JP5561530B2 - 窒化物半導体の炭素ドーピング方法、半導体素子の製造方法 - Google Patents

窒化物半導体の炭素ドーピング方法、半導体素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、窒化物半導体の炭素ドーピング方法に関するものである。
また、本発明は、当該炭素ドーピング方法を利用した、半導体素子の製造方法に関するものである。
窒化物半導体は、シリコン系材料に比べてバンドギャップエネルギーが大きく絶縁破壊電圧が大きいため、高温環境下においても動作するオン抵抗の低い半導体素子を作製することが可能である。
このため窒化物半導体(特に、GaN系半導体)は、シリコン系材料に代わるインバーターやコンバーター等のパワーデバイスの材料として期待されている。特に、AlGaN/GaNヘテロ構造を用いたFET(AlGaN/GaN−HFET)は高周波デバイスとして期待されている。
パワーデバイスにとって高いオフ耐圧は、トランジスタの最大出力を決める重要なパラメータである。
高いオフ耐圧を得るためには、高いバッファ耐圧の実現、すなわち漏れ電流(リーク電流)の低減が必要になる。
ここで、窒化物半導体(特に、GaN系半導体)は異種基板上にヘテロエピタキシャル成長するため、窒素空孔などの点欠陥や転位をはじめとする格子欠陥を多数含むという課題がある。
特に、シリコン基板を成長基板に用いた場合、GaNとシリコンの格子定数差(〜17%)、熱膨張係数差(〜56%)が大きいため、1010cm−3を超える高密度の転位が導入される。
そのため、GaN系半導体デバイスではリーク電流が大きくなり、高耐圧化は困難である。高耐圧化のためには、バッファ層を高抵抗化する必要がある。
そして、バッファ層の高抵抗化には、例えば炭素を不純物として添加するという方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開2007−251144号公報
しかしながら、例えば、有機金属気相成長法(MOCVD)を用いて、窒化物半導体(特に、GaN系半導体)を成長した場合、成長速度を制御することによって、有機金属に含まれる炭素を添加剤としたオートドーピングの炭素濃度制御を行うことが一般的であるが(特許文献1参照)、所望の炭素濃度とする成長条件を設定したとしても、必ずしも転位密度を低減することができず、高いバッファ耐圧の実現は困難である。
実際に、MOCVD法で成長した窒化物半導体(特に、GaN系半導体)は、転位密度が減少するように成長温度を高くすると電子移動度は向上するが、結晶中の炭素濃度も同時に減少し、耐圧特性が劣化してしまう。
そこで、本発明の課題は、高い電子移動度と耐圧特性を両立した窒化物半導体が得られる窒化物半導体の炭素ドーピング方法を提供することである。
また、本発明の課題は、当該炭素ドーピング方法を利用した、半導体素子の製造方法を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
窒化物半導体にエネルギーが0.1MeV〜2MeVである中性子線を照射し、 14 N+n→ 14 C+pで示される反応により、前記窒化物半導体中の窒素原子を炭素原子へ核変換することを特徴とする窒化物半導体の炭素ドーピング方法。
請求項2に係る発明は、
前記中性子線の照射後の窒化物半導体中の炭素濃度が、1017cm−3〜1020cm−3であることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体の炭素ドーピング方法。
請求項3に係る発明は、
前記中性子線を照射後に、窒素雰囲気中で焼鈍を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の窒化物半導体の炭素ドーピング方法。
請求項4に係る発明は
前記窒化物半導体が、シリコン基板上にエピタキシャル成長されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒化物半導体の炭素ドーピング方法。
請求項5に係る発明は、
前記窒化物半導体が、GaNであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の窒化物半導体の炭素ドーピング方法。
請求項6に係る発明は、
基板上に窒化物半導体層を形成する工程と、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒化物半導体の炭素ドーピング方法により、前記窒化物半導体層に炭素をドーピングする工程と、
前記窒化物半導体層上に、電極を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体素子の製造方法。
請求項7に係る発明は、
前記窒化物半導体層は、
