JP5723590B2 - 電源装置 - Google Patents

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Description

本発明は、送電線路若しくは配電線路の架空電力線、架空地線、通信線(メッセンジャワイヤで支持されたメタル通信ケーブル又は光ケーブルなど)若しくは支線などの架空電力線に並設して架線される架空線状導体又は電気機器内の導体(以下、架空電力線、架空線状導体及び電気機器内の導体を総称して、「導体」と称す)近傍に配設して使用される、導体の状態(電圧、電流、温度又は動きなど)や導体の周囲の状態(風速、日射量又は気圧など)を計測する計測機器、導体の状態を無線や有線で送受信する通信機器、導体の存在を標示するための標識灯又は架空電力線が活線であることを表示するための表示器などの電気機器である負荷に電力を供給する電源装置に関し、特に、架空線又は電気機器内の導体の周囲に発生する静電誘導作用を利用した電源装置に関する。
静電誘導作用を利用したものとして、例えば、従来の電源装置は、架空線に降圧型変圧器の一方の端子が接続され、架空線から絶縁された誘導電極に降圧型変圧器の他方の端子が接続される(例えば、特許文献1参照)。
この構成により、従来の電源装置は、降圧型変圧器の一次側の励磁サセプタンス成分(インダクタンス)に流れる励磁電流と降圧型変圧器の一次側の浮遊静電容量に流れる充電電流とが互いに打ち消し合い共振状態をなすことで、無効電流を皆無にして電力効率を高めると共に、降圧型変圧器のインピーダンス整合により一次側から見たインピーダンスを高い状態に保ち、高電圧を誘起させて高効率を実現できる。
また、従来の電源装置は、一次側の浮遊静電容量が電源装置の架空線への取り付け形態や誘導電極の大きさなどから様々な値をもつために、インダクタンス又は降圧型変圧器の一次側に可変静電容量を追加して静電容量の微調整ができるようになっている。
また、従来の電源装置には、入力端子の一方を高圧線に接続して他方を誘導電極に接続する方式(高圧線接続方式)と、入力端子の一方を架空地線に接続して他方を誘導電極に接続する方式(大地接続方式)とが開示され、両方式とも同じ回路構成の電源装置で対応できることが開示されている。
国際公開第2009/072444号パンフレット
従来の電源装置には、共振状態を成立させるための一手段として、降圧型変圧器の一次側の浮遊静電容量に流れる充電電流と降圧型変圧器の一次側の励磁サセプタンス成分(インダクタンス)に流れる励磁電流との相殺で余剰した励磁電流の一部を、一次側に追加した可変静電容量に流れる充電電流との相殺により共振状態にすることが開示されている。
この場合の共振状態にすることの前提条件としては、降圧型変圧器の一次側の励磁サセプタンス成分(インダクタンス)に流れる励磁電流が浮遊静電容量に流れる充電電流に比べて大きく、かつ、追加した可変静電容量により不足する充電電流を補うという関係が成り立たなければならない。
しかしながら、従来の電源装置は、大きな電力を得ることを目的に誘導電極の面積を広げた場合やインダクタンス又は変圧器の鉄損を減らすことを目的に一次巻線の巻数を増やした場合に、浮遊静電容量に流れる充電電流が降圧型変圧器の一次側の励磁サセプタンス成分(インダクタンス)に流れる励磁電流を上回ることになり、可変静電容量の追加が無意味になると共に、共振状態を成立させることが不可能になるという課題がある。
これに対し、この課題の解決手段として、降圧型変圧器の一次側又は二次側に励磁電流を発生させるインダクタンスを追加することが考えられるが、一般に、インダクタンスはコンデンサに比べ損失が大きいため、結局のところ、降圧型変圧器の一次巻線の巻数を減らして損失を増やしたことと同等である。すなわち、これらの手段では、電源装置の電力容量や効率の向上を図るうえで限界がある。
さらに、従来の電源装置は、降圧型変圧器の一次電圧が少なくとも1000Vrms以上になるため、追加する可変静電容量として耐電圧性能や誘電正接(tanδ)が良好な大型のコンデンサが必要になると共に、静電容量の制御を高圧側で行わなければならないという課題がある。
また、従来の電源装置は、降圧型変圧器の一次巻線の巻数を少なくとも数万回以上で巻回し、鉄損分を少なくとも100MΩ以上の抵抗値にしなければ、所望の電力を得ることができない。これに対し、浮遊静電容量に流れる充電電流との共振状態を成立させるためには、降圧型変圧器の一次側の励磁サセプタンス成分(インダクタンス)に流れる励磁電流として比較的大きな電流を流さなければならず、降圧型変圧器の一次巻線の巻数を減らす必要があり、所望の電力を得ることとは相反することになる。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、変圧器の鉄損の増加を抑制しつつ、変圧器の励磁サセプタンスに流れる励磁電流を増加させ、共振状態を成立させることができる電源装置を提供するものである。
この発明に係る電源装置においては、導体近傍に配設される誘導電極及び当該導体又は大地間の浮遊静電容量と、浮遊静電容量に対して並列に接続され、一次電圧を降圧させて二次電圧を出力する変圧器と、変圧器の二次側に二次巻線に対して並列に接続されるコンデンサと、変圧器の二次側の両端から引き出される出力部とを備え、変圧器のコアが、変圧器の励磁サセプタンスに流れる励磁電流を浮遊静電容量に流れる充電電流よりも大きくするように形成されるギャップを有し、浮遊静電容量及びコンデンサと変圧器の励磁サセプタンスによる並列回路を並列共振回路として、出力部から負荷に電力を供給するものである。
