JP5626124B2 - パターン形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、特定のレジスト組成物を用いて、成膜、露光後に加熱することにより、光酸発生剤より発生した酸を触媒とする脱保護反応を行い、未露光部分を溶解し、露光部分を溶解しない有機溶剤による現像を行うネガ型パターン形成方法に関する。
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、現在汎用技術として用いられている光露光では、光源の波長に由来する本質的な解像度の限界に近づきつつある。レジストパターン形成の際に使用する露光光として、1980年代には水銀灯のg線(436nm)又はi線(365nm)を光源とする光露光が広く用いられた。更なる微細化のための手段として、露光波長を短波長化する方法が有効とされ、1990年代の64Mビット(加工寸法が0.25μm以下)DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)以降の量産プロセスには、露光光源としてi線(365nm)に代わって短波長のKrFエキシマレーザー(248nm)が利用された。しかし、更に微細な加工技術(加工寸法が0.2μm以下)を必要とする集積度256M及び1G以上のDRAMの製造には、より短波長の光源が必要とされ、10年ほど前からArFエキシマレーザー(193nm)を用いたフォトリソグラフィーが本格的に検討されてきた。当初ArFリソグラフィーは180nmノードのデバイス作製から適用されるはずであったが、KrFリソグラフィーは130nmノードデバイス量産まで延命され、ArFリソグラフィーの本格適用は90nmノードからであった。更に、NAを0.9にまで高めたレンズと組み合わせて65nmノードデバイスの検討が行われている。次の45nmノードデバイスには露光波長の短波長化が推し進められ、波長157nmのF2リソグラフィーが候補に挙がった。しかしながら、投影レンズに高価なCaF2単結晶を大量に用いることによるスキャナーのコストアップ、ソフトペリクルの耐久性が極めて低いためのハードペリクル導入に伴う光学系の変更、レジスト膜のエッチング耐性低下等の種々問題により、F2リソグラフィーの開発が中止され、ArF液浸リソグラフィーが導入された。
ArF液浸リソグラフィーにおいては、投影レンズとウエハーの間に屈折率1.44の水がパーシャルフィル方式によって挿入され、これによって高速スキャンが可能となり、NA1.3級のレンズによって45nmノードデバイスの量産が行われている。
32nmノードのリソグラフィー技術としては、波長13.5nmの真空紫外光(EUV)リソグラフィーが候補に挙げられている。EUVリソグラフィーの問題点としてはレーザーの高出力化、レジスト膜の高感度化、高解像度化、低エッジラフネス(LER、LWR)化、無欠陥MoSi積層マスク、反射ミラーの低収差化等が挙げられ、克服すべき問題が山積している。
32nmノードのもう一つの候補の高屈折率液浸リソグラフィーは、高屈折率レンズ候補であるLUAGの透過率が低いことと、液体の屈折率が目標の1.8に届かなかったことによって開発が中止された。
ここで最近注目を浴びているのは、1回目の露光と現像でパターンを形成し、2回目の露光で1回目のパターンの丁度間にパターンを形成するダブルパターニングプロセスである。ダブルパターニングの方法としては多くのプロセスが提案されている。例えば、1回目の露光と現像でラインとスペースが1:3の間隔のレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクを加工し、その上にハードマスクをもう1層敷いて1回目の露光のスペース部分にレジスト膜の露光と現像でラインパターンを形成してハードマスクをドライエッチングで加工し、初めのパターンのピッチの半分のラインアンドスペースパターンを形成する方法である。また、1回目の露光と現像でスペースとラインが1:3の間隔のレジストパターンを形成し、下層のハードマスクをドライエッチングで加工し、その上にレジスト膜を塗布してハードマスクが残っている部分に2回目のスペースパターンを露光し、ハードマスクをドライエッチングで加工する。いずれも2回のドライエッチングでハードマスクを加工する。
ラインパターンに比べてホールパターンは微細化が困難である。従来法で細かなホールを形成するために、ポジ型レジスト膜にホールパターンマスクを組み合わせてアンダー露光で形成しようとすると、露光マージンが極めて狭くなってしまう。そこで、大きなサイズのホールを形成し、サーマルフローやRELACSTM法等で現像後のホールをシュリンクする方法が提案されている。しかしながら、ホールシュリンク法ではホールのサイズは縮小可能であるがピッチを狭くすることはできない。
ポジ型レジスト膜を用いてダイポール照明によりX方向のラインパターンを形成し、レジストパターンを硬化させ、その上にもう一度レジスト組成物を塗布し、ダイポール照明でY方向のラインパターンを露光し、格子状ラインパターンの隙間よりホールパターンを形成する方法(非特許文献1:Proc. SPIE Vol. 5377, p.255 (2004))が提案されている。高コントラストなダイポール照明によるX、Yラインを組み合わせることによって広いマージンでホールパターンを形成できるが、上下に組み合わされたラインパターンを寸法精度高くエッチングすることは難しい。X方向ラインのレベンソン型位相シフトマスクとY方向ラインのレベンソン型位相シフトマスクを組み合わせてネガ型レジスト膜を露光してホールパターンを形成する方法が提案されている(非特許文献2:IEEE IEDM Tech. Digest 61 (1996))。但し、架橋型ネガ型レジスト膜においては、超微細ホールの限界解像度がブリッジマージンで決まるために、解像力がポジ型レジスト膜に比べて低い欠点がある。また、架橋型ネガ型レジストを用いたアルカリ現像では膨潤によるパターン倒壊が顕在化する傾向がある。
X方向のラインとY方向のラインの2回露光を組み合わせて露光し、これを画像反転によってネガパターンにすることによって形成されるホールパターンは、高コントラストなラインパターンの光を用いることによって形成が可能であるために、従来の方法よりもより狭ピッチでかつ微細なホールを開口できる。
非特許文献3(Proc. SPIE Vol. 7274, p.72740N (2009))では、以下3つの方法による画像反転によるホールパターンの作製が報告されている。
即ち、ポジ型レジスト組成物のX、Yラインのダブルダイポールの2回露光によりドットパターンを作製し、この上にLPCVDでSiO2膜を形成し、O2−RIEでドットをホールに反転させる方法、加熱によってアルカリ可溶で溶剤不溶になる特性のレジスト組成物を用いて同じ方法でドットパターンを形成し、この上にフェノール系のオーバーコート膜を塗布してアルカリ現像によって画像反転させてホールパターンを形成する方法、ポジ型レジスト組成物を用いてダブルダイポール露光、有機溶剤現像による画像反転によってホールを形成する方法である。
ここで、有機溶剤現像によるネガパターンの作製は古くから用いられている手法である。環化ゴム系のレジスト組成物はキシレン等のアルケンを現像液として用いており、ポリ−tert−ブトキシカルボニルオキシスチレンベースの初期の化学増幅型レジスト組成物はアニソールを現像液としてネガパターンを得ていた。
近年、有機溶剤現像が再び脚光を浴びている。ポジティブトーンでは達成できない非常に微細なホールパターンをネガティブトーンの露光で解像するために、解像性の高いポジ型レジスト組成物を用いた有機溶剤現像でネガパターンを形成するのである。更に、アルカリ現像と有機溶剤現像の2回の現像を組み合わせることにより、2倍の解像力を得る検討も進められている。
有機溶剤によるネガティブトーン現像用のArFレジスト組成物としては、従来型のポジ型ArFレジスト組成物を用いることができ、特許文献1〜7(特開平07−199467号公報、特開2008−281974号公報、特開2008−281975号公報、特開2008−281980号公報、特開2009−53657号公報、特開2009−25707号公報、特開2009−25723号公報)にパターン形成方法が示されている。
上記特許文献において、ヒドロキシアダマンタンメタクリレートやノルボルナンラクトンメタクリレート、あるいはカルボキシル基、スルホ基、フェノール基、チオール基等の酸性基を酸不安定基で置換したメタクリレート等を共重合した高分子化合物をベース樹脂する有機溶剤現像用レジスト組成物及びこれを用いたパターン形成方法が提案されている。
しかしながら、上記のメタクリレート樹脂は主鎖部分の耐ドライエッチング性が不足しているため、レジスト膜をマスクとして基板をエッチング加工する際にパターン転写不良が発生する懸念がある。耐ドライエッチング性を向上させるためには脂環構造の導入が有効であることが知られている(非特許文献4:J. Photopolym. Sci. Technol. 8 [4], 637 (1995))。そのため、メタクリレート樹脂のペンダント側鎖に脂環構造を導入する試みが広く行われており、酸不安定基にもアルキルアダマンチル基に代表される脂環構造を導入することで、アルカリ現像によるポジ型パターン形成プロセスにおいては、一定の成果がみられた。
一方、有機溶剤現像によるネガ型パターン形成プロセスにおいては、現像時に不溶となる部分が脂環構造の酸不安定基が脱保護した部分に相当するため、再び耐ドライエッチング性が問題視されるようになった。
また、酸不安定基の脱保護に伴いレジスト膜厚が減少するため、更にドライエッチング特性に悪影響を及ぼすおそれがある。
一般に、アルカリによるポジ型現像に比べて、有機溶剤によるネガ型現像の溶解コントラストは低く、アルカリ現像液の場合は、未露光部と露光部のアルカリ溶解速度の割合は1,000倍以上の違いがあるが、有機溶剤現像の場合は10倍程度の違いしかない。溶解コントラストを高め、解像性を向上させるためには、酸不安的基の導入比率を高めることが効果的であるが、上記の事情により、ネガ型現像においては耐ドライエッチング性が一層深刻となるおそれがある。
特開平07−199467号公報 特開2008−281974号公報 特開2008−281975号公報 特開2008−281980号公報 特開2009−53657号公報 特開2009−25707号公報 特開2009−25723号公報
Proc. SPIE Vol. 5377, p.255 (2004) IEEE IEDM Tech. Digest 61 (1996) Proc. SPIE Vol. 7274, p.72740N (2009) J. Photopolym. Sci. Technol. 8 [4], 637 (1995)
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、酸不安定基脱保護による極性変換と架橋反応が同時に起こり得るレジスト組成物を有機溶剤現像プロセスと組み合わせることにより、微細なトレンチパターンやホールパターンの解像性を向上させると共に、露光、加熱処理後のレジスト膜厚減少量を抑制し、また、良好な基板加工後形状を実現するために必要な耐ドライエッチング性を確保することができるパターン形成方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは上記目的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、カルボキシル基が酸不安定基により保護された繰り返し単位を有するベース樹脂を含み、かつ光酸発生剤と架橋剤とを含むレジスト組成物が、有機溶剤現像において高い解像性を示し、また、露光、加熱処理後のレジスト膜厚減少量を抑制し、更に、酸不安定基が脱保護した状態においても高い耐ドライエッチング性を示すことを知見し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、下記のパターン形成方法を提供する。
請求項1:
下記一般式(1)で表されるカルボキシル基が酸不安定基により保護された構造を有する繰り返し単位(a1)を1種又は2種以上含有するベース樹脂[A]と光酸発生剤[B]と架橋剤[C]と有機溶剤[D]を共に含み、架橋剤[C]がオキシラン環又はオキセタン環から選ばれる官能基を分子内に2つ以上有する化合物であるレジスト組成物を基板上に塗布し、塗布後加熱処理(ポストアプライドベーク)をして作製したレジスト膜を高エネルギー線で露光し、露光後加熱処理(ポストエクスポージャーベーク)を施した後に、有機溶剤を含有する現像液によりレジスト膜の未露光部分を選択的に溶解させることを特徴とするネガ型パターン形成方法。
