本発明のミアンダラインアンテナは、無線タグ通信装置から送信される質問波からエネルギを得てその無線タグ通信装置との間で通信を行う、内的な電力供給源を含まない所謂パッシブタグ(passive tag)に好適に適用されるものであるが、内的な電力供給源を含む所謂アクティブタグ(active tag)にも本発明は好適に適用されるものである。
前記部分ミアンダ部の突出長さ寸法は、アンテナの設計に応じて適宜定められるものであるが、例えばミアンダラインアンテナの幅方向寸法の0.12〜0.6倍程度とされることが好ましい。また、好適には、前記給電点を中心とする長手方向に1対の前記部分ミアンダ部が設けられるものであるが、何れか一方にのみ設けられるものであってもよく、更にそれら1対の部分ミアンダ部それぞれの突出長さ寸法が異なるものであってもよい。
また、前記対向部分ミアンダ部の突出長さ寸法は、アンテナの設計に応じて適宜定められるものであるが、例えばミアンダラインアンテナの幅方向寸法の0〜0.7倍程度とされることが好ましい。また、好適には、前記給電点を中心とする長手方向に1対の前記対向部分ミアンダ部が設けられるものであるが、何れか一方にのみ設けられるものであってもよく、更にそれら1対の対向部分ミアンダ部それぞれの突出長さ寸法が異なるものであってもよい。
また、前記対向部分ミアンダ部は、好適には、前記部分ミアンダ部と相対向するように、アンテナの長手方向における同位置に設けられるものであるが、互い違いになるようにアンテナの長手方向における異なる位置に設けられるものであってもよい。
図1は、本発明の一実施例であるアンテナを備えた無線タグ12との間で情報の通信を行う無線タグ通信システム10を例示する図である。この無線タグ通信システム10は、本発明の一実施例である単数乃至は複数(図1では単数)の無線タグ12と、その無線タグ12との間で無線にて情報の通信を行うための無線タグ通信装置14とから構成される所謂RFID(Radio Frequency Identification)システムであり、上記無線タグ12はそのRFIDシステムの応答器として、上記無線タグ通信装置14は質問器としてそれぞれ機能する。すなわち、上記無線タグ通信装置14から質問波Fc(送信信号)が上記無線タグ12に向けて送信されると、その質問波Fcを受信した上記無線タグ12において所定の情報信号(データ)によりその質問波Fcが変調され、応答波Fr(返信信号)として上記無線タグ通信装置14に向けて返信される。そして、その応答波Frが上記無線タグ通信装置14により受信されることで、上記無線タグ12と無線タグ通信装置14との間で非接触による情報の通信が行われ、その無線タグ12に対する情報の読み出し及び/又は書き込みが実行される。
図2は、上記無線タグ通信装置14の構成を例示する図である。この無線タグ通信装置14は、上記無線タグ12に対する情報の読み出し及び書き込みの少なくとも一方を実行するためにその無線タグ12との間で情報の通信を行うものであり、図2に示すように、上記無線タグ12との通信に係る送信データをディジタル信号として出力したり、その無線タグ12からの返信信号を復号する等のディジタル信号処理を実行するDSP(Digital Signal Processor)16と、上記質問波Fcの搬送波に相当する所定の周波数信号を出力する搬送波出力部18と、上記DSP16により出力された送信データをアナログ信号に変換する送信D/A変換部20と、その送信D/A変換部20によりアナログ信号に変換された送信データで上記搬送波出力部18から出力される搬送波信号を変調(振幅変調)する送信ミキサ22と、その送信ミキサ22から出力される信号を増幅する送信アンプ24と、その送信アンプ24から出力される信号を質問波Fcとして上記無線タグ12に向けて送信すると共に、その質問波Fcに応じて無線タグ12から返信される応答波Frを受信する送受信アンテナ26と、上記送信アンプ24により増幅された信号を上記送受信アンテナ26に供給すると共に、その送受信アンテナ26により受信された受信信号を受信ミキサ30に供給する送受信分離部28と、上記送受信アンテナ26により受信されてその送受信分離部28を介して供給される受信信号と上記搬送波出力部18から出力される搬送波信号とを乗算し、フィルタにより高周波成分を除去することによりホモダイン検波或いは直交検波する受信ミキサ30と、その受信ミキサ30から出力される信号を増幅する受信アンプ32と、その受信アンプ32からの出力をディジタル信号に変換して上記DSP16に供給する受信A/D変換部34とを、備えて構成されている。ここで、上記送受信分離部28としては、サーキュレータ若しくは方向性結合器等が好適に用いられる。また、必要に応じて、上記送受分離部28と受信ミキサ30の間に受信信号を増幅する低雑音増幅器等を設けてもよい。
上記DSP16は、CPU、ROM、及びRAM等を備え、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う所謂マイクロコンピュータシステムであり、上記送信D/A変換部20及び受信A/D変換部34のサンプリング周波数を出力させるサンプリング周波数出力部36と、前記無線タグ12との通信に係る送信データに対応するコマンドビット列を生成する送信ビット列生成部38と、その送信ビット列生成部38から出力されたディジタル信号をパルス幅変調方式等により符号化して上記送信D/A変換部20へ供給する符号化部40と、上記受信A/D変換部34から供給される信号(復調波)をFM方式等により復号する復号部42と、その復号部42により復号された復号信号を解釈して前記無線タグ12の変調に関する情報信号を読み出す返答ビット列解釈部44とを、機能的に備えている。
図3は、前記無線タグ12に備えられた無線タグ回路素子50の構成を説明する図である。この図3に示すように、斯かる無線タグ回路素子50は、本発明の一実施例であるアンテナ52と、そのアンテナ52に接続された回路部であり、前記無線タグ通信装置14から送信されて上記アンテナ52により受信された信号を処理するためのIC回路部54とを、備えて構成されている。そのIC回路部54は、上記アンテナ52により受信された前記無線タグ通信装置14からの質問波Fcを整流する整流部56と、その整流部56により整流された質問波Fcのエネルギを蓄積するための電源部58と、上記アンテナ52により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部66に供給するクロック抽出部60と、所定の情報信号を記憶し得る記憶部として機能するメモリ部62と、上記アンテナ52に接続されて信号の変調及び復調を行う変復調部64と、上記整流部56、クロック抽出部60、及び変復調部64等を介して上記無線タグ回路素子50の作動を制御するための制御部66とを、機能的に含んでいる。この制御部66は、前記無線タグ通信装置14と通信を行うことにより上記メモリ部62に上記所定の情報を記憶する制御や、上記アンテナ52により受信された質問波Fcを上記変復調部64において上記メモリ部62に記憶された情報信号に基づいて変調したうえで応答波Frとして上記アンテナ52から反射返信する制御等の基本的な制御を実行する。