また、この発明に係る電源装置においては、必要に応じて、変圧器の二次側に二次巻線に対して並列に接続されるコンデンサを備え、コアのギャップが、変圧器の励磁サセプタンスに流れる励磁電流を浮遊静電容量に流れる充電電流よりも大きくするように形成され、浮遊静電容量及びコンデンサと変圧器の励磁サセプタンスとによる並列回路を並列共振回路として、出力部から負荷に電力を供給するものである。
また、この発明に係る電源装置においては、必要に応じて、コンデンサに対して負荷側に接続され、変圧器の二次側の電圧を測定する電圧測定部と、電圧測定部による測定結果に基づき、コンデンサの静電容量を調節する制御部と、を備えるものである。
さらに、この発明に係る電源装置においては、必要に応じて、コンデンサの静電容量の初期設定値が、制御部の起動前に、浮遊静電容量及びコンデンサと変圧器の励磁サセプタンスとによる並列回路における、コンデンサの静電容量を変化させた場合の共振曲線の共振ピーク近傍になるように、予め設定され、制御部の駆動に必要な電力を変圧器の二次側
から出力するものである。
また、この発明に係る電源装置においては、必要に応じて、制御部の制御信号に基づき、コンデンサ及び負荷間の電路を開閉するスイッチ部を備え、制御部が、コンデンサの静電容量を調節した後に、スイッチ部を投入するものである。
この発明に係る電源装置においては、導体近傍に配設される誘導電極及び当該導体又は大地間の浮遊静電容量と、浮遊静電容量に対して並列に接続され、一次電圧を降圧させて二次電圧を出力する変圧器と、変圧器の二次側に二次巻線に対して並列に接続されるコンデンサと、変圧器の二次側の両端から引き出される出力部とを備え、変圧器のコアが、変圧器の励磁サセプタンスに流れる励磁電流を浮遊静電容量に流れる充電電流よりも大きくするように形成されるギャップを有し、浮遊静電容量及びコンデンサと変圧器の励磁サセプタンスによる並列回路を並列共振回路として、出力部から負荷に電力を供給することにより、変圧器の一次巻線の巻数を変化させた場合における変圧器の励磁サセプタンスのインダクタンス値と鉄損分の抵抗値との関係において、変圧器の励磁サセプタンスのインダクタンス値が減少する割合に対して鉄損分の抵抗値が減少する割合を小さくし、鉄損の悪化を緩やかにして変圧器の励磁サセプタンスに流れる励磁電流を大きくすることができる。すなわち、変圧器の一次巻線の巻数を極端に減らすことなく、変圧器の励磁サセプタンスに流れる励磁電流と浮遊静電容量に流れる充電電流とを相殺させ、浮遊静電容量及び変圧器の励磁サセプタンスによる並列回路が並列共振回路をなし、負荷に対する電流の流入効率を向上させることができると共に、変圧器の一次側から見た負荷のインピーダンスを大きくすることができ、変圧器の一次電圧を効果的に高め、負荷に対する電力供給の効率を向上させることができ、電源装置の大容量化や高効率化を図ることができる。

また、この発明に係る電源装置においては、必要に応じて、変圧器の二次側に二次巻線に対して並列に接続されるコンデンサを備え、コアのギャップが、変圧器の励磁サセプタンスに流れる励磁電流を浮遊静電容量に流れる充電電流よりも大きくするように形成され、浮遊静電容量及びコンデンサと変圧器の励磁サセプタンスとによる並列回路を並列共振回路として、出力部から負荷に電力を供給することにより、並列共振状態にするために追加で必要になる電流成分は確実に充電電流となり、追加の充電電流に必要な静電容量を有するコンデンサを備えることで、励磁サセプタンスと浮遊静電容量及びコンデンサによる並列回路を並列共振状態にすることができる。すなわち、負荷に対する電流の流入効率を向上させることができると共に、一次側から見た負荷のインピーダンスを大きくすることができ、合成静電容量との分圧で生じる変圧器の一次電圧を効果的に高め、負荷に対する電力供給の効率を向上させることができる。また、低圧で使用できる小型のコンデンサが使用でき、電源装置の軽量化及び小型化を図ることができる。
また、この発明に係る電源装置においては、必要に応じて、コンデンサに対して負荷側に接続され、変圧器の二次側の電圧を測定する電圧測定部と、電圧測定部による測定結果に基づき、コンデンサの静電容量を調節する制御部と、を備えることにより、導体の大きさや導体及び誘導電極間の間隙が一定でないために、浮遊静電容量がある幅をもって変化するような場合であっても、並列共振状態に自動的に制御することが可能となり、並列共振させるためにコンデンサの静電容量を選択して取り付ける手間が不要になる。また、電圧測定部及び制御部の回路が変圧器の二次側に全て配置されることにより、高電圧での使用が許容されていない汎用性の高い回路素子を使用することができ、電源装置の低コスト化を図ることができる。
さらに、この発明に係る電源装置においては、必要に応じて、コンデンサの静電容量の初期設定値が、制御部の起動前に、浮遊静電容量及びコンデンサと変圧器の励磁サセプタンスとによる並列回路における、コンデンサの静電容量を変化させた場合の共振曲線の共振ピーク近傍になるように、予め設定され、制御部の駆動に必要な電力を変圧器の二次側
から出力することにより、共振曲線の共振ピークとなるコンデンサの静電容量でなくても、微弱な電力を制御部に供給することができる。このため、超省電力のマイクロコントローラなどを制御部に使用し、変圧器の二次側から出力される電源装置自体の電力により制御部を駆動して、浮遊静電容量、コンデンサ及び励磁サセプタンスの並列共振の制御を行ない、並列共振の不完全な状態から最適な並列共振状態までコンデンサの静電容量を順次増減させることが可能になる。すなわち、制御部を駆動するための一次電池や二次電池などの別電源を必要としない自立制御型の電源装置を得ることができる。
