以下、この発明に基づいた実施の形態における電極用パッドについて図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する各実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下に複数の実施の形態が存在する場合、特に記載がある場合を除き、各々の実施の形態の構成を適宜組み合わせることは、当初から予定されている。各図中、同一符号は同一または相当部分を指し、重複する説明は繰返さない場合がある。
以下に示す実施の形態においては、内臓脂肪量のみならず、全身の脂肪量および身体の特定部位別の脂肪量(上肢および下肢それぞれの脂肪量、体幹の脂肪量ならびに腹部における皮下脂肪量等)を測定することが可能に構成された体脂肪測定装置を例示して説明を行なう。すなわち、「体脂肪測定装置」は「内臓脂肪測定装置」を含む。
なお、「腹部」とは、体幹部のうちの胸部を除く部分である。また、「腹部より離れた部位」とは、上腕、前腕、手首および手指からなる上肢と、横隔膜より所定の距離(たとえば略10cm)以上離れた胸部と、肩、首および頭部を含む上体と、大腿、下腿、足首および足指からなる下肢とを含む。また、「体軸」とは、被験者の腹部の横断面に対し略垂直な方向の軸である。また、「腹部前面」とは、被験者の腹部のうち、被験者を正面から観察した場合に視認可能な部分を含む。たとえば、被験者の腹部のうち、被験者のへそおよび背骨を通るとともに被験者の体軸と垂直な軸に沿って、被験者をへそ側から観察した場合に視認可能な部分を含む。また、「腹部背面」とは、被験者の腹部のうち、被験者を後ろから観察した場合に視認可能な部分を含む。たとえば、被験者の腹部のうち、被験者のへそおよび背骨を通るとともに被験者の体軸と垂直な軸に沿って、被験者を背骨側から観察した場合に視認可能な部分を含む。
[体脂肪測定装置]
図1は、本実施の形態における体脂肪測定装置の機能ブロック図である。まず、この図1を参照して、体脂肪測定装置の構成について説明する。
図1を参照して、体脂肪測定装置1は、制御部10と、定電流生成部21と、端子切替部22と、電位差検出部23と、体格情報計測部24と、被験者情報入力部25と、表示部26と、操作部27と、電源部28と、メモリ部29と、複数の電極とを主として備えている。制御部10は、演算処理部11を含む。
体脂肪測定装置1は、複数の電極として、被験者の腹部背面に装着される腹部電極対AP1〜AP4と、被験者の上肢に装着される上肢電極H11,H21と、被験者の下肢に装着される下肢電極F11,F21とを備えている。
制御部10は、たとえばCPU(Central Processor Unit)によって構成され、体脂肪測定装置1の全体的な制御を行なう。具体的には、制御部10は、上述した各種機能ブロックに対して指令を送出したり、得られた情報に基づいて各種の演算処理を行なったりする。このうち各種の演算処理については、制御部10に設けられた演算処理部11によって行なわれる。
腹部電極対AP1〜AP4は、それぞれ体軸方向に被験者の腹部背面の表面に装着される。上肢電極H11,H21は、好適には右手の手首の表面と左手の手首の表面とにそれぞれ装着される。下肢電極F11,F21は、好適には右足の足首の表面と左足の足首の表面とにそれぞれ装着される。腹部電極対AP1〜AP4、上肢電極H11,H21、および下肢電極F11,F21は、それぞれ端子切替部22と電気的に接続されている。
端子切替部22は、たとえば複数のリレー回路によって構成される。端子切替部22は、制御部10から受けた指令に基づいて、上述した複数の電極の中から選択した特定の電極対と定電流生成部21とを電気的に接続するとともに、上述した複数の電極の中から選択した特定の電極対と電位差検出部23とを電気的に接続する。
これにより、端子切替部22によって定電流生成部21と電気的に接続された電極対が定電流印加電極対として機能するようになるとともに、端子切替部22によって電位差検出部23と電気的に接続された電極対が電位差検出電極対として機能するようになる。端子切替部22による電気的な接続は、測定動作中において種々切り替えられる。
定電流生成部21は、制御部10から受けた指令に基づいて定電流を生成し、生成した定電流を端子切替部22に供給する。定電流生成部21は、たとえば、体組成情報を測定するために好適に使用される高周波電流(たとえば、50kHz,500μA)を供給する。これにより、端子切替部22によって定電流生成部21と電気的に接続された電極対、すなわち定電流印加電極対を介して定電流が被験者に印加されることになる。
電位差検出部23は、端子切替部22によって電位差検出部23と電気的に接続された電極対、すなわち電位差検出電極対の電極間における電位差を検出し、検出した電位差を制御部10へ出力する。これにより、定電流が被験者に印加された状態における電位差検出電極対の電極間の電位差が検出されることになる。
体格情報計測部24および被験者情報入力部25は、制御部10の演算処理部11において行なわれる演算処理に利用される被験者情報を得るための部位である。ここで、被験者情報とは、被験者に関する情報を意味し、たとえば年齢、性別および体格情報等の情報のうち、少なくともいずれか1個を含む。また、体格情報とは、被験者の、身体の特定の部位におけるサイズに関する情報、たとえば、ウエスト長(腹部周長)、腹部横幅および腹部厚み等のうちの少なくともいずれか1個を含む情報と、身長および体重等の情報とを含む。体格情報計測部24は、被験者の体格情報を自動計測する部位であり、計測した体格情報を制御部10へ出力する。一方、被験者情報入力部25は、被験者情報を入力するための部位であり、入力された被験者情報を制御部10へ出力する。
なお、図1に示される機能ブロック図においては、体格情報計測部24および被験者情報入力部25の両方が体脂肪測定装置1に設けられた場合を例示しているが、これら体格情報計測部24および被験者情報入力部25は、必ずしも必須の構成ではない。これら体格情報計測部24および/または被験者情報入力部25を設けるか否かについては、制御部10の演算処理部11において行なわれる演算処理に利用される被験者情報の種類に基づいて適宜選択される。また、被験者情報のうち、体格情報については、体格情報計測部24で自動計測を行なうように構成してもよいし、被験者情報入力部25において被験者自らが体格情報を入力する構成としてもよい。
