JP5751546B2 - 乳酸菌 - Google Patents

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Description

本発明は、乳酸菌に関し、特に、経口により腸内に達し糖尿病予防の期待できる乳酸菌およびその利用技術に関する。
糖尿病は1型と2型にわかれ、近年では、生活習慣等に起因した2型糖尿病の発症件数を減らすもしくは予防することが社会的にも重要視されている。
糖尿病は、血糖値の調整に関係するインシュリンの分泌機能不全や血糖値上昇の感知機能不全などにより生じる。特に食事後には、デンプンの分解による血液中のグルコース(ブドウ糖)濃度すなわち血糖値が高くなるため、糖尿病患者は、インシュリン投与等が必要となる。
近年では、インシュリン投与とは別のアプローチとして、グルコースの前駆物質であるマルトースの生成量を低減ないし緩和するために、消化酵素であるアミラーゼの活性を阻害するアミラーゼインヒビターが着目されつつある。
また、近年では人体に良い影響を与える微生物またはそれらを含む製品や食品、いわゆるプロバイオティクスが着目されている。たとえば乳酸菌の中には、胃ガンの発生原因の一つであるピロリ菌活動を抑制する効果のある乳酸菌の添加されたヨーグルトなども知られている。
しかしながら、従来知られているアミラーゼインヒビターを産生する微生物のほとんどは放線菌に属している。ここで、放線菌は、抗生物質を産生する場合が多く、取扱いや薬学的な検証に時間がかかるという問題点があった。したがって、放線菌は一般的には食品の利用に向かないという問題点があった。また、放線菌の培養には特殊な装置を必要とし、簡便には培養できないという問題点があった。
また、プロバイオティクスの観点からは、細菌が腸内まで失活しないで到達、定着することが求められるが、この場合には、胃酸や胆汁酸などに耐性があることが求められるところ、放線菌にこれらの特性があるかは必ずしも明らかとなっていない。
特開昭54−163511号公報
すなわち、解決しようとする点は、簡便に培養でき、経口により腸内に達し糖尿病予防を期待できる乳酸菌を得る点である。
請求項1に記載の発明は、16S rDNAがWeissella cibaria、Weissella confusa、またはWeissella kimchiiと99%以上の相同性を有する、カブ由来の乳酸菌であって、動物膵臓由来のアミラーゼに対して阻害活性および耐熱性のある物資を産生し、かつ、胃酸耐性および胆汁酸耐性を有する乳酸菌である。
請求項2に記載の発明は、カブが津田カブであることを特徴とする請求項1に記載の乳酸菌である。
請求項3に記載の発明は、16S rDNAの配列が、配列番号4または配列番号5に記載の配列である請求項1または2に記載の乳酸菌である。
請求項4に記載の発明は、請求項1、2または3に記載の乳酸菌を用いた発酵食品(津田カブ漬けを除く)である。
本発明によれば、新規な乳酸菌であって、簡便に培養でき、経口により腸内に達し糖尿病予防が期待できる技術を得ることができる。
選抜した菌のSEM写真である。 KY5−4株の濁度と阻害活性を測定した結果を表した図である。 KY5−23株の濁度と阻害活性を測定した結果を表した図である。 選抜された乳酸菌KY5−4株を用いたカブ漬けについての生菌数やアミラーゼ阻害活性を測定した結果を示した図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明は、本願発明者が鋭意検討の結果、従来全く知見のなかった、乳酸菌にアミラーゼ阻害活性物質を産生するものがあることを発見したことに基づいて成された発明である。
<至適条件の検討>
まず、津田カブ漬け(島根県特産の蕪の一種である津田カブの漬け物であって、乳酸発酵したものである。)から乳酸菌を単離したあと、BLA(Bacillus licheniformisのアミラーゼ)に対するアミラーゼ阻害活性を示す乳酸菌96株を事前選抜した。選抜方法は培養シャーレを用いてコロニーを採取するなど、定法を用いた。
<至適条件の検討:至適アミラーゼ濃度の決定手法>
次に、本選抜をおこなう前に、至適膵臓アミラーゼ濃度を検討した。ここでは、ブタ由来の膵臓アミラーゼ(シグマアルドリッチ株式会社製:A6255−10MG)を用いた。
