JP5604864B2 - 樹脂モールドコイル - Google Patents

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本発明はモールド変圧器などの静止誘導機器に適用する樹脂モールドコイルに関する。
(1)周知のようにモールド変圧器は、巻線をエポキシ樹脂(難燃性の絶縁樹脂)などでモールドして構成するものであり、昨今では環境、防災面から屋内の高圧受配電設備などに設置する特別高圧級の変圧器としても多く採用されている。
(2)従来の樹脂モールドコイルの構成例:
(イ)モールド変圧器に適用する従来の樹脂モールドコイルの構成例におけるモールドコイル1の構造を図5に示す。図5において、1は一次側(高圧側)のモールドコイル、2は巻線、3はエポキシ樹脂などのモールド層、4はモールド層3から外部に引出したリード端子であり、モールドコイル1は全体が略円筒形の形状になり、一次側コイルと同様な樹脂モールド形の二次側(低圧側)巻線,鉄心と組み合わせてモールド変圧器を構成している。このモールドコイル1は、巻線2,およびリード端子4に通じるリード線2-1がモールド層3,および該モールド層3の周面から側方に突き出して一体成形したブッシング部3aで囲われており、このモールド層3が巻線2に印加される高電圧の対地絶縁を分担している。なお、このモールドコイル1の大きさは変圧器の容量にもよるが、高さが1m以上、質量が100Kgを超えるものもある。
(ロ)図5の構成例におけるモールドコイルの作製方法:
図6〜7は、後述の、モールドコイルにおけるモールド層の内外周面がフィルム状絶縁材で覆われている構成例における詳細構造および作製方法を示す図であるが、この図6〜7を準用して、図5の構成例におけるモールドコイルの作製方法の一例を説明する。
モールドコイルにおけるモールド層の内外周面がフィルム状絶縁材で覆われていない構成例である図5のモールドコイルは、図6((a)は縦断面図、(b)は横断面図)においてフィルム状絶縁材6,7は設けないで、略円筒形の固体絶縁成形体を形成する絶縁部材がモールド層3と絶縁支持スペーサ5とからなるようにして構成することができる。
そして、このようなモールドコイルを製作する具体的なモールド工法としては、例えば図7(成形金型に巻線をセットした樹脂注型前の状態を表す断面図)において、フィルム状絶縁材6,7は用いないで、内径側の金型9aの周面上に(複数個周上等間隔に分散配置される)内周側の絶縁支持スペーサ5(モールド層3の注型樹脂と同じ材質の樹脂製),巻線2の各巻線ブロック2a,(複数個周上等間隔に分散配置される)外周側の絶縁支持スペーサ5を順に重ねて組み付けた上で成形金型9を型締めする。この状態で成形金型9にエポキシ樹脂などの注型樹脂を注入して図5のモールドコイル1が固体絶縁成形体として成形される。
(3)従来の樹脂モールドコイルの異なる構成例:
(イ)上述の図5の構成例は、モールドコイルにおけるモールド層の内外周面がフィルム状絶縁材で覆われていない構成としたものであるが、モールドコイルにおけるモールド層の内外周面がフィルム状絶縁材で覆われている構成が適用されることもある。
モールド変圧器に適用する従来の樹脂モールドコイルの異なる構成例として、上述のようなモールドコイルにおけるモールド層の内外周面がフィルム状絶縁材で覆われている構成例におけるモールドコイル1の詳細構造の一例を図6に示す。ここで、図6(a)は縦断面図、(b)は横断面図である。
図6において、巻線2は直列に接続される複数の巻線ブロック2aに分けた上で、各巻線ブロック2aが軸方向に間隔を隔てて上下に配列される。そしてこの巻線ブロック2aは周方向に沿ってその内径,外径側に配した絶縁支持スペーサ5(モールド層3の注型樹脂と同じ材質の樹脂製)を介してモールド層3の層内中央位置に埋設されている。また、図示構造では、モールド層3の内外周面をガラステープなどのフィルム状絶縁材6,7で覆っている。なお、図中の8は変圧器の低圧側(二次側)モールドコイルであり、前記高圧側のモールドコイル1の内周側に空隙を隔てて対向配置し、鉄心(不図示)と組み合わせてモールド変圧器を構成している。なお、図6の構成例は、上述のようにモールドコイルにおけるモールド層の内外周面がフィルム状絶縁材で覆われている点で図5の構成例と異なるが、モールドコイルの外観構造は図5の構成例と同様なものとなる。
(ロ)図6の構成例におけるモールドコイルの作製方法:
ここで、図6の構成例におけるモールドコイル1を製作する従来の具体的なモールド工法の一例を図7で説明する。ここで、図7は、図6に示したモールドコイルの作製方法の説明図であって、成形金型に巻線をセットした樹脂注型前の状態を表す断面図である。
まず、図7において、9は成形金型であり、この成形金型9は円筒形の内径型9a,外径型9b,上型9c,下型9dの組立体からなる。そして、内径側の金型9aを巻枠として図6に示したフィルム状の絶縁材(例えばガラステープ)6を巻き付けた上で、その周面上に(複数個周上等間隔に分散配置される)内周側の絶縁支持スペーサ5,巻線2の各巻線ブロック2a,(複数個周上等間隔に分散配置される)外周側の絶縁支持スペーサ5を順に重ねて組み付け、さらにその外周側に外周側のフィルム状絶縁材7を巻き付けた上で成形金型9を型締めする。この状態で成形金型9にエポキシ樹脂などの注型樹脂を注入して図6のモールドコイル1が固体絶縁成形体として成形される。
