JP5616213B2 - 変成シリコーン樹脂発泡体及び該発泡体を使用してなるクッション材 - Google Patents

変成シリコーン樹脂発泡体及び該発泡体を使用してなるクッション材 Download PDF

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Description

本発明は、変成シリコーン重合体を基材樹脂とする変成シリコーン樹脂発泡体、および、これを使用してなるクッション材に関する。
変成シリコーン樹脂発泡体は一般的な軟質発泡体であるポリウレタンの軟質発泡体と比較して、柔軟性や触感に優れることから、枕、マットレス等に代表される寝具、衝撃吸収材、衣類等として用いられるクッション材への展開が期待される。
特許文献1には、分子鎖中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤、分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰返し単位が飽和炭化水素系単位またはオキシアルキレン系単位からなる重合体、ヒドロシリル化触媒、発泡剤、を含んでなる発泡性液状樹脂組成物を硬化・発泡させてなる変成シリコーン樹脂発泡体が記載されている。
国際公開第2008/117734号公報
本発明における目的は、変成シリコーン樹脂発泡体の更なる特性改良を行うことである
本発明は、以下の構成を有するものである。
1). 分子鎖中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤(A)、
分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰り返し単位がオキシアルキレン系単位からなる数平均分子量が5000を超え100000以下の重合体(B)、
ヒドロシリル化触媒(C)、
発泡剤(D)、
主鎖を構成する繰り返し単位がオキシアルキレン系単位からなり、分子鎖中に2個以上のアルケニル基を有する数平均分子量45〜5000の化合物(E)を含んでなる発泡性液状樹脂組成物を硬化・発泡させてなる圧縮歪みが40%以下で、40%圧縮強度が40N以下であることを特徴とする変成シリコーン樹脂発泡体。
2). 硬化剤(A)のヒドロシリル基の数が2個以上、100個以下であることを特徴とする1)に記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
3). 硬化剤(A)が、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサンとジメチルシロキサンの共重合体、メチルハイドロジェンシロキサンとジフェニルシロキサンの共重合体、メチルハイドロジェンポリシロキサンとメチルフェニルシロキサンの共重合体、及びこれらのスチレンもしくはαメチルスチレンの変成体、のうちから選ばれるものであることを特徴とする1)または2)に記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
4). 重合体(B)の数平均分子量が12000〜50000であることを特徴とする1)〜3)のいずれか一項に記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
5). 発泡剤(D)が、分子鎖中にアルケニル基を有さない、数平均分子量が1000未満、水酸基当量5.0mmol/g以上の活性水素化合物であることを特徴とする1)〜4)のいずれか一項に記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
6). 化合物(E)がポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびこれらの共重合体、から選ばれる重合体の両末端がアリルエーテルでものであることを特徴とする1)〜5)のいずれか一項に記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
7). 成形後の発泡体の養生を70〜160℃の環境で0.2〜12時間実施することを特徴とする1)〜6)のいずれか一項に記載の変成シリコーン樹脂発泡体の製造方法。
8). 1)〜6)のいずれか一項に記載の変成シリコーン樹脂発泡体を使用してなるクッション材。
本発明により、柔軟で圧縮残留ひずみが小さい変成シリコーン樹脂軟質発泡体を得ることができる。
