JP5627907B2 - 低温酸化を抑制した石炭の製造方法 - Google Patents

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本発明は、石炭の自然発火を防止した石炭の製造方法に関し、特に低温酸化を抑制した石炭の製造方法に関する。
セメント製造では、1トンのセメントを製造するのにおよそ100kgの石炭が使用されているが、自然発火の懸念、ハンドリングし易すさなどを理由として、その大半がいわゆる高品位炭に分類される瀝青炭である。石炭は埋蔵量が大きいとはいうものの、可採可能な高品位炭にはやはり限りがあるため、亜瀝青炭および褐炭などのいわゆる低品位炭の有効利用が望まれている。
ところが、亜瀝青炭および褐炭などは埋蔵量が豊富である反面、揮発分率が高く、常温の貯炭期間中に自然発火し易いという問題がある。この自然発火を防止するため、種々の自然発火防止方法が提案されている。石炭の自然発火は低温酸化の結果起こる現象である。
例えば、特開平7−166180号公報には、泥炭、褐炭、亜瀝青炭等の低品位炭の水分を除去した後、水素および一酸化炭素を含有するガスを用いて、温度200℃〜400℃で熱処理し改質技術が示されている。
また、特開平10−259390号公報には、野積み石炭山の発塵、降雨による部分的崩壊等を抑制する方法として、界面活性剤含有量を、野積み石炭中の細粒炭混合率に応じて調整した撥水性塗布剤で石炭山を被覆する方法が示されている。
特開2000−297288号公報には、石炭の微粉末と水とを混合したスラリーを200℃〜350℃の温度で、かつ70kg/cm〜150kg/cmの圧力下で所定時間保持することで、自然発火を防止できるように石炭を改質スラリーとする技術が示されている。
さらに特開2006−77155号公報には、水を使用しない簡便な自然発火防止方法として、塊状の石炭とその石炭の間隙をその石炭よりも酸化しにくい炭化バイオマス等で埋める方法が示されている。
これらのほかに、石炭の発塵防止、自然発火防止のための薬剤が市販されている。自然発火防止剤は、作用の異なる2種類に大別される。そのひとつは界面活性剤により水との濡れ性を向上させる浸透型、他は酢酸ビニルのエマルジョン、アクリルのエマルジョン、スチレンブタジエンのエマルジョンなど樹脂を含有する被覆型である。浸透型は水分の保持力を高める(水分蒸発を抑制する)効果を、被覆型は石炭粒子の表面を樹脂膜でコーティングすることで酸素との接触を遮断する効果を利用したものである。
特開平7−166180号公報および特開2000−297288号公報などに開示される技術では、熱処理装置を新規に設置する必要があり、経済性に乏しく実用化が困難である。
特開2006−77155号公報に開示される技術は、石炭よりも酸化しにくい炭化バイオマスを入手することが困難であるという問題がある。
特開平10−259390号公報および市販の自然発火防止剤を利用する方法では、大規模な貯炭の自然発火を防止するには薬剤購入費がかさむなどの問題がある。
特開平7−166180号公報 特開平10−259390号公報 特開2000−297288号公報 特開2006−77155号公報
従って、本発明の目的は、新規な熱処理設備を必要とせず、処理に困っている廃棄物および副生物を利用することで、石炭の低温酸化を抑制できる方法を提供することにある。
バイオディーゼルを生成する過程で副生した含グリセリン溶液を石炭の表面に散布して低温酸化を抑制することを特徴とする石炭の製造方法を提供する。
自動車のクーラント液水、油圧作動油、航空機の防氷、解氷に使用される防氷剤から選ばれる少なくとも1種類の不凍液水廃液を石炭の表面に散布して、低温酸化を抑制することを特徴とする石炭の製造方法を提供する。
まず、セメント工場における燃料用石炭の自然発火防止のための管理について説明する。
