JP5695648B2 - 医用画像処理方法および装置 - Google Patents

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Description

本発明は、医用画像を処理する方法および対応する装置に関する。本発明は、例えば人間の脳の磁気共鳴画像の処理に特に適しているが、これに限定されない。
脳の磁気共鳴画像(MRI)からの特徴(フィーチャ)の自動抽出は、神経画像検査においてますます重要なプロセスとなっている。脳構造は被験者間で大きく異なる上、老化または疾患の進行のいずれかによって顕著に変化するので、特徴抽出中に解剖学的差異を処理する適切な方法を発見することが、近年ますます注目を集めている。
この多様性を処理する最も一般的な方法は、アトラスベースの手法である。本研究の文脈では、「アトラス(atlas)」とは、画像内の点、領域または構造を特定するための注釈またはラベルを有するデータセット(3D画像、2D画像、任意の次元の画像、または一連の画像)のことである。
アトラスベースの手法は、確率的または統計的な方法のいずれかで、解剖学的多様性をアトラスが符号化することができると仮定する。代表アトラスを構築するとき、母集団の任意の特定のサブグループに対して不偏であるテンプレートに対して全画像を位置合わせすることが重要である。形状平均化およびアトラス構築のために大変形微分同相写像(large deformation diffeomorphic)を用いる二つの手法がAvants and Gee (2004)およびJoshi et al. (2004)によって提案されている。画像を位置合わせする(co-registering)テンプレートフリーの方法は、空間画像正規化のために確立されたフレームワークを形成する。単一の代表平均アトラスを探す手法から発展して、より最近の二つの方法は、画像データセット内の異なる母集団のモードを特定する方法について述べている(Blezek and Miller, 2007;Sabuncu et al., 2008)。
被験者情報に左右される様々なアトラスを設計するために、近年、経時的な疾患進行中の脳形状の解剖学的変化の特性を明らかにするという問題に対して様々なアプローチが適用されてきた。Davis et al. (2007)は、微分同相写像の多様体に対してカーネル回帰が適用される母集団形状回帰方法について記載する。Ericsson et al. (2008)は、性別、年齢または臨床学的因子などのメタ情報にしたがって、小さな変形セッティングに異なる平均脳アトラスが構築される、患者固有アトラスの構築方法を提案している。
磁気共鳴(MR)脳画像データから特徴またはバイオマーカーを抽出する方法は、関心領域の自動セグメンテーション(セグメント化)で始まることが多い。非常に一般的なセグメンテーション法は、ラベル伝播を使用する。これは、アトラス画像から不可視の(unseen)ターゲット画像へと、両方の画像の位置合わせによってラベルを変換する。アトラスは典型的にマニュアルでラベル付けされるが、これは必ずしも必要ではない。このアプローチを用いた初期の研究は、Bajcsy et al. (1983)により提案されており、より最近ではGee et al. (1993)およびCollins et al. (1995)によって提案されている。ラベル伝播の精度は、基礎となる画像の位置合わせ精度に強く依存している。単一のセグメンテーションへの依存を解決するために、Warfield et al. (2004)はSTAPLE、セグメンテーションの収集のために、真のセグメンテーションの確率論的推定を計算する方法を提案した。Rohlfing et al. (2004)は、複数のアトラスから伝播したラベルを分類装置融合(classifier fusion)ステップで組み合わせてターゲット画像の最終セグメンテーションを取得する、複数分類装置(multi-classifier)フレームワークのロバスト性および精度の改善を実証した。分類装置融合と組み合わせるラベル伝播は、Heckemann et al. (2006)による脳MR画像内での多数の構造のセグメント化でうまく活用された。
解剖学的多様性が広範囲であるため、アトラスの選択は、マルチアトラスセグメンテーションにおける重要な問題となっている。所与のターゲットに対する適切なアトラスの選択は、アトラスターゲットの位置合わせおよびその後のセグメンテーションが可能な限り正確であることを保証する助けとなる。Wu et al. (2007)は、アトラス選択を組み込むことによって、単一アトラスの場合のセグメンテーション結果を改善する別の方法について述べている。Aljabar et al. (2009)は、マルチアトラスセグメンテーション中に最適なアトラスを選択する別の類似手段を研究している。Van Rikxoort et al. (2008)は、収束基準が満足するまで画像の異なるサブウインドウ内でアトラスの組み合わせを実行する方法を提案する。これらの手法は、各ターゲット画像に対して個別に適切なアトラスを選択することに意味があることを示している。利用できるMR脳画像の数は増加しているが、高品質のマニュアルアトラスの作成は労働集約的であり費用のかかる仕事である(例えばHammers et al. (2003)を参照)。これは、アトラスの数が比較的限られていることが多く、ほとんどの場合、特定の母集団(例えば、若く健康な被験者)に制限されることを意味する。これは、たとえ選択アプローチを使用したとしても、アトラスデータベースの適用性を制限しうる。これを解決するべく、Tang et al. (2009)は、単一のテンプレート画像と訓練画像との間での変換から学習したPCA変形モデルを利用することによって、多様なアトラス画像を生成しようとしている。モデルからサンプリングされた複数の変換を用いて初期テンプレートを変換することによって、潜在的なアトラスが作成される。この前提は、不可視画像に対する適切なアトラスを見つけることによって、このテンプレートへの高速かつ正確な位置合わせを容易に実現できるというものである。しかしながら、訓練データよりも大きな変動レベルを有するテストデータは、この手法に対して重要な課題を突きつける。加えて、かなりばらつきがある訓練データセットを使用すると、様々な画像と単一テンプレートとの間での位置合わせ誤差の可能性が増大するため、代表的でないPCAモデルにつながることがある。この制約により、この手法は、全てのトレーニング画像から単一の初期テンプレートへの良好な位置合わせを容易に実現することができる場合にのみ適用できるに過ぎない。
