JP5632871B2 - 測定対象気体の測定方法及び測定システム - Google Patents
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Description
試料ガス中に含まれる気体状態の測定対象物を測定するための測定対象気体の測定方法であって、
試料ガスに反応ガスを加えることで測定対象物を固体状態又は液体状態の反応物とする工程と、
試料ガスに凝集用ガスを加えることで上記反応物を含有する凝集物を生成する工程と、
この凝集物を測定する工程と
を有することを特徴とする測定対象気体の測定方法である。
試料ガス中に含まれる気体状態の測定対象物を測定するための測定対象気体の測定システムであって、
試料ガスが流動する流路と、
この流路に測定対象物を固体状態又は液体状態の反応物にする反応ガスを加えるための反応ガス供給路と、
上記流路に上記反応物を含有する凝集物を生成可能な凝集用ガスを加えるための凝集用ガス供給路と、
上記凝集物を測定する測定手段と
を備えることを特徴とする測定対象気体の測定システムである。
〈測定システム1〉
図1の測定システム1は、試料ガスaに含まれる気体状態の測定対象物bを測定するための測定システムである。測定システム1は、凝集物生成装置2と、測定手段とを備え、この測定手段は、ガス置換装置3と分析装置4とを有している。測定システム1で測定する測定対象物bとしては、特に限定されないが、例えばアルシン(AsH3)が挙げられる。
凝集物生成装置2は、凝集物を生成する装置であり、図2に示すように、主として流路5と、反応ガス供給路6と、凝集用ガス供給路7と、反応器8とを有している。
ガス置換装置3は、凝集物生成装置2から試料ガスが導入され、この試料ガスの気体成分を置換ガスに置換する。このガス置換装置3は、多孔性隔壁によって区画される内側流路と外側流路とを有している(図示省略)。この多孔性隔壁は、平均孔径が0.001μm以上0.8μm以下の多数の孔を有している。
分析装置4は、凝集粒子に含まれる測定対象物bに関する成分を測定する装置である。分析装置4は、例えば凝集粒子に含まれるヒ素成分を測定することで、試料ガス中に含まれていたアルシンの濃度等を算出する。この分析装置4としては、従来公知の分析装置を採用可能である。この分析装置4としては、例えば高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)を用いることが可能であり、その他、高周波誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)、マイクロ波誘導プラズマ質量分析装置(MIP−MS)、マイクロ波誘導プラズマ発光分光分析装置(MIP−AES)等を用いることも可能である。
次に、図3を参照して、当該測定システム1によって、気体状態の測定対象物bを測定する測定対象物の測定方法について説明する。当該測定方法は、試料ガス中に含まれる気体状態の測定対象物をナノ粒子(反応物)とする反応物生成工程と、このナノ粒子を含有する凝集粒子(凝集物)を生成する凝集物生成工程と、この凝集粒子を測定する測定工程とを有している。なお、以下、測定対象としてアルシンを例にとり説明する。
反応物生成工程(S1)は、試料ガスaに反応ガスcを加えることで測定対象物bを固体状態のナノ粒子とする工程である。なお、反応物生成工程(S1)は、凝集物生成装置2によって行われる。この反応ガスcとしては、例えばオゾンが用いられる。
凝集物生成工程(S2)は、試料ガスaに凝集用ガスdを加えることで、上記反応物を含有する凝集粒子(凝集物)を生成する工程である。
測定工程(S3)は、凝集物生成工程(S2)で生成された凝集粒子を測定する工程である。この凝集物測定工程(S3)は、ガス置換工程(S31)と分析工程(S32)とを有している。
当該測定システム及び測定方法は、気体状態の測定対象物(アルシン)が反応ガス(オゾン)と反応することで固体状態の反応物(三酸化二ヒ素又は五酸化二ヒ素)となるので、上記従来公知の測定装置を用いて測定対象気体を測定することが可能となる。また、上記反応物が極めて微小なナノ粒子であっても、凝集用ガス(アンモニア)によってナノ粒子よりも大きな凝集粒子(凝集物)とすることができ、上記測定装置による測定が容易且つ確実に行うことができる。
