他のインプラントの壁パターン又は特徴を持つ。一般的に、インプラント290は、図46A〜46Cに示される順序でカテーテル200から配備される。簡単にするために、周辺の生体構造は除かれている。
図46Dを参照すると、アンカー送達カテーテル250は、制御ワイヤ300がガイド管腔278内に軸方向に移動可能な形で配置されるよう、制御ワイヤ300の1つの近位端へと前進する。これは、カテーテル技術で理解されているようなモノレール又は急速交換構成で、アンカー送達カテーテル250を制御ワイヤ300に沿って前進させることを可能にする。アンカー送達カテーテル250は、遠位先端270が穴298又は布タブ又は他の取付構造を通って、僧帽弁尖又は僧帽弁輪の基部の隣接組織へと前進するまで、制御ワイヤ300に沿って前に進められる。コントロール266は、図46Dに示されるように、第1アンカー要素272を遠位開口部258から組織内へと前進させるための遠位前進などによって操作される。
アンカー送達カテーテル250は、その後、遠位開口部258を穴298の装置近位側上に配置するために近位に引き抜かれ、アンカー送達カテーテル250の遠位開口部258から第2アンカー要素274を配備するために、コアワイヤ262がさらに遠位に前進される。アンカー送達カテーテル250はその後、患者から近位に引き抜かれ得る。その後、同じ又は異なるアンカー送達カテーテル250を第3制御ワイヤ304に沿って前進させ、図46Eに示したような別の組織アンカーの配備を可能にする。
図46Eではインプラント290は、本明細書の他の箇所で説明されているように、弁尖を支持するために心室の方向に傾いた中央部を持つものとして示されている。この構成は、インプラント290の構造及び材料に組み込まれている固有バイアスによって保持され得る。又は、心室の方向に傾いた構成は、機械的インターロック、容量放電/電気溶接によるその場(in situ)での熱溶接、制御ワイヤ302又は単に僧帽弁環に起因する機械的力によるクリップ又は他の固定構造の適用などにより、積極的介入によって保持され、これは、柔軟接続部296が心房の方向に反転するのに十分な装置の側方拡張を防止する。又は、下記の発明の経心尖実施に関連して記述されるように、柔軟接続部296の近傍などにあるインプラント290を心室の対向壁に接続するために、植込み可能な制御ワイヤ(図示せず)を導入し得る。
本発明のさらなる実施が、図47A〜47Eに関連して図示されている。図47Aを参照すると、第1制御ライン300及び第3制御ライン304は、第1ガイドチューブ310及び第2ガイドチューブ312で置き換えられている。第1ガイドチューブ310及び第2ガイドチューブ312はそれぞれ、インプラントの配備の制御に加えて、それを通した組織アンカーの導入を可能にするという2つの機能を持つ。これにより、上述したような別の組織アンカー配備カテーテルの使用が回避される。
図47Bに示されるように、インプラントが僧帽弁の近傍に暫定的に配置されると、第1組織アンカー314が第1ガイドチューブ310を通して配備される。第2組織アンカー316は、第2ガイドチューブ312を通して配備される。組織アンカーは、「T」タグタイプの構造物、ピグテール又はコークスクリュー構造物、又は当技術分野で知られている他のさまざまな軟組織アンカーを含み得る。一般的に、本目的のために利用される組織アンカーは、小さな針を通した配備を可能にし、引き抜きに対して比較的大きな抵抗を提供するために、第1縮小断面構成から第2半径方向への拡大断面構成に転換できることが好ましい。半径方向の拡大は、アンカーの一部の角運動によって、又は半径方向の物理的拡張によって達成され得る。
図47Cを参照すると、第1ガイドチューブ310及び第2ガイドチューブ312は、組織アンカーの配備の後に取り外されている。ガイドチューブは、本明細書の他の箇所に開示されたさまざまな分離技術の任意のものを使用して取り外し得る。ガイドチューブの取り外しの前又は後に、管状体202又は制御ワイヤ302のどちらかへの遠位圧力は、図47Cに示される構成から図47D及びEに示される最終構成へとインプラントを反転させる。図47D及びEの反転構成は、固定を通して僧帽弁に与えられる機械的バイアスによって、又は本明細書の他の箇所に記述されている技術を使用して保持され得る。その後、制御ワイヤ300は、図47Eに示されるように、インプラントから分離される。
又は、本発明のさまざまなインプラントのすべては、経心尖アプローチなど、心室を横切って導入することもできる。本明細書に開示された見識から当業者には分かることであるが、僧帽弁への逆行性アプローチでは、インプラントと配備システムの両方に特定の変更が必要となる。
例えば、経心室アプローチは図48A〜48Dに示されている。配備カテーテル320は心室に導入され、心房内に遠位開口部208を配置するために僧帽弁を通して逆行する。本明細書の他の箇所で記述したように、インプラントは配備カテーテル320内で運ばれる。一般的に、インプラントは、柔軟区域又は枢着部で分離された、第1弁尖支持部292及び第2弁尖支持部294を含む。
本発明の逆行性実施では、第1及び第2弁尖支持部は、制御ワイヤ300の軸に実質的に平行である第1構成と、図48A〜48Dに示すように、制御ワイヤ300の縦軸から装置の近位方向に放射状に外側に向かって傾いている第2位置の間を移動できるように、柔軟又は制御ワイヤ300の縦軸に関して旋回可能である。従って、第1弁尖支持部292及び第2弁尖支持部294が第1縮小断面構成にあり、それぞれの組織アンカー314及び316が装置の近位方向に向いている時、インプラントは配備カテーテル320内に存在する。この実施形態では、組織アンカー314は、第1弁尖支持部292に恒久的に固定されるか又は一体化されており、第2アンカー316も同様に、第2弁尖支持部294によって支えられる。
配備カテーテル320の遠位端が心房内に配置されると、アンカー314及び316を遠位開口部208を超えて前進させるために、制御ワイヤ300を遠位に前進することができる。これはインプラントを解放し、組織アンカー314及び316が望ましい組織アンカー標的部位に向くように、第1と第2弁尖支持部の間の角度の増加を可能にする。図48Bに示されるように、制御ワイヤ300の近位引き戻しは、組織アンカーを標的組織内に据え付けるために利用され得る。
インプラントを図48Cに示した構成に反転するために、制御ワイヤ300のさらなる近位けん引を使用してもよい。本明細書の他の箇所で説明されているように、この時点で、制御ワイヤ300はインプラントから切断され得る。又は、制御ワイヤ300をインプラントに固定したままで、配備カテーテル320を近位に引き戻し、制御ワイヤの第2部分を、心室の心外膜面内又はその上の組織アンカー322に固定し得る。アンカー322は、綿撒糸、ボタン、又は心室への制御ワイヤ300の引き戻しに抵抗するための心外膜面に対する占有面積を提供する他の構造などのさまざまな構造を含み得る。その後、図48Dに示されるように、心室に広がり、インプラントの構成を保持するために、制御ワイヤ300及びアンカー322を配置したままで、制御ワイヤ300は、アンカー322へのその固定部近位で切断され得る。
