JP5637528B2 - 核酸リガンド複合体 - Google Patents
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Description
本発明は、セレックス(SELEX)法により核酸リガンドを同定し、この核酸リガンドを親油性化合物または非免疫原性高分子量化合物と結合させることによって核酸と親油性化合物または非免疫原性高分子量化合物からなる治療用または診断用複合体を製造する方法に関する。本発明はさらに、核酸リガンドを親油性化合物または非免疫原性高分子量化合物に結合させて複合体を形成させることによって、核酸リガンドの薬物動態学的性質を改良することに関する。本発明はさらに、核酸リガンドと親油性化合物または非免疫原性高分子量化合物からなる複合体に治療用または診断用物質を結合させることにより上記治療用または診断用物質を特定の予め定められた生物学的標的に対してターゲッティングする方法において、核酸リガンドは上記特定の予め定められた標的と結合したセレックス標的を有し、核酸リガンドは複合体の外部に結合されている方法に関する。本発明はまた、1または2以上の核酸リガンドが親油性化合物または非免疫原性高分子量化合物と結合してなる複合体も包含する。
A.セレックス
核酸は一義的に情報的役割を有するというのが長年にわたり定説であった。セレックスと呼ばれ、指数関数的濃縮によるリガンドの系統的発生法(Systematic Evolution of Ligands by EXponential enrichment として知られる方法によって、核酸はタンパク質と違わない三次元構造的多様性を有することが明らかにされてきた。セレックスは、標的分子に対して高度に特異的な結合性を有する核酸分子のインビトロ発生法であり、1990年06月11日に出願されて現在は放棄された米国特許出願一連番号第07/536,428号(発明の名称:Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)、1991年06月10日に出願された米国特許出願一連番号第07/714,131号(発明の名称:Nucleic Acid Ligands)、現在は米国特許第5,475,096 号、1992年08月17日に出願された米国特許出願一連番号第07/931,473号(発明の名称:Nucleic Acid Ligands)、現在は米国特許第5,270,136 号(PCT/ US91/04078も参照)に記載されている。これらはいずれも引用により本明細書にとくに導入される。本明細書においては包括的にセレックス特許出願と呼ばれるこれらの各出願には、任意所望の標的分子に対する核酸リガンドを作成する基本的に新規な方法が記載されている。セレックス法では、それぞれがユニークな配列を有し、所望の標的化合物または分子に特異的に結合する性質を有し、核酸リガンドと呼ばれる1群の生成物が提供される。セレックスで同定された核酸リガンドはそれぞれ与えられた標的化合物または分子の特異的なリガンドである。セレックスは、核酸が実際にモノマーであれポリマーであれ任意の化学的化合物のリガンドとして作用(特異的結合ペアの形成)するのに十分多様な二次元および三次元構造の形成能ならびにそのモノマー内に利用可能な十分の化学的多様性を有するというユニークな洞察に基づくものである。任意のサイズまたは組成の分子が標的になりうる。
脂質二重層小胞は、極性(親水性)および非極性(親油性)部分を有する個々の分子から主として形成される、閉鎖され、液体が充填された顕微鏡的な球体である。親水性部分は、ホスファト、グリセリルホスファト、カルボキシ、スルファト、アミノ、ヒドロキシ、コリンまたは他の極性基から構成できる。親油性基の例には飽和または不飽和炭化水素たとえばアルキル、アルケニルまたは他の脂質基がある。ステロール(たとえばコレステロール)および他の医薬的に許容されるアジュバント(α− トコフェロールのような酸化防止剤を包含する)も小胞の安定性の改良または他の所望の性質の付与のため包含させることができる。
多くの薬物および造影剤が治療的または診断的可能性をもつためにはそれらが生体内の適当な場所に送達されることが必要であり、したがって、リポソームは注射により持続放出および特定の細胞タイプまたは生体部分への薬物送達の基盤を容易に形成することができる。封入された薬物を選択された宿主組織に標的化し感受性の組織から隔離するためにはリポソームを用いる幾つかの技術を採用することができる。これらの技術には、リポソームのサイズ、それらの正味表面電荷およびそれらの投与経路の操作が包含される。MLVは主としてそれらが比較的大きいために、細網内皮系(主として、肝臓および脾臓)によって通常、迅速に取り込まれる。一方、UVは、MLVに比較して循環時間の増大、クリアランス速度の低下および生物分布の上昇を示すことが見出されている。
選ばれた標的領域に対してリポソームを能動的に方向づけるために用いられる2つの通常の方法には、リポソームの表面への抗体または特異的な受容体リガンドの付着がある。抗体はそれらの相当する抗原に高度な特異性を有することが知られていてリポソームの表面に結合されてきたが、結果は多くの場合あまり成功していない。しかしながら、抗体を用いないでリポソームを腫瘍に標的化する一部の努力は成功している(たとえば米国特許第5,019,369号参照)。
リポソームによる封入はオリゴヌクレオチドを分解酵素から保護し、リポソームの貪食の結果として、循環半減期は増大し、取り込み効率は上昇する。
本発明は、核酸リガンドと親油性化合物または非免疫原性高分子量化合物からなる治療用または診断用複合体を製造する方法において、核酸候補混合物から与えられた標的のリガンドである核酸リガンドを(a)核酸候補混合物を標的と接触させ、(b)上記候補混合物のメンバーを標的に対する親和性に基づいて分配し、ついで(c)選ばれた分子を増幅させて標的に対する結合親和性が比較的に高い核酸配列が濃縮された核酸混合物を得る方法によって同定し、この同定された核酸リガンドを親油性化合物または非免疫原性高分子量化合物と結合させることからなる方法を提供する。
他の実施態様においては、本発明は患者における特定の予め定められた生物学的標的に対して治療用または診断用物質をターゲッティングする方法において、治療用または診断用物質を核酸リガンドと親油性化合物または非免疫原性高分子量化合物からなる複合体に結合させ、この核酸リガンドは特定の予め定められた生物学的標的に結合したセレックス標的を有し、核酸リガンドは複合体の外部に結合されていて、この複合体を患者に投与することからなる方法を提供する。
定義:
「共有結合」は電子の共有によって形成される化学結合である。
本発明の目的において「脂質構築体」とは脂質、リン脂質またはそれらの誘導体を含有し、脂質が水性懸濁液中で採用することが知られている多様な異なる構造配列からなる構造である。これらの構造は、それらに限定されるものではないが脂質二重層小胞、ミセル、リポソーム、エマルジョン、脂質リボンまたはシートを包含し、様々な薬物および医薬的に許容されることが知られているアジュバントと複合体を形成させることができる。通常のアジュバントとしては、とくにコレステロールおよびα−トコフェロールがある。脂質構築体は単独でまたは本技術分野の熟練者には周知の任意の組合せで特定の適用に望ましい特性を提供する。さらに、脂質構築体およびリポソーム形成の技術的側面は本技術分野においては周知であり、本分野において一般に実用化されている任意の方法が本発明に使用できる。
このような修飾にはそれらに限定されるものではないが、2’−位置の糖修飾、5−位置のピリミジン修飾、8−位置のプリン修飾、環外アミンの修飾、4−チオウリジンの置換、5−ブロモまたは5−ヨードウラシルの置換、骨格の修飾たとえばヌクレオシド間ホスホロチオエート連鎖、メチル化、イソ塩基のイソシチジンとイソグアニジンのような異常な塩基対合の組合せ等が包含される。修飾にはまた、3’と5’の修飾たとえばキャッピングも包含される。
