JP5571462B2 - ポリ乳酸含有複合繊維 - Google Patents
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Description
本発明は、実用的耐熱性及び耐久性を有する、特に耐加水分解性が改良されたポリ乳酸含有複合繊維に関する。
近年、地球規模での環境に対する意識が高まる中で、植物由来成分より誘導される原料から合成されるポリ乳酸が注目を浴びている。ポリ乳酸は植物から抽出したでんぷんやセルロースを発酵することにより得られる乳酸を原料としたポリマーであり、植物由来ポリマーの中では、力学特性、耐熱性、コストのバランスが優れている。そして、これを利用した樹脂製品、繊維、フィルム、シート等の開発が行われている。
このうち、ポリ乳酸繊維については、衣料用途、カーテン、カーペットといったインテリア用途、車両内装用途、産業資材への適用のための開発が行われており、植物由来のポリ乳酸系樹脂と、その他のポリマーとを組み合わせることにより、植物原料比率の高い環境にやさしい複合繊維の開発も進んでいる。しかしながらポリ乳酸繊維は加水分解を受け易いため製品寿命が短いという問題があり、この繊維を複合繊維として使用した場合、その用途展開に制約があった。
この問題を解決するため、特許文献1,2では、カルボジイミド化合物等を添加して耐加水分解性を向上させたポリ乳酸が提案されている。しかしながら用いられているカルボジイミド化合物を高分子化合物の末端封止剤として用いると、カルボジイミド化合物がポリ乳酸の末端に結合する反応に伴いイソシアネート基を有する化合物が遊離し、イソシアネート化合物の独特の臭いを発生し、作業環境を悪化させることが問題となっていた。
また特許文献3では、グリシジル変性化合物により耐加水分解性の向上を試みているが、実質的には依然としてカルボジイミド化合物のほうが末端封鎖性能は優れている。
また特許文献3では、グリシジル変性化合物により耐加水分解性の向上を試みているが、実質的には依然としてカルボジイミド化合物のほうが末端封鎖性能は優れている。
本発明の目的は上記従来技術が有していた問題を解決し、耐加水分解性が改善され、さらには溶融時等に遊離のイソシアネート化合物が発生しない、ポリ乳酸含有複合繊維を提供することにある。
本発明者らは、ポリ乳酸含有複合繊維繊維の耐磨耗性および耐加水分解性の改良、さらには作業環境の向上について鋭意検討した結果、ポリ乳酸に、ポリ乳酸ポリマーの高分子鎖末端と反応しても、イソシアネート化合物を遊離しない特定の構造を有するカルボジイミド化合物を含有させた組成物であれば、上記目的を達成することを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の目的は、
ポリ乳酸およびカルボジイミド基を1個有しその第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物(C成分)を含有するポリ乳酸組成物を含むポリ乳酸含有複合繊維によって達成される。
ポリ乳酸およびカルボジイミド基を1個有しその第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物(C成分)を含有するポリ乳酸組成物を含むポリ乳酸含有複合繊維によって達成される。
本発明によれば、耐加水分解性が改善されたポリ乳酸含有複合繊維を提供することができる。
さらには、イソシアネート化合物を遊離させず、カルボジイミド化合物によりポリ乳酸の末端を封止することができる。その結果、遊離のイソシアネート化合物による悪臭の発生を抑制することができ作業環境を向上させることができる。
さらには、イソシアネート化合物を遊離させず、カルボジイミド化合物によりポリ乳酸の末端を封止することができる。その結果、遊離のイソシアネート化合物による悪臭の発生を抑制することができ作業環境を向上させることができる。
また、環状カルボジイミド化合物により、ポリ乳酸の末端を封止すると、ポリ乳酸の末端にイソシアネート基が形成され、そのイソシアネート基の反応により、ポリ乳酸の高分子量化が可能となる。また環状カルボジイミド化合物は、ポリ乳酸中の遊離単量体やその他酸性基を有する化合物を捕捉する作用も有する。さらに本発明によれば、環状カルボジイミド化合物は、環状構造を有することにより、通常用いられる線状カルボジイミド化合物に比較して、より温和な条件で、末端封止できる利点を有する。
末端封止の反応機構における、線状カルボジイミド化合物と環状カルボジイミド化合物との相違点は以下に説明する通りである。
線状カルボジイミド化合物(R1−N=C=N−R2)を、ポリ乳酸のカルボキシル末端封止剤として用いると以下の式で表されるような反応となる。線状カルボジイミド化合物がカルボキシル基と反応することにより、ポリ乳酸の末端にはアミド基が形成され、イソシアネート化合物(R1NCO)が遊離される。
線状カルボジイミド化合物(R1−N=C=N−R2)を、ポリ乳酸のカルボキシル末端封止剤として用いると以下の式で表されるような反応となる。線状カルボジイミド化合物がカルボキシル基と反応することにより、ポリ乳酸の末端にはアミド基が形成され、イソシアネート化合物(R1NCO)が遊離される。
一方、環状カルボジイミド化合物を、ポリ乳酸のカルボキシル末端封止剤として用いると以下の式で表されるような反応となる。環状カルボジイミド化合物がカルボキシル基と反応することにより、ポリ乳酸の末端にはアミド基を介してイソシアネート基(−NCO)が形成され、イソシアネート化合物が遊離されないことが分かる。
<環状カルボジイミド化合物(C成分)>
本発明において、環状カルボジイミド化合物(C成分)は環状構造を有する。環状カルボジイミド化合物は、環状構造を複数有していてもよい。
環状構造は、カルボジイミド基(−N=C=N−)を1個有しその第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている。一つの環状構造中には、1個のカルボジイミド基のみを有するが、例えば、スピロ環など、分子中に複数の環状構造を有する場合にはスピロ原子に結合するそれぞれの環状構造中に1個のカルボジイミド基を有していれば、化合物として複数のカルボジイミド基を有していてよいことはいうまでもない。環状構造中の原子数は、好ましくは8〜50、より好ましくは10〜30、さらに好ましくは10〜20、特に好ましくは10〜15である。
本発明において、環状カルボジイミド化合物(C成分)は環状構造を有する。環状カルボジイミド化合物は、環状構造を複数有していてもよい。
環状構造は、カルボジイミド基(−N=C=N−)を1個有しその第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている。一つの環状構造中には、1個のカルボジイミド基のみを有するが、例えば、スピロ環など、分子中に複数の環状構造を有する場合にはスピロ原子に結合するそれぞれの環状構造中に1個のカルボジイミド基を有していれば、化合物として複数のカルボジイミド基を有していてよいことはいうまでもない。環状構造中の原子数は、好ましくは8〜50、より好ましくは10〜30、さらに好ましくは10〜20、特に好ましくは10〜15である。
ここで、環状構造中の原子数とは、環構造を直接構成する原子の数を意味し、例えば、8員環であれば8、50員環であれば50である。環状構造中の原子数が8より小さいと、環状カルボジイミド化合物の安定性が低下して、保管、使用が困難となる場合があるためである。また反応性の観点よりは環員数の上限値に関しては特別の制限はないが、50を超える原子数の環状カルボジイミド化合物は合成上困難となり、コストが大きく上昇する場合が発生するためである。かかる観点より環状構造中の原子数は好ましくは、10〜30、より好ましくは10〜20、特に好ましくは10〜15の範囲が選択される。
式中、Qは、それぞれヘテロ原子ならびに置換基を含んでいてもよい、脂肪族基、脂環族基、芳香族基またはこれらの組み合わせである2〜4価の結合基である。ヘテロ原子とはこの場合、O、N、S、Pを指す。この結合基の価のうち2つの価は環状構造を形成するために使用される。Qが3価あるいは4価の結合基である場合、単結合、二重結合、原子、原子団を介して、ポリマーあるいは他の環状構造と結合している。
結合基は、それぞれヘテロ原子ならびに置換基を含んでいてもよい、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基またはこれらの組み合わせであり、上記で規定される環状構造を形成するための必要炭素数を有する結合基が選択される。組み合わせの例としては、アルキレン基とアリーレン基が結合した、アルキレン−アリーレン基のような構造などが挙げられる。
結合基(Q)は、下記式(1−1)、(1−2)または(1−3)で表される2〜4価の結合基であることが好ましい。
結合基(Q)は、下記式(1−1)、(1−2)または(1−3)で表される2〜4価の結合基であることが好ましい。
式中、Ar1およびAr2は各々独立に、それぞれヘテロ原子ならびに置換基を含んでいてもよい、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基である。
芳香族基として、それぞれへテロ原子を含んで複素環構造を持っていてもよい、炭素数5〜15のアリーレン基、炭素数5〜15のアレーントリイル基、炭素数5〜15のアレーンテトライル基が挙げられる。アリーレン基(2価)として、フェニレン基、ナフタレンジイル基などが挙げられる。アレーントリイル基(3価)として、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基などが挙げられる。アレーンテトライル基(4価)として、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基などが挙げられる。これらの芳香族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
芳香族基として、それぞれへテロ原子を含んで複素環構造を持っていてもよい、炭素数5〜15のアリーレン基、炭素数5〜15のアレーントリイル基、炭素数5〜15のアレーンテトライル基が挙げられる。アリーレン基(2価)として、フェニレン基、ナフタレンジイル基などが挙げられる。アレーントリイル基(3価)として、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基などが挙げられる。アレーンテトライル基(4価)として、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基などが挙げられる。これらの芳香族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
R1およびR2は各々独立に、それぞれヘテロ原子ならびに置換基を含んでいてもよい、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、およびこれらの組み合わせ、またはこれら脂肪族基、脂環族基と2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基の組み合わせである。
脂肪族基として、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数1〜20のアルカントリイル基、炭素数1〜20のアルカンテトライル基などが挙げられる。アルキレン基として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、へキサデシレン基などが挙げられる。アルカントリイル基として、メタントリイル基、エタントリイル基、プロパントリイル基、ブタントリイル基、ペンタントリイル基、ヘキサントリイル基、ヘプタントリイル基、オクタントリイル基、ノナントリイル基、デカントリイル基、ドデカントリイル基、ヘキサデカントリイル基などが挙げられる。アルカンテトライル基として、メタンテトライル基、エタンテトライル基、プロパンテトライル基、ブタンテトライル基、ペンタンテトライル基、ヘキサンテトライル基、ヘプタンテトライル基、オクタンテトライル基、ノナンテトライル基、デカンテトライル基、ドデカンテトライル基、ヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。これらの脂肪族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
脂環族基として、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、炭素数3〜20のシクロアルカントリイル基、炭素数3〜20のシクロアルカンテトライル基が挙げられる。シクロアルキレン基として、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロへプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、シクロドデシレン基、シクロへキサデシレン基などが挙げられる。シクロアルカントリイル基として、シクロプロパントリイル基、シクロブタントリイル基、シクロペンタントリイル基、シクロヘキサントリイル基、シクロヘプタントリイル基、シクロオクタントリイル基、シクロノナントリイル基、シクロデカントリイル基、シクロドデカントリイル基、シクロヘキサデカントリイル基などが挙げられる。シクロアルカンテトライル基として、シクロプロパンテトライル基、シクロブタンテトライル基、シクロペンタンテトライル基、シクロヘキサンテトライル基、シクロヘプタンテトライル基、シクロオクタンテトライル基、シクロノナンテトライル基、シクロデカンテトライル基、シクロドデカンテトライル基、シクロヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。これらの脂環族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
芳香族基として、それぞれへテロ原子を含んで複素環構造を持っていてもよい、炭素数5〜15のアリーレン基、炭素数5〜15のアレーントリイル基、炭素数5〜15のアレーンテトライル基が挙げられる。アリーレン基として、フェニレン基、ナフタレンジイル基などが挙げられる。アレーントリイル基(3価)として、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基などが挙げられる。アレーンテトライル基(4価)として、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基などが挙げられる。これら芳香族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
