JP5649007B2 - 電子源電極を用いた固体薄膜の形成方法 - Google Patents

電子源電極を用いた固体薄膜の形成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5649007B2
JP5649007B2 JP2011552800A JP2011552800A JP5649007B2 JP 5649007 B2 JP5649007 B2 JP 5649007B2 JP 2011552800 A JP2011552800 A JP 2011552800A JP 2011552800 A JP2011552800 A JP 2011552800A JP 5649007 B2 JP5649007 B2 JP 5649007B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
electron source
electron
solid
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2011552800A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2011096439A1 (ja
Inventor
越田 信義
信義 越田
敢行 太田
敢行 太田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NATIONAL UNIVERSITY CORPORATION TOKYO UNIVERSITY OF AGRICULUTURE & TECHNOLOGY
Original Assignee
NATIONAL UNIVERSITY CORPORATION TOKYO UNIVERSITY OF AGRICULUTURE & TECHNOLOGY
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NATIONAL UNIVERSITY CORPORATION TOKYO UNIVERSITY OF AGRICULUTURE & TECHNOLOGY filed Critical NATIONAL UNIVERSITY CORPORATION TOKYO UNIVERSITY OF AGRICULUTURE & TECHNOLOGY
Priority to JP2011552800A priority Critical patent/JP5649007B2/ja
Publication of JPWO2011096439A1 publication Critical patent/JPWO2011096439A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5649007B2 publication Critical patent/JP5649007B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25DPROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PRODUCTION OF COATINGS; ELECTROFORMING; APPARATUS THEREFOR
    • C25D17/00Constructional parts, or assemblies thereof, of cells for electrolytic coating
    • C25D17/10Electrodes, e.g. composition, counter electrode
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25DPROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PRODUCTION OF COATINGS; ELECTROFORMING; APPARATUS THEREFOR
    • C25D9/00Electrolytic coating other than with metals