「セレックス」法は、標的と所望の様式で相互作用するたとえばタンパク質に結合する核酸リガンドの選択と、これらの選ばれた核酸の増幅の組合せを包含する。選択/増幅工程の反復サイクリングにより、多数の核酸を含有するプールから標的に最も強力に相互作用する1個もしくは少数の核酸の選択が可能になる。選択/増幅操作のサイクリングは選択された最終目標が達成されるまで続ける。本発明においては、セレックス法は所望の標的に対する核酸リガンドを得るために採用される。
「セレックス標的」とは、そのリガンドが望まれる任意の関心化合物または分子を意味する。標的は、タンパク質(たとえば、VEGF,トロンビン、およびセレクチン)、ペプチド、炭水化物、多糖、糖タンパク質、ホルモン、受容体、抗原、抗体、ウイルス、基質、代謝物、遷移状態アナログ、補因子、阻害剤、薬物、染料、栄養物、増殖因子等とすることができ、制限はない。「セレックス標的」および「標的」の語は本明細書においては相互に交換して使用できる。文章の内容から「標的」が「セレックス標的」を意味するか否かは明白である。
「スペーサー」は、1または2以上の分子実体の機能的性質が保存されるように2個以上の分子実体の空間的分離を可能にするサイズのリンカーである。
核酸リガンドは同一のまたは異なるセレックス標的に向けることができる。多重核酸リガンドが同一のセレックス標的に向けられる実施態様においては、セレックス標的との多重結合相互作用により結合活性が上昇する。さらに、複合体が1個または2個以上の他の核酸リガンドに結合した核酸リガンドから構成される本発明の実施態様においては、複合体の薬物動態学的性質は1個の核酸リガンド単独の場合に比べて改善される。
大きな親水性分子をリポソーム中に封入することを所望の場合には、大きな単ラメラ小胞をたとえば相転換蒸発(reverse−phase evaporation;REV)または溶媒注入法のような方法によって形成させることができる。リポソームの形成のための他の標準方法には、本技術分野においてたとえば米国特許第4,753,788号に記載されたホモジェニゼーション操作を含むリポソームの工業的製造方法、ならびに米国特許第4,935,171号に記載の薄層フィルム蒸発法が知られている。これらの特許出願は引用により本明細書に導入される。
親油性化合物または非免疫原性高分子量化合物に結合した核酸リガンド(単数または複数)では、非結合核酸リガンド(単数または複数)に比較して核酸リガンド(単数または複数)の細胞内送達が増大する。複合体の細胞への送達効率はリポソームと細胞の膜の融合を増強することが知られている脂質処方および条件を用いることにより至適化される。たとえば、ある種の陰性に荷電した脂質たとえばホスファチジルグリセロールおよびホスファチジルセリンは、とくに他のフゾゲン(たとえば、Ca2+のような多価陽イオン、遊離脂肪酸、ウイルス融合タンパク質、短鎖PEG,リゾセレクチン、界面活性剤)の存在下に融合を促進する。ホスファチジルエタノールアミンも膜融合を増強するためにリポソーム処方に包含させることが可能であり、同時に細胞送達を増大させる。さらに、遊離脂肪酸および、たとえばカルボキシレート残基を含有するその誘導体は、高いpHまたは中性では陰性に荷電し、低いpHではプロトン化されるpH−感受性リポソームの製造に使用できる。このようなpH−感受性リポソームは高い融合傾向を有することが知られている。
1)異なる配列の核酸の候補混合物を調製する。候補混合物は一般に、固定された配列の領域(すなわち、候補混合物の各メンバーは同一の位置に同一の配列を含有する)および無作為化された配列の領域を含有する。固定された配列領域は、(a)以下に記載する増幅工程を補助するため、(b)標的に結合することが既知の配列を模倣するため、または(c)候補混合物中の与えられた構造アレンジメントの核酸の濃度を増大させるために選択される。無作為化配列は全体的に無作為化されていても、すなわち、任意の位置にある塩基が見出される確率は1/4 である)また部分的に無作為化されていてもよい(たとえば、任意の位置にある塩基が見出される確率は0〜100%の任意のレベルで選択できる)。
コレステロールは、核酸リガンドがリポソームの内部または外部に突出するような様式でリポソームの膜に結合させることができる。核酸リガンドが複合体の外部に突出している実施態様においては核酸リガンドは標的化能によって働く。
この実施例では、核酸リガンドの脂質および/またはPEGまたはジアシルグリセロールまたはジアルキルグリセロールとの接合、ならびにホスホロアミダイトもしくはH−ホスホネートカップリング化学を用いる自動合成による薬物動態学的修飾物質の導入を説明する。以下に示す反応図中、実線の矢印は完成した工程を示し、点線の矢印は未完成の工程を示す。反応図1は、スルフヒドリル−修飾オリゴヌクレオチド基質にカップリングするためのジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンマレイミド試薬の調製を示す。この操作は、単純な脂肪族ジおよびトリアミン基質からビスおよびトリス−マレイミド試薬の製造のためにCheronis ら[Cheronis,J.C.ら,J.Med.Chem.(1992)35:1563−1572]によって報告された操作と同様である。リン脂質のメトキシカルボニルマレイミドでの処理により、性質未決定の中間体の形成が起こり、これはスルフヒドリル−修飾オリゴヌクレオチドとインキュベーションすると、オリゴヌクレオチドのジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン接合体への完全な変換が起こる(下記参照)。同様の試薬はAvanti Polar Lipidsから市販品も入手できる。
反応図1
反応図2
反応図5
200mg(0.289ミリモル)のDPPEおよび54mg(0.347ミリモル)のメトキシカルボニルマレイミドの10mlTHF/飽和NaHCO3溶液(1:1)中懸濁液を室温で攪拌した。12時間後、混合物を100mlのEtOAcで処理し、有機相(生成物のゼラチン状懸濁液を含有する)を水相から分離した。有機相を真空中で濃縮し、MeOHと2回共蒸発させ、得られた白色の固体をEtOAcと3回磨砕した。この物質はさらに分析または精製することなく、オリゴヌクレオチド接合実験に用いた(下記参照)。
テトラエチレングリコールジメトキシトリチルエーテル(2):テトラエチレングリコール(76.4mL,0.44モル)を300mLの無水ピリジンに溶解し、0℃に冷却した。4,4’−ジメトキシトリチルクロリド(15g,0.044モル)を固体として、攪拌しながら添加した。反応フラスコを乾燥管で覆い、反応混合物を一夜放置して温度を室温まで上昇させた。反応混合物を真空中、低い温度(<30℃)で濃縮した。残留物を300mLの酢酸エチルで希釈し、3×300mLの水で抽出した。水層を合わせて酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせて硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。粗製の残留物を1000mLのシリカゲル(5%トリエチルアミン含有ヘキサンでカラムに湿式充填)を用い、5%トリエチルアミン含有ヘキサン中10−20−40−60−80%酢酸エチルついで5%トリエチルアミン含有酢酸エチルで溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。19.51g(89%)の2が、金色の油状物として収集された。1HNMR(300MHz,CDCl3)δ 7.47−7.16(重複シグナル,9H),6.79(d,4H),3.72(s,6H),3.66−3.62(m,2H),3.22(t,J=5.22Hz,1H),2.96(br t,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 158.12,144.86,136.04,129.81,127.93,127.49,126.40,112.78,85.67,72.31,70.48,70.44,70.12,62.89,61.39,54.89;低分解能MS m/eC15H25O7S(M− DMT+ 1+)での計算値 349.167,分析値 349.1.