(式中、R 1 は水素原子又はメチル基を示す。R 2 、R 3 は酸不安定基を表す。k 0 は0又は1であり、k 0 が0の場合、k 1 は0であり、かつL 1 は単結合を表す。k 0 が1の場合、k 1 は0又は1であり、ここでk 1 が0の場合、L 1 はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜12の鎖状、分岐状又は環状の2価の炭化水素基を表し、k 1 が1の場合、L 1 はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜12の鎖状、分岐状又は環状の3価の炭化水素基を表す。)
請求項
ベース樹脂[A]が更に下記一般式(2)で表される構造の繰り返し単位(a2)を1種又は2種以上含むことを特徴とする請求項に記載のパターン形成方法。
(式中、R4は水素原子又はメチル基を示す。R5は炭素数4〜15の、水酸基、エーテル、ケトン、カルボン酸エステル、炭酸エステル、スルホン酸エステルから選ばれる少なくとも1つの構造を有する1価の環状炭化水素基である。)
請求項
ベース樹脂[A]が更に下記一般式(3)で表される構造の繰り返し単位(a3)を1種又は2種以上含むことを特徴とする請求項又はに記載のパターン形成方法。
(式中、R6は水素原子又はメチル基を表す。R7、R8はそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜15の鎖状、分岐状又は環状の1価の炭化水素基を表す。R9は炭素数1〜20の1価の炭化水素基を表す。k2は1〜4の整数である。L2は炭素数2〜16の鎖状、分岐状又は環状の(1+k2)価の炭化水素基を表す。)
請求項
記一般式(4)で表されるカルボキシル基が酸不安定基により保護された構造を有する繰り返し単位(a1)を1種又は2種以上含有するベース樹脂[A]と光酸発生剤[B]と架橋剤[C]と有機溶剤[D]を共に含み、架橋剤[C]がオキシラン環又はオキセタン環から選ばれる官能基を分子内に2つ以上有する化合物であるレジスト組成物を基板上に塗布し、塗布後加熱処理(ポストアプライドベーク)をして作製したレジスト膜を高エネルギー線で露光し、露光後加熱処理(ポストエクスポージャーベーク)を施した後に、有機溶剤を含有する現像液によりレジスト膜の未露光部分を選択的に溶解させることを特徴とするネガ型パターン形成方法。
(式中、R10〜R13のうち少なくとも一つが、下記一般式(5)
(式中、鎖線は結合手を示す。R14は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシアルキル基、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアシル基を表す。R15は酸不安定基を表す。W1は単結合又は炭素数1〜10の(k3+2)価の炭化水素基を表す。k3は0又は1である。)で表される官能基であり、その他はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数7〜20のアリールカルボニルオキシ基、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキルスルホニルオキシ基、炭素数6〜20のアリールスルホニルオキシ基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシカルボニル基、又は炭素数3〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシカルボニルアルキル基から選ばれ、X01、X02はそれぞれ独立に−CH2−又は−O−である。jは0又は1である。)
請求項
記一般式(6)で表されるカルボキシル基が酸不安定基により保護された構造を有する繰り返し単位(a1)を1種又は2種以上含有する開環メタセシス重合体水素添加物であるベース樹脂[A]と光酸発生剤[B]と架橋剤[C]と有機溶剤[D]を共に含み、架橋剤[C]がオキシラン環又はオキセタン環から選ばれる官能基を分子内に2つ以上有する化合物であるレジスト組成物を基板上に塗布し、塗布後加熱処理(ポストアプライドベーク)をして作製したレジスト膜を高エネルギー線で露光し、露光後加熱処理(ポストエクスポージャーベーク)を施した後に、有機溶剤を含有する現像液によりレジスト膜の未露光部分を選択的に溶解させることを特徴とするネガ型パターン形成方法。
(式中、R16〜R19のうち少なくとも一つが、下記一般式(7)
(式中、鎖線は結合手を示す。R20は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシアルキル基、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアシル基を表す。R21は酸不安定基を表す。W2は単結合又は炭素数1〜10の(k4+2)価の炭化水素基を表す。k4は0又は1である。)で表される官能基であり、その他はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数7〜20のアリールカルボニルオキシ基、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキルスルホニルオキシ基、炭素数6〜20のアリールスルホニルオキシ基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシカルボニル基、又は炭素数3〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシカルボニルアルキル基から選ばれ、X11、X12はそれぞれ独立に−CH2−又は−O−である。iは0〜2の整数である。)
請求項
ベース樹脂[A]が更に下記一般式(8)又は(9)で表される構造の繰り返し単位から選ばれる1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項に記載のパターン形成方法。
(式中、R22〜R25は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、X21、X22は−CH2−又は−O−であり、同一でも異なってもよい。mは0〜2の整数を表す。R26〜R29は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、X31、X32は−CH2−又は−O−であり、同一でも異なってもよい。Y1及びY2は、一方が−(C=O)−であり、他方は、−CR30 2−(R30は水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す)である。nは0〜2の整数を表す。)
請求項
レジスト組成物が更にクエンチャー[E]及び/又は界面活性剤[F]を1種又は2種以上含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
請求項
現像液が、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、2−メチルシクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、2’−メチルアセトフェノン、4’−メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる1種以上の有機溶剤を含有し、これら有機溶剤の総濃度が現像液総量に対して60質量%以上であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
請求項
高エネルギー線による露光が、波長193nmのArFエキシマレーザーによる液浸リソグラフィー、又は波長13.5nmのEUVリソグラフィーであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
請求項10
レジスト組成物を基板上に塗布してレジスト膜を形成し、加熱処理(ポストアプライドベーク)後にレジスト膜に保護膜を形成した後、高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、露光後加熱処理を施した後に有機溶剤による現像液を用いて未露光部の保護膜とレジスト膜を溶解させることを特徴とする請求項に記載のパターン形成方法。
請求項11
現像後にトレンチパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
請求項12
ドット状の遮光パターンが配置されたマスクを用い、ドット部分を現像後にホールパターンとすることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
請求項13
格子状遮光パターンが配置されたマスクを用い、格子の交点を現像後にホールパターンとすることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
請求項14
ライン状の遮光パターンが配置されたマスクを用いて2回の露光を行う方法であり、1回目の露光と2回目の露光のライン配列の向きを変えることでラインが交差するように重ねて露光し、ラインの交点を現像後にホールパターンとすることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
請求項15
露光に用いるマスクが透過率3〜15%のハーフトーン位相シフトマスクであることを特徴とする請求項乃至14のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
本発明のパターン形成方法に用いられる、特定の構造を有するベース樹脂[A]と光酸発生剤[B]と架橋剤[C]と有機溶剤[D]とを含むレジスト組成物は、有機溶剤現像において解像性が高く、また、露光、加熱処理により酸不安定基が脱保護した状態においても高い耐ドライエッチング性を示す特徴を有する。このレジスト組成物を用いて有機溶剤現像によるネガ型パターン形成を行うことにより、微細トレンチパターンやホールパターンにおいて、露光量やフォーカスの変化に対する寸法変化が抑制されると共に、ドライエッチング加工後も良好な形状、及び広いマージンを維持することが可能となる。
本発明のパターン形成方法を示す説明図であり、(A)は基板上にレジスト膜を形成した状態の断面図、(B)はレジスト膜を露光した状態の断面図、(C)は有機溶剤で現像した状態の断面図である。 波長193nmのArFエキシマレーザーを用いたNA1.3レンズ、ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、s偏光でのピッチ90nm、ラインサイズ45nmのX方向ラインの光学像を示す。 同Y方向ラインの光学像を示す。 図3のY方向ラインと図2のX方向ラインの光学像を重ねたコントラストイメージを示す。 格子状のパターンが配されたマスクを示す。 NA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、幅30nmの格子状パターンの光学像である。 正四角形のドットパターンが配置されたマスクである。 NA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、一辺の幅が60nmの正四角形のドットパターン光学像コントラストである。 ピッチ90nmで、20nmラインの格子状パターン上に、ドットを形成したい部分に十字の太い交差ラインを配置したマスクを示す。 NA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明での図9のマスクにおける光学像のコントラストイメージを示す。 ピッチ90nmで、15nmラインの格子状パターン上に、ドットを形成したい部分に太いドットを配置したマスクを示す。 NA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明での図11のマスクにおける光学像のコントラストイメージを示す。 格子状パターンが配列されていないマスクを示す。 NA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明での図13のマスクにおける光学像のコントラストイメージを示す。 Y方向のラインのコントラストを向上させるダイポール照明の露光機のアパチャー形状を示す。 X方向のラインのコントラストを向上させるダイポール照明の露光機のアパチャー形状を示す。 X方向とY方向の両方のラインのコントラストを向上させるクロスポール照明の露光機のアパチャー形状を示す。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、本明細書中の一般式において、エナンチオ異性体(enantiomer)やジアステレオ異性体(diastereomer)が存在し得る場合があるが、その場合、一つの平面式あるいは立体異性体の式で立体異性体の全てを代表して表す。これらの立体異性体は単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