Description

本発明は固体薄膜の形成方法に関し、より詳しくは液体または液相物質中で動作しうる電子源電極を用いた新しい固体薄膜の形成方法に関するものである。
固体薄膜の形成方法はドライプロセスとウエットプロセスに大別される。
ドライプロセスは、蒸着またはスパッタによる物理的気相堆積(PVD)およびプラズマや光励起による化学的気相堆積(CVD)に代表される。PVDでは真空排気装置または放電装置において高純度の蒸着材料やスパッタターゲットに加熱処理ないしイオン衝撃を行う必要がある。また、CVDでは電離や熱エネルギーなどの投入により特殊ガスや有機金属ガスを分解することが必須で、引火性などのため使用ガスの取り扱いには十分な管理を要する。
一方、ウエットプロセスの代表例は電気化学反応によるメッキ法である。この応用例としては超LSIの配線用Cuを電解堆積する技術があげられる。LSIにおけるCu配線は、その抵抗の低さ、エレクトロマイグレーション耐性の高さから、古くから注目されていた。しかし、当初はエッチングやシリコン基板への拡散などの問題があった。そのため、多層配線の溝やビアにCuを埋め込む技術として、PVD、CVDに代わる信頼性の高いメッキ法が近年開発され、特に、メッキとCMPを組み合わせたCu溝埋め込み配線技術であるデュアルダマシン法は広く実用化されるに至っている。
メッキ技術には外部からの電圧を印加する電解メッキ法と無電解メッキ法があるが、Cu配線では、H2SO4とCuSO4の混合液に表面平滑剤として微量のHClの混合水溶液を用いた電解メッキ法が主流である。この場合は基板との間で電解電流を捕集する対向電極を用いた二極系のシステム配置が不可欠である。
PVD、CVD、メッキによる固体薄膜堆積法では、上述のような稼働上の諸問題に加えて、いずれも超微細化した任意のパターンを直接形成することはしだいに困難になっている。超微細領域では、一般に、堆積後に紫外光や電子ビームのリソグラフィとエッチング、リフトオフの組み合わせで加工・形成する技術が用いられてきた。しかし、素子のさらなる微細化が進む中で、固体薄膜の形成方法においても新技術の開発が求められている。
上述した従来技術の状況を打開するためには、低エネルギー消費、低環境負荷、超微細化、大規模集積アレイ化の要求を同時に満たす固体薄膜形成技術が必要である。これらに対応するためには、局所的かつ並列的に物質を生成することが可能な、新規の固体薄膜形成技術を開発しなければならない。その手段として電子の還元力を利用することが考えられるが、そのためにはエネルギーの高い電子を放出する電子源の動作形態を実現しなければならない。
特開2008−98119号公報
本発明は、前記のような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、低エネルギー消費、低環境負荷、超微細化、大規模集積アレイ化の要求を同時に満たす新しい固体薄膜形成方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、第1に、背面電極を有する基板と、その基板上または基板の表面側部分に形成された電子ドリフト層、電子トンネル層、またはそれらを組み合わせた層、さらにその電子ドリフト層、電子トンネル層、またはそれらを組み合わせた層上に形成された表面電極を備え、その表面電極に形成された所定形状の電子放出面から弾道電子または準弾道電子を液体または液相物質中に放出する電子源電極を用い、対向電極および参照電極を設けないで、前記電子源電極を、形成すべき固体薄膜を構成する固体元素のイオンを含む溶液中に浸漬して動作させ、前記電子源電極の電子放出面上に固体薄膜を形成することを特徴とする固体薄膜の形成方法を提供する。
第2に、上記第1の発明において、前記電子源電極を、対向電極および参照電極なしにそれぞれ異なる固体元素イオンを含む異なる溶液に順次浸漬し、放出電子のエネルギーを各溶液中の固体元素イオンの還元電位に整合するように制御して単独駆動させ、前記電子源電極の電子放出面上に異種の固体薄膜を順次または周期的に積層形成することを特徴とする固体薄膜の形成方法を提供する。
第3に、上記第1または第2の発明において、前記固体元素イオンが金属イオンであることを特徴とする固体薄膜の形成方法を提供する。
第4に、上記第3の発明において、前記金属イオンの固体薄膜形成により前記液体または液相物質中の前記金属イオンを除去し、前記液体または液相物質を清浄化させることを特徴とする固体薄膜の形成方法を提供する。
第5に、上記第1または第2の発明において、前記固体元素イオンが半導体イオンであることを特徴とする固体薄膜の形成方法を提供する。
第6に、上記第5の発明において、前記半導体イオンの固体薄膜形成により前記液体または液相物質中の前記半導体イオンを除去し、前記液体または液相物質を清浄化させることを特徴とする固体薄膜の形成方法を提供する。
第7に、上記第1ないし第6のいずれかの発明において、前記電子源電極として、前記電子放出面がパターン化され、個別に駆動する電子源電極を用いることを特徴とする固体薄膜の形成方法を提供する。
第8に、上記第1ないし第6のいずれかの発明において、前記電子源電極として、表面電極および背面電極がそれぞれストライプ状に形成され、かつマトリクス状に配置され、単純マトリクス駆動する電子源電極を用いることを特徴とする固体薄膜の形成方法を提供する。
第9に、上記第1ないし第8のいずれかの発明において、前記電子源電極として、基板が、半導体基板または導電性基板である電子源電極を用いることを特徴とする請求項1ないし8のうちのいずれか一項に記載の固体薄膜の形成方法。
第10に、上記第1ないし第8のいずれかの発明において、前記電子源電極として、基板が、ガラス基板またはプラスチック基板である電子源電極を用いることを特徴とする固体薄膜の形成方法を提供する。
第11に、上記第1ないし第10のいずれかの発明において、前記電子源電極に光を照射する光照射手段を設け、前記光照射手段による光照射により発生電子量を制御して固体薄膜を形成することを特徴とする固体薄膜の形成方法を提供する。
第12に、上記第1ないし第11のいずれかの発明において、前記電子源電極として、少なくとも表面電極の電子放出面が露出するように被覆材により被覆され、液体または液相物質と接する表面電極の電子放出面より弾道電子または準弾道電子を前記液体または液相物質中に放出する電子源電極を用いることを特徴とする固体薄膜の形成方法を提供する。
本発明によれば、電力消費、温度制御、プラズマ生成、活性ガスの流量管理、基板の選択、微細アレイ化などについて条件設定の制約が多いPVD、CVD等の従来技術の諸問題が解決できる。
本発明は、電子源素子と溶液との界面の還元反応のみで固体薄膜を形成するようにしたもので、銅、チタン、シリコン、ゲルマニウムなど、産業上で重要な材料の薄膜形成技術を革新する手法である。
