JP5665578B2 - 基地局、無線端末及び無線通信システム - Google Patents

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Description

本発明は、基地局、無線端末及び無線通信システムに関する。
従来では、基地局−無線端末間の通信方式として、周波数分割多元接続(FDMA:Frequency Division Multiple Access)や、直交周波数分割多元接続(OFDMA:Orthogonal Frequency Division Multiple Access)など、複数の無線端末間で帯域周波数を共有し、それぞれの通信状態に応じて変調方式を変更する通信方式が知られている(下記特許文献1参照)。
特に、近年では、次世代高速通信規格としてLTE(Long Term Evolution)を採用した無線通信システム(以下、LTEシステムと称す)が注目されている。LTEシステムとは、ダウンリンク通信にOFDMAを、アップリンク通信にSC(Single Carrier)−FDMAを用い、ユーザ端末に対してRB(Resource Block)単位で無線リソースの割り当てを行うものである。なお、RBとは、12サブキャリア分の帯域幅(=180kHz)と7シンボル分の時間幅(=1スロット長0.5ms)で構成された、無線リソースの最小割当単位である。
特開2006−005965号公報
上記のLTEシステムは高速データ通信に特化したシステムであり、1人のユーザが複数の無線端末を所持することで様々な形態のサービスを提供することが可能となる。しかしながら、複数の無線端末が1つの基地局と通信する際に、無線端末同士が近い位置に存在すると各々の電波が干渉する可能性があり、その場合、低伝送レートの変調方式が使用されることになり、通信効率が低下するという問題がある。
また、基地局は、ユーザが所持する各無線端末に対して無線リソースの割り当てを行うため、ユーザ1人当りの端末所持数が多くなるほど、1つの基地局で同時に取り扱う端末数が増え、同時に多くのユーザを収容できなくなるという問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、通信効率の向上及びユーザ収容数の増加を図ることの可能な基地局、無線端末及び無線通信システムを提供することを目的とする。
また。本発明の他の目的は、ハンドオーバ処理における処理量及びネットワークトラフィックを抑制することの可能な基地局、無線端末及び無線通信システムを提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係る基地局は、自局の通信エリア内に存在する無線端末との無線通信を実現する基地局無線部と、前記無線端末から得られる端末属性情報に基づいて、互いに近接位置に存在していると推定される無線端末同士を1つのグループとするグループ処理部と、前記グループ内の各無線端末に対し、当グループ内で最も電波環境の良い無線端末をルータ端末とする無線ネットワークの構築命令を送信するネットワーク構築命令部と、前記無線ネットワークの構築に成功した場合に、前記ルータ端末以外の無線端末との通信接続を切断した後、前記ルータ端末を介して前記ルータ端末以外の無線端末との通信を行う通信制御部とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る基地局において、前記通信制御部は、前記ルータ端末以外の無線端末との通信接続を切断した後、当該通信接続を切断した無線端末に割り当てられていた無線リソースを前記ルータ端末に割り当てることを特徴とする。
また、本発明に係る基地局において、前記ネットワーク構築命令部は、前記グループ内で最も電波環境の良い無線端末の電波強度が規定値以上となった場合に、前記グループ内の各無線端末に対し、前記最も電波環境の良い無線端末をルータ端末とする無線ネットワークの構築命令を送信することを特徴とする。
また、本発明に係る基地局において、前記ネットワーク構築命令部は、前記無線ネットワークの構築に成功した後、前記ルータ端末の電波強度が前記規定値未満となった場合、前記グループ内の各無線端末に対し、前記無線ネットワークの解除命令を送信し、前記通信制御部は、前記無線ネットワークが解除された後、前記ルータ端末以外の無線端末に対して無線リソースの再割り当てを行い通信接続を確立することを特徴とする。
また、本発明に係る基地局において、前記ネットワーク構築命令部は、前記無線ネットワークの構築に成功した後、現在使用中のルータ端末が前記グループ内で最も電波環境の良い無線端末ではなくなった場合、前記グループ内の各無線端末に対し、前記グループ内で現在最も電波環境の良い無線端末を新たなルータ端末とする無線ネットワークの構築命令を再送信することを特徴とする。
また、本発明に係る基地局において、前記ネットワーク構築命令部は、前記無線ネットワークの構築に成功した後、前記ルータ端末から前記無線ネットワークの通信品質を確保不能である旨の報告を受けた場合、前記グループ内の各無線端末に対し、前記無線ネットワークの解除命令を送信し、前記通信制御部は、前記無線ネットワークが解除された後、前記ルータ端末以外の無線端末に対して無線リソースの再割り当てを行い通信接続を確立することを特徴とする。
また、本発明に係る基地局において、前記グループ処理部は、前記端末属性情報として前記無線端末の位置情報または使用者情報を取得することを特徴とする。
また、本発明に係る基地局において、前記グループ内のルータ端末から当該基地局以外の他の基地局への切り替え要求を受信したとき、該グループに属する各無線端末の属性情報を前記他の基地局へ送信するハンドオーバ処理部を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る基地局において、前記ハンドオーバ処理部は、当該基地局以外の他の基地局から前記グループに属する各無線端末の属性情報を受信したとき、該グループに属する各無線端末を前記無線ネットワークが構築されているものとして扱い、該グループに属するルータ端末から接続要求があったとき、該ルータ端末との通信接続を確立することを特徴とする。