本発明は、上述したように、カルボキシル基が酸不安定基により保護された繰り返し単位を有するベース樹脂を含み、かつ光酸発生剤と架橋剤と有機溶剤とを含むレジスト組成物を塗布し、塗布後加熱処理(ポストアプライドベーク)により不要な溶剤を除去してレジスト膜を形成し、高エネルギー線を露光し、露光後加熱処理(ポストエクスポージャーベーク)を施した後、有機溶剤現像液で現像してネガ型パターンを得るパターン形成方法を提供する。
従来のポジ型レジスト組成物を有機溶剤現像する方法においては、酸不安定基の脱保護によりカルボン酸等の極性官能基が生じることで、ベース樹脂の有機溶剤に対する溶解性が低下するという性質を利用するが、上記の通り、脱保護に伴うレジスト膜厚減少と耐ドライエッチング性の低下が避けられない。また、アルカリ可溶のベース樹脂と架橋剤との反応によりアルカリ現像液に不溶となるネガ型レジスト組成物においては、上記の通り、アルカリ現像時の膨潤によるパターン倒壊が障害となり、十分な解像性が得られない。一方、本発明に係るレジスト組成物と有機溶剤現像との組み合わせにおいては、酸不安定基の脱保護により発生したカルボン酸の一部分が架橋剤により架橋されることにより、極性変換の他に架橋反応によるベース樹脂分子量の増大も同時に起こり、露光部の溶解速度を大幅に低下させることができるため、溶解コントラストが高まり、解像性が向上したものと考えられる。また、有機溶剤を現像液として用いるため、膨潤による解像性劣化を防ぐことができたと考えられる。更に、架橋構造の導入により、露光、加熱処理後のレジスト膜厚減少が抑制され、また、耐ドライエッチング性が改善されたものと考えられる。
本発明に用いられるレジスト組成物が含むベース樹脂[A]はカルボキシル基が酸不安定基で保護された部分構造を有する繰り返し単位(a1)を1種又は2種以上含有する。繰り返し単位(a1)は酸の作用によりカルボキシル基が生じるものであれば特に制限されないが、下記一般式(1)で表される構造の繰り返し単位が好ましい単位の一つとして挙げられる。
ここで、上記式中、R1は水素原子又はメチル基を示す。R2、R3は酸不安定基を表す。k0は0又は1であり、k0が0の場合、k1は0であり、かつL1は単結合を表す。k0が1の場合、k1は0又は1であり、ここでk1が0の場合、L1はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜12の鎖状、分岐状又は環状の2価の炭化水素基を表し、k1が1の場合、L1はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜12の鎖状、分岐状又は環状の3価の炭化水素基を表す。
上記式中の酸不安定基R2、R3は、酸の作用により分解し、カルボキシル基を発生させるものであればいずれであってもよく、具体的には下記一般式(L1)で示されるアルコキシメチル基、又は(L2)〜(L8)で示される三級アルキル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
上記式中、破線は結合手を示す。RL01、RL02は、水素原子、又は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、アダマンチル基等が例示できる。RL03は、炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい一価の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたものを挙げることができる。具体的には、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基としては上記RL01、RL02と同様のものが例示でき、置換アルキル基としては下記の基等が例示できる。
(式中、破線は結合手を示す。)
L01とRL02、RL01とRL03、RL02とRL03とは、互いに結合してこれらが結合する炭素原子や酸素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、環の形成に関与するRL01とRL02、RL01とRL03、又はRL02とRL03は、それぞれ炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。
L04、RL05、RL06は、それぞれ独立に炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基等が例示できる。
L07は、炭素数1〜10の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。上記置換されていてもよいアルキル基としては、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等に置換された基、又はこれらのメチレン基の一部が酸素原子又は硫黄原子に置換された基等が例示できる。上記置換されていてもよいアリール基としては、具体的にはフェニル基、メチルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基等が例示できる。式(L3)において、m’は0又は1、n’は0,1,2,3のいずれかであり、2m’+n’=2又は3を満足する数である。
L08は、炭素数1〜10の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。具体的には、RL07と同様のもの等が例示できる。RL09〜RL18は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15の一価の炭化水素基を示す。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等に置換されたもの等が例示できる。RL09とRL10、RL09とRL11、RL09とRL12、RL10とRL12、RL11とRL12、RL13とRL14、又はRL15とRL16は、互いに結合して環を形成していてもよく、その場合、環の形成に関与するRL09とRL10、RL09とRL11、RL09とRL12、RL10とRL12、RL11とRL12、RL13とRL14、又はRL15とRL16は、炭素数1〜15の二価の炭化水素基を示し、具体的には上記一価の炭化水素基で例示したものから水素原子を1個除いたもの等が例示できる。また、RL09とRL11、RL11とRL17、又はRL15とRL17は、隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい。
L19は、炭素数1〜10の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示し、具体的にはRL07と同様のもの等が例示できる。
L20は、炭素数1〜10の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示し、具体的にはRL07と同様の基等が例示できる。
Xは、これが結合する炭素原子と共に置換又は非置換のシクロペンタン環、シクロヘキサン環、又はノルボルナン環を形成する二価の基を示す。RL21、RL22は、それぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の一価炭化水素基を示す。RL21とRL22は、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、その場合、置換又は非置換のシクロペンタン環、又はシクロヘキサン環を形成する二価の基を示す。pは1又は2を示す。
L23は、炭素数1〜10の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示し、具体的にはRL07と同様の基等が例示できる。
Yは、これが結合する炭素原子と共に置換又は非置換のシクロペンタン環、シクロヘキサン環、又はノルボルナン環を形成する二価の基を示す。RL24、RL25は、それぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の一価炭化水素基を示す。RL24とRL25は、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、その場合、置換又は非置換のシクロペンタン環、又はシクロヘキサン環を形成する二価の基を示す。qは1又は2を示す。
L26は、炭素数1〜10の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示し、具体的にはRL07と同様の基等が例示できる。
Zは、これが結合する炭素原子と共に置換又は非置換のシクロペンタン環、シクロヘキサン環、又はノルボルナン環を形成する二価の基を表す。RL27、RL28は、それぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の一価炭化水素基を示す。RL27とRL28は、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、その場合、置換又は非置換のシクロペンタン環、又はシクロヘキサン環を形成する二価の基を示す。
上記式(L1)で示される酸不安定基のうち直鎖状又は分岐状のものとしては、具体的には下記の基等が例示できる。
(式中、破線は結合手を示す。)
上記式(L1)で示される酸不安定基のうち環状のものとしては、具体的にはテトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等が例示できる。
上記式(L2)の酸不安定基としては、具体的にはtert−ブチル基、tert−アミル基、及び下記の基等が例示できる。
(式中、破線は結合手を示す。)
上記式(L3)の酸不安定基としては、具体的には1−メチルシクロペンチル基、1−エチルシクロペンチル基、1−n−プロピルシクロペンチル基、1−イソプロピルシクロペンチル基、1−n−ブチルシクロペンチル基、1−sec−ブチルシクロペンチル基、1−シクロヘキシルシクロペンチル基、1−(4−メトキシ−n−ブチル)シクロペンチル基、1−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)シクロペンチル基、1−(7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)シクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロヘキシル基、3−メチル−1−シクロペンテン−3−イル基、3−エチル−1−シクロペンテン−3−イル基、3−メチル−1−シクロヘキセン−3−イル基、3−エチル−1−シクロヘキセン−3−イル基等が例示できる。
上記式(L4)の酸不安定基としては、下記一般式(L4−1)〜(L4−4)で示される基が特に好ましい。
(式中、RL41は上記の通り。)
上記式(L4−1)〜(L4−4)中、破線は結合位置及び結合方向を示す。RL41は、それぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の一価炭化水素基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を例示できる。
上記式(L4−1)〜(L4−4)には、エナンチオ異性体(enantiomer)やジアステレオ異性体(diastereomer)が存在し得るが、上記式(L4−1)〜(L4−4)は、これらの立体異性体の全てを代表して表す。これらの立体異性体は単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
例えば、上記式(L4−3)は下記一般式(L4−3−1)、(L4−3−2)で示される基から選ばれる1種又は2種の混合物を代表して表すものとする。
(式中、RL41は上記の通り。)
また、上記式(L4−4)は下記一般式(L4−4−1)〜(L4−4−4)で示される基から選ばれる1種又は2種以上の混合物を代表して表すものとする。
(式中、RL41は上記の通り。)
上記式(L4−1)〜(L4−4)、(L4−3−1)、(L4−3−2)、及び式(L4−4−1)〜(L4−4−4)は、それらのエナンチオ異性体及びエナンチオ異性体混合物をも代表して示すものとする。