アトラスベースのセグメンテーションは、ターゲット画像と類似するアトラスの選択から利益を受ける(Wu et al., 2007;Aljabar et al., 2009)。しかしながら、実際問題として、初期アトラスはターゲット画像母集団の特定のサブグループを代表しているに過ぎないことがある。
したがって、相当量の解剖学的多様性を示すMR脳画像の大きく多様なセットにまで比較的少数のアトラスを伝播できるようにすることが望ましい。
自動でラベル付けされた脳画像を用いて不可視画像にラベル付けする従来の研究は、直接マルチアトラス伝播におけるセグメンテーション精度を改善するには至らなかった。Heckemann et al., 2006では、複数の比較的同質のアトラスを、不可視画像のセグメンテーションのための単一アトラスとして使用される、ランダムに選択された中間画像に伝播させたとき、得られた平均ダイス(Dice)とマニュアルデリニエーション(manual delineation)との重なりは、直接マルチアトラス伝播および融合の場合の0.84と比較して、0.80であった。第2の実験では、ランダムに選択された中間被験者に単一アトラスが伝播され、続いてこれをマルチアトラスセグメンテーション法でさらに使用した結果、マニュアルデリニエーションとのDice係数のオーバーラップはせいぜい0.78であった。
さらなる背景技術は、米国特許出願公開US 2007/0053589 A1、US 2008/0154118 A1およびWO 2009/093146 A1によって提供される。これらの全てが画像データのセグメンテーション法を開示する。
本発明の第1の態様によると、特許請求の範囲の請求項1で規定される方法が提供される。したがって、コンピュータプロセッサによって実行される医用画像の処理方法が提供される。この方法は、(a)一つ以上の解剖学的特徴がラベルデータを用いてラベル付けされた一つ以上の画像を含む、一つ以上のアトラスを取得するステップと、(b)複数のラベル付けされていない画像を取得するステップと、(c)ラベル付けされた画像とラベル付けされていない画像とを比較し、一つまたは複数のラベル付けされた画像と最も類似する一つ以上のラベル付けされていない画像を選択するステップと、(d)選択された画像のそれぞれに対して、最も近い一つ以上のラベル付けされていない画像からのラベルデータを伝播し、これによって、選択された画像それぞれの対応する解剖学的特徴にラベル付けし、選択された画像をラベル付けされた画像にするステップと、(e)ステップ(c)以降を繰り返すことによって、他のラベル付けされていない画像にラベル付けするステップと、を含む。
「ラベル付けされた」という用語は、解剖学的特徴のデリニエーション(delineation)、セグメンテーション(segmentation)、またはアノテーション(annotation)のあらゆる種類を包含するように、広く解釈されるべきである。同様に、「ラベルデータ」という用語は、医用画像上で解剖学的特徴に描写(delineated)、セグメント化(segmented)、または注釈を付す(annotated)ことができるあらゆる種類の符号化を包含するように、広く解釈されるべきである。
最も近いラベル付き画像からラベルなし画像へとラベルデータを繰り返し伝播するおかげで、構造的に類似のアトラスを用いてそれぞれのラベルなし画像をセグメント化することができる。結果として、ラベル付き画像とラベルなし画像の間での比較的大きな差異を、ラベルデータが伝搬される比較的類似する最初にラベル付けされない画像間での多数の小さな差異へと分解することができ、位置合わせ誤差を削減することが可能になる。
好適ではあるが選択的な特徴は、従属項で規定される。
したがって、ラベル付けされた画像とラベル付けされていない画像とを比較するステップは、低次元の座標系内に画像を埋め込むことを好ましくは含む。これにより、ラベル付き画像とラベルなし画像とを比較して、計算的に効率的な方法でその差異を定量的に評価することが可能になる。特定の実施形態では、低次元座標系が二次元座標系であってもよい。こうすると、画像間の差異の解析と処理がさらに単純化される。
ラベル付けされた画像とラベル付けされていない画像とを比較するステップは、画像セット内の各画像ペアについて一つ以上の解剖学的特徴を比較することによって、ペア間類似度測定(pairwise measures of similarity)のセットを定義することを好ましくは含む。特に好ましくは、このステップは、ペア間類似度測定でスペクトル解析操作を実行することをさらに含む。しかしながら、当業者であれば、これを実現可能である他の方法が存在することを理解するだろう。
ペア間類似度測定は、画像ペア間での強度の類似度を表してもよいし、および/または画像ペア間での変形量を表してもよい。
ラベルデータを伝播するステップは、分類装置融合(classifier fusion)技術に基づき、最も近い複数のラベル付けされていない画像からラベルデータを伝播することを好ましくは含む。これにより、選択された画像(単数または複数)により高い精度でラベルを付けることが可能になる。
ラベル付けプロセス中の位置合わせ誤差の集積をさらに最小化するために、ステップ(d)の後かつステップ(e)の前に、新たに伝播されたラベルデータに強度ベースの精密化(inteisity-based refinement)操作を実行するステップをさらに含むことが好ましい。
画像は異なる被験者のものであってもよい。代替的に、画像の少なくとも一部が同一被験者の異なる時点で取得されたものであってもよい。これにより、被験者内変動(intra-subject variance)を特定し研究することが可能になる。
