以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1に示すように、第1の実施の形態のデータ収録システム10は、アナログ量で計測された計測信号を内部のメモリ22に蓄積すると共に、蓄積したデータを後述する受信装置18へ無線送信するデータ収録装置12と、データ収録装置12へ電源を供給するための充電池を備えた電源装置14と、後述する送電装置30から受電して電源装置14へ電力を供給する受電装置16と、を備えている。受信装置18は、データ収録装置12から送信されたデータを受信して、ホストコンピュータ19に転送する。
データ収録装置12には、アナログ量で計測された計測信号をデジタル信号に変換し、変換データを出力するA/D変換器20、及びA/D変換器20から出力された変換データを格納するためのメモリ22が設けられている。
A/D変換器20は、データ収録装置の設計時点で決定される定型的な処理であるA/D変換器20の制御、A/D変換器20で変換された変換データのメモリ22への格納処理、及びメモリ22から前記変換データを読み出す読出処理を行なう中央処理装置(CPU)24に接続されている。CPU24は、データの無線送信を行うデータ送信回路26に接続されており、メモリ22から読み出した変換データを、データ送信回路26へ出力すると共に、データ送信回路26に対してデータ送信指示を行い、受信装置18を介して、収録されたデータをホストコンピュータ19に転送する
CPU24は、ユーザによる操作部(図示省略)の操作により、データ格納指示が行われると、A/D変換器20により計測信号を変換し、A/D変換器20で変換された変換データをメモリ22へ格納する処理を行う。なお、CPU24が、制御回路の一例である。
図2に示すように、データ収録システム10は、更に、電磁誘導により非接触で受電装置16へ送電する送電装置30を備えている。送電装置30は、固定側に設けた電磁誘導コイルである送電コイル32と、受電装置16の受電コイル38に電磁誘導を生じさせるように、送電コイル32に交流電流を通電する送電側駆動装置34と、送電コイル32への交流電流の通電をオンオフさせるためのスイッチング素子36とを備えている。
スイッチング素子36によるオンオフは、送電装置30の操作部(図示省略)をユーザが操作することにより行われる。
また、受電装置16は、送電コイル32に近接して配置された受電コイル38と、受電コイル38で生じた誘導電流を直流電流に変換する整流回路40と、定電圧を出力するための定電圧回路42と、を備えている。受電装置16の具体的な回路構成を、図3に示す。整流回路40は、受電コイル38で生じた誘導電流(交流電流)を整流するダイオードで構成されている。
電源装置14は、充電池44と、受電装置16から出力された電力を充電池44に充電するための充電回路46と、受電装置16からの電力が停止してから所定時間経過後に充電池44からの電力供給を停止させる電池OFFタイマ回路48とを備えている。
充電池44は、電池OFFタイマ回路48を介して、データ収録装置12へ電力を供給する。充電池44は、周辺回路にも電力を供給するようにしてもよい。また、充電池44は、電磁給電で得られた電力で充電されるように構成されている。
電源装置14の具体的な回路構成を、上記図3に示す。電源装置14では、送電装置30からの給電電力を停止すると、給電電力の電圧よりも電池電圧が高くなり自動的に電磁給電から電池給電に切り替わり、データ収録装置12には充電池44からのみ電力が供給されるように働く。このように、通常は、電磁給電の電力でデータ収録装置12を作動させながら、充電池44の充電も同時に行う。一方、電磁給電の電力が低下したり停止した場合は、充電池44は充電状態から放電状態に切り替わり、データ収録装置12に対して給電を行う。
また、電池OFFタイマ回路48では、電磁給電の電圧が、抵抗とコンデンサとで構成されたCR回路48Aに印加されており、電磁給電が停止するとCR回路48Aから出力される電圧が徐々に低下し、この電圧が一定値を下回ると、スイッチ回路48Bのスイッチがオフとなる。このように、電池OFFタイマ回路48が働いて、自動的に電池給電をオフすることによって、電磁給電を止めたときに充電池44から給電されっぱなしになり、充電池44が過放電してしまうことを防ぐことができる。
ここで、データ収録システム10の具体的な構成について図4を用いて説明する。データ収録装置12は、回転軸50を有する回転体52に取り付けられ、回転体52には、更に、充電池44、受電コイル38、及び各種センサが取り付けられている。また、送電コイル32が、受電コイル38に対して一定間隔で向かい合わせとなるように固定側部材54に取り付けられている。送電コイル32に交流電流を通電することで、受電コイル38に誘導電流が発生して回転体52に設置したデータ収録装置12、各種センサ、並びに信号増幅アンプなどの周辺装置に電力が供給される。
次に、第1の実施の形態のデータ収録システム10の動作について説明する。