また、この発明に係る電源装置においては、必要に応じて、制御部の制御信号に基づき、コンデンサ及び負荷間の電路を開閉するスイッチ部を備え、制御部が、コンデンサの静電容量を調節した後に、スイッチ部を投入することにより、コンデンサの静電容量の調節前における負荷への電力の供給を遮断して負荷での電力の消費を抑止し、最低限必要な電力に対して静電誘導作用が比較的弱い場合であっても、制御部を即座に安定的に駆動できるようになり、最適な共振条件に到達させることができる。
(a)は三相三線式の架空電力線における浮遊静電容量を説明するための説明図であり、(b)は第1の実施形態における電源装置を架空電力線近傍に配設した状態を示す概略構成図であり、(c)はコアのギャップを説明するための説明図である。 (a)は図1(b)に示す電源装置の等価回路の一例を示す回路図であり、(b)は図2(a)に示す等価回路における並列回路を共振させた状態の等価回路を示す回路図である。 (a)は架空電力線に誘導電極を並設した場合の静電誘導を説明するための説明図であり、(b)は架空電力線に誘導電極を並設した場合の電流の損失を説明するための説明図であり、(c)は架空電力線に誘導電極を並設した場合の電圧の損失を説明するための説明図である。 (a)はコアにギャップがない一般的な変圧器の一次巻線を変化させた場合のインダクタンスと鉄損分抵抗との関係を示すグラフであり、(b)はコアのギャップを変化させた場合のインダクタンスと鉄損分抵抗との関係を示すグラフである。 (a)はコアのギャップが0.020mmである変圧器に1140Vの電圧を印加した場合の一次側電圧及び一次側電流の波形を示す波形図であり、(b)はコアのギャップが0.044mmである変圧器に1140Vの電圧を印加した場合の一次側電圧及び一次側電流の波形を示す波形図である。 (a)はコアのギャップが0.100mmである変圧器に1140Vの電圧を印加した場合の一次側電圧及び一次側電流の波形を示す波形図であり、(b)はコアのギャップが0.200mmである変圧器に1140Vの電圧を印加した場合の一次側電圧及び一次側電流の波形を示す波形図である。 (a)は図1(b)に示す電源装置の等価回路の他の例を示す回路図であり、(b)は図7(a)に示す等価回路における並列回路を共振させた状態の等価回路を示す回路図である。 (a)は他の電源装置の等価回路の一例を示す回路図であり、(b)は図8(a)に示す等価回路における並列回路を共振させた状態の等価回路を示す回路図である。 (a)は誘導電極に架空電力線を軸通させた場合の静電誘導を説明するための説明図であり、(b)は誘導電極に架空電力線を軸通させた場合の電流の損失を説明するための説明図であり、(c)は誘導電極に架空電力線を軸通させた場合の電圧の損失を説明するための説明図である。 (a)は図1(b)に示す電源装置における変圧器の二次側の概略構成を示すブロック図であり、(b)はコンデンサの静電容量を変化させた場合の共振曲線である。
(本発明の第1の実施形態)
架空電力線100は、図1(a)に示すように、架空電線路における三相三線式の各相電力線であり、三相三線の各線間の浮遊静電容量と各線及び大地300間の浮遊静電容量とが存在する。なお、図1(a)は、A相の架空電力線100a、B相の架空電力線100b及びC相の架空電力線100cにおいて、送電電圧が6600V(商用周波数60Hz)であり、A相及びB相の線間並びにB相及びC相の線間が0.65mである場合に、三相三線の各線間と各線及び大地300間とに生じる浮遊静電容量並びに静電誘導で流れる電流を示したものであり、架空電力線100の長さをいずれも1mと仮定して計算したものである。
以下、図1(b)に示すように、A相の架空電力線100a近傍において、本実施形態に係る電源装置の誘導電極20を、アーム30により電柱400の腕金401に取り付けた場合について、図1(b)に示す電源装置の等価回路の一例を示す図2(a)と、図2(a)に示す等価回路における並列回路を共振させた状態の等価回路を示す図2(b)とに基づいて説明する。
本実施形態に係る電源装置は、A相の架空電力線100aの近傍に配設(例えば、長手方向に延在する)誘導電極20と、誘導電極20及び大地300間の浮遊静電容量(以下、「誘導電極20の対地静電容量C0」と称す)と並列共振させる変圧器1(transformer:TR)を有する電源装置本体10と、電源装置本体10の入力側の一端(変圧器1の一次側の一端側)を誘導電極20に接続し、他端(変圧器1の一次側の他端側)を接地(電柱400の腕金401や装柱金具などに接続)するリードケーブルなどからなる入力部40と、電源装置本体10の出力側であり、負荷200に接続して電力を供給するためのリードケーブルなどからなる出力部50とを備えている。
誘導電極20の材質は、A相の架空電力線100a及び誘導電極20間の浮遊静電容量CAと、B相の架空電力線100b及び誘導電極20間の浮遊静電容量CBと、C相の架空電力線100c及び誘導電極20間の浮遊静電容量CCとを合成した静電容量(以下、「合成静電容量CN」と称す)に電荷を蓄えられるのであれば、アルミニウムなどの金属に限られるものではなく、導電性又は半導電性の合成樹脂を用いてもよい。なお、本実施形態においては、1本の長さが1.5mである2本のステンレスパイプを絶縁性の熱収縮チューブでそれぞれ被覆したものを用い、アーム30の左右にそれぞれ取り付けている。特に、架空電力線100が絶縁被覆を有するものであって、耐電圧性能を求められる場合には、誘導電極20を含めた電源装置の表面に電線と同等の絶縁被覆を施す必要がある。