テトラエチレングリコールジメトキシトリチルエーテルp− トルエンスルホネート(3):化合物2(5.0g,10.06ミリモル)を50mLの無水ジクロロメタンに溶解し、0℃に冷却した。トリエチルアミン(18.2mL,13.1ミリモル)、ついでp−トルエンスルホニルクロリド(1.92g,10.06ミリモル)を固体として攪拌しながら添加した。反応混合物を一夜冷蔵庫に保存した。TLC分析は反応がほぼ80%完了したことを示した。さらに、0.5当量のトリエチルアミンおよび0.5当量のp−トルエンスルホニルクロリドを加え、反応混合物を室温で一夜攪拌した。反応混合物をセライトを通してろ過し、濃縮した。残留物を300mLのシリカゲル(5%トリエチルアミン含有ヘキサンでカラムに湿式充填)を用い、5%トリエチルアミン含有ヘキサン中25−50−75%酢酸エチルついで5%トリエチルアミン含有酢酸エチルで溶出させるフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。5.7g(87%)の3が橙色の油状物として収集された。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.75(d,2H),7.44−7.12(m,11H),6.78(d,4H),4.12−4.09(m,2H),3.73(s,6H),3.66−4.54(m,13H),3.22(t,J=3.87Hz,2H),2.41(s,3H),
テトラエチレングリコールモノトシレート(2a):テトラエチレングリコール(200mL,1.15モル)を500mLのピリジンに溶解し、0℃に冷却し22.0g(0.115モル)のp−トルエンスルホニルクロリドで処理した。溶液が完成したならば、反応混合物を冷蔵庫中に一夜放置し、ついで真空中で濃縮した。残留物を800mLのEtOAcで希釈し、3×600mLのH2Oにより抽出した。H2O分画をEtOAcで逆抽出し、EtOAc分画を合わせて飽和Na2HPO4水溶液で抽出した。有機層をMgSO4上で乾燥し、濃縮すると、無色の油状物が得られた。この油状物を800mLのシリカゲルを使用してフラッシュクロマトグラフィーに付し、ヘキサン中25%EtOAc−50%EtOAc,ついでEtOAc,ついでEtOAc中10%MeOH−20%MeOHで溶出して精製すると23.7g(60%)の純粋な生成物および微量の不純物含有生成物(11%)が得られた。2a:1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.77(d,J=8.1Hz,2H),7.32(d,J=8.1Hz,2H),4.13(t,J=4.8Hz,2H),3.68−3.53(m,14H),2.58(t,J=5.6Hz,1H),2.42(s,3H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 168.2,158.3,144.8,135.9,133.8,132.0,129.9,128.0,127.7,126.6,123.1,113.0,85.9,73.0,70.6,70.4,70.0,69.7,67.8,64.4,55.1,37.1;低分解MS m/eC15H24O8S(M+1)として349.1.
テトラエチレングリコールモノフタルイミド(3a):400mLの無水DMF中31.96g(0.092モル)の2aの溶液を攪拌しながら、これに14.2g(1.05当量)のフタルイミドおよび14.4mL(1.05当量)の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンを加えた。この溶液を70℃に18時間加熱し、真空中において濃縮した。粗製の黄色油状物を1600mLのシリカゲルを用いてフラッシュクロマトグラフィーに付し、ヘキサン中25%EtOAc−50%EtOAc,EtOAc,ついでEtOAc中10%MeOH−20%MeOHで溶出して精製すると、23.8g(80%)の3aが油状物として得られた。放置すると3aは蝋状の白色固体となった。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.84−7.78(m,2H),7.70−7.66(m,2H),3.86(t,J=5.6Hz,2H),3.70(t,J=5.6Hz,2H),3.64−3.51(m,12H),2.67(bs,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 168.2,133.8,132.0,123.1,72.4,70.5,70.4,70.2,70.0,67.8,61.6,37.2.
化合物4aの合成:150mLのTHFおよび15mLのDMF中15g(0.0464モル)の3aの溶液をAr下に0℃に冷却した。この溶液にアリルブロミド(6.0mL,1.5当量)、ついで1.76g(1.5当量)のNaHを固体として加えた。不透明な黄色の懸濁液を0℃で30分間ついで室温で18時間攪拌した。50〜100mLのMeOHを加えて濃縮しついで混合物を真空中で濃縮した。粗製の物質を1500mLのシリカゲルを用いフラッシュクロマトグラフィーに付し、ヘキサン中25%EtOAc−50%EtOAc−75%EtOAcついでEtOAcついでEtOAc中10%MeOHで溶出すると、11.05g(65%)の4aが黄色油状物として得られた。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.84−7.80(m,2H),7.72−7.67(m,2H)5.94−5.84(m,1H),5.28−5.14(m,2H),3.99(d,J=5.61Hz,2H),3.88(t,J=5.85Hz,2H),3.72(t,J=5.76Hz,2H),3.64−3.54(m,13H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 168.2,134.6,133.7,131.9,123.0,116.9,72.0,70.4,69.9,69.2,67.7,37.0.
(S)−(+)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル−4−イルメチル(ジメトキシトリチル)テトラエチレングリコール(5):焔で乾燥したフラスコに水素化ナトリウム(0.56g,23.5ミリモル)を秤量し、70mL の無水テトラヒドロフランおよび15mLの無水N,N−ジメチルホルムアミドを加えた。この懸濁液をアルゴン下0℃に冷却し、シリンジを介して(S)−(+)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール(2.7mL,21.7ミリモル)を滴下して加えた。0℃で30分間攪拌したのち、15mLのテトラヒドロフラン中化合物3(11.7g,18.1ミリモル)を滴下ろ斗を通して滴下して加えた。反応混合物を室温で一夜攪拌し、100mLの飽和炭酸水素ナトリウムで反応を停止させ、300mLのジエチルエーテルで希釈した。層を分離し、エーテル層を300mLの水で3回抽出した。エーテル層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。残留物を500mLのシリカゲルを用いてフラッシュクロマトグラフィーに付し、最初にヘキサン、ついでヘキサン中10−20−30−40−50−75%酢酸エチル、ついで酢酸エチルで溶出して精製した。8.93g(82%)の5が無色の油状物として収集された。1H NMR(CDCl3)δ 7.46−7.43(m,2H),7.34−7.17(m,7H),6.78(d,4H),4.23(pentet,J=6.1Hz,1H),4.00(t,8.2H),3.75(s,6H),3.71−3.60(m,15H),3.53(dd,J=10.0,5.7Hz,1H),3.52(10.4,J=5.2Hz,1H),1.39(s,3H),1.33(s,3H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 158.24,144.97,136.20,129.93,128.07,127.61,126.51,112.89,109.21,85.77,74.57,72.20,70.82,70.59,70.40,69.68,66.67,63.01,55.04,26.67,25.29; 低分解MS m/eC35H50O9N(M+NH4 +)として計算値 628.399,分析値 628.5.