画像は磁気共鳴画像であってもよいし、当業者に周知の他の医用画像であってもよい。
ある条件の有無を表す解剖学的特徴をラベル付けし、その特徴を使用してその条件のバイオマーカーを導出することをさらに含んでもよい。バイオマーカーに基づいて、被験者を診断区分に割り振り、治療に対する被験者の反応を数値化し、および/または被験者の治療法を選択することをさらに含んでもよい。
本発明の第2の態様によると、本発明の第1実施形態に係る方法を実施するように構成された画像装置が提供される。画像装置は、MRIスキャナなどの医療用スキャナ、または他のタイプであってもよい。
本発明の第3の態様によると、本発明の第1実施形態に係る方法を実施するように構成された画像処理装置が提供される。
本発明の第4の態様によると、本発明の第1実施形態に係る方法を実施するように構成されたコンピュータシステムが提供される。
本発明の第5の態様によると、本発明の第1実施形態に係る方法を実施するコード化された命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
本発明の第6の態様によると、本発明の第5実施形態に係るコンピュータプログラムをエンコードするコンピュータ可読媒体または物理的搬送波信号が提供される。
以下、図面を参照して、例示のみを目的として本発明の実施形態を説明する。
新規な方法を用いたアトラス伝播の過程を示す図である。 四つの被験者グループ(健康な若年者、高齢の対照群、MCI、AD)間で異なる選択がされた特徴次元を区別する能力を示す結果の図である。 ペア間画像類似度の評価に用いられた海馬の周囲の関心領域を示すMNI152脳アトラスの図である。 健康な被験者に基づく30枚のアトラスと、高齢の認知症患者および年齢適合対照被験者からの796枚の画像の、座標埋め込みを示す図である。 横断面スライス上での右海馬に対するセグメンテーション結果を比較した図である。 評価に用いられた画像の各サブセットが一本の棒グラフで表されている、アトラスの原セットからの距離の増加に伴うセグメンテーション精度の発展を示す図である。 マニュアルセグメンテーションおよび自動セグメンテーションでの平均海馬体積を示す図である。 海馬のマニュアルセグメンテーションおよび自動セグメンテーションに基づく体積測定の一致を示すBland-Altmanプロットである。
本実施形態は、出願人が既知の、本発明を実施する最適な方法を説明する。しかしながら、これを実現可能である唯一の方法ではない。
最初に、本実施形態は、医用(または他の)画像を処理する方法またはアルゴリズムの形態をとる。この方法またはアルゴリズムはコンピュータプログラムで具現化されてもよいし、またはコンピュータプロセッサによって実行可能である命令コードのセットで具現化されてもよい。コンピュータプロセッサは、従来の(十分に高性能な)コンピュータのものであってもよいし、または他の画像処理装置やコンピュータシステムのものであってもよい。代替的に、MRIスキャナなどの医用画像装置の一部にコンピュータプロセッサが組み込まれてもよいし、これらと通信してもよい。
コンピュータプログラムまたは命令コードのセットは、CD−ROM、DVDまたは固体メモリデバイスなどのコンピュータ可読媒体またはデータキャリアで提供されてもよい。代替的に、接続されたコンピュータから、またはローカルエリアネットワークあるいはインターネットなどの広域ネットワークを介して、デジタル信号としてダウンロード可能であってもよい。さらなる代替として、コンピュータプログラムまたは命令コードのセットが、それを実行するように構成されたコンピュータプロセッサ(または関連するメモリ)にハードコーディングされていてもよい。
概要
我々の方法は、一連のデジタル画像に既にラベルまたは注釈が付けられている、一つ以上の既存のアトラスを取得することから始まる。伝播すべきラベルまたは注釈が載っている一連の画像が、例えばMRIスキャナまたは医用画像装置の別の部分から取得される。問題になっている画像は脳画像であってもよい。代替的に、例えば変形性関節症を診断するために、膝などの人間(または動物)の体の他の部分の画像であってもよい。
我々の新規な方法を用いるアトラス伝播およびセグメンテーションプロセスが、五つのステップからなる図1に描かれている。最初にステップ(1)で、全てのラベル付き画像(すなわちアトラス)およびラベルなし画像が低次元多様体に埋め込まれる。ステップ(2)で、ラベル付き画像に最も近いN個のラベルなし画像がセグメンテーションのために選択される。続いてステップ(3)で、M個の最も近いラベル付き画像が、選択された画像(一つの選択された画像の例が図示されている)のそれぞれに対して位置合わせされる。ステップ(4)で、強度精密化(intensity refinement)を使用して、選択された画像のそれぞれのラベルマップを取得する。ステップ(5)で、さらなる画像(および好ましくは全ての画像)にラベルが付けられるまでステップ(2)−(4)が繰り返される。
上述したように、アトラスベースのセグメンテーションは、ターゲット画像と類似するアトラスの選択から利益を受ける。我々の方法は、画像間の距離メトリックを提供し近隣の画像を識別可能にする、低次元座標系内の全ての画像を最初に埋め込むことによって、これが保証されるフレームワークを提供する。座標系埋め込みから学習された多様体内で、伝播フレームワークを特定可能であり、初期アトラスから始まり全母集団がセグメント化されるまでラベル付きアトラスを段階的に伝播させることができる。各画像は、その近隣範囲にあるアトラスを用いてセグメント化される。これは、類似しない画像間の変形が、比較的類似する画像間のいくつかの小さな変形にまで分解され、位置合わせ誤差が減少することを意味する。位置合わせ誤差の集積をさらに最小化するために、各ラベル伝播ステップの後で、強度ベースのセグメンテーションの精密化が行われる。一端セグメント化されると、後続のセグメンテーションステップにおけるアトラスとして画像を使用することができる。母集団内の全画像がセグメント化された後、画像は、不可視画像のセグメンテーションのためにそこから適切なサブセットを選択することができる大きなアトラスデータベースとなる。画像がその中に埋め込まれる座標系は、ペア間類似度にスペクトル解析ステップを適用することで取得される。ラベル付きアトラスが伝播され、特定のターゲット画像について融合されると、それらが提供する情報が、ターゲット画像の強度に基づくモデルと組み合わされて、最終的なセグメンテーションを生成する。