セメント工場での貯炭の形態には、屋外ヤード貯炭、屋内ヤード貯炭およびホール貯炭がある。屋外ヤード貯炭の場合の酸化防止側面からの自然発火防止策には、1.貯炭の転圧により外気の侵入を防止する、2.シートや粘土などでパイルの外表面を被覆することで外気の侵入を防止する、3.自然発火防止剤を散布するおよび4.季節ごとの風向・風速を考慮してパイルの斜面の方向および傾斜を設計する、などがある。
蓄熱防止側面からの自然発火防止策には、1.定期的にパイルの切り返しを行なうことで放熱を促す、2.散水により水の気化熱で放熱を促す、3.パイル高さを低く設計する(一般炭で8.5〜10m、高揮発分炭で5m未満)などがある。但し、2.に記載の散水は微粉炭の流出によりパイルの気孔率が高まり、逆に外気が侵入しやすくなるため注意が必要である。屋内ヤード貯炭の場合の発火防止策は、基本的には屋外ヤード貯炭の場合と共通であるが、降雨の影響を受けないため貯炭の水分管理に課題がある。また、長期にわたる炭塵の堆積が起こらないように管理する必要がある。
ホール貯炭の場合、重機の走行ができないこと、常時クレーン作業が行なわれていることなどから、酸化防止側面の有効な発火防止策はない。蓄熱防止側面からの防止策には、1.1回の受入数量を少なくする、2.貯炭の層厚さを薄くする、3.できる限り短期間で使い切る、4.貯炭の温度検出、COガスのモニタリング頻度を増加することで早期の危険予知を行なう、などがある。
貯炭場からベルトコンベアにより石炭ミルへ供給された石炭は、乾燥・粉砕され空気(または機械)輸送により集塵機、端末ビンを経てキルンの主バーナーで燃焼される。
次に、本発明の自然発火防止する方法の作用について説明する。
有機物の炭化・ガス化の過程で副生するタールは、分子量、分子構造、物性が異なる200種類以上の物質からなる混合物である。これらの物質のうち、沸点が200℃未満の物質が水溶性タールに該当する。
特に温度が150℃程度まで低下した有機物の炭化・ガス化の過程の排煙を、専用タンクに凝縮回収し、そのまま1週間程度静置すると、含有物質の比重差により、上層部に油膜、中層部に水溶性タール、下部層に沈降タールというように3層に分離する。この中部層の水溶性タールを、石炭の自然発火抑制剤として用いることができる。
水溶性タールは水の加減が可能なため、粘度管理および自然発火抑制成分の濃度管理が容易であるという利点がある。
水溶性タールに含まれる有機酸塩類が石炭表面の酸素吸着サイトを封止するとともに、同じく水溶性タールに含まれる多価アルコール類が、石炭表面の細孔を充填することで、水分の蒸発を抑制するとともに外気からの酸素の浸透を抑制する。
油膜および沈降タールの発生比率が小さい場合には、排煙凝縮液を比重分離することなく、そのまま自然発火抑制剤として用いてもよい。
炭化・ガス化のための有機物が木竹であると、得られる水溶性タールは、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウムなどの有機酸塩を豊富に含んでいるため、石炭の自然発火抑制効果が更に高まる。木酢液は、木材を乾留して得られる水溶性部分であり、木材家屋の解体に伴って発生した木材を炭化した排煙から、製造したものである。水分は、60重量%以下であることが好ましい。これを越えると、有効成分量が低下して、自然発火抑制効果が小さくなる恐れがある。不凍液水廃液には航空機用防氷剤および廃クーラント液水を使用した。航空機用防氷剤は、増粘剤を含有しプロピレングリコール濃度が20〜60重量%のものが望ましい。廃クーラント液水は、廃油の収集・中間処理業者より入手し、主成分は、エチレングリコールであって、10〜60重量%含有されたものが望ましい。
グリセリンは吸湿性があり、水分の蒸発を抑制する効果が高いため、化粧品の原料の一部として広く使用されている。また、グリセリンには水と混和するという性質があるため、水の加減が可能であり、粘度管理およびグリセリンの濃度管理が容易であるという利点がある。含グリセリン溶液は、石炭表面の細孔から塊状の石炭の内部にまで容易に浸透するが、一度浸透した水はグリセリンの作用によりその蒸発が抑制されるため、石炭の自然発火抑制効果が発現される。
