JP5767773B2 - 有機性排水の処理方法及び該処理方法に使用する薬剤 - Google Patents

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Description

本発明は、有機性汚濁成分を含む被処理水(以下、有機性排水又は原水とも呼ぶ)の生物処理方法に関し、より具体的には、有機性廃棄物の焼却灰を有効利用できると同時に、種々の有機性排水に対して、生物処理後の処理水の水質改善、汚泥沈降性の改善、処理の安定化、余剰汚泥の脱水性の改善等を達成できる生物処理方法に関する。
製紙排水、化学工場排水、染色排水、食品製造排水等の工場排水には、有機汚濁成分が多く含まれているが、これらの排水(有機性排水と呼ぶ)の処理は、一般的に、微生物によって有機汚濁成分を分解する生物処理によって行われている。生物処理方式としては、活性汚泥法、接触酸化法、固定床生物処理法、流動担体活性汚泥法、嫌気性消化(メタン発酵法)等が挙げられる。これらの生物処理方式は、いずれも微生物の生命活動を利用するものであるため、種々の検討がなされているものの、その処理効率を高めることは難しく、更なる検討が必要である。それと同時に、生物処理に特有の下記の課題があった。下水処理や工場排水処理等に広く採用されている活性汚泥法を例にとって説明すると、該方法で分解したBODのうちの50〜70%は微生物の維持エネルギーとして消費されるが、残りの30〜50%は菌体の増殖に使用されるため、汚泥量は次第に増加する。処理に必要となる量以上に増加した汚泥は固液分離し、余剰汚泥として取り除く必要があるので、生物処理で生じる大量の余剰汚泥の処理が常に問題となる。二次廃棄物として生ずる余剰汚泥の量は、近年ますます多くなり、種々の減容化の方法が試みられているものの、現状では、経済的な方法で余剰汚泥を完全になくすことは困難である。一方、余剰汚泥を廃棄処理する際には2次汚染の問題もあり、大量の余剰汚泥の処理の問題は深刻である。また、近年、環境保全に対する認識が高まり、その重要性が注目されており、生物処理後における処理水質の更なる改善、その安定性の確保も重要な課題となっている。
余剰汚泥の処理としては、汚泥を脱水処理した後、そのまま或いは焼却後、埋立て等される場合が多い。これに対し、大量に生じる余剰汚泥の焼却灰を有効利用するための方法の検討は種々になされている。例えば、下水汚泥処理設備で発生する下水汚泥焼却灰を造粒成型後、成型物を乾燥焼成して骨材とすることや(例えば、特許文献1参照)、汚泥焼却灰等の焼却灰に、活性汚泥処理等の有機性汚泥を混合させて土壌改良材とすること(例えば、特許文献2参照)等、焼却灰を種々の製品原料として利用することについて提案されている。
一方、近年における産業や生活の発展に伴い、生活の中で生じる厨芥や食品残渣、或いは、農業、畜産、水産、林産等からの有機性廃棄物は多量に、集中的に発生するようになってきており、これらを処理した後に生じる大量の焼却灰の廃棄処理も問題になっている。これに対し、その溶融生成物を排水処理の際に使用する微生物の付着担体とする、といった方法で利用することが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2004−67493号公報 特開平9−111238号公報 特開2000−107787号公報
したがって、本発明の目的は、有機性排水の生物処理における処理水の更なる水質改善、発生する汚泥の沈降性の改善、処理の安定性の確保、余剰汚泥の脱水性の改善を実現できる生物処理方法を提供することである。本発明の別の目的は、より経済的でより良好な有機性排水の生物処理方法の実現と、余剰汚泥や食品残渣といった有機性廃棄物の焼却灰の有効な利用の途を提供することで、これらの有機性廃棄物の処理にも資することである。
