[高分子化合物の構成]
本発明のレジスト保護膜材料に用いる高分子化合物は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むことを特徴とする。
(式中、R
1は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。R
2及びR
3はそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。R
2とR
3は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜8のフッ素原子を含有してもよい非芳香環を形成してもよい。R
4〜R
6は炭素数1〜6のフッ素化1価炭化水素基を示す。Aは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の酸素原子を有してもよい2価炭化水素基を示す。k
1は0〜2を示す。)
R2及びR3の炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基として、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基、ノルボルニル基、オキサノルボルニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、アダマンチル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部がフッ素原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基等に置換されたもの等が例示できるが、これらに限定されるものでない。
R
2とR
3が互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜8のフッ素原子を含有してもよい非芳香環を形成する場合、形成される環の具体例としては下記のものを例示できるが、これらに限定されるものではない。
(式中、破線は結合手を示す。以下、同様)。
R
4〜R
6の炭素数1〜6のフッ素化1価炭化水素基の具体例としては下記の基が例示できるが、これらに限定されるものではない。
Aの炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の酸素原子を有してもよい2価炭化水素基の具体例としては酸素原子を有してもよいアルキレン基が挙げられ、下記の基が例示できるが、これらに限定されるものではない。
上記一般式(1)で示される繰り返し単位として、具体的には下記のものを例示できるが、これらに限定されるものではない。
本発明のレジスト保護膜材料に用いる高分子化合物は、上記一般式(1)で表される繰り返し単位に加えて、下記一般式(2a)〜(2m)の繰り返し単位の1種又は2種以上を組み合わせて用いることにより、撥水性、滑水性、アルカリ溶解性、現像後接触角などの性能に更に優れたレジスト保護膜材料が実現する。
(式中、R
1は上記と同様である。R
7a及びR
7bは水素原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基であり、R
7aとR
7bは互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜8の非芳香環を形成することもできる。R
8aは水素原子、炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基又はフッ素化1価炭化水素基、又は酸不安定基を示し、1価炭化水素基の場合、構成する−CH
2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。R
9a、R
9b、R
9cは水素原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基又はフッ素化1価炭化水素基であり、R
9aとR
9b、R
9aとR
9c、R
9bとR
9cは互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜8の非芳香環を形成することもできる。R
10aは水素原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基である。R
10bは炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基であり、R
10aとR
10bは互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜8の非芳香環を形成することもできる。R
11aは炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状のフッ素化1価炭化水素基である。R
12aは炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基又はフッ素化1価炭化水素基である。R
13aは炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状のフッ素化1価炭化水素基である。R
14aは単結合、炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、−C(=O)−O−、又は−C(=O)−NH−である。R
14bは単結合又は炭素数1〜15のアルキレン基である。R
14cは炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状のフッ素化1価炭化水素基である。R
15a〜R
15dはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基である。R
15a〜R
15dは水素原子の一部又は全部がアルコキシ基によって置換されていてもよく、窒素原子、エーテル基、エステル基、ヒドロキシ基、又はカルボキシル基を含むこともできる。R
15aとR
15b、R
15aとR
15bとR
15cは互いに結合してこれらの結合する窒素原子と共に炭素数5〜10の環を形成することができるが、その場合、R
15aとR
15b、R
15aとR
15bとR
15cはそれぞれアルキレン基であり、環内に窒素原子を含むこともできる。k
1は0〜6の整数である。Bは、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の(k
2+1)価の炭化水素基又はフッ素化炭化水素基である。k
2は1〜3の整数である。)
R7a、R7b、R8a、R9a、R9b、R9c、R10a、R10b、R12aにおいて、炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基、アダマンチル基等が用いられる。R7a及びR7b、R9aとR9b、R9aとR9c、R9bとR9c、R10aとR10bは互いに結合して炭素数3〜8の非芳香環を形成することもできるが、その場合、これらの基はアルキレン基であり、上記で例示したアルキル基中の1個の水素原子を引き抜いたものが用いられ、該環の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
R8a、R9a、R9b、R9c、R11a、R12a、R13a及びR14cにおいて、炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状のフッ素化1価炭化水素基の具体例としては、上記のアルキル基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子で置換したものが用いられ、具体例としてはトリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロ−1−プロピル基、3,3,3−トリフルオロ−2−プロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチル基、2−(パーフルオロブチル)エチル基、2−(パーフルオロヘキシル)エチル基、2−(パーフルオロオクチル)エチル基、2−(パーフルオロデシル)エチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル基などが例示できる。