前記基板上または前記基板上に形成されたバッファ層上に形成された電子走行層と、
前記電子走行層上に形成され、前記電子走行層とはバンドギャップエネルギーが異なる材料からなる電子供給層と
を有し、
前記電子走行層を形成した後に、請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒化物半導体の炭素ドーピング方法により、前記電子走行層に炭素をドーピングした後、前記電子供給層を形成することを特徴とする請求項6に記載の半導体素子の製造方法。
本発明によれば、高い電子移動度と耐圧特性を両立した窒化物半導体が得られる窒化物半導体の炭素ドーピング方法を提供することができる。
また、本発明によれば、当該炭素ドーピング方法を利用した、半導体素子の製造方法を提供するこができる。
第1実施形態に係る半導体素子の一例を示す模式図である。 検証用の素子を示す模式図である。 バッファ耐圧(破壊電圧)の測定結果を示す図である。 69Ga、71Ga、14N、27Alの中性子捕獲断面積の中性子線エネルギー依存性を示す図であり、図4(a)が14Nの中性子捕獲断面積、図4(b)が27Alの中性子捕獲断面積、図4(c)が69Gaの中性子捕獲断面積、図4(d)が71Gaの中性子捕獲断面積の中性子線エネルギー依存性を示す図である。 1MeV近辺の中性子線エネルギーにおける14Nの中性子捕獲断面積を示す図であり、図5(a)が14N+n→14C+p反応、図5(b)が14N+n→11B+α反応による、14Nの中性子捕獲断面積を示す図である。 第2実施形態に係る半導体素子の製造方法の一例を示す工程図である。 ラジオアイソトープである252Cfから放出される中性子線のエネルギー分布を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1に示す半導体素子1(AlGaN/GaN−HFET)を作製すると共に、図2に示す検証用の素子1Aを作製した。
なお、図1は、第1実施形態に係る半導体素子の一例を示す模式図である。図2は、検証用の素子を示す模式図である。
まず、検証用の素子1Aを、次の通り作製した。シリコン基板2を設置したMOCVD装置内に、トリメチルガリウム(TMGa)とアンモニア(NH)とを、それぞれ14μmol/min、12L/minの流量で導入し、成長温度550℃で、層厚30nmのGaNからなるバッファ層3をシリコン基板2上にエピタキシャル成長させた。
次に、TMGaとNHとを、それぞれ58μmol/min、12L/minの流量で導入し、バッファ層3上に、層厚700nmの電子走行層として機能するGaN層4をエピタキシャル成長(成長温度1050℃)させた。エピタキシャル成長後のGaN層4中の炭素濃度[C]は約1´1017cm−3であった。
その後、トリメチルアルミニウム(TMAl)とTMGaとNHとを、それぞれ100μmol/min、19μmol/min、12L/minの流量で導入し、成長温度1050℃で、層厚30nmの電子供給層として機能するAlGaN層5(アルミニウム組成0.23,X線回折から評価)をGaN層4上にエピタキシャル成長させた。
次に、シリコン基板2上にバッファ層3、GaN層4、AlGaN層5がこの順で積層された積層体に対して、AlGaN層5側から、加速器により中性子線を照射した。中性子線源として加速器を用いる場合、中性子線のエネルギーを選択できるというメリットがある。また、加速器では中性子線がパルスで照射されるという特徴がある。
この加速器による中性子線の照射は、1パルス当り6´1010個の中性子を25Hzの繰り返し周波数で照射した。
ここで、14N+n→14C+p反応に対する反応断面積は0.3barns(1barns=10−24cm)であるから、約100時間の照射により約1018cm−3の炭素がドープされることが期待できる。14Cの半減期は5730年と長いため、核変換によって生成する炭素量は中性子線の照射時間にほぼ比例する。したがって、GaN層4中の炭素濃度は中性子線の照射時間で制御することができる。具体的には、例えば、1020cm−3の炭素濃度を得るためには、10,000時間照射すればよい。
そして、この中性子線照射時間の調整することで、GaN層4に炭素濃度[C]1´1018cm−3の炭素を生成(ドープ)した。
なお、中性子線のほとんどはGaN層4やシリコン基板2、その他の層を透過するため、複数枚の上記積層体を重ねて中性子線の照射を行えば、効率良く核変換を行うことが可能である。
次に、中性子線を照射後、14N+n→14C+p反応によって生じた余分の水素原子を取り除き、かつ、中性子線照射による照射損傷(主としてGa空孔の形成)を回復させるため、積層体(GaN層4等の各層)に対して窒素雰囲気中で1000℃の焼鈍を数時間行った。なお、この焼鈍は、例えば温度900〜1000℃で、4〜6時間行うことがよい。
