JP5569776B2 - 養液栽培装置 - Google Patents
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Description
また、上記文献2の養液栽培装置を用いて毛管水耕栽培を行うには、栽培に使用する液肥を精度よく作成すること、作成した液肥を所定の方法、すなわち、液肥の排液、供給、循環、休止のサイクルで圃場の栽培物に供給すること、さらに均等な高さの圃場に適用すること、などが求められるが、特に、養液栽培経験が少ない農業従事者、農業への新規参入者、農業に精通していない者にとって、その求めに応じることは極めて困難である。
なお、ここで原液とは、高濃度の液肥をいい、粉末状の肥料を水で溶解して作成する。作物栽培に使用する液肥は原液を原水(井戸水、水道水など)で希釈して作成する。
(1)液肥作成装置は原液を計量するための容積計量式の原液計量部を併せて有する。
(2)液肥送給装置は各液肥槽の中の液肥に水位差を与えるとともに各液肥槽の水位の高低を交互に切り替える手段を有する。
(3)液肥送給装置は液肥槽の中の液肥を攪拌する手段を併せて有する。
そして、この養液栽培装置では、液肥作成装置により、栽培に使用する液肥を精度よく作成することができ、液肥送給装置により、作成した液肥を所定の方法、すなわち、液肥の排液、供給、循環、休止のサイクルで圃場の栽培物に供給することができ、さらに、1機又は複数機の液肥送給装置と1機又は(液肥送給装置よりも少ない)複数機の液肥作成装置の様々な組み合わせにより、異なる高さの圃場に効率的に適用することができるので、養液栽培経験が少ない農業従事者、農業への新規参入者、農業に精通していない者などでも、特許文献2の発明に基づく毛管水耕栽培の実用化を図ることができる、という格別な効果を奏する。
さらに、この養液栽培装置では、上記の構成により、高さが異なる複数の圃場ごとに設置された共通の液肥作成装置の液肥作成部に対して当該各圃場の液肥送給装置の液肥貯留部が、弁、ポンプを含む共通の配管系により接続されるとともに、液肥貯留部に当該液肥貯留部に貯留される液肥の液面を検出するセンサが設けられて、各センサによる各液肥貯留部の液肥の液面の検出に基いて制御手段により弁、ポンプが制御されることにより、液肥作成部から各液肥送給装置の液肥貯留部への液肥の送り出しがコントロールされるので、各圃場ごとに、液肥貯留部に一定量の液肥が貯留されている場合、液肥作成装置で作成された液肥を、各液肥貯留部の一定量の液肥が減少するごとに各液肥貯留部に送り出すことができ、各液肥貯留部に常に一定量の液肥をストックすることができ、また、当該圃場ごとに、当該液肥送給装置の液肥送給部と液肥槽との間が弁、ポンプを含む配管系により接続されるとともに、液肥槽に当該液肥槽に収容される液肥の水位を感知するセンサが設けられて、センサによる液肥槽の液肥の水位の感知に基いて制御手段により弁、ポンプが制御されることにより、液肥送給部から液肥槽への液肥の送り出しがコントロールされるので、液肥槽の液肥が植物体による液肥の吸収などによって減少し、不足する場合に、各液肥貯留部から新たな液肥を液肥槽に送り、補給することができる、という各別な効果を奏する。
なお、ここで原液とは、高濃度の液肥をいい、粉末状の肥料を水で溶解して作成する。作物栽培に使用する液肥は原液を原水(井戸水、水道水など)で希釈して作成する。
図3に示すように、この液肥作成装置4では、最初に、原液作成タンク410内で原液Aが作成される。この場合、まず、原液作成タンク410内に水道設備45の放水口451から水が所定量注入される。そして、この水の中に所定量の粉末肥料が投入されて、この水と粉末肥料が原液撹拌装置により撹拌される。すなわち、各3方向切替弁422、423及びポンプ419の制御(各3方向切替弁422、423を原液を循環する方向に切り替え、ポンプ419を駆動)により、原液作成タンク410内の水、粉末肥料が底部の排出口412から流出され、これが配管413、422、421、417又は418を通じて、周面上部又は下部の各口415、416から原液作成タンク410内に流入する循環運動が適宜繰り返される。このようにして水と粉末肥料が撹拌され、原液Aが作成される。そして、各3方向切替弁422、423及びポンプ419の制御(各3方向切替弁422、423を原液Aを原液貯留部42へ送り出す方向に切り替え、ポンプ419を駆動)により、原液Aが配管413、414を通じて原液貯留部42へ送り出され、原液タンク42A内に注入されて、原液Aが原液タンク42Aにストックされる。続いて、同様にして原液作成タンク410で原液Bが作成され、原液タンク42Bにストックされる。なお、原液タンク42Cには、既述のとおり、液肥のペーハを調整するための液肥Cがストックされる。