上述したような無線タグ回路素子50では一般に、インピーダンスRc+jXcで回路部はXcが負、アンテナはこれと複素共役な抵抗成分がRcと同じでリアクタンス成分がXcとは符号が逆の正となるインピーダンスを持たせる必要がある。図4は、前記IC回路部54における9種類の代表的なチップインピーダンスRc+jXcに対してそれぞれVSWR(Voltage Standing Wave Ratio:電圧定在波比)が2以下となるアンテナ入力インピーダンス範囲を示すスミスチャートであり、虚部Xc=−100に対応する範囲を実線で、Xc=−60に対応する範囲を破線で、Xc=−140に対応する範囲を一点鎖線でそれぞれ示している。この図4に示すように、VSWRが2以下となるアンテナ入力インピーダンス範囲は、チップインピーダンスRc+jXcの複素共役となるインピーダンスを含む円となり、前記IC回路部54のチップインピーダンスに応じてそれぞれ異なる。例えば、前記無線タグ通信システム10に用いられる無線タグ12(IC回路部54)に関しては、点Aで示す50+j50近傍が実用の値として用いられる場合、その近傍にVSWRが2以下(すなわち反射係数|S11|が9.54dB以下)となるアンテナ入力インピーダンス範囲がくるように前記アンテナ52を設計することが望まれる。ここで、例えば図8に示すようなアンテナ入力インピーダンスを示すスミスチャートにおいて、図4に示す各アンテナ入力インピーダンス範囲を示す円と重なる部分(円の中に入る部分)が長いほど、円と重なるアンテナ入力インピーダンス軌跡に対応する周波数範囲が広くなるので、そのチップインピーダンスである前記IC回路部54の入力インピーダンスにアンテナ入力インピーダンスがマッチングできる周波数帯域が広くなる。すなわち、図8に示すような周波数を変化させたときのアンテナ入力インピーダンスを示すインピーダンス軌跡において、ループ(小巻円)様になっている部分が図4に示すアンテナ入力インピーダンス範囲を示す円の中に入る場合、単にインピーダンス軌跡が図4に示すアンテナ入力インピーダンス範囲を示す円を横切るだけの場合と比べて、そのチップインピーダンスを持つ前記IC回路部54にアンテナ入力インピーダンスがインピーダンスマッチングできる周波数帯域が可及的に広くなる。これを前提として、以下、本発明の実施例であるアンテナ52がとり得る種々の態様を、図面に基づいて詳しく説明する。
図5は、前記アンテナ52の一態様である複共振ミアンダラインアンテナ70の構成を説明する平面図である。また、図6は、図5に示すミアンダラインアンテナ70が設けられた前記無線タグ12の一例を示す平面図であり、図7は、図6に示す無線タグ12を矢印VIIの方向に視た正面図である。図6及び図7に示すように、前記無線タグ12は、1対のフィルム状部材(平板状部材)である基材46及びカバー48の間に、前記IC回路部54及び図5に示すミアンダラインアンテナ70が挟まれて形成されている。この基材46及びカバー48は、例えばPET(ポリエチレンテレフタラート)等の有機材料に例えば高誘電体セラミックスとして知られるチタン酸バリウム粉末等の高誘電体無機材料を複合化した(混ぜて形成した)材料から成るものであり、何れも厚み寸法150(μm)程度、長手方向寸法55(mm)程度、幅方向寸法20(mm)程度のフィルム状(薄手平板状)に形成されたものである。上記材料から構成されていることにより、上記基材46及びカバー48は、例えば5〜20程度の比較的高い比誘電率を示す。すなわち、上記基材46及びカバー48は、換言すれば、比誘電率が5〜20程度の高誘電体材料からフィルム状に形成されたものである。
上記ミアンダラインアンテナ70は、前記IC回路部54との接続部分を給電点68とするミアンダ(meander)状且つ長手状に形成された線状の導体から成る給電ミアンダライン部72と、前記IC回路部54に対して給電点を有しないミアンダ状に形成された線状の導体から成り、上記給電ミアンダライン部72の入力インピーダンスに影響を与える位置、例えばその給電ミアンダライン部72に所定の間隔を隔てて併行する位置に配設された無給電ミアンダライン部74とから成る。これら給電ミアンダライン部72及び無給電ミアンダライン部74は、銅、アルミニウム、銀等の導電性材料による細線パターン(幅寸法0.1〜3.0mm、厚み寸法1〜100μm程度)が上記基材46の表面に金属箔、薄膜、或いは印刷(銀又は銅ペースト)等の技術により形成されたものである。前記無線タグ12は、そのようにして上記ミアンダラインアンテナ70(給電ミアンダライン部72及び無給電ミアンダライン部74)が表面に形成された上記基材46における、そのミアンダラインアンテナ70が形成された側の表面に上記カバー48が貼り合わされることにより構成される。ここで、ミアンダ状とは、複数のS字型をつなぎ合わせた形で長手方向に連続する形状であり、蛇行状と同義である。なお、S字型は角が角張っていたり、斜めに面取りされているような形状でもよい。また、上記無給電ミアンダライン部74は、好適には、上記給電ミアンダライン部72と絶縁されたものである。
図5に示すように、上記給電ミアンダライン部72は、前記ミアンダラインアンテナ70の幅方向(図5に示すy方向)に直線状を成すように設けられた複数辺の幅方向導体部76及び前記ミアンダラインアンテナ70の長手方向(図5に示すx方向)に直線状を成すように設けられたそれぞれ長さ寸法の異なる2種類の長手方向導体部78、80が交互に接続されて蛇行を成すように形成されたものである。また、上記無給電ミアンダライン部74は、複数辺の幅方向導体部82及びそれぞれ長さ寸法の異なる2種類の長手方向導体部84、86が交互に接続されて蛇行を成すように形成されたものである。ここで、好適には、上記幅方向導体部76及び82の長さ寸法は等しく、上記長手方向導体部78及び84、80及び86の長さ寸法はそれぞれ等しい。このように、直線状の導体部が幅方向及び長手方向に交互に接続されて蛇行を成すように形成されることで、上記給電ミアンダライン部72及び無給電ミアンダライン部74は、それぞれ所定のミアンダパターン(単位パターン)88、90が周期的に繰り返される構成とされている。これらのミアンダパターン88、90は、本実施例においては等しい構成となっている。そして、上記無給電ミアンダライン部74における幅方向導体部82が、相互に隣接する上記給電ミアンダライン部72における幅方向導体部76の間に挟まれるような位置関係に、換言すれば上記無給電ミアンダライン部74が上記給電ミアンダライン部72に対して入れ子状に併設されている。
また、図5に示すように、前記ミアンダラインアンテナ70は、例えば、長手方向寸法La=53.5(mm)程度、幅方向寸法Lb=17.5(mm)程度の寸法を備えて構成されている。また、図5に示す前記給電ミアンダライン部72の両端における幅方向導体部82は、他の部分における幅方向導体部82によりも寸法Lg=1.0(mm)程度短く構成されている。また、好適には、前記給電ミアンダライン部72を構成する導体部と前記無給電ミアンダライン部74を構成する導体部とは、後述する迂回部98に対応する部分以外の部分においてはその相互間距離が一定とされており、その相互間距離は、上記給電ミアンダライン部72及び無給電ミアンダライン部74それぞれを構成する導体部の線幅と略等しいものである。また、この相互間距離(=導体部の線幅)は、それら導体部の絶縁を保証する範囲内における可及的に小さな間隔0.5(mm)程度とされている。このような形状とされることで、前記給電ミアンダライン部72及び無給電ミアンダライン部74は、相互に絶縁された状態で同一の平面上に可及的小さな占有面積にて配置されている。なお、前記給電ミアンダライン部72及び無給電ミアンダライン部74それぞれの導電経路長は、前記無線タグ回路素子50との間で情報の通信を行うために用いられる電磁波すなわち前記質問波Fcの搬送波の波長の1/2以上とされるのが好ましい。