電源装置本体10は、誘導電極20の対地静電容量C0と負荷200との間に並列に接続され、入力部40に入力される一次電圧を降圧し、二次電圧として、出力部50から負荷200側に出力する変圧器1を備える。
ここで、変圧器1において、第1の仮定として、磁束はすべて鉄心の中だけを通り両巻
線に鎖交すること、第2の仮定として、巻線の抵抗は無視できること、第3の仮定として、鉄損は無視できること、第4の仮定として、鉄心の飽和は無視できること、第5の仮定として、鉄心の透磁率が無限大で励磁電流も無視できること、の5つを仮定した仮想上の変圧器を理想変圧器1aという。
理想変圧器1aでは仮定により、磁束はすべて鉄心の中だけを通り両巻線に鎖交するものとした。しかし、実際の変圧器1では、一次及び二次の両巻線と鎖交する主磁束の他に、一次巻線とだけ鎖交し二次巻線と交わらない磁束と、二次巻線とだけ鎖交し一次巻線と交わらない磁束が存在し、これらは漏れ磁束という。
この漏れ磁束による起電力は、漏れ磁束のない理想変圧器1aの一次巻線及び二次巻線にそれぞれ直列に接続されたインダクタンスによって生じるリアクタンス電圧降下として取り扱うことができる。したがって、一次漏れリアクタンスをx1、二次漏れリアクタンスをx2とすれば、その影響を、図2(a)に示すように、理想変圧器1aの一次巻線及び二次巻線とそれぞれ直列に接続された漏れリアクタンスx1、x2として表わすことができる。
また、理想変圧器1aでは仮定により巻線の抵抗を無視したが、実際の変圧器では巻線に抵抗があるために、それによる電圧降下と銅損を伴う。したがって、一次巻線の抵抗をr1、二次巻線の抵抗をr2とすれば、その影響を、図2(a)に示すように、理想変圧器1aの一次巻線及び二次巻線とそれぞれ直列に接続された抵抗r1、r2として表わすことができる。
また、一次と二次の結合コイルを理想変圧器1aとするためには、図2(a)に示すように、一次コイルと並列に励磁電流の通路を設けてやればよい。この分路は鉄損電流の通路となる励磁コンダクタンスg0と磁化電流の通路となる励磁サセプタンスb0の並列回路からなる。
このように、図2(a)に示すように、変圧器1は、一次巻線の抵抗r1、一次漏れリアクタンスx1、励磁サセプタンスb0、励磁コンダクタンスg0、理想変圧器1a、二次巻線の抵抗r2及び二次漏れリアクタンスx2からなる等価回路で表わすことができる。
また、変圧器1における、一次巻線の抵抗r1及び一次漏れリアクタンスx1からなる合成インピーダンスZ1、並びに二次巻線の抵抗r2及び二次漏れリアクタンスx2からなる合成インピーダンスZ2は、わずかな電圧降下として作用するが、ここでの電圧降下は一般的には非常に小さく、回路に対する影響が少ないために無視することができる。
なお、変圧器1の励磁サセプタンスb0は、電源装置を配設する架空電力線100の種類と、誘導電極20の仕様と、誘導電極20及び架空電力線100間の間隙とが決まっているのであれば、誘導電極20の対地静電容量C0との並列共振の条件を満たすように、回路部品(変圧器1の一次巻線の巻数)を選定する。
ここで、電源装置が、誘導電極20の対地静電容量C0と並列共振させる変圧器1の励磁サセプタンスb0を備えることによる作用効果について、図2、図3(a)及び図3(b)を用いて説明する。
なお、以下の説明では、電圧V及び電流Iのベクトルを表す、文字の上に付けるドットを省略する。
まず、負荷200に供給される電力P(=電圧V×電流I)は、負荷200(負荷抵抗
R)に印加される電圧V0と、負荷200(負荷抵抗R)に流れる電流IRとの乗算により得られる。
これに対し、各相の架空電力線100からの充電電流は、図3(a)及び図3(b)に示すように、ベクトル合成されて、誘導電極20の対地静電容量C0と負荷抵抗Rとに充電電流IC0及び電流IRとして流れることになり、誘導電極20の対地静電容量C0に流れる充電電流IC0は損失になる。
そこで、誘導電極20の対地静電容量C0と変圧器1の励磁サセプタンスb0とで並列共振させて、誘導電極20の対地静電容量C0に流れる充電電流IC0を電気的に打ち消し、各相の架空電力線100からの充電電流をベクトル合成した全ての電流が負荷抵抗Rに流れるようにする(TR一次側の励磁サセプタンスによる並列共振)。
具体的には、誘導電極20の対地静電容量C0と変圧器1の励磁サセプタンスb0との並列共振の状態を作り出すことで、誘導電極20の対地静電容量C0に流れる充電電流IC0と変圧器1の励磁サセプタンスb0に流れる励磁電流Ib0(=−IC0)とを相殺させる。そして、誘導電極20の対地静電容量C0及び変圧器1の励磁サセプタンスb0の合成インピーダンスを無限大(∞)に保持することで、図2(b)に示すように、単純な等価回路とみなすことができる。
なお、変圧器1の一次巻線を数万回で巻回することにより、鉄損分抵抗R0(励磁コンダクタンスg0)に流れる電流IR0による損失を極めて小さくすることができる。
したがって、本実施形態に係る電源装置においては、負荷200にほぼ全ての電流が流れることになり、負荷200に対して電流の流入効率の良い電源装置となる。
つぎに、電源装置が変圧器1を備えることによる作用効果について、図2、図3(a)及び図3(c)を用いて説明する。
前述したように、負荷200に供給される電力Pは、負荷200(負荷抵抗R)に印加される電圧V0と、負荷200(負荷抵抗R)に流れる電流IRとの乗算により得られる。