(4)なお、上記の図5および図6の各構成例で説明した、前記のモールド工程では、成形後のモールドコイル1の内部にボイド(微小空隙)が残存していると、巻線2に高電圧を印加した際に層内に部分放電が発生して絶縁性能が低下する原因となることから、通常は真空成形法により導体素線を巻回した巻線2の内部、およびモールド層3の層内にボイドが生じないように細心の注意を払って成形を行うようにしている。
(5)ところで、図5あるいは図6に示されるような樹脂モールドコイルを備えたモールド変圧器を配電設備に設置してモールドコイル1の巻線2を電源に接続し、高電圧(例えば特別高圧級の電圧)を印加すると、巻線2を包囲しているモールド層3や、図6におけるモールド層3の内,外周側のフィルム状絶縁材6,7が帯電し、その外表面が高圧巻線2の電位に近い電位に充電されるため、このままではモールド層3やフィルム状絶縁材6,7(特に外周側のフィルム状絶縁材7)に誤って手を触れたりすると感電の危険がある。また、モールド変圧器をキュービクル配電盤内に収容して設置する場合でも、変圧器に組み付けたモールドコイル1と盤内の接地構造物との間を十分に引き離して必要な気中絶縁距離を確保する必要がある。
そこで、前記した気中絶縁距離の低減化、および感電防止に対する安全性向上を図る対策として、モールドコイル1の成形後に樹脂モールド層3の表面に導電性塗料を塗布する、あるいは溶融金属を溶射するなどの処理を施して大地に接地して接地電位のシールド層を成層したモールド変圧器の樹脂モールドコイルが知られており(例えば、特許文献1参照)、その模式的な構造を図8に示す。図8において、10が固体絶縁成形体におけるモールド層3の外表面に成層した接地電位におかれた静電シールド層(以下、"外表面シールド層"と呼称する)であり、モールド変圧器のモールドコイルではこの外表面シールド層10をモールド層3の表面全域に形成している。
また、モールド変圧器とは別に、例えばGIS(ガス絶縁開閉装置)などにおける断路部の電極,高圧導体を絶縁支持する樹脂モールド形のブッシング、絶縁スペーサについても、棒状の電極,導体を包囲したモールド樹脂層内の表面近くに接地電位のシールド部材を埋設して電界緩和を図るように構成したものが従来から実施されている。この埋め込みタイプのシールド部材は、細い金属素線で編んだ金網,あるいはエキスバンドメタルなどの比較的可撓性の大きなメッシュ状の導電シートを筒状に巻いて前記ブッシング,スペーサのモールド樹脂層内にインサート成形することにより形成する。これにより、金属と成形樹脂との熱膨張差に起因する熱応力が加わった場合でもこれに対応して前記のメッシュ状導電シートが柔軟に変形し、埋め込みシールド部材とモールド樹脂層との界面が剥離して部分放電の原因となる空隙が発生するのを防ぐようにしている。
特開平8−264347号公報
前記モールド変圧器のモールドコイルおける、図8のように固体絶縁成形体におけるモールド層3の表面に導電処理を施して形成した外表面シールド層10は、通常の塗装,金属溶射手段を用いることで外表面シールド層10を安価に形成できる反面、信頼性,シールド機能の面で次記のような課題がある。
すなわち、上述の図7を用いて例示したモールド工法によりモールドコイル1を作製する際に、通常は成形金型9の内面には離型剤を塗布して樹脂注型を行うようにしていることから、成形後にモールドコイル1の表面に付着している離型剤の除去処理が不十分であると、モールド層3の表面に成層した外表面シールド層10が変圧器の運転中に加わる熱的ストレスなどでモールド層3から剥離するおそれがある。
また、前記のように真空成形法を採用した場合でも、樹脂モールド層3の表面には表面ボイドと呼ばれる小さな凹凸面が生じることが多い。このために、モールド層3の表面に塗装などにより成層した外表面シールド層10の導電層が前記表面ボイドの凹部を埋めると、この部分が巻線2に対向する導電突起物となってここに電界集中が生じて部分放電が発生し易くなる。
かかる点、GISなどの機器に採用されている先記の埋め込みシールド部材(金網,あるいはエキスバンドメタルなどのメッシュ状金属シート)を応用してモールド変圧器のモールドコイルに適用すれば、前記した外表面シールド層10のようにモールド層3に生じた表面ボイドの影響を受けることなしに、モールド層3の表面近くの層内に接地電位のシールドを布設することが可能であるが、この埋め込みタイプのシールド部材を変圧器のモールドコイルに適用してその樹脂モールド層内の表面近くに布設して一体成形するには、モールドコイルの製作、および機能面で次記のような問題点がある。
すなわち、変圧器のモールドコイルは、GISに組み付ける小形な棒状電極,導体とは異なり外形形状が円筒形で、しかもそのコイル高さが1mを超える大形構造物である。したがって、図9で示すように巻線2の各巻線ブロック2aを包含してその周囲に絶縁樹脂を一体成形した固体絶縁成形体における樹脂モールド層3の層内の表面近くに接地電位のシールド部材(以下、"埋め込みシールド"と呼称する)11を布設するには、あらかじめ金網,エキスバンドメタルなどで作られたメッシュ状の導電シートで巻線2の外形を包囲するようにドーナツ形のケージを組み上げておき、これを巻線2の周囲を囲んで図7に示した成形金型9の中にセットした状態で樹脂注型を行うことになる。
