JP5698283B2 - 射出成形機用のスクリュ - Google Patents

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Description

本発明は、射出成形機用のスクリュに関するものであり、フライトの頂部にステップ状の段部すなわちランド部が形成されている射出成形機用のスクリュに関するものである。
従来周知のように射出成形機に設けられている射出装置は、加熱シリンダ、この加熱シリンダ内で回転方向と軸方向とに駆動可能なスクリュ、等から構成されている。スクリュには、螺旋状の羽根すなわちフライトが1本または2本以上形成されており、スクリュが回転すると、樹脂材料がフライトによって前方に送られるようになっている。スクリュには、このようなフライトによってフライト溝が形成され、フライト溝の深さはスクリュ全長において変化している。スクリュは機能上から概略的に3つの部分に分けることができ、具体的にはホッパ側から先端部に向かって、供給部、圧縮部、計量部になっている。供給部は材料の樹脂ペレットが固形状で搬送される部分、圧縮部は樹脂ペレットが一部溶融して溶融樹脂と固形物とが混在しながら圧縮されて前方に送られる部分、そして計量部は完全に溶融した溶融樹脂が混練されると共に計量される部分になっている。フライト溝の深さは、供給部で深く、圧縮部において前方に向かって次第に浅くなり計量部において最も浅い。
フライトには色々な形状のものがあり、例えば、フライトに対して垂直な面でフライトを切断したときに頂部が実質的にフラットに形成されている、いわゆるコンベンショナルスクリュが周知である。コンベンショナルスクリュのフライトの頂部と加熱シリンダ内壁との間には、所定の隙間すなわちクリアランスが設けられ、このクリアランスにおいて、溶融した樹脂材料がわずかに入り込んで潤滑圧力が発生するようになっている。スクリュはこの潤滑によって滑らかに加熱シリンダ内で回転することができる。しかしながら、このようなコンベンショナルスクリュを備えた射出装置において、比較的短期間の運転においてフライト頂部や加熱シリンダ内壁が摩耗したり、この摩耗によって生じた金属粉が成形品に混入したり、金属摩擦による発熱によって焼け等の成形不良が生じることがある。この現象は、加熱シリンダ内でスクリュが軸回転するときにスクリュが上下左右に振れる、いわゆる振れ回りが生じるときに発生することが知られている。図5のグラフには、コンベンショナルスクリュを備えた射出装置において、スクリュの振れ回り現象が発生したときの、スクリュの各部分における振幅が示されている。グラフにおいて、横軸はホッパからの距離であるスクリュ位置が示され、縦軸には、スクリュの各部のクリアランスに対するスクリュの振幅の比率が示されている。この現象が発生しているとき、所定の範囲においてスクリュの振幅の比が1.0近傍になっている。すなわちクリアランスの大きさに近くスクリュが振幅していて、潤滑が十分に得られていないことが推測される。そうすると加熱シリンダ内壁とスクリュとが接触し易い状態になっていることが分かる。また、このスクリュの振幅比が1.0近傍になっている範囲にも特徴がある。すなわちこの範囲は、概ね圧縮部全体に及んでおり、わずかにスクリュの供給部の終端部近傍も含まれている。
特許文献1〜3には、適切な潤滑を発生させて、振れ周りを防止するスクリュが提案されている。次に説明するように、これらのスクリュは、いずれもフライトの頂部にステップ状の段部、すなわちランド部が形成されている。特許文献1〜3のそれぞれに記載のスクリュは、それぞれステップ状の段部の寸法や形状に特徴がある。
特公平06−84035号公報 特許第3553275号公報 特許第4977258号公報
