JP5698582B2 - 仕上げタイルの剥離危険度評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、建築物の下地コンクリートの表面に接着された仕上げタイルの剥離危険度を評価する方法に関する。
マンションや商業ビルなどの建築物の外装は、躯体の防水や美観のために、下地コンクリートにモルタルなどの接着剤によってタイルを接着させて、タイル仕上げとされることが多い。仕上げタイルと下地コンクリートとの接着強度は経年劣化し、下地コンクリートとの間に浮きが生じて、仕上げタイルが剥離し、最終的には剥落するおそれもある。建築物外装の仕上げタイルの剥離は、躯体である下地コンクリートの劣化をも促す。
そこで、仕上げタイルの剥離の有無を判定する必要がある。通常、作業者がハンマなどで仕上げタイルを打撃し、その打撃音によって、仕上げタイルの剥離の有無を判定している。
また、特許文献1には、温度計付歪センサを設置した仕上げタイル表面に熱冷繰り返しサイクルを与え、仕上げタイルの表面温度と歪量を計測した時系列データから、剥離状態を判定するシステムが記載されている。温度変化幅に対して歪量が大きい場合、仕上げタイルは、下地コンクリートによる拘束の影響が少なく、剥離の程度が大きい状態にあると判定される。
一方、仕上げタイルの接着強度は、一般的に、建研式の引張接着強度試験機を用いてタイル表面に対して垂直方向に荷重を加え、仕上げタイルが剥離したとき荷重を引張接着強度として建築工事共通使用書に基づき評価している。
ところが、従来から、日射の有無などの加熱冷却による接着強度の劣化によって、仕上げタイルが剥離に至ることが指摘されている。つまり、太陽光の熱によってタイル、接着剤、下地コンクリートの順に暖められ、太陽光が届かなくなると逆の順で冷えるが、その際、それぞれの温度変化のタイムラグと温度膨張差によって剪断応力が繰り返し作用し、接着強度が劣化して、仕上げタイルの剥離が生じると考えられている。
よって、仕上げタイルの表面と平行な方向に作用する剪断応力が剥離の原因であり、仕上げタイルの接着強度は、タイル面に対して垂直方向の接着強度ではなく、タイル表面と平行な剪断方向の接着強度によって評価する必要がある。
例えば、特許文献2には、このような剪断接着強度を計測する試験機が開示されている。この試験機を計測対象となる仕上げタイルの両側の仕上げタイル表面に固定して、タイル表面に平行な方向に荷重を加えることにより、剪断接着強度を計測することができる。
特開2006−84439号公報 特開2010−117210号公報
しかしながら、従来の技術では、試験時での剥離の有無や程度の判定、又は接着強度の計測しかできず、仕上げタイルが剥離に至る危険度(接着強度の経年劣化程度)を評価することはできなかった。仕上げタイルの剥離危険度を評価することができれば、仕上げタイルの剥落の防止が確実に可能になるとともに、効果的な修繕計画の策定など、将来的な剥離対策を有効に施すことも可能となる。
本発明は、以上の点に鑑み、仕上げタイルの剥離危険度を評価することができる方法を提供することを目的とする。
本発明は、建築物の下地コンクリートの表面に接着剤で接着された仕上げタイルの剥離危険度を評価する方法であって、前記下地コンクリートと同種のコンクリートからなる角柱体状のコンクリート試験片の一面に、前記仕上げタイルと同種のタイルを前記接着剤と同種の接着剤で接着した試験体を作成して、前記タイルを接着した面に隣接し対向する2面より前記コンクリート試験片を圧縮しながら該コンクリート試験片の歪量と前記タイルの歪量との関係を示す歪関係データを取得し、前記建築物の下地コンクリートの表面に接着された仕上げタイルと該仕上げタイルと隣接する仕上げタイルとの間の目地部を切断した後、前記仕上げタイルを強制的に剥離し、該仕上げタイルの剥離前後で変化した歪量を求め、前記歪関係データにおいて前記タイルの歪量が最大となるときの前記コンクリート試験片の歪量を歪閾値とし、前記仕上げタイルの変化した歪量から、前記歪関係データを参照して、前記下地コンクリートの歪量を求め、前記下地コンクリートの歪量に、温度変化による変動幅及び経時漸増する収縮に基づいて、将来に増加する歪量を加えて、前記下地コンクリートの最大歪量を推定し、前記歪閾値と前記下地コンクリートの最大歪量を比較することにより、前記仕上げタイルの剥離危険度を評価することを特徴とする。