次いで、各圃場2で栽培する野菜に応じた液肥が作成される。この場合、まず、液肥作成貯留タンク441内に水道設備45の放水口452から水が所定量注入される。一方、各原液タンク42A、42B、42Cにストックされた各原液A、B、Cは、各計量弁438、各投入弁439及び各ポンプ430の制御(各計量弁438を開、各投入弁439を閉とし、各ポンプ430を駆動)により、各計量タンク43a、43b、43cに送られ、ここで容積計量される。なお、定常時、各計量タンク43a、43b、43cは、常に原液を計量する仕組みであり、各計量タンク43a、43b、43c内で原液が蒸発などで減少した場合は、原液A、B、Cの追加計量が行われ、各計量タンク43a、43b、43cに常に所定量の原液A、B、Cが計量されるようになっている。そして、液肥作成貯留タンク441に所定量の水が注入され、これがセンサ448により感知されると、各計量タンク43a、43b、43cの投入弁439が順次開き、各原液A、B、Cが配管440を通じて液肥作成貯留タンク441に投入され、液肥作成貯留タンク441の混合ポンプ443により混合される。この場合、3種類の原液A、B、Cは、まず原液Aが投入されて混合され、続いて原液Bが投入されて混合され、そして原液Cが投入されて混合され、この順序で投入、混合される。なお、この原液A、B、Cの投入で計量ポンプ43a、43b、43cが空になると、計量ポンプ43a、43b、43cでは、既述のとおり、原液A、B、Cの計量が繰り返し行われる。このようにして液肥作成貯留タンク441で液肥が作成され、この作成された液肥は液肥作成貯留タンク441の底部の液肥の排出口444から送水ポンプ446の駆動により配管445、447を通じて圃場2の液肥タンク61へ送り出され、液肥タンク61内に貯留される。そして、液肥作成貯留タンク441では、同様にして液肥が繰り返し作成されて、各圃場2の液肥タンク61へ送り出され、各液肥タンク61で貯留される。また、各液肥タンク61に一定量の液肥が貯留されている場合、つまり、満タンになると、液肥作成貯留タンク441内で作成された液肥は液肥作成貯留タンク441内に一時貯留され、各液肥タンク61の一定量の液肥が減少するごとに各液肥タンク61に送り出される。このように液肥作成貯留タンク441では液肥の作成、貯留が繰り返されて、各液肥タンク61に流され、各液肥タンク61では常に一定量の液肥がストックされる。
まず、排液運転では、各液肥送給ユニット7のポンプ704又は705(図4参照)が駆動され、排液側の液肥槽23又は22が排出される。なお、スタート時の運転では、排液側の液肥槽23又は22は空で、これが水位センサ(下限センサ)により感知されるので、排液は行われず、すぐに次の給液(運転)に移行する。また、スタート時の運転(排液→給液→循環→休止)の1サイクルが終了した後の通常の運転(排液→給液→循環→休止)に入ると、この液肥槽23又は22から排出された液肥はタンク701に戻され、このタンク701を通じて、給液側の液肥槽22又は23に送られることになる。この排液の流れについては後述する排液運転の説明の中であらためて説明することにする。
続く給液運転では、各液肥送給ユニット7のポンプ703(図4参照)が駆動され、各液肥タンク61から液肥がタンク701へ導入される。このとき、タンク701の底部側の3方向切替弁706は(制御盤8のコントロールにより)給液側の液肥槽22又は23側に切り替えられており、液肥はタンク701に送られると同時にこの3方向切替弁706を通じて自然落下され、栽培ベッド21の給液側の液肥槽22又は23へ送られる。この給液は給液側の液肥槽22又は23の水位センサ(上限センサ)に感知されるまで行われる。この給液運転により、給液側の液肥槽22又は23と排液側の液肥槽23又は22との間に、一定の水位差が生じ、各圃場2では、既述のとおり、給液マット24が栽培ベッド21の上に置かれ、その両側が2つの液肥槽22、23に垂らされて、給液マット24の片側一方が液肥に浸漬されるので、水の毛細管現象によって、液肥は給液側の液肥槽22又は23から給液マット24によって栽培ベッド21上を移動して、給液マット24の片側他方から垂下されて排液側の液肥槽23又は22に溜められる。このようにして栽培ベッド21上の給液マット24を通して給液側の液肥槽22又は23から排液側の液肥槽23又は22に向けて、一定速度の液肥の流れが生じ、給液マット24上の野菜の根系に液肥を供給する。