特許文献1に記載のスクリュは、ランド部の深さに特徴があり、この深さが特定されている。具体的にはランド部はフライトの最も高い大径部から0.5mm以下の深さに形成されている。一方、特許文献2に記載のスクリュは、ランド部の深さだけでなく、そのフライトの形状にも特徴がある。図6には、特許文献2に記載のスクリュをフライトに対して垂直に切断した断面図が示されている。特許文献2に記載のスクリュ51も、図に示されているように、フライト52の頂部にはランド部53が形成され、このランド部53の深さ54、すなわちフライトの最も高い大径部55に対するランド部53の深さは0.5mm以下になっている。このスクリュ51においては、ランド部53が比較的広い範囲で面取りされ、面取部56が形成されている点にも特徴がある。従って、特許文献2に記載のスクリュ51が加熱シリンダ58内で回転すると、溶融樹脂は面取部56によって滑らかにランド部53に流入し、これによって特許文献1に記載のスクリュに比して、さらに効率よく潤滑圧力が発生する。
特許文献3は、本出願人の特許出願に係る文献であるが、この文献にもランド部を備えたスクリュが提案されている。この文献においては、ランド部と加熱シリンダ内周面との隙間を第1の隙間とし、フライトの最も高い大径部と加熱シリンダ内周面との隙間を第2の隙間とするとき、第1、2の隙間の比率が所定の範囲にあり、そしてランド部の幅とフライト幅の比率が所定の範囲にあるときに、効率よく潤滑圧力が発生することを理論的に明らかにしている。そして特許文献3に記載のスクリュは、このような特定の条件を満足するフライトが、フライト幅が加熱シリンダ内径の0.16倍以上になるように形成されている。特許文献3に記載のスクリュは、スクリュの全体に渡って十分に潤滑圧力が発生する。
特許文献1〜3のそれぞれに記載されているスクリュは、いずれもコンベンショナルスクリュに比して高い潤滑圧力が発生して、スクリュの振れ回りは発生しない。あるいは発生し難い。つまり潤滑圧力を適切に発生させるという点においては、特許文献1〜3のそれぞれに記載のスクリュはいずれも優れており問題はない。しかしながら他の点において考慮すべき点が見受けられる。具体的にはスクリュが前方に搬送する溶融樹脂の時間当たりの量、すなわち押出量の点で検討の余地があるように見受けられる。スクリュは一般的に、フライト幅を大きくすれば潤滑圧力は大きくなってスクリュの振幅を抑制することができるが、フライト幅が大きくなる分だけ押出量が低下する。反対にフライト幅を小さくすると押出量は確保できるが、フライトの振幅が大きくなって振れ回りが発生する危険がある。つまり潤滑圧力を大きくすることと押出量を大きくすることはトレードオフの関係になっている。
本発明は、上記したような問題点を解決した、射出成形機用のスクリュを提供することを目的としており、具体的には十分な押出量を確保することができるにも拘わらず、十分に潤滑圧力が発生してフライトや加熱シリンダ内壁が摩耗することがなく、従って金属粉が成形品に混入したり、金属摩擦による発熱によって焼け等の成形不良が生じることがない、射出成形機用のスクリュを提供することを目的としている。
本発明者は、本発明を発明するに先立ち、特許文献2、3に記載のスクリュを試作して、それぞれのクリュを加熱シリンダ内で回転させたときのスクリュの振幅を測定する実験をした。特許文献2に記載のスクリュに関しては、形状やランド部の深さについては特許文献2に記載されている条件を全て適用して試作した。ただしフライトに対する垂直方向の大径部の幅、すなわちフライト幅は、前後のフライトの距離すなわちフライトリードに対して2.4%になるようにした。実質的にフライトリードは加熱シリンダ内径に等しいので、製作したスクリュの大径部の幅は加熱シリンダ内径Dに対して0.024Dになる。つまり比較的フライト幅は小さいスクリュといえる。このスクリュを加熱シリンダ内で回転させ、スクリュの各位置における振幅を測定したところ、図7のグラフのようになった。グラフにおいて横軸はホッパの位置をゼロとするスクリュ位置になっており、縦軸は、各位置におけるスクリュと加熱シリンダ内周壁とのクリアランスに対する振幅の比率になっている。図5のグラフと比較すると、コンベンショナルスクリュに比してスクリュの振幅は全体的に小さくなっており、潤滑圧力が発生していることが分かる。しかしながら、圧縮部の入口近傍ではスクリュの振幅は若干高い。これはフライト幅が比較的小さいことが原因であると推測される。なお、特許文献2に記載のスクリュに限らず、フライトの頂部にランド部が形成されているスクリュは、概ね全体的に潤滑圧力が発生することが確かめられており、フライト幅が比較的狭い場合には、樹脂ペレットが溶融を開始する圧縮部の入口近傍において特許文献2に記載のスクリュと同様にスクリュの振幅が高くなる傾向が見られる。