ところで、剛性が低く可撓性の大きな線径1mm以下の細いワイヤで編んだ金網などで形成したメッシュ状の導電シートは、変形しやすいため、これで巻線2の周囲を取り囲む大形なドーナツ状のケージを組み立てる作業、およびこの大形のケージを成形金型内にセットして樹脂注型を行う作業が極めて難しくなる。そこで、前記のメッシュ状の導電シートをあらかじめ巻線2の内周,外周面側、および上面,下面側の各面域に分けて裁断しておき、これら部材を巻線2と一緒に図7に示した成形金型9の中に順に組み付け、その相互間を繋ぎ合わせてドーナツ状ケージのシールド部材を組み上げる工法を採ることになる。
しかしながら、このような分割工法でケージ状に組み上げたシールド部材は、当然のことながら内外周,上下側の各シート面の間に継ぎ目ができ、しかもこの継ぎ目には金網,エキスバンドメタルの素線がモールド層内へ針状に突き出すことになる。このために、成形後のモールドコイルに高電圧を印加すると、埋め込みシールドの継ぎ目箇所に突き出した金属素線の先端に電界が集中し、これが基で樹脂モールド層内に部分放電が生じて絶縁性能が低下するほか、この部分放電に曝されて樹脂モールド層を劣化させる原因となる。
そのほか、前記の外表面シールド層10,および埋め込みシールド11を円筒形の樹脂モールド層3の周面全域に隈なく形成,配置すると、このままでは変圧器の鉄心を通る主磁束に対してシールドがワンターンを形成してシールドに短絡電流(誘導電流)が流れてしまう。そこで、外表面シールド層10,ないし埋め込みシールド11には、その周方向の途中箇所を分断してワンターンを形成しないようにする必要があるが、シールド部材にこのような分断箇所があると通電時にこの分断箇所の隙間から電気力線が樹脂モールド層の表面側に漏れてシールド機能が損なわれるほか、この分断箇所の両端縁が鋭利なエッジとなって電界集中の発生を引き起こす原因となる。
そのほか、図5(b),図6(b)で示すように、巻線2のリード線2-1の引出しに対応してモールド層3の周面から側方に突き出たブッシング部3aに対し、その表面の全域に導電処理を施して先記の外表面シールド層10と同様な接地電位のシールド層を形成したとすると、ブッシング部3aの先端側で外表面シールド層の端部に電界が集中して沿面放電が発生し易くなる。
また、この沿面放電の発生を避けるために、巻線2を包囲した前記の埋め込みシールド11と同様なシールド部材をブッシング部3aの層内に布設することも可能であるが、この場合には前記モールド層3から突き出すブッシング部3aの根元形状に合わせて金網,エキスバンドメタルなどのメッシュ状導電シートを3次元の形状に曲げ加工する必要があってその工作が厄介である。さらに、巻線2のリード線2-1をブッシング部3aに引き出すには、巻線2の外周面側を覆う埋め込みシールド11(図9参照)に部分的な開口部を切り開いた上で、ブッシング部3aの周面側に埋設した前記埋め込みシールドの根元部分との間を継ぎ合わせて電気的に導通させることになるが、この埋め込みシールド相互間の継ぎ目には先記したようにメッシュ状導電シートの金属素線の突き出しが生じるために、この突き出し部分に電界が集中して絶縁性能を低下させる懸念がある。
この発明は上記の点に鑑みなされたものであり、先記した埋め込みシールド,外表面シールド層の両者を巧みに組み合わせることにより、前記課題を解決して、巻線を包囲して絶縁樹脂を一体にモールド成形してなる固体絶縁成形体の表面側にシールド機能,信頼性の高い接地電位のシールド(以下"接地シールド"と呼称する)を簡易な工法で形成できるように改良した樹脂モールドコイルを提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、この発明によれば、モールド変圧器などの静止誘導機器に適用する高電圧定格の樹脂モールド形コイルで、その巻線を包囲して絶縁樹脂を一体にモールド成形して固体絶縁成形体を形成し、かつこの固体絶縁成形体を囲ってその表面側に接地シールドを設けたものにおいて、
前記接地シールドを、外形を略円筒形にした前記固体絶縁成形体の上下端面を除く内周面と外周面の面域を覆って該固体絶縁成形体における絶縁層内の表面近くに埋設した埋め込みシールドと、前記固体絶縁成形体の上下端面を覆って前記埋め込みシールドの上下端部とオーバーラップする面域における絶縁層の外表面に成層した外表面シールド層とを組み合わせて形成し(請求項1)、この接地シートは具体的に次記のような態様で形成するものとする。
(1)請求項1において、固体絶縁成形体の内周面および外周面の面域を覆って該固体絶縁成形体における絶縁層内の表面近くに埋布設した埋め込みシールドをその周方向に分断した上で、この分断箇所の面域を覆って固体絶縁成形体の内外周面に外表面シールド層を形成する(請求項2)。
(2)略円筒形になる固体絶縁成形体と一体に、その周面から側方に突き出して巻線のリード線を引出すブッシング部を絶縁樹脂にてモールド成形した上で、該ブッシング部に対応する接地シールドを、ブッシング部の長手方向に沿ってその周面域を取り巻くように絶縁層内の表面近くに埋設した埋め込みシールドと、ブッシング部の根元側周域を前記固体絶縁成形体の外周面域からブッシング部の外周面域まで連続して覆って絶縁層の外表面に成層した外表面シールド層とで形成する(請求項3)。
(3)前記構成の樹脂モールドコイルにおいて、埋め込みシールドが金網,エキスバンドメタルなどで作られた低剛性のメッシュ状導電シートであり、該メッシュ状導電シートを巻線と組み合わせて成形金型内にセットし、この金型に樹脂を注型して絶縁層内の表面近くに埋設する(請求項3)。