まず、送電コイル32に交流電流を通電することで、受電コイル38に誘導電流が発生して、データ収録装置12に電力が供給される。そして、送電装置30に対するユーザの操作により、送電装置30のスイッチング素子36がオフされる。これによって、電磁給電が停止され、充電池44からデータ収録装置12へ電力が供給される。
そして、ユーザの操作により、データ収録装置12にデータ収録指示が入力されると、データ収録装置12では、CPU24が、A/D変換器20にA/D変換スタート信号を送信し、A/D変換器20において図示しないセンサによってアナログ量で計測された計測信号(計測データ)のA/D変換が行われる。A/D変換器20でデジタル信号に変換された変換データは、CPU24に入力される。そして、CPU24が、変換データをメモリ22に格納する処理を行う。
このデータ収録時には、図5に示すように、電磁給電を一時的に停止しているため、充電池44からの給電となり、電磁給電による電磁ノイズの影響のないデータ収録が可能となる。
また、図6に示すように、電磁給電を停止してから、所定期時間(例えば、10分)を経過すると、電池OFFタイマ回路48によって、充電池44からの電力供給が停止される。なお、上記では、10分で電池OFFタイマ回路がオフする場合を例に説明したが、このオフされるまでの時間は任意に変更可能であり、この場合には、例えばデータ収録時間に応じてCR回路48Aの定数を変更すればよい。
データ収録が終了した後に、ユーザの操作により、送電装置30のスイッチング素子36がオンされると、電磁給電が再開され、データ収録装置12へ電力が供給されると共に、充電池44が充電される。
また、ユーザの操作により、データ収録装置12にデータ転送指示が入力されると、CPU24は、メモリ22に格納された変換データを読み出し、データ送信回路26に、変換データを無線送信させる。これによって、受信装置18を介してホストコンピュータ19に変換データが転送される。
以上説明したように、第1の実施の形態に係るデータ収録システムによれば、電磁誘導により送電装置からデータ収録装置側の受電装置へ電力を送電することにより、電池を小型かつ軽量にすることができる。また、データ収録装置により変換データのメモリへの格納処理を行うときに、送電装置による送電を停止することにより、電磁誘導によるノイズの影響を受けることなくデータ収録が可能となる。
また、データ収録装置自体は電磁給電の影響を受けることなく動作するので、通常は電磁給電だけでデータ収録装置の機能を保持するため、電池を小型かつ軽量にすることができる。
また、データ収録時に電磁給電によるノイズの発生を避けるために、積極的に電磁給電を停止する。これによって、データ収録装置側の受電コイルの電流は消滅し、電池だけの給電に切り替わり、電磁給電によるノイズの影響を受けることなくデータ収録が可能となる。
なお、上記の実施の形態では、電池OFFタイマ回路によって、電磁給電を停止してから所定時間経過後に、充電池からの給電を停止する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。電磁給電を停止した後に、充電池からの出力電圧が所定電圧以下となったときに、充電池からの給電を停止するようにしてもよい。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となる部分については、第1の実施の形態と同様の符号を付して説明を省略する。
第2の実施の形態では、電磁給電のみでデータ収録装置へ電力を供給している点が、第1の実施の形態と異なっている。
図7に示すように、第2の実施の形態に係るデータ収録システム210の送電装置230は、一定の周波数の正弦波電流及び方形波電流を送電コイル32に通電して駆動する送電側駆動装置234と、送電コイル32とを備えている。また、データ収録装置12は、上記の正弦波電流の周波数と同じ周波数のノイズを除去するためのノイズフィルタ250を介して、アナログ量で計測された計測信号を取り込む。
送電側駆動装置234は、送電コイル32の駆動を一定周波数の正弦波電流で行い、データ収録装置12側に与えるノイズの影響を小さくする。通常、駆動電流波形は振幅が同じであれば方形波で駆動した方が供給できる電力は大きくなる。しかし、その分ノイズの影響も大きくなる。また、方形波は高周波領域まで周波数成分を持つためノイズの除去も困難になる。これに対し、正弦波駆動では、データ収録装置12側に、駆動電流の周波数に相当するノイズフィルタ250を設けることで、容易にノイズの影響を除去できる。
また、データ収録装置12の動作においてノイズが問題になるのは、データ収録時だけであるので、その他のより大きな電力が必要な時には、送電側駆動装置234は、送電コイルの正弦波の振幅を拡大し飽和させることで方形波状の電流として駆動電流を増大して、データ収録装置12側への給電を行う。
送電側駆動装置234の具体的な回路構成を図8に示す。送電側駆動装置234は、正弦波の電圧を出力する正弦波発振器236と、正弦波発振器236の出力電圧の電圧を調整するための可変抵抗器238と、可変抵抗器238の抵抗を切り換える切換制御回路240と、可変抵抗器238から出力された正弦波の振幅を増幅して、送電コイル32を印加する駆動増幅器242とを備えている。
