JP5733584B2 - 微粒子含有量の低いマンニトール結晶粉末ならびに、その製造方法 - Google Patents

微粒子含有量の低いマンニトール結晶粉末ならびに、その製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、微粒子の乏しいマンニトール結晶で形成される粉状組成物に関する。また、本発明は、このような粉状マンニトール組成物を製造するための方法に関する。
一般にマンニトールとして知られる1,2,3,4,5,6−ヘキサンヘキソール(C14)は、藻類などの植物からの抽出によって、あるいは、マンノースまたはフルクトースの触媒還元といった合成によって得られるポリオールである。マンノースが化学量論的収率で還元されてマンニトールになるに対し、フルクトースの触媒還元では、マンニトールの生成が可能になるとはいえ、収率は非化学量論的である。これは、フルクトースの還元が立体特異的ではなく、同量のソルビトールが生成されるためである。
マンニトールは、化学的に安定し、吸湿性が実質的にゼロであり、カロリー値が低く、スクロースよりもグリセミックインデックスが低い一方で、好都合なことに、溶解性が高い上に口内で甘さと清涼味を呈することから、大きな関心を集めている。さらに、マンニトールには、齲蝕誘発性ではないという顕著な特徴がある。これは製薬業界または食品業界、特に菓子分野、ことさらチューインガムにおいて好都合である。このためマンニトールは、配合物に含まれる他の成分が発酵性糖にならないかぎり、非齲蝕誘発性の菓子の製造を可能にするものである。
従来技術に、チューインガムの製造方法に結晶マンニトールを用いることが説明されており、こうした方法には通常、5つのステップが含まれる(Formulation and Production of Chewing and Bubble Gum、Douglas Fritz編、Kennedy’s Publications Ltd、London, UK)。第1のステップでは、2枚のZ型ブレードを有するニーダーを用いてさまざまな化合物が混合される。稼働サイクル全体で15〜20分を要し、成分を少しずつニーダーに加えていく。ガムベースを延ばしやすくするために、これを混合前と混合時に加熱する。混練の最後の時点で、ペーストの温度は約50℃である。チューインガムの成分は、2つの主な群すなわち、水に不溶で、このため唾液にも不溶である主にガムベースなどの要素と、チューインガムにその香味を与える特に甘味料などの水溶性の要素とに分けられる。この混合ステップは、使用する装置次第で幅の異なるチューインガムの板状生地を得るために、高温押出の第2のステップに続く。得られる板状生地を薄くするために、圧延ステップが設けられる。このステップの途中で、板状生地が、次第に間隔が狭くなる複数対のローラの間を順に通過する。圧延ステップには最後の成型/裁断ステップが続くが、これは包装前に得られる板状生地を裁断または仮裁断しつつ成型する単純なステップであってもよい。ここで、高温押出ステップの後、ガムの板状生地は非常に粘着性が高い。事実、これが圧延時に破壊されたりその完全性を失ったりしないようにするために、従来は押出ステップと圧延ステップとの間に板状生地の両面に対する粉掛けのステップが実施される。粉掛け用粉末には多数の作用剤が用いられる。このため、タルク、炭酸カルシウム、リン酸三カルシウム、シリカまたはシリケートなどの流動性向上剤または凝固防止剤が用いられることもある。これらの無機作用剤はいずれも、得られるチューインガムの官能特性を損ないかねないものである。実際、これらの作用剤は不溶性で香味がしないか、口中で不快感を生むことすらある。
さらに、粉掛けに最も広く用いられている粉末はタルクである。ここで、タルクには、化学的な性質がこれと極めて類似しているが非常に有毒な生成物であるアスベストが混入する可能性がある。このため、汚染されたタルクが、経口経路で吸収された後に生じる消化管のものであるか、呼吸経路での吸収時、特にその取り扱い時における肺組織のものであるかを問わず、悪性腫瘍の発生プロセスに関与している可能性がある。このため、タルクの取り扱いは規制の対象となり、製造者には呼吸器保護のための装備が義務づけられている。
チューインガムの調製時に取り込まれるタルクの量を減らすために、普通は特にマンニトールなどの非吸湿性のポリオールで形成された粉末を使用する。通常、それ自体の粒度が極めて細かい(粒度40μm未満、平均直径10μm未満の粉末)タルクの代用とし、なおかつチューインガムを味わう際に舌で知覚されるのを防ぐために、ポリオール粉末も粒度が極めて細かい。
