JP5580052B2 - 腎機能低下治療用アルカリホスファターゼ薬剤 - Google Patents

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Description

本発明は、医療分野、特に、腎機能低下などの腎疾患の治療におけるアルカリホスファターゼの用途に関するものである。本発明は、また、製薬分野、特に、アルカリホスファターゼの医薬用途に関するものである。
腎機能の低下をもたらし得る多くの腎疾患がある。急性腎不全(ARF)は、腎機能低下をもたらす腎障害の一つである。本発明の範囲を限定することなく、ARFをより詳細に検討する。
急性腎不全(ARF)は、血清クレアチニン濃度の増加をもたらす腎機能の急性欠損として定義される。
ある地域で得たARFの年間発生率は、人口100万人当たり、およそ100症例であり、ARFは、症状を呈して入院時に診断されるのは、わずか1%である。他方、入院後に発生するARFは、入院の4%及び救命救急入院の20%の多さである。入院後のARFのこの発生率の増大には、多くの要因があり、ARFの危険性が増大する高齢集団、病院内においてあり得る腎毒性曝露の高有症率、及び疾病の重症度の増加に関連する。
主に、罹患した患者が高齢化してより多くの同時罹患病態を有しているため、この40年間にわたって、急性腎不全の生存率は改善されていない。腎不全の重症度に依って、死亡率は、7パーセントから80パーセントの高さまでの範囲であり得る。
急性腎不全において、糸球体濾過速度は、数日から数週間に低下する。その結果、窒素廃棄物の排泄が減少し、体液と電解質のバランスを維持することができない。急性腎不全患者は、無症状であることが多く、この病態は、血中尿素窒素(BUN)の上昇及び血清中クレアチニン濃度の観察によって診断される。血清中クレアチニン濃度が1日1dL当たり少なくとも0.5mg(1日1L当たり、44μmolに等しい)上昇し、尿排出量が1日当たり400mL未満(尿量過少)の場合、完全な腎機能停止を呈する。
病態生理学:糸球体濾過の駆動力は、糸球体からボーマン腔への圧力勾配である。糸球体圧は、主に、腎血流量(RBF)に依存し、求心性及び遠心性の腎細動脈の複合抵抗力によって制御される。ARFの原因に関わらず、RBFの減少は、糸球体濾過速度(GFR)低下に関する一般的な病理学的経路を表す。ARFの病因は、3つの主要な機序を含む。
・腎前性不全は、尿細管及び糸球体の正常な機能を有する病態によって定義される。腎前性の急性腎不全における問題は、真の血管内減耗の結果としての腎血流量の減損、腎臓への有効循環容量の減少又はGFR抑制の結果として腎血流を損なう薬剤である。
・内因性急性腎不全は4種類:尿細管疾患、糸球体疾患、血管疾患及び間質性疾患に細分化される。内因性急性腎不全では、腎臓の実質組織が損傷されている。
・閉塞後腎不全は、まず、尿細管圧の増加をもたらし、濾過駆動力を低下させる。腎後性急性腎不全は、両方の尿流出路が閉塞した場合、又は単一の腎臓の流出路が閉塞した場合にのみ生じ得る。この病態は、下方の尿管の閉塞によることが最も多い。
腎前性不全
腎前性急性腎不全を引き起こす主要な薬剤は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤及び非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)である。ACEの阻害は、アンジオテンシンIからアンジオテンシンIIへの変換を阻止し、アンジオテンシンIIのレベル減少を導く。アンジオテンシンIIは、遠心性細動脈の狭窄を引き起こすことにより、糸球体濾過速度を増加させるが;それが存在しないと、遠心性細動脈の拡張のために糸球体濾過速度が低下する。
内因性急性腎不全
尿細管疾患
RBF抑制を介した急性尿細管壊死は、入院患者における内因性急性腎不全の最も一般的な原因である。腎血流量の減少は、腎実質における虚血を引き起こす。この虚血が長引くと急性尿細管壊死が発現し得る。この初期虚血傷害により、RBFの回復後にも細胞傷害を継続して生じさせる酸素フリーラジカル及び酵素の産生がもたらされる。尿細管細胞の損傷は、細胞間の密着帯の破壊をもたらし、糸球体濾液の後漏れを許し、更に有効GFRを低下させる。更に、死滅細胞は、尿細管内に管崩れして閉塞性のキャストを形成し、それが更にGFRを低下させ、尿量過少に至る。虚血性の急性尿細管壊死は、しばしば可逆的であるが、虚血が皮質壊死を引き起こすほど十分重症であると、不可逆的な腎不全が生じ得る。
急性尿細管壊死には、3つの段階がある。初期段階では、腎傷害が進展し、それが数時間から数日間続く。数日から数週間続く維持段階では、糸球体濾液速度がその最下点に達し、尿の排出は最低である。回復段階は、急性尿細管壊死後の多尿と共に始まることが多く、数日間続く。過剰な尿排出からの血液量減少がこの段階の問題である。尿産生の回復にも関わらず、尿細管機能が完全に回復していないため、患者は、尿毒症ならびに電解質と酸とのホメオスタシスに依然として困難を有し得る。
糸球体疾患
ARFに至る最も一般的な糸球体疾患は、糸球体腎炎である。糸球体腎炎は、高血圧、タンパク尿及び血尿が特徴である。多くのタイプの糸球体腎炎の中で、たいていは慢性腎疾患に関連している。一般に、急性腎不全を引き起こす2つのタイプの糸球体腎炎は、急速進行性糸球体腎炎及び急性増殖性糸球体腎炎である。後者のタイプは、細菌性心内膜炎又は他の感染後病態に罹っている患者に生じる。
血管疾患
微小血管疾患又は大血管疾患(腎大動脈閉塞又は重症の腹大動脈疾患)は、急性腎不全を引き起こし得る。
間質疾患
急性間質腎炎は、通常、発熱、発疹及び好酸球増加を呈する。好酸球増加に陽性な尿染色は、この病態を示唆する。急性間質腎炎は、通常、薬剤に対するアレルギー反応の結果であるが、自己免疫疾患、感染又は浸潤性疾患によっても生じ得る。
ARFからの回復は、まず、RBFの回復に依存する。RBFの早期正常化によって、腎機能の回復に関するより良好な予後が予測される。腎前性不全では、循環血液容量の回復で通常十分である。腎後性不全における尿閉塞の速やかな軽減により、血管狭窄の迅速な減少がもたらされる。内因性腎不全では、血液容量の回復のみでは、腎機能は回復しない。
尿細管毒素の除去ならびに糸球体疾患及び尿細管疾患に対する療法を開始することにより、腎臓の求心性血管狭窄が減少し、ARFを反転させ得る。初期の治療は、急生腎不全の原因を探索しながら、体液と電解質とのバランス及び尿毒症を補正することに焦点を当てるべきである。容量の減損した患者は、生理食塩水によって蘇生させる。しかしながら、多くの場合、特に、患者が乏尿症又は無尿症の場合は、容量のオーバーロードが存在する。
現在の治療の一例は、フロセミド(Furosemide)(Lasix)の静脈内投与である。現在の治療の他の一例は、カルシウムの静脈内投与である。カリウムは、インスリン(10単位)及びグルコース(25g)、ベータアゴニストの吸入又は重炭酸ナトリウムの静脈内投与を用いて、細胞内区画内に一時的に移動することができる。カリウムの排泄は、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(Kayexalate)及び/又は利尿剤によって達成される。
ポリスチレンスルホン酸ナトリウムは、経口で(20パーセントのソルビトール100mLと混合した25〜50g)又は浣腸として(70パーセントのソルビトール50mL及び150mLの水道水中、50g)投与される。これらの処置によって、カリウムレベルが制御されない場合は、透析を開始する。
血清中重炭酸塩レベルが1L当たり15mEq(1L当たり15mmol)未満又はpHが7.2未満の場合、アシドーシスは、一般に、重炭酸ナトリウムの静脈内投与又は経口投与によって処置される。患者は、また、重炭酸ナトリウムの錠剤、30mL中ショール(Shohl)溶液用量又は重炭酸ナトリウムの散剤によって経口処置することもできる。血清中重炭酸塩レベル及びpHは、綿密に追跡する必要がある。難治性のアシドーシスには、透析が必要である。
全ての薬剤を精査し、それらの投与量を、薬剤の糸球体濾過速度及び血清中レベルに基づいて調整する必要がある。
20パーセントと60パーセントとの間の患者は、特に、BUNが1dL当たり100mg(尿素1L当たり35.7mmol)を超え、かつ血清中クレアチニン濃度が1dL当たり5mg〜10mg(1L当たり442μmol〜884μmol)の範囲を超える場合は、短期間の透析を必要とする。透析の指標としては、薬理学的療法に応答しないアシドーシス又は電解質の乱れ、利尿剤に応答しない体液のオーバーロード、及び尿毒症が挙げられる。進行性の急性腎不全に罹っている患者では、腎臓科医による緊急診察が指示される。