前述のすべての実施形態において、僧帽弁内のインプラントの最終構成は高度に概略化された形で示されており、心室方向への傾きの角度及び程度は、望ましい臨床成績によっては本明細書で図示されるよりかなり大きい場合がある。一部の実施形態では、弁口バンドの傾斜は、健康な自然弁で接合するように、弁尖によって作られる三次元特性をその表面が模倣し「生理学的接合」を好ましい方法で促進することから臨床的利益を提供するという点で非常に有利である。
図49A〜49Hを参照すると、僧帽弁への経心尖アプローチ、及び本発明による弁口バンドの配備が示されている。図49Aに示されるように、配備カテーテル320は開胸などで導入され、僧帽弁を通して逆行性に前進させた。弁口バンド324は、カテーテル320から遠位に配備され、左心房内における拡張構成で図49Aに示されている。カテーテル320内への配置のための縮小断面プロファイルから、図49Aに示されている拡大断面プロファイルへの弁口バンド324の拡張は、インフレータブル・バルーンの拡張などによる機械的力の下で又は他の機械的機構のどちらかで達成され得る。しかし、弁口バンド324は、カテーテル320の遠位端から配備された時に、縮小プロファイルから拡大プロファイルへ自動的に転換するように、自己拡張型であることが好ましい。
図示された実施形態では、弁口バンド324は、心室の方向に凸状の弓形の中央部325を含む。図49A及び49Bを参照のこと。弁口バンド324は、第1取付構造326及び第2取付構造328を備える。取付構造326及び328は、ホック又は止めを含む組織アンカーなど、本明細書に開示の任意のさまざまな構造を含み得る。本発明の1つの実施では、第1取付構造326及び第2取付構造328はそれぞれ、以下に開示されるようなアンカーを受け入れるための標的を含む。本目的に適した標的には、織布又は不織布、ポリマー、又は他の材料又は下記のように、そこを通って針又は鋭いアンカーが貫通することを可能にする構造物が含まれる。本発明の1つの実施では、取付構造のそれぞれは、メッシュを支持しメッシュを弁口バンド324に固定するためのフレームを有するDacronメッシュを含む。
図49Bを参照すると、図49Aに示される弁口バンド324の斜視図が示されている。弁口バンド324は、本明細書に記述されているように、弁尖の閉鎖に作用するための心室方向に凸状をした中央セクション325を含む。中央セクション325は、第1取付構造326と第2取付構造328の間に延びる、少なくとも1つの支柱329を含むフレーム327によって形成される。図示された実施形態では、3つの支柱が互いに概ね平行に延び、その間に少なくとも2つの細長い開口部を画定している。構造物の構造的完全性を強化するために、1つ又は2つ又は4つ又はそれ以上の横断要素331が提供され得る。図49Cに示されるような位置にバンドを操作できるように、少なくとも第1制御ワイヤ300と、随意に第2又は第3又は第4制御ワイヤ300が、弁口バンド324に取り外し可能なように取り付けられる。制御ワイヤ300は、接続点301で弁口バンド324に取り外し可能なように接続される。点301での接続は、ねじ噛合、電解で分離できる結合又は溶接、又は他の分離機構によって確立され得る。電解で分離できる配備システムは、その他の分野の中でも神経血管塞栓症コイル及びステント技術分野で知られており、適切なシステムが米国特許番号5,976,131(Guglielmi, et al)、6,168,618(Frantzen)及び6,468,266(Bashiri, et al)に開示されており、これらの開示の全体を参照により本明細書に取り込む。
第1取付構造326は、フレーム327によって支えられる支持部333を含む。図示される実施形態では、支持部333はメッシュ337で塞ぐか又はカバーされた中央開口部を有する閉鎖ループを含む。又は支持部333は、単一直線要素、正弦又はジグザグパターンなど、望ましい性能に応じて任意のさまざまな構造を含む。図示された実施形態では、概して平面構成にメッシュ337を保持するのを容易にし、アンカー、縫合又は他の保持構造で穿刺され得るように、支持部333はループの形態で都合よく提供される。第2支持部335は、取付を容易にするために同様にメッシュ337を備える。メッシュ337は、Dacron又は他の材料(シリコンコアとDacronジャケットの統合など)の層又はパッドであるのが都合よく、これは取付構造による穿刺及び長期保持に対する組織の内部成長の両方を促進する。第1支持部333及び第2支持部335は、X線透視下でアンカー配備システムをメッシュ337内に向けられるように放射線不透過性材料を含むか、又は放射線不透過性マーカーを備える。
弁口バンド324が図49Cに示される位置に運ばれると、さまざまなクリップ、ステープル、止め、縫合、又は都合よくメッシュ377を貫通する、及び/又は第1及び第2支持部333、335の周りでループにすることのできる他の構造のいずれかを使用して、第1取付構造326及び第2取付構造328を隣接組織に固定し得る。保持要素には、胸壁への低侵襲性貫通方法などによって、左心房、心室のどちら側からでも、又は心外膜からアプローチし得る。下記の方法の実施では、保持要素を左心室から前進させる例が説明される。
図49Cを参照すると、カテーテル320及び制御ワイヤ300上の近位けん引は、第1取付構造326及び第2取付構造328が弁尖輪に接して据え付けられるように、弁口バンド324を僧帽弁の左心房側にぴったり沿って引き寄せる。
図49Dを参照すると、第1アンカーガイド330及び第2アンカーガイド332は、カテーテル320の遠位端から遠位方向に前進させられている。又はアンカーガイド330及び332は、さまざまな方法でカテーテル320と関連付けられるか、又はそれによって支えられる。例えば、第1及び第2アンカーガイド330及び332は、遠位方向のカテーテルの縦軸から放射状に外側に向かって傾斜するように、カテーテル320によって枢動可能に支えられ得る。
図示された実施形態では、第1及び第2アンカーガイドは、これから説明されるようにアンカーを方向付けるためのワイヤ又はチューブを含む。アンカーガイドのワイヤ又はチューブは、カテーテル320からの遠位前進時に図49Dに示されるものと類似の配置を取るように事前設定され得るニッケル・チタン合金(例えば、ニチノール)などの任意のさまざまな材料を含み得る。第1及び第2アンカーガイドは、X線透視によるガイドを可能にするため、放射線不透過性マーカーを備えるか、又は放射線不透過性材料から作成し得る。図示された実施形態では、第1及び第2アンカーガイドは、その中に組織アンカー及び組織アンカー配備構造を軸方向にスライド可能なように受け入れるために、チューブの形態となっている。
図49Eを参照すると、第1アンカー334の形態での保持要素が、第1アンカーガイド330から、僧帽弁の近傍の組織を通り、第1取付構造326を通って遠位に前進していることが示されている。第1取付構造326を通した第1アンカー334の貫通は、制御ワイヤ300を近位にけん引している間に達成され得る。
第1アンカー334は、第1取付構造326に形成された開口部を通した第1アンカー334の近位引き戻しに抵抗するために、少なくとも1つ、好ましくは2つ又は4つ又はそれ以上の横断要素336を備える。横断要素又は表面336は、傘状構造、Tタグ、止め、又は第1取付構造326に形成された開口部を通して第1方向に通過できるが、第1取付構造326を通して戻る第2反対方向の引き戻しには抵抗する他の固定構成など、任意のさまざまな構造の上に備えられ得る。
