尚、以下の各実施例においては、無線基地局の無線エリア内にある複数のUEがデータセンタとデータ通信を行う場合を例にとって説明するが、この例に限定されることはなく、各々のUEがサーバ等のネットワーク上の任意の処理装置とデータ通信を行う場合も同様である。
[1.第1実施例]
以下、第1実施例に係る無線基地局及び無線通信システムについて説明する。
[1−1.無線通信システム]
まず、第1実施例に係る無線通信システム200の全体構成について説明する。図2は、第1実施例に係る無線通信システム200の構成例を示す図である。
図2に示したように、無線通信システム200は、無線基地局202、無線基地局202の無線エリア内に存在するUE204(204‐1〜n)、206(206‐1〜m)、ネットワーク210、ゲートウェイ212、データセンタ214を含む(n、mはそれぞれ対応するUEの数に対応する整数である)。無線基地局202は、グループ通信制御部222、無線通信部226、及びネットワーク通信部228を含む。データセンタ214は、多重化制御部232を含む。
無線基地局202の無線エリア内のUEのうち、UE204−1〜nは、コアネットワークとの通信においてデータ多重化の対象となる端末によって構成されるグループ(多重化端末グループ)に属する端末(構成員UE)である。これに対し、UE206‐1〜mは、その多重化端末グループに属さず、コアネットワークとの間で個別に、通常の通信が行われる端末(一般UE)である。
ゲートウェイ212は、PDN GW(Packet Data Network Gateway )やServing GW(Serving Gateway)等のゲートウェイ装置である。コアネットワークには、ゲートウェイ212や後述するMME(Mobility Management Entity)等のネットワーク機器が含まれる。
無線基地局202は、ネットワーク210を介して、配下の複数のUE204、206とコアネットワークとの間で通信回線を確立し、確立された通信回線を介して、データセンタ214とデータ通信を行う。ここで、データ通信とはパケット通信のことであり、データとはパケットデータのことである。以下の説明においても同様である
無線基地局202において、グループ通信制御部222は、配下の複数のUE204、206とコアネットワークとの間の通信回線の確立を制御する。無線通信部226は、複数のUE204、206との間で無線通信により、データや制御信号等の信号の送受信を行う。ネットワーク通信部228は、ネットワーク210を介して、データセンタ214や、ゲートウェイ212やMMEを含むコアネットワークとの間でデータや制御信号等の信号の送受信を行う。
データセンタ214において、多重化制御部232は、多重化端末グループのグループ構成情報を保持する。グループ構成情報は、グループID(グループ識別情報)と、複数の構成員端末ID(構成員端末識別情報)を含む。構成員端末IDはそれぞれ、多重化端末グループの構成員であって、データ多重化の対象となる端末(UE)の識別情報(端末ID)であり、多重化端末グループに属するUEごとに割り当てられる情報である。グループIDは、多重化端末グループごとに割り当てられる識別情報であり、同時に、各々の多重化端末グループの代表UEの識別情報(端末ID)でもある。代表UEは、多重化端末グループに属する複数の構成員UEを代表する仮想的なUEのことである。代表UEは、多重化端末グループに対応して設けられ、コアネットワークやデータセンタ214等の処理装置に対しては、各々の構成員UEに代わって、データ通信の送受信元のUEとして振る舞う。
無線基地局202において、グループ通信制御部222は、データセンタ214内の多重化制御部232が保持するものと同一の、多重化端末グループのグループ構成情報を保持する。すなわち、無線基地局202のグループ通信制御部222とデータセンタ214の多重化制御部232は、同一のグループ構成情報を共有している。グループ通信制御部222は、保持されたグループ構成情報に基づいて、無線基地局202の無線エリア内のUEのうち、多重化端末グループに属する複数のUE204‐1〜nから送信されたデータを、代表UEのデータに多重化する多重化処理を制御する。
また、グループ通信制御部222は、データセンタ214から、ネットワーク210を介して、グループIDに基づいて代表UEのデータに多重化されたデータ(多重化データ)を受信し、グループ構成情報に基づいて、受信された多重化データを各構成員UEのデータに分離する分離処理を制御する。データの多重化処理及び分離処理の詳細について、後で説明する。
[1−2.無線基地局]
次に、第1実施例に係る無線基地局202の構成の詳細について説明する。図3は、第1実施例に係る無線基地局202の構成例を示す図である。
図3に示したように、無線基地局202は、制御部302、構成員端末判定部304、データ多重化部306、端末グループ判定部308、データ分離部310、無線受信部312、無線送信部314、ネットワーク送信部316、及びネットワーク受信部318を含む。ここで、制御部302、構成員端末判定部304、データ多重化部306、端末グループ判定部308、及びデータ分離部310は、図2に示したグループ通信制御部222に対応する。無線受信部312及び無線送信部314は、無線通信部226に対応し、ネットワーク送信部316及びネットワーク受信部318はネットワーク通信部228に対応する。
制御部302は、多重化制御部332及び通信制御部334を含む。制御部302において、多重化制御部332は、図2に示したデータセンタ214の多重化制御部232が保持するものと同一の、グループ構成情報を保持する。すなわち、多重化制御部332と多重化制御部232は、同一のグループ構成情報を共有している。グループ構成情報は上述のように、グループID(グループ識別情報)と、複数の構成員端末ID(構成員端末識別情報)を含む。多重化制御部332は、複数の構成員端末IDを、構成員端末判定部304及びデータ分離部310に供給する。また、多重化制御部332は、グループIDを、データ多重化部306及び端末グループ判定部308に供給する。
無線受信部312は、無線基地局202の無線エリア内のUEから、無線通信によりデータや制御信号等の種々の信号を受信する。受信される信号にはそれぞれ、信号の発信元を示す情報として、各々のUEに割り当てられた識別情報(端末ID)が含まれている。無線受信部312は、受信した信号を構成員端末判定部304に供給する。
構成員端末判定部304は、無線受信部312から供給された受信信号ごとに、受信信号に含まれる端末IDと、多重化制御部332から供給された複数の構成員端末IDを比較し、その受信信号が多重化端末グループに属する構成員UEから送信された信号であるか否かを判定する。構成員端末判定部304は、比較の結果、その端末IDが複数の構成員端末IDのうちの1つと一致する場合は、対応する受信信号は構成員UEから送信された信号であると判定する。構成員端末判定部304は、受信信号ごとに、判定結果と、受信信号に含まれる端末IDを多重化制御部332に通知する。また、受信信号がデータである場合、構成員端末判定部304は、判定結果と、受信データをデータ多重化部306に供給する。
データ多重化部306は、構成員端末判定部304から、判定結果と受信データを受けとり、受けとった判定結果に基づいて、多重化の対象となる受信データを抽出する。すなわち、データ多重化部306は、その判定結果が、受信データが構成員UEから送信されたデータであることを示す場合は、対応する受信データを多重化の対象データとして抽出する。
データ多重化部306は、多重化の対象データとして抽出された受信データを、多重化制御部332から供給されたグループIDを用いて、多重化端末グループの代表UEのデータに多重化する多重化処理を行う。データ多重化部306は、抽出された受信データに、グループIDを含むヘッダ情報を付加することにより、抽出された受信データをカプセル化する。データ多重化部306は、カプセル化された受信データをネットワーク送信部316に供給する。
データ多重化部306は、受信データが一般UEから送信されたデータである場合は、構成員端末判定部304から供給された受信データをそのまま、ネットワーク送信部316に供給する。
制御部302において、通信制御部334は、データ多重化部306からネットワーク送信部316に供給される送信対象のデータが、構成員UEからのカプセル化されたデータである場合、データ送信に先立って、代表UEとコアネットワークの間に、多重化端末グループのための共有通信回線(グループ通信回線)を確立する。グループ通信回線は、対応する多重化端末グループに属する複数の構成員UEによって共有され、複数の構成員UEからのデータの送受信に共通に用いられるものであり、1つの代表UEに対応する1つの通信回線によって構成されるものである。このグループ通信回線の確立は、データの発信元の構成員UEから送信される、接続要求信号等の制御信号に応答して行われる。グループ通信回線の確立の詳細については、後で説明する。
通信制御部334は、送信対象のデータが一般UEからのデータである場合には、データ送信に先立って、対応する一般UEとコアネットワークの間に通常の通信回線を確立する。
ネットワーク送信部316は、データ多重化部306から供給された受信データを、確立された通信回線を介して、データセンタ214に送信する。このとき、送信対象のデータが構成員UEからのカプセル化データである場合には、ネットワーク送信部316はそのカプセル化データを、グループ通信回線を介して、代表UEからのデータとして送信する。このため、実際には、データの発信元として、多重化端末グループに属する複数の構成員UEが存在したとしても、データセンタ214等の処理装置や、ゲートウェイやMME等の、コアネットワークを構成するネットワーク機器に対しては、データの発信元を1つの代表UEであるかのように見せることができ、1つのグループ通信回線によってデータを送信することができる。
ネットワーク受信部318は、確立された通信回線を介して、データセンタ214からデータを受信し、受信データを端末グループ判定部308に供給する。このとき、多重化端末グループの代表UEとコアネットワークの間にグループ通信回線が確立されており、かつ、データの宛先が多重化端末グループに属する複数の構成員UEの1つである場合、ネットワーク受信部318は、グループ通信回線を介して、カプセル化データを、代表UE宛てのデータとして受信する。カプセル化データには、ヘッダ情報の中にグループIDが含まれ、さらに、データ本体の中に各々の構成員UEに割り当てられた構成員端末IDが含まれている。このため、実際には、データの宛先として、多重化端末グループに属する複数の構成員UEが存在したとしても、データセンタ214等の処理装置や、コアネットワークを構成するネットワーク機器に対しては、データの宛先を1つの代表UEであるかのように見せることができ、1つのグループ通信回線によってデータを受信することができる。
端末グループ判定部308は、ネットワーク受信部318から供給された受信データごとに、受信データのヘッダ情報に含まれるグループIDと、多重化制御部332から供給されたグループIDを比較し、その受信データが多重化端末グループに属する構成員UE宛てに送信された、カプセル化データであるか否かを判定する。端末グループ判定部308は、比較の結果、2つのIDが一致する場合は、対応する受信データは構成員UE宛てに送信された、カプセル化データであると判定する。端末グループ判定部308は、各受信データごとに、判定結果と、受信データをデータ分離部310に供給する。
データ分離部310は、端末グループ判定部308から、判定結果と受信データを受けとり、受けとった判定結果に基づいて、受信データが構成員UE宛てに送信された、カプセル化データである否かを判定する。データ分離部310は、その判定結果が、受信データが構成員UE宛てに送信されたカプセル化データであることを示す場合は、対応する受信データを代表UEのデータに多重化されたデータであると判定する。