含グリセリン溶液には、廃食油からバイオディーゼル燃料の製造する工程で副生するものがある。廃食油からのバイオディーゼル燃料製造は、以下のようにしてなされる。まず廃食油から天ぷらかすなどの固形不純物の除去し、水酸化カリウムを溶解させたメタノールを添加して攪拌する。そののち容器内で静置しておくと、食油中の脂肪酸とメタノールとが結合して粗製メチルエステルとなり、容器の下部層に粗製グリセリンが沈降分離する。このメチルエステルがいわゆるバイオディーゼルである。
バイオディーゼル燃料製造工程で副生する含グリセリン溶液は、強アルカリで、触媒由来成分およびメタノールを多量に含有するほか、鹸化反応した遊離脂肪酸、モノ・ジグリセリド、脂肪酸メチルエステル等を含有する。
グリセリンは400kJ/モル程度の燃焼熱を有しているため、バイオディーゼル製造過程で副生する含グリセリン溶液はボイラー用の燃料として利用することができるが、上記の不純物の影響により様々な障害が発生することも分かっており、最終的には焼却処分されているのが現状である。
このように特段の有効利用法のない、バイオディーゼル製造過程で副生する含グリセリン溶液は、石炭の自然発火抑制剤用いるのに好適である。含グリセリン溶液中に、触媒由来のナトリウムおよびアルカリ成分が過度に含まれる場合には、予め除去することは、よりいっそう好ましい。
不凍液水廃液には、自動車のクーラント液水、ボイラーの冷却水、油圧作動油、航空機用の防氷剤などがある。自動車のクーラント液水は、エチレングリコール濃度20%程度の水溶液である。車検および廃車時に回収されて、一部再生再利用、焼却処理されるが、大半は水で希釈された後にそのまま下水ほかへ放流されている。ボイラーの冷却水にも、アルコール成分を含有する不凍液が添加される。油圧作動油は不凍が目的ではないが、グリコール類の水溶液であるため不凍液水に含めることができる。油圧作動油には自動車のブレーキフルードなどがある。航空機用の防氷剤はプロピレングリコール水溶液である。防氷剤は、冬期の着氷・解氷を目的として、飛行場内の専用の駐機場において機体の表面に散布される。
これら不凍液廃液を石炭に散布すると、石炭表面の細孔から塊状の石炭の内部にまで容易に浸透するが、一度浸透した水は不凍液廃水に含まれるアルコール類の作用によりその蒸発が抑制されるため、石炭の自然発火抑制効果が発現される。
石炭の自然発火を抑制する目的において、特に航空機用の防氷剤が好ましい。航空機用の防氷剤には、機体表面に付着させることによって着氷そのものを防止する目的で使用させるもの(アンチアイシング)および機体の着氷、積雪を融解させる目的で使用されるもの(ディアイシング)がある。アンチアイシングを目的とした防氷剤は、機体への接着を向上させるためにポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム等の増粘剤が含まれている。プロピレングリコールの作用により水分の蒸発が抑制され、石炭の自然発火抑制効果が発現されるほか、防氷剤に含まれる増粘剤が石炭表面を被覆するため外気の酸素との接触が遮断される。このため、よりいっそうの自然発火抑制効果が発現される。
製造された燃料用石炭について、後述する方法により、酸素吸収速度を測定して、安全性の確認をおこなった。すなわち、製造された燃料用石炭を、所定温度に保ちつつ、空気中で所定量の二酸化炭素吸収剤とともに、石炭粉末を容器に収納して密閉し、石炭と酸素の反応によって生じた二酸化炭素の吸収による容器内圧力を計測して、圧力低下量を酸素吸収量に換算し、酸素吸収量の経時変化から酸素吸収速度を計算し、安全性を確認された酸素吸収速度以下となることを確認した。セメント工場において、貯炭場にある石炭の上部から、水溶性タール、含グリセリン溶液、不凍液水廃液を散布することにより、自然発火のリスクが低減される。また、従来自然発火の懸念から使用することができなかったより高揮発分の石炭を使用することができ、燃料用石炭の選択範囲が広がる。
従来、自然発火が懸念されて使用することができなかった亜瀝青炭および褐炭などの石炭を、貯炭現場、工場内輸送経路において、本製造方法で製造すれば、自然発火を起こすことなく貯炭したり、粉砕したり、配管滞留、サイクロンバッグ滞留等が行える。