建築物の下地コンクリートの表面に接着された仕上げタイルの経年による剥離の要因は、下地コンクリートと仕上げタイルとにそれぞれ生じた歪量の差である歪差であることが指摘されている。そこで、評価対象となる建築物における歪差を、別途求めた仕上げタイルの剥離が生じる歪差と比較することによって、仕上げタイルの剥離危険度を評価することができると考えられる。
そこで、本発明では、評価対象となる建築物のコンクリート躯体を模した試験体を用いて、下地コンクリートの歪量とタイルの歪量との関係を示す歪関係データを取得する一方、評価対象となる建築物の下地コンクリートの表面に接着された仕上げタイルを強制的に剥離して、下地コンクリートの変形に追従して変化した仕上げタイルの歪量を求めている。そして、この変化した歪量を歪関係データと比較することにより、建築物の下地コンクリートの表面に接着された仕上げタイルの剥離危険度を評価することができる。
参考として、例えば、前記歪関係データにおける前記タイルの最大の歪量を歪閾値として、該歪閾値と前記仕上げタイルの変化した歪量を比較することにより、該仕上げタイルの剥離危険度を評価することができる。
記歪関係データにおいて前記タイルの歪量が最大となるときの前記コンクリート試験片の歪量を歪閾値とし、前記仕上げタイルの変化した歪量から、前記歪関係データを参照して、前記下地コンクリートの歪量を求め、前記下地コンクリートの歪量に、将来に増加する歪量を加えて、前記下地コンクリートの最大歪量を推定し、前記歪閾値と前記仕上げタイルの最大歪量を比較することにより、前記仕上げタイルの剥離危険度を評価する。
そして、温度変化による変動幅及び経時漸増する収縮に基づいて、前記下地コンクリートの将来に増加する歪量を求める。これにより、仕上げタイルの将来的な剥離危険度をより正確に評価することができる。
ところで、仕上げタイルの歪が、下地コンクリートの変形に追従して生じた歪か、部分的に剥離して下地コンクリートの変形から解放された歪かであるか判断できない場合がある。
このような場合、前記下地コンクリートと同種のコンクリートからなるコンクリート試験片の表面に、前記仕上げタイルと同種のタイルを前記接着剤と同種の接着剤で接着した試験体を作成して、前記タイルが剥離している場合と剥離していない場合との境界となる前記タイルの接着強度の境界値を取得し、前記建築物の下地コンクリートの表面に接着された仕上げタイルの接着強度を求め、該接着強度が前記境界値未満である場合に行うことが好ましい。これにより、剥離の有無を正確に判断することができる。
歪追従性試験におけるコンクリート試験体の歪量とタイルの歪量との関係の一例を示すグラフ。 本発明の第1の実施形態に係る仕上げタイルの剥離危険度評価方法を示すフローチャート。 本発明の第1の実施形態に係る別の仕上げタイルの剥離危険度評価方法を示すフローチャート。 接着強度試験における歪伝達残存率と接着強度との関係の一例を示すグラフ。 本発明の第2の実施形態に係る仕上げタイルの剥離危険度評価方法を示すフローチャート。
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態に係る仕上げタイルの剥離危険度評価方法について説明する。この実施形態は、建築物の下地コンクリートの表面に接着された仕上げタイルが剥離していないことが、従来既知の方法によって明らかである場合に、仕上げタイルの剥離危険度を評価する方法である。
建築物の下地コンクリートの表面に接着された仕上げタイルの経年による剥離の要因は、下地コンクリートと仕上げタイルとにそれぞれ生じた歪量の差である歪差であることが指摘されている。そこで、評価対象となる建築物における歪差を、別途実験室などで求めた仕上げタイルの剥離が生じる歪差(閾値)と比較することによって、仕上げタイルの剥離危険度を評価することができると考えられる。