R14a、R14bにおいて炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基の具体例としては、上記で例示したアルキル基中の1個の水素原子を引き抜いたものが用いられる。R15a、R15b、R15c、R15dにより形成されるアンモニウム塩(カチオン部)は対応するアミン化合物の中和反応により得られる。この場合、アミン化合物としては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アミド類、イミド類、カーバメート類等が用いられ、具体的には特開2008−111103号公報の段落[0146]〜[0164]に記載のものが用いられる。
次にR8aの酸不安定基について説明する。酸不安定基としては種々のものを用いることができるが、具体的には下記一般式(L1)〜(L4)で示される基、炭素数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等を挙げることができる。
(式中、R
L01及びR
L02は水素原子又は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R
L03は炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい1価の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたものを挙げることができる。R
L04は炭素数4〜20、好ましくは炭素数4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基又は上記一般式(L1)で示される基を示す。R
L05は炭素数1〜10の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。R
L06は炭素数1〜10の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基である。R
L07〜R
L16はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15の1価の非置換又は置換炭化水素基を示す。yは0〜6の整数である。mは0又は1、nは0〜3の整数であり、2m+n=2又は3である。なお、破線は結合手を示す。)
式(L1)において、RL01及びRL02の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、アダマンチル基等が例示できる。
RL03は炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい1価の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたものを挙げることができ、具体的には、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基としては上記RL01、RL02と同様のものが例示でき、置換アルキル基としては下記の基等が例示できる。
RL01とRL02、RL01とRL03、RL02とRL03とは互いに結合してこれらが結合する炭素原子や酸素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には環の形成に関与するRL01、RL02、RL03はそれぞれ炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。
式(L2)において、RL04の三級アルキル基の具体例としては、tert−ブチル基、tert−アミル基、1,1−ジエチルプロピル基、2−シクロペンチルプロパン−2−イル基、2−シクロヘキシルプロパン−2−イル基、2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)プロパン−2−イル基、2−(アダマンタン−1−イル)プロパン−2−イル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基等が例示できる。また、トリアルキルシリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が例示でき、オキソアルキル基の具体例としては、3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基、5−メチル−2−オキソオキソラン−5−イル基等が例示できる。
式(L3)において、RL05の炭素数1〜10の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等に置換されたもの、又はこれらのメチレン基の一部が酸素原子又は硫黄原子に置換されたもの等が例示できる。また、炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基の具体例としては、フェニル基、メチルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基等が例示できる。
式(L4)において、RL06の炭素数1〜10の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基の具体例としては、RL05と同様のもの等が例示できる。
RL07〜RL16において、炭素数1〜15の1価の炭化水素基としては、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等に置換されたもの等が例示できる。
RL07〜RL16は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよく(例えば、RL07とRL08、RL07とRL09、RL08とRL10、RL09とRL10、RL11とRL12、RL13とRL14等)、その場合には環の形成に関与する基は炭素数1〜15の2価の炭化水素基を示し、具体的には上記1価の炭化水素基で例示したものから水素原子を1個除いたもの等が例示できる。また、RL07〜RL16は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい(例えば、RL07とRL09、RL09とRL15、RL13とRL15等)。
上記式(L1)で示される酸不安定基のうち直鎖状又は分岐状のものとしては、具体的には下記の基が例示できる。
上記式(L1)で示される酸不安定基のうち環状のものとしては、具体的にはテトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等が例示できる。
上記式(L2)の酸不安定基としては、具体的にはtert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が例示できる。
上記式(L3)の酸不安定基としては、具体的には1−メチルシクロペンチル、1−エチルシクロペンチル、1−n−プロピルシクロペンチル、1−イソプロピルシクロペンチル、1−n−ブチルシクロペンチル、1−sec−ブチルシクロペンチル、1−シクロヘキシルシクロペンチル、1−(4−メトキシ−n−ブチル)シクロペンチル、1−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)シクロペンチル、1−(7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)シクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−エチルシクロヘキシル、3−メチル−1−シクロペンテン−3−イル、3−エチル−1−シクロペンテン−3−イル、3−メチル−1−シクロヘキセン−3−イル、3−エチル−1−シクロヘキセン−3−イル等が例示できる。