本願発明の廃液散布により製造された石炭の酸素吸収曲線を示す図である。 本願発明の石炭の酸素吸収速度の測定原理を示す図である。
以下に本発明の形態について、詳細に説明する。
実際の貯炭の現場における、水溶性タール、含グリセリン溶液、不凍液水廃液の散布は、次のように行った。
水溶性タール、含グリセリン溶液、不凍液水廃液は貯留タンクに保管され、液体ポンプを介して散水ノズルまで輸送した。
スタッカー、リクレーマ、ベルトコンベアなどが設備された屋外ヤードおよび屋内ヤードにおける散布は、スタッカー、リクレーマ、ベルトコンベアの上部の複数箇所に設置された散布ノズルより、一定速度で輸送される石炭に対して、石炭の重量に対して外割りで5重量%から20重量%の割合で散布した。5重量%未満であると水溶性タール、含グリセリン溶液、不凍液水廃液が石炭の下部まで浸透しない。そして、後述する酸素吸収速度を求めるOxiTop法で求める安全の確認された酸素吸収速度以下に抑えることができない。また20重量%を超えると水溶性タール、含グリセリン溶液、不凍液水廃液が石炭から流下してしまう。
ホール貯炭における散布は、石炭の荷卸からホールへ受入までの間にベルトコンベアなどの定量輸送手段を介し、この輸送手段の上部の複数箇所に設置した散布ノズルより行なった。
このようにして散布すると、水溶性タール、含グリセリン溶液、不凍液水廃液が石炭貯層の全体に均一に行き渡り、いっそうの自然発火抑制効果が発現された。
本発明の効果を確かめるための酸素吸収速度の測定は、以下のようにして行なった。なお、下記の例のうち水溶性タール(木酢液)を用いた例は参考例である。
石炭には、安全とされないフライトエナジー炭(インドネシアの亜瀝青炭)を用いた。2日間風乾後1000〜100μmに粒度調製した。各種廃液の噴霧条件を表1に示す。水溶性タールには木酢液を用いた。木酢液は、木材を乾留して得られる水溶性部分であり、木材家屋の解体に伴って発生した木材を炭化した排煙から、製造したもので水分60重量%以下である。
不凍液水廃液には航空機用防氷剤および廃クーラント液水を使用した。航空機用防氷剤は、増粘剤を含有しプロピレングリコール濃度が20〜60重量%が望ましい。41%のものを使用した。廃クーラント液水は、廃油の収集・中間処理業者より入手し、主成分は、エチレングリコールであって、10〜60重量%のものが望ましい。54%含有されたものを用いた。含グリセリン溶液には、バイオディーゼル製造過程で副生したグリセリン水溶液を、グリセリン濃度が50%となるように調製した。
石炭への廃水溶液水の散布手順は、木酢液、グリセリン50%溶液、航空機用防氷剤、廃クーラント液水のいずれも場合も共通で、以下のようにして行った。
粒度調製を行なったフライトエナジー炭40gを小型バットに薄く敷き、霧吹きを用いて天秤上で廃水溶液水4g程度散布した。その後にスパチュラで均等に混合し、33gを秤量して風乾せずにOxiTop法用の試料ビンに収納して測定を開始した。
ここで、酸素吸収速度を求めるOxiTop法について、詳述する。
現実の石炭の低温酸化のメカニズムは複雑であるが、実用上、以下の式のように単純化しても差し支えない。すなわち、密閉容器内で石炭と酸素を含有する気体とを接触させると、石炭の酸化反応により、二酸化炭素、一酸化炭素および熱を生成する。1モルの酸素の吸収により、同じく1モルの二酸化炭素が生成するので、この二酸化炭素を炭酸化固定すれば、酸素の吸収量を求めることができる。
石炭+O→CO+0.1CO+熱
この測定を実施するにあたり、例えば、市販のBOD簡易測定器がこの機能を備えている。その測定原理を図2に示した。内部圧力センサー付ヘッド30は二酸化炭素吸収剤の収納ホルダー10を含み、石炭試料40を入れたガラス製容器20を密栓する。ガラス製容器内の気圧変化は前記センサーで感知、計測することができる。その計測値を連続的に記録できる記録計を備えることが好ましい。
図2の測定器を用いて、廃水溶液水の散布を行った石炭の酸素吸収速度を測定した。
