「実施形態1」
図1を参照し、実施形態1に係る携帯通信機器1についてPHSを利用する場合を例示して説明する。携帯通信機器1としてPHSを利用する理由は、現在、基地局2が緯度経度を含む報知情報を報知するのはPHSだけであり、PHSを利用すれば基地局2に緯度経度を報知する新たな機能を付加することなく、位置情報として基地局2から位置登録エリア3に一斉に報知される報知情報に含まれる緯度経度をそのまま利用することができるからである。なお、携帯電話システムの基地局が緯度経度を含む報知情報を報知するようになれば、通信システムとして携帯電話システムを使用してもよい。なお、基地局2がカバーするエリアを「セル」といい、複数の基地局2を束ねる移動通信制御局4がカバーするエリアを位置登録エリア3という。
実施形態1に係る携帯通信機器1は、電源スイッチ11がオンに操作され、携帯通信機器1に搭載された図示しないバッテリーからの電力が制御部12に供給された状態において、ユーザーがワイヤレススイッチ13をオフに操作すると、ワイヤレススイッチ13がオフ信号を制御部12に出力し、制御部12が無線送受信部14を制御し、無線送受信部14が電波の発射をしない電波発射停止状態となる。この電波発射停止状態となった無線送受信部14は、基地局2からの電波を受信することができるようになっている。よって、ワイヤレススイッチ13をオフに操作した時点を携帯通信機器1から電波の発射を停止させる事情が発生した契機と捉え、ワイヤレススイッチ13がオフ信号を制御部12に出力し、制御部12が基地局2から出力される報知情報に含まれる位置情報としての緯度経度をタイマー15で計測された一定時間ごとに無線送受信部14を通して携帯通信機器1の位置する緯度経度として取得して発信禁止エリア内か外かを判断し発信禁止エリア内ならばワイヤレススイッチ13をオフのままとし、発信禁止エリア外ならばワイヤレススイッチ13をユーザーの操作によらずに電気的にオンに切り替える特徴を有する。これにより、携帯通信機器1は、既設のPHSの基地局2をそのまま利用しつつ、ワイヤレススイッチ13のオフからオンへの戻し操作忘れを防止することができ、無線通信が行えなくなる弊害を解消できる。なお、ユーザーの操作でオフに操作されたワイヤレススイッチ13を制御部12の制御によりユーザーの操作によらずに電気的にオンに切り替えるために、ワイヤレススイッチ13はユーザーに操作される機構的要素とトランジスタを含む半導体要素とを備える。つまり、ワイヤレススイッチ13の機構的要素がユーザーに操作されることによりワイヤレススイッチ13がオンになったりオフになったりする一方、制御部12から出力される制御信号で半導体要素がオンになったりオフになったりするようになっている。発信禁止エリアは、無線送受信部14から電波の発射を禁止する地域を示すエリアであって、携帯通信機器1の記憶装置に予め記憶されている。
また、上記のようにワイヤレススイッチ13がオフに操作されて、無線送受信部14が基地局2からの電波を受信できるようになっていても、無線送受信部14が外部から送信された外部情報を受信するには基地局2との通信路形成のための双方向の送受信できることが必要不可欠であり、無線送受信部14から基地局2への電波の発射が必要なため、無線送受信部14が基地局2からの電波を受信するだけでは外部情報を受信できない。よって、例えば、携帯通信機器1に記憶されているデータを遠隔操作で消去しようとする人が通信網6に接続されたサーバーからなる情報管理機器5を操作し、情報管理機器5がデータ消去コマンドを通信網6及び移動通信制御局4を経由して携帯通信機器1の位置するセルをカバーする基地局2から無線で送信しても、当該基地局2のセル内に位置する携帯通信機器1が上記データ消去コマンドを受信することができないので、制御部12が携帯通信機器1の記憶装置に記憶されたデータを消去できない。
なお、無線送受信部14による報知情報の受信には、データ通信と異なり、無線送受信部14と基地局2との通信路形成のための交信が必要なく、無線送受信部14が基地局2から緯度経度を含む報知情報として送信される電波を受信するのみで完結し、無線送受信部14が電波を発射しない。また、本明細書においてユーザーとは、携帯通信機器1の所持者であり、使用者のことである。制御部12が緯度経度から発信禁止エリア内か外かを判断する処理については、図6において詳述する。
これに対し、電源スイッチ11がオンになり、携帯通信機器1に搭載されたバッテリーからの電力が制御部12に供給された状態において、ユーザーがワイヤレススイッチ13をオンに操作すると、ワイヤレススイッチ13がオン信号を制御部12に出力し、制御部12が無線送受信部14を制御し、無線送受信部14が基地局2と無線による送受信を行うことができる。よって、例えば、携帯通信機器1に記憶されているデータを遠隔操作で消去しようとする人が通信網6に接続されたサーバーからなる情報管理機器5を操作し、情報管理機器5がデータ消去コマンドを通信網6及び移動通信制御局4を経由して携帯通信機器1の位置するセルをカバーする基地局2から無線で送信すると、当該基地局2のセル内に位置する携帯通信機器1の無線送受信部14がデータ消去コマンドを受信して制御部12に出力し、制御部12がデータ消去コマンドの内容に応じて携帯通信機器1の記憶装置におけるデータを消去することができる。
また、ユーザーが電源スイッチ11をオフに操作すると、携帯通信機器1に搭載されたバッテリーの電力は携帯通信機器1に搭載された時計機能やメモリー機能を維持するのに必要な動作にだけ使われ、それ以外のデータ処理や無線送受信処理などの動作は行わないようになっている。
図2を参照し、実施形態1に係る携帯通信機器1の構成について、データ通信機能だけを備えた構成を例示して説明する。データ通信機能は、文字や記号あるいは画像(静止画像、動画像、それら両方の画像)を双方向に送受信する機能である。携帯通信機器1は、携帯容器16に、電源スイッチ11、制御部12、ワイヤレススイッチ13、無線送受信部14、タイマー15、ディスプレイ17、キーボード18、内部電源19、外部電源端子20、記憶装置21を備える。携帯通信機器1の電源スイッチ11がオンに操作されて、バッテリーのような内部電源19又は外部電源端子20に接続された商用電源のような外部電源からの電力で動作した制御部12の制御により、無線送受信部14が図1の基地局2と無線通信を行う。