添加する希釈膵臓アミラーゼの濃度を以下の3種類とした。
1) 0.5μl/50μl(100倍希釈)
2) 0.1μl/50μl(500倍希釈)
3) 0.05μl/50μl(1,000倍希釈)
マイクロプレートのウェルに50μlのMRS液体培地(関東化学株式会社製:711359−5)、50μlの希釈膵臓アミラーゼ、50μlの1.5%可溶性でんぷん(ナカライテスク株式会社製:32122−75)を入れて、37℃で10分間、30分間、1時間、1.5時間、2時間、5時間、20時間反応させた。
反応後、1M HClを100μl入れて反応を停止させ、ヨウ素溶液(0.12%I+0.4%KI)50μlを加えて染色し、6倍希釈したものを波長595nmの光を照射し吸光度を測定した。
その結果、膵臓アミラーゼを100倍希釈したものの染色度(吸光度)は低く、1,000倍希釈したものの染色度は高かった。希釈の程度が小さい場合は、当然ながらデンプンの分解が速く進むことが吸光度の値からも分かったため、至適膵臓アミラーゼ濃度を1,000倍希釈と仮決めした。
また、反応時間が1時間と1.5時間とでは、染色度に大きな差がみられなかったため、反応時間を1時間に仮決めした。
<至適条件の検討:至適デンプン濃度と至適反応時間の決定手法>
次に、至適デンプン濃度を検討した。添加する希釈膵臓アミラーゼの濃度は、上記予備試験よりさらに希釈して0.005μl/50μl(10,000倍希釈)としたものを用い、可溶性デンプンの濃度は1.5%、0.15%とした2種類を検討することとした。
具体的には、マイクロプレートのウェルに50μlのMRS液体培地、50μlの希釈膵臓アミラーゼ、50μlの可溶性デンプンを入れて、37℃で1時間、1.5時間、2時間、6時間、20.5時間、24時間反応させた。
反応後、1M HClを100μl入れて反応を停止させ、ヨウ素溶液(0.12%I+0.4%KI)50μlを加えて染色し、6倍希釈したものを波長595nmの光を照射して吸光度を測定した。
結果は、反応時間1.5時間と2時間とで染色度に大きな差がみられなかったため、反応時間を2時間と仮決めした。デンプン濃度については、0.15%では全体的に染色度が低く、これは濃度が低すぎたと考えられたため、1.5%を至適デンプン濃度と仮決めした。
また、膵臓アミラーゼ濃度については、先の1000倍希釈の場合と10000倍希釈の場合とで染色度に大きな差がみられなかった。
以上の二つの予備実験から、以降では、膵臓アミラーゼ濃度を10000倍希釈、反応時間2時間、デンプン濃度を1.5%として、実験をおこなうこととした。
<アミラーゼ阻害活性を有する株の選抜>
以上の予備実験から、これまで全く知見のなかったところである、乳酸菌におけるアミラーゼ阻害活性物質の産生能の可能性がみられたので、これを詳しく調べることとした。また、以上の予備実験では、ほ乳類(ブタ)由来の膵臓アミラーゼを用いているので、人体への好影響も期待できる。
選抜は次の方法によった。
マイクロプレートの各ウェルに250μlのMRS液体培地を入れ、事前選抜した96株の乳酸菌を接種して18時間培養したあと、その上清を新しいマイクロプレートのウェルにそれぞれ50μlずつ移した。
また、コントロール用に、同じマイクロプレートの別のウェルに、培養液に代えてpH5.5のMRS液体培地のみを50μl入れたものを2つ作製した。
さらに、残ったマイクロプレートの各ウェルに、蒸留水を150μl入れ、培養液:蒸留水=1:1となるように調製し、波長595nmの光をあて濁度を測定した(この値をIと表記することとする)。
次に、培養液上清を移した新しいウェルに、
・121℃、20分間オートクレーブした50mM Tris−HCl buffer(pH6.9)で混合した1.5%可溶性デンプン溶液50μl
・希釈膵臓アミラーゼ溶液50μl
を添加した。
また、上述のコントロール用のウェルの一方には、
(A)阻害率0%のポジティブコントロールとして、
・121℃、20分間オートクレーブした50mM Tris−HCl buffer(pH6.9)で混合した1.5%可溶性デンプン溶液50μl
・希釈膵臓アミラーゼ溶液50μl
を入れ、他方には、