また、本発明に係る基地局において、前記ハンドオーバ処理部は、前記グループに属するルータ端末以外の無線端末から接続要求があったとき、該無線端末をルータ端末として一旦通信接続を確立した後、当該基地局以外の他の基地局から受信した前記グループに属する各無線端末の属性情報に基づくルータ端末との通信接続を再確立することを特徴とする。
一方、本発明に係る無線端末は、基地局との無線通信を実現する端末無線部と、他の無線端末との無線ネットワークの構築を実現するネットワーク無線部と、ルータとしての機能を実現するルータ処理部と、前記端末無線部を介して前記基地局から無線ネットワークの構築命令を受信した場合、自端末がルータ端末として指定されていれば、前記ネットワーク無線部及びルータ処理部を有効にして他の無線端末との無線ネットワークを構築すると共にルータ端末として前記基地局及び他の無線端末との通信を行い、自端末が前記ルータ端末として指定されていなければ、前記ネットワーク無線部のみを有効にして他の無線端末との無線ネットワークを構築すると共に前記ルータ端末を介して前記基地局との通信を行う端末制御部とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る無線端末において、無線通信における通信品質を判別する通信品質判定部と、前記通信品質判定部により通信品質が所定レベル未満と判別されたとき、通信品質が所定レベル以上の他の基地局を探索して、該他の基地局への切り替え要求を前記基地局へ送信すると共に、前記他の基地局へ接続要求を送信するハンドオーバ処理部とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る無線端末において、前記ハンドオーバ処理部は、前記通信品質判定部により通信品質が所定レベル未満と判別されたとき、当該無線端末が属するグループ内の他の無線端末に通信品質が所定レベル以上の他の基地局を探索させ、該他の基地局への切り替え要求を前記基地局へ送信すると共に、前記他の無線端末に前記他の基地局に対して接続要求を送信させることを特徴とする。
さらに、本発明に係る無線通信システムは、基地局及び無線端末を備える無線通信システムであって、前記基地局は、自局の通信エリア内に存在する前記無線端末との無線通信を実現する基地局無線部と、前記無線端末から得られる端末属性情報に基づいて、互いに近接位置に存在していると推定される無線端末同士を1つのグループとするグループ処理部と、前記グループ内の各無線端末に対し、当グループ内で最も電波環境の良い無線端末をルータ端末とする無線ネットワークの構築命令を送信するネットワーク構築命令部と、前記無線ネットワークの構築に成功した場合に、前記ルータ端末以外の無線端末との通信接続を切断した後、前記ルータ端末を介して前記ルータ端末以外の無線端末との通信を行う通信制御部と、を備え、前記無線端末は、前記基地局との無線通信を実現する端末無線部と、他の無線端末との無線ネットワークの構築を実現するネットワーク無線部と、ルータとしての機能を実現するルータ処理部と、前記端末無線部を介して前記基地局から無線ネットワークの構築命令を受信した場合、自端末がルータ端末として指定されていれば、前記ネットワーク無線部及びルータ処理部を有効にして他の無線端末との無線ネットワークを構築すると共にルータ端末として前記基地局及び他の無線端末との通信を行い、自端末が前記ルータ端末として指定されていなければ、前記ネットワーク無線部のみを有効にして他の無線端末との無線ネットワークを構築すると共に前記ルータ端末を介して前記基地局との通信を行う端末制御部とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る無線通信システムにおいて、前記無線端末は、無線通信における通信品質を判別する通信品質判定部と、前記通信品質判定部により通信品質が所定レベル未満と判別されたとき、通信品質が所定レベル以上の他の基地局を探索して、該他の基地局への切り替え要求を前記基地局へ送信すると共に、前記他の基地局へ接続要求を送信するハンドオーバ処理部とを備え、前記基地局は、前記グループ内のルータ端末から当該基地局以外の他の基地局への切り替え要求を受信したとき、該グループに属する各無線端末の属性情報を前記他の基地局へ送信するハンドオーバ処理部、を備え、当該基地局以外の他の基地局から前記グループに属する各無線端末の属性情報を受信したとき、該グループに属する各無線端末を前記無線ネットワークが構築されているものとして扱い、該グループに属するルータ端末から接続要求があったとき、該ルータ端末との通信接続を確立することを特徴とする。
さらに、本発明に係る無線通信システムにおいて、前記無線端末のハンドオーバ処理部は、前記通信品質判定部により通信品質が所定レベル未満と判別されたとき、当該無線端末が属するグループ内の他の無線端末に通信品質が所定レベル以上の他の基地局を探索させ、該他の基地局への切り替え要求を前記基地局へ送信すると共に、前記他の無線端末に前記他の基地局に対して接続要求を送信させ、前記基地局のハンドオーバ処理部は、前記グループに属するルータ端末以外の無線端末から接続要求があったとき、該無線端末をルータ端末として一旦通信接続を確立した後、当該基地局以外の他の基地局から受信した前記グループに属する各無線端末の属性情報に基づくルータ端末との通信接続を再確立することを特徴とする。
本発明では、互いに近接位置に存在していると推定される無線端末同士を1つのグループとし、当グループ内で最も電波環境の良い無線端末をルータ端末とする無線ネットワークを構築させた後、前記ルータ端末以外の無線端末との通信接続を切断することにより、近接位置に存在する無線端末同士の電波干渉を防ぐことができ、その結果、高伝送レートの変調方式を選択することができるようになり、システム全体の通信効率を向上させることができる。また、1つの基地局に同時に通信接続される無線端末の数を減らすことができるため、基地局でより多くの無線端末を扱うことができるようになり、ユーザ収容数を増加させることができる。さらに、本発明によれば、無線ネットワークを構築させたときのハンドオーバ処理における処理量及びネットワークトラフィックを抑制することができる。