また、本発明は、対向電極との間の定常電流ループを必要とする電解反応堆積と異なり、対向電極がなくても、電子放出部のパターンに対応した固体薄膜を形成できる。対向電極を用いない電解堆積法として無電解メッキがあるが、特定の触媒、還元剤、活性剤などを必要とし、一般的に長い堆積時間を要する。本発明ではこれらの付加的添加剤を何ら必要とせず、短時間で局所的な物質生成が可能である。
さらに、本発明は、液体や液相物質中の金属イオンや半導体イオンを除去して清浄化させる技術にも適用可能である。
弾道電子等の還元力に着目し、放出電子のエネルギー制御によって溶液側物質の酸化還元電位との整合を図り、電子の還元力を効果的に引き出して単一層または積層の固体薄膜を形成する技術は、これまでに類例がなく、新規性と進歩性はきわめて大きい。
本発明で用いる電子源電極の構成を模式的に示す断面図である。 上記電子源電極を液体中で単独動作させる様子を示す図である。 上記電子源電極を対向電極と併用した二極系動作の液中電子放出装置を示す図である。 上記電子源電極を対向電極および参照電極と併用した三極系動作の液中電子放出装置を示す図である。 上記電子源電極の光照射支援動作(反射形)の説明図である。 上記電子源電極の光照射支援動作(透過形)の説明図である。 液体中動作弾道電子源素子の断面構造とCu薄膜堆積を行う駆動例を示す図である。 弾道電子源素子上に堆積されたCu薄膜表面の光学顕微鏡写真である。 堆積されたCu薄膜表面の走査型電子顕微鏡写真とEDX分析結果を示す図である。 堆積されたCu薄膜のin-planeX線回折の測定結果を示す図である。 堆積されたCu薄膜のout-planeX線回折の測定結果を示す図である。 堆積されたCu薄膜のXPS信号強度のエッチング時間依存性を示す図である。 パターン化した表面電極を有する弾道電子源素子の作製プロセスフロー図である。 (a)細線パターンAu薄膜ウインドウを有する素子および(b)CuSO4水溶液中で動作後に電極上に堆積されたCu薄膜細線の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。 (a)半導体薄膜堆積の実験系、(b)堆積したSi薄膜部分表面の光学顕微鏡像、(c)堆積したGe薄膜部分表面の光学顕微鏡像を示す図である。 堆積したSi薄膜の断面TEM写真とEDXスペクトルを示す図である。 堆積したGe薄膜の断面TEM写真とEDXスペクトルを示す図である。 堆積したSi薄膜表面のXPSスペクトル(Si2p信号ピーク)を示す図である。 堆積したGe薄膜表面のXPSスペクトル(Ge3p信号ピーク)を示す図である。
以下、本発明の固体薄膜形成方法について詳述する。
本発明の固体薄膜形成方法では、所定形状の電子放出面から弾道電子、準弾道電子またはホットエレクトロンを液体または液相物質中に放出する電子源電極を用いる。このような電子源電極としては、例えば、本願の発明者らが、特許文献1において先に提案したものがある。ホットエレクトロンは、運動エネルギーが伝導帯の底から約3kT(室温では3×26meV=78meV:kはボルツマン定数、Tは絶対温度))以上に達した固体内電子のことであり、準弾道電子とは、ホットエレクトロンよりもエネルギーは高いが弾道電子には至っていない電子で、散乱損失によるエネルギーは理想的な弾道電子より低い値に分布するものであり、弾道電子とは、真空中のように印加電圧に相当するエネルギーをもち、無損失で走行する固体内電子のことである。
本実施形態では、特許文献1において提案した電子源電極を用いる場合を例に説明を行う。
先ず、この電子源電極について説明する。
図1は、本実施形態で用いる電子源電極の構成を模式的に示す断面図である。この電子源電極は、基板1の裏面上に背面電極(オーミック電極)2が形成され、表面上に表面電極3が形成されている。また、基板1の表面側部分に電子ドリフト層、電子トンネル層、またはそれらを組み合わせた層4が形成されている。この電子ドリフト層、電子トンネル層、またはそれらを組み合わせた層4は、それぞれ1層でもよいし複数層積層したものでもよい。そして、本電子源電極の少なくとも表面電極3の電子放出面が露出するように被覆材5により被覆されている。本電子源電極は、液体または液相物質中で単独で動作することができ、液体または液相物質と接する表面電極3の電子放出面より高エネルギー電子を液体または液相物質中に放出するようになっている。
本明細書において、「液体または液相物質」とは、水をはじめ、無機水溶液だけでなく、自然水、海水、液体電解質、有機系液体、血液・胃液などの生体液、生理食塩水などの擬似生体液、分子性液体、液晶、ゼラチン、コロイド溶液、各種ゾル・ゲル状物質、各種塗布液、レジスト液、粘性液体、それらの混合液、各種薬液、噴霧液体、湿潤性のシート・隔壁材・被覆材などの液体を含む。
この電子源電極は、放出する電子のエネルギーが熱平衡に対応する電子エネルギーよりも高くなっている。この電子源電極は、MIS(金属−絶縁体−半導体)構造またはMIM(金属−絶縁体―金属)構造のダイオードとなっている。ただし、通常の電子ドリフト層に当たるI層では、通常のMISまたはMIMダイオードの場合とは異なり、電子輸送チャネルの構造がナノメートルレベルで制御され、電界効果によって電子が弾道的に走行するよう形成されている。図1の構成の素子に電圧を印加すると、電子ドリフト層、電子トンネル層、またはそれらを組み合わせた層4で生成された高エネルギー電子が表面電極3に達し、トンネル効果により高いエネルギーを保ったまま外部へ放出される。
基板1としては、半導体または導電性の基板が好ましく用いられ、たとえばシリコン基板が例示される。また、基板1としてガラス基板またはプラスチック基板やフィルム等も利用可能である。
背面電極2としては、特に制約はなく、金をはじめとするあらゆる金属薄膜、無機・有機の導電性薄膜を用いることができる。
表面電極3としては、弾道電子がトンネルするという物理的条件、電子ドリフト層の上に均一に堆積できるというプロセス技術面での条件、液体に接することから動作対象の液体中で一定時間安定であるという表面化学的要件の三つを満たす限り、特に制約はなく、金をはじめとするあらゆる金属薄膜、無機・有機の導電性薄膜を用いることができる。
電子ドリフト層、電子トンネル層、またはそれらを組み合わせた層4としては、弾道電子、準弾道電子またはホットエレクトロンを生成する構造がすべて該当し、半導体ナノ結晶ドット層、半導体ナノ構造、半導体ナノ周期構造、ナノ構造化した多結晶半導体層、絶縁性膜層、半絶縁性膜層、およびそれらを組み合わせた層などで構成することができ、特にナノ結晶シリコン層を好適に用いることができる。電子ドリフト層、電子トンネル層、またはそれらを組み合わせた層4は図のように基板1の表面電極側に設けてもよいし、基板1の表面上に設けてもよい。
被覆材5としては、本電子源電極の少なくとも表面電極3の電子放出面が露出するように被覆できる材料であれば適宜の材料を用いることができ、たとえば、液体または液相物質として水を使用する場合には水の浸入を阻止するワックスを用いることができる。
