〔実施の形態1〕
以下、本発明の一実施形態について図1〜図13を参照して説明する。図2は、本実施形態の電子機器の概略構成を示している。この電子機器10の例としては、携帯電話機、電子辞書、携帯型通信端末などの携帯型電子機器が挙げられるが、本発明は、LCD(Liquid Crystal Display)ユニット(液晶表示装置)を備えた任意の電子機器に適用することができる。
図2に示すように、電子機器10は、メインコントローラ(主制御装置)11、記憶ユニット12、操作ユニット13、およびLCDユニット(表示装置)14を備える構成である。
メインコントローラ11は、電子機器10内の各種ユニットを統括的に制御するものである。メインコントローラ11の機能は、例えばRAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリなどの記憶装置に記憶されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)が実行することによって実現される。
本実施形態では、メインコントローラ11は、LCDユニット14に、メイン画像およびサブ画像の画像データ、各種指示などを送信している。ここで、サブ画像は、覗き見防止などの目的で、メイン画像を隠蔽するためにメイン画像に重畳される画像をいう。なお、サブ画像としては、或る階調値が偏在している画像よりも、複数の階調値が混在している画像の方が、メイン画像を隠蔽する度合が高いので望ましい。
記憶ユニット12は、各種データおよびプログラムを記憶するものである。記憶ユニット12の例としては、メインコントローラ11が動作するときに必要なプログラム、通信制御データ等の固定データを記憶する読出し専用の半導体メモリであるROM(Read Only Memory)と、バーコード認識や通信に関するデータ、演算に使用するデータ及び演算結果等を一時的に記憶するいわゆるワーキングメモリとしてのRAMとが挙げられる。本実施形態では、記憶ユニット12は、LCDユニット14での表示に利用される各種の画像データを記憶している。
操作ユニット13は、入力デバイスをユーザが操作することにより、操作データを作成してメインコントローラ11に送信するものである。入力デバイスの例としては、マウスなどのポインティングデバイス、キーボード、テンキー、カーソルキー、ボタンスイッチ、およびタッチパネルが挙げられる。
LCDユニット14は、メインコントローラ11から画像データを受信し、受信した画像データに基づいて画像を表示するものである。LCDユニット14は、LCDモジュール22およびLCDコントローラ(表示制御装置)21を備える構成である。
LCDモジュール22は、表示用画像の画像データに基づいて表示素子に文字、記号、図形などの画像を表示させる機能単位であり、表示画素がマトリクス状に配列されたマトリクス型のLCD素子(液晶表示素子)と、該LCD素子を駆動する駆動回路とを備えるものである。上記LCD素子は、光源からの入射光の輝度を空間的に変調する空間的輝度変調によって画像を表示するものである。なお、上記LCD素子の構成は、公知であるので、その説明を省略する。また、画像には、静止画像および動画像が含まれる。
LCDコントローラ21は、LCDモジュール22を制御するものである。具体的には、LCDコントローラ21は、上記表示用画像の画像データをLCDモジュール22に送信すると共に、LCDモジュール22を表示制御するための種々の制御信号を送信している。この制御信号の例としては、垂直同期信号、水平同期信号、表示用画像の画像データをLCD素子の各表示画素に転送するための転送クロック信号などが挙げられる。
本実施形態では、LCDモジュール22のLCD素子の表示画面から該表示画面の法線方向に存在する領域(以下、この領域を「軸上の領域」と称する。)Aonに位置する軸上観察者Vonは、メイン画像を視認するようになっている。一方、上記表示画面を視認可能な領域であって、上記軸上の領域以外の領域(以下、この領域を「軸外の領域」と称する。)Aoffに位置する軸外観察者Voffは、メイン画像とサブ画像とが合成された画像を視認するようになっている。この原理について以下に説明する。
本実施形態では、LCDモジュール22の軸上の領域Aonに位置する軸上観察者Vonは、メイン画像を視認するようになっている。一方、LCDモジュール22の軸外の領域Aoffに位置する軸外観察者Voffは、メイン画像とサブ画像とが合成された画像を視認するようになっている。
この原理について、図3および図4を参照して説明する。図3は、LCDモジュール22において、入力されるデータ値と、出力される光の輝度との関係(ガンマ特性)の一例を示すグラフである。図示のグラフにおいて、横軸は上記データ値(0〜255)であり、縦軸は輝度率である。該輝度率は、上記輝度を、軸上の領域Aonへ出力される光の輝度の最大値に対する比率で示すものである。また、上記グラフにおいて、曲線C1は、軸上の領域Aonへ出力される光の特性曲線(以下、この特性曲線を「軸上の特性曲線」と称する。)であり、曲線C2は、軸外の領域Aoffへ出力される光の特性曲線(以下、この特性曲線を「軸外の特性曲線」と称する。)である。
図3を参照すると、軸外の領域Aoffへ出力される光の輝度は、軸上の領域Aonへ出力される光の最大輝度の50%未満となっている。このため、軸外観察者Voffは、軸上観察者Vonに比べて暗い表示画面を視認することになる。
さらに、軸上および軸外の特性曲線C1・C2は、データ値が0のときに輝度率が0%である点と、単調増加する点で同じである。しかしながら、軸上の特性曲線C1の傾き(データ値に対する輝度率の変化率)は、データ値が0のときに低いが、データ値が増加するにつれて上昇する一方、軸外の特性曲線C2の傾きは、データ値が0のときに高いが、データ値が増加するにつれて低下する点で異なる。