上記のように、埋め込みシールドと表面シールド層を組み合わせて固体絶縁成形体からなるモールドコイルの表面側に接地シールドを構成したこの発明の構成によれば、埋め込みシールド,もしくは表面シールド層のいずれか一方を単独採用して構成した接地シールドの場合に問題となる課題を補完してシールド機能の向上、固体絶縁成形体内の部分放電発生を効果的に抑制して信頼性の高い樹脂モールド形コイルを作製することができる。
特に、外形が略円筒形になる固体絶縁成形体の上下端面を除く内周面と外周面の面域に埋め込みシールドを布設し、固体絶縁成形体の上下端面には外表面シールド層を被覆形成した構成(請求項2)によれば、埋め込みシールドをあらかじめケージ状に組み上げる必要がなく、埋め込みシールドの部材を内周面側,外周面側に分けて成形金型の内部にセットすることで樹脂注型が行え、これにより簡易なモールド工法で対応できる。
また、固体絶縁成形体の内,外周面の面域を覆って該固体絶縁成形体における絶縁層内の表面近くに埋設した埋め込みシールドがワンターンを形成しないようにその周面を分断した上で、この分断箇所の面域を覆って固体絶縁成形体の内外周面に外表面シールド層を形成した構成(請求項3)によれば、埋め込みシールドの分断箇所からの電気力線の漏れ,電界集中の発生を効果的に防止できる。しかも、この外表面シールド層は局部的な面域に限定して形成するので、固体絶縁成形体における絶縁層の表面ボイドの影響も殆ど受けずに済む。
さらに、略円筒形の固体絶縁成形体に一体成形したブッシング部に対して、その周面域を取り巻くように絶縁層内の表面近くに埋設した埋め込みシールドと、ブッシング部の根元側周辺面域を覆って絶縁層の外表面に成層した外表面シールド層とで接地シールドを形成した構成(請求項4)により、簡易な工法でシールド機能,信頼性の高いブッシング部の接地シールドを形成することができる。
この発明の実施例による樹脂モールドコイルの構成例における接地シールド構造を表す模式斜視図である。 この発明の実施例による樹脂モールドコイルの異なる構成例における詳細構造および作製方法を示す説明図であって、(a),(b),(c)はそれぞれ成形金型に巻線,埋め込みシールド部材をセットした注型前の状態、注型後に金型を外した状態、および固体絶縁成形体の上下端面に外表面シールド層を被覆形成した状態を表す縦断面図である。 図1に示したモールドコイルの模式横断面図である。 図1に示したモールドコイルにおける略円筒形の固体絶縁成形体と一体に設けたブッシング部の接地シールド構造を表す模式断面図である。 モールド変圧器に適用する従来の樹脂モールドコイルの構成例を示す略示構造図であって、(a)は外形斜視図、(b)は(a)の縦断面図である。 モールド変圧器に適用する従来の樹脂モールドコイルの異なる構成例を示す具体構造図であって、(a)は縦断面図、(b)は横断面図である。 図6に示したモールドコイルの作製方法の説明図であって、成形金型に巻線をセットした樹脂注型前の状態を表す断面図である。 図5のモールドコイルの接地シールドとして、樹脂モールド層に外表面シールド層を単独形成したモールドコイルの模式図である。 図5のモールドコイルの接地シールドとして、樹脂モールド層内に埋め込みシールドを単独形成したモールドコイルの模式図である。
以下、この発明による接地シールド付きモールドコイルの実施の形態を図1〜図4に示す実施例に基づいて説明する。なお、この発明は、下記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施することができるものである。
(1)この発明の実施例による樹脂モールドコイルの構成例:
(イ)図1は、この発明の実施例による樹脂モールドコイルの構成例における接地シールド構造を表す模式斜視図であり、図1の構成例は、モールドコイルの固体絶縁成形体において埋め込みシールドより表面側に位置する最表層の絶縁層を「厚さの薄いモールド層」としたものである。
まず、図1において、モールドコイル1は、の巻線2を包含してその周囲にエポキシ樹脂などの絶縁樹脂を一体にモールド成形した、固体絶縁成形体として形成されたものである。この固体絶縁成形体に対して、図示実施例の接地シールド構造は、外形が略円筒形になる固体絶縁成形体の内周面および外周面の面域を覆って固体絶縁成形体における絶縁層であるモールド層3内の表面近くに埋設した埋め込みシールド11と、固体絶縁成形体におけるモールド層3の上下端面を覆って前記埋め込みシールド11の端部とオーバーラップする面域に被覆形成した外表面シールド層10とを組み合わせて接地シールドを構成している。
ここで、外表面シールド層10は、先記のように導電性塗料,あるいは溶融金属を溶射するなどして固体絶縁成形体におけるモールド層3の表面に形成される。一方、埋め込みシールド11は、細い金属素線で編んだ金網,あるいはエキスバンドメタルなどで作られた低剛性のメッシュ状導電シートであり、あらかじめモールドコイル1の高さに裁断して内周面側,および外周面側の埋め込みシールド11に適用するメッシュ状の導電シートを用意し、次記のようにモールドコイル1の注型工程で固体絶縁成形体におけるモールド層3の層内の表面近くに埋設して形成される。
(ロ)図1の構成例におけるモールドコイルの詳細構造および作製方法:
図2は、後述の、モールドコイルの固体絶縁成形体において埋め込みシールドより表面側に位置する最表層の絶縁層を「フィルム状絶縁材」とした構成例における詳細構造および作製方法を示す図であるが、この図2を準用して、図1の構成例におけるモールドコイルの詳細構造および作製方法の一例を説明する。ここで、図2の(a),(b),(c)はそれぞれ成形金型に巻線,埋め込みシールド部材をセットした注型前の状態、注型後に金型を外した状態、および固体絶縁成形体の上下端面に外表面シールド層を被覆形成した状態を表す縦断面図である。なお、図1の構成例におけるモールドコイルの詳細構造および作製方法は下記構成に限定されるものではない。
固体絶縁成形体において埋め込みシールドより表面側に位置する最表層の絶縁層を「厚さの薄いモールド層」とした構成例である図1のモールドコイルを製作する具体的なモールド工法としては、例えば図2において、フィルム状絶縁材6,7の代わりに、最表層のモールド層の厚さに対応したコイル半径方向寸法を有する(図示されない)間隔保持スペーサ(モールド層3の注型樹脂と同じ材質の樹脂製)を用いる。ここで、間隔保持スペーサは、上述の図6(b)に示した絶縁支持スペーサ5の配置と同様に、複数個のものを周上に等間隔に分散配置するものであって、絶縁支持スペーサ5と同様な絶縁材料からなるとともに類似の横断面形状を備えたものを適用することができ、そのコイル半径方向寸法は上記のように最表層のモールド層の厚さに対応したものとする。なお、間隔保持スペーサのコイル軸方向の形状は、固体絶縁成形体の軸方向の全長に渡って延在した形状としてもよく、絶縁支持スペーサ5と同様に各巻線ブロック2bの軸方向寸法に合わせた形状としてもよい。
そして、成形金型9の内径側金型9aの周面上に(内周側のフィルム状絶縁材6の代わりに)間隔保持スペーサを複数個周上等間隔に分散配置して組み付けた上に、メッシュ状導電シートからなる内周面側の埋め込みシールド11を巻き付けた上で、その周面上に(複数個周上等間隔に分散配置される)内周側の絶縁支持スペーサ5,巻線ブロック2a,(複数個周上等間隔に分散配置される)外周側の絶縁支持スペーサ5を順に重ね合わせて組み付ける。さらに、その外周側にメッシュ状導電シートからなる外周面側の埋め込みシールド11を巻き付けた上で,その周面上に(外周側のフィルム状絶縁材7の代わりに)間隔保持スペーサを複数個周上等間隔に分散配置して組み付けた上で成形金型9を型締めする。この型締めした状態は、図2(a)において「内,外周側のフィルム状絶縁材6,7」をそれぞれ「内,外周側の間隔保持スペーサ」に置き換えたものである。
上記のように型締めした状態で成形金型9にエポキシ樹脂などを注型し、樹脂の硬化後に金型9を外して固体絶縁成形体としてモールド成形されたモールドコイルを得る。このようにして得られた固体絶縁成形体の構成は、図2(b)において「内,外周側のフィルム状絶縁材6,7」をそれぞれ「内,外周側の間隔保持スペーサ」に置き換えたものである。ここで、図2における「内,外周側のフィルム状絶縁材6,7」とは異なり、「内,外周側の間隔保持スペーサ」は、複数個のものが周上に等間隔に分散配置されているため、周方向に隣接する「間隔保持スペーサ」同士間の領域には注型樹脂が充填されてモールド成形された状態となっている。そして、「内,外周側の間隔保持スペーサ」の横断面形状が、上述の図6(b)で示されている絶縁支持スペーサ5の横断面形状と同様に、内,外周側に向う先端部形状の曲率半径がモールドコイルの内,外周面の各曲率半径より小さい形状とされていれば、固体絶縁成形体の内,外周面のほぼ全周域にわたって埋め込みシールド11より表面側の最表層に「厚さの薄いモールド層」が形成された構造となる。
次に、固体絶縁成形体におけるモールド層3の上下端面を覆って埋め込みシールド11の上下端部の周面とオーバーラップするような面域に外表面シールド層10を被覆形成し、これで「接地シールド付きのモールドコイル」が完成する。このようにして完成した「接地シールド付きのモールドコイル」は、図2(c)において「内,外周側のフィルム状絶縁材6,7」をそれぞれ「内,外周側の間隔保持スペーサ」に置き換えたものであり、固体絶縁成形体の内,外周面のほぼ全周域にわたって埋め込みシールド11より表面側の最表層に「厚さの薄いモールド層」が形成された構造となっている。
なお、上述した「間隔保持スペーサ」は、「フィルム状絶縁材」の代わりに最表層の絶縁層となる「厚さの薄いモールド層」が形成されるように、注型工程において内,外径側金型9a,9bと内,外周面側の埋め込みシールド11,11との各間隔を確保するための部材である。この点において、内径側金型9aにモールドコイルの各構成部材を組み付けた状態での外周面側の埋め込みシールド11の金型中心軸に対する偏心、および、外径側金型9bの金型中心軸に対する偏心を十分に小さく抑えることができる場合には、巻き付けられた状態の外周面側の埋め込みシールド11の外径よりも所定寸法だけ内径の大きい外径側金型9bを用いることにより、外周側の「厚さの薄いモールド層」を形成するための間隔を確保することができるので、外周側の「間隔保持スペーサ」を省略することができる。
また、上述のように外表面シールド層10を被覆形成する前に、固体絶縁成形体における外表面シールド層10の被覆形成領域となるモールド層3の表面にサンディングなどの処理を施して離型剤を十分に除去しておく。また、埋め込みシールド11にはあらかじめ接地用のリード線を接続して層外に引き出しておき、外表面シールド層10とともに接地するようにする。