本発明の変成シリコーン樹脂発泡体は、分子鎖中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤(A)、分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰り返し単位がオキシアルキレン系単位からなる数平均分子量が5000を超える重合体(B)、ヒドロシリル化触媒(C)、発泡剤(D)、および主鎖を構成する繰り返し単位がオキシアルキレン系単位からなり、分子鎖中に2個以上のアルケニル基を有する数平均分子量が5000以下の化合物(E)を含んでなる発泡性液状樹脂組成物を発泡させてなる。
硬化剤(A)は、分子鎖中に少なくとも2個、好ましくは3個以上、さらに好ましくは5個以上のヒドロシリル基を有し、そのヒドロシリル基が後述するアルケニル基を有する化合物の分子鎖中に存在するアルケニル基と反応して硬化する。前記ヒドロシリル基の数が少ないと、本発明の発泡性液状樹脂組成物をヒドロシリル化反応により硬化させる場合の硬化速度が遅くなり、発泡と硬化の速度のバランスが取れず、不良な構造体となる。
また、ヒドロシリル基の個数の上限は特にはないが、あまり多くなると硬化剤(A)の安定性や、本発明の変成シリコーン樹脂発泡体の安定性が悪くなったり、硬化後も多量のヒドロシリル基が変性シリコーン樹脂中に残存しやすくなり、経時で次第に柔軟性を失う傾向があるので、好ましくは100個以下、さらには70個以下であることが好ましい。
なお本発明において、ヒドロシリル基の数は、Si原子に直接結合したHの数とも言うことができ、例えば、SiHの場合にはヒドロシリル基の数は2個となる。1つのSiに結合するHの数は、1つであることにより硬化性は良くなり、また、柔軟性の点からも好ましい。
硬化剤(A)の数平均分子量(Mn)は、発泡剤の分散性や得られる変成シリコーン樹脂発泡体の加工性などの点から、上限値は30000であることが好ましく、20000以下がより好ましく、15000以下であることがさらに好ましい。重合体(B)との反応性や相溶性まで考慮すると、数平均分子量は、300以上10000以下が特に好ましい。
硬化剤(A)は、シロキサン化合物が好ましい。ヒドロシリル基は分子鎖中に少なくとも2個有していれば分子の主鎖にあっても側鎖にあっても特に制限はないが、特に、入手のしやすさ、反応性等の観点から、ポリメチルハイドロジェンシロキサン(メチルハイドロジェンシリコーンオイル)が好ましい。
ポリメチルハイドロジェンシロキサンとしては、メチルハイドロジェンシロキサンとジメチルシロキサンの共重合体、メチルハイドロジェンシロキサンとジフェニルシロキサンの共重合体、メチルハイドロジェンシロキサンとメチルフェニルシロキサンの共重合体が挙げられる。また、芳香族ビニル化合物残査の構造を有していても構わない。芳香族ビニル化合物残査の構造は、ポリメチルハイドロジェンシロキサンを合成する過程で芳香族ビニル化合物を用いて共重合することで導入することが可能である。用いることが出来る芳香族ビニル化合物としてはスチレン、αメチルスチレンを挙げることができる。
硬化剤(A)のヒドロシリル基は少なくとも2個、好ましくは3個以上、さらには5個有していることが好ましい。また多くとも100個、さらには70個であることが好ましい。
重合体(B)としては、分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰返し単位がオキシアルキレン系単位である数平均分子量が5000超え100000以下の重合体であるが、硬化剤(A)とヒドロシリル化反応して硬化する成分であり、分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有するため、ヒドロシリル化反応が起こって高分子状となり、硬化する。重合体(B)に含まれるアルケニル基の数は、硬化剤(A)とヒドロシリル化反応するという点から少なくとも1個必要であるが、硬化性、柔軟性の点から、2個以上有することが好ましく、主鎖もしくは分岐部の分子鎖の両末端にアルケニル基が存在するのが好ましい。
重合体(B)の構造としては、直鎖状であっても、分岐が主鎖の分子量よりも少ない範囲で分岐構造を有していても構わないが、直鎖状であるほうが、柔軟性の観点から好ましい。
重合体(B)は、圧縮永久歪、40%圧縮強度、柔軟性・触感、及び反応性のバランスの点から、数平均分子量(Mn)が15000以上であることが好ましい。より好ましくは17000以上である。上限値は50000以下が好ましく、45000以下がより好ましく、40000以下がさらに好ましい。また、40%圧縮強度が小さくなる点からは数平均分子量が12000以上であることが好ましい。
重合体(B)は、主鎖を構成する繰返し単位がオキシアルキレン系単位であるため、主鎖を形成する出発物質として活性水素を2個以上有する化合物を重合させることにより製造されることができる。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノール化合物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等を用い、C〜Cのアルキレンオキシドを重合させることにより製造することができる。