しかしながら、タルクをこれらの粉末で完全に置き換えることは推奨されない。これらの粉末は、流動性が極めて低く、粉掛けに適さなくなってしまうためである。一部を置き換える場合、流動性が良好なタルクによって混合物の流動性が達成される。その流動性は依然としてやや劣るが、チューインガムの板状生地の粉掛けを可能にするには十分である。ここで、タルクを部分的に置き換える場合でも、粉末混合物の流動性の低下は、チューインガムの板状生地に大量の粉末を堆積させて実際に相当な無駄を生じ、得られるチューインガムの品質を損ない、あるいは装置を調節するための条件の変更を強いるようなものである。
さらに、これらの粉末は粒度が小さいため空中に浮遊するダストの生成量が増し、取扱者にとってタルクにアスベストが混在することに伴う危険が増すことになる。
最後に、包装容器内で粒度の細かいポリオール粉末のケーキング現象が観察される。事実、保管時または搬送時に塊になるという点で、これらの粉末は不安定である。得られる塊は、極めて大きな力を加えないかぎり崩せないものである。
食品に凝固防止剤を用いると、これが有毒または危険だとみなされる場合があるため規制上の制約を生じるが、それでもこの解決策が考慮されていた。しかしながら、吸湿性ポリオールの粉末であれば塊の減少が認められるのに対し、わずかに吸湿性であるだけか非吸湿性のポリオール粉末では、似たような挙動の変化は観察されない。結果として、これらの凝固防止剤は、マンニトールの場合と同様にいくつかの粉末に対してのみ効果を有し、他の粉末には効果がない。
また、最新技術では、粉状マンニトール組成物の特性を改善するために、マンニトールの結晶化後に追加の微粉化ステップまたは造粒ステップを実施している。実際は、これらの方法には比較的費用がかかることがわかっている。
保管および搬送時に安定し、良好な流量特性を有し、チューインガムを製造する方法での使用時に特に都合がよい粉末を得るために、本発明は、(i)溶媒、好ましくは水からのマンニトールの結晶化と、続いて(ii)得られた結晶の懸濁液から結晶を分離するステップ、(iii)結晶を乾燥させるステップ、(iv)選別するステップとによって得られるマンニトール結晶で形成される粉状組成物であって、レーザー粒度分析によって求めた体積粒度分布が、
−72〜99.9%、好ましくは75〜99%、一層好ましくは80〜98%、なお一層好ましくは85〜97%の粒子が粒度75μmを超え、
−0.1〜60%、好ましくは1〜55%、一層好ましくは2〜40%、なお一層好ましくは3〜35%の粒子が250μmを超えるものであり、
−平均直径が100〜300μm、好ましくは120〜270μm、一層好ましくは150〜250μm、なお一層好ましくは170〜230μmである、前記組成物に関する。
本発明の意味の範囲内で、「マンニトール結晶で形成される粉状組成物」または「マンニトール結晶で形成される粉末」とは、マンニトールの純粋な溶液または純粋ではない溶液すなわち、乾燥物質に対して20〜100%のマンニトールを含む溶液の結晶化によって得られる生成物を意味するものと理解される。たとえば、欧州特許第0 202 168号明細書について言及されよう。
このような方法には、大部分が個々の結晶から形成される組成物を得られるようにするという顕著な特徴がある。「大部分が」とは、個々の結晶の50%を超え、好ましくは個々の結晶の60〜100%、特に70〜99.9%、一層好ましくは80〜98%を意味するものと理解される。「個々の」という表現を用いるのは、単位の概念、凝集体との対比で、結晶の凝結体または圧縮塊を意味するものと理解される。
本発明の意味の範囲内で、「結晶」は、結晶化すなわち、物質を液体、溶媒和(溶媒に溶解させた)状態または気体状態から固体状態に変化させることによって直接的に得られる、周期構造を有する多面体を意味するものと理解される。
このため、結晶組成物の造粒によって得られるマンニトール粉末は、この粉末の結晶が凝集されたものであるという点で本発明の意味の範囲内に含まれるマンニトール結晶で形成される粉末をなさない。当業者であれば、結晶の凝集体に言及する。同様に、マンニトールシロップを噴霧して得られる粉末も、本発明の意味の範囲に含まれるマンニトール結晶で形成される組成物をなさない。この粉末が、非晶質相を伴うまたは伴わずに、塊として集合した微結晶からなるスポンジ構造を有する球体で構成され、各々の球体が微粒化時に噴霧されるシロップ滴を乾燥させて得られるためである。当業者であれば、atomisateに言及する。最後に、本発明による結晶で形成される組成物は、得られる粒子が互いに塊になった微結晶で形成されるという点で、溶融によって得られる圧縮塊とは区別される。これらの組成物(凝集体、atomisate、圧縮塊)は、本発明による組成物とは構造的に異なり、事実、物理的特性が異なる上に用途も異なる。