歪量は、季節や日射などによる温度変化によって比較的短期的に増減する歪量と、乾燥収縮やクリープなどによって長期的に漸増する歪量とからなる。そして、仕上げタイルが剥離に至った時点における仕上げタイルと下地コンクリートとの歪差は、長期的に漸増する歪差が大部分を占めると考えられる。
仕上げタイルは、製造時から比較的長期間を経て建築物に接着されるので、接着後の乾燥収縮やクリープによって漸増する歪量は少ない。よって、モルタルなどの接着剤を介して下地コンクリートに接着されているために、下地コンクリートの乾燥収縮やクリープなどに追従した変形による歪が、仕上げタイルの長期的に漸増する歪の大部分を占めると考えられる。
そして、この歪は、接着剤による接着機構を破壊して仕上げタイルを下地コンクリートから分離すれば、下地コンクリートに追従する変形から開放されて解消すると考えられる。そこで、評価対象となる建築物の仕上げタイルが内在する歪量を、以下に説明するような強制剥離試験を行うことによって求める。
この強制剥離試験では、まず、評価対象となる建築物の浮きが生じていない仕上げタイルの表面に歪ゲージを貼り付ける。次に、この仕上げタイルと隣接する仕上げタイルとの間の目地部を切断し、その際の歪量の変化を計測する。その後、歪ゲージを貼り付けた仕上げタイルを強制的に完全に剥離させ、その際の歪量の変化を計測する。剥離された仕上げタイルは、下地コンクリートの変形から開放されて、歪差による変形が生じていない状態になる。従って、剥離前後における歪量の変化量εtは、仕上げタイルが建築物に接着されてから計測時までに蓄積した、歪差による変形量にほぼ等しいと考えられる。
なお、強制剥離試験は、直射日光が当る状態や降雨の状態で行うと、湿温度の変化による誤差が生じ得るので、直射日光が当らず、仕上げタイルが乾燥した状態で行うことが好ましい。
一方、仕上げタイルが剥離する歪量ε(εc又はεt)の閾値(以下、「剥離歪閾値」という)ε0(εc0又はεt0)は、別途に実験室内などで、以下に説明するような歪追従性試験を行うことによって求める。
この歪追従性試験では、まず、建築物の躯体を模した角柱体状のコンクリート試験片の一面に接着剤でタイルを接着した試験体を用意する。コンクリート試験片、タイル及び接着剤は、評価対称となる建築物の下地コンクリート、仕上げタイル及び接着剤と同じものを使用する。そして、タイルの表面及びタイルを接着したコンクリート試験片の面に歪ゲージを貼り付ける。その後、タイルを接着した面に隣接し対向する2面よりコンクリート試験片を圧縮させながら、各歪量を経時的に計測して、コンクリート試験片の歪量εcとタイルの歪量εtとの関係を示す歪関係データを取得する。
歪関係データをプロットした一例を図1に示す。図1に示すように、圧縮によりコンクリート試験片の歪量(収縮歪量)εcを増加させると、初期段階ではコンクリート試験片の歪量εcの増加に伴ってタイルの歪量(収縮歪量)εtもほぼ比例的に増加する。しかし、点Aを過ぎると、コンクリート試験片の歪量εcの増加に反して、タイルの歪量εtの歪が減少する。この点Aがタイルの剥離が開始した時点であると考え、このときのタイルの歪量εtを上記の剥離歪閾値εt0とする。
圧縮開始から点Aまでの領域は、タイルの接着が健全な状態であると考えられ、「健全域」と定義する。点Aを超える領域は、タイルの剥離が生じている状態と考えられ、「危険域」と定義する。危険域では、仕上げタイルの補修などが必要となる。健全域であれば仕上げタイルの剥離は生じていないが、強制剥離試験で計測した仕上げタイルの歪量εtが剥離歪閾値εt0に近い場合には、近い将来に仕上げタイルが剥離する危険度が高いと評価することができる。
タイルの歪量εtをコンクリートεcの歪量で徐した値を「歪伝達率β」と定義する。この歪伝達率βに、強制剥離試験で求めた仕上げタイルの歪量εtを乗することにより、直接的な計測が不可能な下地コンクリートの歪量εcを求めることができる。