図4は、隣接する4つの画素のそれぞれについて、データ値と、該データ値に応じて軸上および軸外の領域Aon・Aoffへそれぞれ出力される光の上記輝度率(以下、それぞれの輝度率を「軸上の輝度率」および「軸外の輝度率」と称する。)とを示している。同図の(a1)および(b1)には、隣接する4つの画素からなる画素群のデータ値の組合せ例がそれぞれ示されている。同図の(a1)では、4つの画素のデータ値を189とし、同図の(b1)では、2つの画素のデータ値を0、残りの2つの画素のデータ値を255とし、上下および左右に隣接する画素が互いに異なるデータ値となるように配置している。
図4の(a2)および(b2)には、(a1)および(b1)に対応する軸上の輝度率が示されている。同図の(a2)における軸上の輝度率の平均値と、同図の(b2)における軸上の輝度率の平均値とは、いずれも50%である。
一般に、観察者は、表示素子から離れるに従って、該表示素子における隣接する画素同士が判別し難くなり、ついには判別できなくなる。このとき、観察者は、上記隣接する画素における輝度の平均値を知覚することになる。従って、軸上観察者Vonは、図4の(a2)の画素群と、同図の(b2)における画素群とを同じ明るさに視認することになる。
一方、図4の(a3)および(b3)には、(a1)および(b1)に対応する軸外の輝度率が示されている。同図の(a3)における軸外の輝度率の平均値は39%であり、同図の(b3)における軸外の輝度率の平均値は20%である。従って、軸外観察者Voffは、同図の(a3)の画素群に比べて、同図の(b3)における画素群を暗く視認することになる。
このことから、隣接する画素からなる画素群に関して、データ値を適当に変調することにより、軸上観察者Vonが視認する明るさを変更することなく、軸外観察者Voffが視認する明るさを変更できることが理解できる。従って、メイン画像のデータ値を、サブ画像のデータ値に基づいて変調することにより、軸上観察者Vonにはメイン画像を視認させ、軸外観察者Voffにはメイン画像とサブ画像とが合成された画像を視認させることができる。
具体的には、図5の(a)は、メイン画像Mの一例を示しており、同図の(b)は、サブ画像Sの一例を示している。そして、図6は、メイン画像Mが、図3に示す軸上の特性曲線C1と軸外の特性曲線C2との対応関係と、サブ画像Sとに基づいて変調され、変調された画像がLCDモジュール22に表示される場合に、軸上観察者Vonが視認する正面視の画像Fvと、軸外観察者Voffが視認する側面視の画像Svとを示している。図示のように、軸上観察者Vonはメイン画像Mを視認する一方、軸外観察者Voffはメイン画像Mとサブ画像Sとが合成された画像を視認することになる。
なお、以下では、メイン画像Mの画像データを、説明の簡略化のため、グレースケールの画像データとしているが、白黒の2値の画像データにも適用できるし、R(赤)・G(緑)・B(青)の多階調の画像データにも適用できる。
ところで、変調後のデータ値は、変調前のデータ値から加算または減算された値となる。また、変調後のデータ値は、元のデータ値と同様に、下限値が0であり、上限値が255である。従って、変調前のデータ値は、元のデータ値の範囲(0〜255)よりも狭い範囲となるように、元のデータ値から圧縮されたものとなる。このため、変調前および変調後のデータ値に対応する軸上の輝度率の平均値は、元のデータ値に対応する軸上の輝度率の平均値に比べて、範囲が狭くなる。すなわち、LCDモジュール22の表示品質が低下することになる。
そこで、本実施形態では、メイン画像の領域のうち、狭視野角で表示すべき領域を指定し、指定された領域である指定領域のみを上記対応関係とサブ画像とに基づいて変調している。具体的には、図7の(a)は、メイン画像Mの別の例を示しており、同図の(b)は、サブ画像Sの別の例を示しており、同図の(c)は、メイン画像Mにおける指定領域Saの一例を示している。図示の例では、メイン画像Mにおける文字Bを狭視野角で表示すべきとして、文字Bを覆う領域を指定領域Saとしている。
本実施形態では、図7の(a)に示すメイン画像Mのうち、同図の(c)に示す指定領域Saが、上記対応関係と同図の(b)に示すサブ画像Sとに基づいて変調され、その他の領域が変調されない画像が作成される。図8は、当該画像がLCDモジュール22に表示される場合の正面視の画像Fvおよび側面視の画像Svを示している。
図8に示すように、軸上観察者Vonは、メイン画像Mを視認するが、指定領域Saでは他の領域よりも暗い画像を視認することになる。しかしながら、一部が暗くなるのみであるので、全体が暗くなる場合に比べて、表示品質の低下を軽減することができる。
一方、軸外観察者Voffは、メイン画像Mを視認するが、指定領域Saでは他の領域よりも暗くかつサブ画像Sが合成された画像を視認する。すなわち、指定領域Saでは狭視野角となっている。従って、軸上観察者Vonは、指定領域Saが他の領域よりも表示品質が低下していることを視認することにより、指定領域Saで狭視野角となっていることを把握することができる。
次に、メインコントローラ11およびLCDコントローラ21の詳細について、図1および図9を参照して説明する。図9は、メインコントローラ11の概略構成を示している。図示のように、メインコントローラ11は、サブ画像設定部31、アプリケーション実行部32、メイン画像作成部(メイン画像作成手段)33、および指定領域決定部(指定領域決定手段)34を備える構成である。