第1の変形例によれば、ポリオール溶液を冷却するプロセスまたは蒸発させるプロセスによって結晶化を実施する。
第2の変形例によれば、物理化学的なプロセスによって結晶化を実施する。一般に、希釈剤、特にアルコールなどの有機溶媒を加えることで、結晶化を実施する。
第3の変形例によれば、数回に分ける形で、すなわち連続的に結晶化することによって結晶化を実施し、各ステップで得られる結晶を溶媒に溶解した後、再び結晶化させる。
一般に、結晶化ステップには、粒子を選別するステップが続き、その前に得られた結晶の粉砕がなされることもある。
好ましくは、粒子の選別を、ふるい分けによるか、あるいは空気分級機での分級プロセスによって実施する。
粒度分布値については、試料の吸引(1400ワットの吸引器)による粉末分散用(乾燥法)のモジュールを取り付けたBECKMAN−COULTER社のLS 230型レーザー回折粒度分析装置で、製造業者の技術マニュアルと仕様書に従って求める。
ホッパー下でのスクリュー速度および分散シュートの振動強度の動作条件は、光学濃度が4%〜12%、理想的には8%になるように定められる。
LS 230型レーザー回折粒度分析装置の測定範囲は、0.4μm〜2000μmである。結果を容量基準のパーセンテージで算出し、ミクロン単位(μm)で示す。使用する算出方法は、フラウンホーファー理論に基づくものである。よって、75μmを超える粒度が75〜2000μmで測定される粒子に対応し、250μmを超える粒度が250〜2000μmで測定される粒子に対応する。
粒度分布曲線を用いることで、体積平均径(算術平均)D4,3の値をさらに求めることが可能になる。
本発明の一変形例によれば、マンニトール結晶で形成される粉状組成物は、流れ等級が55以上であり、好ましくは60〜90に該当し、一層好ましくは65〜85に該当し、特に68〜80に該当する。
HOSOKAWA社から販売されているPTE型のPOWDER TESTER機器を用いて、流動性を評価する。この機器は、標準化されて再現可能な条件で、粉末の流動性を測定し、流動性指数とも呼ばれる流れ等級を、Mr Ralph Carrによる研究(1965)に基づいて算出できるようにするものである。流れ等級は、以下の4種類の試験を用いて得られる値から算出される。圧縮率、安息角、スパチュラ角、均一度(PTE型のPOWDER TESTER機器の技術マニュアルを参照のこと)。この最後の試験のために、使用する粒度は上述したレーザー粒度分析で得られたものである。
このような流動性値は、本発明による粉状組成物に、チューインガムを製造するための方法で使用する良好な特性を与えるものであり、特に、そのときにガムベースに堆積させる粉末の量の厳密な調節が可能である。また、この流動性は、医薬分野におけるマンニトールの多くの用途にとって都合のよいものである。これによって、サシェまたは硬質ゼラチンカプセルに一層容易に充填可能になり、錠剤プレスのマトリックスの一層容易な充填を可能にすることで、錠剤の製造も楽になる。
好都合な一変形例によれば、マンニトール結晶で形成される粉状組成物は、マンニトールの豊富さが96〜100重量%、好ましくは97〜99.9重量%、一層好ましくは98〜99.8重量%である。
もうひとつの好都合な変形例によれば、マンニトール結晶で形成される粉末は、圧縮率が30〜15%、好ましくは27〜12%、一層好ましくは24〜10%である。
このような圧縮率値は、マンニトール粉末に、保管時における粉状態での一層良好な安定性を与えるものである。圧縮率値が20%を超えると、この粉末は自由に流れなくなり、ホッパー内でアーチを形成する傾向を示す(HOSOKAWA PTE装置ハンドブック)。40〜50%の圧縮率の具体的な値については、ひとたび材料をホッパーに投入すると、そこから材料を排出することすらできなくなる。
好都合なことに、マンニトール結晶で形成される粉状組成物は、曝気密度が0.480g/ml、好ましくは0.540〜0.700g/ml、一層好ましくは0.580〜0.650g/mlであり、充填密度が0.700〜0.860g/ml、好ましくは0.725〜0.830g/ml、一層好ましくは0.750〜0.800g/mlである。