図2に戻り、ディスプレイ17は、携帯通信機器1のユーザーに制御部12の出力情報を可視化するための出力機器を構成する。キーボード18は、制御部12の入力機器を構成する多種類のキーを備える。記憶装置21は、制御部12の処理で保存すべきデータを記憶する外部記憶装置である。この実施の形態では、記憶装置21には、上記保存するデータの外に、禁止エリアデータ22、検出時期設定値23、エリア外設定値24が記憶される。禁止エリアデータ22は、発信禁止エリアとして特定された空港のような場所を示すデータである。発信禁止エリア内には、基地局2から報知される緯度経度で示される位置を含んでいる。禁止エリアデータ22については、図4で詳述する。図2において、検出時期設定値23は、位置検出を行う例えば5分間又は10分間のような時間間隔を示すデータである。エリア外設定値24は、ワイヤレススイッチ13がオフに操作された位置からエリア外として特定される例えば500m又は1000mのような直線距離を示すデータである。携帯通信機器1がワイヤレススイッチ13のオフに操作された位置から直線距離でエリア外設定値24に設定された距離以上離れた場合に、当該携帯通信機器1が通信禁止エリア外に移動したことになる。記憶装置21に記憶された禁止エリアデータ22と検出時期設定値23及びエリア外設定値24は、携帯通信機器1の製造段階で格納されるか又は携帯通信機器1の製造後における図1の通信網6に接続された図外のソフト配信サーバーからのダウンロードで格納される。例えば、ユーザーが携帯通信機器1を使用してスイッチ切替ソフトウエア31の配信を受けるという申し込みと共に携帯通信機器1の電話番号又は機器番号をソフト配信サーバーに通知することにより、禁止エリアデータ22と検出時期設定値23及びエリア外設定値24がソフト配信サーバーから通信網6及び移動通信制御局4並びに基地局2を通じて携帯通信機器1にダウンロードされる。なお、禁止エリアデータ22は、発信禁止エリアの増減や変更に伴ってダウンロードで記憶装置21に更新されるようになっている。また、検出時期設定値23及びエリア外設定値24は、ユーザーによるキーボード18の操作で記憶装置21に書き換えられるようになっている。
制御部12は、CPU25、ROM26、RAM27、オフ位置検出手段28、発信停止手段29、データ消去手段30を備える。CPU25は、ROM26に格納されたコンピュータプログラムにしたがいRAM27に一時記憶されている情報を使用しながら動作して携帯通信機器1の各電気部品の動作を制御するものである。コンピュータプログラムは、スイッチ切替ソフトウエア31、図外のオペレーティングシステム、図外のワープロソフトウエア、図外のメールソフトウエア、その他の図外のコンピュータ処理に用いられる多種類のソフトウエアの総称である。コンピュータプログラム、オフ位置検出手段28、データ消去手段30、発信停止手段29は、CPU25の動作で具現化される。
スイッチ切替ソフトウエア31は、基地局2から出力される緯度経度を含む報知情報をタイマー15で計測された一定時間ごとに無線送受信部14を通して取得して発信禁止エリア内か外かを判断し、発信禁止エリア内ならばワイヤレススイッチ13をオフのままとし発信禁止エリア外ならばワイヤレススイッチ13をオンにする制御部12による処理を目的とするアプリケーションソフトであって、ROM26のうちで書き込み消去可能に構成された部分に、携帯通信機器1の製造段階で格納されるか又は携帯通信機器1の製造後における図1の通信網6に接続された図外のソフト配信サーバーからのダウンロードで格納される。例えば、ユーザーが携帯通信機器1を使用してスイッチ切替ソフトウエア31の配信を受けるという申し込みと共に携帯通信機器1の電話番号又は機器番号を上記ソフト配信サーバーに通知することにより、スイッチ切替ソフトウエア31がソフト配信サーバーから通信網6及び移動通信制御局4並びに基地局2を通じて携帯通信機器1にダウンロードされる。なお、スイッチ切替ソフトウエア31は、スイッチ切替ソフトウエア31のバージョンアップなどの変更に伴ってソフトウエアのダウンロードなどでROM26のうちで書き込み消去可能に構成された部分に更新されるようになっている。
図2に戻り、オフ位置検出手段28は、スイッチ切替ソフトウエア31の働きにより図1の基地局2から送信された緯度経度を含む情報が無線送受信部14を経由して制御部12に入力されることにより報知情報に含まれる当該緯度経度を携帯通信機器1の検出位置として検出する位置検出処理を行う。発信停止手段29は、禁止エリアデータ22と検出時期設定値23及びエリア外設定値24を使用して、オフ位置検出手段28により検出された緯度経度が発信禁止エリア内か外かを判断し、発信禁止エリア内ならばワイヤレススイッチ13をオフのままとし発信禁止エリア外ならばワイヤレススイッチ13をオンにする処理を行う。なお、オフ位置検出手段28と発信停止手段29とによる処理については、図6及び図7において詳述する。データ消去手段30は、図1の基地局2から送信されたデータ消去コマンドが無線送受信部14を経由して制御部12に入力されることによりデータ消去コマンドの内容に応じて携帯通信機器1の記憶装置21におけるデータを消去する処理を行う。このデータ消去コマンドの内容に応じて消去さるデータは、制御部12の処理で記憶装置21に保存されたデータであって、禁止エリアデータ22と検出時期設定値23及びエリア外設定値24以外のデータである。換言するならば、禁止エリアデータ22と検出時期設定値23及びエリア外設定値24は、データ消去コマンドによって記憶装置21から消去されないようになっている。
