JP5627450B2 - 旋回輪軸受構造 - Google Patents
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Description
このような風力発電装置1において、風車翼5を備えたロータヘッド4は、タワー2の上部に設置されたナセル3内の増速機及び発電機と主軸を介して連結されているので、ロータヘッド4の向きを変動する風向きに合わせる(ロータ回転面を風向に正対させる)必要がある。
また、各風車翼5は、風速等の変化に対応してピッチ角を変動させる必要があるため、ロータヘッド4に対して風車翼5を矢印Rwの方向に旋回させる装置として、風車翼毎にピッチ駆動装置が設けられている。
また、風車用等の旋回輪軸受10は、最大面圧を基準にして設計される。そして、上述した風車用旋回輪軸受を含む一般的な旋回輪軸受10は、特に風車用旋回輪軸受のように大型の旋回輪軸受は、旋回輪軸受10を設置するタワー2、ナセル3及びロータヘッド4等の構造体において、内輪11や外輪12が構造体を構成する強度部材の一部としても使用されている。
図16は、上下2段の転動体13を備えている旋回輪軸受について、構造変形の有無と面圧との関係を示したものである。この図によれば、構造変形がない場合の面圧分布は略半円の円弧形状を描いているが、構造変形がある場合には、略半円の円弧形状に大きな乱れを生じた面圧分布となっている。なお、図16の横軸は、周方向の角度であり、以下の説明において、転動体13の上下方向は、旋回輪軸受10をヨー駆動装置に用いる場合、上段がナセル3側で、かつ、下段がタワー2側となり、旋回輪軸受10をピッチ駆動装置に用いる場合、上段が風車翼5の翼先端側で、かつ、下段がロータヘッド4に取り付ける翼根元側となる。
なお、図17(a)は、内輪11及び外輪12が楕円状に変形する場合の外力入力例、図17(b)は内輪11及び外輪12が軸方向に撓む場合の外力入力例、図17(c)は内輪11及び外輪12の面間が広がる方向に変形する場合の外力入力例を示している。
本発明の第1態様に係る旋回輪軸受構造は、内輪及び外輪に形成した軌道輪間に転動体を挟持してなる転がり軸受の旋回輪軸受構造であって、前記内輪及び/または前記外輪の剛性を周囲より高めた剛性強化部を軸受面圧の高い周方向領域に設け、前記剛性強化部は、前記外輪の外周面及び/または前記内輪の内周面に取り付けられた補強部材を備えていることを特徴とするものである。
また、剛性強化部は、外輪の外周面及び/または内輪の内周面に取り付けられた補強部材を備えているので、内輪や外輪の剛性を軸受面圧に応じて周方向に変化させることができ、従って、重量の増加を必要最小限に抑えて面圧分布に生じる乱れを解消できる。
上述した補強部材としては、たとえば外輪の外周面や内輪の内周面に設けたリブや補強板等がある。なお、補強板の断面形状は、軸受面圧に応じて板圧を変化させたものでもよい。
また、上述した補強部材は、軸受面圧を受ける上面側の剛性を増すように、上下方向の上面側に対して部分的に取り付けたものでもよい。
また、剛性強化部は、転動体と接する面と反対側となる内輪の内径及び/または外輪の外径を非真円にした幅広部であり、すなわち、内輪の幅広部は、内径を小さくすることにより平面視の内輪幅を増した(断面積を大きくした)剛性強化部であり、外輪の幅広部は、外径を大きくすることにより平面視の外輪幅を増した(断面積を大きくした)剛性強化部である。
この場合、前記幅広部は、台形状の軸方向断面形状を有しているものでもよい。すなわち、幅広部の断面形状は、軸受面圧を受ける上面側の辺が長く、上面側と平行な下面側の辺を短くした台形状とすれば、重量の増加を必要最小限に抑えて剛性(断面積)を増し、面圧分布に生じる乱れを解消することができる。
また、初期接触角や軌道輪の溝半径を周方向に適宜変化させて最適化することにより、面圧の急上昇防止、あるいは、最大面圧及び軸受トルクの抑制が可能になる。
