JP5658991B2 - 電気分散補償器およびその設計方法 - Google Patents
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Description
前記反射型のマイクロストリップ線路は、Zakharov-Shabat方程式における、スペクトルデータからポテンシャルを導く逆問題に基づく設計法を用いて前記ストリップ導体の幅の分布を設定することも可能である。
前記反射型のマイクロストリップ線路の透過端が無反射終端により終端され、前記反射型のマイクロストリップ線路の反射端には、入力と出力を分離するためのサーキュレータまたは方向性結合器が設けられていることも可能である。
前記マイクロストリップ線路は、幅方向の一方の側が長手方向に沿った直線状であることも可能である。
前記マイクロストリップ線路は、幅方向の一方の側と他方の側とが対称であることも可能である。
前記マイクロストリップ線路は、メアンダ状であることも可能である。
本発明の電気分散補償器は、伝送帯域の中心波長における分散Dが−10ps/nm/km≦D≦+20ps/nm/kmの範囲内であり、分散スロープSと分散Dとの比S/DであるRDSが−0.01nm−1≦RDS≦+0.01nm−1の範囲内であり、長さが50〜5000kmである光ファイバの残留分散を補償することも可能である。
前記光ファイバにおける信号光の波長λが1300nm≦λ≦1600nmであることも可能である。
また、本発明は、信号光を生成する送信部と、前記信号光を伝搬する光ファイバと、前記信号光を受信する受信部とを備えるコヒーレント方式またはOSSB方式の光通信システムであって、前記送信部または前記受信部に上記の電気分散補償器を備えることを特徴とする光通信システムを提供する。
前記光ファイバの分散Dが0ps/nm/km未満(すなわち負)である場合、前記反射型のマイクロストリップ線路は、周波数が高くなるにつれて群遅延量が小さくなる特性を有することも可能である。
ω≧0のとき、G(ω)=exp[j(β2/2×ω2+β3/6×ω3)L]、
ω<0のとき、G(ω)=G*(−ω)、
(ただし、jは虚数単位、ωは信号の角周波数、β2は光ファイバの2次伝搬定数、β3は光ファイバの3次伝搬定数、Lは光ファイバの長さ、G*はGの複素共役である。)により表し、前記スペクトル応答に対して前記ポテンシャルを導くことも可能である。
前記光ファイバの分散Dが0ps/nm/km未満(すなわち負)である場合、前記反射型のマイクロストリップ線路は、周波数が高くなるにつれて群遅延量が小さくなる特性を有することも可能である。
図1は、本形態例の電気分散補償器に用いられる不均一(非均一)マイクロストリップ線路の一例を示す斜視図である。この不均一マイクロストリップ線路1は、接地導体層3と誘電体層4とが積層された基板2の誘電体層4上にストリップ導体5が設けられたマイクロストリップ線路において、ストリップ導体5の幅w(z)が長手方向(図1のz方向)に不均一に分布する。
光伝送において、ベースバンドの電気信号は、光に変調され、光伝送路である光ファイバを通過することにより、光ファイバの波長分散の影響を受ける。したがって、入出力周波数スペクトルは、次の式(1)のように表すことができる。
これらの係数β2およびβ3は、信号の波長λ、円周率π、光速c=λω/2π、光ファイバの分散D、光ファイバの分散スロープS=dD/dλにより、次の式(3)および式(4)のように表すことができる。
これらの従来技術に対して、本発明の電機分散補償器は、図1に示すような不均一マイクロストリップ線路1により構成される反射型デバイスであるので、長距離光ファイバに対しても小型のデバイスが実現できるだけでなく、光ファイバの残留分散を、分散スロープを含めて正確に補償することができる。
式(6)をvおよびiについて解き、その結果を式(5)に代入し、さらに∂φ1/∂zおよび∂φ2/∂zについて解くと、c(z)=Z(z)/L(z)として、次の式(7)が得られる。
また、局所特性インピーダンスZ(z)は、xからzに変数変換したときとは逆に、zからxに変数変換すれば求めることが可能である。
