JP5666784B2 - 全音響透過板並びにそれを用いたハードスクリーン及び音響透過量調整板 - Google Patents

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Description

本発明は、視認できない程の微細な孔を多数有する形態の、背後からの音を透過する音響透過板であって、入射方向や可聴周波数帯域によらず、ほとんどのエネルギーを一方の面から他方の面に透過させることが可能な全音響透過板に関する。更には、本発明は、当該全音響透過板を利用したハードスクリーン及び音響透過量調整板に関する。
従来から、多数の孔を有する映写スクリーンは知られており、スクリーン後側に設置されたスピーカーから出る音を、あたかもスクリーンから音が発せられたかのようにして投射された映像を楽しむための有孔スクリーンがある。これら孔の開口部が視認不可かつ音響透過性能を改善するスクリーンの開発が現在でも行われており、開口径を1mm程度とし、一定の規則の下、孔が配列された有孔スクリーンが提案されている(特許文献1)。
ここで、開口径が小さくても1mm程度に設計されるのは、管径が小さいと、空気の粘性による減衰と開口端での反射減衰により音響透過率が減少するといわれているからである。より詳しくは、図1に示すように、開放端の反射における減音量にはfl=cl/λに依存する関係があり、微小な開孔では低周波数帯域の音が通過せずに反射されやすくなる、つまり、1.0mm以下の径を有する孔を100Hz以下の低周波数帯域の音が通過することは理論上、一般には困難である(非特許文献1)。
映写スクリーンのように数m以上離れて観察する用途では、開口径が2mm程度まで小さくなれば、スクリーン表面の孔を視認されず、映像を投影しても孔の影響を確認することはほとんどできない。しかしながら、数十cm程度まで近づいて観察する状況では孔が視認され易くなる嫌いがあることは否めない。また、有孔合板や有孔石膏板などにおいては、通気性のクロス等を表面に設置して孔を視認不可となるようにすることもできるが、孔を通過する空気によりクロス等が汚れ、黒ずみなどの視覚的問題の原因となってしまう。
開口径を小さくしようとすると、上述のように理論上低周波数帯域の音ほど通過し難くなるといわれており、設計上の限界があると考えられている。
更には、映写スクリーンの正面からはスピーカーの音が高出力で発せられるが、映写スクリーンの正面からずれる(例えばスクリーンの横方向)につれ、出力が低下する。特に、回折し難く指向性の高い高周波領域の音に関してはその傾向が大きい。
特許第3242201号公報
「建築の音響設計<新訂版>/日本建築学会設計計画パンフレット4」P40/図5(日本建築学会編/彰国社刊)
そこで、本発明は、視認できない程の微細な孔を多数有する形態の、背後からの音を透過する音響透過板であって、入射方向や可聴周波数帯域によらず、一方の面から入射するエネルギーのほとんどを他方の面に透過させることが可能な全音響透過板を提供することを目的とする。
本発明(1)は、硬質板に、平均開口径が1〜2000μmの一方の面から他方の面に貫通する微細孔を有し、単位面積あたりの該硬質板面上の該微細孔による開口率が3〜50%、微細孔間平均距離が平均開口径の1.5〜4.0倍である領域を有し、該硬質板の厚さ/該平均開口径の比が1〜500であることを特徴とする音響透過板(但し、孔径D:約0.6mm、孔間隔L:約2mm、孔列交差角α:約60°、膜厚d:約0.46mm、スクリーンシート材質:PVCに係る透過板と、孔径D:約0.6mm、孔間隔L:約2mm、孔列交差角α:約60°、膜厚d:約0.36mm、スクリーンシート材質:酢酸ビニルに係る透過板と、を除く)であって、かつ全音響透過性をも有する全音響透過板である。
本発明(2)は、硬質板が透明硬質板又は透光硬質板である、前記発明(1)の全音響透過板である。
本発明(3)は、硬質板が遮光硬質板である、前記発明(1)の全音響透過板である。
本発明(4)は、視聴または受音する側の表面を白色又は淡色に塗装した硬質板若しくは白色又は淡色の硬質板を用いた前記発明(1)〜(3)のいずれか一つの全音響透過板であって、視聴する側とは反対側にスピーカーを配置して使用することを特徴とするハードスクリーンである。
