JP5559621B2 - 回転翼航空機用無関節型ロータハブ構造体およびその製造方法 - Google Patents

回転翼航空機用無関節型ロータハブ構造体およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、回転翼航空機に用いられる無関節型ロータハブ構造体と、当該無関節型ロータハブ構造体の製造方法と、当該ロータハブ構造体をロータハブとして備えている回転翼航空機とに関する。
ヘリコプタ等の回転翼航空機においては、メインロータ(回転翼)は、ロータハブによりドライブシャフト(回転軸)に取り付けられている。ターボシャフトエンジン等の駆動源からの駆動力は、トランスミッションを介してドライブシャフト(回転軸)に伝達され、それにつながるロータハブによりメインロータが回転し、揚力および推進力が得られる。メインロータは複数枚のロータブレードとロータハブとから構成されている。そして、各ロータブレードの一方の端は、ロータハブにより回転軸に支持される支持端となっており、他方の端は自由端となっている。
ここで、各ロータブレードは、支持端が支持された状態を維持しつつ複数種類の運動が可能となるように構成されている。運動の種類としては、ロータブレードの上下方向の運動(フラッピング運動)、回転順方向または逆方向の運動(リードラグ運動)、および、迎え角の変化の運動(フェザリング運動)が挙げられる。したがって、ロータハブは、これら運動(便宜上、ブレード運動と称する。)が可能となるように、ロータブレードの支持端を回転軸に支持する構成を有する必要がある。
従来のロータハブでは、機械的な関節構造(ヒンジ)を採用することで前記ブレード運動を可能としていたが、近年では、関節構造を持たない無関節型も実用化されている。この無関節型ロータハブは、自身が変形することによってヒンジと同様の機能を実現できるため、各ロータブレードにおける前記ブレード運動が可能となる。無関節型ロータハブは、関節構造を有するロータハブ(全関節型、半関節型)に比べて、さまざまな利点を有している。例えば、機械的な構造を持たないため、ロータハブの構造を非常に簡素なものにできる。また、自身の柔軟な変形により、操舵に対する応答性を良好なものにできるので、回転翼航空機の操縦性または運動性を向上させることも可能となることに加え、さらに、大幅な重量軽減も可能となる。
ここで、無関節型ロータハブは、前記ブレード運動または回転中の各ロータブレードからの遠心力等によって、ロータブレードとの接続部位である支持端近傍(ロータブレードの付け根部分近傍)に大きな負荷が掛かる。それゆえ、無関節型ロータハブは、通常、強度に優れた複合材料を用いて単一のロータハブ構造体として製造される。一般的には、繊維強化樹脂材料を複数積層して一体成形することにより、単一のロータハブ構造体が得られる。
無関節型ロータハブに関する具体的な技術は、種々提案されているが、例えば、特許文献1に開示される回転体構造、特許文献2に開示されるハブプレート、あるいは、特許文献3に開示される多ブレードローターが挙げることができる。
現時点で無関節型ロータハブとして実用化されているロータハブ構造体は、特許文献1に開示される回転体構造のような3アーム型、または、特許文献2に開示されるハブプレートのような4アーム型が挙げられる。典型的な4アーム型のロータハブ構造体は、例えば、図8に示すように、4本のアーム61〜64を備え、各アーム61〜64にそれぞれロータブレードが取り付けられるよう構成されている。そして、4本のアーム61〜64それぞれが、回転軸を内挿する軸孔661から見て外側に放射状に突出しており、各アーム61〜64は隣接するもの同士の突出方向が互いに略等角度(約90°)をなすようにして位置している。したがって、4アーム型のロータハブ構造体は、基本的に略十字状である。
特公昭54−24200号公報 特許第2655985号公報 特許第3174643号公報
ところで、無関節型ロータハブは、主として小型の機体用として開発されたものが多いが、前述したような種々の利点があるため、中型以上の機体にも適用可能となることが望まれる。ただし、機体サイズが大きくなると、板厚の増加、等価ヒンジ位置の増加等によって無関節型ロータハブの成立性が低くなってしまう。そこで、より大型の機体に適用するとしても、ロータハブ構造体の基本的な構成をほとんど変えないようにすることで、これまでと同程度のハブ特性を確保することが望まれる。
この場合、4アーム型からアームを1つ増加させて5アーム型のロータハブ構造体を製造することが考えられる。しかしながら、4アーム型と同じ方法で5アーム型のロータハブ構造体を製造しようとすると、結果として4アーム型の基本構成を確保できず、それゆえ、ロータハブ構造体のハブ特性も変化してしまうという課題が生ずる。
すなわち、4アーム型のロータハブ構造体は略十字状であるので、その製造においては、帯状またはテープ状の複合材料のシート(便宜上、複合材料シートと略す。)を縦横に交互に積層すればよい。これにより、軸孔を挟んで対向する一対のアームを同一の複合材料シートで構成することができる。これに対して、5アーム型のロータハブ構造体においては、アーム数が奇数であるため、各アームから見て軸孔を挟んで対向する位置に他のアームが位置しない。したがって、前記複合材料シートは、直線状ではなく、軸孔近傍の位置で折れ曲がった形状に形成しなければならない。
このような折れ曲がり形状の複合材料シートを交互に積層すると、本来小型のロータハブ構造体が大型化してしまうだけでなく、等価ヒンジ・オフセットが大きくなってしまう。また、中央部の厚みが大きくなって、それにつながるアームのコンター変化に伴い、変形特性も変わってしまう。さらに、ロータハブ構造体の中央部に軸孔を形成する際に一部の複合材料シートが軸孔によって切断されてしまうため、結果的にロータハブ構造体の強度変化を招いてしまう。その結果、ロータハブ構造体が有するハブ特性が4アーム型のそれと比較して変化してしまい、より大型の機体に適用可能な無関節型ロータハブを得ることができない。
なお、特許文献2には、ブレード保持ストラップを7つ有する多ブレードローターが開示されているが、上記ブレード保持ストラップは捩り可能な構成であるため、複合材料シートを積層してロータハブ構造体を製造する構成とはなっていない。したがって、特許文献2に開示されている技術を5アーム型のロータハブ構造体に適用することはできない。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、中型以上の回転翼航空機にも適用可能で、5本以上のアームを有し、4本以下のアームを有するロータハブと同程度のハブ特性を確保することが可能な無関節型ロータハブを提供することを目的とする。