本実施形態に係る旋回輪軸受構造は、たとえば図14に示すような風力発電装置1において、ヨー駆動装置やピッチ駆動装置に適用される転がり軸受である。転がり軸受は、内輪及び外輪の対向面にそれぞれ略半円形の断面形状を有する軌道輪を形成し、両軌道輪の間にベアリング等の転動体を挟持した構成の機械要素である。
風力発電装置1のピッチ駆動装置は、ロータヘッド4に取り付けられた各風車翼5のピッチ角を風速等の変化に対応して調整するため、風車翼5をロータヘッド4に対して旋回させる装置である。すなわち、ピッチ駆動装置においては、風車翼5の根元(下端部)とロータヘッド4との間に介在させた旋回輪軸受が、ロータヘッド4に対して風車翼5を旋回(ピッチ角調整)可能に支持している。この場合、旋回輪軸受における上段側は風車翼5の先端側、下段側は風車翼5の根元側(ロータヘッド4側)であり、従って、旋回輪軸受の上下方向が軸方向となり、左右方向が径方向となる。
図1に示す第1参考例の旋回輪軸受10Aは、内輪11及び外輪12Aに形成された軌道輪14,15を備え、対向する軌道輪14,15間に転動体13を挟持してなる転がり軸受である。図示の旋回輪軸受10Aでは、軌道輪14,15が上下に2組形成され、転動体13が上下2段に配設された構成とされるが、特に限定されることはない。
図示の剛性強化部20は、外輪12Aの外径を非真円にして外側に拡幅した幅広部である。すなわち、外輪12Aの剛性強化部20Aは、左右方向(A−A断面)の外輪幅taを上下方向の外輪幅tbより大(ta>tb)として幅広とした領域である。換言すれば、外輪12Aの平面視において、軸受面圧の高い領域になる左右方向の外輪幅taを最大とし、軸受面圧が低く最小幅となる上下方向の外輪幅tbまで、徐々に外輪幅を変化させた形状となっている。
なお、図示の旋回輪軸受10Aは、左右方向に幅広の外輪幅taにして剛性強化部20Aを形成しているが、剛性強化部20Aの周方向領域は、軸受面圧の領域に応じて適宜変更可能なことはいうまでもない。
図示の剛性強化部20Bは、内輪11Aの内径を非真円にして内側に拡幅した幅広部である。すなわち、内輪11の剛性強化部20Bは、左右方向(B−B断面)の内輪幅を上下方向の内輪幅より大として幅広とした領域である。換言すれば、内輪11Aの平面視において、軸受面圧の高い領域になる左右方向の内輪幅を最大とし、軸受面圧が低く最小幅となる上下方向の内輪幅まで、徐々に外輪幅を変化させた形状となっている。
なお、上述した内輪11Aの剛性強化部20B及び外輪12Aの剛性強化部20Aは、各々単独で採用するだけでなく、両方を組み合わせた構成も可能である。
図3に示す第2変形例において、旋回輪軸受10Cの軸方向断面形状は、図1に示した外輪12Aの剛性強化部20Aについて、軸受面圧を受ける上面側の辺が長く、上面側と平行な下面側の辺を短くした台形状が採用されている。すなわち、剛性強化部20Cは、外輪12A′に幅広部を形成する外周面の下方が内周方向へ絞られた傾斜面となっている。
このように、幅広部が台形状の断面形状を有している剛性強化部20C,20Dは、軸受面圧を受ける上面側の辺が長く、上面側と平行な下面側の辺を短くした台形状であるから、重量の増加を必要最小限に抑えて効率よく断面積及び剛性を増し、面圧分布に生じる乱れを解消することができる。
また、本発明では、上述した第1参考例の旋回輪軸受10Aに代えて、すなわち幅広部を形成する剛性強化部20に代えて、補強部材を取り付ける構成とする。
図5に示す実施形態の旋回輪軸受10Eは、外輪12の外周面に補強部材のリブ30を取り付けた剛性補強部20Eとなる。このリブ30は、周方向において軸受面圧の高い領域の外輪12に対して、複数枚が溶接等により取り付けられている。このようなリブ30を取り付ける外周面の領域は、上述した剛性強化部20Aの幅広部と略同じである。この場合、リブ30を取り付ける周方向のピッチは、等ピッチにしてもよいし、あるいは、軸受面圧の高い領域ほど密にしてもよい。
この場合、補強板31の板厚は、たとえば図6(a)、(b)に示すように、全体を同一にしてもよいが、たとえば6(c)に示すように、軸受面圧の高い領域ほど厚くした補強板31Aを取り付けてもよい。
