JP5724561B2 - 反射型光学素子 - Google Patents

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Description

本発明は、反射型の光学素子に関する。
従来、光源と照射面との間に、フライアイレンズやロットレンズ等の光インテグレータを設けた照明システムが知られている(例えば、特許文献1、及び特許文献2参照)。この照明システムによれば、例えば光源が超高圧水銀灯等のランプ光源のように輝度ムラを生じる場合でも、光源の輝度ムラが光インテグレータの通過時に拡散されることで照射面の照度ムラが防止される。
特開2001−359026号公報 特開平5−45604号公報
しかしながら、光インテグレータ単体では、光路の向きを変えることができず別途に反射型の光学素子が必要となり、光源と照射面との位置関係によっては照明光学系が備える光学素子の数が多くなる、という問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、照度ムラを解消する機能を有しつつ、単体で光路の向きを変えることができる反射型光学素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、光源の光を反射する所定曲率半径の複数の球面の小反射面を、所定大きさの照射エリアに焦点を結ぶ曲率の面に、それぞれの輪郭の頂点を合わせて並べた反射面を備え、前記小反射面のそれぞれが前記照射エリアで反射光を重畳させ、前記小反射面、及び前記照射エリアは、それぞれ幅d2、及びd3の平面視同一形状の四角形であり、前記小反射面は、曲率半径r2、及び、前記反射面からみて主軸入射光とその反射光を含む面Eとの交線の曲率半径r2eが、それぞれ以下の式で示されることを特徴とする反射型光学素子を提供する。
小反射面が凹面の場合の曲率半径r2≦2・L1・m1/(L1+m1)
小反射面が凸面の場合の曲率半径r2≦2・L1・m2/(L1+m2)
曲率半径r2e=(d2e/d2)・(r2/cos 2 θ
ただし、m1=d2・L2/(d3+d2)、m2=d2・L2/(d3−d2)、L1は光源と反射面の間の距離、L2は反射面と照射エリアの間の距離、d2eは前記面E内での前記小反射面の幅、θは前記面Eにおける反射面での反射角である。
また本発明は、上記反射型光学素子において、前記反射面に前記小反射面を隙間無く設けたことを特徴とする。
本発明によれば、反射面を構成する複数の小反射面のそれぞれが同一の照射面に向けて光を反射し当該照射面で反射光を重畳する構成であるため、入射光の光束にムラがある場合でも照射面での照度ムラが抑えられる。これに加え、反射型光学素子であることから、単体で光路の向きを変えることができる。
本発明の実施形態に係る照明システムの模式図である。 反射鏡の正面側をみた斜視図である。 反射鏡による照射エリアの照度分布図である。 光源、反射鏡、小反射面、及び照射エリアの関係を示す図である。 光源6の位置の説明図であり、(A)は光源が実像となる場合、(B)は光源が虚像となる場合を示す。 小反射面、及び照射エリアの寸法比を示す図である。 入射光及び反射光のそれぞれの光軸を含む面の説明図である。 光源、反射鏡、小反射面、及び照射エリアの関係を示す図である。 反射鏡の一面の分割数(小反射面の数)と照度分布の関係を示す図である。 反射鏡の一面の分割数(小反射面の数)と照射光量、最大照度、及び照度ムラの関係を示す図である。 本発明の変形例を示す図である。 本発明の他の変形例を示す図である。 本発明の応用例に係る照明システムの模式図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る照明システム1の模式図である。
照明システム1は、所定の大きさの照射エリア4に光を照射して当該照射エリア4を照度ムラなく均一に、なおかつ照射エリア4のエッジのボケを抑えて照明するものであり、光源6と、この光源6の光を反射する反射型光学素子たる反射鏡8とを備えている。
光源6は、出力が比較的大きな高圧水銀ランプ等の放電ランプ12と、放電ランプ12の光を出力する凹面鏡としてのリフレクター14とを備え、リフレクター14の光軸K上に反射鏡8が配置されている。なお、リフレクター14には、凹面が放物反射面の放物面鏡、或いは凹面が楕円反射面の楕円面鏡を用いることができる。