本発明の第1実施形態に係る無線通信システム1(基地局BS及び無線端末UE)のブロック構成図である。 基地局BSと無線端末UEとの相互間通信を説明するに当って前提条件を説明するための図である。 基地局BSと無線端末UEとの相互間通信を表すシーケンスチャートである。 基地局BSの基地局記憶部12に記憶される無線端末UEの位置情報とクラスタテーブルを表す図である。 PAN構築後の基地局BSと無線端末UEとの相互間通信の状態を表す図である。 本発明の第2実施形態に係る無線通信システム2のブロック構成図である。 第2実施形態におけるハンドオーバ処理(ルータ端末のみ)を説明する説明図である。 第2実施形態におけるハンドオーバ(複数台の無線端末)処理を説明する説明図である。 従来手法に基づくハンドオーバ処理を説明する説明図である。
以下、本発明の基地局、無線端末及び無線通信システムの実施形態について、第1実施形態、第2実施形態の順に図面を参照しながら説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る無線通信システム1のブロック構成図である。この図1に示すように、無線通信システム1は、例えば次世代高速通信規格であるLTEを採用したLTEシステムであり、基地局BS及び無線端末UEによって構成されている。なお、基地局BSは、セル方式に従って複数配置されているものであるが、図1では1基のみを代表的に図示している。また、無線端末UEは、基地局BSの通信エリア内において複数存在するものであるが、図1では1台のみを代表的に図示している。
基地局BSは、LTE規格に従って自局の通信エリア内に存在する無線端末UEとの無線通信を行うものであり、基地局無線部11、基地局記憶部12及び基地局制御部13を備えている。基地局無線部11は、基地局制御部13による制御の下、ダウンリンク通信ではOFDMAを、アップリンク通信ではSC−FDMAを用いて無線端末UEとの無線通信を実現するものである。
具体的には、この基地局無線部11は、ダウンリンク通信時において、基地局制御部13から入力されるベースバンド信号から送信用のOFDM信号を生成し、そのOFDM信号をアンテナ11aを介して無線端末UEに送信する。また、この基地局無線部11は、アップリンク通信時において、アンテナ11aを介して無線端末UEから受信したSC−FDM信号をベースバンド信号に変換して基地局制御部13に出力する。
基地局記憶部12は、基地局BSの各種機能を実現するための基地局制御プログラムや各種設定データを予め記憶していると共に、パケットデータをバッファリングするバッファとしての機能を有している。また、この基地局記憶部12は、基地局制御部13(詳細にはグループ処理部13a)からの要求に応じて、無線端末UEから取得した位置情報を記憶する端末位置情報記憶部12aと、後述のクラスタテーブルを記憶するクラスタテーブル記憶部12bとを備えている。
基地局制御部13は、基地局記憶部12に記憶されている基地局制御プログラムに従って基地局BSの全体動作を統括制御するものであり、グループ処理部13a、ネットワーク構築命令部13b及び通信制御部13cを備えている。グループ処理部13aは、自局の通信エリア内に存在する各無線端末UEに対して位置情報送信要求を送信し、その要求に応じて各無線端末UEから送信される位置情報を端末位置情報記憶部12aに記憶する。
また、このグループ処理部13aは、端末位置情報記憶部12aに記憶された各無線端末UEの位置情報に基づいて、互いに近接位置に存在していると推定される無線端末UEを1つのグループとすると共に、そのグループに属する無線端末UEを端末クラスタとして定義し、端末クラスタとそれに属する無線端末UEとの対応関係を示すクラスタテーブルを作成してクラスタテーブル記憶部12bに記憶する。
ネットワーク構築命令部13bは、クラスタテーブル記憶部12bに記憶されたクラスタテーブルを参照して端末クラスタに属する無線端末UEを把握し、端末クラスタ内(グループ内)で最も電波環境の良い無線端末UEを探索する機能を有しており、端末クラスタ内の各無線端末UEに対し、最も電波環境の良い無線端末UEをルータ端末とするPAN(Private Area Network)構築命令(無線ネットワークの構築命令)を送信する。
通信制御部13cは、PAN構築命令を送信した各無線端末UEからPAN構築に成功した旨の報告を受けた場合に、そのPAN内におけるルータ端末以外の無線端末UEとの通信接続を切断した後、ルータ端末を介してルータ端末以外の無線端末UEとの通信を行う。また、この通信制御部13cは、上記のようにルータ端末以外の無線端末UEとの通信接続を切断した後、当該通信接続を切断した無線端末UEに割り当てられていた無線リソース(LTEシステムではRB)を、全てルータ端末に割り当てる機能も有している。
一方、無線端末UEは、LTE規格に従って基地局BSとの無線通信を行う機能と、近距離通信規格(例えば、WifiやBluetooth等)に従って他の無線端末とのPANの構築及びPAN内通信を行う機能とを有するユーザ端末であり、端末無線部21、PAN無線部(ネットワーク無線部)22、GPS(Global Positioning System)受信部23、端末記憶部24及び端末制御部25を備えている。
端末無線部21は、端末制御部25による制御の下、ダウンリンク通信ではOFDMAを、アップリンク通信ではSC−FDMAを用いて基地局BSとの無線通信を実現するものである。具体的には、この端末無線部21は、ダウンリンク通信時において、アンテナ21aを介して基地局BSから受信したOFDM信号をベースバンド信号に変換して端末制御部25に出力する。また、この端末無線部21は、アップリンク通信時において、端末制御部25から入力されるベースバンド信号から送信用のSC−FDM信号を生成し、そのSC−FDM信号をアンテナ21aを介して基地局BSに送信する。
PAN無線部22は、端末制御部25による制御の下、近距離通信規格に従って他の無線端末との通信を行うことで、他の無線端末とのPANの構築及びPAN構築後のPAN内通信を実現するものである。具体的には、このPAN無線部22は、端末制御部25から入力されるベースバンド信号から、近距離通信規格に準じたPAN信号を生成し、そのPAN信号をアンテナ22aを介してPAN内の送信先である他の無線端末に送信する。また、このPAN無線部22は、アンテナ22aを介してPAN内の他の無線端末から受信したPAN信号をベースバンド信号に変換して端末制御部25に出力する。なお、このPAN無線部22は、端末制御部25から有効化指示を受けるまでスリープ状態(省電力状態)に維持されている。
