以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施例におけるパチンコ機1およびカード読取ユニット23の正面図である。このパチンコ機1は、いわゆる第1種パチンコ機であり、その前面(図1の紙面に対して手前側)には前面枠2が配設されている。前面枠2は、略矩形額縁状に形成されており、前面枠2の略中央部分には略矩形状の開口2aが穿設され、かかる開口2aの内周には金枠3が周設されている。この金枠3の内側の上方には、2枚のガラス板4a,4bをそれぞれ装着可能なガラス扉枠4が開閉可能に配設されており、ガラス扉枠4の後方(図1の紙面に対して奥側)には遊技盤5が配置されている。尚、ガラス板4aはガラス扉枠4の前側部分に装着され、ガラス板4bはガラス板4aの後側部分に装着される。即ち、ガラス板4aと遊技盤5との間にガラス板4bが装着されるのである。
遊技盤5の前面には略円弧状の外レール6が植立され、その外レール6の内側位置には円弧状の内レール7が植立されている。この内レール7および外レール6により囲まれた遊技盤5の前面には、遊技球(打球)が打ち込まれる遊技領域8が形成されており、遊技領域8の周囲には、遊技球が入賞することにより6個の遊技球が賞球として払い出される複数の普通入賞口9が配設されている。この複数の普通入賞口9が配設された遊技領域8の略中央部分には、複数種類の識別情報としての図柄などを表示する液晶(LCD)ディスプレイ10を備えた可変表示装置11が配設されている。
この可変表示装置11の液晶ディスプレイ10の手前側周囲には、可変表示装置11の装飾部材を兼ねたセンターフレーム11aが周設されており、このセンタフレーム11aにより液晶ディスプレイ10の周囲が装飾されている。センタフレーム11aの上部中央には表示装置の一種である7セグメントLED11bが配設されている。
可変表示装置11の下方には、図柄作動口(第1種始動口)12が配設されている。図柄作動口12を遊技球が通過することにより、第1種始動口スイッチがオンして、可変表示装置11の変動表示が開始されると共に、6個の球が賞球として払い出される。また、図柄作動口12の下方には可変入賞装置13が配設されている。この可変入賞装置13は、遊技盤5に取着可能に形成された本体フレーム13aを備えており、その略中央部分には2以上の遊技球が同時に通過可能な幅広の矩形状の開口である大入賞口の開口13bが穿設されている。
この大入賞口の開口13bは、大入賞口の一部を構成しており、可変表示装置11の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせ(大当たり表示)の1つと一致する場合に、遊技球が入賞しやすいように所定時間(例えば、30秒間)経過するまで、又は、所定個数(例えば、10個)の遊技球が大入賞口の開口13b内へ入賞するまで、開放されるものである。この大入賞口の開口13bの開閉動作の行われ得る状態が、いわゆる所定の遊技価値の付与された状態(特別遊技状態)である。
大入賞口の開口13bには、開閉シャッタ13cが配設されている。この開閉シャッタ13cは、大入賞口の開口13bの形状に適合して形成されており、大入賞口の開口13bを開閉するものである。また、本体フレーム13aの前面であって、開閉シャッタ13cの前方にはガード部材13dが配設されている。尚、大入賞口は、大入賞口の開口13b、開閉シャッタ13c、ガード部材13dで構成されている。
可変入賞装置13の下方であって、上述した遊技領域8の最下方には、いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域8外へ排出するためのアウト口14が形成されている。このアウト口14の形成された遊技領域8の前方に配設されるガラス扉枠4の下方には、金枠3に開閉可能に取着された前面扉板(腰板)15が配設されている。この前面扉板15の前面には遊技球を貯留し、かつ、遊技球発射装置(図示せず)へ遊技球を供給する上皿16が配設され、その上皿16の下方であって、前面枠2の下側部分には上皿16に貯留しきれなかった遊技球を貯留するための下皿17が配設されている。また、下皿17の右側部分には、遊技球を遊技領域8へ打ち込むために遊技者により操作される操作ハンドル18が配設され、かかる操作ハンドル18の内部には遊技球発射装置の発射用モータ36(図2参照)を駆動させるためのスイッチであるハンドルスイッチ18aが内蔵されている。
上述した上皿16の上方における前面扉板15の上部中央には、後述するカード読取ユニット23により読み取られたカードの残高金額を表示するために、3つの7セグメントLEDにより構成された残高表示器19が配設されている。この残高表示器19の右側には、後述するカード読取ユニット23のカード挿入口24に挿入されたカードを取り出す場合に押下される返却ボタン20が配設される一方、残高表示器19の左側には、貸球の払い出し(貸出)を開始する際に押下される貸出ボタン21が配設されている。