特許文献3に記載のスクリュについては、これを試作するときにフライト幅が加熱シリンダ内径Dに対して0.22Dとなるようにした。そして、隙間比mと形状因子βについては発明を実施するための形態の項において詳しく説明するが、隙間比mと形状因子βは、それぞれ2、0.7とした。この試作したスクリュを加熱シリンダ内で回転させ、スクリュの各位置における振幅を測定したところ、図8のグラフのようになった。特許文献3に記載のスクリュは、ランド部や大径部等について理論的に得られる最適な形状で形成されているので、十分な潤滑圧力が発生しているが、特にフライト幅が比較的大きいこともあり、スクリュの全長に渡ってスクリュの振幅が十分に小さくなっている。
上記の結果からフライトの頂部にランド部が形成されているスクリュは、いずれもコンベンショナルスクリュに比して高い潤滑圧力が発生していることが確認できた。ただし次の点も明らかになった。すなわちフライトの頂部にランド部を設けても、スクリュ幅が比較的小さい場合には圧縮部の入口近傍においてスクリュの振幅が大きくなる点が明らかになった。このスクリュの振幅はスクリュ幅が十分大きいと小さくなる点も確認された。
ところで、既に述べたようにスクリュの押出量はフライト幅に依存する。すなわちフライト幅が大きくなると、加熱シリンダとスクリュとの間の空間の体積が減少するので押出量が減少する。一方、スクリュのフライトの溝の深さに着目すると、フライトの溝の深さは供給部で深く、圧縮部において前方に向かって次第に浅くなり、計量部において最も浅い。そうすると加熱シリンダとスクリュの間の空間の体積は、計量部において最も小さい。つまり計量部が押出量を律速している部分であると言うことができる。試作したスクリュによる前記の実験から、フライト幅が比較的小さい場合には、スクリュの振幅が大きくなる部分は、圧縮部の入口近傍に集中している。そうするとこの部分について重点的に潤滑圧力が発生するようにすれば、スクリュ全体としてはスクリュの振幅を抑制することができることになる。
そこで本発明は、本発明の目的を達成するために、フライトの頂部にランド部を形成するようにし、かつフライトの幅は、圧縮部入口近傍で大きく、計量部において小さくするように構成する。また圧縮部入口近傍においてはフライト幅は、加熱シリンダの内径に対して0.16倍以上に選定するように構成する。
かくして、請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、加熱シリンダ内で回転方向と軸方向とに駆動されるように設けられているスクリュであって、該スクリュは、後方から前方に向かって、射出材料を固形状で送り出す供給部と、射出材料を溶融しながら固形状と溶融状態とが混合した半溶融状態で送り出して圧縮する圧縮部と、溶融状態の射出材料を送り出して計量する計量部とになっており、前記スクリュのフライトは、その頂部がステップ状の段部によって後方寄りの大径部と前方寄りのランド部とに形成されている射出成形機用のスクリュにおいて、前記フライトのリード角と垂直な方向におけるフライト幅(B)は、前記圧縮部の入口近傍に比して前記計量部において小さくなっており、前記圧縮部の入口近傍の前記フライト幅(B)は、前記加熱シリンダの内径に対して0.16倍以上に選定されていることを特徴とする射出成形機用のスクリュとして構成される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスクリュにおいて、少なくとも前記圧縮部の入口近傍においては、前記ランド部と前記加熱シリンダの内周壁の間の第1の隙間(H)は、前記大径部と前記加熱シリンダの内周壁の間の第2の隙間(H)の1.65〜2.15倍に選定され、前記ランド部の幅(B)は、前記フライト幅(B)の0.63〜0.79倍に選定されていることを特徴とする射出成形機用のスクリュとして構成される。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のスクリュにおいて、前記フライト幅(B)は前記計量部において前記加熱シリンダの内径に対して0.16倍未満になるように選定されていることを特徴とする射出成形機用のスクリュとして構成される。