主鎖の具体例としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン;エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びブチレンオキシドから選ばれる2種以上のランダムまたはブロック共重合体が挙げられる。重合体(B)は、これらの群より選ばれる少なくとも1種の末端に、アルケニル基を導入することが好ましい。柔軟性、及び触感の点から、主鎖の繰返し単位がポリオキシプロピレンであることがより好ましい。
硬化剤(A)、及び重合体(B)の含有割合は、硬化剤(A)中のヒドロシリル基の含有量が、重合体(B)中のアルケニル基1モル当り0.1モル以上50モル以下となるようにすることが好ましい。
本発明のヒドロシリル化触媒(C)としては、ヒドロシリル化触媒として使用し得るものである限り、特に制限はなく、任意のものを使用し得る。ヒドロシリル化触媒(C)の具体例としては、白金の担体;アルミナ、シリカ、カーボンブラックなどの担体に固体白金を担持させたもの;塩化白金酸;塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトンなどとの錯体;白金−オレフィン錯体;白金−ビニルシロキサン錯体;白金−ホスフィン錯体;白金−ホスファイト錯体;ジカルボニルジクロロ白金、などが挙げられる。
ヒドロシリル化触媒(C)の含有量としては、重合体(B)のアルケニル基1モルに対して10−8〜10−1モルが好ましく、10−6〜10−2モルがより好ましい。前記含有量が少ないと十分に硬化が進行しない場合がある。また多いと、液状樹脂組成物の硬化の制御が困難である場合や、得られた変成シリコーン樹脂発泡体が着色する場合がある。
発泡剤(D)としては常温大気圧下では揮発性液体や気体である1種以上の物理発泡剤、加熱分解や化学反応により気体を発生させる1種以上の化学発泡剤が使用でき、それら両方を用いてもよい。
物理発泡剤としては、ヒドロシリル化反応を阻害しないものであれば特に限定はないが、発泡性、および作業性と安全性の点から、沸点は100℃以下であることが好ましく、50℃以下がより好ましい。具体的には、炭化水素、フロン、塩化アルキル、エーテルなどの有機化合物;二酸化炭素、窒素、空気などの無機化合物が挙げられるが、環境適合性の観点から、炭化水素、エーテル、二酸化炭素、窒素、空気から選ばれる化合物を用いることが好ましい。
化学発泡剤としては、特に限定はないが、例えば炭酸水素ナトリウムや炭酸アンモニウムなどの無機系化合物の発泡剤や、ヒドロシリル基と反応して水素を発生する活性水素基を有する化合物が挙げられる。
この中では活性水素基を有する化合物が、硬化剤(A)と直接積極的に反応して水素ガスを発生させる点で好ましい。
活性水素基を有する化合物としては、アルコール類、カルボン酸類、フェノール性ヒドロキシル基を有する化合物、水が例示できる。さらに、具体例としては、水;
メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、tert−ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等の1価のアルコール;
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、1,9−ノナメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース等の多価アルコール;
ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、これらの共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ソルビトール、スクロース、テトラエチレンジアミン、エチレンジアミン等を開始剤とした1分子内にヒドロキシル基を3個以上含むものも含む、等のポリエーテルポリオール;
アジペート系ポリオール、ポリカプロラクトン系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール等のポリエステルポリオール;
エポキシ変成ポリオール;ポリエーテルエステルポリオール;ベンジリックエーテル型フェノールポリオール等のフェノール系ポリオール;ルミフロン(旭硝子社製)等のフッ素ポリオール;水添ポリブタジエンポリオール;ひまし油系ポリオール;ハロゲン含有難燃性ポリオール;リン含有難燃性ポリオール;
ヒドロキシル基含有ビニル系モノマーとアクリル酸、メタクリル酸、それらの誘導体等との共重合体により得ることが可能なヒドロキシル基を有するアクリル樹脂;その他アルキド樹脂、エポキシ樹脂等のヒドロキシル基を有する樹脂;