データ収録時に、送電装置230の操作部(図示省略)をユーザが操作することにより、切換制御回路240は、送電側駆動装置234からの出力波形が正弦波になるように、可変抵抗器238の抵抗を切り換える。ここで、可変抵抗器238の抵抗の調整により、波形が飽和しない範囲で電源電圧いっぱいまで振幅になるように設定すると、ノイズの影響を低減しながら最大の電力が提供できる。
また、データ収録時以外に、送電装置230の操作部をユーザが操作することにより、図9に示すように、切換制御回路240は、送電側駆動装置234からの出力波形の振幅が飽和するように、可変抵抗器238の抵抗を小さい抵抗に切り換える。このとき、波形が飽和して方形波状になり、ノイズが多くなるが、正弦波の電流の場合より大きな電力を供給できる。
次に、第2の実施の形態に係るデータ収録システム210の動作について説明する。
まず、送電装置230に対するユーザの操作に従って、送電コイル32に方形波状の交流電流を通電することで、受電コイル38に誘導電流が発生して、データ収録装置12に大きな電力が供給される。そして、送電装置230に対するユーザの操作により、送電コイル32に通電される交流電流が正弦波となる。
そして、ユーザの操作により、データ収録装置12にデータ収録指示が入力されると、データ収録装置12では、CPU24が、A/D変換器20にA/D変換スタート信号を送信し、A/D変換器20において図示しないセンサによってアナログ量で計測された計測信号(計測データ)のA/D変換が行われる。このとき、A/D変換器20に取り込まれる計測信号は、ノイズフィルタ250によって正弦波と同じ周波数のノイズが低減された計測信号である。A/D変換器20でデジタル信号に変換された変換データは、CPU24に入力され、CPU24が、変換データをメモリ22に格納する処理を行う。
以上説明したように、第2の実施の形態に係るデータ収録システムによれば、電磁誘導により送電装置からデータ収録装置側の受電装置へ電力を送電することにより、電池をなくすことができる。また、ノイズフィルタで低減する周波数の正弦波の電圧を印加して送電コイルを駆動しているときに、データ収録装置により変換データのメモリへの格納処理を行うことにより、電磁誘導によるノイズの影響を受けることなくデータ収録が可能となる。
なお、上記の実施の形態では、送電装置において駆動増幅器を用いて駆動電圧を増幅する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、送電コイルを十分駆動可能な能力を有する正弦波発振器を用いて、駆動増幅器を省略してもよい。
また、プログラマブルゲインアンプを用いて、デジタル的に電圧調整を行うようにしてもよい。この場合には、図10に示すように、正弦波発振器236からの出力電圧を増幅するプログラマブルゲインアンプ270と、プログラマブルゲインアンプ270の増幅ゲインを制御するためのゲイン制御回路272とを用いて、送電装置を構成すればよい。データ収録時に、送電装置の操作部をユーザが操作することにより、ゲイン制御回路272は、送電コイル32へ通電される電流波形が正弦波になるように、プログラマブルゲインアンプ270の増幅ゲインが小さくなるように制御する。
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となる部分については、第1の実施の形態と同様の符号を付して説明を省略する。
第3の実施の形態では、電磁給電と蓄電素子とを併用してデータ収録装置へ電力を供給している点が、第1の実施の形態と異なっている。
図11に示すように、第3の実施の形態に係るデータ収録システム310のデータ収録装置312は、無線通信手段320を備え、無線通信手段320によって、サンプリング時間を示すサンプリング信号を無線電波で送信する。なお、無線通信手段320が、第1無線通信部の一例である。
送電装置330は、送電コイル32と、送電側駆動装置34と、スイッチング素子36と、スイッチング素子36によるオンオフを制御するオンオフ制御回路338とを備えている。
オンオフ制御回路338は、無線通信手段340を備え、無線通信手段340により受信したサンプリング信号に同期して、スイッチング素子36によるオンオフを制御する。なお、無線通信手段340が、第2無線通信部の一例である。
受電装置316は、受電コイル38と、整流回路40と、定電圧回路42と、定電圧回路42から出力された電力を蓄電する蓄電素子344と、を備えている。また、定電圧回路42から出力された電力が、データ収録装置312に供給されるように構成されている。
ここで、本実施の形態の原理について説明する。
本実施の形態では、データ収録装置312によって入力信号をサンプリングする時間がサンプリング間隔に比べ10分の1〜数千分の一と短くなっていることを利用して、サンプリング中のみ電磁給電を停止して計測信号にノイズが発生しないようにする。電磁給電の停止時間はわずかなため小さな容量の蓄電素子344を設ければ、データ収録装置312への電力を途切れさせることなく供給できる。