上記式(L4)の酸不安定基としては、下記式(L4−1)〜(L4−4)で示される基が特に好ましい。
(式中、R
L41はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基を示す。破線は結合位置及び結合方向を示す。)
上記式(L4−1)〜(L4−4)中、RL41の1価炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を例示できる。
前記一般式(L4−1)〜(L4−4)には、エナンチオ異性体(enantiomer)やジアステレオ異性体(diastereomer)が存在しえるが、前記一般式(L4−1)〜(L4−4)は、これらの立体異性体の全てを代表して表す。これらの立体異性体は単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
例えば、前記一般式(L4−3)は下記一般式(L4−3−1)と(L4−3−2)で示される基から選ばれる1種又は2種の混合物を代表して表すものとする。
(式中、R
L41は前述と同様である。)
また、上記一般式(L4−4)は下記一般式(L4−4−1)〜(L4−4−4)で示される基から選ばれる1種又は2種以上の混合物を代表して表すものとする。
(式中、R
L41は前述と同様である。)
上記一般式(L4−1)〜(L4−4)、(L4−3−1)、(L4−3−2)、及び式(L4−4−1)〜(L4−4−4)は、それらのエナンチオ異性体及びエナンチオ異性体混合物をも代表して示すものとする。
なお、式(L4−1)〜(L4−4)、(L4−3−1)、(L4−3−2)、及び式(L4−4−1)〜(L4−4−4)の結合方向がそれぞれビシクロ[2.2.1]ヘプタン環に対してexo側であることによって、酸触媒脱離反応における高反応性が実現される(特開2000−336121号公報参照)。これらビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有する三級exo−アルキル基を置換基とする単量体の製造において、下記一般式(L4−1−endo)〜(L4−4−endo)で示されるendo−アルキル基で置換された単量体を含む場合があるが、良好な反応性の実現のためにはexo比率が50%以上であることが好ましく、exo比率が80%以上であることが更に好ましい。
上記式(L4)の酸不安定基としては、具体的には下記の基が例示できる。
また、炭素数4〜20の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基としては、具体的にはRL04で挙げたものと同様のもの等が例示できる。
上記式(2a)〜(2l)の繰り返し単位の具体例としては下記のものが例示されるが、これに限定されるものでない。
本発明のレジスト保護膜材料に用いる高分子化合物において、一般式(2l)で表される繰り返し単位はスルホ基の一部が塩基性化合物で中和された形式の繰り返し単位(2m)の形で存在することも可能である。
(式中、R
1は水素原子又はメチル基である。R
14aは単結合、炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、−C(=O)−O−、又は−C(=O)−NH−である。R
14bは単結合又は炭素数1〜15のアルキレン基である。R
15a〜R
15dはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基である。R
15a〜R
15dは水素原子の一部又は全部がアルコキシ基によって置換されていてもよく、窒素原子、エーテル基、エステル基、ヒドロキシ基又はカルボキシル基を含むこともできる。R
15aとR
15b、R
15aとR
15bとR
15cは互いに結合してこれらが形成する窒素原子と共に炭素数5〜10の環を形成することができるが、その場合、R
15aとR
15b、R
15aとR
15bとR
15cはそれぞれアルキレン基であり、環内に窒素原子を含むこともできる。)
一般式(2m)の繰り返し単位の具体例としては下記のものが例示されるが、これらに限定はされない。
(式中、R
1、R
15a〜R
15dは前記と同様である。)
本発明の高分子化合物は、一般式(1)及び(2a)〜(2m)で表される繰り返し単位の組み合わせだけでも十分な性能を発揮できるが、更なる撥水性や滑水性の付与、アルカリ溶解性や現像液親和性のコントロールのため、更に下記一般式(3a)〜(3e)、(4a)〜(4e)、(5a)〜(5c)で表される繰り返し単位の1つ又は2つ以上を組み合わせて構成することも可能である。
(式中、R
15は炭素数1〜15の1価炭化水素基又はフッ素化1価炭化水素基である。R
16は密着性基である。R
17は酸不安定基である。R
18は単結合又は炭素数1〜15の2価の有機基である。R
19は水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。)
R15の炭素数1〜15の1価炭化水素基又はフッ素化1価炭化水素基としては、R8aと同様のものが用いられる。
R16の密着性基としては種々選定されるが、特に下記式で例示される基等であることが好ましい。
R17の酸不安定基としては、R8aで説明したものと同様のものが用いられる。
R18の炭素数1〜15の2価の有機基としては、既述した1価炭化水素基中の1個の水素原子を引き抜いた形式のもの(例えば、メチレン基やエチレン基)が用いられる他、下記式で例示される基等も用いることができる。
[重合性単量体化合物の合成・入手]
本発明のレジスト保護膜材料に用いる高分子化合物を合成する場合、一般式(1)、(2a)〜(2m)、(3a)〜(3e)、(4a)〜(4e)、(5a)〜(5c)で表される繰り返し単位に対応する重合性モノマーを用いて重合を行う。このうち、一般式(1)で表される繰り返し単位に対応する重合性モノマーは特願2011−72183号に記載の方法で合成する。また、一般式(2a)〜(2m)、(3a)〜(3e)、(4a)〜(4e)、(5a)〜(5c)で表される繰り返し単位に対応する重合性モノマーは、例えば、特許第4083399号公報、特開2010−106138号公報、特開2007−204385号公報、特開2009−29974号公報、特開2007−182488号公報、特開2006−152255号公報、特願2009−290054号、特開2007−284381号公報等に記載の方法で合成することができる他、市販されているものを使用することもできる。
[高分子化合物の合成]
本発明のレジスト保護膜材料に用いる高分子化合物を合成する場合、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等の開始剤を用いるラジカル重合、アルキルリチウム等を用いるイオン重合(アニオン重合)等の一般的重合手法を用いることが可能であり、これらの重合はその常法に従って実施することができる。このうち、高分子化合物の合成はラジカル重合により製造を行うことが好ましい。この場合、重合条件は開始剤の種類と添加量、温度、圧力、濃度、溶媒、添加物等によって支配される。
ラジカル重合開始剤としては特に限定されるものではないが、例として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル等のアゾ系化合物、tert−ブチルパーオキシピバレート、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシラウレート等の過酸化物系化合物、過硫酸カリウムのような水溶性重合開始剤、更には過硫酸カリウムや過酸化水素等の過酸化物と亜硫酸ナトリウムのような還元剤の組み合わせからなるレドックス系開始剤等が例示される。重合開始剤の使用量は種類や重合条件等に応じて適宜変更可能であるが、通常は重合させるべき単量体全量に対して0.001〜10モル%、特に0.01〜6モル%が採用される。
