JP5712643B2 - 移動体 - Google Patents
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Description
本発明にかかる移動体は、このような問題点を解決するためになされたものであり、設定された軌道を適切に走行する移動体を提供する。
これにより、ゲインおよび速度の影響によって軌道をオーバーシュートさせることなく、移動体を滑らかに走行させることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明にかかる移動体のブロック図である。
位置情報取得手段110は、取得した移動体10の位置情報と方向情報を、記憶手段120に出力する。
記憶手段120は、記憶した位置情報及び方向情報と、軌道の情報を、制御手段140に出力する。
なお、駆動輪130は、移動体10の左右に同軸上に配置されているものとする。以下では、駆動輪130を車輪と呼ぶこともある。
制御手段140には、ユーザにより入力された駆動輪130の回転速度(車輪速度)と、記憶手段120が記憶している情報が供給される。
演算手段141は、記憶手段120から、移動体10の位置情報、方向情報、軌道情報が供給を受け、移動体10から軌道までの最短距離(距離偏差)と、移動体10と軌道の方向の差(角度偏差)を求める。また、演算手段141は、車輪速度と、距離偏差、角度偏差の時間変化との関係を算出する。
さらに、演算手段141は、移動体10の旋回速度にかかるフィードバック制御のための演算を行う。制御手段140は、演算手段141により演算された値に基づいて、駆動手段131に制御信号を出力する。これにより、駆動輪130は、移動体10が旋回するよう動作する。
図2は、移動体10が、フィードフォワード制御およびフィードバック制御により走行する状態を示す図である。
ユーザは、移動体10に車輪速度を入力する。移動体10は、軌道までの最短距離と、移動体10の向きと軌道のなす角を出力する。また、移動体10は、車輪速度、軌道までの最短距離となす角の時間微分の関係をヤコビアンで表現する。移動体10のコントローラは、入力された指示を、逆ヤコビアンの形式にする。
移動体10の並進速度は、フィードフォワード制御に基づいて設定する。移動体10の旋回速度は、軌道までの最短距離となす角に応じて、距離偏差と角度偏差が収束するようにフィードバック制御を行うことにより設定する。
以下、詳細について説明する。
図3に示したように、移動体10から軌道までの最短距離を、距離偏差とする。最短距離は、移動体10の位置と軌道上の最近傍点を結んだ線分の長さとし、最近傍点での軌道の接線と直角であるとする。符号は、移動体10から見た軌跡までのベクトルをpr、軌道が進む方向の接線ベクトルをpsとすると、外積pr×psのz成分の符号とする。
角度偏差は、移動体10から見た軌道の角度とする。図3の場合、角度偏差は正、距離偏差も正である。演算手段141は、この座標系に基づいて演算を行う。
図4は、移動体10が微小変化した場合の図である。図4(a)は、移動体10の距離偏差の微小変化にかかる図であり、図4(b)は、移動体10の角度偏差の微小変化にかかる図である。
移動体10の移動方向に沿った微小変異をds、移動体10の微小回転角度をdθr、軌道の曲率半径をρs、軌道の微小回転dθsとすると、幾何学的に以下の関係が成り立つ。
距離偏差lの変化dlは、
移動体10の車輪間距離W、車輪半径rとすると、運動学的に式(1.11)の関係が成り立つ。
表記の簡単化のため、
式(1.10)と、式(1.12)から、車輪速度と距離偏差、角度偏差の微分値の関係は、式(1.13)となる。
ここで、距離偏差、角度偏差が0のときuθ=0となるようにuθを決めれば、ω*=vref/ρsとなり、軌道の曲率に追従するv*とω*になる。
式(2.7)のv*とω*を、移動体10に与えると、式(1.9)より
図9は、移動体10の角度偏差と回転方向の関係を示した図である。
これらの条件を満たすひとつの形は
θ>0かつθ>βlであれば、移動体10は、図10(a)のように設定された軌道に近づきつつ、角度偏差が小さくなるように移動する。これを状態aとする。
θ>0かつθ=βlであれば、移動体10は、図10(b)のように設定された軌道に直線的に近付くよう移動する。これを状態bとする。
θ>0かつθ<βlであれば、移動体10は、図10(c)のように軌道に対して、角度偏差が大きくなるように移動する。これを状態cとする。
