JP5578525B2 - 新規土壌診断方法 - Google Patents

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Description

本発明は、土壌バクテリア数及び物質の循環活性を指標とする、新規土壌診断方法、並びに当該診断方法を利用した土壌の品質管理方法及び改善方法に主に関する。
土壌をはじめとする様々な環境中で、微生物は、物質の変換及び循環に重要な役割を果たしている。例えば、農地中で窒素肥料が農作物に取り込まれる形に変換されるためには、微生物が「硝化」を行う必要がある。
化学合成技術の進展により、戦後、化学肥料を用いた農法が広く行われてきた。しかし、消費者の安全・安心な農産物に対する要望の高まりや、持続可能な農業生産のため、有機農法や自然農法への転換が各地で進められている。このような農法では、土壌中の生態系の活用が重要である。更に、農産物は、土壌中の成分を利用・吸収して生長するため、土壌の適切な評価とその管理・改善は、収益性や生産性の向上につながると考えられる。
しかし、これまで土壌の評価は化学農法のための分析が中心であり、各種無機イオンの濃度やpH等の物理化学的特性で主に判断されており、微生物の活性は考慮されていなかった(非特許文献1及び2参照)。
このため、有機農法または自然農法による農作物の栽培に適した土壌か、あるいは改善が必要な土壌であるかを明確に判断できなかった。
日本土壌肥料学会 監修、土壌標準分析・測定法委員会 編、「土壌標準分析・測定法」博友社、107〜117、1986年 岩田進午ら監修、「土の環境圏」、フジ・テクノシステム、223〜228、1997年
本発明は、土壌微生物による物質循環を考慮した土壌の診断方法、品質管理方法及び改善方法を提供すること、特に、植物の生長に適した農地品質の診断方法、管理方法及び改善方法を提供することを主な課題とする。
本発明者は、上記課題に鑑み、土壌微生物の活性を反映した土壌の評価及び診断手法について鋭意検討を重ねた。その結果、土壌バクテリア数と、窒素、リン及びカリウムに係る解析を組合せることにより、土壌の適切な診断が可能になることを見出し、更に検討を重ねて、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の土壌診断方法、品質管理方法、及び改善方法に関する。
項1:下記(I)〜(III)を用いて算出される循環活性指標:
(I)対象土壌におけるアンモニア減少率、
(II)対象土壌におけるフィチン酸からのリン酸生成活性、及び
(III)対象土壌における堆肥からのカリウム生成活性
並びに(IV)土壌における土壌バクテリア数
を用いて土壌診断を行うことを特徴とする土壌の診断方法。
項2:循環活性指標が、
予め設定されたアンモニア減少率の基準値、フィチン酸からのリン酸生成活性の基準値及び堆肥からのカリウム生成活性の基準値を頂点として形成される正三角形の面積に対する、
前記正三角形の重心から対応する頂点を結ぶ線分上に置かれた前記(I) アンモニア減少率、前記(II) フィチン酸からのリン酸生成活性、及び前記(III) 堆肥からのカリウム生成活性の測定点を頂点として形成される三角形の面積の割合である、項1に記載の診断方法。
項3:A)下記(A-1)〜(A-3)を用いて算出される窒素循環活性指標:
(A-1)対象土壌における土壌バクテリア数、
(A-2)対象土壌におけるアンモニア減少率、及び
(A-3)対象土壌における亜硝酸減少率、
B)下記(B-1)〜(B-3)を用いて算出されるリン循環活性指標:
(B-1)対象土壌における土壌バクテリア数、
(B-2)対象土壌におけるフィチン酸からのリン酸生成活性、及び
(B-3)対象土壌における堆肥からのリン酸生成活性、
並びに、C)下記(C-1)〜(C-3)を用いて算出されるカリウム循環活性指標:
(C-1)対象土壌における土壌バクテリア数、
(C-2)対象土壌におけるカリウム遊離率、及び
(C-3)対象土壌における堆肥からのカリウム生成活性
を少なくとも用いて土壌診断を行うことを特徴とする土壌の診断方法。
項4:窒素循環活性指標が、
予め設定された土壌バクテリア数の基準値、アンモニア減少率の基準値、及び亜硝酸減少率の基準値を頂点として形成される正三角形の面積に対する、
前記正三角形の重心から対応する頂点を結ぶ線分上に置かれた前記(A-1)土壌バクテリア数、前記(A-2)アンモニア減少率、及び前記(A-3)亜硝酸減少率の測定点を頂点として形成される三角形の面積の割合である、項3に記載の診断方法。
項5:リン循環活性指標が、
予め設定された土壌バクテリア数の基準値、フィチン酸からのリン酸生成活性の基準値、及び堆肥からのリン酸生成活性の基準値を頂点として形成される正三角形の面積に対する、
前記正三角形の重心から対応する頂点を結ぶ線分上に置かれた前記(B-1)土壌バクテリア数、前記(B-2)フィチン酸からのリン酸生成活性、及び前記(B-3)堆肥からのリン酸生成活性の各測定値を頂点として形成される三角形の面積の割合である、項3又は4に記載の診断方法。
項6:カリウム循環活性指標が、
予め設定された土壌バクテリア数の基準点、カリウム遊離率の基準値、及び、堆肥からのカリウム生成活性の基準値を頂点として形成される正三角形の面積に対する、
前記正三角形の重心から対応する頂点を結ぶ線分上に置かれた前記(C-1)土壌バクテリア数、前記(C-2)カリウム遊離率、及び前記(C-3)堆肥からのカリウム生成活性の各測定値を頂点として形成される三角形の面積の割合である、項3〜5のいずれかに記載の診断方法。
項7:項1〜6のいずれかに記載の診断方法を経時的に行って、前記指標の経時変化を解析することにより、土壌の品質を管理することを特徴とする、土壌の品質管理方法。
項8:項1〜6のいずれかに記載の診断方法を行って、得られた診断結果に基づき、前記指標を改善するための処理を行うことを特徴とする土壌の改善方法。
以下、本発明について、更に詳細に説明する。
1.土壌診断方法
1.1.土壌診断方法(1)
本発明の土壌の診断方法(1)は、下記(I)〜(III)を用いて算出される循環活性指標:
(I)対象土壌におけるアンモニア減少率、
(II)対象土壌におけるフィチン酸からのリン酸生成活性、及び
(III)対象土壌における堆肥からのカリウム生成活性
並びに(IV)土壌における土壌バクテリア数
を用いて土壌診断を行うことを特徴とする。
(I)アンモニア減少率
本発明において、対象土壌におけるアンモニア減少率とは、対象土壌に投与したアンモニア化合物濃度の減少割合を示す値である。
具体的にアンモニア減少率は、対象土壌にアンモニア化合物を投与した場合における下記式で求められる値として算出することができる。
アンモニア減少率(%)=[1−(N−N)/N]×100
(式中、Nはアンモニア化合物投与日のアンモニア態窒素量を表す。Nはアンモニア化合物投与から一定期間後のアンモニア態窒素量を表す。)
アンモニア化合物投与日とは、対象土壌に対するアンモニア化合物の投与日を意味する。アンモニア化合物投与日のアンモニア態窒素量は、投与0日目のアンモニア態窒素量と表すことができる。
また、アンモニア化合物投与から一定期間後とは、対象土壌に対するアンモニア化合物投与から一定期間経過した日を意味する。例えば、対象土壌にアンモニア化合物を投与した日から3日経過後のアンモニア態窒素量は、投与3日目のアンモニア態窒素量と表すことができる。
一定期間の長さは、適宜設定可能であるが、投与から3〜7日目、特に3日目であることが好ましい。これよりも期間が短い場合、或いは、極端に長い場合は、活性の差が判別し難くなる。
別言すると、対象土壌におけるアンモニア減少率として、好ましくは、下記式で求められる値:
Figure 0005578525
を用いることができる。
アンモニア態窒素量とは、対象土壌の単位乾燥重量あたりのアンモニア態窒素(NH4 +)の量を意味する。
アンモニア態窒素量は、インドフェノール法、塩化カリウム液浸出法、高速液体クロマトグラフィーなどにより測定することができる。より具体的には実施例におけるアンモニア態窒素の定量方法により測定することができる。
対象土壌に投与するアンモニア化合物の種類は特に限定されないが、例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム等のアンモニウム塩などが挙げられる。このうち、一般的な農業用肥料である硫酸アンモニウムが好ましく用いられる。
また、対象土壌に投与するアンモニア化合物の量も、特に限定されないが、一般的な畑土壌中の含窒素化合物濃度を考慮すると、対象土壌の単位乾燥重量あたり30〜100 μg-N/g-dry soil程度、好ましくは60〜70 μg-N/g-dry soil程度である。
アンモニア減少率は、アンモニア態窒素から亜硝酸態窒素への変換効率を反映しており、減少率が大きいほど、対象土壌中のアンモニア酸化細菌数が多いか、若しくは単位菌体量当たりの活性が高いアンモニア酸化細菌が含まれていると考えられる。また減少率が小さいほどアンモニア酸化細菌数が少ないと考えられる。
(II) フィチン酸からのリン酸生成活性
本発明において、対象土壌におけるフィチン酸からのリン酸生成活性とは、対象土壌に投与したフィチン酸の変換活性を示す値である。
具体的に対象土壌におけるフィチン酸からのリン酸生成活性は、対象土壌にフィチン酸を投与した場合における下記式で求められる値として算出することができる。
フィチン酸からのリン酸生成活性(%)=[(P3−P2)/P1]×100
(式中、P1はフィチン酸中のリン酸量を表す。P2はフィチン酸投与日の水溶性リン酸量を表す。P3はフィチン酸投与から一定期間後の水溶性リン酸量を表す。)
フィチン酸中のリン酸量は、フィチン酸1モルに6分子のリン酸が含まれていることに基づき、フィチン酸の投与量から算出することができる。
フィチン酸投与日とは、対象土壌に対するフィチン酸の投与日を意味する。フィチン酸投与日の水溶性リン酸量は、投与0日目の水溶性リン酸量と表すことができる。
また、フィチン酸投与から一定期間後とは、対象土壌に対するフィチン酸投与から一定期間経過した日を意味する。例えば、対象土壌にフィチン酸を投与した日から3日経過後の水溶性リン酸は、投与3日目の水溶性リン酸量と表すことができる。
一定期間の長さは、適宜設定可能であるが、投与から3〜7日目、特に3日目であることが好ましい。これよりも期間が短い場合、或いは、極端に長い場合は、活性の差が判別し難くなる。