演算処理部11は、インピーダンス算出部12と各種脂肪量算出部13とを含んでいる。インピーダンス算出部12は、定電流生成部21によって生成された定電流の電流値と、電位差検出部23において検出されて制御部10が受けた電位差情報とに基づいて各種インピーダンスを算出する。
各種脂肪量算出部13は、インピーダンス算出部12において得られたインピーダンス情報と、体格情報計測部24および/または被験者情報入力部25から受けた被験者情報とに基づいて各種脂肪量を算出する。各種脂肪量算出部13は、たとえば被験者の全身の体脂肪量を算出する体脂肪量算出部14、被験者の、身体の特定部位別の脂肪量を算出する部位別脂肪量算出部15、被験者の内臓脂肪量を算出する内臓脂肪量算出部16および被験者の腹部における皮下脂肪量を算出する皮下脂肪量算出部17のうちの少なくともいずれか1個を含む。なお、体脂肪量算出部14および皮下脂肪量算出部17は、内臓脂肪量算出部16に含まれる構成であってもよい。
表示部26は、演算処理部11において算出された各種脂肪量の情報を表示する。表示部26としては、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)が利用可能である。なお、表示部26において表示される脂肪量としては、たとえば被験者の全身の体脂肪量、被験者の、身体の特定部位別の脂肪量、内臓脂肪量および腹部における皮下脂肪量等が挙げられる。ここで、脂肪量とは、たとえば脂肪重量、脂肪面積、脂肪体積および脂肪レベル等、脂肪の量を指し示す指標を意味し、特に内臓脂肪量については、内臓脂肪重量のみならず、内臓脂肪面積、内臓脂肪体積および内臓脂肪レベルのうちの少なくともいずれか1個を指す。
操作部27は、体脂肪測定装置1に対して被験者が命令を入力するための部位であり、たとえば被験者が押下可能なキー等によって構成される。
電源部28は、制御部10等に電力を供給するための部位であり、バッテリ等の内部電源および商用電源等の外部電源等が含まれる。
メモリ部29は、体脂肪測定装置1に関する各種のデータおよびプログラムを記憶するための部位であり、たとえば上述した被験者情報、算出された内臓脂肪量、および後述する体脂肪測定処理を実行するための体脂肪測定プログラム等を記憶している。
次に、本実施の形態における体脂肪測定装置1において行なわれる演算処理の一例について説明する。上述したように、本実施の形態における体脂肪測定装置1は、各種脂肪量算出部13において各種の脂肪量が測定可能であるが、以下においては内臓脂肪量を示す指標としての、内臓脂肪面積の算出の際に実施される演算処理を例示する。
図1を参照して、インピーダンス算出部12は、定電流生成部21において生成される電流値と、電位差検出部23において検出される電位差とに基づいて、2種類のインピーダンスを算出する。2種類のインピーダンスの一方は、被験者の腹部における除脂肪量を反映するインピーダンス(以下、インピーダンスをZtとも称する。)である。他方のインピーダンスは、被験者の腹部における皮下脂肪量を反映するインピーダンス(以下、インピーダンスをZsとも称する。)である。
内臓脂肪量算出部16は、算出された2種類のインピーダンスZt,Zsと、被験者の体格情報(ウエスト長)とに基づいて、被験者の内臓脂肪量、たとえば内臓脂肪面積(単位:cm2)を算出する。具体的には、たとえば、2種類のインピーダンスZt,Zsおよび被験者のウエスト長と内臓脂肪面積との関係を表わす以下のような式(1)によって、内臓脂肪面積Svが算出される。
Sv=a×W2−b×(1/Zt)−c×W×Zs−d・・・(1)
(ただし、a,b,c,d:係数、W:ウエスト長)。
また、皮下脂肪量算出部17は、算出されたインピーダンスZsと、被験者の体格情報(ウエスト長)とに基づいて、被験者の皮下脂肪量、たとえば皮下脂肪面積(単位:cm2)を算出する。具体的には、たとえば、インピーダンスZsおよび被験者のウエスト長と皮下脂肪面積との関係を表わす以下のような式(2)によって、皮下脂肪面積Ssが算出される。
Ss=e×W×Zs+f・・・(2)
(ただし、e,f:係数、W:ウエスト長)。
また、被験者の全身の体脂肪量を算出する場合には、体脂肪量算出部14は、算出されたインピーダンスZtと、被験者の体格情報に含まれる1個の情報(たとえば身長)とに基づいて除脂肪量FFM(単位:kg)を算出する。具体的には、たとえば、インピーダンスZtおよび被験者の身長と除脂肪量との関係を表わす以下のような式(3)によって、除脂肪量FFMが算出される。
FFM=i×H2/Zt+j・・・(3)
(ただし、i,j:係数、H:身長)。
上記のような式(1),(2),(3)の各々における係数は、たとえばMRIによる測定結果に基づく回帰式により定められる。また、式(1),(2),(3)の各々における係数は、年齢および/または性別ごとに定められてもよい。
そして、体脂肪量算出部14は、算出されたインピーダンスZtと、被験者情報に含まれる少なくともいずれか1個の情報(たとえば体重)とに基づいて、被験者の体脂肪量、たとえば体脂肪率(%)を算出する。具体的には、たとえば、体脂肪率は、除脂肪量FFMと被験者の体重とに基づいて、以下のような式(4)により算出される。
体脂肪率=(Wt−FFM)/Wt×100・・・(4)
(ただし、Wt:体重)。
図2は、本発明の実施の形態に係る体脂肪測定装置における電極の配置例を示す図である。図2では、上肢電極、下肢電極、腹部電極が配置された状態が示されている。図2は、被験者の背中側から見た電極の配置例である。
図2を参照して、体脂肪測定装置1は、電極ベルト100および手足クリップ400を備える。電極ベルト100は、腹部電極対AP1,AP2,AP3,AP4とベルト材101とが一体的に形成されたものである。腹部電極対AP1は、腹部電極A11およびA21を含む。腹部電極対AP2は、腹部電極A12およびA22を含む。腹部電極対AP3は、腹部電極A13およびA23を含む。腹部電極対AP4は、腹部電極A14およびA24を含む。
腹部電極対AP1,AP2,AP3,AP4は、被験者の腹部背面において体軸方向に配置され、かつ体軸と略垂直な方向に互いに間隔をあけて配置される。たとえば、腹部電極対AP2は、腹部電極対AP1の腹部電極A11,A21を通る軸から所定距離離れて配置される。
腹部電極対AP1,AP2,AP3,AP4の各々の電極間距離は略等しい。たとえば、腹部電極対AP1の腹部電極A11,A21間の距離と腹部電極対AP2の腹部電極A12,A22間の距離とは略等しい。腹部電極対AP1,AP2,AP3,AP4の電極の各々は、対応する他の電極対の電極と体軸に略垂直な方向に整列して配置される。すなわち、腹部電極A11,A12,A13,A14は体軸と略垂直な方向に一列に配置される。腹部電極A21,A22,A23,A24は体軸と略垂直な方向に一列に配置される。