仕上げタイルの剥離の危険度を判断する際に、季節変化や日射による短期的な影響や、下地コンクリートの乾燥収縮やクリープなどによる歪の更なる長期的な漸増を考慮する場合には、点Aにおけるコンクリートの歪量εcを上記の剥離歪閾値εc0とすることが好ましい。また、タイルとコンクリートとの歪量の差で判断してもよい。
なお、仕上げタイルの剥離はその何れかの端部から始まるので、強制剥離試験及び歪追従性試験において、中央部と複数の端部でタイルの歪量εtを計測することが好ましい。
以下、本発明の第1の実施形態に係る仕上げタイルの剥離危険度評価方法について、図2に示すフローチャートに沿って説明する。
まず、評価対象となる建築物の仕上げタイルに対して強制剥離試験を行い、仕上げタイルが内在する歪量εtを求める(STEP1)。
一方、評価対象となる建築物の下地コンクリート、仕上げタイル及び接着剤と同じコンクリート、タイル及び接着剤を使用して試験体を作成し、この試験体を用いて歪追従性試験を行う。そして、試験結果から図1の点Aにおけるタイルの歪量εtを求め、この歪量εtを剥離歪閾値εt0とする。
そして、STEP1で求めた仕上げタイルの歪量εtを、剥離歪閾値εt0と比較して、仕上げタイルの剥離危険度を評価する(STEP2)。例えば、剥離歪閾値εt0に対する仕上げタイルの歪量εtの危険率(=εt/εt0)や、剥離歪閾値εt0に対する仕上げタイルの歪量εtの余裕値(=εt0−εt)などを求めることにより、剥離危険度を数値的に評価することができる。また、危険率や余裕値などを求め、予め定めた基準値と比較することにより、剥離危険度を定性的に評価することもできる。
以上のように、実際の仕上げタイルの歪量εtを仕上げタイルが剥離に至る剥離歪閾値εt0と比較することにより、仕上げタイルの剥離危険度を評価することができる。
なお、予め各種の下地コンクリート、タイル、接着剤を組み合わせて強制剥離試験及び歪追従性試験を行い、その試験結果を蓄積しておくことが好ましい。これにより、本評価方法を多くの建築物に簡易に適用することができる。ただし、色違いによるタイルの温度膨張差の相違など、算出などで求めることが可能な相違については、あえて実際に試験を行う必要はない。
また、現実には、現場で施工される実際の建築物よりも、室内で作成される試験体のほうが接着強度は強いと考えられる。そこで、剥離歪閾値εt0として、実験で求めた剥離歪閾値εt0より適宜小さくした値を用いてもよい。
以下、本発明の第1の実施形態に係る別の仕上げタイルの剥離危険度評価方法について、図3に示すフローチャートに沿って説明する。
まず、評価対象となる建築物の仕上げタイルに対して強制剥離試験を行い、仕上げタイルが内在する歪量εtを求める(STEP11)。
一方、評価対象となる建築物の下地コンクリート、仕上げタイル及び接着剤と同じコンクリート、タイル及び接着剤を使用して試験体を作成し、この試験体を用いて歪追従性試験を行う。そして、試験結果から図1の点Aにおけるコンクリートの歪量εcを求め、この歪量εcを剥離歪閾値εc0とする。
そして、STEP1で求めた仕上げタイルの歪量εtに対応する下地コンクリートの歪量εcを求める(STEP12)。下地コンクリートの歪量εcは、歪追従性試験による試験結果を示す図1の関係から明らかな場合は、タイルの歪量εtに対応する値として直接的に求めることができる。また、予め各種の下地コンクリート、タイル、接着剤の組み合わせにおいて代表的な歪伝達率βを求めておき、この歪伝達率βを仕上げタイルの歪量εtに乗じることにより、下地コンクリートの歪量εcを算出してもよい。この場合、点Aにおける歪伝達率βAが最も安全側の値となるので、この値を用いることが好ましい。
次に、STEP12で求めた下地コンクリートの歪量εcに対して、季節や日射などによる温度変化によって比較的短期的に増減する歪量を考慮した変動幅、及び、乾燥収縮やクリープなどによって将来に増加する歪量を加えて、下地コンクリートの最大歪量εcMAXを推定する(STEP13)。