なお、式(L4−1)〜(L4−4)、(L4−3−1)、(L4−3−2)、及び式(L4−4−1)〜(L4−4−4)の結合方向がそれぞれビシクロ[2.2.1]ヘプタン環に対してexo側であることによって、酸触媒脱離反応における高反応性が実現される(特開2000−336121号公報参照)。これらビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有する三級exo−アルキル基を置換基とする単量体の製造において、下記一般式(L4−1−endo)〜(L4−4−endo)で示されるendo−アルキル基で置換された単量体を含む場合があるが、良好な反応性の実現のためにはexo比率が50%以上であることが好ましく、exo比率が80%以上であることが更に好ましい。
(式中、RL41は上記の通り。)
上記式(L4)の酸不安定基としては、具体的には下記の基等が例示できる。

(式中、破線は結合手を示す。)
上記式(L5)の酸不安定基としては、具体的には下記の基等が例示できる。
(式中、破線は結合手を示す。)
上記式(L6)の酸不安定基としては、具体的には下記の基等が例示できる。
(式中、破線は結合手を示す。)
上記式(L7)の酸不安定基としては、具体的には下記の基等が例示できる。
(式中、破線は結合手を示す。)
上記式(L8)の酸不安定基としては、具体的には下記の基等が例示できる。
(式中、破線は結合手を示す。)
上記に例示された酸不安定基を有する上記一般式(1)で示される構造の酸不安定基を有する繰り返し単位の具体例を下記に示すが、これらに限定されるものではない。
(R1は上記と同様である。)
上記ベース樹脂[A]が繰り返し単位(a1)として上記一般式(1)で表される単位を含む場合、ベース樹脂[A]は更に下記一般式(2)で表される繰り返し単位(a2)及び/又は下記一般式(3)で表される繰り返し単位(a3)をそれぞれ1種又は2種以上含むことが好ましい。
上記式中、R4は水素原子又はメチル基を示す。R5は炭素数4〜15の、水酸基、エーテル、ケトン、カルボン酸エステル、炭酸エステル、スルホン酸エステルから選ばれる少なくとも1つの構造を有する1価の環状炭化水素基である。
上記式中、R6は水素原子又はメチル基を表す。R7、R8はそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜15の鎖状、分岐状又は環状の1価の炭化水素基を表す。R9は炭素数1〜20の1価の炭化水素基を表す。k2は1〜4の整数である。L2は炭素数2〜16の鎖状、分岐状又は環状の(1+k2)価の炭化水素基を表す。
上記一般式(2)で表される繰り返し単位(a2)の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
(R4は上記と同様である。)
上記一般式(2)で表される繰り返し単位は、R5に含まれる極性官能基が基板との密着性を向上させ、また、ポリマーのガラス転移点(Tg)を高め、酸拡散を抑制するために有効である。
上記一般式(3)で表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
(R6は上記と同様である。)
上記一般式(3)で表される構造の繰り返し単位は、アルコール水酸基がアセタール保護された部分構造を有する。酸の作用によりアセタール保護基が分解、アルコールが発生することで有機溶剤現像液に対する溶解性が低下するため、カルボン酸保護単位と同様に溶解コントラストを生じさせるが、アルコール性水酸基はカルボキシル基と架橋反応性が異なるため、その導入割合により溶解コントラストを調整することができる。
また、前記ベース樹脂[A]に含まれる繰り返し単位(a1)の好ましい例として、下記一般式(4)で表される構造の単位も挙げられる。
上記式中、R10〜R13のうち少なくとも一つが、下記一般式(5)
(式中、鎖線は結合手を示す。R14は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシアルキル基、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアシル基を表す。R15は酸不安定基を表す。W1は単結合又は炭素数1〜10の(k3+2)価の炭化水素基を表す。k3は0又は1である。)で表される官能基であり、その他はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数7〜20のアリールカルボニルオキシ基、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキルスルホニルオキシ基、炭素数6〜20のアリールスルホニルオキシ基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシカルボニル基、又は炭素数3〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシカルボニルアルキル基から選ばれ、X01、X02はそれぞれ独立に−CH2−又は−O−である。jは0又は1である。
ここで、上記式中の酸不安定基R15の具体例としては、上記一般式(1)中のR2、R3と同様のものを挙げることができる。
上記一般式(4)で表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
上記一般式(4)で表される繰り返し単位を含有するベース樹脂[A]の具体例としては、上記繰り返し単位の具体例のホモポリマーが例示できる他、下記の共重合体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、ベース樹脂[A]の好ましい例として、繰り返し単位(a1)が下記一般式(6)で表される構造の単位である開環メタセシス重合体水素添加物も挙げることができる。
上記式中、R16〜R19のうち少なくとも一つが、下記一般式(7)
(式中、鎖線は結合手を示す。R20は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシアルキル基、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアシル基を表す。R21は酸不安定基を表す。W2は単結合又は炭素数1〜10の(k4+2)価の炭化水素基を表す。k4は0又は1である。)で表される官能基であり、その他はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数7〜20のアリールカルボニルオキシ基、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキルスルホニルオキシ基、炭素数6〜20のアリールスルホニルオキシ基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシカルボニル基、又は炭素数3〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシカルボニルアルキル基から選ばれ、X11、X12はそれぞれ独立に−CH2−又は−O−である。iは0〜2の整数である。
上記一般式(6)で表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
繰り返し単位(a1)が上記一般式(6)で表される構造の単位である場合、ベース樹脂[A]は更に下記一般式(8)又は(9)で表される構造の繰り返し単位から選ばれる1種又は2種以上を含むことを特徴とする開環メタセシス重合体水素添加物であることが好ましい。
上記式中、R22〜R25は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、X21、X22は−CH2−又は−O−であり、同一でも異なってもよい。mは0〜2の整数を表す。R26〜R29は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、X31、X32は−CH2−又は−O−であり、同一でも異なってもよい。Y1及びY2は、一方が−(C=O)−であり、他方は、−CR30 2−(R30は水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す)である。nは0〜2の整数を表す。
上記一般式(8)、(9)で表される構造の繰り返し単位の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
また、繰り返し単位(a1)が上記一般式(1)で表される構造である場合、ベース樹脂[A]は上記一般式(2)で表される繰り返し単位(a2)及び/又は上記一般式(3)で表される繰り返し単位(a3)を1種又は2種以上含むことが好ましいが、各繰り返し単位の構成モル比は、一般式(1)、(2)、(3)で表される構造の各繰り返し単位の構成モル比の合計量をそれぞれr1、r2、r3、また、その他の繰り返し単位の構成モル比の合計量をRとした場合、好ましい組成比は、0.1≦r1≦0.9、0.1≦r2≦0.9、0≦r3≦0.9、0≦R≦0.3を同時に満たし、特に好ましい組成比は、0.2≦r1≦0.7、0.2≦r2≦0.6、0.1≦r3≦0.4、0≦R≦0.2を同時に満たす(ここで、r1+r2+r3+R=1である)。
なお、一般式(1)、(2)、(3)で表される構造の各繰り返し単位以外に用いてもよい、その他の繰り返し単位としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、エーテル結合、エステル結合を含んでもよい直鎖状又は分岐状の炭化水素基を含む(メタ)アクリル酸エステル単位やフッ素原子、スルホニルイミド結合を含んでもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基を含む(メタ)アクリル酸エステル単位等が挙げられ、より具体的には以下の構造の繰り返し単位を示すことができるが、これらに限定されるものではない。
(R”は水素原子又はメチル基を示す。)
また、繰り返し単位(a1)が上記一般式(4)で表される構造である場合、ベース樹脂[A]中の繰り返し単位(a1)の構成モル比は、20〜100モル%であることが好ましく、特に30〜80モル%であることが好ましい。
また、繰り返し単位(a1)が上記一般式(6)で表され、ベース樹脂[A]が開環メタセシス重合体水素添加物である場合、ベース樹脂[A]は更に上記一般式(8)又は(9)で表される構造の繰り返し単位を1種又は2種以上含むことが好ましいが、各繰り返し単位の構成モル比は、一般式(6)、(8)、(9)で表される構造の各繰り返し単位の構成モル比の合計量をそれぞれr6、r8、r9、また、その他の繰り返し単位の構成モル比の合計量をR’とした場合、、好ましい組成比は、0.1≦r6≦0.9、0.1≦(r8+r9)≦0.9、0≦R’≦0.3を同時に満たし、特に好ましい組成比は、0.2≦r6≦0.7、0.2≦(r8+r9)≦0.4、0≦R’≦0.2を同時に満たす(ここで、r6+r8+r9+R’=1である)。
なお、一般式(6)、(8)、(9)で表される構造の各繰り返し単位以外に含まれていてもよい、その他の繰り返し単位としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、エステル結合等の酸素官能基を含む環状オレフィンモノマーや環状オレフィン炭化水素モノマーを開環メタセシス重合し、水素添加することで生成する、以下のような構造の繰り返し単位を示すことができるが、これらに限定されるものではない。
また、上記ベース樹脂[A]において、カルボキシル基及び水酸基を含む繰り返し単位の構成モル比が10%以下であることが好ましく、更に、カルボキシル基が全く含まれないことが特に好ましい。保護されていないカルボキシル基や水酸基がベース樹脂[A]に多く存在すると、レジスト膜未露光部の有機溶剤現像液への溶解性が低下するためである。
本発明で用いるベース樹脂[A]において、重量平均分子量Mwと数平均分子量との比、即ち分散度(Mw/Mn)は特に制限されないが、1.0〜3.0の狭い分子量分布の場合、酸拡散が抑制され、解像度が向上するために好ましい。また、ベース樹脂[A]の重量平均分子量Mwは、通常、3,000〜100,000であり、好ましくは5,000〜50,000である。なお、本明細書において記載する数平均分子量及び重量平均分子量は、溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用いたポリスチレン換算でのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した。
また、ベース樹脂[A]として、カルボキシル基が酸不安定基で保護された部分構造を有する繰り返し単位を1種又は2種以上含む樹脂であれば、構造、組成比、分子量、分散度の異なる複数種を混合して用いてもよい。
本発明に係るレジスト組成物は光酸発生剤[B]を含むが、光酸発生剤の配合量はベース樹脂100質量部に対し0.5〜30質量部、特に1〜20質量部とすることが好ましい。