Hendrix PG,Hoylaerts MF,Nouwen EJ and De Broe ME.Enzyme immunoassay of human Placental and germ−cell alkaline phosphatase in serum.Clin.Chem 1990;36(10):1793−1799。 Le Du M−H,Millan JL.Structural evidence of functional divergence in human alkaline phosphatases.J Biol Chem 2002;51:49808−49814。 Heemskerk S,Pickkers P,Bouw MP,Draisma A,van der Hoeven JG,Peters WH et al. Up−regulation of renal inducible nitric oxide synthse during human endotoxemia and sepsis is associated with proximal tubule injury.Clin J Am Soc Nephrol 2006;1:853−62。 Moshage H,Kok B,Hunizenga JR、Jansen PL,Nitrite and nitrate determinations in plasma:a critical evaluation.Clin.Chem.1995;41(6Pt1):892−6。 Mulder TP,Peters WH,Court DA,Jansen JB.Sandwich ELISA for glutathone S−transferase Alpha 1−1:plasma concentrations in controls and in patients with gastrointestinal disorders.Clin.Chem.1996;42(3):416−9。 Mulder TP,Peters WH,Wobbes T,Witteman BJ,Jansen JB.Measurement of glutathiones S−transferase P1−1 in plasma:pitfalls and significance of screening and follow−up of patients with gastrointestinal carcinoma.Cancer 1997;80(5):873−80。
上記の処置のいくつかにより、(部分的な)腎臓機能の回復がもたらされる。他の処置では、非処置の人に比較して機能の改善がもたらされる。しかしながら、依然として処置が求められている。
本発明の目的は、特に、腎機能が少なくとも部分的に障害された/低下した症例に、腎機能を改善するための処置を可能にすることである。
本発明は、腎機能が低下している状態を改善するために、アルカリホスファターゼを用いた処置を可能にする。
施形態において、本発明は、低下した腎機能改善用アルカリホスファターゼ(AP)薬剤を提供する。
用語「改善」とは、腎機能の低下を緩徐化する、停止させる、又は少なくとも部分的に減少させることを含む。
用語「腎機能の低下」とは、一般に、前記パラメーターの公認値、又は平均値(検査の)に対して少なくとも1つの腎臓関連パラメーターの値を比較することにより、腎機能が低下している状態を言うために用いられる。例えば、対象(好ましくはヒト)の尿中タンパク質の量が、公認値、又は平均値(検査の)を(有意に)超えている場合、前記の人は、「腎機能が低下している」と言われる。
対応する分析は、検査室において実施することができるが、自宅内においても実施することができる。例えば、2006年9月からオランダ「Nierstichting」は、腎臓が適切に機能しているかどうかを試験するために自宅で実施することのできる簡便な試験(Niercheckと呼ばれる)を紹介している。この試験は、尿中タンパク質の量に関するものである。
試験することのできるパラメーターの他の例は、糸球体濾過速度(GFR)、血清中クレアチニン濃度、電解質の乱れ、尿の産生量、血中尿素窒素(BUN)、カルシウム、リン、アルブミンレベル、又は尿中の赤血球及び白血球である。実施できる他の試験は、全血球数の差異である。患者である可能性のある人は全て、以下の尿試験を行うことが好ましい:ディップスティック試験、顕微鏡検査、ナトリウムレベル及びクレアチニン濃度、及び尿浸透圧重量モル濃度の判定。
本明細書の実験部分に開示されているように、RNA分子の存在下又は非存在下で尿サンプルを分析することも可能である。前記RNA分子は、mRNA分子であることが好ましい。前記mRNA分子は、iNOS mRNAであることがより好ましい。最も好ましい実施形態においては、前記RNAは、尿に分泌された腎細胞から得られる。
上記の分析に基づいて、対象(好ましくは、ヒト)は、腎機能が低下しているかどうかが判定される。GFRの減少又は血清中クレアチニン濃度の上昇又は尿産生量の減少又はそれらのいずれかの組み合わせが、例えば、被験対象が、本明細書に記載された治療を必要としているという強力な指標である。
したがって、本明細書に記載された使用に先立って、例えば、腎機能が低下している疑いのある対象からサンプルを採取し、前記サンプルを、上記の所与のパラメーター(又はそれらの組み合わせ)に関して分析し、得られた結果を平均値又は公認値と比較することを含む分析ステップがあり得る。
好適なサンプルの例は、尿サンプル又は血液サンプルである。尿サンプル及び/又は血液サンプルの分析に伴って、更に腎臓の超音波検査があり得る。好ましい実施形態において、この分析は、医師の責任により、又は医師の責任下で実施される。腎機能の低下が明らかになれば、すぐに本発明による治療が開始される。
腎機能の低下は、種々の障害の結果であり得る。腎機能の障害は、多くの場合、患者に認識されず、医療上の注意が引かれず、診断されないままの軽度の無症状疾患をもたらす。腎機能障害のこのような軽度のエピソードの発生及び罹患は不明であるが、相当に多いと考えられる。しかし、このような軽度の機能障害は、重大な問題へと進展する可能性があるため、早期治療(例えば、本明細書に記載された)は重要である。
好ましい実施形態において、本発明は、腎機能が腎不全によって低下している腎機能低下改善するためのアルカリホスファターゼ(AP)薬剤を提供する。腎不全は、腎臓が適切に機能できない病態である。生理学的に、腎不全は、糸球体濾過速度の低下として記述される。臨床的に、これは、血清中クレアチニンの上昇に顕れる。これは、大きく2つのカテゴリー:急性腎不全及び慢性腎不全に分けることができる。
慢性腎不全(CRF)は、徐々に発現し、最初はあまり症状を示さない。これは、糸球体腎炎、慢性腎盂腎炎及び尿閉などの多数の腎疾患の合併症であり得る。末期腎不全(ESRF)は、その究極的結果であり、この場合、腎臓移植のドナーが見つかるまで、一般に、透析が必要である。急性腎不全では、腎臓の機能はほとんど完全に無くなっている。好ましい実施形態において、前記腎不全は、急性腎不全である。
急性腎不全(ARF)は、その名が示すように、急速に進行する腎機能の欠損であり、一般に、尿量過少(成人では1日当たり400mL未満、小児では0.5mL/kg/時間未満、乳児では1mL/kg/時間未満として定量化された尿産生の減少)、体内水分及び体液の乱れ及び電解質の乱れを特徴とする。
急性腎不全の患者は、病態が重篤であるため、一般に入院する。現在、その進行を阻止するために、基礎的原因を特定する必要があり、これらの基礎的原因の処置に、必要な時間間隔の橋渡しのために、透析が必要であり得る。本発明に基づいたアルカリホスファターゼによる療法は、基礎的原因を知ることなく、また貴重な時間を無駄にすることなく、直ちに開始することができる。
好ましい実施形態において、本発明は、腎機能の低下が腎不全により誘導されているか、持続されているか、又は悪化している、腎不全が急性腎不全である腎機能低下を改善するためのアルカリホスファターゼ(AP)薬剤を提供する。すなわち、好ましい実施形態において、本発明は、急性腎不全(ARF)により誘導されているか、又は持続されているか、又は悪化している腎機能低下を治療するためのアルカリホスファターゼ(AP)薬剤を提供する。
急性腎不全は、慢性腎不全の端緒に存在し得る。これは、慢性端緒急性腎不全(AoCRF)と称される。AoCRFの急性部分は、可逆的であり、治療の目標は、患者を、一般的には、血清中クレアチニンによって測定される患者のベースラインの腎機能に戻すことである。したがって、更に別の実施形態において、本発明は、慢性端緒急性腎不全により腎機能が(更に)低下している腎機能低下を改善するためのアルカリホスファターゼ(AP)薬剤を提供する。
更に、別の好ましい実施形態において、腎機能低下は、可逆的である。すなわち、腎機能は、本発明による処置によって少なくともいくらか改善することができる。