また、図5に示すように、前記給電ミアンダライン部72には、前記給電点68の両側の前記給電ミアンダライン部72に設けられた1対の分岐点94にて前記給電ミアンダライン部72に接続されてその給電ミアンダライン部72の給電点68を直流的に短絡させる、長手方向に延伸して設けられた短絡ライン部92が設けられている。この短絡ライン部92は、好適には、図5に示すように、前記給電ミアンダライン部72の一部である、規則的に設けられた前記ミアンダパターン88の最も長手方向内側に設けられた幅方向導体部76における前記給電点68側の端部付近を1対の分岐点94として幅方向外側に形成されたものであり、前記給電点68から長手方向両側へ延びるように設けられた1対の長手方向導体部96と平行を成すように併設されたものである。換言すれば、前記給電ミアンダライン部72における前記給電点68と分岐点94との間の少なくとも一部は、上記短絡ライン部92の少なくとも一部と平行を成すように長手方向に沿って設けられたものである。なお、上記短絡ライン部92は、例えば図5に示すように長手方向寸法Lc=15.5(mm)程度の寸法を備えて構成されている。また、上記短絡ライン部92と長手方向導体部96との相互間距離は、好適には、それら導体部の線幅と同じ0.5mm程度とされている。また、上記短絡ライン部92は、好適には、前記導体部76等と同様に銅、アルミニウム、銀等の導電性材料による細線パターンが基材の表面に金属箔、薄膜、或いは印刷(銀又は銅ペースト)等の技術により形成されたものであり、その線幅は例えば前記導体部76等の線幅と同程度とされている。また、図5に示すように、本実施例のミアンダラインアンテナ70において、上記短絡ライン部92は、その長手方向における寸法が前記給電ミアンダライン部72の給電点68を挟んで最もその給電点68に近い1組の幅方向導体部76(給電ミアンダライン部72のミアンダパターン88における最も内側の幅方向導体部76)の長手方向の間隔と一致するように設けられたものである。
また、図5に示すように、前記無給電ミアンダライン部74は、長手方向における前記給電ミアンダライン部72と上記短絡ライン部92との1対の分岐点94相互間において、その給電ミアンダライン部72に対して入れ子状とならない迂回部98を備えている。換言すれば、前記ミアンダラインアンテナ70は、前記無給電ミアンダライン部74の迂回部98に対応する部分において、前記給電ミアンダライン部72及び無給電ミアンダライン部74が相互に入れ子状とならないように構成されている。また、前記給電ミアンダライン部72は、長手方向におけるその迂回部98に対応する部分であって、前記給電点68と上記分岐点94との間に、幅方向に突出して設けられた1対の部分ミアンダ部100を備えている。好適には、図5に示すように、前記給電点68から長手方向両側へ延びるように設けられた1対の長手方向導体部96それぞれの端部(給電点68とは反対側の端部)に上記1対の部分ミアンダ部100が接続され、更にその1対の部分ミアンダ部100と上記1対の分岐点94とが1対の長手方向導体部102により接続されている。換言すれば、上記短絡ライン部92に併設された上記長手方向導体部96、102から幅方向内側へ向かって上記1対の部分ミアンダ部100が突出して設けられている。この部分ミアンダ部100は、1対の幅方向導体部の一端が長手方向導体部により連結されてU字状に構成されたものであり、その幅方向導体部の相互間距離は、好適には、それら導体部の線幅と同じ0.5mm程度とされている。また、図5に示す、前記ミアンダラインアンテナ70の幅方向一端(部分ミアンダ部100に近い側の端部)から上記部分ミアンダ部100の内側端部までの距離Leは、例えばLe=5.5(mm)程度とされたものである。
また、図5に示すように、前記無給電ミアンダライン部74は、長手方向における上記迂回部98に対応する部分に、前記給電ミアンダライン部72に設けられた上記1対の部分ミアンダ部100と相対向するように幅方向に突出して設けられた1対の対向部分ミアンダ部104を備えている。すなわち、前記無給電ミアンダライン部74における上記迂回部98に対応する部分は、好適には、規則的に設けられた前記ミアンダパターン90の最も長手方向内側に設けられた幅方向導体部82における端部に上記1対の対向部分ミアンダ部104が接続され、更にそれら1対の対向部分ミアンダ部104相互間が長手方向導体部106により接続されて構成されている。換言すれば、その長手方向導体部106から幅方向内側へ向かって上記1対の対向部分ミアンダ部104が突出して設けられている。この対向部分ミアンダ部104は、1対の幅方向導体部の一端が長手方向導体部により連結されてU字状(逆U字状)に構成されたものであり、その幅方向導体部の相互間距離は、好適には、それら導体部の線幅と同じ0.5mm程度とされている。また、図5に示すように、上記長手方向導体部106の寸法(長手方向寸法)Ldは、Ld=6.5(mm)程度とされたものであり、前記ミアンダラインアンテナ70の幅方向一端(対向部分ミアンダ部104に近い側の端部)から上記対向部分ミアンダ部104の内側端部までの距離Lfは、例えばLf=4.5(mm)程度とされたものである。
以上のように構成されることで、前記ミアンダラインアンテナ70は、その長手方向中央部における前記迂回部98に対応する部分に、導体部が形成されていない空所部108が設けられている。この空所部108の長手方向寸法すなわち前記無給電ミアンダライン部74における前記迂回部98の長手方向寸法は、好適には、前記給電ミアンダライン部72及び無給電ミアンダライン部74が相互に入れ子状とされた部分における単位パターンすなわち前記ミアンダパターン88、90の長手方向寸法の3〜4倍の範囲内とされたものである。また、好適には、空所部108の長手方向寸法すなわち前記無給電ミアンダライン部74における前記迂回部98の長手方向寸法は、前記ミアンダラインアンテナ70全体の長手方向寸法Laの0.2〜0.3倍程度とされたものである。
図8は、前記ミアンダラインアンテナ70の入力インピーダンスの周波数特性を示すスミスチャートである。ここで、高誘電体材料から成るフィルム状の基材46及びカバー48の比誘電率は10とした。この図8に示すスミスチャートにおいては、各部に対応する周波数を数値で付記しており、その単位はGHzである。また、後述する図11等に示すスミスチャートにおいても同様に周波数を示す数値を付記している。図8に示すように、前述した図5に示す構成のミアンダラインアンテナ70について、600MHzから1.2GHzまでの各周波数に対応する抵抗成分(実部Rc)及びリアクタンス成分(虚部Xc)を求め、それらの値から決定されるアンテナ入力インピーダンスZaの各周波数毎の値をスミスチャートに示すと、太線で示されるようなインピーダンス軌跡が描かれる。前述のように、このインピーダンス軌跡が示す経路のうち、図4に示す各アンテナ入力インピーダンス範囲を示す円と重なる部分(円の中に入る部分)が長いほど、そのチップインピーダンスに関して前記IC回路部54にインピーダンスマッチングできる周波数帯域が広くなるが、図8に示す環状曲線では、図4に示すRc+jXc=40−j140(或いはRc+jXc=60−j100)に近いRc+jXc=31−j129に対応する円の中にループ(小巻円)様になっている部分が入るため、斯かるチップインピーダンスに関して整合可能な周波数帯域が広くなる。
図9は、前記IC回路部54の中心周波数を885MHz、チップインピーダンス(入力インピーダンス)をRc+jXc=31−j129とした場合における前記ミアンダラインアンテナ70の反射係数の周波数特性を示すグラフであり、電圧定在波比VSWR=2を破線で示している。回路部との間で好適なマッチングをとるためには、反射係数が比較的小さく電圧定在波比VSWRが2以下となることが求められる。ここで、図9に示すように、中心周波数を885MHz、チップインピーダンスをRc+jXc=31−j129とする前記IC回路部54に関して、前記ミアンダラインアンテナ70は電圧定在波比VSWR≦2となる帯域が40.1MHz程度得られており、十分に広い帯域幅を確保することができる。アンテナ帯域幅40.1MHz、中心周波数885MHzに対する割合(比帯域)は4.5%と通常の小形アンテナの目安である1〜2%の倍以上が得られている。例えば、UHF帯である900MHz帯では米国において26MHzの帯域が許可されており、比帯域は 約2.9%であるが、本アンテナでは比帯域が4.5%であるので、十分広い帯域が得られている。これに対し、通常の小形アンテナでは、その1/2以下の帯域である2%程度であるので、米国で許可されている帯域に対し狭い帯域幅しか得られない。