高レベルの被験者間(inter-subject)変動がある画像のデータセットを通じてアトラスの初期セットを伝播させるために、局所的な近隣範囲内で画像が互いに類似している、データセットの多様体表現が学習される。多様体は、全画像の座標埋め込みによって表現される。この埋め込みは、スペクトル解析ステップを完全グラフに適用することによって求められる。完全グラフ内では、各頂点が一つの画像を表し、画像間の全てのペア間類似度を用いてグラフ内のエッジ重みを定義する。ペア間類似度は、画像間の強度の類似度、または画像間の変形量、またはこの二つの組み合わせとして測定することができる。
次のステップでは、新たに定義された座標系内でアトラスが伝播される。第1ステップでは、アトラスの初期セットが局所的な近隣にある多数の画像に伝播され、画像のラベル付けに使用される。こうしてラベル付けされた画像は自身がアトラスとなり、後続のステップで、データセットの全体にさらに伝播される。こうして、すぐそばにある複数のアトラスを用いて各画像がラベル付けされ、位置合わせ誤差が減少するという利点がある。
この技術の拡張として、同一の被験者からではあるが異なる時点で取得された一つまたは複数のスキャン(いわゆる「長期的な」スキャン)にラベル付けしてもよい。複数のアトラスをベースラインスキャンのそれぞれに伝播した後、複数のアトラスから取得された空間プライア(spatial prior)を用いて、(最初に行う)ベースラインスキャンだけでなく、長期的スキャンもセグメンテーションすることができる。したがって、この拡張技術により、異なる時点(例えば、第0日、第3日、第15日など)を同時にセグメンテーションすることができ、複数時点間での差異の測定が可能になる。
ベースライン画像よりも後の時点で取得された被験者画像を同時にセグメント化し、被験者内変動(すなわち、単一の被験者内での異なる時点での解剖学的構造の変動)の特定に用いることができる。
グラフ構築および多様体埋め込み
中間アトラス伝播ステップを決定するために、空間解析ステップの適用によって取得される座標系で表される多様体内に全画像が埋め込まれる。スペクトル解析技術は、画像などのデータ項目間のペア間類似度の測定に基づき、特徴座標を作成するという利点を有している。これは、多次元スケーリング(MDS)などのデータ項目間の距離メトリックを必要とする方法とは対照的である。スペクトル解析ステップの後、学習した座標系内での二つの画像間の距離は、画像間の元のペア間類似度だけでなく、各画像が母集団の残りに対して有している全てのペア間類似度にも依存する。これは、ノイズの影響を受け易い個別のペア間類似尺度よりもロバスト性が高い類似尺度を、座標系内の距離が埋め込む。スペクトル解析法の良好な紹介は、von Luxburg (2007) に見つけることができる。さらなる詳細はChung (1997)から入手できる。
スペクトル解析ステップは、データセット内の各画像が一つの頂点vによって代表される、完全重み付き無向グラフG=(V,E)に適用される。二つの頂点vとvの間の非負の重みwijは、それぞれの画像間の類似度sijによって定義される。本研究では、強度ベースの類似度が使用される。各画像ペアに対してのエッジ重みwij=sijを集めることによって、Gに対する重み行列Wが取得される。対角行列Tは、各頂点に対する次数和
を含む。
スペクトル解析ステップから導かれる特徴データの次元は、ユーザが選択することができる。本研究では、特徴データの各次元を順に試験し、四つの被験者群(若年者、AD、MCI、高齢の対照被験者)を判別する能力を評価した。各特徴次元に対する各クラスターの重心に基づく平均クラスター間距離を使用して、判別能力を測定した。研究された群については、二次元特徴を用いたときが最大であり、その後減少した(図2を参照)。したがって、データを埋め込む座標空間として、二次元のスペクトル特徴を用いることにした。
画像類似度
我々の方法の好適な実施形態では、画像のペアI、I間の強度ベースの類似度を使用する。この類似度は、画像IのエントロピーH(I)と、二つの画像の結合エントロピーH(I;I)とを用いる正規化相互情報量(NMI)に基づいており(Studholme et al., 1999)、次式で定義される。
例えば、海馬をセグメント化するとき、海馬の周りの関心領域(ROI)に対するNMIとして、画像ペア間の類似尺度を計算する。しかしながら、フレームワークは一般的であり、ユーザは、セグメント化する領域または構造に適した類似尺度および関心領域を選択することができる。ROIを定義するために、標準的なマルチアトラスセグメンテーション(Heckemann et al., 2006)を使用して、全ての訓練画像が自動的にセグメント化される。得られた海馬ラベルが、対応する画像とアトラスとの間に10mmのB−スプライン制御点間隔を有する、FFD法(free-form deformation)によってモデル化された粗い非リジッドの位置合わせを用いて(Rueckert et al., 1999)、既知の脳アトラス(例えば、MNI152-brain T1アトラス(Mazziotta et al., 1995))と位置合わせされる。続いて、少なくとも2%のセグメンテーションによって海馬としてラベル付けされた全ての頂点によって定義される領域の膨張(dilation)を通して、海馬のROIが定義される。ペア間類似度を評価するために、マスク形成に用いられるのと同一の位置合わせを使用して、全ての画像が既知のアトラスと位置合わせされる。図3は、画像正規化に使用した脳アトラスに重畳された、海馬周りのROIを示す。
学習した多様体におけるセグメンテーション伝播