次に、上記積層体のAlGaN層5からGaN層4にかけて、幅10μm、深さ200nm程度のリセス構造をClベースのプラズマエッチングを施すことによって形成した。
次に、リセス構造の両側にTi及びAlをこの順に蒸着して、電極層8を形成した。
これによって、検証用の素子1Aを作製した。
この作製した検証用の素子1Aを用いて、バッファ耐圧(破壊電圧)をカーブトレーサを用いて実測して求めた。また、中性子線を照射しなかった検証用の素子(図2に示す検証用素子1Aと同構造)についても、同様にバッファ耐圧(破壊電圧)をカーブトレーサを用いて実測して求めた。図3は、この結果を示すグラフである。
図3に示すように、中性子線を照射しなかった検証用の素子(GaN層4中の炭素濃度[C]は約1´1017cm−3)のバッファ耐圧(破壊電圧)は、500V以下であるのに対して、中性子線を照射した検証用の素子1A(GaN層4の炭素濃度[C]は1´1018cm−3)のバッファ耐圧(破壊電圧)は700V以上となった。
これにより、素子(窒化物半導体)の耐圧特性が向上することがわかった。
一方、上記検証用の素子1Aと同様にして、シリコン基板2上にバッファ層3、GaN層4、AlGaN層5をこの順で積層し、この積層体に対して中性子線を照射した後、AlGaN層5上に、Ti及びAlをこの順に蒸着して、オーミック電極としてソース電極7S及びドレイン電極7Dと、当該電極間にNiおよびAuをこの順に蒸着して、ショットキー電極としてゲート電極7Gを形成した。
これにより、図1に示すような、半導体素子1(AlGaN/GaN−HFET)を作製した。
なお、半導体素子1は、ゲート長(ゲート電極7G幅)2μm、ゲート幅(ゲート電極7Gの紙面に垂直方向おける長さ)0.2mm、ソース・ドレイン間距離15μmの素子とした。
この作製した半導体素子1の2次元電子ガスの移動度は1100cm/Vs、シートキャリア濃度は8´1012cm−2であった。また、この移動度及びシートキャリアの値はGaN層4の炭素濃度に依存しなかった。
すなわち、作製した半導体素子1は、低いオン抵抗を維持したまま、高いバッファ耐圧(破壊耐圧)が実現された素子であることがわかった。つまり、作製した半導体素子1は、高い電子移動度と耐圧特性を両立する窒化物半導体素子であることがわかった。
以下、第1実施形態において、中性子線の照射による窒化物半導体の炭素ドープについて詳細に説明する。以下、符号は省略して説明する。
まず、中性子線は、放射線の一種で中性子の流れをいう。中性子は、電荷を持たないので固体や液体を速やかに透過し、それらが通過する物質の原子核との衝突によってのみ減速あるいは停止される。
エネルギーの低い中性子(熱中性子)を例えば原子炉を用いて試料に照射すると、中性子捕獲反応によって試料中に放射性核種が生成する(放射化)。
放射化された原子核はベータ線を放出し核変換する、あるいは、ガンマ線を放出して励起状態から安定状態に戻る。
このガンマ線を分光することで、生成した核種の種類とその生成量が評価でき、その試料中に含まれている元素の種類と濃度を求めることができる。
この手法は放射化分析と呼ばれ、微量分析の分野で広く使われている。
例えば、日本原子力開発機構のWWWに記載されているように(http://sangaku.jaea.go.jp/3-facility/02-field/index-16.html)、中性子線による核変換(中性子ドーピング)はシリコン単結晶へのリンドーピングで利用されている(特開2007−48840号公報)。
これは、30Siの原子核に中性子を捕獲させることで31Siを形成し、31Siのベータ崩壊(半減期2.6時間)によって31Pを生成するものである。
中性子ドーピングで製造したシリコン半導体は、他の方法により製造した半導体よりもドーパントの均一性が優れているため、大電力用のサイリスタやパワートランジスタ、ダイオード等の製品に用いられている。
また、シリコン単結晶のほかに、ゲルマニウム単結晶へ中性子線を照射することで、ゲルマニウムをヒ素転換し、n型不純物のドーピングを行うことにも利用されている(特開2004−296866号公報)。
また、エネルギーの高い中性子線(高速中性子)を加速器等により試料に照射すると、原子核が中性子を捕獲吸収すると同時に陽子やアルファ線等を放出し、核変換することが知られている。
そして、中性子線照射による窒化物半導体への炭素ドーピングは、この核変換を利用する。
すなわち、14N+n→14C+pの反応により、GaN中の窒素原子を炭素原子に変換する。ここでnは中性子、pは陽子(水素イオン)を指す。
しかし、窒化物半導体に対して中性子線の照射を行う場合、シリコン単結晶やゲルマニウム単結晶等への照射とは異なり、窒化物半導体中の窒素以外の構成元素(GaやAl)を放射化または核変換させない必要がある。そこで、窒化物半導体を構成する原子に関する中性子捕獲断面積の中性子線エネルギー依存性に関して検討する。