これに対し、A相の架空電力線100a及び中性点(大地300)間の対地電圧VE(例えば、図1(a)の条件においては、VEが3810Vrmsである)は、図3(c)に示すように、誘導電極20の対地静電容量C0及び負荷抵抗Rに印加される電圧V0と各相の架空電力線100及び誘導電極20間の合成静電容量CNに印加される電圧VNとに分圧され、合成静電容量CNに印加される電圧VNは損失になる。
そこで、負荷抵抗Rを大きくし、負荷200(負荷抵抗R)に印加される電圧V0を大きくする(TRによるインピーダンス整合)。
ここで、変圧器1の一次巻線の巻数と二次巻線の巻数との巻数比を「a:1」にすると、変圧器1の二次巻線の抵抗r2は、一次側換算で「a2×r2」として作用し、電圧降下を生じるため、可能な限り、二次巻線の直径を太くすることが好ましい。
また、変圧器1の二次側の負荷抵抗Rは、一次側換算で「a2×R」として作用するため、誘導電極20の対地静電容量C0及び負荷抵抗Rに印加される電圧V0が、高電圧で安定することになる。
例えば、変圧器1の一次巻線の巻数と二次巻線の巻数との巻数比を「400:1」(a=400)とし、電源装置の出力部50に負荷抵抗Rが1kΩの負荷200を接続した場
合を想定する。
この場合に、一次側から見た負荷200のインピーダンスは、巻数比の二乗を乗じた値となるために、160MΩ(=4002×1kΩ)となり、非常に大きいことがわかる。
すなわち、変圧器1によるインピーダンス整合の作用で、負荷200における1kΩのインピーダンスを、160MΩのインピーダンスに変換している。
また、変圧器1の一次側には励磁コンダクタンスg0が存在するが、この値は非常に小さい(抵抗値では非常に大きい)。
したがって、一次側からみた負荷200のインピーダンスと励磁コンダクタンスg0との並列回路の合成インピーダンスは大きな値となり、合成静電容量CNとの分圧であっても、変圧器1の一次側に大きな電圧が印加されることになる。
なお、変圧器1を1個の変圧器により対処するには、励磁コンダクタンスg0を小さくするために、変圧器1の巻線比を所望の値に保持しつつ一次巻線の巻数を増加させる必要がある。このため、変圧器1の形状が大きくなりすぎて、架空電力線100近傍への配置において、支障が出る場合がある他に、鉄損の少ない特殊な材質のコアを使用することでコスト高になる場合がある。
そこで、量産性の高い小さな変圧器を、複数用いて直列に接続することで、電源装置を安価でコンパクトにでき、巻数比は一定のまま、励磁コンダクタンスg0を小さくすることができる。なお、本実施形態においては、1個の変圧器で変圧器1を構成している。
なお、本実施形態に変圧器1は、図1(c)に示すように、ギャップ2aが形成されたコア2を有し、このコア2のギャップ2aは、励磁サセプタンスb0に流れる励磁電流Ib0が誘導電極20の対地静電容量C0に流れる充電電流IC0よりも大きくなるように形成されている。
また、本実施形態に係る変圧器1のコア2は、例えば、一対の分割型フェライトコアを用い、フェライトコアの結合部分に、ポリエステルフィルムテープを貼着し、このポリエステルフィルムを介して、一対のフェライトコアを結合することで、ギャップ2aが形成される。
ここで、変圧器1のコア2にギャップ2aが形成されていることによる作用効果について、図4乃至図6を用いて説明する。
まず、コア2にギャップ2aが形成されていない変圧器1においては、所望の励磁サセプタンスb0のインダクタンス値にするために、一次巻線の巻数を増減させることが考えられる。
例えば、一般的な変圧器における特性を示すために行った実験として、変圧器1のコア2の材質が珪素鋼板であり、一次電圧が100Vrms(商用周波数50Hz)である条件下において、一次巻線の巻数を変化させ、変圧器1の一次側のインダクタンスL0(励磁サセプタンスb0)及び鉄損分抵抗R0(励磁コンダクタンスg0)の変化を確認する実験を行ったところ、下表1及び図4(a)に示す結果が得られた。
Figure 0005723590
図4(a)に示すように、変圧器1の一次側のインダクタンスL0(励磁サセプタンスb0)のインダクタンス値を半減すれば、鉄損分抵抗R0(励磁コンダクタンスg0)の抵抗値もほぼ半減(鉄損は倍増)する関係にあり、鉄損の増加を抑制しつつ、変圧器1の一次側のインダクタンスL0を減少させることにはならない。
これに対し、コア2にギャップ2aを形成した変圧器1(本実施形態に係る変圧器1)においては、例えば、変圧器1のコア2の材質がフェライトであり、一次巻線の巻数が約8万回であり、一次電圧が1140Vrms(商用周波数60Hz)である条件下において、コア2のギャップ2aを変化させ、変圧器1の一次側のインダクタンスL0(励磁サセプタンスb0)及び鉄損分抵抗R0(励磁コンダクタンスg0)の変化を確認する実験を行ったところ、下表2及び図4(b)に示す結果が得られた。
Figure 0005723590
図4(b)に示すように、コア2のギャップ2aを増加させると、変圧器1の一次側のインダクタンスL0(励磁サセプタンスb0)のインダクタンス値の低下量に対して、鉄損分抵抗R0(励磁コンダクタンスg0)の抵抗値の低下量は緩やかであり、変圧器1の一次側のインダクタンスL0(励磁サセプタンスb0)のインダクタンス値を効果的に低下できることがわかる。特に、0.050mm以下のギャップ2aであれば、鉄損分抵抗R0(励磁コンダクタンスg0)の抵抗値の低下の度合がより緩やかであることがわかる。すなわち、コア2のギャップ2aは、0.050mm以下であることが好ましい。なお、コア2は、ギャップ2aが小さくなるほど、コア断面の表面粗さの影響を受け易くなるため、インダクタンスL0(励磁サセプタンスb0)のインダクタンス値にばらつきが生じる。特に、コア2のギャップ2aが0.020mmより小さい場合には、インダクタンスL0