等のアルコール類;
酢酸、プロピオン酸等の一価の飽和カルボン酸等のカルボン酸類;
フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ピロガロール、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールS、フェノール樹脂等のフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物;
等が挙げられる。
これらの活性水素基含有化合物の中でも、反応性や取り扱い性の点からは、水、1価のアルコール、ポリエーテルポリオールよりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。1価のアルコールとしては、具体例としてはメタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール等の1級飽和炭化水素アルコールが好ましい。ポリエーテルポリオールとしては、具体例としては、ポリエチレングリコールが好ましい。
また、柔軟性の観点からは、酸素が直接炭素に結合している化合物または水が好ましい。とりわけ、水、エタノール、ポリエチレングリコールのいずれかが好ましい。
本発明における活性水素基含有化合物中の数平均分子量は、大きくなると反応性が低下し、所望の発泡倍率が得られない傾向があるため、1000以下、さらには500以下、特には300以下が好ましい。また、18以上、さらには30以上、特には45以上が好ましい。
また、本発明における活性水素基含有化合物中の水酸基当量は、該水酸基当量が小さくなると、添加する活性水素基含有化合物の体積が大きくなり、発泡倍率が上がりにくくなる傾向があるため、発泡倍率を高くしようとする場合には、1.0mmol/g以上が好ましく、さらに反応性の点から5.0mmol/g以上がより好ましい。上限としては、60mmol/g以下、さらには35mmol/g以下、特には25mmol/g以下が好ましい。
本発明において、発泡剤(D)としては、活性水素基含有化合物を用いることが好ましいが、中でも分子鎖中にアルケニル基を有さない化合物が好ましい。
本発明において化合物(E)としては、主鎖を構成する繰り返し単位がオキシアルキレン系単位からなり、分子鎖中に2個以上のアルケニル基を有する数平均分子量45〜5000の化合物であるが、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびこれらの共重合体などの主鎖を構成する繰返し単位がオキシアルキレン系単位からなる重合体の両末端アリルエーテル、ビニルエーテル、(メタ)アクリル酸とのエステルが挙げられる。
これら化合物の中でも、反応性や取り扱い性の観点から、主鎖を構成する繰り返し単位がオキシアルキレン系単位からなる重合体の両末端アリルエーテル、ビニルエーテル、(メタ)アクリル酸とのエステルが好ましく、さらに硬化剤(A)のヒドロシリル基に反応しやすいという点でポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびこれらの共重合体が好ましく、さらには両末端がアリルエーテルであるものが好ましい。
また化合物(E)としては、重合体(B)と同種類の繰り返し単位を有するものが相溶性の観点で好ましい。化合物(E)の好ましい数平均分子量としては、4000以下、さらには2500以下、特には1500以下が好ましい。また、下限値としては、数平均分子量が50以上、さらには150以上、特には200以上であることが好ましい。
本発明で使用する発泡性液状樹脂組成物には、必要であれば貯蔵安定性を改良するために貯蔵安定性改良剤を添加してもよい。貯蔵安定性改良剤としては、硬化剤(A)の貯蔵安定剤として知られている通常の安定剤で所期の目的を達成するものであれば使用することができる。
このような貯蔵安定性改良剤の好ましい例としては、例えば、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機硫黄化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化などが挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。具体例としては、例えばベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレート、ジメチルアセチレンジカルボキシレート、2−ペンテンニトリル、2,3−ジクロロプロペン、キノリンなどが挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。これらの中では、ポットライフおよび速硬化性の両立という点から、チアゾール、ベンゾチアゾール、ジメチルマレートが特に好ましい。