図3を参照し、実施形態1に係る携帯可能なコンピュータにより構成された携帯通信機器1について説明する。携帯容器16としては、折り畳みの不可能なストレートタイプや引き出し可能なスライドタイプでもよいが、2つに折り畳み可能な折り畳みタイプを例示した。携帯通信機器1の携帯容器16がヒンジ35を中心として2つに折り畳み可能になっている。携帯容器16は一方の容器36と他方の容器37とがヒンジ35を中心として2つに向かい合わせに折り畳めるようになっている。電源スイッチ11、制御部12、ワイヤレススイッチ13、無線送受信部14、タイマー15、ディスプレイ17、キーボード18、それら以外の図外のデバイスは、一方の容器36と他方の容器37とのいずれに設けられてもよいが、図3では、一方の容器36に電源スイッチ11、制御部12、ワイヤレススイッチ13、無線送受信部14、タイマー15、キーボード18を設け、他方の容器37にディスプレイ17を設けた場合を例示した。ワイヤレススイッチ13を設ける位置は、一方の容器36の側面に限定されるものではなく、ユーザーが速やかに操作できかつ外部から誰が見てもワイヤレススイッチ13のオン・オフの状態を判別できる位置であればよい。また、ワイヤレススイッチ13は、ディスプレイ17に画像として表示されるタッチスイッチとして構成されてもよい。
図4を参照し、実施形態1に係る禁止エリアデータ22について発信禁止エリアが空港の場合を例示して説明する。禁止エリアデータ22は空港と位置情報とエリア情報との関係を規定するデータであって、例えば、空港名称欄と位置情報欄とエリア情報欄とに区分されている。空港名称欄には、東京国際空港、成田国際空港、中部国際空港、大阪国際空港、上記以外の空港名が記憶される。位置情報欄には、空港名称欄に記載された空港のそれぞれに対する第1地点の緯度経度及び第2地点の緯度経度が記憶される。エリア情報欄には、例えば、第1地点の緯度経度及び第2地点の緯度経度を対角線とする緯度経度からなる方形のエリアが発信禁止エリアとして記憶される。さらに、発信禁止エリアを3地点以上の緯度経度により特定してもよいが、発信禁止エリアを第1地点の緯度経度及び第2地点の緯度経度を対角線とする緯度経度からなる方形のエリアとして特定すれば発信禁止エリアを特定するCPU処理が速いうえメモリー容量が少なくてよいという利点がある。例えば、東京国際空港に対応するエリア情報欄には発信禁止エリアA、成田国際空港に対応するエリア情報欄には発信禁止エリアB、中部国際空港に対応するエリア情報欄には発信禁止エリアC、大阪国際空港に対応するエリア情報欄には発信禁止エリアD、名称欄の大阪国際空港の下に記憶された「……」で示した空港に対応するエリア情報欄には発信禁止エリアEが個別に記憶される。空港名としては、上記4つの空港以外に、日本全国に存在する全部の空港が記憶されるが、それに限定されるものではく、外国の空港も記憶されていてもよい。なお、空港名称欄は記載しなくてもよい。
図5を参照し、実施形態1に係る図2のCPU25が図4の禁止エリアデータ22から発信禁止エリアを設定する場合について説明する。図2のCPU25が、図4の禁止エリアデータ22の名称欄に記載された1つの空港に対応する位置情報欄から第1地点の緯度経度及び第2地点の緯度経度を取得し、それらの取得した第1地点の緯度経度及び第2地点の緯度経度を対角線とする緯度経度からなる方形のエリアを発信禁止エリアとして作成して禁止エリアデータ22のエリア情報欄に記憶する。第1地点の緯度経度及び又は第2地点の緯度経度を図1の基地局2の緯度経度とすることも考えられる。図5に仮想線で示す発信禁止エリアは、例えば、図4の禁止エリアデータ22のエリア情報欄に発信禁止エリアA乃至Eとして記憶される。発信禁止エリアとしては、第1地点の緯度経度及び第2地点の緯度経度を対角線とする緯度経度からなる方形のエリアに限定されるものではなく、土地家屋調査に基づいて原形に近似する形に作成されたエリアを適用してもよい。
図6及び図7を参照し、実施形態1に係る図2のワイヤレススイッチ13がユーザーによりオフに操作された場合の処理について説明する。この図6及び図7の処理は、図2の携帯通信機器1の電源スイッチ11がユーザーによりオンに操作され、内部電源19からの電力で、無線送受信部14が待受状態になっている。これら動作は、スイッチ切替ソフトウエア31により行われるものである。図6及び図7において、ステップ101乃至ステップ104及びステップ110を図2のオフ位置検出手段28が担当し、ステップ105乃至ステップ109及びステップ111乃至ステップ113を図2の発信停止手段29が担当する。図6は、ワイヤレススイッチ13がユーザーによりオフに操作された時点の位置が禁止エリアデータ22に存在する場合の処理である。図7は、ワイヤレススイッチ13がユーザーによりオフに操作された時点の位置が禁止エリアデータ22に存在しない場合の処理である。以下の図6及び図7の説明において、基地局2については図1に示されており、携帯通信機器1、ワイヤレススイッチ13、無線送受信部14、タイマー15、内部電源19、禁止エリアデータ22、検出時期設定値23、エリア外設定値24、RAM27、オフ位置検出手段28、発信停止手段29などの構成要素については図2に示されているので、図1又は図2を必要に応じて参照願いたい。
図6において、処理が始まると、ステップ101においてワイヤレススイッチ13がオフであるかを判断する。そして、ワイヤレススイッチ13がユーザーによりオフに操作されていなければ、ステップ101がNOとなり、ステップ101に戻り、逆に、ワイヤレススイッチ13がユーザーによりオフに操作されると、ステップ101がYESとなり、ステップ102に進む。ステップ102ではタイマー15のカウントを開始し、ステップ103に進む。ステップ103では携帯通信機器1が圏内に居るかどうかを判断する。ここで、携帯通信機器1の無線送受信部14が基地局2からの報知情報を無線送受信部14に設定された所定レベル以上に受信できる場合を圏内といい、携帯通信機器1の無線送受信部14が基地局2からの報知情報を無線送受信部14に設定された所定レベル以上に受信できない場合を圏外という。ステップ103の判断において携帯通信機器1が圏外に居るのであれば、ステップ103がNOとなり、携帯通信機器1の無線送受信部14が基地局2からの報知情報を無線送受信部14に設定された所定レベル以上に受信できないことから、それ以降の位置検出を実行することができなばかりでなく、携帯通信機器1が図2の禁止エリアデータ22に記憶された空港の外に出た離陸態勢又は着陸態勢を含む飛行中の航空機の中に位置しているとも考えられるので、ワイヤレススイッチ13がオフに操作された状態を保つように、ステップ103に戻る。