グランドとなる導体層3としては、例えば銅箔や銅箔膜などの導体層が挙げられる。
誘電体層4としては、特に限定されるものではないが、例えばMgOやAl2O3等の無機物や絶縁樹脂等の有機物が挙げられる。
ストリップ導体5を構成する導体層としては、例えば銅(Cu)、クロム(Cr)、金(Au)や合金等の箔、鍍金、蒸着膜などを用いることができる。導体層は、複数層の積層体でもよい。導体層のパターニングは、例えば露光マスクを用いたフォトリソグラフィなどを用いることができる。
送信部は、光源31と、変調信号を発生する信号発生器32と、変調信号のプリ分散補償を行う電気分散補償器33と、光源31からの出射光を変調信号により変調する光変調器35とを備え、変調した光信号を光ファイバ36に入力する。電気増幅器34を用いると、電気分散補償器33による信号の減衰を補うことができる。
光伝送路は、光ファイバ36の光信号を増幅する光増幅器37を所定の間隔で備える。図4において破線で囲み“N sections”と添えた範囲は、複数繰り返される1つの区間を表している。
受信部は、光フィルタ38を介して光信号を受光するフォトダイオード39と、フォトダイオード39により光電変換された電気信号を検出する信号検出器40を備える。
なお、図4は、OSSB方式におけるプリ分散補償の構成例を例示するが、コヒーレント方式でも送信部に電気分散補償器を設けることにより、プリ分散補償を行うことができる。
送信部は、光源41と、変調信号を発生する信号発生器42と、光源41からの出射光を変調信号により変調する光変調器43とを備え、変調した光信号を光ファイバ44に入力する。
光伝送路は、光ファイバ44の光信号を増幅する光増幅器45を所定の間隔で備える。図5において破線で囲み“N sections”と添えた範囲は、複数繰り返される1つの区間を表している。
受信部は、光フィルタ46を介して光信号を受光するフォトダイオード47と、フォトダイオード47により光電変換された電気信号を処理する電気フィルタ48と、信号のポスト分散補償を行う電気分散補償器49と、分散補償された信号を検出する信号検出器51を備える。電気増幅器50を用いると、電気分散補償器49による信号の減衰を補うことができる。
なお、図5は、OSSB方式におけるポスト分散補償の構成例を例示するが、コヒーレント方式でも受信部に電気分散補償器を設けることにより、ポスト分散補償を行うことができる。
マイクロストリップ線路は、図6(b)に示すように、ストリップ導体5の幅方向の一方の側が長手方向に沿った直線状であり、他方の側の形状変化によって幅分布w(z)が設けられていても良い。
マイクロストリップ線路は、全体が直線状であっても良く、必要に応じて湾曲させても良い。
マイクロストリップ線路は、図7に示すように、メアンダ状であっても良い。なお、図7では、作図の便宜上、幅分布w(z)を無視してマイクロストリップ線路1のストリップ導体5を図示している。メアンダ状の場合、線路長さに対して基板の長さを抑えることができ、デバイスの寸法を小さくすることができる。ストリップ導体5の湾曲部を除く直線部は、図6(a)または図6(b)に示す形状とすることができる。
本形態例の電気分散補償器は、伝送帯域の中心波長における分散Dが−10ps/nm/km≦D≦+20ps/nm/kmの範囲内であり、分散スロープSと分散Dとの比S/DであるRDSが−0.01nm−1≦RDS≦+0.01nm−1の範囲内であり、長さが50〜5000kmである光ファイバの残留分散を補償することも可能である。
光ファイバにおける信号光の波長λは、特に限定されないが、例えば1300nm≦λ≦1600nmの範囲内から選択することができる。
分散補償する周波数帯域幅は、特に限定されるものではないが、例えば0〜40GHzである。
実施例1として、波長1550nmにおいて、分散D=17ps/nm/km、分散と分散スロープとの比RDS=0.0034nm−1である長さ1000kmのシングルモードファイバ(SMF)の残留分散を補償する電気分散補償器(EDC)を設計した。この場合、光ファイバ伝送路全体の分散は17000ps/nm(波長1550nmにおいて−136.24ps/GHz)であり、光ファイバ伝送路全体の分散スロープは57.8ps/nm2である。