なお、本発明の測定対象気体の測定方法及び測定システムは上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
当該測定システム及び測定方法の具体的実施例を以下説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、本実施例で用いる測定システムとしては、既述の第一実施形態のシステムを用いた。また、反応ガスcとしてオゾンガス、凝集用ガスdとしてアンモニアガスを用い、アルシン(測定対象気体)の測定を行った。ここで、オゾンガスの導入量とアンモニアガスの導入量とはいずれも0.5ml/分とした。ガス置換装置3には特許文献1記載のガス置換装置((株)ジェイ・サイエンス・ラボ製気体試料導入装置GE−A21型)を使用した。置換ガスeとしてアルゴンガスを用い、アルゴンガスの導入量は2000ml/分とした。分析装置4には高周波誘導結合プラズマ質量分析装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製Xシリーズ2型)を用いた。
前記実施例における図1の測定システム中の凝集物生成装置2を、その効果を検証するために取り外した。それ以外は前記実施例と同様のシステムを用いて、実施例と同様のアルシンの濃度の試料ガスaを測定した。実施例と同様の質量分析装置を用い、アルシンの検量線を作成し、ヒ素の質量数75の信号強度を求めた。その結果を表2に示す。
図5は、試料ガス中のアルシンの濃度と、測定装置のヒ素の信号強度との関係を、実施例と比較例とを対比して示したグラフである。この図5を見れば、実施例の信号強度は、比較例の信号強度に比べてどの濃度においても著しく顕著であることが明らかである。
2 凝集物生成装置
3 ガス置換装置
4 分析装置
5 流路
6 反応ガス供給路
7 凝集用ガス供給路
8 反応器
9 ポンプ
10 反応ガス供給装置
11 凝集用ガス供給装置
12 測定対象気体の測定システム(アスピレータを使用)
a 試料ガス
b 測定対象物
c 反応ガス
d 凝集用ガス
e 置換ガス
Claims (6)
- 試料ガス中に含まれる気体状態の測定対象物をリアルタイムに測定するための測定対象気体の測定方法であって、
試料ガスに反応ガスを加えることで測定対象物を固体状態又は液体状態の反応物とする工程と、
試料ガスに凝集用ガスを加えることで上記反応物を含有する凝集物を生成する工程と、
上記凝集物を含む試料ガスの気体成分を置換ガスに置換し、凝集物を分析する測定工程と
を有することを特徴とする測定対象気体の測定方法。 - 上記凝集用ガスとして、上記反応ガスと反応することで凝集用粒子を生成可能なガスを用いる請求項1に記載の測定対象気体の測定方法。
- 上記反応ガスとしてオゾンが用いられ、上記凝集用ガスとしてアンモニアが用いられている請求項2に記載の測定対象気体の測定方法。
- 試料ガス中に含まれる気体状態の測定対象物をリアルタイムに測定するための測定対象気体の測定システムであって、
試料ガスが流動する流路と、
この流路に測定対象物を固体状態又は液体状態の反応物にする反応ガスを加えるための反応ガス供給路と、
上記流路に上記反応物を含有する凝集物を生成可能な凝集用ガスを加えるための凝集用ガス供給路と、
上記凝集物を含む試料ガスの気体成分を置換ガスに置換し、凝集物を分析する測定手段と
を備えることを特徴とする測定対象気体の測定システム。 - 上記凝集用ガスとして、上記反応ガスと反応することで凝集用粒子を生成可能なガスが用いられている請求項4に記載の測定対象気体の測定システム。
- 上記反応ガスとしてオゾンが用いられ、上記凝集用ガスとしてアンモニアが用いられている請求項5に記載の測定対象気体の測定システム。
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