GPS受信部23は、GPS衛星から電波送信される送信信号を受信及び復調することにより、送信信号に含まれている送信時刻情報、衛星位置情報及び衛星軌道情報を抽出し、当該抽出したこれらの情報と自身が把握している受信時刻情報とに基づいて、無線端末UEの現在位置(例えば、経度X、緯度YのXY座標)を算出し、その算出結果を位置情報として端末制御部25に出力する。
端末記憶部24は、無線端末UEの各種機能を実現するための端末制御プログラムや各種設定データを予め記憶していると共に、端末制御部25からの要求に応じて、GPS受信部23から得られる位置情報や、PAN構築及びPAN内通信に必要なPAN情報(PAN構築の際に通信相手となる無線端末や、ルータ端末として指定された無線端末など)を記憶する。なお、これらのPAN情報は、基地局BSから送信されるPAN構築命令に含まれている情報である。
端末制御部25は、端末記憶部24に記憶されている端末制御プログラムに従って無線端末UEの全体動作を統括制御するものである。この端末制御部25は、基地局BSから送信される位置情報送信要求に応じて、端末記憶部24に記憶されている位置情報を、端末無線部21を介して基地局BSに送信する機能を有している。
また、この端末制御部25は、ルータとしての機能を実現するルータ処理部25aを有しており、基地局BSからPAN構築命令を受信した場合に、自端末がルータ端末として指定されていれば、PAN無線部22及びルータ処理部25aの両方を有効にして、他の無線端末とのPANを構築すると共にルータ端末として基地局BS及び他の無線端末との通信を行い、自端末がルータ端末として指定されていなければ、PAN無線部22のみを有効にして、他の無線端末とのPANを構築すると共にルータ端末を介して基地局BSとの通信を行う。
次に、上記のように構成された基地局BS及び無線端末UEを備える無線通信システム1の通信動作について詳細に説明する。なお、以下の説明では、図2(a)に示すように、基地局BSの通信エリア内に、5つの無線端末UE(それぞれUE1、UE2、UE3、UE4、UE5とする)が存在し、その内、無線端末UE1、UE2、UE3は互いに近接位置に存在し、無線端末UE4、UE5は遠隔位置に存在すると想定する。
また、基地局BSは、既に各無線端末UE1〜UE5との通信接続を確立しており、図2(b)に示すように、無線端末UE1には無線リソースR1を、無線端末UE2には無線リソースR2を、無線端末UE3には無線リソースR3を、無線端末UE4には無線リソースR4を、無線端末UE5には無線リソースR5を割り当てることで、各無線端末UE1〜UE5と通信可能な状態になっているものとする。
図3は、上記の想定の下に、基地局BSと各無線端末UE1〜UE5との相互間通信を表したシーケンスチャートである。この図3に示すように、通信接続の確立後(無線リソースの割り当て後)、基地局BSのグループ処理部13aは、基地局無線部11を介して、各無線端末UE1〜UE5に対して位置情報送信要求を送信する(ステップS1)。
無線端末UE1の端末制御部25は、端末無線部21を介して、基地局BSから位置情報送信要求を受信すると、その要求に応じて、端末記憶部24に記憶されている、無線端末UE1の現在位置(X1、Y1)を示す位置情報を、端末無線部21を介して基地局BSに送信する(ステップS2)。基地局BSのグループ処理部13aは、基地局無線部11を介して、無線端末UE1から位置情報を取得すると、当該取得した位置情報を端末位置情報記憶部12aに記憶する(ステップS3)。
また、無線端末UE2の端末制御部25は、端末無線部21を介して、基地局BSから位置情報送信要求を受信すると、その要求に応じて、端末記憶部24に記憶されている、無線端末UE2の現在位置(X2、Y2)を示す位置情報を、端末無線部21を介して基地局BSに送信する(ステップS4)。基地局BSのグループ処理部13aは、基地局無線部11を介して、無線端末UE2から位置情報を取得すると、当該取得した位置情報を端末位置情報記憶部12aに記憶する(ステップS5)。
また、無線端末UE3の端末制御部25は、端末無線部21を介して、基地局BSから位置情報送信要求を受信すると、その要求に応じて、端末記憶部24に記憶されている、無線端末UE3の現在位置(X3、Y3)を示す位置情報を、端末無線部21を介して基地局BSに送信する(ステップS6)。基地局BSのグループ処理部13aは、基地局無線部11を介して、無線端末UE3から位置情報を取得すると、当該取得した位置情報を端末位置情報記憶部12aに記憶する(ステップS7)。
また、無線端末UE4の端末制御部25は、端末無線部21を介して、基地局BSから位置情報送信要求を受信すると、その要求に応じて、端末記憶部24に記憶されている、無線端末UE4の現在位置(X4、Y4)を示す位置情報を、端末無線部21を介して基地局BSに送信する(ステップS8)。基地局BSのグループ処理部13aは、基地局無線部11を介して、無線端末UE4から位置情報を取得すると、当該取得した位置情報を端末位置情報記憶部12aに記憶する(ステップS9)。
また、無線端末UE5の端末制御部25は、端末無線部21を介して、基地局BSから位置情報送信要求を受信すると、その要求に応じて、端末記憶部24に記憶されている、無線端末UE5の現在位置(X5、Y5)を示す位置情報を、端末無線部21を介して基地局BSに送信する(ステップS10)。基地局BSのグループ処理部13aは、基地局無線部11を介して、無線端末UE5から位置情報を取得すると、当該取得した位置情報を端末位置情報記憶部12aに記憶する(ステップS11)。
このようにして、基地局BSの端末位置情報記憶部12aには、各無線端末UE1〜UE5から取得した位置情報が記憶される(図4(a)参照)。そして、基地局BSのグループ処理部13aは、端末位置情報記憶部12aに記憶された各無線端末UE1〜UE5の位置情報に基づいて、互いに近接位置に存在していると推定される無線端末UE1〜UE3を1つのグループとする(ステップS12)。なお、一定距離内に位置する無線端末UEが存在すれば、それらの無線端末UEは互いに近接位置に存在していると推定することができる。