光伝送方式は、10Gb/sのNRZ(Non Return to Zero)信号をOSSB変調する場合を想定し、EDCが20GHzまでSMFの残留分散を打ち消すようにした。ただし、エルビウム添加ファイバ増幅器(EDFA)のような光増幅器を用いて光信号の強度が保たれるものとし、非線形による歪みは考慮していない。
EDCの反射率が0.5、システムの特性インピーダンスが50Ωとして、設計を行った。図8は、厚さh=1mm、比誘電率εr=10の誘電体層を備える基板を用いて設計した反射型マイクロストリップ線路の幅分布w(z)を示す。また、図9は、図8に示す幅分布w(z)を有し、伝送線路の中心線を直線状とし、中心線に対して対称とした反射型マイクロストリップ線路の形状を示す。長さ1000kmという長距離のSMFの残留分散を補償するにもかかわらず、本実施例のEDCの線路長は約23cmと小型である。
図10および図11は、本実施例の反射型マイクロストリップ線路が無反射終端されたときの反射波の振幅特性および群遅延特性を示す。これらの図中の“designed”は設計に用いた値を示し、“realized”は得られた結果を示す。図示のように、“designed”と“realized”とにはほとんど差異がないことが分かる。また、図11に示されるEDCの群遅延スロープは約136ps/GHzであり、光ファイバ伝送路の残留分散を正確に補償するために必要な特性が得られている。
図12、図13および図14は、それぞれ初期入力のアイパターン、EDCを省略した出力のアイパターン、EDCを行った出力のアイパターンを示す。EDCはOSSB変調器の前で行うプリ分散補償でも、フォトダイオード(PD)で検波した後に行うポスト分散補償でも有効である。図14に示すように、EDCを行うことによりきれいなアイパターンを示し、長さ1000kmのSMFを伝搬した後でもSMFの残留分散を正確に補償することができた。
上記設計は、特性インピーダンスを50Ωとした例を示したが、特性インピーダンスは特に限定されるものではなく、システムに要求される特性インピーダンスに合わせることができる。
図15および図16は、特性インピーダンスを25Ωとして設計した反射型マイクロストリップ線路の幅分布および形状をそれぞれ示す。長さ1000kmという長距離のSMFの残留分散を補償するにもかかわらず、本実施例のEDCの線路長は約21cmと小型である。
図17および図18は、特性インピーダンスを100Ωとして設計した反射型マイクロストリップ線路の幅分布および形状をそれぞれ示す。長さ1000kmという長距離のSMFの残留分散を補償するにもかかわらず、本実施例のEDCの線路長は約24cmと小型である。
図19および図20は、特性インピーダンスを300Ωとして設計した反射型マイクロストリップ線路の幅分布および形状をそれぞれ示す。長さ1000kmという長距離のSMFの残留分散を補償するにもかかわらず、本実施例のEDCの線路長は約48cmと小型である。
いずれも、厚さh=1mm、比誘電率εr=10の誘電体層を備える基板を用いた場合であり、その他の条件も、特性インピーダンス以外は、同じにした。
実施例2として、波長1550nmにおいて、分散D=17ps/nm/km、分散と分散スロープとの比RDS=0.0034nm−1である長さ1000kmのシングルモードファイバ(SMF)の残留分散を補償する電気分散補償器(EDC)を設計した。この場合、光ファイバ伝送路全体の分散は17000ps/nm(波長1550nmにおいて−136.24ps/GHz)であり、光ファイバ伝送路全体の分散スロープは57.8ps/nm2である。
光伝送方式は、10Gb/sのNRZ(Non Return to Zero)信号をOSSB変調する場合を想定し、EDCが実施例1より狭い帯域である10GHzまでSMFの残留分散を打ち消すようにした。ただし、エルビウム添加ファイバ増幅器(EDFA)のような光増幅器を用いて光信号の強度が保たれるものとし、非線形による歪みは考慮していない。