以上のように、本発明は、加熱シリンダ内で回転方向と軸方向とに駆動されるように設けられているスクリュであって、スクリュのフライトは、その頂部がステップ状の段部によって後方寄りの大径部と前方寄りのランド部とに形成されている。従って加熱シリンダ内壁とフライトの頂部との間に溶融した樹脂材料が入り込んで効率よく潤滑圧力が発生するスクリュであると言える。そして、フライトのリード角と垂直な方向におけるフライト幅(B)は圧縮部の入口近傍において、加熱シリンダの内径に対して0.16倍以上に選定されている。つまりスクリュの振幅が大きくなりやすい部分においてフライト幅が十分な大きさになっているので、スクリュの振れ回りを防止することができる。そして本発明によると、フライト幅(B)は、圧縮部の入口近傍に比して計量部において小さくなっている。つまり押出量を律速する計量部のフライト幅は小さい。そうすると押出量は十分に確保することができるという本発明に特有の効果が得られる。
他の発明によると、スクリュは、少なくとも圧縮部の入口近傍においてはランド部と加熱シリンダの内周壁の間の第1の隙間(H)は、大径部と加熱シリンダの内周壁の間の第2の隙間(H)の1.65〜2.15倍に選定され、ランド部の幅(B)は、フライト幅(B)の0.63〜0.79倍に選定されている。このような範囲にフライト幅が選定されているので、発明を実施するための形態のところで説明するように、十分な潤滑圧力が発生してスクリュと加熱シリンダ内壁の接触を確実に防止することができる。また、このような範囲は、潤滑圧力を発生させる上で理論的にも最適な範囲であると言えるので、その分だけスクリュの幅を狭くすることが可能になる。つまり押出量を十分に確保することが可能になる。
本発明の実施の形態に係る射出成形機用のスクリュを模式的に示す図であり、その(ア)はスクリュの正面図、その(イ)、(ウ)は(ア)におけるA−Aで切断したフライトの断面拡大図である。 運動片と固定片の隙間を流れる粘性流体の挙動を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態に係るスクリュを回転させたときのスクリュの振幅の変化を示すグラフである。 フライトの頂部が大径部とランド部とからなるスクリュにおいて、フライトの頂部の形状を変化させたときの負荷容量係数の変化を示すグラフである。 従来のコンベンショナルスクリュを回転させたときの、各スクリュ位置におけるスクリュの振幅を示すグラフである。 特許文献2に記載のスクリュのフライトの断面図である。 特許文献2に記載のスクリュと類似した形状のスクリュを回転させたときのスクリュの振幅を示すグラフである。 特許文献3に記載のスクリュを回転させたときの、各スクリュ位置におけるスクリュの振幅を示すグラフである。
本実施の形態に係る射出成形機用のスクリュ1も、加熱シリンダに回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられており、図1の(ア)に示されているように、概略従来のスクリュと同様に構成されている。すなわちスクリュ1には、螺旋状のフライト2がスクリュ1の全長に渡って設けられており、このフライト2によってフライト溝3が形成されている。フライト溝3はスクリュ1の後端部寄りにおいて比較的深く、中央部において前方に向かって少しずつ浅くなり、先端部近傍において最も浅い。フライト溝3が深いスクリュ1の後端部寄りは供給部5になっており、図示されないホッパから樹脂ペレットとして供給される樹脂材料が予熱されながら固形状で前方に送られるようになっている。スクリュ1の中央部は樹脂材料が溶融されると共に圧縮されて前方に送られる圧縮部6になっている。圧縮部6は溶融樹脂と固形状の樹脂ペレットとが混在した半溶融状態の樹脂材料が送られる部分ということも出来る。そしてフライト溝3が最も浅いスクリュ1の先端部近傍は完全に溶融した樹脂が混練されると共に前方に送られて計量される計量部7になっている。図1の(ア)に加熱シリンダは示されていないが、加熱シリンダの内壁とフライト2の間には所定の隙間、すなわちクリアランスが形成されている。次に説明するようにフライト2の頂部は所定の形状に形成されているので、溶融した樹脂材料がクリアランスに入り込んで適切な潤滑圧力が発生し、加熱シリンダとスクリュ1が直接接触しないようになっている。