本発明(5)は、前記発明(1)〜(3)のいずれか一項記載の全音響透過板を複数重ね合わせ、少なくとも1枚の全音響透過板の相対的移動で開口率を調整することにより、音響透過特性を制御可能に構成された音響透過量調整板である。
ここで、本特許請求の範囲及び本明細書における各用語の定義について説明する。まず、「全音響透過性」とは、入射方向によらず主要音声周波数帯域(300Hz〜3.5kHz)においてほぼ全音響エネルギーが透過するような材料の性質、と定義することができる。具体的には、後述する方法で測定された、0°、45°及び90°の入射角度、または(相反則により)透過後の角度において、試料あり・無しのレベル差が観測周波数帯域内で3dB以内であるような性質を指す。また、「硬質板」又は「板」とは、合板や石膏板など硬い質感を持つものをいい、膜のように柔軟な材料とは正反対にそれ自身で自立することの出来る性質を有する板状材料をいう。「透明」とは、完全に透明である場合のみならず半透明も含み、試料を通して向こう側を略視認できるような性質をいう。「透光」とは、過半の入射光を反対側に透過させるような半透明性(すりガラスのような)を含めた性質をいう。「遮光」とは、入射光のほとんどを遮断し透過させないような非透光性の性質をいう。
次に、図13及び図14を参照しながら、本発明の原理を説明する。ここで、図13中、上側が平面図、下側が断面図である。まず、図13の左図に示すように、開口が1個の場合は、開口部分でインピーダンスが急変し、かつ、空気の粘性も作用するため、断面の左側から到来した音は車や空調の消音機と同様、反射して穴(開口)を通過することができず、入射音は「遮断」(遮音)され見かけ上の材料の遮音性、即ち、ほぼ母材の透過損失TL(dB)を維持する、つまり、P=0.1であれば10%程度のエネルギー透過に留まる。このことは、図13の中央図のように開口率Pを一定にした状態で開口数を10個程度まで増やしても同様である。しかし、図13の右図に示すように、開口率Pを一定にした状態でこの孔の数をさらに増やしていくと、音響透過が急増しPが10%程度(つまり100%をはるかに下回る状態)でも、広い周波数帯域にわたり「全音響透過性」、即ち材料の一方に入射した音響エネルギーのほとんどが反対側に透過する現象を示すようになる。この全音響透過状態では、波動としての音響エネルギーが競合し合い、波動的に連携作用して開口面積以上に透過する(過剰透過する)ものと考えられる。また、音響物理学的な面からは、波動方程式を展開する時の仮定としてしか存在しなかった材料境界面の性質、「局所作用的」性質を理想的な形で有する初めての材料となる。材料が「局所作用的」とは、材料表面において境界面に垂直な粒子速度成分Vと音速との比、すなわちノーマル音響インピーダンスZが入射角によらず材料の特定インピーダンスZに等しい、という性質で、この場合、VはV=p/Zのように計算できる。物理的には音がどの方向から材料に入射しても全て表面に垂直な成分に変換される性質、つまり、多くの微細管を並べたハニカム構造のような性質をいう。上記の「全音響透過板」は微小径の孔を無数に穿孔することになるので、結果的に「局所作用的」となる。「局所作用的」のイメージを図14に示す。
本発明(1)によれば、開口径が2000μm以下であるために数m程度まで近接しても殆ど視認できない構成でありながら、背後からの音を、正面(0°)のみに指向して発するのではなく、0°〜±90°の全範囲に亘り試料がないときと同程度に音を発するという効果を奏する。音源位置・受音位置に関する相反定理を基礎に換言すれば、入射方向によらず一方の面から他方の面へ通過させるという効果を有する。特に、本発明によれば、本来は空気の粘性やインピーダンス変化の影響で透過しにくい低音域のみならず、高周波領域まで含め、主要音声周波数帯域にわたり全音響(エネルギー)透過性を示すことができるという効果を奏する。
本発明(2)によれば、微小開口径による前記効果に加え、硬質板が透明又は透光性であるので、ひとつひとつが開口として認められないばかりでなく、うっすらと曇った感じが加わるのみで、「固い平滑な表面」を有する音響的にも視覚的にも「無」に近い、透明または透光性の全音響透過板を提供することができるという効果をも奏する。
本発明(3)によれば、前記効果に加え、硬質板が遮光性であるので、ひとつひとつが開口として認められないばかりでなく、室壁のように向こう側が見えない状況で音が発せられるという、あたかも何も無いところから音が出てくるような状況を構築できるという効果を奏する。
