JP5774120B2 - 病原体レクチンに対する抗感染性としてのグリコミメティック化合物 - Google Patents

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Description

本発明は、感染の第1段階において、レクチンを利用する病原体に対する抗感染性としてのグリコミメティック化合物に関する。
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)は、ピオシアニックバチラス(pyocyanic bacillus)とも呼ばれるグラム陰性菌であり、多湿な環境及び土壌中に生息している。緑膿菌はヒトの活動と関連しており、台所、浴室、病院等に存在している。この日和見細菌は、免疫低下患者の重度の院内感染の原因となり、その数は移植の増大に伴って増加している。フランスでは、緑膿菌は2001年8月から2006年6月の間に院内感染の8%を引き起こしている(Institut de veille sanitaire、BHE 30-31、2008)。緑膿菌はやけど、目と耳の感染の一般的な原因であり、また、カテーテルのような医療機器へのコロニー形成の大部分を引き起こしている。
また、緑膿菌は嚢胞性線維症(CF)患者の肺感染における主要な病原体である。大部分のケースでは、CF患者はティーンエイジャーの段階に達すると慢性肺感染にかかる。この感染は病的状態及び死亡の主要な原因である。いったん慢性感染にかかると、抗生物質に多耐性を示す多数の菌株が発生するため、それを根絶することは非常に難しいか不可能である。緑膿菌のバイオフィルムの形成は宿主の免疫と抗生物質に対して耐性を増大させる結果となり、治療のアプローチを複雑にする。抗ウイルス薬や抗生物質のような薬物に対して耐性を示す多くの病原微生物の急速な発現は、公衆の健康にとって主要な関心事である。代わりとなる治療戦略が現在喫緊に必要とされている。
緑膿菌は、炭水化物を特異的に認識することができる多数のタンパク質受容体を産生する。レクチンと呼ばれるそれらの受容体は宿主組織への付着とバイオフィルムの形成において役割を果たす。レクチンは細菌内で可溶性の形で産生されるか、付着性オルガネラの頂端に存在する。LecA(PA―IL)及びLecB(PA―IIL)は緑膿菌の細胞質で産生される可溶性のレクチンであり、細菌細胞の外膜に多くの量が検出されている。LecA及びLecBは共に四量体のタンパク質であり、カルシウムの存在下でガラクト―スとフコースをそれぞれ認識する(Gilboa-Garber,Methods Enzymol. 1982, 83, 378-385)。それらは細菌に対する病原性因子として考えられており、感染の際に酵素及び他のタンパク質と同時発現する。LecAは気道細胞に対して毒性があることが立証されており(Bajolet-Laudinat et al. Infect.Immun. 1994, 62, 4481-4487)、細菌バイオフィルムの形成及び安定化の役割も果たしている。LecBもバイオフィルムの形成に関与しており(Tielker et al., Microbiology 2005, 151, 1313-1323)、培養した肺細胞の繊毛運動を阻害する(Adam et al., Am. J. Respir. Crit. Care Med. 1997, 155, 2102-2104)。
多くの場合、感染プロセスは、レクチンと称する細菌受容体によって宿主上皮の糖複合体を特異的に認識することによって開始する。このレクチンの炭水化物に対する特異性が宿主と組織の標的を決定する。認識段階の後は付着が続き、このプロセスは細菌と宿主の両方の多くの細胞経路を起動させ、したがって、次の段階である侵襲とコロニー形成に影響を与える。それゆえ、糖複合体の可溶性類似化合物として作用する糖化合物(天然の糖又は糖複合体とは反対に“グリコミメティック(glycomimetic)”と称される。)によって付着をブロックすることは、感染に対する1つの可能な戦略である。このグリコミメティックはヒト組織に存在する天然の糖複合体と競合するため、細菌の付着とコロニーの形成をブロックする。細菌のレクチンと宿主の糖複合体の相互作用を特徴づけることは、前記プロセスに干渉することができ、それゆえ、細菌の付着及び/又はバイオフィルムの形成を制限することができるグリコミメティックの設計に必要な段階である。
宿主細胞の表面に微生物が付着することによって多くの感染が起こることから、炭水化物と誘導体は抗感染化合物の有望な供給源である。耐性菌株の発現を誘発するプロセスである、抗生物質で殺菌することよりもむしろ、提案する代替手段は付着プロセスを干渉することである。細菌付着に関与する天然オリゴ糖の特徴づけは、細胞表面の糖複合体と競合することができる可溶性類似化合物(すなわちグリコミメティック)の設計に役立つ。抗菌性のグリコミメティックの利点は、その局在的な利用と毒性の不存在である。さらには、細菌の代謝に直接影響しないため、耐性が起こるリスクは低い。最後に、このような化合物は他の処置、例えば、抗生物質と併せて利用することができる。
グリコミメティック化合物は寄生虫がヒト組織に付着するのを阻害することに対する関心のルートであり、それらのうちのいくつかは、すでに胃腸路、泌尿路又は耳に影響を与える細菌感染に対して開発されている。最近、FimH、尿路病原性大腸菌の線毛に存在するレクチンに対して設計されたグリコミメティックが、膀胱上皮細胞への細菌の付着をブロックするだけでなく、バイオフィルムの形成を阻害することが立証された(Wellens et al., PLoS One.2008, 3, 2040)。
特許文献1、特許文献2及び特許文献3の文献は、いくつかの細菌感染を標的とするオリゴ糖について開示している。
しかしながら、グリコミメティックを開発する場合、細胞表面の糖複合体との有効な競合を得るためには強力な親和性が必要であり、そのようなグリコミメティックを開発することは常に容易とはいえないことを思い出す必要がある。レクチンと炭水化物の相互作用は、低い親和性(ミリモルの範囲)であり、このことは、生物学的に活性なグリコミメティック化合物の開発に対して主たる障害である点がしばしば特徴づけられる。多価であること(multivalency)は、該化合物と標的の間の相互作用を顕著に増大させるための有効な戦略であることが立証されている。低価の糖質クラスターから高価の糖質デンドリマー又は糖質高分子まで、いくつかのアプローチが利用されている。FimHを標的とする糖質デンドリマーは、尿路病原性大腸菌に対して抗付着性化合物として有効であることが立証されている(Touaibia et al., ChemMedChem. 2007, 2, 1190-1201)。近年、フコース提示糖質デンドリマーが、緑膿菌のいくつかの菌株のバイオフィルムを消散させるのに利用された(Johansson eta al., Chem Biol 2008, 15, 1249-1257)。この結果は、グリコミメティックが細菌感染と闘う可能性を有していることを確認し、抗付着戦略に利用されうることを立証している。
近年、本発明者は、グリコミメティック化合物について発表した。該化合物は、カリキサレン糖複合体であり、日和見細菌である緑膿菌のガラクトース結合レクチンPA―ILに対するリガンドとして評価された。この結果は、4つの糖を保持するカリキサレン糖複合体が、抗付着剤としての潜在用途に対して、ガラクトシル化表面へのPA―ILの結合の最も強力な阻害剤であることを示している。
この研究で得られた興味深い結果は、抗付着性を呈し、かつ、細菌レクチンに高い親和性を有する新規化合物を発見するための、本研究者の研究を進めることに刺激を与えた。
しかしながら、そのような化合物を発見することは容易ではない。レクチンに対するグリコミメティックの親和性、すなわち、その効率は、カリキサレン糖複合体によって示される糖の数、すなわち、価数だけに依存するのではなく、カリキサレン糖複合体のリンカーの長さと柔軟性にも依存している。該リンカーは糖部分をカリキサレン部分に結合している。1から4の価数をもつカリキサレン部分に基づいて、最終のグリコミメティック化合物に異なる特性をもたらす新たなリンカーに基づいて新たなクラスの分子を開発する必要がある。
国際公開第2005/089733号 国際公開第2007/021721号 国際公開第2007/143052号
それゆえ、病原体のレクチンに対する高い親和性及び抗感染活性をもつ新規な グリコミメティック化合物を得るための新たな開発に対する必要性が未だ存在している。
本発明の目的の1つは、緑膿菌のレクチンA及び/又はレクチンBを選択的にブロックすることができる新規なグリコミメティック化合物を提供することである。
本発明の別の目的は、病原体の付着を限定することができ、したがって強力な抗菌性をもった新規なグリコミメティック化合物を提供することである。
本発明の別の目的は、バイオフィルムの形成を阻害することができ、したがってムコイド型細菌に対する抗感染化合物として興味深い新規なグリコミメティック化合物を提供することである。
本発明の1つの態様においては、本発明は以下の式で表されるカリキサレン系グリコシル化化合物(I)を提供する。
Figure 0005774120
式中、
Figure 0005774120
(式中、R’は水素原子、ヒドロキシル基、もしくはアミノである)を表し、
Bは、A−C基
{式中、
Aは、独立して、酸素原子、硫黄原子、NH基、もしくは(CH基(式中、iは1から10の整数である)から選択され、
Cは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニルから選択されるか、又は、
Cは、次に示す式の基
Figure 0005774120
Figure 0005774120
(CO−NH)−(V)−U
(式中、
nは1〜3の整数であり、
Vは、CH、C(フェニル“Ph”)、CH−CH−O−CH、CH−CO−NH−CHであり、
mは1〜15の整数であり、
Uは、存在しないか、もしくはCHである)であり、