酸素吸収速度の測定手順の概要は以下のとおりとした。
1. 石炭試料を密閉容器内に収納すると石炭の酸化により二酸化炭素が発生する。
2. 二酸化炭素は水酸化ナトリウムで吸収させ炭酸化固定される。
3. 容器内では圧力低下が起こる。
4. 容器内の気圧を圧力センサーで感知し、記録計で記録する。
5. 圧力低下量を酸素吸収量に換算する。
6. 酸素吸収量の経時変化(一次微分)から酸素吸収速度を計算する。
具体的には、廃水溶液水の散布を行った石炭試料33gを内容積325mlのガラス製測定容器20に入れ、二酸化炭素吸収剤である水酸化ナトリウム粒子を専用ホルダー10に収納し、ガラス容器20にセットし、圧力センサー付のヘッド30で密栓し直ちに測定を開始した。容器の内圧が経時的に記録されるため、この内圧の変化量を酸素吸収量に換算し、その経時変化から、酸素吸収速度を求めた。
測定容器の内部の気圧の変化量から酸素吸収量への換算は以下の数式によった。
A:酸素吸収量 [m・mol−O/g−coal]
P:内圧減少量 [hPa]
V:容器内容積 [cm
:石炭の乾燥重量 [g]
d:石炭の真密度 [g/cm
W:石炭の重量 [g] である。
測定結果に基づいて算出された酸素吸収量の経時変化を図1に示す。各曲線の傾きが酸素吸収速度である。酸素吸収速度も時間とともに変化しているため、測定温度および時間を共通として算出した。
ブランクが、本製造方法を施さない石炭である。最も酸素吸収抑制効果が高かったものは、含グリセリン50%溶液および航空機用防氷剤を散布した石炭であった。続いて廃クーラント液水を散布した石炭、木酢液を散布した石炭の酸素吸収速度はブランクと廃クーラント液水を散布した石炭の中間程度であった。
酸素吸収速度は図1の各々の曲線の傾きに相当するが、酸素吸収速度が時間とともに変化しているため、便宜上3000分後の曲線の接線の傾きから酸素吸収速度を算出した。その算出結果を表2に示した。
最も酸素吸収速度が高かったのは、ブランクの石炭で4.86×10−4[m・mol−O2/g−coal/hr.]であった。木酢液を散布した石炭の酸素吸収速度は4.65×10−4[m・mol−O2/g−coal/hr.]、廃クーラント液水を散布した石炭の酸素吸収速度は4.02×10−4[m・mol−O2/g−coal/hr.]、航空機用防氷剤および含グリセリン50%溶液を散布したもので、それぞれ3.90×10−4[m・mol−O2/g−coal/hr.]および3.66×10−4[m・mol−O2/g−coal/hr.]と算出された。
ブランクの石炭に対して、木酢液を散布した石炭で約5%、廃クーラント液水を散布した石炭で約17%程度、航空機用防氷剤および含グリセリン50%溶液を散布したもので約25%程度、酸素吸収速度が抑制された。
こうして、製造された燃料用石炭について、所定温度に保ちつつ、空気中で所定量の二酸化炭素吸収剤とともに、石炭粉末を容器に収納して密閉し、石炭と酸素の反応によって生じた二酸化炭素の吸収による容器内圧力を計測して、圧力低下量を酸素吸収量に換算し、酸素吸収量の経時変化から酸素吸収速度を計算し、安全性が確認された酸素吸収速度以下の燃料石炭を得ることができた。
本発明を実施すれば、亜瀝青炭、褐炭などの低温酸化を抑制することができるので、貯炭時における石炭の自然発火を防止できるとともに、従来廃棄に困っていた水溶性タール、廃グリセリンおよび廃不凍液水などの再利用が可能となる。
10:二酸化炭素吸収剤収納ホルダー
20:ガラス製容器
30:内部圧力センサー内臓ヘッド
40:石炭試料

Claims (2)

  1. バイオディーゼルを生成する過程で副生した含グリセリン溶液を石炭の表面に散布して低温酸化を抑制することを特徴とする石炭の製造方法。
  2. 自動車のクーラント液水、油圧作動油、航空機の防氷、解氷に使用される防氷剤から選ばれる少なくとも1種類の不凍液廃液を石炭の表面に散布して、低温酸化を抑制することを特徴とする石炭の製造方法。
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