そこで、オンオフ制御回路338では、無線通信手段340により受信したサンプリング信号に基づいて、図12(A)、(B)に示すように、データ収録装置312のサンプリング時間において電磁給電を停止するように、スイッチング素子36をオフする。このとき、蓄電素子344に蓄電された電力がデータ収録装置312に供給されるため、図12(C)に示すように、データ収録装置312に供給される電力が必要電圧より小さくなることなく、データ収録装置312へ給電される。
また、オンオフ制御回路338は、サンプリング時間の間隔において、電磁給電を行うように、スイッチング素子36をオンする。
次に、第3の実施の形態のデータ収録システム310の動作について説明する。
まず、送電コイル32に交流電流を通電することで、受電コイル38に誘導電流が発生して、データ収録装置312に電力が供給される。
また、ユーザの操作により、データ収録装置312にデータ収録指示が入力されると、データ収録装置312では、サンプリング時間を表わすサンプリング信号を無線通信手段320によって送信し、送電装置330側において、無線通信手段340によってサンプリング信号を受信する。
そして、データ収録装置312では、送信したサンプリング信号に基づいて、サンプリングのタイミングにおいて、CPU24が、A/D変換器20にA/D変換スタート信号を送信し、A/D変換器20において図示しないセンサによってアナログ量で計測されたサンプリング時間分の計測信号(計測データ)のA/D変換が行われる。A/D変換器20でデジタル信号に変換された変換データはCPU24に入力され、CPU24が、変換データをメモリ22に格納する処理を行なう。
また、送電装置330では、受信したサンプリング信号に基づいて、サンプリング時間にスイッチング素子36をオフして、電磁給電を一時的に停止する。このとき、データ収録装置312への給電は、蓄電素子344のみからの給電となるため、電磁給電による電磁ノイズの影響のないデータ収録が可能となる。
以上説明したように、第3の実施の形態に係るデータ収録システムによれば、電磁誘導により送電装置からデータ収録装置側の受電装置へ電力を送電すると共に、蓄電素子を用いて、データ収録装置へ給電することにより、電池をなくすことができる。また、送電装置による送電が停止されているときに、データ収録装置により変換データのメモリへの格納処理を行うことにより、電磁給電によるノイズの影響を受けることなくデータ収録が可能となる。
また、本実施の形態に係るデータ収録システムは、データ収録装置側に電池を搭載できないか電池の搭載が困難な場合であり、かつ、測点数が多い場合や計測信号の増幅回路等の消費電力が大きい場合などのデータ収録時においても大きな電力が必要な場合で正弦波駆動では十分な電力が供給できない場合に、特に有効である。
なお、上記の実施の形態では、データ収録装置から送電装置へサンプリング信号を送信し、送電装置において、送電コイルへの通電のオンオフを制御する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。送電装置からデータ収録装置へ、電磁給電のオンオフタイミングを示す電磁給電オンオフ信号を無線送信し、データ収録装置において、受信した電磁給電オンオフ信号に基づいて、データ格納処理のタイミングを制御するようにしてもよい。
また、上記の実施の形態で説明したサンプリング信号を無線通信で送電装置へ送信する技術を、上記の第2の実施の形態に適用してもよい。この場合には、送電装置において、切換制御回路が、無線通信手段340を用いてサンプリング信号を受信し、受信したサンプリング信号に基づいて、送電コイルに通電する正弦波電流と方形波状の電流とを切り換えるように制御すればよい。また、送電装置からデータ収録装置へ、正弦波電流と方形波状の電流のタイミングを示す駆動電流切換信号を無線送信し、データ収録装置において、受信した駆動電流切換信号に基づいて、データ格納処理のタイミングを制御するようにしてもよい。
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態及び第3の実施の形態と同様の構成となる部分については、第1の実施の形態と同様の符号を付して説明を省略する。
第4の実施の形態では、無線通信によりデータ収録装置と送電装置との間で同期をとっている点が、第1の実施の形態と異なっている。
図13に示すように、第4の実施の形態に係るデータ収録システム410は、データ収録装置312と、電源装置14と、受電装置16と、送電装置330とを備えている。
次に、第4の実施の形態のデータ収録システム410の動作について説明する。
まず、送電コイル32に交流電流を通電することで、受電コイル38に誘導電流が発生して、データ収録装置312に電力が供給される。