図1の電子源電極から放出される電子の平均エネルギーは素子印加電圧の上昇によって高くなり、たとえば12V程度の印加電圧で数eVに達する。これは通常の電界放出エミッタからの放出電子エネルギー(数10meV)の100倍以上におよぶ。このように放出電子の平均エネルギーが高いこと、電子エネルギーが外部印加電圧によって制御できること、電子の放出が面状であること、の3点が、電子源電極の液体中での応用を可能とする。この電子源電極にはエネルギーと出力電子流を制御する機能が内蔵されていて、素子パラメータ(素子に印加する電圧)によってこれらが同時に変化できるようにする。
図2は、本電子源電極を用いた液中電子放出装置の構造を模式的に示す図である。この液中電子放出装置の電子源電極は、電子ドリフト層、電子トンネル層、またはそれらを組み合わせた層を背面薄膜電極と表面薄膜電極ではさんだサンドイッチ構造のセルフスタンディング素子としている。この電子源電極は、対向電極、あるいは対向電極および参照電極を用いないで単独で動作することができる。動作に不要な部分はワックスなどの被覆材でマスクし、電子放出面のみが液体または液相物質と接触するようになっている。
図3は、電子源電極と対向電極とを用いた二極系の装置である。また、図4は、電子源電極と対向電極と参照電極よりなる三極系の装置である。それぞれ電子源電極が液体または液相物質中で所要の動作を行う。
本電子源電極は、駆動に際して、本素子が面放出形の電子源であることを積極的に利用すれば、(1)表面電極をパターン化して個別に駆動する、(2)背面電極と表面電極をストライプ状に形成して単純マトリクス駆動する、(3)電子源電極を微細アレイ化しそれぞれの素子に薄膜トランジスタを設けたアクティブマトリクス駆動する、などの態様とすることによって電子放出に二次元的な選択性や走査性をもたせることもできる。
さらに、本電子源電極は、その応答速度が十分に高いことから、素子電圧の印加形態としては、直流だけでなく、交流電圧、整流した電圧、矩形波電圧、パルス列の電圧、インパルス電圧、またはそれらの組み合わせ、のいずれを用いてもよい。また、一定のバイアス電圧を印加した状態で交流電圧を重畳し振幅または位相を変調する方式によって駆動することも可能である。
このような種々の電圧印加による駆動方式に加えて、本電子源電極の液体中動作では、図5および図6のように、光照射を補助的に利用することも有効である。
図5では、所定の電圧を素子に印加した状態で、素子の表面側から、表面電極を通して電子ドリフト層、電子トンネル層、またはそれらを組み合わせた層内部に定常的にまたはパルス的に光を照射し、電子放出を制御する。その場合、光生成された電子が弾道電子、準弾道電子あるいはホットエレクトロンとして表面から放出される量は入射光の進入深さ(波長できまる)と強度に依存する。
一方、図6では、サンドイッチ構造のセルフスタンディング素子の背面側から定常的にまたはパルス的に光を入射させ、背面電極付近で光生成した電子をドリフト層、電子トンネル層、またはそれらを組み合わせた層で弾道化し、表面電極を通して液体中に放出させる。その場合、光生成された電子が弾道電子等として表面から放出される量は入射光の進入深さ(波長できまる)と強度に依存する。
なお、図6の構成の変形として、透明電極を堆積したガラス基板あるいはプラスチック基板もしくはフィルム上に作製してなる電子源電極も、液体中での背面光照射または表面光照射によって同等の効果を得ることができる。
本発明の固体薄膜形成方法では、弾道電子、準弾道電子またはホットエレクトロンを液体または液相物質中に放出する電子源電極を用い、液体あるいは液相物質中の金属イオンや半導体元素イオン等の固体元素イオンを還元して金属、半導体等の固体を薄膜状に堆積させて薄膜形成を行う。例えば、本発明で堆積の対象となる金属は、Cu,Ti,Zn,Cr,Co,Ni,Sn,Pb,Ag,Pt,Au,Seなど、エレクトロニクスなどで多用される材料を含む。また、堆積対象となる半導体は、Si,Geという代表的な材料である。動作溶液は、これら金属、単体半導体の元素がイオン化した溶媒で、前述したものを用いる。本発明では、電子放出部のパターンに対応した固体薄膜の形成が可能となる。
また、本発明によれば、電子源電極を、対向電極および参照電極なしにそれぞれ異なる固体元素イオンを含む異なる溶液に順次浸漬し、放出電子のエネルギーを各溶液中の固体元素イオンの還元電位に整合するように制御して単独駆動させ、前記電子源電極の電子放出面上に異種の固体薄膜を順次または周期的に積層形成すること、および、電子源電極を作用電極とし、対向電極または対向電極と参照電極を併用した二極系または三極系の装置構成により、それぞれ異なる固体元素イオンを含む異なる溶液に順次浸漬し、放出電子のエネルギーを各溶液中の固体元素イオンの還元電位に整合するように制御して単独駆動させ、前記電子源電極の電子放出面上に異種の固体薄膜を順次または周期的に積層形成することもできる。
また、本発明によれば、電子源電極として、前記電子放出面がパターン化され、個別に駆動する電子源電極や、表面電極および背面電極がそれぞれストライプ状に形成され、かつマトリクス状に配置され、単純マトリクス駆動する電子源電極を用いることにより、エッチングやリフトオフなどの付加的プロセスなしに任意パターンの金属薄膜や半導体薄膜を形成することができる。
また、本発明によれば、電子源電極の印加電圧の制御と併用して光照射によりエネルギー制御を行い、より効率的に薄膜形成を行うことができる。
さらに、本発明は、金属イオンの固体薄膜形成により液体または液相物質中の前記金属イオンを除去し、前記液体または液相物質を清浄化させる技術に適用ことが可能である。
本発明の薄膜形成技術は、電子源電極と溶液との界面の還元反応のみで固体薄膜を形成するもので、その機構は気相成長によるPVDやCVDとは全く異なるものである。
次に、本発明の実施例を図7により説明する。
ナノシリコン弾道電子の電子源電極は、金の表面電極、ナノ結晶化多結晶シリコン層(以下、ナノシリコン層とも称する)、ポリシリコン層、低抵抗n+型シリコン基板、Alの背面電極で構成される。本実施例では、Al薄膜(厚さ:0.3 μm)からなる裏面電極を有し減圧化学気相成長法(LPCVD)によって堆積させたポリシリコン薄膜(1.6 μm)付きのn+-Si(面方位;100、比抵抗;0.018 Ωcm)基板を使用した。
ナノシリコン層は、エタノール希釈HF溶液(55 wt%HF:エタノール=1:1)中において光陽極酸化処理によって形成した。素子の深さ方向に内蔵電界を形成して弾道電子の生成効率を高めるために、陽極酸化電流を時間的に変調して多層構造を作製した。すなわち、陽極酸化の電流密度は、2.5 mA/cm2 ; 2 s, 25 mA/cm2; 4 s, の順に変調することを3回繰り返した。そして、電界効果を強めるために、急速熱酸化処理(900℃, 30 min)を行った。さらに、動作安定性を向上させるために2種類のアニール(高圧水蒸気アニール;HWA,フォーミングガスアニール;FGA)と表面修飾処理(SCM)(残存している準安定なSi−H結合を安定なSi−C結合へ置換)を施した。HWAは260℃、1.3 MPaの水蒸気の下で2 h、FGAは540℃のフォーミングガス(N2:H2 = 97 : 3の混合ガス)中で1 h行った。さらに、SCMとして、90℃の1-Decene溶液中にサンプルを40 min浸した。これらの処理は、電子放出の効率向上と安定化に有効である。最後に、表面電極として、金薄膜(10 nm)を形成し、電子放出面のみが液体に接するように不要部分を被覆する。電子放出部の有効面積は3×4 mm2である。