別言すると、対象土壌におけるフィチン酸からのリン酸生成活性として、好ましくは、下記式で求められる値:
Figure 0005578525
を用いることができる。
水溶性リン酸量とは、対象土壌の単位乾燥重量あたりの水溶性リン酸の量を意味する。
水溶性リン酸量は、モリブデンブルー法、高速液体クロマトグラフィーなどにより測定することができる。より具体的には実施例における水溶性リン酸の定量方法に従って測定することができる。
対象土壌に投与するフィチン酸の量は、特に限定されないが、対象土壌の単位乾燥重量あたり0.5〜5%(w/w)程度、好ましくは1〜2%(w/w)程度である。
フィチン酸からのリン酸生成活性は、フィチン酸から水溶性リン酸への変換効率を反映しており、活性が大きいほど、植物体内に含まれるリンを利用しやすい状態にあると考えられる。これから、活性が大きいほど、土壌の質に優れ、外部からのリン肥料を投入する量を抑制することができると考えられる。
一方、活性が小さいほど、植物体内のリンを利用し難い状態と考えられる。このため、活性が小さいほど、土壌の質が十分でなく、外部から堆肥又はリン肥料等を投入する必要があると考えられる。
(III)堆肥からのカリウム生成活性
本発明において、対象土壌における堆肥からのカリウム生成活性とは、対象土壌に投与した堆肥中のカリウムの遊離カリウムへの変換活性を示す値である。
ここで、堆肥は、上記リン循環指標において説明したものと同様であり、バーク堆肥などの植物堆肥、鶏糞堆肥、牛糞堆肥、豚糞堆肥などの家畜堆肥、海藻堆肥などが挙げられる。これらは1種単独としてもよく、2種以上であってもよい。
このうち、バーク堆肥が、カリウムも多く含まれているため、より適切な評価が可能となる。通常、バーク堆肥の全カリウム(K2O)の含量は0.1%以上(乾物)である。
また、堆肥の投与形態も限定されず、堆肥を培養土に混合させたものであってもよい。この場合の混合割合は、培養土全量に対する堆肥の重量で10〜50%、好ましくは25〜35%程度である。
堆肥土壌における堆肥からのカリウム生成活性は、対象土壌に堆肥を投与した場合における下記式で求められる値として算出することができる。
堆肥からのカリウム生成活性(%)=[(K6−K5)/K4]×100
(式中、K4は堆肥中のカリウム含有量を表す。K5は堆肥投与日におけるカリウム遊離量を表す。K6は堆肥投与から一定期間後のカリウム遊離量を表す。)
堆肥中のカリウム含有量も、公知の方法に従って定量することができるが、例えば、堆肥に酢酸アンモニウム水溶液を加えてろ過したろ液をカリウム抽出液とし、得られた抽出液を、原子吸光光度計を用いてカリウム量を測定することにより、得ることができる。
堆肥投与日とは、対象土壌に対する堆肥の投与日を意味する。例えば、堆肥を投与した日のカリウム遊離量は、投与0日目のカリウム遊離量と表すことができる。
また、堆肥投与から一定期間後とは、対象土壌に対する堆肥投与から一定期間経過した日を意味する。例えば、対象土壌に堆肥を投与した日から3日経過後のカリウム遊離量は、投与3日目のカリウム遊離量と表すことができる。
一定期間の長さは、適宜設定可能であるが、投与から3〜7日目、特に3日目であることが好ましい。これよりも期間が短い場合、或いは、極端に長い場合は、活性の差が判別し難くなる。
別言すると、対象土壌における堆肥からのカリウム生成活性として、好ましくは、下記式で求められる値:
Figure 0005578525
を用いることができる。
カリウム遊離量は、後記と同様にして、測定することができる。
堆肥からのカリウム生成活性は、堆肥中のカリウムの遊離カリウムへの変換効率を反映しており、活性が大きいほど、堆肥中のカリウムを利用しやすい状態にあると考えられる。これから活性が大きいほど、土壌の品質に優れ、また外部からカリウムの投入量を抑えることができると考えられる。
また活性が小さいほど、堆肥からのカリウムを利用し難い状態にあると考えられる。これから活性が小さいほど、土壌の品質が十分でなく、外部からのカリウム投入が必要と考えられる。
(IV)土壌バクテリア数
本発明において、土壌バクテリア数とは、対象土壌から採取した試料単位重量当たりに存在するDNA量に基づいて求められる土壌バクテリア数を表す。
単位重量が1gである場合、その数は、対象土壌(又は試料)単位重量あたりの数(cells/g-soil又はcells/g-sample)の単位で表すことができる。
なお、ここでいうDNA量とは、対象土壌から採取した試料単位重量当たりに存在するDNAの量を示す。より詳細には、DNAの由来に関わらず、該試料単位重量当たりに存在するDNAの総量を示す。
土壌バクテリア数は、対象土壌から採取した試料単位重量当たりに存在するDNA量を、適当な手法で換算することにより求めることができる。
例えば、顕微鏡等の測定手段を用いて、予め土壌中の土壌バクテリアの数とDNA量との相関関係を求めておき、採取した試料から測定されたDNA量を該相関関係に照合することによって求めることができる。
好ましい態様の一例において、土壌バクテリア数は、対象土壌から採取した試料の単位重量あたりのDNA量を、下記式により換算することによって求められる。
Y = 1.7 × 108 X(R2 = 0.96)[Y;土壌バクテリア数(cells/g-soil)、X;eDNA量(μg/g-soil)]
対象土壌から採取された試料とは、上記対象土壌から採取(サンプリング)される土壌のことである。採取方法は特に限定されず、適宜公知の方法に従って行うことができる。
採取条件も適宜設定し得るが、対象土壌における微生物の状況を適正に判断するという観点から、試料の採取は、雨等によって対象土壌が通常の状態でない時期を避けて行うことが好ましい。
対象土壌から採取した試料単位重量あたりのDNA量は、診断対象の土壌から採取した試料に存在するDNAを溶出し、該DNAの量を定量することにより測定することができる。
対象土壌から採取した試料におけるDNA量の測定は、試料を取得した後、直ちに行うことが望ましいが、取得された試料を、低温(例えば−4〜−80度程度、好ましくは−20〜−80度程度)で1日〜3週間程度保存しておくこともできる。
該試料に含まれる全微生物からDNAを溶出する方法としては、DNAが顕著に分解或いはせん断され、その定量に悪影響が及ぼされるものでない限り、特に制限されない。
例えば、当該DNAの溶出方法の一態様として、該試料をDNA溶出溶液で処理する方法を挙げることができる。
ここで使用されるDNA溶出溶液としては、バクテリアからDNAを溶出するために一般的に使用されている溶液を挙げることができる。
具体的には、当該DNA抽出用溶液としては、EDTA、EGTA等のDNA分解酵素の阻害剤、陽イオン界面活性剤、陰イオン性界面活性剤を含む溶液及び/又はそれらを含む緩衝液等を用いることができる。また、緩衝液には、プロテイナーゼK、サーモライシン、サチライシン等のタンパク質分解酵素を含有させることもできる。各成分の配合割合は、DNAの抽出を著しく阻害しない範囲で適宜設定することができる。
上記DNA溶出溶液を用いたDNAの溶出処理において、DNAの溶出条件については、特に制限されない。例えば、溶出処理に供される土壌1gに対して、上記DNA抽出溶液を2〜20ml、好ましくは5〜15ml、更に好ましくは8〜12mlを添加混合することにより、DNAの溶出を行うことができる。
また、溶出温度については、使用するDNA溶出溶液や溶出処理に供される土壌の種類等に応じて、適宜設定することができる。
溶出時間については、使用するDNA抽出用溶液の種類、溶出処理に供される土壌の種類、溶出温度等によって異なり、一律に規定することはできないが、一例として、0.1〜4時間、好ましくは0.2〜2時間、更に好ましくは0.3〜1時間を挙げることができる。
かくして溶出されたDNAを定量することによって、対象土壌に存在するDNA量を求めることができる。
DNAの定量方法は、特に制限されず、例えば、溶出されたDNAを、必要に応じて精製し、回収して、公知又は慣用のDNA定量方法により定量することができる。
具体的に、DNAの定量方法としては、精製することにより回収したDNAをアガロースゲル電気泳動に供した後に、臭化エチジウムで該DNAを染色して、ゲル上のDNAのバンドの蛍光強度を測定する方法を挙げることができる。
また例えば、精製することにより回収したDNAを緩衝液に溶解して、該溶液の260nmの吸光度を測定する方法を挙げることもできる。
DNAを精製する方法も、特に制限されず、常法に従って行うことができる。例えば、DNAを精製する方法としては、上記のようにしてDNA溶出処理した後の溶液を遠心分離して、その上清を回収する工程;前記工程で得られた上清に、クロロホルム、クロロホルム−イソアミルアルコール等の上記上清と層分離する不純物除去用溶液を添加して、混合する工程;前記工程で得られた混合液からDNAを含有する層を取り出すことにより、不純物を除去する工程、及び前記工程で得られたDNAを含有する層にイソプロピルアルコール、エタノール又はポリエチレングリコール等のDNA沈殿剤を添加してDNAを沈殿させ、これを回収する工程を含有する方法を挙げることができる。
なお、DNAの抽出効率は、対象土壌の種類によって異なることがあるため、予め各試料におけるDNAの抽出効率を測定しておき、当該抽出効率に基づいて各対象試料毎に補正を行った上で、そのDNA量を求めることが望ましい。
ここでいうDNA抽出効率とは、該対象土壌から採取した試料中に含まれるDNA量に対して、該試料から実際に溶出・定量されるDNA量の割合を意味する。
上記のように測定されたDNA量から、上述の方法に従って、土壌バクテリア数を求めることができる。
より具体的には、実施例に記載の方法に従って求めることができる。
試料中に存在する全てのバクテリアに由来するDNAの総量は、対象土壌の総合的な特性や状況を反映している。従って、対象土壌から採取した試料単位重量当たりに存在するDNA量に基づいて求められる土壌バクテリア数は、土壌の特性や土壌中のバクテリアの働きの状況を把握する指標となる。
土壌バクテリア数が大きいほど、土壌中の物質、例えば、各種有機物や窒素含有化合物、リン含有化合物などを変換する活性が高いと考えられる。又、土壌バクテリア数が小さいほど、汚染物質が残留し、土壌バクテリアの生育が抑制され、物質変換活性が低いと考えられる。土壌バクテリア数が2×108 cells/g-soilを下回ると循環活性が低下する。