また、ユーザの操作により、データ収録装置312にデータ収録指示が入力されると、データ収録装置312では、サンプリング時間を表わすサンプリング信号を無線通信手段320によって送信し、送電装置330側において、無線通信手段340によってサンプリング信号を受信する。
そして、送電装置330では、受信したサンプリング信号に基づいて、サンプリング時間にスイッチング素子36をオフして、電磁給電を一時的に停止する。このとき、データ収録装置312への給電は、充電池44からの給電となるため、電磁給電による電磁ノイズの影響のないデータ収録が可能となる。
また、データ収録装置312では、送信したサンプリング信号に基づいて、サンプリングを行うタイミングにおいて、CPU24が、A/D変換器20にA/D変換スタート信号を送信し、A/D変換器20において図示しないセンサによってアナログ量で計測されたサンプリング時間分の計測信号(計測データ)のA/D変換が行われる。A/D変換器20でデジタル信号に変換された変換データはCPU24に入力され、CPU24が、変換データをメモリ22に格納する処理を行う。
以上説明したように、第4の実施の形態に係るデータ収録システムによれば、電磁誘導により送電装置からデータ収録装置側の受電装置へ電力を送電することにより、電池を小型かつ軽量にすることができる。また、データ収録装置により変換データのメモリへの格納処理を行うときに、送電装置による送電を停止することにより、電磁誘導によるノイズの影響を受けることなくデータ収録が可能となる。
なお、上記の実施の形態では、データ収録装置から送電装置へサンプリング信号を送信し、送電装置において、送電コイルへの通電のオンオフを制御する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。送電装置からデータ収録装置へ、電磁給電のオンオフタイミングを示す電磁給電オンオフ信号を無線送信し、データ収録装置において、受信した電磁給電オンオフ信号に基づいて、データ格納処理のタイミングを制御するようにしてもよい。
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態及び第3の実施の形態と同様の構成となる部分については、第1の実施の形態と同様の符号を付して説明を省略する。
第5の実施の形態では、データ収録装置側で、電磁給電による電力の低下を検出して、電磁給電の停止を検出している点と、電磁給電が停止されているときに、計測信号をサンプルホールド回路に取り込むようにしている点とが、第1の実施の形態と異なっている。
図14に示すように、第5の実施の形態に係るデータ収録システム510は、データ収録装置12と、受電装置316と、送電装置330と、受電装置316からの出力電圧を検出して電磁給電の停止を検出する電圧検出回路520と、アナログ量で計測された計測信号を増幅する信号増幅器528と、電圧検出回路520からの出力に基づいて信号増幅器528からの出力信号をサンプリングして保持するサンプルホールド回路530とを備えている。
サンプルホールド回路530は、電圧検出回路520による検出結果に基づいて、電磁給電の停止に同期して、信号増幅器528からの出力信号をサンプリングして、保持する。
データ収録装置12は、ユーザによる操作部(図示省略)の操作により、データ格納指示が行われると、サンプルホールド回路530に保持されているアナログ信号を一定間隔で取り込んで、A/D変換器20により変換し、変換データをメモリ22へ格納する。
次に、第5の実施の形態に係るデータ収録システム510の動作について説明する。
まず、送電コイル32に交流電流を通電することで、受電コイル38に誘導電流が発生して、データ収録装置12に電力が供給される。そして、ユーザの操作により、送電装置330に対して送電開始が指示されると、オンオフ制御回路338によって、一定間隔で、送電装置30のスイッチング素子36が一定時間だけオフされ、図15(A)に示すように、一定間隔で、電磁給電が一定時間だけ停止される。
そして、電圧検出回路520で、図15(B)に示すように、電磁給電の停止状態を、受電コイル38で発生する電圧で検出する。図15(C)に示すように、電圧検出回路520の検出したタイミングに従って、電磁給電が停止しているときに信号増幅器528で増幅した計測信号を、サンプルホールド回路530を用いてサンプリングし、電磁給電が行われているときには、ホールドする。
ここで、電磁給電によってノイズが発生する信号は微弱な増幅前の信号であるので、図15(D)に示すように、サンプルホールド回路530でホールドされた増幅後の信号には電磁給電の影響は及ばない。よって、サンプルホールド回路530から出力される信号をデータ収録装置12で収録すれば、ノイズの影響を排除できる。
また、ユーザの操作によりデータ収録装置12に入力されたデータ収録指示に従って、データ収録装置12では、CPU24が、一定間隔で、A/D変換器20にA/D変換スタート信号を送信し、A/D変換器20において、サンプルホールド回路530でホールドされた計測信号(計測データ)を取り込み、A/D変換が行われる。A/D変換器20でデジタル信号に変換された変換データは、CPU24に入力され、CPU24が、変換データをメモリ22に格納する処理を行う。