また、貸出ボタン21の左側上方には貸出ボタン21の押下を受付可能か否かを報知する貸出ボタンランプ22が配設されている。この貸出ボタンランプ22は、貸出ボタン21が受付可能な状態である場合に点灯される一方、貸出ボタン21が受付不可能な状態である場合に消灯される。よって、遊技者は、この貸出ボタンランプ22を視認することにより、貸出ボタン21が受付可能であるか否かを判断することができる。
上記のように構成されたパチンコ機1の左側には、正面視長方形状のカード読取ユニット23が並設されている。カード読取ユニット23はカードに記録された残高金額のデータを読み取るためのものであり、その上下方向における略中央部分には、金銭と同等の有価価値を有するカードを挿入するためのカード挿入口24が縦長に配設されている。
カード挿入口24の上方であって、カード読取ユニット23の上部にはLEDで構成されたカード利用可能ランプ25が配設されている。このカード利用可能ランプ25は、例えば、カード挿入口24へカードが挿入可能である場合に点灯される一方、カード挿入口24へカードが挿入不可能である場合に消灯される。よって、遊技者は、このカード利用可能ランプ25を視認することにより、カード読取ユニット23が使用可能であるか否かを判断することができる。
カード挿入口24とカード利用可能ランプ25との間部分であって、カード読取ユニット23の上側位置には、カードに記録された残高金額のデータに基づいて貸出金額を設定するための金額設定ボタン26が配設されており、この金額設定ボタン26を押下することにより貸出金額を100円、200円、300円または500円に設定することができる。金額設定ボタン26の下側には、端数表示ボタン27が配設されている。この端数表示ボタン27は、カードに記録された残高金額が貸出金額の最低額(例えば、100円)に満たない場合に、その端数を残高表示器19に表示する際に押下される。
また、端数表示ボタン27の下側には、略三角形状に形成された上下一対の連結台方向表示ランプ28が配設されている。この一対の連結台方向表示ランプ28は、カード読取ユニット23が接続されているパチンコ機1の配設(並設)方向を示すためのものであり、その内部にそれぞれ1つずつLEDが内蔵されている。よって、例えば、カード読取ユニット23が右側に並設されるパチンコ機1に接続される場合には下側のLEDが点灯され、カード読取ユニット23が左側に並設されるパチンコ機(図示せず)に接続される場合には上側のLEDが点灯される。この連結台方向表示ランプ28の下側には、LEDで構成されたカード挿入中ランプ29が配設されており、このカード挿入中ランプ29はカードがカード挿入口24に挿入されている場合に点灯される一方、カードがカード挿入口24に挿入されていない場合に消灯される。尚、カード利用可能ランプ25および連結台方向表示ランプ28は、カード読取ユニット23の電源投入とともに点灯する。
図2は、パチンコ機1の電気的構成を示したブロック図である。パチンコ機1は、24ボルトの交流電圧を供給する外部電源31と接続される電源ユニット32を備えている。電源ユニット32は、パチンコ機1に設けられる各種基板C〜Hへ、交流24ボルト、直流非安定24ボルト、直流安定24ボルト、直流安定12ボルト、直流安定5ボルトの合計5種類の電圧を、それぞれの基板に合わせて供給するものである。この電源ユニット32は、内部にバックアップ電源回路32dを備えており、そのバックアップ電源回路32dによって、電源ユニット32から出力される5種類の電圧のうち、直流安定24ボルト、直流安定12ボルトおよび直流安定5ボルトの3種類の電圧が、停電が発生して外部電源31から24ボルトの交流電圧の供給が途絶えても、停電時における退避処理(S57)が十分に実行可能な所定時間(例えば10分間)、電源ユニット32からパチンコ機1の各種基板C〜Hへ出力できるように構成されている。
電源ユニット32には、タイマ回路32a及び電源監視回路32bが設けられている。タイマ回路32aは、停電発生時に、停電が始まってからの経過時間を計時する回路である。電源監視回路32bは、停電発生時に、パチンコ機1の遊技を制御する主基板Cへ停電情報信号32cを出力して、その主基板Cに停電の発生を報せると共に、停電発生後、タイマ回路32aによって所定時間(例えば10分間)の計時が行われた場合に、停電後も電源ユニット32から継続して出力されている3種類の電圧(直流安定24ボルト、直流安定12ボルトおよび直流安定5ボルト)の出力を停止(断)するための回路である。かかるタイマ回路32a及び電源監視回路32bによって、停電の発生が主基板Cへ報させるだけでなく、停電発生後、停電時における退避処理が十分に実行可能な所定時間が経過することによりパチンコ機1の各種基板C〜Hへの電力供給が断されるので、パチンコ機1の各種基板C〜H、特に主基板Cを、駆動電力の供給が不安定な状態で動作させ続けてしまうことがない。