サブ画像設定部31は、記憶ユニット12に記憶された画像からサブ画像Sを設定するものである。サブ画像設定部31は、設定されたサブ画像Sの画像データをLCDコントローラ21に送信する。なお、サブ画像Sの設定は、自動的に行われてもよいし、ユーザが操作ユニット13を介して操作することにより行われてもよい。また、サブ画像設定部31は、動画および静止画の選択、配色パターン、回転量、反転の有無、および拡縮率など、サブ画像Sに関する各種の設定を行って、LCDコントローラ21に送信してもよい。
アプリケーション実行部32は、電話、電子メール、ブラウザなどのアプリケーションを実行するものである。具体的には、アプリケーション実行部32は、記憶ユニット12に記憶されたアプリケーションプログラムを読み出して実行するものである。アプリケーション実行部32は、LCDユニット14にて画像を表示させたい場合、メイン画像作成部33に指示を行う。
メイン画像作成部33は、アプリケーション実行部32からの指示に基づき、記憶ユニット12に記憶された各種画像データを利用して、メイン画像Mを作成するものである。メイン画像作成部33は、作成したメイン画像Mの画像データをLCDコントローラ21に送信する。
指定領域決定部34は、各種の情報から指定領域Saを決定するものである。指定領域決定部34は、決定した指定領域Saの情報をLCDコントローラ21に送信する。指定領域Saとしては、狭視野角で表示することが望ましい任意の領域を設定することができる。なお、指定領域Saの具体例については後述する。
図1は、LCDコントローラ21の概略構成を示している。LCDコントローラ21は、制御信号生成部40、メイン画像用メモリ(メイン画像取得手段)41、サブ画像用メモリ(サブ画像取得手段)42、表示用画像作成部(表示用画像作成手段)43、指定領域取得部(表示用画像作成手段、指定領域取得手段)44、および画像指示部(表示用画像作成手段)45を備える構成である。
制御信号生成部40は、LCDモジュール22にて画像を表示するタイミングを制御する、同期信号などの各種制御信号を生成するものである。制御信号生成部40は、生成した制御信号をLCDモジュール22に送信する。
メイン画像用メモリ41は、メインコントローラ11からのメイン画像Mの画像データを取得して記憶するフレームバッファである。また、サブ画像用メモリ42は、メインコントローラ11からのサブ画像Sの画像データを取得して記憶するものである。
表示用画像作成部43は、メイン画像用メモリ41から読み出したメイン画像Mの画像データを用いて、表示用画像の画像データを作成するものである。表示用画像作成部43は、作成した表示用画像の画像データをLCDモジュール22に送信する。
さらに、表示用画像作成部43は、上述のように、図3に示す軸上の特性曲線C1と軸外の特性曲線C2との対応関係と、サブ画像用メモリ42から読み出したサブ画像Sの画像データとに基づいて、メイン画像Mの画像データを狭視野角の画像データに変調する画像変調部(画像変調手段)51を備えている。なお、表示用画像作成部43の動作は、制御信号生成部40が生成する制御信号に基づいて行われる。
指定領域取得部44は、メインコントローラ11からの指定領域Saの情報を取得するものである。指定領域取得部44は、取得した指定領域Saの情報を画像指示部45に送信する。なお、指定領域取得部44は、指定領域Saの情報を1フレームごとに取得してもよいし、適当なタイミングで取得してもよい。
画像指示部45は、指定領域取得部44からの指定領域Saの情報を用いて、表示用画像における指定領域Saの画像データが、画像変調部51が変調した画像データとなり、表示用画像における指定領域Sa以外の領域の画像データが、メイン画像Mの画像データとなるように、表示用画像作成部43に指示するものである。なお、画像指示部45の動作は、制御信号生成部40が生成する制御信号に基づいて行われる。
次に、表示用画像作成部43および画像指示部45の詳細について説明する。図1に示すように、表示用画像作成部43は、上述の画像変調部51、LUT(Look Up Table)52、および画像選択部(画像選択手段)53を備える構成である。また、画像指示部45は、画素位置取得部(画素位置取得手段)54および領域判定部(領域判定手段)55を備える構成である。
LUT52は、図3に示す軸上の特性曲線C1と軸外の特性曲線C2との対応関係に基づき作成されるものであり、メイン画像Mの画像データのデータ値(以下、「メイン画像Mのデータ値」と略称する。)と、サブ画像Sの画像データのデータ値(以下、「サブ画像Sのデータ値」と略称する。)と、変調の度合(スプリットパラメータ)とを対応付けたものである。
従って、画像変調部51は、以下のように動作する。すなわち、まず、メイン画像用メモリ41からメイン画像Mのデータ値を取得すると共に、サブ画像用メモリ42からサブ画像Sのデータ値を取得する。次に、取得したメイン画像Mおよびサブ画像Sのデータ値に対応する変調の度合をLUT52から探索する。そして、探索された変調の度合に基づいて、メイン画像Mの画像データを変調し、変調されたメイン画像Mの画像データを画像選択部53に送出する。
画像選択部53は、画像指示部45からの指示に基づき、メイン画像用メモリ41からのメイン画像Mの画像データと、画像変調部51からの変調されたメイン画像Mの画像データとの何れかを選択するものである。画像選択部53は、選択した画像データを表示用画像の画像データとしてLCDモジュール22に送信する。
画素位置取得部54は、制御信号生成部40からの制御信号を用いて、画像選択部53が次にLCDモジュール22に送信すべき画像データの画素位置を取得するものである。画素位置取得部54は、取得した画素位置の情報を領域判定部55に送出する。