本発明のレジスト保護膜材料に用いる高分子化合物を合成する場合、分子量の調整のためにドデシルメルカプタンや2−メルカプトエタノールのような公知の連鎖移動剤を併用してもよい。その場合、これらの連鎖移動剤の添加量は重合させる単量体の総モル数に対して0.01〜10モル%であることが好ましい。
本発明のレジスト保護膜材料に用いる高分子化合物を合成する場合、一般式(1)、(2a)〜(2m)、(3a)〜(3e)、(4a)〜(4e)、(5a)〜(5c)で表される繰り返し単位に対応する重合性モノマーを混合し、上述の開始剤や連鎖移動剤を添加して重合を行う。
本発明のレジスト保護膜材料に用いる高分子化合物において、
一般式(1)の単位に対応するモノマーの総モル数をU1、
一般式(2a)〜(2m)の単位に対応するモノマーの総モル数をU2、
一般式(3a)〜(3e)、(4a)〜(4e)、(5a)〜(5c)の単位に対応するモノマーの総モル数をU3、
U0=U1+U2+U3
とした場合、
0<U1/U0≦1、より好ましくは0.05≦U1/U0≦0.5
0≦U2/U0<1、より好ましくは0.5≦U2/U0≦0.95
0≦U3/U0<1、より好ましくは0≦U3/U0≦0.4
である。
重合反応を行う際には、必要に応じて溶媒を用いてもよい。重合溶媒としては重合反応を阻害しないものが好ましく、代表的なものとしては、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の脂肪族又は芳香族炭化水素類、イソプロピルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤が使用できる。これらの溶剤は単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。重合溶媒の使用量は、目標となる重合度(分子量)、開始剤の添加量、重合温度等の重合条件に応じて適宜変更可能であり、通常は重合させる単量体の濃度が0.1〜95質量%、特に5〜90質量%になるように溶媒を添加する。
重合反応の反応温度は、重合開始剤の種類あるいは溶媒の沸点により適宜変更されるが、通常は20〜200℃が好ましく、特に50〜140℃が好ましい。かかる重合反応に用いる反応容器は特に限定されない。
このようにして得られた重合体の溶液又は分散液から、媒質である有機溶媒又は水を除去する方法としては、公知の方法のいずれも利用できるが、例を挙げれば再沈澱濾過又は減圧下での加熱留出等の方法がある。
本発明のレジスト保護膜材料に用いる高分子化合物の場合、重量平均分子量(Mw)が小さすぎるとレジスト材料とのミキシングや水への溶解が起こり易くなる。また、重量平均分子量が大きすぎるとスピンコート後の成膜性に問題が生じたり、アルカリ溶解性が低下し、現像欠陥の原因になることがある。その観点から、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量において1,000〜500,000、好ましくは2,000〜30,000であることが望ましい。
本発明のレジスト保護膜材料に用いる高分子化合物において、一般式(2b)のR8a、一般式(3c)、(4c)のR17については、後保護化反応により導入することも可能である。即ち、予めR8a、R17が水素のモノマーを重合して高分子化合物を合成後、下式に示すような後保護化反応により得られたポリマーの水酸基の一部又は全部をR8a、R17で置換する。
(式中、RはR
8a、R
17を表す。Xは塩素、臭素、ヨウ素である。)
後保護化反応では、水酸基の置換率目標値に対し1〜2当量の塩基をR8a、R17が水素の高分子化合物と反応させた後、塩基に対し1〜2当量のR−Xと反応させることにより、目的の後保護化高分子化合物を得ることができる。
後保護化反応の際に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類から選択して単独あるいは2種類以上を混合して用いることができる。また、塩基としては、水素化ナトリウム、n−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、トリエチルアミン、ピリジン等が挙げられるが、それらに限定されるものではない。
本発明のレジスト保護膜材料に用いる高分子化合物において、一般式(2m)の繰り返し単位中のアンモニウム塩はスルホ基と対応するアミンとの中和反応、又は下記一般式で表されるアンモニウム塩とのイオン交換反応によって得ることができる。
(式中、R
15a〜R
15dは前記と同様であり、L
-はOH
-、Cl
-、Br
-、I
-、Rb
9CO
2 -、NO
3 -である。)
本発明のレジスト保護膜材料に用いる高分子化合物に一般式(2m)の繰り返し単位を導入する場合、上述の中和反応やイオン交換反応はモノマーの段階で行うこともできるし、ポリマー合成後に実施することも可能である。ただし、ポリマー合成後に上記反応を行う場合、添加するアミン量が少ないとポリマーユニット内で均一にアミン塩が形成されず、それが原因でパターン形成時に局所的なブリッジ欠陥が発生することもある。このようなことを避けるため、モノマーの状態で中和反応もしくはイオン交換反応を行い、スルホン酸アミン塩が均一に分布したモノマーを用いて重合することが好ましい。
本発明のレジスト保護膜材料に用いる高分子化合物の一般式(2m)の繰り返し単位において、ポリマー全体におけるスルホ基とアミン化合物の中和量については、アミン当量が少なくスルホン酸残基があってもよいし、その逆でアミン過剰になっていてもよい。スルホン酸残基がある場合、フォトレジスト膜と組み合わせたときに現像後のレジストパターン間のブリッジを防ぐ効果があるのに対し、アミンが過剰な場合、レジストパターンの矩形性を向上させる効果がある。このようなことを踏まえ、スルホ基とアミンの量については現像後のレジストパターンを観察しながら適宜調整することができる。
[レジスト保護膜材料の調製]
本発明のレジスト保護膜材料において、高分子化合物中の一般式(1)で表される繰り返し単位は撥水性や滑水性において優れた性能を発揮する。更に、一般式(1)で表される繰り返し単位に加えて、一般式(2a)〜(2m)で表される繰り返し単位を組み合わせることにより、現像欠陥が少なく、パターン形状に優れるレジスト保護膜材料が実現する。
本発明のレジスト保護膜材料では、一般式(1)、(2a)〜(2m)、(3a)〜(3e)、(4a)〜(4e)、(5a)〜(5c)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を好ましく使用することができるが、膜の力学物性、熱的物性、アルカリ可溶性、撥水性能、滑水性能、その他の物性を変える目的で他の高分子化合物を混合することもできる。その際、混合する高分子化合物の範囲は特に限定されないが、レジスト保護膜用途の公知の高分子化合物等と任意の範囲で混合することができる。
本発明のレジスト保護膜材料は、上記高分子化合物を溶媒に溶解させて用いることが好ましい。この場合、スピンコーティング法による成膜性の点から、上記高分子化合物の濃度が0.1〜20質量%、特に0.5〜10質量%となるように溶媒を使用することが好ましい。
用いられる溶媒としては特に限定されないが、レジスト層を溶解させない溶媒が好ましく用いられる。レジスト層を溶解しない溶媒としては、例えば、炭素数4以上の高級アルコール、トルエン、キシレン、アニソール、ヘキサン、シクロヘキサン、デカン、エーテル化合物などの非極性溶媒等を挙げることができる。特に炭素数8〜12のエーテル化合物や炭素数4以上の高級アルコールが好ましく用いられ、具体的には、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−t−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテルなどのエーテル化合物、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。