データ分離部310は、代表UEのデータに多重化されたデータと判定された受信データを、その受信データの本体に含まれる構成員端末IDを用いて、各構成員UEのデータに分離する分離処理を行う。データ分離部310は、受信データから、グループIDを含むヘッダ情報を削除することにより、受信データをデカプセル化する。データ分離部310は、デカプセル化された受信データを無線送信部314に供給する。
データ分離部310は、受信データが一般UE宛てに送信されたデータである場合は、端末グループ判定部308から供給された受信データをそのまま、無線送信部314に供給する。
無線送信部314は、データ分離部310から供給された受信データを、無線基地局202の無線エリア内の宛先となっているUEに対して、無線通信により送信する。
以上説明したように、無線基地局202においては、例えば、図3に示したように、配下のk個のUEからk個のデータ入力がある場合であっても、グループ通信制御部222における多重化処理により、データセンタ214等の処理装置やコアネットワークを構成するネットワーク機器に対しては、j個(j<k)のデータ出力が存在するかのように見せることができる。このため、無線基地局202においては、コアネットワークとの通信回線の数をk‐jだけ削減することができ、通信回線確立時のシグナリング数をk-jだけ削減することができる。
尚、この場合、グループ通信制御部222における多重度はk‐j+1となり、多重化処理は、k‐j+1個の構成員UEからのデータを1つの代表UEのデータに多重化する処理となる。
従って、無線基地局202のグループ通信制御部222においては、配下にある複数の無線端末(UE)において、データを多重化することができるUEの数を増加させ、コアネットワークの間に確立される通信回線の数を削減することができる。
[1−3.多重化処理のシーケンス]
次に、無線通信システム200において行われる多重化処理のシーケンスについて説明する。
以下、通信方式として3GPPのLTE(Long Term Evolution)を採用した場合を例にとって説明するが、通信方式はLTEに限定されることはなく、以下の実施例は、他の通信方式にも適用することが可能である。
[1−3−1.複数の構成員UEのいずれも通信を行っていない場合]
図4は、無線通信システム200において、多重化端末グループに属する複数の構成員UEのいずれも通信を行っていない状態で、複数の構成員UEの1つが通信を開始する場合の、多重化処理のシーケンスの例を示す図である。
まず、ステップS402において、無線基地局(以下、eNBとも称する)202の無線エリア内にある複数の構成員UE204‐1〜nの1つが、無線基地局202に、データセンタ(DC)214との接続を要求する接続要求信号Attachを送信する。この接続要求信号Attachには、発信元を示す構成員UE204の構成員端末IDと、宛先を示すデータセンタ214の識別情報(ID)が含まれている。
次に、ステップS404において、無線基地局202の無線受信部312は、配下の構成員UE204から、接続要求信号Attachを受信する。構成員端末判定部304は、受信した接続要求信号Attachに含まれている構成員端末IDを抽出する。
次に、ステップS406において、構成員端末判定部304は、多重化制御部332から供給された複数の構成員端末IDの中に、抽出された構成員端末IDと一致するIDが存在するか否かを判定する。尚、多重化制御部332は事前に、データセンタ214の多重化制御部232と、構成員端末ID及びグループIDを含むグループ構成情報を共有している。
図4に示した例では、多重化端末グループに属する構成員UE204から接続要求信号が送信されているので、構成員端末判定部304では一致判定が行われる。構成員端末判定部304は、その一致判定に基づいて、受信された接続要求信号が構成員UEからの信号であることと、抽出された構成員端末IDを多重化制御部332に通知する。多重化制御部332は、構成員端末判定部304からの通知に基づいて、接続要求信号を送信した構成員UEを、データ多重化の対象のUEであると判断する。
また、構成員端末判定部304による一致判定に基づいて、多重化制御部332は、データ多重化部306に供給するグループIDに基づいて、多重化端末グループの代表UEと、ゲートウェイ212やMMEを含むコアネットワークとの間でグループ通信回線を確立する処理を開始する。すなわち、データ多重化部306は、多重化制御部332の制御の下、受信した接続要求信号Attachに含まれている構成員端末IDを、多重化制御部332から供給されたグループIDに置換する処理を行い、接続要求の発信元を示す端末IDを、代表UEの端末IDに変更する。
次に、ステップS408において、制御部302の通信制御部334は、ネットワーク送信部316を介して、MMEに、データセンタ214との接続を要求する接続要求信号Attachを送信する。この接続要求信号Attachには、発信元を示す端末IDとして、ステップS406において置換された、代表UEの端末IDであるグループIDが含まれ、宛先を示すデータセンタ214の識別情報(ID)が含まれている。
次に、ステップS410において、MMEは、無線基地局202から接続要求信号Attachを受信すると、受信した接続要求信号Attachに基づいて、ゲートウェイ212に、無線基地局202の配下の代表UEとデータセンタ214の間の通信(セッション)の生成を要求するセッション生成要求信号Create Sessionを送信する。このセッション生成要求信号Create Sessionには、発信元を示す端末IDとして代表UEの端末IDであるグループIDが含まれ、宛先を示すデータセンタ214の識別情報(ID)が含まれている。
次に、ステップS412において、ゲートウェイ212は、MMEからセッション生成要求信号を受信すると、受信したセッション生成要求信号に基づいて、無線基地局202との間でグループ通信回線を確立する処理を行う。このグループ通信回線は、ゲートウェイ212と代表UEの間に確立される通信回線である。加えて、ゲートウェイ212は、受信したセッション生成要求信号に基づいて、データセンタ214に、通信回線(リンク)の確立を要求するリンク要求信号Linkingを送信する。
次に、ステップS414において、データセンタ214は、ゲートウェイ212からリンク要求信号を受信すると、受信したリンク要求信号に基づいて、ゲートウェイ212との通信回線の確立を許可するか否かを決定し、ゲートウェイ212に、受信したリンク要求信号に対する応答信号Responseを送信する。この応答信号Responseは、データセンタ214がゲートウェイ212との通信回線の確立を許可するか否かを示すものである。図4に示した例では、データセンタ214は通信回線の確立を許可するものとする。そのため、データセンタ214は、ゲートウェイ212との通信回線(リンク)を確立する処理を行い、ゲートウェイ212に、通信回線の確立を許可する旨を示す応答信号を送信する。
次に、ステップS416において、ゲートウェイ212は、データセンタ214から応答信号を受信すると、受信した応答信号に基づいて、MMEに、受信したセッション生成要求信号に対する応答信号Responseを送信する。この応答信号Responseは、代表UEとデータセンタ214の間の通信(セッション)が確立された否かを示すものである。図4に示した例では、ゲートウェイ212とデータセンタ214との間の通信回線(リンク)の確立は許可されているので、ゲートウェイ212は、MMEに、代表UEとデータセンタ214の間の通信(セッション)が確立された旨を示す応答信号を送信する。
次に、ステップS418において、MMEは、ゲートウェイ212から応答信号を受信すると、受信した応答信号に基づいて、無線基地局202に、受信した接続要求信号に対する応答信号を送信する。図4に示した例では、代表UEとデータセンタ214の間の通信(セッション)が確立された旨を示す応答信号を受信しているので、MMEは、無線基地局202に、データセンタ214との接続が許可された旨を示す応答信号Acceptを送信する。
次に、ステップS420において、制御部302の通信制御部334は、ネットワーク受信部318を介して、MMEから応答信号Acceptを受信すると、代表UEとデータセンタの間の通信(セッション)が確立されたことを認識し、コアネットワークとの間でグループ通信回線が確立されたことを認識する。また、無線基地局202は、ステップS402において接続要求信号Attachを送信した構成員UE204に、データセンタ214との接続が確立された旨を示す応答信号Acceptを送信するようにしてもよい。
次に、ステップS422において、制御部302の通信制御部334は、無線送信部314を介して、ステップS402において接続要求信号Attachを送信した構成員UE204に、無線リソース制御設定信号RRC config(Radio Resource Control configuration)を送信する。この無線リソース制御設定信号RRC configは、図4に示した各ステップにより、代表UEとコアネットワークとの間で確立されたグループ通信回線に関する、無線端末(UE)側の設定を示す信号である。
次に、ステップS424において、ステップS422において無線リソース制御設定信号を受信した構成員UE204は、確立されたグループ通信回線を介して、データセンタ214との間でデータの通信を開始する。すなわち、無線基地局202において、構成員UE204は、自身が属する多重化端末グループの代表UEを介して、データセンタ214との間でデータ通信を行う。
このとき、無線基地局202のネットワーク送信部316は、代表UEの端末IDであるグループIDによりカプセル化されたデータをゲートウェイ212に送信する。すなわち、データ多重化部306は、構成員UE204から受信したデータに、多重化制御部332から供給されたグループIDを含むヘッダ情報を付加することにより、送信データをカプセル化する。データ多重化部306は、送信データを、グループIDを用いて代表UEのデータに多重化する多重化処理を行う。
一方、無線基地局202のネットワーク受信部318は、ゲートウェイ212から、グループIDによりカプセル化されたデータを受信する。すなわち、データ分離部310は、受信データから、グループIDを含むヘッダ情報を削除することにより、受信データをデカプセル化する。無線基地局202の無線送信部314は、デカプセル化された受信データを、その受信データの本体に含まれる構成員端末IDに対応する構成員UE204に送信する。データ分離部310は、代表UEのデータに多重化された受信データを、構成員端末IDを用いて、各構成員UEのデータに分離する分離処理を行う。
また、データセンタ214は、構成員UE204とデータ通信を行うとき、構成員UEの端末IDである構成員端末IDに加えて、代表UEの端末IDであるグループIDによって、通信対象の端末の認証を行う。すなわち、データセンタ214は、本来の通信対象である各々の構成員UE204‐1〜nを、1つの代表UEによって束ねられた状態として認識し、各々の構成員UEを認証しつつ、個々の構成員UEではなく、代表UEとの間でデータの送受信を行うかのように動作する。
以上説明したように、無線基地局202では、多重化端末グループに属する構成員UE204から新たな接続要求があった場合は、代表UEとコアネットワークの間にグループ通信回線を確立し、確立したグループ通信回線を介して、その構成員UE204に、データセンタ214との間でデータ通信を実行させることができる。
従って、無線基地局202のグループ通信制御部222では、配下にある複数の無線端末(UE)において、データを多重化することができるUEの数を増加させ、コアネットワークの間に確立される通信回線の数を削減することができる。
[1−3−2.複数の構成員UEの少なくとも1つが通信を行っている場合]
図5は、無線通信システム200において、多重化端末グループに属する複数の構成員UEの少なくとも1つが通信を行っている状態で、別の構成員UEが新たに通信を開始する場合の、多重化処理のシーケンスの例を示す図である。
