JP5633622B2 - 圧力センサーアレイ - Google Patents
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Description
この超音波センサー素子は、開口部を有する半導体基板と、開口部を閉塞して半導体基板の表面に形成された絶縁膜層上に2層の電極と、これらの2層の電極の間で挟んだPZTセラミックス薄膜層(圧電膜)と備える。そして、開口部に対して平面的に積層される多層膜構造のダイアフラムと、圧電膜及び2層の電極で構成される圧電体とを有するメンブレンが形成される。この超音波センサー素子では、上下の電極からPZTセラミックス薄膜層に所定の電圧を印加すると、PZTセラミックス薄膜層が面内方向に対して伸縮し、これに伴ってダイアフラムが面方向に直交する方向に撓んで振動して、超音波が出力される。
特許文献1において、PZTセラミックス薄膜層の一部は、外部に露出する構成となっている。
ところで、このような超音波センサー素子は、一般的に、圧力センサーにも適用できることが知られている。
この場合、物体が、外部に露出する圧電膜に直接、接触してしまい、メンブレンの圧電体やダイアフラムに局所的に力が加わるおそれがある。そのため、メンブレンの圧電体やダイアフラムが破損し易いという問題がある。
本発明では、圧力検出部の圧電体が枠体に収納されて、枠体の内部空間に力を分散させる圧力媒体が充填されている。そして、枠体は封止膜で封止されている。
本発明の圧力センサーを、例えば、把持装置等に適用すると、把持装置が物体を把持する際に、物体は封止膜に当接して、圧力媒体を介して圧電体に伝達される。すなわち、物体は直接、圧電体に接触することがなく、物体が封止膜に接触する際の力が圧力媒体を介して圧力検出部に伝達される。これにより、圧力を検知する圧力検出部のダイアフラムに分散された力が加わることとなる。従って、ダイアフラムに局所的に力が加えられることを防止し、圧力検出部の破損を防止でき、ひいては、メンブレンの破損を防止できる。
そこで、本発明によれば、枠体が可撓性を有するので、枠体に力が加わると、枠体が収縮する。そして、力が枠体の内部空間に充填される圧力媒体を介して、ダイアフラムに伝達されて、圧力を良好に検知できる。
また、超音波センサーは、圧力センサーを構成する枠体、圧力媒体、及び封止膜を除いた構成部材で構成すればよいので、超音波センサーを容易に製造できる。すなわち、圧力センサーを製造する過程で、超音波センサーを製造することができる。従って、センサーアレイの製造工程を簡素化でき、製造コストを低減できる。
これに対して、本発明では、圧力センサー及び超音波センサーが交互に配置される2次元アレイ構造を有するので、超音波センサーにより物体を認識する位置と、圧力センサーにより物体を把持する力を検知する位置とにばらつきが生じることがない。
これに対して、本発明では、超音波センサー及び圧力センサーは、センサー基板上に互いに独立して配置されるので、超音波センサーのダイアフラムの振動が圧力センサーに伝達されることがない。すなわち、圧力センサーの圧電体やダイアフラムに超音波センサーからの振動により影響を受けることがないので、圧力センサーは圧力を精度良く検知できる。
[把持装置の概略構成]
図1は、把持装置1の概略図である。
把持装置1は、例えば、物体10を把持する装置であり、物体10の位置を認識して物体を把持するものである。この把持装置1は、支持部材2と、支持部材2から延出する一対のアーム3とを備えている。
支持部材2は、長手棒状に形成され、一対のアーム3を互いに近接離間させる駆動機構を備えるものである。
各アーム3は、物体10を把持する部分であり、互いに近接離間する方向に動作する。このアーム3と物体10とが接触する部分には、例えば、略矩形状の把持面31が形成される。この把持面31には、センサーアレイ4(図2参照)が取り付けられている。
図2は、センサーアレイ4を示す斜視図である。