Figure 0005774120
Figure 0005774120
もしくはこれらの誘導体である]であり、
かつ、該カリキサレン系グリコシル化化合物(I)の4つのC基のうちの少なくとも1つは、次に示す前記式の基
Figure 0005774120
を表す}。
本発明で定義されるカリキサレン系グリコシル化化合物は、少なくとも1つのアーム(arm)をもち、最大で4つのアームをもつコアを含むグリコミメティック化合物としても定義されうる。該アームは以下のC基
Figure 0005774120
によって表される。また、該コアは式(I)の残部として定義される。
本願で用いられる用語“グリコミメティック化合物”は、より詳しくは緑膿菌のLecA、LecB又は両方のレクチンに対して高い親和性をもつ化合物(生理学的に許容される塩を含む。)を指す。
本発明の独創性は、特に2つの部分からなるリンカーの構造にある。
Figure 0005774120
該リンカーの第2の部分(炭水化物部分の隣に位置する。)は変動可能であり、上記したように構造(V)−Uで表される。この該リンカーの第2の変動可能部分はアミド結合、エチレングリコール部分又は芳香環部分を含む基で表すこともできる。この第2の変動可能部分は異なる柔軟性を有し、それゆえレクチンに対して異なる親和性を示すことができる。
新たに設計されたグリコミメティックとLecAの相互作用は、以前に報告された非アミド官能化化合物(Cecioni et al., 2009)と比較して高い親和性を呈することが示された。この新たに設計されたグリコミメティックに対し、測定された親和性は向上したため、実際に該分子の抗付着特性を予測することができる。
ここで用いる用語“アルキル”は、1から10個の炭素原子を有するモノラジカル(monoradical)の分岐又は非分岐飽和炭化水素鎖を指す。この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec―ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、tert−オクチル、n−デシルなどの基によって例示される。
ここで用いる用語“アリール”は、単一の環又は複数の縮合(融合)環を有する炭素原子6から20個の不飽和芳香族炭素環式基を指す。この用語にはフェニル、ナフチルなどの基が例示される。
ハロゲン原子は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)又はヨウ素(I)を指す。
ここで用いる用語“アルケニル”は、分岐又は非分岐の不飽和炭化水素基のモノラジカルを指し、好ましくは2から10個の炭素原子を有し、1〜6つのビニル不飽和部位を有する。この用語にはエテニル(−CH=CH)、n―プロペニル(−CH−CH=CH)、イソプロペニル(−C(CH)=CH)などの基が例示される。
用語“アルキニル”は、不飽和部位を有する不飽和炭化水素のモノラジカルを指し、好ましくは2から10個の炭素原子を有し、少なくとも1又は2つのアセチレン(三重結合)を有する。この用語にはエチニル(−C≡CH)、プロパルギル(−CH−C≡CH)などの基が例示される。
カリキサレン系グリコシル化化合物(I)の4つのC基の1つが上記の以下の基:
Figure 0005774120
であるときは、該カリキサレン系グリコシル化化合物(I)は“一価の(monovalent)”カリキサレン系グリコシル化化合物(I)とも命名されうる。
4つのC基の2つが該基であるときは、該カリキサレン系グリコシル化化合物(I)は“二価の(divalent)”と命名される。
4つのC基の3つが該基であるときは、該カリキサレン系グリコシル化化合物(I)は“三価の(trivalent)”と命名される。
4つのC基が該基であるときは、該カリキサレン系グリコシル化化合物(I)は“四価の(tetravalent)”と命名される。
C基の前記糖誘導体は以下の群から選択することが好ましい。
Figure 0005774120
別の態様においては、C基の前記糖誘導体は以下の群から選択される。
Figure 0005774120
Figure 0005774120
Figure 0005774120
Figure 0005774120
・n=1、m=1、V=CH−CH−O−CH、U=CH
これは以下のリンカー:CO―NH−CH−CH−O−CH−CHに相当する。
・n=1、m=1、V=C(“Ph”)、Uは存在しない、
これは以下のリンカー:CO―NH−Cに相当する。
・n=1、m=1、V=CH−CO−NH−CH、U=CH
これは以下のリンカー:CO―NH−CH−CO−NH−CH−CHに相当する。
好ましくは、本発明は、前記カリキサレン系グリコシル化化合物(I)の4つのC基のうちの2つが、次に示す式の基
Figure 0005774120
を表すカリキサレン系グリコシル化化合物(I)を提供する。
したがって、前記のように定義した二価のカリキサレン系グリコシル化化合物(I)は、以下の置換パターンの1つによって表される。
1,2−二置換:
Figure 0005774120
1,3−二置換:
Figure 0005774120
別の態様においては、本発明は、4つのC基のうちの3つが、次に示す式の基を表す前記カリキサレン系グリコシル化化合物(I)を提供する。
Figure 0005774120
前記のように定義した三価のカリキサレン系グリコシル化化合物(I)は、以下の三置換されたコンホメーションによって表すことができる。
Figure 0005774120
さらに別の態様においては、本発明は、4つのC基が、次に示す式の基を表す前記カリキサレン系グリコシル化化合物(I)を提供する。
Figure 0005774120
前記のように定義した四価のカリキサレン系グリコシル化化合物(I)は、以下の4つのコンホメーションの1つによって表すことができる。
コーンコンホメーション(cone conformation):
Figure 0005774120
部分的コーンコンホメーション:
Figure 0005774120
1,3−交互コンホメーション:
Figure 0005774120
1,2−交互コンホメーション:
Figure 0005774120
好ましくは、本発明は、Dが−CH−基を表し、Eが、tert−ブチル基であるアルキル基を表し、かつ、前記カリキサレン系グリコシル化化合物(I)のB基で定義されるAが酸素原子を表す、前記カリキサレン系グリコシル化化合物(I)を提供する。
本発明に係るカリキサレン系グリコシル化化合物(I)の他の好ましい点は、調節・変更可能な合成方法によって該化合物を迅速に得ることができる点にある。
さらに別の態様においては、本発明は、前記カリキサレン系グリコシル化化合物(I)の製造方法であって、該方法は、
(a)次に示す式(IV)
Figure 0005774120
(式中、D及びEは、請求項1に定義するとおりである)のプロパルギル化カリックス[4]アレーンを製造する段階であって、塩基の存在下で、次に示す式(V)
Figure 0005774120
のカリックス[4]アレーンと、次に示す式(VI)
Figure 0005774120
のプロパルギル化化合物との位置選択的多重プロパルギル化によって、該プロパルギル化カリックス[4]アレーン(IV)を得る、前記段階と、
(b)次に示す式(II)
Figure 0005774120
(式中、リンカー及び糖は、請求項1〜5のいずれか1項に定義するとおりであり、
Xは、アセタート(CHCO)、ベンゾアート(CCO)、もしくはベンジル(CCH)を含む基から選択される保護基を表し、この保護基が、糖ヒドロキシル基(前述した該糖の式参照)の酸素原子に結合している)の保護カリキサレン系グリコシル化化合物を製造する段階であって、リンカーの端部に隣接したアジド官能基を有する次の式(III)
Figure 0005774120
の炭水化物誘導体と、前の段階で得られたプロパルギル化カリックス[4]アレーン(IV)との結合によって、該保護カリキサレン系グリコシル化化合物を製造し、
該炭水化物が、一方の端部でアルコール官能基を、他方の端部でアジド基を有したリンカーによるグリコシル化によって製造される、前記段階と、
(c)式(II)の該保護カリキサレン系グリコシル化化合物の保護基の脱保護によって、請求項1〜10のいずれか1項に定義されるカリキサレン系グリコシル化化合物(I)を得る段階と、
を含むことを特徴とする、方法を提供するものである。
化合物(V)、(VI)と用いることができる塩基は、DMF中においてNaH(コーンコンホメーション)又はKCO、次いでCsCOが挙げられる。そのとき、部分的コーンコンホメーションと1,3−交互コンホメーションの混合物が得られるが、これはシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離することができ、該プロパルギル化カリックス[4]アレーン(IV)が得られる。
また、本発明は、医薬的に許容し得る担体又は希釈剤と組み合わせて、前記カリキサレン系グリコシル化化合物(I)を含むことを特徴とする医薬組成物を提供するものである。
さらに本発明の別態様においては、感染の第1段階においてレクチンを利用する病原体に対する抗感染性として有用な治療剤をさらに含む前記医薬組成物である。
この治療剤は例えば嚢胞性線維症患者の肺感染、やけどにおける院内感染、及び老人の家における床ずれによる感染での緑膿菌感染に対する治療剤である。
また本発明は、インフルエンザウイルスのような宿主細胞への付着のためにレクチンを利用する病原体に対する抗感染性として使用するための前述したカリキサレン系グリコシル化化合物(I)又は医薬組成物を提供する。
さらに別の態様においては、本発明は、感染の第1段階においてレクチンを利用する病原体からの細菌感染を防止又は治療することを意図した医薬を製造するための前述したカリキサレン系グリコシル化化合物(I)又は医薬組成物に関する。
それらの医薬は、病原体が利用するレクチンに対する抗感染性として作用する。