そして、基地局BSのグループ処理部12aは、グループとした無線端末UE1〜UE3を端末クラスタC1として定義し、図4(b)に示すような、端末クラスタC1とそれに属する無線端末UE1、UE2、UE3との対応関係を示すクラスタテーブルを作成してクラスタテーブル記憶部12bに記憶する(ステップS13)。
そして、基地局BSのネットワーク構築命令部13bは、クラスタテーブル記憶部12bに記憶されたクラスタテーブルに基づいて、端末クラスタC1に属する無線端末UE1、UE2、UE3を把握すると共に、端末クラスタC1内で最も電波環境の良い無線端末UEを探索し、基地局無線部11を介して、端末クラスタC1内の各無線端末UE1〜UE3に対し、最も電波環境の良い無線端末UEをルータ端末とするPAN構築命令を送信する(ステップS14)。
なお、各無線端末UE1〜UE3から受信した希望波の電波強度やCINRを測定することで、最も電波環境の良い無線端末UEを判断することができる。ここでは、無線端末UE1が最も電波環境が良いと判断され、基地局BSから各無線端末UE1〜UE3に、無線端末UE1をルータ端末とするPAN構築命令が送信されたと想定する。
各無線端末UE1〜UE3の端末制御部25は、基地局BSから受信したPAN構築命令に従ってPANを構築する(ステップS15)。つまり、無線端末UE1の端末制御部25は、PAN構築命令において自端末がルータ端末として指定されているため、PAN無線部22を有効化して他の無線端末UE2及びUE3とのPAN構築のための通信処理を行うと共に、ルータ処理部25aを有効化してルータとしての機能を起動する。
一方、無線端末UE2の端末制御部25は、PAN構築命令において自端末がルータ端末として指定されていないため、PAN無線部22のみを有効化して他の無線端末UE1及びUE3とのPAN構築のための通信処理を行う。同様に、無線端末UE3の端末制御部25も、PAN構築命令において自端末がルータ端末として指定されていないため、PAN無線部22のみを有効化して他の無線端末UE1及びUE2とのPAN構築のための通信処理を行う。
こうして、無線端末UE1、UE2、UE3との間でPANの構築が成功すると、各無線端末UE1、UE2、UE3の端末制御部25は、それぞれ基地局BSに対してPAN構築に成功した旨の報告を行う(ステップS16、S17、S18)。
基地局BSの通信制御部13cは、各無線端末UE1〜UE3からPAN構築に成功した旨の報告を受けると、そのPAN内におけるルータ端末(無線端末UE1)以外の無線端末UE2及びUE3との通信接続を切断する(ステップS19)。そして、基地局BSの通信制御部13cは、通信接続を切断した無線端末UE2及びUE3に割り当てられていた無線リソースR2及びR3の全てをルータ端末(無線端末UE1)に割り当てる(ステップS20)。
以降、基地局BSは、無線リソースR1+R2+R3を利用して、無線端末UE1と通信を行う一方、無線端末UE2及びUE3と通信を行う場合には、ルータ端末である無線端末UE1を経由して通信を行う(図5(a)(b)参照)。つまり、ルータ端末である無線端末UE1のルータ処理部25aは、例えば、端末無線部21を介して基地局BSから受信したデータの宛先が無線端末UE2である場合には、そのデータをPAN無線部22を介して無線端末UE2に送信する。一方、無線端末UE2及びUE3は、無線端末UE1経由で基地局BSからデータを受信し、無線端末UE1経由で基地局BSにデータを送信する。
以上のように、本実施形態では、互いに近接位置に存在していると推定される無線端末UE1〜UE3を1つのグループ(端末クラスタC1)とし、当グループ内で最も電波環境の良い無線端末UE1をルータ端末とするPANを構築させた後、ルータ端末以外の無線端末UE2及びUE3との通信接続を切断することにより、近接位置に存在する無線端末UE1〜UE3同士の電波干渉を防ぐことができ、その結果、高伝送レートの変調方式を選択することができるようになり、システム全体の通信効率を向上させることができる。また、1つの基地局BSに同時に通信接続される端末数を減らすことができるため、基地局BSでより多くの無線端末UEを扱うことができるようになり、ユーザ収容数の増加を図ることができる。
この他、本実施形態では、副次的な効果として、無線端末UEにおいて消費電力が最も大きい端末無線部21の同時使用数が減るため、全端末トータルのバッテリー寿命を延ばすことができる。また、近接位置に存在する無線端末UE内に電波環境の悪い無線端末UEが存在していたとしても、より電波環境の良い他の無線端末UEをルータ端末として利用するため、効率の良い通信が可能となる。また、空間多重を行う場合、同一座標(若しくは、一定距離よりも近い座標)に位置する無線端末UEが無くなり、分離が容易になる。さらに、一人のユーザが所持している複数の無線端末UE(互いに近接位置に存在する無線端末UE)を1つの通信に束ねることにより、ユーザ単位のQoS制御が容易になる。
なお、本発明は上記第1実施形態に限定されず、以下のような変形例が挙げられる。
(変形1)上記第1実施形態では、ルータ端末以外の無線端末UE2及びUE3との通信接続を切断した後、当該通信接続を切断した無線端末UE2及びUE3に割り当てられていた無線リソースR2及びR3をルータ端末(無線端末UE1)に割り当てる場合を例示したが、これは基地局BSの通信エリア内に無線端末UE1〜UE5の5台しか存在しない場合を想定していたからであり、必ずしもルータ端末に割り当てる必要はない。つまり、無線端末UE2及びUE3との通信接続を切断した後、基地局BSの通信エリア内に新たな無線端末UEが侵入してきた場合には、それらの新たな無線端末UEに無線リソースR2及びR3を割り当てることで、ユーザ収容数の増加を図ることができる。
(変形2)上記第1実施形態では、端末クラスタ内で最も電波環境の良い無線端末UEが見つかれば、基地局BSからPAN構築命令を端末クラスタ内の各無線端末UEに送信する場合を例示したが、例えば、最も電波環境の良い無線端末UEの電波強度が規定値以上となった場合に、端末クラスタ内の各無線端末UEに対し、最も電波環境の良い無線端末UEをルータ端末とするPAN構築命令を送信する機能をネットワーク構築命令部13bに設けても良い。