学習した多様体を用いてデータセットを通してアトラスセグメンテーションを伝播するために、全画像
が、ラベル付き画像とラベルなし画像とを含む二つの群に分割される。これらの群には、それぞれセットL、セットUと添え字が付けられる。最初に、Lは初期アトラス画像を表し、Uは他の全ての画像を表す。d(I;I)が、多様体内の画像IおよびI間のユークリッド距離を表すものとする。ラベルなしの画像Iから全てのラベル付き画像への平均距離は、次式となる。
各イテレーションにおいて、N個の最小平均距離
を持つ画像
が伝播ターゲットとして選択される。これらの画像のそれぞれに対して、
から取り出されるM個の最近接画像が、伝播すべきアトラスとして選択される。続いて、インデックスセットUおよびLが更新され、現在のイテレーションでターゲット画像にラベル付けがなされたことを示す。データセット内の全画像にラベル付けされるまで、このように段階的な伝播が実行される。
Nは、各イテレーション中にラベル付けされる画像の数を決定するので、重要なパラメータである。したがって、Nは、ターゲット画像がセグメント化される前に行われる中間ステップの期待数に強い影響を与える。Mは、マルチアトラスセグメンテーションの各適用に使用されるアトラス画像の数を定める。自然な選択は、Mを初期アトラスの数に設定することである。Nの選択とは無関係に、K枚の画像をセグメント化するのに必要な位置合わせの数は、M×Kである。学習された多様体内でのセグメンテーション伝播プロセスは、アルゴリズム1で要約される。
マルチアトラス伝播およびセグメンテーション精密化
各ラベル伝播は、van der Lijn et al. (2008)に記載された、海馬セグメンテーション方法の修正版の適用によって実行される。この方法では、M個のアトラスの位置合わせから得られるセグメンテーションf,j=1,...,Mは、Heckemann et al. (2006)のようにハードセグメンテーションに融合されない。しかし、その代わりに、ターゲット画像Iの座標系内での確率的アトラスを形成するのにセグメンテーションが使用される。これが、「分類装置融合」技術の一例である。
元の研究では、この被験者特有アトラスを、前景および背景用の既に学習された強度モデルと組み合わせて、グラフカットにより最適化されたエネルギー関数を与えている。我々は、不可視画像から強度モデルを直接推定し、二つ以上の構造に対するアプローチ(Wolz et al., 2009)を一般化するやり方で、この方法を既に拡張している。アトラスの少なくとも95%が特定の構造に割り当てられている特定の構造に対するガウス分布が、全ての頂点から推定される。ラベルfを持つ特定の構造iの背景分布が、ラベルf,j≠iを持つ全ての他の構造のガウス強度分布、および特定の構造が定義されないエリアにおける組織クラスT,k=1,...,3のガウス分布から推定される。
不可視画像から得た強度情報をセグメンテーションプロセスに組み込むことによって、従来のマルチアトラスセグメンテーションに伴う誤差を取り除くことができる。
被験者特有の確率的アトラスを構成するのに使用される各位置合わせを、三つのステップで実行してもよい。すなわち、リジッド、アフィン、非リジッドである。リジッドおよびアフィン位置合わせを実行して、画像間のグローバル差を訂正する。三番目のステップで、制御点ベクトルの正則格子がB−スプライン基底関数を用いて重み付けされる自由形式変形モデルを使用して、二つの画像が非リジッドに整列され、画像内の各位置における変位が与えられる(Rueckert et al., 1999)。この変形は、画像ペアの正規化相互情報量によって導出される(Studholme et al., 1999)。B−スプライン制御点の間隔は、非リジッド位置合わせの局所的な柔軟性を定める。一連の制御点間隔を、多解像度形式(20mm、10mm、5mm、2.5mm)で使用してもよい
我々の方法では、マルチアトラスセグメンテーションを使用して中間アトラスを体系的にラベリングし、続いて、既にラベル付けされたアトラス画像との類似度にしたがって選択されるターゲット画像のマルチアトラスセグメンテーションのために、中間アトラスが使用されることが理解されるだろう。従来の研究と比較して、我々は、非常に多様な画像セットを扱っている。このようなシナリオでは、類似画像の位置合わせのみから得られる利益が、位置合わせ誤差の蓄積を上回りそうである。
実験検証
以下に述べるように、我々の新規な方法を実験的に検証した。若年の健康な被験者(年齢範囲20−54歳、年齢の中央値30.5歳)から得た30枚のMR画像からなる、マニュアルでラベリングされたアトラスの初期セットを、83箇所の関心解剖学的構造を定義するマニュアルラベルマップとともに取得することから始めた。このセットでは、GE製のMRスキャナを用いて、以下のパラメータ(TE/TR 4.2 ms (fat and water in phase)/15.5 ms, time of inversion (TI) 450 ms, flip angle 20°)を用いたIR FSPGR(inversion recovery prepared fast spoiled gradient recall)シーケンスを使用して、T1強調されたMR画像を入手し、192×256の画像行列を持つ、18×24cmの視野を有する1.5mm厚のスライスを124枚取得した。
続いて、我々の方法を使用して、ADNI(Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiative)のデータベース(www.loni.ucla.edu/ADNI)から得た、アルツハイマー病(AD)および軽度認知機能障害(MCI)の患者、並びに年齢適合対照群からの796枚のMR画像のデータセットに、このアトラスの初期セットを伝播させた。ADNIの研究では、約200人の認知が正常な高齢被験者、MCIである400人の被験者、および初期ADの200人の被験者から、ベースラインおよび一定の間隔で脳MR画像が取得されている。
後述する結果から、被験者間の位置合わせ誤差における関連した減少に少なくとも部分的に起因して、この手法がより正確なセグメンテーションを提供することが分かるだろう。