光酸発生剤の成分としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等があり、これらは単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
光酸発生剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0123]〜[0138]に記載されているものが挙げられる。
本発明に係るレジスト組成物は架橋剤[C]としてオキシラン環又はオキセタン環から選ばれる官能基を分子内に2つ以上有する化合物を含む。
このような架橋剤の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
また、架橋剤[C]の配合量はベース樹脂100質量部に対し0.5〜20質量部、特に1〜10質量部とすることが好ましい。
本発明に係るレジスト組成物は有機溶剤[D]を含むが、有機溶剤の配合量はベース樹脂100質量部に対し100〜10,000質量部、特に300〜8,000質量部とすることが好ましい。
有機溶剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0144]に記載のシクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、グリコール、グリセリン、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等のアルコール類及びその混合溶剤が挙げられる。
本発明に係るレジスト組成物は、上記ベース樹脂[A]、光酸発生剤[B]、架橋剤[C]、有機溶剤[D]に加えて、クエンチャー[E]及び/又は界面活性剤[F]を1種又は2種以上含むことが好ましく、また、必要に応じて更に、溶解制御剤、アセチレンアルコール類等その他の成分を含有することができる。
クエンチャー成分[E]の例としては、塩基性化合物として含窒素化合物を挙げることができる。具体的には特開2008−111103号公報の段落[0148]〜[0163]に記載の1級、2級、3級のアミン化合物、特にはヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環、シアノ基、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物あるいは特許第3790649号公報に記載のカルバメート基を有する含窒素有機化合物を挙げることができる。
含窒素化合物を配合する場合、その配合量はベース樹脂100質量部に対し0.01〜10質量部、特に0.1〜5質量部とすることが好ましい。
また、弱酸を共役酸とするアニオンを有するオニウム塩化合物をクエンチャーとして用いることができ、そのクエンチ機構は酸発生剤より発生した強酸が塩交換反応によりオニウム塩に変わるという現象に基づく。塩交換により発生した弱酸ではベース樹脂に含まれる酸不安定基の脱保護反応は進行しないため、この系における弱酸オニウム塩化合物はクエンチャーとして機能したことになる。オニウム塩クエンチャーとしては、例えば特開2008−158339号公報に記載されているα位がフッ素化されていないスルホン酸、及びカルボン酸のスルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩等のオニウム塩をクエンチャーとして挙げることができ、これらはα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸を発生する酸発生剤と併用した場合にクエンチャーとして機能し得る。また、オニウム塩クエンチャーがスルホニウム塩やヨードニウム塩のように光分解性を有する場合、光強度が強い部分のクエンチ能が低下し、これによって溶解コントラストが向上するため、有機溶剤現像によるネガ型パターン形成において、パターンの矩形性が向上する。
オニウム塩化合物を配合する場合、その配合量はベース樹脂100質量部に対し0.05〜20質量部、特に0.2〜10質量部とすることが好ましい。
また、上記の含窒素有機化合物やオニウム塩化合物等のクエンチャー成分を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
また、下記一般式(Q1)、(Q2)、(Q3)で表される構造の含窒素化合物と上記の弱酸を共役酸とするアニオンを有するオニウム塩化合物が、架橋剤を分解するおそれがなく、レジスト組成物の長期安定性が確保できると同時に、クエンチ能が高いために酸拡散を抑制する効果が高く、特に好ましいクエンチャー成分である。
(式中、R37は、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基を表し、ヘテロ原子を含んでもよい。R38は、炭素数1〜10のアルキル基を表す。R39は、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数1〜10のアルコキシ基を表す。uは1又は2、vは0〜5の整数である。)
(式中、R40は、水素原子、炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜15のアリール基を示す。R41とR42は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜15のアリール基を示す。R41とR42は、互いに結合して炭素数6〜14の芳香環を形成してもよい。R43は、炭素数3〜15のアルキル基、アルケニル基、又は炭素数6〜15アリール基を示す。)
(式中、R44は、水素原子、炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜15のアリール基を示す。R45とR46は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜15のアリール基を示す。R45とR46は、互いに結合して炭素数6〜14の芳香環を形成してもよい。tは1〜5の整数である。)
上記一般式(Q1)で表される構造の含窒素化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
上記一般式(Q2)で表される構造の含窒素化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
上記一般式(Q3)で表される構造の含窒素化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
界面活性剤[F]としては特開2008−111103号公報の段落[0166]、溶解制御剤としては特開2008−122932号公報の段落[0155]〜[0178]、アセチレンアルコール類としては特開2008−122932号公報の段落[0179]〜[0182]に記載のものを用いることができる。界面活性剤を添加する場合、その添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で任意とすることができる。
また、スピンコート後のレジスト表面の撥水性を向上させるための高分子化合物を添加することもできる。この添加剤は、トップコートを用いない液浸リソグラフィーに用いることができる。このような添加剤としては、特開2007−297590号公報及び特開2008−111103号公報に開示されているような、特定構造の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物等が挙げられる。レジスト組成物に添加される撥水性向上剤は、有機溶剤を含む現像液に溶解する必要がある。上記の特定の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物は、現像液への溶解性が良好である。撥水性向上剤として、アミノ基やアミン塩を繰り返し単位として共重合した高分子化合物は、露光後加熱処理(ポストエクスポージャーベーク:以下PEBと記す。)中の酸の蒸発を防いで現像後のホールパターンの開口不良を防止する効果が高い。撥水性向上剤を添加する場合、その添加量は、ベース樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。
本発明のパターン形成方法の説明図を図1に示す。この場合、図1(A)に示したように、本発明においては基板10上に形成した被加工層20に直接又は中間介在層30を介してレジスト組成物を基板上に塗布してレジスト膜40を形成する。レジスト膜の厚さは、10〜1,000nm、特に20〜500nmであることが好ましい。このレジスト膜は、塗布後露光前に加熱処理(ポストアプライドベーク:以下PABと記す。)されるが、この条件としては60〜180℃、特に70〜150℃で10〜300秒間、特に15〜200秒間行うことが好ましい。
なお、基板10としては、シリコン基板が一般的に用いられる。被加工層20としては、SiO2、SiN、SiON、SiOC、p−Si、α−Si、TiN、WSi、BPSG、SOG、Cr、CrO、CrON、MoSi、低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜が挙げられる。中間介在層30としては、SiO2、SiN、SiON、p−Si等のハードマスク、カーボン膜による下層膜と珪素含有中間膜、有機反射防止膜等が挙げられる。
次いで、図1(B)に示すように露光50を行う。ここで、露光光としては波長140〜250nmの高エネルギー線、波長13.5nmのEUV等が挙げられるが、中でもArFエキシマレーザーによる193nmの露光光が最も好ましく用いられる。露光は大気中や窒素気流中のドライ雰囲気で行ってもよいし、水中の液浸露光であってもよい。ArF液浸リソグラフィーにおいては、液浸溶剤として純水、又はアルカン等の屈折率が1以上で露光波長に高透明の液体が用いられる。液浸リソグラフィーでは、PAB後のレジスト膜と投影レンズの間に、純水やその他の液体を挿入する。これによってNAが1.0以上のレンズ設計が可能となり、より微細なパターン形成が可能になる。
液浸リソグラフィーはArFリソグラフィーを45nmノードまで延命させるための重要な技術である。液浸露光の場合は、レジスト膜上に残った水滴残りを除去するために露光後の純水リンス(ポストソーク)を行ってもよいし、レジスト膜からの溶出物を防ぎ、膜表面の滑水性を上げるために、PAB後のレジスト膜上に保護膜を形成してもよい。
液浸リソグラフィーに用いられるレジスト保護膜形成用組成物としては、例えば、水に不溶でアルカリ現像液に溶解する1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物をベース樹脂とし、これを炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解させたものが好ましい。保護膜は有機溶剤を含む現像液に溶解する必要があるが、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物は上記有機溶剤を含む現像液に溶解する。特に、特開2007−25634号公報、特開2008−3569号公報に開示された1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する保護膜形成用組成物から形成された保護膜の有機溶剤現像液に対する溶解性は高い。
上記保護膜形成用組成物に、アミン化合物もしくはアミン塩を配合すること、又は上記1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位に更にアミノ基もしくはアミン塩を有する繰り返し単位を共重合した高分子化合物をベース樹脂として用いることは、レジスト膜の露光部から発生した酸の未露光部分への拡散を制御し、ホールの開口不良を防止する効果が高い。アミン化合物を添加した保護膜形成用組成物としては特開2008−3569号公報に記載のもの、アミノ基又はアミン塩を共重合した保護膜形成用組成物としては特開2007−316448号公報に記載のものを用いることができる。アミン化合物、アミン塩としては、上記レジスト組成物添加用の塩基性化合物として詳述したものの中から選定することができる。アミン化合物、アミン塩の配合量は、ベース樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部、特に0.02〜8質量部が好ましい。
レジスト膜形成後に、純水リンス(ポストソーク)を行うことによって、レジスト膜表面からの酸発生剤等の抽出あるいはパーティクルの洗い流しを行ってもよいし、露光後に膜上に残った水を取り除くためのリンス(ポストソーク)を行ってもよい。PEB中に露光部から蒸発した酸が未露光部に付着し、未露光部分の表面の保護基を脱保護させると、現像後のホールの表面がブリッジして閉塞する可能性がある。特に、ネガティブ現像におけるホールの外側は、光が照射されて酸が発生している。PEB中にホールの外側の酸が蒸発し、ホールの内側に付着するとホールが開口しないことがある。酸の蒸発を防いでホールの開口不良を防ぐために保護膜を適用することは効果的である。更に、アミン化合物又はアミン塩を添加した保護膜は、酸の蒸発を効果的に防ぐことができる。