本発明の別の態様においては、前述したカリキサレン系グリコシル化化合物(I)、医薬組成物又はこれらの化合物を含む医薬は、呼吸路又は肺路により用いられる。
これらの化合物、医薬又は組成物は、特にCF患者又はしばしば院内感染の被害者である呼吸補助下にいる患者において、緑膿菌の感染を防止又は治療するため気道に吸入又は注入される。
本発明のさらなる態様においては、前述したカリキサレン系グリコシル化化合物(I)、医薬組成物又はこれらの化合物を含む医薬は、特にやけど又は肌傷に対して、緑膿菌の感染を防止又は治療するため局部的に又は包帯の上に用いられる。
本発明の新規な特徴は、本発明の以下の詳細な説明に述べた試験に基づいて当業者に明らかとなる。しかしながら、本発明の詳細な説明及び提示された固有の実施例は、本発明のある態様を示している一方、例示のためにのみ提供される。その理由は、本発明の趣旨及び範囲内における種々の変更及び改変は本発明の詳細な説明から当業者に明らかとなるからである。
添付図面1−7と共に、以下の例示が示される。
四価のカリキサレン系グリコシル化化合物(I)の化学構造及び作製を示す概略的合成スキームを示す図であり、4つのCは、式:
Figure 0005774120
を表す。
図1aの概略的合成スキームのうちの特定の合成スキームを示す図であり、四価のカリキサレン系グリコシル化化合物(I)において、Dは、−CH−基、Eはtert−ブチル基(t−Bu)であるアルキル基、B基において定義されるAは酸素原子、リンカー、糖及びXは前記のとおりである。図1a及び1bにおいて、得られたカリキサレン系グリコシル化化合物(I)は四価である。しかしながら、一価、二価、又は三価のカリキサレン系グリコシル化化合物(I)は四価と同様にして得られる。フェノール基の選択的アルキル化は、ハロゲン化アルキルの存在下で塩基を用いて達成され、残りのフェノール基は(V)の(IV)への変換と同様の条件下でプロパルギル化される。 それぞれ“3”(リンカー=CO―NH−CH−CH−O−CH−CH)及び“8”(リンカー=CO―NH−CH−CO―NH−CH−CH)と命名された炭水化物アジド誘導体(III)の合成スキームを示す図である。各段階の試薬及び条件は以下に示す。段階a):HOCHCHOCHCHCl、SnCl、CFCOAg、CHCl、室温、2h;段階b):NaN、nBuNI、DMF、85℃、16h;段階c):H、Pd−C 10%、CHCl、室温、16h;段階d):BrCHCOBr、EtN、CHCl、室温、12h;段階e):NaN、nBuNI、DMF、85℃、16h;段階f):酢酸プロパルギル、CuI、iPrNEt、DMF、110℃、マイクロ波、15分;段階g):MeOH、HO、EtN、室温、16h;段階h):HOCHCHCl、SnCl、CFCOAg、CHCl、室温、2h; 段階i):N―クロロアセチルグリシン、EDCl、HOBt、CHCl/DMF、室温、16h。 “12”(リンカー=CO―NH−C)と命名された炭水化物アジド誘導体(III)の合成スキームを示す図である。各段階の試薬及び条件は以下に示す。段階a):AcO、CN、DMAP、室温、16h;段階b):H、Pd―C 10%、CHCl、室温、16h;段階c):BrCHCOBr、EtN、CHCl、室温、2h;段階d):NaN、nBuNI、DMF、50℃、16h;段階e):酢酸プロパルギル、CuI、iPrNEt、DMF、110℃、マイクロ波、15分;段階f):MeOH、HO、EtN、室温、16h。 図2に示された調製された“3”と命名された炭水化物アジド誘導体(III)を使用することによる、“19”と命名された四価のカリキサレン系グリコシル化化合物(I)の合成スキームを示す図である。 炭水化物アジド誘導体“8”を使用することにより、それぞれ“21”(図3b―1参照)、“23”(図3b―2参照)及び“25”(図3b―3参照)と命名されたグリコミメティック(I)の合成スキームを示す図である。 それぞれ“27”(図3c―1参照)、“29”(図3c―2参照)及び“31”(図3c―3参照)と命名されたグリコミメティック(I)の合成スキームを示す図である。 酵素結合レクチン測定法(ELLA)で得られた曲線を示す図である。詳しくは、この図は、3つの異なる一価のグリコシル化化合物(I)、すなわち、それぞれ5、10及び14の競合効果の比較を示している。記号■を有する曲線は、化合物5を表す。記号▲を有する曲線は、化合物10を表す。記号●を有する曲線は、化合物14を表す。 SPRにおけるガラクトース被覆チップにLecAの結合を阻害することに対し、19と命名された四価のカリキサレン系グリコシル化化合物(I)に関する図である。詳しくは、図5aは化合物19の濃度上昇に伴って得られたセンサーグラムを表す。 SPRにおけるガラクトース被覆チップにLecAの結合を阻害することに対し、19と命名された四価のカリキサレン系グリコシル化化合物(I)に関する図である。異なるセンサーグラムに基づく阻害曲線を表し、IC50値の計算に使用した。 LecAと糖質化合物の間の相互作用のITCサーモグラムを示す図である。上部は生のITCデータであり、下部は化合物19のLecAへの結合に対する結合等温線を示す図である。 緑膿菌に感染したマウスモデルにおいて、異なる単糖類(グルコース、ガラクトース)及び誘導体(化合物14)の保護効果を示す図である。透過率は肺胞バリアの劣化、すなわち、細菌感染によって引き起こされた肺組織の障害を評価する。
実施例I
カリキサレン系グリコシル化化合物(I)の製造
一般式(I)で表されるカリキサレン系グリコシル化化合物を製造するために、この実施例で使用された概略的合成スキームを図1a及び1bに示している。そこでは、式(IV)のプロパルギル化カリックス[4]アレーンは、式(V)のカリックス[4]アレーンと、式(VI)のプロパルギル化化合物との位置選択的多重プロパルギル化によって得られる。次いで、式(IV)のプロパルギル化カリックス[4]アレーンは、式(III)の炭水化物誘導体と結合して式(II)のアセチル保護カリキサレン系グリコシル化化合物となり、これを加水分解により脱保護することによって、カリキサレン系グリコシル化化合物(I)が得られる。
概略的合成スキームを示す特定の合成スキームを図2a、2b及び図3a、3b、3cに示す。
ここで製造された化合物について詳しく述べると、四価のカリキサレン系グリコシル化化合物(I)であって、
Dは、−CH−基を表し、
Eは、tert―ブチル基であるアルキル基を表し、
B基で定義されたAは、酸素原子を表し、
C基で定義された糖は、β−D―ガラクトシルであり、及び
C基で定義されたリンカーは、それぞれ
・CO−NH−CH−CH−O−CH−CH2:(化合物“19”参照);
・CO−NH−CH−CO−NH−CH−CH(化合物“21”、“23”、及び“25”参照);
・CO−NH−C(化合物“27”、“29”、及び“31”参照)。
四価のグリコミメティック化合物19、21、23、25、27、29は、以下のコンホメーションをとる。
グリコミメティック19、25、及び31は、1,3−交互コンホメーション、
グリコミメティック21及び27は、コーンコンホメーション、
グリコミメティック23及び29は、部分的コーンコンホメーション。
これらのカリキサレン系グリコシル化化合物19、21、23、25、27、29、及び31を製造するための概略的な実験方法について述べる。
合成のための全ての試薬は市販されたものであった(試薬グレードの化合物として入手可能な最も高純度のもの)。溶媒はCaH(CHCl)、Mg/I(MeOH)、Na/ベンゾフェノン(THF)を加えて蒸留するか、ドライなものを購入した。全ての反応は、アルゴン雰囲気下で行った。マイクロ波による活性化した反応は、Biotage Initiator systemにより行った。NMR溶媒はEuriso―Top(Saint Aubin, フランス)から購入した。
NMRスペクトルを293Kにて記録した。他に断りのない限り、300MHz又は400MHzのスペクトロメータを使用した。シフトは重溶媒の残余ピークに対して参照される。
以下の略号は観察されたマルチプリシティを説明するために使用される。
S、シングレット;d、シングレット;t、トリプレット;q、カルテット;m、マルチプレット、及びbs、ブロードシングレット。
1D及び2D NMRからの完全なシグナル帰属はCOSY、HSQC及びHMBC相関に基づいて行った。
赤外スペクトルはATR装置を備えたFT―IR spectrometerを用いて記録した。高解像度(LSIMS)マススペクトルはThermo Finnigan Mat95XL spectrometerを用いてpositiveモードで記録した。
ESIマススペクトルはThermo Finnigan LCQ spectrometerを用いてpositiveモードで記録した。高解像度(HR―ESI―QTOF)マススペクトルはBruker MicroOTOF-Q II XL spectrometerを用いてpositiveモードで記録した。
MALDI−ToFマススペクトルについて、マトリックスとしてCHCA(φ−シアノー4−ヒドロキシケイ皮酸、MeOH中10g・L−1)及びNaI(アセトン中10g・L−1)を用いてVoyager DE-STR spectrometer(Applied Biosystem)を使用して、陽イオンリフレクトロンモードで記録した。薄層クロマトグラフィー(TLC)をシリカゲル60 F254(Merck)で被覆したアルミニウムシート上で行った。TLCプレートはUV光(λ=254nm)により検出し、EtOH/HO(95:5v/v)中に10%HSOを含む混合物を用いた処理で展開し、次いで加熱した。
シリカゲルカラムクロマトグラフィーは、シリカゲルSi 60(40〜63μm)を用いて行った。旋光性についてはPerkin Elmer polarimeterを用いて測定した。
1)1,3−双極子付加環化反応の一般的手順(方法A)
他に断りがない限り、脱気したDMF中、アルキン官能化化合物、ヨウ化銅、DIPEA及びアジド誘導体をBiotage Initiator2〜5mlのバイアルに導入した。該バイアルをアルゴンでフラッシュし、その溶液に対し30秒間超音波処理を行った。