このような曝気密度および充填密度値は、マンニトール粉末に、包装および搬送のコストが業界標準を満たせるだけの十分に高い密度、つまり製造業者が生成物と一緒に多くの空気を包装および搬送せずにすむ密度を与えるものである。かたや、密度が過剰に高い粉末では、その技術的使用時に欠陥が生じ、圧縮率に欠け、溶解速度が遅く、正確な計量が困難である。
本発明による、マンニトール結晶で形成される粉状組成物の充填密度値および曝気密度値ならびに圧縮率値は、HOSOKAWAから販売されているPTE型のPOWDER TESTER装置を用いて、製造業者の仕様書に沿って求められる。
この装置は、標準化された再現可能な条件下で、特に曝気嵩密度および充填嵩密度を測定することで粉末の流動性能を測定し、続いて、このデータから以下の式で圧縮率値を算出できるようにするものである。
Figure 0005733584
充填密度および曝気密度の測定は、上述したようなPTE型のPOWDER TESTER装置で、前記POWDER TESTERの動作指示書にて推奨される方法(デフォルトの設定では充填密度の測定で振盪動作180回)を用いて実施される。
このような粉状組成物は、ケーキングに対して特に高い耐性を有し、なおかつ最新技術のマンニトールに対して極めて良好な流動性と密度特性とを有し、その良好な流動性およびダストの形成されにくさがゆえに、チューインガムを製造するための方法で使用するのに特に適している。
また、本発明は、本発明による粒度が75μmを超える粒子を72〜99.9%、好ましくは75〜99%、一層好ましくは80〜98%、なお一層好ましくは85〜97%含むマンニトール結晶で形成される粉状組成物を製造するための方法であって、
a)溶媒から、好ましくは水からマンニトールを結晶化するステップと、
b)得られた結晶の懸濁液から結晶を分離するステップと、
c)結晶を乾燥させるステップと、
d)結晶を選別するステップと、
e)粉状組成物を回収するステップと、を含む方法にも関する。
乾燥については、たとえば流動空気層、あるいは空気乾燥機または回転乾燥機といった当業者間で周知の手段で実施可能である。
得られた結晶の懸濁液からの結晶の分離は一般に、遠心処理ステップまたは濾過ステップによって実施されることになるが、このような遠心処理法または濾過法の使用は、当業者間で周知である。
好都合なことに、選別のステップd)は、ふるい分けによる分級または空気を用いる分級のプロセスによって実施される。
「空気分級機」とは、空気流を用いて粒度に応じて粉末を分離する装置を意味するものと理解される。このような分級機については、Pierre BlazyおよびEl−Aid Jdidによる文献「Classification pneumatique」、Technique de l’ingenieur, traite Genie des Procedesに記載されている。これらの分級機は、水平気体流または垂直気体流または混合気体流を用いる静的選別チャンバを有するものであっても構わない。このような分級機は、バッフルを持つものであってもよいし、持たないものであってもよい。もうひとつのタイプの空気分級機に、遠心力を利用した分級機がある。後者のうち、スタティックサイクロン、水平軸ロータを有する分級機、垂直軸の機械式分級機が説明されている。
好ましくは、結晶化によって結晶粉末を得た上で、粒子を選別する。好ましくは、粒子の選別を空気分級機によって実施する。空気分級機が、好ましくは垂直気体流を用いる静的分級機であると都合がよい。空気分級機がジグザグ分級機であると、特に好都合である。
このような分級機は、米国特許第1 861 248号明細書に記載されている。
ジグザグ分級機における選別は、空気重力選別である。選別領域において、固体粒子は重力と空気の流れによる抵抗力とを受けることになるため、これは固体粒子をその落下時の挙動に応じて分級する選別プロセスである。実際のところ、この選別は、選別領域での異なる粒子の軌道の差異を利用してなされている。
好都合なことに、ジグザグ分級機はいくつかのステージを含む。この分級機は、好ましくは13のステージを含む。これらのステージが存在することで、すべてのステージに同じ空気を用いることが可能になり、軽い粒子の上昇流と大きな粒子の下降空気流の両方で選別を繰り返すことが可能になる。
本発明による方法の好ましい実施形態によれば、粒子を選別するステップd)が、流路を1本しか含まないジグザグ分級機によって実施される。好ましくは、この流路は、幅20mm、深さ220mmである。