Agrawal and Swartz,American Family Physician,April,2000 volume61,7;cover storyによって詳述されているように、急性腎不全の原因は、ステップバイステップ式のアプローチを用いて判定することができる。この論文に基づき、当業者は、患者を3つのARFのカテゴリーのいずれかに細分する、すなわち、患者が患っているのは、腎前性ARFか、内因性ARFか、又は腎後性ARFかを判定することが十分可能である。
例えば、内因性ARFの診断は、一般に、示唆的病歴及び医師の所見、3%超のナトリウム画分排泄、250〜300mOsmの尿浸透圧、活性尿沈降物の際に判定される。内因性急性ARFでは、腎実質が損傷している。尿細管細胞に対する損傷は、一定の尿顕微鏡所見に至る。実質の損傷は、ナトリウム再吸収の障害を引き起こし、3%超のナトリウム画分排泄及び250〜300mOsmの尿浸透圧などの上記パラメーターをもたらす。内因性急性腎不全は、4つのカテゴリー:尿細管疾患、糸球体疾患、血管疾患及び間質性疾患に細分化される。
急性尿細管壊死は、入院患者における内因性急性腎不全の最も一般的な原因である。この病態は、通常、虚血によって誘導される。虚血性急性尿細管壊死では、腎前性急性腎不全とは違って、糸球体濾過速度は、腎血流の回復によって改善しない。虚血性急性尿細管壊死は、可逆的であることが多いが、虚血が皮質の壊死を引き起こすほど十分重症であれば、不可逆的な腎不全が生じ得る。
造影剤及び抗生物質、特に、アミノグリコシド系は、急性尿細管壊死に関連していることが最も多い薬剤である。この病態は、また、ミオグロビン尿症(横紋筋融解症)又はヘモグロビン症(溶血)からの色素によっても生じ得る。急性尿細管壊死には、3つの段階がある。腎傷害は、数時間から数日続く初期段階の間に進展する。数日から数週間続く維持段階では、糸球体濾過速度は、その最下点に達し、尿排出量は、最低である。
回復段階は、数日続くが、急性尿細管壊死後多尿と共に始まることが多い。尿排出量過剰からの血液量減少が、この段階における懸念事項である。尿産生の回復に関わらず、尿細管の機能が完全には回復していないため、患者は、尿毒症及び電解質と酸とのホメオスタシスにまだ困難を有し得る。急性尿細管壊死の全段階を通じて、入念なモニタリングが指示される。急性尿細管壊死の危険性を有する患者としては、糖尿病、鬱血性心不全又は慢性腎機能不全に罹っている患者が挙げられる。
急性尿細管壊死は、虚血性又は腎前性急性腎不全の可逆的病因を有する患者を直ちに治療することにより、防ぐことができる。いったん急性尿細管壊死が発現したら、療法により支持する。マンニトール、ループ利尿薬、ドーパミン及びカルシウムチャネル遮断剤などの薬物は、動物における利尿促進にはいくらか好い成果を示すが、同様な結果は、ヒトでは得られていない。
好ましい実施形態において、本発明は、腎機能が、腎不全、好ましくは、急性腎不全により低下しており、前記腎機能低下が内因性急性腎不全、好ましくは、急性尿細管壊死により誘導されているか、又は持続されているか、又は悪化している腎機能低下を改善するためのアルカリホスファターゼ(AP)薬剤を提供する。すなわち、本発明は、また、急性尿細管壊死を治療するためのアルカリホスファターゼ(AP)薬剤を提供する。
糸球体腎炎は、高血圧、タンパク尿及び血尿を特徴とする。糸球体腎炎は、一般的に、糸球体の炎症として説明される。多くのタイプの糸球体腎炎のうちで、たいていは慢性腎疾患に関連している。一般に、急性腎不全を引き起こす糸球体腎炎の2つのタイプは、急速進行性糸球体腎炎及び急性増殖性糸球体腎炎である。
後者のタイプは、細菌性心内膜炎又は他の感染後病態に罹っている患者に発生する。急速進行性糸球体腎炎は、一時的障害であり得るか、又は全身性疾患に二次的に生じ得る。この病態が疑われる場合は、血清学的マーカー又は腎生検により、治療可能な全身性疾患を探索する必要がある。急速進行性糸球体腎炎に罹っている患者では、腎機能は急速に低下し、数日から数週間のうちに最終段階の腎疾患が発現し得る。
急速進行性糸球体腎炎患者は、通常、グルココルチコイド及びシクロホスファミド(Cytoxan)によって治療される。血漿交換は、グッドパスチャー症候群を有する患者には有益であると考えられるが、他のタイプの糸球体腎炎に罹っている患者において、利益は実証されていない。
また、このタイプのARFは、アルカリホスファターゼを用いて治療することもでき、したがって、好ましい実施形態において、本発明は、腎機能が、腎不全、好ましくは、急性腎不全により低下しており、前記腎機能低下が内因性急性腎不全、好ましくは、糸球体腎炎により誘導されているか、又は持続されている、又は悪化している腎機能低下を改善するためのアルカリホスファターゼ(AP)薬剤を提供する。すなわち、本発明は、また、糸球体腎炎を治療するためのアルカリホスファターゼ(AP)薬剤を提供する。
一般的な腎不全及び特定の急性腎不全は、種々の基礎的な因果関係により、又は虚血、造影剤色素、全身性エリテマトーデス、小血管炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、グッドパスチャー症候群、心内膜炎、連鎖球菌感染後、肺炎球菌感染後、糖尿病、高血圧、アテローム硬化症又は癌などの種々の疾患の経過において進展し得る。
また、一定の抗微生物薬剤(アンホテリシンB、カスポファンギン、バンコマイシン、レボフロキサシン、ならびにトブラマイシン及びゲンタマイシンなどのアミノグリコシドなど)、他の薬剤(例えば、化学療法剤(シスプラチン、カルボプラチン、メトトレキサートなど)、プロテアーゼ阻害剤(インジナビル及びリトナビルなど)、金、リチウム、抗炎症剤(非ステロイド抗炎症剤、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス)、血圧製剤(アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤及びアンギオテンシン受容体遮断剤(ARBs))及び一定の化学物質(ケイ酸塩、炭化水素、重金属(Cd、Hg、Pbなど)、殺虫剤、除草剤、及びエチレングリコールの使用は、前記薬剤又は化学物質を摂取したか、それらに曝露された対象における腎機能の低下をもたらすことが知られている。
上記の因果関係のいずれかによって誘導されているか、又は持続されているか、又は悪化している腎機能低下を治療するために、本発明を用いることができる。したがって、好ましい実施形態において、本発明は、腎機能低下が、好ましくは、抗生物質、プロテアーゼ阻害剤、化学療法剤、抗炎症剤、血圧製剤、殺虫剤、除草剤、エチレングリコール、造影色素、及び重金属からなる群から選択される医薬品、薬剤により誘導されているか、又は持続されているか、又は悪化している腎機能低下を改善するためのアルカリホスファターゼ(AP)薬剤を提供する。
なお、別の好ましい実施形態において、本発明は、腎機能の得られた改善が、APによるLPS解毒作用の結果ではない腎機能低下を改善するためのアルカリホスファターゼ(AP)薬剤を提供する。更に、一層好ましい実施形態において、本発明は、腎機能低下が、腎血流量の減少及び/又は虚血により誘導されているか、又は持続されているか、又は悪化している腎機能低下を改善するためのアルカリホスファターゼ(AP)薬剤を提供する。
前記腎血流量の減少及び/又は虚血は、脱水、心不全、敗血症性ショック、重症の血液損失、高血圧、アテローム硬化症、及び/又は血栓症によって誘導されているか、又は持続されているか、又は悪化していることが好ましい。更に、別の好ましい実施形態において、本発明は、腎機能低下が、腎血流量の減少及び/又は虚血により誘導されているか、又は持続されているか、又は悪化しており、前記腎血流量の減少及び/又は虚血が、好ましくは、抗炎症剤(最も好ましくは非ステロイド系抗炎症剤)及び降圧剤(最も好ましくは、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤及び/又はアンジオテンシン受容体遮断剤(ARBs)からなる群から選択される医薬品又は薬剤により好ましくは誘導されているか、又は持続されているか、又は悪化している腎機能低下を改善するためのアルカリホスファターゼ(AP)薬剤を提供する。
本発明は、更に、(腎臓の)誘導性NOシンターゼ(iNOS)発現の増加に起因する腎機能低下を治療又は予防するためのアルカリホスファターゼ(AP)薬剤を提供する。このような処置は、いわゆる初期の腎障害/腎不全の治療にきわめて有用であり、したがって、例えば、初期ネフロパシーの治療又は予防するために用いることができる。このような処置を必要としている人は、iNOSの量を判定し、得られた値を平均レベルと比較することによって容易に確認することができる。
