JP5660592B2 - 原子炉の堅牢なグレイ制御棒 - Google Patents
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Description
本発明は一般的に原子炉のグレイ制御棒集合体に係り、さらに詳細には、グレイ制御棒が原子炉炉心に完全に挿入された時の燃料集合体案内シンブルのダッシュポット領域内にある中性子吸収材の膨れ及び加熱を減少させる改良に係る。
典型的な原子炉では、炉心に多数の燃料集合体が含まれるが、個々の燃料集合体は上部ノズルおよび下部ノズルと、両ノズル間を上下方向に延び、横方向に順次間隔を保つ複数の細長い案内シンブル管と、案内シンブル管に沿って軸方向に間隔を保ち、案内シンブル管に固着され、横方向に延びる複数の支持格子とから成る。また、各燃料集合体は、横方向に互いに且つ案内シンブル管とも間隔を保ち、上部ノズルと下部ノズルの間で横方向の格子によって支持された複数の細長い燃料要素または燃料棒より成る。燃料棒はそれぞれ核分裂物質を含み、高速の核分裂の持続とそれによる大量の熱エネルギーの放出を可能にするに十分な中性子束を炉心に提供するように整然と配列されたアレイを構成する。炉心で発生する熱の一部を抽出して有用な仕事をさせるために、液状冷却材が炉心を上方に流れるように圧送される。
・出力時の長期間にわたる棒動作により、一部のグレイ棒内の吸収材の照射による膨れに起因して、グレイ制御棒の先端部とダッシュポット領域の案内シンブル管の間で機械的干渉または膠着が起こる可能性がある;
・グレイ棒が完全に挿入されるとダッシュポット領域内の冷却材が沸騰して、案内シンブル管の腐蝕速度が増加し制御棒内部からの熱伝達が減少する可能性がある;
・グレイ制御棒が最終的に引き抜かれる時に短期間の局部出力変化により燃料の一体性が損なわれることがある。
図面、特に図1を参照して、該図は原子炉の燃料集合体を垂直方向において短縮し、参照番号10で総括表示した立面図である。燃料集合体10は加圧水型原子炉に用いるタイプであり、下端部の下部ノズル12と、上端部の上部ノズル16と、下部ノズル12と上部ノズル16の間を縦方向に延びて両端部をそれらに剛性的に固着された多数の案内管またはシンブル18とを有する構造的躯体であり、下部ノズル12は原子炉炉心領域(図示せず)の下部炉心支持板14上に燃料集合体10を支持するものである。
原子炉の制御棒集合体であって、(a)吸収材先端部の膨れによる原子燃料集合体のダッシュポット領域と干渉する可能性を減少することが可能であり、(b)ダッシュポットの沸騰及び吸収材の融解に関する熱的設計マージンを改善することが可能であり、(c)制御棒引き抜き時における燃料棒被覆管の熱的−機械的負担を減少することが可能な制御棒集合体を提示する。この思想は、燃料集合体がダッシュポット領域として知られる案内シンブル管の内径縮小部分を有する原子炉に使用されると得られる上述した全ての利点を提供する。制御棒は、炉心内に下降されると、案内シンブル管内の水を排除するためその下降が減速される。案内シンブル管の下端部の縮径部はさらに制御棒の下降速度を減少させるため、案内シンブル管底部の端栓から軸方向に離隔したところで軟着陸して停止する。それにより上部ノズル16に対するスパイダーの衝撃が緩和される。AP1000型原子炉では、定常状態及び負荷追従動作時における炉心反応度の大まかな変化を補償するために反応度価値が比較的小さいグレイ制御棒が使用される。この運転戦略により、グレイ制御棒は完全出力定常状態及び減少出力過渡状態の両方において常に炉心に挿入されたり引き抜かれたりする。この動作時に、グレイ制御棒の1またはそれ以上のバンクは、制御棒の先端部が案内シンブル管18のダッシュポット領域にある完全挿入状態に長期間置かれることがある。各案内シンブル管の底部のダッシュポット領域は約2フィート(0.61m)であり、内径が小さい。ダッシュポット領域における冷却材の流量及び冷却材の断面積は制御棒が挿入された時は案内シンブル管の残部より有意に小さい。上述したように、これにより多くの技術的課題が生じると予想される。普通のAg−In−Cd吸収材は照射状態に長期間置かれると膨れて制御棒34の被覆管に圧力を加え、被覆管をある程度膨張させることが知られている。出力時における長期間の制御棒動作は、小径のダッシュポットと制御棒被覆管の間に機械的な干渉を発生させ、制御棒の完全挿入または完全引き抜きを阻止することがあると予想される。第2に、グレイ棒が完全挿入状態にある時ダッシュポット領域の冷却材がAg−In−Cd材料の加熱速度及び冷却材の小流量により沸騰する可能性がある。これにより、案内シンブル管18の腐蝕速度が増加し、制御棒34の内部からの熱伝達が減少する可能性が生じる。最後に、グレイ棒が最終的に引き抜かれる時に短期間の局部出力変化により燃料棒の一体性が脅かされる懸念がある。
Claims (10)
- 炉心が案内シンブル管を有する原子燃料集合体より成る原子炉の制御棒であって、
制御棒が垂直方向に出し入れされる案内シンブル管は、制御棒を受ける上端側部分と、制御棒が案内シンブル内に下降される時ダッシュポットとして機能する、内径が縮小された下端側部分とを有し、下端側部分の軸方向の長さは案内シンブル管の中空内部の高さの20%を超えない長さであり、制御棒は