反射鏡8は、光源6の光軸K上に傾斜角α(図示例では45°)で配置され、光源6から入射する光を略直角に光路を折り曲げて対面する照射面3を所定の大きさの照射エリア4で照明する。
この反射鏡8は、光源6の光束の断面形状にかかわらず、照射面3を所定大きさの矩形状の照射エリア4でエッジのボケを抑えて照明するものであり、かかる反射鏡8について以下に説明する。
図2は反射鏡8の正面側をみた斜視図であり、図3は当該反射鏡8の反射光による照射例の一例たる照度分布図である。なお、図3において、四角枠Wは、反射鏡8により造られる照射エリア4の設計値である。
反射鏡8は、図2に示すように、板状の基体30を有し、当該基体30の表面側の一面に多数の小反射面32を設けて主たる反射面31が構成されている。
小反射面32はそれぞれ、所定の曲率半径r2を有する球面の凹面反射面を構成し、それぞれが同一箇所及び同一寸法の照射エリア4を狙って反射光を照射する。これにより、各小反射面32の反射光20が照射エリア4で重畳されることで、図3に示すように、照射エリア4での照度分布が一様となり照度ムラを解消される。換言すれば、多数の小反射面32のそれぞれがフライアイレンズにおける微小レンズと光学的に同様の機能を備えることで、かかる反射鏡8が光インテグレータとして機能する。
小反射面32のそれぞれは、全て平面視形状(基体30の一面を正対して見た形状)及び断面視形状が同一形状を成し、それぞれの反射光が照射面に同一の形状、及び同一寸法の照射エリア4を造る。照射面に反射光が直入射する状態では、照射エリア4の形状は小反射面32の平面視形状と略同一形状となる。すなわち、光源6の出力光の光束の断面形状にかかわらず、小反射面32の平面視形状で規定した形状と略合同な照射エリア4が造られることから、小反射面32の平面視形状を所望の形状に設定することで、所望の形状の照射エリア4を得ることができる。なお、小反射面32の曲率半径r2は、照射エリア4及び小反射面32の寸法や、光源6から反射鏡8までの距離によって決定されるが、これについては後述する。また、小反射面32においては、反射角にかかわらず、小反射面32の平面視形状と同じ形状の照射エリア4を造るべく、主軸入射光P(図4)と反射光Q(図4)の光線を含む面E(図4)が交差してできる交線Fの曲率半径r2eは曲率半径r2と異なっており、これについても後述する。
基体30の一面においては、小反射面32同士の間の隙間が大きいほど、反射面3で反射がコントロールされない光が増えて、目標とする照射エリア4の光量が減り、さらに、コントロールされていない光(迷光)によって照射エリア4のエッジがボケてくる。
そこで本実施形態では、小反射面32のそれぞれを、基体30の一面に隙間無く配置可能な平面視多角形状(本実施形態では矩形状:図2参照)としている。これにより、光源6の出力光5を効率良く反射して照射エリア4の照度を高めることができ、シャープな照射エリア4が造られる。
なお、照射エリア4の形状によっては、基体30の一面に隙間無く小反射面32を設けることができない。この場合には、当該隙間となる箇所に無反射加工や光を散らす加工を施すことで、照射エリア4のエッジのボケを抑制しても良い。
小反射面32のそれぞれが全て同一形状を成すことは上述の通りであるが、この場合、基体30の一面が平面であると、小反射面32のそれぞれが照射面を照射する箇所にズレが生じ、これに伴い照射エリア4のエッジの先鋭さが悪くなる。
そこで本実施形態では、図2に示すように、基体30の一面を、照射面3で焦点を結ぶ球面鏡の曲率半径r1を持つ凹面としている。
これにより、各小反射面32の照射面での照射エリア4の位置ズレが抑えられ、照射エリア4のエッジでのボケがより効果的に抑えられ明瞭にすることができる。
かかる反射鏡8の基体30の曲率半径r1、及び小反射面32の曲率半径r2は、次のようにして規定され、この規定に基づいて反射鏡8を設計することで、照度ムラ、及びエッジのボケを抑えた照射エリア4を造る反射鏡8が得られる。
すなわち、図4に示すように、反射鏡8に入る光束の起点もしくは等価的に1点と見なされる光源6の位置をA、反射鏡8の位置をB、照射エリア4の位置(すなわち照射面の位置)をCとする。また、反射鏡8、小反射面32及び照射エリア4の平面視形状は正方形であって、それぞれの1辺の長さがd1、d2、及びd3とする。また、光源6と反射鏡8の間の距離をL1、反射鏡8と照射面までの距離をL2とする。