原子核への中性子の吸収および核反応のし易さは、捕獲断面積(単位はbarns=10−24cm)で表すことができる。
ここで、図4に、69Ga(同位体存在率:60.1%)、71Ga(同位体存在率:39.9%)及び14N(同位体存在率99.6%)の中性子捕獲断面積の中性子線エネルギー依存性を示す(15Nの同位体存在率は低いので無視する)。また、図4に、AlGaN/GaNヘテロ構造を構成する27Al(同位体存在率100%)のデータも合わせて示した。
なお、図4は、米国ロスアラモス国立研究所 T−2 Nuclear Information Serviceのデータベースから引用した(http://t2.lanl.gov/data/data.html)。
この図4に示すデータベースは入射エネルギー範囲10−5eVから20〜200MeVまでの中性子入射に対する原子番号1−98までの390核種についての弾性散乱、非弾性散乱、吸収、および核反応の断面積を網羅したものである。
図4(a)のabsorption線(破線)に示す通り、14Nの中性子捕獲断面積は、10−11から10−1MeVの範囲ではエネルギーの増加とともに単調に減少することがわかる。
この範囲の核反応は、14N+n→15N+ガンマ線であり、Cへの変換は起きない。
また、14Nの中性子捕獲断面積において、10−1から10MeVの範囲にかけてピークを持つが、この反応が14N+n→14C+p、または14N+n→11B+αである(ここでαはアルファ線(ヘリウムの原子核)である)。このピーク値はおよそ1barnsである。
一方、図4(c)及び(d)のabsorption線(破線)に示す通り、69Ga及び71Gaの中性子捕獲断面積は、10−11から10−5MeVの範囲ではエネルギーの増加とともに単調に減少し、10−5から10−2MeVの範囲で共鳴的に増加するが、10−1から10MeVにかけては極小値を取るという特徴がある。
そして、69Ga及び71Gaの中性子捕獲断面積において、10−1から10MeVのエネルギー範囲における中性子捕獲断面積は10−2barns程度である。
また、図4(b)のabsorption線(破線)に示す通り、27Alの中性子捕獲断面積は、10MeV近傍に吸収のピークが存在することがわかる。
したがって、10−1から10MeVのエネルギー範囲の中性子をGaNに照射すると、Gaは放射化、あるいは核変換せずにNのみを選択的に核変換することができる。
また、AlGaNに関しては、Alに中性子を吸収させないためには5MeV以下のエネルギーとすることがよい。
なお、シリコン基板に関しても5MeV以下のエネルギーでは中性子捕獲断面積は小さい。
次に、14Nの核反応をより詳細に説明するため、1MeV近辺のエネルギーにおける中性子捕獲断面積を図5に示す。
図5は、日本原子力研究開発機構核データ評価研究グループのデータベースより取得したものである(http://wwwndc.jaea.go.jp/jendl/j33/J33_J.html)。
図5が示す通り、14N+n→14C+p反応は2MeV以下のエネルギーから始まるのに対して(図5(a)参照)、14N+n→11B+α反応は2MeV程度より大きなエネルギーから始まる(図5(b)参照)。
したがって、所望の14N+n→14C+p反応のみを得るためには、中性子線エネルギーを2MeV以下にすることがよい。
以上の考察から、中性子線のエネルギーを0.1MeV〜2MeVに制限することで、GaN(AlGaN)中のGaやAl及びシリコン基板を放射化または核変換させずに、窒素原子を炭素原子に変換することが可能となる。
その結果、窒化物半導体へ、その転位密度への影響を及ぼさずに炭素をドーピングすることが可能となる。つまり、例えば、転位密度を減少させる条件で、窒化物半導体をシリコン基板上にエピタキシャル成長(MOCVD法による成長)させ、電子移動度を向上させた上で、中性子線を照射すれば、その転位密度を維持させつつ、炭素濃度を増加させることができる。
したがって、本実施形態では、高い電子移動度と耐圧特性を両立した窒化物半導体(半導体素子)を得ることができる。
また、オートドーピング(特許文献1参照)により炭素のドーピング量を増加させようとすると、窒化物半導体にクラックが発生することがあるが、本実施形態では、窒化物半導体にクラックを発生させることなく、炭素のドーピング量(炭素濃度)を増加させることができる。
また、本実施形態では、炭素は窒化物半導体の母体元素である窒素の核変換によって生成(ドープ)されるため、従来技術であるオートオートドーピング法や炭化水素ガスを用いた方法よりも、炭素濃度の均一性が優れている。
このため、本実施形態では、素子耐圧の面内均一性が従来技術よりも向上できる。また、素子内部における炭素濃度の均一性も向上することから、素子内部にリーク電流が高く耐圧の低い部分(いわゆるホットスポット)の発生を抑制することができる。