インダクタンス値の設定が困難になるため、コア2のギャップ2aは、0.020mm以上であることが好ましい。
また、誘導電極20の対地静電容量C0に流れる充電電流IC0をインダクタンスL0に流れる励磁電流Ib0で相殺するためには、インダクタンスL0のインダクタンス値が概ね数十kH以下であることが好ましい。しかしながら、表2に示すように、「ギャップなし」の場合には、鉄損を十分に抑制するために一次巻線の巻数を約8万回にすると、インダクタンスL0のインダクタンス値が100kHを超えており、このままでは、誘導電極20の対地静電容量C0及びインダクタンスL0の並列共振を成立させることは不可能である。
したがって、「ギャップなし」の場合には、鉄損の極めて少ない高価なコア材を使用するか、ある程度の鉄損の発生を認めざるを得ないという問題点がある。
これに対し、コア2にギャップ2aを形成することは、インダクタンスL0のQ(Quality factor:共振の鋭さを表す値)を向上させる効果があり、インダクタンスL0(励磁サセプタンスb0)のインダクタンス値を調整する手段として効果的である。
なお、図5及び図6に示すように、変圧器1の一次側の励磁サセプタンスb0及び励磁コンダクタンスg0に流れる一次側電流を記録した波形によれば、コア2のギャップ2aが0.020mm〜0.200mmの範囲において、一次側電流の波形が正弦波状に保持されており、位相が反転した同じ正弦波となる充電電流IC0との相殺を精度よく行うことができる。
以上のように、本実施形態に係る電源装置においては、インダクタンスL0(変圧器1の励磁サセプタンスb0)と誘導電極20の対地静電容量C0とを並列共振の状態にして、これらの合成インピーダンスを無限大(∞)に保持することにより、励磁コンダクタンスg0及び理想変圧器1aに生じる高い電圧V0を得ることができると共に、誘導電極20の対地静電容量C0側に流れる充電電流IC0を相殺して、負荷200に対する電流IRの流入効率を向上させることができる。また、変圧器1によるインピーダンス整合により、負荷200に対して大きな電圧V0を印加することができる。
特に、本実施形態に係る電源装置においては、電源装置本体10の回路素子が変圧器1のみからなる単純な回路構成であるために、架空電力線100に取り付けるには、現実的な大きさ及び重量であるうえに、計測機器などの消費電力が比較的小さな負荷200であれば連続的に電力を供給することができる。
なお、電源装置本体10は、図7に示すように、変圧器1の二次巻線と負荷200との間に固定コンデンサCfを並列に接続させ、誘導電極20の対地静電容量C0に対して並列に接続される変圧器1及び固定コンデンサCfからなる回路構成としてもよい。
ここで、誘導電極20の対地静電容量C0は、架空電力線100の太さや、誘導電極20の大きさや、誘導電極20及び架空電力線100間の間隙などに影響されて様々な値になるが、このような個々の場合に対応するため、コア2のギャップ2aの異なるインダクタンスL0(変圧器1)を各種用意することは合理的ではない。
これに対し、想定される誘導電極20の対地静電容量C0の範囲を予め把握しておき、誘導電極20の対地静電容量C0に流れる充電電流IC0の最大値を超えるインダクタンスL0に流れる励磁電流Ib0(インダクタンスL0(励磁サセプタンスb0)のインダクタンス値)になるように(|Ib0|>|IC0|)、コア2のギャップ2aを設定する。これにより、誘導電極20の対地静電容量C0とインダクタンスL0(励磁サセプタンスb0)と
の並列共振状態にするために追加で必要になる電流成分は確実に充電電流となる。そして、追加の充電電流ICfに必要な静電容量を有する固定コンデンサCfを変圧器1の二次巻線と負荷200との間に接続することで、誘導電極20の対地静電容量C0、固定コンデンサCf及びインダクタンスL0(励磁サセプタンスb0)による並列回路を並列共振状態にすることができる(|Ib0|=|IC0|+|ICf|)。
なお、固定コンデンサCfの替わりに、可変コンデンサや、架空電力線100に対する電源装置の装着時に1度だけ調節して後は変更しない半固定コンデンサを用いてもよい。
また、コンデンサ(固定コンデンサCf、可変コンデンサ、半固定コンデンサ)を変圧器1の一次側に接続する場合には、高圧用のコンデンサを用いる必要があり、この高圧用のコンデンサの耐電圧性能や誘電正接(tanδ)を良好に保つために、コンデンサが大型化する傾向にある。特に、可変コンデンサを変圧器1の一次側に接続する場合には、可変コンデンサの静電容量の増減の制御を高圧側で行わなくてはならない。そこで、本実施形態に係る電源装置においては、コンデンサ(固定コンデンサCf、可変コンデンサ、半固定コンデンサ)を変圧器1の二次側に接続することで、低圧で使用できる小型のコンデンサを使用することができ、制御回路も低圧で駆動できるため、電源装置の軽量化及び小型化を図ることができる。
なお、本実施形態においては、アーム30により電柱400の腕金401に誘導電極20を取り付ける構造(以下、「アーム取付型」と称す)について説明したが、架空電力線100を軸通させて架空電力線100に誘導電極20を装着する構造(以下、「電線装着型」と称す)であってもよい。また、アーム取付型及び電線装着型のいずれの場合も、電気機器内部の導体に対して取り付けてもよい。