本発明に係る無関節型ロータハブ構造体は、前記の課題を解決するために、回転翼航空機のメインロータのロータハブとして用いられ、回転軸が内挿される軸孔を有する中央部と、前記中央部の外周から放射状に延伸して設けられ、それぞれが1枚の回転翼ブレードを支持する5本の平板状のアームと、を備え、前記アームは、その外端の幅よりも前記中央部への付け根の幅が狭くなっており、前記アームおよび前記中央部は、帯状の複合材料シートであって、その長手方向の両端部が、中間部に対して当該中間部の幅方向において同方向へ折れ曲がった形状のブラケット状シートが、複数枚積層された積層構造を含み、さらに、1本の前記アームを延伸方向に沿って二等分した場合の半分となる部位を縦半分、5本の前記アームのいずれか1本を基準アーム、当該基準アームから見て1本置いた位置の前記アームを斜め向いアーム、と定義したときに、前記積層構造においては、1枚のブラケット状シートが、その一方の端部が前記基準アームの一方の縦半分に位置し、その他方の端部が、2本の前記斜め向かいアームのうち、前記縦半分に近い方の斜め向かいアームにおける、前記基準アームに近い方の縦半分に位置し、かつ、その中間部が前記中央部における前記各縦半分の間の部分に位置するように配置され、当該ブラケット状シートから見て、前記基準アームの他方の縦半分に、その一方の端部が位置する、もう1枚のブラケット状シートは、その他方の端部が、2本の前記斜め向かいアームにおける前記基準アームに近い方の縦半分に位置し、かつ、その中間部が前記中央部における前記各縦半分の間の部分に位置するように配置されており、前記基準アームにて互いに隣接する、前記ブラケット状シートの一方の端部同士の間隔は、当該基準アームの前記外端から前記中央部に向かって徐々に狭くなるように構成されている。
前記積層構造の具体的な一例としては、前記基準アームに隣接する位置の前記アームを隣接アームと定義したときに、前記基準アームの二等分線を基準として、それぞれ対向して位置する2枚の前記ブラケット状シートの対であるA層と、当該A層の上に積層され、前記斜め向いアームの二等分線を基準とし、かつ、当該斜め向いアームの前記基準アームから離れた側の縦半分に、その一方の端部が位置する1枚の前記ブラケット状シートであるB層と、当該B層の上に積層され、前記隣接アームの二等分線を基準として、それぞれ対向して位置する2枚のブラケット状シートの対であるC層と、からなる積層単位を含むように構成されている例をあげることができる。
前記構成によれば、1種類のブラケット状シートのみでA層〜C層の積層単位を形成することができる。それゆえ、アームの交差部位をほとんど外側にずらさなくてもよいので、ロータハブ構造体の大型化を抑制することができ、従来と同様の等価ヒンジ・オフセットを実現することが可能となる。また、中央部の厚みは、従来と同様に各アームの厚みの略2倍に抑えることが可能となる。それゆえ、従来と同様のアームの変形特性を実現することができる。さらに、軸孔を形成するに際して、A層〜C層を構成するブラケット状シートのいずれにおいても切断部位が最小限に抑えられるため、従来と同様の耐久性、強度を実現することが可能となる。それゆえ、中型以上の回転翼航空機にも適用可能で、5本以上のアームを有し、これまでと同程度のハブ特性を確保することができる。また、前記構成によれば、アームにおける中央部への付け根側の幅を十分に絞ることができるので、ロータハブ構造体の大型化をより一層抑制することができる。
また、本発明には、無関節型ロータハブ構造体の製造方法も含まれる。具体的には、回転翼航空機のメインロータのロータハブとして用いられる無関節型ロータハブ構造体の製造方法であって、当該ロータハブ構造体は、それぞれが1枚の回転翼ブレードを支持する5本の平板状のアームと、回転軸が内挿される軸孔を有し、かつ、その外周に前記アームが放射状に延伸して設けられている中央部と、を備え、前記アームは、その外端の幅よりも前記中央部への付け根の幅が狭くなっており、前記アームおよび前記中央部は、帯状の複合材料シートが複数枚積層された積層構造を含むものであり、帯状の前記複合材料シートとして、その長手方向の両端部が、中間部に対して当該中間部の幅方向において同方向へ折れ曲がった形状のブラケット状シートを用い、1本の前記アームを延伸方向に沿って二等分した場合の半分となる部位を縦半分、5本の前記アームのいずれか1本を第一アーム、当該第一アームから見て一方の周方向に配列する前記アームを、当該第一アームから近い順に第二アームないし第五アーム、と定義したときに、2枚の前記ブラケット状シートの一方の端部同士を、前記第一アームの前記縦半分にそれぞれ配し、一方の前記ブラケット状シートの他方の端部を、前記第三アームにおける前記第一アームに近い側の前記縦半分に配し、他方の前記ブラケット状シートの他方の端部を、前記第四アームにおける前記第一アームに近い側の前記縦半分に配するように、これら前記ブラケット状シートを、前記第一アームの二等分線を基準として、それぞれ対向して配置させてA層として積層するA層積層工程と、1枚の前記ブラケット状シートの一方の端部を、第四アームまたは第三アームにおける前記第一アームから離れた側の縦半分に配し、他方の端部を、前記第二アームまたは前記第五アームにおける前記第一アームから離れた側の縦半分にするように、当該ブラケット状シートをB層として積層するB層積層工程と、2枚の前記ブラケット状シートの一方の端部同士を、前記第五アームまたは前記第二アームの前記縦半分にそれぞれ配し、一方の前記ブラケット状シートの他方の端部を、前記B層となる前記ブラケット状シートの他方の端部に対して、前記第二アームまたは前記第五アームの二等分線を基準として対向して配置させ、他方の前記ブラケット状シートの他方の端部を、前記A層となる前記ブラケット状シートのいずれかの他方の端部に対して、前記第三アームまたは前記第四アームの二等分線を基準として対向して配置させるように、これら前記ブラケット状シートをC層として積層するC層積層工程と、を含み、これらA層積層工程、B層積層工程、およびC層積層工程では、前記アームの縦半分として隣接する一対の前記ブラケット状シートが、その一方の端部同士の間隔が、当該アームの外端から前記中央部に向かって徐々に狭くなるように配置されており、さらに、A層積層工程、B層積層工程、およびC層積層工程をこの順で複数回繰り返す製造方法が挙げられる。
前記製造方法においては、前記各積層工程の後に得られる無関節型ロータハブ構造体の前駆体を成形し、仕上げ前の構造体を得る成形工程と、前記仕上げ前の構造体における前記中央部の中心となる部位に、前記軸孔を形成するとともに、前記アームの前記外端に、前記回転翼ブレードを取り付けるための取付孔を形成する孔形成工程と、を含むことが好ましい。