(V)循環活性の評価
前記(I)、(II)、(III)、及び(IV)は、土壌中の窒素、リン酸、カリウム循環においていずれも重要な因子であり、これらを組み合わせて解析することが、適切な診断のために重要である。
土壌バクテリア数が、2×108 cells/g-soil以上であり、且つ(I)、(II)、及び(III)について以下の条件をすべて充足すれば、植物の生育に適した土壌であると判断され、以下の条件を一つでも充足しなければ、植物の生育に適さない土壌であると判断される。
(I)アンモニア減少率の基準値としては、対象土壌に60 μg-N/g-dry soilの硫酸アンモニウムを投与し、0日目のアンモニア態窒素量と3日目のアンモニア態窒素量を測定し、上記式で求められる値が100%となる場合を基準値とすることができる。そして、測定値が30%以上、好ましくは60%以上であれば、優れたアンモニア変換活性を有した土壌であると評価できる。一般的な畑土壌中の含窒素化合物濃度は、60 μg-N/g-dry soil程度であることから、この程度の量の減少率が100 %である場合、必要十分なアンモニア変換活性を有していると評価できる。
フィチン酸からのリン酸生成活性の基準値としては、対象土壌に単位乾燥重量あたり1%(w/w)のフィチン酸を投与し、0日目の水溶性リン酸量と3日目の水溶性リン酸量を測定し、上記式で求められる値が100%となる場合を基準値とすることができる。そして、測定値が10%以上、好ましくは30%以上であれば、優れたフィチン酸からのリン酸生成活性を有した土壌であると評価できる。
堆肥からのカリウム生成活性の基準値としては、対象土壌に単位乾燥重量あたり1%(w/w)の堆肥を投与し、0日目のカリウム遊離量と3日目のカリウム遊離量を測定し、上記式で求められる値が100%となる場合を基準値とすることができる。そして、測定値が5%以上、好ましくは20%以上であれば、優れた堆肥からのカリウム生成活性を有した土壌であると評価できる。
上記(I)、(II)及び(III)を組み合わせて、循環活性指標を算出する方法は、特に限定されないが、予め設定されたアンモニア減少率の基準値、フィチン酸からのリン酸生成活性の基準値及び堆肥からのカリウム生成活性の基準値を頂点として形成される正三角形の面積に対する、前記正三角形の重心から対応する頂点を結ぶ線分上に置かれた前記(I)アンモニア減少率、前記(II) フィチン酸からのリン酸生成活性、及び前記(III) 堆肥からのカリウム生成活性の測定点を頂点として形成される三角形の面積の割合として算出されることが好ましい。
この際、(I)、(II)、及び(III)について上記の条件をすべて充足し、土壌バクテリア数が2×108 cells/g-soil以上であり、且つ基準値を頂点として形成される正三角形の面積に対する測定点を頂点として形成される三角形の割合が、10以上、好ましくは30以上であれば、植物の生育に適した土壌であると判断でき、上記範囲外であると植物の生育に適した土壌でないと判断できる。
これにより、(I)、(II)及び(III)に基づく総合的な評価乃至判断が容易となる。更に、図示化して、指標の大きさを一目で把握することが可能となる。また(I)〜(III)のうちのどの変数の改善が必要かの把握が容易となる。
循環活性指標が高いほど、植物が窒素分、リン酸分、及びカリウム分を吸収し易く、また土壌中の窒素、リン酸及びカリウム循環効率が良好な状態にあると評価できる。
1.2.土壌診断方法(2)
本発明の土壌診断方法は、少なくとも(A)窒素循環活性指標、(B)リン循環活性指標、及び(C)カリウム循環活性指標を用いて、土壌の評価乃至診断を行うことを特徴とする。
(A)窒素循環活性指標
本発明において、窒素循環活性指標とは、硝化を含む窒素含有化合物の変換と土壌バクテリアの関係を解析するための指標である。
本発明における窒素循環活性指標は、
(A-1)対象土壌における土壌バクテリア数、
(A-2)対象土壌におけるアンモニア減少率、及び
(A-3)対象土壌における亜硝酸減少率
を用いて算出される値である。
土壌に加えられた有機窒素化合物は、ペプチド、アミノ酸等に分解された後、アンモニア態窒素に変化される。さらに、アンモニア態窒素(NH4 +)から 亜硝酸態窒素(NO2 -)、硝酸態窒素(NO3 -)へと順次変換される。一部は脱窒反応が起こり、窒素(N2)に変換される。
このような有機窒素化合物の循環・変換経路において、アンモニア態窒素から亜硝酸態窒素への変換、並びに、亜硝酸態窒素から硝酸態窒素への変換が、有機窒素化合物から植物が吸収・利用可能な硝酸を生成するために不可欠な経路である。特にアンモニア態窒素から亜硝酸態窒素への変換経路は反応速度が非常に遅く、一連の含窒素化合物変換反応の律速となっている。このため、窒素循環活性の評価においては、アンモニア態窒素及び亜硝酸態窒素の減少割合が重要な因子と考えられる。
(A-1)土壌バクテリア数
対象土壌における土壌バクテリア数については、前記(IV)循環活性指標に記載したとおりである。
(A-2)アンモニア減少率
対象土壌におけるアンモニア減少率については、前記(I)循環活性指標に記載したとおりである。
(A-3)亜硝酸減少率
本発明において、対象土壌における亜硝酸減少率とは、対象土壌に投与した亜硝酸態窒素(NO2 -)濃度の減少割合を示す値である。
具体的に亜硝酸減少率は、対象土壌に亜硝酸化合物を投与した場合における下記式で求められる値として算出することができる。
亜硝酸減少率(%)=[1−(N−N4)/N]×100
(式中、Nは亜硝酸化合物投与日の亜硝酸態窒素量を表す。Nは亜硝酸化合物投与から一定期間後の亜硝酸態窒素量を表す。)
亜硝酸化合物投与日とは、対象土壌に対する亜硝酸化合物の投与日を意味する。亜硝酸化合物投与日の亜硝酸態窒素量は、投与0日目の亜硝酸態窒素量と表すことができる。
また、亜硝酸化合物投与から一定期間後とは、対象土壌に対する亜硝酸化合物投与から一定期間経過した日を意味する。例えば、対象土壌に亜硝酸化合物を投与した日から3日経過後の亜硝酸態窒素量は、投与3日目の亜硝酸態窒素量と表すことができる。
一定期間の長さは、適宜設定可能であるが、投与から3〜7日目、特に3日目であることが好ましい。これよりも期間が短い場合、或いは、極端に長い場合は、活性の差が判別し難くなる。
別言すると、対象土壌における亜硝酸減少率として、好ましくは、下記式で求められる値:
Figure 0005578525
を用いることができる。
亜硝酸態窒素量とは、対象土壌の単位乾燥重量あたりの亜硝酸態窒素(NO2 -)の量を意味する。
亜硝酸態窒素量は、ナフチルエチレンジアミン法、高速液体クロマトグラフィーなどにより測定することができる。より具体的には実施例における亜硝酸態窒素の定量法により測定することができる。
亜硝酸減少率は、亜硝酸態窒素から硝酸態窒素への変換効率を反映しており、減少率が大きいほど、対象土壌中の亜硝酸酸化細菌数が多いか、若しくは単位菌体量当たりの活性が高い亜硝酸酸化細菌が含まれていると考えられる。また減少率が小さいほど亜硝酸酸化細菌数が少ないと考えられる。
(A-4)窒素循環活性の評価
前記(A-1)、(A-2)、及び(A-3)は、土壌中の窒素循環においていずれも重要な因子であり、これらを組み合わせて解析することが、適切な診断のために重要である。
(A-1)、(A-2)、及び(A-3)について以下の条件をすべて充足すれば、窒素循環活性に優れた土壌であると判断され、以下の条件を一つでも充足しなければ、窒素循環活性に優れた土壌でないと判断される。
土壌バクテリア数の基準値としては、農地土壌における土壌バクテリア数の平均値である3.25×109 cells/g-soilを100%として基準値に用いる。そして、測定値が10%以上、好ましくは40%以上であれば、優れた土壌バクテリア数を有した土壌であると評価できる。
アンモニア減少率の基準値としては、対象土壌に60 μg-N/g-dry soilの硫酸アンモニウムを投与し、0日目のアンモニア態窒素量と3日目のアンモニア態窒素量を測定し、上記式で求められる値が100%となる場合を基準値とすることができる。そして、測定値が30%以上、好ましくは60%以上であれば、優れたアンモニア減少率を有した土壌であると評価できる。一般的な畑土壌中の含窒素化合物濃度は、60 μg-N/g-dry soil程度であることから、この程度の量の減少率が100 %である場合、必要十分なアンモニア変換活性を有していると評価できる。
亜硝酸減少率の基準値としては、対象土壌に60 μg-N/g-dry soilの亜硝酸カリウムを投与し、0日目の亜硝酸態窒素量と3日目の亜硝酸態窒素量を測定し、上記式で求められる値が100%となる場合を基準値とすることができる。そして、測定値が60%以上、好ましくは90%以上であれば、優れた亜硝酸減少率を有した土壌であると評価できる。一般的な畑土壌中の含窒素化合物濃度は、60 μg-N/g-dry soil程度であることから、この程度の量の減少率が100 %である場合、必要十分な亜硝酸変換活性を有していると評価できる。
上記(A-1)、(A-2)及び(A-3)を組み合わせて、窒素循環活性指標を算出する方法は、特に限定されないが、予め設定された土壌バクテリア数の基準値、アンモニア減少率の基準値、及び亜硝酸減少率の基準値を頂点として形成される正三角形の面積に対する、前記正三角形の重心から対応する頂点を結ぶ線分上に置かれた前記(A-1)土壌バクテリア数、前記(A-2)アンモニア減少率、及び前記(A-3)亜硝酸減少率の測定点を頂点として形成される三角形の面積の割合として算出されることが好ましい。
これにより、(A-1)、(A-2)及び(A-3)に基づく総合的な評価乃至判断が容易となる。更に、図2に示すように図示化して、指標の大きさを一目で把握することが可能となる。また(A-1)〜(A-3)のうちのどの変数の改善が必要かの把握が容易となる。
この際、(A-1)、(A-2)、及び(A-3)について上記の条件をすべて充足し、基準値を頂点として形成される正三角形の面積に対する測定点を頂点として形成される三角形の割合が、10以上、好ましくは40以上であれば、窒素循環活性に優れた土壌であると判断でき、上記の値未満であると窒素循環活性に優れた土壌でないと判断できる。