(S)−(+)−2,2−ジメチル−1,3− ジオキソラニル−4− イルメチルテトラエチレングリコール(6):100mLの80%酢酸を0℃に冷却し、ついで化合物5(6.6g,10.8ミリモル)を加えた。澄明な橙色の溶液を0℃で1時間攪拌した。メタノール(100mL)を加え、反応混合物を真空中低い温度(<30℃)で濃縮した。残留物を200mLのシリカゲルを用いてフラッシュクロマトグラフィーに付し、最初に酢酸エチル、ついで酢酸エチル中5−10−15−20%メタノールで溶出して精製した。2.5g(74%)の6が無色油状物として収集された。1H NMR(CDCl3)δ4.21(pentet,J=6.2 Hz,1H),4.08(dd,J=5.9,4.8Hz,1H),3.82−3.35(m,19H),2.93(br s,1H),1.34(s,3H),1.28(s,3H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 109.20,74.50,72.42,72.14,70.76,70.39,70.32,70.14,66.63,61.48,26.61,25.23;低分解能MS m/e C35H50O9N(M+NH4 +)として計算値 628.399,分析値 628.5.
(S)−(+)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル−4−イルメチル(フタルイミド)テトラエチレングリコール(8):アルコール6(4.06g,13.2ミリモル)を無水ジクロロメタン50mLに溶解し、0℃に冷却した。トリエチルアミン(3.7mL,26.3ミリモル)、ついでp−トルエンスルホニルクロリド(3.26g,17.1ミリモル)を加えた。反応フラスコを乾燥管で保護し、反応混合物を一夜放置して温度を室温まで上昇させた。反応混合物をセライトを通してろ過し、ろ液を真空中で濃縮した。粗製の物質を400mLのシリカゲル上フラッシュクロマトグラフィーに付し、最初にヘキサン中10%酢酸エチル、ついで20−40−60−80−100%酢酸エチル、ついで酢酸エチル中10%メタノールで溶出して精製した。中間体のトシレート5.21g(85%)が、金色の油状物として収集された。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.79(d,J=8.1Hz,2H,トシル芳香族),7.32(d,J=8.1Hz,2H,トシル芳香族),4.25(pentet,J=6.0Hz,1H),4.13(t,4.7H),4.02(dd,J=8.12,6.4Hz,1H),3.71−3.40(m,18H),2.42(s,3H),1.46(s,3H),1.34(s,3H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 144.74,133.1,129.76,127.91,109.8,74.63,72.27,70.89,70.68,70.52,70.44,69.19,68.60,66.74,64.1,26.73,25.34,21.59;低分解MS m/e C21H38O9NS(M+NH4 +)として計算値 480.364,分析値 480.2.このトシレート(5.2g,11.24ミリモル)を60mLの無水ジメチルホルムアミドに溶解した。1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(1.7mL,11.24 ミリモル)、ついでフタルイミド(1.65g,11.24ミリモル)を加えた。反応混合物を70℃に一夜加熱した。反応混合物を真空中で濃縮し、400mLのシリカゲルを用いてフラッシュクロマトグラフィーに付し、ヘキサン中50%酢酸エチルで溶出して精製した。3.96g(81%)の8が無色油状物として収集された。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.83−7.79(m,2H),7.72−7.68(m,2H),4.26(pentet,J=6.0Hz,1H),4.03(dd,J=8.2,6.5Hz,1H),3.88(t,J=5.8Hz,1H),3.74−3.44(m,18H),1.39(s,1H),1.33(s,3H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 168.21,133.88,132.10,123.19,109.33,74.66,72.30,70.90,70.52,70.04,67.87,66.79,37.19,26.75,25.37;低分解MS m/e C22H35O8N2(M+NH4 +)として計算値 455.288,分析値 455.2.
1−ジメトキシトリチル−3−(フタルイミドテトラエチレングリコリル)−sn−グリセロール(9):反応図2に従い、化合物9を以下のように合成する。アセチル8(5.16g,11.8ミリモル)を無水メタノール 100mLに溶解し、無水p−トルエンスルホン酸(100mg)を加えた。反応フラスコを乾燥管で保護し、反応混合物を室温で2.5時間攪拌し、ついで無水ピリジン10mLを加えて中和し、真空中で濃縮し、無水ピリジンと共蒸発させた。得られたジオールをついで150mLの無水ピリジンに溶解し、0℃に冷却した。4,4’−ジメトキシトリチルクロリド(4.39g,13ミリモル)を固体として加えた。反応フラスコを乾燥管で保護し、反応混合物を一夜放置して温度を室温に上昇させた。メタノール(50mL)を加え、反応混合物を真空中で濃縮した。粗製の物質を700mLのシリカゲル(ヘキサン中5%トリエチルアミンによりカラムに湿式充填)を用い、フラッシュクロマトグラフィーに付し、最初にヘキサン中10%酢酸エチル(5%トリエチルアミン含有)、ついで20−40−60−80−100%酢酸エチル(5%トリエチルアミン含有)で溶出して精製した。6.98g(82%)の9が淡黄色の油状物として収集された。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.80(dd,J=5.4,3.1 Hz,2H),7.68(dd,J=5.4,3.1Hz,2H),7.42−7.14(m,9H,DMT),6.79(d,4H,DMT),3.95(br m,1H),3.86(t,J=5.9Hz,1H),3.75(s,6H),3.70(t,J=5.6Hz,1H),3.63−3.37(m,18H),3.16(m,2H),2.84(br d,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 168.15,158.32,144.79,135.95,133.82,132.02,129.95,128.04,127.69,126.64,123.12,112.97,85.89,72.97,70.64,70.43,69.97,69.74,67.80,64.34,55.10,37.14; 低分解MS m/e C40H49O10N2(M+NH4 +)として計算値 717.398,分析値 715.5.