該バイアルをセプタムキャップ(septum cap)で閉じ、110℃で10分間、マイクロ波を照射して加熱した(溶媒吸収レベル:High)。該バイアルを開封した後、生成物が部分的に水に溶けるときは、該粗混合物を濃縮しフラッシュクロマトグラフィーの前にトルエンとの同時蒸発を3回行った。生成物が全然水に溶けないときは、該混合物をEtOAc(200mL)で希釈した。その有機層を150mLの1N HCl、飽和NaHCO、水及び塩水で連続して洗浄した。該有機層を乾燥(NaSO)、ろ過、蒸発させた。その粗生成物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、所望する環状付加化合物を得た。
2)脱アセチル化の一般的手順(方法B)
他に断りがない限り、前記グリコシド又は糖質クラスター(1eq.)を蒸留MeOH、超純水及び超純トリエチルアミン(5:1:1:1、v/v/v/v)に懸濁した。該混合物を室温下で2〜4日間撹拌した。溶媒を蒸発させ、トルエンと3回同時蒸発させた。その結果生じた白色フォーム(white foam)を超純水(5mL)に溶解し、凍結乾燥させて、純正なグリコミメティックを得た。
a)1−アジドー3−オキサペンター5−イル 2,3,4,6−テトラーO―アセチルーβ―D−ガラクトピラノシド(“2”)
新たに蒸留したジクロロメタン(60mL)に1(2g、5.1mmol)、トリフルオロ酢酸銀(1.7g、7.7mmol、1.5eq.)及び2−(2−クロロエトキシ)エタノール(0.957g、7.7mmol、1.5eq.)を溶解した撹拌溶液に、室温でSnCl(CHCl中1M、15.4mL、15.4mmol、3eq.)を滴下した(60分以内―シリンジポンプ)。該混合物は光から保護した。全てのSnClを添加して10分後に出発物質の消失が観察された(TLCモニタリング)。該混合物を飽和NaHCO水溶液に移し、pHが8になるまでpHを確認した。該溶液を15分激しく撹拌した。該二相溶液をCHCl(3×150mL)で抽出した。該有機層を混合して、飽和NaHCO水溶液(2×150mL)、水(2×150mL)及び塩水(150mL)で連続して洗浄した。濃縮及び高真空でCHClを完全に除去した後、粗生成物(淡黄色ガム質)を無水DMF(50mL)に溶解した。アジ化ナトリウム(1.66g、25.6mmol、5eq.)及びテトラーn―ブチルヨウ化アンモニウム(0.378g、1.0mmol、0.2eq.)を加え、該混合物をアルゴン下、80℃で16時間撹拌した。該混合物をr.t.に冷却、ろ過して、該固形物をEtOAcで洗浄した。ろ過物をEtOAcで希釈して全量を400mLとした。該有機層を、飽和NaHCO水溶液(2×100mL)、水(2×100mL)及び塩水(100mL)で連続して洗浄し、乾燥した。濃縮後、該残留物(黄色〜橙色ガム質)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc、6:4)で精製して、対応するアジド官能化β―グリコシド2(無色のガム質)を得た(1.348g、2段階以上57%)。R=0.31(PE:EtOAc、6:4)。[α]=−3.9°(c=1、CHCl)。
b)1−アジドアセトアミドー3−オキサペンター5−イル 2,3,4,6−テトラーO―アセチルーβ―D−ガラクトピラノシド(“3”)
新たに蒸留したジクロロメタン40mLを、2(0.951g、2.06mmol)を含む丸底フラスコにアルゴン下で添加した。該混合物を3サイクルの真空/アルゴンで脱気した。次いで、Pd/C(10wt%)を0.219mg(0.21mmol、0.1eq.)添加し、該混合物を3サイクルの真空/アルゴンに供した。該溶液は、3サイクルの真空/水素により水素雰囲気に供し、r.t.で20時間撹拌した。アジド部分の還元はTLC(EtOAc)によってモニターすることができる。20時間後に出発物質が存在しているときは、フラスコをアルゴンでフラッシュした後、Pd/Cを添加することができる。3サイクルの真空/アルゴンを行った後、該混合物はr.t.でさらに数時間撹拌することができる。出発物質が完全になくなった後、該混合物をアルゴンでフラッシュし、EtN(575μL、4.12mmol、2eq.)を添加した。ブロモアセチルブロミド(214μL、2.47mmol、1.2eq.)を滴下し、12時間撹拌した。Pd/Cを除去するため、該混合物をセライト(CHCl)のプラグを通してろ過した。CHCl(250mL)中の粗生成物を1N HCl(2×100mL)、飽和NaHCO(2×100mL)、水(2×100mL)及び塩水(100mL)で洗浄した。乾燥(NaSO)、濃縮、高真空でCHClを完全に除去した後、該粗生成物(淡橙色ガム質)を無水DMF(30mL)に溶解した。アジ化ナトリウム(0.67g、10.3mmol、5eq.)及びテトラーn―ブチルヨウ化アンモニウム(0.152g、0.41mmol、0.2eq.)を添加し、該混合物をアルゴン下80℃で16時間撹拌した。該混合物をr.t.に冷却し、ろ過して、該固形物をEtOAcで洗浄した。該ろ過物をEtOAcで希釈し、全体を300mLとした。該有機層を、飽和NaHCO水溶液(2×100mL)、水(2×100mL)及び塩水(100mL)で洗浄し、乾燥した。濃縮後、該残留物(橙色ガム質)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc)で精製して、アジド官能化β―グリコシド3(無色のガム質)を得た(590mg、3段階以上57%)。R=0.37(EtOAc)。[α]=−13.3°(c=1、CHCl)。HR−ESI―QTOF MS(positiveモード)m/z:C2030NaO12[M+Na]に対する計算値541.1752、実測値541.1744;C2030NaO12[M+Na−Nに対する計算値513.1691、実測値513.1688。
c)1−[(1,2,3−トリアゾールー4−アセトキシメチルー1―イル)ーアセトアミド]―3−オキサペンター5−イル
2,3,4,6−テトラ―O―アセチルーβ―D−ガラクトピラノシド(“4”)
方法Aに従って白色フォーム(136mg、72%)として得た:DMF(3mL)中、3(158mg、0.30mmol、1eq.)、酢酸プロパルギル(45mg、0.46mmol、1.5eq.)、ヨウ化銅(5.8mg、0.1eq.)、及びDIPEA(159μL、3eq.)。該混合物をワークアップし、水層をCHClで抽出し、該粗生成物をシリカゲル(EtOAc)で精製して、化合物4を得た。R=0.16(EtOAc)。[α]=−30.8°(c=0.4、CHCl)。HR−ESI―QTOF MS(positiveモード)m/z:C2536NaO14[M+Na]に対する計算値639.2120、実測値639.2096。
d)1−[(1,2,3−トリアゾールー4−ヒドロキシメチルー1―イル)ーアセトアミド]―3−オキサペンター5−イル
β―D−ガラクトピラノシド(“5”)
方法Bに従って無色の油(72mg、94%)として得た:4(117mg、1eq.)、MeOH(2mL)、水(0.5mL)及びトリエチルアミン(0.5mL)。 [α]=+2.9°(c=0.45、HO)。HR−ESI―QTOF MS(positiveモード)m/z:C1526NaO[M+Na]に対する計算値429.1586、実測値429.1592。
e)2−アジドエチル2,3,4,6−テトラーO―アセチルーβ―D−ガラクトピラノシド(“6”)
新たに蒸留したジクロロメタン(150mL)に1(5g、12.8mmol)、トリフルオロ酢酸銀(4.2g、19.2mmol、1.5eq.)及び2−クロロエタノール(1.3mL、19.2mmol、1.5eq.)を溶解した撹拌溶液に、SnCl(CHCl中1M、38.4mL、38.4mmol、3eq.)を室温で滴下した(120分以内―シリンジポンプ)。該混合物は光から保護した。出発物質と所望する化合物が同じRであるため出発物質の消失は観察できなかった。3時間後(SnCl添加終了後1時間)、該混合物を飽和NaHCO水溶液(750mL)に移し、pHが8になるまでpHを確認した。該溶液を20分激しく撹拌した。該二相溶液をCHCl(3×150mL)で抽出した。該有機層を混合して、飽和NaHCO水溶液(2×150mL)、水(2×150mL)及び塩水(150mL)で連続して洗浄し、乾燥した(NaSO)。濃縮及び高真空でCHClを完全に除去した後、粗生成物(淡黄色ガム質)を無水DMF(80mL)に溶解した。アジ化ナトリウム(4.3g、66.3mmol、5eq.)及びテトラーn―ブチルヨウ化アンモニウム(0.491g、1.3mmol、0.1eq.)を加え、該混合物をアルゴン下、70℃で16時間撹拌した。該混合物をr.t.に冷却、ろ過して、該固形物をEtOAcで洗浄した。ろ過物をEtOAcで希釈して全量を400mLとした。該有機層を、飽和NaHCO水溶液(2×100mL)、水(2×100mL)及び塩水(100mL)で連続して洗浄し、乾燥した。濃縮後、該残留物(黄色油)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc、1:1)で精製して、対応するアジド官能化β―グリコシド6(無色のガム質)を得た(4.186g、2段階以上78%)。R=0.46(PE:EtOAc、1:1)。
f)2−[(N―クロロアセチル)グリシンアミド]―エチル 2,3,4,6−テトラ―O―アセチルーβ―D−ガラクトピラノシド(“7”)
新たに蒸留したCHCl150mLを、6(3.875g、9.28mmol)を含む丸底フラスコにアルゴン下で添加した。該混合物を3サイクルの真空/アルゴンで脱気した。次いで、Pd/C(10wt%)を0.495g添加し、該混合物を3サイクルの真空/アルゴンに供した。該溶液は、3サイクルの真空/水素により水素雰囲気に供し、r.t.で20時間撹拌した。アジド部分の還元はTLC(PE/EtOAc、1:1)によってモニターすることができる。