分級機は、ジグザグの流路を作製するために複数の部分を一定の角度で組み合わせて構成される。好ましくは、ジグザグ分級機は120°の角度を呈する。この流路は断面が矩形である。その具体的な幾何学形状と空気の流れの方向によって、2本の別々の粒子流すなわち、上昇空気流によって運び出される微粒子流と、各セクションの一番下の壁に沿って下降する大粒子流とが誘導される。
よって、ステージごとに2本の粒子流が新たな選別の対象となり、その後、粒子はもとの粒子流で動き続けるか、あるいは逆方向の流れに乗って運ばれる。
分級機の性能については、一方では各ステージでの粒子の挙動によって、他方ではステージ間の相互作用によって判断される。
本発明による方法の利点として、上述したようなジグザグ分級機がマンニトール結晶で形成される粉状組成物を2種類の画分(細かい画分と大きな画分)に分級可能にすることがあげられる。
これを達成するために、ジグザグ分級機に上昇空気ジェット(一次空気)を送り込み、その速度がカットオフ径の特徴付けを可能にしている。
直径がカットオフ径より大きい粒子は空気ジェットをよそに下降するのに対し、それ以外の粒子は上昇空気に取り込まれる。
好都合なことに、ジグザグ分級機の各ステージは高さが92mmである。好ましくは、第9ステージのレベルで供給がなされる。
好ましい変形例によれば、選別のステップd)が、以下のステップを含む。
d.1)ジグザグ分級機に、平均算術径が80〜145μmのマンニトール結晶で形成される粉状組成物を供給し、
d.2)算術径が100〜300μm、好ましくは120〜270μm、一層好ましくは150〜250μm、なお一層好ましくは170〜230μmであり、なおかつレーザー粒度分析によって求めた体積粒度分布が、0.1〜60%、好ましくは1〜55%、一層好ましくは1〜40%、なお一層好ましくは1〜35%の粒子が250μmを超えるものであるマンニトール結晶で形成される粉状組成物の画分を回収できるように一次空気流量を調節する。
ステップd.1)に基づいてマンニトール結晶で形成される粉状組成物をジグザグ分級機に供給するための流量が、9〜15kg/h、好ましくは10〜13kg/h、一層好ましくは12kg/hであると好都合である。
本発明によるマンニトール結晶で形成される粉状組成物は、好都合なことに、食品業界、たとえば菓子分野、特にチューインガムの分野で使用可能である。
チューインガムの分野では、後述するように、本発明によるマンニトール結晶で形成される粉状組成物中に微粒子が事実上存在しないことで、粉末の流動性が高められ、チューインガムの板状生地の粉掛け時にタルクを完全に置き換えることができるようになり、アスベスト混入の可能性によるタルクの潜在的な毒性についてのあらゆる問題が回避され、粉末が空気中に舞う量が減ることで粉末のロスが低減され、取扱者の作業条件が改善される。
しかしながら、これをたとえば、
−パン焼き(揚げ菓子(「ドーナツ」)などのケーキのデコレーションで、特にその流動性能によって、パンおよびケーキ製造用の混合用途での秤量および混合システムで、業務でのパン焼き(各秤量)または業務でのケーキ製造、
−フォンダン、
−サシェ、硬質ゼラチンカプセルおよび錠剤などの医薬品の形態、
−インスタント調製物、
−香料用のキャリア
−強力な甘味料用のキャリア、
−シリアルおよび朝食用シリアル(アイシングあり)、
−砂糖無添加のソース
の分野などの他の何らかの目的に用いることを妨げるものは何もない。
限定を意味するものではなく、本発明によるマンニトール結晶で形成される粉状組成物の特定の実施形態および特定の好都合な特性を示すだけのものである以下の実施例を用いることで、本発明について一層よく理解できるであろう。
実施例1
96%のマンニトールを含有するマンニトールシロップを、欧州特許第0 202 168号明細書に従って結晶化した。
結晶化に続いて乾燥ステップがなされるが、このような粉末は本出願人によって商品名Mannitol P 60で販売されている。
得られる結晶マンニトール粉末を、ジグザグ分級機(その流路は角度が120°、幅20mm、深さ220mmである)の供給ホッパーに導入する。これは、各々が高さ92mmの13のステージを有する。供給は、9番目のステージで実施される。規定の結晶化マンニトールの粉末(大きな画分)を得るために、さまざまな方法で選別が実施される。
このために、特に一次空気の供給流量を調節する。
事実、上昇空気の速度によって初期混合物のカットオフ径が決まる。
よって、マンニトール結晶、この場合はMannitol 60の同じ粉末から開始して、一次空気流量を用いることで、規定のマンニトール粉末の粒度分布を変えることが可能になる。