一方、フッ素系の溶媒もレジスト層を溶解しないので好ましく用いることができる。このようなフッ素置換された溶媒を例示すると、2−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、4−フルオロアニソール、2,3−ジフルオロアニソール、2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、5,8−ジフルオロ−1,4−ベンゾジオキサン、2,3−ジフルオロベンジルアルコール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、2’,4’−ジフルオロプロピオフェノン、2,4−ジフルオロトルエン、トリフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタール、トリフルオロアセトアミド、トリフルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエチルブチレート、エチルヘプタフルオロブチレート、エチルヘプタフルオロブチルアセテート、エチルヘキサフルオログルタリルメチル、エチル−3−ヒドロキシ−4,4,4−トリフルオロブチレート、エチル−2−メチル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、エチルペンタフルオロベンゾエート、エチルペンタフルオロプロピオネート、エチルペンタフルオロプロピニルアセテート、エチルパーフルオロオクタノエート、エチル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、エチル−4,4,4−トリフルオロブチレート、エチル−4,4,4−トリフルオロクロトネート、エチルトリフルオロスルホネート、エチル−3−(トリフルオロメチル)ブチレート、エチルトリフルオロピルベート、S−エチルトリフルオロアセテート、フルオロシクロヘキサン、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブタノール、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−7,7−ジメチル−4,6−オクタンジオン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタフルオロペンタン−2,4−ジオン、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2−ペンタノール、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2−ペンタノン、イソプロピル4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、メチルパーフルオロデナノエート、メチルパーフルオロ(2−メチル−3−オキサヘキサノエート)、メチルパーフルオロノナノエート、メチルパーフルオロオクタノエート、メチル−2,3,3,3−テトラフルオロプロピオネート、メチルトリフルオロアセトアセテート、1,1,1,2,2,6,6,6−オクタフルオロ−2,4−ヘキサンジオン、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール、1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−1−デカノール、パーフルオロ(2,5−ジメチル−3,6−ジオキサンアニオニック)酸メチルエステル、2H−パーフルオロ−5−メチル−3,6−ジオキサノナン、1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロノナン−1,2−ジオール、1H,1H,9H−パーフルオロ−1−ノナノール、1H,1H−パーフルオロオクタノール、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクタノール、2H−パーフルオロ−5,8,11,14−テトラメチル−3,6,9,12,15−ペンタオキサオクタデカン、パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロトリヘキシルアミン、パーフルオロ−2,5,8−トリメチル−3,6,9−トリオキサドデカン酸メチルエステル、パーフルオロトリペンチルアミン、パーフルオロトリプロピルアミン、1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロウンデカン−1,2−ジオール、トルフルオロブタノール1,1,1−トリフルオロ−5−メチル−2,4−ヘキサンジオン、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール、3,3,3−トリフルオロ−1−プロパノール、1,1,1−トリフルオロ−2−プロピルアセテート、パーフルオロブチルテトラヒドロフラン、パーフルオロ(ブチルテトラヒドロフラン)、パーフルオロデカリン、パーフルオロ(1,2−ジメチルシクロヘキサン)、パーフルオロ(1,3−ジメチルシクロヘキサン)、プロピレングリコールトリフルオロメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルトリフルオロメチルアセテート、トリフルオロメチル酢酸ブチル、3−トリフルオロメトキシプロピオン酸メチル、パーフルオロシクロヘキサノン、プロピレングリコールトリフルオロメチルエーテル、トリフルオロ酢酸ブチル、1,1,1−トリフルオロ−5,5−ジメチル−2,4−ヘキサンジオン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノール、2−トリフルオロメチル−2−プロパノール,2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、3,3,3−トリフルオロ−1−プロパノール、4,4,4−トリフルオロ−1−ブタノール等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明のレジスト保護膜材料では、塩基性化合物を用いてパターン形状の補正などの性能改善を行うことができる。本発明のレジスト保護膜材料で用いる高分子化合物が繰り返し単位中に酸性水酸基を有する場合、レジスト膜中のクエンチャーの一部が保護膜層に移動する可能性がある。このようなクエンチャーの移動が起こるとレジスト最表面のクエンチャー濃度が低下し、現像後のレジストパターンが膜減りしてしまう。このようなクエンチャーの移動を避けるため、予め塩基性化合物をレジスト保護膜材料中に添加し、パターン形状の劣化を防ぐことができる。
ここで、塩基性化合物としては含窒素有機化合物が好適であり、1種又は2種以上の含窒素有機化合物を配合して用いることができる。このような含窒素有機化合物としては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アミド類、イミド類、カーバメート類等が挙げられ、その具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0149]〜[0163]に記載されている。塩基性化合物の使用量は、高分子化合物100質量部に対して0.001〜2質量部、特に0.01〜1質量部が好適である。
[パターン形成方法]
本発明におけるパターン形成方法では、少なくとも、基板上にフォトレジスト膜を形成する工程と、本発明のレジスト保護膜材料を用いて該フォトレジスト膜の上にレジスト保護膜を形成する工程と、露光する工程と、現像液を用いて現像する工程とを含むことが好ましい。