初期の腎障害/腎不全と診断された人に、有効量のアルカリホスファターゼを投与することによって、腎臓のiNOS量は減少する。本発明は、アルカリホスファターゼによる処置は、腎細胞におけるiNOS mRNAの発現増加の減弱をもたらし、NO代謝物の尿排泄減少をもたらすと判定した。APによる処置は、炎症応答を寛解し、腎臓のiNOS発現誘導減少をもたらし、それによって、NO代謝物の産生減弱及びより少ない近位尿細管損傷が導かれる。
腎不全は、通常、尿に分泌される腎細胞の構造的損傷を伴う。尿サンプルからのこれらの細胞の単離、及び引き続いてのRNA合成の分析により、腎機能、腎損傷及び損傷の最終的逆転に関する有用なモニタリングツールが提供される。実施例1において、尿に分泌された腎細胞中の誘導性酸化窒素シンターゼ(iNOS)mRNAが、腎不全に関するマーカーとして用いられており、したがって、損傷及びAPを用いた処置による損傷の逆転をモニターするために用いることができるであろう。損傷の基礎的な機序は、iNOSによる反応性酸化物種(ROS)の誘導、それによって導かれる腎臓の漏れである。iNOSのダウンレギュレーションを介したROS誘導の減少は、この方法を用いることによってモニターすることができる。
したがって、更に別の実施形態において、本発明は、RNA分子の存在又は非存在に関して尿サンプルを分析することを更に含んでなる、腎機能低下を改善するためのAP薬剤を提供する。前記RNA分子は、mRNA分子であることが好ましい。前記mRNA分子は、iNOS mRNA分子であることがより一層好ましい。最も好ましい実施形態において、前記RNA分子は、尿に分泌された腎細胞から得られる。
本発明は、腎機能の低下(又は障害)を改善するために、アルカリホスファターゼ(AP)を使用する。
アルカリホスファターゼ(AP);IUBMB酵素命名法によりEC3.1.3.1、一般名はアルカリホスファターゼ(AP)、ホスファターゼモノエステルとHOからアルコールとホスフェートへの反応を触媒する酵素。APの別名は、アルカリホスホモノエステラーゼ;ホスホモノエステラーゼ;グリセロホスファターゼ;アルカリホスホヒドロラーゼ;アルカリフェニルホスファターゼ;オルトリン酸モノエステルホスホヒドロラーゼ(アルカリ性が最適)である。APの系統名は、ホスフェートモノエステルホスホヒドロラーゼ(アルカリ性が最適)である。
APは、特異性の広範な酵素であり、リン酸基転位もまた触媒する。ヒト及び他の動物において、少なくとも4つの異なる、しかし、関連したアルカリホスファターゼが知られている。それらは、腸、胎盤、胎盤様、及び肝/骨/腎(又は組織非特異的)アルカリホスファターゼである。初めの3つは染色体2上に共に位置しており、他方組織非特異的形態は、染色体1上に位置している。AP類の正確な生理学的機能は不明であるが、APは、多数の生理学的過程に関与していると思われる。
APの供給源は、市販のAP酵素であってもよいし、AP酵素を含んでなる任意の組成物であってもよいし、また、APタンパク質をコードするDNA核酸又はRNA核酸などの、本発明との関連における機能的AP酵素を産生することのできる任意の手段でもよい。APをコードする核酸は、APの産生を誘導又は付与できる、プラスミド、ファージミド、ファージ、(レトロ)ウィルス、トランスポゾン、遺伝子療法ベクター、及び他のベクターなどの好適なベクター内に埋め込むことができる。また、本発明との関連で、細菌、真菌、原生動物及び酵母などの天然又は組換え微生物も、APの供給源として適用することができる。
本発明による薬剤のためのAP含有組成物は、真核生物のAPを含んでなることが好ましく、哺乳動物のAPを含んでなることがより好ましく、肝−骨タイプ又は腎タイプなどの組織非特異的APのタイプでもよいし、胎盤AP、腸管AP及び胎盤様APなどの組織特異的APのタイプでもよい。胚細胞APとしても知られている後者は、精巣、胸腺及び一定の胚細胞腫瘍に局在し(非特許文献1参照)、アルカリホスファターゼの胎盤形態及び腸管形態双方に密接に関連している(非特許文献2参照)。
当業者は、核酸ライブラリーを探索し、アルカリホスファターゼをコードする配列を選択することが十分に可能である。哺乳動物APは、ヒト又はウシのAPであることが最も好ましい。したがって、好ましい実施形態において、本発明は、前記APが哺乳動物のAP、更に一層好ましくは、前記APがヒトのAPである、腎機能低下を改善するためのアルカリホスファターゼ(AP)薬剤を提供する。
ヒトAP配列の非限定的な例は、NCBI(Genpept)コレクションに見ることができ、NP001622(腸管AP)、NP001623(胎盤AP)、NP112603(胎盤様AP)又はNP000469(組織非特異的AP)が挙げられる。本発明は、また、前記配列のいずれかの多型の使用も含む。更に、別の好ましい実施形態において、前記APは、胎盤AP、胎盤様AP、腸管AP又は肝/骨/腎APである。
更に、別の実施形態において、本発明は、前記APが組換えAPである、腎機能低下を改善するためのAP薬剤を提供する。
立体配置的観点から、アルカリホスファターゼは大きく2つのドメイン:クラウンドメインと活性部位ドメインからなる。活性部位ドメインは、触媒残基様の別個の部分と3つの金属イオン部位(Zn1、Zn2及びMg3)に分けることができる。一次構造の観点から、クラウンドメインは、活性部位ドメインを形成するアミノ酸によってフランクされていることは明らかである。アルカリホスファターゼのアミノ酸配列ならびに触媒ドメイン及びクラウンドメインの相対的位置は、当業者に知られている。一例として、他のものの中でも4つのヒトアルカリホスファターゼのアミノ酸配列を示している図10を参照にする。これらの配列において、クラウンドメインには、下線が引かれている。
アルカリホスファターゼは、実際、細菌からヒトまでの全ての生物に存在している。好ましい実施形態において、APがクラウンドメイン及び触媒ドメインを含んでなる単離された、又は組換えのアルカリホスファターゼであり、前記クラウンドメイン及び触媒ドメインが種々のアルカリホスファターゼから得られ、前記種々のホスファターゼの少なくとも1つがヒトホスファターゼである、本発明による方法が提供される。
他のホスファターゼは、例えば、ECAP(大腸菌(Escherichia coli)アルカリホスファターゼ)又は7つの公知のBIAPs(ウシ腸管アルカリホスファターゼ)のうちの1つである。好ましい実施形態において、前記クラウンドメイン及び前記触媒ドメインが種々のアルカリホスファターゼから得られ、種々のアルカリホスファターゼがヒトホスファターゼである、クラウンドメイン及び触媒ドメインを含んでなる、単離された、又は組換えのアルカリホスファターゼが使用される。これは、修飾ホスファターゼが、ヒトの療法に引き続き用いられる場合は、特に有用である。
ヒト由来のこのような(遺伝子)修飾されたホスファターゼは、免疫原性でないか、又は免疫原性がきわめて少ないと考えられる。しかし、修飾ホスファターゼが、例えば、「インビトロ」又は「エクスビボ」診断に用いられる場合、修飾ホスファターゼは、例えば、ヒトアルカリホスファターゼと大腸菌(E.coli)アルカリホスファターゼから構成されてもよいし、ウシアルカリホスファターゼと大腸菌(E.coli)アルカリホスファターゼから構成されてもよいことは、当業者にとって明白である。
更に、別の好ましい実施形態において、APがクラウンドメイン及び触媒ドメインを含んでなる単離又は組換えアルカリホスファターゼであり、前記クラウンドメイン及び触媒ドメインは、種々のアルカリホスファターゼから得られ、前記クラウンドメインが胎盤AP(ALPP)のクラウンドメインであり、前記触媒ドメインが腸管AP(ALPI)の触媒ドメインである本発明による方法が提供される。前記種々のホスファターゼの少なくとも1種はヒトホスファターゼであることが好ましく、更に、より好ましい実施形態において、種々のホスファターゼの双方がヒトホスファターゼである。ヒトアルカリホスファターゼに基づく他の好ましいドメイン交換変異体としては、以下が挙げられる:
触媒ドメイン クラウンドメイン 関連名称
ALPI GCAP 触媒ALPI/クラウンGCAP
TNAP 触媒ALPI/クラウンTNAP
ALPP GCAP 触媒ALPP/クラウンGCAP
TNAP 触媒ALPP/クラウンTNAP
GCAP ALPI 触媒GCAP/クラウンALPI
ALPP 触媒GCAP/クラウンALPP
TNAP 触媒GCAP/クラウンTNAP
TNAP ALPI 触媒TNAP/クラウンALPI
ALPP 触媒TNAP/クラウンALPP
GCAP 触媒TNAP/クラウンGCAP
明瞭にするために、ALPIは腸管APであり、ALPPは胎盤APであり、GCAPは胎盤様APであり、TNAPは組織非特異的APである。
ECAPの触媒ドメイン又はヒト形態(ALPI、ALPP、GCAP又はTNAP)のいずかとBIAPのクラウンドメインとの間で組合わせがなされ得ることもまた明白である。更に、BIAPのクラウンドメインとECAPの触媒ドメイン又はヒト形態のいずれかとの間で組合わせもまた生じ得る。