(2)この発明の実施例による樹脂モールドコイルの異なる構成例:
(イ)上述の図1の構成例は、モールドコイルの固体絶縁成形体において埋め込みシールドより表面側に位置する最表層の絶縁層を「厚さの薄いモールド層」としたものであるが、固体絶縁成形体における絶縁層の構成としては、固体絶縁成形体において埋め込みシールドより表面側に位置する最表層の絶縁層を「フィルム状絶縁材」とすることもできる。
図2は、この発明の実施例による樹脂モールドコイルの異なる構成例における詳細構造および作製方法を示す説明図であり、図2の構成例は、モールドコイルの固体絶縁成形体において埋め込みシールドより表面側に位置する最表層の絶縁層を「フィルム状絶縁材」としたものである。ここで、図2の(a),(b),(c)はそれぞれ成形金型に巻線,埋め込みシールド部材をセットした注型前の状態、注型後に金型を外した状態、および固体絶縁成形体の上下端面に外表面シールド層を被覆形成した状態を表す縦断面図である。
そして、図2の構成例は、図2(c)に示されているように、モールドコイルの固体絶縁成形体において、「内,外周側の埋め込みシールド11」より表面側に位置する最表層の絶縁層をそれぞれ「内,外周側のフィルム状絶縁材6,7」としたものであり、この「内,外周側のフィルム状絶縁材6,7」は、図6(b)で示したフィルム状絶縁材6,7と同様に、固体絶縁成形体の内,外周面の全周域を覆うように配設されている。なお、図2の構成例は、上述のように最表層の絶縁層の構成が図1の構成例と異なるが、モールドコイルの外観構造は図1の構成例と同様なものとなる。
(ロ)図2の構成例におけるモールドコイルの詳細構造および作製方法:
次に、上記モールドコイル1の詳細構造,および作製方法を図2で説明する。なお、図2の構成例におけるモールドコイルの詳細構造および作製方法は下記構成に限定されるものではない。
まず、図2(a)において、従来のモールド工程で用いた成形金型(図7参照)と同様な成形金型9の内径側金型9aを巻枠として、その周面にフィルム状の絶縁材(例えばガラステープ)6,および前記のメッシュ状導電シートからなる内周面側の埋め込みシールド11を順に巻き付けた上で、その周面上に(複数個周上等間隔に分散配置される)内周側の絶縁支持スペーサ5,巻線ブロック2a,(複数個周上等間隔に分散配置される)外周側の絶縁支持スペーサ5を順に重ね合わせて組み付ける。さらに、その外周側にメッシュ状導電シートからなるで外周面側の埋め込みシールド11,および外周側のフィルム状絶縁材7を順に巻き付けた上で成形金型9を型締めし、この状態で成形金型9にエポキシ樹脂などを注型し、樹脂の硬化後に金型9を外して図2(b)に示した状態の固体絶縁成形体としてモールド成形されたモールドコイルを得る。次に、図2(c)で示すように、固体絶縁成形体におけるモールド層3の上下端面を覆って前記埋め込みシールド11の上下端部の周面とオーバーラップするような面域に外表面シールド層10を被覆形成し、これで「接地シールド付きのモールドコイル」が完成する。なお、外表面シールド層10を被覆形成する前に、固体絶縁成形体における外表面シールド層10の被覆形成領域となる,モールド層3の表面と,内周側のフィルム状絶縁材6および外周側のフィルム状絶縁材7の軸方向両端の近傍領域の表面とにサンディングなどの処理を施して離型剤を十分に除去しておく。また、埋め込みシールド11にはあらかじめ接地用のリード線を接続して層外に引き出しておき、外表面シールド層10とともに接地するようにしている。
(3)上記の図1および図2の各構成例で説明したように、内,外周面側の埋め込みシールド11と、上下端面の外表面シールド層10を組み合わせて固体絶縁成形体の表面側に接地シールドを形成することにより、高圧巻線2は略完全に接地シールドで包囲されることになる。
なお、この場合に固体絶縁成形体の内外周面近くに埋設した埋め込みシールド11は、その上下両端にメッシュ状導電シートの素線先端が固体絶縁成形体のモールド層3内に突き出ているが、その外周側に近接して同じ接地電位の外表面シールド層10が対向しているので、この部分に電界集中,部分放電の発生することが抑止される。しかも、固体絶縁成形体に対して埋め込みシールド11は、2枚のメッシュ状導電シートを内外の周面側に布設するだけでよく、先記のように巻線2の周囲を取り囲むトンネル状のケージに組み上げる必要がないので、図2(a)で述べたように成形金型9へのセットも簡易な工法で対応できる。
一方、固体絶縁成形体の上下端面に形成した外表面シールド層10についても、巻線2との間の距離が離れていて電気力線の大半は内,外周面側の埋め込みシールド11に向かうので、固体絶縁成形体におけるモールド層3の上下端面に表面ボイドが生じていてもその近傍の電界は低くなり、外表面シールド層10に対する電界集中の影響は殆ど生じない。