本実施の形態に係るスクリュ1は、2つの特徴がある。2つのうち最も重要な特徴はフライト幅が変化している点である。フライト幅はフライトのリード角と垂直な方向におけるフライトの幅であるが、図1の(ア)に示されているように、このフライト幅は圧縮部6の入口近傍で大きく、スクリュ1の前方に向かって小さくなっている。フライト幅は、加熱シリンダ14の内径Dを基準として表現することができ、本実施の形態においては圧縮部6の入口近傍において0.16D以上、計量部7において0.16D未満になっている。
本実施の形態に係るスクリュ1の他の特徴は、フライト2の頂部の形状である。以下、説明する。本実施の形態においては、スクリュ1のフライト2には、図1の(ア)において符号8で示されている範囲、つまり圧縮部6寄りの供給部5から計量部7にかけて、フライト2の頂部にフライト2と平行なステップ状の段部9が形成されている。この段部9によってフライト2の頂部は、図1の(イ)に示されているように、後端部寄りの大径部11と先端部寄りのランド部12とに分けられている。後で説明するように、フライト幅Bとランド部12の幅Bの比率は所定の範囲に選定されている。さらに、加熱シリンダ14の内周面とランド部12との間の第1の隙間Hと、加熱シリンダ14の内周面と大径部11との間の第2の隙間Hの比率も所定の範囲に選定されている。これは効率よく潤滑圧力を発生させて確実にスクリュ1と加熱シリンダ14の接触を防止するためである。なお、本明細書において加熱シリンダ14とスクリュ1の隙間であるクリアランスは、第2の隙間Hのことであり、加熱シリンダ14の内壁面とスクリュ1の大径部11との平均的な隙間のことである。
本実施の形態に係るスクリュ1を回転すると、溶融した樹脂材料はスクリュ1の先端部に送られる。つまり溶融樹脂の大部分は、図1の(ウ)に示されている矢印Yの方向に送られる。このときわずかな量の溶融樹脂は第1、2の隙間H、Hに入り込む。この入り込んだ溶融樹脂によって潤滑圧力が発生することになる。ところで、回転するスクリュ1のフライト2は加熱シリンダ14の内周面に対して所定の速度で駆動されるが、この速度はフライト2と平行な成分と、フライト2と垂直な成分とに分けることができる。フライト2と垂直な成分についてのみ考えると、フライト2は図1の(ウ)に示されているように、加熱シリンダ14に対して速度U’で右方向に動いているように見える。フライト2を基準としてフライト2が固定されていると見なすと、加熱シリンダ14は左方向に速度Uで動いていると考えることができる。速度Uは速度U’と大きさが等しく向きが反対の速度である。図には、潤滑圧力を発生させる第1、2の隙間H、Hにおける溶融樹脂の速度vの分布が模式的に示されている。このようにフライト2に垂直な方向の速度についてのみ着目し、そしてフライト2が固定されていると見なしてモデル化すると、スラスト軸受の一種である、いわゆる段付平行軸受と類似したモデルが得られる。このモデルにおける溶融樹脂の挙動を、段付平行軸受における潤滑油の挙動から類推すると、潤滑圧力pは段部9近傍で最大値Pになり、フライト2の両端面において実質的に零になる。そして大径部11、およびランド部12のそれぞれにおいて潤滑圧力pは直線状に変化する。なお、潤滑圧力pが直線状に変化するのは、粘度の高い溶融樹脂の流れは層流になるはずであり、層流は流れる距離に比例して圧力が損失するからである。以下、ランド部12を備えたフライト2における潤滑の負荷容量を求めるにあたり、まず、相対的に運動する2平面の間の粘性流体の一般的な挙動について説明する。
図2には、固定片17と、この固定片17に対して相対的に速度Vでスライドする運動片18とが示されており、固定片17と運動片18の間にはニュートン流体が充填されている。流体の微小要素19に働く力の釣り合いを考えると、x軸方向の力の釣り合いから1式が得られる。ここでpは圧力、τは剪断力である。