窒素循環活性指標は、より具体的には、実施例に記載の算出方法により、算出することができる。
窒素循環活性指標が高いほど、植物が窒素分を吸収し易く、また土壌中の窒素循環効率が良好な状態にあると評価できる。
(B)リン循環活性指標
本発明において、リン循環活性指標とは、リン含有有機化合物からリン酸への変換活性、別言すると、植物が利用できないリン化合物を利用可能なリン酸に変換する活性、と土壌バクテリアの関係を解析するための指標である。
本発明におけるリン循環活性指標は、
(B-1)対象土壌における土壌バクテリア数、
(B-2)対象土壌におけるフィチン酸からのリン酸生成活性、及び
(B-3)対象土壌における堆肥からのリン酸生成活性、
を用いて算出される値である。
植物の三大栄養素の一つであるリンは植物生長と密接に関与していることから、土壌診断においては、リン循環活性の評価が重要と考えられる。
また、植物は、水溶性リン酸を吸収する。このため、土壌中の水溶性リン酸量が多い土壌では、植物によるリンの吸収が行われやすいと考えられる。
このため、リン循環活性について、リン化合物から水溶性リン酸への変換活性が重要な因子となると考えられる。
また、リン化合物としては、特に、フィチン酸、及び、堆肥が重要と考えられる。
フィチン酸は、植物がリンを貯蔵するための物質であり、雑草や農作物収穫後の残渣などに多く含まれる。対象土壌中の微生物が、これら植物体内にあるフィチンからリン酸を遊離させる活性が高ければ、土壌の品質は高いと判断できる。
また、堆肥は、土壌で不足しているリンを外部から補給するための手段として用いられる。しかしながら、堆肥中には水溶性リン酸ではなく、バーク堆肥の含有成分等としてリン酸が含まれている。対象土壌中の微生物が堆肥からリン酸を生成できる活性が高ければ、土壌の品質は高いと判断できる。
(B-1)土壌バクテリア数
対象土壌における土壌バクテリア数については、前記(IV)循環活性指標に記載したとおりである。
(B-2) フィチン酸からのリン酸生成活性
対象土壌におけるフィチン酸からのリン酸生成活性については、前記(II)循環活性指標に記載したとおりである。
(B-3)堆肥からのリン酸生成活性
本発明において、対象土壌における堆肥からのリン酸生成活性とは、対象土壌に投与した堆肥のリン酸への変換活性、換言すると、堆肥を変換・分解して水溶性リン酸を遊離させる活性を示す値である。
堆肥としては、バーク堆肥などの植物堆肥、鶏糞堆肥、牛糞堆肥、豚糞堆肥などの家畜堆肥、海藻堆肥などが挙げられる。これらは1種単独としてもよく、2種以上であってもよい。
このうち、バーク堆肥が、フィチン酸などの形でリン酸が多く含まれているため、より適切な評価が可能となる。通常、バーク堆肥の全リン酸(P2O5)の含量は0.5%以上(乾物)である。
また、堆肥の投与形態も限定されず、堆肥を培養土に混合させたものであってもよい。この場合の混合割合は、培養土全量に対する堆肥の重量で10〜50%、好ましくは25〜35%程度である。
具体的に堆肥からのリン酸生成活性は、対象土壌に堆肥を投与した場合における下記式で求められる値として算出することができる。
堆肥からのリン酸生成活性(%)=[(P6−P5)/P4]×100
(式中、P4は堆肥中のリン酸量を表す。P5は堆肥投与日における水溶性リン酸量を表す。P6は堆肥投与から一定期間後の水溶性リン酸量を表す。)
堆肥中のリン酸量は、公知のリン酸含量定量法に従って測定することができるが、例えば、堆肥中の有機物を過塩素酸で分解した後、0.002N硫酸で抽出し、モリブデンブルー法に供して全リン酸を定量することにより、得ることができる。
堆肥投与日とは、対象土壌に対する堆肥の投与日を意味する。堆肥を投与した日の水溶性リン酸量は、投与0日目の水溶性リン酸量と表すことができる。
また、堆肥投与から一定期間後とは、対象土壌に対する堆肥投与から一定期間経過した日を意味する。例えば、対象土壌に堆肥を投与した日から3日経過後の水溶性リン酸量は、投与3日目の水溶性リン酸量と表すことができる。
一定期間の長さは、適宜設定可能であるが、投与から3〜7日目、特に3日目であることが好ましい。これよりも期間が短い場合、或いは、極端に長い場合は、活性の差が判別し難くなる。
別言すると、対象土壌における堆肥からのリン酸生成活性として、好ましくは、下記式で求められる値:
Figure 0005578525
を用いることができる。
水溶性リン酸量は、前述のとおり、対象土壌の単位乾燥重量あたりの水溶性リン酸の量を意味し、上記と同様の方法で測定することができる。
堆肥からのリン酸生成活性は、堆肥から水溶性リン酸への変換効率を反映しており、活性が大きいほど、堆肥中に含まれるリンを利用しやすい状態にあると考えられる。これから、活性が大きいほど、土壌の質に優れ、堆肥の投入量を少なく抑えることができると考えられる。また活性が小さいほど、堆肥中のリンを利用し難い状況にあると考えられる。これから、活性が小さいほど、土壌の質が十分でなく、堆肥の投入量を多くするか、又はリン肥料を投入する必要があると考えられる。
(B-4)リン循環活性の評価
前記(B-1)、(B-2)、及び(B-3)は、土壌中のリン循環においていずれも重要な因子であり、これらを組み合わせて解析することが、適切な土壌診断のために重要である。
(B-1)、(B-2)、及び(B-3)について以下の条件をすべて充足すれば、リン循環活性に優れた土壌であると判断され、以下の条件を一つでも充足しなければ、リン循環活性に優れた土壌でないと判断される。
土壌バクテリア数の基準値としては、農地土壌における土壌バクテリア数の平均値である3.25×109 cells/g-soilを100%として基準値に用いる。そして、測定値が10%以上、好ましくは40%以上であれば、優れた土壌バクテリア数を有した土壌であると評価できる。
フィチン酸からのリン酸生成活性の基準値としては、対象土壌に単位乾燥重量あたり1%(w/w)のフィチン酸を投与し、0日目の水溶性リン酸量と3日目の水溶性リン酸量を測定し、上記式で求められる値が100%となる場合を基準値とすることができる。そして、測定値が10%以上、好ましくは30%以上であれば、優れたフィチン酸からのリン酸生成活性を有した土壌であると評価できる。
堆肥からのリン酸生成活性の基準値としては、対象土壌に単位乾燥重量あたり1%(w/w)の堆肥を投与し、0日目の水溶性リン酸量と3日目の水溶性リン酸量を測定し、上記式で求められる値が100%となる場合を基準値とすることができる。そして、測定値が10%以上、好ましくは30%以上であれば、優れた堆肥からのリン酸生成活性を有した土壌であると評価できる。
上記(B-1)、(B-2)及び(B-3)を組み合わせて、リン循環活性指標を算出する方法は、特に限定されないが、予め設定された土壌バクテリア数の基準値、フィチン酸からのリン酸生成活性の基準値、及び堆肥からのリン酸生成活性の基準値を頂点として形成される正三角形の面積に対する、前記正三角形の重心から対応する頂点を結ぶ線分上に置かれた前記(B-1)土壌バクテリア数、前記(B-2)フィチン酸からのリン酸生成活性、及び前記(B-3)堆肥からのリン酸生成活性の測定点を頂点として形成される三角形の面積の割合として算出されることが好ましい。
これにより、(B-1)、(B-2)及び(B-3)に基づく総合的な評価乃至判断が容易となる。更に、図4に示すように図示化して、指標の大きさを一目で把握することが可能となる。また(B-1)〜(B-3)のうちのどの変数の改善が必要かの把握が容易となる。
この際、(B-1)、(B-2)、及び(B-3)について上記の条件をすべて充足し、基準値を頂点として形成される正三角形の面積に対する測定点を頂点として形成される三角形の割合が、1以上、好ましくは10以上であれば、リン循環活性に優れた土壌であると判断でき、上記の値未満であるとリン循環活性に優れた土壌でないと判断できる。
リン循環活性指標は、より具体的には、実施例に記載の算出方法により、算出することができる。
リン循環活性指標が高いほど、植物がリン分を吸収し易く、また土壌中のリン循環効率が良好な状態にあると評価できる。
(C)カリウム循環活性指標
本発明において、カリウム循環活性指標とは、カリウム含有化合物の変換と土壌バクテリアの関係を解析するための指標である。
本発明におけるカリウム循環活性指標は、
(C-1)対象土壌における土壌バクテリア数、
(C-2)対象土壌におけるカリウム遊離率、及び
(C-3)対象土壌における堆肥からのカリウム生成活性
を用いて算出される値である。
植物の三大栄養素であるカリウムも植物生長と密接に関係していると考えられることから、土壌診断においては、カリウム循環活性の評価が重要と考えられる。
植物は、土壌に遊離するカリウムを吸収する。そのため、カリウム循環活性においては、土壌中の遊離カリウム量が重要な因子となると考えられる。
また、土壌で不足しているカリウムを外部から補給するための手段として堆肥が用いられる。堆肥中において、カリウムは、動植物の遺体内に多数含まれている。しかしながら、植物が利用できるのは遊離のカリウムである。そのため、堆肥に含まれるカリウムを、微生物が遊離のカリウムに変換する活性が重要な因子となると考えられる。
(C-1)土壌バクテリア数
対象土壌における土壌バクテリア数については、前記(IV)循環活性指標に記載したとおりである。
(C-2)カリウム遊離率
本発明において、対象土壌におけるカリウム遊離率とは、対象土壌の単位乾燥重量当たりのカリウム量を示す値である。
具体的に対象土壌におけるカリウム遊離率とは、下記式で算出される値である。
カリウム遊離率(%)=[(K3−K2)/K1]×100
(式中、K1は測定開始日における対象土壌中のカリウム含有量を表す。K2は測定開始日におけるカリウム遊離量を表す。K3は測定開始日から一定期間後のカリウム遊離量を表す。)
対象土壌中のカリウム含有量は、公知の方法に従って定量することができるが、例えば、土壌に酢酸アンモニウム水溶液を加えてろ過したろ液をカリウム抽出液とし、得られた抽出液を、原子吸光光度計を用いてカリウム量を測定することにより、得ることができる。
カリウム遊離量とは、対象土壌の単位乾燥重量あたりのカリウム量を意味する。
カリウム遊離量は、原子吸光光度法、ICP-MSにより測定することができる。例えば、土壌中から遊離しているカリウムを蒸留水で抽出した液を、原子吸光光度計で測定することによって得ることができる。具体的には、実施例に記載の原子吸光光度計による土壌中のカリウムの定量法に記載の方法で測定することができる。