以上のように、本発明によれば、中型以上の回転翼航空機にも適用可能で、5本以上のアームを有し、4本以下のアームを有するロータハブと同程度のハブ特性を確保することが可能な無関節型ロータハブを得ることができる、という効果を奏する。
本発明の実施の形態に係る無関節型ロータハブ構造体の構成の一例を示す斜視図である。 図1に示す無関節型ロータハブ構造体におけるアームおよび中央部の位置関係を示す模式的平面図である。 (a)は、図1に示すロータハブ構造体の製造に用いられる複合材料シート(ブラケット状シート)の一例を示す平面図であり、(b)は、(a)に示す複合材料シートを積層時に対抗して配置させる状態を示す模式図である。 (a)〜(c)は、図3(a)に示す複合材料シートを積層する順序の一例を示す模式的工程図である。 (a)〜(c)は、図3(a)に示す複合材料シートを積層する順序の他の例を示す模式的工程図である。 図1に示すロータハブ構造体を用いたメインロータの構成の一例を示す部分分解図である。 (a)は、図1に示すロータハブ構造体と比較構造体との大きさを対比する対比図であり、(b)は、従来のロータハブ構造体の製造における複合材料シートの積層の順序を示す模式図であり、(c)は、(a)に示す比較構造体の製造に用いられる複合材料シートおよび積層位置の一例を示す模式図である。 図7(b)に示す従来のロータハブ構造体の一例を示す斜視図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
[ロータハブ構造体の構成]
まず、本実施の形態に係る無関節型ロータハブ構造体の具体的な形状の一例について、図1および図2を参照して具体的に説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る無関節型ロータハブ構造体10は、5本の平板状のアーム11〜15と、中央部16とを備えている。なお、以下の説明では、無関節型ロータハブ構造体10を、適宜、ロータハブ構造体10と省略する。このロータハブ構造体10は、後述するように、回転翼航空機のメインロータのロータハブとして用いられる。
アーム11〜15は、一方の端が中央部16につながり、他方の端が中央部16の外側に向かって位置している。他方の端を外端と定義すれば、アーム11〜15は、後述するように、それぞれ、その外端で1枚の回転翼ブレードが取り付けられるよう構成されている。
本実施の形態では、アーム11〜15の延伸方向の両側部は、相対的に厚みの大きい厚肉部101となっており、これら厚肉部101に挟まれた部位は、相対的に厚みの小さい薄肉部102となっている。厚肉部101は、平板状のアーム11〜15の両側部で略帯状の形状を有し、これら一対の厚肉部101に挟まれる状態で、略楕円状の薄肉部102が位置している。薄肉部102の一方の端は、本実施の形態では、中央部16の外周に一部食い込むような形で位置しているが、他方の端は、アーム11〜15の外端には及んでおらず、当該外端の手前に位置している。
また、アーム11〜15の外端には、回転翼ブレードを取り付けるためのブレード取付部103が設けられている。本実施の形態では、ブレード取付部103は、平板状のアーム11〜15の外端の四隅それぞれにおいて、当該外端から突出するように設けられた4個のフォーク部104から構成され、各フォーク部104には、それぞれ1個のブレード取付孔105が設けられている。なお、図1では、説明の便宜上、厚肉部101、薄肉部102、ブレード取付部103、フォーク部104およびブレード取付孔105の符号は、アーム14のみに付している。
アーム11〜15の具体的構成は図1および図2に示した構成に限定されない。例えば、アーム11〜15の長さ、幅等の寸法については特に限定されない。また、厚肉部101と薄肉部102との厚みの差または厚みの比についても特に限定されない。これら寸法または厚みは、アーム11〜15がそれぞれ支持する回転翼ブレードにおいて、前述したブレード運動(フラッピング運動、リードラグ運動、フェザリング運動)を適切に実現できるような変形が可能となるように、適宜設定されるものである。したがって、ロータハブ構造体10が用いられる回転翼航空機、回転翼ブレード等の種類等の諸条件に応じて、適切な値に設定されればよい。
図2に示すように、本実施の形態に係るアーム11〜15は、その外端の幅よりも中央部16への付け根の幅が狭くなるよう構成されていることが好ましい。例えば、アーム14について見れば、図2では、当該アーム14の中央部16とつながった部位(付け根)の幅W1は、図中破線の補助線で示すように、当該アーム14の外端の幅W2よりも小さいものとなっている。言い換えれば、アーム11〜15は、外端から見て付け根側の幅が絞られた構成となっている。この付け根側の幅を絞った構成の詳細については後述する。
中央部16は、図1および図2に示すように、略正五角形の平板状であり、その中心部には軸孔161が設けられている。この軸孔161には、回転翼航空機の駆動源が備える回転軸が内挿される。中央部16の外周にはアーム11〜15が放射状に延伸して設けられている。より具体的には、略正五角形の各辺に各アーム11〜15が一体的に取り付けられている構成となっている。
図1および図2に示すように、アーム11〜15は、中央部16における略正五角形(図2において一点鎖線BLで示す)の各辺に対して回転方向に偏ってつながっている。これは、ロータハブ構造体10にトルク・オフセット(回転方向へのアーム11〜15の中央線のずれ)を与えるためである。
ここで、以下の説明においては、便宜上、同一のアーム11〜15が有する一対の厚肉部101,101を、左厚肉部101aおよび右厚肉部101bと称する場合がある。なお、左厚肉部101aおよび右厚肉部101bの違いは、略五角形の中央部16において、1本のアームが延伸する辺に設けられる平坦部16aを基準としている。例えば、図2では、アーム11につながる中央部16の一辺において、図中下側に位置する平坦部16aに近い肉厚部101を左肉厚部101aと称し、他方の肉厚部101を右肉厚部101bと称する。この呼称は、図1および図2においては向かって左側に左肉厚部101aが位置するための便宜上のものである。また、図2においては、説明の便宜上、ロータハブ構造体10の平面形状を模式的に示し、ブレード取付部103、フォーク部104およびブレード取付孔105等を具体的に示していない。
[複合材料シートの構成]
次に、本実施の形態に係るロータハブ構造体10の製造に用いられる複合材料シートの基本的な構成について、図3(a),(b)を参照して具体的に説明する。