本発明(4)によれば、前記効果に加え、孔が極めて小さいために映像を投射しても孔の影響が認められないことに加えて、ハードスクリーンの左右のみならず、ハードスクリーン背後にスピーカーを設置することができるので音像定位がよくなる結果、あたかもハードスクリーン上の映像から音が発せられているかのような印象を持たせることができるという効果を奏する。
本発明(5)によれば、前記効果に加え、全音響透過板の相対的移動で音響透過特性を制御することが可能となるので、音響透過量調整板を介して隣り合う空間同士を互いに音響透過状態にすることも音響遮断状態にすることも容易にできる、可変遮音材料(構造)を構築できるという効果を奏する。
図1は、開放端の反射による減音量(ASHRAE)を示した図である。 図2は、音響透過性(伝送周波数特性)測定方法の概略図である。 図3は、実施例1に係る全音響透過板の伝送周波数特性測定結果を示した図である。 図4は、実施例2に係る全音響透過板の伝送周波数特性測定結果を示した図である。 図5は、実施例3に係る全音響透過板の伝送周波数特性測定結果を示した図である。 図6は、実施例4に係る全音響透過板の伝送周波数特性測定結果を示した図である。 図7は、比較例1に係る試料の伝送周波数特性測定結果を示した図である。 図8は、比較例2に係る試料の伝送周波数特性測定結果を示した図である。 図9は、比較例3に係る試料の伝送周波数特性測定結果を示した図である。 図10は、比較例4に係る試料の伝送周波数特性測定結果を示した図である。 図11は、比較例5に係る試料の伝送周波数特性測定結果を示した図である。 図12は、音響透過量調整板の一例を示した図である。 図13は、本発明の原理図である。 図14は、本発明の原理図(「局所作用的」のイメージ)である。
発明を実施するための最良形態
以下、本発明の最良形態を説明する。尚、本最良形態は、本発明の技術的範囲を何ら限定するものではない。
《全音響透過板》
本最良形態に係る全音響透過板は、硬質板に、平均開口径が1〜2000μmの一方の面から他方の面に貫通する微細孔を有し、単位面積あたりの該硬質板面上の該微細孔による開口率が3〜50%、微細孔間平均距離が平均開口径の1.5〜4.0倍である。以下、各要素を詳述する。
まず、本最良形態に係る全音響透過板に用いられる硬質板は、用途によって決定されるべきであるが、透明硬質板又は透光硬質板であっても、遮光硬質板であってもよい。ここで、透明硬質板又は透光硬質板として用いられる材料としては、アクリル、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、アクリル−スチレン共重合体(ABS)等のプラスチック製板やガラス板を挙げることができる。また、遮光硬質板としては、鉄、アルミニウム、鉛等の金属製板を挙げることができる。
次に、硬質板に設けられる微細孔の平均開口径は、1〜2000μm、好ましくは50〜500μm、より好ましくは100〜300μmである。直径が1μm未満でも特に問題がないが、製造技術上の困難性が高くなり、高価となってしまう。直径が2000μmを超えると硬質板へ近づいた際に孔の開口部を視認し易くなり、美観上の欠点を生じやすくなるだけでなく、全音響透過板の表面に通気性のクロス等を配置した場合、孔に対応する部分が空気の出入りで汚れ、黒ずむ等の視覚的問題の原因ともなり易い。尚、微細孔の開口径の変動係数は、特に限定されないが、50%以下が好適であり、30%以下が好適であり、10%以下が更に好適であるが、全ての孔が同一の開口径を有することが特に好適である。尚、変動係数は「標準偏差÷平均開口径×100(%)」で示す値である。
硬質板に設けられる孔の開口率は、音の透過を意図する領域に存在する孔の開口面積の合計を当該領域面積で除した値を100分率で表示した値である。開口率は、3〜50%が好ましく、より好ましくは5〜30%、更に好ましくは8〜13%である。開口率が50%を超えることに理論上問題はなく、孔が完全円形の場合は理論上78.5%まで開口可能であるが、実際には50%を超えると強度を保った状態で開口することが難しい。開口率が3%未満でも用途によっては問題ない場合もあるが、特に高音域での音響透過性が低下するなど、音響透過に制約を受ける周波数帯域が生じる可能性があると考えられる。