領域判定部55は、指定領域取得部44からの指定領域Saの情報と、画素位置取得部54からの画素位置の情報とを用いて、上記画素位置が指定領域Saに含まれるかを判定するものである。領域判定部55は、上記画素位置が指定領域Saに含まれると判定した場合、画像変調部51が変調したメイン画像Mの画像データを選択するように画像選択部53に指示する一方、上記画素位置が指定領域Saに含まれないと判定した場合、メイン画像用メモリ41からのメイン画像Mの画像データを選択するように画像選択部53に指示する。
次に、上記構成のLCDコントローラ21における処理動作について、図10を参照して説明する。図10は、LCDコントローラ21が1フレーム分の表示用画像の画像データをLCDモジュール22に送信する処理の流れを示している。
図10に示すように、まず、指定領域取得部44は、メインコントローラ11から指定領域Saの情報を取得する(ステップS11(以下「S11」と略称することがある。他のステップについても同様である。))。なお、メインコントローラ11が指定領域Saの情報を送信しない場合、このステップS11は省略される。
次に、画素位置取得部54は、制御信号生成部40からの制御信号を用いて、次に送信すべき表示用画像の画像データの画素位置を取得する(S12)。次に、領域判定部55は、上記画素位置が指定領域Saに含まれるか否かを判断する(S13)。
上記画素位置が指定領域Saに含まれる場合、画像選択部53は、画像変調部51が変調したメイン画像Mの画像データを選択して、LCDモジュール22に送信する(S14)。一方、上記画素位置が指定領域Saに含まれない場合、メイン画像用メモリ41からのメイン画像Mの画像データを選択して、LCDモジュール22に送信する(S15)。
その後、画素位置取得部54は、次に送信すべき表示用画像の画像データの画素位置を取得したか否かを判断する。取得した場合、ステップS13に戻って上記動作を繰り返す。一方、取得しなかった場合、上記1フレーム分の画像データの送信が完了したと判断して、処理動作を終了する。
次に、種々の状況における指定領域Saの例を、図11〜図13を参照して説明する。図11は、電子機器10が携帯電話機であり、携帯電話機から電話の発信を行う状況における正面視の画像Fvおよび側面視の画像Svを示している。発信先の電話番号および氏名は、個人情報であるので、覗き見され漏洩されることは望ましくない。
そこで、図11の例では、メイン画像Mにおいて、発信先の電話番号および氏名が含まれる領域を指定領域Saとしている。この場合、図示のように、当該指定領域Saのみが狭視野角となり、軸外観察者Voffは、メイン画像Mにおける発信先の電話番号および氏名が、サブ画像Sの禁止マークによって隠蔽された画像を視認することになる。これにより、発信先の電話番号および氏名が覗き見されることを防止でき、個人情報の保護を図ることができる。また、軸上観察者Vonであるユーザは、安心して図11に示す正面視の画像Fvを表示させておくことができる。
ところで、当該指定領域Saは、通常、上記携帯電話機の設計段階に決定されるので、決定された指定領域Saの情報を不揮発性メモリに記憶したり、電話の発信を行うプログラムに予め組み込んだりすることができる。また、メイン画像Mにおける発信先の電話番号および氏名に専用のフォントが利用される場合、当該フォントが利用される領域を特定し、この領域を指定領域Saとすればよい。このように、図11の例における指定領域Saは、上記携帯電話機にて自動的に特定することができる。従って、ユーザが、電話の発信前に広視野角モードから狭視野角モードに切換え操作を行う手間が省け、ユーザの利便性が向上する。
なお、図11の例は、電話の発信に関するものであるが、電話の着信に関しても同様のことが言える。さらに、電子メールの発信および着信に関しても同様のことが言える。
図12は、パスワードを入力する状況における正面視の画像Fvおよび側面視の画像Svを示している。パスワードは、正式な利用者であることを情報処理装置に通知するための文字列であるので、機密保護の観点から、覗き見され漏洩されることは望ましくない。さらに、パスワードの一種である暗証番号(個人識別コード)は、個人情報であるので、覗き見され漏洩されることは望ましくない。
このため、パスワードは、通常、表示画面に伏せ字で表示される。しかしながら、インターネットのサイトによっては、パスワードが表示画面にそのまま表示される場合も存在する。また、かな漢字変換ソフトウェアを用いて、パスワードを全角文字列で入力して半角文字列に変換する場合、全角文字列で入力する段階ではパスワードが伏せ字とならずにそのまま表示画面に表示されることが多い。
そこで、図12の例では、メイン画像Mにおいて、パスワードが入力される領域を指定領域Saとしている。この場合、図示のように、当該指定領域Saのみが狭視野角となり、軸外観察者Voffは、メイン画像Mにおけるパスワードが、サブ画像Sの禁止マークによって隠蔽された画像を視認することになる。これにより、パスワードが覗き見されることを防止でき、機密保護および個人情報の保護を図ることができる。また、軸上観察者Vonであるユーザは、安心して図12に示す正面視の画像Fvを表示させておくことができる。
ところで、パスワードの入力画面では、通常、文字入力の領域の上流側に「パスワードを入力して下さい」などの命令文が記載されている。従って、文字列「パスワード」を検知し、検知した文字列の下流側に続く文字入力の領域を指定領域Saとすればよい。このように、図12の例における指定領域Saは、電子機器10にて自動的に特定することができる。従って、ユーザが、パスワードの入力のために、広視野角モードから狭視野角モードに切換え操作を行う手間が省け、ユーザの利便性が向上する。
図13は、電子メールを作成する状況における正面視の画像Fvおよび側面視の画像Svを示している。電子メールの内容は、個人情報であるので、覗き見され漏洩されることは望ましくない。