本発明で使用する発泡性液状樹脂組成物には、必要であれば、気泡調整剤を添加しても良い。該気泡調整剤の種類には特に限定はなく、通常使用される、例えばタルク、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、シリカなどの無機固体粉末や、ポリエーテル変性シリコーンオイルなどのシリコーンオイル系化合物、フッ素系化合物などが挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種用いることができる。
本発明で使用する発泡性液状樹脂組成物は、必要であれば、耐候性安定剤として、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、および、イオウ原子、リン原子、1級アミン、2級アミンを含まないヒンダードアミン系光安定剤を含有してもよい。耐候性安定剤とは、紫外線領域の波長の光を吸収してラジカルの生成を抑制する機能、または、光吸収により生成したラジカルを補足して熱エネルギーに変換し無害化する機能等を有し、光に対する安定性を高める化合物である。また、耐候性安定剤と紫外線吸収剤を併用してもよい。紫外線吸収剤とは、紫外線領域の波長の光を吸収してラジカルの生成を抑制する機能を有する化合物である。
また、本発明では、その他必要に応じて、充填剤、ラジカル禁止剤、接着性改良剤、難燃剤、ポリオキシアルキレン−ポリジメチルシロキサンブロック共重合体以外のシリコーン系界面活性剤あるいは有機系界面活性剤(ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル等)などの整泡剤、酸あるいは塩基性化合物、オゾン劣化防止剤、増粘剤、可塑剤、カップリング剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤などを、本発明の目的および効果を損なわない範囲において添加することができる。
本発明の変成シリコーン樹脂発泡体の製造方法は、特に限定はないが、まず重合体(B)、発泡剤(D)、化合物(E)を予め混合しておき、その混合物に硬化剤(A)を添加し、さらに触媒(C)を添加し、得られた混合物を例えば型枠に注入したあと、40〜150℃に加熱することで、硬化と発泡が進行し、本発明の変成シリコーン樹脂発泡体が得られる。加熱時間は特に制約はないが、たとえば30〜120分間の加熱で本発明の変成シリコーン樹脂発泡体を得ることが出来る。
本発明の変成シリコーン樹脂発泡体の圧縮残留ひずみは、養生後の発泡体において40%以下のものを得ることが可能であるが、製造条件を調整することにより30%以下、より好ましくは25%以下、さらには20%以下、特には8%以下のものも得る事ができる。圧縮残留ひずみが小さいことは、例えば、クッション材として用いた場合に、使用後のひずみが少なく、優れた復元性を発現するので好ましい。
本発明の変成シリコーン樹脂発泡体の圧縮残留ひずみを低減するために加熱養生を行うことが好ましい。
本願発明の発泡体を加熱して養生する際の温度条件としては70〜160℃さらには70〜140℃、特には90〜140℃で行うことが好ましい。この様な養生条件を採用することにより、圧縮残留歪みや40%圧縮強度が小さい変成シリコーン樹脂発泡体を得る事が可能である。
養生時間としては0.2〜12時間、さらには0.3〜4時間行うことが好ましい。養生時間が余り長くなると圧縮残留歪みが大きくなる傾向がある。
また加熱養生を60%RH以上の湿熱で行うことにより養生時間を短縮することができる。
圧縮残留ひずみは、JIS6400−4に基づき、30mm角の大きさに切り出した変成シリコーン樹脂発泡体を、60℃、24時間条件下で75%圧縮し、その後室温で開放し、30分後の厚みの元の厚さに対する低下率を測定して得ることが出来る。
本願発明では、40%圧縮強度は、英弘精機(株)製のテクスチャーアナライザー(TA.XT.plus)にて、圧縮モードで次の方法で測定した。50mm角の大きさの立方体に切り出した変成シリコーン樹脂発泡体を上下より金属板ではさみ、厚み方向に40%圧縮する。このときの応力(N)を測定した。
本願発明に係る発泡体の40%圧縮強度は40N以下であることが特徴であるが、30N以下、さらには25N以下の発泡体を得ることも可能である。
40%圧縮強度は主に架橋反応後の架橋点間分子量によって左右される。例えば同じ硬化剤(A−1)に対し、重合体(B)の分子量/アルケニル基数の値が小さい方が、40%圧縮強度は高くなる傾向にある。