(B)阻害率100%のネガティブコントロールとして、
・121℃、20分間オートクレーブした50mM Tris−HCl buffer(pH6.9)で混合した1.5%可溶性デンプン溶液50μl
・50mM Tris−HCl buffer(pH6.9)50μl
を入れたものを作製した。
次に、このマイクロプレートを37℃で2時間インキュベーションし、その後、各ウェルに1M
HCl(蒸留水:濃塩酸=10:1)を100μl入れて撹拌し反応を停止させ、ヨウ素溶液(0.12%I+0.4%KI)50μlを加えて染色し、6倍希釈したものを波長595nmの光を照射して吸光度を測定した(この値をIabsと表記することとする)。
なお、染色度と濁度の算出式は、次の通りとした。
染色度=Iabs×6
濁度=I×6
また、阻害活性%の算出は、阻害率0%のポジティブコントロールの染色度と、阻害率100%のネガティブコントロールの染色度との値から、染色度vs阻害活性の検量線を作成し(このとき得られた検量線の式はy=17.526x−41.126(x:阻害活性、y:染色度)であった。)、この式を用いて、各ウェルの染色度から阻害活性%を算出した。
結果を、表1に示す。
表から明らかなように、96株の中で、KY4−82、KY4−159、KY4−162、KY5−4、KY5−23の5株に高いアミラーゼ阻害活性がみられた。
また、代表的な動物性乳酸菌株(L.lactis NBRC100933)と、代表的な植物生乳酸菌株(L.plantarum NBRC15891)について、上記と同様の実験をおこなった結果をそれぞれ表2および表3に示す。
以上の結果から、カブに付着している乳酸菌の中には、驚くべきことに、代表的な乳酸菌にはほとんどみられない、動物由来のアミラーゼに対して阻害活性を有する物質を産生するものがあることが確認できた。
<プロバイオティクスの検討:胆汁酸耐性>
乳酸菌は腸内定着が期待できるため、経口摂取が可能か検討することにした。すなわち、胆汁酸耐性や胃酸耐性の有無を検討した。測定においては、アミラーゼ阻害活性物質の産生能が比較的高い5株(KY4−82、159、162、KY5−4、23)を含めて96株を検討した。
胆汁酸耐性においては、マイクロプレートの各ウェルに、250μlのMRS液体培地を入れてそれぞれ乳酸菌を接種し18時間培養した。この培養液50μlを別のマイクロプレートに移し、蒸留水を250μl入れ、培養液:蒸留水=1:5となるようにし、波長595nmで濁度を測定した。
また、培養液をOD595=0.01となるように、MRS液体培地(pH6.5)と0.3%オックスゲル添加MRS液体培地にそれぞれ接種し、30℃で24時間培養し、波長595nmの光を照射し吸光度を測定した。培養液の濁度(吸光度)比により増殖性(耐性)がわかる。
結果を表4に示す。
なお、胆汁酸の耐性率=(0.3%オックスゲル添加MRS培地のOD)/(MRS液体培地(pH6.5)のOD)×100として表した。
表から明らかなように、KY5シリーズの株は比較的胆汁酸耐性が高く、KY4シリーズの株は比較的胆汁酸耐性が低い乳酸菌であることが分かった。また、アミラーゼ阻害活性の測定結果と胆汁酸耐性の測定結果には、相関性がみられなかった。このことから、アミラーゼ阻害活性物質の産生能が高い株であっても直ちにプロバイオティクスに適しているとはいえないことが確認できた。
<プロバイオティクスの検討:胃酸耐性>
胃酸耐性については、アミラーゼ阻害活性物質産生能が比較的高い乳酸菌5株(KY4−82、159、162、KY5−4、23)の耐性率を測定することとした。マイクロプレートの各ウェルに250μlのMRS液体培地を入れて乳酸菌を接種し18時間培養した。培養液50μlを別のマイクロプレートに移し、蒸留水を250μl入れ培養液:蒸留水=1:5となるようにし、波長595nmの光を照射し濁度を測定した。
また、培養液をOD595=0.01となるように、MRS液体培地(pH6.5)とMRS液体培地(pH3.0)にそれぞれ接種し、30℃で4時間インキュベーションした。培養液を滅菌水で10,000倍希釈し、MRS寒天培地にプレーティングし、30℃で18時間インキュベーションすることで、乳酸菌コロニーを形成させ、コロニー数から胃酸耐性率を算出した。
結果を表5に示す。