そこで、図13の例では、メイン画像Mにおいて、電子メールの内容が記載される領域を指定領域Saとしている。この場合、図示のように、当該指定領域Saのみが狭視野角となり、軸外観察者Voffは、メイン画像Mにおける電子メールの内容が、サブ画像Sの禁止マークによって隠蔽された画像を視認することになる。これにより、電子メールの内容が覗き見されることを防止でき、個人情報の保護を図ることができる。また、軸上観察者Vonであるユーザは、安心して図13に示す正面視の画像Fvを表示させておくことができる。
ところで、当該指定領域Saの情報は、通常、電子メールのソフトウェアに予め組み込まれている。従って、図13の例における指定領域Saは、上記携帯電話機にて自動的に特定することができる。これにより、ユーザが、電子メールを作成する時に広視野角モードから狭視野角モードに切換え操作を行う手間が省け、ユーザの利便性が向上する。なお、図11の例は、電子メールの作成に関するものであるが、電子メールの閲覧に関しても同様のことが言える。
その他の指定領域Saの例としては、以下のものが挙げられる。すなわち、ユーザが入力する文字には、個人情報や機密情報が含まれることがある。そこで、メイン画像Mにおける入力領域全てを指定領域Saとしてもよい。なお、当該入力領域の情報は、HTML(Hypertext Markup Language)などで記述された表示コンテンツに予め組み込まれている。また、入力位置はカーソル位置で把握できるので、カーソルの表示された領域全てを指定領域Saとしてもよい。この場合、文字の入力された領域のみが狭視野角となり、表示品質の低下をいっそう軽減することができる。
また、近時、顔認識技術の向上により、顔画像から人物を特定できるようになってきている。このため、顔画像も重要な個人情報となりつつある。そこで、撮影画像を表示する場合に、撮影画像に含まれる顔画像を、公知の顔認識技術を利用して検知し、検知された顔画像の領域を指定領域Saとしてもよい。
なお、本実施形態では、メインコントローラ11からサブ画像Sの画像データを取得して記憶しているが、例えば禁止マークなどの画像要素のみを取得し、さらに指定領域取得部44から指定領域Saの情報を取得して、指定領域Saのサイズに適合するように、上記画像要素を拡大または縮小して配列し、これをサブ画像Sとしてもよい。
〔実施の形態2〕
次に、本発明の別の実施形態について、図14および図15を参照して説明する。本実施形態の電子機器10は、図2に示す電子機器10に比べて、メインコントローラ11およびLCDコントローラ21の構成が異なり、その他の構成は同様である。なお、上記実施形態で説明した構成および処理と同様の構成および処理には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図14は、本実施形態のメインコントローラ11の概略構成を示している。本実施形態のメインコントローラ11は、図9に示すメインコントローラ11に比べて、メイン画像作成部33および指定領域決定部34からLCDコントローラ21にデータを送信する手法が異なり、その他の構成は同様である。
近時の表示素子は、R(赤)・G(緑)・B(青)の各色で8ビット256階調を表現できる24ビットフルカラー表示が一般的となっている。このため、8ビットの下位1ビットが変化しても、表示品質の劣化は少ないと考えられる。
そこで、本実施形態では、メイン画像Mの画素ごとに以下の処理を行っている。すなわち、メイン画像作成部33は、8ビット(bit)256階調の画素データを作成し、指定領域決定部34は、上記画素位置が指定領域Saに含まれるか否かを示す指定領域フラグを、指定領域Saの情報として作成している。そして、上記8ビットの画素データのうち、下位1ビットを上記指定領域フラグに変更し、変更された8ビットの画素データをLCDコントローラ21に送信している。これにより、指定領域決定部34からLCDコントローラ21に指定領域Saの情報を送信するための信号線を確保する必要が無くなり、通信リソースの負担を軽減することができる。
図15は、本実施形態のLCDコントローラ21の概略構成を示している。本実施形態のLCDコントローラ21は、図1に示すLCDコントローラ21に比べて、表示用画像作成部43における画像選択部53aの配置および動作と、指定領域取得部44および画像指示部45が省略されている点とが異なり、その他の構成は同様である。
本実施形態では、メイン画像用メモリ41は、上記指定領域フラグを含むメイン画像Mの画像データを、メインコントローラ11から取得して記憶している。従って、指定領域取得部44は、不要となるので、省略することができる。その結果、図1に示すLCDコントローラ21に比べて回路規模を縮小することができる。
また、画像選択部53aは、図1に示す画像選択部53が画像変調部51の下流側に設けられているのに対し、画像変調部51の上流側に設けられている。画像選択部53aは、2つのスイッチ部56・57を備えており、スイッチ部56には、メイン画像用メモリ41からのメイン画像Mの画像データが入力され、スイッチ部57には、サブ画像用メモリ42からのサブ画像Sの画像データが入力される。
さらに、画像選択部53aは、メイン画像Mの画素ごとに以下の処理を行う。すなわち、画像選択部53aは、メイン画像用メモリ41からの8ビットの画素データのうち、指定領域フラグである下位1ビットのデータを受け取り、受け取った指定領域フラグに従い、当該画素位置が指定領域Saに含まれるか否かに基づいて、スイッチ部56・57を切り換える。