X1およびX2は各々独立に、それぞれヘテロ原子ならびに置換基を含んでいてもよい、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせである。
脂肪族基として、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数1〜20のアルカントリイル基、炭素数1〜20のアルカンテトライル基などが挙げられる。アルキレン基として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、へキサデシレン基などが挙げられる。アルカントリイル基として、メタントリイル基、エタントリイル基、プロパントリイル基、ブタントリイル基、ペンタントリイル基、ヘキサントリイル基、ヘプタントリイル基、オクタントリイル基、ノナントリイル基、デカントリイル基、ドデカントリイル基、ヘキサデカントリイル基などが挙げられる。アルカンテトライル基として、メタンテトライル基、エタンテトライル基、プロパンテトライル基、ブタンテトライル基、ペンタンテトライル基、ヘキサンテトライル基、ヘプタンテトライル基、オクタンテトライル基、ノナンテトライル基、デカンテトライル基、ドデカンテトライル基、ヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。これらの脂肪族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
脂環族基として、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、炭素数3〜20のシクロアルカントリイル基、炭素数3〜20のシクロアルカンテトライル基が挙げられる。シクロアルキレン基として、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロへプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、シクロドデシレン基、シクロへキサデシレン基などが挙げられる。アルカントリイル基として、シクロプロパントリイル基、シクロブタントリイル基、シクロペンタントリイル基、シクロヘキサントリイル基、シクロヘプタントリイル基、シクロオクタントリイル基、シクロノナントリイル基、シクロデカントリイル基、シクロドデカントリイル基、シクロヘキサデカントリイル基などが挙げられる。アルカンテトライル基として、シクロプロパンテトライル基、シクロブタンテトライル基、シクロペンタンテトライル基、シクロヘキサンテトライル基、シクロヘプタンテトライル基、シクロオクタンテトライル基、シクロノナンテトライル基、シクロデカンテトライル基、シクロドデカンテトライル基、シクロヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。これらの脂環族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
芳香族基として、それぞれへテロ原子を含んで複素環構造を持っていてもよい、炭素数5〜15のアリーレン基、炭素数5〜15のアレーントリイル基、炭素数5〜15のアレーンテトライル基が挙げられる。アリーレン基として、フェニレン基、ナフタレンジイル基などが挙げられる。アレーントリイル基(3価)として、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基などが挙げられる。アレーンテトライル基(4価)として、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基などが挙げられる。これらの芳香族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
式(1−1)、(1−2)においてs、kは0〜10の整数、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0〜1の整数である。sおよびkが10を超えると、環状カルボジイミド化合物は合成上困難となり、コストが大きく上昇する場合が発生するためである。かかる観点より整数は好ましくは0〜3の範囲が選択される。なお、sまたはkが2以上であるとき、繰り返し単位としてのX1、あるいはX2が、他のX1、あるいはX2と異なっていてもよい。
X3は、それぞれヘテロ原子ならびに置換基を含んでいてもよい、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせである。
脂肪族基として、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数1〜20のアルカントリイル基、炭素数1〜20のアルカンテトライル基などが挙げられる。アルキレン基として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、へキサデシレン基などが挙げられる。アルカントリイル基として、メタントリイル基、エタントリイル基、プロパントリイル基、ブタントリイル基、ペンタントリイル基、ヘキサントリイル基、ヘプタントリイル基、オクタントリイル基、ノナントリイル基、デカントリイル基、ドデカントリイル基、ヘキサデカントリイル基などが挙げられる。アルカンテトライル基として、メタンテトライル基、エタンテトライル基、プロパンテトライル基、ブタンテトライル基、ペンタンテトライル基、ヘキサンテトライル基、ヘプタンテトライル基、オクタンテトライル基、ノナンテトライル基、デカンテトライル基、ドデカンテトライル基、ヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。これら脂肪族基は置換基を含んでいてもよく、置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
脂環族基として、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、炭素数3〜20のシクロアルカントリイル基、炭素数3〜20のシクロアルカンテトライル基が挙げられる。シクロアルキレン基として、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロへプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、シクロドデシレン基、シクロへキサデシレン基などが挙げられる。アルカントリイル基として、シクロプロパントリイル基、シクロブタントリイル基、シクロペンタントリイル基、シクロヘキサントリイル基、シクロヘプタントリイル基、シクロオクタントリイル基、シクロノナントリイル基、シクロデカントリイル基、シクロドデカントリイル基、シクロヘキサデカントリイル基などが挙げられる。アルカンテトライル基として、シクロプロパンテトライル基、シクロブタンテトライル基、シクロペンタンテトライル基、シクロヘキサンテトライル基、シクロヘプタンテトライル基、シクロオクタンテトライル基、シクロノナンテトライル基、シクロデカンテトライル基、シクロドデカンテトライル基、シクロヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。これら脂環族基は置換基を含んでいてもよく、置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリーレン基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
芳香族基として、それぞれへテロ原子を含んで複素環構造を持っていてもよい、炭素数5〜15のアリーレン基、炭素数5〜15のアレーントリイル基、炭素数5〜15のアレーンテトライル基が挙げられる。アリーレン基として、フェニレン基、ナフタレンジイル基などが挙げられる。アレーントリイル基(3価)として、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基などが挙げられる。アレーンテトライル基(4価)として、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基などが挙げられる。これらの芳香族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
また、Ar1、Ar2、R1、R2、X1、X2およびX3はヘテロ原子を含有していてもよい、また、Qが2価の結合基であるときは、Ar1、Ar2、R1、R2、X1、X2およびX3は全て2価の基である。Qが3価の結合基であるときは、Ar1、Ar2、R1、R2、X1、X2およびX3の内の一つが3価の基である。Qが4価の結合基であるときは、Ar1、Ar2、R1、R2、X1、X2およびX3の内の一つが4価の基であるか、二つが3価の基である。
本発明で用いる環状カルボジイミド化合物として、下記式(2)〜(4)で表される化合物が挙げられる。
式中、Qaは、脂肪族基、脂環族基、芳香族基またはこれらの組み合わせである2価の結合基であり、ヘテロ原子を含有していてもよい。脂肪族基、脂環族基、芳香族基は、式(1)で説明したものと同じである。但し、式(2)の化合物においては、脂肪族基、脂環族基、芳香族基は全て2価である。Qaは、下記式(2−1)、(2−2)または(2−3)で表される2価の結合基であることが好ましい。
式中、Ara 1、Ara 2、Ra 1、Ra 2、Xa 1、Xa 2、Xa 3、sおよびkは、各々式(1−1)〜(1−3)中のAr1、Ar2、R1、R2、X1、X2、X3、sおよびkと同じである。但し、これらは全て2価である。
かかる環状カルボジイミド化合物(2)としては、以下の化合物が挙げられる。
かかる環状カルボジイミド化合物(2)としては、以下の化合物が挙げられる。
式中、Qbは、脂肪族基、脂環族基、芳香族基、またはこれらの組み合わせである3価の結合基であり、ヘテロ原子を含有していてもよい。Yは、環状構造を担持する担体である。脂肪族基、脂環族基、芳香族基は、式(1)で説明したものと同じである。但し、式(3)の化合物においては、Qbを構成する基の内一つは3価である。Qbは、下記式(3−1)、(3−2)または(3−3)で表される3価の結合基であることが好ましい。
式中、Arb 1、Arb 2、Rb 1、Rb 2、Xb 1、Xb 2、Xb 3、sおよびkは、各々式(1−1)〜(1−3)のAr1、Ar2、R1、R2、X1、X2、X3、sおよびkと同じである。但しこれらの内の一つは3価の基である。
Yは、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーであることが好ましい。Yは結合部であり、複数の環状構造がYを介して結合し、式(3)で表される構造を形成している。かかる環状カルボジイミド化合物(3)としては、下記化合物が挙げられる。
Yは、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーであることが好ましい。Yは結合部であり、複数の環状構造がYを介して結合し、式(3)で表される構造を形成している。かかる環状カルボジイミド化合物(3)としては、下記化合物が挙げられる。
式中、Qcは、脂肪族基、脂環族基、芳香族基またはこれらの組み合わせである4価の結合基であり、ヘテロ原子を保有していてもよい。Z1およびZ2は、環状構造を担持する担体である。Z1およびZ2は、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。
脂肪族基、脂環族基、芳香族基は、式(1)で説明したものと同じである。但し、式(4)の化合物において、Qcは4価である。従って、これらの基の内の一つが4価の基であるか、二つが3価の基である。Qcは、下記式(4−1)、(4−2)または(4−3)で表される4価の結合基であることが好ましい。
脂肪族基、脂環族基、芳香族基は、式(1)で説明したものと同じである。但し、式(4)の化合物において、Qcは4価である。従って、これらの基の内の一つが4価の基であるか、二つが3価の基である。Qcは、下記式(4−1)、(4−2)または(4−3)で表される4価の結合基であることが好ましい。
Arc 1、Arc 2、Rc 1、Rc 2、Xc 1、Xc 2、Xc 3、sおよびkは、各々式(1−1)〜(1−3)の、Ar1、Ar2、R1、R2、X1、X2、X3、sおよびkと同じである。但し、Arc 1、Arc 2、Rc 1、Rc 2、Xc 1、Xc 2およびXc 3は、これらの内の一つが4価の基であるか、二つが3価の基である。
Z1およびZ2は各々独立に、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーであることが好ましい。Z1およびZ2は結合部であり、複数の環状構造がZ1およびZ2を介して結合し、式(4)で表される構造を形成している。
かかる環状カルボジイミド化合物(4)としては、下記化合物を挙げることができる。
Z1およびZ2は各々独立に、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーであることが好ましい。Z1およびZ2は結合部であり、複数の環状構造がZ1およびZ2を介して結合し、式(4)で表される構造を形成している。
かかる環状カルボジイミド化合物(4)としては、下記化合物を挙げることができる。
<環状カルボジイミド化合物の製造方法>
環状カルボジイミド化合物は従来公知の方法により製造することができる。例として、アミン体からイソシアネート体を経由して製造する方法、アミン体からイソチオシアネート体を経由して製造する方法、アミン体からトリフェニルホスフィン体を経由して製造する方法、アミン体から尿素体を経由して製造する方法、アミン体からチオ尿素体を経由して製造する方法、カルボン酸体からイソシアネート体を経由して製造する方法、ラクタム体を誘導して製造する方法などが挙げられる。
環状カルボジイミド化合物は従来公知の方法により製造することができる。例として、アミン体からイソシアネート体を経由して製造する方法、アミン体からイソチオシアネート体を経由して製造する方法、アミン体からトリフェニルホスフィン体を経由して製造する方法、アミン体から尿素体を経由して製造する方法、アミン体からチオ尿素体を経由して製造する方法、カルボン酸体からイソシアネート体を経由して製造する方法、ラクタム体を誘導して製造する方法などが挙げられる。
また、本発明の環状カルボジイミド化合物は、以下の文献に記載された方法を組み合わせ及び改変して製造することができ、製造する化合物に応じて適切な方法を採用することができる。
Tetrahedron Letters,Vol.34,No.32,515−5158,1993.