季節や日射による歪量の変動は、評価対象の建築物の立地から、理科年表などを用いて推定する。下地コンクリートの乾燥収縮は、「鉄筋コンクリート造建築物の収縮ひび割れ制御設計・施工指針(案)・同解説」(日本建築学会、2006年3月発行)に記載された予測式などを用いて推定する。
次に、STEP13で求めた下地コンクリートの最大歪量εcMAXを、剥離歪閾値εc0と比較して、仕上げタイルの剥離危険度を評価する(STEP14)。例えば、剥離歪閾値εc0に対する下地コンクリートの最大歪量εcMAXの危険率(=εcMAX/εc0)や、下地コンクリートの最大歪量εcMAXに対する仕上げコンクリートの歪量εcの余裕値(=εc0−εcMAX)などを求めることにより、剥離危険度を数値的に評価することができる。また、危険率や余裕値などを求め、予め定めた基準値と比較することにより、剥離危険度を定性的に評価することもできる。
以上のように、計測時の下地コンクリートの歪量εcだけではなく、季節や日射などによる温度変化によって比較的短期的に増減する歪量を考慮した変動幅、及び、乾燥収縮やクリープなどによって将来に増加する歪量を加えた最大歪量εcMAXを加味して評価するので、仕上げタイルの将来的な剥離危険度をより正確に評価することができる。
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態に係る仕上げタイルの剥離危険度評価方法について説明する。この実施形態は、建築物の下地コンクリートの表面に接着された仕上げタイルが剥離しているか否かが不明である場合に、仕上げタイルの剥離危険度を評価する方法である。
図1から分かるように、強制剥離試験で仕上げタイルの歪量εtを求めても、その値のみでは、「健全域」であるか「危険域」であるかを判別することはできない。
図1の点Aを超えると、下地コンクリートの歪量εcの増加に対して、仕上げタイルの歪量εtは急激に低下する。これは、仕上げタイルの剥離が開始され、下地コンクリートの収縮歪を仕上げタイルに伝達する接着機構が破壊されたことを意味しており、仕上げタイルと下地コンクリートとの接着強度も大幅に低下していると推測される。
そこで、上記の領域を判別するために、下地コンクリートの歪量εcと接着強度との関係を求め、仕上げタイルが剥離しているか否かを示す接着強度の境界値を設定する必要がある。このような関係は、例えば、以下に説明するような接着強度試験を行うことによって求めることができる。ただし、仕上げタイルが剥離しているか否かが分かれば上記の領域を判別することができるので、既知の任意の仕上げタイルの剥離有無判別方法を用いてもよい。
接着強度試験では、まず、歪追従試験で使用した試験体と同様の試験体を用いて、同試験と同様に試験体の角柱体部分を圧縮する。その後、建研式の接着強度試験器を用いて、タイルの引張接着強度試験を行い、タイルの接着強度を把握する。なお、同様に作成した複数の試験体に対して試験を行い、計測された複数の接着強度の最小値を接着強度とすることが、安全性の観点から好ましい。
ここでは、歪追従試験で使用した試験体において、剥離歪閾値ε0未満の歪量εまでしか圧縮しなかったものと、剥離歪閾値ε0を超える歪量εまで圧縮したものとについて、建研式引張試験機を用いてタイルの接着強度を計測した。その試験結果の一例を図4に示す。
最大圧縮時の歪伝達率βを圧縮開始時の初期歪伝達率β0で除した値γを「歪伝達残存率」として定義する。図4に例示した試験結果では、剥離歪閾値ε0を超える歪量εまで圧縮させた場合、歪伝達残存率γは0.75以下となった。そして、接着強度を比較すると、歪伝達残存率γが0.75前後であるか否かにより明確な差異があり、上記の推測は正しかったものと考えられる。そこで、試験体の接着強度の境界値を1.0N/mmと設定する。
以上により、評価対象となる建築物に本評価方法を適用する場合、まず、評価対象となる建築物の表面に接着されている仕上げタイルの接着強度試験を行い、接着強度が境界値より小さい場合は「危険域」と判断し、大きい場合は「健全域」と判断して、更に仕上げタイルの強制剥離試験を行い、剥離危険度を評価する。