本発明の変成シリコーン樹脂発泡体は、圧縮残留ひずみを抑制することができるため、クッション材として好適に使用することができる。特に寝具用クッション材として使用される際の標準的な使用環境において、へたりが少ないためより好適に使用することができる。クッション材としては、頭部を支持するいわゆる枕、抱き枕、腰枕、脚枕、首枕、目枕、尻枕、三角枕等の枕類、マットレス、敷きパッド等のマットレス類、掛け布団、敷布団等の布団類等の寝具用クッション材等があげられる。
寝具用クッション材の中でも、枕類、マットレス類として使用されることが睡眠中の快適性を付与する効果があるため好ましい。
本発明の変成シリコーン樹脂発泡体をクッション材として使用する場合は、そのまま、あるいは発泡成形時に形成される表皮層を切除したり、適当な形状に切り出したりしたものをクッション材として使用することができる。
上記で得られた変成シリコーン樹脂発泡体単独で使用してもよいが、本発明の効果を生かす範囲であれば、未発泡体であるプラスチック、発泡倍率の異なる変成シリコーン樹脂発泡体、フィルム、布、不織布、紙等の素材と一体成形して用いても良く、変成シリコーン樹脂発泡体の表面に綿、アクリル繊維、毛、ポリエステル繊維等でできた織布や不織布を、張り合わす、縫合する等して組み合わせて使用しても良い。
この様に組み合わせることで、変成シリコーン樹脂発泡体の触感をさらに良好にし、さらに、高温・多湿時の発汗時にこの組み合わされた生地によって、寝具に吸汗作用を施すことができるクッション材とすることができる。
本発明の変成シリコーン樹脂発泡体からなるクッション材の形状としては、特に限定されるものではないが、長方形、正方形、円形、楕円形、ひし形などの多角形や、短冊状やドーナツ型の内部がくりぬいてあるもの、表面に任意の凹凸をつけたもの等が挙げられる。ただし、通気性を効果的に発現させることが必要な場合、表皮層を切除するか、もしくは表皮層に開孔部を設けるか、貫通孔をあけることが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例および比較例中の測定、評価は、次の条件・方法により行った。なお、特に断りが無い場合、実施例および比較例の部は重量基準である。
<圧縮残留ひずみ>
圧縮残留ひずみは、JIS6400−4に基づき以下のように測定した。30mm角の大きさの立方体に切り出した変成シリコーン樹脂発泡体を、60℃、24時間条件下で75%圧縮し、その後室温で開放し、30分後の厚みの元の厚さに対する低下率を測定した。
<40%圧縮強度>
切り出した50mm角の立方体の発泡体を上下より金属板ではさみ、厚み方向に40%圧縮し、このときの応力(N)を英弘精機(株)製のテクスチャーアナライザー(TA.XT.plus)を用いて、圧縮モードで測定した。
(実施例1)
重合体(B)として(株)カネカ製カネカサイリルACX022(アリル基末端オキシプロピレン系重合体、アルケニル基2個含有(0.1mmol/g)、数平均分子量:20000)を100重量部に対して、発泡剤(D)として和光純薬(株)製エタノールを10重量部、化合物(E)としてポリプロピレングリコールの重合体の両末端アリルエーテル(日本油脂(株)製ユニルーブMA−10S)(アルケニル基2個含有(4.55mmol/g)、数平均分子量:440)を30重量部、を加えて十分に混合した。
さらに硬化剤(A)としてポリメチルハイドロジェンシロキサン(信越化学(株)製KF−99)(ヒドロシリル基50個含有(16.7mmol/g)、数平均分子量:3000)を15重量部加えて十分に混合し、さらに触媒(C)として白金−ビニルシロキサン錯体(エヌ・イー・ケムキャット(株)製のPT−VTSC IPA3.0)を0.2重量部加えてすばやく混合した。
混合物を金属製型枠に注入し、60℃に設定したオーブンで60分間加熱し、得られた生成物を型枠から取り出し、100℃に設定したオーブン内で2時間加熱して養生を行い、変成シリコーン樹脂発泡体を得た。
(実施例2)
硬化剤(A)として(―Si−O−)繰り返しユニットを平均して10個もつ両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンに白金触媒存在下全ヒドロシリル基量の0.5当量のα―メチルスチレンを添加して得た、1分子中に平均5個のヒドロシリル基を有する化合物(平均4mmol/g、数平均分子量1250)を用いた以外は実施例1と同様に行い、変成シリコーン樹脂発泡体を得た。
(実施例3)
重合体(B)として、(株)カネカ製カネカサイリルACX009(アリル基末端オキシプロピレン系重合体、アルケニル基2個含有(0.22mmol/g)、数平均分子量:9000)を使用した以外は実施例1と同様に行い、変成シリコーン樹脂発泡体を得た。
(実施例4)
発泡剤(D)として、炭酸水素ナトリウム(永和化成工業(株)製FE−507)を5部使用した以外は実施例1と同様に行い、変成シリコーン樹脂発泡体を得た。
(実施例5)