逆に、ステップ103の判断において携帯通信機器1が圏内に居るのであれば、ステップ103がYESとなり、携帯通信機器1の無線送受信部14が基地局2からの報知情報を無線送受信部14に設定された所定レベル以上に受信できることから、それ以降の位置検出を実行することができるうえ、携帯通信機器1が禁止エリアデータ22に記憶された空港の外に出て離陸態勢又は着陸態勢を含む飛行中の航空機の中に位置していないとも考えられるので、ステップ104に進む。ステップ104では、携帯通信機器1の位置検出を行う。この位置検出の処理にあっては、オフ位置検出手段28が内部電源19の電力で無線送受信部14の受信機能だけを例えば数秒間だけ起動して基地局2からの報知情報に含まれる緯度経度を受信してRAM27に検出位置として記憶する。ステップ104において無線送受信部14の受信機能だけを例えば数秒間だけ起動するようにすれば、ワイヤレススイッチ13のオフからオンになるまでの期間にわたって無線送受信部14の受信機能を起動した場合よりも電力の消費を低減できる。ステップ104の位置検出後は、ステップ105に進む。
ステップ105では、ステップ104でRAM27に記憶した緯度経度が禁止エリアデータ22に存在するかどうかを判断する。具体的には、携帯通信機器1が上記RAM27に記憶した緯度経度を図4の禁止エリアデータ22に検索し、当該RAM27に記憶した緯度経度がエリア情報欄に記憶された発信禁止エリアA乃至発信禁止エリアE及び図示を省略した発信禁止エリア内に居る場合には、上記RAM27に記憶した緯度経度の存在する発信禁止エリアに対応する空港内に位置するので、ステップ105がYESとなり、ステップ106に進む。逆に、ステップ105の判断において、携帯通信機器1が上記RAM27に記憶した緯度経度が上記発信禁止エリア内に居ない場合には、上記RAM27に記憶した緯度経度の存在する発信禁止エリアに対応する空港外に位置するので、ステップ105がNOとなり、図7のステップ108に進む。
ステップ106では、タイムアップしたかどうかを判断する。ステップ106の判断において、タイマー15のカウント値が図2の検出時期設定値23に到達していなければ、ステップ106がNOとなり、ステップ106に戻り、タイマー15のカウントが継続される。ステップ106の判断において、タイマー15のカウント値が検出時期設定値23に到達すると、タイマー15のカウントを終了し、ステップ106がYESとなり、ステップ107に進む。ステップ107では、タイマー15がリセットされて初期値の「ゼロ」に戻され、ステップ102に戻る。このようにワイヤレススイッチ13がユーザーによりオフに操作され、携帯通信機器1が圏外に居る場合、又は、携帯通信機器1が空港内に居る場合には、ワイヤレススイッチ13のオフの状態を保つことができる。
次に、図7において、ワイヤレススイッチ13のオフに操作された時点の位置が禁止エリアデータ22に居ない場合の処理について説明する。図7の処理は、ワイヤレススイッチ13がユーザーによりオフに操作された時点の位置が禁止エリアデータ22に居ない場合であるので、図6のステップ104においてRAM27に記憶した緯度経度が発信禁止エリアであるとみなして図7の処理が進行される。図7において、処理が始まると、ワイヤレススイッチ13がユーザーによりオフに操作された時点からの携帯通信機器1の移動距離を知るために、ステップ108において、タイムアップかどうかを判断する。ステップ108の判断において、タイマー15のカウント値が検出時期設定値23に到達していなければ、ステップ108がNOとなり、ステップ108に戻り、タイマー15のカウントが継続される。ステップ108の判断において、タイマー15のカウント値が検出時期設定値23に到達すると、タイマー15のカウントを終了し、ステップ108がYESとなり、ステップ109に進む。
ステップ109では、タイマー15がリセットされて初期値の「ゼロ」に戻され、ステップ110に進む。ステップ110では、携帯通信機器1の位置検出を行う。この位置検出の処理にあっては、オフ位置検出手段28が内部電源19の電力で無線送受信部14の受信機能だけを例えば数秒間だけ起動して図1の基地局2からの報知情報に含まれる緯度経度を受信してRAM27に検出位置として記憶し、ステップ111に進む。ステップ111では、ワイヤレススイッチ13がオフに操作されてからの携帯通信機器1の移動距離を演算する。それには、図6のステップ104による初回の検出位置と図7のステップ110による今回の検出位置との間の移動距離を直線距離として演算してRAM27に記憶し、ステップ112に進む。
ステップ112では、ステップ111で演算した移動距離がエリア外設定値24であるかどうかを判断する。ステップ112の判断において、移動距離がエリア外設定値24に到達していなければ、ステップ112がNOとなり、図6のステップ102に戻り、タイマー15のカウント開始と携帯通信機器1の位置検出とを再び行う。一方、ステップ112の判断において、移動距離がエリア外設定値24に到達にすると、ステップ112がYESとなり、ステップ113に進む。ステップ113では、ユーザーの操作によらず、発信停止手段29がワイヤレススイッチ13を電気的にオンに切り替えてスイッチ切替ソフトウエア31による処理を終わることにより、ユーザーによるワイヤレススイッチ13のオフからオンへ操作の戻し忘れを防止でき、無線通信が行えないという問題を解消できる。
つまり、実施形態1に係る携帯通信機器1は、基地局2の緯度経度を利用し、例えば、携帯通信機器1が当該携帯通信機器1の記憶装置21の禁止エリアデータ22に発信禁止エリアとして記憶された携帯通信機器1からの電波の発射を禁止する空港のような場所において、ワイヤレススイッチ13がオフに操作された後、携帯通信機器1が圏外に居る場合、又は、携帯通信機器1が圏内にかつ空港内に居る場合にはワイヤレススイッチ13のオフの状態を保つことができる。また、携帯通信機器1が当該携帯通信機器1の記憶装置21の禁止エリアデータ22に発信禁止エリアとして記憶されていない携帯通信機器1からの電波の発射を禁止する病院のような場所において、ワイヤレススイッチ13がユーザーによりオフに操作された後、タイマー15で計測された一定時間ごとに携帯通信機器1の位置を検出して上記発信禁止エリア内か外かを判断し、上記ワイヤレススイッチ13のユーザーによるオフに操作された時点から一定時間ごとに検出した携帯通信機器1の位置が上記発信禁止エリア内であるならばワイヤレススイッチ13をオフのままとし、上記ワイヤレススイッチ13のユーザーによるオフに操作された時点から一定時間ごとに検出した携帯通信機器1の位置が上記病院のような発信禁止エリア外として設定されたエリア外設定値24を移動したならばワイヤレススイッチ13がユーザーの操作によらずに制御部12の制御で電気的にオンに切り替わる。よって、ワイヤレススイッチ13がオフになった時点を契機としてワイヤレススイッチ13のオフからオンへの戻し操作忘れを防止でき、無線通信が行えないという問題を解消できる。