座標系埋め込み
我々は、上述した座標埋め込み法を、30個の初期アトラスおよび796枚のANDI画像を含む画像セットに適用した。スペクトルグラフ解析からの最初の二つの特徴を用いて、二次元座標系内に全ての画像を埋め込んだ。座標系埋め込みの結果を図4に示す。元のアトラスは、第1の特徴が低い値でグラフの左側に明確なクラスターを形成している。さらに、対照被験者は主に低い方の値に位置する一方、AD被験者の大多数が高い方の値に位置していることが分かる。選択された被験者例の海馬範囲が図4に示されている。座標系埋め込み内での近くにあるものが、海馬外観の観点で類似する画像を表しているという印象を、これらのタイプの観察が支持する。
五つの異なるアプローチを用いて、全796枚の画像がセグメント化された。
I.標準的なマルチアトラスセグメンテーションを用いた直接セグメンテーション
II.グラフカットに基づく強度精密化と組み合わせたマルチアトラスセグメンテーションを用いた直接セグメンテーション
III.M=30、N=100とし、マルチアトラスセグメンテーション後に強度精密化を行わない、我々の新規な方法
IV.M=30、N=1とした我々の新規な方法
V.M=30、N=300とした我々の新規な方法
セグメンテーションの評価
評価のために、ADNI画像の自動セグメンテーションとマニュアルの海馬セグメンテーションとを比較した。ANDIがマニュアルセグメンテーションを提供する全ての画像(796枚のうち182枚)に対して、この比較を実行した。これらの182人の被験者(テーブル1)と796人の被験者の母集団全体(テーブル2)との比較は、年齢、性別、MMSEおよび病理学の観点で、サブグループが全母集団の特徴を表すことを示している。
テーブル1:マニュアルセグメンテーションと自動セグメンテーションとの比較に使用した被験者の特徴
テーブル2:本研究で画像を使用した被験者に関する情報
AD被験者の右海馬のセグメンテーションの一例を図5に示す。画像(b)、(c)、(d)、(e)は、方法I、II、III、Vにそれぞれ対応する。強度ベースの精密化を用いた場合および用いない場合のマルチアトラスセグメンテーション(方法IおよびII)の両方において、CSF空間への明らかなオーバーセグメンテーションと、海馬前部でのアンダーセグメンテーションとを観察することができる。強度ベースの精密化がこの誤差を補償できないという事実は、この領域内のアトラスの大部分の顕著な位置ずれによって生じる、この領域での高い空間プライアによるものである。得られた高い空間プライアは、強度ベースの訂正スキームでは解消することができない。強度精密化を用いない提案されたフレームワーク(方法III)を使用すると、位相的な誤差を避けることができるが、CSF空間へのオーバーセグメンテーションは依然として存在している。図は、提案されたフレームワークを使用することで、全ての観察された問題を回避できることも示している。図5(および図6、以下のテーブル3)において、我々の新規な方法を用いて観察された結果は、「LEAP(Learning Embeddings for Atlas Propagation)」という用語で識別される。
評価のために使用された182枚の画像の左右海馬のセグメンテーションに対する、Dice係数または類似度指数(SI)(Dice, 1945)により測定された平均オーバーラップをテーブル3に示す。五つの方法の全てのペア間での差は、スチューデントの対応のある(paired)両側t検定で統計学的に有意であった(p<0.001)。
テーブル3:海馬セグメンテーションのDiceオーバーラップ
これらの結果は、提案された方法でセグメンテーション精度およびロバスト性が改善されていることを明らかに示している。我々の仮説は、埋め込み空間内での距離が大きすぎる画像同士の直接位置合わせを回避し、代わりに複数の中間画像を介した画像の位置合わせをすることによって、マルチアトラスセグメンテーションのセグメンテーション精度よびロバスト性が顕著に改善されるというものである。この仮説を検証するために、座標系埋め込みにおける距離および中間ステップの数の関数として、セグメンテーション精度の発展を調査した。図6は、五つのセグメンテーション法に対する結果を10個の棒グラフ形式で示す。各棒グラフは、18枚(最後のグラフでは20枚)の画像の平均SIオーバーラップに対応している。最初の図は、元のアトラスに最も近い18の画像を表し、次の図は元のアトラスからわずかに離れた画像を表し、以下同様である。これらの結果は、元のアトラスセットとは異なる画像のセグメント化において、直接マルチアトラスセグメンテーション手法よりも、提案された方法が優れていることを示している。
学習した多様体内での元のアトラスからの距離が増加するにつれて、直接マルチアトラスセグメンテーション(方法I)および強度ベースの精密化を用いるマルチアトラスセグメンテーション(方法II)の精度は徐々に減少する。それに反して、両方のパラメータ設定を伴う我々の新規な方法は、一定レベルのセグメンテーション精度を示している。ステップ幅がN=1である我々の方法(方法IV)が、元のアトラスから特定の距離に至るまで、直接マルチアトラス法よりも悪い結果になる点が興味深い。これは、多数の位置合わせステップを経て蓄積される位置合わせ誤差によって説明することができる。しかしながら、アトラスからの距離が増加するにつれて、中間テンプレートの使用から得られる利益がこの位置合わせ誤差を上回る。さらに、蓄積された位置合わせ誤差は、特定回数の位置合わせ後には劇的には増加しないように見える。これは、部分的には、小さな位置合わせ誤差を補正する、あらゆるマルチアトラスセグメンテーションステップにおける強度ベースの補正によるものである。次の中間ステップを行う前に、300枚の最も近い画像を我々の新規な方法を用いてセグメント化する(N=300、方法V)と、初期アトラスからの全ての距離において、直接の方法によって得られる結果と少なくとも同等であり、しばしばそれより良い結果となる。マルチアトラスセグメンテーション後の強度ベースの精密化ステップの重要度は、方法IIIの結果によっても強調される。このステップなしの我々の新規な方法を適用すると、方法Iと比べて利益はより大きくなり、中間ステップが多くなるほど顕著になる。しかし、精度は大きく低下する。これは、伝播されたアトラスの劣化によって説明することができる(最初の300枚の画像に対して、方法IIと方法Vが同一であり、方法Iと方法IIIが同一であることに注意する)。セグメンテーション精度に対するNの影響は、ターゲット画像に対しできるだけ近いアトラスを用いること(小さいN)と、位置合わせ誤差の蓄積を避けるために最少数の中間ステップを使用する設計を用いること(大きいN)の間のトレードオフによって支配される。フレームワークの評価計算の複雑さのために、二つの値を評価することに限定した。