なお、小反射面32は反射鏡8の一面を縦横に隙間無く配置して設けられており、反射鏡8、小反射面32、及び照射エリア4の縦及び横は共に同じ方向を向き、以下では、これらの縦の方向を鉛直方向、横の方向を水平方向と定義する。
基体30の曲率半径r1は、反射面31に小反射面32が設けられていない場合に光源像を照射エリア4に結像する当該反射面31の曲率であって、反射鏡8、光源6、及び照射エリア4の距離によって決まり次式(1)のように規定される。この基体30の曲率半径r1の曲率の面に、各小反射面32の輪郭の頂点を合わせて配置して上記反射面31が構成されている。
なお、光源6と反射鏡8の間の距離をL1について補足すると、光源6の位置Aは光源6のランプ12の位置でも良いし、光源6が集光鏡たるリフレクター14を備えている場合には、当該リフレクター14により結像された点でも良い。リフレクター14の結像点を光源6の位置Aとする場合、図5(A)に示すように、リフレクター14の結像点が光源6と反射鏡8の間に位置することで光源6が実像になるときには、距離L1の符号は正となる。また図5(B)に示すように、リフレクター14の結像点が光源6からみて反射鏡8を超えたところに位置することで光源6が虚像になるときには、距離L1の符号は負となる。反射鏡8と照射面の距離L2については常に正の値である。
したがって、光源6が実像の場合(すなわちL1>0)、式(1)に基づき曲率半径r1は正の値となることから、図5(A)に示すように、反射鏡8の反射面31の曲面形状は光源6からみて凹面となる。
一方、光源6が虚像(すなわちL1<0)であって、距離L1と距離L2が等しい場合には、式(1)の分母がゼロとなることから曲率半径r1は無限大となり、略平面となる。
また光源6が虚像(すなわちL1<0)であって、距離L1の絶対値が距離L2より大きい場合には、式(1)に基づき曲率半径r1は負の値となることから、図5(B)に示すように、反射鏡8の反射面31の曲率形状は光源6からみて凸面となる。
また、反射鏡8と照射面との距離L2を、小反射面32の幅d2と照射面での照射エリア4の幅d3の比によってできる内分点M1によって図6(A)に示すように分け、反射鏡8から内分点M1までの距離をm1とすると、m1は、次式(2)により表され、また、このm1を用いて小反射面32の曲率半径r2は次式(3)によって規定される。
なお、小反射面32の球面反射面を凹面に代えて凸面とすることもできる。この場合には、図6(B)に示すように、反射鏡8と照射面との距離L2を、小反射面32の幅d2と照射エリア4の幅d3の比によってできる外分点M2によって分け、反射鏡8から外分点M2までの距離をm2とすると、このm2は、次式(4)により表され、また、このm2を用いて小反射面32の曲率半径r2は次式(5)によって規定される。
なお、上記式(1)、(3)、(5)で決められている曲率半径r1、r2は、反射鏡8の製造時に必ずしも厳密に適用される必要はなく多少のズレは許容されるものであり、設計上の目安になるものである。
すなわち、曲率半径r1においては、製造上の観点より略平面ではなく完全に平面にて実施する場合もあり、また反射角度と光源の大きさ等の関係より照射エリア4のエッジのボケを隅部で小さくするために、式(1)で計算される値より小さい場合もある。
曲率半径r2においては、式(1)で計算された値よりも曲率半径r1が小さい場合や平面である場合、光源6が大きさを持つ観点から照射エリア4での実行的な照度ムラを抑えるため、式(3)、(5)で計算される値より小さく設定することで、これら式(3)、(5)の等号が不等号(≦)となることもある。
また、図7、図8に示すように、反射鏡8からみて主軸入射光Pとその反射光Qを含む面Eを定義する。この図7において、点B0は反射鏡8と主軸入射光Pとの交点、C0は照射面と反射光Qの光軸との交点を示し、上記面Eは、光源6の位置Aと、点B0、C0の3点にて決められる面とも言える。なお、点Dは反射鏡8の曲率中心を示し、点Daは面Eと小反射面32が交わってできる交線(以下、曲率半径r2eと言う)の曲率中心を示す。