図34は、前記給電点68と分岐点502の間に部分ミアンダ部100を有しない従来の複共振ミアンダラインアンテナ500の構成を例示する図である。この図34に示すように、前記給電ミアンダライン部72及び無給電ミアンダライン部74に相当する構成を備え、更に前記短絡ライン部92等の構成を備えたミアンダラインアンテナ500であっても、前記給電点68と分岐点502の間に部分ミアンダ部100を有しない構成においては、例えば図6及び図7を用いて前述したように、例えば比誘電率が5〜20程度の高誘電体材料から成るフィルム状の基材46及びカバー48に挟まれて形成されることにより有効な複共振が得られず、十分なアンテナの広帯域化が実現できないという弊害を生じる。前記基材46及びカバー48に高誘電体材料を用いることで、ミアンダラインアンテナ全体を小型化できるといった効果が期待できるが、上述のような理由により従来の複共振ミアンダラインアンテナでは、斯かる高誘電体材料から成るフィルム状部材に挟まれた構成とすることに弊害があった。一方、図5のように構成された本実施例のミアンダラインアンテナ70は、例えば比誘電率が5〜20程度の高誘電体材料から成るフィルム状の基材46及びカバー48に挟まれて形成された構成においても、アンテナインピーダンスが誘導性の領域に複共振が生じ、高帯域化を実現することができるという顕著な効果を奏する。このように、本実施例のミアンダラインアンテナ70が高誘電体材料から成る1対のフィルム状部材に挟まれて形成されたものであっても十分に広い帯域幅を確保することができるのは、その長手方向中央部に比較的広い前記空所部108(導体部が形成されていない所定領域)が存在すること、及びその空所部108(迂回部98)に対応して給電点と分岐点の間に前記部分ミアンダ部100が設けられているためと推察される。すなわち、高誘電体材料から成る1対のフィルム状部材で挟むことにより、各導体間の静電容量が増加し、アンテナの複共振特性に大きな影響を与えるが、比較的電流密度が高くなりやすい長手方向中央部に比較的広い前記空所部108(導体部が形成されていない所定領域)が存在することと、給電点と分岐点の間に前記部分ミアンダ部100が設けられていることにより、導体間の静電容量増加が複共振に与える影響が効果的に緩和され、従来の複共振ミアンダラインアンテナ500と比較して中心周波数を938MHzから885MHzに低くでき、さらに十分に広い帯域幅を確保することができたものと推察される。なお、中心周波数を低くできることは、中心周波数を一定にすれば、アンテナを小さくできることを意味する。
続いて、前記アンテナ52の他の好適な態様を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明において、実施例相互に共通する部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
図10は、前記アンテナ52の他の一態様である複共振ミアンダラインアンテナ110の構成を説明する平面図である。この図10に示すように、本実施例のミアンダラインアンテナ110においては、図5に示すミアンダラインアンテナ70と比較して、前記無給電ミアンダライン部74の迂回部98において前記1対の対向部分ミアンダ部104が設けられていない。すなわち、本実施例のミアンダラインアンテナ110に備えられた無給電ミアンダライン部74における迂回部98は、規則的に設けられた前記ミアンダパターン90の最も長手方向内側に設けられた幅方向導体部82における端部(給電点68が設けられた側とは逆側の端部)相互間が長手方向導体部112により接続されて構成されている。
図11は、上記ミアンダラインアンテナ110の入力インピーダンスの周波数特性を示すスミスチャートである。ここで、高誘電体材料から成るフィルム状の基材46及びカバー48の比誘電率は10とした。この図11に示すように、上述した図10に示す構成のミアンダラインアンテナ110について、600MHzから1.2GHzまでの各周波数に対応する抵抗成分(実部Rc)及びリアクタンス成分(虚部Xc)を求め、それらの値から決定されるアンテナ入力インピーダンスZaの各周波数毎の値をスミスチャートに示すと、太線で示されるようなインピーダンス軌跡が描かれる。この図11に示す環状曲線では、図4に示すRc+jXc=40−j140に対応する円に近いRc+jXc=38−j128に対応する円の中にループ(小巻円)様になっている部分が入るため、斯かるチップインピーダンスに関して整合可能な周波数帯域が広くなる。また、中心周波数を891MHz、チップインピーダンスをRc+jXc=38−j128とする前記IC回路部54に関して、前記ミアンダラインアンテナ110は電圧定在波比VSWR≦2となる帯域が41.7MHz程度得られ、また、例えば比誘電率が5〜20程度の高誘電体材料から成るフィルム状の基材46及びカバー48に挟まれて形成された構成においても、アンテナインピーダンスが誘導性の領域に複共振が生じ、高帯域化を実現することができる。
図12は、前記アンテナ52の更に別の一態様である複共振ミアンダラインアンテナ114の構成を説明する平面図である。この図12に示すように、本実施例のミアンダラインアンテナ114においては、図5に示すミアンダラインアンテナ70と比較して、前記給電ミアンダライン部72の長手方向における前記迂回部98に対応する部分に突出して設けられた部分ミアンダ部116の幅方向寸法(突出寸法)が前記部分ミアンダ部100よりも例えば2(mm)程度短く構成されている。すなわち、図12に示す、前記ミアンダラインアンテナ114の幅方向一端(部分ミアンダ部116に近い側の端部)から上記部分ミアンダ部116の内側端部までの距離Leは、例えばLe=3.5(mm)程度とされたものである。
図13は、上記ミアンダラインアンテナ114の入力インピーダンスの周波数特性を示すスミスチャートである。ここで、高誘電体材料から成るフィルム状の基材46及びカバー48の比誘電率は10とした。この図13に示すように、上述した図12に示す構成のミアンダラインアンテナ114について、600MHzから1.2GHzまでの各周波数に対応する抵抗成分(実部Rc)及びリアクタンス成分(虚部Xc)を求め、それらの値から決定されるアンテナ入力インピーダンスZaの各周波数毎の値をスミスチャートに示すと、太線で示されるようなインピーダンス軌跡が描かれる。この図13に示す環状曲線では、図4に示すRc+jXc=20−j100に対応する円に近いRc+jXc=28−j97に対応する円の中にループ(小巻円)様になっている部分が入るため、斯かるチップインピーダンスに関して整合可能な周波数帯域が広くなる。また、中心周波数を888MHz、チップインピーダンスをRc+jXc=28−j97とする前記IC回路部54に関して、前記ミアンダラインアンテナ114は電圧定在波比VSWR≦2となる帯域が36.8MHz程度得られ、特に、チップ入力インピーダンスのリアクタンス成分が小さな回路部ともインピーダンス整合を実現できるという利点がある。また、例えば比誘電率が5〜20程度の高誘電体材料から成るフィルム状の基材46及びカバー48に挟まれて形成された構成においても、アンテナインピーダンスが誘導性の領域に複共振が生じ、高帯域化を実現することができる。