センサーアレイ4は、例えば、触覚センサーであり、物体10の位置を検知した後、物体10を把持した状態を検知するものである。このセンサーアレイ4は、センサー基板41と、センサー基板41上に実装される複数の超音波センサー5及び圧力センサー6とを備えている。また、センサーアレイ4には、これらセンサー5,6が例えば、所定の第1方向(X方向)、及びこの第1方向(X方向)に直交する第2方向(Y方向)に沿ってそれぞれ交互に等間隔に設けられている。これらのセンサー5,6は、それぞれ独立してセンサー基板41上に設けられ、センサー基板41上に形成される電極パターンを介して図示しない制御部に導通される。
図3(A)は、超音波センサー5の構成を示す断面図である。
超音波センサー5は、物体10に対して超音波を発信して、反射波を受信することで物体10の有無や物体10までの距離を検知するものである。この超音波センサー5は、支持体51上に順に積層される支持膜52、圧電体53、枠体54、及び保護膜55を備えている。
なお、第2酸化膜52Bは、スパッタリング法以外に、CVD法、蒸着、塗布等によって形成してもよい。
下部電極532は、圧電膜531のダイアフラム7に対向する面に形成されている。上部電極533は、圧電膜531のダイアフラム7に対向する面とは反対側の面に形成されている。
これらの上部電極533および下部電極532は、それぞれダイアフラム7の裏面側(開口部51A側)に形成される図示しない引出部により引き出されて、センサーアレイ4の制御部に接続されており、制御部から入力される電圧信号により圧電膜531に所定の電圧を印加する。
なお、枠体54または保護膜55を形成する材料としては、永久レジストの他、感光性樹脂膜を用いてもよい。
上述の超音波センサー5では、制御部から圧電体53の電極532,533間に所定の駆動電圧が印加されると、圧電膜531が面方向に伸長したり、収縮したりする。
圧電膜531が面方向に収縮すると、ダイアフラム7の圧電体53側が面方向に収縮されて、ダイアフラム7が支持体51側に向かって凸状に撓む。また、圧電膜531が面方向に伸長すると、ダイアフラム7の圧電体53側が面方向に伸長されて、ダイアフラム7が圧電体53側に向かって凸状に撓む。
これにより、ダイアフラム7が支持膜52の面方向に直交する方向に振動し、ダイアフラム7から所定の駆動電圧の周期に応じた振動数の超音波が発信される。すなわち、ダイアフラム7は、物体10へ向けて超音波を発信する発信部として機能する。さらに、このダイアフラム7は、物体10で反射された超音波を受信する受信部としても機能する。すなわち、センサーアレイ4の制御部では、超音波を発信してから物体10で反射された超音波を受信するまでの時間及び振動の強さにより、物体10の位置を検出できる。
図3(B)は、圧力センサー6を示す断面図である。
圧力センサー6は、把持装置1のアーム3が物体10を把持した際の圧力を検知するものである。この圧力センサー6は、支持体61上に順に積層される支持膜62、圧電体63(圧電膜631、下部電極632、及び上部電極633)、枠体64、及び封止膜65を備えている。
ここで、支持体61、支持膜62、圧電体63、及び枠体64の構成は、超音波センサー5の支持体51、支持膜52、圧電体53、及び枠体54とそれぞれ同様の構成であるため、説明を省略する。
また、支持膜62及び圧電体63により、圧力検出部9が構成される。
これにより、空洞部64Aの筒状内周壁641と、封止膜65と、圧力検出部9とで形成される内部空間66には、圧力媒体としてのシリコーンオイル20が充填される。
封止膜65は、内部空間66を閉塞して、シリコーンオイル20を封止するものである。なお、内部空間66に充填される材料としては、圧力を分散する材料であればよく、シリコーンオイル20の他、例えば、シリコーンゴム、ポリマーゲル、合成ゲル、天然ゲル、ポリマー樹脂等を用いてもよい。
シリコーンオイル20が内部空間66に充填されることで、物体10が封止膜65に接触する際の衝撃をメンブレン8全体に分散している。