この面E内において、反射鏡8での反射角θ(主軸入射光Pに対する反射光Qの角度2θの2分の1)と、面E内での小反射面32の幅d2eは、小反射面32の上記幅d2に対して次式(6)の関係を有し、或いは、面E内での小反射面32の曲率半径r2eは、上記式(5)で規定された上記の曲率半径r2に対して次式(7)の関係を有する。
上記式(6)、(7)の2式には相関関係があり、次式(8)が成立する。
この式(8)を満たすように、小反射面32の寸法形状を決定することで、よりエッジを抑えた照射エリア4が得られる。
前掲図1に示す光学配置を前提とし、光源6の光束の断面が略円形状であり、また照射エリア4及び小反射面32が略正方形であると仮定して、式(8)を満たす反射鏡8について更に詳述する。
今、入射光に対する反射光の角度2θ=90°とした場合、小反射面32の反射光Qの光束は反射方向(反射光Qの直進方向)に対し鉛直方向に1/cos45°≒1.41倍に伸張されて照射される。照射面で縦横同じ長さd3の照射エリア4とするには、上記式(6)に基づき面E内の幅d2eをcosθ倍小さくすれば良いが、反射鏡8全体としてみれば照射エリア4の寸法は、反射光Qの光束を45°で切った射影像で造られるため、鉛直方向が1/cos45°≒1.41倍だけ伸張されることを考慮すると、水平方向にも1/cosθだけ長くする必要がある。
したがって、面E内に並んで配置される小反射面32の数は、当該面Eと垂直な方向に並んで配置される小反射面32の数に対して、1/cosθ/cosθ=1/cos2θ倍だけ必要となり、主軸入射光Pに対して反射鏡8を45°に傾けて配置した場合は、面Eに垂直な方向に並んで配置される小反射面32の数に対し2倍だけ必要となる。また、反射鏡8の一面において、面E内に並んで配置される小反射面32の数と、当該面Eと垂直な方向に並んで配置される小反射面32の数とを同じにするには幅d2eを1/cosθ長くし、d2e=d2/cosθとなる必要があるため、その時の上記面E内の曲率半径r2eについては、r2e=r2/cos 3 θが導かれ、上記の通り反射鏡8を45°に傾けて配置した場合は、上記曲率半径r2に対して2.8倍となる。
なお、上記式(6)〜(8)は、照射エリア4の縦横の比が同じ場合(すなわち、図8においてd3/d3e=1)に導かれるものである。照射エリア4の縦横比が1:1以外の場合には、その比率をν(すなわちd3/d3e=ν)と表記すると、上記式(6)〜(8)は、それぞれ式(9)〜(11)で表されることとなる。
反射鏡8の設計時には、上記のようにして、光源6、照射面及び反射鏡8の配置や照射エリア4の寸法形状等から反射鏡8の基体30の曲率半径r1や小反射面32の曲率半径r2を決定する。
このとき、反射鏡8に設ける小反射面32の数、すなわち1個の小反射面32の寸法(縦横の幅d2)については、実験やシミュレーションを通じて、照射面の照射エリア4での照度ムラが抑えられる数値を求めることで決定される。
すなわち、図9に示すように、矩形状の反射鏡8の一面を分割して矩形状の小反射面32を形成すると、縦×横の分割数を大きくほど照射エリア4での照度ムラは解消されるが、図10に示すように、分割数に対する照度ムラの変化量が飽和する閾値(図示例では、サンプル6の分割数)が存在する。この閾値の分割数で小反射面32を構成することで、製造の容易性と性能の両方のバランスがとれる。そして、この分割数に基づき小反射面32の寸法(上記幅d2)を求めて、最終的な小反射面32の寸法形状(幅d2や曲率半径r2)を決定することとなる。
なお、反射鏡8の小反射面32は、基体30の一面に形成した凹面にアルミニウム蒸着等の反射層形成処理を施して基体30と一体に形成するほかに、小反射面32を構成する凹面鏡を製造し、当該当面鏡を基体30の一面に並べて設けることで反射鏡8を構成してもよい。この構成によれば、基体30の一面への反射層形成処理が困難な大きさの反射鏡8でも簡単に製造でき、断面積が非常に大きな光束を反射して非常に大きな照射エリア4を造ることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、基体30の一面に設けられた複数の小反射面32のそれぞれが同一の照射面に向けて光を反射し当該照射面で反射光を重畳して照射エリア4を照射する構成であるため、入射光に輝度ムラがある場合でも照射面での照度ムラが抑えられる。これに加え、反射型光学素子である反射鏡8であるから、単体で光路の向きを変えることもできる。