なお、腹部電極対AP1,AP2,AP3,AP4は、体軸方向に一列に配置される構成であってもよい。すなわち、腹部電極対AP2,AP3,AP4は、腹部電極対AP1の腹部電極A11,A21を通る軸上に配置される構成であってもよい。
また、ある腹部電極対が他の腹部電極対を挟む位置に配置される構成であってもよい。たとえば、腹部電極対AP1,AP2が体軸方向に一列に配置され、かつ腹部電極対AP1が腹部電極対AP2を挟む位置に配置される。また、腹部電極対AP3,AP4が体軸方向に一列に配置され、かつ腹部電極対AP3が腹部電極対AP4を挟む位置に配置される構成であってもよい。
手足クリップ400は、それぞれ上肢電極H11,H21、および下肢電極F11,F21を保持し、それぞれ右手の手首の表面、左手の手首の表面、右足の足首の表面、および、左足の足首の表面に装着されている。
定電流生成部21は、端子切替部22によって定電流生成部21と電気的に接続された電極対(以下、電流電極対とも称する)の電極間に電流を流す。
そして、電位差検出部23は、端子切替部22によって電位差検出部23と電気的に接続された電極対(以下、電圧電極対とも称する)の電極間の電位差を検出する。
内臓脂肪量算出部16は、電位差検出部23によって検出された電圧電極対の電極間の電位差に基づいて被験者の内臓脂肪量を算出する。
[体脂肪測定装置の動作]
次に、本実施の形態における体脂肪測定装置が内臓脂肪量を測定する際の動作について説明する。
図3は、本実施の形態における体脂肪測定装置が内臓脂肪量を測定する際の動作手順を定めたフローチャートである。図3のフローチャートに示す処理は、予めプログラムとしてメモリ部29に格納されており、制御部10がこのプログラムを読み出して実行することにより、内臓脂肪測定処理の機能が実現される。
図3を参照して、制御部10は、体格情報(ウエスト長)を含む被験者情報の入力を受け付ける(ステップS2)。ここで受け付けた被験者情報は、たとえばメモリ部29に一時的に保存される。
次に、制御部10は、測定開始の指示があったか否かを判断する(ステップS4)。制御部10は、測定開始の指示があるまで待機する(ステップS4においてNO)。制御部10は、測定開始の指示を検知した場合(ステップS4においてYES)、電極の設定を行なう(ステップS8)。
より具体的には、制御部10は、まずインピーダンスZtの算出処理を行なう。すなわち、制御部10は、たとえば1対の上肢電極H11,下肢電極F11および1対の上肢電極H21,下肢電極F21をそれぞれ電流電極対として選択し、腹部電極対AP1を電圧電極対として選択する。
端子切替部22は、制御部10の制御に基づいて、1対の上肢電極H11,下肢電極F11および1対の上肢電極H21,下肢電極F21を定電流生成部21と電気的に接続し、かつ腹部電極対AP1を電位差検出部23と電気的に接続する(ステップS8)。ここで、端子切替部22は、制御部10の制御に基づいて、選択されていない電極と定電流生成部21および電位差検出部23との電気的接続を切断する。
定電流生成部21は、制御部10の制御に基づいて、上肢から下肢の方向に電流を流す。たとえば、定電流生成部21は、上肢電極H11および上肢電極H21から下肢電極F11および下肢電極F21へ電流を流す(ステップS10)。この場合、端子切替部22は、上肢電極H11と上肢電極H21とを短絡し、かつ下肢電極F11と下肢電極F21とを短絡させる構成であることが好ましい。なお、定電流生成部21および端子切替部22は、上肢電極H11,H21のいずれか1個から下肢電極F11,F21のいずれか1個へ電流を流す構成であってもよい。
この状態において、電位差検出部23は、制御部10の制御に基づいて、腹部電極対AP1の腹部電極A11,A21間の電位差を検出する(ステップS12)。
そして、制御部10は、腹部電極対AP2,AP3,AP4を順番に電圧電極対として選択する。すなわち、端子切替部22は、制御部10の制御に基づいて、腹部電極対AP2,AP3,AP4を順番に電位差検出部23と電気的に接続する(ステップS8)。そして、電位差検出部23は、制御部10の制御に基づいて、腹部電極対AP2,AP3,AP4の、各々の電極間の電位差を順番に検出する(ステップS12)。
インピーダンス算出部12は、すべての電極対の組み合わせに対して電位差の検出が終了した場合、ここでは腹部電極対AP1,AP2,AP3,AP4の各々の電極間における電位差の検出が終了した場合(ステップS13でYES)、定電流生成部21が流した電流値と、電位差検出部23が検出した各電位差とに基づいて、インピーダンスZt1〜Zt4を算出する(ステップS14)。インピーダンス算出部12が算出したインピーダンスZt1〜Zt4の値は、たとえばメモリ部29に一時的に保存される。
次に、制御部10は、インピーダンスZsの算出処理を行なう。すなわち、制御部10は、腹部電極対AP1を電流電極対として選択し、腹部電極対AP2を電圧電極対として選択する。端子切替部22は、制御部10の制御に基づいて、腹部電極対AP1を定電流生成部21と電気的に接続し、かつ腹部電極対AP2を電位差検出部23と電気的に接続する(ステップS16)。ここで、端子切替部22は、制御部10の制御に基づいて、各腹部電極対を選択的に電位差検出部23と電気的に接続し、選択されていない腹部電極対、上肢電極および下肢電極と定電流生成部21および電位差検出部23との電気的接続を切断する。
定電流生成部21は、制御部10の制御に基づいて、腹部電極対AP1の腹部電極A11,A21間に電流を流す(ステップS18)。
この状態において、電位差検出部23は、制御部10の制御に基づいて、腹部電極対AP2の腹部電極A12,A22間の電位差を検出する(ステップS20)。
制御部10は、腹部電極対AP3およびAP4を順番に電圧電極対として選択する。すなわち、端子切替部22は、制御部10の制御に基づいて、腹部電極対AP3およびAP4を順番に電位差検出部23と電気的に接続する(ステップS16)。電位差検出部23は、制御部10の制御に基づいて、腹部電極対AP3およびAP4の、各々の電極間の電位差を順番に検出する(ステップS20)。