以下、本発明の第2の実施形態に係る仕上げタイルの剥離危険度評価方法について、図5に示すフローチャートに沿って説明する。
まず、評価対象となる建築物の仕上げタイルの接着強度試験を行い、仕上げタイルの接着強度を求める(STEP21)。
一方、評価対象となる建築物の下地コンクリート、仕上げタイル及び接着剤と同じコンクリート、タイル及び接着剤を使用して試験体を作成し、この試験体を用いて接着強度試験を行う。そして、試験結果から試験体の接着強度の境界値を求める。
そして、STEP21で求めた仕上げタイルの接着強度を、試験体の接着強度の境界値と比較して、仕上げタイルが既に剥離しているか否かを判断する(STEP22)。
STEP21で求めた仕上げタイルの接着強度が試験体の接着強度の境界値未満である場合(STEP22:YES)、仕上げタイルが既に剥離している「危険域」であると判断する(STEP23)。
STEP21で求めた仕上げタイルの接着強度が試験体の接着強度の境界値以上である場合(STEP22:NO)、仕上げタイルが剥離していない「健全域」であると判断する(STEP24)。
そして、図2のSTEP1と同様に、評価対象となる建築物の仕上げタイルに対して強制剥離試験を行い、仕上げタイルの歪量εtを求める(STEP25)。
次に、STEP25で求めた仕上げタイルの歪量εtを、剥離歪閾値εc0と比較して、STEP2と同様に、仕上げタイルの剥離の危険度を評価する(STEP26)。
なお、タイルの接着強度によって「健全域」と「危険域」に区分したが、例えば建築工事共通仕様書の合否基準である0.4N/mmを接着強度が下回る領域を「不良域」として設定することも好ましい。
また、前述した第1の実施形態に係る別の仕上げタイルの剥離危険度評価方法と同様に、下地コンクリートの最大歪量εcMAXを剥離歪閾値εc0と比較して、仕上げタイルの剥離危険度を評価してもよい。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。

Claims (2)

  1. 建築物の下地コンクリートの表面に接着剤で接着された仕上げタイルの剥離危険度を評価する方法であって、
    前記下地コンクリートと同種のコンクリートからなる角柱体状のコンクリート試験片の一面に、前記仕上げタイルと同種のタイルを前記接着剤と同種の接着剤で接着した試験体を作成して、前記タイルを接着した面に隣接し対向する2面より前記コンクリート試験片を圧縮しながら該コンクリート試験片の歪量と前記タイルの歪量との関係を示す歪関係データを取得し、
    前記建築物の下地コンクリートの表面に接着された仕上げタイルと該仕上げタイルと隣接する仕上げタイルとの間の目地部を切断した後、前記仕上げタイルを強制的に剥離し、該仕上げタイルの剥離前後で変化した歪量を求め、
    前記歪関係データにおいて前記タイルの歪量が最大となるときの前記コンクリート試験片の歪量を歪閾値とし、
    前記仕上げタイルの変化した歪量から、前記歪関係データを参照して、前記下地コンクリートの歪量を求め、
    前記下地コンクリートの歪量に、温度変化による変動幅及び経時漸増する収縮に基づいて、将来に増加する歪量を加えて、前記下地コンクリートの最大歪量を推定し、
    前記歪閾値と前記下地コンクリートの最大歪量を比較することにより、前記仕上げタイルの剥離危険度を評価することを特徴とする仕上げタイルの剥離危険度評価方法。
  2. 前記下地コンクリートと同種のコンクリートからなるコンクリート試験片の表面に、前記仕上げタイルと同種のタイルを前記接着剤と同種の接着剤で接着した試験体を作成して、前記タイルが剥離している場合と剥離していない場合との境界となる前記タイルの接着強度の境界値を取得し、
    前記建築物の下地コンクリートの表面に接着された仕上げタイルの接着強度を求め、
    該接着強度が前記境界値以上である場合に行うことを特徴とする請求項1に記載の仕上げタイルの剥離危険度評価方法。
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