また、この場合、PANの構築に成功した後、ルータ端末の電波強度が上記規定値未満となった場合、端末クラスタ内の各無線端末UEに対し、PANの解除命令を送信する機能をネットワーク構築命令部13bに設け、PANが解除された後、ルータ端末以外の無線端末UEに対して無線リソースの再割り当てを行い通信接続を確立する機能を通信制御部13cに設けることが望ましい。
(変形3)また、ネットワーク構築命令部13bに、PANの構築に成功した後、現在使用中のルータ端末が端末クラスタ内で最も電波環境の良い無線端末UEではなくなった場合、端末クラスタ内の各無線端末UEに対し、端末クラスタ内で現在最も電波環境の良い無線端末UEを新たなルータ端末とするPAN構築命令を再送信する機能を設けても良い。
(変形4)また、ネットワーク構築命令部13bに、PANの構築に成功した後、ルータ端末からPANの通信品質を確保不能である旨の報告を受けた場合、PAN内の各無線端末UEに対し、PANの解除命令を送信する機能を設け、通信制御部13cに、PANが解除された後、ルータ端末以外の無線端末UEに対して無線リソースの再割り当てを行い通信接続を確立する機能を設けても良い。
(変形5)上記第1実施形態では、端末属性情報として無線端末UEの位置情報を取得する場合を例示したが、例えば端末属性情報として使用者情報(その無線端末UEを所持するユーザに関する情報)を取得し、その取得した使用者情報を基づいて、互いに近接位置に存在していると推定される無線端末UE同士を1つのグループとする機能をグループ処理部13aに設けても良い。例えば、複数の無線端末UEから取得した使用者情報が一致する場合には、同一のユーザによってそれら複数の無線端末UEが所持されている可能性が高く、それら複数の無線端末UEは互いに近接位置に存在していると推定される。
(変形6)上記第1実施形態では、GPS機能を搭載した無線端末UEを想定し、GPS機能によって検出された位置情報を基地局BSに送信する場合を例示したが、必ずしも全ての無線端末UEにGPS機能が搭載されているわけではない。そこで、基地局BSに、無線端末UEの位置情報に類似する情報、例えば無線端末UEまでの距離や無線端末UEの位置する方向などを検出する機能を設けて良い。
(変形7)上記第1実施形態では、端末クラスタ(グループ)が1つの場合を例示して説明したが、同時に複数の端末クラスタが形成される場合であっても、同様に、各端末クラスタに対してPAN構築命令を送信し、その端末クラスタ内で最も電波環境の良い無線端末UEをルータ端末とするPANを構築させることができる。
(変形8)上記第1実施形態では、次世代高速通信規格であるLTEに準拠したLTEシステムを例示して説明したが、これに限らず、WiMAX等、マルチキャリア通信を採用した他の通信規格を用いる無線通信システムであれば、本発明を適用することが可能である。
〔第2実施形態〕
次に、図6は、本発明の第2実施形態に係る無線通信システム2のブロック構成図である。この図6に示すように、無線通信システム2は、第1実施形態と同様に、基地局BS及び無線端末UEを備えて構成されている。なお、基地局BSは、セル方式に従って複数配置されているものであるが、図6では1基のみを代表的に図示している。また、無線端末UEは、基地局BSの通信エリア内において複数存在するものであるが、図6では1台のみを代表的に図示している。
基地局BSは、第1実施形態と同様に、基地局無線部11、基地局記憶部12及び基地局制御部14を備えている。第1実施形態と重複する基地局無線部11及び基地局記憶部12には同一の符号を附して詳細な説明を省略する。
基地局制御部14は、基地局記憶部12に記憶されている基地局制御プログラムに従って基地局BSの全体動作を統括制御するものであり、第1実施形態と同様に、グループ処理部14a、ネットワーク構築命令部14b及び通信制御部14cを備えている。通信制御部14cにハンドオーバ処理部14dを備えている点以外、各部の機能は第1実施形態と同等であるので、ここでは、ハンドオーバ処理部14dについてのみ説明する。
ハンドオーバ処理部14dは、無線ネットワークが構築されている端末クラスタ(グループ)の無線通信の品質が劣化(受信強度が所定値より低くなる)したとき、端末クラスタ(グループ)のうち基地局BSとの無線通信の状況の良い無線端末から、無線通信の品質の良い基地局BSを通知してもらい、通知された基地局BSに対し、端末クラスタ情報を送信する。端末クラスタ情報は、クラスタテーブル記憶部12bに記憶されている該当するクラスタテーブルと、何れの無線端末がルータ端末であるかの情報を端末クラスタC1に関する情報を含むものである。
また、ハンドオーバ処理部14dは、無線ネットワークが構築されている端末クラスタ(グループ)の無線通信の品質が劣化したとき、ハンドオーバを端末クラスタ(グループ)に実行させる。
一方、無線端末UEは、LTE規格に従って基地局BSとの無線通信を行う機能と、近距離通信規格に従って他の無線端末とのPANの構築及びPAN内通信を行う機能とを有するユーザ端末であり、第1実施形態と同様に、端末無線部21、PAN無線部22、GPS受信部23、端末記憶部24及び端末制御部26を備えている。端末制御部26に通信品質判定部26b及びハンドオーバ処理部26cを備えている点以外、各部の機能は第1実施形態と同等であるので、ここでは、端末記憶部26の通信品質判定部26b及びハンドオーバ処理部26cについてのみ説明する。
端末制御部26の通信品質判定部26bは、現在接続中の基地局BSとの無線通信における通信品質を判別する。ここで、通信品質は、例えば受信信号強度(電界強度)、スループット(例えば、信号の誤り制御を行うシステムでは誤り率等)または干渉の度合い等で評価される。つまり、基地局BSとの無線通信において、受信信号の電界強度、誤り率、または干渉レベル等が所定レベルを下回ったとき、通信品質が劣化していると判別される。
また、端末制御部26のハンドオーバ処理部26cは、通信品質判定部26bにより通信品質が所定レベル未満と判別されたとき、周辺にある最も通信品質が良い基地局BSを探索して、現在接続中の基地局BSに通知してからハンドオーバを行う。