具体的には、上記画素位置が指定領域Saに含まれる場合、スイッチ部56は、メイン画像用メモリ41からのメイン画像Mの画像データを、そのままLCDモジュール22に送信するように切り換えられると共に、スイッチ部57は、サブ画像用メモリ42からのサブ画像Sの画像データを、何れの構成にも送信しないように切り換えられる。一方、上記画素位置が指定領域Saに含まれない場合、スイッチ部56は、メイン画像用メモリ41からのメイン画像Mの画像データを、画像変調部51に送信するように切り換えられると共に、スイッチ部57は、サブ画像用メモリ42からのサブ画像Sの画像データを、画像変調部51に送信するように切り換えられる。
従って、本実施形態では、画像指示部45からの指示が不要となるので、画像指示部45を省略することができる。その結果、図1に示すLCDコントローラ21に比べて回路規模を縮小することができる。また、画像選択部53aは、図1に示す画像選択部53に比べて、構成要素が増加するが、上記画素位置が指定領域Saに含まれない場合に画像変調部51の動作を停止することができる。
なお、メイン画像Mの画像データが、RGBの各画像データを含むカラーの画像データである場合、何れか1色の画像データに上記指定領域フラグを含むようにすればよい。このとき、緑(G)は人間が最も反応しやすい色であるので、赤(R)または青(G)の画像データに上記指定領域フラグを含むようにすることが望ましい。或いは、RGBの各画像データに上記指定領域フラグを含むようにしてもよい。この場合、利用するビット数が多くなるが、色調の変化を抑制することができる。
また、RGBの各8ビットにアルファ値の8ビットが追加されたRGBAの32ビットで画像データを送信する方式が存在する。この場合、1ビットの上記指定領域フラグを上記アルファ値に含むようにすると、画像品質の劣化を防止することができる。
〔実施の形態3〕
次に、本発明のさらに別の実施形態について説明する前に、本実施形態で利用される視野角の制御方式について説明する。図3を参照すると、データ値の大きな領域(図示の例では189〜255)では、軸上の特性曲線C1はデータ値に対する輝度率の変化率(傾き)が大きいが、軸外の特性曲線C2は上記傾きがほぼ0に近いことが理解できる。
従って、軸上観察者Vonは、データ値が189である画素群の輝度と、データ値が255である画素群の輝度とを判別することが可能であるが、軸外観察者Voffは、データ値が189である画素群の輝度と、データ値が255である画素群の輝度とを判別することが困難である。そこで、メイン画像Mの画像データに関して、データ値の取り得る範囲(0〜255)が、データ値の大きな範囲(例えば189〜255)に限定されるように、メイン画像Mの画像データを変換することにより、視野角の制御が可能である。
次に、本実施形態について、図16および図17を参照して説明する。本実施形態の電子機器10は、図2に示す電子機器10に比べて、メインコントローラ11およびLCDコントローラ21の構成が異なり、その他の構成は同様である。なお、上記実施形態で説明した構成および処理と同様の構成および処理には同一の符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態のメインコントローラ11は、図9に示すメインコントローラ11に比べて、サブ画像設定部31を省略している点が異なり、その他の構成は同様である。また、図16は、本実施形態のLCDコントローラ21の概略構成を示している。本実施形態のLCDコントローラ21は、図1に示すLCDコントローラ21に比べて、サブ画像用メモリ42を省略している点と、画像変調部51およびLUT52に代えて範囲変更部61が設けられている点とが異なり、その他の構成は同様である。このように、本実施形態では、サブ画像Sが利用されない。
範囲変更部61は、メイン画像Mの画像データを変換して、データ値が通常取り得る通常範囲を、より狭い所定範囲に変更するものである。この所定範囲は、軸上の特性曲線C1の傾きが、軸外の特性曲線C2の傾きよりも大きくなっている範囲である。
なお、範囲変更部61がメイン画像Mの画像データを変換する手法としては、線形変換、非線形変換など、種々のものが考えられる。線形変換の例としては、次式が挙げられる。
(変換後のデータ値)=189+(255−189)/255×(変換前のデータ値)。
また、非線形変換の例としては、上記所定範囲内に基準データ値を設定し、該基準データ値から離れるに従って、変換前後のデータ値の差が大きくなるように変換することが挙げられ、具体的には次式が挙げられる。
(変換後のデータ値)=255−(255−189)/(255)2×((変換前のデータ値)−255)。
なお、上記構成のLCDコントローラ21における処理動作は、図10に示す処理動作において、ステップS14における「画像変調部51が変調したメイン画像Mの画像データ」を『範囲変更部61が変換したメイン画像Mの画像データ』に変更したものとなる。
図17は、本実施形態における正面視の画像Fvおよび側面視の画像Svを示している。図示のように、軸上観察者Vonは、メイン画像Mを視認するが、指定領域Saでは他の領域よりも明るくかつ低コントラストの画像を視認することになる。しかしながら、一部が明るくかつ低コントラストになるのみであるので、全体が明るくかつ低コントラストになる場合に比べて、表示品質の低下を軽減することができる。
一方、軸外観察者Voffは、指定領域Sa以外ではメイン画像Mを視認するが、指定領域Saでは他の領域よりも明るくかつ輝度が略一定となり、メイン画像Mを視認できなくなる。すなわち、指定領域Saでは狭視野角となっている。従って、軸上観察者Vonは、指定領域Saが他の領域よりも表示品質が低下していることを視認することにより、指定領域Saで狭視野角となっていることを把握することができる。
〔実施の形態4〕
次に、本発明のさらに別の実施形態について説明する前に、本実施形態で利用される視野角の制御方式について、図18を参照して説明する。