有用な修飾ホスファターゼの別のクラスは、天然条件下ではグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーを介して細胞膜に結合されるが、ここでは、もはや細胞膜に結合されないように修飾されているホスファターゼである。GPIに固定されるホスファターゼの例は、アルカリホスファターゼ及び5’−ヌクレオチダーゼである。イソ酵素の全ては、細胞膜において機能的に活性であり、GPIアンカー欠損形態は、天然には検出可能なレベルで存在しない。
血清アルカリホスフェート活性は立証されているが、この酵素は、シェッド膜フラクション又は膜小胞に依然として存在することが一般に認められている。乳汁中のAP活性も、また、膜小胞を含有するフラクションに存在する。GPIアンカーは、トランスアミダーゼにより結合部位に結合される細胞中に前駆体分子として貯蔵される。GPIアンカーのバックボーンは、哺乳動物において同一であるが、細胞型依存修飾が知られている。
アルカリホスファターゼは、主としてそれらのGPIアンカーを介して細胞膜と結合した状態で見られる。例えば、好中球は、この酵素を炎症性微小環境に放出する代わりに、負に荷電した細胞膜の環境に対してそれを提示する。この理由のため、APの最適インビボ活性のためには、この酵素を細胞膜内又は小胞膜内に包埋される必要があることが、本発明前に一般に認められていた。
ヒト対象におけるAPの医薬品用途に関して、他種から得られたAP形態は、ヒト対象において免疫原性である可能性があり、処置によって、免疫反応及び病理学的副作用が誘発され得るため、治療用薬剤には、ヒト形態の酵素を適用することが最も好ましい適用である。一部の対象では、更に致命的な副作用、すなわちアナフィラキシーショック(我々の動物試験で示された)が生じる可能性があり、したがって、免疫学的副作用の危険性を最少にすることが好ましい。
ヒトからのAPの単離は、事実上不可能であるので、種々の組換え発現プラットフォームにおいて、APタンパク質のヒト組換え形態を日常的に産生することができる。しかしながら、GPI修飾及び膜固定タンパク質の発現及び精製は、周知のごとく困難である。すなわち、GPIタンパク質は、膜から分離し難く、単離及び精製が困難である。しかしながら、本発明以前には、GPIアンカー及び膜の局在化が、APの生物学的活性にとって必須であると常にみなされていた。
しかしながら、本発明の一実施形態において、APが、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)シグナル配列における修飾を含んでなる単離又は組換えホスファターゼであり、前記修飾の結果、ホスファターゼが分泌される、すなわちホスファターゼが細胞膜に結合していない本発明による方法が提供される。
好ましい実施形態において、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)シグナル配列における修飾を含んでなり、前記修飾の結果、生物学的に活性なホスファターゼが分泌される、すなわち生物学的(関連)基質に対して活性を示す単離又は組換えホスファターゼが使用される。
GPIアンカーの結合を生じる一般的な配列はないが、以下の明瞭なコンセンサス(共通配列)がある:
1)C末端におけるアミノ酸の疎水性伸長(少なくとも11のアミノ酸であるが、好ましくは12以上のアミノ酸)。
2)疎水性領域の上流、親水性アミノ酸のスペーサー(5〜12のアミノ酸)。
3)GPIは、小型アミノ酸:グリシン、アスパラギン酸、アスパラギン、アラニン、セリン又はシステインに結合している。
4)GPI結合部位の2つの後続アミノ酸の下流は、小型のアミノ酸でなければならず、大部分の場合、それらは、グリシン、アスパラギン酸、アスパラギン、アラニン、セリン又はシステインから選択される。
このコンセンサスに基づいて、当業者は、例えば、1つ又は複数のアミノ酸を挿入し、コンセンサスの一部を破壊することによって、このコンセンサスを変異させることができる。しかしながら、好ましい実施形態において、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)シグナル配列において修飾を含んでなり、前記修飾が、コンセンサスGPIシグナル配列を包含するアミノ酸配列の変異又は欠損を含んでなる単離又は組換えホスファターゼが用いられる。
ヒトへの治療適用のために、得られた修飾ホスファターゼは、免疫原性がないか、又は殆どないこと、すなわち、この修飾ホスファターゼが、事実上ヒト起源であることが望ましい。好ましい実施形態において、APが、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)シグナル配列における修飾を含んでなる単離又は組換えホスファターゼであり、前記修飾の結果、ホスファターゼ(好ましくは、生物学的関連基質に対して活性を有する)が分泌され、前記ホスファターゼがヒトホスファターゼである本発明による方法が提供される。
GPIに固定されているホスファターゼの例は、アルカリホスファターゼ及び5‘−ヌクレオチダーゼであり、それ故、好ましい実施形態において、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)シグナル配列における修飾を含んでなり、前記修飾の結果、ホスファターゼが分泌され、前記ホスファターゼが、アルカリホスファターゼ、例えば、ヒト肝−腎−骨ホスファターゼ、ヒト腸管アルカリホスファターゼ、又はヒト胎盤様アルカリホスファターゼなどのヒトアルカリホスファターゼである単離又は組換えホスファターゼが使用される。
上記の分泌性修飾ホスファターゼのいずれかを、例えば、好ましくは制御配列と操作可能に結合されている前記分泌性ホスファターゼをコードすることができる核酸を宿主細胞に導入し、前記宿主細胞に前記分泌性ホスファターゼを発現させ、宿主細胞が増殖及び/又は維持される培地から産生されたホスファターゼを任意に単離することによって産生できることは明白である。
しかしながら、上記のGPI結合配列における変異とは別に、GPI無固定の分泌タンパク質を作製する他の方法が存在する:
1)膜固定タンパク質として発現後、GPIアンカーを開裂するためにホスホリパーゼを使用することができる。
2)GPIアンカー産生の妨害又はGPIアンカー産生を欠損する細胞(型)の使用もまた、そうでない場合には、GPIに固定されたタンパク質の分泌性形態を作製するために使用することができる。GPI固定生化学を欠損させた細胞系の例は、例えば、ジャーカット、AM−B、C84、BW、S49、CHO及びラージである。
3)トランスアミダーゼに対する妨害又はトランスアミダーゼを欠損する細胞の使用を、タンパク質に対するGPIアンカーの結合を阻止し、そのタンパク質を無固定にし、分泌性にするために使用できる。このような欠損細胞は、CHOにおける変異誘発性により得られている。
クラウンドメイン及び触媒ドメインを含んでなり,前記クラウンドメイン及び触媒ドメインが種々のアルカリホスファターゼから得られる修飾ホスファターゼを更に修飾でき、分泌性にさせ得ることは当業者にとって明白である。それ故、好ましい実施形態において、APが、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)シグナル配列における修飾を含んでなる単離又は組換えホスファターゼであり、前記修飾の結果、ホスファターゼが分泌され、前記組換えホスファターゼは、種々のホスファターゼから得られるクラウンドメイン及び触媒ドメインを更に含んでなる本発明による方法が提供される。
このような(アルカリ)ホスファターゼ変異体の非限定例は、図10に提供されている。このような組合わせ又は「二重」変異体により、例えば、ある一定の特異的活性、安定性又は基質特異性を有する修飾ホスファターゼが生じ、同時にこのような産物の産生は、産生細胞周囲の培地から単離することができるという事実により大いに増強される。
APは、種々の経路、例えば、静脈内、直腸、気管支又は経口を介して投与することができる。
好ましい実施形態において、使用投与経路は静脈内である。有効量のAPが送達されることが好ましいことは、当業者にとって明白である。出発点として10〜500U/kg/日を使用することができる。静脈内経路の投与が使用される場合、AP(少なくともある一定の時間量の間)は、連続注入を介して適用されることが好ましい。
本発明は、また、AP源を含んでなる組成物を提供し、その中でもAP源を含んでなる医薬品組成物及び栄養補助食品組成物がある。それらの組成物は、薬学的に許容できる賦形剤、安定化剤、活性化剤、担体、浸透剤、噴射剤、抗感染剤、希釈剤及び保存剤を任意に含むことができる。好適な賦形剤は、医薬品製剤業界において一般に知られており、当業者により容易に見出すことができ、例えば、Remmington‘s Pharmaceutical Sciences, Mace Publishing Company,Philadelphia PA, 17th ed. 1985が参照される。