電源ユニット32の2次側(反外部電源31側)には、電源ユニット32の出力をオンまたはオフするための電源スイッチ33が設けられている。この電源スイッチ33をオンすることによりパチンコ機1へ各種電圧が供給され、オフすることによりパチンコ機1への電圧供給が断される。電源スイッチ33が電源ユニット32の1次側(外部電源31側)にのみ設けられていると、電源スイッチ33をオフする毎に、電源ユニット32は停電の発生であると誤って認識し、主基板Cへ停電情報信号32cを出力する等の停電時における処理を実行してしまう。しかし、本実施例の電源スイッチ33は、前記した通り、電源ユニット32の2次側に設けられているので、電源ユニット32に停電であると誤って認識させること無く、電源スイッチ33をオフすることができる。よって、電源スイッチ33のオフ毎に、停電時における処理を実行することがない。
なお、電源スイッチ33に加えて、電源ユニット32の1次側にもスイッチを設け、そのスイッチのオンオフ動作が電源スイッチ33のオンオフ動作と連動するように構成しても良い。かかる構成によれば、電源スイッチ33をオフすることにより、主基板C等への電力供給と電源ユニット32への電力供給とを同時に断することができるので、電源スイッチ33のオフにより、停電時における処理を実行させずに、バックアップ電源回路32dを内蔵する電源ユニット32への電力供給を断することができる。
電源ユニット32の出力電圧は、電源スイッチ33のオン時に、主基板Cと、払出装置基板Dと、図柄表示装置基板Eと、音声制御基板Fと、ランプ制御基板Gとへそれぞれ供給される。具体的には、主基板Cへは、電源ユニット32から直流安定24ボルト、直流安定12ボルト、直流安定5ボルトの3種類の電圧が供給される。また、払出装置基板Dへは交流24ボルト、直流安定24ボルト、直流安定5ボルトの3種類の電圧が、図柄表示装置基板Eおよび音声制御基板Fへは直流安定12ボルト、直流安定5ボルトの2種類の電圧が、ランプ制御基板Gへは直流非安定24ボルト、直流安定12ボルト、直流安定5ボルトの3種類の電圧が、それぞれ供給される。なお、払出装置基板Dに接続されるカード読取ユニット23へは、払出装置基板Dを介して、交流24ボルトの電圧が供給される。
払出装置基板Dは、賞球や貸球の払い出し制御を行うためのものであり、主基板Cの他に、カード読取ユニット23と、遊技球を遊技領域8へ発射するための発射モータ36を制御する発射制御装置基板Hと、賞球や貸球を払い出すための払出モータ37とに接続されている。また、図柄表示装置基板Eは、主基板Cの他に液晶ディスプレイ10と接続され、その液晶ディスプレイ10の表示制御を行うためのものである。音声制御基板Fは、主基板Cの他にスピーカ38と接続され、そのスピーカ38から遊技の進行に合わせた効果音を発するための制御を行うものである。ランプ制御基板Gは、主基板Cの他に各LED39と接続され、それら各LED39で構成されるランプの点灯制御を行うためのものである。
主基板Cは、パチンコ機1で実行される遊技の制御を行うための基板であり、演算装置であるMPU41と、そのMPU41により実行される各種の制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM42と、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM43と、停電の発生等により駆動電圧の供給が断たれても記憶内容を保持し続けるフラッシュメモリ44とを備えている。前記した電源ユニット32の停電情報信号32cの出力端子は、MPU41の外部割込端子に接続されている。また、図3から図6のフローチャートに示すプログラムは、ROM42内に制御プログラムの一つとして記憶されている。
RAM43は、パチンコ機1の電源オフによりその記憶内容を失う揮発性のメモリであり、各種エリア43aと、リカバリフラグ43bと、主基板Cで実行される大当たり処理などの遊技に関する制御の数nに対応したn個の第1〜第nウェイト中フラグ43c1〜43cnとを備えている。各種エリア43aは、停電時などの特殊な場合を除いた通常の遊技中において更新される各データを記憶するためのエリアである。後述するリカバリ情報は、この各種エリア43a内に記憶されている。リカバリフラグ43bは、停電の発生時に、RAM43の各種エリア43aに記憶されるデータのうちのリカバリ情報を、フラッシュメモリ44のリカバリエリア44bへ退避したことを示すためのフラグであり、リカバリ情報の退避を重複して行わないようにするためのものである。このリカバリフラグ43bは、リカバリ情報がフラッシュメモリ44のリカバリエリア44bへ書き込まれるとオンされ(S58)、一方、RAM43のクリア処理によってオフされる(S61,S65)。