EDCの反射率が0.5、システムの特性インピーダンスが50Ωとして、設計を行った。図21は、厚さh=1mm、比誘電率εr=10の誘電体層を備える基板を用いて設計した反射型マイクロストリップ線路の幅分布w(z)を示す。また、図22は、図21に示す幅分布w(z)を有し、伝送線路の中心線を直線状とし、中心線に対して対称とした反射型マイクロストリップ線路の形状を示す。長さ1000kmという長距離のSMFの残留分散を補償するにもかかわらず、本実施例のEDCの線路長は約16cmと小型である。
図23および図24は、本実施例の反射型マイクロストリップ線路が無反射終端されたときの反射波の振幅特性および群遅延特性を示す。これらの図中の“designed”は設計に用いた値を示し、“realized”は得られた結果を示す。図示のように、“designed”と“realized”とにはほとんど差異がないことが分かる。また、図24に示されるEDCの群遅延スロープは約136ps/GHzであり、光ファイバ伝送路の残留分散を正確に補償するために必要な特性が得られている。
図25、図26および図27は、それぞれ初期入力のアイパターン、EDCを省略した出力のアイパターン、EDCを行った出力のアイパターンを示す。EDCはOSSB変調器の前で行うプリ分散補償でも、フォトダイオード(PD)で検波した後に行うポスト分散補償でも有効である。図27に示すように、EDCを行うことによりきれいなアイパターンを示し、長さ1000kmのSMFを伝搬した後でもSMFの残留分散を正確に補償することができた。
実施例3として、波長1590nmにおいて、分散D=2.95ps/nm/km、分散と分散スロープとの比RDS=0.018nm−1である長さ2000kmのシングルモードファイバ(SMF)の残留分散を補償する電気分散補償器(EDC)を設計した。この場合、光ファイバ伝送路全体の分散は5900ps/nm(波長1590nmにおいて−49.75ps/GHz)であり、光ファイバ伝送路全体の分散スロープは106.2ps/nm2である。
光伝送方式は、40Gb/sのNRZ(Non Return to Zero)信号をOSSB変調する場合を想定し、EDCが40GHzまでSMFの残留分散を打ち消すようにした。ただし、エルビウム添加ファイバ増幅器(EDFA)のような光増幅器を用いて光信号の強度が保たれるものとし、非線形による歪みは考慮していない。
EDCの反射率が0.4、システムの特性インピーダンスが50Ωとして、設計を行った。図28は、厚さh=1mm、比誘電率εr=10の誘電体層を備える基板を用いて設計した反射型マイクロストリップ線路の幅分布w(z)を示す。また、図29は、図28に示す幅分布w(z)を有し、伝送線路の中心線を直線状とし、中心線に対して対称とした反射型マイクロストリップ線路の形状を示す。長さ2000kmという長距離のSMFの残留分散を補償するにもかかわらず、本実施例のEDCの線路長は約18cmと小型である。
図30および図31は、本実施例の反射型マイクロストリップ線路が無反射終端されたときの反射波の振幅特性および群遅延特性を示す。これらの図中の“designed”は設計に用いた値を示し、“realized”は得られた結果を示す。図示のように、“designed”と“realized”とにはほとんど差異がないことが分かる。また、図31に示されるEDCの群遅延スロープは約50ps/GHzであり、光ファイバ伝送路の残留分散を正確に補償するために必要な特性が得られている。
図32、図33および図34は、それぞれ初期入力のアイパターン、EDCを省略した出力のアイパターン、EDCを行った出力のアイパターンを示す。EDCはOSSB変調器の前で行うプリ分散補償でも、フォトダイオード(PD)で検波した後に行うポスト分散補償でも有効である。図34に示すように、EDCを行うことによりきれいなアイパターンを示し、長さ2000kmのSMFを伝搬した後でもSMFの残留分散を正確に補償することができた。