図14は、前記アンテナ52の更に別の一態様である複共振ミアンダラインアンテナ118の構成を説明する平面図である。この図14に示すように、本実施例のミアンダラインアンテナ118においては、図5に示すミアンダラインアンテナ70と比較して、前記給電ミアンダライン部72の長手方向における前記迂回部98に対応する部分に突出して設けられた1対の部分ミアンダ部120相互間の距離Ldが、前記1対の部分ミアンダ部100相互間の距離よりも例えば2(mm)程度短いLd=4.5(mm)程度とされている。また、前記無給電ミアンダライン部74における前記迂回部98に対応する部分に突出して設けられた1対の対向部分ミアンダ部122相互間の距離Ldが、前記1対の対向部分ミアンダ部104相互間の距離よりも例えば2(mm)程度短いLd=4.5(mm)程度とされていると共に、その幅方向寸法(突出寸法)が前記対向部分ミアンダ部104よりも例えば6(mm)程度長く構成されている。すなわち、図14に示す、前記ミアンダラインアンテナ118の幅方向一端(対向部分ミアンダ部122に近い側の端部)から上記対向部分ミアンダ部122の内側端部までの距離Lfは、例えばLf=10.5(mm)程度とされたものである。
図15は、上記ミアンダラインアンテナ118の入力インピーダンスの周波数特性を示すスミスチャートである。ここで、高誘電体材料から成るフィルム状の基材46及びカバー48の比誘電率は10とした。この図15に示すように、上述した図14に示す構成のミアンダラインアンテナ118について、600MHzから1.2GHzまでの各周波数に対応する抵抗成分(実部Rc)及びリアクタンス成分(虚部Xc)を求め、それらの値から決定されるアンテナ入力インピーダンスZaの各周波数毎の値をスミスチャートに示すと、太線で示されるようなインピーダンス軌跡が描かれる。この図15に示す環状曲線では、図4に示すRc+jXc=20−j100に対応する円に近いRc+jXc=23−j121に対応する円の中にループ(小巻円)様になっている部分が入るため、斯かるチップインピーダンスに関して整合可能な周波数帯域が広くなる。また、中心周波数を872MHz、チップインピーダンスをRc+jXc=23−j121とする前記IC回路部54に関して、前記ミアンダラインアンテナ114は電圧定在波比VSWR≦2となる帯域が34.2MHz程度得られ、特に、チップ入力インピーダンスの抵抗成分が小さな回路部ともインピーダンス整合を実現できるという利点がある。また、例えば比誘電率が5〜20程度の高誘電体材料から成るフィルム状の基材46及びカバー48に挟まれて形成された構成においても、アンテナインピーダンスが誘導性の領域に複共振が生じ、高帯域化を実現することができる。
図16は、前記アンテナ52の更に別の一態様である複共振ミアンダラインアンテナ124の構成を説明する平面図である。この図16に示すように、本実施例のミアンダラインアンテナ124においては、図5に示すミアンダラインアンテナ70と比較して、前記給電ミアンダライン部72における前記給電点68を含んだ第2の部分ミアンダ部126が設けられている。すなわち、前記1対の部分ミアンダ部100の幅方向内側に設けられた前記長手方向導体部96から幅方向に向かい突出して上記第2の部分ミアンダ部126(1対の幅方向導体部)が形成され、その第2の部分ミアンダ部126における前記長手方向導体部96とは逆側(幅方向中央側)の端部に前記給電点68が設けられている。
図17は、上記ミアンダラインアンテナ124の入力インピーダンスの周波数特性を示すスミスチャートである。ここで、高誘電体材料から成るフィルム状の基材46及びカバー48の比誘電率は10とした。この図17に示すように、上述した図16に示す構成のミアンダラインアンテナ124について、600MHzから1.2GHzまでの各周波数に対応する抵抗成分(実部Rc)及びリアクタンス成分(虚部Xc)を求め、それらの値から決定されるアンテナ入力インピーダンスZaの各周波数毎の値をスミスチャートに示すと、太線で示されるようなインピーダンス軌跡が描かれる。この図17に示す環状曲線では、図4に示すRc+jXc=60−j140に対応する円に近いRc+jXc=56−j173に対応する円の中にループ(小巻円)様になっている部分が入るため、斯かるチップインピーダンスに関して整合可能な周波数帯域が広くなる。また、中心周波数を886MHz、チップインピーダンスをRc+jXc=56−j173とする前記IC回路部54に関して、前記ミアンダラインアンテナ124は電圧定在波比VSWR≦2となる帯域が40.3MHz程度得られ、特に、チップ入力インピーダンスの抵抗成分及びリアクタンス成分が大きな回路部ともインピーダンス整合を実現できるという利点がある。また、例えば比誘電率が5〜20程度の高誘電体材料から成るフィルム状の基材46及びカバー48に挟まれて形成された構成においても、アンテナインピーダンスが誘導性の領域に複共振が生じ、高帯域化を実現することができる。
図18は、前記アンテナ52の更に別の一態様である複共振ミアンダラインアンテナ128の構成を説明する平面図である。この図18に示すように、本実施例のミアンダラインアンテナ128においては、図5に示すミアンダラインアンテナ70と比較して、前記無給電ミアンダライン部74における前記迂回部928に対応する部分に突出して設けられた1対の対向部分ミアンダ部130相互間の距離Ldが、前記1対の対向部分ミアンダ部104相互間の距離よりも例えば4(mm)程度短いLd=2.5(mm)程度とされていると共に、その幅方向寸法(突出寸法)が前記対向部分ミアンダ部104よりも例えば4(mm)程度長く構成されている。すなわち、図18に示す、前記ミアンダラインアンテナ128の幅方向一端(対向部分ミアンダ部130に近い側の端部)から上記対向部分ミアンダ部130の内側端部までの距離Lfは、例えばLf=8.5(mm)程度とされたものである。
図19は、上記ミアンダラインアンテナ128の入力インピーダンスの周波数特性を示すスミスチャートである。ここで、高誘電体材料から成るフィルム状の基材46及びカバー48の比誘電率は10とした。この図19に示すように、上述した図18に示す構成のミアンダラインアンテナ128について、600MHzから1.2GHzまでの各周波数に対応する抵抗成分(実部Rc)及びリアクタンス成分(虚部Xc)を求め、それらの値から決定されるアンテナ入力インピーダンスZaの各周波数毎の値をスミスチャートに示すと、太線で示されるようなインピーダンス軌跡が描かれる。この図19に示す環状曲線では、図4に示すRc+jXc=40−j140に対応する円に近いRc+jXc=22−j129に対応する円の中にループ(小巻円)様になっている部分が入るため、斯かるチップインピーダンスに関して整合可能な周波数帯域が広くなる。また、中心周波数を874MHz、チップインピーダンスをRc+jXc=22−j129とする前記IC回路部54に関して、前記ミアンダラインアンテナ128は電圧定在波比VSWR≦2となる帯域が35.6MHz程度得られ、特に、チップ入力インピーダンスの抵抗成分が小さな回路部ともインピーダンス整合を実現できるという利点がある。また、例えば比誘電率が5〜20程度の高誘電体材料から成るフィルム状の基材46及びカバー48に挟まれて形成された構成においても、アンテナインピーダンスが誘導性の領域に複共振が生じ、高帯域化を実現することができる。