出発物質が完全になくなった後、該混合物をアルゴンでフラッシュし、Pd/Cを除去するため、該混合物をセライト(CHCl)のプラグを通してろ過した。
該粗生成物を真空下で濃縮して灰色フォームを生成した。N―クロロアセチルグリシン(2.11g、13.9mmol、1.5eq.)を含む第2の丸底フラスコ(250mL)に、無水DMF(45mL)及び蒸留CHCl(50mL)をアルゴン下で添加した。NaCl/氷浴を用いて該混合物を−10℃に冷却し、その後、HOBt(2.51g、18.6mmol、2eq.)及びEDCl(2.81g、18.6mmol、2eq.)を添加した。該混合物を40分撹拌し、次いで該粗アミンのCHCl溶液55mLを滴下した(2時間以内)。該反応はr.t.に上げることを許容し、r.t.で16時間撹拌した。次いで該粗混合物は濃縮し、EtOAc(400mL)に希釈して、HCl 1N(2×100mL)、飽和NaHCO(2×100mL)、水(2×100mL)及び塩水(100mL)で洗浄した。乾燥(NaSO)、濃縮後、該残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc)で精製して、クロロ官能化グリコシド7(白色フォーム)を得た(2.612g、2段階以上54%)。R=0.30(EtOAc)。[α]=+8.2°(c=1、CHCl)。ESI―MS(positiveモード)m/z:547.1[M+Na]、1070.3[2M+Na]HR―ESI―MS(positiveモード)m/z:C2029ClNNaO12[M+Na]に対する計算値547.1307、実測値547.1306。
g)2−[(N―アジドアセトアミド)グリシンアミド]―エチル 2,3,4,6−テトラ―O―アセチルーβ―D−ガラクトピラノシド(“8”)
無水DMF(40mL)を、クロロ誘導体7(2.535g、4.8mmol)、アジ化ナトリウム(1.57g、24.1mmol、5eq.)及びテトラーn―ブチルヨウ化アンモニウム(0.355g、1.0mmol、5eq.)を含む100mL丸底フラスコに添加した。該混合物をアルゴン下で16時間撹拌した。出発物質と所望する化合物が同じRであるため、TLCでは反応のモニタリングはできなかった。該混合物をr.t.に冷却、ろ過し、該固形物をEtOAcで洗浄した。該ろ過物はEtOAcで希釈して、全量を400mLとした。該有機層をNaHCO水溶液(2×100mL)、水(2×100mL)及び塩水(100mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)した。濃縮後、該残留物(黄色油)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc)で精製して、対応するアジド官能化グリコシド8(白色フォーム)を得た(2.00g、78%)。R=0.30(EtOAc)。[α]=+3.0°(c=1、CHCl)。HR−ESI―QTOF MS(positiveモード)m/z:C2029NaO12[M+Na]に対する計算値554.1705、実測値554.1715。
h)2−N―[(1,2,3―トリアゾールー4−アセトキシメチルー1−イル)―アセトアミド]グリシンアミド―エチル
2,3,4,6−テトラ―O―アセチルーβ―D−ガラクトピラノシド(“9”)
方法Aに従って白色フォーム(176mg、99%)として得た:DMF(3mL)中、8(150mg、0.28mmol、1eq.)、酢酸プロパルギル(41mg、0.42mmol、1.5eq.)、ヨウ化銅(5.3mg、0.1eq.)、及びDIPEA(146μL、3eq.)。該粗混合物を蒸発させ、トルエンと3回同時蒸発させた。その結果得られた粗生成物を、2度の連続したフラッシュクロマトグラフィーによりシリカゲル(EtOAc、次いでEtOAc/MeOH、9:1)で精製し、純正な化合物を生成した。R=0.50(EtOAc/MeOH、9:1)。[α]=+4.3°(c=1.1、CHCl)。HR−ESI―QTOF MS(positiveモード)m/z:C2535NaO14[M+Na]に対する計算値652.2073、実測値652.2076。
i)2−N―[(1,2,3―トリアゾールー4−ヒドロキシメチルー1−イル)―アセトアミド]グリシンアミド―エチル
β―D−ガラクトピラノシド(“10”)
方法Bに従って白色のフリーズドライパウダ(82mg、78%)として得た:9(160mg、1eq.)、MeOH(5mL)、水(1mL)及びトリエチルアミン(1mL)。r.t.で2日間撹拌及び濃縮した後、該混合物を超純水(5mL)に溶解し、その後、フリーズドライして、純正な脱アセチル化グリコシド10を得た。[α]=+4.2°(c=0.55、HO)。HR−ESI―QTOF MS(positiveモード)m/z:C1525NaO[M+Na]に対する計算値442.1540、実測値442.1544。
j)4−(アジドアセトアミド)フェニル2,3,4,6―テトラーO―アセチルーβ―D−ガラクトピラノシド(“12”)
ピリジン(50mL)を、11(4.07g、13.51mmol)及びDMAP(20mg)を含む250mL丸底フラスコにアルゴン下で添加した。次いで、35mLのAcOを滴下した。該混合物をr.t.で16時間撹拌した。該粗混合物をEtOAc(800mL)で希釈して、HCl 1N(2×300mL)、飽和NaHCO(2×300mL)、水(2×100mL)及び塩水(300mL)で洗浄した。乾燥(NaSO)及び濃縮後、該残留物をPEから結晶化し、ろ過、乾燥して、純正なアセチル化中間体(5.75g)を得た(91%)。次いで、アセチル化p―ニトロフェニルーガラクトピラノシドを含む1L丸底フラスコにアルゴン雰囲気下で新たに蒸留したCHClを添加した。該混合物を3サイクルの真空/アルゴンで脱気した。次いで、Pd/C(10wt%)を0.634mg(0.60mmol)添加し、該混合物を3サイクルの真空/アルゴンに供した。該溶液は、3サイクルの真空/水素により水素雰囲気に供し、r.t.で16時間撹拌した。ニトロ基の還元はTLC(PE/EtOAc、1:1)によってモニターすることができる。出発物質が完全になくなった後、該混合物をアルゴンでフラッシュし、0℃に冷却し、EtN(2.0mL、14.32mmol、1.2eq.)を添加した。ブロモアセチルブロミド(1.24mL、14.32mmol、1.2eq.)を滴下し、該混合物を0℃で1時間撹拌した。該混合物をr.t.で1時間温め、Pd/Cを除去するため、該混合物をセライト(CHCl)のプラグを通してろ過した。CHCl(600mL)中の該粗混合物を、HCl 1N(2×250mL)、水(2×250mL)及び塩水(250mL)で洗浄した。乾燥(NaSO)後、濃縮及び高真空でCHClを完全に除去した後、粗生成物(淡黄色固形物)を無水DMF(80mL)に溶解した。アジ化ナトリウム(4.1g、62.6mmol、5eq.)及びテトラーn―ブチルヨウ化アンモニウム(0.46g、1.25mmol、0.1eq.)を加え、該混合物をアルゴン下、50℃で16時間撹拌した。該混合物をr.t.に冷却、ろ過して、該固形物をEtOAcで洗浄した。ろ過物をEtOAcで希釈して全量を600mLとした。該有機層を、NaHCO水溶液(2×200mL)、水(2×200mL)、塩水(200mL)で洗浄し、乾燥した。濃縮後、該残留物(淡黄色固形物)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc、1:1)で精製した後、結晶化(CHCl/PE)して、白色固形物であるアジド官能化グリコシド12を得た(5.229g、4段階以上74%)。R=0.29(PE:EtOAc、1:1)。[α]=+6.6°(c=1.3、CHCl)。ESI―MS(positiveモード)m/z:545.0[M+Na]、1066.4[2M+Na]HR―ESI―MS(positiveモード)m/z:C2226NaO11[M+Na]に対する計算値545.1496、実測値545.1496。
k)4−[(1,2,3―トリアゾールー4−アセトキシメチルー1−イル)―アセトアミド]フェニル2,3,4,6−テトラ―O―アセチルーβ―D−ガラクトピラノシド(“13”)
方法Aに従って白色フォーム(350mg、98%)として得た:DMF(4mL)中、12(300mg、0.57mmol、1eq.)、酢酸プロパルギル(84mg、0.86mmol、1.5eq.)、ヨウ化銅(10.9mg、0.1eq.)、及びDIPEA(300μL、3eq.)。該粗混合物をEtOAc(300mL)に希釈し、該有機層をHCl 1N(2×100mL)、飽和NaHCO(2×100mL)、水(2×100mL)及び塩水(100mL)で洗浄した。乾燥(NaSO)及び濃縮後、該残留物をシリカゲル(EtOAc)フラッシュクロマトグラフィーにより純正な化合物13を生成した。[α]=+8.2°(c=1、CHCl)。ESI―MS(positiveモード)m/z:621.1[M+H]+、643.0[M+Na]、1262.3[2M+Na]HR−ESI―QTOF―MS(positiveモード)m/z:C2732NaO13[M+Na]に対する計算値643.1841、実測値643.1858。
l)4−[(1,2,3―トリアゾールー4−ヒドロキシメチルー1−イル)―アセトアミド]フェニルβ―D−ガラクトピラノシド(“14”)
方法Bに従って白色のフリーズドライパウダ(206mg、95%)として得た:13(335mg、1eq.)、MeOH(10mL)、水(2mL)及びトリエチルアミン(2mL)。r.t.で2日間撹拌及び濃縮した後、該混合物を超純水(5mL)に溶解し、その後、フリーズドライして、純正な脱アセチル化グリコシド14を得た。[α]=−18.8°(c=0.43、HO)。ESI―MS(positiveモード)m/z:433.1[M+Na]。ESI―MS(negativeモード)m/z:409.1[M−H]、433.1[M+Cl]。HR−ESI―QTOF―MS(positiveモード)m/z:C1722NaO[M+Na]に対する計算値433.1330、実測値433.1324。