ここで、本実施形態において、照射する中性子線のエネルギーは、上述のように0.1MeV〜2MeVであることがよいが、14N+n→11B+α反応を抑制するという点では、望ましくは0.1MeV〜1MeVである。
一方、この中性子線照射後の窒化物半導体の炭素濃度は、適用する半導体素子の用途に応じて決定されるが、例えば、1017cm−3〜1020cm−3であることがよく、GaN層の十分な高抵抗化と炭素不純物に起因する深い準位形成の抑制という点では、望ましくは1018cm−3〜1019cm−3である。
また、中性子線を照射する窒化物半導体は、例えば、Al,及びGaから選択される1以上の金属原子と窒素原子とを少なくとも含む窒化物半導体であり、具体的には、GaN、AlGaN、AlN、AlInGaN、InGaN、GaInNP、GaNP等が挙げられる。これらの中でも、半導体素子におい耐圧維持層として用いられ、炭素ドーピングが必要となりやすいGaNがよい。そして、中性子線を照射する窒化物半導体の成膜自体は、周知の手法、例えば、MOCVD法等により行う。
また、窒化物半導体は、基板上に成膜された状態で中性子線を照射することが素子製造効率上望ましく、当該基板としては、シリコン基板、サファイヤ基板、SiC基板等が挙げられるが、中性子線による意図しない放射化の影響を受け難いシリコン基板がよい。
また、本実施形態では、半導体素子としてHFETを作製した例を示したが、これに限られず、例えば、他の電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)や、ダイオード等が挙げられる。
他の電界効果トランジスタとしては、MISFET(Metal Insulator Semiconductor FET)、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor FET)、MESFET(Metal Semiconductor FET)等が挙げられる。
そして、本実施形態では、これら半導体素子を用いたインバーターやコンバーター等のパワーデバイスが実現できる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態で作製した半導体素子は、AlGaN/GaN−HFET構造の素子であり、ヘテロ界面のGaN層側に存在する2次元電子ガスを利用している。
したがって、上記第1実施形態においては、AlGaN層や2次元電子ガスが発生するヘテロ界面においても窒素原子を炭素原子に核変換してしまう可能性があり、2次元電子ガス濃度を減少、すなわちオン抵抗を増大させてしまう可能性がある。
そこで、第2実施形態では、図6に示すようにして半導体素子を作製した。図6は、第2実施形態に係る半導体素子の製造方法の一例を示す工程図である。
まず、図6(a)に示すように、シリコン基板2上に、バッファ層3、及びGaN層4までを積層する。
次に、図6(b)に示すように、中性子線を照射することで、14N+n→14C+p反応によりGaN層4に炭素を生成(ドープ)する。
次に、図6(c)に示すように、GaN層4上に、AlGaN層5を積層する。このとき、昇温によって上記核変換によって生じたp(陽子)が脱離され、また、中性子照射による損傷(主としてGa空孔の形成)が回復される。
次に、図6(d)に示すようにして、AlGaN層5上に、ソース電極7S及びドレイン電極7Dと、ゲート電極7Gと、を形成する。
これにより、半導体素子1を作製する。なお、半導体素子1の作製は、中性子線を照射するタイミングが異なる以外は、上記第1実施形態と同様に行えばよい。
作製した半導体素子1は、中性子照射後にAlGaN層5を積層しているので、ヘテロ界面においてAlGaN層5の窒素原子が炭素原子に変換されない。このため、第1実施形態と比べ、2次元電子ガスの移動度が高く、低いオン抵抗の素子となる。
(第3実施形態)
上記第1実施形態では、加速器により中性子線を照射した例を示したが、原子炉からの高速中性子線を用いることでも、1MeV近傍の中性子線を照射することができる。つまり、原子炉からの高速中性子線であっても、当該中性子線の照射により窒化物半導体への炭素ドーピングが実現できる。
但し、この場合、Cd薄膜をフィルターとして、原子炉と窒化物半導体を成長した基板の間に挿入して、低エネルギーの熱中性子を除去することがよい。
具体的には、例えば、原子炉からの中性子線のフラックス(単位面積を通過する粒子数)を1´1017cm−2とすると、14N+n→14C+p反応に対する反応断面積は0.3barnsであるから、反応速度は3´10−8−1となる。
したがって、例えば、窒化物半導体としてGaN中のNの数密度は4.51´1022cm−3であるから、1,000秒の照射で1.35´1018cm−3の炭素ドーピングが可能である。