好ましくは、カリウム遊離率は、
下記式で求められる値:
Figure 0005578525
を用いることができる。
カリウム遊離率は、植物が利用可能なカリウム量を反映しており、値が大きいほど、土壌中のカリウムを利用しやすい状態にあると考えられる。これから、値が大きいほど、土壌の品質に優れ、また外部からカリウムの投入量を抑えることができると考えられる。
また値が小さいほど、土壌中のカリウムが利用し難い状態と考えられる。これから、値が小さいほど、土壌の品質が十分でなく、また外部からカリウムの投入量を多くする必要があると診断される。
(C-3)堆肥からのカリウム生成活性
対象土壌における堆肥からのカリウム生成活性については、前記(III)循環活性指標に記載したとおりである。
(C-4)カリウム循環活性の評価
前記(C-1)、(C-2)、及び(C-3)は、土壌中のカリウム循環においていずれも重要な因子であり、これらを組み合わせて解析することが、適切な土壌診断のために重要である。
(C-1)、(C-2)、及び(C-3)について以下の条件をすべて充足すれば、カリウム循環活性に優れた土壌であると判断され、以下の条件を一つでも充足しなければ、カリウム循環活性に優れた土壌でないと判断される。
土壌バクテリア数の基準値としては、農地土壌における土壌バクテリア数の平均値である3.25×109 cells/g-soilを100%として基準値に用いる。そして、測定値が10%以上、好ましくは40%以上であれば、優れた土壌バクテリア数を有した土壌であると評価できる。
カリウム遊離率の基準値としては、3日の間に対象土壌中のカリウムが全て遊離カリウムに変換されたときの活性を100%と定義することができる。そして、測定値が5%以上、好ましくは10%以上であれば、優れたカリウム遊離率を有した土壌であると評価できる。
堆肥からのカリウム生成活性の基準値としては、対象土壌に単位乾燥重量あたり1%(w/w)の堆肥中を投与し、0日目のカリウム遊離量と3日目のカリウム遊離量を測定し、上記式で求められる値が100%となる場合を基準値とすることができる。そして、測定値が5%以上、好ましくは20%以上であれば、優れた堆肥からのカリウム生成活性を有していると評価できる。
上記(C-1)、(C-2)及び(C-3)を組み合わせて、カリウム循環活性指標を算出する方法は、特に限定されないが、予め設定された土壌バクテリア数の基準値、カリウム遊離量の基準値、及び堆肥からのカリウム生成活性の基準値を頂点として形成される正三角形の面積に対する、前記正三角形の重心から対応する頂点を結ぶ線分上に置かれた前記(C-1)土壌バクテリア数、前記(C-2)カリウム遊離量、及び前記(C-3)堆肥からのカリウム生成活性の測定点を頂点として形成される三角形の面積の割合として算出されることが好ましい。
これにより、(C-1)、(C-2)及び(C-3)に基づく総合的な評価乃至判断が容易となる。更に、図5に示すように図示化して、指標の大きさを一目で把握することが可能となる。また(C-1)〜(C-3)のうちのどの変数の改善が必要かの把握が容易となる。
この際、(C-1)、(C-2)、及び(C-3)について上記の条件をすべて充足すれば、基準値を頂点として形成される正三角形の面積に対する測定点を頂点として形成される三角形の割合が、1以上、好ましくは5以上であれば、カリウム循環活性に優れた土壌であると判断でき、上記の値未満であるとカリウム循環活性に優れた土壌でないと判断できる。
カリウム循環活性指標は、より具体的には、実施例に記載の算出方法により、カリウム循環指標を算出することができる。
カリウム循環活性指標が高いほど、植物がカリウム分を吸収し易く、また土壌中のカリウム循環効率が良好な状態にあると評価できる。
1.3.対象土壌
本発明において、対象となる土壌の種類は、特に限定されないが、例えば、農地や、バイオレメディエーション処理後の土壌等が挙げられる。
例えば、本発明は、農地が植物の生長に適した品質であるか、また農地が植物の生長に適した品質とするために改善が必要であるかを診断するための農地診断方法として用いることができる。また、本発明は、バイオレメディエーション処理後の土壌において、土壌微生物の物質循環活性が回復し、通常の用途に使用できるか否かを判断するための浄化処理土壌の診断方法として用いることができる。
1.4.診断
本発明においては、上記循環活性指標、又は、上記(A)窒素循環活性指標、(B)リン循環活性指標、(C)カリウム循環活性指標を用いて、土壌の診断を行う。
土壌の診断には、上記循環活性指標、及び上記(A)〜(C)以外の他の指標を用いてもよい。他の指標としては、例えば、土壌のpH、電気伝導度、溶存酸素濃度、粒度、或いは間隙率等が挙げられる。これらは公知の方法に従って測定することができる。
また、他の成分に関する指標、例えば、炭素に関する指標を更に加えて診断を行うこともできる。炭素に関する指標としては、全有機炭素量(TOC)を指標とすることが考えられる。微生物が種々の活性(窒素循環活性等)を有するためには、生体構成成分としての炭素源、および活性を維持するためのエネルギー源が必要であることから、炭素量も重要な因子になり得ると考えられる。
また、全有機炭素量と全窒素量の比(C/N比)等の、土壌や堆肥に関する公知の指標等を更に用いてもよい。
上記(A)〜(C)の指標を診断に用いる方法は特に限定されないが、例えば、(A)〜(C)の指標の和や積、又はそれらの演算値として総合的な指標を得て、診断を行うことができる。例えば、(A)〜(C)の指標の和が大きい土壌ほど、品質が高く、植物の生長に適した土壌と診断できる。
例えば、(A)〜(C)の指標を前述のように基準値を頂点として形成される正三角形の面積に対する測定点を頂点として形成される三角形の割合として算出し、それらの割合の平均を取った場合、その平均が10以上、好ましくは35以上であれば、植物の生育に適した土壌であると判断でき、上記の値未満であると植物の生育に適した土壌でないと判断できる。
また、(A)〜(C)の指標を前述のように基準値を頂点として形成される正三角形の面積に対する測定点を頂点として形成される三角形の割合として算出した上で、100を頂点として形成される正三角形の面積に対する、正三角形の重心から対応する頂点を結ぶ線分上に置かれた前記割合を頂点として形成される三角形の割合が、1以上、好ましくは5以上であれば、植物の生育に適した土壌であると判断でき、上記の値未満であると植物の生育に適した土壌でないと判断できる。
上記の様な判断を行う場合であっても、(A-1)〜(A-3)、(B-1)〜(B-3)、及び(C-1)〜(C-3) についてすべてが上記の条件を充足していることが前提となる。
また、上記循環活性指標、又は(A)〜(C)の指標をそれぞれ診断し、窒素、リン、カリウムのどの循環系の改善が必要か、更に、その改善のために、追加成分の投入が有効か、或いは、土壌微生物の状況改善が有効かであるかの診断を行ってもよい。
更に、上記(A)〜(C)の指標と他の指標とを組合せた総合指標として、土壌の診断を行うこともできる。更に、(A)〜(C)の指標のバランスを検討したり、他の指標と比較したりして、診断を行うことができる。
2.土壌品質管理方法
本発明によれば、上記本発明の診断方法を利用して、土壌の品質を管理する方法が提供される。
本発明の土壌品質管理方法においては、上記本発明の記載の診断方法を経時的に行って、循環活性指標、(A)窒素循環活性指標、(B)リン循環活性指標、及び(C)カリウム循環活性指標の経時変化を解析することにより、土壌の品質を管理する。
経時変化の解析手法は、特に限定されず、適宜公知の方法に従って行うことができる。例えば、指標を更に換算又は演算した値を用いて解析してもよい。また適当なグラフ又は図等の表示手段を用いて解析してもよい。
また、上記循環活性指標、上記(A)〜(C)以外の他の指標の経時変化も組合せて解析を行うことができる。
他の指標としては、土壌のpH、電気伝導度、溶存酸素濃度、粒度、或いは間隙率等が挙げられる。また、全有機炭素量等、他の栄養成分に関する指標が挙げられる。
更に、経時変化の解析の結果、必要に応じた処理を行うことにより、土壌の品質の維持を図ることができる。特に、本発明によれば、窒素、リン、カリウムのどの成分に関する処理が必要かを判断することができる。
また、本発明の品質管理方法によれば、植物の生長に必要な物質の状態だけでなく、土壌の微生物の状態も把握することができる。このため、本発明の品質管理方法によれば、土壌中の生態系が植物の生長を通じて順調に保全され、種々の物質循環活性が機能しているかを把握することもできる。
3.土壌改善方法
本発明によれば、上記本発明の診断方法を利用して、土壌の品質を改善する方法が提供される。
本発明の土壌改善方法においては、上記本発明の記載の診断方法により、循環活性指標、(A)窒素循環活性指標、(B)リン循環活性指標、及び(C)カリウム循環活性指標に関する土壌の診断結果を得て、その診断内容に応じた処理を行うことにより、土壌を改善する。
処理内容としては、窒素、リン、及び/又はカリウム含有肥料の追加投与や、土壌の微生物を活性化するための栄養成分の投与や、窒素、リン、及び/又はカリウムの循環活性を有する微生物の投与などが考えられる。例えば、アンモニア減少率が低い場合には、アンモニア酸化細菌を投与することが考えられる。
本発明の土壌改善方法においては、窒素、リン、カリウムのどの成分に関する処理が必要かを判断することができ、更に、土壌の微生物の働きを考慮して処理内容が判断できるという利点がある。
例えば、土壌中に窒素化合物が多量に存在することがわかっても、それを変換する微生物の活性が十分でなければ、植物は窒素を十分に利用できない。本発明によれば、そのような状況に対し、微生物の活性を高める処理やそのような活性を有する微生物の投与が有効と判断できる。また、一方で、土壌中に窒素の量が十分でなく、窒素の外部投入が必要と判断される場合であっても、微生物の活性が十分とわかれば、窒素の投与量を調整し、過剰投与を抑制することもできる。
このように、本発明の土壌改善方法によれば、土壌中の生態系の働きを有効に利用して土壌の改善を行うことができ、効率のよい土壌改善、更には効率のよい食物生産を可能にすることができる。
本発明によれば、土壌中の循環活性を反映した土壌の診断方法、特に農作物の栽培適性を判断可能な土壌診断方法が提供される。