まず、ステップS502において、多重化端末グループに属する複数の構成員UEの1つ(接続済構成員UE)が、確立されたグループ通信回線を介して、データセンタとの間でデータ通信を実施している。このとき、無線基地局202は、代表UEの端末IDであるグループIDによりカプセル化されたデータをゲートウェイに送信する。また、無線基地局202は、ゲートウェイから、グループIDによりカプセル化されたデータを受信する。
次に、ステップS504において、複数の構成員UEの中の、接続済構成員UE以外の1つの構成員UE(新規構成員UE)が、無線基地局202に、データセンタ214との接続を要求する接続要求信号Attachを送信する。この接続要求信号Attachには、発信元を示す構成員UEの構成員端末IDと、宛先を示すデータセンタの識別情報(ID)が含まれている。
次に、ステップS506において、無線基地局202の無線受信部312は、配下の新規構成員UEから、接続要求信号Attachを受信する。構成員端末判定部304は、受信した接続要求信号Attachに含まれている構成員端末IDを抽出する。
次に、ステップS508において、構成員端末判定部304は、多重化制御部332から供給された複数の構成員端末IDの中に、抽出された構成員端末IDと一致するIDが存在するか否かを判定する。
図5に示した例では、多重化端末グループに属する構成員UEから接続要求信号が送信されているので、構成員端末判定部304では一致判定が行われる。構成員端末判定部304は、その一致判定に基づいて、受信された接続要求信号が構成員UEからの信号であることと、抽出された構成員端末IDを多重化制御部332に通知する。多重化制御部332は、構成員端末判定部304からの通知に基づいて、接続要求信号を送信した新規構成員UEを、データ多重化の対象のUEであると判断する。
次に、ステップS510において、無線基地局202の通信制御部334は、代表UEとデータセンタ214の間の通信(セッション)が確立済みであり、代表UEとコアネットワークとの間に、接続済構成員UEがデータ通信に使用している既存のグループ通信回線が存在することを認識している。よって、通信制御部334は、新規構成員UEに対しも、データ通信に使用する通信回線として、既存のグループ通信回線を割り当てることを決定する。また、無線基地局202は、ステップS504において接続要求信号Attachを送信した構成員UEに、データセンタ214との接続が確立された旨を示す応答信号Acceptを送信するようにしてもよい。
次に、ステップS512において、無線基地局202は、ステップS504において接続要求信号Attachを送信した新規構成員UEに、無線リソース制御設定信号RRC configを送信する。この無線リソース制御設定信号RRC configは、代表UEとコアネットワークとの間で確立されているグループ通信回線に関する無線端末側の設定を示す信号である。
次に、ステップS514において、ステップS512において無線リソース制御設定信号を受信した新規構成員UEは、既存のグループ通信回線を介して、データセンタ214との間でデータ通信を開始する。すなわち、新規構成員UEは、接続済構成員UEと既存のグループ通信回線を共有しながら、自身が属する多重化端末グループの代表UEを介して、データセンタ214との間でデータ通信を行う。
このとき、無線基地局202は、代表UEの端末IDであるグループIDによりカプセル化されたデータをゲートウェイに送信し、ゲートウェイから、グループIDによりカプセル化されたデータを受信する。また、データセンタ214は、構成員UEとデータ通信を行うときは、構成員UEの端末IDである構成員端末IDに加えて、代表UEの端末IDであるグループIDによって通信対象の端末の認証を行う。
以上説明したように、無線基地局202では、代表UEとコアネットワークの間にグループ通信回線が確立されている状態で、多重化端末グループに属する別の構成員UE204から接続要求があった場合は、すでに確立されている既存のグループ通信回線を介して、その別の構成員UE204に、データセンタ214との間でデータ通信を実行させることができる。
従って、無線基地局202では、配下にある複数の無線端末(UE)において、データを多重化することができるUEの数を増加させ、コアネットワークの間に確立される通信回線の数を削減することができる。
[1−4.無線基地局202における多重化処理フロー]
次に、無線基地局202のグループ通信制御部222において行われる多重化処理フローについて説明する。
図6は、グループ通信制御部222において行われる多重化処理のフローチャートを示す図である。
まず、ステップS602において、グループ通信制御部222の多重化制御部332は、無線基地局202の配下の多重化端末グループのグループ構成情報を内部に設定する。設定されるグループ構成情報は上述のように、データセンタ214内の多重化制御部232が保持するグループ識別情報と同一のものであり、グループID(グループ識別情報)と、複数の構成員端末ID(構成員端末識別情報)を含む。
次に、ステップS604において、グループ通信制御部222の構成員端末判定部304は、無線基地局202の無線エリア内のUE204、206から、データセンタ214に対する接続要求が受信された否かを監視する。
次に、ステップS606において、接続要求の受信があった場合、構成員端末判定部304は、受信された接続要求の発信元UEとして、多重化端末グループの構成員UE204が検出されたか否かを判定する。すなわち、構成員端末判定部304は、多重化制御部332から供給された複数の構成員端末IDと、受信された接続要求に含まれる端末IDが一致するか否かを判定する。構成員UE204が検出された場合、処理はステップS608に進む。構成員UE204が検出されなかった場合、処理はステップS604に戻り、構成員端末判定部304は接続要求の監視を継続する。
次に、ステップS608において、グループ通信制御部222の多重化制御部332は、構成員端末判定部302から、接続要求の発信元UEとして構成員UE204が検出されたことの通知を受け、検出された構成員UE204が多重化端末グループを属する複数の構成員UE204‐1〜nの中で、1つ目の構成員UEであるか否かを判定する。すなわち、多重化制御部332は、多重化端末グループに属する複数の構成員UE204‐1〜nのいずれもデータ通信を行っていない状態で、複数の構成員UEの1つからの接続要求を受信した否かを判定する。1つ目の構成員UEである場合、処理はステップS610に進む。1つ目の構成員UEでない場合、処理はステップS614に進む。
次に、ステップS610において、グループ通信制御部222の通信制御部334は、多重化制御部332がデータ多重化部306に供給するグループIDに基づいて、多重化端末グループの代表UEとコアネットワークの間に、グループ通信回線を確立する。すなわち、データ多重化部306は、多重化制御部332の制御の下、受信した接続要求に含まれている構成員端末IDを、代表UEの端末IDであるグループIDに置換する処理を行い、通信制御部334は、置換された接続要求に基づいて、代表UEとコアネットワークの間にグループ通信回線を確立する。
次に、ステップS612において、接続要求を送信した構成員UE204は、確立されたグループ通信回線を介して、データセンタ214との間でデータの通信を開始する。すなわち、構成員UEは、自身が属する多重化端末グループの代表UEを介して、データセンタ214との間でデータ通信を行う。
このとき、無線基地局202は、代表UEの端末IDであるグループIDによりカプセル化されたデータをゲートウェイに送信し、ゲートウェイから、グループIDによりカプセル化されたデータを受信する。また、データセンタ214は、構成員UEとデータ通信を行うときは、構成員UEの端末IDである構成員端末IDに加えて、代表UEの端末IDであるグループIDによって通信対象の端末の認証を行う。
一方、ステップS614において、通信制御部334は、グループIDに基づいて、多重化端末グループの代表UEとコアネットワークの間に確立された、既存のグループ通信回線が存在することを認識している。接続要求を送信した構成員UE204は、確立済みのグループ通信回線を介して、データセンタ214との間でデータ通信を開始する。すなわち、構成員UEは、自身が属する多重化端末グループの代表UEを介して、データセンタ214との間でデータ通信を行う。
このとき、無線基地局202は、同様に、代表UEの端末IDであるグループIDによりカプセル化されたデータをゲートウェイに送信し、ゲートウェイから、グループIDによりカプセル化されたデータを受信する。また、データセンタ214は、構成員UEとデータ通信を行うときは、構成員UEの端末IDである構成員端末IDに加えて、代表UEの端末IDであるグループIDによって通信対象の端末の認証を行う。
ステップS612及びS614の後、処理はそれぞれ、ステップS604に戻り、構成員端末判定部304は接続要求の監視を継続する。
以上説明したように、無線基地局202では、多重化端末グループに属する複数の構成員UE204から接続要求があった場合、代表UEとコアネットワークの間に確立した1つのグループ通信回線を介して、各々の構成員UE204に、データセンタ214との間でデータ通信を実行させることができる。
従って、無線基地局202では、配下にある複数の無線端末(UE)において、データを多重化することができるUEの数を増加させ、コアネットワークの間に確立される通信回線の数を削減することができる。
[1−5.多重化処理のシーケンスの変形例]
次に、図4に示した、無線通信システム200において行われるデータ通信処理のシーケンスの変形例について説明する。
通信方式として3GPPのLTEを採用した場合、無線基地局202の無線エリア内のUEとコアネットワークとの間に通信回線を確立させる処理に用いられる端末IDと、実際のデータ通信の際の認証に用いられる端末IDとが異なる種類のIDであることが考えられる。そのような場合に、各UEの端末IDを変更し、設定するためのシーケンスを説明する。
以下、コアネットワークとの間に通信回線を確立させる処理に用いられる端末IDとして、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)又はTMSI(Temporary Mobile Subscriber Identity)が用いられ、実際のデータ通信の際の認証に用いられる端末IDとして、IPアドレスが用いられる場合を例にとって説明するが、端末IDはこれらに限定されることはなく、認証等に用いることが可能なIDであればよい。
図7は、無線通信システム200において、通信回線の確立処理に用いられる端末IDと、データ通信の際の認証に用いられる端末IDが異なる場合に、各UEの端末IDを設定するためのシーケンスの例を示す図である。
まず、ステップS702において、図4に示したステップS402と同様に、複数の構成員UE204‐1〜nの1つが、無線基地局202に、データセンタ214との接続を要求する接続要求信号Attachを送信する。ここで、図7に示した接続要求信号Attachには、発信元を示す構成員UEの構成員端末IDとして、構成員UEのIMSI又はTMSIが含まれている。IMSIは、各々の無線端末に対して割り当てられた、各端末固有の識別番号である。TMSIは、各々の無線端末が無線ネットワークに接続した際に、MMEから割り当てられる一時的な識別番号である。
次に、ステップS704において、図4に示したステップS404及びS406と同様に、無線基地局202は、受信した接続要求信号Attachに含まれている構成員UEのIMSI又はTMSIを抽出し、抽出した構成員UEのIMSI又はTMSIを、代表UEのIMSI又はTMSIに置換する処理を行う。尚、無線基地局202の多重化制御部332は事前に、データセンタ214の多重化制御部232と、IMSI又はTMSIが用いられた構成員端末ID及びグループIDを含むグループ構成情報を共有している。
その後、図4に示したステップS408と同様に、無線基地局202は、MMEに、データセンタ214との接続を要求する接続要求信号Attachを送信する。この接続要求信号Attachには、発信元を示す端末IDとして、代表UEのIMSI又はTMSIが含まれている。