反応図3に従い、化合物9は以下の通り合成した。100mLのアセトンおよび1mLのH2O中4a(10.13g,0.0279ミリモル)の溶液を攪拌しながらこれに3.98g(1.22当量)のN−メチルモルホリンN−オキシドを加えた。この懸濁液に1.75mL(0.005当量)の四酸化オスミウムをiPrOH中2.5%溶液として加えた。OsO4溶液の添加後には反応混合物は澄明な黄色を呈した。TLC分析が4aの完全な変換を示したのち(約16時間)、反応混合物を1.5gの亜硫酸水素ナトリウムおよび5.0gのフロリジルで処理し、30分間攪拌した。懸濁液をフロリジルを通してろ過し、ろ液を濃縮して油状物を得た。この粗生成物を、1.0gの4aから同様の方法で調製された他のバッチと合わせた。合わせたロットから100mL部のピリジンを用い2回共蒸発し、残留物を300mLのピリジンに溶解した。この溶液を0℃に冷却し、4,4’−ジメトキシトリチルクロリド10.89g(1.05当量)を加えた。反応フラスコを乾燥管を挿入し、反応混合物を室温で16時間攪拌した。この溶液を50mLのMeOHで処理し、水浴の温度を40℃以下に保持して真空中で濃縮した。粗製の油状物を1100mLのシリカゲル(ヘキサン中3%トリエチルアミンを用いカラムに湿式充填)を用いフラッシュクロマトグラフィーに付し、ヘキサン(すべて3%トリエチルアミン含有)中10−100%EtOAc(すべて3%トリエチルアミン含有)で溶出して精製すると、21.3g(2工程後89%)の9が黄色の油状物として得られた。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.80−7.77(m.2H),7.66−7.64(m,2H),7.39−7.22(m,9H),7.20−6.76(m,4H),3.97(bs,1H),3.84(t,J=5.97Hz,2H),3.74(s,6H),3.68(t,J=5.7Hz,2H),3.60−3.49(m,14H),3.13−2.76(m,2H),2.00(bs,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 168.2,158.3,144.8,135.9,133.8,132.0,129.9,128.0,127.7,126.6,123.1,113.0,85.9,73.0,70.6,70.4,70.0,69.7,67.8,64.4,55.1,37.1;低分解MS m/e C40H45O10N(M+NH4 +)として717.5.
1−ジメトキシトリチル−3−(アミノテトラエチレングリコリル)−sn− グリセロール(10):反応図2に従い、化合物10を以下のように合成した。化合物9(5.2g,7.2ミリモル)をH2O中40%メチルアミン50mLに取り、出発原料を可溶化するために10mLのメタノールを加えた。反応混合物を50℃に5時間加熱し、ついで真空中で濃縮し、トルエンと共蒸発させた。粗製の物質を200mLのシリカゲル上フラッシュクロマトグラフィーに付し、ジクロロメタン中15%メタノール性アンモニアで溶出して精製した。3.94g(96%)の10が淡黄色の油状物として収集された。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.46−7.21(m,9H,DMT),6.81(d,4H,DMT),4.00(m,1H),3.80(s,6H),3.70−3.49(重複m,18H),3.20(dd,J=9.24Hz,1H),3.12(dd,J=9.21Hz,1H),2.84−2.80(m,3H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 158.30,144.82,136.01,129.95,128.04,127.66,126.61,112.95,85.85,73.46,72.85,70.55,70.45,69.99,69.51,64.43,55.10,41.40; 低分解MS m/e C32H44O8N(M+1+)として計算値 570.353,分析値 570.4.
反応図3に従い、化合物10は以下のように合成した。H2O中40%メチルアミン50mLに化合物9(5.2g,7.2ミリモル)を取り、10mLのメタノールを出発原料を可溶化するために添加した。反応混合物を50℃に5時間加熱し、ついで真空中で濃縮し、トルエンと共蒸発させた。粗製の物質を200mLのシリカゲル上フラッシュクロマトグラフィーに付し、ジクロロメタン中15%メタノール性アンモニアで溶出して精製した。3.94g(96%)の10が淡黄色の油状物として収集された。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.46−7.21(m.9H,DMT),6.81(d,4H,DMT),4.00(m,1H),3.80(s,6H),3.70−3.49(重複m,18H),3.20(dd,J=9.24,5.49Hz,1H),3.12(dd,J=9.21,6.0Hz,IH),2.84−2.80(m,3H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 158.30,144.82,136.01,129.95,128.04,127.66,126.61,112.95,85.85,73.46,72.85,70.55,70.45,69.99,69.51,64.43,55.10,41.40;低分解MS m/e C32H44O8N(M+1+)として計算値 570.353,分析値 570.4.
PEG試薬12:10mLのDMF中0.24g(0.41ミリモル)の10の溶液を攪拌しながら、これに2.08g(0.4ミリモル)のメトキシ−PEG5000−ニトロフェニルカルボネート(Shearwater Polymers,Inc.)を加えた。混合物を70時間攪拌し、次に真空中で濃縮した。残留物をEtOAcに溶解し、有機相を30mL部の10%NaOHで3回洗浄した。100mLのシリカゲル(5%Et3N含有ジクロロメタンを用い湿式充填)を用いてフラッシュクロマトグラフィーに付しジクロロメタン中20%メタノール性アンモニアで溶出して精製すると、1.97g(85%)の12が白色固体として得られた。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.42−7.39(d,2H,DMT),7.39−7.18(m,7H,DMT),6.79(m,4H,DMT),5.70(br m,1H),4.21(m,1H),3.97(m,1H),3.88(t,J=4.4Hz,1H),3.81(s,6H,DMT),3.78−3.50(br m,〜500,PEG Hs),3.42−3.31(重複ms),3.35(s,PEG Me),3.16(m,2H),2.84(br d,4.2H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 159.36,157.19,146.15,136.95,130.83,128.86,128.65,127.61,113.86,86.48,73.58,72.88,72.5−70.0(PEG 炭素),68.31,65.77,64.45,41.36,30.75(未帰属不純物).