次に、制御部10は、腹部電極対AP2を電流電極対として選択し、腹部電極対AP1を電圧電極対として選択する。すなわち、端子切替部22は、制御部10の制御に基づいて、腹部電極対AP2を定電流生成部21と電気的に接続し、かつ腹部電極対AP1を電位差検出部23と電気的に接続する(ステップS16)。
定電流生成部21は、制御部10の制御に基づいて、腹部電極対AP2の腹部電極A12,A22間に電流を流す(ステップS18)。
この状態において、電位差検出部23は、制御部10の制御に基づいて、腹部電極対AP1の腹部電極A11,A21間の電位差を検出する(ステップS20)。
制御部10は、腹部電極対AP3およびAP4を順番に電圧電極対として選択する。すなわち、端子切替部22は、制御部10の制御に基づいて、腹部電極対AP3およびAP4を順番に電位差検出部23と電気的に接続する(ステップS16)。電位差検出部23は、制御部10の制御に基づいて、腹部電極対AP3およびAP4の、各々の電極間の電位差を順番に検出する(ステップS20)。
同様に、制御部10は、腹部電極対AP3およびAP4を順番に電流電極対として選択し、腹部電極対AP3およびAP4の、各々について腹部電極対AP1〜AP4のうちの、電流電極対以外の腹部電極対を順番に電圧電極対として選択し、電圧電極対の電極間の電位差をそれぞれ検出する(ステップS16〜S20)。
インピーダンス算出部12は、すべての電極対の組み合わせに対して電流の印加および電位差の検出が終了した場合(ステップS21でYES)、定電流生成部21が流した電流値と、電位差検出部23が検出した各電位差とに基づいて、インピーダンスZs1〜Zs12を算出する(ステップS22)。インピーダンス算出部12が算出したインピーダンスZs1〜Zs12の値は、たとえばメモリ部29に一時的に保存される。
次に、内臓脂肪量算出部16は、ステップS2で制御部10が受け付けた体格情報(ウエスト長)と、インピーダンスZt1〜Zt4と、インピーダンスZs1〜Zs12とに基づいて内臓脂肪面積Svを算出する(ステップS24)。内臓脂肪面積Svは、上述の式(1)により算出される。なお、本実施の形態のように、体脂肪測定装置1が4個の腹部電極対AP1〜AP4を備える場合には、たとえば、4個のインピーダンスZt1〜Zt4の平均値が式(1)におけるインピーダンスZtに代入され、12個のインピーダンスZs1〜Zs12の平均値が式(1)におけるインピーダンスZsに代入される。
また、皮下脂肪量算出部17は、ステップS2で制御部10が受け付けた体格情報(ウエスト長)と、インピーダンスZs1〜Zs12とに基づいて皮下脂肪面積Ssを算出する(ステップS26)。皮下脂肪面積Ssは、上述の式(2)により算出される。なお、本実施の形態のように、体脂肪測定装置1が4個の腹部電極対AP1〜AP4を備える場合には、たとえば、12個のインピーダンスZs1〜Zs12の平均値が、式(2)におけるインピーダンスZsに代入される。
また、体脂肪量算出部14は、ステップS2で入力された被験者情報(たとえば身長)とインピーダンスZt1〜Zt4とに基づいて、除脂肪量FFMを算出する(ステップS28)。除脂肪量FFMは、上述の式(3)により算出される。なお、本実施の形態のように、体脂肪測定装置1が4個の腹部電極対AP1〜AP4を備える場合には、たとえば、4個のインピーダンスZt1〜Zt4の平均値が、式(3)におけるインピーダンスZtに代入される。
また、体脂肪量算出部14は、ステップS2で入力された被験者情報(体重)とステップS28で算出した除脂肪量FFMとに基づいて、体脂肪率を算出する(ステップS30)。体脂肪率は、上述の式(4)により算出される。
そして、表示部26は、制御部10の制御に基づいて、各測定結果を表示する(ステップS32)。
以上で体脂肪測定装置1は体脂肪測定処理を終了する。なお、インピーダンスZt1〜Zt4の典型的な値は、それぞれ約5Ω程度である。また、インピーダンスZs1〜Zs12の典型的な値は、それぞれ約80Ω程度である。
[電極ベルト100/腹部電極200]
次に、図4および図5を参照して、電極ベルト100について説明する。なお、図4は体脂肪測定装置に用いられる電極ベルト100の構造を示す斜視図、図5は体脂肪測定装置に用いられる電極ベルト100に設けられる腹部電極200の構造を示す斜視図である。
この電極ベルト100は、腹部電極対AP1,AP2,AP3,AP4とベルト材101とが一体的に形成されたものである。ベルト材101には、エラストマ材料が用いられ、被験者の腹部に沿って変形し易いように一部に蛇腹構造が採用されている。
腹部電極対AP1は、腹部電極A11およびA21を含み、腹部電極A11およびA21は、体軸方向に所定の間隙を隔て配置されている。腹部電極対AP2も、腹部電極A12およびA22を含み、腹部電極A12およびA22は、体軸方向に所定の間隙を隔て配置されている。腹部電極対AP3も、腹部電極A13およびA23を含み、腹部電極A13およびA23は、体軸方向に所定の間隙を隔て配置されている。腹部電極対AP4も、腹部電極A14およびA24を含み、腹部電極A14およびA24は、体軸方向に所定の間隙を隔て配置されている。
図5を参照して、腹部電極A11、A21、A12、A22、A13、A23、A14、A24に用いられる腹部電極200の構造を示す。腹部電極200は円筒形状を有し、直径は約23mm程度、ベルト材101からの突高さは約6mm程度である。腹部電極200は、金属製の円筒電極部201を有し、この円筒電極部201の胴回り部には、環状の溝凹部202が設けられている。
[腹部電極用パッド300]
次に、図6および図7を参照して、腹部電極200に対して、着脱可能に設けられる腹部電極用パッド300について説明する。なお、図6は腹部電極用パッド300の構造を示す斜視図、図7は腹部電極用パッド300の構造を示す平面図である。なお、以下の説明で用いるゲルは、親液性溶質のコロイド溶液であって、弾性力を有し流動性が小さい(ゼリー状)物質のゲルを意味している。
この腹部電極用パッド300は、円形の導電性ゲル310と、この導電性ゲル310を腹部電極200に対して電気的に接触可能に保持するとともに、腹部電極200に対して着脱可能に設けられる、一端側が開放した円筒形状のベース部材320とを備えている。ベース部材320には、ポリプロピレン系樹脂材料、ABS樹脂等が用いられる。導電性ゲル310には、アクリル系高分子ゲル、ウレタン系ゲル等が用いられる。
この腹部電極用パッド300は、外径寸法(W1)が約φ26mm、導電性ゲル310を含む高さ(h1)が約7mmである。また、腹部電極用パッド300の表面部分において、導電性ゲル310は、ベース部材320の縁部(B2で示す領域)が露出するようにベース部材320に保持されている。