また、ハンドオーバ処理部26cは、通信品質判定部26bにより通信品質が所定レベル未満と判別されて、自信がルータ端末であった場合、他の無線端末のうち周辺の基地局との通信品質が最も良い無線端末に、一時的にルータ端末になってもらってからハンドオーバを行うようにしてもよい。このとき、ハンドオーバ先の基地局が現在接続中の基地局BSに通知され、通信品質が最も良い無線端末がルータ端末としてハンドオーバを実行する。
次に、上記のように構成された基地局BS及び無線端末UEを備える無線通信システム2のハンドオーバ処理について詳細に説明する。なお、以下の説明では、図7及び図8に示すように、基地局BS1の通信エリア内で、3つの無線端末UE(それぞれUE1、UE2、UE3とする)が、無線端末UE1をルータ端末とする端末クラスタC1として存在し、該端末クラスタC1は基地局BSの通信エリアから他の基地局BS2の通信エリアに移動しつつあるものと想定する。
図7は、上記の想定の下に、端末クラスタC1が基地局BS1の通信エリアから基地局BS2の通信エリアへ切り替える際のハンドオーバ処理を説明する説明図である。まず、図7(a)に示す状況では、無線端末UE1、UE2及びUE3によるPANが構築され、端末クラスタC1が基地局BS1の通信エリア内に存在して、ルータ端末である無線端末UE1を介して基地局BS1との通信が行われ、無線端末UE1、無線端末UE2、およびUE3間では近距離通信が行われている。
このような状況下で、無線端末UE1(端末クラスタC1)が基地局BS1の通信エリアの境界に達してハンドオーバが必要になったとする。つまり、ルータ端末である無線端末UE1の通信品質判定部26bにおいて、通信品質が所定レベル未満と判別された状況である。このとき図7(b)に示す状態に移行して、無線端末UE1(ルータ端末)は、通信品質が所定レベル以上の他の基地局を探索して基地局BS2を探し出す。その結果に基づき、無線端末UE1(ルータ端末)は、基地局BS2が無線通信の品質の良い基地局である旨を基地局BS1へ送信する。
基地局BS1では、無線端末UE1(ルータ端末)からの切り替え要求を受信すると、端末クラスタC1のハンドオーバ処理として、ハンドオーバ処理部14dは、基地局BS2に対してネットワークN1を介して、端末クラスタ情報を伝達する。また、無線端末UE1では、基地局BS1からの指示に応じてハンドオーバ処理部26cによるハンドオーバ処理を行い、基地局BS2に対して接続要求を送信する。このとき、無線端末UE1と基地局BS1との無線通信の品質は良くないため、無線通信が中断されてしまう可能性はある。
基地局BS2では、基地局BS1から受け取った無線端末UE1の情報に基づき無線端末UE1からのハンドオーバ処理を受け付けると共に、基地局BS1から受け取った端末クラスタC1に関する情報に基づき、基地局BS2側で端末クラスタC1の構築処理を行う。その結果、無線通信システム2は図7(c)に示す状態に移行して、端末クラスタC1が基地局BS2の通信エリア内に存在して、ルータ端末である無線端末UE1を介して基地局BS2との通信が行われ、無線端末UE1、無線端末UE2、およびUE3間では近距離通信が行われる状況となる。
以上説明したハンドオーバでは、切り替え時に瞬間的な通信切断が存在する可能性はあるが、ルータ端末である1台の無線端末UE1により簡易にハンドオーバ処理を行うことができる。次の実施形態では、端末クラスタC1には複数台の無線端末が存在するので、ルータ端末以外の無線端末をハンドオーバ処理に当てることにより、切り替え時に通信切断の可能性を低くしたハンドオーバを実現する実施形態について説明する。
図8は、図7と同一の想定の下に、端末クラスタC1が基地局BS1の通信エリアから基地局BS2の通信エリアへ切り替える際のハンドオーバ処理を説明する説明図である。まず、図8(a)に示す状況は図7(a)に示した状況と同等である。
このような状況下で、無線端末UE1(端末クラスタC1)が基地局BS1の通信エリアの境界に達してハンドオーバが必要になった場合、図8(b)に示す状態に移行して、無線端末UE1(ルータ端末)は、端末クラスタC1内の他の無線端末に対して、通信品質が所定レベル以上の周辺の他の基地局を探索するよう指示を出す。
図8(b)では、周辺の基地局と最も通信品質が良い端末はUE2で、UE2の通信品質が良い基地局が基地局B2となっていた場合について説明している。無線端末UE1(ルータ端末)は、その結果に基づき、基地局B2がハンドオーバ先の基地局である旨を基地局BS1へ通知する。
次に、無線通信システム2は図8(c)に示す状態に移行して、基地局BS1では、基地局B2がハンドオーバ先の基地局である旨を受信すると、端末クラスタC1のハンドオーバ処理として、ハンドオーバ処理部14dは、基地局BS2に対してネットワークN1を介して、端末クラスタ情報を伝達する。
無線端末UE2は、基地局B2に対し位置登録などの接続処理を行い、端末クラスタ情報が伝達された基地局B2は、接続処理を受け付ける。
また、基地局BS2では、基地局BS1から受け取った端末クラスタC1に関する情報に基づき、基地局BS2側で無線端末UE2をルータ端末とする端末クラスタC1の構築処理を行ってハンドオーバがなされる。
また、基地局BS2では、基地局BS1から受け取った無線端末UE1の情報に基づき、無線端末UE1からの接続要求を受け付け、基地局BS1から受け取った端末クラスタC1に関する情報に基づき、端末クラスタC1のルータ端末変更処理を行い、これにより、ルータ端末が無線端末UE2から無線端末UE1に戻されることになる。その後、基地局BS2は、無線端末UE2との接続を切断して、無線通信システム2は図8(d)に示す状態に移行し、端末クラスタC1が基地局BS2の通信エリア内に存在して、ルータ端末である無線端末UE1を介して基地局BS2との通信が行われ、無線端末UE1、無線端末UE2、およびUE3間では近距離通信が行われる状況となる。
ここで、図9は、個々にハンドオーバ処理を行う従来手法に基づくハンドオーバ処理の説明図である。次に、本実施形態の無線通信システム2のハンドオーバ処理と従来手法とを対比させるために、端末クラスタC1内の無線端末が個々にハンドオーバ処理を行う手法について説明する。