適用条件を以下の表1にあげておく。
Figure 0005733584
実施例2
実施例1の粉末を、本出願人によって商品名Mannitol 35およびMannitol 60で販売されている結晶マンニトールで形成される粉末ならびに、藻類からのマンニトール抽出物から結晶化させたマンニトール粉末(商品名BRIGHTMOON(登録商標)結晶マンニトールで販売されているマンニトール)と比較した。これらの測定の結果を表2にあげておく。
実施例1の粉末を、結晶マンニトールの2種類の試料すなわちMannitol 35およびMannitol 60(本出願人によって販売)ならびに、藻類からのマンニトール抽出物から結晶化させたマンニトール粉末(商品名BRIGHTMOON(登録商標)結晶マンニトールで販売されているマンニトール)と比較した。これらの測定の結果を表2にあげておく。
試験した試料のうち、試料AおよびBだけが、極めて良好な流量特性を反映した流れ等級と、保管時の高い安定性を反映した圧縮率の両方を有する点に注意されたい。このため、75μm未満の粒子の含有率が低い(10.7%)とはいえ、藻類から抽出したマンニトールは、平均粒度が300μm(315μm)を超える。一方、平均粒度こそ100〜300μmであるが、Mannitol 60は75μm未満の粒子の含有量が33.5%と高い。
この2種類の試料は、試料AおよびBよりも流動性が著しく低い(藻類から抽出したマンニトールが52%、Mannitol 60が51.5%、Aが62%、Bが64.5%)が、それにもかかわらず、試料Mannitol 35(41.5%)よりも流動性が優れている。これは、100〜300μmという粒度自体は、流動性が良好な結晶マンニトール粉末を得るのに不十分な特性であることを示している。75μm未満の粒子の割合を単に落とすだけの場合も同じである。かたや、粒度75μm未満、平均粒度が100および300μmの限界を超える粒子の割合が高いと、粉末の流動性が極めて悪くなる(Mannitol 35、流量41.5%)。
圧縮率の特性に関しては、藻類から抽出したマンニトールのほうがMannitol 60よりも保管時に優れた安定性を呈する(それぞれ圧縮率28.1および34.8)が、いずれも試料AおよびB(25.2および19.6)と比較すると可もなく不可もなくにとどまる。このように、保管時の安定性は、粉末の平均粒度と75μm未満の粒子の豊富さの両方に左右される。Mannitol 35は、75μm未満の粒子が豊富で平均直径が100μmであり、保管時の安定性という点では極めて高い(圧縮率43.4)。
よって、結晶マンニトール粉末のこの2つの特性(結晶粉末の平均直径および75μm未満の粒子の含有量)によって得られる効果は、付加的なものではなく実際に相互作用的なものである点に注意されたい。
Figure 0005733584
実施例3
実験室でケーキング試験を実施する。この試験は、マンニトールの大袋(500〜1500kgの粉末が入った袋)で見られるケーキングのシミュレーションを可能にするものである。
1300グラムの量の生成物を、厚さ100μm(平らにした寸法が32.4cm×20.9cmである)のポリエチレンのサシェに入れる。次に、取り込まれた空気をできるだけ抜いた上で、このサシェを密封する。続いてこれを、高さ22cm、直径13cmの穴あきシリンダ(直径8mmの穴を開けてある)に入れ、この穴を隣接する穴の中心と中心との間に12mmの距離をあけて五点形に位置決めする。直径がシリンダの直径より若干小さい金属製の円板をサシェの上に載せる。この円板に、大袋の底で粉末に作用する圧力に等しい580kg/mの圧力に相当する6.6kgのおもりを載せる。
次に、全体を6時間(温度15℃、相対湿度85%で3時間に続いて温度30℃、相対湿度85%で3時間)が15サイクルになるように制御した環境チャンバに入れる。
これらのサイクルの最後で、サシェをシリンダから慎重に取り出し、切って開く。1回目の粉末観察を実施する。続いて、すべての粉末を5リットルの缶(開口部の直径が穴あきシリンダの直径より大きい)に入れ、これをMIXOMAT A14(FUSCHS/Switzerland)タンブラーミキサーで1分間回転させる。次に、すべての粉末を、メッシュが約8mm×8mmの正方形の開口を有するふるいに入れる。こうして、直径が約8mmを超える生成物の塊だけを回収し、その総重量を測定する。これらの塊の重量を、使用するマンニトールの初期重量(1300グラム)で割って、塊を形成した生成物の割合を算出する。