好ましい実施形態において、AP源を含んでなる組成物は、経口投与に好適であり、胃液及び低pHの有害作用からAPを保護するために、腸溶コーティングを含んでなる。腸溶コーティング及び徐放性製剤は、当業界において周知である(上記の文献)。当業界における腸溶コーティング組成物は、水溶液中に分散され、引き続き乾燥及び/又はペレット化され得るAPなどの活性成分と他の賦形剤とを混合した水溶性腸溶コーティングポリマーの溶液を含むことができる。形成された腸溶コーティングは、大気中の湿気及び貯蔵時の酸素、ならびに摂取後の胃液及び低pHによるAPへの耐攻撃性を提供するが、一方、より下部の腸管に存在するアルカリ条件下で容易に分解される。
好ましい実施形態において、対象(好ましくはヒト)は、任意の好適な投与経路を介してAPの有効量及び任意の適切な形態でのAPを提供される。腎機能を示すパラメーターを、APの投与前とAPの投与後に測定し、治療が成功したか否かの判定を可能にすることが好ましい。更なる用量の投与を、好ましくは腎機能のパラメーターが許容できると考えられるまで必要な限り頻回反復される。好適なパラメーターの一例としては、RNA分子の有無である。前記RNA分子は、mRNA分子であることが好ましい。前記mRNA分子は、iNOS mRNA分子であることがより一層好ましい。最も好ましい実施形態において、前記RNAは、尿中に分泌された腎細胞から得られる。
別の好ましい投与様式は、長期間、毎日の用量形態で送達できるAP源を含む医薬品組成物の使用を含んでなる。この医薬品組成物は、胃液(pH1.0から2.5)の有害作用からAPを保護し、APの有効な送達を確保するために、腸溶コーティングを含んでなる。
更に、別の実施形態において、腎機能低下を改善させるための薬剤の調製におけるAPの使用は、任意の他の療法と併用される(すなわち、併用療法)。例えば、このような他の療法も、また、腎機能を改善させることを目的とする。腎機能を改善させることを目的とする他の療法例は、上記に要約されている。非限定例としては、フロセミド(Lasix)、カルシウム又は透析による治療である。好適な併用療法の他の例は、APと少なくとも1種のiNOS阻害剤による治療又はAPと少なくとも1種のTNFα阻害剤による治療である。この活性化合物は、連続的に又は同時に投与することができる。
更に、別の好ましい実施形態において、本発明は、腎機能が低下している対象(好ましくはヒト)を治療するための方法を提供するが、この方法は、それを必要とする対象にAPの有効量を投与することを含んでなる。好ましい実施形態において、前記腎機能は、腎不全のため低下する。前記方法は、腎機能が低下している対象の識別によって更に拡張することができる。好ましい実施形態において、本発明は、腎機能が低下している対象(好ましくはヒト)を治療するための方法を提供するが、この方法は、それを必要とする対象にAPの有効量を投与することを含んでなり、得られた腎機能改善は、APによるLPS解毒の結果ではない。
一実施形態により、腎機能が低下している対象(好ましくはヒト)を治療するための方法を提供するが、この方法は、それを必要とする対象にAPの有効量を投与することを含んでなり、前記腎機能低下は、薬剤、薬物により誘導されているか又は持続されているか又は悪化している。前記薬剤、薬物は、好ましくは、抗生物質、プロテアーゼ阻害剤、化学療法剤、抗炎症剤、血圧用薬剤、殺虫剤、除草剤、エチレングリコール、造影色素、及び重金属からなる群から選択される。
更に、腎機能が低下している対象(好ましくはヒト)を治療するための方法を提供するが、この方法は、それを必要とする対象にAPの有効量を投与することを含んでなり、前記腎機能低下は、急性腎不全により誘導又は持続あるいは悪化させる。前記腎機能低下は、好ましくは、内因性急性腎不全により誘導されているか又は持続されているか又は悪化している。一実施形態において、前記急性腎不全は、好ましくは、アミノグリコシド、化学療法剤、造影色素、及び重金属からなる群から選択される薬剤又は薬物により誘導されているか又は持続されているか又は悪化している。
更に、本発明による方法が提供され、前記腎機能低下は、内因性急性腎不全により誘導されているか又は持続されているか又は悪化している。前記内因性急性腎不全は、好ましくは急性尿細管壊死及び/又は糸球体腎炎である。好ましくは、前記急性尿細管壊死及び/又は糸球体腎炎は、薬剤又は薬物により誘導されているか又は持続されているか又は悪化しており、前記薬剤又は薬物は、最も好ましくは、アミノグリコシド、化学療法剤、造影色素、及び重金属からなる群から選択される。
更に、本発明による方法が提供され、この方法において前記腎機能低下は、腎血流量低下及び/又は虚血により誘導されているか又は持続されているか又は悪化している。前記腎血流量低下及び/又は虚血は、脱水、心不全、敗血症性ショック、重症の血液損失、高血圧、アテローム硬化症及び/又は血栓症により誘導されているか又は持続されているか又は悪化している。好ましくは、前記腎血流量低下及び/又は虚血は、薬剤又は薬物により誘導されているか又は持続されているか又は悪化しており、前記薬剤又は薬物は、最も好ましくは、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤及び非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)類からなる群から選択される。
更に、本発明による方法が提供され、この方法において、前記APは、哺乳動物APであり、好ましくはヒトAPである。このAPは、胎盤AP、胎盤様AP、腸管AP又は肝/骨/腎APであることがより好ましい。このAPは、組換え体であることが最も好ましい。
本発明は、腎機能が低下している状態を改善するために、アルカリホスファターゼを用いた処置を提供する。
本発明は、低下した腎機能改善用アルカリホスファターゼ(AP)薬剤を提供する。
腎iNOS発現ならびにNO及びGSTの尿中排泄を示す図である。(A)iNOS mRNA発現は、プラセボ処置患者(白抜きの線、n=4)及びAP処置患者(黒い太線、n=8)に関して示される。対照の健常ボランティアにおけるiNOS mRNAの相対的発現(データは示さず)を、ハウスキーピング遺伝子GAPDHの平均サイクル閾値(C)に関して正規化し(C=23.6±0.3、デルタC=12.1±0.1)、1に設定した。尿中の(B)NO代謝物、(C)GSTA1−1及び(D)GSTP1−1濃度を、プラセボ処置患者(△、n=5)及びAP処置患者(■、n=10)における介入後、種々の時間で測定した。NO代謝物及びGSTの尿中排泄は、クレアチニン排泄に関して補正し、完全曲線に亘って反復測定によるANOVAによって分析した。(A)データは、平均±SEとして表し、(B+C+D)は、プラセボに関しては25%の範囲、APに関しては75%の範囲を有する中央値として表している。(;プラセボ群と比較して有意な差、P<0.05)。 対照ラット、ゲンタマイシン腎毒性ラット、及びアルカリホスファターゼにより処置したゲンタマイシン腎毒性ラットにおける血清中クレアチニン濃度を示す図である。 対照ラット、ゲンタマイシン腎毒性ラット、及びアルカリホスファターゼにより処置したゲンタマイシン腎毒性ラットにおける血清血中尿素窒素(BUN)濃度を示す図である。 対照ラット、ゲンタマイシン腎毒性ラット、及びアルカリホスファターゼにより処置したゲンタマイシン腎毒性ラットにおける尿中クレアチニン濃度を示す図である。 対照ラット、ゲンタマイシン腎毒性ラット、及びアルカリホスファターゼにより処置したゲンタマイシン腎毒性ラットにおけるクレアチニンのクリアランスを示す図である。 APが、シスプラチン腎毒性後の尿中タンパク質分泌を有意に減少させることを示す図である。シャム:シスプラチン無処置;対照処置:シスプラチン+媒体;AP:シスプラチン+アルカリホスファターゼ。 APが、シスプラチン腎毒性後の尿中タンパク質分泌を減少させることを示す図である。シャム:シスプラチン無処置;対照処置:シスプラチン+媒体;AP:シスプラチン+アルカリホスファターゼ。 APが、腎機能が低下している敗血症患者における血清中クレアチニンを減少させることを示す図である。 APが、腎不全(血清中クレアチニン>150μmol/Lとして定義されるか、又は既にベースラインでの腎置換療法中)の敗血症患者における血清中クレアチニンを減少させることを示す図である。 4つのヒトアルカリホスファターゼイソ酵素の配列を示す図である。注:これらは、成熟タンパク質(すなわち、シグナル配列無し)であるが、GPIアンカーの付加及びキメラAPを除くC末端アミノ酸の同時処理前の配列である。