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、有機性廃棄物を焼却処分して得られた焼却灰を利用して有機性排水を生物処理する有機性排水の処理方法であって、有機性排水が、紙パルプ製造工場排水、古紙再生工場排水、石油化学工業排水、有機合成化学工場排水、油脂化学排水、製薬・医薬中間体製造排水、繊維工業排水、染色排水、精練排水、金属表面処理・脱脂排水、食品製造排水、製紙排水及び化学工場排水からなる群から選択されるいずれかの排水であって、無機成分のバランスが生物処理に適した状態でない、生物体を構成するに必要な、カリウム、カルシウム、ナトリウム、マグネシウムを殆ど含まないか、偏った組成の排水であり、且つ、上記焼却灰として、焼却灰100g中に、酸化物換算で少なくとも5gのリン分を含み、酸化物換算で、カリウム、カルシウム、ナトリウム、マグネシウムをそれぞれ少なくとも1g以上含むものを使用し、有機性排水に上記焼却灰を添加したものを原水とするか、生物反応槽に上記焼却灰を添加するか、或いは、返送汚泥に上記焼却灰を添加するか、の少なくともいずれかの焼却灰の添加工程を有することを特徴とする有機性排水の処理方法を提供する。さらに、本発明は、該有機性排水の処理方法に使用する薬剤であって、有機性廃棄物を焼却して得られた焼却灰を主成分としてなることを特徴とする排水処理用薬剤を提供する。
本発明によれば、有機性排水の生物処理における処理水質の更なる改善、発生する汚泥の沈降性の改善、処理の安定性の確保、余剰汚泥の脱水性の改善を実現できる生物処理方法が提供される。本発明によれば、より経済的でより良好な有機性排水の生物処理方法が実現されると同時に、有機性廃棄物の焼却灰の有効な利用の途が提供される。
本発明の好ましい実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。本発明者らは、上記従来技術の問題点を解決すべく鋭意検討の結果、有機性排水の生物処理の際に、有機性廃棄物を焼却処分して得られた焼却灰を処理のいずれかの段階で添加することで、発生する汚泥の沈降性が向上し、固液分離が良好な状態で行われると同時に、処理水の水質が改善されることを見出した。具体的には、下記の少なくともいずれかの段階で焼却灰を添加することが有効であることを見出した。すなわち、少なくとも、有機性排水に上記焼却灰を添加したものを原水とする、或いは、生物反応槽に上記焼却灰を添加する、或いは、返送汚泥に上記焼却灰を添加する、のいずれかの構成とする。勿論、これらを組み合わせて焼却灰を添加するようにしてもよい。本発明者らは、上記のように構成することで、処理の安定性が確保され、良好な生物処理を持続して行えるようになることを確認した。さらに、余剰汚泥の脱水性が向上することもわかった。余剰汚泥の脱水性の向上は、結果として、乾燥後、焼却する余剰汚泥の処理の経済性向上に繋がる。
有機性廃棄物を焼却処分して得られた焼却灰を処理のいずれかの段階で添加して有機性排水の生物処理に利用することで上記した優れた効果が得られる理由について、本発明者らは下記のように考えている。本発明者らは、検討過程において、例えば、製紙排水、化学工場排水、染色排水、食品製造排水等の各種の工場排水を生物処理する場合、これらの排水に含まれる有機汚濁成分ならびに無機成分のバランスは、必ずしも生物処理に適した状態のものではないことを確認した。すなわち、無機成分について言えば、窒素、リンといった微生物体の主要構成元素となるものが排水中に不足している場合があるが、その場合には、明らかに生物処理効率が劣ったものになる。このため、このような窒素或いはリンが不足する排水に対しては、通常、人為的に、窒素及びリンを添加することで不足分を補って処理が行われている。本発明者らの更なる検討によれば、上記にかぎらず、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、塩化物イオン、イオウ、或いは、鉄、亜鉛、銅、アルミ等の、生物体を構成するに必要な元素を殆ど含まないか、偏った組成の排水がある。しかし、このような成分については、生物処理に対する影響を特に考慮していないのが現状である。本発明者らは、生物処理の効率向上のためには、これらの成分の存在も無視できないものであるとして、この点も含めて詳細な検討を行い、本発明に至ったものである。
本発明者らは、まず、経験上、無機成分の少ないと考えられる排水処理で発生する活性汚泥では、沈降性並びに脱水性が悪く、また、処理水質の安定を確保するのに苦労することが多い場合があることに着目した。汚泥の沈降性が悪化する原因としては、糸状性細菌が異常増殖する場合と、活性汚泥の粘性が増加する場合が考えられる。従来より、栄養分の不足する排水では、上記した現象が頻繁に生じることがあった。