図6において、導電性ゲル310が設けられる領域(B1で示す領域)は直径が約22mm、露出する縁部(B2で示す領域)の長さは、約2mmである。これにより、腹部電極用パッド300を把持した際に、導電性ゲル310が指先に接触するのを防ぐことができる。
[腹部電極用パッド300の腹部電極200への着脱]
次に、図8から図10を参照して、腹部電極用パッド300の腹部電極200への着脱について説明する。なお、図8は、図7中VIII−VIII線矢視断面図、図9および図10は、腹部電極用パッド300の腹部電極への取付けを示す第1および第2模式図である。
図8に示すように、円筒形状のベース部材320の開放端側には、半径方向の内側に突出する凸部領域323が設けられている。この凸部領域323は、連続する環状形状に設けられても構わないし、不連続に複数箇所に設けられても構わない。
図9に示すように、上方から、腹部電極用パッド300を腹部電極200に装着することで、図10に示すように、ベース部材320の凸部領域323が一旦外側に拡げられるように弾性変形し、その後、凸部領域323が腹部電極200の溝凹部202に係合する。これにより、腹部電極200に腹部電極用パッド300が固定される。この際、腹部電極用パッド300に設けられた導電性ゲル310の下面側が、腹部電極200の上面部分に電気的に導通可能に接触する。腹部電極用パッド300を腹部電極200から取り外す場合には、ベース部材320を指で摘み持ち上げる。
[ベース部材320の詳細構造]
次に、図11から図14を参照して、ベース部材320の詳細構造につい説明する。なお、図11はベース部材320の構造を表面側から示す第1斜視図、図12は図11中XII−XII線矢視断面図、図13はベース部材320の構造を表面側から示す第2斜視図、図14はベース部材320の構造を裏面側から示す斜視図である。
ベース部材320は、一端側が開放した円筒形状体322を有し、ポリプロピレン系樹脂材料、ABS樹脂等が用いられている。導電性ゲル310が保持される円筒形状体322の他端側には、複数の開口部321aが設けられた網状の保持面321を有している。
保持面321に形成される開口部321aは、同心円に設けられた複数の円弧形状の開口形態を有している。開口部321aの半径方向の幅は約2mm、開口部321aの間に位置する保持面321の幅は、約1mmである。このように形成された開口部321aを利用して、保持面321の表面側および裏面側に導電性ゲル310が塗布され、導電性ゲル310は、保持面321においてベース部材320と一体となるように保持されている。
なお、導電性ゲル310が設けられる領域(図12のB1で示す領域)における開口部321aの合計面積は、導電性ゲル310が設けられる領域(図12のB1で示す領域)の全面積の50%以上であると良い。これにより、ベース部材320の保持面321に導電性ゲル310を塗布する際に、開口部からの気泡の逃げが容易になり、導電性ゲル310内への気泡の巻き込みを抑制することが可能となる。その結果、気泡の混入部分で導電性ゲル310の経時変化による痩せが防止され、内臓脂肪測定用装置における測定精度を安定させることができる。
円筒形状体322の開放端側には、半径方向の内側に突出する凸部領域323が3箇所設けられている。この凸部領域323の突出長さ(b)は、約0.5mmである。また、ベース部材320の直径(W1)は、上述したように約φ26mm、ベース部材の高さ(h2)は、約2mmである。
また、凸部領域323が設けられる領域の円筒形状体322の外周面に、スリット322aを合計6箇所設け、このスリット322aに挟まれた領域に半径方向外方に張り出す指掛かり部324が3箇所設けられている。また、上述した凸部領域323は、指掛かり部324が設けられる円筒形状体322の内周面に設けられている。これにより、腹部電極用パッド300を腹部電極200から取り外す場合に、この指掛かり部324により、スリット322aに挟まれた領域を弾性変形させることで凸部領域323が外側に移動し、容易に腹部電極用パッド300を腹部電極200から取り外すことが可能となる。なお、凸部領域323および指掛かり部324の数量は、3つに限定されるものではなく、1箇所、2箇所、または、4箇所以上設けることが可能である。
また、保持面321の裏面側には、複数の突起部321pが設けられている。図15に示すように、突起部321pを設けない場合には、腹部電極用パッド300を腹部電極200に装着した後に、腹部電極用パッド300を腹部電極200側に押さえ付けた場合(図15中矢印F方向)、保持面321から導電性ゲル310が押し出され、導電性ゲル310が崩壊する。
一方、図16に示すように、保持面321の裏面側に突起部321pを設けることで、腹部電極用パッド300を腹部電極200に装着した後に、腹部電極用パッド300が腹部電極200側に押さえ付けられた場合でも(図16中矢印F方向)、突起部321pが腹部電極200の表面に当接し、保持面321の腹部電極200側への移動を抑制する。その結果、保持面321から導電性ゲル310が押し出されることを防止し、導電性ゲル310の崩壊を阻止することが可能となる。
[他の形態を有するベース部材320Aの詳細構造]
次に、図17および図18を参照して、他の形態を有するベース部材320Aの詳細構造につい説明する。なお、図17は、他のベース部材の構造を示す斜視図、図18は、図17中XVIII−XVIII線矢視断面図である。
このベース部材320Aも、一端側が開放した円筒形状体322を有し、ポリプロピレン系樹脂材料、ABS樹脂等が用いられている。導電性ゲル310が保持される円筒形状体322の他端側には、複数の開口部321aが設けられた網状の保持面321を有している。
保持面321に形成される開口部321aは、円形の開口が複数設けられた開口形態を有している。一つの開口部321aの直径は約2mm、開口部321aの間の最短距離は約1mmである。このように形成された開口部321aを利用して、保持面321の表面側および裏面側に導電性ゲル310が塗布され、導電性ゲル310は、保持面321においてベース部材320と一体となるように保持されている。
円筒形状体322の開放端側には、半径方向の内側に突出する凸部領域323が設けられている。この凸部領域323の突出長さ(b)は、約0.5mmである。また、ベース部材320の直径(W1)は、上述したように約φ26mm、ベース部材の高さ(h2)は、約6mmである。