さらに本実施形態によれば、小反射面32がそれぞれ同一の平面視形状を成す構成としたため、小反射面32の平面視形状に則した形状の照射エリアを照度ムラなく造ることができる。
これに加え、本実施形態によれば、基体30の反射面31を、照射面で焦点を結ぶように曲率半径r1を持たせた面とし、当該曲率半径r1の面に各小反射面32の輪郭の頂点を合わせて配置したため、各小反射面32が造る照射エリアの位置ズレが抑えられエッジのボケが抑制される。
なお、上述したように、式(1)で求められる曲率半径r1が無限大となる場合には、反射面31を平面としても十分に近似できる。
また本実施形態によれば、基体30の一面に小反射面32を隙間無く設けたため、コントロールされていない反射光を減らすことができ、照射エリアの照度を高め、なおかつエッジのボケも抑えることができる。
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一例を示すものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
例えば、上述した実施形態では、小反射面32の球面状の反射面を凹面としたが凸面としても良い。また、小反射面32の平面視形状を矩形や正方形などの四角形としたが、これに限らず、所望の照射エリア4の形状に合わせて任意の形状を用いることができる。
また例えば、上述した実施形態では、反射鏡8への入射光を非平行光としたが、これに限らず、図11に示すように、平行光であっても良い。
また例えば図12に示すように、反射鏡8への入射光の入射角を90°以外としても良い。
また例えば、反射面31と小反射面32とが同一形状の反射鏡8を例示したが、これに限らない。すなわち、反射面31の形状を、例えば図2等に示す平面視矩形の反射面31を例えば円形状に切り取った形状としても良い。このような形状とした場合、反射面31の縁部の小反射面32では一部が切り落とされた形状となるが、反射面31を構成するそれぞれの小反射面32が同一の照射エリア4を照射するため、切り落とされた小反射面32の影響が抑制されて照射エリア4が均一に照射される。
また例えば、光源として、反射鏡8の反射面に平行に延在するように配置された直管型のランプを用いても良い。この場合、反射鏡8の一面の形状を球状にするのではなく、ランプの延在方向に延び、なおかつ、ランプの延在方向に対し垂直方向に曲率半径r1の曲率を持つシリンドリカル形状としても良い。
<応用例>
次いで本発明の応用例について説明する。
図13は、本発明の応用例に係る照明システム100の模式図である。なお、同図において、図1で説明した部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
照明システム100は、高温環境室2の壁面9の所定の大きさの照射エリア4に光を照射して当該照射エリア4を照度ムラなく均一に、なおかつ照射エリア4のエッジのボケを抑えて照明するものである。
高温環境室2は、例えば材料生成や加工、或いは各種の化学反応が行われることで、通常の透過型光学素子の耐熱性を上回るほどに室内温度が上昇する部屋である。この高温環境室2の一面には、室内を室外から観察するための耐熱性の観察窓10が設けられている。
光源6は、高温環境室2の外に配置され、高温環境室2の観察窓10に対して出力光5の光軸Kが略垂直なる位置に配置され、当該観察窓10から出力光5を導入する。
また反射鏡8は、高温環境室2の室内温度に対して耐熱性を有する材料で製造されており、高温環境室2の中であって、観察窓10から導入される出力光5を壁面9に向けて反射する位置、すなわち本応用例では、光源6の光軸K上に45°の傾斜角αで配置される。これにより、反射鏡8は、観察窓10から導入されて入射する出力光5を略直角に光路を折り曲げて対面する壁面9に向けて反射し、当該壁面9を所定の大きさの照射エリア4で照明する。
本応用例に係る照明システム100では、高温環境室2の外から光源6の出力光5を室内に導き反射鏡8で反射して壁面9を照明する構成であるから、光源6を耐熱構造とする必要がないため装置コストが抑えられる。また、電気を使用する光源6が高温環境室2の外に配置されるため、室内に引火性の気体が充満している場合であっても室内を安全に照明できる。