次に、ステップS706において、図4に示したステップS410〜S422と同様に、代表UEとコアネットワークの間のグループ通信回線の確立処理が実行され、代表UEとデータセンタ214の間に通信(セッション)が確立される。尚、ステップS706では、代表UEのグループIDの代わりに、代表UEのIMSI又はTMSIが用いられる。
次に、ステップS708において、グループ通信回線の確立後、ゲートウェイ212は、無線基地局202にデータセンタ214のIPアドレスを通知する。これにより、無線基地局202の通信制御部334は、データセンタ214に割り当てられたIPアドレスを認識する。
次に、ステップS710において、無線基地局202は、ゲートウェイ212から、代表UEのIPアドレスの通知を受ける。これにより、通信制御部334は、代表UEに割り当てられたIPアドレスを認識する。これ以後、代表UEは、割り当てられたIPアドレスを用いて、ゲートウェイ212との間でデータ通信を行う。すなわち、無線基地局202の無線エリア内の各構成員UEは、IPアドレスが割り当てられた代表UEを介して、ゲートウェイ212との間でデータ通信を行う。ゲートウェイ212は、構成員UEとのデータ通信の際に、代表UEのIPアドレスによって通信対象の端末の認証を行う。
次に、ステップS712において、無線基地局202の無線エリア内の各構成員UEは、無線基地局202から、ゲートウェイ212が各構成員UEを固有に認識するために事前に設定し、無線基地局202と情報共有するIPアドレスの通知を受け、通知されたIPアドレスを用いて、無線基地局202との間でデータの送受信を行う。構成員UEのIPアドレスは、無線基地局202において、多重化処理を実行するために事前に設定されたアドレスであり、各々の構成員UEごとに設定され、多重化制御部332に保持されるアドレスである。尚、無線基地局202の多重化制御部332が保持する各構成員UEのIPアドレスの情報は、事前にデータセンタ214に送信され、無線基地局202とデータセンタ214とで共有される。
次に、ステップS714において、無線基地局202の構成員端末判定部304は、配下の構成員UEから受信したデータに含まれるIPアドレスと、多重化制御部332において事前設定された複数のIPアドレスを比較し、その受信データが多重化端末グループに属する構成員UEから送信されたものであるか否かを判定する。データ多重化部306は、構成員端末判定部304の一致判定により、受信データが多重化の対象データであると判断された場合、多重化制御部332から供給された代表UEのIPアドレスを用いて、受信データを代表UEのデータに多重化する多重化処理を行う。データ多重化部306は、代表UEのIPアドレスを含むヘッダ情報を付加することにより、受信データをカプセル化する。無線基地局202は、ゲートウェイ212を介して、カプセル化された受信データをデータセンタ214に送信する。
また、無線基地局202は、データセンタ214から、ゲートウェイ212を介して、カプセル化されたデータを受信する。無線基地局202の端末グループ判定部308は、受信データのヘッダ情報に含まれる代表UEのIPアドレスと、ステップS710においてゲートウェイ212から受信したIPアドレスを比較し、その受信データが多重化端末グループに属する構成員UE宛てに送信されたカプセル化データであるか否かを判定する。データ分離部310は、受信データが構成員UE宛てのカプセル化データであると判断された場合、受信データを、その受信データの本体に含まれる構成員UEのIPアドレスを用いて、各構成員UEのデータに分離する分離処理を行う。データ分離部310は、受信データから、代表UEのIPアドレスを含むヘッダ情報を削除することにより、受信データをデカプセル化する。
[2.第2実施例]
以下、第2実施例に係る無線基地局及び無線通信システムについて説明する。
[2−1.無線通信システム]
まず、第2実施例に係る無線通信システム800の全体構成について説明する。図8は、第2実施例に係る無線通信システム800の構成例を示す図である。
図8に示した無線通信システム800は、図2に示した無線通信システム200と、グループ通信制御部222及び無線基地局202の代わりに、グループ通信制御部822及び無線基地局802が設けられる点で異なるが、それ以外の部分は同様である。図2に示した無線通信システム200と同一又は対応する部分は、同一の符号で示されている。図8において同一の符号で示した部分の動作や機能は、図2において説明したとおりであるので、詳細な説明は省略する。
無線基地局802は、図2に示した無線基地局202と同様に、ネットワーク210を介して、配下の複数のUE204、206とコアネットワークとの間で通信回線を確立し、確立された通信回線を介して、データセンタ214とデータ通信を行う。
無線基地局802において、グループ通信制御部822は、無線基地局202のグループ通信制御部222と同様の機能を有し、配下の複数のUE204、206とコアネットワークとの間の通信回線の確立を制御する。
グループ通信制御部822はさらに、グループ通信制御部222の機能に加えて、グループ通信回線がすでに確立されている状態で、接続済構成員UE以外の構成員UE(新規構成員UE)804から接続要求があったとき、そのグループ通信回線の通信品質(Quality of Service、QoS)を評価する機能を有する。すなわち、グループ通信制御部822は、新規構成員UEからのデータを、データセンタ214との間に通信(セッション)が確立している代表UEのデータに多重化した場合の、グループ通信回線の通信品質QoSを評価する。
グループ通信制御部822は、評価された通信品質が一定の閾値よりも劣化している場合、新規構成員UE804をデータ多重化の対象のUEであると判定せず、新規構成員UE804からの接続要求を拒否する。グループ通信回線の通信品質QoSの評価の詳細については、後で説明する。
[2−2.無線基地局]
次に、第2実施例に係る無線基地局802の構成の詳細について説明する。図9は、第2実施例に係る無線基地局802の構成例を示す図である。
図9に示したように、無線基地局802の構成は、図3に示した無線基地局202の構成と、グループ通信制御部222内に制御部302が設けられ、制御部302内に多重化制御部332が設けられる代わりに、グループ通信制御部822内に制御部902が設けられ、制御部902内に多重化制御部932が設けられる点で異なるが、それ以外の部分は同様である。図9において同一の符号で示した部分の動作や機能は、図3において説明したとおりであるので、詳細な説明は省略する。
グループ通信制御部822において、制御部902の多重化制御部932は、制御部302の多重化制御部332と同様の機能を有し、図8に示したデータセンタ214の多重化制御部232が保持するものと同一の、グループ構成情報(構成員端末ID、グループID)を保持し、構成員UE204−1〜nから送信されるデータの多重化処理を制御する。
多重化制御部932はさらに、多重化制御部302の機能に加えて、グループ通信回線がすでに確立されている状態で、新規構成員UE804から接続要求があったとき、そのグループ通信回線の通信品質QoSを評価する機能を有する。すなわち、グループ通信制御部822の多重化制御部932は、新規構成員UEからのデータを、データセンタ214との間に通信(セッション)が確立している代表UEのデータに多重化した場合の、グループ通信回線の通信品質QoSを評価する。
通信品質QoSは例えば、同時に代表UEへのデータ多重化の対象となっている構成員UEであって、すでにグループ通信回線を介してデータの送信を行っている構成員UEの数(多重化UE数)、すなわち、代表UEに対するデータの多重度である。多重化UE数(代表UEに対するデータの多重度)が一定の上限値を超えると、1つのグループ通信回線によって送受信されるデータ量が増加するため、無線基地局802において発生するデータ転送の遅延量が大きくなることにより、通信品質が劣化する蓋然性が高くなるからである。
構成員端末判定部304は、図3に示したグループ通信制御部222の構成員端末304に関して説明したように、無線受信部312において新たに接続要求が受信される度に、受信された接続要求が多重化端末グループに属する構成員UEから発信されたものか否かを判定し、その判定結果及び受信された接続要求に含まれる端末IDを多重化制御部932に通知する。
多重化制御部932は、構成員端末判定部304から通知された判定結果及び端末IDに基づいて、多重化UE数を随時把握する。多重化制御部932は、多重化UE数が予め定められた上限値を超えたとき、グループ通信回線の通信品質QoSが一定の閾値よりも劣化したと判定する。多重化UE数の上限値は例えば、多重化端末グループごとに事前に設定され、多重化制御部932に保持された値である。
多重化制御部932は、多重化UE数が予め定められた上限値を超えた場合、新規構成員UE804をデータ多重化の対象のUEであると判定せず、データ多重化部306に対して多重化処理を実行しないことを指示する。多重化制御部932は、新規構成員UE804からの接続要求を拒否することを決定し、新規構成員UE804に対して、無線送信部314を介して、接続要求を拒否することを示す応答信号を送信する。
尚、通信品質QoSは、上述した、多重化UE数、すなわち、代表UEに対するデータの多重度には限定されない。通信品質QoSは例えば、構成員UEからのパケットデータについての、無線基地局802におけるパケット転送の遅延量とすることができる。この場合、多重化制御部932は、構成員UEからの各々のパケットデータについてパケット転送の遅延量を監視し、パケット転送の遅延量が一定の閾値を超えた場合に、通信品質QoSが劣化したと判定する。
以上説明したように、無線基地局802のグループ通信制御部822では、多重化端末グループに属する構成員UE804から接続要求があった場合、代表UEとコアネットワークの間に確立されるグループ通信回線の通信品質を評価し、その評価結果に応じて接続要求を許可するか否かを決定するようにしたので、配下にある複数の無線端末(UE)に対して、コアネットワークに対する通信品質を一定の閾値以上に維持しながら、コアネットワークの間に確立される通信回線の数を削減することができる。
[2−3.多重化処理のシーケンス]
次に、無線通信システム800において行われる多重化処理のシーケンスについて説明する。
図10は、グループ通信回線がすでに確立されている状態で、無線基地局802が新規構成員UE804から接続要求信号を受信した場合の、多重化処理のシーケンスの例を示す図である。
まず、ステップS1002において、多重化端末グループに属する複数の構成員UEの少なくとも1つ(接続済構成員UE)が、確立されたグループ通信回線を介して、データセンタとの間でデータ通信を実施している。このとき、無線基地局802は、代表UEの端末IDであるグループIDによりカプセル化されたデータをゲートウェイ212に送信する。また、無線基地局802は、ゲートウェイ212から、グループIDによりカプセル化されたデータを受信する。
次に、ステップS1004において、複数の構成員UEの中の、接続済構成員UE以外の1つの構成員UE(新規構成員UE)804が、無線基地局802に、データセンタ214との接続を要求する接続要求信号Attachを送信する。この接続要求信号Attachには、発信元を示す構成員UE804の構成員端末IDが含まれている。
次に、ステップS1006において、無線基地局802の無線受信部312は、配下の新規構成員UE804から、接続要求信号Attachを受信する。構成員端末判定部304は、受信した接続要求信号Attachに含まれている構成員端末IDを抽出する。
次に、ステップS1008において、構成員端末判定部304は、多重化制御部932から供給された複数の構成員端末IDの中に、抽出された構成員端末IDと一致するIDが存在するか否かを判定する。