設計の中心波長と異なる近傍の波長でもEDCが使用可能であるかを検証するため、実施例1により波長1550nmに合わせて設計したEDCを、波長1555nmで使用した。なお、この波長は、周波数間隔100GHzのITUグリッドでは、5チャンネルも長波長側に位置するチャンネルに相当する。本実施例において、波長1555nmにおける分散Dは、17.3ps/nm/kmである。
図35、図36および図37は、それぞれ初期入力のアイパターン、EDCを省略した出力のアイパターン、EDCを行った出力のアイパターンを示す。EDCはOSSB変調器の前で行うプリ分散補償でも、フォトダイオード(PD)で検波した後に行うポスト分散補償でも有効である。図37に示すように、信号波長が設計波長と異なる場合でも、EDCを行うことによりきれいなアイパターンを示し、長さ1000kmのSMFを伝搬した後でもSMFの残留分散を正確に補償することができた。
すなわち、このEDCは、設計波長の近傍のチャンネルでも使用できる。
実施例5として、波長1550nmにおいて、分散D=17ps/nm/km、分散と分散スロープとの比RDS=0.0034nm−1である長さ1000kmのシングルモードファイバ(SMF)の残留分散を補償する電気分散補償器(EDC)を設計した。この場合、光ファイバ伝送路全体の分散は17000ps/nm(波長1550nmにおいて−136.24ps/GHz)であり、光ファイバ伝送路全体の分散スロープは57.8ps/nm2である。
光伝送方式は、10Gb/sのNRZ(Non Return to Zero)信号をOSSB変調する場合を想定し、EDCが実施例1より広い帯域である30GHzまでSMFの残留分散を打ち消すようにした。ただし、エルビウム添加ファイバ増幅器(EDFA)のような光増幅器を用いて光信号の強度が保たれるものとし、非線形による歪みは考慮していない。
EDCの反射率が0.3、システムの特性インピーダンスが50Ωとして、設計を行った。図38は、厚さh=0.635mm、比誘電率εr=10.2の誘電体層を備える基板を用いて設計した反射型マイクロストリップ線路の幅分布w(z)を示す。また、図39は、図38に示す幅分布w(z)を有し、伝送線路の中心線を直線状とし、中心線に対して対称とした反射型マイクロストリップ線路の形状を示す。長さ1000kmという長距離のSMFの残留分散を補償するにもかかわらず、本実施例のEDCの線路長は約35cmと小型である。
図40および図41は、本実施例の反射型マイクロストリップ線路が無反射終端されたときの反射波の振幅特性および群遅延特性を示す。これらの図中の“designed”は設計に用いた値を示し、“realized”は得られた結果を示す。図示のように、“designed”と“realized”とにはほとんど差異がないことが分かる。また、図41に示されるEDCの群遅延スロープは約136ps/GHzであり、光ファイバ伝送路の残留分散を正確に補償するために必要な特性が得られている。
図42、図43および図44は、それぞれ初期入力のアイパターン、EDCを省略した出力のアイパターン、EDCを行った出力のアイパターンを示す。EDCはOSSB変調器の前で行うプリ分散補償でも、フォトダイオード(PD)で検波した後に行うポスト分散補償でも有効である。図44に示すように、EDCを行うことによりきれいなアイパターンを示し、長さ1000kmのSMFを伝搬した後でもSMFの残留分散を正確に補償することができた。図44は、実施例1の図14に比べると、より広い周波数帯域での分散補償を考慮した分、口が開いたアイパターンになっている。
実施例6として、波長1550nmにおいて、分散D=17ps/nm/km、分散と分散スロープとの比RDS=0.0034nm−1である長さ100kmのシングルモードファイバ(SMF)の残留分散を補償する電気分散補償器(EDC)を設計した。この場合、光ファイバ伝送路全体の分散は1700ps/nm(波長1550nmにおいて−13.62ps/GHz)であり、光ファイバ伝送路全体の分散スロープは5.78ps/nm2である。