「実施形態2」
図8を参照し、実施形態2に係る携帯通信機器1について局識別情報及びPHSを利用する場合を例示して説明する。図8の携帯通信機器1は、データ通信機能だけを備えた構成である。図8では図2と同じ部分には同一符号を付して重複説明を省略する。図8のオフ位置検出手段28は、スイッチ切替ソフトウエア31の働きにより図1の基地局2から送信された局識別情報が無線送受信部14を経由して制御部12に入力されることにより当該局識別情報を携帯通信機器1の検出位置として検出し、この検出した局識別情報を図2の局位置データ32に基づき緯度経度に変換する位置検出処理を行う点が、図2のオフ位置検出手段28と相違する。図8の記憶装置21には、禁止エリアデータ22、検出時期設定値23、エリア外設定値24、局位置データ32が記憶されている。よって、スイッチ切替ソフトウエア31は、局位置データ32を利用してワイヤレススイッチ13のオフ操作をした場合の処理を行う。局位置データ32は、局識別情報と緯度経度との関係を示すデータである。
図9を参照し、実施形態2に係る局位置データ32について説明する。局位置データ32は局識別情報と位置情報との関係を規定したデータであって、局識別情報欄と位置情報欄とに区分されている。局識別情報欄には、基地局2のそれぞれを特定するための局識別情報として例えば局識別情報A、局識別情報B,局識別情報C、局識別情報D、局識別情報E、局識別情報F、「……」で示した上記以外の局識別情報が記憶される。位置情報欄には、局識別情報A乃至局識別情報F及び「……」で示した上記以外の局識別情報に対応する緯度経度として、例えば緯度経度A、緯度経度B、緯度経度C、緯度経度D、緯度経度F、「……」で示した上記以外の緯度経度が記憶されている。
図10及び図11を参照し、実施形態2に係るワイヤレススイッチ13がオフに操作された場合の処理について説明する。この図10及び図11の処理は、図8の携帯通信機器1の電源スイッチ11がユーザーによりオンに操作され、内部電源19からの電力で、無線送受信部14が待受状態になっており、スイッチ切替ソフトウエア31により行われるものである。図10及び図11において、ステップ201乃至ステップ205とステップ212及びステップ213を図8のオフ位置検出手段28が実行し、ステップ206乃至ステップ211及びステップ214乃至ステップ215を図8の発信停止手段29が実行する。図10は、ワイヤレススイッチ13がユーザーによりオフに操作されたた時点の位置が禁止エリアデータ22に居る場合の処理である。図11は、ワイヤレススイッチ13がユーザーによりオフに操作された時点の位置が禁止エリアデータ22に居ない場合の処理である。以下の図10及び図11の説明において、基地局2については図1に示されており、携帯通信機器1、ワイヤレススイッチ13、無線送受信部14、タイマー15、内部電源19、禁止エリアデータ22、検出時期設定値23、エリア外設定値24、RAM27、オフ位置検出手段28、発信停止手段29、局位置データ32などの構成要素については図8に示されているので、必要に応じて図1又は図8を参照願いたい。
図10において、処理が始まると、ステップ201においてワイヤレススイッチ13がオフであるかを判断する。そして、ワイヤレススイッチ13がユーザーによりオフに操作されていなければ、ステップ201がNOとなり、ステップ201に戻り、逆に、ワイヤレススイッチ13がユーザーによりオフに操作されると、ステップ201がYESとなり、ステップ202に進む。ステップ202ではタイマー15のカウントを開始し、ステップ103に進む。ステップ203では携帯通信機器1が圏内に居るかどうかを判断する。ステップ203の判断において携帯通信機器1が圏外に居るのであれば、ステップ203がNOとなり、携帯通信機器1の無線送受信部14が図1の基地局2からの報知情報を無線送受信部14に設定された所定レベル以上に受信できないことから、それ以降の位置検出を実行することができないばかりでなく、携帯通信機器1が図8の禁止エリアデータ22に記憶された空港の外に出た離陸態勢又は着陸態勢を含む飛行中の航空機の中に位置しているとも考えられるので、ワイヤレススイッチ13がオフされた状態を保つように、ステップ203に戻る。
逆に、ステップ203の判断において携帯通信機器1が圏内に居るのであれば、ステップ203がYESとなり、携帯通信機器1の無線送受信部14が図1の基地局2からの報知情報を無線送受信部14に設定された所定レベル以上に受信できることから、それ以降の位置検出を実行することができるうえ、携帯通信機器1が図8の禁止エリアデータ22に記憶された空港の外に出た離陸態勢又は着陸態勢を含む飛行中の航空機の中に位置していないとも考えられるので、ステップ204に進む。ステップ204では、携帯通信機器1の位置検出を行う。この位置検出の処理にあっては、図8のオフ位置検出手段28が内部電源19の電力で無線送受信部14の受信機能だけを例えば数秒間だけ起動して図1の基地局2からの報知情報に含まれる局識別情報を受信して図8のRAM27に検出位置として記憶する。ステップ204において無線送受信部14の受信機能だけを例えば数秒間だけ起動するようにすれば、ワイヤレススイッチ13のオフからオンまでの期間にわたって無線送受信部14の受信機能を起動した場合よりも電力の消費を低減できる。ステップ204の位置検出後は、ステップ205に進む。