レジスト保護膜を形成する場合、プリベーク後のフォトレジスト膜上にレジスト保護膜材料溶液をスピンコートし、ホットプレート上で50〜150℃、1〜10分間、好ましくは70〜140℃、1〜5分間プリベークしてレジスト保護膜を形成する。膜厚は10〜500nmの範囲が好ましい。
スピンコート時にレジスト膜表面を予め溶媒で濡らした後にレジスト保護膜を塗布すると、保護膜材料のディスペンス量を減らすことができる。その際、レジスト表面を濡らす方法としては回転塗布法やベーパープライム法が挙げられるが、回転塗布法が一般的に用いられ、使用する溶媒としては、前述のレジスト膜を溶解させない高級アルコール、エーテル系、フッ素系溶媒の中から選択することができる。
露光工程では、目的のパターンを形成するためのマスクを上記のフォトレジスト膜上にかざし、遠紫外線、エキシマレーザー、X線等の高エネルギー線又は電子線を露光量1〜200mJ/cm2、好ましくは10〜100mJ/cm2となるように照射する。露光波長としては180〜250nmが好ましく、この際、レジスト保護膜と投影レンズの間に液体を挿入して行う液浸(Immersion)露光が好ましいが、特に限定されるものではなく、空気あるいは窒素雰囲気下でのドライ露光でもよいし、EB、EUVなどの真空中の露光でもよい。液浸露光の場合、180〜250nmの範囲の露光波長光源が好ましく、保護膜とレンズ間に挿入される液体として水が好ましく用いられる。
液浸露光においては、ウエハー裏面への水の回り込みや基板からの溶出を防ぐため、ウエハーエッジや裏面のクリーニングの有無、更にはそのクリーニング方法が重要である。例えば、レジスト保護膜をスピンコート後に40〜130℃の範囲で10〜300秒間ベークすることによって溶媒を揮発させることがある。また、ドライ露光でレジスト膜形成時に行うエッジクリーニングは、親水性の基板面のエッジ部分に水が残る場合があるため、液浸露光では好ましくないことがある。そのため、レジスト保護膜のスピンコート時にはエッジクリーニングをしないこともある。
露光後はホットプレート上で60〜150℃、1〜5分間、好ましくは80〜140℃、1〜3分間ポスト・エクスポジュアー・ベーク(PEB)を行う。PEBを行う際、レジスト保護膜上に水が残っていると、PEB中に水が保護膜を通過する可能性がある。その結果、レジスト膜中の酸が吸い出され、パターン形成ができなくなる場合がある。このようなことを避けるため、PEB前に保護膜上の水を完全に除去する必要がある。その方法としては、スピンドライによる方法、乾燥空気や窒素による保護膜表面のパージによる方法、ステージ上の水回収ノズルの形状や水回収プロセスの最適化などが挙げられる。また、本発明の保護膜材料のような撥水性と滑水性に優れる材料を設計及び利用することも水の分離に有効である。
PEBを行った後は、0.1〜5質量%、好ましくは2〜3質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、10〜300秒間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像を行う。アルカリ現像液は2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液が一般的に広く用いられている。本発明のレジスト保護膜材料を用いる場合、保護膜材料自体がアルカリ溶解性を示すため、現像を行うと同時にレジスト保護膜の剥離も行うことができる。
本発明のレジスト保護膜材料を用いたパターン形成方法においては、下層のレジスト材料は特に限定されない。レジスト材料の種類はポジ型、ネガ型のいずれでもよい。また、通常の炭化水素系の単層レジスト材料でも、珪素原子などを含んだ二層(多層)レジスト材料でもよい。
KrF露光におけるレジスト材料は、ベース樹脂としてポリヒドロキシスチレン又はポリヒドロキシスチレン−(メタ)アクリレート共重合体の、ヒドロキシ基あるいはカルボキシル基の水素原子の一部又は全てが酸不安定基で置換された重合体が好ましく用いられる。
ArF露光におけるレジスト材料は、ベース樹脂として芳香族を含まない構造が好ましく、具体的には(メタ)アクリル酸誘導体の共重合体;ノルボルネン誘導体と無水マレイン酸の交互共重合体;ノルボルネン誘導体、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸誘導体の共重合体;テトラシクロドデセン誘導体と無水マレイン酸の交互共重合体;テトラシクロドデセン誘導体、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸誘導体の共重合体;ノルボルネン誘導体とマレイミド誘導体の交互共重合体;ノルボルネン誘導体、マレイミド誘導体、(メタ)アクリル酸誘導体の共重合体;テトラシクロドデセン誘導体とマレイミド誘導体の交互重合体;テトラシクロドデセン誘導体、マレイミド誘導体、(メタ)アクリル酸誘導体の共重合体;ポリノルボルネン誘導体;及びメタセシス開環重合体から選択される1種あるいは2種以上の高分子化合物が好ましく用いられる。
繰り返し単位中に芳香環を含む材料は波長193nmに吸収を持つため、当初はArFレジスト材料に用いることができなかったが、レジスト膜の薄膜化に伴い吸収の影響が緩和され、適用が検討されるようになってきた。また、投影レンズのNAが1を超えると斜入射光による基板からの反射が増大するため、吸収のある芳香環を積極的に利用し、基板からの反射を抑えることが提案されている。この場合、ヒドロキシビニルナフタレン、側鎖にナフタレンやナフトール骨格を含むメタクリレート、フッ素化ヒドロキシスチレン、フルオロアルキルヒドロキシスチレン、フッ素化スチレン、フルオロアルキルスチレン、ヘキサフルオロイソプロパノールスチレン、ヘキサフルオロイソプロパノールインデンなどの共重合体を用いることができる。
本発明のレジスト保護膜材料はマスクブランクス用のパターン形成方法にも適用できる。即ち、SiO2、Cr、CrO、CrN、MoSi等のマスクブランクス基板上にフォトレジスト膜を塗布後、その上層に本発明のレジスト保護膜材料を用いてレジスト保護膜を形成する。この際、フォトレジスト膜とブランクス基板の間にSOG膜と有機下層膜を形成し、三層構造を形成してもよい。レジスト保護膜を形成後、電子ビーム描画機を用いて真空中電子ビームで露光し、露光後にポスト・エクスポジュアー・ベーク(PEB)を行い、アルカリ現像液で10〜300秒間現像を行うことによりパターンを形成する。
マスクブランクス用のレジスト材料は、ベース樹脂としてノボラックやヒドロキシスチレン等が主に用いられる。これらの樹脂中のアルカリ溶解性水酸基を酸不安定基で置換されたものがポジ型として、また架橋剤を添加したものがネガ型として用いられる。具体的には、ヒドロキシスチレンと(メタ)アクリル誘導体、スチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルピレン、ヒドロキシビニルナフタレン、ヒドロキシビニルアントラセン、インデン、ヒドロキシインデン、アセナフチレン、ノルボルナジエン類、クマロン、クロモン等を共重合した高分子化合物が好ましく用いられる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
[実施例/モノマー合成]
本発明のレジスト保護膜材料に用いる高分子化合物において、必須成分となる上記一般式(1)で表される繰り返し単位に対応する含フッ素環状アセタール単量体を以下に示す処方で合成した。
[モノマー合成例1−1]ヘミオルトエステル1の合成
フッ素化アルコール1(100g)、ピリジン(87g)及びアセトニトリル(300g)をフラスコに収め、20℃以下にて、トリフルオロ酢酸無水物(232g)を滴下した。室温で2時間撹拌後、反応溶液を水(300g)に注ぎ込み反応を停止し、通常の後処理操作を行った。減圧蒸留を行い、ヘミオルトエステル1(126g)を得た(収率87%、DMSO−d6)。