また、モールドコイル1の詳細構造として特に上述の図2の構成例を適用した場合、モールドコイル1は、埋め込みシールド11の軸方向両端がモールド層3内に埋設されるように構成されているが、内周側のフィルム状絶縁材6および外周側のフィルム状絶縁材7の軸方向両端の近傍部分では、フィルム状絶縁材6の外周面およびフィルム状絶縁材7の内周面がそれぞれ直接モールド層3に接している。このため、フィルム状絶縁材6,7は、モールド層3の樹脂(エポキシ樹脂など)との良好な接着性を有するものとすることが好適である。この点に関し、フィルム状絶縁材6,7としては、例えば、表面を粗面化したフィルムや、ポリマー中での側鎖の形成を促すような処理を施したフィルムを適用することができ、また、ガラステープやノーメックス(デュポン社の登録商標)などの繊維質の部材を適用することもできる。ただし、フィルム状絶縁材6,7に適用される部材は上記の部材に限定されるものではなく、モールド層3の樹脂との良好な接着性を有するものであればよい。
(4)この発明の実施例におけるワンターン防止用分断部における接地シールド構造:
また、外形が略円筒形になる固体絶縁成形体の内周面および外周面の面域を覆って固体絶縁成形体における絶縁層内の表面近くに埋設した前記の埋め込みシールド11について、この実施例では図3で示すように周方向で埋め込みシールド11の両端縁を引き離してその間に分断部11aを形成した上で、その端縁にはコロナリングとして機能するR状のカール曲げ部11bを形成して端縁の電界集中を緩和させるようにしている。そして、前記分断部11aを外方から覆うように固体絶縁成形体の内外周面上には外表面シールド層12を被覆形成している。
この分断構造により、埋め込みシールド11はワンターンを形成することがない。しかも、前記の分断部11aを外方から覆う外表面シールド層12、および分断部11aの両端に形成したカール曲げ部11bにより、電気力線の漏れ、電界集中を効果的に防ぐことができる。
なお、上記の図3は、モールドコイル1の詳細構造として上述の図1の構成例を適用した構成、すなわち、略円筒形の固体絶縁成形体において埋め込みシールド11より表面側に位置する最表層の絶縁層を「厚さの薄いモールド層」とした構成を示しているが、この代わりに、モールドコイル1の詳細構造として上述の図2の構成例を適用した構成、すなわち、略円筒形の固体絶縁成形体において埋め込みシールド11より表面側に位置する最表層の絶縁層を「フィルム状絶縁材」とした構成とすることもできる。
そして、モールドコイル1の詳細構造として特に上述の図2の構成例を適用した場合、モールドコイル1の内周側および外周側の最表層部材としてそれぞれフィルム状絶縁材6およびフィルム状絶縁材7が巻回されているため、前記の分断部11aにおいては、フィルム状絶縁材6の内周面が外表面シールド層12に接するとともに外周面が直接モールド層3に接しており、また、フィルム状絶縁材7の外周面が外表面シールド層12に接するとともに内周面が直接モールド層3に接している構成となる。このため、フィルム状絶縁材6,7として上述のようなモールド層3の樹脂との良好な接着性を有するものを用いている場合、前記の分断部11aにおいても、フィルム状絶縁材6,7とモールド層3の樹脂との良好な接着性が有効に機能する。
(5)この発明の実施例におけるブッシング部の接地シールド構造:
次に、巻線2のリード線2-1を外部に引き出すために略円筒形の固体絶縁成形体の樹脂モールド層3と一体成形して外周側方に突き出したブッシング部3aに対する接地シールド構造の実施例を図4に示す。なお、3bはブッシング部3aにインサート成形した棒状の端子導体である。そして、略円筒形の固体絶縁成形体の樹脂モールド層3に上記のブッシング部3aが一体に成形されていることにより、全体構成として「ブッシング部付きの固体絶縁成形体」が構成されている。
図4において、ブッシング部3aには、その長手方向に沿って根元側の範囲に端子導体3bを包囲して先記の埋め込みシールド11と同様なメッシュ状導電シートからなる埋め込みシールド13がブッシング部3aの樹脂モールド層内の表面近くに埋設されており、さらにこの埋め込みシールド13の根元側端部と,略円筒形の固体絶縁成形体におけるモールド層3の外周面側の表面近くに布埋設した埋め込みシールド11との間に跨がる面域には外表面シールド層14が被覆形成されている。なお、略円筒形の固体絶縁成形体におけるモールド層3の外周面側の表面近くに埋設した前記埋め込みシールド11には、ブッシング部3aに向けて引き出すリード線2−1との干渉をさけるために円形状の開口部11cが切欠き形成されており、その開口周縁には図3で述べたと同様にR状のカール曲げ部を形成して電界集中の発生を防ぐようにしている。この構成により、ブッシング部3aにおける電界集中の発生を効果的に防ぐことができる。
なお、上記の図4は、モールドコイル1の詳細構造として上述の図1の構成例を適用した構成、すなわち、略円筒形の固体絶縁成形体において埋め込みシールド11より表面側に位置する最表層の絶縁層を「厚さの薄いモールド層」とした構成を示しているが、この代わりに、モールドコイル1の詳細構造として上述の図2の構成例を適用した構成、すなわち、略円筒形の固体絶縁成形体において埋め込みシールド11より表面側に位置する最表層の絶縁層を「フィルム状絶縁材」とした構成とすることもできる。
(6)固体絶縁成形体における最表層の絶縁層について:
(イ)本発明の実施例では、上述のように、モールドコイルの固体絶縁成形体において埋め込みシールドより表面側に位置する最表層の絶縁層は、図1のような「厚さの薄いモールド層」および図2のような「フィルム状絶縁材」のいずれの構成であってもよい。そして、図2における「フィルム状絶縁材」として、例えばガラス布等の繊維質の基材に予め無機質の充填材を配合したエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を塗布含浸したのち半硬化状態としたプリプレグシートを用いてもよい。