軸方向下端部と、軸方向上端部と、軸方向下端部から延び、外径が案内シンブル管の中空内部の最も狭い寸法部分内にぴったり収まる大きさの下方部分と、中空内部とを有する細長い被覆管と、
ダッシュポット内に摺動可能に受容されるように設計され、細長い被覆管の軸方向下端部を閉じる下方端栓と、
細長い被覆管の中空内部を、細長い被覆管の下方端栓の近傍にある細長い被覆管の下方部分において、軸方向に、制御棒が案内シンブル管内に完全挿入された時細長い被覆管がダッシュポット内に受容される長さに等しいかそれよりも長い距離だけ延びる第1の中性子吸収材と、
第1の中性子吸収材の上方にある細長い被覆管の中空内部の残りの一部を占め、第1の中性子吸収材よりも高い反応度価値を有する第2の中性子吸収材と、
細長い被覆管の軸方向上端部を閉じる上方端栓とより成り、
第1の中性子吸収材はUNS N06600、UNS N06625、UNS N06690及びUNS N07718の群から選択されたニッケル合金である
原子炉の制御棒。 - 第2の中性子吸収材は中性子が照射されると第1の中性子吸収材よりも大きく膨らむ請求項1の制御棒。
- 制御棒はグレイ棒である請求項1の制御棒。
- 第2の中性子吸収材はAg−In−CdまたはAgである請求項1の制御棒。
- 第1の中性子吸収材は、制御棒が制御棒案内シンブル管内に完全挿入された時に細長い被覆管がダッシュポット内に受容される長さの十分上方において細長い被覆管内を軸方向に延びるため、照射下で第2の中性子吸収材の膨らみにより被覆管が拡大してもダッシュポット内に受容された被覆管の領域に及ばない請求項1の制御棒。
- 第1の中性子吸収材が細長い被覆管を軸方向に延びる距離はダッシュポットが制御棒案内シンブル管の下方端栓から延びる距離よりも大きい請求項1の制御棒。
- 第1の中性子吸収材が細長い被覆管を軸方向に延びる距離は0.61m未満である請求項6の制御棒。
- 第1の中性子吸収材及び第2の中性子吸収材は、細長い被覆管を軸方向に、制御棒が挿入される燃料集合体内の燃料ペレット積層体の高さに等しいかそれよりも大きい高さまで合計して延びる請求項7の制御棒。
- 炉心が案内シンブル管を有する原子燃料集合体より成る原子炉の複数の制御棒を有する制御棒集合体であって、
制御棒が垂直方向に出し入れされる案内シンブル管は、制御棒を受ける上端側部分と、制御棒が案内シンブル内に下降される時ダッシュポットとして機能する、内径が縮小された下端側部分とを有し、下端側部分の軸方向の長さは案内シンブル管の中空内部の高さの20%を超えない長さであり、
複数の制御棒の少なくとも一部は、
軸方向下端部と、軸方向上端部と、軸方向下端部から延び、外径が案内シンブル管の中空内部の最も狭い寸法部分内にぴったり収まる大きさの下方部分と、中空内部とを有する細長い被覆管と、
ダッシュポット内に摺動可能に受容されるように設計され、細長い被覆管の軸方向下端部を閉じる下方端栓と、
細長い被覆管の中空内部を、細長い被覆管の下方端栓の近傍にある細長い被覆管の下方部分において、軸方向に、制御棒が案内シンブル管内に完全挿入された時細長い被覆管がダッシュポット内に受容される長さに等しいかそれよりも長い距離だけ延びる第1の中性子吸収材と、
第1の中性子吸収材の上方にある細長い被覆管の中空内部の残りの一部を占め、第1の中性子吸収材よりも高い反応度価値を有する第2の中性子吸収材と、
細長い被覆管の軸方向上端部を閉じる上方端栓とより成り、
第1の中性子吸収材はUNS N06600、UNS N06625、UNS N06690及びUNS N07718の群から選択されたニッケル合金である
制御棒集合体。 - 炉心が案内シンブル管を有する複数の燃料集合体より成る原子炉であって、複数の燃料集合体のうちの少なくとも一部は各々が燃料集合体内の対応の案内シンブル管内にある多数の制御棒を上下させる対応の制御棒集合体と整列関係にあり、
案内シンブル管は、制御棒を受ける上端側部分と、制御棒が案内シンブル内に下降される時ダッシュポットとして機能する、内径が縮小された下端側部分とを有し、下端側部分の軸方向の長さは案内シンブル管の中空内部の高さの20%を超えない長さであり、
複数の制御棒の少なくとも一部は、
軸方向下端部と、軸方向上端部と、軸方向下端部から延び、外径が案内シンブル管の中空内部の最も狭い寸法部分内にぴったり収まる大きさの下方部分と、中空内部とを有する細長い被覆管と、
ダッシュポット内に摺動可能に受容されるように設計され、細長い被覆管の軸方向下端部を閉じる下方端栓と、
細長い被覆管の中空内部を、細長い被覆管の下方端栓の近傍にある細長い被覆管の下方部分において、軸方向に、制御棒が案内シンブル管内に完全挿入された時細長い被覆管がダッシュポット内に受容される長さに等しいかそれよりも長い距離だけ延びる第1の中性子吸収材と、
第1の中性子吸収材の上方にある細長い被覆管の中空内部の残りの一部を占め、第1の中性子吸収材よりも高い反応度価値を有する第2の中性子吸収材と、
細長い被覆管の軸方向上端部を閉じる上方端栓とより成り、
第1の中性子吸収材はUNS N06600、UNS N06625、UNS N06690及びUNS N07718の群から選択されたニッケル合金である
原子炉。
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