この場合の補強板31Bは、板厚が同一のものでもよいし、あるいは、軸受面圧の高い領域ほど板厚を厚くしたものでもよい。なお、補強板31Bに代えて、図5に示す本実施形態のリブを採用してもよい。
このような補強部材による剛性強化部20E,20F,20Gの形成は、内輪11や外輪12の剛性を軸受面圧に応じて周方向に変化させることができ、従って、重量の増加を必要最小限に抑えて面圧分布に生じる乱れを解消できる。
次に、本発明に係る旋回輪軸受構造について、第2参考例を図8〜図11に基づいて説明する。なお、図8〜図9は要部の曲率等を誇張して示す図であり、上述した参考例及び実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図8は、内輪11の軌道輪14と外輪12の軌道輪15との間に挟持された球状の転動体13について、接触角θが正常な状態にある標準状態を示している。このような標準状態では、水平軸及び垂直軸からそれぞれ45度となる初期接触角と接触角θとが一致しており、合計4箇所の接触位置Tが形成されている。なお、転動体13の半径はr、軌道輪14,15の曲面は半径Rの円弧である。
通常の転がり軸受において、図11の左側に示す「通常」のように、破線で示す初期接触角の45度は、周方向に一定となるように製作されている。そして、運転時の接触角θは、荷重の状況や構造変形量によって、たとえば図11に実線で示すサインカーブのように変化する。このため、図9(b)に示すように、接触角θがθ1まで大きく変化した場合には、接触楕円がエッジ部分に載り上がるので、エッジ載り上げにより面圧を急上昇させることになる。なお、この場合のエッジ部分は、軌道輪15の端部15aとなる。
この場合、破線で示す初期接触角のピークは、図10に示すように、下のピークθaが標準の初期接触角45度より小さく、上のピークθbが標準の初期接触角45度より大きくなっている。
最後に、本発明に係る旋回輪軸受構造について、第3参考例を図8及び図12、図13に基づいて説明する。なお、図12は要部の曲率等を誇張して示す図であり、上述した参考例及び実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
滑り軸受の軸受内面圧は、転動体13の直径及び軌道輪14,15の溝半径により、すなわち、転動体13の半径r及び軌道輪14,15を形成する円弧の溝半径Rとの比(溝曲率=R/2r)により変動する。具体的には、溝曲率が50%に近い値となり、転動体13の直径2rと軌道輪14,15の溝半径Rとが近いほど、面圧は小さくなる。
但し、転動体13の直径と溝半径Rとが近い値になると、転動体13の接触面積が増加するため、滑り軸受の軸受トルク(軸受回転に必要な力)が大きくなり、発熱によるパワーロスが増大する。
また、初期接触角や軌道輪の溝半径を周方向に適宜変化させて最適化することにより、面圧の急上昇防止、あるいは、最大面圧及び軸受トルクの抑制が可能になる。
この結果、面圧の最大値を抑え、同一寸法の転がり軸受に対して、使用限界をあげることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
2 タワー
3 ナセル
4 ロータヘッド
5 風車翼
10,10A〜10G 旋回輪軸受(転がり軸受)
11,11A′ 内輪
12,12A′ 外輪
13 転動体
14,15 軌道輪
20A〜20G 剛性強化部
30 リブ(補強部材)
31,31A,31B 補強板
Claims (1)
- 内輪及び外輪に形成した軌道輪間に転動体を挟持してなる転がり軸受の旋回輪軸受構造であって、
前記内輪及び/または前記外輪の剛性を周囲より高めた剛性強化部を軸受面圧の高い周方向領域に設け、前記剛性強化部は、前記外輪の外周面及び/または前記内輪の内周面に取り付けられた補強部材を備えていることを特徴とする旋回輪軸受構造。
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