また、円筒形状体322の外周面に、複数のスリット322aを設け、このスリット322aに挟まれた領域に、円周方向に延びる凸状部が複数本形成された指掛かり部324を設けることが好ましい。これにより、腹部電極用パッド300を腹部電極200から取り外す場合に、この指掛かり部324に指を掛けて、容易に腹部電極用パッド300を腹部電極200から取り外すことが可能となる。
なお、このベース部材320Aにおいても導電性ゲル310が設けられる領域(図18のB1で示す領域)における開口部321aの合計面積は、導電性ゲル310が設けられる領域(図18のB1で示す領域)の全面積の50%以上であると良い。これにより、ベース部材320Aの保持面321に導電性ゲル310を塗布する際に、開口部からの気泡の逃げが容易になり、導電性ゲル310内への気泡の巻き込みを抑制することが可能となる。その結果、気泡の混入部分で導電性ゲル310の経時変化による痩せが防止され、内臓脂肪測定用装置における測定精度を安定させることができる。
[他の形態を有する腹部電極用パッド300Bの詳細構造]
次に、図19から図21を参照して、他の形態を有する腹部電極用パッド300Bの詳細構造につい説明する。なお、図19は腹部電極用パッド300Bに用いられる導電性ゲルシート310Aの構造を示す斜視図、図20はベース部材320Bの構造を示す斜視図、図21は腹部電極用パッド300Bの構造を示す断面図である。
この腹部電極用パッド300Bは、導電性ゲルシート310Aと、ベース部材320Bとを備える。図19に示すように、導電性ゲルシート310Aは、円形状の不織布等の繊維部材を用いたシート状部材311の両面に、円形形状に導電性ゲル310が塗布されされている。シート状部材311の周縁部は、導電性ゲル310から露出している。
ベース部材320Bは、両端が開放した円筒形状体322と、開口部321aを有する環状のキャップ321Cとを有し、円筒形状体322とキャップ321Cとは、弾性変形可能な連結片325により連結されている。円筒形状体322、キャップ321C、および連結片325は、いずれもポリプロピレン系樹脂材料、ABS樹脂等により一体成形されている。
キャップ321Cには、軸方向に突出する係合片321bが三箇所設けられている。また、円筒形状体322には、この係合片321bが着脱可能に係号する係合凹部322cが、係合片321bに対応する位置に設けられている。また、円筒形状体322の内周面の、キャップ321Cが設けられる側とは反対側には、半径方向の内側に突出する凸部領域323が設けられている。
導電性ゲルシート310Aは、その露出したシート状部材311の周縁部が、円筒形状体322の上端部322tとキャップ321Cに設けられた鍔部321tとの間に挟みこまれることで、ベース部材320Bに保持される(図21参照)。
腹部電極用パッド300Bの外観寸法は、上記した腹部電極用パッド300と同様であり、凸部領域323の突出長さ(b)は約0.5mm、ベース部材320Bの直径(W1)は約φ26mm、ベース部材の高さ(h2)は6mm、腹部電極用パッド300Bの高さ(h1)は7mmである。
このように、導電性ゲルシート310Aを用いることで、導電性ゲルシート310Aを使用後に廃棄して、ベース部材320Bを再利用することが可能となる。
なお、この導電性ゲルシート310Aのシート状部材311に網目の大きい繊維を用い、目の開口部の合計面積が、少なくともシート状部材311に導電性ゲル310が設けられる領域(図21のB1で示す領域)の全面積の50%以上であると良い。これにより、シート状部材311に導電性ゲル310を塗布する際に、網目からの気泡の逃げが容易になり、導電性ゲル310内への気泡の巻き込みを抑制することが可能となる。その結果、気泡の混入部分で導電性ゲル310の経時変化による痩せが防止され、内臓脂肪測定用装置における測定精度を安定させることができる。
(作用・効果)
以上、本実施の形態における腹部電極用パッド300,300Bによれば、導電性ゲル310が、ベース部材320,320Bに予め保持されていることから、腹部電極用パッド300,300Bを腹部電極200に装着することのみで、腹部電極200に対して、容易に導電性ゲル310の塗布が可能となる。
また、導電性ゲル310の塗布位置および量は一定であることから、被験者に付着した導電性ゲル310の拭き取り作業も容易となる。同様に、腹部電極200に付着した導電性ゲル310の拭き取り作業も容易となる。
また、被験者に付着する導電性ゲル310の塗布位置および量が一定であることから、接触抵抗低減の安定性および電極間距離の一定性を確保することができる。これにより、本実施の形態において説明した、体脂肪測定装置の各電極に腹部電極用パッド300を用いることで、体脂肪測定装置における測定結果の信頼性を向上させることも可能となる。
[手足クリップ400/上肢・下肢電極404]
次に、図22を参照して、手足クリップ400について説明する。なお、図22は手足クリップ400の構造を示す図である。
図22を参照して、手足クリップ400は、第1挟持クリップ401と第2挟持クリップ402と有している。第1挟持クリップ401および第2挟持クリップ402は、対称となる緩いS字形状を有している。第1挟持クリップ401および第2挟持クリップ402は、弾性クリップ403により図中の矢印S方向に開閉可能に連結されている。
第2挟持クリップ402の第1挟持クリップ401に対向する湾曲部分には、上肢電極H11,H21、または下肢電極F11,F21として機能する、ステンレス製の薄板状の上肢・下肢電極404が取り付けられている。
[上肢・下肢電極用パッド500]
次に、図23から図25を参照して、上肢・下肢電極用パッド500について説明する。なお、図23は上肢・下肢電極用パッド500の構造を示す斜視図、図24は、図23中XXIV−XXIV線矢視断面図、図25は図23中XXV−XXV線矢視断面図である。
図23から図25を参照して、この上肢・下肢電極用パッド500は、長方形の導電性ゲル510と、この導電性ゲル510を腹部電極200に対して電気的に接触可能に保持するとともに、上肢・下肢電極404に対して着脱可能に設けられる、略矩形形状のベース部材520とを備えている。ベース部材520には、ポリプロピレン系樹脂材料、ABS樹脂等が用いられる。導電性ゲル510には、アクリル系高分子ゲル、ウレタン系ゲル等が用いられる。