図20は、前記アンテナ52の更に別の一態様である複共振ミアンダラインアンテナ132の構成を説明する平面図である。この図20に示すように、本実施例のミアンダラインアンテナ132においては、図5に示すミアンダラインアンテナ70と比較して、前記給電ミアンダライン部72に接続された短絡ライン部134の長さ寸法(長手方向寸法)が、前記短絡ライン部92よりも短く構成されている。この短絡ライン部134の長さ寸法は、例えば、前記短絡ライン部92よりも4(mm)程度短く構成されたものである。また、前記給電ミアンダライン部72と短絡ライン部134とを接続する1対の分岐点136は、前記ミアンダラインアンテナ70における1対の分岐点94と比較して長手方向内側に設けられている。また、図20に示すように、本実施例のミアンダラインアンテナ132において、上記2つの分岐点136の間隔は、その長手方向における寸法が前記給電ミアンダライン部72の給電点68を挟んで最もその給電点68に近い1組の給電ミアンダライン部72における幅方向導体部76(給電ミアンダライン部72のミアンダパターン88における最も内側の幅方向導体部76)の長手方向の間隔Lhより小さくなるように設けられたものである。
図21は、上記ミアンダラインアンテナ132の入力インピーダンスの周波数特性を示すスミスチャートである。ここで、高誘電体材料から成るフィルム状の基材46及びカバー48の比誘電率は10とした。この図21に示すように、上述した図20に示す構成のミアンダラインアンテナ132について、600MHzから1.2GHzまでの各周波数に対応する抵抗成分(実部Rc)及びリアクタンス成分(虚部Xc)を求め、それらの値から決定されるアンテナ入力インピーダンスZaの各周波数毎の値をスミスチャートに示すと、太線で示されるようなインピーダンス軌跡が描かれる。この図21に示す環状曲線では、図4に示すRc+jXc=20−j100に対応する円に近い、Rc+jXc=16−j99に対応する円の中にループ(小巻円)様になっている部分が入るため、斯かるチップインピーダンスに関して整合可能な周波数帯域が広くなる。また、中心周波数を885MHz、チップインピーダンスをRc+jXc=16−j99とする前記IC回路部54に関して、前記ミアンダラインアンテナ132は電圧定在波比VSWR≦2となる帯域が40.7MHz程度得られ、特に、チップ入力インピーダンスの抵抗成分とリアクタンス成分とが共に小さな回路部ともインピーダンス整合を実現できるという利点がある。また、例えば比誘電率が5〜20程度の高誘電体材料から成るフィルム状の基材46及びカバー48に挟まれて形成された構成においても、アンテナインピーダンスが誘導性の領域に複共振が生じ、高帯域化を実現することができる。
図22は、前記アンテナ52の更に別の一態様である複共振ミアンダラインアンテナ138の構成を説明する平面図である。この図22に示すように、本実施例のミアンダラインアンテナ138においては、図5に示すミアンダラインアンテナ70と比較して、前記給電ミアンダライン部72における前記1対の部分ミアンダ部100が前記1対の分岐点94に隣接して設けられている。また、前記無給電ミアンダライン部74における前記1対の対向部分ミアンダ部104が前記1対の部分ミアンダ部100に対応する長手方向位置に設けられている。更に、対向部分ミアンダ部104の内側(給電ミアンダライン部72における1対の部分ミアンダ部100の内側)に、更に1対の部分ミアンダ部140が設けられている。なお、斯かる部分ミアンダ部140の突出長さ寸法は、必ずしも図22に示すものに限られず、より短いものであってもよい。
図23は、上記ミアンダラインアンテナ138の入力インピーダンスの周波数特性を示すスミスチャートである。ここで、高誘電体材料から成るフィルム状の基材46及びカバー48の比誘電率は10とした。この図23に示すように、上述した図22に示す構成のミアンダラインアンテナ138について、600MHzから1.2GHzまでの各周波数に対応する抵抗成分(実部Rc)及びリアクタンス成分(虚部Xc)を求め、それらの値から決定されるアンテナ入力インピーダンスZaの各周波数毎の値をスミスチャートに示すと、太線で示されるようなインピーダンス軌跡が描かれる。この図23に示す環状曲線では、図4に示すRc+jXc=40−j100に対応する円に近い、Rc+jXc=34−j114に対応する円の中にループ(小巻円)様になっている部分が入るため、斯かるチップインピーダンスに関して整合可能な周波数帯域が広くなる。また、中心周波数を889MHz、チップインピーダンスをRc+jXc=34−j114とする前記IC回路部54に関して、前記ミアンダラインアンテナ138は電圧定在波比VSWR≦2となる帯域が25.1MHz程度得られる。また、例えば比誘電率が5〜20程度の高誘電体材料から成るフィルム状の基材46及びカバー48に挟まれて形成された構成においても、アンテナインピーダンスが誘導性の領域に複共振が生じ、高帯域化を実現することができる。
図24は、前記アンテナ52の更に別の一態様である複共振ミアンダラインアンテナ142の構成を説明する平面図である。この図24に示すように、本実施例のミアンダラインアンテナ142においては、図5に示すミアンダラインアンテナ70と比較して、前記給電ミアンダライン部72における前記1対の部分ミアンダ部100が前記1対の分岐点94に隣接して設けられている。また、前記無給電ミアンダライン部74は、前記1対の部分ミアンダ部100と相対向するように、且つその端部における前記1対の部分ミアンダ部100との距離Liが前記ミアンダパターン88、90等における導体部の相互間距離(=導体部の線幅)と等しくなるように、幅方向に突出して設けられた1対の対向部分ミアンダ部144を備えたものである。
図25は、上記ミアンダラインアンテナ142の入力インピーダンスの周波数特性を示すスミスチャートである。ここで、高誘電体材料から成るフィルム状の基材46及びカバー48の比誘電率は10とした。この図25に示すように、上述した図24に示す構成のミアンダラインアンテナ142について、600MHzから1.2GHzまでの各周波数に対応する抵抗成分(実部Rc)及びリアクタンス成分(虚部Xc)を求め、それらの値から決定されるアンテナ入力インピーダンスZaの各周波数毎の値をスミスチャートに示すと、太線で示されるようなインピーダンス軌跡が描かれる。この図25に示す環状曲線では、図4に示すRc+jXc=40−j100に対応する円に近い、Rc+jXc=37−j97に対応する円の中にループ(小巻円)様になっている部分が部分的に入るため、斯かるチップインピーダンスに関して整合可能な周波数帯域が広くなる。また、中心周波数を908MHz、チップインピーダンスをRc+jXc=37−j97とする前記IC回路部54に関して、前記ミアンダラインアンテナ142は電圧定在波比VSWR≦2となる帯域が24.8MHz程度得られる。また、例えば比誘電率が5〜20程度の高誘電体材料から成るフィルム状の基材46及びカバー48に挟まれて形成された構成においても、アンテナインピーダンスが誘導性の領域に複共振が生じ、比較的高帯域化を実現することができる。
図26は、前記アンテナ52の更に別の一態様である複共振ミアンダラインアンテナ146の構成を説明する平面図である。この図26に示すように、本実施例のミアンダラインアンテナ146においては、図5に示すミアンダラインアンテナ70と比較して、前記無給電ミアンダライン部74の迂回部98において前記1対の対向部分ミアンダ部104が設けられていない。すなわち、本実施例のミアンダラインアンテナ146に備えられた無給電ミアンダライン部74における迂回部98は、規則的に設けられた前記ミアンダパターン90の最も長手方向内側に設けられた幅方向導体部82における端部相互間が長手方向導体部148により接続されて構成されている。また、前記短絡ライン部92と前記無給電ミアンダライン部74の迂回部98における長手方向導体部すなわち上記長手方向導体部148との間の距離Ljは、前記ミアンダラインアンテナ146の幅方向寸法Lbよりも狭い(Lb>Lj)ものである。換言すれば、前記短絡ライン部92及び給電点68等の構成が、図5に示すミアンダラインアンテナ70よりも幅方向内側に設けられている。