実験部
材料及び方法
実施例1−敗血症患者の腎機能に対するAPの効果
患者
腎機能低下と診断され、集中治療病棟に入院した15人の患者を、AP治療に無作為に抽出した(2AP:1プラセボ)。
動脈血及びカテーテルを挿入した尿を、封入後0時間〜24時間の間に幾つかの時点で採取した。尿容量を記録し、NO代謝物の測定用サンプルを、前記のとおりアッセイするまで−80℃に凍結した(非特許文献3参照)。クレアチニン及びタンパク質を、ルーチンの臨床化学により測定した。
処置
ウシ腸管アルカリホスファターゼ(AP,AM−Pharma,Bunnik,The Netherlands)は、6月齢未満の子牛の腸管粘膜から得た。選ばれた患者に、AP又は対応するプラセボ(2.5mMトリス−HCl、2.5mM塩化マグネシウム、0.05mM塩化亜鉛、pH7.3、安定化剤としての40%グリセロール)を2:1の比率で24時間静脈内に投与した。APに対し無作為に抽出した患者に、10分間にわたり67.5U/kg体重の最初のボーラス注入を行い、次いで残りの23時間50分の間、132.5U/kgを連続注入した。
化学的アッセイ
Moshageら(非特許文献4参照)によるGriess反応を用いて、安定なNO代謝物の全量、すなわち、硝酸塩及び亜硝酸塩を、NOラジカル産生の目安として測定した。ヘパリン化血漿及び尿サンプルを、それぞれ蒸留水で4倍と40倍に希釈した。近位尿細管細胞傷害と遠位尿細管細胞傷害とを識別するために、尿中のグルタチオン−S−トランスフェラーゼA1−1(GSTA1−1)及びGSTP1−1の量を測定し、先に記載されたELISA(非特許文献5、6参照)により三重反復アッセイを行った。
iNOS mRNA発現の測定
尿サンプルを、700gにて、4℃、10分間遠心分離した。RNAを細胞ペレットから単離し、前述のとおりcDNAに逆転写した(非特許文献3参照)。Applied Biosynthesisにより提供された、予備開発された遺伝子発現アッセイ(iNOS;Hs00167248 m1、GAPDH;Hs99999905 m1)により、ヒトiNOS及びGAPDHを増幅させた。
実施例2−ゲンタマイシン誘導腎不全に対するAPの効果
ウィスターラットのゲンタマイシン誘導腎毒性モデルにおける効果に関してアルカリホスファターゼ(AP)を評価した。120mg/kgのゲンタマイシンを7日間連続して、ラットに筋肉内投与した。尿容量、電解質(Na、K)、クレアチニン、N−アセチルグルコサミニダーゼ(NAG)及びタンパク質の測定用に、6日目、24時間に亘って尿サンプルを採取した。血液サンプルは、最後の7日目に採取した;血清中クレアチニン、BUN及び電解質(Na、K)の濃度を測定した。ゲンタマイシン処置群(1群当りn=8)は、7日間連続して毎日のゲンタマイシン投与直前に、媒体又はAP(100U/kg)の緩徐な静脈内注入、次いで、12時間ごとにもう1回投与した(14回のAPの全用量=1400U/kg)。対照群(n=8)は、0日目に生理食塩水の1回の腹腔内注入、及びAPに関して示されたものと同じ1日2回の投与計画を用いて、媒体の緩徐な静脈内注入を行った。
実施例3−シスプラチン誘導腎不全に対するAPの効果
ウィスターラットにおいて7.5mg/kgのシスプラチンの腹腔内単回注入(0日目に)後の腎機能に対する効果に関してアルカリホスファターゼを評価した。尿容量、電解質(Na、K)、クレアチニン、及びタンパク質の測定用に、2日目と5日目、24時間に亘って尿サンプルを採取した。血液サンプルは、3日目と6日目に採取した;血清中クレアチニン、BUN及び電解質(Na、K)の濃度を測定した。シスプラチン処置群(1群当りn=8)には、シスプラチン誘発30分前に、媒体又はAP(200U/kg)の緩徐な静脈内注入を行い、12時間後に第2回目の投与を行い;iv投与は、合計5回行った用量(APの全用量が1000U/kg)で1日目(×2)及び2日目(×1)に投与を継続した。対照群(n=8)は、0日目に生理食塩水の1回の腹腔内注入、及びAPに関して示されたものと同じ1日2回の投与計画を用いて媒体の緩徐な静脈内注入を行った。
実施例4−腎不全の敗血症患者に対するAPの効果
患者
敗血症と診断され、8ヵ所の独立した病院の集中治療病棟に入院した36人の患者を、AP治療に無作為に抽出した(2AP:1プラセボ)。動脈血及びカテーテルを挿入した尿を、封入後0時間〜48時間の間に幾つかの時点で採取した。verum及びプラセボ処置群は、全体として又はベースラインで血清中クレアチニン>150μmol/Lとして定義された腎不全を示す患者、又は既に腎置換療法中の患者に限定された亜群として分析された。群は、血清中クレアチニン(ルーチンの臨床化学により)、死亡率、及び腎置換療法の必要性に関して分析された。
処置
ウシ腸管アルカリホスファターゼ(AP,AM−Pharma,Bunnik,The Netherlands)は、6月齢未満の子牛の腸管粘膜から得た。選ばれた患者に、AP又は対応するプラセボ(2.5mMトリス−HCl、2.5mM塩化マグネシウム、0.05mM塩化亜鉛、pH7.3、安定化剤としての40%グリセロール)を2:1の比率で24時間静脈内に投与した。APに対し無作為に抽出した患者に、10分間にわたり67.5U/kg体重の最初のボーラス(bolus)注入を行い、次いで、残りの23時間50分の間、132.5U/kgを連続注入した。
腎機能低下の治療において、アルカリホスファターゼの有効性を更に示すために使用することができる好適なモデルの他の例としては、以下が挙げられる:
(1)ラットにおけるエンドトキシン誘導急性腎不全(J.Nephrol.2005;18:374−381)
急性腎不全は、LPS(大腸菌(E.coli)O111:B4、Sigma、Germanyから1mg/kg)の注入処置によりメスSDラットにおいて誘導することができる。このモデルは、糸球体濾過速度の低下、血圧の低下及びNOx排泄の増加を特徴とする。
(2)実験的糸球体間質増殖性糸球体腎炎の抗Thy−1.1モデル
Jefferson et al.(J.Nephrol.1999;12:297−307)に記載されているように、ヤギ抗ラット胸腺細胞血清は、ルイスラット胸腺細胞を用い、ヤギの反復免疫処置(1注入当り2×10細胞)により産生することができる。血清を、第二及び第三の注入後に採取し、プールし、カプリル酸法を用いてIgG濃縮フラクションを得た。次に、100g体重当り20mgの静脈内単回投与を用いて、180〜230gのオスのウィスターラットにおける疾患を誘導した。
(3)カドミウム誘導糸球体腎炎
Jacquillet et al.(Am.J.Physiol.Renal Physiol.2006;290:127−137)に記載されているように、1日1kg当り500μgのCd2+で5日間、毎日のi.p.注入により中毒化され、その後、15日間未処置のままにされたラットは、糸球体濾過速度の低下を示す。
これらの実験的モデルにおいて、疾患過程を防止、減速、中止又は反転させるために静脈内経路により、アルカリホスファターゼを投与する。アルカリホスファターゼは、疾患誘導前、又は疾患確立の早期もしくは後期に投与することができる。アルカリホスファターゼを1回だけ、又は疾患確立期間中に投与することができ、アルカリホスファターゼを複数回又は連続注入として投与することができる。アルカリホスファターゼは、例えば、10U/kg/日から500U/kg/日の用量範囲で投与する。
有効性パラメーターは、限定はしないが、以下のパラメーターから選択することができる:炎症性パラメーター(浸潤、白血球及びマクロファージの活性化状態、サイトカイン産生、補体活性化)、酸化的ストレス(H産生、腎臓中のミエロペルオキシダーゼ含量、iNOS誘導、NOx産生など)、腎損傷(抗体の素因、凝血、組織学)及び血液化学、例えば、クレアチニン濃度。
結果
実施例1−敗血症患者の腎機能に対するAPの効果
患者
15人の腎機能低下患者(AP、n=10;プラセボ、n=5)を、15ヵ月間無作為に抽出した。
APによる腎iNOS誘導の減衰
ベースライン及び処置後最初の24時間における3つの別個の時点で、尿サンプルから単離された細胞ペレット中のiNOS mRNAレベルを測定するために、Q−PCR(又は定量的RT−PCR)を用いた。対照の健常ボランティア(n=4、データは示さず)におけるiNOSの相対的発現を、ハウスキーピング遺伝子GAPDHの平均サイクル閾値(C)に関して正規化し(C=23.6±0.3、デルタC=12.1±0.1)、前述のとおり1に設定した(非特許文献3参照)。iNOS発現は、対照と比較してこの患者群において42倍誘導され、AP投与により、最初の24時間で、この誘導は80±5%減少した。対照的に、プラセボ処置患者は、ベースライン濃度と比較して、封入後の最初の24時間で、iNOS濃度が更に増加した(840±85%、図1A)。