微細孔間平均距離は、平均開口径の1.5〜4.0倍、好適には2〜3.5倍、より好適には2.5〜3.2倍(P=13〜8%)である。1.5倍未満だと、母材の強度維持が困難となる。また、4.0倍を超えると(P≒5%以下)開口同士の距離が大きくなり、「互いの隣接による波動現象としての全音響透過現象」を発現しにくくなる。尚、微細孔間平均距離(平均ピッチ)は、孔の中心部から隣り合う他の孔の中心部までの平均距離である。
硬質板の厚さは、特に制限はないが、0.1〜200mmが好ましく、より好ましくは1〜100mm、更に好ましくは1〜60mmである。0.1mm未満では強度上の問題が発生し易くなり、200mmを超えると、0.5mm以下の径の長い貫通孔を板面に隣り合う孔が連通せずに開けることの困難性が高くなるからである。
硬質板の厚さ/平均開口径の比は、0.5〜1000が好ましく、1〜500がより好ましく、1〜100が更に好ましい。1000以上になると、微細開口径の孔を母材に垂直、かつ正確に開けることが困難になるからである。
《全音響透過板の製造方法》
本最良形態に係る全音響透過板は、硬質板に多数の微細孔を貫通させることにより製造可能である。ここで、前述した径・開口率・ピッチで孔を開ける限り特に限定されずどのような手段を用いてもよく、例えば、機械式ドリル、レーザー光線や電熱器等による手法や、エッチングによる手法を挙げることができる。
《全音響透過板の性質》
本発明の最も重要な性質は、微小開口による全音響透過性の発現という点である。ここで、本発明にいう全音響透過の測定・検証方法を説明する。図2に示すようにして、音源から発せられるオーディオ周波数帯域(50〜10000Hz)の音を音源1から1500mm離間した位置(0°)に設置されたマイクロホン3にて測定した周波数特性と、1500mm離間した位置(45°)に設置されたマイクロホン3にて測定した周波数特性と、1500mm離間した位置(90°)に設置されたマイクロホン3にて測定した周波数特性で、それぞれ試料の有無について比較する。つまり、これら3方向について、音源1の前面3mmの距離に20cm×20cmの全音響透過板を配置した場合としない場合とを測定し、その「レベル差(dB)」を図3の縦軸としてプロットする。このようにして3方向について前記のレベル差をとった場合、本発明に係る全音響透過板は、いずれの方向についても主要な可聴周波数帯域、特に主要音声帯域(300Hz〜3.5kHz){より好ましくは、50Hz〜10kHz、更に好ましくは、20Hz〜20kHz(オーディオ周波数域)}については、ほぼ3dB以内であることを特徴とする。
《全音響透過板の用途》
本最良形態に係る全音響透過板は、ハードスクリーンとしても使用することができる。映像を投影する面を白色又は淡色に塗装した全音響透過板、若しくは白色又は淡色の硬質板を用いた全音響透過板の背面にスピーカーを設置することにより、映像(投影面)全体から音が出てくるような臨場感や、音を出しながらスクリーン背後方向へ遠ざかって行く音源の感覚を、違和感無く味わうことのできるハードスクリーンが実現できる。展示物のサイズに合わせた全音響透過板を使用することにより、「音の出る絵画面」とすることもできる。また、全音響透過板の一面を点字案内板などとすることにより、指でなぞる面と音の出る面とが一致することによる点字利用者の感覚的負担を減少させる点字スクリーンとすることもできる。
更には、全音響透過板を複数組み合わせることにより、音響透過量調整板として利用することができる。少なくとも2枚の全音響透過板を重ね合わせ、相対的に位置を調整することにより貫通孔の数、或いは合計の面積を調整可能であり、これにより全音響透過板または吸音板として機能したり、逆に、音響反射板として機能したりするよう調整することができる。また、2つの空間の仕切りとして比較的透明な全音響透過板を設置し、その一面に同様に比較的透明な全音響透過板をスライド可能に重ねることにより、全音響透過となるよう重ね合わせた場合には一方の空間における物の動きと音の動きを他方の空間でも観察可能となり、全反射(遮音)となるよう重ね合わせた場合には一方の空間における物の動きのみが観察可能で音は聞くことができない、音響透過量調整壁として使用することもできる。この音響透過量調整壁は、各種学校における授業内容に応じて、協調性と独立性を簡単に調整することを可能とする。