この上肢・下肢電極用パッド500は、最大長さ(W21)が約77mm、最大幅(W22)が約38mm、導電性ゲル510を含む高さ(h21)が約9mmである。また、上肢・下肢電極用パッド500の表面部分において、導電性ゲル510は、ベース部材520の縁部(B21,B22で示す領域)が露出するようにベース部材520に保持されている。
図23において、導電性ゲル510が設けられる領域(B11,B12で示す領域)はB11が約73mm、B21が約30mm、露出する縁部(B21,B22で示す領域)は、B21およびB22ともに、約2mmである。これにより、上肢・下肢電極用パッド500を把持した際に、導電性ゲル510が指先に接触するのを防ぐことができる。
ベース部材520の四隅には、係合領域522が設けられている。この係合領域522は、ベース部材520から垂下する腕部522aと、腕部522aからベース部材520に対して平行に内側に延びる係合片522bとを有する。
[上肢・下肢電極用パッド500の上肢・下肢電極404への着脱]
次に、図26および図27を参照して、上肢・下肢電極用パッド500の上肢・下肢電極404への着脱について説明する。なお、図26は上肢・下肢電極用パッドの上肢・下肢電極への取付け状態を示す斜視図、図27は、図26中XXVII−XXVII線矢視断面図である。
図26および図27に示すように、上肢・下肢電極用パッド500のベース部材520に設けられた係合領域522を利用して、上肢・下肢電極404および第2挟持クリップ402を抱き込むようにして、上肢・下肢電極用パッド500を上肢・下肢電極404に装着する。
これにより、上肢・下肢電極用パッド500に設けられた導電性ゲル510の下面側が、上肢・下肢電極404の上面部分に電気的に導通可能に接触する。上肢・下肢電極用パッド500を上肢・下肢電極404から取り外す場合には、ベース部材520を指で摘み引き離す。
[ベース部材520の詳細構造]
次に、図28および図29を参照して、ベース部材520の詳細構造につい説明する。なお、図28は、ベース部材520の構造を示す斜視図、図29は、ベース部材520の他の構造を示す斜視図である。
図28を参照して、ベース部材520は、全体として略矩形形状を有し、ポリプロピレン系樹脂材料、ABS樹脂等が用いられている。導電性ゲル510が保持される保持面521には、マトリクス状に矩形形状の複数の開口部521aが設けられ、網状の形態を呈している。
保持面521に形成される開口部521aは、一辺が約3mm〜5mm程度の矩形開口であり、開口部521a同士の間隔は、約1mm〜2mmである。このように形成された開口部521aを利用して、保持面521の表面側および裏面側に導電性ゲル510が塗布され、導電性ゲル510は、保持面521においてベース部材520と一体となるように保持されている。
保持面521の四隅には、上記した腕部522aと係合片522bとを有する係合領域522が設けられている。
なお、図29に示すように、係合領域522に外方に張り出す指掛かり部523を設けることが好ましい。これにより、上肢・下肢電極用パッド500を上肢・下肢電極404から取り外す場合に、この指掛かり部523により、係合領域522を弾性変形させて、容易に上肢・下肢電極用パッド500を上肢・下肢電極404から取り外すことが可能となる。
なお、導電性ゲル510が設けられる領域(図23のB11,B21で示す領域)における開口部521aの合計面積は、導電性ゲル510が設けられる領域(図23のB11,B21で示す領域)の全面積の50%以上であると良い。これにより、保持面521に導電性ゲル510を塗布する際に、開口部からの気泡の逃げが容易になり、導電性ゲル510内への気泡の巻き込みを抑制することが可能となる。その結果、気泡の混入部分で導電性ゲル510の経時変化による痩せが防止され、内臓脂肪測定用装置における測定精度を安定させることができる。
[他の形態を有するベース部材520Aの詳細構造]
次に、図30を参照して、他の形態を有するベース部材520Aの詳細構造につい説明する。なお、図30は、他のベース部材の構造を示す斜視図である。
このベース部材520Aは、上記ベース部材520に設けられた開口部521aより開口面積が大きい開口部521aを有し、また、係合領域522が、保持面521の中央部に設けられた補強部521bの両端部に2箇所設けられている。この構成によっても、ベース部材520Aに設けられた係合領域522を利用して、上肢・下肢電極404および第2挟持クリップ402を抱き込むようにして、上肢・下肢電極用パッド500を上肢・下肢電極404に装着することができる。
なお、このベース部材520Aにおいても、導電性ゲル510が設けられる領域(図23のB11,B21で示す領域に相当)における開口部521aの合計面積は、導電性ゲル510が設けられる領域(図23のB11,B21で示す領域に相当)の全面積の50%以上であると良い。これにより、保持面521に導電性ゲル510を塗布する際に、開口部からの気泡の逃げが容易になり、導電性ゲル510内への気泡の巻き込みを抑制することが可能となる。その結果、気泡の混入部分で導電性ゲル510の経時変化による痩せが防止され、内臓脂肪測定用装置における測定精度を安定させることができる。
[他の形態を有するベース部材520Bの詳細構造]
次に、図31および図32を参照して、他の形態を有するベース部材520Bの詳細構造につい説明する。なお、図31は、ベース部材520Bのさらに他の構造を示す斜視図、図32は、ベース部材520Bの第2挟持クリップ402への取付け構造を示す断面図である。
図31を参照して、このベース部材520Bの基本的構造は、上記したベース部材520と同じであり、相違点は、係合領域522の構造にある。このベース部材520Bにおける係合領域522は、保持面521と同一平面となるように成形され、保持面521との連結部に、脆弱領域を構成する薄肉部522yが筋状に設けられている。また、係合領域522には、係合穴522xが設けられている。
図32を参照して、ベース部材520Bの第2挟持クリップ402への取付け構造について説明する。第2挟持クリップ402の側面には予め、係合領域522に設けられた係合穴522xが係合するための係合突起405が設けられている。ベース部材520Bに設けられた導電性ゲル510を上肢・下肢電極404に当接させた状態で、係合領域522を薄肉部522yに沿って折り曲げ、係合穴522xを係合突起405に係合させる。四隅の係合領域522の係合穴522xを係合突起405に係合させることにより、ベース部材520Bの第2挟持クリップ402への装着が完了する。