Figure 0005698283
剪断力τは、流体の粘度をμ、x方向の流速をvとすると2式で与えられる。1式と2式とから3式が得られる。3式は、いわゆるナビエ・ストークスの式から得ることもでき、非圧縮流体の定常流れを表す式になっている。固定片17と運動片18のy方向の隙間をhとすると、y=hにおいて流体の速度v=0である。またy=0において流体の速度v=Vである。これらを境界条件として3式を解くと、流速vと圧力分布の関係式である4式が得られる。紙面に垂直な単位幅を考えると、隙間hを流れる流体の流量Qは4式を積分した5式で与えられることになる。
Figure 0005698283
5式によって、図1の(ウ)に示されているモデルにおける、第1、2の隙間H、Hを流れる溶融樹脂の流量Qを計算する。流量Qは第1、2の隙間H、Hにおいて等しい。またdp/dxは、第1の隙間HにおいてはP/Bで与えられ、第2の隙間Hにおいては(0−P)/(B−B)で与えられるので、流量Qは6式で与えられる。
Figure 0005698283
得られた6式を潤滑圧力の最大値Pについて解くと7式が得られる。
ところでフライト2における単位長さ当たりの潤滑の負荷容量Wは、潤滑圧力pについてフライト2の幅方向に積分すると得られる。ところで、図1の(ウ)に示されているように、潤滑圧力pは、底辺の長さがBで高さがPの三角形のように変化している。そうすると負荷容量Wは、この面積として与えられることになる。このようにして計算した負荷容量Wが8式に示されている。なお、式中のKは負荷容量係数である。またmは隙間比であり第1、2の隙間H、Hの比、βは形状因子でありフライト幅Bとランド部12の幅Bの比である。
Figure 0005698283
8式から、潤滑の負荷容量Wは、フライト幅Bが大きくなるほど大きくなることが分かる。負荷容量Wが大きいほどスクリュ1と加熱シリンダ14の接触する可能性を小さくすることができるが、フライト幅Bを大きくするとフライト溝3が小さくなりスクリュ1の回転によって溶融樹脂を前方に押し出す押出量が小さくなってしまう。そこで、最適なフライト幅Bを決定するため、次の実験を行った。
隙間比m=2、形状因子β=0.7として、フライト幅Bが異なる複数本のスクリュ1、1、…を製作した。これらのスクリュ1を加熱シリンダ14内で回転させて、スクリュ振幅を測定した。振幅を測定した部分はスクリュ1の圧縮部5の入口近傍である。つまり最もスクリュ振幅が大きくなる部分において測定した。この結果を以下の表1に示す。
Figure 0005698283
フライト幅Bは、フライト2に垂直な方向の幅であり、加熱シリンダ14の内径Dに対する比率で示されている。またスクリュ振幅比は、クリアランスに対するスクリュ振幅の比率であり、スクリュ1が加熱シリンダ14の内壁に接触している状態において、比率は1.0となる。この比率が大きいほどスクリュ1の振れ回りの危険が大きい。実験の結果からフライト幅Bが0.10D以下においてはスクリュ振幅比が0.90以上となって振れ回りの危険があるが、フライト幅Bが0.16Dにおいてはスクリュ振幅比は0.80であり安全であると言える。さらにフライト幅Bが大きいとスクリュ振幅比は小さくなることが分かる。この実験によって、圧縮部6の入口近傍におけるフライト幅Bは、0.16D以上必要であることが確認できた。
次に、第1、2の隙間H、Hの比である隙間比m、フライト幅Bとランド部12の幅Bの比である形状因子βについて最適な範囲を検討する。8式で与えられている負荷容量係数Kについて、色々な隙間比mに対して、形状因子βを変化させたときの変化の様子を図4のグラフに示す。グラフから負荷容量係数Kの最大値は0.2をわずかに越えた値であると言える。そこで、負荷容量係数Kが0.2以上になる隙間比mと形状因子βの条件を調べ、以下を得た。
1.65 ≦ 隙間比m ≦ 2.15
0.63 ≦ 形状因子β ≦ 0.79
上の条件に適合するようにフライト2を形成すると、負荷容量係数Kが0.2以上になって最大値近傍になり、潤滑の負荷容量Wが最大値に近くなることが分かる。