PEGホスホロアミダイト試薬13:60mLのTHF中2.22g(0.4ミリモル)の12の溶液を3Åモルキュラーシーブ上で攪拌しながら、これに0.24mL(1.39ミリモル)のジイソプロピルエチルアミンおよび0.1mL(0.44ミリモル)の2−シアノエチルN,N−ジイソプロピルクロロホスホロアミダイトを添加した。
脂質ホスホロアミダイト17の合成:ピリジン10mL中540mg(1ミリモル)の1,2−ジ−O−パルミチルrac−グリセロールの溶液を195mg(1.2ミリモル)のカルボニルジイミダゾールで処理し、得られた混合物を室温で一夜攪拌した。この混合物に570mg(1ミリモル)のアミノアルコールを3mLのDMF中溶液として添加した。混合物を一夜40℃に加温したのち、反応混合物からのアリコートの1H NMR分析を行ったところ生成物の形成は無視できる程度であった。混合物を80℃に6時間加熱し(1H NMRによれば生成物:出発原料は約1:1)、ついで真空中で濃縮した。粗製の残留物を125mLのSiO2ゲル(ヘキサン中で充填)カラムに適用し、ヘキサン(2%TEA含有)中20−50%EtOAcの勾配で生成物を溶出すると、500mg(44%)の中間体16が透明の蝋状物として得られた。16:1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.42(d,J=7.2Hz,2H),7.30−7.18(m.7H),6.76(d,J=8.2Hz,4H),5.34(br t,1H),4.20−3.25(重複シグナル),3.16(m,2H),1.53(m),1.24(m),0.86(t,J=6.5Hz,6H).アルコール16(500mg,0.44ミリモル)を4mLのCH2Cl2ならびに0.15mL(2当量)のDIPEAに溶解した。この溶液に0.15mL(0.66ミリモル)の2−シアノエチル(N,N−ジイソプロピルアミノ)クロロホスホロアミダイトを添加した。3時間後、TLCは2スポットへの変換を示し、混合物をCH2Cl2で希釈し、NaHCO3溶液で洗浄した。有機相をNa2SO4上で乾燥し、濃縮した。粗製の残留物を50mLのSiO2ゲルカラム(ヘキサン中で充填)に適用し、生成物をヘキサン(2%TEA含有)中20%EtOAcで溶出し、350mg(59%)のホスホロアミダイト17を透明の蝋状物として得た。
脂質− オリゴの自動合成:ホスホロアミダイト17を、T−3マー(ABI394型装置で標準自動DNA合成により調製)の5’−末端にMeCN中40%THF中0.1Mの17溶液のカラムへの各30分2回暴露からなる改良カップリングサイクルを用いて結合させた。平行トリチル分析はアミダイト17について94%のカップリング効率を示した。
接合体20:60mLのピリジン中2.25g(3.95ミリモル)の10の溶液を攪拌しながら、これに2.6gのジステアリルグリセロールクロロホルメート18を添加した。2時間後の濃縮アリコートの1H NMR分析により、クロロホルメートの残留は認められなかったので、混合物を真空中で濃縮した。この粗製の残留物を、0.5g(0.88ミリモル)の10および0.58gのクロロホルメートから同様にして調製した生成物と合わせ、合わせたロットを100mLのシリカゲル(2%トリエチルアミン含有ヘキサン中で充填)上フラッシュシリカゲルクロマトグラフィーに付し、200mLのヘキサン、ついでそれぞれ250mLのヘキサン中10−20および30%EtOAc、500mLのヘキサン中40%EtOAc、ついでそれぞれ250mLのヘキサン中50−60−70および80%EtOAcで溶出して精製した。生成物を含有する分画を濃縮すると3.3g(57%)の接合体20が得られた。
実施例2.PEG接合およびコレステロール誘導体化核酸リガンドの調製および機能的性質
核酸リガンドのPEG3400接合体は非接合分子の結合親和性を維持する
bFGFリガンド/PEG−3400接合体のbFGFに対する結合能を調べた。
リガンド225t3 は1nMの結合親和性を有し、Tm68℃おいてブラント末端ヘアピンにフォールディングする。リガンド225t3は、3’−アミノ修飾剤C7 CPG(Glen Research,Sterling,VA)により標準DNA合成法を使用して修飾し、225t3 N(配列番号:11)と呼ぶ。225t3 NはpH8.5に緩衝化した20%(v/v)ジメトキシホルムアミド、80%(v/v)0.5M炭酸水素ナトリウム中PEG(平均分子量 3400)のN−ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)活性化エステルと反応させた。得られた接合体、225t3 N−PEG−3400(配列番号:14)は12%ポリアクリルアミド/7M尿素ゲル上遊離のDNAから精製した。接合体は32Pで5’−末端を標識し、結合アッセイを行った。225t3 N−PEG−3400(配列番号:14)は225t3と同じ親和性(Kd=1nM)でbFGFに結合した。
アミノとジスルフィド官能基を有するトロンビンDNAリガンドNX256(配列番号:9)(図1D)は標準DNA合成法、ならびにdT−5’−LCAA−500Å制御多孔性ガラス固体支持体および市販のホスホロアミダイト試薬による Biosearch8909DNA/RNAシンセサイザー上での操作を用いて調製した。脱保護に続いてイオン交換HPLC精製を行った。5’−末端ジスルフィド結合は、DNAを50mMジチオスレイトール(DTT)溶液中37℃で30分間インキュベートすると減少した。還元DNA(5’−末端チオールを含む)をNap−5サイズ排除カラムに通して、DNAを含むがDTTを含まない空隙容量を、アルゴン層下にマレイミド誘導体化PEGを含有する反応容器中に集めた。溶液はすべてアルゴンで洗浄し酸素を除去した。反応混合物を40℃に1時間保持した。反応の進行は、少量のアリコートを採取し、8%/7M尿素ポリアクリルアミド上電気泳動により分析してモニターした。1時間のインキュベーションの終了後、反応はほぼ完了し、この時点で反応混合物に等容のメチレンクロリドを加え乳状の白色懸濁液が形成されるまで容器を振盪した。混合物をエッペンドルフ遠心分離器により14,000rpmで層が分離するまで遠心分離した。遊離の核酸リガンドを含む水層は捨てた。生成物(PEG−20,000 修飾DNAリガンドNX256 、NX256−PEG−20,000と呼ぶ。配列番号:13)(図1G)はイオン交換クロマトグラフィーついで逆相脱塩を用いてさらに精製し、凍結乾燥して白色の粉末を得た。この物質はDNA核酸リガンドの薬物動態学的挙動に対するPEG修飾の効果の測定に用いた(下記参照)。PEG−10,000修飾リガンドNX256(NX256−PEG−10,000と呼ぶ)も同様に調製された。
PEGの機能性はチオホスフェート−マレイミド反応によっても導入することができる。本発明者らは、トロンビンDNAリガンドの5’−末端に、チオホスフェート基を、標準ホスホロアミダイト法によって、市販の試薬を用いて導入した(このリガンドはT−P4と呼ぶ)(図1F,配列番号:12)。マレイミドを含有するPEGへの接合は上記スルフヒドリル−マレイミド反応の場合と同様である。PEG接合リガンドはT−P4−PEG−10,000およびT−P4−PEG−20,000(配列番号:15)と呼ぶ。T−P4−PEG−10,000,T−P4−PEG−20,000およびT−P4−DNAの融点(Tm)は最初の誘導体の260nmにおける吸光度対温度プロットから決定された。T−P4−PEG−10,000,T−P4−PEG−20,000およびT−P6のTm値は3つのリガンドすべて40℃であった。これらのデータおよび上述のbFGF−PEG−3400リガンド結合データは、PEGへの接合が核酸リガンドの構造に影響しないことを示唆している。