横断要素336は、隣接心筋組織を通して延長するフィラメント338によって支えられている。フィラメント338は、ポリプロピレンから作られた単一繊維又は多繊維構造、ポリエチレンなど他の既知の任意のさまざまな縫合材料、又はステンレス鋼などの金属、ニチノール、及び当技術分野で知られている他のものなど、任意のさまざまな材料を含み得る。フィラメント338は、望ましい臨床成績によっては、編み上げ又は織物の単一繊維構造又は多繊維構造であり得る。少なくとも第2類似のアンカー340が、僧帽弁の反対側に導入される。
図49Fを参照すると、組織壁を通して弁口バンドをしっかりと固定するために、弁口バンド第2横断要素342がフィラメント338の心室端に固定されている、又はそれによって支えられていることが示されている。同様の構造が、僧帽弁の反対側に提供されている。第1及び第2固定システムのみが上述されているが、左右対称とするために典型的には偶数の合計4つ又は6つ又は8つ又はそれ以上の追加的固定システムを使用し得る。本明細書の開示を考慮すると当業者には明らかであるように、組織アンカーの数及び構成は、弁口バンドの構成に依存する。
図49Fに示されるように、アンカーは完全に配備されており、第1アンカーガイド330及び第2アンカーガイド332はカテーテル320の中に近位に引き戻されている。
図49Gを参照すると、制御ワイヤ300はその後、弁口バンドから分離されて除去され得る。制御ワイヤ300の分離は、本明細書の他の箇所に記述されているようなさまざまな方法のいずれかで達成し得る。
又は、制御ワイヤ300は、図49Hに示されるように配置されたままにしてもよい。制御ワイヤ300は、上述のような経心室トラスを提供するために、心外膜アンカー322に固定される。
図50A及び50Bを参照すると、図49A〜49Hの経心尖送達又は本明細書に記述の他の任意の送達モードのどちらかでの使用のために適合され得る、配備カテーテル360の遠位端の概略側面図が示されている。図示された実施形態では、配備カテーテル360は、中央管腔362を持ち、遠位端364で開いている、細長い管状体を含む。中央管腔362内には、丸められた構成の弁口バンド366がある。弁口バンド366は、配備カテーテル360によって課される制約によって丸められた構成に維持される。しかし、図50Bに示されるように、弁口バンド366を配備するための押出要素368を遠位端364を越えて遠位に前進させると、弁口バンド366は自然バイアス下で広がって、僧帽弁を横切る植込みのためにあらかじめ定められた構成となる。
弁口バンドの一構成が、図51Aの平面図に示されている。しかし、本明細書に開示された任意のさまざまな代替的弁口バンド構成を、図50A及び50Bのカテーテルと共に利用できる。
図51Aを参照すると、僧帽弁の接合性縁にわたるように中央部368を持つ弁口バンド366が示されている。第1取付区域370及び第2取付区域372は、中央部368の反対端上に提供されている。
中央部は、上記のように僧帽弁にわたるように、少なくとも第1支柱374を含む。図示されている実施形態では、弁尖との接触占有面積の幅を増加させるものの、血流がそこを通れるように相隔たった第2支柱376及び第3支柱378が提供されている。支柱374、376及び378のそれぞれの第1端部は、第1取付区域370で接続されており、3つの支柱の第2端部は第2取付区域372で接続されている。
第1及び第2取付区域は、長期取付を支援するために補強要素382を備える。弁口バンド366の使用目的が開腹外科手術である時に、手で縫合できるように提供することのできる孔380が示されている。又は、孔380の使用目的が経管腔又は経心尖配備である場合、アンカー配備カテーテルを使用して取付用に構成され得る。第1、第2及び第3リブは、ニチノール又はステンレス鋼ワイヤ又はリボンなどの中央コア、及び僧帽弁の擦り傷のリスクを減少させるための、シリコンなどの共重合体を持つ又は持たないポリカーボネート・ウレタン、シリコンコーティング、又はPET、ePTFE、ポリエチレンなどの布、又は例えば前述の材料を含浸させたシリコンコーティングのハイブリッドなどの外側コーティングを備え得る。図51Aの丸で囲まれた区域51Dの拡大図が図51Dに示されている。
図51Dは、図51Dに示される支柱374、376、378の1つ、2つ又はそれ以上の近位端及び/又は遠位端の耐疲労性末端部の一実施形態を示す。末端部51Dは、非直線部378'及び頭部379を持ち得る。非直線部は、支柱に耐疲労性の増加を有利に提供する、らせん状、ジグザグ、又は概して非直線の他の形状を持つコイルであり得る。一部の実施形態では、末端部51Dの少なくとも一部が、疲労耐性をさらに向上させるために、シリコン、ポリカーボネート、ウレタン、又は類似のものなどがエラストマー中に埋め込まれている。一部の実施形態では、末端部51Dは、支柱の20%未満、15%未満、10%未満、5%未満又はそれ以下の長さの直線を持ち得る。一部の実施形態では、末端部51Dは、支柱の長さの少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、又はそれ以上の長さの直線を持つか、又は第1取付区域370から第2取付区域372までの1つ、2つ、又はそれ以上の支柱374、376、378の全長をも網羅し得る(例えば、直線部のない支柱)。頭部379は、非直線部378'に操作可能なように接続され、これらの部分は一体的に形成され得る。頭部379は、球状、卵形、正方形、長方形、三角形、又は他のさまざまな形であり得る。次に頭部379は、第1取付区域370及び/又は第2取付区域372に接続される。一部の実施形態では、頭部379は取付区域に取り付けられておらず、むしろ1つ又はそれ以上の支柱374、376、378の自由端として終わっている。
図51Bは、図51Aの弁口バンド366の側面図であり、平面構成で示されている。しかし、本明細書の他の箇所で説明されているように、弁口バンドは典型的には、僧帽弁を心室の方向へ前進させ、生理学的接合を提供するように湾曲している。
図51Cは、図50Bに示されるものと類似の、送達用に丸められた構成にある渡環バンド366の斜視図を示す。バンドは、バンド366を中央(363の近く)又はその近くで捕らえ、示されるように両端が内側に引き込まれるように丸めるなど、さまざまな方法で丸めることができる。一部の実施形態では、バンドは巻物のように丸めるか、又は「V」、「W」形又は他のさまざまな形に折り畳むことができる。一部の実施形態では、バンド366の少なくとも一部は、送達カテーテル内の心棒367又は他の伸長体の遠位端363上のスロット363又は可動式の顎様要素の1つ以上の中に存在する。バンド366を解放する顎様要素の作動、押出チューブの遠位への動き、別のカテーテルに対する心棒367の引き戻し、又は他の機構を利用してバンド366を配備することができる。一部の実施形態では、心棒を約90度など所望の距離だけ回転することは、配備のためのバンド366の展開を促進し得る。