糸状性細菌は、糸状体を形成するため体表面積が広く、この結果として、低濃度な栄養分の吸収速度が速くなると考えられている。本発明者らは、栄養分である有機成分の吸収はもとより、上記に挙げたような無機成分についても、同様の傾向があると推察している。すなわち、無機/有機を問わず栄養分の不足する条件では、フロック形成型のバクテリアよりも糸状性細菌の増殖速度が速くなると考えられる。そして、結果として、例えば、活性汚泥法にあっては、活性汚泥中の糸状性細菌が優占種となり、糸状性細菌の異常増殖が発生し、このことが汚泥の沈降不良の一因となっていると考えられる。
一方、活性汚泥の粘性の増加もはっきりしたメカニズムは不明であるが、下記に述べるように、この場合も処理対象の排水(原水)の栄養バランスが原因していると考えられる。バクテリアは一般的に、貧栄養状態におくと、菌体を守るために体外ポリマーを活発に産生することが知られている。このことから、原水の無機栄養バランスが崩れ或いは不足することが、活性汚泥の粘性増加の原因となっていると考えられる。
本発明者らは、上記知見に基づき、安価で入手し易く、しかも、排水に添加することで、性状が異なる各種有機性排水中の有機汚濁成分並びに無機成分のバランスを生物処理に適したものにできる材料があれば非常に有用であると考え、種々の検討を行った。具体的には、生物処理の効率向上の立場から、様々なものについて、添加材料として有効か否かの検討を行った。その結果、有機性廃棄物の焼却灰が、本発明の目的を達成するための最適な材料であることを見出して本発明に至った。本発明者らの検討によれば、下水汚泥、産業排水の生物処理から発生する余剰汚泥、厨芥、食品残渣、農業廃棄物、家畜・家禽糞尿、畜産廃棄物、水産廃棄物、林産廃棄物等の有機性廃棄物の焼却灰であれば、いずれも本発明の効果を得ることができる。また、上記した中でも特に、下水汚泥の焼却灰、産業排水の生物処理装置から発生する余剰汚泥の焼却灰を用いれば、本発明の効果がより顕著に得られる。
下記に示した通り、生物処理に使用する活性汚泥微生物等においては、排水処理微生物の体を構成する無機成分が極めてバランスよく含有されており、本発明の目的達成に好適である。表−1に、下水汚泥焼却灰の組成の分析例を示したが、リンは勿論、微生物の生命維持に必要と考えられる微量成分がバランスよく含有されている。本発明者らの検討によれば、焼却灰100g中に、酸化物換算で、少なくとも5gのリン分を含むものが好ましい。その他の成分として、少なくとも、カリウム、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、亜鉛、銅等を含有するもの、特に、カリウム、カルシウム及びマグネシウムを含むものが好ましい。有機性廃棄物の焼却灰中には、これらの成分がバランスよく含有されているのでいずれのものも好ましく使用できるが、特に、下水汚泥、産業排水の生物処理から発生する余剰汚泥、食品残渣等の有機性廃棄物の焼却灰を用いることが好ましい。カリウム、カルシウム、ナトリウム、マグネシウムについては、焼却灰100g中に、酸化物換算で、少なくとも1g以上含まれていることが好ましい。また、マンガン、鉄、亜鉛、銅については、焼却灰100g中に、酸化物換算で、少なくとも0.1g以上含まれていることが好ましい。
Figure 0005767773
本発明は、有機性廃棄物の焼却灰を生物処理のいずれかの段階で添加し、該焼却灰を生物処理に利用することを特徴とする。本発明においては、上記のような焼却灰を使用する場合に、特に、焼却灰の粉砕や、粒度調整や、有機物の抽出等の前処理をする必要はなく、そのまま使用することができる。換言すれば、本発明によって、極めて低コストの有機性廃棄物の利用方法の提供が可能になったと言える。ただし、有機性廃棄物の焼却灰を得る際に、有機性廃棄物の形態によっては、その取り扱い性や、輸送性等に劣る場合があるので、その場合には必要に応じて、例えば、大粒径の夾雑物の篩い分けや、水分の乾燥操作等を実施すればよい。
本発明で使用する生物処理方式は、活性汚泥法に限らず、微生物の生命活動を利用する、接触酸化法、固定床生物処理法、流動担体活性汚泥法或いは嫌気性消化(メタン発酵法)等、いずれでもよい。
本発明の効果が認められる、本発明の生物処理方法を適用可能な有機性排水としては、生物処理が可能なあらゆる有機性排水が挙げられる。特に、紙パルプ製造工場排水、古紙再生工場排水、石油化学工業排水、有機合成化学工場排水、油脂化学排水、製薬・医薬中間体製造排水、繊維工業排水、染色排水、精練排水、金属表面処理・脱脂排水、食品製造排水、製紙排水或いは化学工場排水が挙げられる。これらの中でも特に、菓子・パン製造排水、酒類製造排水、飲料製造排水、乳製品製造排水、麺類製造排水、豆腐製造排水、惣菜・冷凍食品製造排水等の食品製造排水に適用した場合に、より高い効果が得られる。