光伝送方式は、10Gb/sのNRZ(Non Return to Zero)信号をOSSB変調する場合を想定し、EDCが20GHzまでSMFの残留分散を打ち消すようにした。ただし、エルビウム添加ファイバ増幅器(EDFA)のような光増幅器を用いて光信号の強度が保たれるものとし、非線形による歪みは考慮していない。
EDCの反射率が0.5、システムの特性インピーダンスが50Ωとして、設計を行った。図45は、厚さh=0.508mm、比誘電率εr=2.2の誘電体層を備える基板を用いて設計した反射型マイクロストリップ線路の幅分布w(z)を示す。また、図46は、図45に示す幅分布w(z)を有し、伝送線路の中心線を直線状とし、中心線に対して対称とした反射型マイクロストリップ線路の形状を示す。長さ100kmという長距離のSMFの残留分散を補償するにもかかわらず、本実施例のEDCの線路長は約8.5cmと小型である。
図47および図48は、本実施例の反射型マイクロストリップ線路が無反射終端されたときの反射波の振幅特性および群遅延特性を示す。これらの図中の“designed”は設計に用いた値を示し、“realized”は得られた結果を示す。図示のように、“designed”と“realized”とにはほとんど差異がないことが分かる。また、図48に示されるEDCの群遅延スロープは約13.6ps/GHzであり、光ファイバ伝送路の残留分散を正確に補償するために必要な特性が得られている。
図49、図50および図51は、それぞれ初期入力のアイパターン、EDCを省略した出力のアイパターン、EDCを行った出力のアイパターンを示す。EDCはOSSB変調器の前で行うプリ分散補償でも、フォトダイオード(PD)で検波した後に行うポスト分散補償でも有効である。図51に示すように、EDCを行うことによりきれいなアイパターンを示し、長さ100kmのSMFを伝搬した後でもSMFの残留分散を正確に補償することができた。
実施例7として、波長1300nmにおいて、分散D=−2ps/nm/km、分散と分散スロープとの比RDS=−0.04nm−1である長さ5000kmのシングルモードファイバ(SMF)の残留分散を補償する電気分散補償器(EDC)を設計した。この場合、光ファイバ伝送路全体の分散は−10000ps/nm(波長1300nmにおいて56.37ps/GHz)であり、光ファイバ伝送路全体の分散スロープは400ps/nm2である。
光伝送方式は、10Gb/sのNRZ(Non Return to Zero)信号をOSSB変調する場合を想定し、EDCが20GHzまでSMFの残留分散を打ち消すようにした。ただし、エルビウム添加ファイバ増幅器(EDFA)のような光増幅器を用いて光信号の強度が保たれるものとし、非線形による歪みは考慮していない。
EDCの反射率が0.5、システムの特性インピーダンスが75Ωとして、設計を行った。図52は、厚さh=0.635mm、比誘電率εr=10.2の誘電体層を備える基板を用いて設計した反射型マイクロストリップ線路の幅分布w(z)を示す。また、図53は、図52に示す幅分布w(z)を有し、伝送線路の中心線を直線状とし、中心線に対して対称とした反射型マイクロストリップ線路の形状を示す。長さ5000kmという長距離のSMFの残留分散を補償するにもかかわらず、本実施例のEDCの線路長は約17cmと小型である。
図54および図55は、本実施例の反射型マイクロストリップ線路が無反射終端されたときの反射波の振幅特性および群遅延特性を示す。これらの図中の“designed”は設計に用いた値を示し、“realized”は得られた結果を示す。図示のように、“designed”と“realized”とにはほとんど差異がないことが分かる。また、図55に示されるEDCの群遅延スロープは約−56ps/GHzであり、光ファイバ伝送路の残留分散を正確に補償するために必要な特性が得られている。