ステップ205では、ステップ203でRAM27に記憶した局識別情報を図9の局位置データ32に照合して緯度経度に変換してRAM27に記憶する。例えば、図9において、RAM27に記憶した局識別情報が局識別情報欄の局識別情報Aの場合は位置情報欄の緯度経度AがRAM27に記憶され、RAM27に記憶した局識別情報が局識別情報欄の局識別情報Bの場合は位置情報欄の緯度経度BがRAM27に記憶されるというように、RAM27に記憶した局識別情報が局識別情報欄に記憶された局識別情報に対応する緯度経度に変換されてRAM27に記憶される。その後、ステップ206では、ステップ205でRAM27に記憶した緯度経度が禁止エリアデータ22に居るかどうかを判断する。具体的には、携帯通信機器1が上記RAM27に記憶した緯度経度を図4の禁止エリアデータ22に検索し、当該RAM27に記憶した緯度経度がエリア情報欄に記憶された発信禁止エリアA乃至発信禁止エリアE及び図示を省略した発信禁止エリア内に居る場合には、携帯通信機器1が上記RAM27に記憶した緯度経度の存在する発信禁止エリアに対応する空港内に位置するので、ステップ206がYESとなり、ステップ207に進む。逆に、ステップ206の判断において、上記RAM27に記憶した緯度経度が上記発信禁止エリア内に居ない場合には、携帯通信機器1が上記RAM27に記憶した緯度経度の存在する発信禁止エリアに対応する空港外に位置するので、ステップ206がNOとなり、図11のステップ209に進む。
ステップ207では、タイムアップかどうかを判断する。ステップ207の判断において、タイマー15のカウント値が図8の検出時期設定値23に到達していなければ、ステップ207がNOとなり、ステップ207に戻り、タイマー15のカウントが継続される。ステップ207の判断において、タイマー15のカウント値が検出時期設定値23に到達すると、タイマー15のカウントを終了し、ステップ207がYESとなり、ステップ208に進む。ステップ208ではタイマー15がリセットされて初期値の「ゼロ」に戻され、ステップ202に戻る。このようにワイヤレススイッチ13がユーザーによりオフに操作され、携帯通信機器1が圏外に居る場合、又は、携帯通信機器1が圏内にかつ空港内に居る場合にはワイヤレススイッチ13のオフの状態を保つことができる。
次に、図11において、ワイヤレススイッチ13がユーザーによりオフに操作された時点の位置が禁止エリアデータ22に居ない場合の処理について説明する。図11の処理は、ワイヤレススイッチ13がユーザーによりオフに操作された時点の位置が禁止エリアデータ22に居ない場合であるので、図10のステップ205においてRAM27に記憶した緯度経度が発信禁止エリアであるとみなして図11の処理が進行される。図11において、処理が始まると、ワイヤレススイッチ13がユーザーによりオフに操作された時点からの携帯通信機器1の移動距離を知るために、ステップ208において、タイムアップかどうかを判断する。ステップ209の判断において、タイマー15のカウント値が検出時期設定値23に到達していなければ、ステップ209がNOとなり、ステップ209に戻り、タイマー15のカウントが継続される。ステップ209の判断において、タイマー15のカウント値が検出時期設定値23に到達すると、タイマー15のカウントを終了し、ステップ209がYESとなり、ステップ210に進む。
ステップ210では、タイマー15がリセットされて初期値の「ゼロ」に戻され、ステップ211に進む。ステップ211では、携帯通信機器1の位置検出を行う。この位置検出の処理にあっては、オフ位置検出手段28が内部電源19の電力で無線送受信部14の受信機能だけを例えば数秒間だけ起動して基地局2からの報知情報に含まれる局識別情報を受信してRAM27に検出位置として記憶し、ステップ212に進む。ステップ212では、ステップ210でRAM27に記憶した局識別情報を図9の局位置データ32に照合して緯度経度に変換してRAM27に記憶する。例えば、図9において、RAM27に記憶した局識別情報が局識別情報欄の局識別情報Aの場合は位置情報欄の緯度経度AがRAM27に記憶され、RAM27に記憶した局識別情報が局識別情報欄の局識別情報Bの場合は位置情報欄の緯度経度BがRAM27に記憶されるというように、RAM27に記憶した局識別情報が局識別情報欄に記憶された局識別情報に対応する緯度経度に変換されてRAM27に記憶される。その後、ステップ213では、ワイヤレススイッチ13がオフに操作されてからの携帯通信機器1の移動距離を演算する。それには、図10のステップ204による初回の検出位置としての緯度経度と図11のステップ212による今回の検出位置としての緯度経度との間の移動距離を直線距離として演算してRAM27に記憶し、ステップ214に進む。
ステップ214では、ステップ213で演算した移動距離がエリア外設定値24であるかどうかを判断する。ステップ214の判断において、移動距離がエリア外設定値24に到達していなければ、ステップ214がNOとなり、ステップ202に戻り、タイマー15のカウント開始と携帯通信機器1の位置検出とを再び行う。一方、ステップ214の判断において、移動距離がエリア外設定値24に到達にすると、ステップ214がYESとなり、ステップ215に進む。ステップ215では、ユーザーの操作によらず、発信停止手段29がワイヤレススイッチ13を電気的にオンに切り替えてスイッチ切替ソフトウエア31による処理を終わることにより、ユーザーによるワイヤレススイッチ13のオフからオンへの戻し操作忘れを防止でき、無線通信が行えないという問題を解消できる。
つまり、実施形態2に係る携帯通信機器1は、基地局2の局識別情報を利用し、例えば、携帯通信機器1が当該携帯通信機器1の記憶装置21の禁止エリアデータ22に発信禁止エリアとして記憶された携帯通信機器1からの電波を発射する禁止する空港のような場所において、ワイヤレススイッチ13がユーザーによりオフに操作された後、携帯通信機器1が圏外に居る場合、又は、携帯通信機器1が圏内にかつ空港内に居る場合にはワイヤレススイッチ13のオフの状態を保つことができる。また、携帯通信機器1が当該携帯通信機器1の記憶装置21の禁止エリアデータ22に発信禁止エリアとして記憶されていない携帯通信機器1からの電波の発射を禁止する病院のような場所において、ワイヤレススイッチ13がユーザーによりオフに操作された後、タイマー15で計測された一定時間ごとに携帯通信機器1の位置を検出して上記発信禁止エリア内か外かを判断し、上記ワイヤレススイッチ13のユーザーによるオフに操作された時点から一定時間ごとに検出した携帯通信機器1の位置が上記病院のような発信禁止エリア内であるならばワイヤレススイッチ13をオフのままとし、上記ワイヤレススイッチ13のユーザーによるオフに操作された時点から一定時間ごとに検出した携帯通信機器1の位置が上記病院のような発信禁止エリア内であるならばワイヤレススイッチ13がユーザーの操作によらずに制御部12の制御で電気的にオンに切り替えられる。よって、ワイヤレススイッチ13がユーザーによりオフに操作された時点を契機としてワイヤレススイッチ13のオフからオンへの戻し操作忘れを防止でき、無線通信が行えないという問題を解消できる。