Medium−and Large−Membered Rings from Bis(iminophosphoranes):An Efficient Preparation of Cyclic Carbodiimides, Pedro Molina etal.
Journal of Organic Chemistry,Vol.61,No.13,4289−4299,1996.
New Models for the Study of the Racemization Mechanism of Carbodiimides.Synthesis and Structure(X−ray Crystallography and 1H NMR) of Cyclic Carbodiimides, Pedro Molina etal.
Journal of Organic Chemistry,Vol.43,No8,1944−1946,1978.
Macrocyclic Ureas as Masked Isocyanates, Henri Ulrich etal.
Journal of Organic Chemistry,Vol.48,No.10,1694−1700,1983.
Synthesis and Reactions of Cyclic Carbodiimides,
R.Richteretal.
Journal of Organic Chemistry,Vol.59,No.24,7306−7315,1994.
A New and Efficient Preparation of Cyclic Carbodiimides from Bis(iminophosphoranea)and the System Boc2O/DMAP,Pedro Molina etal.
Medium−and Large−Membered Rings from Bis(iminophosphoranes):An Efficient Preparation of Cyclic Carbodiimides, Pedro Molina etal.
Journal of Organic Chemistry,Vol.61,No.13,4289−4299,1996.
New Models for the Study of the Racemization Mechanism of Carbodiimides.Synthesis and Structure(X−ray Crystallography and 1H NMR) of Cyclic Carbodiimides, Pedro Molina etal.
Journal of Organic Chemistry,Vol.43,No8,1944−1946,1978.
Macrocyclic Ureas as Masked Isocyanates, Henri Ulrich etal.
Journal of Organic Chemistry,Vol.48,No.10,1694−1700,1983.
Synthesis and Reactions of Cyclic Carbodiimides,
R.Richteretal.
Journal of Organic Chemistry,Vol.59,No.24,7306−7315,1994.
A New and Efficient Preparation of Cyclic Carbodiimides from Bis(iminophosphoranea)and the System Boc2O/DMAP,Pedro Molina etal.
製造する化合物に応じて、適切な製法を採用すればよいが、例えば、(1)下記式(a−1)で表されるニトロフェノール、下記式(a−2)で表されるニトロフェノールおよび下記式(b)で表される化合物を反応させ、下記式(c)で表されるニトロ体を得る工程、
(2)得られたニトロ体を還元して下記式(d)で表わされるアミン体を得る工程、
(3)得られたアミン体とトリフェニルホスフィンジブロミドを反応させ下記式(e)で表されるトリフェニルホスフィン体を得る工程、および
(4)得られたトリフェニルホスフィン体を反応系中でイソシアネート化した後、直接脱炭酸させることによって製造したものは、本願発明に用いる環状カルボジイミド化合物として好適に用いることができる。
(上記式中、Ar1およびAr2は各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基で置換されていてもよい芳香族基である。E1およびE2は各々独立に、ハロゲン原子、トルエンスルホニルオキシ基およびメタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−ブロモベンゼンスルホニルオキシ基からなる群から選ばれる基である。Araは、フェニル基である。Xは、下記式(i−1)から(i−3)の結合基である。)
(上記式中、Ar1およびAr2は各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基で置換されていてもよい芳香族基である。E1およびE2は各々独立に、ハロゲン原子、トルエンスルホニルオキシ基およびメタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−ブロモベンゼンスルホニルオキシ基からなる群から選ばれる基である。Araは、フェニル基である。Xは、下記式(i−1)から(i−3)の結合基である。)
<ポリ乳酸>
本発明のポリ乳酸は、主鎖が主として下記式(I)で表される乳酸単位からなり、末端の少なくとも一部が環状カルボジイミド化合物により封止されている。本発明において「主として」とは、好ましくは90〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%、さらに好ましくは98〜100モル%の割合である。
本発明のポリ乳酸は、主鎖が主として下記式(I)で表される乳酸単位からなり、末端の少なくとも一部が環状カルボジイミド化合物により封止されている。本発明において「主として」とは、好ましくは90〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%、さらに好ましくは98〜100モル%の割合である。
式(I)で表される乳酸単位には、互いに光学異性体であるL−乳酸単位とD−乳酸単位がある。ポリ乳酸の主鎖は主として、L−乳酸単位、D−乳酸単位またはこれらの組み合わせであってもよい。
また、ポリ乳酸は、耐熱性向上の観点からは、主鎖が主としてD−乳酸単位よりなるポリD−乳酸と主鎖が主としてL乳酸単位よりなるポリL−乳酸とからなり、ステレオコンプレックス結晶を有するステレオコンプレックスポリ乳酸であることが特に好ましい。
ここで、主鎖を構成する他の単位の割合は、好ましくは0〜10モル%、より好ましくは0〜5モル%、さらに好ましくは0〜2モル%の範囲である。
ここで、主鎖を構成する他の単位の割合は、好ましくは0〜10モル%、より好ましくは0〜5モル%、さらに好ましくは0〜2モル%の範囲である。
ステレオコンプレックス結晶は通常ポリL乳酸やポリD乳酸が単独で形成する結晶よりも融点が高いので、若干でも含まれることによって耐熱性を上げる効果が期待できるが、特にその効果は全体の結晶量に対するステレオコンプレックス結晶の量が多い場合に顕著に発揮される。下記式に従うステレオコンプレックス結晶化度(S)において、95%以上であることが好ましく、さらに好ましくは100%である。
S=[ΔHms/(ΔHmh+ΔHms)] × 100
(但し、ΔHmsはステレオコンプレックス相結晶の融解エンタルピー、ΔHmhはホモ相ポリ乳酸結晶の融解エンタルピー。)
S=[ΔHms/(ΔHmh+ΔHms)] × 100
(但し、ΔHmsはステレオコンプレックス相結晶の融解エンタルピー、ΔHmhはホモ相ポリ乳酸結晶の融解エンタルピー。)
ステレオコンプレックスポリ乳酸結晶の形成を安定的且つ高度に進めるために特定の添加物を配合する手法が好ましく適用される。
例えば、ステレオコンプレックス結晶化促進剤として下記式で表されるリン酸金属塩を添加する手法が挙げられる。
例えば、ステレオコンプレックス結晶化促進剤として下記式で表されるリン酸金属塩を添加する手法が挙げられる。
式中、R11は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R12、R13はそれぞれ独立に、水素原子、または炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、M1はアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、亜鉛原子またはアルミニウム原子を表し、pは1または2を表し、qはM1がアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、亜鉛原子のときは0を、アルミニウム原子の時は1または2を表す。
式中R14、R15およびR16は各々独立に、水素原子または炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、M2はアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、亜鉛原子またはアルミニウム原子を表し、pは1または2を表し、qはM2がアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、亜鉛原子のときは0を、アルミニウム原子の時は1または2を表す。
上記二つの式において表されるリン酸金属塩のM1、M2は、Na、K、Al、Mg、Ca、Liが好ましく、特に、K、Na、Al、LiなかでもLi、Alが最も好適に用いることができる。
これらのリン酸金属塩は、(株)ADEKA製の商品名、「アデカスタブ」NA−11、NA−71等が好適な剤として例示される。
これらのリン酸金属塩は、(株)ADEKA製の商品名、「アデカスタブ」NA−11、NA−71等が好適な剤として例示される。
ポリ乳酸に対して、リン酸金属塩は0.001から2wt%、好ましくは0.005から1wt%、より好ましくは0.01から0.5wt%さらに好ましくは0.02から0.3wt%用いることが好ましい。少なすぎる場合には、ステレオコンプレックス結晶化度(S)を向上する効果が小さく、多すぎるとステレオコンプレックス結晶融点を低下させる。さらに、リン酸金属塩の作用を強化するため、公知の結晶化核剤を併用することができる。なかでも珪酸カルシウム、タルク、カオリナイト、モンモリロナイトが好ましくは選択される。
結晶化核剤の使用量はポリ乳酸に対し0.05から5wt%、より好ましくは0.06から2wt%、さらに好ましくは0.06から1wt%の範囲が選択される。
結晶化核剤の使用量はポリ乳酸に対し0.05から5wt%、より好ましくは0.06から2wt%、さらに好ましくは0.06から1wt%の範囲が選択される。
ポリ乳酸はいずれの製法によって得られたものであってもよい。たとえば、ポリ乳酸の製造方法には、L−乳酸及び/又はD−乳酸を原料として一旦環状二量体であるラクチドを生成させて、その後開環重合を行う二段階のラクチド法と、L−乳酸及び/又はD−乳酸を原料として溶媒中で直接脱水縮合を行う一段階の直接重合法など、一般に知られている重合法によって好適に得ることができる。
ポリ乳酸にはその製造上、カルボン酸基が含まれることがあるが、その含まれるカルボン酸基の量は少ないほどよい。そのような理由から、たとえばラクチドから水以外の開始剤を用いて開環重合したものや、重合後に化学的に処理をしてカルボン酸基を低減したポリマーを用いることは好ましい。
ポリ乳酸の重量平均分子量は、通常少なくとも5万、好ましくは少なくとも10万、好ましくは10〜30万である。平均分子量が5万よりも低い場合には繊維の強度物性が低下するため好ましくない。30万を越える場合には溶融粘度が高くなりすぎ、溶融紡糸が困難になる場合がある。
また、本発明におけるポリ乳酸は、L−乳酸、D−乳酸の他にエステル形成能を有するその他の成分を共重合した共重合ポリ乳酸であってもよい。共重合可能な成分としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸類の他、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の分子内に複数の水酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸等の分子内に複数のカルボン酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体が挙げられる。ただし、高い融点を維持するためや繊維強度を損なわないため、この場合ポリマーの70モル%以上が乳酸単位からなることが望ましい。
本発明のポリ乳酸組成物は、環状カルボジイミド化合物がポリ乳酸の末端に結合した構造を有する末端封止されたポリ乳酸を含有する。環状カルボジイミド化合物は、ポリ乳酸のカルボキシル基と以下のように反応しポリ乳酸の末端に以下の構造を形成する。