以上説明したように、第5の実施の形態に係るデータ収録システムによれば、電磁誘導により送電装置からデータ収録装置側の受電装置へ電力を送電すると共に、蓄電素子を用いて、データ収録装置へ給電することにより、電池をなくすことができる。また、送電装置による送電を停止しているときに、サンプルホールド回路に計測信号を取り込み、サンプルホールド回路に保持した計測信号をデジタル信号に変換してメモリへの格納処理を行うことにより、電磁給電によるノイズの影響を受けることなくデータ収録が可能となる。
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態、第3の実施の形態、及び第5の実施の形態と同様の構成となる部分については、上記の実施の形態と同様の符号を付して説明を省略する。
第6の実施の形態では、電磁給電と蓄電素子とを組み合わせてデータ収録装置へ電力を供給している点と、無線通信により、データ収録装置と送電装置との間で同期をとっている点と、電磁給電が停止されているときに、計測信号をサンプルホールド回路に取り込むようにしている点とが、第1の実施の形態と異なっている。
図16に示すように、第6の実施の形態に係るデータ収録システム610は、データ収録装置312と、受電装置316と、送電装置330と、信号増幅器528と、サンプルホールド回路530とを備えている。
第6の実施の形態では、データ収録装置312から無線通信手段320を用いてサンプリング信号を無線電波で送出し、その信号を無線通信手段340により受信し、オンオフ制御回路338によって、送電側駆動装置34から送電コイル32への通電をオンオフする。また、電磁給電が停止しているときにサンプルホールド回路530を用いて、計測信号をサンプリングし、電磁給電が行われているときにはホールドをする。このように、給電停止中のノイズのない信号をサンプルし、電磁給電中は信号をホールドすることで、ノイズの影響を排除したデータ収録を行う。
次に、第6の実施の形態に係るデータ収録システム610の動作について説明する。
まず、送電コイル32に交流電流を通電することで、受電コイル38に誘導電流が発生して、データ収録装置312に電力が供給される。
また、ユーザの操作により、データ収録装置312にデータ収録指示が入力されると、データ収録装置312では、サンプリング時間を表わすサンプリング信号を無線通信手段320によって送信し、送電装置330側において、無線通信手段340によってサンプリング信号を受信する。
また、送電装置330では、受信したサンプリング信号に基づいて、サンプリング時間にスイッチング素子36をオフして、電磁給電を一時的に停止する。
そして、データ収録装置312のCPU24が、送信したサンプリング信号に基づいて、サンプリング時間(電磁給電が停止しているとき)にサンプリングを指示する信号をサンプルホールド回路530へ出力する。そして、サンプルホールド回路530は、データ収録装置312からの信号に従って、信号増幅器528で増幅した計測信号をサンプリングして保持する。すなわち、サンプルホールド回路530は、電磁給電が行われているときには、データをホールドする。
また、送信したサンプリング信号に基づいて、データがサンプリングされる度に、データ収録装置312では、CPU24が、A/D変換器20にA/D変換スタート信号を送信し、A/D変換器20において、サンプルホールド回路530でホールドされた計測信号(計測データ)を取り込み、A/D変換が行われる。A/D変換器20でデジタル信号に変換された変換データは、CPU24に入力され、CPU24が、変換データをメモリ22に格納する処理を行う。
以上説明したように、第6の実施の形態に係るデータ収録システムによれば、電磁誘導により送電装置からデータ収録装置側の受電装置へ電力を送電すると共に、蓄電素子を用いて、データ収録装置へ給電することにより、電池をなくすことができる。また、送電装置による送電を停止しているときに、サンプルホールド回路に計測信号を取り込み、サンプルホールド回路に保持された計測信号をデジタル信号に変換してメモリへの格納処理を行うことにより、電磁給電によるノイズの影響を受けることなくデータ収録が可能となる。
なお、上記の実施の形態において、データ収録装置から送電装置へサンプリング信号を無線送信し、送電装置において、送電コイルへの通電のオンオフを制御する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。送電装置からデータ収録装置へ、電磁給電のオンオフタイミングを示す電磁給電オンオフ信号を無線送信し、データ収録装置において、受信した電磁給電オンオフ信号に基づいて、サンプルホールド回路による計測信号の取り込みを制御するようにしてもよい。
次に、本発明の第7の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態〜第5の実施の形態と同様の構成となる部分については、上記の実施の形態と同様の符号を付して説明を省略する。