本実施の形態に係るロータハブ構造体10は、後述するように、繊維強化樹脂組成物からなる複合材料のシートを複数枚積層し、所定形状に成形することで製造される。特に、本実施の形態では、帯状(またはテープ状)の複合材料シートが少なくとも用いられる。それゆえ、アーム11〜15および中央部16には、帯状の複合材料シートが複数枚積層された積層構造が含まれている。
複合材料シートは、帯状すなわち一方向に延伸された形状を有しているが特に限定されない。特に本実施の形態では、アーム11〜15と中央部16とを一体的に成形するために、図3(a)に示すような、二段に折れ曲がった形状の複合材料シート40が用いられる。この複合材料シート40は、その形状がブラケット(角括弧、bracket)に類似するので、本実施の形態では、説明の便宜上、ブラケット状シート40と称する。
ブラケット状シート40の具体的構成について説明する。ブラケット状シート40は、全体にわたって所定の厚みおよび幅を有し、その広がり面内において、ほぼ同じ長さの両端部40b,40cが中間部40aから見て幅方向における同方向に折れ曲がった形状を有している(シートを折り畳むように厚み方向に折れ曲がっているのではない)。なお、ブラケット状シート40の形状を、説明の便宜上、シス型(cis-type)二段折り曲げ形状と称する。これは、両端部40b,40cの折れ曲がりの方向が同方向であることによる。また、ブラケット状シート40の両端部40b,40cのそれぞれの先端側には、開口41が形成されている。この開口41は、ブレード取付孔105に対応するものである。
ここで、図3(a)に示すように、端部40bの折れ曲がり角度θ1と、端部40cの折れ曲がり角度θ2とは異なっている(θ1≠θ2)。これは、前記のとおり、得られるロータハブ構造体10にトルク・オフセットを与えるためである。したがって、図3(a)等において、ブラケット状シート40は、中間部40aを二等分する中央線を想定したときに、当該中央線を基準として線対称の形状を有しているように見えるが、実際には線対称の形状ではない。
ブラケット状シート40の具体的な構成は図3(a)に示す構成に限定されず、例えば、ブラケット状シート40の全長、ブラケット状シート40の厚み、中間部40aの長さS1(図3(a)参照)、各端部40b,40cの長さS2(図3(a)参照)、端部40bの折れ曲がり角度θ1、端部40cの折れ曲がり角度θ2等の各寸法については、ロータハブ構造体10の寸法および形状、トルク・オフセットの程度、複合材料の種類等の各種条件に応じて、好ましい値が適宜設定される。
ロータハブ構造体10を製造する際には、このようなブラケット状シート40が積層されることになるが、本実施の形態では、原則として、2枚のブラケット状シート40が対となるように対向して配置されて、順次積層される。具体的には、図3(b)に示すように、2枚のブラケット状シート40,40は、中央線Laを基準として位置合わせされ、一つの層を形成する。この中央線Laは、1本のアームを延伸方向に沿って二等分する二等分線に対応する。
ここで、図3(b)に示すように、一対のブラケット状シート40,40の配置においては、互いに近接する側の端部40b,40c(図中上側)の間隔CLは中間部40a側に向かって徐々に狭くなっている。これをアーム11〜15に当てはめれば、1本のアームの外端から中央部16に向かって、間隔CLが徐々に狭くなっている。
具体的には、図3(b)に示すように、一方の端部40bを、中央線Laに対して略平行に配置させたとき、その略平行な位置を破線で示し、このときの端部40bの延伸方向を破線D2で示す。本実施の形態では、この略平行な延伸方向D2に対して、角度αを形成するように端部40bを傾斜させた状態でブラケット状シート40を配置する。これにより、端部40bにおける中間部40a寄りの部位が近接することになるとともに、対向する中間部40a,40aにおける端部40c側の間隔も近接する。さらに、中間部40a,40aにおける他方の端部40c側の間隔は拡大し、互いに近接せずに離間している他方の端部40c,40bの間隔も拡大する。
この1枚のブラケット状シート40について言えば、一方の端部40bは、アーム11〜15のうち、いずれか1本のアームを形成し、中間部40aは中央部16を形成し、他方の端部40cは、上記アームから1本置いた位置のアームを形成する。そして、対をなすブラケット状シート40,40においては、端部40b,40cの間隔CLを徐々に狭くしているため、近接する端部40b,40cで形成されるアームは、中央部16の付け根側の幅W1は、外端の幅W2よりも小さくなる。また、中間部40a,40aにおいては、一方の端部40b側の間隔が狭く、他方の端部40c側の間隔がより大きくなるので、軸孔161となる領域を十分に確保することができる。
本実施の形態では、ブラケット状シート40以外にも種々の形状の複合材料シートが用いられる。これら複合材料シートは、ブラケット状シート40と同様に帯状であってもよいし、他の形状であってもよい。例えば、薄肉部102を形成するために、ブラケット状シート40よりも大きな面積を有する複合材料シートを用いることができる。あるいは、アーム11〜15の外端に設けられるブレード取付部103を形成するために、ブラケット状シート40よりも小さな面積を有し、当該ブレード取付部103の寸法に適応した形状の複合材料シートを用いることができる。
また、図1に示されるアーム11、アーム13、およびアーム14の側面から明らかなように、本実施の形態では、アーム11〜15は、両端(外端および付け根)側の厚みが大きく、中央近傍の厚みが小さく構成されている。これら各アーム11〜15における各部位の間の厚みの差は、積層される複合材料シートの枚数により設定することができる。したがって、アーム11〜15の形成時には、ブラケット状シート40とともに、厚肉部101の寸法に応じた、より面積の小さい複合材料シートを併用することができる。
本実施の形態で用いられる複合材料シートは、繊維強化樹脂組成物を用いて公知の方法で所定の形状に形成されたものであればよく、その具体的構成は特に限定されない。繊維強化樹脂組成物に用いられるマトリクス樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられるが特に限定されない。また、繊維強化樹脂組成物に用いられる繊維材料としては、高強度かつ高剛性である炭素繊維、ガラス繊維等が挙げられるが特に限定されない。また、繊維材料の形状および長さ等も特に限定されず、ロータハブ構造体を製造する分野で公知の範囲の形状および長さを採用すればよい。