第1〜第nウェイト中フラグ43c1〜43cnは、停電の発生時に、図柄の変動処理や大当たり処理などの遊技に関する各種の一連の制御の開始がウエイト(停止)されている場合にオンされるフラグである。停電が発生すると停電中フラグ44aがオンされるので(S30)、各一連の制御の開始時に実行される制御開始時処理(図5参照)において、その一連の制御を開始させるための開始状態設定処理(S41)の実行がスキップされ(S40:Yes)、このスキップと共に、ウエイト中フラグ43cがオンされるのである(S42)。即ち、ウエイト中フラグ43cがオンされている制御については、制御開始時処理において、開始状態設定処理(S41)の実行がスキップされているので、その一連の制御についての新たな進行が停止されているのである。
第1〜第nウェイト中フラグ43c1〜43cnは、主基板Cで実行される遊技に関する一連の制御の数nのn個分設けられており、すべての一連の制御の進行が停止された場合には、すべてのウェイト中フラグ43c1〜43cnがオンされる。なお、一旦オンされた第1〜第nウェイト中フラグ43c1〜43cnは、停電の解消(復旧)時(S53:No,S54)、或いは、RAM43のクリア処理によってオフされる(S61,S65)。
ここで、一連の制御としては、例えば、LCDディスプレイ10で行われる図柄の変動処理の場合には、変動表示の開始から変動表示の終了までが一連の制御とされる。また、大当たり処理の場合には、大入賞口の開口13bの最初の開放からその大入賞口の開口13bが最後に閉鎖されるまでが一連の制御とされる。このため、一旦開始された一連の制御が終了するまでには、図3に示すリセット割込処理が多数回実行される。
フラッシュメモリ44は、パチンコ機1の電源オフ後も記憶内容を保持する不揮発性のメモリであり、停電中フラグ44aと、リカバリエリア44bとを備えている。停電中フラグ44aは、停電発生時にオンされるフラグである。停電が発生すると、電源ユニット32の電源監視回路32bから停電情報信号32cが主基板Cに搭載されるMPU41の外部割り込み端子へ出力される。よって、MPU41が停電情報信号32cを入力すると、図4に示す外部割込処理が実行され、停電中フラグ44aがオンされる(S30)。停電中フラグ44aは、不揮発性のメモリであるフラッシュメモリ44に設けられているので、その記憶状態は電源のオフ後も保持される。よって、パチンコ機1の電源投入時(電源スイッチ33のオン時)には、停電中フラグ44aのオン又はオフの状態に応じて、所定の初期化処理が実行される(S61〜S64、又は、S65)。一旦オンされた停電中フラグ44aは、停電の解消時(S53:No,S54)、或いは、フラッシュメモリ44のクリア処理によってオフされる(S63)。リカバリエリア44bは、停電発生時に、RAM43の各種エリア43aに記憶されるデータのうちのリカバリ情報を退避するためのエリアである。このリカバリエリア44bに退避されたリカバリ情報は、停電解消後の電源投入時に実行される初期化処理によってRAM43の所定のエリアへ書き戻される(S62)。
これらのMPU41、ROM42、RAM43、フラッシュメモリ44は、バスライン45を介して互いに接続されており、バスライン45は、また、入出力ポート46にも接続されている。入出力ポート46は、払出装置基板D、図柄表示装置基板E、音声制御基板F、ランプ制御基板G、各種スイッチ34、及び、各ソレノイド35にそれぞれ接続されている。主基板Cは、各種スイッチ34による検出信号を入出力ポート46を介して入力し遊技の制御を行うと共に、入出力ポート46を介して、各基板D〜Gや各ソレノイド35へ動作コマンド或いは制御信号を送り、それら各装置を遊技の状態に合わせて制御する。なお、前記した通り、停電情報信号32cは、MPU41の外部割込端子へ直接入力される。
次に、上記のように構成されたパチンコ機1で実行される各処理を、図3から図6のフローチャートを参照して説明する。図3は、パチンコ機1の主基板Cにおいて、2ms毎に実行されるリセット割込処理のフローチャートである。パチンコ機1の主な制御は、このリセット割込処理によって実行される。