続いて、循環運転では、各液肥送給ユニット7のポンプ705又は704が駆動され、給液側の液肥槽22又は23の液肥が排出されて、各液肥送給ユニット7のタンク701に戻され、液肥は同様にタンク701から3方向切替弁706を通じて自然落下されて、栽培ベッド21の給液側の液肥槽22又は23へ送られ、液肥が循環される。
そして、この液肥の循環運転後、所定の時間まで、運転が休止される(休止)。
このようにして給液側の液肥槽22又は23と排液側の液肥槽23又は22との間には、常に一定の水位差が生じ、これにより、給液マット24上に給液側の液肥槽22又は23から排液側の液肥槽23又は22に向けて常に一定速度の液肥の流れが生じる。
この運転が所定時間休止された後、各液肥送給ユニット7の運転が開始される。この場合、各液肥送給ユニット7の動作が反転され、給液側の液肥槽22又は23と排液側の液肥槽23又は22が反対になって、栽培ベッド24上の液肥の流れが反転される。
すなわち、反転後の排液運転では、各液肥送給ユニット7のポンプ705又は704(図4参照)が駆動され、排液側となる液肥槽22又は23から液肥が排出される。排液側になる液肥槽22又は23は、それまでの給液により液肥が水位センサ(下限センサ)のレベル以上に溜まっており、この液肥が下限センサに感知されるまで排出され(排液運転)、タンク701に戻されて、このタンク701を通じて、給液側の液肥槽23又は22に送られる。これにより、液肥が回収、再利用される。
続く給液運転では、給液側の液肥槽23又は22の液肥が不足する場合に、各液肥送給ユニット7のポンプ703(図4参照)が駆動され、各液肥タンク61から液肥がタンク701へ導入される。すなわち、前段の排液運転で排液側となる液肥槽22又は23の液肥が野菜による液肥の吸収などによって減少し、給液側の液肥槽23又は22で液肥(回収、再利用される液肥)の水位が水位センサ(上限センサ)に感知されるレベルに達していない場合に、液肥送給ユニット7のポンプ703(図4参照)が駆動され、各液肥タンク61から新たな液肥がタンク701へ導入され、この新たな液肥がタンク701から3方向切替弁706を通じて自然落下されて、給液側の液肥槽23又は22へ送られ、給液側の液肥槽23又は22の水位センサ(上限センサ)に感知されるレベルまで、補給される。
続いて、循環運転では、各液肥送給ユニット7のポンプ704又は705が駆動され、給液側の液肥槽23又は22の液肥が排出されて、各液肥送給ユニット7のタンク701に戻され、この液肥がタンク701から3方向切替弁706を通じて自然落下され、給液側の液肥槽23又は22へ送られて、液肥が循環される。
そして、この液肥の循環運転後、所定の時間まで、運転が休止される(休止)。
このようにして給液側の液肥槽23又は22と排液側の液肥槽22又は23との間には、常に一定の水位差が生じ、これにより、給液マット24上に給液側の液肥槽23又は22から排液側の液肥槽22又は23に向けて常に一定速度の液肥の流れが生じる。
以降、各液肥送給ユニット7の動作(反転後の排液、給液、循環、休止)が交互に反転され、給液側の液肥槽23又は22と排液側の液肥槽22又は23が交互に反対になって、排液、給液、循環、休止のサイクルが繰り返し行われ、栽培ベッド24上の液肥の流れが交互に反転される。このようにして一方の液肥槽22又は23と他方の液肥槽23又は22の水位差はほぼ一定に保たれ、給液側の液肥槽22又は23の液肥の濃度や組成が均一な状態に保たれて、最適な状態の液肥が栽培ベッド24全体に常に一定の速度で流される。
2 圃場
21 栽培ベッド
22、23 液肥槽
24 給液マット
3 液肥装置
4 液肥作成装置