なお、第1実施形態と同様に、原子炉からの高速中性子線の照射も、炭素濃度は中性子線の照射時間で制御することができる。例えば、1020cm−3の炭素を生成(ドープ)するには中性子線を100,000秒間照射すればよい。
(第4実施形態)
上記第1実施形態では、加速器により中性子線を照射した例を示したが、ラジオアイソトープである252Cfを利用して、1MeV近傍の中性子線を照射することができる。つまり、252Cfから放出される中性子線により、窒化物半導体への炭素ドーピングが実現できる。
252Cfは半減期2.64年のラジオアイソトープであり、核崩壊時に原子当り3.8個の中性子を放出する。言い換えれば、1g当り毎秒2.3´1012個の中性子を放出する。
放出される中性子線のエネルギーは、図7に示すように1MeV付近にピークを持ち、14N+n→14C+p反応に適している。
図7はINDC(NDS)−146,(1983).『IAEA Consultants’ Meeting on the U−235 Fast−Neutron Fission Cross−Section, and the Cf−252 Fission Neutron Spectrum, Smolenice, Czechoslovakia, 28 March − 1 April 1983』(Edited by H.D. Lemmel and D.E. Cullen)からの引用である。
1MeVのエネルギーを持つ中性子線の14N+n→14C+p反応に対する反応断面積は0.3barnsであり、この値を用いて14Cの形成量を評価すると、GaN中に炭素を1´1018cm−3ドープするには、100gの252Cfを用いて約96時間必要であることがわかる。
なお、GaN中の炭素濃度は、他の実施形態でも述べた通り、中性子線の照射時間にほぼ比例することから、例えば、1020cm−3の炭素濃度を得るためには9600時間照射すればよい。
なお、本実施形態では、電子走行層と電子供給層の組み合わせとしては、GaN/AlGaNを例として用いたが、電子供給層が電子走行層よりもバンドギャップエネルギーの大きい窒化物半導体材料の組み合わせであればよく、例えばGaN/AlInGaN、InGaN/GaN、GaInNP/GaN、GaNP/GaN、または、AlInGaN/AlGaNであってもよい。
1 半導体素子
1A 検証用の素子
2 シリコン基板
3 バッファ層
4 GaN層
5 AlGaN層
7G ゲート電極
7S ソース電極
7D ドレイン電極
8 オーミック電極

Claims (7)

  1. 窒化物半導体にエネルギーが0.1MeV〜2MeVである中性子線を照射し、 14 N+n→ 14 C+pで示される反応により、前記窒化物半導体中の窒素原子を炭素原子へ核変換することを特徴とする窒化物半導体の炭素ドーピング方法。
  2. 前記中性子線の照射後の窒化物半導体中の炭素濃度が、1017cm−3〜1020cm−3であることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体の炭素ドーピング方法。
  3. 前記中性子線を照射後に、窒素雰囲気中で焼鈍を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の窒化物半導体の炭素ドーピング方法。
  4. 前記窒化物半導体が、シリコン基板上にエピタキシャル成長されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒化物半導体の炭素ドーピング方法。
  5. 前記窒化物半導体が、GaNであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の窒化物半導体の炭素ドーピング方法。
  6. 基板上に窒化物半導体層を形成する工程と、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒化物半導体の炭素ドーピング方法により、前記窒化物半導体層に炭素をドーピングする工程と、
    前記窒化物半導体層上に、電極を形成する工程と、
    を有することを特徴とする半導体素子の製造方法。
  7. 前記窒化物半導体層は、
    前記基板上または前記基板上に形成されたバッファ層上に形成された電子走行層と、
    前記電子走行層上に形成され、前記電子走行層とはバンドギャップエネルギーが異なる材料からなる電子供給層と
    を有し、
    前記電子走行層を形成した後に、請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒化物半導体の炭素ドーピング方法により、前記電子走行層に炭素をドーピングした後、前記電子供給層を形成することを特徴とする請求項6に記載の半導体素子の製造方法。
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