このように、保護膜形成用組成物としては、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物及びアミノ基又はアミン塩を有する化合物を、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解させたもの、あるいは上記1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位に更にアミノ基もしくはアミン塩を有する繰り返し単位を共重合した高分子化合物をベース樹脂として用いて、これを炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解させたものを用いることが好ましい。
上記炭素数4以上のアルコール系溶剤としては、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノール等が挙げられる。
炭素数8〜12のエーテル系溶剤としては、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル等が挙げられる。
露光における露光量は、1〜200mJ/cm2程度、特に10〜100mJ/cm2程度とすることが好ましい。次に、ホットプレート上で60〜150℃で1〜5分間、好ましくは80〜120℃で1〜3分間PEBを施す。
更に、図1(C)に示されるように、有機溶剤を含む現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより未露光部分が溶解するネガティブパターンが基板上に形成される。
上記有機溶剤としては、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、2−メチルシクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、2’−メチルアセトフェノン、4’−メチルアセトフェノン等のケトン類、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチル等のエステル類などを好ましく用いることができる。これらの有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
これらの有機溶剤の総量は、現像液総量の60質量%以上であることが好ましい。より好ましくは80〜100質量%である。
上記現像液は、その他の有機溶剤を含んでもよい。その他の有機溶剤としては、オクタン、デカン、ドデカン等のアルカン類、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール等のアルコール類等が挙げられる。
また、上記現像液は、界面活性剤を含んでもよく、界面活性剤としては前述のレジスト組成物に添加してよいものと同様の具体例が挙げられる。
現像の終了時には、リンスを行う。リンス液としては、現像液と混溶し、レジスト膜を溶解させない溶剤が好ましい。このような溶剤としては、炭素数3〜10のアルコール、炭素数8〜12のエーテル化合物、炭素数6〜12のアルカン、アルケン、アルキン、芳香族系の溶剤が好ましく用いられる。
具体的には、炭素数6〜12のアルカンとしては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン等が挙げられる。炭素数6〜12のアルケンとしては、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ジメチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等が挙げられる。炭素数6〜12のアルキンとしては、ヘキシン、ヘプチン、オクチン等が挙げられる。炭素数3〜10のアルコールとしては、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノール等が挙げられる。炭素数8〜12のエーテル化合物としては、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル等が挙げられる。これらの溶剤は1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。これらの溶剤に加えて、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、メシチレン等の芳香族系の溶剤を用いることもできる。
トレンチパターン形成において、ネガティブトーン現像は、ポジティブトーン現像よりも高コントラストの光学像を利用できる場合が多い。ここでトレンチパターンとは、ラインアンドスペースパターンにおけるスペース部分がライン部分の寸法幅より狭いパターンを指し、スペース部とスペース部の間隔が無限に離れた場合、即ちライン幅が無限に広い場合が孤立トレンチに相当する。特にトレンチ幅(スペース幅)が微細になるほど、マスク上のラインパターン像を反転しトレンチを形成させるネガティブトーン現像は解像性の点で有利となる。
ネガティブトーン現像によってホールパターンを形成する方法は、マスクデザインによる分類により、以下の3通りの方法に集約される。
(i)ドット状の遮光パターンが配置されたマスクを用い、ドット部分をネガ現像後にホールパターンとする方法。
(ii)格子状遮光パターンが配置されたマスクを用い、格子の交点をネガ現像後にホールパターンとする方法。
(iii)ライン状の遮光パターンが配置されたマスクを用いて2回の露光を行う方法であって、1回目の露光と2回目の露光のライン配列の向きを変えることでラインが交差するように重ねて露光し、ラインの交点をネガ現像後にホールパターンとする方法。
上記(i)の方法について、ドット状の遮光パターンが配置されたマスクを図7に例示する。この方法において、露光時の照明条件は特に限定されないが、図17に示されるアパチャー形状のクロスポール照明(4重極照明)が狭ピッチ化のために好ましく、これにX−Y偏光照明又は円形偏光のAzimuthally偏光照明を組み合わせて更にコントラストを向上させることが可能である。
上記(ii)の方法について、格子状遮光パターンが配置されたマスクを図5に例示する。(i)の方法と同様、クロスポール照明及び偏光照明と組み合わせることが狭ピッチの解像性向上の点で好ましい。
図8にNA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、一辺の幅が60nmの正四角形のドットパターンが配置されたマスクにおける光学像コントラストを示す。また、図6にNA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、幅30nmの格子状ラインパターンの光学像を示す。前者のドットパターンを利用する場合よりも後者の格子状パターンを利用する場合の方が、光の強度が低下するためにレジストの感度が低下する欠点があるものの、光学コントラストが向上するという利点がある。
上記(ii)の方法において、更に透過率3〜15%のハーフトーン位相シフトマスクを用い、格子状のシフター格子の交点を現像後にホールパターンとする方法が、光学コントラストが向上することから好ましい。
上記(iii)の方法について、図15、図16に示されるアパチャー形状のダイポール照明(2重極照明)を用い、X、Y方向のラインパターンを2回に分けて露光し、光学像を重ねることにより、上記(i)及び(ii)の方法に比べて、更に高いコントラストを得ることができる。ダイポール照明に併せてs偏光照明を加えると、更にコントラストを上げることができる。
図2は、波長193nmのArFエキシマレーザーを用いたNA1.3レンズ、ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、s偏光でのピッチ90nm、ラインサイズ45nmのX方向ラインの光学像を示す。また、図3は、波長193nmのArFエキシマレーザーを用いたNA1.3レンズ、ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、s偏光でのピッチ90nm、ラインサイズ45nmのY方向ラインの光学像を示す。色が濃い方が遮光部分、白い方が光の強い領域であり、白と黒のコントラスト差がはっきりしており、特に強い遮光部分が存在することが示されている。図4は、Y方向ラインにX方向ラインの光学像を重ねたコントラストイメージである。XとYのラインの組み合わせで格子状のイメージができ上がるように思われるがそうではなく、光の弱い黒い部分のパターンは円形である。円形のサイズが大きい場合は菱形形状で隣のパターンとつながり易いが、円のサイズが小さいほど円形度合いが向上し、強く遮光された小さな円が存在することが示されている。
上記(iii)の2回露光する方法は(i)や(ii)の1回露光による方法に比べてスループットが低下するものの、光学コントラストが高いことから、微細なパターンを寸法均一性よく形成でき、狭ピッチ化においても有利である。1回目のラインと2回目のラインの角度は直角が好ましいが、90度以外の角度でも構わなく、1回目のラインの寸法と2回目のラインの寸法やピッチが同じであっても異なってもよい。1回目のラインと、これと異なる位置に2回目のラインが1枚のマスクに有するマスクを用いて1回目の露光と2回目の露光を連続露光することも可能である。また、1枚のマスクを用いてX方向とY方向のコントラストを強調した2回の連続した露光は、現在の市販のスキャナーで行うことが可能である。
ピッチや位置がランダムに配列された微細なホールパターンの形成は困難である。密集パターンのコントラストは、ダイポール、クロスポール等の斜入射照明に位相シフトマスクと偏光を組み合わせた超解像技術によって向上させることができるが、孤立パターンのコントラストはそれほど向上しない。
密集の繰り返しパターンに対して超解像技術を用いた場合、孤立パターンとの粗密(プロキシミティー)バイアスが問題になる。強い超解像技術を使えば使うほど密集パターンの解像力が向上するが、孤立パターンの解像力は変わらないために、粗密バイアスが拡大する。微細化に伴うホールパターンにおける粗密バイアスの増加は深刻な問題である。粗密バイアスを抑えるために、一般的にはマスクパターンの寸法にバイアスを付けることが行われている。粗密バイアスはレジスト組成物の特性、即ち、溶解コントラストや酸拡散によっても変わるために、レジスト組成物の種類毎にマスクの粗密バイアスが変化する。レジスト組成物の種類毎に粗密バイアスを変えたマスクを用いることになり、マスク製作の負担が増している。そこで、強い超解像照明で密集ホールパターンのみを解像させ、パターンの上に1回目のポジ型レジストパターンを溶解させないアルコール溶剤のネガ型レジスト膜を塗布し、不必要なホール部分を露光、現像することによって閉塞させて密集パターンと孤立パターンの両方を作製する方法(Pack and unpack;PAU法)が提案されている(Proc. SPIE Vol. 5753 p171 (2005))。この方法の問題点は、1回目の露光と2回目の露光の位置ずれが挙げられ、この点については文献の著者も指摘している。また、2回目の現像で塞がれないホールパターンは2回現像されることになり、これによる寸法変化も問題として挙げられる。
ランダムピッチのホールパターンをポジネガ反転の有機溶剤現像で形成するためには、格子状の遮光パターンが全面に配列され、ホールを形成する場所だけに格子の幅を太くしたマスクを用いることが有効である。
上記(ii)の方法において、図9に示すようなハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜30nm太い第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用い、太いシフターが配列された点を現像後にホールパターンとする方法により、あるいは図11に示すようなハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜100nm太いドットパターンの第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用い、太いシフターが配列された点を現像後にホールパターンとする方法により、ランダムピッチのホールパターンを形成することができる。