体積測定
海馬体積の減少は、認知障害に関連する周知の要因である(例えば、Jack et al. (1999);Reiman et al. (1998))。海馬体積によって臨床群を区別する、我々の方法の能力を測定するために、182枚のマニュアルでラベリングされた画像上で測定された体積と、我々の自動方法(方法V、M=30、N=300であるLEAP)から得られた体積とを比較した。左右海馬の体積を表すボックスプロットが図7に示されている。図7は、マニュアルセグメンテーションと、方法IVを用いた自動セグメンテーションの平均海馬体積を示す。臨床群の全てのペア間で左右海馬の体積を区別する能力は、スチューデントのt検定で統計学的に有意である(p<0.05)が、マニュアルの区別よりもわずかに有意性が小さい。
図8は、海馬のマニュアルセグメンテーションと自動セグメンテーション(方法IV)に基づく体積測定間の一致を示すBland-Altmanプロットである。実線は平均を表し、点線は±1.96の標準偏差を表している。このプロットは、自動化された方法が海馬体積をわずかに過大評価する傾向にあるという図7の体積測定の印象を支持する。このオーバーセグメンテーションは、小さな海馬に対してより顕著である。自動セグメンテーション法に対する同様の現象が以前にHammers et al. (2007)によって述べられている。マニュアルセグメンテーションおよび自動セグメンテーションに基づく体積測定間の級内相関係数(ICC)は、0:898である(ICC (3,1) Shrout-Fleiss reliability (Shrout and Fleiss, 1979))。この値は、評価者間信頼性(inter-rater reliability)についてNiemann et al. (2000)で報告された0:929という値と比べても遜色ない。
考察および結論
この研究で、マルチアトラスセグメンテーションによって不可視画像の多様な母集団に脳アトラスの初期セットを伝播する、我々の新規な方法について説明してきた。選択された測定にしたがって類似の画像が近接している座標系内に、全てのアトラスとターゲット画像とを埋め込むことから始めた。続いて、この座標系により表される多様体を通して、アトラスの初期セットが数回のステップで伝播される。これにより、構造が顕著に異なる画像間での大きな変形を評価する必要性がなくなり、画像間の対応が比較的小さな一連の変形にまで分解される。フレームワークの構成は一般的であり、特定の類似尺度、座標埋め込みまたは位置合わせアルゴリズムに束縛されない。
健康な若年の被験者の30枚一組のアトラスを使用して、高齢の認知症患者および年齢適合対照から取得した796枚の画像からなるターゲットデータセットに、我々の新規方法を適用した。この方法の最初に適用するとき、提案されたフレームワークを他の解剖学的構造にも同様に適用可能であるにもかかわらず、この方法を海馬セグメンテーションのタスクに適用した。提案された方法は、標準的なマルチアトラスセグメンテーションと比較して、一貫して改善されたセグメンテーション結果を示している。また、アトラスの初期セットからの距離が増加し、したがって中間位置合わせステップ数も増加した提案手法の精度も一貫したレベルにあることを立証してきた。他方、標準的なマルチアトラスセグメンテーションの精度は徐々に低下する。この観察から、三つの主要な結論が示唆される。
(1)標準的なマルチアトラスセグメンテーションの精度の低下は、使用される座標系埋め込みが重要であることを示唆している。距離が増加するほど、初期アトラスはセグメンテーションにますます適さなくなる。
(2)提案された方法の精度がほぼ一定であることは、いくつかの小さな変形を用いることで、使用されるマルチアトラスセグメンテーションフレームワーク内での直接変形と一致しない方法で、ターゲットに向けてアトラスを間接的に適切に変形できることを示唆している。
(3)類似の画像への位置合わせを制限することから得られる利益は、連続的な小さな変形を用いるときの誤差の蓄積を無効にする。
我々の結果は、多数の中間位置合わせを使用する場合、セグメンテーション精度が最初は急速に低下するが、その後は初期アトラスからの距離が増加しても比較的一定となることを示している。初期の低下は、多数の中間位置合わせステップで生じる位置合わせ誤差の蓄積によって説明することができる。精度が単調に減少しない理由は、各マルチアトラスセグメンテーションステップ中の強度モデルの組み込みが原因のようである。伝播したセグメンテーションを画像強度に基づき自動的に訂正することによって、アトラスの品質を一定水準に維持することができる。
部分母集団に基づく一組のアトラスを用いた、多様な画像からなるデータセットのセグメント化の明確な適用は別として、提案された方法は、アトラス選択を用いた後続のマルチアトラスセグメンテーション用のアトラスの巨大なレポジトリを自動的に作成する方法として理解することができる(Aljabar et al., 2009)。巨大なアトラスデータベースをマニュアルで作成するには費用がかかり、時間がかかり、多くの場合実現不可能であるので、このようなデータベースを自動的に作成するために、提案された方法を使用できる可能性がある。