コレステロールは、標準固相ホスホロアミダイト法により、核酸リガンドの配列中の任意の位置に導入することができる。たとえば、本発明者らは、リガンド225t3(図1E;配列番号:10)の3’末端にテトラエチレングリコールコレステロールホスホロアミダイト(Glen Research,Sterling,VA)を導入してリガンド225t3−コレステロールを作成した。12%ポリアクリルアミド/7M尿素ゲル上で精製したのち、225t3−コレステロールは32Pで5’−末端を標識し、結合アッセイを実施した。225t3−Cholの結合親和性は225t3の値(Kd=1nM)と同じであった。
A.NX232 リポソームの調製
フルオレセイン−標識、コレステロール誘導体化NX232(図1B;配列番号:7)を主としてジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)およびコレステロール(Chol)2:1のモル比からなるリポソームに導入した。
DSPC:Chol(2:1モル比)を含有するNX232リポソームの8種の製剤を調製した。NX232のモル百分率は存在する総脂質に対して0.01〜0.1モル%で変動させた。組成(A〜H)は表1に示す。製剤D〜Hでは、陽イオン性の脂質1,2−ジオレイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン(DOTAP)の分画を増大させて、NX232とリポソーム表面の間の結合の強度に対する陽性電荷の影響を評価した。
NX232(図1B;配列番号:7)はトロンビンに対して親和性の高い核酸リガンドのDNA配列を含有する。トロンビンは血液凝固カスケードの重要な成分である。トロンビンのタンパク分解活性の阻害は血液の凝固能力を低下させることが知られている。各種NX232製剤の活性を、抗凝固活性を測定するフィブリン/トロンビン凝血アッセイを用い評価した。アッセイには、50mM TRIS,100mM NaCl,1mM MgCl2、および0.1%ポリエチレングリコール(PEG8000)(MW8,000),pH7.4の緩衝溶液を使用した。最終300μlのアッセイ混合物では、ガラス試験管に2.5mg/ml濃度のフィブリノーゲンおよび1国立保健研究所(NIH)単位のトロンビンを加えた。凝血の測定ではすべての溶液および容器を37℃に加温または維持した。凝固時間を表2に示す。
トロンビンDNAリガンドNX229,NX232,NX253,NX253+リポソームおよびNX256−PEG20Kの薬物動態学的性質を測定した(分子構造については図1A〜1C,1G参照)(配列番号:6〜8,13)。各オリゴヌクレオチドは260nmにおけるUV吸収および吸光係数0.033μg オリゴ/mlに基づいて0.5〜1.0mg/ml の溶液濃度でPBSに希釈した。1つを除く全試験で、6匹のラットに0.5〜1.0mgオリゴヌクレオチド/kg動物体重を投与し、血漿サンプルを1〜4時間の様々な時点で採取した。1匹のラットはNX253を試験する実験に使用した。血漿サンプルおよび品質管理サンプルはハイブリダイゼーションアッセイを用いて分析した。ハイブリダイゼーションアッセイには、酸化鉄(FeO)ビーズに接合したDNAリガンドの5’−末端に相補性の配列を含有する捕捉オリゴヌクレオチド[FeO−スペーサ−5’−d(GTC AGG CAC CAT CCC−3’)(配列番号:1),スペーサ=(dT)8]および3’−末端にビオチン基を含有する検出オリゴヌクレオチド[5’−d(CCC CAC TGA AGC ACC−スペーサ−3’−ビオチン−ビオチン),スペーサ=(dT)10](配列番号:2)を使用した。ビーズに結合するビオチンオリゴヌクレオチドの量はルミネセント基質としてCSPD−Sapphireを用いストラプトアビジン連結アルカリホスファターゼで定量した。
毒性:リポソーム−核酸リガンドの細胞に対する毒性作用を測定するためヒト一次末梢血リンパ球(PBL)を核酸リガンド単独、2種類のリポソーム単独、ならびに2種類のリポソーム−核酸リガンドの組合せで処置した(下記参照)。
細胞単独 85
30μg/mlRT1t49PS 82
リポソームタイプ1(150μg/ml) 85
リポソームタイプ2(150μg/ml) 63
リポソームタイプ1(150μg/ml)+RT1t49PS(30μg/ml) 88
リポソームタイプ2(150μg/ml)+RT1t49PS(30μg/ml) 77
これらの結果は以下のことを示唆する。リガンドRT1t49PSは30μg/mlまでの濃度では毒性はない。リポソームタイプ1は150μg/mlまでの濃度で毒性は示さないが、リポソームタイプ2はこの濃度で中等度の毒性を示す(生存率の約25%低下)。DOPTAの毒性は既知であることから、リポソームタイプ2には毒性が期待される。リガンドRT1t49PSはリポソームタイプ2の毒性を見掛け上約50%まで低下させる。
FACS分析は、空冷アルゴンレーザー(励起488nm)を装着したCoulter Epics Eliteを用いて行った。CEM細胞は前方および側方スキャッターによりゲートし、緑色の蛍光を検査した。死亡細胞および凝集体はゲートで排除された。共焦点顕微鏡試験で示唆されたように、リポソーム結合核酸リガンドとインキュベートされた細胞の蛍光は遊離の核酸リガンドとインキュベートされた細胞の場合よりほぼ1オーダー大きい。リポソーム結合核酸リガンドの取り込みは完全には均一ではない。一部の細胞では他に比べて蛍光が有意に強い。脂質:核酸リガンド比 5:1w/w(核酸リガンドのMr約14,000;脂質のMr約700)で、リポソームあたり脂質40,000と仮定すると、リポソームあたり約400の核酸リガンドが存在する。FACSによる検出の下限は細胞あたり約500蛍光粒子または細胞あたり1個のリポソームよりわずかに大きい。
表3に示すモル比での処方を使用して、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、コレステロール(Chol)およびジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)からなる小さい単ラメラ小胞(SUV)を調製した。
DSPCおよびCholからなるSUVを調製し、実施例6のようにNX232の導入をアッセイした。リポソームは表4に指示するように、DSPCおよびコレステロールを異なるモル比で含有した。NX232はリポソームと結合し、室温で調製した場合、SUVとともに溶出した。
実施例8.予め形成されたリポソームへの核酸リガンドの導入:NX232の固定量において脂質/核酸リガンド比の変動の影響
DSPC:Chol(モル比2:1)SUVを調製し、脂質/NX232比を変動させたほかは実施例6と同様にアッセイした。NX232(配列番号:7)の固定量1.0mg/mLを室温において、脂質濃度2.5〜50mg/mLのSUVの等容量と混合した(表5)。結果はNX232のSUVとの最大結合が脂質/NX比(w/w)25/1で得られたことを示唆している。最高の脂質/NX比50/1はSUVに結合するNX232の量を増大させなかった。
実施例6と同様に調製した予め形成されたSUV(DSPC/Chol:2/1)50mg/mLを0.5〜5.0mg/mLの様々な濃度におけるNX232 の等容量と室温で混合した(表6)。結果はNX232のSUVとの最大結合が脂質/NX232比(w/w)25/1で得られたことを指示している。SUVに結合するNX232の分画は脂質/NX232比量が低いと減少した。
様々な鎖長を有するリン脂質から作成したSUVとNX232の結合を試験するために、表7に示すリン脂質から実施例6と同様にしてSUVを調製した。
実施例11.核酸リガンド−リポソーム複合体の非変性ゲル電気泳動分析