本発明の土壌診断方法には、物質循環に密接に関与する土壌中の微生物の状態も反映されており、自然の循環系に従った農地品質を的確に診断することが可能になる。特に、本発明の診断方法は、バイオマス等の化学農法に頼らない農法に適した土壌の品質を的確に診断し得る。
更に、本発明の診断方法によれば、植物の生長に重要となる窒素、リン、カリウムのどの循環系の改善が必要か、更に、その改善のために、追加成分の投入が有効か、或いは、土壌微生物の状況改善が有効かの処理内容の判断も可能となる。
更に、本発明の品質管理方法によれば、植物の生長に必要な物質の状態だけでなく、土壌の微生物の状態も把握することができ、土壌中の生態系が植物の生長を通じて順調に保全され、種々の物質循環活性が機能しているかを把握することもできる。
また、本発明の土壌改善方法によれば、土壌中の生態系の働きを有効に利用して土壌の改善を行うことができ、効率のよい土壌改善、更には農産物生産の収益性向上を可能にする。
このように、本発明は、自然の循環機能に立脚した土壌品質の診断及び改善手段を提供するものであり、有機農法等の化学物質の使用が低減された農法の収益性を高め、環境保全型の農業生産システムの確立に寄与するものである。
実施例における各土壌サンプルにおけるアンモニア減少率及び亜硝酸減少率の結果を示す図面である。向かって左がアンモニア減少率、右が亜硝酸減少率の値を示す。 土壌バクテリア数、アンモニア減少率、及び亜硝酸減少率を用いた窒素循環活性の評価例を示す図面である。 実施例において独立栄養性アンモニア酸化細菌を投与した場合における土壌の窒素循環活性への影響を解析結果を示す図面である。図Aは土壌No. 1、Bは土壌No. 2についての図面である。また、◇は未植菌、○は A株を投与、△はB株を投与した場合の結果を示す図面である。 土壌バクテリア数、フィチン酸からのリン酸生成活性、及び堆肥からのリン酸生成活性を用いたリン循環活性の評価例を示す図面である。 土壌バクテリア数、カリウム遊離率、及び堆肥からのカリウム生成活性を用いたカリウム循環活性の評価例を示す図面である。 硫酸アンモニウムを投与した土壌での窒素循環を示す図面である。A:硫安4μg-N/g-土壌投与、B:硫安40μg-N/g-土壌投与、C:硫安400μg-N/g-土壌投与、◆:アンモニア態窒素、■:亜硝酸態窒素、▲:硝酸態窒素 亜硝酸カリウムを投与した土壌での窒素循環を示す図面である。A:亜硝酸カリ6μg-N/g-土壌投与、B:亜硝酸カリ60μg-N/g-土壌投与、C:亜硝酸カリ600μg-N/g-土壌投与、◆:アンモニア態窒素、■:亜硝酸態窒素、▲:硝酸態窒素 1日当たりの硝化量と土壌バクテリア数の関係を示す図面である。▲: 畑、 ◆: 水田、 ■: 農地以外、エラーバーは標準偏差
以下、本発明をより詳細に説明するために、実施例や試験例を用いて説明するが、本発明はこれらの例に制限されるものではない。
1.窒素循環活性解析法の開発
(1-1)実験方法
1a)硝化能の評価
土壌10 gをガラスシャーレに量り取り、110℃で2時間乾燥後、重量減少量から含水率を算出した。2 mmメッシュのふるいにかけた乾燥重量15 gの土壌を50 ml容UMサンプル瓶に入れ、硫酸アンモニウム水溶液(0.080 mM)もしくは亜硝酸カリウム水溶液(0.16 mM)をそれぞれ60 μg-N/g-dry soilとなるように添加した。土壌をよくかき混ぜた後、25℃、含水率一定で3日間静置した。
1b)土壌からの無機態窒素の抽出
50 ml容遠心チューブに土壌サンプル2.0 gと1 M塩化カリウム水溶液20 mlを加え懸濁し、100 rpmで1時間振とうした。振とう後、10,000 rpmで5分間遠心分離し、その上清を無機態窒素抽出液とした。
1c)インドフェノール法によるアンモニア態窒素の定量
土壌から抽出した無機態窒素抽出液1.0 mlを2.0 ml容マイクロチューブに分注し、表1に示す次亜塩素酸ナトリウム溶液500 μlを加えて撹拌し、室温で5分間静置した。静置後、表2に示すフェノール・ニトロプルシッドナトリウム溶液500 μlを加えて撹拌し、30℃で60分間静置した。静置後、640 nmの吸光度を測定した。吸光度測定時にアンモニア態窒素標準液を用いて検量線を作成し、得られた関係式を用いてアンモニア態窒素量(NH4 +-N)を測定した。
Figure 0005578525
Figure 0005578525
1d)ナフチルエチレンジアミン法による亜硝酸態窒素の定量法
土壌から抽出した無機態窒素抽出液1.0 mlを1.5 ml容マイクロチューブに分注し、表3に示すジアゾ化剤100 μlを加えて撹拌した。室温で5分間静置した後、表4に示すカップリング剤100 μlを加えて再び室温で20分間静置し、540 nmの吸光度を測定した。亜硝酸態窒素標準液を用いて作成した検量線から亜硝酸態窒素量(NO2 --N)を測定した。
Figure 0005578525
Figure 0005578525
1e)ブルシン・スルファニル酸法による硝酸態窒素の定量
土壌から抽出した無機態窒素抽出液800 μlと、表5に示すブルシン・スルファニル酸溶液400 μlを試験管に分注し、硫酸溶液(硫酸:水 = 20:3) 4.0 mlを加えて撹拌した。冷暗所で40分間静置後、410 nmの吸光度を測定した。吸光度測定時に硝酸態窒素標準液を用いて検量線を作成し、得られた関係式を用いて硝酸態窒素量(NO3 --N)を測定した。
Figure 0005578525
1f)環境DNA(eDNA)解析法による土壌バクテリア数の定量
50 ml容遠沈管に土壌1.0 gを量り取り、表6に示すDNA抽出緩衝液(pH 8.0)を8.0 ml、20 %(w/v)ドデシル硫酸ナトリウム溶液を1.0 ml加え、1,500 rpm、室温で20分間撹拌した。撹拌後、50 ml容遠沈管から滅菌済み1.5 mlマイクロチューブに1.5 ml分取し、16℃、8,000 rpmで10分間遠心分離した。水層を新たなマイクロチューブに700 μl分取し、クロロホルム・イソアミルアルコール(24:1、v/v)を700 μl加えて混和した後、16℃、13,000 rpmで10分遠心分離した。遠心分離後、水層を新たなマイクロチューブに500 μl分取し、2-プロパノールを300 μl加えて緩やかに混和し、16℃、13,000 rpmで15分遠心分離した。遠心分離後、上清を除去し、70 %(v/v)エタノールを500 μl加え16℃、13,000 rpmで5分遠心分離した。遠心分離後、上清を除去しアスピレーターで30分間減圧乾燥させた。これに表7に示すTE 10:1緩衝液(pH 8.0)を50 μl加えよく溶解させ、これをeDNA溶液とした。アガロース2.0 g、表8に示す50×TAE緩衝液(pH 8.0)4.0 ml及び0.1 mMエチジウムブロマイド溶液20 μlに蒸留水を加えて200 mlとし、1.0 %アガロースゲルを作製した。eDNA溶液5.0 μlにローディングダイ(東洋紡、大阪)1.0 μlを混合し、全量6.0 μl、既知量のDNAを含むスマートラダー(ニッポンジーン、富山)1.5 μlをアガロースゲルにアプライした。これを100 Vで40分間電気泳動を行った後アガロースゲルにUV照射し、DNAバンドを確認した。KODAK 1D Image Analysis software(KODAK、NY、USA)を用いてスマートラダーのDNAバンドを解析し、蛍光強度に対するDNA量の検量線を作成した。この検量線を用いて、各サンプルDNA溶液のDNAバンドの蛍光強度からDNA量を求め、各土壌1.0 g当たりのeDNA量を算出した。eDNA量をDAPI染色による土壌バクテリア数に換算する検量線によって土壌バクテリア数を求めた。定量したeDNA量を関係式
Y = 1.7 × 108 X(R2 = 0.96)[Y;土壌バクテリア数(cells/g-soil)、X;eDNA量(μg/g-soil)]を用いて土壌バクテリア数を算出した。
Figure 0005578525
Figure 0005578525
Figure 0005578525
(1-2)硝化能の測定
用途や施肥状況が異なる土壌10サンプル(No.1〜10)を用いて、無機態窒素量として、上記1b)〜1d)に従ってアンモニア態窒素量と亜硝酸態窒素量を測定し、土壌の硝化活性を解析した。各サンプルにおける静置0日目と3日目における無機態窒素量及びその減少量を表9に示す。
Figure 0005578525
各サンプルにおける硝化の活性を更に解析するために、無機態窒素の減少量からアンモニア減少率及び亜硝酸減少率を算出した。
アンモニア減少率は、上記1b)及び1c)で測定したアンモニア態窒素量から、下記式にて算出した:
Figure 0005578525
亜硝酸減少率は、上記b)及びd)で測定した亜硝酸態窒素量(NO2 --N)から、下式にて算出した。
Figure 0005578525
各サンプルにおけるアンモニア減少率及び亜硝酸減少率の結果を図1に示す。
亜硝酸の減少率はすべてのサンプルでほぼ100 %であった。しかし、アンモニアの減少率はサンプルによって様々で、最も高いサンプルで72.0 %、最も低いサンプルで3.10 %であった。また、すべてのサンプルで亜硝酸の減少率と比べてアンモニアの減少率が低かった事から、硝化の反応においてはアンモニアから亜硝酸への反応が律速であると考えられた。
この事から上記評価方法は、肥料成分が多量に含まれた土壌に関しても解析が可能であると示唆された。
(1-3)土壌バクテリア数の解析
物質循環では土壌バクテリアが密接に関与していると考えられる。このため、各サンプルにおける土壌バクテリア数を前記1fの方法で解析した。また、農地土壌における土壌バクテリア数のデータベースの平均値となる3.25×109 cells/g-soilを100として、測定した土壌バクテリア数の相対値(以下、バクテリア量ともいう)を算出した。各サンプルにおける土壌バクテリア数とバクテリア量を表10に示す。
Figure 0005578525
(1-4)窒素循環活性解析
得られた土壌バクテリア数、アンモニア減少率、亜硝酸減少率の3項目に基づき、土壌における窒素循環活性を評価するために、図2に示すチャートを作成した。
図2において、土壌バクテリア数は、農地土壌における土壌バクテリア数の平均値3.25×109 cells/g-soilを100とする場合の、各サンプルの土壌バクテリア数の割合、即ち、バクテリア量を示す。