この電線装着型は、誘導電極20が架空電力線100を所定の長さに亘り内包する筒状導体であり、電源装置本体10の入力側の一端(変圧器1の一次側の一端側)が誘導電極20に接続され、他端(変圧器1の一次側の他端側)が架空電力線100に接続されることになる。
この構成により、アーム取付型における図2(a)、図2(b)、図3(a)、図3(b)及び図3(c)は、電線装着型において、図8(a)、図8(b)、図9(a)、図9(b)及び図9(c)に、それぞれ置き換えて考えることになる。
なお、図9(a)に示す誘導電極20は、三相三線の各線間と各線及び大地300間とに生じる浮遊静電容量を分かり易くするために、棒状導体で図示しているが、実際は、A相の架空電力線100aを所定の長さに亘り内包する筒状導体である。
また、図8及び図9において、合成静電容量CN’は、誘導電極20の対地静電容量C0と、B相の架空電力線100b及び誘導電極20間の浮遊静電容量CBと、C相の架空電力線100c及び誘導電極20間の浮遊静電容量CCとを合成した静電容量である。
また、図8及び図9において、充電電流ICAは、A相の架空電力線100a及び誘導電極20間の浮遊静電容量CAに流れる電流であり、電圧VAは、A相の架空電力線100a及び誘導電極20間の浮遊静電容量CA及び負荷抵抗Rに印加される電圧である。
そして、電線装着型は、アーム取付型と同様に考えると、A相の架空電力線100a及び誘導電極20間の浮遊静電容量CAに流れる充電電流ICAが損失になるため、浮遊静電容量CAとインダクタンスL0(励磁サセプタンスb0)とで並列共振させることで、アーム取付型と同様の作用効果を奏することができる。
また、電線装着型は、アーム取付型と同様に考えると、合成静電容量CN’に印加される電圧VN’が損失になるため、変圧器1による一次側換算で負荷抵抗Rを大きくすることで、アーム取付型と同様の作用効果を奏することができる。
(本発明の第2の実施形態)
図10(a)は図1(b)に示す電源装置における変圧器の二次側の概略構成を示すブロック図であり、図10(b)はコンデンサの静電容量を変化させた場合の共振曲線である。図10において、図1乃至図9と同じ符号は、同一又は相当部分を示し、その説明を省略する。
静電容量調整部61は、変圧器1の二次巻線と負荷200との間に並列に接続させるコンデンサ(複数の固定コンデンサ、可変コンデンサ、半固定コンデンサ)の静電容量を調整する回路である。
なお、本実施形態に係る静電容量調整部61は、並列接続する複数の固定コンデンサCf(Cf1、Cf2、Cf3、・・・、Cfn:nは自然数)と、各固定コンデンサCfにそれぞれ直列接続する複数の接点S(S1、S2、S3、・・・、Sn:nは自然数)とからなり、接点Sの開閉により、一又は複数の固定コンデンサCfを適宜組み合わせて、静電容量を調整する回路である。
また、本実施形態に係る複数の固定コンデンサCfは、0.5μFの固定コンデンサCf1と、1μFの固定コンデンサCf2と、2μFの固定コンデンサCf3と、4μFの固定コンデンサCf4と、8μFの固定コンデンサCf5とから構成している。しかしながら、複数の固定コンデンサCfは、これらの静電容量の固定コンデンサに限れるものではなく、静電容量が全て同一の複数の固定コンデンサを使用することや、静電容量が同一の複数の固定コンデンサを並列に接続して合成した合成コンデンサを一の固定コンデンサとして静電容量が全て異なる複数の固定コンデンサを使用してもよい。
整流部62は、静電容量調整部61の後段(負荷200側)に接続され、変圧器1から出力される交流電力を直流電力に変換する整流回路であり、4個のダイオードを用いて単相交流を全波整流する(単相ブリッジ整流)。なお、整流部62は、必ずしも必要ではないが、後述する制御部66のマイクロコントローラが直流駆動であるために、制御部66の前段(変圧器1側)に配設する。
保護回路63は、整流部62の後段(負荷200側)に接続され、整流部62から入力される直流電圧の過電圧を抑制する回路であり、ツェナーダイオードから構成される。
第1のDC/DCコンバータ64は、保護回路63を介して入力される直流電圧を制御部66を駆動するのに適した安定した電圧に変換し、制御部66に供給するスイッチング電源である。
電圧測定部65は、保護回路63の後段(負荷200側)であり、複数の固定コンデンサCfからなるコンデンサ(以下、単に、「コンデンサ」と称す)に対して負荷200側に接続され、変圧器1の二次側の電圧に伴って増減する直流電圧を測定し、制御部66に出力する。なお、本実施形態に係る電圧測定部65は、整流部62から印加される電圧を2つの抵抗で分圧して、一の抵抗に掛かる電圧を測定する。
制御部66は、電圧測定部65による測定結果に基づき、一の抵抗に掛かる電圧が最大(誘導電極20の対地静電容量C0、コンデンサ及び励磁サセプタンスb0が並列共振の状態)となるように、静電容量調整部61の接点Sの開閉を制御して、静電容量調整部61
の一又は複数の固定コンデンサCfを適宜組み合わせ、コンデンサの静電容量を調節するマイクロコントローラである。
また、制御部66は、変圧器1の二次側から出力される交流電力が、整流部62により直流電力に変換され、第1のDC/DCコンバータ64により安定化された直流電圧で駆動する。
なお、コンデンサの静電容量の初期設定値は、制御部66の起動前に、図10(b)に示すように、共振曲線の共振ピークになる静電容量C1に設定することが、変圧器1の二次側から出力される電力Pを最大(Pmax)にできるために最も好ましいのであるが、共振曲線の共振ピークを基準として所定の幅ΔCを有する静電容量の範囲内(C1−ΔC≦C1+ΔC)であれば、制御部66の駆動に必要な最低限の電力P1以上が得られるため、この範囲内で設定してもよい。具体的には、制御部66の起動前に、接点Sのうちいずれか1個又は複数個を閉じた状態として、適切な初期設定値となるように接点Sを選択すればよい。