リセット割込処理では、まず、スタックポインタを設定し(S1)、次に、停電発生時における停電時処理とRAM43およびフラッシュメモリ44の初期化処理とを含んだ停電チェック処理を実行する(S2)。続いて、タイマ割込の設定を行う(S3)。ここで設定されるタイマ割込としては、液晶ディスプレイ10の表示を制御するためのコマンドを、図柄表示装置基板Eへ送信するためのストローブ信号を発生させるタイマ割込などがある。タイマ割込の設定後は、各割込を許可状態とする(S4)。
割込の許可後は、前回のリセット割込処理において、特別図柄変動処理(S15)や、表示データ作成処理(S17)、ランプ・情報処理(S18)などにより更新された出力データを一度に各ポートへ出力するためのポート出力処理を実行する(S5)。ポート出力処理の実行後は、乱数更新処理(S6)を実行して、大当たりの発生を決定するためのカウンタである乱数カウンタの値を「0〜630(0〜276h)」の範囲内で「+1」ずつ更新する。次に、記憶タイマ減算処理を実行する(S7)。記憶タイマ減算処理は、大当たり判定の保留球が所定数以上あり、且つ、液晶ディスプレイ10において図柄の変動表示中である場合に、図柄の変動表示時間の短縮を行うものである。
スイッチ読込処理(S8)は、各スイッチ34の値を読み込むことにより、遊技領域8へ打ち込まれた打球の普通入賞口9や大入賞口13への入賞、図柄作動口12の通過、更には賞球や貸球を検出するための処理である。カウント異常監視処理(S9)は、S8のスイッチ読込処理によって読み込まれたスイッチデータに異常があるか否かを監視するための処理である。例えば、賞球を払い出す払出モータ37を駆動したにも拘わらず、1球の賞球も払い出されない場合には、賞球の払出装置に何らかの異常が発生している。このようにカウント異常監視処理(S9)では、スイッチ読込処理(S8)によって読み込まれたスイッチデータに基づいて、上記のような異常の有無を監視している。
図柄カウンタ更新処理(S10)では、液晶ディスプレイ10で行われる変動表示の結果、停止表示される図柄を決定するためのカウンタの更新処理が行われる。また、図柄チェック処理(S11)では、図柄カウンタ更新処理(S10)で更新されたカウンタの値に基づいて、特別図柄変動処理(S15)で使用される大当たり図柄や、はずれ図柄、更にはリーチ図柄などが決定される。
S3からS11までの処理において、エラーが発生していなければ(S12:正常)、普通図柄変動処理(S13)によって、7セグメントLED11bの変動表示を行うと共に、その変動表示の結果、当たりが発生した場合には普通電動役物(図示せず)を所定時間開放する当たり処理を実行する。その後、状態フラグをチェックし(S14)、液晶ディスプレイ10の図柄の変動表示中であれば(S14:図柄変動中)、特別図柄変動処理(S15)によって、打球が図柄作動口12を通過するタイミングで読みとられた乱数カウンタの値に基づいて、大当たりか否かの判定が行われると共に、液晶ディスプレイ10の表示図柄の変動処理を実行する。一方、状態フラグをチェックした結果、大当たり中であれば(S14:大当り中)、大入賞口13を開放するなどの大当たり処理(S16)を実行する。更に、状態フラグをチェックした結果、図柄の変動中でも大当たり中でもなければ(S14:その他)、S15及びS16の処理をスキップして、S17の表示データ作成処理へ移行する。なお、S12の処理において、エラーが確認された場合には(S12:エラー)、S13〜S16の各処理をスキップして、S17の表示データ作成処理へ移行する。
表示データ作成処理(S17)では、図柄の変動表示以外に液晶ディスプレイ10に表示されるデモデータや、7セグメントLED11bの表示データなどが作成され、ランプ・情報処理(S18)では、保留球のランプデータをはじめ、各種のランプデータが作成される。効果音処理(S19)では、遊技の状況に応じた効果音データが作成される。なお、これらの表示データおよび効果音データは、前記したポート出力処理(S5)やタイマ割込処理によって各装置へ出力される。
効果音処理(S19)の終了後は、次のリセット割込処理が発生するまでの残余時間の間、S10と同一の処理である図柄カウンタ更新処理を繰り返し実行する(S20)。S1〜S19の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するので、次のリセット割込処理が発生するまでの残余時間は、一定の時間ではなく、遊技の状態に応じて変化する。よって、かかる残余時間を使用して図柄カウンタ更新処理を繰り返し実行することにより(S20)、停止図柄をランダムに変更することができる。