m)グリコミメティック(“18”)
方法Aに従って白色フォーム(154mg、89%)として得た:17(48mg、60.1μmol、1eq.)、3(187mg、361μmol、6eq.)、ヨウ化銅(6mg、30μmol、0.5eq.)、及びDIPEA(52μL、300μmol、5eq.)。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:MeOH、1:0、次いで95:5)により精製した。R=0.45(EtOAc:MeOH、95:5)。[α]=−2.5(c=1.26、CHCl)。HR−ESI―QTOF MS(positiveモード):m/zC1361851652[M+H]に対する計算値2874.2318、実測値2874.2306、C1361861652[M+2H]++に対する計算値1437.6196、実測値1437.6260。
n)グリコミメティック(“19”)
方法Bに従って白色フォーム(108mg、99%)として得た:18(142mg、1eq.)、MeOH(2mL)、水(0.5mL)及びトリエチルアミン(0.5mL)。r.t.で2日間撹拌し、濃縮した後、該混合物を超純水(5mL)に溶解し、次いでフリーズドライして純正な脱アセチル化グリコシド19を得た。[α]=−0.5(c=1.1/DMSO)。HR−ESI―QTOF MS(positiveモード)m/z:C10415216Na36[M+2Na]++に対する計算値1123.5170、実測値1123.5226。
o)グリコミメティック(“20”)
方法Aに従って白色フォーム(103mg、56%)として得た:15(50mg、63μmol、1eq.)、8(200mg、380μmol、6eq.)、ヨウ化銅(6mg、31μmol、0.5eq.)、及びDIPEA(54μL、310μmol、5eq.)。マイクロ波照射:35分、110℃。ワークアップなしで、粗混合物を濃縮し、トルエンと同時蒸発させ、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(CHCl:MeOH、1:0、次いで9:1)により精製した。R=0.01(EtOAc:MeOH、9:1)。[α]=−1.2(c=1.0、CHCl)。HR−ESI―QTOF―MS(positiveモード)m/z:C1361822052[M+2H]++に対する計算値1463.6100、実測値1463.6159、C136181KN2052[M+H+K]++に対する計算値1482.5880、実測値1482.5885。
p)グリコミメティック(“21”)
方法Bに従って白色フォーム(72mg、92%)として得た:20(102mg、1eq.)、MeOH(2mL)、水(1mL)及びトリエチルアミン(1mL)。r.t.で3日間撹拌し、濃縮した後、該混合物を超純水(5mL)に溶解し、次いでフリーズドライして純正な脱アセチル化グリコシド21を得た。[α]=−0.4(c=0.68/DMSO)。HR−ESI―QTOF―MS(positiveモード)m/z:C1041492036[M+H]に対する計算値2254.0438、実測値2254.0430、C10414820Na36[M+2Na]++に対する計算値1149.5075、実測値1149.5126、 C1041502036[M+2H]++に対する計算値1127.5255、実測値1127.5309。
q)グリコミメティック(“22”)
方法Aに従って白色フォーム(111mg、81%)として得た:DMF(2.5mL)中、16(37.7mg、47μmol、1eq.)、8(142mg、282μmol、5.7eq.)、ヨウ化銅(2.5mg、23μmol、0.5eq.)、及びDIPEA(41μL、235μmol、5eq.)。マイクロ波照射:30分、110℃。ワークアップなしで、粗混合物を濃縮し、トルエンと同時蒸発させ、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(DCM:MeOH、1:0、次いで85:15)により精製した。R=0.4(EtOAc:MeOH、90:10)。[α]=−0.9(c=1.0、CHCl).HR−ESI―QTOF―MS(positiveモード)m/z:C13618020Na52[M+2Na]++に対する計算値1485.5920、実測値1485.5934。
r)グリコミメティック(“23”)
方法Bに従って白色フォーム(102mg、79%)として得た:22(166mg、1eq.)、MeOH(2mL)、水(1mL)及びトリエチルアミン(1mL)。r.t.で1日間撹拌し、濃縮した後、該混合物をトルエンと3回同時蒸発させ、HO、MeOH、アセトンから沈殿させた。ろ過した後、該混合物を超純水(5mL)に溶解し、次いでフリーズドライして純正な脱アセチル化グリコシド23を得た。[α]=−1.5(c=1.14、DMSO)。HR−ESI―QTOF―MS(positiveモード)m/z:C104149KN2036[M+H+K]++に対する計算値1146.5035、実測値1146.5028。
s)グリコミメティック(“24”)
方法Aに従って白色フォーム(110mg、59%)として得た:17(50mg、63μmol、1eq.)、2(200mg、380μmol、6eq.)、ヨウ化銅(6mg、31μmol、0.5eq.)、及びDIPEA(54μL、310μmol、5eq.)。マイクロ波照射:15分、110℃。ワークアップなしで、粗混合物を濃縮し、トルエンと同時蒸発させ、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:MeOH、1:0、次いで9:1)により精製した。R=0.52(EtOAc:MeOH、9:1)。[α]=+1.5(c=1.0、CHCl)。HR−ESI―QTOF―MS(positiveモード)m/z:C13618020NaO52[M+H]に対する計算値2948.1948、実測値2498.1957、C13618020Na52[M+2Na]に対する計算値1485.5920、実測値1485.5954。
t)グリコミメティック(“25”)
方法Bに従って白色フォーム(76mg、90%)として得た:24(112mg、1eq.)、MeOH(2mL)、水(0.5mL)及びトリエチルアミン(0.5mL)。r.t.で3日間撹拌し、濃縮した後、該混合物をトルエンと3回同時蒸発させ、MeOH/EtO アセトンから沈殿させた。ろ過した後、該混合物を超純水(5mL)に溶解し、次いでフリーズドライして純正な脱アセチル化グリコシド25を得た。HR−ESI―QTOF―MS(positiveモード)m/z:C1041502036[M+2H]++に対する計算値1127.5255、実測値1127.5322、C10414820Na36[M+2Na]++に対する計算値1149.5075、実測値1149.5134、C1041492036[M+H]に対する計算値2254.0438、実測値2254.0513。
u)グリコミメティック(“26”)
方法Aに従って白色フォーム(253mg、70%)として得た:15(100mg、0.125mmol、1eq.)、12(391mg、0.749mmol、6eq.)、ヨウ化銅(12mg、62μmol、0.5eq.)、及びDIPEA(109μL、0.624mmol、5eq.)。マイクロ波照射:45分、110℃。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(PE:EtOAc、4:6、次いでEtOAc、次いでEtOAc:MeOH、95:5)により精製した。[α]=+1.5(c=0.68、CHCl)。MALDI−TOF MS(positiveイオンリフレクトロンモード):C14416816NaO48[M+Na]に対する計算値2912.11、実測値2912.03。
v)グリコミメティック(“27”)
方法Bに従って白色フォーム(129mg、81%)として得た:26(207mg、1eq.)、MeOH(10mL)、水(2mL)及びトリエチルアミン(2mL)。r.t.で1日間撹拌し、濃縮した後、該混合物をトルエンと3回同時蒸発させた。該化合物を超純水(5mL)に溶解し、次いでフリーズドライして純正な脱アセチル化グリコシド27を得た。MALDI―TOF MS(positiveイオンリフレクトロンモード):C11213616NaO32[M+Na]に対する計算値2239.94、実測値2239.84。
w)グリコミメティック(“28”)
方法Aに従って白色フォーム(271mg、75%)として得た:16(100mg、0.125mmol、1eq.)、12(391mg、0.749mmol、6eq.)、ヨウ化銅(12mg、62μmol、0.5eq.)、及びDIPEA(109μL、0.624μmol、5eq.)。マイクロ波照射:15分、110℃。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(PE:EtOAc、4:6、次いでEtOAc、次いでEtOAc:MeOH、95:5)により精製した。[α]=+3.2(c=1.45、CHCl)。MALDI−TOF MS(positiveイオンリフレクトロンモード):C14416816NaO48[M+Na]に対する計算値2912.11、実測値2912.20。
x)グリコミメティック(“29”)
方法Bに従って白色フォーム(124mg、78%)として得た:28(207mg、1eq.)、MeOH(4mL)、水(1mL)及びトリエチルアミン(1mL)。r.t.で3日間撹拌し、濃縮した後、該混合物をトルエンと3回同時蒸発させた。該化合物を超純水(5mL)に溶解し、次いでフリーズドライして純正な脱アセチル化グリコシド29を得た。[α]=+7.1(c=1.15、DMSO)。HR―ESI―QTOF―MS(positiveモード)m/z:C11213716NaO32[M+H+Na]++に対する計算値1120.4736、実測値1120.4744、C112137KN1632[M+H+K]++に対する計算値1128.4605、実測値1128.4605、C112136KN16NaO32[M+K+Na]++に対する計算値1139.4515、実測値1139.4527。