これにより、共振曲線の共振ピークとなるコンデンサの静電容量でなくても、微弱な電力を制御部66に供給することができる。このため、超省電力のマイクロコントローラなどを制御部66に使用し、変圧器1の二次側から出力される電源装置自体の電力により制御部66を駆動して、誘導電極20の対地静電容量C0、コンデンサ及び励磁サセプタンスb0の並列共振の制御を行ない、並列共振の不完全な状態から最適な並列共振の状態になるまでコンデンサの静電容量を順次増減させることが可能になる。すなわち、制御部66を駆動するための一次電池(例えば、乾電池)や二次電池(例えば、太陽電池)などの別電源を必要とせず、電池交換などのメンテナンスを不要とする自立制御型の電源装置を得ることができる。
また、制御部66は、コンデンサの静電容量を調節した後に、後述するスイッチ部67を投入する。これにより、コンデンサの静電容量の調節前における負荷200への電力の供給を遮断して負荷200での電力の消費を抑止し、最低限必要な電力に対して静電誘導作用が比較的弱い場合であっても、制御部66を即座に安定的に駆動できるようになり、最適な共振条件に到達させることができる。
スイッチ部67は、電圧測定部65及び第1のDC/DCコンバータ64の後段(負荷200側)であって、第2のDC/DCコンバータ68より前段(変圧器1側)に接続され、制御部66の制御信号に基づき、コンデンサ及び負荷200間の電路を開閉する。
第2のDC/DCコンバータ68は、直流電圧を負荷200の駆動に適した安定した電圧に変換し、負荷200に供給するスイッチング電源である。
この第2の実施形態においては、変圧器1の二次側に接続したコンデンサを制御するところのみが第1の実施形態と異なるところであり、コンデンサの制御による作用効果以外は、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
本実施形態に係る電源装置は、電源装置自体の電力により並列共振状態に自動的に制御することが可能となり、導体の大きさや導体及び誘導電極20間の間隙が一定でないために、誘導電極20の対地静電容量C0がある幅をもって変化するような場合であっても、並列共振させるためにコンデンサの静電容量を選択して取り付ける手間が不要になると共に、電圧測定部65及び制御部66などの回路が変圧器1の二次側に全て配置されることにより、汎用性の高い回路素子を使用することができ、電源装置の低コスト化を図ることができる。
また、誘導電極20の対地静電容量C0との並列共振の条件を満たすような、変圧器1の一次巻線の巻数を厳密に選定する必要がなく、電源装置を装着する架空電力線100の様々な種類や様々な取り付け形態に対応することができる。特に、負荷200の消費電力に応じて誘導電極20の長さを変更した場合であっても、コンデンサの静電容量を調節して並列共振の条件を保持することができる。
1 変圧器
1a 理想変圧器
2 コア
2a ギャップ
10 電源装置本体
20 誘導電極
30 アーム
40 入力部
50 出力部
61 静電容量調整部
62 整流部
63 保護回路
64 第1のDC/DCコンバータ 65 電圧測定部
66 制御部
67 スイッチ部
68 第2のDC/DCコンバータ
100,100a,100b,100c 架空電力線
200 負荷
300 大地
400 電柱
401 腕金

Claims (4)

  1. 導体近傍に配設される誘導電極及び当該導体又は大地間の浮遊静電容量と、
    前記浮遊静電容量に対して並列に接続され、一次電圧を降圧させて二次電圧を出力する変圧器と、
    前記変圧器の二次側に二次巻線に対して並列に接続されるコンデンサと、
    前記変圧器の二次側の両端から引き出される出力部と、
    を備え、
    前記変圧器のコアが、前記変圧器の励磁サセプタンスに流れる励磁電流を前記浮遊静電容量に流れる充電電流よりも大きくするように形成されるギャップを有し、
    前記浮遊静電容量及びコンデンサと前記変圧器の励磁サセプタンスによる並列回路を並列共振回路として、前記出力部から負荷に電力を供給することを特徴とする電源装置。
  2. 前記請求項1に記載の電源装置において、
    前記コンデンサに対して負荷側に接続され、前記変圧器の二次側の電圧を測定する電圧測定部と、
    前記電圧測定部による測定結果に基づき、前記コンデンサの静電容量を調節する制御部と、
    を備えることを特徴とする電源装置。
  3. 前記請求項2に記載の電源装置において、
    前記コンデンサの静電容量の初期設定値が、前記制御部の起動前に、前記浮遊静電容量及びコンデンサと前記変圧器の励磁サセプタンスとによる並列回路における、前記コンデンサの静電容量を変化させた場合の共振曲線の共振ピーク近傍になるように、予め設定され、前記制御部の駆動に必要な電力を前記変圧器の二次側から出力することを特徴とする電源装置。
  4. 前記請求項3に記載の電源装置において、
    前記制御部の制御信号に基づき、前記コンデンサ及び負荷間の電路を開閉するスイッチ部を備え、
    前記制御部が、前記コンデンサの静電容量を調節した後に、前記スイッチ部を投入することを特徴とする電源装置。
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