図18は、図6に示す視野角の制御方式を適用したLCDモジュール22において、正規化された軸上の輝度と、正規化された軸外の輝度との対応関係の一例を示すグラフである。図示のグラフにおいて、Sinは、サブ画像Sのデータ値(0〜4)である。また、図示の例では、軸外の方向は、表示画面の法線方向から50°傾いた方向である。
図18を参照すると、サブ画像Sのデータ値が一定である場合、軸上の輝度が変化すると、軸外の輝度も変化することが理解できる。このため、図6に示すように、軸上の方向にメイン画像Mが表示出力される場合、軸外の方向にもメイン画像Mが表示出力されることになる。
そこで、図18において、軸外の輝度が略一定となるように、軸上の輝度に応じてサブ画像Sのデータ値を決定する。図示の例では、軸上の輝度が約0.4の場合にサブ画像Sのデータ値Sinを1とし、軸上の輝度が約0.2の場合にサブ画像Sのデータ値Sinを4とすれば、軸外の輝度は約0.6となる。この場合、図17に示す側面視の画像Svと同様に、軸外観察者Voffは、メイン画像Mを視認できなくなる。
ところで、軸上の輝度は、メイン画像Mのデータ値に対応付けられ、サブ画像Sのデータ値は、上述のLUT52のように、メイン画像Mのデータ値と上記変調の度合とに対応付けられる。従って、軸外の輝度が所定値となる場合の、メイン画像Mのデータ値と上記変調の度合との対応関係を求めることができる。
次に、本実施形態について、図19および図20を参照して説明する。本実施形態の電子機器10は、図2に示す電子機器10に比べて、メインコントローラ11およびLCDコントローラ21の構成が異なり、その他の構成は同様である。なお、上記実施形態で説明した構成および処理と同様の構成および処理には同一の符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態のメインコントローラ11は、図9に示すメインコントローラ11に比べて、サブ画像設定部31を省略している点が異なり、その他の構成は同様である。また、図19は、本実施形態のLCDコントローラ21の概略構成を示している。本実施形態のLCDコントローラ21は、図1に示すLCDコントローラ21に比べて、サブ画像用メモリ42を省略している点と、画像変調部51およびLUT52に代えて、画像変調部62およびLUT63が設けられている点とが異なり、その他の構成は同様である。このように、本実施形態では、サブ画像Sが利用されない。
LUT63は、上述のように、軸外の輝度が所定値となる場合の、メイン画像Mのデータ値と上記変調の度合との対応関係を示すものである。また、画像変調部62は、以下のように動作する。すなわち、まず、メイン画像用メモリ41からメイン画像Mのデータ値を取得する。次に、取得したメイン画像Mのデータ値に対応する変調の度合をLUT63から探索する。そして、探索された変調の度合に基づいて、メイン画像Mの画像データを変調し、変調されたメイン画像Mの画像データを画像選択部53に送出する。
図20は、本実施形態における正面視の画像Fvおよび側面視の画像Svを示している。図示のように、軸上観察者Vonは、メイン画像Mを視認するが、指定領域Saでは他の領域よりも暗い画像を視認することになる。しかしながら、一部が暗くなるのみであるので、全体が暗くなる場合に比べて、表示品質の低下を軽減することができる。
一方、軸外観察者Voffは、指定領域Sa以外ではメイン画像Mを視認するが、指定領域Saでは輝度が略一定となり、メイン画像Mを視認できなくなる。すなわち、指定領域Saでは狭視野角となっている。従って、軸上観察者Vonは、指定領域Saが他の領域よりも表示品質が低下しているので、指定領域Saで狭視野角となっていることを把握することができる。
〔実施の形態5〕
次に、本発明のさらに別の実施形態について説明する前に、本実施形態で利用される視野角の制御方式について、図21を参照して説明する。
図21は、図18と同様のグラフである。図18のグラフに関して上述したように、軸外の輝度が所定値となる場合の、メイン画像Mのデータ値と上記変調の度合との対応関係を求めることができる。このことから、図21に示すように、上記所定値を、サブ画像Sのデータ値Sinに基づいて変化させることにより、軸外観察者Voffは、メイン画像Mを視認せず、サブ画像Sのみを視認することになる。
次に、本実施形態について、図22および図23を参照して説明する。本実施形態の電子機器10は、図2に示す電子機器10に比べて、LCDコントローラ21の構成が異なり、その他の構成は同様である。なお、上記実施形態で説明した構成および処理と同様の構成および処理には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図22は、本実施形態のLCDコントローラ21の概略構成を示している。本実施形態のLCDコントローラ21は、図1に示すLCDコントローラ21に比べて、LUT65の内容が異なり、その他の構成は同様である。LUT65は、上述のように、軸外の輝度が所定値となる場合の、メイン画像Mのデータ値と上記変調の度合との対応関係を示すテーブルを、複数の軸外の輝度ごとに作成し、各軸外の輝度を、サブ画像Sのデータ値Sinに対応付けたものである。
図23は、本実施形態における正面視の画像Fvおよび側面視の画像Svを示している。図示のように、軸上観察者Vonは、メイン画像Mを視認するが、指定領域Saでは他の領域よりも暗い画像を視認することになる。しかしながら、一部が暗くなるのみであるので、全体が暗くなる場合に比べて、表示品質の低下を軽減することができる。