血中NO代謝物は、AP処置患者とプラセボ処置患者との間で有意差はなかった(データは示さず)。しかしながら、NO代謝物の尿中排泄は、AP投与24時間後、ベースラインで227[166〜531]から41[28〜84]μmol/10mmolのクレアチニン(P<0.05)へ80%[−85〜−75]減少した。プラセボ処置後、尿中NO代謝物量は、70%[45〜570](81[64〜419]から628[65〜1479]μmol/10mmolのクレアチニンに、P<0.05)増加した。更に、累積尿中NO代謝物の排泄は、AP処置患者において、有意により低かった(図1B)。
APによる腎損傷を減衰
28日間の追跡調査期間中、腎置換療法を必要とする患者はいなかった。表1に示されるように、患者の全ては、軽度のタンパク尿を有する腎機能障害を示した。表1に示されるように、最初の24時間、血漿中クレアチニンクリアランスは、AP処置患者において45%[30〜180]改善し、プラセボ処置患者において25%[−35〜−15]悪化した。追跡調査期間中、血漿中クレアチニン濃度の中央値は、AP処置患者において、有意に下降したが、一方、プラセボ処置患者において、有意な変化は見られなかった(表1)。
GSTA1−1及びGSTP1−1双方の尿中排泄は、全ての患者において、上昇し、それぞれ近位及び遠位の尿細管損傷を示した。最初の24時間の間、AP処置患者の尿中GSTA1−1量は、プラセボ処置患者における200%[45〜525]の増加(26.9[15.2〜32.8]から38.9[33.0〜205.8]へ、P<0.05)と比較して、32.7[11.5〜131.1]から6.5[5.4〜15.7]μmol/10mmolクレアチニン(P<0.05)へと70%[−80〜−50]減少した。累積尿中GSTA1−1の排泄は、AP処置患者において、有意により低下した(図1C)。更に、AP処置時に尿中GSTP1−1排泄において(24時間後、ベースラインにおける22.7[13.6〜41.3]から11.9[8.5〜82.5]μmol/10mmolクレアチニンへ、P=0.072)と増加減衰傾向があった。しかしながら、累積尿中GSTP1−1の排泄に関して、処置の最初の24時間で、2つの処置群の間に有意差は見られなかった(図1D)。
実施例2−ゲンタマイシン誘導腎不全に対するAPの効果
120mg/kg×7でのゲンタマイシンにより、多尿症、タンパク尿、電解質排泄の減少、FENaの増加、酵素尿(NAG)、血清中クレアチニン及びBUNの上昇、糸球体濾過速度の目安であるクレアチニンクリアランスの減少、及び腎重量の増加に顕れるように、ラットにおいて、重症の腎障害を生じた。
ゲンタマイシンの毎日の投与前に最初の用量を投与する、7日間、1日2回のAP注入(100U/kg、1日2回×14)により、血清クレアチニンの減少(図2)及びBUN濃度の減少(図3)ならびに尿中クレアチニン排泄の増加(図4)をもたらした。これらの改善は、APによる処置の結果、クレアチニンクリアランスの増加に寄与する(図5)。本実施例において、AP、100U/kg IV 1日2回×7は、BUN、SCr、CCr、及びUcrに関して、ラットにおけるゲンタマイシン誘導腎毒性に対して、防止効果を有することが示されている。
実施例3−シスプラチン誘導腎不全に対するAPの効果
シスプラチン7.5mg/kg i.p.により、以下のパラメーター:多尿症、タンパク尿、電解質排泄の減少、血清中クレアチニン及びBUNの上昇、糸球体濾過速度の目安であるクレアチニンクリアランスの減少に反映されるような腎機能低下が生じた。
本実施例において、AP(200U/kg×5 i.v.)は、ラットにおいて、本モデルにおける尿細管損傷の目安であるシスプラチン誘導タンパク尿に対して保護し(図6)、内因性クレアチニンクリアランスを改善することが示されている。
実施例4−腎不全の敗血症患者に対するAPの効果
患者
36人の敗血症患者を、プラセボ(n=11)又はAP(n=25)による処置のために無作為に抽出し、血清中クレアチニン濃度、腎置換療法の必要性及び死亡率に関して分析した。更に、ベースラインで腎不全を示す亜群(プラセボn=5;APn=11)を、これらの結果に関して解析した。
血清中クレアチニン
ベースライン及び処置後12時間、24時間及び48時間の時点で、血清中クレアチニン濃度を測定した。図8は、敗血症患者群が、ベースラインにおいて血清中クレアチニン濃度の増加を示しており、腎機能低下を実証している。図8は、また、プラセボ処置ではなくて、APが、処置開始後48時間以内で血清中クレアチニン濃度を減少させることができることを示している。腎不全(血清中クレアチニン>150μmol/Lとして定義されているか、又はベースラインで既に腎置換療法中)の患者だけが含まれ、分析される場合、この効果は、より明白となる(図9)。したがって、本実施例において、APは、敗血症患者における腎機能を改善することができ、この効果は、腎不全を示す敗血症患者において、より明白であると結論づけられる。
腎置換療法
表2は、本試験に含まれた全ての患者の中で、プラセボ処置を受けた36%の患者が、腎置換療法(透析)を必要としたが、一方、このような処置を必要としたAP処置患者は24%であったことを示している。ベースラインで腎不全を既に示している患者の中では、これらのパーセンテージは、それぞれ80%と27%であった。したがって、本実施例に提供されたデータは、AP処置が、腎不全を示す敗血症患者における透析の必要性を減少させることができることを示している。
死亡率
90日間の観察期間中、試験集団の中で全体の死亡率は、28%であった(表2)。プラセボ処置(36%)死亡率に対してAP処置において僅かに有利(24%死亡率)であった。しかしながら、敗血症において、腎不全は、本試験において、腎不全を示した亜群におけるより高い死亡率(腎不全群の36%に対して全ての患者では28%)によって表される最も一般的な末端器官不全である。興味深いことに、腎不全群における死亡率減少に関するAPの効果(プラセボ群の60%に対してAP処置群の27%)は、はるかにより著明である。
本実施例において、AP処置(200U/kg/24時間)により、腎機能低下を示す敗血症患者における腎機能が改善され、それによって、死亡率及び腎置換療法の必要性が減少することを示している。
Figure 0005580052
Figure 0005580052
本発明は、腎機能が低下している状態を改善するために、アルカリホスファターゼを用いた処置を提供する。
本発明は、低下した腎機能改善用アルカリホスファターゼ(AP)薬剤を提供する。

Claims (12)

  1. アルカリホスファターゼ(AP)を有効成分とする腎機能低下改善用薬剤であって、
    (腎臓の)誘導性NOシンターゼ(iNOS)発現の増加に起因する腎機能低下を改善する、上記腎機能低下改善薬剤。
  2. 前記腎機能低下の改善が、より少なくなった近位尿細管損傷によるものである、請求項1に記載の薬剤。
  3. アルカリホスファターゼ(AP)を有効成分とする腎機能低下改善用薬剤であって、
    前記腎機能低下が、急性尿細管壊死によるものである、上記腎機能低下改善薬剤。
  4. 腎機能の得られる改善が、APによるLPS解毒作用の結果ではないものである、請求項1〜のいずれか1項に記載の薬剤。
  5. 前記腎機能低下が、薬剤、又は物によって誘導されるか、持続されるか、又は悪化することによる低下である、請求項1〜のいずれか一項に記載の薬剤。
  6. 前記薬剤、又は物が、抗生物質、プロテアーゼ阻害剤、化学療法剤、抗炎症剤、血圧製剤、殺虫剤、除草剤、エチレングリコール、造影色素、及び重金属からなる群から選択される、請求項に記載の薬剤。
  7. 前記腎機能低下が、腎血流量の減少及び/又は虚血によって誘導されるか、持続されるか、又は悪化することによる低下である、請求項1〜のいずれか一項に記載の薬剤。
  8. 前記腎血流量の減少及び/又は虚血が、脱水、心不全、敗血症性ショック、重症の血液損失、高血圧、アテローム硬化症及び/又は血栓症によって誘導されるか、持続されるか、又は悪化することによる低下である、請求項に記載の薬剤。
  9. 前記APが、哺乳動物APである、請求項1〜のいずれか一項に記載の薬剤。
  10. 前記APが、ヒトAPである、請求項1〜のいずれか一項に記載の薬剤。
  11. 前記APが、胎盤AP、胎盤様AP、腸管AP又は肝臓/骨/腎臓APである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の薬剤。
  12. 前記APが、組換え体である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の薬剤。
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