沸点:99℃/21kPa
IR(D−ATR):ν=3608、3435、1777、1403、1375、1281、1223、1175、1153、1079、1053、1024、991、969、955、929、903、870、777、754、746、739、723、638cm-1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=1.62(3H、m)、1.74(3H、m)、10.03(1H、s)ppm
19F−NMR(565MHz in DMSO−d6 トリフルオロ酢酸標準):δ=−84.76(3F,m)、−71.97(3F、m)、−70.02(3F、m)ppm
[モノマー合成例1−2]モノマー1の合成
[モノマー合成例1−1]で得られたヘミオルトエステル1(80g)、トリエチルアミン(40.2g)、4−ジメチルアミノピリジン(3g)及びアセトニトリル(160g)をフラスコに収め、20℃以下にて、メタクリル酸クロリド(31.2g)をアセトニトリル(80g)に溶解したものを滴下した。室温で4時間撹拌後、反応溶液を水(240g)、ヘキサン−ジエチルエーテル混合溶媒(混合比9/1、360g)中に注ぎ込み反応を停止し、通常の後処理操作を行った。減圧蒸留を行い、目的物(61g)を得た(収率75%)。
沸点:85℃/1.3kPa
IR(D−ATR):ν=1762、1639、1488、1459、1441、1383、1298、1253、1195、1158、1142、1110、1074、1021、1009、970、953、928、872、858、826、805、750、722、698、678、666、625cm-1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=1.71(3H、m)、1.74(3H、m)、1.89(3H、s)、5.96(1H、m)、6.13(1H、s)ppm
19F−NMR(565MHz in DMSO−d6 トリフルオロ酢酸標準):δ=−79.59(3F、m)、−72.16(3F、m)、−69.97(3F、m)ppm
[モノマー合成例2]モノマー2の合成
メタクリル酸クロリドの代わりにアクリル酸クロリドを使用した以外は、[モノマー合成例1−2]と同様の方法でモノマー2を得た(収率83%)。
[モノマー合成例3]モノマー3の合成
メタクリル酸クロリドの代わりにα−トリフルオロメチルアクリル酸クロリドを使用した以外は[モノマー合成例1−2]と同様な方法でモノマー3を得た(収率80%)。
[モノマー合成例4]モノマー4の合成
トリフルオロ酢酸無水物の代わりにペンタフルオロプロピオン酸無水物を使用した以外は、[モノマー合成例1−1]と同様の方法でヘミオルトエステルを合成後、[モノマー合成例1−2]と同様な方法を用いてモノマー4を得た(2工程収率71%)。
フッ素化アルコール1の代わりにフッ素化アルコール2を使用した以外は[モノマー合成例1]と同様の方法でモノマー5を得た(2工程収率70%)。
沸点:44〜45℃/15Pa
IR(D−ATR):ν=2970、2935、2888、1761、1639、1456、1440、1406、1382、1296、1249、1208、1166、1123、1102、1073、1021、998、978、950、929、906、871、804、750、718、694、640、602cm-1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=1.65(1H、m)、1.74〜1.95(4H、m)、1.88(3H、s)、2.16〜2.19(3H、m)、5.96(1H、m)、6.13(1H、s)ppm
19F−NMR(565MHz in DMSO−d6 トリフルオロ酢酸標準):δ=−80.34(3F、m)、−73.10(3F、m)、−71.29(3F、m)ppm
[モノマー合成例6−1]モノマー6の合成(経路1)
メタクリル酸クロリドの代わりにメタクリロイルオキシ酢酸クロリドを使用した以外は[モノマー合成例1−2]と同様な方法でモノマー6を得た(収率72%)。
沸点:72℃/11Pa
IR(D−ATR):ν=1810、1733、1639、1487、1455、1421、1403、1385、1321、1298、1253、1197、1158、1146、1119、1084、1061、1018、995、971、952、857、814、751、722、689、672、650、616、603、585、568cm-1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=1.75(6H、m)、1.90(3H、m)、4.97(2H、m)、5.81(1H、m)、6.12(1H、m)ppm
19F−NMR(565MHz in DMSO−d6 トリフルオロ酢酸標準):δ=−80.11(3F、m)、−72.07(3F、s)、−69.63(3F、m)ppm
[モノマー合成例6−2]モノマー6の合成(経路2)
上記式中に示す別法(経路2)を用いてモノマー6を合成した。
[モノマー合成例6−2−1]ハロエステルの合成
メタクリル酸クロリドの代わりに2−クロロ酢酸を使用した以外は[モノマー合成例1−2]と同様な方法でハロエステルを得た(収率64%)。
沸点:102℃/13Pa
IR(D−ATR):ν=1809、1791、1488、1412、1403、1384、1299、1235、1197、1159、1143、1118、1081、1018、996、971、925、858、838、810、755、722、677、631、616、558cm-1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=1.65(1H、m)、1.75(6H、m)、4.68(2H、s)ppm
19F−NMR(565MHz in DMSO−d6 トリフルオロ酢酸標準):δ=79.97(3F、m)、−72.14(3F、s)、−69.73(3F、m)ppm
[モノマー合成例6−2−2]モノマー6の合成
ハロエステル(80g)、メタクリル酸(34.5g)、N、N−ジメチルホルムアミド(240g)をフラスコに収め、20℃以下にて、トリエチルアミン(30.4g)を滴下した。室温で4時間撹拌を行い、[モノマー合成例1−2]と同様な方法で後処理を行いモノマー6を得た(収率74%)。
[モノマー合成例7]モノマー7の合成
メタクリル酸クロリドの代わりにアクリロイルオキシ酢酸クロリドを使用した以外は[モノマー合成例1−2]と同様な方法でモノマー7を得た(収率74%)。
[モノマー合成例8]モノマー8の合成
トリフルオロ酢酸無水物の代わりにペンタフルオロプロピオン酸無水物を使用し、メタクリル酸クロリドの代わりにメタクリロイルオキシ酢酸クロリドを使用した以外は[モノマー合成例1]と同様な方法でモノマー8を得た(収率69%)。
[モノマー合成例9]モノマー9の合成
ヘミオルトエステル1の代わりに上記[モノマー合成例5]記載のヘミオルトエステル2を使用し、メタクリル酸クロリドの代わりにメタクリロイルオキシ酢酸クロリドを使用した以外は[モノマー合成例1−2]と同様な方法でモノマー9を得た(収率73%)。
[実施例/ポリマー合成]
本発明の高分子化合物を以下に示す処方で合成した。なお、実施例中における“GPC”はゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーのことであり、得られた高分子化合物の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)はGPCによりポリスチレン換算値として測定した。
[ポリマー合成例1]ポリマー1の合成