上述した圧力センサー6では、物体10がアーム3により把持されると、封止膜65に当接して、枠体64が厚さ方向において収縮する。この際、枠体64の内部空間66に充填されるシリコーンオイル20によって、物体10が封止膜65に当接した際の力をメンブレン8全体に分散し、力がダイアフラム7へ伝達される。そして、ダイアフラム7が伝達された力で撓み、圧電膜631に撓み量に応じた電圧が発生する。これにより、上部電極633及び下部電極632から発生した電圧に応じた電気信号が出力されて、圧力を検出する。
次に、センサーアレイ4の製造方法について説明する。
図4〜図7は、センサーアレイ4の製造工程を示す図である。これらの図4〜図7では、左側に超音波センサー5の製造工程、右側に圧力センサー6の製造工程を示している。
まず、開口部51A,61Aが形成されていない支持体51,61(厚さが約650μm)となる単結晶シリコン基板を用意し、表面を熱酸化させることで、図4(A)に示すように、SiO2で形成された第1酸化膜52A,62Aを約1μm程度の厚さで積層する。そして、第1酸化膜52A,62A上に、Zrをスパッタリングで成膜し、熱酸化させることにより、ZrO2で形成された第2酸化膜52B,62Bを約3μm程度の厚さで積層し、支持膜52,62(図3参照)を形成する。
次に、圧電膜531,631が、図4(C)に示すように、下部電極532,632に対してスパッタリング成膜される。そして、フォトリソグラフィ法、及びエッチング処理により、圧電膜531,631をパターニングする。
次に、上部電極533,633が、図5(A)に示すように、下部電極532,632、及び第2酸化膜52B,62Bを覆うように、スパッタリング成膜される。そして、フォトリソグラフィ法、及びエッチング処理により、上部電極533,633をパターニングする。これにより、圧力センサー6側には、圧力検出部9が形成される(圧力検出部形成工程)。
次に、上部電極533,633上に、図5(C)に示すように、ドライフィルムレジストをスピンコート装置、またはスキージを用いて塗布する。これにより、空洞部54A,64Aが形成されていない枠体層70が圧電体53,63を覆うように形成される(枠体層形成工程)。
そして、上部電極533,633上に塗布されたドライフィルムレジストをフォトリソグラフィ法により露光・現像して、さらにエッチング処理により、図6(A)に示すように、枠体層70を所望の形状にパターニングすることで空洞部54A,64Aを有し、互いに独立する枠体54,64が形成される(枠体形成工程)。
次に、枠体54,64の上面にドライフィルムレジストをロールコーター装置により、図6(C)に示すように塗布する。そして、塗布されたドライフィルムレジストをフォトリソグラフィ法により露光・現像して、さらにエッチング処理により、図7(A)に示すように、保護膜55及び封止膜65を所望の形状にパターニングする(膜形成工程)。
そして、支持体51,61の下面側をドライエッチングすることで、図7(B)に示すように、枠体54,64の内径寸法と略同一の径寸法Dを有する開口部51A,61Aが形成される。
以上により、支持体51,61上に複数の超音波センサー5、及び圧力センサー6が形成される。
本実施形態よれば、メンブレン8の圧電体63が枠体64に収納されて、枠体64の内部空間66に力を分散させるシリコーンオイル20が充填されている。そして、枠体64は封止膜65で封止されている。これによれば、把持装置1のアーム3が物体10を把持すると、物体10は封止膜65に当接して、この状態での力がシリコーンオイル20を介してメンブレン8に伝達される。すなわち、物体10は直接、圧電膜631に接触することがなく、物体10が封止膜65に接触する際の力がシリコーンオイル20を介してメンブレン8に伝達されるため、圧力を検知するメンブレン8のダイアフラム7に分散された力が加わることとなる。従って、ダイアフラム7に局所的に力が加えられることを防止でき、メンブレン8の破損を防止できる。
また、枠体64が可撓性を有する合成樹脂の永久レジストで形成されるので、枠体64に力が加わると、枠体64が収縮する。そして、力が枠体64の内部空間66に充填されるシリコーンオイル20を介して、メンブレン8のダイアフラム7に伝達されて、圧力を良好に検知できる。