y)グリコミメティック(“30”)
方法Aに従って白色フォーム(307mg、85%)として得た:17(100mg、0.125mmol、1eq.)、12(391mg、0.749mmol、6eq.)、ヨウ化銅(12mg、62μmol、0.5eq.)、及びDIPEA(109μL、0.624mmol、5eq.)。マイクロ波照射:15分、110℃。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(PE:EtOAc、4:6、次いでEtOAc、次いでEtOAc:MeOH、95:5)により精製した。[α]=+8.1(c=0.80、CHCl)。MALDI−TOF MS(positiveイオンリフレクトロンモード):C14416816NaO48[M+Na]に対する計算値2912.11、実測値2912.10。
z)グリコミメティック(“31”)
方法Bに従って白色フォーム(150mg、73%)として得た:30(268mg、1eq.)、MeOH(10mL)、水(2mL)及びトリエチルアミン(2mL)。r.t.で1日間撹拌し、濃縮した後、該混合物をトルエンと3回同時蒸発させた。該化合物を超純水(5mL)に溶解し、次いでフリーズドライして純正な脱アセチル化グリコシド31を得た。[α]=−9.0(c=0.77、DMSO)。
実施例II
細胞上に存在する天然の糖複合体との結合を阻害するためのカリキサレン系グリコシル化化合物(I)の使用
1)実験条件
細胞上に存在する天然の糖複合体との結合に対するカリキサレン系グリコシル化化合物(I)によるin vitroにおける阻害性を評価するため、以下に示す4つの異なる方法を適用した。
方法(1)
赤血球凝集反応(IHA)の阻害(赤血球凝集反応阻害測定(HIA))
LecAレクチンは赤血球を凝集させる。赤血球は糖複合体で被覆されているからである。前記グリコミメティックはこの凝集を阻害する。
各化合物に対して、阻害することができる最小濃度を評価した。該方法はあまり定量的ではないが、自然のシステムを模倣している。
より詳しくは、赤血球凝集反応阻害測定をU形状の96穴のマイクロタイタープレートを用いて行った。ウサギの赤血球をBiomerieuxから購入し、さらなる洗浄なしで使用した。該赤血球をNaCl(150mM)の4%溶液にまで希釈した。Tris/HCl
20mM、NaCl100mM、及びCaCl100μMの2mg/mLのレクチン溶液を調製した。25μLの4%赤血球溶液を、段階希釈した(2倍)レクチンの25μLのアリコットに添加することによって、赤血球凝集反応活性(HU)を最初に得た。該混合物を25℃で60分インキュベートした。赤血球凝集反応を回避するのに必要な最小のレクチン濃度として、該活性を測定した。以下に述べるレクチン阻害測定においては、赤血球凝集反応活性の4倍のレクチン濃度、すなわち、LecAに対し6μg/mLの濃度を使用した。次いで、糖質クラスター、モノマー分子及びコントロールの段階希釈物25μLに12.5μLレクチン溶液(必要とされる濃度)を添加して、その後の測定を行った。次いで、これらの溶液は25℃で2時間インキュベートし、その後、12.5μLの4%赤血球溶液を添加し、さらに25℃で30分インキュベートした。各分子に対する最小阻害濃度は、簡単な目視検出により決定した。方法1によって、化合物5、10、14、19、21、23、25、27、29及び31のLecAに対する評価を行った。
方法(2)
酵素結合レクチン測定法(ELLA)による実験
ガラクトース(LecAにより結合される単糖)を提示するポリマーで96穴のプレートを被覆した。競合するグリコミメティックの存在下、ビオチンでラベルしてレクチンを添加する。IC50が測定できる。
より詳しくは、ELLAによる実験は、炭酸系バッファーに希釈した重合体のβ―D―ガラクトース(5μg/mL:Lectinity Holding、Inc.、モスクワ))で被覆した96穴のマイクロタイタープレート(Nunc Maxisorb)を用いて、pH9.6(100μL)、37℃で1時間行った。1穴当たり100μLの3%(w/v)のBSA/PBSで37℃、1時間ブロッキングした後、プレートを37℃で1時間、100μLのビオチン化LecA0.1μg/mLと共に、段階希釈の阻害剤の存在下でインキュベートした。T―PBS(0.05%Tweenを含むPBS)で洗浄した後、100μLのストレプトアビジン/ペルオキシダーゼ複合体(希釈 1:10000;Boehringer-Mannheim)を添加し、37℃で1時間放置した。1穴当たり100μLの、O―フェニレンジアミンジヒドロクロライド(0.4mg/mL)及び過酸化尿素水素(0.4mg/mL)(Sigma-Aldrich)を含む0.05Mリン酸/クエン酸バッファーを用いて発色させた。該反応は50μLの30%HSOを添加して停止させた。マイクロタイタープレートリーダー(Bio-Rad; model 680)を用いて490nmの吸収を測定した。
方法(3)
表面プラズモン共鳴(SPR)
IC50の正確な決定を可能にする精巧な装置(Biacore 3000)のガラクトース含有チップ上の小型化チャネルで実施される当量法である。
さらに詳しくは、SPRによる阻害実験をBiacore 3000装置を用いて25℃で行った。測定は2つの固定された糖:α−L―フコース(チャネル1)、α―D―ガラクトース(チャネル2)を備えた2つのチャネルで行った。糖の固定は、ランニングバッファー(HBS)5μL/分を用いて25℃で行った。各チャネルへの固定(CM5チップ)は、以下のようにして独立して行った。最初に、EDC/NHS(35μL、420s)の新鮮な混合物を注入してチャネルを活性化した。次いで、ストレプトアビジンの溶液(pH5酢酸Naバッファー中100μg/mL)を注入した(50μL、600s)。エタノールアミン(1M、35μL、420s)を注入して残りの反応性種をクエンチした。最後に、ストレプトアビジンービオチン相互作用を通じて、所望するビオチン化ポリアクリルアミド糖の溶液(Lectinity、200μg/mL)を該表面に被覆した(50μL、600s)。この作業により、それぞれチャネル1、チャネル2上に固定された糖の804RU(フコシド)と796RU(ガラクトシド)が得られる。阻害実験はガラクトシル化チャネル2を用いて行い、プロットは引算されたデータを表す(チャネル2−チャネル1)。
HEPES10mM、NaCl150mM、CaCl10mM、Tween P20
0.005%、pH7.4からなるランニングバッファーを用いてLecAを注入した。阻害実験はLecA(5μM)及び各種濃度の阻害剤(2倍カスケード希釈)をインキュベート(>1時間、r.t.)した混合物の注入(150μL、10μL/分、解離:120秒)で構成される。各阻害測定において、阻害剤なしのLecA(5μM)を注入して、糖被覆表面(0%阻害)上へのレクチンの完全な付着を観察した。CM5チップはD―ガラクトースの連続注入により完全に再生された(2×30μL、ランニングバッファー中、100mM)。
結合については、ブランクのサブトラクション後の時間経過におけるRUとして測定し、データはBlAevaluation Software, version4.1を用いて評価した。IC50の評価に対し、所定濃度の阻害剤の存在における平衡において、糖表面に結合したレクチンの量を応答(Req-fitted)とみなした。Origin 7.0 software(OriginLab Corp.)を用いて阻害剤濃度(対数スケール)に対する阻害剤のパーセントをプロットすることにより阻害曲線を得た。該阻害曲線のシグモイドフィットからIC50の値を抽出した。
方法(4)
等温滴定熱量測定(ITC)
本方法は、グリコミメティックとLecAレクチンの間の親和性を直接測定することを可能にする。
より詳しくは、組み換え型の凍結乾燥したLecAをバッファー(0.1M Tris―HCl、6μMCaCl、pH7.5)に溶解し、脱気した(濃度の詳細はSupp.info.参照)。理論上のモル吸光係数28000を用いて光学密度の測定により、タンパク質濃度を確認した。炭水化物リガンドを直接に同じバッファーに溶解し、注入シリンジに充填した。ITCをMicroCal社のVP―ITC MicroCalorimeterを用いて行った。PA―ILを1.4478mLのサンプルセルに25℃で充填した。300秒毎に炭水化物リガンドを10μL注入し、滴下した。データは、標準的手順に従って、MicroCal Origin 7 softwareを用いてフィットした。フィットしたデータから、化学量論(n)、結合定数(K)及び結合エンタルピー(ΔH)が得られる。
他の熱力学的パラメータ(すなわち、自由エネルギーの変化、ΔG、及びエントロピー、ΔS)は等式:ΔG=ΔH−TΔS=−RTlnK (Tは絶対温度、R=8.314J.mol−1.K−1)から計算した。試験した各リガンドに対して2又は3回の独立した滴定を行った。
2)生化学的結果
前述した4つの全ての方法に対して、数字が小さいほど、グリコミメティックの効率は良好である。
方法1
赤血球凝集反応阻害測定によって得られた結果を以下の表1に示す。
Figure 0005774120
表1に示した値は、レクチン誘導赤血球細胞の凝集反応の阻害濃度である。一価の糖複合体化合物14及び四価の糖複合体化合物21及び23は最も効率的である。赤血球細胞の溶血が四価の糖複合体化合物27、29及び31に対して観察された。これは使用した濃度における起こりうる毒性を示している。
方法2
酵素結合レクチン測定法によって得られた結果を以下の表2に示す。
Figure 0005774120
表2に示された値は、マルチ穴プレート測定におけるガラクトシル化重合体へのラベル化LecAの結合の阻害に対するIC50の値を示す。
一価の糖複合体のうち、化合物14が最も効率的な阻害剤である(図4に示す)。全ての四価の糖複合体は、低濃度でガラクトシル化表面へのLecAの結合を阻害する。最も効率的な化合物はμM以下の範囲のIC50をもつ27、29である。