実験では、図7のように素子をCuSO4水溶液(0.1 mol/l, pH=3)中に入れ、対向電極なしで5〜40分間の単独動作を行った。駆動に当たっては、パルス動作を用い、パルス幅10 s、デューティ比50%のパルス電圧を印加した。
溶液中での駆動後、被覆材を取り除き、素子表面に堆積した薄膜を、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡により観察し、Energy Dispersive X-ray Analysis(EDX)、X-ray Diffraction(XRD)、X-ray Photoelectron Spectroscopy(XPS)による構造・組成分析を行った。
図8は、CuSO4水溶液における5分間の素子単独動作後に素子表面を観察した光学顕微鏡写真である。電子放出した部分の表面に、駆動前には存在しなかったCuとみられる薄膜が均一に生成していることがわかる。表面はCuに特有の金属光沢を示した。
形成された薄膜の元素を特定するために、溶液中において20分間のパルス駆動を行ったサンプルに対し、EDXによる分析を行った。その結果を図9に示す。走査電子顕微鏡による表面観察像も図9の挿入図に示している。形成された膜はグレイン構造を有しており、EDXのスペクトルからはCuのピークが明らかに検出されている。この結果は、硫酸銅水溶液中に注入された高エネルギーの電子が、溶液中のCuイオンを直接還元し素子表面にCuを堆積していることを示している。
堆積したCu薄膜についてさらに詳細な構造・組成解析を行うため、40分間のパルス駆動を行って堆積した試料に対して、薄膜に有効なIn-Plane XRD、厚膜用の手法であるOut-Plane XRDの解析を行った。実験条件を以下に示す。
X線源/出力:CuKα線(多層ミラー使用 発散角約0.05°)/50kV 300mA
<In-Plane XRD>
・スリット系:1mmw×10mmh-SS 0.48°-0.1mmw×5mmh-(SPL)-Open-SS 0.41°-Open , Filter Open
・スキャン方式:2θχ/φ連続スキャン
・入射角:0.4°
・測定範囲/測定ステップ/スキャン速度:15°-80°, 0.1°, 2°/min
<Out-Plane XRD>
・スリット系:1mmw×10mmh- 1.0mmw×5mmh -(SPL)- 0.5mmw×5mmh - 1.0mmw , Filter Open
・スキャン方式 :2θχ/φ連続スキャン
・測定範囲/測定ステップ/スキャン速度:15°-85° , 0.1° , 10°/min
図10にIn-Plane XRDの結果を示す。標準粉末回折データと比較した結果、Cu立方晶の (111)、(200)、(220)の回折線が得られた。また、Cu2O立方晶による (111)、(200)、(220)、(311)の回折線も検出された。なお、検出されているSi;(111)、(220)、(311)、(400)とAu;(111)、(200)、(220)、(311)の回折線は、電子源素子の基板と表面電極に由来している。
図11は、Out-Plane XRDによる標準粉末回折データと比較した結果である。In-Plane XRDと同様に、Cu立方晶の (111)、(200)、(220)、Cu2O立方晶による(111)、(200)、(220)、(311)の回折線、また素子基板材料であるSi;(111)、(220)、(311)、(400)と表面電極のAu;(111)、(200)、(220)、(311)の回折線が現れている。
In-Plane XRDとOut-Plane XRDから得られるCuとCu2Oの回折線が同様であることから、Cu、Cu2Oは共に多結晶の状態で存在していると考えられる。電子放出時にはCuのみが析出・成長し、Cu2Oはその後の解析過程に移るさいの自然酸化によって生成されたと考えられる。
さらに、堆積Cu膜中の不純物の有無を同定するために、深さ方向のXPS分析をwideスペクトルにより行った。実験条件を以下に示す。
・使用機器:PHI社製 Quantum-2000
・X線源:単結晶分光AlKα線
・X線出力:40W
・分析領域:φ200μm
・Pass Energy:Wide Scan−187.85eV(1.60eV/Step)
・ジオメトリ:θ=45°(θ:試料表面と検出器との角度)
・Ar+エッチング条件:加速電圧 1kV,raster size 2×2mm,intarval 0.5min/step レート 約2.0nm/min(SiO2の場合)
XPSによる深さ方向の分析結果を図12に示す。試料の作製後から分析機への搬入までの間の表面汚染の影響により、最表面においては一般の試料と同様にC、Sの信号が現れているものの、Cu層が明確に堆積している。深さ方向で減少しているOの信号は、試料を真空チャンバーに導入する際に取り込まれたH2OやO2の影響またはCuの自然酸化によると考えられる。
以上の構造・組成解析から、電子放出時に素子表面に生成される膜は多結晶状の純銅であることが裏付けられた。このことは、作成されたCu薄膜の電気的特性評価の結果(シート抵抗から算出された比抵抗の値が35 μΩ・cm)とも合致する。
CuSO4水溶液では、濃度に応じた電離度に応じた濃度でCu2+と SO4 2-が存在している。電子源素子を動作させると、基板から注入された電子はナノシリコン層で加速されて弾道的に表面側に達した後、数eV以上の平均エネルギーをもって表面金属薄膜をトンネルし、溶液に注入される。その電子は溶液中の銅イオンを還元する反応(Cu2++2e- → Cu)を生起し、その結果Cuが電子放出面上に堆積していく。
Cuの堆積が上記の反応式Cu2++2e- → Cuに従って進むとすると、溶液側に注入される電子の電荷量により、積層されるCuのモル数が算出される。すなわち、注入電流と動作時間から堆積される薄膜の厚さを見積もることができる。図8の実験条件に対応する電子放出電流と実効動作時間から電荷量を算出し、動作面積を考慮して求めたCu薄膜の厚さは30nmで、図8のCu薄膜の厚さとほぼ一致した。これは直接還元による堆積モデルをさらに裏付ける。
実施例1のように、本発明の電子源電極は、水溶液中において対向電極のない単独動作によって、金属薄膜を堆積できる利点がある。この特長を生かし、線幅が異なるパターンで電子放出部を形成した構成で並列的なCu細線形成を行った。素子作製プロセスフローを図13に断面図で示した。