後述するように本発明のポリ乳酸含有複合繊維は、ポリ乳酸と環状カルボジイミドとを混合したポリ乳酸組成物を異種成分との溶融複合紡糸によって製造することができる。環状カルボジイミド化合物は、ポリ乳酸の末端と反応し末端を封止するが、余剰の環状カルボジイミド化合物が存在する場合には未反応のままポリ乳酸組成物中に残留する。このとき、ポリ乳酸含有複合繊維には、末端が封止されたポリ乳酸および環状カルボジイミド化合物を含有するが、末端変性の反応の程度により、末端が封止されていないポリ乳酸も含有することもある。
なお、複合繊維を構成するポリ乳酸組成物中において、未反応のまま組成物中で残留する環状カルボジイミド化合物の含有量は、ポリ乳酸100重量部あたり、0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.1〜1重量部である。
未反応のまま組成物中で残留する環状カルボジイミド化合物が存在する場合には、耐加水分解性をさらに向上させることが可能である。
未反応のまま組成物中で残留する環状カルボジイミド化合物が存在する場合には、耐加水分解性をさらに向上させることが可能である。
ポリ乳酸への環状カルボジイミド化合物の添加は、該ポリ乳酸の重合反応完了直後から紡糸口金より吐出されるまでの任意の段階に行うことができ、例えば、ポリ乳酸チップに粉体として環状カルボジイミド化合物を添加する方法、溶融紡糸前の段階でポリ乳酸と環状カルボジイミド化合物とを強制的に溶融混練する方法などが挙げられる。
環状カルボジイミド化合物をポリ乳酸に添加、混合する方法は特に限定なく、従来公知の方法により、溶液、融液あるいは適用するポリ乳酸のマスターバッチとして添加する方法、あるいは環状カルボジイミド化合物が溶解、分散または溶融している液体にポリ乳酸の固体を接触させ環状カルボジイミド化合物を浸透させる方法などを採ることができる。
溶液、融液あるいは適用するポリ乳酸のマスターバッチとして添加する方法を採る場合には、従来公知の混練装置を使用して添加することができる。混練に際しては、溶液状態での混練法あるいは溶融状態での混練法が、均一混練性の観点より好ましい。混練装置としては、とくに限定なく、従来公知の縦型の反応容器、混合槽、混練槽あるいは一軸または多軸の横型混練装置、例えば一軸あるいは多軸のルーダー、ニーダーなどが例示される。混練時間は特に指定はなく、混練装置、混練温度にもよるが、0.1分間から2時間、好ましくは0.2分間から1時間、より好ましくは1分間から30分間が選択される。
溶媒としては、ポリ乳酸および環状カルボジイミド化合物に対し、不活性であるものを用いることができる。特に、両者に親和性を有し、両者を少なくとも部分的に溶解、あるいは両者に少なくとも部分的に溶解より溶媒が好ましい。
このような溶媒としてはたとえば、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン系溶媒、アミド系溶媒などを用いることができる。
このような溶媒としてはたとえば、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン系溶媒、アミド系溶媒などを用いることができる。
炭化水素系溶媒として、ヘキサン、シクロへキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘプタン、デカンなどが挙げられる。ケトン系溶媒として、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロへキサノン、イソホロンなどが挙げられる。エステル系溶媒としては、酢酸エチル、酢酸メチル、コハク酸エチル、炭酸メチル、安息香酸エチル、ジエチレングリコールジアセテートなどが挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、ジフェニルエーテルなどが挙げられる。ハロゲン系溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、1,1’,2,2’−テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどを挙げることができる。アミド系溶媒としては、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。
これらの溶媒は単一であるいは所望により混合溶媒として使用することができる。
これらの溶媒は単一であるいは所望により混合溶媒として使用することができる。
本発明において、溶媒は、ポリ乳酸と環状カルボジイミド化合物との合計、100重量部あたり1〜1,000重量部の範囲で適用される。1重量部より少ないと、溶媒適用に意義がない。また、溶媒使用量の上限値は、特にないが、操作性、反応効率の観点より1,000重量部程度である。
環状カルボジイミド化合物が溶解、分散または溶融している液体にポリ乳酸の固体を接触させ環状カルボジイミド化合物を浸透させる方法を採る場合には、上記のような溶剤に溶解したカルボジイミドに固体のポリ乳酸を接触させる方法や、カルボジイミドのエマルジョン液に固体のポリ乳酸を接触させる方法などをとることができる。接触させる方法としては、ポリ乳酸を浸漬する方法や、ポリ乳酸に塗布する方法、散布する方法などを好適にとることができる。
環状カルボジイミド化合物による封止反応は、室温(25℃)〜300℃程度の温度で可能であるが、反応効率の観点より50〜250℃、より好ましくは80〜200℃の範囲ではより促進される。ポリ乳酸は、溶融している状態ではより反応が進行しやすいが、環状カルボジイミド化合物の揮散、分解などを抑制するため、300℃より低い温度で反応させることが好ましい。またポリ乳酸の溶融温度を低下、攪拌効率を上げるためにも、溶媒を適用することは効果がある。
反応は無触媒で十分速やかに進行するが、反応を促進する触媒を使用することもできる。触媒としては、従来の線状カルボジイミド化合物で使用される触媒が適用できる。これらは1種または2種以上使用することができる。触媒の添加量は、特に限定されるものではないが、ポリ乳酸と環状カルボジイミド化合物の合計100重量部に対し、0.001〜1重量部が好ましく、また0.01〜0.1重量部がより好ましく、さらには0.02〜0.1重量部が最も好ましい。
環状カルボジイミド化合物の適用量は、酸性基1当量あたり、環状カルボジイミド化合物に含まれるカルボジイミド基が0.5〜100当量の範囲が選択される。0.5当量より過少に過ぎると、カルボジイミド適用の意義がない場合がある。また100当量より過剰に過ぎると、基質の特性が変成する場合がある。かかる観点より、上記基準において、好ましくは0.6〜100当量、より好ましくは0.65〜70当量、さらに好ましくは0.7〜50当量、とりわけ好ましくは0.7〜30当量の範囲が選択される。
<ポリ乳酸含有複合繊維の製造方法>
本発明の複合繊維は前述のポリ乳酸組成物と、少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂組成物を複合してなることが必要である。該熱可塑性樹脂組成物としては特に限定されるものではなく、必要な機能に応じて適宜変更すればよい。
本発明の複合繊維は前述のポリ乳酸組成物と、少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂組成物を複合してなることが必要である。該熱可塑性樹脂組成物としては特に限定されるものではなく、必要な機能に応じて適宜変更すればよい。
本発明のポリ乳酸組成物と複合する熱可塑性樹脂組成物の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11等のポリアミド樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、PPS樹脂等が例維持される。これによってさまざまな物性の付与が可能となる。例えばポリエチレンテレフタレートと複合繊維を形成することができれば、比較的性能が低いポリ乳酸の耐摩耗性を改善しつつ、かつ高いバイオ原料率を有する繊維が実現する。その他、耐熱性や難燃性などの機能を付与し、かつ環境にやさしい高いバイオ原料率を有する繊維が可能となる。
また該熱可塑性樹脂組成物は、共重合体であっても、有機および/または無機物質とのブレンド体であっても良く、さらに艶消剤、難燃剤、耐熱剤、耐光剤、紫外線吸収剤、着色顔料等の無機微粒子や有機化合物が添加されていても良い。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物と熱可塑性樹脂組成物の複合方法に特に限定は無く、溶融複合、溶液複合等、繊維形成時に複合化する方法や、一度得られた繊維に溶融被覆を施す被覆法等が例示される。
また、複合形状に特に限定は無く、芯鞘複合、海島複合、サイドバイサイド、ブレンド型といった複合形状を採用することができ、例えば、複合繊維の耐摩耗性や難燃性を向上させたい場合には芯鞘複合型や海島複合型が好ましく、捲縮機能を付与したい場合にはサイドバイサイド型、偏心芯鞘型、ポリ乳酸樹脂と他の熱可塑性樹脂を相溶したい場合、または、一方の樹脂を微分散させたい場合にはブレンド型を採用すればよい。
特に、耐摩耗性向上効果の期待できる芯鞘複合型、海島複合型、ブレンド型複合繊維においてはポリアミド系樹脂等の耐摩耗性に優れる樹脂を使用することで更なる耐摩耗性向上効果を得ることができる。また本発明の複合成分は3成分以上からなっていても良い。
複合する樹脂の比率としても特に限定は無いが、前述のようにバイオ原料度は高い方が望ましく、ポリ乳酸樹脂組成物の比率が20体積%以上であることが好ましく、さらに好ましくは30体積%以上である。
(溶融紡糸を行い、未延伸糸を得る工程(1))
本発明のポリ乳酸含有複合繊維は、上述のポリ乳酸組成物と該熱可塑性樹脂組成物を別々のエクストルーダー型やプレッシャーメルター型の溶融押出し機で溶融した後、ギアポンプにより所望の複合繊維の複合比率に合うように双方の成分をそれぞれ計量し、公知の複合繊維製造用の紡糸口金中で複合させ、紡糸口金に設けられたノズルからモノフィラメント、マルチフィラメント等として吐出され紡糸する。
本発明のポリ乳酸含有複合繊維は、上述のポリ乳酸組成物と該熱可塑性樹脂組成物を別々のエクストルーダー型やプレッシャーメルター型の溶融押出し機で溶融した後、ギアポンプにより所望の複合繊維の複合比率に合うように双方の成分をそれぞれ計量し、公知の複合繊維製造用の紡糸口金中で複合させ、紡糸口金に設けられたノズルからモノフィラメント、マルチフィラメント等として吐出され紡糸する。
その後、紡糸口金下5〜200mmの位置で、紡出糸条に10〜40℃の空気を送風して冷却固化させた後、摩擦低減や集束を目的とした紡糸油剤を付与して、紡糸速度100〜3000m/分で引き取って、ワインダーを用いてボビンに巻き取るか、数百〜数万デシテックスのトウの状態で缶等の容器に得られた未延伸糸を収納する。紡糸速度は特に限定されるものではないが、3000m/分を超えると未延伸糸内に配向結晶化による結晶が生成するため延伸後の強度が落ちる傾向にある。設備や目標とする繊度、強伸度物性に応じて100〜3000m/分の範囲で選定されることが多く、且つ好ましい態様である。特に、短繊維の量産機では、数十〜数千フィラメントの未延伸糸トウを数百〜数万デシテックスに束ね、バケツや缶等の容器に受けるプロセスをとっている場合が多いが、トウのもつれがないように容器内に収納できる2000m/分以下の紡糸速度が好ましく選定される。
(1段延伸あるいは2段以上の多段延伸を行う延伸工程(2))
未延伸糸をボビンに一旦巻き取るか、缶等の容器内に収納した後、公知の別延用延伸機に供される。延伸は、1段延伸でも2段以上の多段延伸でも良い。延伸温度は、工程安定性の観点より20〜150℃で好ましく、50〜100℃で延伸処理を行うことがより好ましい。
未延伸糸をボビンに一旦巻き取るか、缶等の容器内に収納した後、公知の別延用延伸機に供される。延伸は、1段延伸でも2段以上の多段延伸でも良い。延伸温度は、工程安定性の観点より20〜150℃で好ましく、50〜100℃で延伸処理を行うことがより好ましい。
液浴中で延伸させる場合には、液浴に用いる媒体は、水、シリコーンオイル、エチレングリコールやアセトン等の有機溶媒、塩化カリウム塩水溶液等の無機塩溶液、超臨界二酸化炭素等が上げられるが、プロセスや繊維への汚染や作業面の安全性等を考慮すると、水が最も好ましい。水浴延伸は、ポリエステル短繊維の量産設備として知られている温水バス等を活用することができる。水浴の場合の延伸温度は20〜100℃である。
延伸倍率については、1.5〜6.0倍、より好ましくは2.5〜4.5倍である。
延伸倍率については、1.5〜6.0倍、より好ましくは2.5〜4.5倍である。
(定長熱処理又は弛緩熱処理を施す工程(3))