図52A〜52Cを参照すると、経皮的使用又は開腹手術用に適合され得る組織取付システムを有する、本発明による弁口バンドが示されている。弁口バンドは、上述されているような第1取付区域370及び第2取付区域372を有する中央区域368を含む。
「Tタグ」アンカーなどの組織アンカー390は、横断要素392及び細長い柔軟縫合糸394を含む。本明細書で使用される場合、「縫合糸」という用語はその通常の定義に限定されず、ポリマー、金属、その両方の組み合わせに加えて、単一繊維及び多繊維構造を含む、多種多様の細長い柔軟繊維も含む。多繊維構造は、望まれる性能に応じて、編み上げ、織物、又は他の構成であり得る。
縫合糸394は、第2取付区域372の第1ガイド396を通って延長するように示されている。簡単にするために、本明細書では単一の固定システムのみが開示される。しかし、当然ながら、固定システムは、中央区域368の両端で使用でき、2つ又は3つ又はそれ以上など複数のアンカー390を各取付区域に使用し得る。
縫合糸394は、第1ガイド396を通り、次に以下に記述されるロック398を通って延びるように示されている。縫合糸394の自由端402は、第2ガイド400を通ってさらに前進する。システムの使用目的によっては、自由端402は、配備カテーテルの長さ全体にわたって近位に延長し、ここで横断要素392に対して第2取付区域372を引き締めるために、近位けん引などによって操作され得る。この後、自由端402は第2取付区域372の近傍又はその他の場所で切断され得る。
図52Cを参照すると、ロック398の詳細が分かる。一般的に、ロック398は、そこを通って縫合糸394が延びることのできる孔404を含む。噛合要素406は、縫合糸が孔404を通って第1方向には前進できるものの、孔404を通った反対方向の縫合糸394の動きには抵抗するように孔の内部に露出している。図示された実施形態では、噛合要素406は、縫合糸394を機械的に貫通又は噛合するように構成された尖状先端又はスパイクである。
前述の構造は、横断要素392を第2取付区域372の近くに引き寄せる方法で、自由端402が第2取付区域372から離れて近位に引き戻されることを可能にする。しかし、横断要素392のけん引は、縫合糸394を噛合要素406に噛合させ、横断要素392が第2取付区域372から引き離されることを防止する。
図52Dを参照すると、アンカーの1つ、2つ、又はそれ以上の横断要素392を通してループにできる縫合糸を示している。アンカーを通してループになった縫合糸394は滑車としての働きをし、縫合糸394の適切なけん引でアンカーを定位置に引き締めることができる。例えば、2、3、4、5、又はそれ以上のアンカーなど、示されているように1つのループに接続されている複数のアンカーを持つことは、1つの締め動作ですべてのアンカーを一度に引き締めることを可能にするので有利である。
図52Aを再び参照すると、アンカー配備ツール408が示されている。配備ツール408は、近位端410及び遠位端412を持つ細長い柔軟ワイヤを含み得る。配備ツール408は、配備ツール408の軸方向の往復運動を可能にするように近位端410を露出させるか又はコントロールに取り付けて、経皮的経管腔カテーテルの長さ全体にわたって延長し得る。遠位端412は、横断要素392の第1端部上の孔414内に解放可能なように配置される。横断要素392の第2端部は、尖状先端416を備える。
使用中、配備ツール408の遠位軸方向への前進は、横断要素392を標的組織の望ましい深さに推し進めるために利用される。望ましい深さに達したら、配備ツール408の近位引き戻しによって遠位端412が孔414から引き出され、配備ツール408の取り外しが可能になるが、横断要素392は標的組織内に残す。縫合糸394の自由端402の近位けん引は、横断要素392に対する弁口バンドの引き締めを可能にする。望ましいレベルの引き締めが達成されると、自由端402の解放は、噛合要素406がさらなる解放が起こらないように縫合糸394をロックし、それによって弁口バンドを定位置に保持することを可能にする。
ロック398は閉鎖孔として図示されているが、代替的ロック実施形態は、インプラントの外側縁からのアクセスを伴い得る。これは、縫合糸をロックに側方から装填することを可能にし、これは一部の例では孔を通して縫合糸を端部装填する必要のある閉鎖孔よりも望ましいことがある。さまざまな代替的側方装填ロック構成が図53に示される。
図54を参照すると、本発明による代替的弁口バンドの斜視図が示されている。この実施形態では、中央セクション368は、僧帽弁尖に非対称の支持を提供するために非対称の湾曲を備える。弁口バンドの幅又は中央部に沿って、これは健康な自然弁において接合した僧帽弁の三次元形状を模倣した輪郭を提供し、生理学的類似体を提供し、これによって接合の間に正しい生体構造を推進する。
図55及び56は、本発明による代替的弁口バンドを示す。これらの実施形態では、取付区域は、弁輪の組織を貫通するように構成された組織アンカーを備える。一般的に、組織アンカーはそれぞれ、組織を貫通するための尖状端部、及び組織からの組織アンカーの除去に抵抗するための保持構造を含む。図55の保持要素は、当業者であれば理解するように、第1又は第2止め又はショルダの形態である。図56に示される弁口バンドの保持機能は、組織貫通構造の弓形構成を含む。弁尖の閉鎖による中央区域の凸側に対する圧縮は、組織アンカーに円周方向の力を与える傾向があり、遠位点をそれ自身の弓形経路の方向にさらに前進させる。この構造は、僧帽弁の閉鎖の自然な力が隣接組織内の組織アンカーの保持を増加させることを可能にする傾向を持つ。一部の実施形態では、止めは、縮めることができるか又は他の方法で定位置に固定できる一次アンカーとして使用できる。他の実施形態では、止めは、位置を確認する間にバンドを一時的に定位置に保持する配置機能としての働きをし得る。バンドは次に、縮れ、ステープル、縫合糸、又は本明細書に開示の他のアンカーなどを使用して、第2ステップに固定され得る。一部の実施形態では、止めは、組織の貫通時の自動ロックであり得る。
一部の実施形態では、粘弾性応答のように、索が接合に連続非線形的に抵抗を提供するのと同じ方法で接合に抵抗を提供する弁口バンドが開示されている。このバンドは、上記で説明及び図示されたような構成を持つことができ、接合に対する非線形抵抗を提供するための材料特性又は追加的機能を持つことができる。かかる実施形態は、接合した僧帽弁の自然の三次元表面を模倣する湾曲を保持できるが、適切な場合、逆行性方向に解剖学上正しい接合平面へと変位できる。例えば、僧帽弁に対する変位の方向は、収縮期の心房方向としてより良く説明でき、弁尖が突起のあるインプラント構造に衝突したり、線維化又は衝突縁の周りの薄化などの潜在的に有害な形で改造されるのとは対照的に、衝撃に対するクッションを弁尖に提供する。図56Aは、Nielsen et al, Circulation 2003;108:486-491, Influence of Anterior Mitral Leaflet Second-Order Chordae Tendineae on Left Ventricular Systolic Function(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)から再生され、等容性収縮中のLV圧力と索張力の間の双線形関係、排出中の高いLV圧力にもかかわらず見られる索張力の低下、及び等容性弛緩中のほぼ直線的減少を示している。