図10に示した例では、多重化端末グループに属する構成員UEから接続要求信号が送信されているので、構成員端末判定部304では一致判定が行われる。構成員端末判定部304は、その一致判定に基づいて、受信された接続要求信号が構成員UEからの信号であることと、抽出された構成員端末IDを多重化制御部932に通知する。多重化制御部932は、構成員端末判定部304からの通知に基づいて、接続要求信号を送信した新規構成員UEを、データ多重化の対象のUEであると判断する。
次に、ステップS1010において、多重化制御部932は、ステップS1008における構成員端末判定部304からの通知を受けて、代表UEへのデータ多重化の対象となっている構成員UEの数(多重化UE数)の現在値が1だけ増加したことと認識する。多重化制御部932は多重化UE数の現在値を、予め定められた上限値と比較し、多重化UE数の現在値がその上限値を超えているか否かを判定する。多重化制御部932は、多重化UE数の現在値がその上限値を超えている場合、グループ通信回線の通信品質QoSが一定の閾値よりも劣化したと判定する。
図10に示した例では、多重化UE数の現在値は、上述の上限値を超えているものとする。従って、多重化制御部932は、グループ通信回線の通信品質QoSが一定の閾値よりも劣化したと判定する。
次に、ステップS1012において、多重化制御部932は、ステップS1010においてグループ通信回線の通信品質QoSの劣化を判定したことに応じて、新規構成員UE804をデータ多重化の対象とせず、新規構成員UEからのデータは代表UEのデータに多重化しないことを決定する。すなわち、多重化制御部932は、新規構成員UE804からの接続要求を拒否することを決定する。
次に、ステップS1014において、多重化制御部932は、新規構成員UE804に対して、無線送信部314を介して、ステップS1006において受信した接続要求信号に対する応答信号Request rejectを送信する。この応答信号Request rejectは、新規構成員UE804から送信された接続要求に対して接続が拒否されたことを示す信号である。
以上説明したように、無線基地局802では、多重化端末グループに属する構成員UE804から接続要求があった場合、代表UEとコアネットワークの間に確立されるグループ通信回線の通信品質を評価し、評価の結果、通信品質が一定の閾値よりも劣化している場合には、接続要求を拒否することができる。
従って、無線基地局802では、配下にある複数の無線端末(UE)に対して、コアネットワークに対する通信品質を一定の閾値以上に維持しながら、コアネットワークの間に確立される通信回線の数を削減することができる。
[2−4.無線基地局802における多重化処理フロー]
次に、無線基地局802のグループ通信制御部822において行われる多重化処理フローについて説明する。
図11は、グループ通信制御部822において行われる、多重化処理のフローチャートを示す図である。
まず、ステップS1102において、グループ通信制御部822の多重化制御部932は、無線基地局202の配下の多重化端末グループのグループ構成情報を内部に設定する。グループ構成情報は上述のように、データセンタ214内の多重化制御部232が保持するグループ識別情報と同一のものであり、グループID(グループ識別情報)と、複数の構成員端末ID(構成員端末識別情報)を含む。
次に、ステップS1104において、グループ通信制御部822の構成員端末判定部304は、無線基地局202の無線エリア内のUE204、804、206から、データセンタ214に対する接続要求が受信された否かを監視する。
次に、ステップS1106において、接続要求の受信があった場合、構成員端末判定部304は、受信された接続要求の発信元UEとして、多重化端末グループの構成員UE204、804が検出されたか否かを判定する。すなわち、構成員端末判定部304は、多重化制御部932から供給された複数の構成員端末IDと、受信された接続要求に含まれる端末IDが一致するか否かを判定する。構成員UE204、804が検出された場合、処理はステップS1108に進む。構成員UE204、804が検出されなかった場合、処理はステップS1104に戻り、構成員端末判定部304は接続要求の監視を継続する。
次に、ステップS1108において、多重化制御部932は、構成員端末判定部304から、接続要求の発信元UEとして新規構成員UE204、804が検出されたことと、新規構成員UEの構成員端末IDの通知を受けとる。多重化制御部932は、受けとった通知に基づいて、グループ通信回線の通信品質QoSを評価する。
例えば、通信品質QoSは、同時に代表UEへのデータ多重化の対象となっている構成員UEの数(多重化UE数)、すなわち、代表UEに対するデータの多重度である。多重化制御部932は、構成員端末判定部304からの通知に基づいて、多重化UE数の現在値が1だけ増加したことを認識する。
次に、ステップS1110において、多重化制御部932は、評価した通信品質QoSが予め定められた基準を満たすか否かを判定する。例えば、多重化制御部932は、多重化UE数の現在値を、予め定められた上限値と比較し、多重化UE数の現在値がその上限値を超えているか否かを判定する。多重化制御部932は、多重化UE数の現在値がその上限値を超えている場合、グループ通信回線の通信品質QoSが基準を満たしていないと判定する。通信品質WoSが基準を満たしている場合、処理はステップS1112に進む。通信品質WoSが基準を満たしていない場合、処理はステップS1114に進む。
次に、ステップS1112において、多重化制御部932は、新規構成員UE204をデータ多重化の対象のUEであると判定し、新規構成員UE204に対して、無線送信部314を介して、接続を許可することを示す応答信号Responseを送信する。多重化制御部932はさらに、図6に示したステップS608〜614と同様の処理により、データの多重化処理を行い、データ通信を開始させる。
一方、ステップS1114において、多重化制御部932は、新規構成員UE804をデータ多重化の対象のUEであると判定せず、データ多重化部306に対して、新規構成員UEからのデータを代表UEのデータに多重化しないことを指示する。多重化制御部932は、新規構成員UE804に対して、無線送信部314を介して、接続を拒否することを示す応答信号Request rejectを送信する。
ステップS1112及びS1114の後、処理はそれぞれ、ステップS1104に戻り、構成員端末判定部304は接続要求の監視を継続する。
以上説明したように、無線基地局802では、多重化端末グループに属する複数の構成員UE804から接続要求があった場合、代表UEとコアネットワークの間に確立されるグループ通信回線の通信品質を評価し、その評価結果に応じて接続要求を許可するか否かを決定することができる。
従って、無線基地局802では、配下にある複数の無線端末(UE)に対して、コアネットワークに対する通信品質を一定の閾値以上に維持しながら、コアネットワークの間に確立される通信回線の数を削減することができる。
[3.第3実施例]
以下、第3実施例に係る無線基地局及び無線通信システムについて説明する。
[3−1.無線通信システム]
[3−1‐1.無線通信システムの構成]
まず、第3実施例に係る無線通信システム1200の全体構成について説明する。図12及び図13は、第3実施例に係る無線通信システム1200の構成例を示す図である。
図12及び図13に示した無線通信システム1200は、図2に示した無線通信システム200と、無線基地局B(1222)と無線端末(UE)1224‐1〜pが追加されている点で異なるが、それ以外の部分は同様である。図2に示した無線通信システム200と同一又は対応する部分は、同一の符号で示されている。図12及び図13において同一の符号で示した部分の動作や機能は、図2において説明したとおりであるので、詳細な説明は省略する。
図12及び図13において、UE1204−1〜nは、無線基地局A(1202)の無線エリア内に位置する多重化端末グループAに属する構成員UEである。UE1224−1〜pは、無線基地局B(1222)の無線エリア内に位置する多重化端末グループBに属する構成員UEである(pは、対応する構成員UEの数に対応する整数である)。
無線基地局A(1202)は、図2に示した無線基地局202と同様に、ネットワーク210を介して、多重化端末グループAの代表UE(代表UE_A)とコアネットワークとの間でグループ通信回線Aを確立し、確立されたグル−プ通信回線Aを介してデータ通信を行う。
また、無線基地局B(1222)は、無線基地局202と同様に、ネットワーク210を介して、多重化端末グループBの代表UE(代表UE_B)とコアネットワークとの間でグループ通信回線Bを確立し、確立されたグループ通信回線Bを介してデータ通信を行う。
さらに、無線基地局A(1202)及びB(1224)はそれぞれ、無線基地局202の機能に加えて、自身以外の無線基地局に対して、自身の配下にある多重化端末グループのグループ構成情報を送信し、自身以外の無線基地局の配下にある多重化端末グループのグループ構成情報(構成員端末ID、グループID)を、自身以外の無線基地局から受信する機能を有する。
[3−1‐2.無線基地局Aから無線基地局Bへ多重化端末グループを移動する場合の無線通信システムの動作]
次に、図12及び図13を参照しながら、無線基地局A(1202)から無線基地局B(1224)へ多重化端末グループを移動する場合の無線通信システムの動作として、例えば、無線基地局A(1202)を停止する場合の無線通信システム1200の動作を説明する。
一般に、ネットワークには多くの無線基地局が接続されており、隣接する無線基地局の無線エリアは互いに重複するエリアを有している。このため、1つの無線端末であっても、複数の無線基地局の重複する無線エリアに存在し、複数の無線基地局に接続可能な状態にあることも多い。
一方、無線基地局に接続される無線端末の数については、一日の中でも時間帯によってばらつきがあることが知られている。例えば、昼間の時間帯においては、1つの無線基地局に多くの無線端末が接続されるが、深夜の時間帯においては、1つの無線基地局当たり接続される無線端末の数は少なくなることが知られている。
このため、無線基地局に接続される無線端末の数が相対的に少ない時間帯においては、ネットワークに接続される複数の無線基地局のうち、一部の無線基地局を停止させ、それによって無線通信システム全体として省電力化を図ることが考えられる。
そこで、図12において、ネットワーク210に接続される無線基地局Aと無線基地局Bのうち、省電力のため、一方の無線基地局Aを停止する場合を想定し、図12及び図13を用いて、その場合の無線通信システム1200の動作を説明する。
尚、図12及び図13において、無線基地局A(1202)と無線基地局B(1222)は互いに隣接しており、重複する無線エリアを有するものとし、無線基地局Aの配下の多重化端末グループAに属する構成員UE1204‐1〜nはそれぞれ、その重複する無線エリア内に位置するものとする。
図12において、無線基地局Aを停止する前の段階においては、多重化端末グループAに属する複数の構成員UE1204‐1〜nは、無線基地局A(1202)に接続されている。無線基地局A(1202)は、複数の構成員UE1204‐1〜nからのデータを、代表UE_Aのデータに多重化し、多重化されたデータを、確立されたグループ通信回線Aを介してデータセンタ214に送信している。
また、同様に、多重化端末グループBに属する複数の構成員UE1224‐1〜nは、無線基地局B(1222)に接続されている。無線基地局B(1222)は、複数の構成員UE1224‐1〜nからのデータを、代表UE_Bのデータに多重化し、多重化されたデータを確立されたグループ通信回線Bを介して、データセンタ214に送信している。
この状態において、例えば、ネットワーク210に接続された複数の無線基地局を制御する制御装置(不図示)は、省電力のため、一方の無線基地局Aを停止することを決定する。制御装置は、ネットワーク210を介して、無線基地局Aに、動作の停止を指示する。