図4は、外部割込処理として実行される停電時割込処理のフローチャートである。停電が発生すると、電源ユニット32の電源監視回路32bから停電情報信号32cが出力される。この停電情報信号32cは、主基板Cに搭載されるMPU41の外部割り込み端子へ入力されている。よって、停電の発生により停電情報信号32cが出力されると、図4に示す停電時割込処理が実行される。停電時割込処理では、まず、停電中フラグ44aをオンし(S30)、次に、この外部割込処理をマスクして(S31)、終了する。停電中は電源監視回路32bから停電情報信号32cが継続して出力されるが、このように外部割込処理をマスクしているので、停電時割込処理が繰り返し発生することを防止することができる。
図5は、図柄の変動処理や大当たり処理等の遊技に関する一連の制御の開始時にそれぞれ実行される制御開始時処理のフローチャートである。この制御開始時処理は、主基板Cで実行される一連の制御毎にそれぞれ設けられている。主基板Cで実行される一連の制御がn個ある場合には、この制御開始時処理もn個設けられる。各一連の制御は、制御開始時処理の開始状態設定処理(S41)を実行した上で開始される。
制御開始時処理では、まず、停電中フラグ44aがオンされているか否かを確認し(S40)、オンされていなければ(S40:No)、その制御を開始状態にするため開始状態設定処理を実行する(S41)。開始状態設定処理(S41)により、その処理に対応する遊技の一連の制御が開始される。
一方、停電中フラグ44aがオンされていれば(S40:Yes)、停電が発生しているので、遊技に関する一連の制御を新たに開始することはできない。よって、開始状態設定処理(S41)を実行せずにスキップし、その制御に対応する第xウェイト中フラグ43cxをオンする(S42)。停電が発生した場合に遊技に関する一連の制御が終了すると、この制御開始時処理によって、一連の制御が終了したものから順に、遊技の新たな進行が停止される。
図6は、リセット割込処理の実行毎に行われる停電チェック処理(S2)のフローチャートである。この停電チェック処理では、停電発生時において遊技状態を記憶するデータの退避処理(S57)や、その退避処理によって退避したデータについての停電復旧後の電源投入時(電源スイッチ33オン時)における復帰処理(S61〜S64)、或いは、電源投入時におけるRAM43及びフラッシュメモリ44の初期化(クリア)処理が実行される(S65)。
停電チェック処理では、まず、RAM43のチェックを行う(S50)。このチェックは、RAM43の所定エリアに書き込まれたキーワードを照合することにより行われる。チェックの結果、RAM43の所定エリアに正しいキーワードが書き込まれていれば(S50:正常)、電源投入後、最初に実行されるリセット割込処理ではない。よって、RAM43及びフラッシュメモリ44の初期化(クリア)処理を行うことなく、停電中フラグ44aがオンしているか否かを判断する(S51)。停電中フラグ44aがオフであれば(S51:No)、停電は発生していないので、そのまま、この停電チェック処理を終了する。
一方、停電中フラグ44aがオンであれば(S51:Yes)、停電が発生している。よって、現在実行されている遊技に関する一連の制御がすべて終了しているか否かを確認するため、すべてのウェイト中フラグ43c1〜43cnがオンしているか否かを判断する(S52)。いずれかのウェイト中フラグ43c1〜43cnがオフであれば(S52:No)、遊技に関する一連の制御はすべて終了していない。よって、停電情報信号32cが未だに出力されているか否かを判断し(S53)、出力中であれば(S53:Yes)、停電は継続しているので、そのまま、この停電チェック処理を終了する。一方、停電情報信号32cが電源監視回路32bから出力されていなければ(S53:No)、既に停電が解消(復旧)しているので、停電中フラグ44a及びすべてのウェイト中フラグ43c1〜43cnをオフし(S54)、更に、S31の処理で一旦マスクした外部割込である停電割込のマスクを解除して(S55)、停電チェック処理を終了する。
S52の処理において、すべてのウェイト中フラグ43c1〜43cnがオンされていれば(S52:Yes)、遊技に関する一連の制御はすべて終了しており、遊技の新たな進行はすべて停止されている。よって、現在継続途中となっている処理はないので、現在の遊技状態を記憶しているデータであるリカバリ情報を、RAM43の各種エリア43aから読み出してフラッシュメモリ44のリカバリエリア44bへ書き込む後述する退避処理を実行する(S57)。
この退避処理の実行に先立って、既に退避処理が実行済みであるか否かを確認するために、リカバリフラグ43bのオンオフ状態を判断する(S56)。リカバリフラグ43bがオフであれば(S56:No)、未だ、リカバリ情報の退避は行われていないので、リカバリ情報をRAM43の各種エリア43aから読み出して、フラッシュメモリ44のリカバリエリア44bへ書き込む(S57)。その後は、リカバリ情報の退避が完了したことを示すべく、リカバリフラグ43bをオンする(S58)。これにより停電発生時における退避処理が完了する。