図56Bは、Nielsen et al, J Thorac Cardiovasc Surg 2005;129:525-31, Imbalanced chordal force distribution causes acute ischemic mitral regurgitation: Mechanistic insights from chordae tendineae force measurements in pigsから再生され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。これらの図は、時間増加に対する索力及びその後の収縮期の非線形的減衰を示す。この性能を模倣するバンドは、その接合力をほぼ正常な状態に戻すために弁表面に利益をもたらす。一部の実施形態では、バンドは、接合性弁尖表面との反復接触によって生じる物理的ストレスを和らげる、又は生理学的に減少又は防止することができる。バンドは、流体などの媒体が充填されている場合もあれば充填されていない場合もある室のある支柱などの構造物のおかげでこれを達成できる。これらの室は取り囲まれており、血液又は生存期間中の血液成分浸透に対して不浸透性又は実質的に不浸透性である。接合の衝撃緩和に対する別の方法は、接合の間にいくらか屈曲できる装置である。この柔軟性は、支柱材料、厚み、幅、リプルなどの下側及び上側断面、又はエラストマー又は弾性発泡体などのカプセル化材料に基づいて設計され得る。発泡材料は、同等の全体的柔軟性の外部ポリマーで封入され得る。追加的実施形態は、(上記の図51Dに示されるような)コイル、又は固有の非線形変位特性を生成するためのコイル中コイル、又は随意にポリマーで充填できるニチノールレーザー切断チューブなどのチューブであり得る。また別の実施形態は、それ自体が心室交差部に向かってループをつくる支柱を含む。このループも、ばね力によって、接合に対するこの非線形抵抗を生み出す。他の実施形態では、バンドは索まで進むことができ、装置は、自然生理を達成するために縮小するか索を補強するように適合され得る。この方法の装置は、例えば、縮めたバンドの間にエラストマー体を有する縮めたバンドであり得る。エラストマー体は、接合中の正しい曲線を模倣するために、索の不完全部分を複製する。これは、苦痛緩和ケアを提供するか又はそれを消散させるために十分な利益を疾患の一部の等級に提供し得る。
任意の多種多用な特定の組織アンカー構造物を、本発明の弁口バンドと組み合わせて利用し得る。さらに、本発明のさまざまな実施と関連した実例としてさまざまな機能が記述されている。当業者には明らかなように、本発明から逸脱することなく、任意の上述の機能は、本明細書に開示された他の実施形態と再度組み合わせることができる。
大動脈弁の追加的な実施形態
前述の任意の弁口バンドを、大動脈弁逆流の治療などのために、大動脈弁と共に使用できるか又はそのように構成できる。追加的実施形態は、大動脈弁逸脱及び心室大動脈結合部の拡張による大動脈弁逆流の治療に関するもの、より具体的には、大動脈弁逸脱を治療するための弁口バンドの使用、及び大動脈弁輪のサイズと形状を変更するための、大動脈弁輪での縫縮アンカーの使用に関するものを含め、下記でさらに説明される。
図57及び58に示されるように、大動脈弁22は、大動脈基部501内の機能的かつ解剖学的単位として最もよく説明される複雑な構造である。大動脈基部501は、大動脈弁輪500、大動脈弁尖502、大動脈洞510、及び上行大動脈の接合部(大動脈洞と上行大動脈の接合部)512の4つの構成要素を有する。
大動脈弁輪500は、大動脈弁尖502と大動脈洞510を左心室16に合体させる。大動脈弁輪500は、その外周の約45%で心室筋(心室中隔)に、残りの55%で線維構造(僧帽弁及び膜性中隔)に付着している。
大動脈弁尖502は波型状に大動脈弁輪500に付着している。3つの大動脈弁尖502及び3つの大動脈洞510がある:左514、右516及び無冠520。大動脈洞510はバルサルバ洞とも呼ばれる。左冠状動脈は左大動脈洞から生じ、右冠状動脈は右大動脈洞から生じる。左冠状動脈開口部504は、右冠状動脈開口部506よりも大動脈弁輪500に近い。2つの弁尖が会合する最も高い点は交連518と呼ばれ、上行大動脈の接合部512のすぐ下に位置する。図58に示されるように、大動脈弁輪500の波型は、交連518の下に3つの三角形の空間を作り出す。無冠状動脈弁尖520の交連518の下の2つの三角形は、線維構造であるのに対し、右大動脈弁尖516と左大動脈弁尖514の間の交連は筋肉である。上行大動脈の接合部512は大動脈基部501の末端である。大動脈弁尖502の交連518がそのすぐ下にあるため、これは大動脈基部501の重要な構成要素である。
図59及び60は、それぞれ収縮期及び拡張期の正常な大動脈弁22の機能を概略的に示す。大動脈弁尖502は、半月(三日月形)で、その基部は弁輪500に付着しており、弁尖502の自由辺縁は交連から交連に延び、弁尖502は拡張期の間に中央で接合する。収縮期の間、図59に概略的に示されるように、3つの大動脈弁尖502は大動脈20に向かって開き、流れへの障害なしに、左心室16からの血液が大動脈20に排出されることを可能にする。図示されるように収縮期中、僧帽弁18は閉じる。図60に示されるように、拡張期中、上行大動脈20の圧力は左心室16(拡張期中は弛緩する)よりも大きいため、大動脈弁尖502は中央で会合して閉じ、左心室16に血液が漏出して戻ることを防止する。僧帽弁18は拡張期中に開いて、左心房12からの酸素化された血液で左心室16を満たすことを可能にする。
図61は、大動脈から左心室を見た、収縮期中の正常大動脈弁22の底面図を概略的に示している。図示されるように、3つの弁尖:左冠尖514、右冠尖516、及び無冠状動脈弁尖520は開いて、左心室からの血流が大動脈に入ることを可能にする。
図62は、拡張期中に弁が閉じている時以外の、図61の大動脈弁を概略的に示す。図示されるように、3つの弁尖514、516、520は、自由縁に沿って正しく接合し、「Y」のような形を形成する。
さまざまな疾患過程は、大動脈弁22の適正機能を害し得る。弁は大動脈弁尖502の石灰化によって影響され、大動脈弁開口部の狭窄(すなわち、狭窄性弁膜症)につながることがある。これは一般的には、人口大動脈弁置換術、経カテーテル技術、又は弁輪形成術によって治療される。大動脈弁の他の一般的な機能的問題は、拡張期中に大動脈弁尖502が正しく閉鎖しないため、拡張期に大動脈20から左心室16に血液が戻って漏出する大動脈弁逆流である。これは、左心室の容量過負荷を生じるため左心室がより激しく働き、左心室肥大、左心室の拡張、及び最終的には鬱血性心不全につながる。極端な例では、これは僧帽弁輪の拡張と逆流及び鬱血性心不全にもつながり、胸痛、息切れ、起座呼吸及び下肢浮腫を含む症状をもたらす。
大動脈弁逆流は一般的に、機能性大動脈弁輪と大動脈弁尖の接合表面のミスマッチによって生じると考えられ得る。これは、拡大した弁輪により、又は弁尖の不適切又は不完全接合により生じ得る。外科的大動脈弁修復の一般的原理は、弁尖の接合の正常な表面、長さ及び高さを復元することに加え、機能的大動脈弁輪を安定化することである。