引き続き延伸糸は、定長熱処理又は弛緩熱収縮が施される。定長熱処理は、110〜200℃、好ましくは120〜190℃である。定長熱処理温度が110℃未満では、結晶化が不十分となり、強度などの物性が不十分となる。定長熱処理温度が200℃を超えると、一部が融解を始めるため好ましくない。弛緩熱処理は110〜165℃、好ましくは120〜160℃である。弛緩熱処理温度が130℃未満では、同様に結晶化が不十分となり、165℃を超えると、延伸で生じた一部の結晶融解が始まり、熱収縮や繊維硬化が始まる。
引き続き延伸糸は、定長熱処理又は弛緩熱収縮が施される。定長熱処理は、110〜200℃、好ましくは120〜190℃である。定長熱処理温度が110℃未満では、結晶化が不十分となり、強度などの物性が不十分となる。定長熱処理温度が200℃を超えると、一部が融解を始めるため好ましくない。弛緩熱処理は110〜165℃、好ましくは120〜160℃である。弛緩熱処理温度が130℃未満では、同様に結晶化が不十分となり、165℃を超えると、延伸で生じた一部の結晶融解が始まり、熱収縮や繊維硬化が始まる。
定長熱処理を施す手段としては、延伸糸に一定のテンションがかかった状態で、熱媒や電気ヒーターで表面を加熱したローラーや接触式ヒーターに接触させる接触加熱法と、スーパーヒートした高温蒸気(水蒸気等)噴射や熱風循環のチャンバー、赤外線ヒーター等の輻射熱による非接触加熱法がある。
一方、弛緩熱処理は、延伸糸に無緊張状態で、熱風循環チャンバーや熱風を通過させるサクションドラム、オーバーフィードの状態で加熱ローラーや接触式ヒーター上を通過させる等の方法がある。このように定長熱処理又は弛緩熱処理における延伸糸への加熱方法は、乾熱雰囲気中又は乾熱加熱体との接触によって行うことが好ましい。
本発明のポリ乳酸含有複合繊維において、短繊維を製造する場合は、長繊維での延伸方法に加えて、用途に応じた所定の繊維長にロータリーカッター等でカットする工程、更に捲縮が必要とされる場合は、定長熱処理弛緩熱処理の間に押し込みクリンパー等で捲縮を付与する工程が加わる。その際、捲縮付与性を高めるため、水蒸気や電熱ヒーター等でクリンパー前の繊維を予熱することができる。
<安定剤>
本発明のポリ乳酸含有複合繊維に使用するポリ乳酸組成物には、安定剤を含有することができる。安定剤としては通常の熱可塑性樹脂の安定剤に使用されるものを用いることができる。例えば酸化防止剤、光安定剤等を挙げることができる。これらの剤を配合することで機械的特性、成形性、耐熱性および耐久性に優れた成形品を得ることができる。
本発明のポリ乳酸含有複合繊維に使用するポリ乳酸組成物には、安定剤を含有することができる。安定剤としては通常の熱可塑性樹脂の安定剤に使用されるものを用いることができる。例えば酸化防止剤、光安定剤等を挙げることができる。これらの剤を配合することで機械的特性、成形性、耐熱性および耐久性に優れた成形品を得ることができる。
酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物等を挙げることができる。
ヒンダードフェノール系化合物としては、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、1,4−ブタンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。
ヒンダードアミン系化合物として、N,N’−ビス−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−テトラメチレン−ビス[3−(3’−メチル−5’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ジアミン、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオニル]ヒドラジン、N−サリチロイル−N’−サリチリデンヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、N,N’−ビス[2−{3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]オキシアミド等を挙げることができる。好ましくは、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等が挙げられる。
ホスファイト系化合物としては、少なくとも1つのP−O結合が芳香族基に結合しているものが好ましく、具体的には、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンホスファイト、ビス(2,6―ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、トリス(ミックスドモノおよびジ−ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(フェニル−ジアルキルホスファイト)等が挙げられる。
なかでもトリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、テトラキス(2,6―ジ−tert−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンホスファイト等が好ましく使用できる。
チオエーテル系化合物の具体例として、ジラウリルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−オクタデシルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ミリスチルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ステアリルチオプロピオネート)等が挙げられる。
光安定剤としては、具体的には例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、芳香族ベンゾエート系化合物、蓚酸アニリド系化合物、シアノアクリレート系化合物およびヒンダードアミン系化合物等を挙げることができる。
ベンゾフェノン系化合物としては、ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、5−クロロ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メチル−アクリロキシイソプロポキシ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−メチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(4’−オクトキシ−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
芳香族ベンゾエート系化合物としては、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のアルキルフェニルサリシレート類が挙げられる。
蓚酸アニリド系化合物としては、2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−5−tert−ブチル−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−3’−ドデシルオキザリックアシッドビスアニリド等が挙げられる。
シアノアクリレート系化合物としては、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等が挙げられる。
ヒンダードアミン系化合物としては、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−オクタデシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(エチルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)オギザレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピ−4−ペリジル)アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピ−4−ペリジル)テレフタレート、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピ−4−ペリジルオキシ)−エタン、α,α’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−トリレン−2,4−ジカルバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレート、1−「2−{3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジメタノールとの縮合物等を挙げることができる。本発明において上記の安定剤成分は1種類で使用してもよいし2種以上を組み合わせて使用してもよい。また安定剤成分として、ヒンダードフェノール系化合物およびまたはベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。安定剤の含有量はポリ乳酸100重量部当たり、好ましくは0.01〜3重量部、より好ましくは0.03〜2重量部である。
<耐摩耗剤>
本発明において、ポリ乳酸含有複合繊維に使用するポリ乳酸組成物の耐摩耗性を向上させるために、脂肪酸ビスアミドおよび/またはアルキル置換型モノアミドを含有させることができる。
本発明において、ポリ乳酸含有複合繊維に使用するポリ乳酸組成物の耐摩耗性を向上させるために、脂肪酸ビスアミドおよび/またはアルキル置換型モノアミドを含有させることができる。
脂肪族ビスアミドは、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミド、芳香族系脂肪参ビスアミド等の1分子中にアミド結合を2つ有する化合物を指し、例えば、メチレンビスカプリル酸アミド、メチレンビスカプリン酸アミド、メチレンビスラウリン酸アミド、メチレンビスミリスチン酸アミド、メチレンビスパルミチン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスイソステアリン酸アミド、メチレンビスベヘニン酸アミド、メチレンビスオレイン酸アミド、メチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスカプリル酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスミリスチン酸アミド、エチレンビスパルミチン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビスベヘニン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ブチレンビスステアリン酸アミド、ブチレンビスベヘニン酸アミド、ブチレンビスオレイン酸アミド、ブチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘニン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスエルカ酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、p−キシリレンビスステアリン酸アミド、p−フェニレンビスステアリン酸アミド、N,N′−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N′−ジステアリルセバシン酸アミド、N,N′−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N′−ジステアリルテレフタル酸アミド、メチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、ブチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド等が挙げられる。
また、本発明でいうアルキル置換型のモノアミドとは、飽和脂肪酸モノアミドや不飽和脂肪酸モノアミド等のアミド水素をアルキル基で置き換えた構造の化合物を指し、例えば、N−ラウリルラウリン酸アミド、N−パルミチルパルミチン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ヘベニルヘベニン酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド等が挙げられる。該アルキル基は、その構造中にヒドロキシル基等の置換基が導入されていても良く、例えば、メチロースステアリン酸アミド、N−ステアリル−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、N−オレイル−12−ヒドロキシステアリン酸アミド等も本発明のアルキル置換型の脂肪酸アミドに含むものとする。