この実施例ではコレステロールと接合した核酸リガンドのリポソーム製剤への導入を証明する。本実施例で用いたリポソーム製剤はDSPC:コレステロール(2:1モル比)である。125I−ボルトン−ハンター試薬で放射標識したコレステリル化トロンビンリガンドNX253{5’−[コレステロール][dT−NH−125I−ボルトン−ハンター]−d(CAG TCC GTG GTA GGG CAG GTT GGG GTG ACT TCG TGG AA)[3’3’dT]dT−3’(配列番号:8);dT−NH−125I−ボルトン−ハンターは、ボルトン−ハンター試薬(New England Nuclear,Boston,MA)に接合しているアミノモディファイアーC6dT(Glen Research,Sterling,VA)であり、3’3’dT(dT−5’−CEホスホロアミダイト,Glen Research,Sterling,VA)は逆方向性ホスホロアミダイトである}はリポソーム:核酸リガンド比の関数として結合核酸リガンド分画の測定のために検査した。核酸リガンド−リポソーム複合体は核酸リガンドを9%スクロース含有25mM TRIS緩衝液pH7.4中リポソームと65℃で15分間インキュベートして調製した。遊離の核酸リガンドはリポソーム結合核酸リガンドから、非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離できる。
核酸リガンドをリポソームの水性内部内に封入する。核酸リガンドの水溶液は核酸リガンドをリン酸緩衝溶液(PBS)中に溶解し、濃度約3.5ml/mlの保存溶液を得る。DSPC:Chol(2:1モル比)を含有する脂質フィルムは、クロロホルム:メタノール:水(1:5:1,v:v:v)溶媒から脂質混合物を乾燥させて調製する。核酸リガンド保存溶液1mlを脂質フィルムに添加し、40℃で10秒間浴超音波処理する。得られた溶液を、液体窒素を用いる4サイクルの凍結−解凍操作に付す。得られた均一な溶液を最初0.8μmフィルター膜から押し出し(3回)、ついで0.45μmフィルター膜から(3回)、最後に0.2μmフィルター膜から(3回)押し出す。非封入核酸リガンドは、床容量約20mlのSephadex G−50カラムに分散液を通過させて除去する。
核酸リガンドは遠隔負荷により、MLVの水性内部内に封入する。DSPC:Chol(2:1モル比)の脂質混合物を、20μmolの脂質を用いて脂質フィルムに調製する。脂質フィルムは0.1M MgCl2を用いて65℃でボルテックス攪拌して懸濁し、平均直径1ミクロンのMLVを形成させる。リポソーム懸濁液を液体窒素中で凍結し、65℃で解凍する。凍結/解凍サイクルを3回反復し、塩がラメラ全体に均一に分布することを保証する。内部水相の浸透圧は約300ミリオスモール(mOsm)である。リポソーム懸濁液を10,000gで15分間遠心分離してペレット化して外部のMgCl2溶液を除去する。上清を除き、リポソームペレットを65℃で5分間加熱する。核酸リガンド溶液(水100μl中20μg)を予め65℃で5分間加熱し、リポソームペレットに加える。加熱を30分間続け、ついでサンプルを徐々に室温に冷却し、1mlのPBSで希釈する。捕捉されなかった核酸リガンドはMLVの遠心分離ついで上清の除去により除く。ペレットを新たなPBSに再懸濁し、遠心分離して再ペレット化する。
以下のスキーム1に示すようにN−ヒドロキシスクシンイミドエステルおよびビニルスルホン官能基を含む二機能性PEG−2000(分子量2000DaのPEG)を最初、2モル%のジステアリルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)を含有するリポソームにN−ヒドロキシスクシンイミドエステル残基を介して接合させた。生成物はサイズ排除クロマトグラフィーによって遊離のPEGから精製した。ビニルスルホン生成物をついで還元NX256(図1D;配列番号:9)と反応させた。DSPE−PEG−2000−ビニルスルホンは市販品が入手可能でビニルスルホン官能基を含むリポソームの製造に使用できるので、スキーム1の接合工程は省略できる。
NX278−リポソーム複合体は、1mgのNX278(図1N;配列番号:19)を9%スクロース含有10mMリン酸塩(pH7.4)緩衝液中、DSPC:コレステロールの混合物(50mg)とインキュベートして調製し、プローブ型ソニケーターを用いて、不透明な溶液が得られるまで15〜30分超音波処理した。核酸リガンドNX−278の配列スクランブルアナログ(scNX278)(図1W;配列番号:28)を含有する対照核酸リガンド−リポソーム複合体を同様にして調製した。粒子アナライザー(Leeds & Northrup Model Microtrack UPA 150,Horshman,PA)で測定したリポソーム粒子のサイズ(通常50〜100nM)は核酸リガンドの不存在下に得られた粒子と同じであった。NX278−リポソーム複合体は、ビオチン標識核酸リガンドと、ポリスチレン固定化VEGFへの結合でVEGFに競合し、競合ELISAアッセイにおける見掛けのED50は約10−7Mであった。同じアッセイで、scNX278−リポソーム複合体は2μM核酸リガンドまででは有効に競合しなかった。比較のための、NX278と同じ配列を有するが5’末端にDAG残基をもたない遊離核酸リガンド,NX213(図1P;配列番号:21)はVEGFに対してED50値約10−9Mの競合を示した。NX213に比較してNX278−リポソームの固定化VEGFに対する結合能の低下は、リポソームの外表面に提示された核酸リガンドの分画のみが平坦表面への結合に利用されると期待されることから、単純な幾何的抑制によるものと考えられる。さらに、内部表面に提示された核酸リガンドの分画はこのアッセイにおける結合には当然利用されない。
Claims (9)
- 単一の一本鎖核酸リガンド、及び当該核酸リガンドの5’若しくは3’末端に共有結合したポリエチレングリコールを含む治療用または診断用複合体の製造方法であって、
ここにおいて、核酸リガンドは、ワトソン/クリック型塩基対合または三重らせん結合に依存する機構を介して核酸リガンドに結合するポリヌクレオチドよりも、標的分子に対する高い親和性及び特異性を有しており、そして、
ポリエチレングリコールは1000Daまたはそれ以上の分子量を有しており、
前記方法は、単一の一本鎖核酸リガンドを1000Daまたはそれ以上の分子量を有するポリエチレングリコールに、核酸リガンドの5’若しくは3’末端に共有結合させることを含み、
前記方法は、以下の工程を含む方法によって核酸候補混合物から核酸リガンドを同定することを含む:
(a)単一の一本鎖核酸リガンドの候補混合物を、結合に好ましい条件下で標的と接触させ;
(b)結合しなかった核酸を標的分子に結合した核酸から分配し;
(c)核酸−標的ペアを解離し;
(d)核酸−標的ペアから解離した核酸を増幅して、核酸のリガンド−富化混合物を得る;
ここにおいて、工程(a)−(d)は標的分子に結合した核酸が得られるように、所望の回数再反復する、
前記方法。 - ポリエチレングリコールを核酸リガンドの5’若しくは3’ヒドロキシル基に共有結合させることを含む、請求項1の方法。
- ポリエチレングリコールを、マレイミド若しくはビニルスルホン官能基を介して5’チオール基に結合させることを含む、請求項1又は2の方法。
- 核酸リガンドの5’若しくは3’末端にリンカー分子を共有結合させ、そして、ポリエチレングリコールをリンカー分子に結合させることを含む、請求項1ないし3のいずれか1項の方法。
- 核酸リガンドが3’末端に、3’3’逆転ホスホジエステル連鎖を有する、請求項1ないし4のいずれか1項の方法。
- 核酸リガンドがDNAである、請求項1ないし5のいずれか1項の方法。
- 核酸リガンドがRNAである、請求項1ないし5のいずれか1項の方法。
- 核酸リガンドが化学的に修飾されている、請求項1ないし7のいずれか1項の方法。
- 修飾が以下のグループから選択される、請求項8の方法
− 2’−位置の糖修飾;
− 5−位置のピリミジン修飾;
− 8−位置のプリン修飾;
− 環外アミンの修飾;
− 4−チオウリジンの置換;
− 5−ブロモウラシルの置換;
− 5−ヨードウラシルの置換;
− ホスホロチオエート連鎖;
− アルキルホスフェート;
− メチル化;
− 5’ ホスホロチオエートキャッピング;
− 3’ ホスホロチオエートキャッピング。
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