大動脈弁逆流につながる大動脈弁尖病変の最も一般的な形態は、図63及び64に概略的に示されている弁尖の逸脱である。図63の断面図に概略的に示されるように、弁尖逸脱は、1つ以上の大動脈弁尖503の一部が、拡張期に大動脈弁輪500の平面を乗り越え、そのため左心室の流出管内に突出し、弁尖502の不完全接合を生じることとして定義される。次にこれは、大動脈20から左心室16へと血液が戻って漏出することにつながる。最も頻繁には、これは右弁尖516に影響し、次に頻繁には無冠状動脈弁尖520、まれに左弁尖514に影響する。図64の底面図に示されるように(大動脈20から左心室16を見て)、長い冗長な動脈弁尖(例えば、右冠状動脈弁尖516)は左心室16内に入り、弁尖516の過度の張り出しが左心室16内に入ること、及び接合時の自由縁の位置合わせ不良につながることがあり、これは中央自由空間522の存在をもたらすことがあり、ここでは拡張期中に接合が起こらずに大動脈弁逆流が起こる。この問題はしばしば、治療前の心エコー検査、CT又はMRIなどの画像検査で診断できる。従来的治療には、心肺バイパス法の複雑な外科的修復技術が含まれ、罹患及び死亡率のリスク及び、痛みを含むかなりの術後合併症を伴う何ヶ月もの長期リハビリをもたらす。修復が無効な場合、外科的修正は、血栓塞栓症などの一定の潜在的有害結果、長期の抗凝固療法の必要性、弁耐久性の懸念、心室機能及び幾何学的形状の損失などを伴う大動脈弁置換が最終的に必要となり得る。
さらに、大動脈の大きな外科的置換による大動脈瘤の修正の後でも、大動脈弁の逸脱をもたらす大動脈拡張及び大動脈弁輪の二次的拡張を生じる大動脈瘤など、大動脈の幾つかの病理学的過程がある。多くの患者では、大動脈弁逸脱の治療のために、時間のかかる複雑で追加的な外科的修復技術を加えることが必要である。現在利用可能なさまざまな主な外科的技術の問題にもかかわらず、大動脈弁逆流を低減又は除去するための簡単で効果的な装置及びそれに対応する低侵襲性で外科的又は経血管的な経カテーテル処置に対するニーズが未だにある。
上述のように、本発明による装置の植込みは、大動脈弁尖の接合の深さの増加を達成することが好ましい。少なくとも約1mm、好ましくは約2mmの増加、一部の例では少なくとも約3mm〜5mm又はそれ以上の増加が達成され得る。
接合深さの改善に加えて、本発明による装置の植込みは、接合平面に沿った接合の幅も増加させることが好ましい。これは、例えば、下の図69に関連して示されるように、接合領域において弁尖と接触するために広がった部分を持つインプラントを利用して達成され得る。本発明によって達成される弁尖の接合動作のさらなる修正は、早期接合を達成することである。これは、心室方向へのインプラントの湾曲又は他の隆起によって達成される。これにより、本発明による装置の植込み前の接合時点と比較して、心臓周期に対して早期の接合を達成することが本発明で可能となる。
本発明の一部の実施形態は、拡張期中の図65に概略的に示されるように、大動脈弁尖502が大動脈弁輪500の平面の下方に逸脱して左心室流出管に入ることを防止するため、大動脈弁22の心室側にある大動脈弁22(大動脈弁輪にわたる)をわたる弁口バンド50を含む。図66は、拡張期中の弁尖514、516、520を含み、弁口バンド50が左心室16側の大動脈弁輪にわたっている、図65(大動脈20から左心室16を見た)に示される拡張期中の大動脈弁22の底面図を示す。
一部の実施形態では、拡張期中の図67及び68に示されるように、バンド51は大動脈弁輪500の直径よりも小さい長さを持つ。かかる部分的弁口バンド51は、送達中の形状が低いものの、使用中は、上述のように接合を修正するために、それでもなお1つ、2つ、又はそれ以上の弁尖と接触できるという利点を持ち得る。一部の実施形態では、バンド51は、望まれる結果に応じて、大動脈弁輪の直径の約90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、又はそれ未満にわたり、長さが約7mm〜15mmの間、又は一部の実施形態では約10mm〜13mmの間であり得る。かかる実施形態では、部分的バンド51は、第1端部52又はその近くで弁輪500に取り付けられる一方、第2端部54は自由に突出し、逸脱弁の下に固定されない。他の実施形態では、縫合糸又は他の取付などのテザーは、管腔内の装置形状を著しく増加させることなく追加的に固定を支持するため、部分的バンド51の「自由」端部54から弁輪500のもう一方の端部に操作可能なように取り付けることができる。部分的バンドの他の利点は、流出管の閉塞が最小なことで、心臓周期中の正しい空間位置を再現するために弁尖変位を妨害し、バンドへの弁尖衝突力を減少又は除去することによって時間を基準とした線維化を減少させるのに役立つ。
一部の実施形態では、バンド50は、第1端部52、第2端部54、2つの端部52及び54の間に配置された中央部64、第1端部52の近くに位置する第1固定部58、及び第2端部54の近くに位置する第2固定部60を持つ細長い弓形体を含む。一部の実施形態では、バンドは、例えば約5〜35mmの間、約10〜25mmの間、又は一部の実施形態では約15〜25mmの間などの、弁輪にわたって延びることのできる長さを持つ。弁尖接触表面56は、図69に示されるように縦軸に沿って凸形であるが、前述のように、凹形、直線、凸形、凹形、及び/又は直線の組み合わせ、又は頂点で結合された2つ又は3つの凹形又は直線形部分などの、他の幾つかの構成であり得る。
第1端部52と第2端部54の間の中央部64は、大動脈弁22などの弁の流路にわたるようにするために提供される。中央部64の一部又は全部は、一部の実施形態では、第1端部52及び第2端部54を含む平面から横方向に変位され得る。植え込まれた時、約1〜10mmの間、又は一部の実施形態では少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10mm又はそれ以上であり得る横方向変位は、逸脱した弁尖を支持し、閉鎖弁の接合点を大動脈20の方向に前進させる。第1端部53及び第2端部54は、大動脈弁輪500の反対側に取り付けられるように構成される一方、中央部64は大動脈弁尖502を支持するように構成される。
図70は、「S」形曲線を持つ弁口バンド530の実施形態を概略的に示す。図71は、スプーンのような拡大部534を持ち、弁輪500の近くの第1幅、及び逸脱弁尖502に対する支持を増加させるための拡大部534のより大きな第2幅を有する部分的弁口バンド532の実施形態を概略的に示す。一部の実施形態では、拡大部の第2幅は、第1幅よりも少なくとも25%、50%、75、100%、150%、200%又はそれ以上大きい。大動脈弁植込みのためにサイズ調整され得る弁口バンド構成のさらなる実施形態が、例えば上記の図12〜27に関連して図示及び説明されている。さらに、大動脈弁逆流及び先天性大動脈二尖弁を持つ患者にも、上述のようなバンドを植え込むことができる。適切なバンド構成を決定するために術前心エコー検査も利用できる。