一方、S56の処理において、既にリカバリフラグ43bがオンされていれば(S56:Yes)、リカバリ情報は退避済みであるので、S57及びS58の処理をスキップしてS59の処理へ移行する。これによりリカバリ情報の退避が重複して行われることがない。
S59の処理では、停電情報信号32cが未だ出力されているか否かを判断する(S59)。停電情報信号32cが出力されていれば(S59:Yes)、停電は継続しているので、そのまま処理をループさせて、2msの経過による次回以降のリセット割込処理の発生を待機する。次回以降のリセット割込処理は、停電チェック処理(S2)において、S50:正常,S51:Yes,S52:Yes,S56:Yesの通り分岐してS59の処理に至る。よって、S57及びS58の処理により停電発生時における退避処理が完了した場合には、電源ユニット32のタイマ回路32aによって所定時間が計時されるまで、2ms毎に上記分岐を繰り返す(S1,S2,S50:正常,S51:Yes,S52:Yes,S56:Yes,ループ)。そして、タイマ回路32aによって所定時間が計時されると、電源ユニット32から停電発生後も継続して出力されていた3種類の電圧(直流安定24ボルト、直流安定12ボルト、直流安定5ボルト)が、電源監視回路32bによって断され、主基板Cを始めとする各基板C〜Hでの動作が停止する。
一方、S59の処理において、停電情報信号32cが電源監視回路32bから出力されていなければ(S59:No)、既に停電が解消(復旧)している。この場合、停電発生時におけるデータの退避処理は既に完了しているので、処理をS61へ移行して、退避したデータの復帰処理を実行する(S61〜S64)。
S50の処理において、RAM43のチェックをした結果、即ち、RAM43の所定エリアに書き込まれているキーワードを照合した結果、そのキーワードが正しくなければ(S50:異常)、電源投入後(電源スイッチ33のオン後)、最初に実行されたリセット割込処理である。この場合には、前回の処理が停電により終了したか、或いは、電源スイッチ33のオフにより終了したかを確認するため、停電中フラグ44aがオンであるか否かを判断する(S60)。停電中フラグ44aがオフであれば(S60:No)、前回の処理は停電ではなく電源スイッチ33のオフにより終了している。よって、RAM43及びフラッシュメモリ44の内容をクリアし、初期値を設定した後(S65)、次のリセット割込処理が発生するまでの2msの残余時間の間、処理をループさせて待機する。
一方、停電中フラグ44aがオンであれば(S60:Yes)、前回の処理は停電の発生により終了している。よって、以降のS61〜S64の各処理により、停電発生時に退避したデータの復帰処理を実行する。まず、RAM43の内容をクリアする(S61)。このクリア処理により、すべてのウェイト中フラグ43c1〜43cn及びリカバリフラグ43bがオフされる。続いて、フラッシュメモリ44のリカバリエリア44bからリカバリ情報を読み出し、読み出したリカバリ情報をRAM43の各種エリア43a内に設けられる所定のエリアへ書き込む(S62)。フラッシュメモリ44の内容をクリアし、初期値を設定する(S63)。このクリア処理により、リカバリ情報を記憶していたリカバリエリア44bの内容がクリアされるだけでなく、停電中フラグ44aがオフされる。その後、外部割込である停電割込のマスクを解除して(S64)、新たな停電の発生時に、図4の停電時割込処理が実行可能となるように設定する。
以上のS61〜S64の各処理によって、パチンコ機1は停電前の遊技状態に完全に復帰する。よって、停電が発生した場合であっても、その停電が解消すれば停電前の状態から遊技を続行することができる。なお、S64の処理後は、次のリセット割込処理が発生するまでの2msの残余時間の間、処理をループさせて待機する。
次に、図7を参照して、第2実施例の停電チェック処理について説明する。第2実施例の停電チェック処理は、前記した第1実施例の停電チェック処理に対して、リカバリ情報の退避処理の実行後に、自ら電源ユニット32からの電圧供給を停止(断)する点が異なっている。以下、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分のみ説明する。なお、図7のフローチャートに示すプログラムは、ROM42内に制御プログラムの一つとして記憶されている。