さらに、反射鏡8にあっては、基体30や小反射面32の材料の選択の幅が透過型光学系に比べて広く、高耐熱性材を用いることで高温環境下での使用が可能となり、また、金属の鋳型などによる大量生産が可能でコスト低減に効果が高い。
また反射面31が大面積の大型の反射鏡8を構成する場合には、同図13に示すように、基体30と小反射面32とを別々に成形した後、これらを接合することもできる。さらに、小反射面32のそれぞれを個別に成形するとともに、基体30の主表面30Aに上記曲率半径r1の曲率を形成し、この主表面30Aの面上に小反射面32のそれぞれを並べて配置することで反射面31を構成しても良い。このようにすることで、非常に大きな反射面31を簡単に製造できる。
特に、複数の小反射面32のそれぞれが同一の照射エリア4を照射するため、各小反射面32の表面にネジ等を通して基体30に取り付けても、当該ネジ等による影の発生を抑えることができる。
なお、照明システム100は、高温環境室2の観察に限らず、これに限らず、透過型光学素子の物性に変化を及ぼす有機ガスや高出力電磁波が放射されている環境下の室内、或いは人体に有害な環境下の室内を、室外から観察する際に本発明を好適に用いることができる。
また本発明の反射鏡8は、規定形状の照射エリア4を形成でき、またエッジでのぼけが抑えられることから、漏光が問題となる例えば道路照明や看板照明に応用することもできる。
また、照射エリア4の形状を小反射面32の形状で規定できるため、投光器やプロジェクタ装置にも応用することができ、また例えば、建物外部から光を導入し屋内の壁面を照明する光ダクトに応用することもできる。
特に、投光器において、照度むらの発生を少なくして所定の範囲を照射する場合において、通常の拡散板を用いると中心付近の照度むらは、なだらかにできるが周辺光量は著しく減少する。これを避けるため拡散性の強い拡散板を用いると、所定の範囲を外れ、かなり広い範囲に光が拡散してしまう。
そこで、インテグレータレンズのような透過型光学素子を用いた場合、例えば建物の壁面や看板等の大面積を照明する大型の投光器に適用しようとすると、照射面積に比例して透過型光学素子が大きくなり重量、コストの面から実用的とは言い難いものであった。
これに対して、本発明に係る反射鏡8によれば、安価な金属製反射板で小反射面32を形成し、当該金属製反射板を多数個基体30の一面の上に並べて配置することにより、照度むらが少なく所定の範囲からの漏光が少ない照明を容易に実現できる。
1 照明システム
2 高温環境室
3 照射面
4 照射エリア
5 出力光
6 光源
8 反射鏡(反射型光学素子)
20 反射光
30 基体
31 反射面
32 小反射面
r1 基体の曲率半径
r2、r2e 小反射面の曲率半径

Claims (2)

  1. 光源の光を反射する所定曲率半径の複数の球面の小反射面を、所定大きさの照射エリアに焦点を結ぶ曲率の面に、それぞれの輪郭の頂点を合わせて並べた反射面を備え、
    前記小反射面のそれぞれが前記照射エリアで反射光を重畳させ、
    前記小反射面、及び前記照射エリアは、それぞれ幅d2、及びd3の平面視同一形状の四角形であり、
    前記小反射面は、
    曲率半径r2、及び、前記反射面からみて主軸入射光とその反射光を含む面Eとの交線の曲率半径r2eが、それぞれ以下の式で示される
    ことを特徴とする反射型光学素子。
    小反射面が凹面の場合の曲率半径r2≦2・L1・m1/(L1+m1)
    小反射面が凸面の場合の曲率半径r2≦2・L1・m2/(L1+m2)
    曲率半径r2e=(d2e/d2)・(r2/cos 2 θ
    ただし、m1=d2・L2/(d3+d2)、m2=d2・L2/(d3−d2)、L1は光源と反射面の間の距離、L2は反射面と照射エリアの間の距離、d2eは前記面E内での前記小反射面の幅、θは前記面Eにおける反射面での反射角である。
  2. 前記反射面に前記小反射面を隙間無く設けたことを特徴とする請求項1に記載の反射型光学素子。
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