θ=0であれば、移動体10は、図10(d)のように、軌道と並列して走行している状態から、軌道に近づくように移動する。これを状態dとする。
θ<0であれば、移動体10は、図10(e)のように、軌道から遠ざかる方向に走行した状態から向きを変え、軌道に近づく方向に走行するように移動する。これを状態eとする。
状態bから状態aにいたる過程で、dl/dtに対して、dθ/dtが小さい場合には、図11のパターン1の軌跡をたどりl≦0のサイクルに入るため、移動体10は振動することになる。また、初期値θsの絶対値より最終値θeの絶対値が大きい場合には、サイクルを繰り返していくうちに振幅が大きくなり、発散振動する。逆にdl/dtに対してdθ/dtが大きい場合には、θ=βlに沿って、l=0、θ=0に収束する。
βが大きい場合には、状態bになる角度θが大きくなり、移動体10が軌道に対して角度を持って突っ込むことになるので、パターン1の軌跡になりやすい。逆にβを小さくすると、状態bの角度が小さくなるので、l=0になるまでの収束が遅い。
αが大きい場合には、dθ/dtが大きくなるので、パターン2の軌跡となる。
移動体10が軌道に近づく際に発生する振動は、距離偏差の変化が角度偏差に対して相対的に大きいことにより、図11のパターン1の軌道になるためである。
そこで、演算手段141は、距離偏差の変化に応じて角度偏差の変化を変化させるよう演算を行う。
したがって、演算手段141は、式(2.11)に基づいて、移動体10の旋回速度に関する演算を行い、制御手段140は、演算結果に基づいて適宜フィードバック制御を行う。
このとき、演算手段141は、車輪速度が過大とならないような車輪速度を求める。例えば、移動体10が物理的に走行不可能な車輪速度を設定した場合、軌道に追従できなくなるためである。
以下に、車輪速度を抑制する方法について詳述する。
これにより、移動体10に入力されたフィードフォワード量が過大となっても、左右の車輪の比は保存され、軌道に追従することができる。
この場合には、現在の移動体10の位置を始点として軌道を生成し直すことや、距離偏差が軌道に対して直角になる位置から処理をはじめること、別の方法により軌道の始点となる位置まで移動するなどの対策を、あらかじめ行うことが望ましい。
また、移動体10は、走行状態のまま軌道の終点に到達すると、終点で停止することができず、さらにその後の挙動が不安定になる場合がある。この場合には、移動体10は、終点付近では減速を行い、終点で停止するよう制御することが望ましい。
さらに、移動体10では、フィードフォワード値が過大である場合に駆動輪130の速度を抑制し、左右の車輪の動作比を保持することにより、ハードウェアの制限またはソフトウェアの制限によって駆動輪130が動作指示の通りに動作せず、軌道から外れることを防止することができる。
したがって、移動体10は、設定された軌道に対し、適切に走行することができる。
110 位置情報取得手段
120 記憶手段
130 駆動輪
140 制御手段
141 演算手段
142 設定手段
Claims (2)
- 駆動輪を有する移動体であって、
空間上における現在位置及び方向を取得する位置情報取得手段と、
前記現在位置及び走行する軌道の情報を記憶する記憶手段と、
制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記現在位置と前記軌道との最短距離である距離偏差と、前記距離偏差を求めた位置における前記方向と前記軌道の方向の差である角度偏差を求めると共に、
前記移動体の並進速度として、ユーザの入力により任意のフィードフォワード値を設定する設定手段と、を備え、
前記制御手段は前記距離偏差と前記角度偏差と任意のフィードバック値を用いて前記距離偏差と前記角度偏差が収束するような旋回速度を算出し、
フィードバックにより算出される値を用いずに、前記フィードフォワード値を用いて並進速度を算出し、前記並進速度と前記旋回速度に基づいて前記駆動輪の回転速度を決定する、
移動体。 - 前記演算手段は、前記並進速度と前記旋回速度を、前記駆動輪の回転速度に変換する演算を行い、
前記制御手段は、前記変換された駆動輪の回転速度の2乗平均が、あらかじめ設定された最大速度を超える場合には、2乗平均と最大車輪速度の比に応じて前記駆動輪の回転速度を減補された状態で駆動し、あらかじめ設定された最大速度を超えない場合には、前記変換された前記駆動輪の回転速度で駆動するよう制御する、
請求項1に記載の移動体。
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