実施例1と同じ基板を用い、同じ条件で陽極酸化と表面処理を行ってナノシリコン層を作製する。その後、ポジ型の電子線レジスト膜をスピンコートし、電子ビーム露光により照射部をエッチング除去してストライプ状に表面Au薄膜が現れるようにし、電子放出部とする。この素子の不要部分を耐水性ワックスで被覆した後、前出図7のようにCuSO4水溶液で単独動作させた。実験では、パルス幅10 s,デューティ比50%の条件で5分間のパルス駆動を行い、素子表面のCu薄膜の構造観察を行った。
図14は動作前後の素子表面のSEMによる表面観察像である。この場合、電子放出部となるAu薄膜を4本の細線状に窓開けし、それらの線幅が50 nm、100 nm、200 nm、400 nmとなるように設計・作成した。作成した素子では、図14(a)のように、設計値の幅でレジスト膜にウインドウが形成され、電子放出面のAu薄膜がラインパターンで現れている。これをCuSO4水溶液で単独動作させた結果、図14(b)のように、電子放出部に対応した幅でCu細線が並列的に一括して堆積されていることがわかる。
本発明による半導体薄膜堆積の実施例として、SiとGeの薄膜堆積を行った実験を図15により説明する。ナノシリコン弾道電子の電子源電極は、表面薄膜電極、ナノシリコン層、ポリシリコン、低抵抗n+型シリコン基板、背面電極で構成される。本実施例では、Al薄膜(厚さ:300 nm)からなる裏面電極を有し、減圧化学気相成長法(LPCVD)によって堆積させたポリシリコン薄膜(1.6 μm)付きのn+-Si(面方位;100、比抵抗;0.018 Ωcm)基板を使用した。
ナノシリコン層は、エタノール希釈HF溶液(55 wt%HF:エタノール=1:1)中において光陽極酸化処理によって形成した。素子の深さ方向に内蔵電界を形成して弾道電子の生成効率を高めるために、陽極酸化電流を時間的に変調して多層構造を作製した。すなわち、陽極酸化の電流密度は、2.5 mA/cm2 ; 2 s, 25 mA/cm2; 4 s, の順に変調することを3回繰り返した。そして、電界効果を強めるために、急速熱酸化処理(900℃, 30 min)を行った。さらに、動作安定性を向上させるために2種類のアニール(高圧水蒸気アニール;HWA,フォーミングガスアニール;FGA)と表面修飾処理(SCM)(残存している準安定なSi−H結合を安定なSi−C結合へ置換)を施した。HWAは260℃、1.3 MPaの水蒸気の下で2 h、FGAは540℃のフォーミングガス(N2:H2 = 97 : 3の混合ガス)中で1 h行った。さらに、SCMとして、90℃の1-Decene溶液中にサンプルを40 min浸した。これらの処理は、電子放出の効率向上と安定化に有効である。最後に、表面電極として、AuとTiの2層からなる金属薄膜(10〜15 nm)を形成し、電子放出面のみが液体に接するように不要部分をテフロン(登録商標)テープで被覆する。電子放出部の有効面積は3×4 mm2である。
実験では、図15(a)のように、電子源素子をSiCl4溶液(99.8%)またはGeCl溶液(99%)の容器に入れ、対向電極なしで単独動作した。駆動には間欠動作方式を用い、パルス幅10 s、デューティ比50%のパルス電圧を印加した(動作時間は30〜60分間)。これらの実験はすべて窒素ガスで置換したグローブボックス内で行った。
溶液中での駆動後、被覆材を取り除き、素子表面に堆積した薄膜を、光学顕微鏡、透過電子顕微鏡(TEM)により断面観察し、Energy Dispersive X-ray Analysis(EDX)、X-ray Diffraction(XRD)、X-ray Photoelectron Spectroscopy(XPS)による構造・組成分析を行った。
図15(b)、(c)は、それぞれ、SiCl4溶液およびGeCl4溶液において電子源素子を40分間動作させた後に素子表面を観察した光学顕微鏡写真である。電子放出した部分の表面に、SiとGeとみられる薄膜が均一に生成されている。
形成された薄膜がSiとGeであることを確認するため、溶液中において間欠駆動を行ったサンプルに対し、断面TEMおよびEDXによる構造・組成分析を行った。その結果を図16および図17に示す。挿入した断面TEM像からわかるように、表面電極上にSiとGeとみられる薄膜が堆積されている。実際に、それぞれのEDXのスペクトルには、SiとGeの信号が認められ、測定前の空気暴露によるとみられるC,Oの信号以外のピークは検出されない。この結果は、電子源から溶液中に注入された高エネルギーの電子が、溶液中のSiおよびGeイオンを直接還元し、素子表面にSiとGeが堆積したことを示している。
堆積したSi,Ge薄膜について構成元素とその電子状態の分析を行うため、堆積した試料表面のXPS分析を行った。その表面分析結果を図18、図19に示す。それぞれSi、Geの信号が明確に検出された。Si、GeのピークエネルギーはOとの結合を反映した値になっている。試料の作製後から分析機への搬入までの間の空気暴露中の自然酸化によると考えられる。またXRDの測定結果からは、結晶化を示す明確な信号は見られなかった。
以上の構造・組成・電子状態解析から、電子放出時に素子表面に生成される膜はアモルファスまたは極微細ナノ結晶のSi、Geであるといえる。
SiCl4、GeCl4溶液では、それぞれの電離度に応じてSi4+、Ge4+と Cl4-が存在している。電子源素子を動作させると、基板から注入された電子はナノシリコン層で加速されて弾道的に表面側に達した後、数eVの平均エネルギーをもって表面金属薄膜をトンネルし、溶液に注入される。その電子は溶液中のSiイオンおよびGeイオンを還元する反応(Si4++4e-→Si、Ge4++4e-→Ge)を生起し、その結果SiとGeの薄膜が電子放出面上に堆積していく。このモデルは、標準電極電位に対するSiイオンとGeイオンの還元反応電位と注入電子エネルギーとの相対関係から見ても妥当である。
SiとGeの堆積が上記の反応式に従って進むとすると、溶液側に注入される電子の電荷量により、堆積されるSiとGeのモル数が算出される。すなわち、注入電流と動作時間から堆積される薄膜の厚さを見積もることができる。本実験条件に対応する電子放出電流と実効動作時間から電荷量を算出し、動作面積を考慮して求めたSi薄膜およびGe薄膜の厚さは、図16、図17の断面TEM写真から測定されるSi、Ge薄膜の厚さとほぼ一致した。これは直接還元による堆積モデルをさらに裏付ける。
本発明は、ナノシリコン素子から溶液に放出される弾道電子の強い還元力を利用して物質の生成・堆積を行う技術である。具体的には、ナノシリコン弾道電子源を溶液中で単独動作させ、溶液中に注入した高エネルギーの電子によって溶液中の物質イオンを還元し、電子源素子の電子放出部表面に特定の金属または半導体を析出、ないし薄膜状や細線状に形成する。電子源を応用する媒質が拡大され、固体物質生成、固体薄膜堆積の分野に新規技術をもたらす。同時に、素子のプロセス技術にも適用可能で、エレクトロニクス、材料、太陽電池、MEMS、光応用、バイオ応用などの分野に革新をもたらす技術を提供する。