41 原液作成部
410 原液作成タンク
411 水の注入口
412 原液の排出口
413、414 配管
415、416 口
417、418 配管
419 ポンプ
420、421 配管
422、423 3方向切替弁
42 原液貯留部
42A、42B、42C 原液タンク
426 原液の注入口
427 原液の排出口
428 3方向切替弁
429 配管
430 ポンプ
431 配管
43 原液計量部
43a、43b、43c 計量タンク
436 原液の流入口
437 原液の流出口
438 計量弁
439 投入弁
440 配管
44 液肥作成部
441 液肥作成貯留タンク
442 水の注入口
443 混合ポンプ
444 液肥の排出口
445 配管
446 送水ポンプ
447 配管
448 センサ
45 水道設備
451 放水口
452 放水口
46 センサ
47 表示板
48 制御盤
5 液肥送給装置
51 共通の配管
6 液肥貯留部
61 液肥タンク
611 液肥の注入口
612 液肥の排出口
613 配管
62 センサ
7 液肥送給部(液肥送給ユニット)
71 ボックス
72 液肥送出機能部
73 液肥排出機能部
74 液肥循環機能部
701 タンク
702 配管
703、704、705 ポンプ
706 3方向切替弁
707、708 配管
709、710、711 連結口
712、713、714 配管
715、716 配管
8 制御盤
Claims (4)
- 植物体に供給する液肥を収容する一対の液肥槽及び前記液肥槽に収容された液肥を毛細管現象により汲み上る給液マットを有する圃場と、前記液肥槽に液肥を供給する液肥装置とを備え、前記圃場の給液マット上に植物体を少なくとも1列以上並べて配置し、前記植物体の列の両側に前記各液肥槽を設置して、前記一方の液肥槽から液肥を前記給液マットを通して前記他方の液肥槽へ移動させることにより、前記給液マットから前記植物体の根系に液肥を供給する養液栽培装置において、
前記液肥装置は、
前記液肥を作成する液肥作成装置と、
前記液肥作成装置により作成された液肥を前記液肥槽に送給する液肥送給装置と、
を備え、
前記液肥作成装置と前記液肥送給装置はそれぞれ分離独立して構成され、
前記液肥送給装置は、前記液肥作成装置で作成された液肥を貯留する液肥貯留部と、前記液肥貯留部により貯留された液肥を前記圃場の液肥槽に送給する液肥送給部と、これら各部を制御する制御手段とを有し、高さが異なる圃場ごとに当該圃場の広さに応じて1機又は複数機ずつ設置され、当該圃場ごとに、当該液肥送給装置の液肥送給部と前記液肥槽との間が弁、ポンプを含む配管系により接続されるとともに、前記液肥槽に当該液肥槽に収容される液肥の水位を感知するセンサが設けられて、前記センサによる前記液肥槽の液肥の水位の感知に基いて前記制御手段により前記弁、ポンプが制御されることにより、前記液肥送給部から前記液肥槽への液肥の送り出しがコントロールされ、
前記液肥作成装置は、液肥を作るための原液を作成する原液作成部と、前記原液作成部により作成された原液を貯留する原液貯留部と、前記原液貯留部に貯留された原液から液肥を作成し貯留する液肥作成部と、これら各部を制御する制御手段とを有し、複数の圃場ごとに当該各圃場共通の液肥作成源として1機又は複数機ずつ設置され、当該共通の液肥作成装置の液肥作成部に対して当該各圃場の前記液肥送給装置の前記液肥貯留部が、弁、ポンプを含む共通の配管系により接続されるとともに、前記液肥貯留部に当該液肥貯留部に貯留される液肥の液面を検出するセンサが設けられて、前記各センサによる前記各液肥貯留部の液肥の液面の検出に基いて前記制御手段により前記弁、ポンプが制御されることにより、前記液肥作成部から前記各液肥送給装置の液肥貯留部への液肥の送り出しがコントロールされる、
ことを特徴とする養液栽培装置。 - 液肥作成装置は原液を計量するための容積計量式の原液計量部を併せて有する請求項1に記載の養液栽培装置。
- 液肥送給装置は各液肥槽の中の液肥に水位差を与えるとともに各液肥槽の水位の高低を交互に切り替える手段を有する請求項1又は2に記載の養液栽培装置。
- 液肥送給装置は液肥槽の中の液肥を攪拌する手段を併せて有する請求項3に記載の養液栽培装置。
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