ピッチ90nmで、20nmラインの格子状パターン上に、図9に示すようにパターンを形成したい部分に十字の太い交差ラインを配置する。色の黒い部分がハーフトーンのシフター部分である。孤立性の所ほど太いライン(図9では幅40nm)、密集部分では幅30nmのラインが配置されている。密集パターンよりも孤立パターンの方が光の強度が弱くなるために、太いラインが用いられる。密集パターンの端の部分も光の強度がやや低下するために、密集部分の中心よりもやや幅広の32nmのラインが宛われている。
図9のマスクを用いて得られた光学像のコントラストイメージを図10に示す。黒い遮光部分にポジネガ反転によってホールが形成される。ホールが形成されるべき場所以外にも黒点が見られるが、黒点のサイズは小さいために、実際には殆ど転写されない。不必要な部分の格子ラインの幅を狭くしたりするなどの更なる最適化によって、不必要なホールの転写を防止することが可能である。
同じく格子状の遮光パターンを全面に配列し、ホールを形成する場所だけに太いドットを配置したマスクを用いることもできる。ピッチ90nmで、15nmラインの格子状パターン上に、図11に示すようにドットを形成したい部分に太いドットを配置する。色の黒い部分がハーフトーンのシフター部分である。孤立性の所ほど大きなドット(図11では一辺90nm)、密集部分では一辺55nmの四角状のドットが配置されている。ドットの形状は正四角形でも、長方形、菱形、5角形、6角形、7角形、8角形以上の多角形、円形でも構わない。図11のマスクを用いて得られた光学像のコントラストイメージを図12に示す。図10に比べてもほぼ同等の黒い遮光部分が存在し、ポジネガ反転によってホールが形成されることが示されている。
図13に示されるような格子状パターンが配列されていないマスクを用いた場合、図14に示されるように黒い遮光部分は現れない。この場合はホールの形成が困難であるか、もし形成できたとしても光学像のコントラストが低いために、マスク寸法のバラツキがホールの寸法のバラツキに大きく反映する結果となる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例等に制限されるものではない。なお、下記例において、数平均分子量及び重量平均分子量は、溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用いたポリスチレン換算でのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した。
レジスト組成物の調製
本発明のレジスト組成物を得るべく、下記表1に示す組成で配合して溶解させ、0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過したレジスト溶液を調製した。また、比較例として架橋剤を含まないレジスト組成物を下記表2に示す組成で上記同様の方法により調製した。また、表1,2中のベース樹脂の構造、分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を下記表3,4に示す。表3,4中の( )内の数値は各繰り返し単位の構成比率(モル%)を示す。また、表1,2中の光酸発生剤の構造を表5に、表1,2中のクエンチャー成分の構造を表6に示す。また、表1中の架橋剤の構造を表7に示す。
なお、上記表1,2中に示した溶剤は以下の通りである。
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
CyHO:シクロヘキサノン
GBL:γ−ブチロラクトン
また、アルカリ可溶型界面活性剤SF−1(5.0質量部)と界面活性剤A(0.1質量部)を表1及び表2中に示したいずれのレジスト組成物にも添加した。アルカリ可溶型界面活性剤SF−1及び界面活性剤Aの構造を以下に示す。
アルカリ可溶型界面活性剤SF−1(特開2008−122932号公報記載の化合物):ポリ(メタクリル酸3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−1,1−ジメチル−2−トリフルオロメチルプロピル・メタクリル酸1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−6−メチル−2−トリフルオロメチルヘプタ−4−イル共重合物)(下記式)
界面活性剤A:3−メチル−3−(2,2,2−トリフルオロエトキシメチル)オキセタン・テトラヒドロフラン・2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール共重合物(オムノバ社製)(下記式)
アルカリ可溶性保護膜形成用組成物の調製
下記に示した組成で、樹脂(TC用ポリマー1)、有機溶剤を混合、溶解後にそれらをテフロン(登録商標)製フィルター(孔径0.2μm)で濾過し、保護膜形成用組成物(TC−1)を調製した。
TC−1
混合組成:TC用ポリマー1(100質量部)、イソアミルエーテル(2,600質量部)、2−メチル−1−ブタノール(260質量部)
[実施例1〜23、比較例1〜8]
耐エッチング性評価
[評価方法]
HMDS(ヘキサメチルジシラザン)気相中で表面処理(90℃、60秒間)したシリコンウエハー上に、上記表1,2に示したレジスト組成物をスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベーク(PAB)し、レジスト膜の厚みを100nmにした。その後、ArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−307E、NA0.85)にてウエハー全面をオープンフレーム露光した。その際の露光量は、脱保護反応に十分な量の酸が光酸発生剤から生じるように、50mJ/cm2とした。その後、120℃で60秒間ベーク(PEB)を施すことにより、レジスト膜を形成するベース樹脂を脱保護状態に変えた。ベース樹脂が脱保護された部分はネガ型現像における不溶部に相当する。露光・PEB処理によるレジスト膜厚減少量の処理前膜厚に対する比率を求めPEBシュリンク量(%)とした。PEBシュリンク量が小さい方がドライエッチング加工時に必要とされる十分な膜厚を確保でき、あるいは初期膜厚を薄膜化できることで解像性において有利となることから好ましい。次にこれをドライエッチャー(東京エレクトロン(株)製、CF4/CHF3ガス)を用いて耐エッチング性評価を行った。1分間当たりの膜厚変化量を求め、エッチレート(nm/min)とした。エッチレートが低いほど、基板加工後の寸法変化やラフネスが抑制されることから好ましい。
[評価結果]
下記表8に各レジスト組成物のPEB処理温度とPEBシュリンク量及びエッチレートを記載した。また、下記表9に比較例のレジスト組成物の評価結果を記載した。
上記結果の通り、本発明のレジスト組成物は、PEBシュリンク量が小さく、同時に、脱保護状態におけるエッチレートも低いことが確かめられた。
[実施例24〜48、比較例9〜18]
パターニング評価(1)トレンチパターンの形成
[評価方法]
上記表1に示したレジスト組成物を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A941(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベーク(PAB)し、レジスト膜の厚みを100nmにした。下記表10の実施例27、下記表11の比較例10ではレジスト膜の上に更に保護膜形成用組成物TC−1をスピンコーティングし、90℃で60秒間ベークし、保護膜の厚みを50nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、クロスポール開口60度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)を用いて露光量を変化させながら露光を行い、その後任意の温度にて60秒間ベーク(PEB)し、その後現像したが、マスク上のデザイン及び現像条件について下記に記載の4種(Process−1〜4)の条件を用意した。
[Process−1]
マスク上デザイン(1/4倍縮小投影露光のためマスク上実寸法は4倍):60nmライン/160nmピッチ(ライン部分が遮光部)。
現像条件:酢酸ブチルを現像液とし、30秒間現像。その後ジイソアミルエーテルでリンス。
[Process−2]
マスク上デザイン(1/4倍縮小投影露光のためマスク上実寸法は4倍):60nmライン/160nmピッチ(ライン部分が遮光部)。
現像条件:2−ヘプタノンを現像液とし、30秒間現像。その後ジイソアミルエーテルでリンス。
[Process−3]
マスク上デザイン(1/4倍縮小投影露光のためマスク上実寸法は4倍):60nmライン/160nmピッチ(ライン部分が遮光部)。
現像条件:酢酸ブチル/安息香酸メチルの質量比1:1混合溶剤を現像液とし、30秒間現像。その後ジイソアミルエーテルでリンス。
[Process−4]
マスク上デザイン(1/4倍縮小投影露光のためマスク上実寸法は4倍):60nmトレンチ/160nmピッチ(トレンチ部分が光透過部)。
現像条件:2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を現像液とし、30秒間現像。その後純水でリンス。
上記Process−1〜3は本発明の有機溶剤ネガ現像ラインパターン反転によるトレンチ形成方法であり、Process−4は比較例として実施したアルカリ現像液によるトレンチ形成方法に相当する。
作製したレジストパターンを電子顕微鏡にて観察し、トレンチ寸法幅が50nmとなる露光量を最適露光量(Eop、mJ/cm2)とした。次に目標寸法との寸法差が5nm以内となる露光量範囲を調べ、許容露光量範囲とし、([許容露光量範囲]/[最適露光量])×100=[露光量余裕度(EL:%)]を求めた(数値が大きいほど良好)。
[評価結果]
本発明のパターン形成方法の実施例として、レジスト組成物、評価条件及び評価結果を下記表10に示す。また、比較例のレジスト組成物、評価条件及び評価結果を下記表11に示す。
上記結果より、本発明に係るレジスト組成物を用い、有機溶剤ネガ現像により形成したトレンチパターンが、広いELマージンを示すことがわかった。また、比較例17のように、本発明に係るレジスト組成物を用いてアルカリ水溶液ポジ現像と組み合わせた場合は、解像性が劣ることがわかった。
[実施例49〜73、比較例19〜28]
パターニング評価(2)ホールパターンの形成
[評価方法]
上記表1に示したレジスト組成物を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A941(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベーク(PAB)し、レジスト膜の厚みを100nmにした。下記表12の実施例52、下記表13の比較例20ではレジスト膜の上に更に保護膜形成用組成物TC−1をスピンコーティングし、90℃で60秒間ベークし、保護膜の厚みを50nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C)により任意の照明条件にて1回もしくは連続の2回露光を行い、その後任意の温度にて60秒間ベーク(PEB)し、その後現像した。露光照明条件及び6%ハーフトーン位相シフトマスク上のデザイン及び現像条件について下記に記載の4種(Process−5〜8)の条件を用意した。
[Process−5]
露光照明条件:NA1.30、σ0.98/0.78、クロスポール開口20度、Azimuthally偏光。
マスク上デザイン(1/4倍縮小投影露光のためマスク上実寸法は4倍):60nmドット/90nmピッチ、及び55nmドット/80nmピッチ(ドット部分が遮光部)。
現像条件:酢酸ブチルを現像液とし、30秒間現像。その後ジイソアミルエーテルでリンス。ドット位置にホールパターンを形成。
[Process−6]
露光照明条件:NA1.30、σ0.98/0.78、クロスポール開口20度、Azimuthally偏光。
マスク上デザイン(1/4倍縮小投影露光のためマスク上実寸法は4倍):20nmライン/90nmピッチ、及び15nmライン/80nmピッチの格子状マスク(格子形成のライン部分が遮光部)。
現像条件:酢酸ブチルを現像液とし、30秒間現像。その後ジイソアミルエーテルでリンス。格子点にホールパターンを形成。
[Process−7]
露光照明条件:NA1.30、σ0.98/0.78、Azimuthally偏光での連続2回露光。露光1回目はXダイポール開口20度、露光2回目はYダイポール開口20度。ここでX方向とY方向は角度90度異なる。
マスク上デザイン(1/4倍縮小投影露光のためマスク上実寸法は4倍):露光1回目はX方向繰り返しライン、露光2回目はY方向繰り返しラインであり、それぞれ45nmライン/90nmピッチ及び40nmライン/80nmピッチ。露光1回目と2回目とでライン/ピッチの寸法が同一のパターンが交差するように露光。