なお、図55の遅延特性は従来技術の透過型のマイクロストリップ線路などの分散特性を利用する透過型デバイス(非特許文献5〜7)で実現できない。透過型のマイクロストリップ線路は、通常周波数が高くなるにつれ、群速度が遅く(群遅延量が大きく)なる特性をもち、本件のように周波数が高くなるにつれ、群速度が速く(群遅延量が小さく)なる特性が得られない。また、空洞導波管は周波数が高くなると、群速度が速くなるが、カットオフ周波数があり、低周波信号が通過できない。本件の反射型マイクロストリップ線路は、周波数が高くなるにつれ、群速度が速く(群遅延量が小さく)なり、群遅延スロープ(ps/GHz)が負である遅延特性が得られる上、低周波信号が0GHz付近まで通過可能であり、分散補償が可能な帯域幅をより広くすることができる。
図56、図57および図58は、それぞれ初期入力のアイパターン、EDCを省略した出力のアイパターン、EDCを行った出力のアイパターンを示す。EDCはOSSB変調器の前で行うプリ分散補償でも、フォトダイオード(PD)で検波した後に行うポスト分散補償でも有効である。図58に示すように、EDCを行うことによりきれいなアイパターンを示し、長さ5000kmのSMFを伝搬した後でもSMFの残留分散を正確に補償することができた。
実施例8として、波長1300nmにおいて、分散D=−2ps/nm/km、分散と分散スロープとの比RDS=−0.04nm−1である長さ1000kmのシングルモードファイバ(SMF)の残留分散を補償する電気分散補償器(EDC)を設計した。この場合、光ファイバ伝送路全体の分散は−2000ps/nm(波長1300nmにおいて11.27ps/GHz)であり、光ファイバ伝送路全体の分散スロープは80ps/nm2である。
光伝送方式は、10Gb/sのNRZ(Non Return to Zero)信号をOSSB変調する場合を想定し、EDCが20GHzまでSMFの残留分散を打ち消すようにした。ただし、エルビウム添加ファイバ増幅器(EDFA)のような光増幅器を用いて光信号の強度が保たれるものとし、非線形による歪みは考慮していない。
EDCの反射率が0.8、システムの特性インピーダンスが75Ωとして、設計を行った。図59は、厚さh=0.635mm、比誘電率εr=10.2の誘電体層を備える基板を用いて設計した反射型マイクロストリップ線路の幅分布w(z)を示す。また、図60は、図59に示す幅分布w(z)を有し、伝送線路の中心線を直線状とし、中心線に対して対称とした反射型マイクロストリップ線路の形状を示す。長さ1000kmという長距離のSMFの残留分散を補償するにもかかわらず、本実施例のEDCの線路長は約3.3cmと小型である。
図61および図62は、本実施例の反射型マイクロストリップ線路が無反射終端されたときの反射波の振幅特性および群遅延特性を示す。これらの図中の“designed”は設計に用いた値を示し、“realized”は得られた結果を示す。図示のように、“designed”と“realized”とにはほとんど差異がないことが分かる。また、図62に示されるEDCの群遅延スロープは約−11ps/GHzであり、光ファイバ伝送路の残留分散を正確に補償するために必要な特性が得られている。
なお、図62の遅延特性は従来技術の透過型のマイクロストリップ線路などの分散特性を利用する透過型デバイス(非特許文献5〜7)で実現できない。透過型のマイクロストリップ線路は、通常周波数が高くなるにつれ、群速度が遅く(群遅延量が大きく)なる特性をもち、本件のように周波数が高くなるにつれ、群速度が速く(群遅延量が小さく)なる特性が得られない。また、空洞導波管は周波数が高くなると、群速度が速くなるが、カットオフ周波数があり、低周波信号が通過できない。本件の反射型マイクロストリップ線路は、周波数が高くなるにつれ、群速度が速く(群遅延量が小さく)なり、群遅延スロープ(ps/GHz)が負である遅延特性が得られる上、低周波信号が0GHz付近まで通過可能であり、分散補償が可能な帯域幅をより広くすることができる。
図63、図64および図65は、それぞれ初期入力のアイパターン、EDCを省略した出力のアイパターン、EDCを行った出力のアイパターンを示す。EDCはOSSB変調器の前で行うプリ分散補償でも、フォトダイオード(PD)で検波した後に行うポスト分散補償でも有効である。図65に示すように、EDCを行うことによりきれいなアイパターンを示し、長さ1000kmのSMFを伝搬した後でもSMFの残留分散を正確に補償することができた。