無線基地局Aは、動作の停止指示を受信すると、動作を停止する処理を実行する前に、無線基地局Bに対して、配下の各構成員UE1204‐1〜nをハンドオーバ(以下、HO(Handover)とも称する)させることを要求するハンドオーバ要求を送信する。すなわち、受信された停止指示は、無線基地局Aの配下の多重化端末グループAに属する構成員UE1204‐1〜nに対するハンドオーバのトリガである。このとき、無線基地局Aは同時に、構成員UE1204‐1〜nが属する多重化端末グループAのグループ構成情報Aを、無線基地局Bに送信する。グループ構成情報Aには、複数の構成員UE1204‐1〜nの構成員端末ID(構成員端末ID_A)と、代表UE_Aの端末IDであるグループID(グループID_A)が含まれている。
図13において、無線基地局Bは、無線基地局Aから、ハンドオーバ要求と、多重化端末グループAのグループ構成情報Aを受信すると、すでに多重化端末グループBに属する構成員UE1224‐1〜pが接続されていることから、ハンドオーバ要求を受け入れることが可能か否かを判定する。
無線基地局Bがハンドオーバ要求を受け入れ可能であると判定した場合、無線基地局Aは、配下の構成員UE1204‐1〜nに、無線基地局Bへのハンドオーバを指示し、その後、内部の動作を停止する。無線基地局Bは、受信したグループ構成情報Aを内部に保持し、多重化端末グループAに属する構成員UE120‐1〜nの無線基地局Aからのハンドオーバを受け入れる。
無線基地局Bは、ハンドオーバが完了した後、無線基地局Aにおいて代表UE_Aとコアネットワークとの間に確立されていたグループ通信回線Aについて、内部に保持されたグループ構成情報Aに基づいて、パスの切り換えを実行する。グループ通信回線のパスの切り換え処理については、後で説明する。無線基地局Bは、複数の構成員UE1204‐1〜nからのデータを代表UE_Aのデータに多重化し、多重化されたデータを、パスの切り換えが行われたグループ通信回線Aを介して、データセンタ214に送信することを開始する。
以上説明したように、無線通信システム1200では、無線基地局Aの配下にある多重化端末グループAに属する複数の無線端末(UE)1204‐1〜nに、ハンドオーバのトリガが発生した場合には、ハンドオーバ元の無線基地局Aが保持する多重化グループAのグループ構成情報(構成員端末ID、グループID)を、ハンドオーバ先の無線基地局Bに送信するようにしたので、ハンドオーバ元の無線基地局Aにおいて確立されていたグループ通信回線Aをハンドオーバ先の無線基地局Bに引き継ぐことができ、無線端末(UE)1204‐1〜nは、ハンドオーバ先の無線基地局Bにおいて、代表UEとコアネットワークとの間に確立されたグループ通信回線Aを介したデータ通信を継続することができる。
従って、無線通信システム1200では、異なる無線基地局へのハンドオーバが発生した場合であっても、複数の無線端末(UE)において、データを多重化することができるUEの数を増加させ、コアネットワークの間に確立される通信回線の数を削減することができる。
[3−2.無線基地局]
次に、第3実施例に係る無線基地局1202(1222)の構成の詳細について説明する。図14は、第3実施例に係る無線基地局1202(1222)の構成例を示す図である。図12及び図13における無線基地局A(1202)と無線基地局B(1222)は互いに同一の構成を有するものであり、いずれも図14に示した構成を有するものである。
図14に示したように、無線基地局1202(1222)の構成は、図3に示した無線基地局202の構成と、グループ通信制御部222内に制御部302が設けられ、制御部302内に多重化制御部332及び通信制御部334が設けられる代わりに、グループ通信制御部1422内に制御部1402が設けられ、制御1402内に多重化制御部1432及び通信制御部1434が設けられる点で異なるが、それ以外の部分は同様である。図14において同一の符号で示した部分の動作や機能は、図3において説明したとおりであるので、詳細な説明は省略する。
グループ通信制御部1422において、多重化制御部1432は、多重化制御部332と同様の機能を有し、データセンタ214の多重化制御部232が保持するものと同一のグループ構成情報(構成員端末ID、グループID)を保持し、構成員UE1204−1〜n(1222‐1〜p)から送信されるデータの多重化処理を制御する。また、通信制御部1434は、通信制御部334と同様の機能を有し、代表UEとコアネットワークの間にグループ通信回線を確立する。
[3−2−1.ハンドオーバ元の無線基地局である場合の構成]
無線基地局1202(1222)がハンドオーバ元の無線基地局として動作する場合、無線基地局1202(1222)の通信制御部1434はさらに、通信制御部334の機能に加えて、以下の機能を有する。
通信制御部1434はさらに、無線基地局1202(1222)配下の構成員UE1204‐1〜n(1222‐1〜p)に対するハンドオーバのトリガを検出したとき、ハンドオーバ先として、近隣に位置する他の無線基地局を選択する。通信制御部1434は、選択した無線基地局に、多重化制御部1432の内部に保持されているグループ構成情報(構成員端末ID、グループID)を、ネットワーク送信部316を介して送信するとともに、選択した無線基地局に、配下のUEのハンドオーバを要求する。ハンドオーバのトリガは例えば、ネットワーク210に接続された制御装置(不図示)から、無線基地局が動作の停止指示を受信することである。
上述のハンドオーバ先の無線基地局の選択は例えば、通信制御部1434に保持された、近隣に位置する無線基地局の情報が登録されたテーブルNRT(Neighbor Relation Table)を参照し、テーブルNRTに登録されている無線基地局の中から1つの無線基地局をランダムに選択することにより、行われる。また、近隣の無線エリアをカバーする無線基地局のマクロ局が設定されている場合には、ランダムではなく、そのマクロ局を優先して選択するようにしてもよい。
通信制御部1434はさらに、ネットワーク受信部318を介して、選択した無線基地局から、ハンドオーバ要求に対する応答として、ハンドオーバ要求を受け入れる旨の応答を受信したとき、配下の構成員UEに対して、選択した無線基地局へのハンドオーバを指示する。
また、通信制御部1434はさらに、ハンドオーバのトリガが停止指示の受信であったとき、受信した停止指示に基づいて、無線基地局1202(1222)内部の各ブロックを不活性化する処理を行う。通信制御部1434は例えば、停止指示に応答して、予め内部に設定された省電力化制御プロセスを実行することにより、図14に示された無線通信部226、ネットワーク通信部228、グループ通信制御部1422に含まれる各ブロックを不活性化する処理を行い、その動作を停止させる。
尚、各ブロックの不活性化処理は例えば、動作停止対象のブロックに対して動作クロック信号の供給を停止したり、動作停止対象のブロックに対して電力供給を停止したりすることにより、実行することができる。
以上説明したように、無線基地局1202(1222)では、自身の配下にある多重化端末グループに属する複数の無線端末(UE)に、ハンドオーバのトリガが発生した場合には、自身が保持する多重化グループのグループ構成情報(構成員端末ID、グループID)を、ハンドオーバ先の無線基地局に送信するようにしたので、ハンドオーバ先の無線基地局に確立されたグループ通信回線を引き継ぐことができ、ハンドオーバ先の無線基地局に、代表UEとコアネットワークの間に確立されたグループ通信回線を介したデータ通信を引き継ぐことができる。
[3−2−2.ハンドオーバ先の無線基地局である場合の構成]
一方、無線基地局1202(1222)がハンドオーバ先の無線基地局として動作する場合、無線基地局1202(1222)の多重化制御部1432及び通信制御部1434はさらに、多重化制御部332及び通信制御部334の機能に加えて、以下の機能を有する。
通信制御部1434は、ネットワーク受信部318を介して、ハンドオーバ元の無線基地局からハンドオーバ要求を受信したとき、さらに、無線基地局1202(1222)に、受信したハンドオーバ要求を受け入れることが可能な通信リソースが有るか否かを判定する。無線基地局1202(1222)には、すでに他の多重化端末グループに属する構成員UEが接続されている可能性があり、ハンドオーバ要求を受け入れた場合、自身の通信リソースを超えてしまう場合があるためである。通信制御部1434は、判定結果に基づいて、ネットワーク送信部316を介して、ハンドオーバ要求を受け入れるか否かを示す応答を、ハンドオーバ要求の発信元の無線基地局に送信する。
多重化制御部1432はさらに、ハンドオーバ元の無線基地局から、ネットワーク受信部318を介して、ハンドオーバ元の無線基地局の多重化制御部が保持するグループ構成情報(構成員端末ID、グループID)を受信する。多重化制御部1432は、上述の判定の結果、ハンドオーバ要求を受け入れ可能である場合、受信したグループ構成情報を内部に保持する。多重化制御部1432は、ハンドオーバ元の無線基地局から受信した複数の構成員端末IDを、構成員端末判定部304及びデータ分離部310に供給し、ハンドオーバ元の無線基地局から受信したグループIDを、データ多重化部306及び端末グループ判定部308に供給する。
通信制御部1434は、受信されたグループ構成情報に含まれるグループIDに基づいて、ハンドオーバ元の無線基地局において確立されていた代表UEとコアネットワークの間のグループ通信回線について、パスの切り換えを実行する。
多重化制御部1432は、多重化制御部332と同様に、多重化端末グループに属する複数のUE1204‐1〜n(1222‐1〜p)から送信されたデータを、代表UEのデータに多重化する多重化処理を制御する。ネットワーク送信部316は、多重化されたデータを、パスの切り換えが行われたグループ通信回線を介してデータセンタ214に送信する。
ネットワーク受信部318は、データセンタ214から、パスの切り換えが行われたグループ通信回線を介して、多重化されたデータを受信する。多重化制御部1432は、多重化制御部332と同様に、受信した多重化データを、各構成員UEのデータに分離する分離処理を制御する。
以上説明したように、無線基地局1202(1222)では、他の無線基地局から、その配下にある多重化端末グループに属する複数の無線端末(UE)のハンドオーバ要求を受けた場合、ハンドオーバ元の無線基地局から多重化グループのグループ構成情報(構成員端末ID、グループID)を受信するようにしたので、ハンドオーバ元の無線基地局において代表UEとコアネットワークの間に確立されていたグループ通信回線を引き継ぎ、グループ通信回線を介したデータ通信を継続させることができる。
[3−3.多重化処理のシーケンス]
次に、無線通信システム1200において行われる多重化処理のシーケンスについて説明する。
図15は、図12において、配下の多重化端末グループAの構成員UEを無線基地局Bにハンドオーバさせる場合の、多重化処理のシーケンスの例を示す図である。
まず、ステップS1502において、無線基地局Aにおいて、多重化端末グループAに属する複数の構成員UE1204‐1〜nが、確立されたグループ通信回線Aを介して、データセンタ214との間でデータ通信を実施している。このとき、無線基地局Aは、代表UE_Aの端末IDであるグループID_Aによりカプセル化されたデータをゲートウェイ212に送信する。また、無線基地局Aは、ゲートウェイ212から、グループID_Aによりカプセル化されたデータを受信する。
次に、ステップS1504において、無線基地局Aの通信制御部1434は、配下の多重化端末グループAに属する構成員UE1204‐1〜nに対して、ハンドオーバのトリガを検出する。例えば、通信制御部1434は、ネットワーク210に接続された制御装置(不図示)から、無線基地局Aの動作の停止指示を受信する。ハンドオーバのトリガの検出に応答して、通信制御部1434は、ネットワーク送信部316を介して、無線基地局Bに、配下の各構成員UE1204‐1〜nのハンドオーバを要求するハンドオーバ要求信号HO requestを送信する。このとき、ハンドオーバ要求信号HO requestには、構成員UE1204‐1〜nが属する多重化端末グループAのグループ構成情報A(構成員端末ID_A、グループID_A)が含まれる。