これらの化合物は、通常の脂肪酸モノアミドに比べてアミドの反応性が低く、溶融成形時においてポリ乳酸との反応が起こりにくい。また、高分子量のものが多いため、一般的に耐熱性が良く、昇華しにくいという特徴がある。特に、脂肪酸ビスアミドは、アミドの反応性がさらに低いためポリ乳酸と反応しにくく、また、高分子量であるため耐熱性が良く、昇華しにくいことから、より好ましい耐摩耗剤として用いることができる。このような耐摩耗剤としては、例えばエチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビスベヘニン酸アミド、ブチレンビスステアリン酸アミド、ブチレンビスベヘニン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘニン酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミドが好ましい。
本発明における脂肪酸ビスアミドおよび/またはアルキル置換型のモノアミド(以下、総称として脂肪酸アミドと略す)の短繊維全体に対する含有量は0.1〜1.5wt%が好ましい。より好ましくは0.5〜1.0wt%である。該脂肪酸アミドの含有量が0.1wt%以下であると目的に対して十分な効果が現れず、1.5wt%以上では短繊維の滑り性は向上するが、効果が大きすぎるため短繊維の絡合性悪化による操業性の不良ならび捲縮の均一性劣化などの品位低下を招く。脂肪酸アミドは単一成分でも良いし、また複数の成分が混合されていても良い。
<結晶化促進剤>
本発明のポリ乳酸組成物は、有機若しくは無機の結晶化促進剤を含有することができる。結晶化促進剤を含有することで、機械的特性、耐熱性、および成形性に優れた成形品を得ることができる。
即ち結晶化促進剤の適用により、成形性、結晶性が向上し、通常の射出成形においても十分に結晶化し耐熱性、耐湿熱安定性に優れた成形品を得ることができる。加えて、成形品を製造する製造時間を大幅に短縮でき、その経済的効果は大きい。
本発明のポリ乳酸組成物は、有機若しくは無機の結晶化促進剤を含有することができる。結晶化促進剤を含有することで、機械的特性、耐熱性、および成形性に優れた成形品を得ることができる。
即ち結晶化促進剤の適用により、成形性、結晶性が向上し、通常の射出成形においても十分に結晶化し耐熱性、耐湿熱安定性に優れた成形品を得ることができる。加えて、成形品を製造する製造時間を大幅に短縮でき、その経済的効果は大きい。
本発明で使用する結晶化促進剤は一般に結晶性樹脂の結晶化核剤として用いられるものを用いることができ、無機系の結晶化核剤および有機系の結晶化核剤のいずれをも使用することができる。
無機系の結晶化核剤として、タルク、カオリン、シリカ、合成マイカ、クレイ、ゼオライト、グラファイト、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫化カルシウム、窒化ホウ素、モンモリロナイト、酸化ネオジム、酸化アルミニウム、フェニルホスホネート金属塩等が挙げられる。これらの無機系の結晶化核剤は組成物中での分散性およびその効果を高めるために、各種分散助剤で処理され、一次粒子径が0.01〜0.5μm程度の高度に分散状態にあるものが好ましい。
無機系の結晶化核剤として、タルク、カオリン、シリカ、合成マイカ、クレイ、ゼオライト、グラファイト、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫化カルシウム、窒化ホウ素、モンモリロナイト、酸化ネオジム、酸化アルミニウム、フェニルホスホネート金属塩等が挙げられる。これらの無機系の結晶化核剤は組成物中での分散性およびその効果を高めるために、各種分散助剤で処理され、一次粒子径が0.01〜0.5μm程度の高度に分散状態にあるものが好ましい。
有機系の結晶化核剤としては、安息香酸カルシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸リチウム、安息香酸カリウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸バリウム、蓚酸カルシウム、テレフタル酸ジナトリウム、テレフタル酸ジリチウム、テレフタル酸ジカリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸カルシウム、ミリスチン酸バリウム、オクタコ酸ナトリウム、オクタコ酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、トルイル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸亜鉛、アルミニウムジベンゾエート、β−ナフトエ酸ナトリウム、β−ナフトエ酸カリウム、シクロヘキサンカルボン酸ナトリウム等の有機カルボン酸金属塩、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、スルホイソフタル酸ナトリウム等の有機スルホン酸金属塩が挙げられる。
また、ステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、トリメシン酸トリス(tert−ブチルアミド)等の有機カルボン酸アミド、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリイソプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリビニルシクロアルカン、ポリビニルトリアルキルシラン、高融点ポリ乳酸、エチレン−アクリル酸コポマーのナトリウム塩、スチレン−無水マレイン酸コポリマーのナトリウム塩(いわゆるアイオノマー)、ベンジリデンソルビトールおよびその誘導体、例えばジベンジリデンソルビトール等が挙げられる。
これらのなかでタルク、および有機カルボン酸金属塩から選択された少なくとも1種が好ましく使用される。本発明で使用する結晶化促進剤は1種のみでもよく、2種以上を併用しても良い。
結晶化促進剤の含有量は、ポリ乳酸100重量部当たり、好ましくは0.01〜30重量部、より好ましくは0.05〜20重量部である。
結晶化促進剤の含有量は、ポリ乳酸100重量部当たり、好ましくは0.01〜30重量部、より好ましくは0.05〜20重量部である。
<帯電防止剤>
本発明のポリ乳酸含有複合繊維に使用するポリ乳酸組成物には、帯電防止剤を含有することができる。帯電防止剤として、(β−ラウラミドプロピオニル)トリメチルアンモニウムスルフェート、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの第4級アンモニウム塩系、スルホン酸塩系化合物、アルキルホスフェート系化合物等が挙げられる。
本発明において帯電防止剤は1種類で用いても良いし2種以上を組み合わせて用いても良い。帯電防止剤の含有量は、ポリ乳酸100重量部に対し、好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。
本発明のポリ乳酸含有複合繊維に使用するポリ乳酸組成物には、帯電防止剤を含有することができる。帯電防止剤として、(β−ラウラミドプロピオニル)トリメチルアンモニウムスルフェート、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの第4級アンモニウム塩系、スルホン酸塩系化合物、アルキルホスフェート系化合物等が挙げられる。
本発明において帯電防止剤は1種類で用いても良いし2種以上を組み合わせて用いても良い。帯電防止剤の含有量は、ポリ乳酸100重量部に対し、好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。
<可塑剤>
本発明のポリ乳酸含有複合繊維に使用するポリ乳酸組成物には、可塑剤を含有することができる。可塑剤としては一般に公知のものを使用することができる。例えば、ポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤、およびエポキシ系可塑剤、等が挙げられる。
本発明のポリ乳酸含有複合繊維に使用するポリ乳酸組成物には、可塑剤を含有することができる。可塑剤としては一般に公知のものを使用することができる。例えば、ポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤、およびエポキシ系可塑剤、等が挙げられる。
ポリエステル系可塑剤として、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸等の酸成分とエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール等のジオール成分からなるポリエステルやポリカプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸からなるポリエステル等が挙げられる。これらのポリエステルは単官能カルボン酸または単官能アルコールで末端封止されていても良い。
グリセリン系可塑剤として、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノオレート、グリセリンモノアセトモノモンタネート等が挙げられる。
多価カルボン酸系可塑剤として、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリヘキシル等のトリメリット酸エステル、アジピン酸イソデシル、アジピン酸−n−デシル−n−オクチル等のアジピン酸エステル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル、アゼライン酸ビス(2−エチルヘキシル)等のアゼライン酸エステル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ビス(2−エチルヘキシル)等のセバシン酸エステルが挙げられる。
リン酸エステル系可塑剤として、リン酸トリブチル、リン酸トリス(2−エチルヘキシル)、リン酸トリオクチル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸ジフェニル−2−エチルヘキシル等が挙げられる。
ポリアルキレングリコール系可塑剤として、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(エチレンオキシド−プロピレンオキシド)ブロックおよびまたはランダム共重合体、ビスフェノール類のエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のテトラヒドロフラン付加重合体等のポリアルキレングリコールあるいはその末端エポキシ変性化合物、末端エステル変性化合物および末端エーテル変性化合物等の末端封止剤化合物等が挙げられる。
エポキシ系可塑剤として、エポキシステアリン酸アルキルと大豆油とからなるエポキシトリグリセリド、およびビスフェノールAとエピクロルヒドリンを原料とするエポキシ樹脂が挙げられる。
その他の可塑剤の具体的な例としては、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコール−ビス(2−エチルブチレート)等の脂肪族ポリオールの安息香酸エステル、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド、オレイン酸ブチル等の脂肪酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル等のオキシ酸エステル、ペンタエリスリトール、各種ソルビトール、ポリアクリル酸エステル、シリコーンオイル、およびパラフィン類等が挙げられる。
可塑剤として、特にポリエステル系可塑剤およびポリアルキレン系可塑剤から選択された少なくとも1種よりなるものが好ましく使用でき、1種のみでも良くまた2種以上を併用することもできる。
可塑剤の含有量は、ポリ乳酸100重量部当たり、好ましくは0.01〜30重量部、より好ましくは0.05〜20重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部である。本発明においては結晶化核剤と可塑剤を各々単独で使用してもよいし、両者を併用して使用することがさらに好ましい。
以下に実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。なお、本実施例で用いた特性の測定方法は次の通りである。
(1)耐加水分解性:
耐加水分解性は、組成物のカルボキシル基末端量が0当量/tonである時に良と判定し、10当量/ton以下であるときに、可と判定し、10当量/tonを超える場合には否と判定した。カルボキシル基末端量は、秤量したサンプルを含水率5%に調整したo−クレゾールに溶解し、この溶液にジクロロメタンを適量添加した後、0.02規定の水酸化カリウムメタノール溶液で滴定して求めた。