図7は、第2実施例における停電チェック処理を示したフローチャートである。S52の処理において、すべてのウェイト中フラグ43c1〜43cnがオンされていれば(S52:Yes)、遊技に関する一連の制御はすべて終了しており、遊技の新たな進行はすべて停止されている。よって、現在継続途中となっている処理はないので、現在の遊技状態を記憶しているデータであるリカバリ情報を、RAM43の各種エリア43aから読み出してフラッシュメモリ44のリカバリエリア44bへ書き込むという退避処理を実行する(S70)。この退避処理の実行後は、自ら電源ユニット32の電圧供給を停止(断)する(S71)。これにより、主基板Cを始めとする各基板C〜Hでの動作が停止する。第2実施例の停電チェック処理によれば、停電発生時における退避処理が終了したパチンコ機1から順に、その電源を落として停止することができる。
なお、上記各実施例において、請求項1記載のバックアップ電源手段としては、段落0062のリチウム電池等が該当し、そのバックアップ電源手段に接続される記憶手段としては、バックアップ電源手段としてのリチウム電池等に接続された段落0062のスタティックRAMが該当する。端子としてはMPU41の外部割込端子が該当し、判別手段としては図7のS51の処理が該当する。停電発生時処理としては図7のS70の処理が該当し、繰り返し処理としては図3のリセット割込処理が該当する。特定箇所としては、図7のS51の処理の実行箇所が該当し、電源供給遮断手段としては、図7のS71の処理が該当する。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記各実施例では、第1種パチンコ機1を例に説明したが、第2種または第3種パチンコ機、或いは、スロットマシンなどの遊技機に本発明を適用しても良い。また、不揮発性のメモリとしては、フラッシュメモリ4に代えて、EEPROMや、リチウム電池等に接続されたスタティックRAMを用いるようにしても良い。更に、上記各実施例では、電源ユニット32とバックアップ電源回路32dとを一体に構成したが、両者は必ずしも一体である必要はない。よって、電源ユニット32とバックアップ電源回路32dとを別体に構成するようにしても良いのである。
以下に本発明の変形例を示す。請求項1記載の遊技機において、前記停電時退避手段は、遊技状態の新たな進行を停止した結果、一連の遊技状態がすべて終了した場合に、遊技状態を記憶している各データを前記記憶手段へ退避することを特徴とする遊技機1。
請求項1記載の遊技機、又は、遊技機1において、不揮発性の前記記憶手段に設けられ、前記停電時退避手段の実行があったことを記憶する退避記憶手段(停電中フラグ44a)と、その退避記憶手段に前記停電時退避手段の実行があったことが記憶されている場合に前記停電時復帰手段を実行する復帰実行手段とを備えていることを特徴とする遊技機2。
請求項1記載の遊技機、又は、遊技機1若しくは2において、不揮発性の前記記憶手段は、EEPROM、フラッシュメモリ(フラッシュROM)、または、リチウム電池等のバックアップ電源回路に接続されたスタティックRAMにより構成されていることを特徴とする遊技機3。
請求項1記載の遊技機、又は、遊技機1乃至3において、前記電源手段のオンオフを切り替える電源スイッチを備えており、その電源スイッチは、前記バックアップ電源手段の2次側(反外部電源側)に配設されていることを特徴とする遊技機4。かかる構成によれば、電源スイッチをオフすることによって、バックアップ電源手段を作動させることなく、電源手段の出力をオフすることができるので、停電時にのみ停電時処理を実行させることができる。
請求項1記載の遊技機、又は、遊技機1乃至4において、前記バックアップ電源手段は、停電発生時に前記電源手段に代わって、前記電源手段が供給する駆動電圧の一部であって停電時処理(停電時退避手段および停電時復帰手段)の実行に必要な駆動電圧を供給することを特徴とする遊技機5。すべての駆動電圧をバックアップする場合に比べて、バックアップ電源手段の容積(サイズ)やコストを低減することができる。
請求項1記載の遊技機、又は、遊技機1乃至5において、前記バックアップ電源手段の作動後所定時間が経過した場合に、そのバックアップ電源手段の駆動電圧の出力を停止する停止手段を備えていることを特徴とする遊技機6。停電時退避手段の実行完了に十分な所定時間の経過後、バックアップ電源手段の出力を停止することにより、バックアップ電源手段から十分な駆動電圧が出力されている間に遊技機を停止することができる。従って、不安定な駆動電圧で遊技機を動作させることがないので、停電時処理を正常に行うことができる。
請求項1記載の遊技機、又は、遊技機1乃至5において、前記停電時退避手段の実行完了後に、前記バックアップ電源手段の駆動電圧の出力を停止させる停止手段を備えていることを特徴とする遊技機7。停電時退避手段の実行後、バックアップ電源手段の出力を停止させることにより、バックアップ電源手段から十分な駆動電圧が出力されている間に遊技機を停止することができる。従って、不安定な駆動電圧で遊技機を動作させることがないので、停電時処理を正常に行うことができる。