次に、ステップS1506において、無線基地局Bの多重化制御部1432及び通信制御部1434は、ネットワーク受信部318を介して、無線基地局Aから、ハンドオーバ要求信号と、多重化端末グループAのグループ構成情報Aを受信する。ハンドオーバ要求信号の受信に応答して、通信制御部1434は、受信したハンドオーバ要求を受け入れることが可能な通信リソースが無線基地局Bに有るか否かを判定する。無線基地局Bには、すでに多重化端末グループBに属する構成員UE1224‐1〜pが接続されていることから、多重化端末グループAの構成員UEのハンドオーバ要求を受け入れた場合、自身の通信リソースを超えてしまう場合があるためである。
通信制御部1434は、上述の判定結果に基づいて、ネットワーク送信部316を介して、無線基地局Aに、受信したハンドオーバ要求に対する応答信号HO responseを送信する。この応答信号HO responseは、ハンドオーバ要求を受け入れるか否かを示すものである。図12及び図15に示した例では、無線基地局Bが、ハンドオーバ要求を受け入れ可能な通信リソースを有するものとする。よって、無線基地局Bは、無線基地局Aからのハンドオーバ要求を受け入れる旨を示す応答信号を送信する。
次に、ステップS1508において、無線基地局Aの通信制御部1434は、ネットワーク受信部318を介して、無線基地局Bから、ハンドオーバ要求を受け入れる旨を示す応答信号を受信すると、ハンドオーバが可能な状態になったことを認識し、配下の多重化端末ブループAに属する各構成員UE1204‐1〜nに対して、無線基地局Bへのハンドオーバを指示するハンドオーバ命令信号HO commandを送信する。
次に、ステップS1510において、多重化端末グループAに属する各構成員UE1204‐1〜nは、無線基地局Aから、無線基地局Bへのハンドオーバを指示するハンドオーバ命令信号を受信すると、受信したハンドオーバ命令信号に基づいて、無線基地局Aから無線基地局Bへのハンドオーバ処理を実行する。各構成員UE1204‐1〜nは、ハンドオーバ処理が完了すると、無線基地局Bに対して、無線基地局Aから無線基地局Bへのハンドオーバ処理が完了した旨を示すハンドオーバ完了通知信号HO completeを送信する。
次に、ステップS1512において、無線基地局Bの通信制御部1434は、多重化端末ブループAに属する各構成員UE1204‐1〜nから、ハンドオーバ処理が完了した旨を示すハンドオーバ完了通知信号を受信する。通信制御部1434は、受信したハンドオーバ完了信号に基づいて、ハンドオーバ処理の完了を認識し、多重化端末ブループAに属する構成員UE1204‐1〜nが無線基地局Bに接続されたことを認識する。
多重化制御部1432は、通信制御部1434がハンドオーバ処理の完了を認識したとき、ステップS1506において受信した多重化端末グループAのグループ構成情報Aに含まれる、グループID_A及び複数の構成員端末ID_Aを内部に設定する。通信制御部1434は、多重化制御部1432によるグループID_Aの設定に基づいて、グループID_Aを端末IDとする、多重化端末グループAの代表UE(代表UE_A)を内部に設定する。通信制御部1434は、設定した代表UE_Aとコアネットワークとの間におけるグループ通信回線Aのパスを切り換える処理を開始する。
次に、ステップS1514において、無線基地局Bの通信制御部1434は、ネットワーク送信部316を介して、MMEに対して、代表UE_Aとコアネットワークとの間のグループ通信回線Aのパスの切り換えを要求するパス切換信号Path switchを送信する。このパス切換信号は、グループ通信回線Aのパスの中継ノードを、無線基地局Aから無線基地局Bに切り替える旨を示す信号である。
次に、ステップS1516において、MMEは、無線基地局Bからパス切換信号を受信すると、受信したパス切換信号に基づいて、ゲートウェイ212に対して、代表UE_Aに対する通信パスの修正を要求する修正要求信号Modify Bearer requestを送信する。
次に、ステップS1518において、ゲートウェイ212は、MMEから修正要求信号を受信すると、受信した通信要求信号に基づいて、代表UE_Aに対する通信パスの修正を許可するか否かを決定し、MMEに、受信した修正要求信号に対する応答信号Responseを送信する。図15に示した例では、ゲートウェイ212は通信パスの修正を許可するものとする。そのため、ゲートウェイ212は、代表UE_Aに対する通信パスを修正する処理を行い、MMEに、通信回線の修正を許可する旨を示す応答信号を送信する。
次に、ステップS1520において、MMEは、ゲートウェイ212から応答信号を受信すると、受信した応答信号に基づいて、無線基地局Bに、受信したパス切換信号に対する応答信号Responseを送信する。この応答信号は、代表UE_Aに対するグループ通信回線Aのパスの中継ノードが、無線基地局Aから無線基地局Bに切り替えられた否かを示すものである。図15に示した例では、ゲートウェイは通信パスの修正を許可しているので、MMEは、無線基地局Bに、代表UE_Aとコアネットワークとの間のグループ通信回線Aのパスの切り替え処理が完了した旨を示す応答信号を送信する。
次に、ステップS1522において、無線基地局Bの通信制御部1434は、MMEから、ネットワーク受信部318を介して、グループ通信回線Aのパスの切り替え処理が完了した旨を示す応答信号を受信する。これにより、通信制御部1434は、代表UE_Aとコアネットワークとの間のグループ通信回線Aのパスの中継ノードを、無線基地局Aから無線基地局Bに切り替える処理が完了したことを認識する。その後、無線基地局Bにおいて、多重化端末グループAに属する複数の構成員UE1204‐1〜nは、パスの切り換えが行われたグループ通信回線Aを介して、データセンタ214との間でデータ通信を再開する。このとき、無線基地局Bは、代表UE_Aの端末IDであるグループID_Aによりカプセル化されたデータをゲートウェイ212に送信する。また、無線基地局Bは、ゲートウェイ212から、グループID_Aによりカプセル化されたデータを受信する。
以上説明したように、無線通信システム1200では、無線基地局Aが配下にある多重化端末グループAに属する複数の無線端末(UE)1204‐1〜nのハンドオーバのトリガを検出した場合には、ハンドオーバ元の無線基地局Aが保持する多重化グループAのグループ構成情報(構成員端末ID、グループID)を、ハンドオーバ先の無線基地局に送信する。これにより、ハンドオーバ先の無線基地局Bは、ハンドオーバ元の無線基地局Aから、代表UE_Aとコアネットワークとの間に確立されたグループ通信回線Aを引き継ぎ、無線端末(UE)1204‐1〜nに対して、グループ通信回線Aを介したデータ通信を継続させることができる。
従って、無線通信システム1200では、異なる無線基地局の間でハンドオーバが発生した場合であっても、複数の無線端末(UE)において、データを多重化することができるUEの数を増加させ、コアネットワークの間に確立される通信回線の数を削減することができる。
[3−4.無線基地局A、Bにおける多重化処理フロー]
次に、無線基地局A、Bのグループ通信制御部において行われる多重化処理フローについて説明する。ここでは、図12において、配下の多重化端末グループAの構成員UEを無線基地局Bにハンドオーバさせる場合に、ハンドオーバ元である無線基地局Aと、ハンドオーバ先である無線基地局Bにおいて行われる多重化処理フローについて説明する。
[3−4‐1.無線基地局Aにおける多重化処理フロー]
図16は、ハンドオーバ元である無線基地局Aのグループ通信制御部において行われる、多重化処理のフローチャートを示す図である。
まず、ステップS1602において、無線基地局Aの通信制御部1434は、無線基地局Aの配下の多重化端末グループAに属する構成員UE1204‐1〜nに対するハンドオーバのトリガを検出する。ハンドオーバのトリガは例えば、ネットワーク210に接続された制御装置(不図示)から、無線基地局Aが動作の停止指示を受信することである。
次に、ステップS1604において、通信制御部1434は事前に、近隣に位置する無線基地局の情報が登録されたテーブルNRT(Neighbor Relation Table)を準備し、内部に保持している。通信制御部1434は例えば、テーブルNRTに登録されている無線基地局の中から1つの無線基地局をランダムに選択することにより、ハンドオーバ先の無線基地局を選択する。図16に示した例では、ハンドオーバ先の無線基地局として、無線基地局Bが選択されるものとする。
次に、ステップS1606において、通信制御部1434は、多重化制御部1432の内部に保持されている、多重化端末グループAのグループ構成情報A(構成員端末ID_A、グループID_A)を、ハンドオーバ先として選択した無線基地局Bに、ネットワーク送信部316を介して送信する。また、同時に、通信制御部1434は、選択した無線基地局Bに、無線基地局Aの配下の多重化端末グループAに属する構成員UE1204‐1〜nのハンドオーバを要求する。
次に、ステップS1608において、通信制御部1434は、ネットワーク受信部318を介して、ハンドオーバ先として選択した無線基地局Bから、ステップS1606において行ったハンドオーバ要求に対する応答を受信する。
次に、ステップS1610において、通信制御部1434は、ステップS1608において受信した応答が、ハンドオーバ要求を受け入れる旨を示すものであるか否かを判定する。ハンドオーバ要求の受け入れを示す応答の場合、処理はステップS1612に進む。ハンドオーバ要求の拒否を示す応答の場合、処理はステップS1614に進む。
次に、ステップS1612において、通信制御部1434は、無線基地局A配下の多重化端末グループAに属する構成員UE1204‐1〜nに対して、選択した無線基地局Bへのハンドオーバを指示する。多重化端末グループAに属する構成員UE1204‐1〜nは、無線基地局Bへのハンドオーバを行うことにより、無線基地局Bにおいて、グループ通信回線Aを介してデータ通信を継続することができる。
また、通信制御部1434は、ハンドオーバのトリガが動作の停止指示の受信であったときは、受信した停止指示に基づいて、無線基地局A内部の各ブロックを不活性化する。
一方、ステップS1614において、通信制御部1434は、無線基地局A配下の多重化端末グループAに属する構成員UE1204‐1〜nに対するハンドオーバの処理を中止する。
以上説明したように、ハンドオーバ元の無線基地局では、配下にある多重化端末グループに属する複数の無線端末(UE)のハンドオーバのトリガを検出した場合には、ハンドオーバ先の無線基地局に、自身が保持する多重化グループAのグループ構成情報(構成員端末ID、グループID)を、ハンドオーバ先の無線基地局に送信するとともに、ハンドオーバを要求するようにしたので、ハンドオーバ先の無線基地局に、代表UE_Aとコアネットワークとの間に確立されたグループ通信回線Aを引き継ぎ、グループ通信回線Aを介したデータ通信を引き継ぐことができる。
[3−4‐2.無線基地局Bにおける多重化処理フロー]
図17は、ハンドオーバ先である無線基地局Bのグループ通信制御部において行われる、多重化処理のフローチャートを示す図である。
まず、ステップS1702において、無線基地局Bの通信制御部1434は、ネットワーク受信部318を介して、ハンドオーバ元である無線基地局Aから、ハンドオーバ要求を受信する。このハンドオーバ要求は、無線基地局Aの配下の多重化端末グループAに属する構成員UE1204‐1〜nを無線基地局Bにハンドオーバさせることを要求するものである。
また、同時に、多重化制御部1432は、ネットワーク受信部318を介して、ハンドオーバ元である無線基地局Aから、その多重化制御部に保持されている、多重化端末グループAのグループ構成情報A(構成員端末ID_A、グループID_A)を受信する。
次に、ステップS1704において、通信制御部1434は、ハンドオーバ先である無線基地局Bに、受信したハンドオーバ要求を受け入れることが可能な通信リソースが有るか否かを判定する。無線基地局Bには、すでに他の多重化端末グループBに属する構成員UE1224‐1〜nが接続されており、ハンドオーバ要求を受け入れた場合、自身の通信リソースを超えてしまう場合があるためである。