一方、軸外観察者Voffは、指定領域Sa以外ではメイン画像Mを視認するが、指定領域Saでは、上述のように、メイン画像Mを視認できず、サブ画像Sを視認することができる。すなわち、指定領域Saでは狭視野角となっている。従って、軸上観察者Vonは、指定領域Saが他の領域よりも表示品質が低下しているので、指定領域Saで狭視野角となっていることを把握することができる。また、本実施形態のLCDコントローラ21は、図1に示すLCDコントローラ21から、LUT52をLUT65に変更するだけで、本実施形態の視野角の制御方式を実現することができる。
〔実施の形態6〕
次に、本発明の他の実施形態について、図24〜図27を参照して説明する。本実施形態の電子機器10は、図2に示す電子機器10に比べて、LCDコントローラ21の構成が異なり、その他の構成は同様である。なお、上記実施形態で説明した構成および処理と同様の構成および処理には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図24は、本実施形態のLCDコントローラ21の概略構成を示している。LCDコントローラ21は、図1に示すLCDコントローラ21に比べて、表示用画像作成部43における画像選択部53bの配置および動作と、画像変調部51がメイン画像Mの画像データとサブ画像Sの画像データとを入れ換えて受信している点とが異なり、その他の構成は同様である。
画像選択部53bは、図15に示す画像選択部53aに比べて、領域判定部55からの指示に基づき、スイッチ部56・57を切り換える点が異なり、その他の構成は同様である。また、画像変調部51は、メイン画像Mの画像データと、サブ画像Sの画像データとが入れ替わって受信している。このため、画像変調部51は、以下のように動作する。
すなわち、まず、サブ画像用メモリ42からサブ画像Sのデータ値を取得すると共に、メイン画像用メモリ41からメイン画像Mのデータ値を取得する。次に、取得したサブ画像Sおよびメイン画像Mのデータ値に対応する変調の度合をLUT52から探索する。そして、探索された変調の度合に基づいて、サブ画像Sの画像データを変調し、変調されたサブ画像Sの画像データを画像選択部53に送出する。
次に、上記構成のLCDコントローラ21における処理動作について、図25を参照して説明する。図25は、LCDコントローラ21が1フレーム分の表示用画像の画像データをLCDモジュール22に送信する処理の流れを示している。
本実施形態の処理動作は、図10に示す処理動作に比べて、ステップS14の代わりに、「画像選択部53bは、画像変調部51が変調したサブ画像Sの画像データを選択して、LCDモジュール22に送信する(S21)」処理動作に変更しており、その他の処理動作は同様である。
図26は、本実施形態における正面視の画像Fvおよび側面視の画像Svを示している。図示のように、軸上観察者Vonは、指定領域Sa以外ではメイン画像Mを視認するが、指定領域Saでは、他の領域よりも暗い無地のサブ画像Sを視認することになる。しかしながら、一部が暗くなるのみであるので、全体が暗くなる場合に比べて、表示品質の低下を軽減することができる。
一方、軸外観察者Voffは、指定領域Sa以外ではメイン画像Mを視認するが、指定領域Saでは、他の領域よりも暗くかつメイン画像Mとサブ画像Sとが合成された画像を視認する。すなわち、指定領域Saでは狭視野角となっている。従って、軸上観察者Vonは、指定領域Saが他の領域よりも表示品質が低下していることを視認することにより、指定領域Saで狭視野角となっていることを把握することができる。さらに、軸上観察者Vonは、指定領域Saにてメイン画像Mを視認できず、自身が移動するか、或いはLCDモジュール22の表示画面を移動させて軸外観察者Voffとなることにより、指定領域Saにてメイン画像Mを視認することができる。
図27は、本実施形態の電子機器10をユーザが暗記帳として利用している状況における正面視の画像Fvおよび側面視の画像Svを示している。図示の例では、メイン画像Mには、歴史上の出来事とその発生年との情報が含まれており、上記発生年の数字部分の記載領域が指定領域Saとなっている。この場合、図示のように、当該指定領域Saのみが狭視野角となり、軸上観察者Vonは、他の領域よりも暗い指定領域Saに、上記発生年の代わりに無地のサブ画像Sを視認する。これにより、軸上観察者Vonは、指定領域Saに入る数字、すなわち上記発生年を解答すればよいことが認識できる。
一方、軸外観察者Voffは、指定領域Saにおいて、無地のサブ画像Sと、メイン画像Mにおける上記発生年の数字とが合成された画像を視認することになる。従って、軸上観察者Vonが上記発生年を思い出して解答し、解答された上記発生年を、軸外観察者Voffが視認した上記発生年と照合することにより、暗記の練習を行うことができる。また、軸上観察者Vonが移動するか、或いは電子機器を移動または回転させて、軸上観察者Vonが軸外観察者Voffとなることにより、1人で暗記の練習を行うことができる。
なお、指定領域Saはユーザが設定可能であってもよい。この場合、ユーザが、暗記を所望する領域を自由に設定でき、暗記の練習の自由度が向上する。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
最後に、電子機器10の各ブロック、特にメインコントローラ11およびLCDコントローラ21は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、電子機器10は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである電子機器10の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記電子機器10に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、電子機器10を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。