上記したような有機性排水への有機性廃棄物の焼却灰の添加量は、処理対象の有機性排水によっても異なるが、排水量に対して2〜1,000mg/lを継続的に添加し、これを原水として処理することが効果的である。しかし、これに限らず、例えば、沈降不良の発生時や、処理水質の悪化時に、これらを改善する目的で、一時的に添加することも有効である。この場合における添加量としては、例えば、一度に、排水量に対して100〜3,000mg/l程度を添加することが有効である。
次に、本発明の実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
<実施例1、2及び比較例1>
曝気槽容量5L、沈殿槽容量3Lの活性汚泥試験装置を3系列用意し、古紙再生排水の沈殿処理水を、各系列とも20L/日通水で連続的に処理を行った。その際、下水活性汚泥を種汚泥として、各曝気槽中に2,000mg/lとなるように添加して処理試験を開始した。試験に用いた古紙再生排水の沈殿処理水の平均水質は、pH=6.7、SS=25mg/l、COD=130mg/l、BOD=180mg/lであった。
上記のうちの1系列を、下水汚泥焼却灰を処理排水量に対し10mg/lになるよう連続的に添加し、これを原水として処理を行い、実施例1とした。また、別の1系列を、間伐材や木の枝等を焼却した林産廃棄物焼却灰を処理排水量に対し10mg/lになるように連続的に添加し、これを原水として処理を行い、実施例2とした。残りの1系列には焼却灰を添加せず、そのまま処理を行い、比較例1とした。そして、いずれの系列についても2ヶ月間処理を継続した。2ヶ月後の時点で得られた処理水の水質を表−2に示した。
Figure 0005767773
表−2に示したように、各処理水の、pH、SS及びBODについては、実施例1及び2と比較例1とで、測定結果に大きな差は認められなかった。しかし、各処理水のCODについては、実施例1の処理では18mg/l、実施例2の処理では19mg/lであったのに対し、比較例1の処理では39mg/lとなり、実施例による処理の方が約20mg/l良好な結果となり、有意差があることを確認した。また、活性汚泥の沈降指標であるSVIについても、実施例1の処理では120、実施例2の処理では110といずれも良好な沈降性を示したが、比較例の処理では330と沈降不良状態となることを確認した。さらに、曝気槽内の活性汚泥と原水との混合液の粘度を回転式粘度計で測定したところ、実施例1及び2の処理では3cpであったのに対し、比較例1の処理では8cpであり、比較例の活性汚泥混合液の粘度が高い値を示し、明らかに有意差があることが確認できた。実施例と比較例における沈降指標SVIの違いは、この活性汚泥の粘度の差に起因しているものと考えられる。なお、曝気槽中の活性汚泥混合液のMLSS濃度は、実施例1及び2並びに比較例1とも5,000mg/lに濃度調整した後に測定した。
<実施例3及び比較例2>
実施例1等で使用したと同じ活性汚泥試験装置を2系列用意し、処理対象を飲料製造工場排水として同様の試験を行った。実施例3及び比較例2では、曝気槽に、種汚泥として下水処理活性汚泥を4,000mg/lとなるように添加して処理を行った。試験に用いた飲料製造工場排水の平均水質は、pH=6.2、SS=250mg/l、COD=880mg/l、BOD=1,750mg/lであった。
処理に際しては比較例2となる系列では、尿素を窒素として原水BODの5%、リン酸をリンとして原水BODの1%を連続的に添加した。一方、実施例3となる系列では、尿素を窒素として原水BODの5%を連続的に添加したのみで、リンの添加は行わず、代わりに、酒類製造工場排水処理設備から発生する活性汚泥の余剰汚泥の焼却灰を排水量に対して50mg/lずつ連続添加しながら処理を行った。そして、処理開始から50日後の時点で得られた処理水の水質並びに汚泥性状を表−3に示した。
Figure 0005767773