胃酸の耐性率=(MRS液体培地(pH3.0)のコロニー数)/(MRS液体培地(pH6.5)のコロニー数)×100として表した。
表から5株総てが胃酸耐性を備えていることが分かった(耐性率は〜数%であるが、これは、ヨーグルト等に用いられる乳酸菌と同レベルであって腸内に失活せずに到達する耐性率である。一般的に胃酸の方が胆汁酸より酸性度が高いが、KY4系は、胃酸耐性があっても意外にも胆汁酸耐性がほとんどみられない。しかしながらKY5−4とKY5−23については、胆汁酸耐性も胃酸耐性も有しており、この点で良好な耐酸性バランスを有しているといえる。
以上から、アミラーゼ阻害活性、胆汁酸耐性、胃酸耐性を考慮し、KY5−4,KY5−23株が有用株の候補と考えられ、この株を中心として適宜他の3株も含めてさらに検討をすることとした。
<乳酸菌の同定>
これまで、カブ漬け由来であり乳酸菌特有の香りがすることから乳酸菌と想定して各種の検討をおこなったが、候補が絞り込まれたことから、乳酸菌の同定作業をおこなった。
まず、選抜した5株につき、走査型電子顕微鏡(SEM)による形態観察をおこなった。図1にSEM写真を示す。図示したように、5株総てが乳酸菌の特徴である桿菌であることが確認できた。
次に、16S rDNA遺伝子解析をおこなって、分子遺伝学的同定をおこなうこととした。PCRにより遺伝子増幅後、アガロース電気泳動により16S rDNA断片の増幅を確認した。増幅DNA断片を鋳型として16S rDNAのシーケンシングを行ったところ、KY4−82は223bp(配列番号1)、KY4−159は224bp(配列番号2)、KY4−162は224bp(配列番号3)、KY5−4は225bp(配列番号4)、KY5−23は224bp(配列番号5)の配列を解読することに成功した。各遺伝子断片の相同性解析を行った結果、KY4−82、159、162はLeuconostoc citreum、Leuconostoc carnosum、またはLeuconostoc kimchiiと99%、KY5−4、23はWeissella cibaria、Weissella confusa、またはWeissella kimchiiと99%相同性を示した。これからも、選抜された菌は乳酸菌であることが確認できた。
<アミラーゼ阻害活性物質の生産時期・培養条件の検討>
次に、KY5−4,KY5−23に対し、アミラーゼ阻害活性物質の産生時期の解析、生産性向上のための培養条件検討をした。
エッペンに1mlのMRS液体培地を入れて上記乳酸菌を接種し、18時間、30℃で培養した培養液を、100μl分取して蒸留水を900μl入れ、培養液:蒸留水=1:9となるようにし、波長595nmで濁度を測定した。別のファルコンチューブにMRS液体培地20ml入れて、OD595=0.01となるように培養液から分取し、30℃と37℃で培養した。
培養開始から、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、34時間後に培養液を1ml分取して10倍希釈し、波長595nmで濁度を測定した。また、別のエッペンに培養液を1ml分取し、15,000rpm、3分間で集菌し、培養液上清を新しいエッペンに入れ、アミラーゼ阻害活性を測定した。
KY5−4とKY5−23の濁度と阻害活性の結果を、それぞれ図2、図3に示す。なお、濁度は、吸光度計による培養液の吸光度であって、実験では適宜、培養液を2つにわけ、1つはヨウ素反応による阻害率を、もう1つはそのまま吸光度を調べて濁度を求める用にしている。図から明らかなように、K5−4については、培養18時間後にアミラーゼ阻害活性物質を多く生産するようになることが確認できた。また、培養34時間程度経過すると、アミラーゼ阻害活性が急増している。一方で、KY5−23は培養してから34時間経ってアミラーゼ阻害活性物質が多く生産されていることが確認できた。KY5−4とKY5−23で比較すると、KY5−4の方がアミラーゼ阻害活性物質を生産しており、KY5−4、23ともに、30℃の方がアミラーゼ阻害活性物質を多く生産していることが分かった。
<アミラーゼ阻害活性物質の熱的安定性>