また、繊維強化樹脂組成物には、前記熱硬化性樹脂および繊維材料以外の材料が含まれてもよい。さらに、熱硬化性樹脂組成物および繊維材料は1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。また、本実施の形態で用いられる複合材料シートは、プリプレグ、すなわち、繊維材料の構成物(織物、組物等)に樹脂組成物を含浸させて半硬化状態としたもの、として用いられてもよい。
[ブラケット状シートの積層方法]
次に、ロータハブ構造体10を製造する際に、前述したブラケット状シート40を積層する方法の一例について、図2および図3(a),(b)に加えて、図4(a)〜(c)および図5(a)〜(c)を参照して具体的に説明する。
まず、ブラケット状シート40の積層の順および位置を説明するために、アーム11〜15の位置関係、各アーム11〜15が有する一対の厚肉部101の位置およびブラケット状シート40との対応関係を定義する。
すなわち、アーム11〜15のうち、任意のアーム、例えば、図2ではアーム11を「基準アーム」と定義し、当該アーム11に隣接するアーム12およびアーム15を「隣接アーム」、アーム11から見て1本置いた位置のアーム13およびアーム14を「斜め向いアーム」と定義する。図2においては、基準アームを角括弧内の符号P0で示し、隣接アームを角括弧内の符号Piで示すとともに図中斜線のハッチングで示し、斜め向いアームを角括弧内の符号Piiで示すとともに図中ドットのハッチングで示す。なお、これら基準アーム、隣接アーム、および斜め向いアームは相対的な位置関係であって、図2に示す例に限定されず、アーム11〜15の任意の1本が基準アームとなり得る。
また、ブラケット状シート40は、基本的には、各アーム11〜15の厚肉部101を構成するものであるが、前述したように、1本のアームは、左厚肉部101aおよび右厚肉部101bを有している。そこで、図3(b)に示すブラケット状シート40,40の配置において、図中向かって右側のブラケット状シート40の位置を、左厚肉部101aに対応するものとして「位置Ra」と定義し、図中向かって左側のブラケット状シート40の位置を、右厚肉部101bに対応するものとして「位置Rb」と定義する。なお、便宜上、以下の説明では、図3(b)に示すブラケット状シート40,40の対を、単に「シート対」と称する。
さらに、アーム11〜15のそれぞれについて、1本のアームを延伸方向に沿って二等分したときに半分となる部位を「縦半分」と称し、当該アームの二等分線(図3(b)における中央線Laに対応)を「アーム中央線」と称する。
そして、図4(a)に示すように、ロータハブ構造体10の形状に対応するハブ外枠100を設定する。このハブ外枠100は、成形型のキャビティ等を利用すればよい。このハブ外枠100に対応させながら、5枚のブラケット状シート401〜405が順次積層されるものとする。
まず、基準アームP0のアーム中央線La−0を基準として、1枚目のブラケット状シート401および2枚目のブラケット状シート402を対向して配置させ、シート対(図3(b)参照)を形成する。本実施の形態では、このシート対を「A層」と称し、図中交差線のハッチングで示す。このA層を構成するブラケット状シート401,402のうち、図中下側のブラケット状シート401がシート対の位置Raに対応し、図中上側のブラケット状シート402がシート対の位置Rbに対応する。
より具体的に説明すれば、図4(a)に示すように、基準アームP0がアーム11であれば(図中丸括弧内の符号)、アーム12およびアーム15が隣接アームPiとなり、アーム13およびアーム14が斜め向いアームPiiとなる。そこで、この対応関係で、アーム11のアーム中央線La−0を基準として、シート対をA層として積層すると、2枚のブラケット状シート401,402の一方の端部40b,40c(図中枠で囲った符号)は、アーム11の縦半分にそれぞれ配される。また、位置Rbのブラケット状シート402の他方の端部40b(図中枠で囲った符号)は、アーム13におけるアーム11に近い側の縦半分に配され、位置Raのブラケット状シート401の他方の端部40cは、アーム14におけるアーム11に近い側の縦半分に配される。それゆえ、ブラケット状シート401の中間部40a(図中枠で囲った符号)は、アーム11およびアーム14の間に位置する中央部16の一部に配され、ブラケット状シート402の中間部40aは、アーム11およびアーム13の間に位置する中央部16の一部に配される。
次に、3枚目のブラケット状シート403を、図4(b)に示すように、前記A層の上に「B層」として積層する。このB層は図中斜線のハッチングで示す。このB層は、斜め向いアームPiiであるアーム14のアーム中央線La−iiを基準として、A層を構成するブラケット状シート401と対となる位置に積層される。
より具体的には、図4(b)に示すように、B層であるブラケット状シート403を積層すると、アーム14の縦半分のうち、基準アームP0であるアーム11から離れた側の縦半分にブラケット状シート403の一方の端部40bが配される。また、他方の端部40cは、2本の隣接アームPiのうち図中上側のアーム12において、アーム11から離れた側の縦半分に配される。なお、ブラケット状シート403の中間部40aは、アーム14およびアーム12の間に位置する中央部16の一部に配される。
この配置であれば、ブラケット状シート403,401でシート対が構成されるが、このシート対では、3枚目のブラケット状シート403が位置Raとなり、A層において位置Raであったブラケット状シート401が位置Rbとなる。また、ブラケット状シート403の一方の端部40bとブラケット状シート401の他方の端部40cとが対向している。さらに、ブラケット状シート403の中間部40aは、アーム14およびアーム12の間に位置する中央部16の一部に配されるので、当該ブラケット状シート403は、ブラケット状シート401には重ならないが、ブラケット状シート402には、互いの中間部40a,40a同士で重なっている。
次に、4枚目および5枚目のブラケット状シート404,405を、図4(c)に示すように、前記A層およびB層の上に「C層」として積層する。このC層は図中ドットのハッチングで示す。このC層は、隣接アームPiであるアーム15のアーム中央線La−iを基準として、シート対を形成するように積層される。
より具体的には、アーム15のアーム中央線La−iを基準として、シート対をC層として積層すると、2枚のブラケット状シート404,405の一方の端部40b,40cが、アーム15の縦半分にそれぞれ配され、位置Rbのブラケット状シート405の他方の端部40bは、アーム12の位置において、B層となるブラケット状シート403の他方の端部40c(図4(b)参照)に対向して配される。このとき、3枚目のブラケット状シート403と5枚目のブラケット状シート405とは、アーム12のアーム中央線(図示せず)を基準として対向して配置されている。