一部の実施形態では、血管系への薬剤の放出制御を可能にするために、バンド50は、1、2、又はそれ以上の層の治療薬を含むことができる。一部の実施形態では、バンドは、血栓又は塞栓の原因となり得るフィブリン又は他の物質がバンド上に蓄積するのを防止するために、例えばアスピリン、クロピドグレル、チクロピジン、ヘパリン、エノキサパリン、ヒルジン、フォンダパリヌクス、tPA、ストレプトキナーゼ、ワルファリン、アビシキシマブ、エポトフィバチド、又はチロフィバンなどの抗凝固剤を含むことができる。パクリタキセル又はシロリムスなどの抗増殖剤もステント上に層状に重ねることができる。一部の実施形態では、細菌又は他の成長を阻害するために、バンドを抗生物質で被覆し得る。
バンドは、低侵襲アプローチにより大動脈又は左心室尖部を通して、外科的に植え込むことができる。他の実施形態では、バンドは経カテーテルアプローチで経皮的に植え込み得る。このアプローチは、左心室尖部からの経心尖、又は大腿動脈から上行動脈に入り動脈弁開口部を通しての逆行性形式であり得る。環内僧帽弁バンドの経皮的送達に関するシステム及び方法の詳細は、上記の図39〜56に関連して説明されており、環内大動脈弁の送達用に変更できる。一部の実施形態では、大動脈用に構成された環内バンドは、三尖弁などの他の三弁尖弁との使用のために変更することもできる。
経カテーテル経皮的大動脈弁輪形成
上述のように大動脈弁逸脱が大動脈弁逆流を生じることに加えて、図72〜75に概略的に示される大動脈弁逆流の他の病因には、大動脈基部構造の1つ以上の拡張をもたらす障害を含む。一部の例には、大動脈基部の拡張(538での)、大動脈洞の拡張(534での動脈瘤)及び大動脈弁輪500の線維部にある大動脈基部の拡張による上行大動脈瘤を伴う上行大動脈の接合部の拡張(536での)を含む。これは、大動脈弁尖502の不完全接合を生じ、図74の流れ矢印540によって示される中央大動脈弁逆流を引き起こす。大動脈基部拡張は、それぞれの大動脈弁尖514、516、520の自由縁552、554、556が適切に接合しないように大動脈の直径を増加させ、図74に概略的に示されるように弁尖間三角形560の1つ、又は図75に概略的に示されるように網羅する3つすべての弁尖間三角形560、562、564の逆流及び拡張をもたらす。弁尖間三角形560、562、564は、上行大動脈の接合部のレベルに達するための左心室流出管の3つの三角形の延長である。しかし、これらの三角形は心室心筋で形成されるのではなく、延長したバルサルバ洞の間の大動脈の薄くなった線維壁で形成されている。これらの心尖領域の大部分は、心膜腔との潜在的な連通領域、又は右冠状動脈弁尖516と左冠状動脈弁尖514の間の三角形の例では大動脈と前方に位置する袖のような肺下漏斗の間に挟まれている組織の平面と潜在的に連通する領域を示すものである。無冠状弁尖を縁取る2つの弁尖間三角形560、564も、線維性三角、僧帽弁、及び膜性中隔と線維性につながっている。
しばしば、望ましくない拡張を修正するために、外科的弁輪形成術による大動脈弁輪サイズの縮小が必要となる。高齢者における大動脈弁逆流の最もよく見られる原因は、大動脈弁尖502が少なくとも初期は正常のままでの大動脈弁輪500の拡張である。現在の外科的処置は侵襲的である。要求に応じるアンカーで大動脈弁輪に縫合弁輪形成術を行うことによって、大動脈弁輪500の外周を減少させる経カテーテルアプローチをこれから説明する。
例えば、Tタグ又は今までに記述された他のアンカーなどの複数のアンカー572を、無冠状動脈弁尖520と左冠状動脈弁尖514(三角形560)の間、及び右冠状動脈弁尖516と無冠状動脈弁尖520(三角形564)の間の弁尖間三角形に打ち込む。これが大動脈弁輪500の最も線維性の部分である。最も一般的には、拡張は無冠状動脈弁尖520と左大動脈弁尖514の間の弁輪500に影響する。この修復過程は、図76〜78に概略的に示されている。縫合糸などのテザー574で接続され得るアンカー572が、望ましい弁尖間三角形の少なくとも第1場所及び第2場所に打ち込まれた後、正常な弁尖接合を回復するために、例えば結び目、引きひも要素、ラチェット、糸巻きなどであり得るシンチ機構570により、第1場所と第2場所の間の距離が短くされる。一部の実施形態では、シンチ機構570は、拡張のさらなる修正が必要な場合、又は過剰修正を戻すために、調節可能なように構成される。
さらに、図79に示されるように、冠状動脈の流れに影響するリスクなしに左冠状動脈弁尖514と無冠状動脈弁尖520の間(図示)の接合を改善するため、又は他の実施形態では他の隣接弁尖間の接合を改善するなどのために、外周上で2つの冠状動脈口504、506の間の弁輪500において部分的円周弁輪形成を行うことができる。アンカー572は、弁輪壁500の所望の位置に打ち込むことができ、弁輪直径を減少させ、前述のように接合を改善するために、シンチ機構570を作動させることができる。
図80に概略的に示されるように、固定装置は、大腿動脈を介して上行動脈へと逆行性580に送達できる。両方の冠状動脈内のガイドカテーテルが弁輪に対する目標を提供する。さらに、2-D又は3-D心エコー検査又は他の画像モダリティーは、アンカー572の配置に役立ち得る。又は、アンカーは経心尖590又は経中隔アプローチにより配置できる。
図81を参照すると、左心室の拡張による後乳頭筋の変形のために後尖の動きが制約された拡張僧帽弁輪が示されている。この状態は、虚血性又は拡張型心筋症で起こる。概略的に示されている結果は、弁尖の不完全接合であり、中央僧帽弁逆流を生じる。
図81は、僧帽弁406によって左心室400が左心房402から分離されている心臓を概略的に示す。僧帽弁406は、弁輪、前尖406及び後尖408を含む。後乳頭筋412に結合する辺縁索410を介して後尖を引っ張る心室壁の拡大のために後尖408は変形している。後尖406は後乳頭筋414によって適切に抑制されている。また、心室中隔416、大動脈弁418、及び大動脈420も示されている。
図82を参照すると、左心房から左心室の方向を見た、収縮期中の正常な僧帽弁の概略図が示されている。図83は、左心房から左心室の方向を見た、収縮期の虚血性及び拡張型心筋症の僧帽弁を示す。図83の図は、後尖のP2及びP3波型領域の中央僧帽弁逆流を示す。
僧帽弁逆流は、主に拡張型又は虚血性心筋症による進行性左心室拡大を持つ多くの患者における重度の鬱血性心不全のよくある原因である。僧帽弁逆流の機構は、心室収縮期に僧帽弁尖の不完全接合を生じる僧帽弁輪拡張(図81、図83)、及び弁尖の動きの制約を生じる左心室拡大による(僧帽弁尖が付着している)乳頭筋の変形によるものである。この過程はしばしば僧帽弁の後尖に影響する(図81、図83)。
現在の外科的治療は、僧帽弁輪形成術及び多くの複雑な弁下処置(すなわち、乳頭筋の再配置及び弁尖基部と左心室の近くの支柱索のみの切断)から成る。これらの開腹手術処置は、時間がかかり、侵襲的で心肺バイパスを必要とする。左心室の進行性拡張及び取り付けられた弁尖索乳頭筋装置のさらなる変形のために、これらはまだ満足のいく結果を生んでいない。同じ理由から、経カテーテル弁輪形成術及び僧帽弁尖のエッジ・ツー・エッジ修復も、大きな成功を収めていない。
上述の本発明の態様に従って、弁輪平面の上方の弁尖に過剰な動きのある僧帽弁逸脱による僧帽弁逆流を治療するためのシンプルな弁口環内バンドが提供されている。植込みは外科的又は経血管的に達成され得る。しかし、特定の患者では、左心室の継続的拡張は、正常な索と協力して逆流を生み出すか又は進行させる。