(ロ)図2のように固体絶縁成形体における最表層の絶縁層を「フィルム状絶縁材」とした構成では、注型された樹脂モールドコイルの表面を平滑にすることができるという利点がある。すなわち、モールド工程で用いられるコイル内周側の金型(図2における内径側金型9a)は、樹脂の注型、硬化後に取り外し可能とするため、金型を内側に縮められる構造とされており、これにより、この金型の接続部分における継ぎ目に対応する形状がモールドコイル内周面の軸方向に残り、その部分に表面ボイドと呼ばれる窪みが形成され易いという問題がある。この点において、上記のような、固体絶縁成形体における最表層の絶縁層を「フィルム状絶縁材」とした構成は樹脂モールドコイルの外観を向上させるという点で好適である。
(ハ)なお、メッシュ状導電シートからなる埋め込みシールド11に注型樹脂が浸透することを考慮し、図2(c)において、フィルム状絶縁材6,7を設けないで,注型樹脂が浸透した状態の埋め込みシールド11が固体絶縁成形体の最表層部材となるようにしてもよい。なお、このような構成では、埋め込みシールド11のメッシュの一部が表面に露出した状態となる。このため、上述の図3のように、埋め込みシールド11によるワンターンコイルの形成を防止するために分断部11aを形成した上で、外表面シールド12を施す場合においては、例えば絶縁材料よりなる薄い塗膜を形成することなどにより上記メッシュの露出部分を絶縁する処理を行うようにする。
一方、上述の図4のような、巻線のリード線を外部に引き出すブッシング部3aに対する接地シールド構造では、ワンターンコイルの形成に対する防止処置が不要である。そして、表面に露出した埋め込みシールドのメッシュの一部が外表面シールドと電気的に一体化されるため、埋め込みシールドおよび外表面シールド層の接地電位への固定接続線が1本で済むという利点がある。
(ニ)また、上記(ロ)項で述べたように、モールドコイル内周面には、コイル内周側の金型の接続部分における継ぎ目に対応して表面ボイドが形成され易いが、モールドコイル内周面のうち、上記表面ボイドの生じ易い,金型の接続部分に対応する領域に限定して最表層部材としてフィルム状絶縁部材を設け、上記以外の領域では、上記(ハ)項で述べたように、フィルム状絶縁材を設けないで、注型樹脂が浸透した状態の埋め込みシールドを最表層部材とするようにしてもよい。
(7)この発明の適用対象について:
なお、前述の実施例にはモールド変圧器に適用する樹脂モールド形コイルについて述べたが、この発明によるモールドコイルの接地シールド構造は、変圧器以外のモールド形の計器用変圧器(PT,CT),電力用リアクトルなどの静止誘導機器にも同様に実施適用することができる。
1:モールドコイル
2:巻線(高圧巻線)
2a:巻線ブロック
2-1:リード線
3:モールド層
3a:ブッシング部
5:絶縁支持スペーサ
9:成形金型
10,12,14:外表面シールド層
11,13:埋め込みシールド
11a:埋め込みシールドの分割部

Claims (4)

  1. モールド変圧器などの静止誘導機器に適用する樹脂モールドコイルであって、その巻線を包囲して絶縁樹脂を一体にモールド成形して固体絶縁成形体を形成し、かつこの固体絶縁成形体を囲ってその表面側に接地シールドを設けたものにおいて、
    前記接地シールドを、外形を略円筒形にした前記固体絶縁成形体の上下端面を除く内周面と外周面の面域を覆って該固体絶縁成形体における絶縁層内の表面近くに埋設した埋め込みシールドと、前記固体絶縁成形体の上下端面を覆って前記埋め込みシールドの上下端部とオーバーラップする面域における絶縁層の外表面に成層した外表面シールド層とを組み合わせて形成したことを特徴とする樹脂モールドコイル。
  2. 請求項1に記載の樹脂モールドコイルにおいて、固体絶縁成形体の内周面および外周面の面域を覆って該固体絶縁成形体における絶縁層内の表面近くに埋布設した埋め込みシールドをその周方向に分断した上で、この分断箇所の面域を覆って固体絶縁成形体の内外周面に外表面シールド層を形成したことを特徴とする樹脂モールドコイル。
  3. 請求項1または2のいずれかの項に記載の樹脂モールドコイルにおいて、略円筒形になる固体絶縁成形体に連ねて、その周面から側方に突き出して巻線のリード線を引出すブッシング部を絶縁樹脂にて一体にモールド成形した上で、該ブッシング部に対応する接地シールドを、ブッシング部の長手方向に沿ってその周面域を取り巻くように絶縁層内の表面近くに埋設した埋め込みシールドと、ブッシング部の根元側周域を前記固体絶縁成形体の外周面域からブッシング部の外周面域まで連続して覆って絶縁層の外表面に成層した外表面シールド層とで形成したことを特徴とする樹脂モールドコイル。
  4. 請求項1ないしのいずれかの項に記載の樹脂モールドコイルにおいて、埋め込みシールドが低剛性のメッシュ状導電シートであり、該導電シートを巻線と組み合わせて成形金型内にセットし、この金型に樹脂を注型して絶縁層内の表面近くに埋設したことを特徴とする樹脂モールドコイル。
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