「実施形態3」
図12を参照し、実施形態3に係る携帯通信機器1について説明する。図12では図2と同じ部分には同一符号を付して重複説明を省略する。図12の携帯通信機器1は、データ通信機能と通話機能とを併有した構成である。通話機能は、音声により通話する機能であり、例えば、一方の通話者が「もしもし」という言葉を発するのに対し、他方の通話者が「はいはい」など言葉で応じて会話することができる機能である。よって、図12の携帯通信機器1は、通話機能のためのマイク33とスピーカー34とを備える点が、図2の携帯通信機器1と相違する。そして、図12の携帯通信機器1では、ワイヤレススイッチ13がオフに操作された場合の動作は、図6及び図7の処理と同様である。また、図8に示す携帯通信機器1に図12に示す通話機能のためのマイク33とスピーカー34とを備えれば、図8に示す携帯通信機器1を図12の通話機能を有する携帯通信機器1として構成することができる。その通話機能を有する携帯通信機器1となった図8に示す携帯通信機器1の動作は、図10及び図11の処理と同じである。
「実施形態4」
図13を参照し、実施形態4に係る携帯通信機器1についてPHSを利用する場合を例示して説明する。図13では図1と同じ部分には同一符号を付して重複説明を省略する。実施形態4に係る携帯通信機器1は、電源スイッチ11がオンになり、携帯通信機器1に搭載された図外のバッテリーからの電力が制御部12に供給された状態において、ユーザーがワイヤレススイッチ13をオンに操作すると、ワイヤレススイッチ13がオン信号を制御部12に出力し、制御部12が無線送受信部14を制御し、制御部12が無線送受信部14を制御し、無線送受信部14が基地局2と無線による送受信を通常に行うことができる。よって、例えば、携帯通信機器1のデータを遠隔操作で消去しようとする人が通信網6に接続されたサーバーからなる情報管理機器5を操作し、情報管理機器5がデータ消去コマンドを通信網6及び移動通信制御局4を経由して携帯通信機器1の位置するセルをカバーする基地局2から無線で送信すると、当該基地局2のセル内に位置する携帯通信機器1の無線送受信部14がデータ消去信号を受信して制御部12に転送し、制御部12がデータ消去コマンドの内容に応じて携帯通信機器1の記憶装置21におけるデータを消去できる。
しかも、上記のようにワイヤレススイッチ13がオンに操作されると、制御部12が基地局2から出力される報知情報に含まれる位置情報としての緯度経度をタイマー15で計測された一定時間ごとに無線送受信部14を通して携帯通信機器1の位置する緯度経度として取得して記憶装置21における発信禁止エリア内か外かを判断し発信禁止エリア外ならばワイヤレススイッチ13をオンのままとし発信禁止エリア内ならばワイヤレススイッチ13をオフとし、無線送受信部14が電波の発射をしない電波発射停止状態となる特徴を有する。この電波発射停止状態となった無線送受信部14は、基地局2からの電波を受信することができるようになっている。これにより、携帯通信機器1は、既設のPHSの基地局2をそのまま利用しつつ、発信禁止エリア内でのワイヤレススイッチ13のオンからオフへの戻し操作忘れを防止することができる。
これに対し、電源スイッチ11がオンに操作され、携帯通信機器1に搭載されたバッテリーからの電力が制御部12に供給された状態において、ユーザーがワイヤレススイッチ13をオフに操作すると、ワイヤレススイッチ13がオフ信号を制御部12に出力し、制御部12が無線送受信部14を制御し、無線送受信部14が電波を発射しない電波発射停止状態となる。このようにワイヤレススイッチ13がオフに操作されて、無線送受信部14が基地局2からの電波を受信できるようになっていても、無線送受信部14がデータやデータ消去コマンド等の外部から送信された外部情報を受信するには基地局2との通信路形成のための交信が不可欠であり、無線送受信部14から電波の発射が必要なため、無線送受信部14が基地局2からの電波を受信できるだけでは外部情報を受信できない。よって、携帯通信機器1の位置するセルをカバーする基地局2が情報管理機器5から出力されたデータ消去コマンドを当該基地局2のセル内に無線で発信しても、当該基地局2のセル内に位置する携帯通信機器1が上記データ消去コマンドを受信することができないので、制御部12が携帯通信機器1の記憶装置21に記憶されたデータを消去できない。
また、ユーザーが電源スイッチ11をオフに操作すると、携帯通信機器1に搭載されたバッテリーの電力は携帯通信機器1に搭載された時計機能やメモリー機能を維持するのに必要な動作にだけ使われ、それ以外のデータ処理や無線送受信処理などの動作は行わないようになっている。
図14を参照し、実施形態4に係る携帯通信機器1の構成について、データ通信機能だけを備えた構成を例示して説明する。図14では図2と同じ部分には同一符号を付して重複説明を省略する。図14のオン位置検出手段38は、スイッチ切替ソフトウエア39の働きにより図13の基地局2から送信された緯度経度が無線送受信部14を経由して制御部12に入力されることにより当該緯度経度を携帯通信機器1の検出位置として検出する位置検出処理を行う点が、図2のオフ位置検出手段28と相違する。スイッチ切替ソフトウエア39は、図2に示すスイッチ切替ソフトウエア31に類似するものである。図14の禁止エリアデータ22は、図4に示す禁止エリアデータ22つまり空港が禁止エリアとして記憶されているものとする。
図15を参照し、実施形態4に係るワイヤレススイッチ13がオンに操作された場合の処理について説明する。この図15の処理は、図14の携帯通信機器1の電源スイッチ11がオンに操作され、内部電源19からの電力で、無線送受信部14が待受状態になっており、スイッチ切替ソフトウエア39により行われるものである。図15において、ステップ301乃至ステップ303を図4のオン位置検出手段38が担当し、ステップ304乃至ステップ308を図14の発信停止手段29が担当する。以下の図15の説明において、基地局2については図13に示されており、携帯通信機器1、ワイヤレススイッチ13、無線送受信部14、タイマー15、内部電源19、禁止エリアデータ22、検出時期設定値23、エリア外設定値24、RAM27、オン位置検出手段38、発信停止手段29、局位置データ32などの構成要素については図14に示されているので、必要に応じて図1又は図8を参照願いたい。