画像収集プロトコルに起因する変動、およびADNIの研究におけるものと同等に大きく多様なデータセット内での被験者間変動に代表される課題にも関わらず、我々の方法を用いて達成された結果は、精度およびロバスト性の観点で、より限定的なデータセットに対して適用された従来方法(van der Lijn et al., 2008;Morra et al., 2008;Chupin et al., 2009;Hammers et al., 2007)の状態と匹敵するものである。
要約
一組のマニュアルでラベリングされた脳アトラスを、被験者の母集団の画像の多様なセットに自動的に伝播する新規なフレームワークを提示してきた。選択された基準に基づき類似する画像を含む近隣間の識別を可能にする座標系の埋め込みから多様体が学習される。新たな座標系内で、一連のマルチアトラスセグメンテーションステップを通して、アトラスの初期セットが全画像に伝播される。これは、非常に「似ていない」画像を位置合わせするという問題を、「似ている」一連の画像を位置合わせするという問題に分解する。同時に、一連の複数のより小さな変形としてモデル化される画像間の潜在的に大きな変形を可能にする。
謝辞
本発明に至る研究は、助成協定第224328の下で欧州共同体第7次フレームワークプログラム(FP7/2007-2011)からの資金提供を受けた。
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Claims (21)

  1. コンピュータプロセッサによって実行される医用画像の処理方法であって、
    (a)一つ以上の解剖学的特徴がラベルデータを用いてラベル付けされている一つ以上の画像を含む、一つ以上のアトラスを取得するステップと、
    (b)複数のラベル付けされていない画像を取得するステップと、
    (c)ラベル付けされた画像とラベル付けされていない画像とを比較し、一つまたは複数の前記ラベル付けされた画像と最も類似する一つ以上のラベル付けされていない画像を選択するステップと、
    (d)選択された画像のそれぞれに対して、前記最も近い一つ以上のラベル付けされてい画像からのラベルデータを伝播し、これによって、前記選択された画像の対応する解剖学的特徴にラベル付けし、前記選択された画像をラベル付けされた画像にするステップと、
    (e)ステップ(c)以降を繰り返すことによって、他のラベル付けされていない画像にラベル付けするステップと、
    を含む方法。
  2. ラベル付けされた画像とラベル付けされていない画像とを比較する前記ステップが、低次元の座標系内に前記画像を埋め込むことを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記低次元座標系が二次元座標空間であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
  4. ラベル付けされた画像とラベル付けされていない画像とを比較する前記ステップが、画像セット内の各画像ペアについて一つ以上の解剖学的特徴を比較することによって、ペア間類似度測定(pairwise measures of similarity)のセットを定義することを含む、請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
  5. ラベル付けされた画像とラベル付けされていない画像とを比較する前記ステップが、前記ペア間類似度測定でスペクトル解析操作を実行することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記ペア間類似度測定が画像ペア間での強度の類似度を表すことを特徴とする、請求項4または5に記載の方法。
  7. 前記ペア間類似度測定が画像ペア間での変形量を表すことを特徴とする、請求項4ないし6のいずれかに記載の方法。
  8. ラベルデータを伝播する前記ステップが、分類装置融合(classifier fusion)技術に基づき、前記最も近い複数のラベル付けされていない画像からラベルデータを伝播することを含む、請求項1ないし7のいずれかに記載の方法。
  9. ステップ(d)の後かつステップ(e)の前に、新たに伝播されたラベルデータに強度ベースの精密化操作を実行するステップをさらに含む、請求項1ないし8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記画像が異なる被験者のものであることを特徴とする、請求項1ないし9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記画像の少なくとも一部が同一被験者の異なる時点で取得されたものであることを特徴とする、請求項1ないし9のいずれかに記載の方法。
  12. 前記画像が磁気共鳴画像であることを特徴とする、請求項1ないし11のいずれかに記載の方法。
  13. ある条件の有無を表す解剖学的特徴をラベル付けし、その特徴を使用してその条件のバイオマーカーを導出することをさらに含む、請求項1ないし12のいずれかに記載の方法。
  14. 請求項1ないし13のいずれかに記載の方法を実施するように構成された画像装置。
  15. 医療用スキャナであることを特徴とする、請求項14に記載の画像装置。
  16. MRIスキャナであることを特徴とする、請求項15に記載の画像装置。
  17. 請求項1ないし13のいずれかに記載の方法を実施するように構成された画像処理装置。
  18. 請求項1ないし13のいずれかに記載の方法を実施するように構成されたコンピュータシステム。
  19. コンピュータプロセッサでの実行時に、請求項1ないし13のいずれかに記載の方法を実行するコード化された命令を含むコンピュータプログラム。
  20. 請求項19に記載のコンピュータプログラムをエンコードするコンピュータ可読媒体。
  21. 前記バイオマーカーに基づいて治療に対する被験者の反応を数値化することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
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