現像条件:酢酸ブチルを現像液とし、30秒間現像。その後4−メチル−2−ペンタノールでリンス。2回の露光のラインの交差点にホールパターンを形成。
[Process−8]
露光照明条件:NA1.30、σ0.98/0.78、クロスポール開口20度、Azimuthally偏光。
マスク上デザイン(1/4倍縮小投影露光のためマスク上実寸法は4倍):60nmホール/90nmピッチ、及び55nmホール/80nmピッチ(四角ホール、ホール部分が光透過部)。
現像条件:2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を現像液とし、30秒間現像。その後純水でリンス。ホール位置にホールパターンを形成。
上記Process−5〜7は本発明の有機溶剤ネガ現像によるホールパターン形成方法であり、Process−5はドットパターンの反転による方法、Process−6は格子の交点にパターンを形成する方法、Process−7はライン交差2回露光による方法である。また、Process−8は比較例として実施したアルカリ現像液によるホールパターン形成方法に相当する。
作製したレジストパターンを電子顕微鏡にて観察、90nmピッチにおいてホール径45nmとなる露光量を最適露光量(Eop、mJ/cm2)とし、最適露光量においてフォーカスオフセット値の異なるパターンを観察し、目標寸法との寸法差が5nm以内となるフォーカス範囲を求め、焦点深度(DOF、nm)とした(数値が大きいほど良好)。
[評価結果]
本発明のパターン形成方法の実施例として、レジスト組成物、評価条件及び評価結果を下記表12に示す。また、比較例のレジスト組成物、評価条件及び評価結果を下記表13に示す。
上記結果より、本発明に係るレジスト組成物を用い、有機溶剤ネガ現像により形成したホールパターンが、広いDOFマージンを示すことがわかった。また、比較例27のように、本発明に係るレジスト組成物を用いてアルカリ水溶液ポジ現像と組み合わせた場合は、解像性が劣ることがわかった。
以上の結果より、本発明のパターン形成方法が、微細なトレンチパターンやホールパターンの解像性、具体的にはELマージンやDOFマージンを向上させるとともに、PEBシュリンク、即ち脱保護に伴うレジスト膜厚減少を抑制し、更に耐エッチング性も両立できることが確認された。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
10 基板
20 被加工層
30 中間介在層
40 レジスト膜
50 露光

Claims (15)

  1. 下記一般式(1)で表されるカルボキシル基が酸不安定基により保護された構造を有する繰り返し単位(a1)を1種又は2種以上含有するベース樹脂[A]と光酸発生剤[B]と架橋剤[C]と有機溶剤[D]を共に含み、架橋剤[C]がオキシラン環又はオキセタン環から選ばれる官能基を分子内に2つ以上有する化合物であるレジスト組成物を基板上に塗布し、塗布後加熱処理をして作製したレジスト膜を高エネルギー線で露光し、露光後加熱処理を施した後に、有機溶剤を含有する現像液によりレジスト膜の未露光部分を選択的に溶解させることを特徴とするネガ型パターン形成方法。
    (式中、R 1 は水素原子又はメチル基を示す。R 2 、R 3 は酸不安定基を表す。k 0 は0又は1であり、k 0 が0の場合、k 1 は0であり、かつL 1 は単結合を表す。k 0 が1の場合、k 1 は0又は1であり、ここでk 1 が0の場合、L 1 はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜12の鎖状、分岐状又は環状の2価の炭化水素基を表し、k 1 が1の場合、L 1 はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜12の鎖状、分岐状又は環状の3価の炭化水素基を表す。)
  2. ベース樹脂[A]が更に下記一般式(2)で表される構造の繰り返し単位(a2)を1種又は2種以上含むことを特徴とする請求項に記載のパターン形成方法。
    (式中、R4は水素原子又はメチル基を示す。R5は炭素数4〜15の、水酸基、エーテル、ケトン、カルボン酸エステル、炭酸エステル、スルホン酸エステルから選ばれる少なくとも1つの構造を有する1価の環状炭化水素基である。)
  3. ベース樹脂[A]が更に下記一般式(3)で表される構造の繰り返し単位(a3)を1種又は2種以上含むことを特徴とする請求項又はに記載のパターン形成方法。
    (式中、R6は水素原子又はメチル基を表す。R7、R8はそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜15の鎖状、分岐状又は環状の1価の炭化水素基を表す。R9は炭素数1〜20の1価の炭化水素基を表す。k2は1〜4の整数である。L2は炭素数2〜16の鎖状、分岐状又は環状の(1+k2)価の炭化水素基を表す。)
  4. 記一般式(4)で表されるカルボキシル基が酸不安定基により保護された構造を有する繰り返し単位(a1)を1種又は2種以上含有するベース樹脂[A]と光酸発生剤[B]と架橋剤[C]と有機溶剤[D]を共に含み、架橋剤[C]がオキシラン環又はオキセタン環から選ばれる官能基を分子内に2つ以上有する化合物であるレジスト組成物を基板上に塗布し、塗布後加熱処理をして作製したレジスト膜を高エネルギー線で露光し、露光後加熱処理を施した後に、有機溶剤を含有する現像液によりレジスト膜の未露光部分を選択的に溶解させることを特徴とするネガ型パターン形成方法。
    (式中、R10〜R13のうち少なくとも一つが、下記一般式(5)
    (式中、鎖線は結合手を示す。R14は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシアルキル基、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアシル基を表す。R15は酸不安定基を表す。W1は単結合又は炭素数1〜10の(k3+2)価の炭化水素基を表す。k3は0又は1である。)で表される官能基であり、その他はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数7〜20のアリールカルボニルオキシ基、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキルスルホニルオキシ基、炭素数6〜20のアリールスルホニルオキシ基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシカルボニル基、又は炭素数3〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシカルボニルアルキル基から選ばれ、X01、X02はそれぞれ独立に−CH2−又は−O−である。jは0又は1である。)
  5. 記一般式(6)で表されるカルボキシル基が酸不安定基により保護された構造を有する繰り返し単位(a1)を1種又は2種以上含有する開環メタセシス重合体水素添加物であるベース樹脂[A]と光酸発生剤[B]と架橋剤[C]と有機溶剤[D]を共に含み、架橋剤[C]がオキシラン環又はオキセタン環から選ばれる官能基を分子内に2つ以上有する化合物であるレジスト組成物を基板上に塗布し、塗布後加熱処理をして作製したレジスト膜を高エネルギー線で露光し、露光後加熱処理を施した後に、有機溶剤を含有する現像液によりレジスト膜の未露光部分を選択的に溶解させることを特徴とするネガ型パターン形成方法。
    (式中、R16〜R19のうち少なくとも一つが、下記一般式(7)
    (式中、鎖線は結合手を示す。R20は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシアルキル基、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアシル基を表す。R21は酸不安定基を表す。W2は単結合又は炭素数1〜10の(k4+2)価の炭化水素基を表す。k4は0又は1である。)で表される官能基であり、その他はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数7〜20のアリールカルボニルオキシ基、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキルスルホニルオキシ基、炭素数6〜20のアリールスルホニルオキシ基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシカルボニル基、又は炭素数3〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシカルボニルアルキル基から選ばれ、X11、X12はそれぞれ独立に−CH2−又は−O−である。iは0〜2の整数である。)
  6. ベース樹脂[A]が更に下記一般式(8)又は(9)で表される構造の繰り返し単位から選ばれる1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項に記載のパターン形成方法。
    (式中、R22〜R25は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、X21、X22は−CH2−又は−O−であり、同一でも異なってもよい。mは0〜2の整数を表す。R26〜R29は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、X31、X32は−CH2−又は−O−であり、同一でも異なってもよい。Y1及びY2は、一方が−(C=O)−であり、他方は、−CR30 2−(R30は水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す)である。nは0〜2の整数を表す。)
  7. レジスト組成物が更にクエンチャー[E]及び/又は界面活性剤[F]を1種又は2種以上含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  8. 現像液が、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、2−メチルシクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、2’−メチルアセトフェノン、4’−メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる1種以上の有機溶剤を含有し、これら有機溶剤の総濃度が現像液総量に対して60質量%以上であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  9. 高エネルギー線による露光が、波長193nmのArFエキシマレーザーによる液浸リソグラフィー、又は波長13.5nmのEUVリソグラフィーであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  10. レジスト組成物を基板上に塗布してレジスト膜を形成し、加熱処理後にレジスト膜に保護膜を形成した後、高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、露光後加熱処理を施した後に有機溶剤による現像液を用いて未露光部の保護膜とレジスト膜を溶解させることを特徴とする請求項に記載のパターン形成方法。
  11. 現像後にトレンチパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  12. ドット状の遮光パターンが配置されたマスクを用い、ドット部分を現像後にホールパターンとすることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  13. 格子状遮光パターンが配置されたマスクを用い、格子の交点を現像後にホールパターンとすることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  14. ライン状の遮光パターンが配置されたマスクを用いて2回の露光を行う方法であり、1回目の露光と2回目の露光のライン配列の向きを変えることでラインが交差するように重ねて露光し、ラインの交点を現像後にホールパターンとすることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  15. 露光に用いるマスクが透過率3〜15%のハーフトーン位相シフトマスクであることを特徴とする請求項乃至14のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
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