Claims (12)

  1. 背面電極を有する基板と、その基板上または基板の表面側部分に形成された電子ドリフト層、電子トンネル層、またはそれらを組み合わせた層、さらにその電子ドリフト層、電子トンネル層、またはそれらを組み合わせた層上に形成された表面電極を備え、その表面電極に形成された所定形状の電子放出面から弾道電子または準弾道電子を液体または液相物質中に放出する電子源電極を用い、
    対向電極および参照電極を設けないで、前記電子源電極を、形成すべき固体薄膜を構成する固体元素のイオンを含む溶液中に浸漬して動作させ、
    前記電子源電極の電子放出面上に固体薄膜を形成することを特徴とする固体薄膜の形成方法。
  2. 前記電子源電極を、対向電極および参照電極なしにそれぞれ異なる固体元素イオンを含む異なる溶液に順次浸漬し、放出電子のエネルギーを各溶液中の固体元素イオンの還元電位に整合するように制御して単独駆動させ、前記電子源電極の電子放出面上に異種の固体薄膜を順次または周期的に積層形成することを特徴とする請求項1に記載の固体薄膜の形成方法。
  3. 前記固体元素イオンが金属イオンであることを特徴とする請求項1または2に記載の固体薄膜の形成方法。
  4. 前記金属イオンの固体薄膜形成により前記液体または液相物質中の前記金属イオンを除去し、前記液体または液相物質を清浄化させることを特徴とする請求項に記載の固体薄膜の形成方法。
  5. 前記固体元素イオンが半導体イオンであることを特徴とする請求項1または2に記載の固体薄膜の形成方法。
  6. 前記半導体イオンの固体薄膜形成により前記液体または液相物質中の前記半導体イオンを除去し、前記液体または液相物質を清浄化させることを特徴とする請求項に記載の固体薄膜の形成方法。
  7. 前記電子源電極として、前記電子放出面がパターン化され、個別に駆動する電子源電極を用いることを特徴とする請求項1ないし6のうちのいずれか一項に記載の固体薄膜の形成方法。
  8. 前記電子源電極として、表面電極および背面電極がそれぞれストライプ状に形成され、かつマトリクス状に配置され、単純マトリクス駆動する電子源電極を用いることを特徴とする請求項1ないし6のうちのいずれか一項に記載の固体薄膜の形成方法。
  9. 前記電子源電極として、基板が、半導体基板または導電性基板である電子源電極を用いることを特徴とする請求項1ないし8のうちのいずれか一項に記載の固体薄膜の形成方法。
  10. 前記電子源電極として、基板が、ガラス基板またはプラスチック基板である電子源電極を用いることを特徴とする請求項1ないし8のうちのいずれか一項に記載の固体薄膜の形成方法。
  11. 前記電子源電極に光を照射する光照射手段を設け、前記光照射手段による光照射により発生電子量を制御して固体薄膜を形成することを特徴とする請求項1ないし10のうちのいずれか一項に記載の固体薄膜の形成方法。
  12. 前記電子源電極として、少なくとも表面電極の電子放出面が露出するように被覆材により被覆され、液体または液相物質と接する表面電極の電子放出面より弾道電子または準弾道電子を前記液体または液相物質中に放出する電子源電極を用いることを特徴とする請求項1ないし11のうちのいずれか一項に記載の固体薄膜の形成方法。
JP2011552800A 2010-02-02 2011-02-02 電子源電極を用いた固体薄膜の形成方法 Active JP5649007B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011552800A JP5649007B2 (ja) 2010-02-02 2011-02-02 電子源電極を用いた固体薄膜の形成方法