第7の実施の形態では、電磁給電のみでデータ収録装置へ電力を供給している点と、無線通信により、データ収録装置と送電装置との間で同期をとっている点と、電磁給電が停止されているときに、計測信号をサンプルホールド回路に取り込むようにしている点とが、第1の実施の形態と異なっている。
図17に示すように、第7の実施の形態に係るデータ収録システム710は、データ収録装置312と、受電装置16と、送電装置730と、信号増幅器528と、ノイズフィルタ250と、サンプルホールド回路530とを備えている。
送電装置730は、送電コイル32と、正弦波発振器236と、プログラマブルゲインアンプ270と、無線通信手段340を備えたゲイン制御回路272と、駆動増幅器242とを備えている。ゲイン制御回路272は、無線通信手段340により受信したサンプリング信号に基づいて、サンプリング時間に、送電コイル32への出力波形が正弦波になるように、プログラマブルゲインアンプ270のゲインを下げるように制御する。
このとき、サンプルホールド回路530は、データ収録装置312からの信号に従って、ノイズフィルタ250を介して、アナログ量で計測され、かつ、信号増幅器528で増幅された計測信号をサンプリングする。
また、ゲイン制御回路272は、無線通信手段340により受信したサンプリング信号に基づいて、サンプリング時間以外に、送電コイル32への出力波形の振幅が飽和するように、プログラマブルゲインアンプ270のゲインを上げるように制御する。このとき、給電駆動電流の波形が飽和して方形波状になり、十分な駆動電力を確保できる。
次に、第7の実施の形態に係るデータ収録システム710の動作について説明する。
まず、送電コイル32に方形波状の交流電流を通電することで、受電コイル38に誘導電流が発生して、データ収録装置312に大きな電力が供給される。
また、ユーザの操作により、データ収録装置312にデータ収録指示が入力されると、データ収録装置312では、サンプリング時間を表わすサンプリング信号を無線通信手段320によって送信し、送電装置730側において、無線通信手段340によってサンプリング信号を受信する。
また、送電装置730では、受信したサンプリング信号に基づいて、サンプリング時間に、プログラマブルゲインアンプ270のゲインを下げて、正弦波の駆動電流を送電コイル32に通電し、受電コイル38に誘導電流を生じさせる。
そして、データ収録装置312のCPU24が、送信したサンプリング信号に基づいて、サンプリング時間(正弦波の駆動電流により電磁給電が行われているとき)にサンプリングを指示する信号をサンプルホールド回路530へ出力する。そして、サンプルホールド回路530は、データ収録装置312からの信号に従って、信号増幅器528で増幅し、かつ、ノイズフィルタ250を通過した計測信号をサンプリングし、方形波状の駆動電流により電磁給電が行われているときには、ホールドする。
また、送信したサンプリング信号に基づいて、データがサンプリングされる度に、データ収録装置312では、CPU24が、A/D変換器20にA/D変換スタート信号を送信し、A/D変換器20において、サンプルホールド回路530でホールドされた計測信号(計測データ)を取り込み、A/D変換が行われる。A/D変換器20でデジタル信号に変換された変換データは、CPU24に入力され、CPU24が、変換データをメモリ22に格納する処理を行う。
以上説明したように、第7の実施の形態に係るデータ収録システムによれば、電磁誘導により送電装置からデータ収録装置側の受電装置へ電力を送電して、データ収録装置へ給電することにより、電池をなくすことができる。また、ノイズフィルタで低減する周波数の正弦波の電圧を印加して送電コイルを駆動しているときに、サンプルホールド回路に計測信号を取り込み、サンプルホールド回路に保持した計測信号をデジタル信号に変換してメモリへの格納処理を行うことにより、電磁給電によるノイズの影響を受けることなくデータ収録が可能となる。
なお、上記の実施の形態において、データ収録装置から送電装置へサンプリング信号を無線送信し、送電装置において、送電コイルへの駆動電流を切り換える場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。送電装置からデータ収録装置へ、送電コイルへ通電する駆動電流の切換タイミングを示す駆動電流切換信号を無線送信し、データ収録装置において、受信した駆動電流切換信号に基づいて、サンプルホールド回路の信号の取り込みを制御するようにしてもよい。
次に、本発明の第8の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態及び第5の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
第8の実施の形態では、データ収録装置側で、正弦波の駆動電流に基づく電磁給電による電力の低下を検出して、正弦波の駆動電流への切換えを検出している点が、第2の実施の形態と異なっている。