そして更には、MEMSなどのナノテクを利用すれば、透過板単体としての音響透過量を調整することもでき、聴感的な違和感や電気音響的な残響付加装置が有するカラーレーション(音質阻害効果)などが無い、自然で高度な残響可変壁を構成できる。すなわち、各孔の内部に構造を制御できる遮蔽薄膜を置き、これを外部から電磁気的に制御することにより各孔の音響透過率を変化させるものである。この制御方式では外観変化を伴わないので、室内意匠に全く影響を与えない次世代型の残響可変壁を提供することが可能となる。ここで、図12は、音響透過量調整板の一例を示した図である。左図(手法1)に係る音響透過量調整板に関しては、片方の全音響透過板(全音響透過板B)を他方(全音響透過板A)に対してスライドさせることで、開口同士が重なり音響が透過する「モード1」と開口位置がずれて遮音されるモード2に切り替え可能に構成されている。右図(手法2)に係る音響透過量調整板に関しては、MEMS技術で結晶格子の向きを変える(結晶が90度回転する)ことにより、音響透過状態である「モード1」と遮音状態である「モード2」に切り替え可能に構成されている。
CO2レーザー装置、電動ドリル、NC旋盤等を適宜用いて、表1のとおり、100mm四方の各実施例に係る全音響透過板及び各比較例に係る音響透過板を作製した。
Figure 0005666784
作成した各実施例の全音響透過板及び各比較例の音響透過板について、各々その音響透過性を確認した。伝送周波数特性については、図2に示すようにスピーカー1から3mmの距離に、各実施例の全音響透過板試料2を設置し、スピーカー1前面より1.5mでの位置に設置したマイク3で受音した.スピーカー1には、65Hzから8kHz(中心周波数65Hz、125Hz、250Hz、500Hz、1kHz、2kHz、4kHz、8kHz)までの1オクターブ幅のバンドノイズを与えマイク位置での相対音圧レベルを測定した。
測定した結果を図3〜11に示す。これらの図から明らかなように、伝送周波数特性の測定結果から実施例の全音響透過板は3500Hz以下の全周波数帯域において3方向(0°、45°、90°)ともの透過音量のレベル差(dB)が略同一であることが分かる。実施例に示すように、開口径、開口率、微細孔間平均距離を所定範囲内にすることにより、全音響透過を示すことがわかる。
開口率が100%をはるかに下回る状態でも全音響透過となる本発明の全音響透過板を用いることにより、臨場感あふれるハードスクリーンや、組合せによる音響透過量調整板として利用することができる。そして、建築・構造物のみならず、自動車、電車、航空機などの輸送機器など、騒音対策、音響対策、音響調整を要する用途に幅広く用いることができる。

Claims (5)

  1. 硬質板に、平均開口径が1〜2000μmの一方の面から他方の面に貫通する微細孔を有し、単位面積あたりの該硬質板面上の該微細孔による開口率が3〜50%、微細孔間平均距離が平均開口径の1.5〜4.0倍である領域を有し、該硬質板の厚さ/該平均開口径の比が1〜500であることを特徴とする音響透過板(但し、孔径D:約0.6mm、孔間隔L:約2mm、孔列交差角α:約60°、膜厚d:約0.46mm、スクリーンシート材質:PVCに係る透過板と、孔径D:約0.6mm、孔間隔L:約2mm、孔列交差角α:約60°、膜厚d:約0.36mm、スクリーンシート材質:酢酸ビニルに係る透過板と、を除く)であって、かつ全音響透過性をも有する全音響透過板
  2. 硬質板が透明硬質板又は透光硬質板である、請求項1記載の全音響透過板。
  3. 硬質板が遮光硬質板である、請求項1記載の全音響透過板。
  4. 視聴または受音する側の表面を白色又は淡色に塗装した硬質板若しくは白色又は淡色の硬質板を用いた請求項1〜3のいずれか一項記載の全音響透過板であって、視聴する側とは反対側にスピーカーを配置して使用することを特徴とするハードスクリーン。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項記載の全音響透過板を複数重ね合わせ、少なくとも1枚の全音響透過板の相対的移動で開口率を調整することにより、音響透過特性を制御可能に構成された音響透過量調整板。
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