窒素雰囲気下のフラスコに10.70gのモノマー6、4.59gのメタクリル酸4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−2−メチル−3−トリフルオロメチルブタン−2−イル、0.45gの2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、15gのトルエン−メチルエチルケトン混合溶媒(混合比9/1)を投入して単量体溶液を調製し、溶液温度を20〜25℃とした。窒素雰囲気下の別のフラスコに7.5gのトルエン−メチルエチルケトン混合溶媒(混合比9/1)を投入し、撹拌しながら80℃まで加熱した後、上記単量体溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、重合液の温度を80℃に保ったまま2時間撹拌を続け、熟成終了後に室温まで冷却した。重合液を150gのヘキサン中に滴下した。析出した共重合体を濾別後、90gのヘキサンで洗浄し、白色固体を分離した。白色固体を50℃で20時間真空乾燥して、下記式ポリマー1で示される白色粉末固体状の高分子化合物が得られた。収量は11.6g、収率は74%であった。
[ポリマー合成例2〜18、比較ポリマー合成例1〜3]ポリマー2〜18及び比較ポリマー1〜3の合成
各単量体の種類、配合比を変えた以外は、上記[ポリマー合成例1]と同様の手順により、表1に示した樹脂を製造した。表1において各単位の構造を表2に示す。なお、導入比はモル比である。
[実施例/レジスト保護膜の基礎性能評価]
上記ポリマー1〜18及び比較ポリマー1〜3を1.0g(固形分換算)、ジイソペンチルエーテル/2−メチル−1−ブタノール(重量比=92/8)の混合溶媒42.0gに溶解させ、それぞれ0.1μmサイズのテフロン(登録商標)フィルターで濾過し、レジスト保護膜溶液を作製した(TC−1〜18、比較TC−1〜3)。
得られたレジスト保護膜溶液をシリコン基板上にスピンコートし、90℃で60秒間ベークした後、50nm膜厚のレジスト保護膜(TC−1〜18、比較TC−1〜3)を作製した。その後、この保護膜が塗布されたウエハーを用いて、(1)分光エリプソメトリ(J.A.ウーラム(株)製)による屈折率測定(波長193nm)、(2)純水リンス(5分間)後の膜厚変動、(3)2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液による現像後の膜厚変動、(4)上記傾斜法接触角計Drop Master 500(協和界面科学(株)製)を用いた転落角と後退接触角の測定を行った。以上の結果を表3に示す。
一般に転落角が低いほど保護膜上の水は流動し易く、後退接触角が高いほど高速スキャン露光でも液滴が残りにくい。表3に示すように、本発明の高分子化合物を用いたレジスト保護膜は比較ポリマーと比べて転落角が低く、後退接触角も高い。また、純水リンス後の膜厚変動もないため、保護膜内に水が染み込むこともなく、高速液浸露光において保護膜上に残る水滴の量を最小限に抑えることができる。更に、アルカリ現像後の膜厚がゼロであるため、露光後に現像液と共に保護膜を除去できることがわかる。
[実施例/露光評価]
下記に示すResist Polymerを5g、PAG1を0.5g、Quencher1を0.1g用い、これらを150gのプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解させ、0.1μmサイズのテフロン(登録商標)フィルターで濾過し、レジスト溶液を作製した。
シリコン基板上に反射防止膜ARC−29A(日産化学工業(株)製)を成膜後(膜厚は100nm)、その上に上記レジスト溶液を塗布し、105℃で60秒間ベークして膜厚90nmのレジスト膜を作製した。その上に上述のレジスト保護膜材料を塗布し、90℃で60秒間ベーク後、ArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−S610C、NA=1.30、クロスポール照明(ブレード角70度)、6%ハーフトーン位相シフトマスク)を用いて液浸露光を行った。露光後、100℃で60秒間ベーク(PEB)を施した後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液を用いて60秒間現像を行った。得られたウエハーを割断し、50nmライン・アンド・スペースのパターン形状、感度を比較した。更には、現像後のレジスト膜上に5μlの水滴を滴下し、レジスト界面と水滴界面の接触角を測定した。これらの結果をまとめて表4に示す。
表4に示す通り、保護膜なしで露光を行った場合、パターン形状はT−トップ形状になった。これは発生した酸が現像後のリンス水に溶解したためと考えられる。一方、本発明の保護膜材料を用いた場合、現像後のレジストパターンはいずれも矩形形状であった。
[実施例/欠陥評価]
上記露光実験で用いたレジスト保護膜を0.02μmサイズの高密度ポリエチレンフィルターで精密濾過した。8インチのシリコン基板上に反射防止膜ARC−29A(日産化学工業(株)製)を成膜後(膜厚は100nm)、その上にレジスト溶液を塗布し、105℃で60秒間ベークして膜厚90nmのレジスト膜を作製した。その上にレジスト保護膜を塗布し、90℃で60秒間ベークした。ArFスキャナーS307E((株)ニコン製、NA0.85 σ0.93、Crマスク)でウエハー全面を20mm角の面積でオープンフレームの露光部と未露光部を交互に露光するチェッカーフラッグ露光を行った後、ポスト・エクスポジュアー・ベーク(PEB)を行い、2.38質量%のTMAH水溶液で60秒間現像を行った。チェッカーフラッグの未露光部分の欠陥個数を欠陥検査装置WinWin−50−1200((株)東京精密製)を用いてピクセルサイズ0.125μmで計測した。未露光部のレジスト表面に発生した欠陥はシミ状欠陥であり、ブロッブ欠陥に分類される。結果を表5に示す。この結果より、一般式(1)の繰り返し単位を含む高分子化合物を用いたレジスト保護膜材料は比較例の保護膜材料より欠陥数が少ないことがわかる。
[実施例/電子線露光評価]
電子ビーム描画の評価では、ラジカル重合で合成した下記のEB Polymer(90質量部)、下記PAG2(10質量部)及びQuencher2(0.4質量部)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、700質量部)と乳酸エチル(EL、300質量部)に溶解させた後、0.02μmサイズの高密度ポリエチレンフィルターで濾過してポジ型レジスト材料を調製した。
得られたポジ型レジスト材料を直径6インチ(150mm)のSi基板上にクリーントラックMark5(東京エレクトロン(株)製)を用いてスピンコートし、ホットプレート上110℃で60秒間プリベークして200nmのレジスト膜を作製した。その上に上述のレジスト保護膜材料(TC−1〜6)を塗布し、100℃で60秒間ベークした。このウエハーを用いて、HL−800D((株)日立製作所製)を用いてHV電圧50keVで真空チャンバー内描画を行った。その後、真空チャンバー内に20時間放置し、描画場所を変えて更に追加で描画を行った。描画後直ちにクリーントラックMark5(東京エレクトロン(株)製)を用いてホットプレート上90℃で60秒間ポスト・エクスポジュアー・ベーク(PEB)を行い、2.38質量%のTMAH水溶液で30秒間パドル現像を行い、ポジ型のパターンを得た。
次に、測長SEM(S−7280、(株)日立製作所製)を用いて真空中で放置する際の寸法変動量を次の方法で求めた。即ち、0.12μmのライン・アンド・スペースを1:1で解像する露光量で、現像直前と20時間後における0.12μmのライン・アンド・スペースのライン寸法の差を求め、寸法変動量とした。寸法変動量において、プラスは真空中放置によってレジスト感度が高感度化、マイナスは低感度化に変動であることを示す。結果を表6に示す。
電子線露光においては、本発明のレジスト保護膜(TC−1〜6)を適用することにより、露光後の真空放置における寸法変動に対する安定性が向上した。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。