Claims (13)
- 光ファイバの残留分散を電気信号として補償する電気分散補償器であって、
ストリップ導体の幅が長手方向に不均一に分布し、前記光ファイバの残留分散として分散Dおよび分散スロープSを補償するための前記電気信号の群遅延特性を有する反射型のマイクロストリップ線路から構成され、
前記反射型のマイクロストリップ線路は、Zakharov-Shabat方程式における、スペクトルデータからポテンシャルを導く逆問題に基づく設計法を用いて前記ストリップ導体の幅の分布が設定され、
前記反射型のマイクロストリップ線路の透過端が無反射終端により終端され、前記反射型のマイクロストリップ線路の反射端には、入力と出力を分離するためのサーキュレータまたは方向性結合器が設けられていることを特徴とする電気分散補償器。 - 前記マイクロストリップ線路は、幅方向の一方の側が長手方向に沿った直線状であることを特徴とする請求項1または2に記載の電気分散補償器。
- 前記マイクロストリップ線路は、幅方向の一方の側と他方の側とが対称であることを特徴とする請求項1または2に記載の電気分散補償器。
- 前記マイクロストリップ線路は、メアンダ状であることを特徴とする請求項1または2に記載の電気分散補償器。
- 特性インピーダンスZ0が25Ω≦Z0≦300Ωの範囲内であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電気分散補償器。
- 伝送帯域の中心波長における分散Dが−10ps/nm/km≦D≦+20ps/nm/kmの範囲内であり、分散スロープSと分散Dとの比S/DであるRDSが−0.01nm−1≦RDS≦+0.01nm−1の範囲内であり、長さが50〜5000kmである光ファイバの残留分散を補償することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電気分散補償器。
- 前記光ファイバにおける信号光の波長λが1300nm≦λ≦1600nmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の電気分散補償器。
- 前記光ファイバの分散Dが0ps/nm/km未満であり、前記反射型のマイクロストリップ線路は、周波数が高くなるにつれて群遅延量が小さくなる特性を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の電気分散補償器。
- 信号光を生成する送信部と、前記信号光を伝搬する光ファイバと、前記信号光を受信する受信部とを備えるコヒーレント方式またはOSSB方式の光通信システムであって、前記送信部または前記受信部に請求項1〜9のいずれか一項に記載の電気分散補償器を備えることを特徴とする光通信システム。
- ストリップ導体の幅が長手方向に不均一に分布し、光ファイバの残留分散を電気信号として補償する前記電気信号の群遅延特性を有する反射型のマイクロストリップ線路から構成され、前記反射型のマイクロストリップ線路の透過端が無反射終端により終端され、前記反射型のマイクロストリップ線路の反射端には、入力と出力を分離するためのサーキュレータまたは方向性結合器が設けられている電気分散補償器の設計方法であって、
前記光ファイバの分散D、分散スロープSと分散Dとの比S/DであるRDS、および光ファイバの長さLを、それぞれ非零の値に設定したスペクトルデータを用意し、
Zakharov-Shabat方程式における、スペクトルデータからポテンシャルを導く逆問題に基づく設計法を用いて前記ストリップ導体の幅の分布を設定することを特徴とする電気分散補償器の設計方法。 - 前記光ファイバの分散Dが0ps/nm/km未満であり、前記反射型のマイクロストリップ線路は、周波数が高くなるにつれて群遅延量が小さくなる特性を有することを特徴とする請求項11または12に記載の電気分散補償器の設計方法。
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