方法3
表面プラズモン共鳴によって得られた結果を以下の表3に示す(IC50値)。
Figure 0005774120
表3に示した値は、表面プラズモン共鳴を使用して、ガラクトシル化チップ表面へのラベルフリーのLecAの結合の阻害に対するIC50値である。化合物19の各種濃度に対するセンサーグラムの実施例を、対応する阻害曲線と共に図5に示す。一価の糖複合体化合物のうち、14だけが強い結合阻害を示している。四価の糖複合体化合物においては、19、23及び25はμM範囲のIC50をもつ効率的な阻害剤である。他の四価の化合物は、この方法で試験をすることは困難であった。溶解度の制限の点から得ることが困難なリガンド濃縮溶液を必要とするためである。
方法4
ITCによって得られた結果を以下の表4に示す。
Figure 0005774120
表4に示された値は、LecAと糖複合化カリキサレンの溶液中の相互作用に対する解離定数である。化合物19に対して得られた、測定された典型的サーモグラムを図6に示す。一価の糖複合体化合物のうち、14だけが強い結合阻害を示している。四価の糖複合体化合物においては、19は解離定数94nMをもつ優れた阻害剤である。いくつかの四価の化合物は、この方法で試験をすることは困難であった。溶解度の制限の点から得ることが困難なリガンド濃縮溶液を必要とするためである。
実施例III
In vivo試験
1)実験条件
マウスにセボフルラン(sevoflurane)を吸入させて短時間で麻酔した。各マウスに対し、咽頭を介して気管内に挿入したゾンデを通じて肺内に5×10CFU/mlの接種細菌50mlを点滴した。肺内の肺胞タンパク質トレーサとして気管内に点滴された残存125I―アルブミン及び感染後6時間後の血漿中のその漏出と蓄積を測定することにより、肺胞毛細管バリア透過性を評価した。気管内点滴は、1μCiの125I―アルブミンと5%牛アルブミンに緑膿菌接種と各種単糖類又は糖質化合物を加えた混合物であった。該点滴の全放射活性を測定した。50μlの点滴を麻酔した各マウスの肺に接種した。該点滴の6時間後、ペントバルビタールをマウス腹腔内に投与して麻酔した。頸動脈穿刺により血液を採血し、胸骨切開を行って、肺、気管及び腹部の放射活性を回収、測定した。該血液循環内に漏出した125I―アルブミンの量は血液サンプル中の活性に血液容量を掛け合わせて算出した。
2)生化学的結果
動物モデル測定において化合物14と2つの単糖類:グルコースとガラクトースを比較した。化合物(グルコース、ガラクトース、化合物14)を感染濃度の緑膿菌と一緒に同時に点滴した。これらの化合物が肺にもたらす保護を、肺胞バリアの完全性を測定することにより評価した。このために、ラベル化アルブミンを血液中に循環させ、肺胞バリアを通って肺に漏出した量を評価した。
図7は、緑膿菌が感染したマウスにおけるグルコース、ガラクトース、及び化合物14の保護効果を示す。透過率は、肺胞バリアの劣化、すなわち、該細菌感染による肺組織の損傷を評価する。
一価の糖複合体化合物14はガラクトースよりも効率的な阻害剤である。同時点滴すると、糖不在で細菌を点滴したコントロール実験と比べたとき、肺の損傷は約50%減少する結果となる。この結果は化合物14が緑膿菌による破壊とその結果生じる全身感染から肺組織を効率的に保護することを示している。

Claims (10)

  1. 次に示す式を有するカリキサレン系グリコシル化化合物(I)であって、
    Figure 0005774120
    式中、
    Dは、独立して、−CH−基、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基、もしくはスルホニル基から選択され、
    Eは、独立して、水素、1〜10個の炭素原子を有するアルキル、6〜20個の炭素原子を有するアリール、二酸化窒素基、アジド基、アミノ基、グアニジニウム基、ハロゲン原子、−CHR基(式中、Rはヒドロキシル、ハロゲン、アミノ基、N(アルキル)基、NH(アルキル)基である)から選択されるか、又は、Eは、−CO−R’
    (式中、R’は水素原子、ヒドロキシル基、もしくはアミノである)を表し、
    Bは、A−C基
    {式中、
    Aは、独立して、酸素原子、硫黄原子、NH基、もしくは(CHi基(式中、iは1から10の整数である)から選択され、
    Cは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニルから選択されるか、又は、
    Cは、次に示す式の基
    Figure 0005774120
    Figure 0005774120
    (CO−NH)−(V)−U
    (式中、
    nは1〜3の整数であり、
    Vは、CH、C(フェニル“Ph”)、CH−CH−O−CH、CH−C O−NH−CHであり、
    mは1〜15の整数であり、
    Uは、存在しないか、もしくはCHである)であり、
    Figure 0005774120
    Figure 0005774120
    もしくはこれらの誘導体である]であり、
    前記C基の糖誘導体が、次に示す
    Figure 0005774120
    から選択され、
    あるいは、
    前記C基の糖誘導体が、次に示す
    Figure 0005774120
    から選択され、
    かつ、該カリキサレン系グリコシル化化合物(I)の4つのC基のうちの少なくとも1つは、次に示す前記式の基
    Figure 0005774120
    を表す}、
    カリキサレン系グリコシル化化合物(I)。
  2. 前記C基で定義される
    Figure 0005774120
  3. 請求項1又は2に記載のカリキサレン系グリコシル化化合物(I)であって、前記C基で定義される
    Figure 0005774120
    ・n=1、m=1、V=CH−CH−O−CH、U=CH
    ・n=1、m=1、V=C(“Ph”)、Uは存在しない、
    ・n=1、m=1、V=CH−CO−NH−CH、U=CH
    ら選択される、
    カリキサレン系グリコシル化化合物(I)。
  4. 前記カリキサレン系グリコシル化化合物(I)の4つのC基のうちの2つが、次に示す式の基
    Figure 0005774120
    を表す、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカリキサレン系グリコシル化化合物(I)。
  5. 前記カリキサレン系グリコシル化化合物(I)の4つのC基のうちの3つが、次に示す式の基
    Figure 0005774120
    を表す、請求項1〜4のいずれか1項に記載のカリキサレン系グリコシル化化合物(I)。
  6. 前記カリキサレン系グリコシル化化合物(I)の4つのC基が、次に示す式の基
    Figure 0005774120
    を表す、請求項1〜4のいずれか1項に記載のカリキサレン系グリコシル化化合物(I)。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のカリキサレン系グリコシル化化合物(I)であって、Dが−CH−基を表し、Eが、tert−ブチル基であるアルキル基を表し、かつ、前記カリキサレン系グリコシル化化合物(I)のB基で定義されるAが、酸素原子を表す、
    カリキサレン系グリコシル化化合物(I)。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のカリキサレン系グリコシル化化合物(I)の製造方法であって、該方法は、
    (a)次に示す式(IV)
    Figure 0005774120
    (式中、D及びEは、請求項1に定義するとおりである)のプロパルギル化カリックス[4]アレーンを製造する段階であって、塩基の存在下で、次に示す式(V)
    Figure 0005774120
    のカリックス[4]アレーンと、次に示す式(VI)
    Figure 0005774120
    のプロパルギル化化合物との位置選択的多重プロパルギル化によって、該プロパルギル化カリックス[4]アレーン(IV)を得る、前記段階と、
    (b)次に示す式(II)
    Figure 0005774120
    (式中、リンカー及び糖は、請求項1〜3のいずれか1項に定義するとおりであり、
    Xは、アセタート(CHCO)、ベンゾアート(CCO)、もしくはベンジル(CCH )から選択される保護基を表し、この保護基が、糖ヒドロキシル基の酸素原子に結合している)の保護カリキサレン系グリコシル化化合物を製造する段階であって、リンカーの端部に隣接したアジド官能基を有する次の式(III)
    Figure 0005774120
    の炭水化物誘導体と、前の段階で得られたプロパルギル化カリックス[4]アレーン(IV)との結合によって、該保護カリキサレン系グリコシル化化合物を製造し、
    該炭水化物が、一方の端部でアルコール官能基を、他方の端部でアジド基を有したリンカーによるグリコシル化によって製造される、前記段階と、
    (c)式(II)の該保護カリキサレン系グリコシル化化合物の保護基の脱保護によって、請求項1〜7のいずれか1項に定義されるカリキサレン系グリコシル化化合物(I)を得る段階と、
    を含むことを特徴とする、
    方法。
  9. 医薬的に許容し得る担体又は希釈剤と組み合わせて、請求項1〜7のいずれか1項に記載のカリキサレン系グリコシル化化合物(I)を含むことを特徴とする、医薬組成物。
  10. 感染の第1段階においてレクチンを利用する病原体に対する抗感染性として有用な治療剤をさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
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