耐加水分解性は、組成物のカルボキシル基末端量が0当量/tonである時に良と判定し、10当量/ton以下であるときに、可と判定し、10当量/tonを超える場合には否と判定した。カルボキシル基末端量は、秤量したサンプルを含水率5%に調整したo−クレゾールに溶解し、この溶液にジクロロメタンを適量添加した後、0.02規定の水酸化カリウムメタノール溶液で滴定して求めた。
(2)融点、結晶化点:
TAインストルメンツ製TA−2920示差走査熱量測定計DSCを用いた。測定は、試料10mgを窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で室温から260℃まで昇温し、結晶融解吸熱ピーク及び結晶化発熱ピークのピークトップ温度を各々融点及び結晶化点と定義した。
TAインストルメンツ製TA−2920示差走査熱量測定計DSCを用いた。測定は、試料10mgを窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で室温から260℃まで昇温し、結晶融解吸熱ピーク及び結晶化発熱ピークのピークトップ温度を各々融点及び結晶化点と定義した。
(3)強度:
オリエンティック社製「テンシロン」(商品名)を用い、測定対象の繊維構造体から無作為に10本の対象単糸(フィラメント)を抜き取り、糸試料長50mm(チャック間長さ)、伸長速度500mm/分の条件で歪−応力曲線を雰囲気温度20℃、相対湿度65%条件下で測定し、破断点での応力と伸びから強度(cN/本)を求めた後、この強度を繊度で割って繊維強度(cN/dtex)とする。
オリエンティック社製「テンシロン」(商品名)を用い、測定対象の繊維構造体から無作為に10本の対象単糸(フィラメント)を抜き取り、糸試料長50mm(チャック間長さ)、伸長速度500mm/分の条件で歪−応力曲線を雰囲気温度20℃、相対湿度65%条件下で測定し、破断点での応力と伸びから強度(cN/本)を求めた後、この強度を繊度で割って繊維強度(cN/dtex)とする。
(4)作業環境の良否:
樹脂組成物製造時、作業環境がイソシアネート臭により悪化するかどうかにより判定した。悪化しない場合には良と評価した。
樹脂組成物製造時、作業環境がイソシアネート臭により悪化するかどうかにより判定した。悪化しない場合には良と評価した。
(5)イソシアネート臭の発生の有無:
得られたポリ乳酸含有複合繊維を300℃、5分間溶融したとき、官能評価により、測定者がイソシアネート臭を感じるかどうかで判定した。イソシアネート臭を感じないとき、合格と判断した。
得られたポリ乳酸含有複合繊維を300℃、5分間溶融したとき、官能評価により、測定者がイソシアネート臭を感じるかどうかで判定した。イソシアネート臭を感じないとき、合格と判断した。
本実施例では環状カルボジイミド化合物として以下の剤を製造、使用した。
[製造例1]環状カルボジイミド化合物CC1(MW=252)の合成:
o−ニトロフェノール(0.11mol)と1,2−ジブロモエタン(0.05mol)、炭酸カリウム(0.33mol)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)200mlを攪拌装置及び加熱装置を設置した反応装置にN2雰囲気下仕込み、130℃で12時間反応後、DMFを減圧により除去し、得られた固形物をジクロロメタン200mlに溶かし、水100mlで3回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、ジクロロメタンを減圧により除去し、中間生成物A(ニトロ体)を得た。
[製造例1]環状カルボジイミド化合物CC1(MW=252)の合成:
o−ニトロフェノール(0.11mol)と1,2−ジブロモエタン(0.05mol)、炭酸カリウム(0.33mol)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)200mlを攪拌装置及び加熱装置を設置した反応装置にN2雰囲気下仕込み、130℃で12時間反応後、DMFを減圧により除去し、得られた固形物をジクロロメタン200mlに溶かし、水100mlで3回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、ジクロロメタンを減圧により除去し、中間生成物A(ニトロ体)を得た。
次に中間生成物A(0.1mol)と5%パラジウムカーボン(Pd/C)(1g)、エタノール/ジクロロメタン(70/30)200mlを、攪拌装置を設置した反応装置に仕込み、水素置換を5回行い、25℃で水素を常に供給した状態で反応させ、水素の減少がなくなったら反応を終了した。Pd/Cを回収し、混合溶媒を除去すると中間生成物B(アミン体)が得られた。
次に攪拌装置及び加熱装置、滴下ロートを設置した反応装置に、N2雰囲気下、トリフェニルホスフィンジブロミド(0.11mol)と1,2−ジクロロエタン150mlを仕込み攪拌した。そこに中間生成物B(0.05mol)とトリエチルアミン(0.25mol)を1,2−ジクロロエタン50mlに溶かした溶液を25℃で徐々に滴下した。滴下終了後、70℃で5時間反応させた。その後、反応溶液をろ過し、ろ液を水100mlで5回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、1,2−ジクロロエタンを減圧により除去し、中間生成物C(トリフェニルホスフィン体)が得られた。
次に、攪拌装置及び滴下ロートを設置した反応装置に、N2雰囲気下、ジ−tertブチルジカーボネート(0.11mol)とN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(0.055mol)、ジクロロメタン150mlを仕込み攪拌させた。そこに、25℃で中間生成物C(0.05mol)を溶かしたジクロロメタン100mlをゆっくりと滴下させた。滴下後、12時間反応させた。
その後、ジクロロメタンを除去し得られた固形物を精製することで、下記構造式にて示されるCC1を得た。CC1の構造はNMR,IRにより確認した。
その後、ジクロロメタンを除去し得られた固形物を精製することで、下記構造式にて示されるCC1を得た。CC1の構造はNMR,IRにより確認した。
[製造例2]環状カルボジイミド化合物CC2(MW=516)の合成:
o−ニトロフェノール(0.11mol)とペンタエリトリチルテトラブロミド(0.025mol)、炭酸カリウム(0.33mol)、N,N−ジメチルホルムアミド200mlを攪拌装置及び加熱装置を設置した反応装置にN2雰囲気下仕込み、130℃で12時間反応後、DMFを減圧により除去し、得られた固形物をジクロロメタン200mlに溶かし、水100mlで3回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、ジクロロメタンを減圧により除去し、中間生成物D(ニトロ体)を得た。
o−ニトロフェノール(0.11mol)とペンタエリトリチルテトラブロミド(0.025mol)、炭酸カリウム(0.33mol)、N,N−ジメチルホルムアミド200mlを攪拌装置及び加熱装置を設置した反応装置にN2雰囲気下仕込み、130℃で12時間反応後、DMFを減圧により除去し、得られた固形物をジクロロメタン200mlに溶かし、水100mlで3回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、ジクロロメタンを減圧により除去し、中間生成物D(ニトロ体)を得た。
次に中間生成物D(0.1mol)と5%パラジウムカーボン(Pd/C)(2g)、エタノール/ジクロロメタン(70/30)400mlを、攪拌装置を設置した反応装置に仕込み、水素置換を5回行い、25℃で水素を常に供給した状態で反応させ、水素の減少がなくなった時点で反応を終了した。Pd/Cを回収し、混合溶媒を除去して中間生成物E(アミン体)が得られた。
次に攪拌装置及び加熱装置、滴下ロートを設置した反応装置に、N2雰囲気下、トリフェニルホスフィンジブロミド(0.11mol)と1,2−ジクロロエタン150mlを仕込み攪拌させた。そこに中間生成物E(0.025mol)とトリエチルアミン(0.25mol)を1,2−ジクロロエタン50mlに溶かした溶液を25℃で徐々に滴下した。滴下終了後、70℃で5時間反応させた。
その後、反応溶液をろ過し、ろ液を水100mlで5回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、1,2−ジクロロエタンを減圧により除去し、中間生成物F(トリフェニルホスフィン体)が得られた。
その後、反応溶液をろ過し、ろ液を水100mlで5回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、1,2−ジクロロエタンを減圧により除去し、中間生成物F(トリフェニルホスフィン体)が得られた。
次に、攪拌装置及び滴下ロートを設置した反応装置に、N2雰囲気下、ジ−tert−ブチルジカーボネート(0.11mol)とN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(0.055mol)、ジクロロメタン150mlを仕込み攪拌させる。そこに、25℃で中間生成物F(0.025mol)を溶かしたジクロロメタン100mlをゆっくりと滴下させた。滴下後、12時間反応させた。
その後、ジクロロメタンを除去し得られた固形物を、精製することで、下記構造式にて示されるCC2を得た。CC2の構造はNMR、IRにより確認した。
その後、ジクロロメタンを除去し得られた固形物を、精製することで、下記構造式にて示されるCC2を得た。CC2の構造はNMR、IRにより確認した。
[製造例3](ポリL−乳酸の製造)
Lラクチド(株式会社武蔵野化学研究所製、光学純度100%)100重量部に対し、オクチル酸スズを0.005重量部加え、窒素雰囲気下、攪拌翼のついた反応機にて、180℃で2時間反応し、オクチル酸スズに対し1.2倍当量の燐酸を添加しその後、13.3kPaで残存するラクチドを除去し、チップ化し、ポリL−乳酸を得た。
得られたL−乳酸の重量平均分子量は15万、ガラス転移点(Tg)63℃、融点は180℃であった。
Lラクチド(株式会社武蔵野化学研究所製、光学純度100%)100重量部に対し、オクチル酸スズを0.005重量部加え、窒素雰囲気下、攪拌翼のついた反応機にて、180℃で2時間反応し、オクチル酸スズに対し1.2倍当量の燐酸を添加しその後、13.3kPaで残存するラクチドを除去し、チップ化し、ポリL−乳酸を得た。
得られたL−乳酸の重量平均分子量は15万、ガラス転移点(Tg)63℃、融点は180℃であった。
[製造例4](ポリD−乳酸の製造)
Dラクチド(株式会社武蔵野化学研究所製、光学純度100%)100重量部に対し、オクチル酸スズを0.005重量部加え、窒素雰囲気下、攪拌翼のついた反応機にて、180℃で2時間反応し、オクチル酸スズに対し1.2倍当量の燐酸を添加しその後、13.3kPaで残存するラクチドを除去し、チップ化し、ポリD−乳酸を得た。
得られたポリD−乳酸の重量平均分子量は15万、ガラス転移点(Tg)63℃、融点は180℃であった。
Dラクチド(株式会社武蔵野化学研究所製、光学純度100%)100重量部に対し、オクチル酸スズを0.005重量部加え、窒素雰囲気下、攪拌翼のついた反応機にて、180℃で2時間反応し、オクチル酸スズに対し1.2倍当量の燐酸を添加しその後、13.3kPaで残存するラクチドを除去し、チップ化し、ポリD−乳酸を得た。
得られたポリD−乳酸の重量平均分子量は15万、ガラス転移点(Tg)63℃、融点は180℃であった。
[製造例5](ステレオコンプレックスポリ乳酸樹脂の製造)
製造例3で得られたポリL−乳酸ならびに製造例4のポリD−乳酸を各50重量部と、リン酸エステル金属塩(燐酸2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)ナトリウム塩、平均粒径5μm、株式会社ADEKA製「アデカスタブ」NA−11)0.1重量部を230℃で溶融混練し水槽中にストランドを取り、チップカッターにてチップ化してステレオコンプレックスポリ乳酸チップを得た。得られたステレオコンプレックスポリ乳酸樹脂のMwは13.5万、融点(Tm)は217℃、ステレオコンプレックス結晶化度は100%であった。
製造例3で得られたポリL−乳酸ならびに製造例4のポリD−乳酸を各50重量部と、リン酸エステル金属塩(燐酸2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)ナトリウム塩、平均粒径5μm、株式会社ADEKA製「アデカスタブ」NA−11)0.1重量部を230℃で溶融混練し水槽中にストランドを取り、チップカッターにてチップ化してステレオコンプレックスポリ乳酸チップを得た。得られたステレオコンプレックスポリ乳酸樹脂のMwは13.5万、融点(Tm)は217℃、ステレオコンプレックス結晶化度は100%であった。
[実施例1]サイドバイサイド型複合繊維の製造1:
製造例3の操作で得られたポリL−乳酸チップと環状カルボジイミド化合物(CC1)とをそれぞれ乾燥させた後、重量比で99:1となるようにメルトブレンドして得たペレットを2軸溶融押出機(ベント使用)に供給し、260ホールの吐出孔をもつサイドバイサイド型の口金の片側から325g/分で吐出させた。一方、ポリブチレンテレフタレート(ウィンテックポリマー株式会社「ジュラネックス」TRE−DM2)をロスインウェート式重量フィーダーから2軸溶融押出機(ベント使用)に供給し、前記サイドバイサイド型口金の他方から325g/分で吐出させた。
その後、口金下40mmの位置で25℃の空気を吹き付けて冷却固化させながら、800m/分の速度で未延伸糸を巻き取った。この未延伸糸を束ねて50万デシテックスのトウ(以下、未延伸トウと略称することがある)とし、60℃の温水中で3.47倍に延伸し、引き続き90℃の温水中で1.05倍延伸し、全延伸倍率3.64倍とした。その後、0.85MPaの水蒸気で加熱した金属ローラー6本を通過させ、通過後のトウ温度185℃の状態で定長熱処理(1.0倍)を行い、ステアリルホスフェートカリウム塩からなる油剤を付与した後、水蒸気で80℃に加熱したトウを押し込み型クリンパーに供給して、14個/25mmの捲縮を付与した後、60℃の循環熱風中を50分間通過させ、弛緩熱処理を実施した。その後、ロータリーカッターにてカットし、8.95デシテックス、64mmの短繊維を得た。得られた繊維は、繊維の乾強度は2.56cN/dtexであった。
溶融混練、および製糸時にイソシアネート臭の発生は感じられなかった。また、得られた複合繊維を300℃、5分間溶融したとき、イソシアネート臭評価は合格であった。
また環状カルボジイミド化合物(CC1)をメルトブレンドして得たポリ乳酸樹脂ペレットのカルボキシル末端基量は1当量/ton、複合紡糸実施時に、ポリ乳酸側のみ紡糸移させたときに得られた放流糸中のルボキシル末端基量は2当量/tonであった。
製造例3の操作で得られたポリL−乳酸チップと環状カルボジイミド化合物(CC1)とをそれぞれ乾燥させた後、重量比で99:1となるようにメルトブレンドして得たペレットを2軸溶融押出機(ベント使用)に供給し、260ホールの吐出孔をもつサイドバイサイド型の口金の片側から325g/分で吐出させた。一方、ポリブチレンテレフタレート(ウィンテックポリマー株式会社「ジュラネックス」TRE−DM2)をロスインウェート式重量フィーダーから2軸溶融押出機(ベント使用)に供給し、前記サイドバイサイド型口金の他方から325g/分で吐出させた。
その後、口金下40mmの位置で25℃の空気を吹き付けて冷却固化させながら、800m/分の速度で未延伸糸を巻き取った。この未延伸糸を束ねて50万デシテックスのトウ(以下、未延伸トウと略称することがある)とし、60℃の温水中で3.47倍に延伸し、引き続き90℃の温水中で1.05倍延伸し、全延伸倍率3.64倍とした。その後、0.85MPaの水蒸気で加熱した金属ローラー6本を通過させ、通過後のトウ温度185℃の状態で定長熱処理(1.0倍)を行い、ステアリルホスフェートカリウム塩からなる油剤を付与した後、水蒸気で80℃に加熱したトウを押し込み型クリンパーに供給して、14個/25mmの捲縮を付与した後、60℃の循環熱風中を50分間通過させ、弛緩熱処理を実施した。その後、ロータリーカッターにてカットし、8.95デシテックス、64mmの短繊維を得た。得られた繊維は、繊維の乾強度は2.56cN/dtexであった。
溶融混練、および製糸時にイソシアネート臭の発生は感じられなかった。また、得られた複合繊維を300℃、5分間溶融したとき、イソシアネート臭評価は合格であった。
また環状カルボジイミド化合物(CC1)をメルトブレンドして得たポリ乳酸樹脂ペレットのカルボキシル末端基量は1当量/ton、複合紡糸実施時に、ポリ乳酸側のみ紡糸移させたときに得られた放流糸中のルボキシル末端基量は2当量/tonであった。
[実施例2]サイドバイサイド型複合繊維の製造2:
製造例5の操作で得られたステレオコンプレックスポリ乳酸チップと環状カルボジイミド化合物(CC2)を使用した以外は実施例1と同様に実施し、8.95デシテックス、64mmの短繊維を得た。得られた繊維は、繊維の乾強度は2.60cN/dtexであった。
溶融混練、および製糸時にイソシアネート臭の発生は感じられなかった。また、得られた複合繊維を300℃、5分間溶融したとき、イソシアネート臭評価は合格であった。
また環状カルボジイミド化合物をメルトブレンドして得たポリ乳酸樹脂ペレットのカルボキシル末端基量は1当量/ton、複合紡糸実施時に、ポリ乳酸側のみ紡糸させたときに得られた放流糸中のルボキシル末端基量は1当量/tonであった。
製造例5の操作で得られたステレオコンプレックスポリ乳酸チップと環状カルボジイミド化合物(CC2)を使用した以外は実施例1と同様に実施し、8.95デシテックス、64mmの短繊維を得た。得られた繊維は、繊維の乾強度は2.60cN/dtexであった。
溶融混練、および製糸時にイソシアネート臭の発生は感じられなかった。また、得られた複合繊維を300℃、5分間溶融したとき、イソシアネート臭評価は合格であった。
また環状カルボジイミド化合物をメルトブレンドして得たポリ乳酸樹脂ペレットのカルボキシル末端基量は1当量/ton、複合紡糸実施時に、ポリ乳酸側のみ紡糸させたときに得られた放流糸中のルボキシル末端基量は1当量/tonであった。
[実施例3]芯鞘型複合繊維の製造:
実施例2のサイドバイサイド型複合繊維の製造において、パック構造および口金を芯鞘型に変更し、製造例5の操作で得られたステレオコンプレックスポリ乳酸チップと環状カルボジイミド化合物(CC2)とを重量比で99:1となるようにメルトブレンドして得たペレットを、260ホールの吐出孔の鞘側から325g/分で吐出させた。一方、ポリブチレンテレフタレート(ウィンテックポリマー株式会社「ジュラネックス」TRE−DM2)をロスインウェート式重量フィーダーから2軸溶融押出機(ベント使用)に供給し、前述の芯鞘型口金の芯側から325g/分で吐出させた。
その後、口金下40mmの位置で25℃の空気を吹き付けて冷却固化させながら、800m/分の速度で未延伸糸を巻き取った。この未延伸糸を束ねて50万デシテックスのトウ(以下、未延伸トウと略称することがある)とし、60℃の温水中で3.5倍に延伸し、引き続き90℃の温水中で1.05倍延伸し、全延伸倍率3.25倍とした。その後、0.85MPaの水蒸気で加熱した金属ローラー6本を通過させ、通過後のトウ温度185℃の状態で定長熱処理(1.0倍)を行い、ステアリルホスフェートカリウム塩からなる油剤を付与した後、水蒸気で80℃に加熱したトウを押し込み型クリンパーに供給して、14個/25mmの捲縮を付与した後、60℃の循環熱風中を50分間通過させ、弛緩熱処理を実施した。その後、ロータリーカッターにてカットし、9.0デシテックス、64mmの短繊維を得た。得られた繊維は、繊維の乾強度は2.50cN/dtexであった。
溶融混練、および製糸時にイソシアネート臭の発生は感じられなかった。また、得られた複合繊維を300℃、5分間溶融したとき、イソシアネート臭評価は合格であった。
また環状カルボジイミド化合物(CC1)をメルトブレンドして得たポリ乳酸樹脂ペレットのカルボキシル末端基量は1当量/ton、複合紡糸実施時に、ポリ乳酸側のみ紡糸させたときに得られた放流糸中のルボキシル末端基量は2当量/tonであった。
実施例2のサイドバイサイド型複合繊維の製造において、パック構造および口金を芯鞘型に変更し、製造例5の操作で得られたステレオコンプレックスポリ乳酸チップと環状カルボジイミド化合物(CC2)とを重量比で99:1となるようにメルトブレンドして得たペレットを、260ホールの吐出孔の鞘側から325g/分で吐出させた。一方、ポリブチレンテレフタレート(ウィンテックポリマー株式会社「ジュラネックス」TRE−DM2)をロスインウェート式重量フィーダーから2軸溶融押出機(ベント使用)に供給し、前述の芯鞘型口金の芯側から325g/分で吐出させた。
その後、口金下40mmの位置で25℃の空気を吹き付けて冷却固化させながら、800m/分の速度で未延伸糸を巻き取った。この未延伸糸を束ねて50万デシテックスのトウ(以下、未延伸トウと略称することがある)とし、60℃の温水中で3.5倍に延伸し、引き続き90℃の温水中で1.05倍延伸し、全延伸倍率3.25倍とした。その後、0.85MPaの水蒸気で加熱した金属ローラー6本を通過させ、通過後のトウ温度185℃の状態で定長熱処理(1.0倍)を行い、ステアリルホスフェートカリウム塩からなる油剤を付与した後、水蒸気で80℃に加熱したトウを押し込み型クリンパーに供給して、14個/25mmの捲縮を付与した後、60℃の循環熱風中を50分間通過させ、弛緩熱処理を実施した。その後、ロータリーカッターにてカットし、9.0デシテックス、64mmの短繊維を得た。得られた繊維は、繊維の乾強度は2.50cN/dtexであった。
溶融混練、および製糸時にイソシアネート臭の発生は感じられなかった。また、得られた複合繊維を300℃、5分間溶融したとき、イソシアネート臭評価は合格であった。
また環状カルボジイミド化合物(CC1)をメルトブレンドして得たポリ乳酸樹脂ペレットのカルボキシル末端基量は1当量/ton、複合紡糸実施時に、ポリ乳酸側のみ紡糸させたときに得られた放流糸中のルボキシル末端基量は2当量/tonであった。
[比較例1]
実施例1において、環状カルボジイミド(CC1)に代えて、線状ポリカルボジイミド化合物[日清紡ケミカル株式会社製;「カルボジライト」HMV−8CA]を使用したこと以外は同様の操作を行った。
ポリ乳酸組成物と環状カルボジイミド化合物(CC1)をメルトブレンドして得たポリ乳酸樹脂ペレットのカルボキシル末端基量は2当量/ton、複合紡糸実施時に、ポリ乳酸側のみ紡糸させたときに得られた放流糸中のカルボキシル末端基量は3当量/tonであったが、特に紡糸時時にイソシアネート臭の発生を感じた。また得られたサイドバイサイド型複合糸を300℃、5分間溶融したとき、イソシアネート臭評価は不合格であった。
実施例1において、環状カルボジイミド(CC1)に代えて、線状ポリカルボジイミド化合物[日清紡ケミカル株式会社製;「カルボジライト」HMV−8CA]を使用したこと以外は同様の操作を行った。
ポリ乳酸組成物と環状カルボジイミド化合物(CC1)をメルトブレンドして得たポリ乳酸樹脂ペレットのカルボキシル末端基量は2当量/ton、複合紡糸実施時に、ポリ乳酸側のみ紡糸させたときに得られた放流糸中のカルボキシル末端基量は3当量/tonであったが、特に紡糸時時にイソシアネート臭の発生を感じた。また得られたサイドバイサイド型複合糸を300℃、5分間溶融したとき、イソシアネート臭評価は不合格であった。
[比較例2]
実施例1において、環状カルボジイミド(CC1)を使用しなかったこと以外は同様の操作を行った。溶融混練および紡糸時にイソシアネート臭の発生は感じられなかった。また、300℃、5分間溶融したとき、イソシアネート臭評価も合格であったが、複合紡糸実施時に、ポリ乳酸側のみ紡糸させたときに得られた放流糸中のカルボキシル末端基量は39当量/tonであり、加水分解性に劣るものであった。
実施例1において、環状カルボジイミド(CC1)を使用しなかったこと以外は同様の操作を行った。溶融混練および紡糸時にイソシアネート臭の発生は感じられなかった。また、300℃、5分間溶融したとき、イソシアネート臭評価も合格であったが、複合紡糸実施時に、ポリ乳酸側のみ紡糸させたときに得られた放流糸中のカルボキシル末端基量は39当量/tonであり、加水分解性に劣るものであった。
本発明によれば、耐加水分解性が改善され、さらには遊離のイソシアネート化合物が発生しないポリ乳酸含有複合繊維を提供することができる。
Claims (13)
- ポリ乳酸およびカルボジイミド基を1個有しその第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物(C成分)を含有するポリ乳酸組成物を含むポリ乳酸含有複合繊維。
- C成分の環状構造を形成する原子数が8〜50である請求項1に記載のポリ乳酸含有複合繊維。
- Qは、下記式(1−1)、(1−2)または(1−3)で表される2〜4価の結合基である請求項3に記載のポリ乳酸含有複合繊維。
- Yは、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーである請求項7または8に記載のポリ乳酸含有複合繊維。
- Z1およびZ2は各々独立に、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーである請求項11に記載のポリ乳酸含有複合繊維。
- C成分の含有量が、100重量部のポリ乳酸あたり0.001〜10重量部である請求項1〜12のいずれかに記載のポリ乳酸含有複合繊維。
Priority Applications (11)
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