化合物(E)として、ポリエチレングリコールの重合体の両末端アリルエーテル(日本油脂(株)製ユニオックスAA−480R)(アルケニル基2個含有(4.00mmol/g)含有、数平均分子量:500)を25重量部使用した以外は実施例1と同様に行い、変成シリコーン樹脂発泡体を得た。
(実施例6)
実施例1で、150℃に設定したオーブン内で0.5時間加熱して養生を行った以外は実施例1と同様に行い、変成シリコーン樹脂発泡体を得た。
(実施例7)
実施例1で、80℃に設定したオーブン内で10時間加熱して養生を行った以外は実施例1と同様に行い、変成シリコーン樹脂発泡体を得た。
(実施例8)
実施例1で、100℃に設定したオーブン内で0.5時間加熱して養生を行った以外は実施例1と同様に行い、変成シリコーン樹脂発泡体を得た。
(比較例1)
化合物(E)を用いない以外は実施例1と同様に行い、変成シリコーン樹脂発泡体を得た。
(比較例2)
化合物(E)として、ポリプロピレングリコールの重合体の片末端アリルエーテル(日本油脂(株)製ユニルーブMA−35)(アルケニル基1個含有(1.6mmol/g)、数平均分子量625)を30重量部使用した以外は、実施例1と同様に行い、変成シリコーン樹脂発泡体を得た。
(比較例3)
実施例1で、170℃に設定したオーブン内で0.5時間加熱して養生を行った以外は実施例1と同様に行い、変成シリコーン樹脂発泡体を得た。
(比較例4)
実施例1で、60℃に設定したオーブン内で12時間加熱して養生を行った以外は実施例1と同様に行い、変成シリコーン樹脂発泡体を得た。
実施例1〜8および比較例1〜4により得られた変成シリコーン樹脂発泡体の圧縮残留ひずみ、40%圧縮強度を測定した結果を表1に示す。なお製造条件で記載のない部分は実施例1と同じ条件である。
Figure 0005616213

Claims (8)

  1. 分子鎖中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤(A)、
    分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰り返し単位がオキシアルキレン系単位からなる数平均分子量が5000を超え100000以下の重合体(B)、
    ヒドロシリル化触媒(C)、
    発泡剤(D)、
    主鎖を構成する繰り返し単位がオキシアルキレン系単位からなり、分子鎖中に2個以上のアルケニル基を有する数平均分子量45〜5000の化合物(E)を含んでなる発泡性液状樹脂組成物を硬化・発泡させてなる圧縮残留歪みが40%以下で、40%圧縮強度が40N以下であることを特徴とする変成シリコーン樹脂発泡体。
  2. 硬化剤(A)のヒドロシリル基の数が2個以上、100個以下であることを特徴とする請求項1に記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
  3. 硬化剤(A)が、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサンとジメチルシロキサンの共重合体、メチルハイドロジェンシロキサンとジフェニルシロキサンの共重合体、メチルハイドロジェンポリシロキサンとメチルフェニルシロキサンの共重合体、及びこれらのスチレンもしくはαメチルスチレンの変成体、のうちから選ばれるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
  4. 重合体(B)の数平均分子量が12000〜50000であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
  5. 発泡剤(D)が、分子鎖中にアルケニル基を有さない、数平均分子量が1000未満、水酸基当量5.0mmol/g以上の活性水素化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
  6. 化合物(E)がポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびこれらの共重合体、から選ばれる重合体の両末端がアリルエーテルであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
  7. 成形後の発泡体の養生を70〜160℃の環境で0.2〜12時間実施することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の変成シリコーン樹脂発泡体の製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の変成シリコーン樹脂発泡体を使用してなるクッション材。
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