このように、ベース部材520Bを、係合領域522を含め平面状に成形することで、ベース部材520Bの生産性を向上させることができる。また、上肢・下肢電極用パッド500の収容のために、上肢・下肢電極用パッド500をパック包装した場合に、ベース部材520Bに凹凸が少ないため、気密性の高いパック方包装を行なうことができる。また、係合領域522に設けられる係合穴522xを調節することで、導電性ゲル510を上肢・下肢電極404に対して圧着させることができる。
なお、上述したベース部材520,520A,520Bの保持面521に、図33および図34に示すような溝521cを設けると良い。溝521cの断面形状は、図34に示すU字溝だけでなく、V字溝でも良い。このように、保持面521の長手方向に対して直交する方向(短手方向)に溝521cを設けることで、上肢・下肢電極用パッド500を上肢・下肢電極404に装着した際に、第2挟持クリップ402の湾曲形状に沿うように曲がり易くなり、上肢・下肢電極404への導電性ゲル510の接触をより良好にすることができる。
なお、このベース部材520Bにおいても、導電性ゲル510が設けられる領域(図23のB11,B21で示す領域に相当)における開口部521aの合計面積は、導電性ゲル510が設けられる領域(図23のB11,B21で示す領域に相当)の全面積の50%以上であると良い。これにより、保持面521に導電性ゲル510を塗布する際に、開口部からの気泡の逃げが容易になり、導電性ゲル510内への気泡の巻き込みを抑制することが可能となる。その結果、気泡の混入部分で導電性ゲル510の経時変化による痩せが防止され、内臓脂肪測定用装置における測定精度を安定させることができる。
[他の形態を有するベース部材520Cの詳細構造]
次に、図35を参照して、他の形態を有するベース部材520Cの詳細構造につい説明する。なお、図35は、ベース部材520Cのさらに他の構造を示す斜視図である。
図35を参照して、このベース部材520Cの基本的構造は、上記したベース部材520と同じであり、相違点は、開口部521aの形状、配置、および係合領域522の構造にある。
保持面521において、開口部521aは、三角形状を有し、図示における上下方向において、隣接配置される三角形の斜辺が相互に平行となるように配置され、網状の形態を呈している。また、保持面521には、図14において説明した突起部321pと同様の、複数の突起部521pが設けられている。また、保持面521には、導電性ゲル510が設けられる領域(図35のB11,B21で示す領域)を規定するように、一対の筋状の凸部壁521xが設けられている。
このベース部材520Cにおける係合領域522は、保持面521に対して段差部522dおよび脆弱領域を構成する薄肉部522yを挟んで連結されている。係合領域522には、係合穴522xが設けられている。
また、保持面521の係合領域522が連結される領域(図35のB11で示す領域の外側の領域)には、ベース部材520C全体としての剛性を高めるため、導電性ゲル510が設けられる領域の保持面521の厚さよりも厚さが厚くなる厚肉部522zが設けられている。
なお、このベース部材520Cの第2挟持クリップ402への取付け構造については、図32に説明したベース部材520Bと同様である。
また、このベース部材520Cにおいても、導電性ゲル510が設けられる領域(図35のB11,B21で示す領域に相当)における開口部521aの合計面積は、導電性ゲル510が設けられる領域(図35のB11,B21で示す領域に相当)の全面積の50%以上であると良い。これにより、保持面521に導電性ゲル510を塗布する際に、開口部からの気泡の逃げが容易になり、導電性ゲル510内への気泡の巻き込みを抑制することが可能となる。その結果、気泡の混入部分で導電性ゲル510の経時変化による痩せが防止され、内臓脂肪測定用装置における測定精度を安定させることができる。
ここで、図36および図37を参照して、保持面521への導電性ゲル510の塗布について説明する。図36は、ベース部材520,520A,520Bに採用された開口部521aのパターンを示している。
この開口部パターンの場合、開口部521aから導入される導電性ゲル510の流れは、図中の矢印G1のようになると考えられる。その結果、保持面521の開口部521aの角部に囲まれた領域(開口部端部から等しい距離の領域)において、気泡の逃げ場がなくなり、導電性ゲル510内への気泡の巻き込みが発生し、導電性ゲル510内に比較的大きな気泡Baが残存する可能性がある。
一方、図37は、ベース部材520Cに採用された開口部521aのパターンを示している。開口部521aは、三角形状を有し、図示における上下方向において、隣接配置される三角形の斜辺が相互に平行となるように配置されている。その結果、図36に示す開口パターンと異なり、開口部端部から等しい距離の領域が少なくなり、気泡の逃げ場をより多く形成することができる。その結果、導電性ゲル510内への気泡の巻き込みがよくされ、導電性ゲル510内への気泡の残存を抑制することができる。
(作用・効果)
以上、本実施の形態における上肢・下肢電極用パッド500によれば、導電性ゲル510が、ベース部材520に予め保持されていることから、上肢・下肢電極用パッド500を上肢・下肢電極404に装着することのみで、上肢・下肢電極404に対して、容易に導電性ゲル510の塗布が可能となる。
また、導電性ゲル510の塗布位置および量は一定であることから、被験者に付着した導電性ゲル510の拭き取り作業も容易となる。同様に、上肢・下肢電極404に付着した導電性ゲル510の拭き取り作業も容易となる。
また、被験者に付着する導電性ゲル510の塗布位置および量が一定であることから、接触抵抗低減の安定性および電極間距離の一定性を確保することができる。これにより、本実施の形態において説明した、体脂肪測定装置の各電極に上肢・下肢電極用パッド500を用いることで、体脂肪測定装置における測定結果の信頼性を向上させることも可能となる。
なお、上記実施の形態では、体脂肪測定装置に用いられる電極に装着される電極用パッドについて説明しているが、本電極用パッドは、体脂肪測定装置に用いられる電極に限定されるものではない。たとえば、心電図、筋電図、低周波マッサージャー、EMS(Electro Muscle Stimulation)、脳波形測定装置等に用いられる電極に対して、本発明に基づく電極用パッドを適用することが可能である。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。