表−3より、処理水質では、SSとBODについては実施例3と比較例2で大きな差は認められなかった。しかし、各処理水のCODについては、実施例3の処理では22mg/lであったのに対し、比較例2の処理では29mg/lであり、実施例3の処理の方が7mg/l低かった。このように、実施例と比較例とでは、処理によって得られた処理水の性状に明らかな有意差があり、実施例の処理の方が良好な結果が得られた。また、汚泥の沈降指標のSVIでは、実施例3の処理では80と良好な沈降性を示したのに対し、比較例2の処理では620と極めて沈降性の悪い状態であり、水処理の継続が困難な状況であった。曝気槽内の状態について観察したところ、比較例2の活性汚泥中には多量の糸状性細菌が認められ、この糸状性細菌の異常発生が沈降性悪化の原因と考えられる。
さらに、ろ布圧搾型の脱水試験装置で、実施例3及び比較例2の処理で使用した処理後の各沈殿槽内の活性汚泥を脱水処理し、脱水ケーキの含水率を測定した。その結果、実施例3では82%、比較例2では86%であり、汚泥の脱水性の改善効果も確認することができた。
<実施例4>
実施例1において、原水に下水汚泥焼却灰を添加せずに、曝気槽内に下水汚泥焼却灰を添加した以外は、実施例1と同様にして生物処理を行った。下水汚泥焼却灰の添加量は、曝気槽内における焼却灰の量が、処理排水量に対して10mg/lになるようにした。その結果、実施例1と同様に良好な処理がされることを確認した。
<実施例5>
実施例1において、原水に下水汚泥焼却灰を添加せずに、曝気槽内への返送汚泥に下水汚泥焼却灰を添加した以外は、実施例1と同様にして生物処理を行った。下水汚泥焼却灰の添加量は、返送汚泥が戻される曝気槽内における焼却灰の量が、処理排水量に対して10mg/lになるようにした。その結果、実施例1と同様に良好な処理がされることを確認した。
本発明の活用例としては、種々の性状を有する各種の有機性排水に適用可能であり、より経済的でより良好な有機性排水の処理の実現と、有機性廃棄物の焼却灰の有効利用とを同時達成できる有機性排水の生物処理方法が挙げられる。

Claims (6)

  1. 有機性廃棄物を焼却処分して得られた焼却灰を利用して有機性排水を生物処理する有機性排水の処理方法であって、
    有機性排水が、紙パルプ製造工場排水、古紙再生工場排水、石油化学工業排水、有機合成化学工場排水、油脂化学排水、製薬・医薬中間体製造排水、繊維工業排水、染色排水、精練排水、金属表面処理・脱脂排水、食品製造排水、製紙排水及び化学工場排水からなる群から選択されるいずれかの排水であって、無機成分のバランスが生物処理に適した状態でない、生物体を構成するに必要な、カリウム、カルシウム、ナトリウム、マグネシウムを殆ど含まないか、偏った組成の排水であり、且つ、
    上記焼却灰として、焼却灰100g中に、酸化物換算で少なくとも5gのリン分を含み、酸化物換算で、カリウム、カルシウム、ナトリウム、マグネシウムをそれぞれ少なくとも1g以上含むものを使用し、
    有機性排水に上記焼却灰を添加したものを原水とするか、生物反応槽に上記焼却灰を添加するか、或いは、返送汚泥に上記焼却灰を添加するか、の少なくともいずれかの焼却灰の添加工程を有することを特徴とする有機性排水の処理方法。
  2. 焼却灰が、下水汚泥、産業排水の生物処理から発生する余剰汚泥、厨芥、食品残渣、農業廃棄物、家畜・家禽糞尿、畜産廃棄物、水産廃棄物及び林産廃棄物からなる群から選択される少なくともいずれかを含む有機性廃棄物を焼却して得られたものである請求項1に記載の有機性排水の処理方法。
  3. 有機性排水に上記焼却灰を、排水量に対して2〜1,000mg/lを継続的に添加したものを原水とする請求項1又は2に記載の有機性排水の処理方法。
  4. 生物反応槽に上記焼却灰を、排水量に対して100〜3,000mg/lを一度に添加する請求項1又は2に記載の有機性排水の処理方法。
  5. 有機性排水が、古紙再生工場排水及び飲料製造工場排水からなる群から選択される請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機性排水の処理方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機性排水の処理方法に使用する薬剤であって、有機性廃棄物を焼却して得られた焼却灰を主成分としてなることを特徴とする排水処理用薬剤。
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