Figure 0005733584
Mannitol 35およびMannitol 60は、塊になった生成物の割合が高い。これは、大袋の底にある粉末が充填後に極めて短時間で凝集し、これらの大袋を空にするのが極めて困難になることを示している。よって、この2種類の試料に上記の包装を用いるのは得策ではない。試料Aおよび藻類から抽出したマンニトールでは、ケーキングの度合いが8%〜10%であるため、この包装を想定可能であるが、保管には時間的な制限を設ける必要がある。試料Bの場合、充填、保管、大袋を空にすることに、何ら困難を伴うことはないであろう。よって、このタイプの装置でも何ら気にせずに販売可能である。
実施例4
TOGUMブランドの製造ライン(BOSCH−TOGUM)でチューインガムを工業的に製造する。
この製造については、標準的な「砂糖不使用の」チューインガム配合物を用いて実施する。
−ガムベース:32%
−ソルビトール粉末、NEOSORB(登録商標) P60W:49%
−マンニトール 60:7%
−マルチトールシロップ、LYCASIN(登録商標) 80/55HDS:9%
−グリセリン:0.2%
−アスパルタム:0.2%
−ミント香料、液体:2.1%
−ミント香料、粉末:0.5%
最大容量約60kgのZ腕ニーダーTOGUM GT120で、混合ステップを実施する。この混合は連続的である。
t=0の時点で、50℃で一晩予加熱したガムベースと、ソルビトール粉末の半分とをニーダーに入れる。t=3分の時点でマンニトール、t=5分の時点でマルチトールシロップ、t=7分の時点でソルビトールの半分とアスパルタム、t=11分の時点でグリセリン、t=12分の時点で香味料を入れる。t=16分の時点で、混合を中止し、ペーストを排出する。このときペーストの温度は約55℃である。これを約2kgずつのブロックに分け、20℃および相対湿度50%で1時間保管する。これによって、押出前にペーストの温度を47℃にする。
押出機本体を40℃まで、ヘッドを45℃まで加熱したTOGUM TO−E82装置で押出ステップを実施する。
TOGUM TO−W191圧延機で粉掛けステップと圧延ステップを実施する。これには、まず2つの粉掛けステーションを設け、一方をチューインガムの押し出された板状生地の上、もう一方をチューインガムの板状生地の下にあるコンベヤベルトの上に位置決めする。その役割は、チューインガムの裏側に粉掛け用粉末を供給することにある。こうして、第1の圧延ステーションより前でチューインガムの板状生地の両面に粉掛けする。次に、4対の圧延ローラを設け、第2の対と第3の対との間に、一方がチューインガムの板状生地の下、他方が上にくる一対のブラシからなる粉落としシステムを配置する。このシステムは、チューインガムの板状生地の両面から余分な粉末を除去するためのものである。最後に、チューインガムを所望の最終形態、本例ではクッション形にするために、成型および裁断用の2対のローラを設ける。
実施例2のマンニトール粉末を粉掛けの点で試験した。粉掛け用粉末についてはこれらのマンニトール粉末だけで構成し、タルクは加えなかった。
実施した観察は、粉掛け装置からの粉末の流動性の得やすさ、所望の量に対して堆積される粉末の量の制御、粉末の損失量、空気中に浮遊するダストの形成、粉落とし後のチューインガムの見た目とした。さらに、粉掛け用粉末の粒度が大きくなるとチューインガムにざらつきのあるテクスチャが生じるのか否かを判断するために、15名のテイスターからなる集団でチューインガムを試験した。この試験については、1試験あたり試料を5つまたは6つ含む1群ごとに試料A〜Zで標準的なAFNOR V 09−014(1982年4月)に従って実施する。5つまたは6つの試料を同時に提示し、集団の各構成員には違う順番で味わうよう求めた。求められた記述子すなわち、口中でざらつく性質を、以下のようにして6点基準で評価する。なし、非常にわずか、わずか、明白、顕著、非常に顕著。相違を分析(Friedman’s ANOVA)すると、そのざらつく性質の点で試料が区別される(p<<0.05)。得られた値を表4にあげておく。
Figure 0005733584
Mannitol 35、Mannitol 60、藻類から抽出したマンニトールは、流動性が悪く、粉掛け装置を制御するのが困難になる。よって、堆積量の制御も困難である。当然、損失レベルは高い。実際は、Mannitol 35およびMannitol 60は75μm未満の粒子の含有量が28%を超えるが、藻類から抽出したマンニトールについては、この同じ粒子の含有量が特に低い。試料AおよびBは、75μm未満の粒子が25%未満で平均粒子直径178および228μmであり、粉末の堆積量を制御して損失を制限できるようにする流動性を有する。