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010021463 2010-02-02
JP2010021463 2010-02-02
JP2011552800A JP5649007B2 (ja) 2010-02-02 2011-02-02 電子源電極を用いた固体薄膜の形成方法
PCT/JP2011/052157 WO2011096439A1 (ja) 2010-02-02 2011-02-02 電子源電極を用いた固体薄膜の形成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2011096439A1 JPWO2011096439A1 (ja) 2013-06-10
JP5649007B2 true JP5649007B2 (ja) 2015-01-07

Family

ID=44355434

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011552800A Active JP5649007B2 (ja) 2010-02-02 2011-02-02 電子源電極を用いた固体薄膜の形成方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5649007B2 (ja)
WO (1) WO2011096439A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5914909B2 (ja) * 2012-02-10 2016-05-11 国立大学法人東京農工大学 ナノクリスタルシリコン電子エミッタアレイ電子源の構造及びその製造方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000283716A (ja) * 1999-03-29 2000-10-13 Chuo Seiki Kk 相対位置計測装置
JP2000328289A (ja) * 1999-05-17 2000-11-28 Fuji Xerox Co Ltd 電着膜形成方法、電極形成方法および電着膜形成装置
JP2005285380A (ja) * 2004-03-26 2005-10-13 Quantum 14:Kk ダイオード素子およびそれを用いた装置
JP2008098119A (ja) * 2006-10-16 2008-04-24 Tokyo Univ Of Agriculture & Technology 電子源電極とそれを用いた液中電子放出装置および水素発生方法
JP2009052130A (ja) * 2007-07-31 2009-03-12 Primary:Kk 電解技術を用いて、金属ゲルマニウムの薄膜を形成する方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000283716A (ja) * 1999-03-29 2000-10-13 Chuo Seiki Kk 相対位置計測装置
JP2000328289A (ja) * 1999-05-17 2000-11-28 Fuji Xerox Co Ltd 電着膜形成方法、電極形成方法および電着膜形成装置
JP2005285380A (ja) * 2004-03-26 2005-10-13 Quantum 14:Kk ダイオード素子およびそれを用いた装置
JP2008098119A (ja) * 2006-10-16 2008-04-24 Tokyo Univ Of Agriculture & Technology 電子源電極とそれを用いた液中電子放出装置および水素発生方法
JP2009052130A (ja) * 2007-07-31 2009-03-12 Primary:Kk 電解技術を用いて、金属ゲルマニウムの薄膜を形成する方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2011096439A1 (ja) 2013-06-10
WO2011096439A1 (ja) 2011-08-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Smith et al. Rapid scalable processing of tin oxide transport layers for perovskite solar cells
Balasubramanyam et al. Area-selective atomic layer deposition of two-dimensional WS2 nanolayers
Ahmad et al. Chemically synthesized one-dimensional zinc oxide nanorods for ethanol sensing
Hou et al. Hot electron-driven photocatalytic water splitting
Den Heijer et al. Patterned electrochemical deposition of copper using an electron beam
Liu et al. Effect of Multilayer versus Monolayer Dodecanethiol on Selectivity and Pattern Integrity in Area-Selective Atomic Layer Deposition
de Melo et al. Local structure and point-defect-dependent area-selective atomic layer deposition approach for facile synthesis of p-Cu2O/n-ZnO segmented nanojunctions
Seong et al. Roughness of Ti substrates for control of the preferred orientation of TiO2 nanotube arrays as a new orientation factor
Shi et al. Chemical bath deposition of ZnO on functionalized self-assembled monolayers: selective deposition and control of deposit morphology
Hou et al. High-temperature stable plasmonic and cavity resonances in metal nanoparticle-decorated silicon nanopillars for strong broadband absorption in photothermal applications
Bazri et al. A heteroelectrode structure for solar water splitting: integrated cobalt ditelluride across a TiO 2-passivated silicon microwire array
Lamberti et al. Sponge-like ZnO nanostructures by low temperature water vapor-oxidation method as dye-sensitized solar cell photoanodes
Dogan et al. Bayesian machine learning for efficient minimization of defects in ald passivation layers
JP5649007B2 (ja) 電子源電極を用いた固体薄膜の形成方法
Ohta et al. Thin Cu film deposition by operation of nanosilicon ballistic electron emitter in solution
Koshida et al. Emerging functions of nanostructured porous silicon—With a focus on the emissive properties of photons, electrons, and ultrasound
Coffey et al. Vacuum ultraviolet-enhanced oxidation—A route to the atomic layer etching of palladium metal
Kumar et al. Morphology and time resolved photoluminescence of electrochemically synthesized zinc oxide nanowires
Masuda et al. Site-selective deposition of In2O3 using a self-assembled monolayer
Fang et al. Homoepitaxial growth on semiconductor nanocrystals for efficient and stable visible-light photocatalytic hydrogen evolution
TW201321560A (zh) 用於構成金屬導體結構的方法
Zhang et al. VUV light-induced decomposition of palladium acetate films for electroless copper plating
Sarswat et al. Surface Texture-Induced Enhancement of Optical and Photoelectrochemical Activity of Cu 2 ZnSnS 4 Photocathodes
Nam et al. Thermal Atomic Layer Etching of Zinc Sulfide Using Sequential Trimethylaluminum and Hydrogen Fluoride Exposures: Evidence for a Conversion Mechanism
Mizuno et al. Light and shadow effects in the submerged photolytic synthesis of micropatterned CuO nanoflowers and ZnO nanorods as optoelectronic surfaces

Legal Events

Date Code Title Description
A529 Written submission of copy of amendment under article 34 pct

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A5211

Effective date: 20120615

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120907

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121225

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20131210

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20131210

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20141007

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20141104

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5649007

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250