従って、本発明のさらなる態様により、僧帽弁逆流を持つ虚血性及び拡張型心筋症患者を治療するための方法及び装置が提供されている。本方法によると、後僧帽弁尖の主要辺縁索が好ましくは弁のP2 P3波型領域で切断され、次に弁尖は僧帽弁輪の平面の上方の左心房内に逸脱できるようになる(図85)。その後、本明細書の他の箇所で記述されているように、弁口環内バンドの1つを僧帽弁輪に挿入することにより(図86)、この逸脱が治療される。
この処置は、外科的開腹の低侵襲アプローチにより非常に短い手術時間で達成できる。索の切断及びバンドの配備は、大腿静脈を経て心房中隔から左心房と左心室に入るアクセスの経カテーテル技術によって経皮的に行うことができる(図84〜85)。又は、索の切断とバンドの配備のために、大腿動脈アプローチから上行動脈に入り、大動脈弁を通って行うことができる。別のアクセスは、左心室心尖部からの経心尖アプローチである(図86)。これらの経皮的アプローチの任意の2つ又はすべてを組み合わせることもできる。
索切断器具は、マイクロ剪刀、マイクロナイフ又は他の鋭利な刃の切断器具などから、冷凍アブレーション、超音波、高周波、マイクロ波、レーザーエネルギー又は当技術分野で知られている他の切断技術までとさまざまである。
従って、図84を参照すると、経中隔カテーテル422は、上大静脈424アクセスにより、右心房426と左心房402の間に中隔428を横切って配置されている。経中隔カテーテル422の遠位端423は、僧帽弁の近傍に位置する。索切断器具430は、辺縁索410の1つ又は2つ又は4つ又はそれ以上を選択的に切断するために、経中隔カテーテルを通って前進し、遠位端423から出る。索切断器具430は、カッターコントロール(図示せず)をその上に有する近位端を持つ細長い柔軟体432及び組織カッター434を持つ遠位端を含む。コントロールは、索切断モダリティーの性質によって大幅に異なり得る。例えば、はさみ又はナイフなどの機械的カッターを制御するために、機械的ノブ、レバー及びスライダーを利用し得る。高周波、マイクロ波、レーザー又は超音波などの他のエネルギーベースの切断モダリティーを制御するために、電気スイッチ、ボタン又はノブを利用し得る。
拡張型心筋症によって課される制約から後尖を解放するために十分な辺縁索が切断されると、図85に示されるように後尖は解放されて逸脱する。しかし、図87に概略的に示されるように、辺縁索の切断前又は辺縁索の切断後のどちらかに、本明細書にこれまでに開示された弁口バンドのいずれかの形態での僧帽弁尖支持部が僧帽弁にわたって配置される。経僧帽弁バンド(例えば弁口)は、切断された辺縁索にもかかわらず、後尖が左心房の中に逸脱するのを防止し、切断された辺縁索は、収縮期の左心房への逆流なしに、示された弁尖の完全接合を可能にする。
図86を参照すると、経心尖カテーテル438を介しての僧帽弁への代替的アクセスが示されている。経心尖カテーテル438の遠位端439は、左心室内に配置される。索切断器具430は、細長い柔軟体432が組織カッター434を辺縁索410に運ぶように、そこを通って前進する。任意のさまざまな組織切断先端を、本明細書の他の箇所で説明したような組織カッター434のために利用し得る。辺縁索は、本明細書の他の箇所で記述された弁口バンドの植込み前又は後に、経心尖アプローチで切断され得る。
前述の説明は主に、後尖を解放するために辺縁索を切断するという状況であったが、これは、心臓の病気によって課される制約から弁尖を解放するために心臓を操作し、その後結果生じる逸脱を弁尖支持部の植込みによって治療することを含む本発明の単なる一例にすぎない。操作は、少なくとも1つの辺縁索の完全切断が簡便な技術である、制約された弁尖の移動範囲を増加する任意の処置であり得る。辺縁索を伸ばす、又は対応する乳頭筋を切断又は伸ばす操作を、代わりに使用してもよい。切断された索又は乳頭筋の一部又はすべてを除去するか、又は図85又は87に示されるようにその場(in situ)に残し得る。
多種多様な組織アンカー構造物の任意のものを、その実施形態が本明細書に開示されている弁口バンド及び/又は弁輪形成術と組み合わせて利用し得る。さらに、本発明のさまざまな実施と関連して、さまざまな機能が実例として記述されている。当業者には明らかであるように、上述の任意の機能は、本発明から逸脱することなく、本明細書に開示されている実施形態の他のものと再結合し得る。
上記の詳細な説明は、本発明の装置及び方法の幾つかの例示的な実施形態を記載するが、上記の説明は単なる例示であって、開示された発明を限定するものではないことを理解されたい。開示された特定の寸法及び構成は、前述のものとは異なることがあり、説明された方法は、身体内のあらゆる生物学的導管内で用いることができることが分かるであろう。
10 心臓
18 僧帽弁
50 弁口バンド
52 第1端部
54 第2端部
57 第1ショルダ
58 第1固定部
59 第2ショルダ
60 第2固定部
64 中央部
66 支持部
68 環状輪

Claims (3)

  1. 弁口環内送達システムであって、
    細長い体部を含む経皮的送達カテーテルと、
    可動式外鞘と、
    第1端部から第2端部までの縦軸を持ち、弁尖支持部及び固定部を含む弁口環内インプラントであって、前記弁尖支持部は前記固定部から縦方向に少なくとも部分的にオフセットされており、前記弁口環内インプラントが第1半径方向に縮小された構成から第2半径方向に拡張された構成に転換されるように構成され、前記弁口環内インプラントが前記経皮的送達カテーテル内に第1半径方向に縮小された構成で格納されるように構成され、前記弁口環内インプラントの前記縦軸が弁輪内に配置された心臓弁の接合性縁に対して実質的に横方向に向くように前記弁口環内インプラントが前記弁輪内に方向付けられるように、前記弁口環内インプラントが前記心臓弁輪内にその第2半径方向に拡張された構成で配置されるように構成されており、前記弁口環内インプラントが弓状中央部を備えるバンドを備えており、前記弓状中央部は、前記心室の方向に凸状であり、且つ僧帽弁弁尖の閉鎖によって形成された接合縁部に亘って横断方向に延在しており、前記バンドは、前記弁口環内インプラントの第1端部における第1取付構造と、前記弁口環内インプラントの第2端部における第2取付構造と、を有し、前記第1取付構造及び前記第2取付構造は、フレーム及びメッシュ材料を備える、弁口環内インプラントと、
    前記心臓弁輪内に前記弁口環内インプラントを配置するために、前記弁口環内インプラントに操作可能なように取り付けられた制御ワイヤと、
    を含む、弁口環内送達システム。
  2. 前記弁口環内インプラントを前記弁輪の組織に取り付けるために、少なくとも1つの組織アンカーをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記弁口環内インプラントを前記弁輪の組織に固定するために、前記弁口環内インプラントに操作可能なように接続された自己拡張型支持構造をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
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