また、アンモニア減少率は、60 μg-N/g-dry soilのアンモニア化合物を3日間で100 %減少する活性を100とする場合の、各サンプルのアンモニア減少率の割合を示す。
また、亜硝酸減少率は、60 μg-N/g-dry soilの亜硝酸化合物を3日間で100 %減少する活性を100とする場合の、各サンプルの亜硝酸減少率の割合を示す。
更に、チャートにおけるすべての頂点が100の三角形の面積を100とした際の内部の三角形の面積の相対値を、各サンプルについての窒素循環指標として算出した。表11に、各サンプルの窒素循環指標を示す。
Figure 0005578525
表11及び図2に示されるように、サンプルNo. 2ではアンモニア減少率、亜硝酸減少率、バクテリア量が比較的高いため、有機態窒素が土壌に加わると速やかにアンモニアまで変換され、また、硝酸まで酸化されると考えられる。
(1-5)独立栄養性アンモニア酸化細菌の土壌投与による窒素循環活性の改善
硝化の活性、即ち、窒素循環活性が低い土壌には、アンモニアを酸化する微生物の投与が効果的であると考えられる。そこで、アンモニア酸化細菌の投与によって硝化が活性化するかを解析した。
2種類の独立栄養性アンモニア酸化細菌(A株、B株)を土壌に投与し、硝化が活性化するかを検討した。
A株もしくはB株の培養液を遠心濃縮し、1.0×107cells/g-dry soilとなるように滅菌土壌(土壌1及び2)に投与した。さらに、アンモニア態窒素が60 μg-N/g dry soilとなるように土壌に投与して3日間静置し、無機態窒素量の経時変化を解析した。その結果を図3に示す。図3に亜硝酸態窒素量及び硝酸態窒素量の経時変化を示す。
図3に示されるように、独立栄養性アンモニア酸化細菌を投与した場合では、していない場合と比較して亜硝酸態窒素及び硝酸態窒素の蓄積量が増加した。
この事から、独立栄養性アンモニア酸化細菌の土壌への投与により窒素循環活性を向上させる事ができると示唆された。
2.リン循環活性解析
用途や施肥状況が異なる土壌10サンプル(No.11〜20)を用いて、土壌のリン循環を解析した。
(2-1)実験方法
2a)土壌バクテリア数の解析
土壌バクテリア数は、前記1f)と同様に、eDNA解析法により定量した。
2b)フィチン酸からのリン酸生成活性の解析
250 ml容UMサンプル瓶に土壌サンプル100 gを入れ、よく撹拌した。この土壌2.0 gを50ml容遠心チューブに量り取り、蒸留水20 ml加え、100 rpmで60分間振とうした。10,000 rpm、5分間遠心分離し、その上清を水溶性リン酸抽出液としてモリブデンブルー法に供した。水溶性リン酸抽出液1.0 mlを1.5 ml容マイクロチューブに分注し、表12に示すモリブデンブルー ストック溶液:0.41 M L(+)-アスコルビン酸水溶液 = 5:1の混合溶液100 μlを加えて撹拌後、30℃で30分静置した。静置後、720 nmにおける吸光度を測定し、リン酸標準液を用いて作成した検量線から、土壌中の水溶性リン酸を定量し、0日目の水溶性リン酸量とした。
サンプリング後の土壌にフィチン酸を1 %(w/w)加えてよく撹拌し、室温で3日静置した。この土壌2.0 gを50 ml容遠心チューブに量り取り、前述の方法で水溶性リン酸を抽出し、モリブデンブルー法に供し、水溶性リン酸量を測定して、3日目の水溶性リン酸量とした。
また、フィチン酸1モルに6分子のリン酸が含まれることに基づき、フィチン酸の投与量から、フィチン酸中のリン酸量を算出した。
得られた水溶性リン酸量、及び、フィチン酸中のリン酸量に基づき、下記式より、フィチン酸からのリン酸生成活性を算出した。
Figure 0005578525
Figure 0005578525
2c)堆肥からのリン酸生成活性の解析
250 ml容UMサンプル瓶に土壌サンプル100 gを入れ、よく撹拌した。この土壌2.0 gを50ml容遠心チューブに量り取り、蒸留水20 ml加え、100 rpmで60分間振とうした。10,000 rpm、5分間遠心分離後、抽出した水溶性リン酸をモリブデンブルー法に供し、リン酸量を定量して、0日目の水溶性リン酸量とした。
サンプリング後の土壌に、バーク堆肥含有培養土(「花ちゃん培養土」(花ごころ、名古屋))を1 %(w/w)加えてよく撹拌し、室温で3日静置した。この土壌2.0 gを50 ml容遠心チューブに量り取り、前述の方法で水溶性リン酸を抽出し、モリブデンブルー法に供して、水溶性リン酸量を測定し、3日目の水溶性リン酸量とした。
また、堆肥中の有機物を過塩素酸で分解した後、0.002N硫酸で抽出し、モリブデンブルー法に供して、堆肥中のリン酸量を測定した。
得られた水溶性リン酸量、及び、堆肥中のリン酸量に基づき、下記式より、堆肥からのリン酸生成活性を算出した。
Figure 0005578525
(2-2)リン循環と土壌バクテリア数に基づく土壌評価
土壌バクテリア数、フィチン酸からのリン酸生成活性、および堆肥からのリン酸生成活性の3項目を用いて、図4に示すチャートを作成した。
図4において、土壌バクテリア数は、農地土壌における土壌バクテリア数の平均値3.25×109cells/g-soilを100とする場合の、各サンプルの土壌バクテリア数の割合を示す。
また、フィチン酸からのリン酸生成活性とは、1%(w/w)のフィチン酸中のリン酸を、3日間で、全て水溶性リン酸に変換するときの活性を100とする場合の、各サンプルのフィチン酸からのリン酸生成活性の割合を示す。
また、堆肥からのリン酸生成活性とは、1%(w/w)の堆肥中のリン酸を、3日間で、全て水溶性リン酸に変換するときの活性を100とする場合の、各サンプルの堆肥からのリン酸生成活性の割合を示す。
更に、チャートにおけるすべての頂点が100の三角形の面積を100とした際の内部の三角形の面積の相対値を、各サンプルについてのリン循環活性指標として算出した。表13に、各サンプルのリン循環活性指標を示す。
Figure 0005578525
サンプルNo.12の土壌は、リン循環活性指標が高く、植物のリン酸吸収利用が行われやすい土壌と評価できる。
3.カリウム循環活性解析手法の構築
用途や施肥状況が異なる土壌10サンプル(No.11〜20)を用いて、土壌のカリウム循環を解析した。
(3-1)実験方法
3a)土壌バクテリア数の解析
土壌バクテリア数は、前記1fと同様に、eDNA解析法により定量した。
3b)カリウム遊離率の定量
土壌3.0 gを50 ml容三角フラスコに量り取り、0.5 M硝酸40 mlを加えて60分間スターラーで撹拌した。撹拌後、ろ過し、ろ液をカリウム抽出液とした。この抽出液を原子吸光光度計(Z-2300、日立ハイテクノロジーズ、東京)を用いて測定した。測定条件は、燃料ガスとしてアセチレンを、助燃ガスとして圧縮空気を用い、圧力は共に0.5 MPaで測定した。カリウム標準液を用いて作成した検量線から、土壌中のカリウム遊離量を定量し、測定開始日(0日目)のカリウム遊離量とした。
また、測定開始から3日後に同様の方法で、カリウム遊離量を定量し、3日目のカリウム遊離量とした。
また、測定開始日と同じ日に採取した土壌3.0 gを50 ml容三角フラスコに量り取り、1 M 酢酸アンモニウム水溶液(pH 7.0)40 mlを加えて60分間スターラーで撹拌後、ろ過した。得られたろ液を、前記と同様にして原子吸光光度計にて測定し、対象土壌中のカリウム量を定量した。
得られるカリウム遊離量、及び、対象土壌中のカリウム含有量に基づき、下記式によりカリウム遊離率を算出した。
Figure 0005578525
3c)堆肥からのカリウム生成活性
250 ml容UMサンプル瓶に土壌サンプル100 gを入れ、よく撹拌した。土壌3.0 gを50 ml容三角フラスコに量り取り、蒸留水40 mlを加えて60分間スターラーで撹拌した。撹拌後、ろ過し、ろ液をカリウム抽出液とした。この抽出液を、前記3b)と同様にして、原子吸光光度計に供し、カリウム量を定量して、0日目のカリウム遊離量とした。
また、サンプリング後の土壌に、バーク堆肥含有培養土(「花ちゃん培養土」(花ごころ、名古屋))を1 %(w/w)加えてよく撹拌し、室温で3日静置した。この土壌3.0 gを50 ml容三角フラスコに量り取り、前述の方法でカリウムを抽出して原子吸光光度計に供し、カリウム遊離量を算出して、3日目のカリウム遊離量とした。
また、前記3b)の対象土壌中のカリウム含有量の測定において、土壌に代えて堆肥を用いる以外は、同様として、堆肥中のカリウム含有量を測定した。
得られる0日目及び3日目のカリウム遊離量、及び堆肥中のカリウム含有量に基づき、下記式により、堆肥からのカリウム生成活性を算出した。
Figure 0005578525
(3-2)カリウム循環と土壌バクテリア数に基づく土壌評価
土壌バクテリア数、カリウム遊離率、およびカリウムからのリン酸生成活性の3項目を用いて、図5に示すチャートを作成した。
図5において、土壌バクテリア数は、農地土壌における土壌バクテリア数の平均値3.25×109 cells/g-soilを100とする場合の、各サンプルの土壌バクテリア数の割合を示す。
また、カリウム遊離率は、3日の間に土壌中のカリウムが全て遊離カリウムに変換されたときの活性を100とする場合の、各サンプルのカリウム遊離率を示す。
また、堆肥からのカリウム生成活性とは、1%(w/w)の堆肥中のカリウムを、3日間で、全て遊離カリウムに変換するときの活性を100とする場合の、各サンプルの堆肥からのカリウム生成活性の割合を示す。
更に、チャートにおけるすべての頂点が100の三角形の面積を100とした際の内部の三角形の面積の相対値を、各サンプルについてのカリウム循環活性指標として算出した。表14に、各サンプルのカリウム循環活性指標を示す。
Figure 0005578525
サンプルNo.11の土壌は、カリウム循環活性指標が高く、植物のカリウム吸収利用が行われやすい土壌と評価できる。
4.総合診断と植物生長の関係解析
窒素循環活性、リン循環活性、及びカリウム循環活性に基づく土壌の総合診断と、植物の生長の関係を以下の方法で解析した。土壌としては、用途や施肥状況が異なる土壌10サンプル(No.11〜20)を用いた。
(4-1)実験方法
4a)土壌バクテリア数の解析
土壌バクテリア数は、前記1fと同様に、eDNA解析法により定量した。
4b)窒素循環活性の解析