実験例1から得られた圧縮部6の入口近傍におけるフライト幅Bの条件と、上で得られた隙間比mと形状因子βの最適な範囲とから、これらに適合する本実施の形態に係るスクリュ1を考える。具体的に例えば、圧縮部6の入口近傍のフライト幅Bを0.19D、計量部7におけるフライト幅Bを0.024Dとしてフライト幅Bが緩やかに変化するスクリュ1については、これを加熱シリンダ14内で回転させると、スクリュ振幅比は、図3の点線のグラフのようになる。なお、図3における実線のグラフはスクリュ1の全長に渡ってフライト幅Bが小さいスクリュ1、例えばフライト幅Bが0.024Dのスクリュ1におけるスクリュ振幅比を示している。
既に説明したようにスクリュ1の計量部7においてスクリュ溝3が最も浅く、この部分が押出量を律速している。つまりスクリュ1の他の部分についてはスクリュ溝3が比較的深いので押出量にはほとんど影響しない。本実施の形態に係るスクリュ1をモデル化して、計量部7におけるフライト幅Bを色々な大きさにして、それぞれにおける押出量を数値計算した。なお、押出量はフライト幅Bが0.10Dのときを100とした。計算で得られた結果を表2に示す。
Figure 0005698283
計算結果から、計量部7におけるフライト幅Bが大きくなると押出量が減少することが明らかである。押出量を確保するために、計量部7におけるフライト幅Bは0.16D未満であることが好ましいと言える。
本実施の形態に係るスクリュ1は色々な変形が可能である。例えばフライト2の頂部の形状は、隙間比mと形状因子βが所定の範囲になっているように説明し、この範囲において最も効率よく潤滑圧力が発生するように説明したが、必ずしもこの範囲にする必要はない。つまり隙間比mと形状因子βのいずれか、あるいは両方が前記したような範囲になくても、計量部7に比して圧縮部6入口近傍において十分にフライト幅Bを大きくすれば、スクリュの振れ回りを防止することができる。また、フライト2の頂部の形状について、隙間比mと形状因子βがスクリュ2の全体において一定であるように説明したが、これらはスクリュ2の位置によって変化するようにしてもよい。この場合においても、スクリュ振幅が大きくなりやすい圧縮部6の入口近傍においては、隙間比mと形状因子βとが所定の範囲に入るようにすることが好ましい。
1 スクリュ 2 フライト
3 フライト溝 5 供給部
6 圧縮部 7 計量部
9 段部 11 大径部
12 ランド部 14 加熱シリンダ
フライト幅
ランド部の幅
第1の隙間 H 第2の隙間

Claims (3)

  1. 加熱シリンダ内で回転方向と軸方向とに駆動されるように設けられているスクリュであって、該スクリュは、後方から前方に向かって、射出材料を固形状で送り出す供給部と、射出材料を溶融しながら固形状と溶融状態とが混合した半溶融状態で送り出して圧縮する圧縮部と、溶融状態の射出材料を送り出して計量する計量部とになっており、前記スクリュのフライトは、その頂部がステップ状の段部によって後方寄りの大径部と前方寄りのランド部とに形成されている射出成形機用のスクリュにおいて、
    前記フライトのリード角と垂直な方向におけるフライト幅(B)は、前記圧縮部の入口近傍に比して前記計量部において小さくなっており、
    前記圧縮部の入口近傍の前記フライト幅(B)は、前記加熱シリンダの内径に対して0.16倍以上に選定されていることを特徴とする射出成形機用のスクリュ。
  2. 請求項1に記載のスクリュにおいて、少なくとも前記圧縮部の入口近傍においては、前記ランド部と前記加熱シリンダの内周壁の間の第1の隙間(H)は、前記大径部と前記加熱シリンダの内周壁の間の第2の隙間(H)の1.65〜2.15倍に選定され、前記ランド部の幅(B)は、前記フライト幅(B)の0.63〜0.79倍に選定されていることを特徴とする射出成形機用のスクリュ。
  3. 請求項1または2に記載のスクリュにおいて、前記フライト幅(B)は前記計量部において前記加熱シリンダの内径に対して0.16倍未満になるように選定されていることを特徴とする射出成形機用のスクリュ。
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