また、位置Raのブラケット状シート404の他方の端部40cが、アーム13にて、A層を構成するブラケット状シート402の他方の端部40bに対向して配される。このとき、4枚目のブラケット状シート404と2枚目のブラケット状シート402とは、アーム13のアーム中央線(図示せず)を基準として対向して配置されている。
上記C層の配置であれば、ブラケット状シート404の中間部40aは、アーム15およびアーム13の間に位置する中央部16の一部に配され、ブラケット状シート405の中間部40aは、アーム15およびアーム12の間に位置する中央部16の一部に配される。それゆえ、ブラケット状シート404は、A層を構成する1枚目のブラケット状シート401およびB層を構成する3枚目のブラケット状シート403と、互いの中間部40a,40a同士で重なり、ブラケット状シート405は、A層を構成する2枚のブラケット状シート401,402と、互いの中間部40a,40a同士で重なっている。
そして、図4(a)〜(c)に示すA層〜C層をそれぞれ積層する工程をこの順で繰り返すことで、左厚肉部101aおよび右厚肉部101bに対応する積層構造が形成されることになる。つまり、A層、B層およびC層の3層構造は、積層単位ということができ、ロータハブ構造体10に含まれる積層構造には、この積層単位の繰り返しが含まれていることになる。
前記積層単位は、単に、A層、B層およびC層が積層された構成であるというだけでなく、5枚のブラケット状シート401〜405が積層されることで、各アーム11〜15それぞれのアーム中央線を基準として、5組のシート対の組合せが成立する構成でもある。また、シート対は、前述したように、互いに近接する側の端部40b,40cの間隔CLが徐々に狭くなる配置となっている。それゆえ、前記積層構造においては、1本のアームにて互いに隣接する、ブラケット状シート40,40の一方の端部40b,40cの間隔は、当該アームの外端から中央部16に向かって徐々に狭くなるように構成されることになる。これによって、アーム11〜15の付け根側の幅が絞られた構成が実現される。
ここで、A層からC層の積層は、図4(a)〜(c)に示す位置および順序に限定されず、図5(a)〜(c)に示す位置および順序であってもよい。
具体的には、図5(a)に示すように、A層を積層する工程は前述した積層工程と同様であるが、図5(b)に示すように、B層、すなわち3枚目のブラケット状シート403は、2本の斜め向いアームPiiのうちアーム13のアーム中央線La−iiを基準として、A層を構成するブラケット状シート402と対となる位置に積層される。
この配置であれば、ブラケット状シート403,402でシート対が構成され、A層において位置Rbであったブラケット状シート401が位置Raとなり、3枚目のブラケット状シート403が位置Rbとなる。また、ブラケット状シート403の一方の端部40cとブラケット状シート402の他方の端部40bとが対向し、ブラケット状シート403の他方の端部40bは、2本の隣接アームPiのうち図中下側のアーム15において、アーム11から離れた側の縦半分に配される。さらに、ブラケット状シート403の中間部40aは、アーム13およびアーム15の間に位置する中央部16の一部に配されるので、当該ブラケット状シート403は、ブラケット状シート402には重ならないが、ブラケット状シート401には、互いの中間部40a,40a同士で重なっている。
次に、C層、すなわち4枚目のブラケット状シート404および5枚目のブラケット状シート405は、アーム15ではない他方の隣接アームPiであるアーム12のアーム中央線La−iを基準として、シート対を形成するように積層される。
この配置であれば、ブラケット状シート404,405の一方の端部40c,40bが、アーム12の縦半分にそれぞれ配され、位置Raのブラケット状シート405の他方の端部40cは、B層となるブラケット状シート403の他方の端部40b(図5(b)参照)に対向して配される。このとき、3枚目のブラケット状シート403と5枚目のブラケット状シート405とは、図示しないが、アーム15のアーム中央線(図4(c)参照)を基準として対向して配置されている。
また、位置Rbのブラケット状シート404の他方の端部40bが、A層を構成するブラケット状シート401の他方の端部40cに対向して配される。このとき、4枚目のブラケット状シート404と1枚目のブラケット状シート401とは、図示しないが、アーム14のアーム中央線(図4(b)参照)を基準として対向して配置されている。
さらに、上記配置であれば、ブラケット状シート404の中間部40aは、アーム12およびアーム14の間に位置する中央部16の一部に配され、ブラケット状シート405の中間部40aは、アーム12およびアーム15の間に位置する中央部16の一部に配される。それゆえ、ブラケット状シート404は、A層を構成する2枚目のブラケット状シート402およびB層を構成する3枚目のブラケット状シート403と、互いの中間部40a,40a同士で重なり、ブラケット状シート405は、A層を構成する2枚のブラケット状シート401,402と、互いの中間部40a,40a同士で重なっている。
したがって、図4(a)〜(c)に示す積層工程と図5(a)〜(c)に示す積層工程とで得られる積層単位をまとめれば、ブラケット状シート401〜405を用いて構成される積層構造は、下記のA層、B層およびC層がこの順で積層された構成であるということができる。
(1)A層:アーム11〜15のうち任意の基準アームP0のアーム中央線La−0を基準として、それぞれ対向して位置する2枚のブラケット状シート401,402の対である層
(2)B層:前記A層の上に積層され、隣接アームPiのアーム中央線La−iを基準とし、かつ、当該隣接アームPiの基準アームP0から離れた側の縦半分に、その一方の端部が位置する1枚のブラケット状シート403である層
(3)C層:前記B層の上に積層され、斜め向いアームPiiのアーム中央線La−iiを基準として、それぞれ対向して位置する2枚のブラケット状シート404,405の対である層
[ロータハブ構造体の製造方法]
次に、前記積層工程を含むロータハブ構造体10の製造方法の一例について、具体的に説明する。
まず、ロータハブ構造体10の寸法、形状等の諸条件に応じて、ブラケット状シート40の寸法、形状等を設定し、同一形状のブラケット状シート40を予め多数枚製造しておく。次に、このブラケット状シート40および他の複合材料シートを、ハブ外枠100に合わせて順次積層する(積層工程)。この積層工程には、A層を積層するA層積層工程(図4(a)および図5(a)参照)、B層を積層するB層積層工程(図4(b)および図5(b)参照)、およびC層を積層するC層積層工程(図4(c)および図5(c)参照)という下位の積層工程が含まれ、これら積層工程がこの順で繰り返されることで、A層〜C層からなる前記積層単位が形成される。