また、超音波センサー5は、圧力センサー6を構成するシリコーンオイル20、及び封止膜65を除いた構成部材で構成すればよいので、超音波センサー5を容易に製造できる。すなわち、圧力センサー6を製造する過程で、超音波センサー5を製造することができる。従って、センサーアレイ4の製造工程を簡素化でき、製造コストを低減できる。
これに対して、本実施形態では、圧力センサー6及び超音波センサー5が互いに等間隔に配置されているので、超音波センサー5により物体10を認識する位置と、圧力センサー6により物体10を把持する力を検知する位置とにばらつきが生じることがない。
また、超音波センサー5及び圧力センサー6は、互いに独立して配置されるので、超音波センサー5のメンブレン8の振動が圧力センサー6に伝達されることがない。すなわち、圧力センサー6のメンブレン8の圧電体63やダイアフラム7に超音波センサー5からの振動により影響を受けることがないので、圧力センサー6は圧力を精度良く検知できる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
図8は、本発明に係る変形例を示す図である。
前記実施形態では、枠体64の内径寸法は、開口部61Aの径寸法Dと略同一寸法であったが、本変形例では、枠体64の内径寸法は、開口部61Aの径寸法Dよりも大きく形成されている点で相違する構成となっている。
前記実施形態では、圧力センサー6と超音波センサー5とが、センサー基板41上に互いに等間隔となるように配置されていたが、これに限定されず任意の配置であってもよい。具体的には、圧力センサー6と超音波センサー5とがセンサー基板41の面内に均一に分散配置されていれば、超音波センサー5により物体を認識する位置と、圧力センサー6により物体を把持する力を検知する位置とにばらつきが生じることがない。
前記実施形態では、超音波センサー5は、メンブレン8側に向けて超音波を発信する構成であったが、開口部51A側にも超音波を発信する構成であってもよい。
前記実施形態では、各センサー5,6の枠体54,64は、それぞれ独立して形成されていたが、対向する枠体54と枠体64とを一体にして、圧力センサー6及び超音波センサー5が一対となるように構成してもよい。
Claims (1)
- 第1の開口部および第2の開口部を有する支持体と、
前記支持体上に設けられて、前記第1の開口部を閉塞する第1のダイアフラムを有する第1の支持膜、及び前記第1のダイアフラム上に設けられて、撓むことで電気信号を出力する第1の圧電体を備えた第1の圧力検出部と、
前記第1の圧力検出部上に、前記第1の支持膜の膜厚み方向に沿う第1の空洞部を有するとともに、前記第1の支持膜を膜厚み方向から見た平面視において、前記空洞部の筒状内周壁が前記第1の開口部と重なる位置、または前記第1の開口部よりも外側に形成され、可撓性を有し合成樹脂材からなる円筒状の第1の枠体と、
前記第1の枠体を閉塞する第1の封止膜と、
前記第1の空洞部の筒状内周壁、前記第1の封止膜、前記第1の圧力検出部により形成される第1の内部空間に充填される圧力媒体と、を有する第1の圧力センサーと、
前記支持体上に設けられて、前記第2の開口部を閉塞する第2のダイアフラムを有する第2の支持膜、及び前記第2のダイアフラム上に設けられて、撓むことで電気信号を出力する第2の圧電体を備えた第2の圧力検出部と、
前記第2の圧力検出部上に、前記第2の支持膜の膜厚み方向に沿う第2の空洞部を有するとともに、前記第2の支持膜を膜厚み方向から見た平面視において、前記空洞部の筒状内周壁が前記第2の開口部と重なる位置、または前記第2の開口部よりも外側に前記第1の枠体とは離れた位置に独立して形成され、可撓性を有し合成樹脂材からなる円筒状の第2の枠体と、
前記第2の枠体を閉塞する第2の封止膜と、
前記第2の空洞部の筒状内周壁、前記第2の封止膜、前記第2の圧力検出部により形成される第2の内部空間に充填される圧力媒体と、を有する第2の圧力センサーと、
を備える
ことを特徴とする圧力センサーアレイ。
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