次に、ステップS1706において、通信制御部1434は、ステップS1704の判定結果に基づいて、ネットワーク送信部316を介して、ハンドオーバ元の無線基地局Aに、ステップS1702において受信したハンドオーバ要求を受け入れるか否かを示す応答を送信する。
次に、ステップS1708において、通信制御部1434は、ステップS1706において送信した応答が、ハンドオーバ要求を受け入れる旨を示すものであるか否かを判定する。ハンドオーバ要求の受け入れを示す応答の場合、処理はステップS1710に進む。ハンドオーバ要求の拒否を示す応答の場合、処理はステップS1714に進む。
次に、ステップS1710において、多重化制御部1432は、ステップS1702において受信したグループ構成情報Aを内部に設定し、グループ構成情報Aに含まれるグループID_Aを内部に設定する。グループID_Aは、多重化端末グループAに対して割り当てられた、代表UE_Aの端末IDである。これにより、通信制御部1434は、グループID_Aを端末IDとする、多重化端末グループAの代表UE(代表UE_A)を内部に設定する。
次に、ステップS1712において、通信制御部1434は、ステップS1710において設定したグループID_Aに基づいて、ハンドオーバ元の無線基地局Aにおいて確立されていた代表UE_Aとコアネットワークの間のグループ通信回線Aについて、パスの切り換えを実行する。これにより、通信制御部1434は、代表UE_Aとコアネットワークとの間のグループ通信回線Aのパスの中継ノードを、ハンドオーバ元の無線基地局Aから、ハンドオーバ先の無線基地局Bに切り替える。
多重化制御部1432は、代表UE_Aの端末IDであるグループID_Aをデータ多重化部306及び端末グループ判定部308に供給し、多重化端末グループAに属する構成員UEの端末IDである構成員端末ID_Aを構成員端末判定部304及びデータ分離部310に供給する。これにより、多重化制御部1432は、パスの切り換えが行われたグループ通信回線Aを介して、データセンタ214との間でデータ通信を再開させる。
一方、ステップS1714において、通信制御部1434は、ハンドオーバ要求に関する処理を終了する。また、多重化制御部1432は、ステップS1702において受信したグループ構成情報Aを廃棄する。
以上説明したように、ハンドオーバ先の無線基地局では、他の無線基地局からのハンドオーバ要求を許可した場合、ハンドオーバ元の無線基地局から、多重化グループのグループ構成情報(構成員端末ID、グループID)を受信するようにしたので、ハンドオーバ元の無線基地局において代表UEとコアネットワークの間に確立されていたグループ通信回線を引き継ぎ、グループ通信回線を介したデータ通信を継続させることができる。
尚、上述の第3実施例に係る無線基地局及び無線通信システムにおいて、第2実施例に係る無線基地局及び無線通信システムが有する機能を備えるようにしてもよい。例えば、無線基地局1222において、グループ通信制御部1422の多重化制御部1432が、グループ通信制御部822の多重化制御部932と同様に、グループ通信回線の通信品質QoSを評価する機能を備えるようにすることができる。
以上、本発明の例示的な実施形態の無線基地局、及び無線通信システムについて説明したが、本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。各実施例に開示された技術は、相互に矛盾することがない限り、適宜組合せることが可能であるものである。
以上の第1ないし第3実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
コアネットワークを介して、無線エリア内に位置する複数の端末と、ネットワーク上の処理装置との間のデータ通信を行う無線基地局であって、
前記複数の端末からデータを受信する第1受信部と、
グループに割り当てられたグループ識別情報と、前記グループを構成する複数の構成員端末の各々に割り当てられた構成員端末識別情報とを含むグループ構成情報を、前記処理装置と共有し、前記グループ識別情報及び前記構成員端末識別情報に基づいて、前記受信されたデータの多重化を制御する多重化制御部と、
前記構成端末識別情報に基づいて、前記受信されたデータの送信元である端末が前記グループに属する構成員端末であるか否かを判定する端末判定部と、
前記受信された複数の端末からのデータの中で、前記グループに属する構成員端末と判定された端末からのデータを、前記グループ識別情報に基づいて多重化するデータ多重化部と、
前記多重化されたデータを前記コアネットワークに送信する第1送信部と
を有することを特徴とする無線基地局。
(付記2)
前記データ多重化部は、前記多重化に際して、前記グループに属する構成員端末からのデータに前記グループ識別情報を付加することにより、前記グループ識別情報によってカプセル化されたデータを生成し、
前記第1送信部は、前記コアネットワークに、前記多重化されたデータとして、前記カプセル化されたデータを送信することを特徴とする付記1記載の無線基地局。
(付記3)
前記複数の端末と前記コアネットワークの間の通信回線の確立を制御する通信制御部をさらに有し、
前記通信制御部は、前記グループに属するいずれの構成員端末と前記コアネットワークとの間においても通信回線が確立されていないとき、前記グループ識別情報に基づいて、前記コアネットワークとの間に、前記グループに属する前記複数の構成員端末によって共有されるグループ通信回線を確立し、
前記第1送信部は、前記確立されたグループ通信回線を通じて、前記コアネットワークに、前記多重化されたデータを送信することを特徴とする付記1又は2記載の無線基地局。
(付記4)
前記通信制御部は、
前記グループに属する少なくとも1つの構成員端末と前記コアネットワークとの間に通信回線が確立されているとき、前記グループ識別情報に基づいて前記コアネットワークとの間に確立された前記グループ通信回線を、前記グループに属する構成員端末と判定された端末に対して割り当て、
前記第1送信部は、前記割り当てられたグループ通信回線を通じて、前記コアネットワークに、前記多重化されたデータを送信することを特徴とする付記3記載の無線基地局。
(付記5)
前記通信制御部が前記グループ通信回線を確立するときに用いられる前記グループ識別情報及び前記構成員端末識別情報と、前記第1送信部が前記多重化されたデータを送信するときに用いられる前記グループ識別情報及び前記構成員端末識別情報とは、異なる種類の識別情報であることを特徴とする付記3又は4記載の無線基地局。
(付記6)
前記多重化制御部は、前記グループ通信回線の通信品質を評価し、
前記データ多重化部は、前記評価された通信品質が所定の閾値を下回ったとき、前記グループに属する構成員端末と判定された端末からのデータを多重化しないことを特徴とする付記3又は4記載の無線基地局。
(付記7)
前記通信品質は、前記データの多重化の対象となっており、前記グループ通信回線を介してデータが送信されている前記構成員端末の数であり、
前記多重化制御部は、前記構成員端末の数が所定の上限値を超えたとき、前記通信品質が前記所定の閾値を下回ったと判定するることを特徴とする付記6記載の無線基地局。
(付記8)
前記多重化制御部は、前記グループが、他の無線基地局へハンドオーバするとき、前記ハンドオーバ先の無線基地局に、前記グループ識別情報と前記構成端末識別情報を含む前記グループ構成情報を送信することを特徴とする付記1記載の無線基地局。
(付記9)
前記多重化制御部は、他の無線基地局から、前記グループのハンドオーバの要求が受信されたとき、前記他の無線基地局から、前記グループ識別情報と前記構成員端末識別情報を含む前記グループ構成情報を受信し、
前記他の無線基地局から受信された前記グループ構成情報に含まれる前記構成員端末情報を前記端末判定部に供給し、前記他の無線基地局から受信された前記グループ構成情報に含まれる前記グループ識別情報を前記グループ多重化部に供給することを特徴とする付記1記載の無線基地局。
(付記10)
前記複数の端末と前記コアネットワークの間の通信回線の確立を制御する通信制御部をさらに有し、
前記通信制御部は、他の無線基地局から、前記グループのハンドオーバの要求を受信し、さらに、前記他の無線基地局において、前記コアネットワークとの間に、前記複数の構成員端末によって共有されるグループ通信回線が確立されているとき、前記確立されたグループ通信回線のパスの切り換えを行うことを特徴とする付記1記載の無線基地局。
(付記11)
前記コアネットワークから、多重化されたデータを受信する第2受信部と、
前記グループ識別情報に基づいて、前記受信された、多重化されたデータの宛先である端末が前記グループに属する構成員端末であるか否かを判定するグループ判定部と、
前記受信されたデータの宛先である端末が前記グループに属する構成員端末であると判定されたとき、前記受信された、多重化されたデータを、前記構成員端末識別情報に基づいて、前記宛先の構成員端末ごとに分離するデータ分離部と、
前記分離されたデータを前記宛先の構成員端末に送信する第2送信部と
を有することを特徴とする付記1記載の無線基地局。
(付記12)
前記データ分離部は、前記分離に際して、前記多重化されたデータから前記グループ識別情報を削除することにより、デカプセル化されたデータを生成し、
前記第2送信部は、前記宛先の構成員端末に、前記分離されたデータとして、前記デカプセル化されたデータを送信することを特徴とする付記11記載の無線基地局。
(付記13)
ネットワーク上の処理装置との接続を制御するゲートウェイ装置と、
第1無線エリア内に位置する複数の端末と前記ゲートウェイ装置の間のデータ通信を行う第1無線基地局と、
前記複数の端末を第2無線エリア内に含む第2無線基地局と
を含む無線通信システムであって、
前記第1無線基地局は、
前記複数の端末からデータを受信する第1受信部と、
グループに割り当てられたグループ識別情報と、前記グループを構成する複数の構成員端末の各々に割り当てられた構成員端末識別情報とを含むグループ構成情報を、前記処理装置と共有し、前記グループ識別情報及び前記構成員端末識別情報に基づいて、前記受信されたデータの多重化を制御する第1多重化制御部と、
前記構成端末識別情報に基づいて、前記受信されたデータの送信元である端末が前記グループに属する構成員端末であるか否かを判定する第1端末判定部と、
前記受信された複数の端末からのデータの中で、前記グループに属する構成員端末と判定された端末からのデータを、前記グループ識別情報に基づいて多重化する第1データ多重化部と、
前記多重化されたデータを前記ゲートウェイ装置に送信する第1送信部と
を含み、
前記第1無線基地局は、前記グループが前記第1無線基地局から前記第2無線基地局へハンドオーバするとき、前記第2基地局に、前記グループ識別情報と前記構成端末識別情報を含む前記グループ構成情報を送信することを特徴とする無線通信システム。
(付記14)
前記第2無線基地局は、
前記グループが前記第1基地局から前記第2基地局へハンドオーバするとき、前記グループ識別情報と前記構成員端末識別情報とを含む前記グループ構成情報を、前記第1無線基地局から受信し、さらに、
前記複数の端末からデータを受信する第2受信部と、
前記受信されたグループ構成情報に含まれる前記グループ識別情報及び前記構成員端末識別情報を保持し、前記保持されたグループ識別情報及び構成員端末識別情報に基づいて、前記受信されたデータの多重化を制御する第2多重化制御部と、
前記受信された構成端末識別情報に基づいて、前記受信されたデータの送信元である端末が前記グループに属する構成員端末であるか否かを判定する第2端末判定部と、
前記受信された複数の端末からのデータの中で、前記グループに属する構成員端末と判定された端末からのデータを、前記受信されたグループ識別情報に基づいて多重化するデータ多重化部と、
前記多重化されたデータを前記ゲートウェイ装置に送信する第2送信部と
を含むことを特徴とする付記13記載の無線通信システム。