次に、前記積層工程が行われることにより、ロータハブ構造体10の前駆体が成形されるので、当該前駆体を成形型によって加圧成形することにより、仕上げ前のロータハブ構造体10が得られる(成形工程)。ここで、成形工程で適用される成形条件は特に限定されず、公知の条件を用いることができる。また、成形型の具体的な構成も特に限定されず、公知の金型等を好適に用いることができる。
得られた仕上げ前のロータハブ構造体10に対して、軸孔161、ブレード取付孔105等の孔を形成する(孔形成工程)。また、この孔形成工程に加えて、種々の切削加工等も行われればよい。なお、孔形成および切削加工等をまとめて、トリミング工程と称する。このトリミング工程(または孔形成工程)においては、軸孔161は、仕上げ前の構造体における中央部16の中心となる部位に形成されるが、図4(c)および図5(c)に示すように、A層〜C層を積層することで形成される積層構造では、中央部16の中心となる部位には、ほとんど複合材料が位置しておらず、ブラケット状シート40の中間部40aにおいて、一部が軸孔161となる領域に重なる程度である(図中破線)。それゆえ、軸孔161の形成は、平板状の積層構造体に最初から孔を形成する必要がなく、例えば、形状を整える程度の切削で軸孔161を形成することが可能となる。したがって、軸孔161の形成を容易とすることができる。
同様に、ブラケット状シート40の両端部40b,40cの先端側には、開口41が設けられ、この開口41がブレード取付孔105に対応する。それゆえ、アーム11〜15の外端に、回転翼ブレードを取り付けるために最初から取付孔を形成する必要がなく、ブレード取付孔105の形成を容易とすることができる。
[メインロータの構成例]
次に、本実施の形態に係るロータハブ構造体10を用いたメインロータの構成の一例について、図6を参照して具体的に説明する。
図6に示すように、本実施の形態に係るロータハブ構造体10は、ヘリコプタが備えるメインロータ20のロータハブとして用いることができる。メインロータ20は、ロータハブ構造体10に加えて、図6には示されない回転軸、5枚の回転翼ブレード21、ハブ取付部材22、ブレード運動機構23等を備えている。
ロータハブ構造体10の各アーム11〜15にそれぞれには、回転翼ブレード21が、ブレード運動機構24を介して取り付けられる。ロータハブ構造体10は、ハブ取付部材22によって回転軸に取り付けられている。
ブレード運動機構23は、前述したブレード運動に関与する機構であり、本実施の形態では、ねじり−曲げ部材211、リードラグダンパー212等を備えている。ねじり−曲げ部材211は、アーム11〜15の外端のブレード取付部103に取り付けられ、アーム11〜15およびねじり−曲げ部材211のねじれ変形および曲げ変形により、フェザリング運動、リードラグ運動等を含む、回転翼ブレード21の2軸周りの運動可能としている。また、リードラグダンパー212は、ブレード取付部103およびねじり−曲げ部材211の取付部位に並行して設けられ、リードラグ運動を緩衝する。回転翼ブレード21、ブレード運動機構23等は、ボルト213等の公知のファスナ部材を用いてアーム11〜15に取り付けられる。
[従来のロータハブ構造体との対比]
このようにして得られる、本実施の形態に係るロータハブ構造体10は、従来のロータハブ構造体と比較して、優れた利点を有する。この点について、図7(a)〜(c)および図8を参照して説明する。
背景技術において説明したとおり、典型的な従来のロータハブ構造体60は、図8に示すように、略十字状で、4本のアーム61〜64と、これらアーム61〜64が放射状に延伸して設けられている中央部66と、を備えている。中央部66の中央には軸孔661が設けられており、各アーム61〜64の外端には、それぞれブレード取付部603が設けられている。また、各アーム61〜64は、アーム11〜15と同様に、一対の厚肉部601およびその間の薄肉部602を有している。
この従来のロータハブ構造体60は、本実施の形態と同様の積層工程を経て製造されるが、このとき用いられる複合材料シートは、図7(b)に示すように、帯状シート90となっている。この帯状シート90は、中央部66の縁に対応する2箇所で折れ曲がっているものの、ほぼ直線に近い形状となっている。そして、ロータハブ構造体60の製造に際しては、一対の帯状シート90,90を、アーム61、中央部66、アーム63にまたがるように位置させることで「A層」(図中斜線のハッチング)が積層され、このA層の上に、一対の帯状シート90,90を、アーム62、中央部66、アーム64にまたがるように位置させることで「B層」(図中交差線のハッチング)を積層される。
この従来の方法では、同一の帯状シート90を平行となるように対に配置させて「シート対」を形成できるので、このシート対を直交させて順次重ねることで、ロータハブ構造体60の前駆体を成形することができる。
ここで、4アーム型からアームを1つ増加させて5アーム型のロータハブ構造体を製造する場合、前述したとおり、4アーム型と同じ方法を採用しても、結果として4アーム型の基本構成を確保できず、それゆえ、ロータハブ構造体のハブ特性も変化してしまう。
具体的には、図8および図7(a)に示すように、4アーム型のロータハブ構造体60は略十字状であるので、前記のとおり、帯状シート90,90のシート対を縦横に交互に積層すればよいが、5アーム型であれば、アーム数が奇数であるため、各アームから見て軸孔を挟んで対向する位置に他のアームが位置しない。したがって、図7(c)に示す比較構造体110のように、軸孔161の近傍の位置で折れ曲がった形状の比較ブラケット状シート141,142を用いることになる。
図7(c)に示す比較構造体110は、比較アーム111〜115および比較中央部116を備える構成である。例えば、比較アーム112、比較中央部116および比較アーム114にまたがるような形状のシート対を設計すれば、相対的に短い比較ブラケット状シート141と、相対的に長い比較ブラケット状シート142の二種類を準備する必要がある。それゆえ、複合材料シートの種類が多くなって、製造時の部品点数が増加してしまう。
さらに、これら比較ブラケット状シート141,142を交互に積層する場合、中央に軸孔161を確保するためには、比較アーム111〜115同士の交差部位を外側にずらさざるを得ない。その結果、図7(a)における向かって右側に示すように、比較構造体110が相対的に大きくなることに加え、比較アーム111〜115そのものが外側に位置するため、当該比較アーム111〜115の変形位置も外側にずれてしまう。これにより、比較構造体110の等価ヒンジ・オフセットは、従来のロータハブ構造体60と比較して大きくなってしまう。