さらに、空気中に観察される粒子密度が低い試料AおよびBまたは藻類から抽出したマンニトールとは対照的に、Mannitol 35およびMannitol 60には微粉が存在するため、空中に浮遊する粒子のレベルが高い。浮遊する粒子の量が少ないことは、施設内の清潔さと作業員の健康を保つ上で利点のひとつである。
粉末AおよびBの平均直径は、得られるチューインガムの官能特性に関してマイナスの影響を生じることなく、粉末の流動性促進とこれらの粉末を取り扱う際における空気中の粒子レベル低減の両方を可能にするものである。具体的には、藻類から抽出したマンニトールを用いると、口中にざらつき感が生じるのに対し、試料AおよびBでは、空気中に浮遊する粉末のレベルを低減した状態で粉掛け用粉末の堆積管理を良好に実施できるようにしつつ、粉落とし後にチューインガムの板状生地に均一な粉掛けをほどこしても、口中でざらつき感は生じない。

Claims (11)

  1. (i)溶媒からのマンニトールの結晶化と、続いて(ii)得られた結晶の懸濁液から前記結晶を分離するステップと、(iii)造粒または噴霧乾燥以外の方法で前記結晶を乾燥させるステップと、(iv)選別するステップとによって得られる、多面体構造のマンニトール結晶で形成される粉状組成物であって、前記結晶が、凝集体または噴霧によって得られる粉末によっては構成されず、レーザー粒度分析によって求めた体積粒度分布が、
    −72〜99.9%の粒子が粒度75μmを超え、
    −0.1〜60%の粒子が250μmを超えるものであり、
    −平均直径が100〜300μmである、状組成物。
  2. 流れ等級が55以上である、請求項1に記載の粉状組成物。
  3. マンニトールの豊富さが96〜100重量%である、請求項1または2のいずれかに記載の粉状組成物。
  4. 圧縮率が30〜15%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉状組成物。
  5. 曝気密度が0.480g/mlを超え、充填密度が0.700〜0.860g/mlである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉状組成物。
  6. ンニトール結晶で形成される粉状組成物を製造するための方法であって、前記結晶が、凝集体または噴霧によって得られる粉末によっては構成されず、且つ、レーザー粒度分析によって求めた体積粒度分布が、72〜99.9%の粒度75μmを超える粒子、0.1〜60%の250μmを超える粒子、100〜300μmの平均直径を呈し、
    a)溶媒からマンニトールを結晶化するステップと、
    b)得られた結晶の懸濁液から前記結晶を分離するステップと、
    c)造粒または噴霧乾燥以外の方法で前記結晶を乾燥させるステップと、
    d)前記結晶を選別するステップと、
    e)前記粉状組成物を回収するステップと、を含み、
    前記粉状組成物の結晶が、前記溶媒からの結晶化の工程によって形成される、方法。
  7. 選別の前記ステップd)が、ふるい分けによって、あるいは空気分級機を用いて実施される、請求項6に記載の方法。
  8. 選別の前記ステップd)が、ジグザグ分級機を用いて実施される、請求項7に記載の方法。
  9. 選別の前記ステップd)が、いくつかのステージを含むジグザグ分級機を用いて実施される、請求項8に記載の方法。
  10. 粒子を選別する前記ステップd)が、流路を1本しか含まないジグザグ分級機によって実施される、請求項8または9のいずれかに記載の方法。
  11. 選別の前記ステップd)が、以下のステップ:
    d.1)ジグザグ分級機に、平均算術径が80〜145μmのマンニトール結晶で形成される粉状組成物を供給し、
    d.2)平均直径が100〜300μm、レーザー粒度分析によって求めた体積粒度分布が、0.1〜60%の粒子が250μmを超えるものであるマンニトール結晶で形成される粉状組成物の画分を回収できるように一次空気流量を調節することを含む、請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。
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