プロバイオティクスの観点を含めて以上を総合的に判断すると、KY5−4株がもっとも好適な株であるといえる。したがって、次に、KY5−4の産生するアミラーゼ阻害活性物質の熱的安定性を調べることとした。KY5−4株をMRS液体培地にて30℃、14時間培養し、この培養液を15,000rpm、3分間で集菌し、培養液上清をエッペンに500μl分取し、105℃×5分間、121℃×20分間、それぞれの条件でオートクレーブ後、マイクロプレートでアミラーゼ阻害活性を測定した。オートクレーブしていない培養液上清のアミラーゼ阻害活性値を100%として、残存阻害活性を求めた。
測定結果を表6に示す。
表から明らかなように、高温に曝された場合であっても、アミラーゼ阻害活性の大幅な低下はみられず、KY5−4が生産するアミラーゼ阻害活性物質は、熱で変性しにくい特性を有する、すなわち、耐熱性があることが確認できた。したがって、食品に添加しても加熱調理が可能であるといえる。
<アミラーゼ阻害活性物質の保存試験>
次に、アミラーゼ阻害活性物質の保存性を検討した。まずKY5−4株をMRS液体培地にて30℃、18時間培養した。培養液を15,000rpm、3分間で集菌し、培養液上清をエッペンに500μlずつ分注し、37℃、20℃、4℃、−20℃、−80℃で保存した。1週間後と6週間後にそれぞれ50μlずつサンプリングして、アミラーゼ阻害活性(培養液上清のアミラーゼ阻害活性値を100%とした残存阻害活性)を求めた。
測定結果を表7に示す。
阻害活性は、いずれも1週間で大幅に下がったが、1週間と6週間ではわずかに減少しただけであった。アミラーゼ阻害活性物質は、初めの1週間で大きく低下するものの、低下した以降はむしろ安定的に活性が残存しているといえる。
<プロバイオティクスの検討>
KY5−4株はもともとカブ漬けから採取した乳酸菌であるが、実際にこの株を用いてカブを漬け、乳酸菌数とアミラーゼ阻害活性の有無を調べた。
KY5−4株をMRS培地にて培養し、培養液を遠心分離して集菌した。カブは津田カブを用い、水洗い後、カブ重量の1.5%の塩、20%の水を加えた。これに、10CFU/ml程度となるように集菌したKY5−4カブを接種した。
25℃で4日間発酵させ、pH,生菌数、アミラーゼ阻害活性を測定した。
結果を図4に示す。カブにはもともと乳酸菌が付着しているため、発酵前にもわずかながら阻害活性が認められるが、発酵後には顕著なアミラーゼ阻害活性が確認できる。したがって、KY5−4株は、実際に発酵食品への応用が可能であることが確認できた。
以上説明したように、カブから選抜される乳酸菌の中には、高いアミラーゼ阻害活性物質産生能を有するものがあることが確認でき、その物質は熱的安定性、保存安定性も有し、また、乳酸菌自体も、胃酸耐性および胆汁酸耐性を備えることが分かった。したがって、この乳酸菌は腸内定着も期待でき、定着後は、アミラーゼ阻害活性物質を産生し続けるため、飲食により糖尿病予防が期待できる。また、アミラーゼ阻害活性物質自体を単離して食品添加、調理の用途開発の可能性も期待できる。
なお、以上はカブに付着していた乳酸菌を選抜した結果であったが、乳酸菌は、広く野菜表面等に付着しているものであるため、カブのみならず根菜類その他の野菜に同種の乳酸菌が付着していることは大いに予見できるところである。したがって、マイクロプレートを用いたハイスループットスクリーニングにより、適宜選抜・入手可能であるといえる。
本発明によれば、プロバイオティクスへの応用が可能であって、経口により腸内に達し糖尿病予防を期待できる。

Claims (4)

  1. 16S rDNAがWeissella cibaria、Weissella confusa、またはWeissella kimchiiと99%以上の相同性を有する、カブ由来の乳酸菌であって、動物膵臓由来のアミラーゼに対して阻害活性および耐熱性のある物資を産生し、かつ、胃酸耐性および胆汁酸耐性を有する乳酸菌。
  2. カブが津田カブであることを特徴とする請求項1に記載の乳酸菌。
  3. 16S rDNAの配列が、配列番号4または配列番号5に記載の配列である請求項1または2に記載の乳酸菌。
  4. 請求項1、2または3に記載の乳酸菌を用いた発酵食品(津田カブ漬けを除く)。
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