図9(a)に示す状況は図7(a)及び図8(a)に示した状況と同等である。このような状況下で、無線端末UE1(端末クラスタC1)が基地局BS1の通信エリアの境界に達してハンドオーバが必要になった場合、一旦、端末クラスタC1を完全に解除して(図9(b)参照)、無線端末UE1(図9(c)参照)、無線端末UE2(図9(d)参照)及び無線端末UE3(図9(e)参照)が個々にハンドオーバ処理を行う。そして、図9(f)に示す状態に移行して、基地局BS2が再度端末クラスタC1の構築処理を行う。
このように、従来手法によるハンドオーバ処理は、基地局側で端末クラスタ内の個々の無線端末のハンドオーバ処理を行うことになり、該基地局内での処理量が増えるという問題がある。また、基地局間で個々の無線端末のハンドオーバ情報をやり取りする必要があり、ネットワークトラフィックが増えるという問題もあった。
これに対して、本実施形態の無線通信システム2におけるハンドオーバ処理では、端末クラスタ内の全ての無線端末を一括してハンドオーバ処理するので、基地局内での処理量を抑制することができると共に、基地局間のネットワークトラフィックも抑制することができる。
また、従来手法では、LTE無線環境の極端に悪い無線端末があった場合には、正常にハンドオーバ処理を行うことができなかったが、本実施形態のハンドオーバ処理では、LTE無線環境の悪い無線端末があっても、より電波環境の良い他の無線端末をルータ端末とすることで、効率よく通信を行うことができ、安定したハンドオーバ処理を実現することができる。
さらに、ルータ端末1台のみでのハンドオーバの場合、切り替え時に一時的に通信が切断される可能性が高く、連続したデータの送受信が行えないおそれがあるが、簡易に端末クラスタのハンドオーバを行うことができる。また、ルータ端末以外の無線端末を一時的にルータ端末として扱うことにより切り替え時に通信が切断される可能性が低いハンドオーバを実現することができる。
1,2…無線通信システム、BS…基地局、11…基地局無線部、12…基地局記憶部、13…基地局制御部、13a,14a…グループ処理部、13b,14b…ネットワーク構築命令部、13c,14c…通信制御部、14d…ハンドオーバ処理部、UE、UE1、UE2、UE3、UE4、UE5…無線端末、21…端末無線部、22…PAN無線部(ネットワーク無線部)、23…GPS(Global Positioning System)受信部、24…端末記憶部、25,26…端末制御部、25a,25a…ルータ処理部、26b…通信品質判定部、26c…ハンドオーバ処理部

Claims (7)

  1. 自局の通信エリア内に存在する無線端末との無線通信を実現する基地局無線部と、
    前記無線端末から得られる端末属性情報に基づいて、互いに近接位置に存在していると推定される無線端末同士を1つのグループとするグループ処理部と、
    前記グループ内の各無線端末に対し、当グループ内で最も電波環境の良い無線端末をルータ端末とする無線ネットワークの構築命令を送信するネットワーク構築命令部と、
    前記無線ネットワークの構築に成功した場合に、前記ルータ端末以外の無線端末との通信接続を切断した後、前記ルータ端末を介して前記ルータ端末以外の無線端末との通信を行う通信制御部と、を備え、
    前記通信制御部は、前記ルータ端末以外の無線端末との通信接続を切断した後、当該通信接続を切断した無線端末に割り当てられていた無線リソースを前記ルータ端末に割り当てる基地局。
  2. 前記ネットワーク構築命令部は、前記グループ内で最も電波環境の良い無線端末の電波強度が規定値以上となった場合に、前記グループ内の各無線端末に対し、前記最も電波環境の良い無線端末をルータ端末とする無線ネットワークの構築命令を送信することを特徴とする請求項に記載の基地局。
  3. 前記ネットワーク構築命令部は、前記無線ネットワークの構築に成功した後、前記ルータ端末の電波強度が前記規定値未満となった場合、前記グループ内の各無線端末に対し、前記無線ネットワークの解除命令を送信し、
    前記通信制御部は、前記無線ネットワークが解除された後、前記ルータ端末以外の無線端末に対して無線リソースの再割り当てを行い通信接続を確立することを特徴とする請求項に記載の基地局。
  4. 前記ネットワーク構築命令部は、前記無線ネットワークの構築に成功した後、現在使用中のルータ端末が前記グループ内で最も電波環境の良い無線端末ではなくなった場合、前記グループ内の各無線端末に対し、前記グループ内で現在最も電波環境の良い無線端末を新たなルータ端末とする無線ネットワークの構築命令を再送信することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の基地局。
  5. 前記ネットワーク構築命令部は、前記無線ネットワークの構築に成功した後、前記ルータ端末から前記無線ネットワークの通信品質を確保不能である旨の報告を受けた場合、前記グループ内の各無線端末に対し、前記無線ネットワークの解除命令を送信し、
    前記通信制御部は、前記無線ネットワークが解除された後、前記ルータ端末以外の無線端末に対して無線リソースの再割り当てを行い通信接続を確立することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の基地局。
  6. 前記グループ処理部は、前記端末属性情報として前記無線端末の位置情報または使用者情報を取得することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の基地局。
  7. 通信エリア内に存在する無線端末から得られる端末属性情報に基づいて、互いに近接位置に存在していると推定される無線端末同士を1つのグループとして制御する通信制御方法において、
    前記グループ内の各無線端末に対し、当グループ内で基地局と電波環境の良い無線端末をルータ端末とする無線ネットワークの構築に成功した場合に、前記基地局が、前記ルータ端末以外の無線端末との通信接続を切断した後、前記ルータ端末を介して前記ルータ端末以外の無線端末との通信を行うステップと、
    前記基地局が、前記ルータ端末以外の無線端末との通信接続を切断した後、当該通信接続を切断した無線端末に割り当てられていた無線リソースを前記ルータ端末に割り当てるステップと、を有する通信制御方法。

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