第8の実施の形態に係るデータ収録システムは、送電装置230を備え、送電側駆動装置234によって、一定の周波数の正弦波電流及び方形波電流を一定時間間隔で切り換えて、送電コイル32に通電して駆動する。また、データ収録システムは、受電装置16からの出力電圧を検出し、当該出力電圧の低下を検出することにより、送電装置230における正弦波の駆動電流への切り換えを検出する電圧検出回路520を備えている。
電圧検出回路520によって、正弦波の駆動電流への切り換えが検出されると、データ収録装置12では、CPU24が、A/D変換器20にA/D変換スタート信号を送信し、A/D変換器20において図示しないセンサによってアナログ量で計測された計測信号(計測データ)のA/D変換が行われる。このとき、A/D変換器20に取り込まれる計測信号は、ノイズフィルタ250により正弦波と同じ周波数のノイズが低減された計測信号である。A/D変換器20でデジタル信号に変換された変換データは、CPU24に入力され、CPU24が、変換データをメモリ22に格納する処理を行なう。
なお、第8の実施の形態に係るデータ収録システムの他の構成及び作用については、第2の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
以上説明したように、第8の実施の形態に係るデータ収録システムによれば、電磁誘導により送電装置からデータ収録装置側の受電装置へ電力を送電して、データ収録装置へ給電することにより、電池をなくすことができる。また、ノイズフィルタで低減する周波数の正弦波の電圧を印加して送電コイルを駆動しているときに、データ収録装置により、ノイズフィルタを介して取得した計測信号の変換データのメモリへの格納処理を行うことにより、電磁給電によるノイズの影響を受けることなくデータ収録が可能となる。
次に、本発明の第9の実施の形態について説明する。なお、第5の実施の形態及び第7の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
第9の実施の形態では、電磁給電のみでデータ収録装置へ電力を供給している点と、データ収録装置側で、正弦波の駆動電流に基づく電磁給電による電力の低下を検出して、正弦波の駆動電流への切り換えを検出している点とが、第5の実施の形態と異なっている。
第9の実施の形態に係るデータ収録システムでは、送電装置730を備え、ゲイン制御回路272によって、一定の周波数の正弦波電流及び方形波電流を一定間隔で切り換えて、送電コイル32に通電して駆動する。また、電圧検出回路520によって、受電装置16からの出力電圧を検出し、当該出力電圧の低下を検出することにより、送電装置230における正弦波の駆動電流への切り換えを検出する。
サンプルホールド回路530は、電圧検出回路520による検出結果に基づいて、正弦波の駆動電流への切り換えに同期して、信号増幅器528から出力された計測信号をサンプリングして、保持する。
なお、第9の実施の形態に係るデータ収録システムの他の構成及び作用については、第5の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
以上説明したように、第9の実施の形態に係るデータ収録システムによれば、電磁誘導により送電装置からデータ収録装置側の受電装置へ電力を送電して、データ収録装置へ給電することにより、電池をなくすことができる。また、ノイズフィルタで低減する周波数の正弦波の電圧を印加して送電コイルを駆動しているときに、サンプルホールド回路に、ノイズフィルタから出力された計測信号を取り込み、サンプルホールド回路に保持した計測信号をデジタル信号に変換してメモリへの格納処理を行うことにより、電磁給電によるノイズの影響を受けることなくデータ収録が可能となる。
なお、上記の第1の実施の形態〜第9の実施の形態において、サンプリング信号を無線通信によってデータ収録装置から送電装置へ送信する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、受電コイルにサンプリング信号を重畳させて、送電装置側へサンプリング信号を送信するようにしてもよい。
また、データ収録装置から送出するサンプリング信号は、無線電波に限らず赤外線、可視光線、音波など他の方法を用いて送信するようにしてもよい。また、送電コイル及び受電コイルとは別に、送電装置及び受電装置に、信号送信用のコイルを更に一対設置するようにしてもよい。
また、電圧検出回路によって、電磁給電の停止や、正弦波の駆動電流による電圧の低下を検出する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、電圧検出回路によって、電磁給電が行われていることや、方形波状の駆動電流による電圧の上昇を検出するようにしてもよい。
また、電源装置に充電池を備えた場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、充電機能を有さない電池を用いてもよい。