窒素循環活性は1項と同様にして解析した。
4c)リン循環活性の解析
リン酸循環活性は2項と同様にして解析した。
4d)カリウム循環活性の解析
カリウム循環活性は3項と同様にして解析した。
4e)植物生長の解析
育苗ポットに各土壌サンプルを入れ、各ウェルにコマツナの種子10個を播種した。これを25℃、6,000ルクスで1週間生育させた。1/5,000 aポットに赤玉土を敷き詰め、土壌サンプル約1 kg加えて、ほぼ同じ大きさの苗を1ポット当たり3本移植した。これを25℃、6,000ルクスでさらに3週間生育させ、コマツナの地上部の生重量を測定した。なお、土壌1サンプルにつき3ポットで試験を行い、その平均値で評価した。
(4-2)総合診断と植物生長の関係解析
各土壌サンプルについて得られた指標の和から、土壌の総合診断を行った。即ち、各指標の和を3で割った値を算出し、得られた値が大きいほど土壌の品質に優れ、値が小さいほど土壌の品質が十分でないと診断した。
また診断結果と、コマツナの生重量の関係を調べた。結果を表15に示す。その結果、土壌の総合診断結果が高いほど、植物生長が良好であることが予測された。
また、アンモニア減少率、フィチン酸からリン酸生成活性、及び堆肥からのカリウム生成活性を頂点とした三角形の面積からの診断値を表16に示す。この結果からも、土壌の総合診断結果が高いほど、植物生長が良好であることが予測された。
更に、窒素、リン、カリウム単独ではなく、それらの指標を組み合わせた総合診断によって、植物の生長に適した土壌の品質が的確に評価できることが予測された。
以上の結果より、本診断法は植物の生長に適した土壌の判別や、土壌改善の指標として有用であることが予測された。
Figure 0005578525
Figure 0005578525
5.アンモニア循環活性測定のための基質投入量の決定
Figure 0005578525
各種土壌でのアンモニア態窒素の循環活性を測定するため、投入する基質の量を検討した。基質として硫酸アンモニウムを、4、40、400μg-N/g-土壌となるように投与し、アンモニア態窒素、亜硝酸態窒素、硝酸態窒素の量を経時的に測定した(図6)。
図6より、硫酸アンモニウムを4、40μg/g-土壌加えた場合、4日目でほぼ全てのアンモニア態窒素が減少し、硝酸態窒素が蓄積した。400μg/g-土壌となるように投与した場合はアンモニア態窒素の減少量が開始時と比較して差が小さかった。
種々の農地に含まれるアンモニア態窒素を測定したところ、ほぼ全ての土壌で0〜100μg-N/g-土壌の範囲であったことから、以下に示す根拠で基質として投与するアンモニア態窒素量を決定した。
1)アンモニア態窒素の変化量が最も顕著に確認することが可能であり、さらに一般的な土壌に含まれているアンモニア態窒素量を基準として、基質投入量は40〜60μg/g-土壌の範囲で行えば良いと考えた。最終的に、計算のしやすい60μg/g-土壌となるように投入すると決定した。
2)出来るだけ短時間で測定するため、最も短時間でかつ確実にアンモニア態窒素量の差が確認される3日目で評価することとした。
6.亜硝酸態窒素循環活性測定のための基質投入量の決定
Figure 0005578525
各種土壌での亜硝酸態窒素の循環活性を測定するため、投入する基質の量を検討した。基質として亜硝酸カリウムを、6、60、600μg-N/g-土壌となるように投与し、アンモニア態窒素、亜硝酸態窒素、硝酸態窒素の量を経時的に測定した(図7)。
図7より、亜硝酸カリウムを60μg/g-土壌加えた場合、2〜4日目でほぼ全ての亜硝酸態窒素が減少し、硝酸態窒素が蓄積した。600μg/g-土壌を投与した場合も亜硝酸体窒素の経時的な減少が確認された。しかしながら、6μg/g-土壌となるように投与した場合は亜硝酸態窒素の減少量が開始時と比較して差が小さく、評価が困難であった。
種々の農地土壌では、亜硝酸態窒素はほとんど含まれていないが、硝酸態窒素はアンモニア態窒素と同程度の0〜100μg-N/g-土壌含まれていた。これらのことから、以下に示す根拠で基質として投与する亜硝酸態窒素量を決定した。
1)亜硝酸態窒素の変化量が最も顕著に確認することが可能であり、さらに一般的な土壌に含まれている硝酸態窒素を基準として、計算のしやすい値を考慮し基質投入量を60μg/g-土壌と決定した。
2)アンモニア態窒素量と同様、亜硝酸態窒素の変化量も3日間で評価することとした。
7.バクテリア数の下限の根拠
種々の土壌における硝化活性とバクテリア数との関係を調べた。図8に一日当たりの硝化量を示す。土壌バクテリア数は、前記1fと同様に、eDNA解析法により定量した。硝化量は、アンモニア態窒素が60 μg-N/g dry soilとなるように土壌に投与して1日間静置後に測定した亜硝酸態窒素量及び硝酸態窒素量の合計量を示している。その結果、微生物数が2億個/g以下になると、硝化反応が進まないことが明らかとなった。
8.総合診断値の下限
アンモニア減少率、フィチンからのリン酸生成活性、及び堆肥からのカリウム生成活性について、それぞれ30、10、5以下であれば優れた土壌であると判断されない。基準値を頂点として形成される正三角形の面積に対する、正三角形の重心から対応する頂点を結ぶ線分上に置かれたこれらの下限値を頂点として形成される三角形の面積の割合は1.7点となる。そのため、この点未満であれば、良好な植物生長が期待出来ないと判断した。
Figure 0005578525
9.従来の技術との比較
従来技術では土壌中に含まれる栄養素の量やpH、CEC(塩基置換容量)などを測定し、農作物の生産に役立ててきたが、これらの値では堆肥などの有機物を多く含む肥料を添加した時の肥効が正確に把握できない。
滅菌した畑土壌と滅菌しない畑土壌(由来は同じ)とを用いて、窒素循環活性とコマツナ生重量を測定した(表18)。滅菌した土壌と滅菌しない土壌に2.5%量の堆肥をそれぞれ添加して、コマツナ生長を解析した。土壌にはどちらとも実験畑土壌を用いた。
これらの土壌の化学特性は同一であるが(化学分析値は同じ)、滅菌した方では微生物が存在しないため、窒素循環活性が低くなっており(滅菌直後は無菌であるが、開放系の実験であるため、外部から微生物が入ってきて、徐々に微生物数は回復する)、コマツナの生重量も低くなっていた。以上のことから、従来の化学分析では区別のつかなかった土壌でも、本発明によって明確な差を示すことが可能であり、より正確な土壌評価に寄与するものである。
Figure 0005578525

Claims (8)

  1. 下記(I)〜(III)を用いて算出される循環活性指標:
    (I)対象土壌におけるアンモニア減少率、
    (II)対象土壌におけるフィチン酸からのリン酸生成活性、及び
    (III)対象土壌における堆肥からのカリウム生成活性
    並びに(IV)土壌における土壌バクテリア数
    を用いて土壌診断を行うことを特徴とする土壌の診断方法。
  2. 循環活性指標が、
    予め設定されたアンモニア減少率の基準値、フィチン酸からのリン酸生成活性の基準値及び堆肥からのカリウム生成活性の基準値を頂点として形成される正三角形の面積に対する、
    前記正三角形の重心から対応する頂点を結ぶ線分上に置かれた前記(I) アンモニア減少率、前記(II) フィチン酸からのリン酸生成活性、及び前記(III) 堆肥からのカリウム生成活性の測定点を頂点として形成される三角形の面積の割合である、請求項1に記載の診断方法。
  3. A)下記(A-1)〜(A-3)を用いて算出される窒素循環活性指標:
    (A-1)対象土壌における土壌バクテリア数、
    (A-2)対象土壌におけるアンモニア減少率、及び
    (A-3)対象土壌における亜硝酸減少率、
    B)下記(B-1)〜(B-3)を用いて算出されるリン循環活性指標:
    (B-1)対象土壌における土壌バクテリア数、
    (B-2)対象土壌におけるフィチン酸からのリン酸生成活性、及び
    (B-3)対象土壌における堆肥からのリン酸生成活性、
    並びに、C)下記(C-1)〜(C-3)を用いて算出されるカリウム循環活性指標:
    (C-1)対象土壌における土壌バクテリア数、
    (C-2)対象土壌におけるカリウム遊離率、及び
    (C-3)対象土壌における堆肥からのカリウム生成活性
    を少なくとも用いて土壌診断を行うことを特徴とする土壌の診断方法。
  4. 窒素循環活性指標が、
    予め設定された土壌バクテリア数の基準値、アンモニア減少率の基準値、及び亜硝酸減少率の基準値を頂点として形成される正三角形の面積に対する、
    前記正三角形の重心から対応する頂点を結ぶ線分上に置かれた前記(A-1)土壌バクテリア数、前記(A-2)アンモニア減少率、及び前記(A-3)亜硝酸減少率の測定点を頂点として形成される三角形の面積の割合である、請求項3に記載の診断方法。
  5. リン循環活性指標が、
    予め設定された土壌バクテリア数の基準値、フィチン酸からのリン酸生成活性の基準値、及び堆肥からのリン酸生成活性の基準値を頂点として形成される正三角形の面積に対する、
    前記正三角形の重心から対応する頂点を結ぶ線分上に置かれた前記(B-1)土壌バクテリア数、前記(B-2)フィチン酸からのリン酸生成活性、及び前記(B-3)堆肥からのリン酸生成活性の各測定値を頂点として形成される三角形の面積の割合である、請求項3又は4に記載の診断方法。
  6. カリウム循環活性指標が、
    予め設定された土壌バクテリア数の基準点、カリウム遊離率の基準値、及び、堆肥からのカリウム生成活性の基準値を頂点として形成される正三角形の面積に対する、
    前記正三角形の重心から対応する頂点を結ぶ線分上に置かれた前記(C-1)土壌バクテリア数、前記(C-2)カリウム遊離率、及び前記(C-3)堆肥からのカリウム生成活性の各測定値を頂点として形成される三角形の面積の割合である、請求項3又は4に記載の診断方法。
  7. 請求項1又は3に記載の診断方法を経時的に行って、前記指標の経時変化を解析することにより、土壌の品質を管理することを特徴とする、土壌の品質管理方法。
  8. 請求項1又は3に記載の診断方法を行って、得られた診断結果に基づき、前記指標を改善するための処理を行うことを特徴とする土壌の改善方法。

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