図27は、上記ミアンダラインアンテナ146の入力インピーダンスの周波数特性を示すスミスチャートである。ここで、高誘電体材料から成るフィルム状の基材46及びカバー48の比誘電率は10とした。この図27に示すように、上述した図26に示す構成のミアンダラインアンテナ146について、600MHzから1.2GHzまでの各周波数に対応する抵抗成分(実部Rc)及びリアクタンス成分(虚部Xc)を求め、それらの値から決定されるアンテナ入力インピーダンスZaの各周波数毎の値をスミスチャートに示すと、太線で示されるようなインピーダンス軌跡が描かれる。この図27に示す環状曲線では、図4に示すRc+jXc=40−j140に対応する円に近い、Rc+jXc=33−j127に対応する円の中にループ(小巻円)様になっている部分が入るため、斯かるチップインピーダンスに関して整合可能な周波数帯域が広くなる。また、中心周波数を899MHz、チップインピーダンスをRc+jXc=33−j127とする前記IC回路部54に関して、前記ミアンダラインアンテナ142は電圧定在波比VSWR≦2となる帯域が44.6MHz程度得られる。また、例えば比誘電率が5〜20程度の高誘電体材料から成るフィルム状の基材46及びカバー48に挟まれて形成された構成においても、アンテナインピーダンスが誘導性の領域に複共振が生じ、高帯域化を実現することができる。
図28は、前記アンテナ52の更に別の一態様である複共振ミアンダラインアンテナ150の構成を説明する平面図である。この図28に示すように、本実施例のミアンダラインアンテナ150においては、図5に示すミアンダラインアンテナ70と比較して、前記短絡ライン部92と前記1対の分岐点94との間にそれぞれ2.5(mm)程度の長さ寸法を有する1対の幅方向導体152が設けられている。すなわち、前記短絡ライン部92と前記給電ミアンダライン部72における前記分岐点94相互間の長手方向導体部96乃至102との間の間隔Lkが、その給電ミアンダライン部72及び無給電ミアンダライン部74が相互に入れ子状に併設された部分におけるそれぞれの導体部相互の間隔すなわち前記ミアンダパターン88、90における導体部相互間距離(=導体部の線幅)よりも広くなるように構成されている。
図29は、上記ミアンダラインアンテナ150の入力インピーダンスの周波数特性を示すスミスチャートである。ここで、高誘電体材料から成るフィルム状の基材46及びカバー48の比誘電率は10とした。この図29に示すように、上述した図28に示す構成のミアンダラインアンテナ150について、600MHzから1.2GHzまでの各周波数に対応する抵抗成分(実部Rc)及びリアクタンス成分(虚部Xc)を求め、それらの値から決定されるアンテナ入力インピーダンスZaの各周波数毎の値をスミスチャートに示すと、太線で示されるようなインピーダンス軌跡が描かれる。この図29に示す環状曲線では、図4に示すRc+jXc=60−j140に対応する円よりさらにスミスチャート上で右方向に存在するRc+jXc=105−j210に対応する円の中にループ(小巻円)様になっている部分が入るため、斯かるチップインピーダンスに関して整合可能な周波数帯域が広くなる。また、中心周波数を894MHz、チップインピーダンスをRc+jXc=105−j210とする前記IC回路部54に関して、前記ミアンダラインアンテナ150は電圧定在波比VSWR≦2となる帯域が42.0MHz程度得られ、特に、チップ入力インピーダンスの抵抗成分及びリアクタンス成分を共に大きくできるという利点がある。また、例えば比誘電率が5〜20程度の高誘電体材料から成るフィルム状の基材46及びカバー48に挟まれて形成された構成においても、アンテナインピーダンスが誘導性の領域に複共振が生じ、高帯域化を実現することができる。
図30は、前記アンテナ52の更に別の一態様である複共振ミアンダラインアンテナ154の構成を説明する平面図である。この図30に示すように、本実施例のミアンダラインアンテナ154においては、図5に示すミアンダラインアンテナ70と比較して、前記無給電ミアンダライン部74の迂回部98において前記1対の対向部分ミアンダ部104が設けられていない。すなわち、本実施例のミアンダラインアンテナ154に備えられた無給電ミアンダライン部74における迂回部98は、規則的に設けられた前記ミアンダパターン90の最も長手方向内側に設けられた幅方向導体部82における端部相互間が長手方向導体部156により接続されて構成されている。また、前記給電ミアンダライン部72は、長手方向における前記迂回部98に対応する部分であって、前記給電点68と前記分岐点94との間に、幅方向に突出して設けられた部分ミアンダ部158を前記給電点68を中心とする長手方向の一方のみ(図30では紙面向かって左方向のみ)に備えたものである。換言すれば、前記給電ミアンダライン部72は、前記給電点68を中心とする長手方向の一方には上記部分ミアンダ部158を備えておらず、長手方向を左右として左右非対称な構成とされている。
図31は、上記ミアンダラインアンテナ154の入力インピーダンスの周波数特性を示すスミスチャートである。ここで、高誘電体材料から成るフィルム状の基材46及びカバー48の比誘電率は10とした。この図31に示すように、上述した図30に示す構成のミアンダラインアンテナ154について、600MHzから1.2GHzまでの各周波数に対応する抵抗成分(実部Rc)及びリアクタンス成分(虚部Xc)を求め、それらの値から決定されるアンテナ入力インピーダンスZaの各周波数毎の値をスミスチャートに示すと、太線で示されるようなインピーダンス軌跡が描かれる。この図31に示す環状曲線では、図4に示すRc+jXc=40−j140に対応する円に近い、Rc+jXc=36−j135に対応する円の中にループ(小巻円)様になっている部分が入るため、斯かるチップインピーダンスに関して整合可能な周波数帯域が広くなる。また、中心周波数を890MHz、チップインピーダンスをRc+jXc=36−j135とする前記IC回路部54に関して、前記ミアンダラインアンテナ154は電圧定在波比VSWR≦2となる帯域が41.9MHz程度得られる。また、例えば比誘電率が5〜20程度の高誘電体材料から成るフィルム状の基材46及びカバー48に挟まれて形成された構成においても、アンテナインピーダンスが誘導性の領域に複共振が生じ、高帯域化を実現することができる。
図32は、前記アンテナ52の更に別の一態様である複共振ミアンダラインアンテナ160の構成を説明する平面図である。この図32に示すように、本実施例のミアンダラインアンテナ160においては、図5に示すミアンダラインアンテナ70と比較して、前記給電ミアンダライン部72は、長手方向における前記迂回部98に対応する部分であって、前記給電点68と前記分岐点94との間に、それぞれ異なる突出寸法で幅方向に突出して設けられた部分ミアンダ部162、164を備えている。図32に示す例では、前記給電点68を中心とする長手方向の対称位置であって紙面向かって左方に設けられた部分ミアンダ部162の方が、右方に設けられた部分ミアンダ部164よりも長く突出させられている。また、前記無給電ミアンダライン部74は、長手方向における前記迂回部98に対応する部分に、前記給電ミアンダライン部72に設けられた上記部分ミアンダ部162、164とそれぞれ相対向するように幅方向に突出して設けられた、それぞれ異なる突出寸法の異なる対向部分ミアンダ部166、168を備えている。図32に示す例では、前記給電点68を中心とする長手方向の対称位置であって紙面向かって右方に設けられた対向部分ミアンダ部168の方が、左方に設けられた部分ミアンダ部166よりも長く突出させられている。