図15において、処理が始まると、ステップ301においてワイヤレススイッチ13がオンであるかを判断する。そして、ワイヤレススイッチ13がユーザーによりオンに操作されていなければ、ステップ301がNOとなり、ステップ301に戻り、逆に、ワイヤレススイッチ13がユーザーによりオンに操作されると、ステップ301がYESとなり、ステップ302に進む。ステップ302では携帯通信機器1が圏内に居るかどうかを判断する。携帯通信機器1の無線送受信部14が基地局2からの報知情報を無線送受信部14に設定された所定レベル以上に受信できる場合を圏内といい、携帯通信機器1の無線送受信部14が基地局2からの報知情報を無線送受信部14に設定された所定レベル以上に受信できない場合を圏外という。ステップ302の判断において携帯通信機器1が圏外に居れば、ステップ302がNOとなり、携帯通信機器1の無線送受信部14が基地局2からの報知情報を無線送受信部14に設定された所定レベル以上に受信できないことから、それ以降の位置検出を実行することができなので、ワイヤレススイッチ13がオンされた状態を保つように、ステップ302に戻る。
逆に、ステップ302の判断において携帯通信機器1が圏内に居るのであれば、ステップ302がYESとなり、携帯通信機器1の無線送受信部14が基地局2からの報知情報を無線送受信部14に設定された所定レベル以上に受信できることから、それ以降の位置検出を実行することができるので、ステップ303に進む。ステップ303では、タイマー15がリセットされて初期値の「ゼロ」に戻され、携帯通信機器1の位置検出を行い、基地局2からの報知情報に含まれる緯度経度を受信してRAM27に検出位置として記憶し、ステップ304に進む。
ステップ304では、ステップ303でRAM27に記憶した緯度経度が禁止エリアデータ22に存在するかどうかを判断する。具体的には、発信停止手段29が上記RAM27に記憶した緯度経度を禁止エリアデータ22に検索し、当該RAM27に記憶した緯度経度がエリア情報欄に記憶された発信禁止エリア内に居る場合には、携帯通信機器1が上記RAM27に記憶した緯度経度の存在する発信禁止エリアに対応する空港内に位置するので、ステップ304がYESとなり、ステップ305に進む。逆に、ステップ304の判断において、上記RAM27に記憶した緯度経度が上記発信禁止エリア内に居ない場合には、携帯通信機器1が上記RAM27に記憶した緯度経度の存在する発信禁止エリアに対応する空港外に位置するので、ステップ304がNOとなり、ステップ307に進む。
ステップ305では、携帯通信機器1が禁止エリアデータ22に記憶された空港の外に出た離陸態勢又は着陸態勢を含む飛行中の航空機の中に位置しているとも考えられるので、携帯通信機器1が圏内に居るかどうかを判断する。ステップ305の判断において、携帯通信機器1が圏外に居るのであれば、ステップ305がYESとなり、ステップ306に進む。逆に、ステップ305の判断において、携帯通信機器1が圏内に居るのであれば、ステップ305がNOとなり、ステップ307に進む。ステップ306では、携帯通信機器1が空港内にいる状態から圏外に居る状態が継続する場合であるので、ユーザーの操作によらず、図14の発信停止手段29がワイヤレススイッチ13を電気的にオンに切り替えてスイッチ切替ソフトウエア39による処理を終わることにより、携帯通信機器1が禁止エリアデータ22に記憶された空港のような発信禁止エリア内に入ると、ユーザーによるワイヤレススイッチ13のオンからオフへの戻し操作忘れを防止できる。
また、ステップ307では、タイマー15のカウントを開始し、ステップ308に進む。ステップ308では、タイムアップかどうかを判断する。ステップ308の判断において、タイマー15のカウント値が検出時期設定値23に到達していなければ、ステップ308がNOとなり、ステップ307に戻り、タイマー15のカウントを継続する。ステップ308の判断において、タイマー15のカウント値が検出時期設定値23に到達すると、タイマー15のカウントを終了し、ステップ306がYESとなり、ステップ303に戻る。このようにワイヤレススイッチ13がユーザーによりオンに操作された状態において、携帯通信機器1が禁止エリアデータ22に記憶された空港のような発信禁止エリア内に居る状態から圏外に居る状態が継続する場合には発信停止手段29がワイヤレススイッチ13をオンからオフに電気的に切り替えてオフの状態を保つことができる。
つまり、実施形態4に係る携帯通信機器1は、基地局2の緯度経度を利用し、ワイヤレススイッチ13がオンに操作されると、タイマー15で計測された一定時間ごとに携帯通信機器1の位置を検出して上記発信禁止エリア内か外かを判断し、例えば、携帯通信機器1が当該携帯通信機器1の記憶装置21の禁止エリアデータ22に発信禁止エリアとして記憶された携帯通信機器1からの電波の発射を禁止する空港のような場所に移動すると、ユーザーの操作によらずに制御部12の制御でワイヤレススイッチ13を電気的にオフに切り替える一方、上記携帯通信機器1の位置が上記発信禁止エリア外である場合にはワイヤレススイッチ13をオンのままとする。よって、ワイヤレススイッチ13がオン操作された時点を契機としてワイヤレススイッチ13のオンからオフへの戻し操作忘れを防止できるうえ、携帯通信機器1が当該携帯通信機器1の記憶装置21の禁止エリアデータ22に発信禁止エリア内に移動すると、ユーザーの操作によらずに制御部12の制御でワイヤレススイッチ13を電気的にオフに切り替えることができる。
実施形態1乃至実施形態4では、携帯通信機器1に予め記憶された発信禁止エリアとして空港を例示したが、記憶するデータ量は増えるものの、空港以外に、病院、公共施設などを追加してもよい。その場合、病院や公共施設の全部を網羅するのではなく、携帯通信機器1からの電波の発射を禁止することの必要な設備を備えた病院や公共施設としてもよい。