図33は、上記ミアンダラインアンテナ160の入力インピーダンスの周波数特性を示すスミスチャートである。ここで、高誘電体材料から成るフィルム状の基材46及びカバー48の比誘電率は10とした。この図33に示すように、上述した図32に示す構成のミアンダラインアンテナ160について、600MHzから1.2GHzまでの各周波数に対応する抵抗成分(実部Rc)及びリアクタンス成分(虚部Xc)を求め、それらの値から決定されるアンテナ入力インピーダンスZaの各周波数毎の値をスミスチャートに示すと、太線で示されるようなインピーダンス軌跡が描かれる。この図33に示す環状曲線では、図4に示すRc+jXc=40−j140に対応する円に近い、Rc+jXc=31−j131に対応する円の中にループ(小巻円)様になっている部分が入るため、斯かるチップインピーダンスに関して整合可能な周波数帯域が広くなる。また、中心周波数を884MHz、チップインピーダンスをRc+jXc=31−j131とする前記IC回路部54に関して、前記ミアンダラインアンテナ154は電圧定在波比VSWR≦2となる帯域が41.9MHz程度得られる。また、例えば比誘電率が5〜20程度の高誘電体材料から成るフィルム状の基材46及びカバー48に挟まれて形成された構成においても、アンテナインピーダンスが誘導性の領域に複共振が生じ、高帯域化を実現することができる。
このように、本実施例によれば、前記給電点68の両側の前記給電ミアンダライン部72に設けられた分岐点94等にて前記給電ミアンダライン部72に接続されてその給電ミアンダライン部72の給電点68を直流的に短絡させる、長手方向に延伸して設けられた短絡ライン部92等を備え、前記無給電ミアンダライン部74は、長手方向における前記給電ミアンダライン部72と前記短絡ライン部92等との1対の分岐点94等の相互間において、その給電ミアンダライン部72に対して入れ子状とならない迂回部98を備え、前記給電ミアンダライン部72は、長手方向におけるその迂回部98に対応する部分であって、前記給電点68と前記分岐点94等との間に、幅方向に突出して設けられた部分ミアンダ部100等を備えたものであることから、アンテナを小型化できると共に、基材46やカバー48に高誘電体材料を用いた無線タグ12に適用した場合であっても、有効な複共振を実現することができ、アンテナの帯域幅を十分に広くとることができる。すなわち、基材46やカバー48に高誘電体材料を用いた無線タグ12に好適に適用し得るミアンダラインアンテナ70等を提供することができる。
また、前記無給電ミアンダライン部74は、長手方向における前記迂回部98に対応する部分に、前記給電ミアンダライン部72に設けられた前記部分ミアンダ部100等と相対向するように幅方向に突出して設けられた対向部分ミアンダ部104等を備えたものであるため、アンテナ帯域を十分広くすると共に前記IC回路部54の入力インピーダンスの抵抗成分乃至リアクタンス成分が小さな回路部ともインピーダンス整合を実現できる。
また、前記ミアンダラインアンテナ124においては、前記給電ミアンダライン部72における前記給電点68を含んだ第2の部分ミアンダ部126が設けられたものであるため、アンテナ帯域を十分広くすると共に前記IC回路部54の入力インピーダンスの抵抗成分及びリアクタンス成分が共に大きな回路部ともインピーダンス整合を実現できる。
また、前記ミアンダラインアンテナ150においては、前記短絡ライン部92と前記給電ミアンダライン部72における前記分岐点94相互間の長手方向導体部96乃至102との間の間隔は、その給電ミアンダライン部72及び無給電ミアンダライン部74が相互に入れ子状に併設された部分におけるそれぞれの導体部相互の間隔よりも広いものであるため、アンテナ帯域を十分広くすると共に前記回路部の入力インピーダンスの抵抗成分及びリアクタンス成分が共に大きな回路部ともインピーダンス整合を実現できる。
また、前記ミアンダラインアンテナ132においては、前記短絡ライン部134は、その長手方向における分岐点102の間隔が前記給電ミアンダライン部72の給電点68を挟んで最もその給電点68に近い1組の幅方向導体部76の長手方向の間隔より小さくなるように設けられたものであるため、アンテナ帯域を十分広くすると共に前記回路部の入力インピーダンスの抵抗成分及びリアクタンス成分が共に小さな回路部ともインピーダンス整合を実現できる。
また、前記ミアンダラインアンテナ146においては、前記短絡ライン部92と前記無給電ミアンダライン部74の迂回部98における前記長手方向導体部148との間の間隔は、前記ミアンダラインアンテナ146の幅方向寸法よりも狭いものであるため、基材46やカバー48に高誘電体材料を用いた無線タグ12に適用した場合であっても、有効な複共振を実現することができ、アンテナの帯域幅を必要十分にとることができる。
また、前記無給電ミアンダライン部74における前記迂回部98の長手方向寸法は、前記給電ミアンダライン部72及び無給電ミアンダライン部74が相互に入れ子状とされた部分における単位パターンすなわちミアンダパターン88、90の長手方向寸法の3〜4倍の範囲内であるため、アンテナを小型化できると共に、基材46やカバー48に高誘電体材料を用いた無線タグ12に適用した場合であっても、有効な複共振を実現することができ、アンテナの帯域幅を十分に広くとることができる。
また、無線タグ通信装置14との間で無線にて情報の通信を行う無線タグ12であって、情報を記憶する記憶部を有するIC回路部54を前記回路部として備えると共に、そのIC回路部54に接続される前記ミアンダラインアンテナ70等を備えたものであることから、アンテナを小型化できると共に、基材46やカバー48に高誘電体材料を用いた場合であっても、有効な複共振を実現することができ、アンテナの帯域幅を十分に広くとることができる。すなわち、基材46やカバー48に高誘電体材料を用いた無線タグ12を提供することができる。
また、前記無線タグ12は、前記ミアンダラインアンテナ70等が、有機材料に高誘電体無機材料を複合化した材料から成る1対のフィルム状部材である基材46及びカバー48に挟まれて形成されたものであるため、アンテナを小型化できると共に、有効な複共振を実現することができ、アンテナの帯域幅を十分に広くとることができる。
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
例えば、前述の実施例において、前記ミアンダラインアンテナ70等は、基材46における同一平面に形成された前記給電ミアンダライン部72等及び無給電ミアンダライン部74を備えたものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば基材46の表面に前記給電ミアンダライン部72等が、裏面に前記無給電ミアンダライン部74がそれぞれ形成されたものであっても構わない。すなわち、前記給電ミアンダライン部72等及び無給電ミアンダライン部74は、平面視においてその一部が相互に入れ子状になっていると共にそれらが相互のインピーダンスに影響を与える位置に配設されていればよく、その相対位置関係は必ずしも前述した実施例のものでなくともよい。
また、前述の実施例では、それぞれ所定のミアンダパターン(単位パターン)が周期的に繰り返される構成とされた給電ミアンダライン部及び無給電ミアンダライン部から成るアンテナ52等について説明したが、例えば、その長手方向に関する給電ミアンダライン部及び無給電ミアンダライン部自体の間隔やその相互間の間隔が前記IC回路部54から離れるにつれて狭まる態様や、前記給電ミアンダライン部及び無給電ミアンダライン部を構成する幅方向導体部の長さ寸法が長くなっていく態様等も考えられる。このような態様においても、インピーダンスの整合及び通信特性を保持しつつ小型化が可能なアンテナを提供することができる。
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。