ヒンジ・オフセットは、回転中心からロータブレードが上下方向に可動するヒンジ(関節構造)までの距離であるが、無関節型のロータハブ構造体は機械的なヒンジを有さないので、変形位置に基づいて等価のオフセット(等価ヒンジ・オフセット)を算出する。等価ヒンジ・オフセットが増加すると、ヒンジに相当する変形位置がロータハブ構造体の中心から遠くなることから、一般に、回転翼航空機の機動性および操作性が増加する。しかしながら、等価ヒンジ・オフセットの増加は、振動、突風等の外乱に対する感度も増加させるので、回転翼航空機の安定性が低下することになる。それゆえ、等価ヒンジ・オフセットは、機動性および操作性と安定性との双方を両立させ得る範囲に設定される。したがって、比較構造体110の等価ヒンジ・オフセットは、必要以上に増加させないようにすることが好ましい。
さらに、従来のロータハブ構造体60の製造においては、前記のとおり、対向するアーム61,63およびアーム62,64は、同一のシート対の積層により構成される。それゆえ、アーム61〜64の交差部位すなわち中央部66の厚みは、単純計算で各アーム61〜64の厚みの2倍となる。一方、5アーム型の比較構造体110の製造を4アーム型と同様とすれば、アームが1本多いために、比較中央部116の厚みは比較アーム111〜115の厚みの2.5倍となる。
ロータハブ構造体の中央部の厚みが大きくなると、それにつながるアームの根元の厚みも大きくなり、中央部の剛性が相対的に大きくなるので、中央部から周囲に突出して設けられる各アームの変形特性も変わってしまう。アームはそれ自身が変形してヒンジのようにふるまうことで、前記ブレード運動を可能とする。それゆえ、アームの変形特性が変われば前記ブレード運動にも影響が生じる。
加えて、従来のロータハブ構造体60では、図7(b)に示すように、中央部66に軸孔661を形成するときに、積層された帯状シート90を完全に切断しないように積層することが可能である。これにより、対向するアーム61,63およびアーム62,64同士が同一のシート対(帯状シート90,90)で構成されるので、ロータハブ構造体60の耐久性または強度を向上させることができる。これに対して、比較構造体110の場合、図7(c)に示すように、長いほうの比較ブラケット状シート142の中間部143(図中黒く塗りつぶした箇所)が、軸孔161に相当する位置を通ることになる。それゆえ、軸孔161を形成すると、比較ブラケット状シート142の中間部143が切り取られることで切断されるので、例えば、比較アーム112,114同士が同一のシート対で構成されなくなる。
これに対して、本実施の形態に係るロータハブ構造体10は、前述したように、1種類のブラケット状シート40のみを用いてA層〜C層の積層単位を含む積層構造を形成することができる。それゆえ、アーム11〜15の交差部位をほとんど外側にずらさなくてもよい。加えて、本実施の形態では、図3(b)に示すように、ブラケット状シート40,40からなるシート対は、互いに近接する側の端部40b,40cの間隔CLが徐々に狭くなる配置となっている。それゆえ、アーム11〜15の付け根側の幅を十分に絞ることができる。したがって、図7(a)に示すように、ロータハブ構造体10の半径r0は、比較構造体110の半径r1に比べて十分に小さくなり、従来のロータハブ構造体60と同様の等価ヒンジ・オフセットを実現することができる。なお、絞り幅の一例としては、ロータハブ構造体10、アーム11〜15の寸法等にもよるが、比較構造体110を基準として約50mmを実現することが可能である。
また、図4(a)〜(c)および図5(a)〜(c)に示す積層工程から明らかなように、中央部16の厚みは、従来のロータハブ構造体60と同様に、アーム11〜15の厚みの略2倍に抑えることができる。それゆえ、ロータハブ構造体10においては、従来と同様のアーム11〜15の変形特性を実現することができる。
さらに、図4(c)および図5(c)からも明らかなように、軸孔161を形成するに際して、ブラケット状シート401〜405のいずれも切断されることがない。それゆえ、ロータハブ構造体10においては、従来と同様の耐久性、強度を実現することができる。例えば、本実施の形態に係るロータハブ構造体10は、実際のヘリコプタのロータハブに要求される遠心力荷重に十分耐え得る耐荷能力を有することが実験的に確認されている。
[変形例]
本実施の形態では、図4(a)〜(c)および図5(a)〜(c)で説明したように、アーム11〜15が、A層、B層およびC層からなる積層単位を含む積層構造を備えているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、本発明においては、アーム11〜15に含まれる積層構造は、当該積層構造を構成する2枚のブラケット状シート40,40の位置関係を見たときに、次に示す2条件を少なくとも満たしていればよい。
(1)条件1:任意の1枚のブラケット状シート40に注目したとき、当該ブラケット状シート40の一方の端部40bが基準アームP0の一方の縦半分に位置し、その他方の端部40cが、2本の斜め向かいアームPiiのうち、前記縦半分に近い方の斜め向かいアームPiiにおける、基準アームP0に近い方の縦半分に位置し、かつ、その中間部40aが中央部16における各縦半分の間の部分に位置するように配置されている。
(2)条件2:条件1のブラケット状シートから見て、基準アームP0の他方の縦半分に、その一方の端部40cが位置する、もう1枚のブラケット状シート40は、その他方の端部40bが、2本の斜め向かいアームPiiのうち、条件1の他方のPiiにおける、基準アームP0に近い方の縦半分に位置し、かつ、その中間部40aが中央部16における各縦半分の間の部分に位置するように配置されている。
具体的には、図4(c)または図5(c)に示すブラケット状シート401〜405のいずれかを、前記条件1のブラケット状シート40として見た場合、この条件1のブラケット状シート40とともにシート対(図3(b)参照)を構成するもう1枚のブラケット状シート40は、常に前記条件2を満たしていることになる。例えば、図4(c)におけるブラケット状シート403を前記条件1のブラケット状シート40として見れば、ブラケット状シート401が前記条件2を満たすブラケット状シート40に相当する。そして、ブラケット状シート401を前記条件1のブラケット状シート40として見れば、当然のごとく、ブラケット状シート402が条件2を満たすブラケット状シート40に相当し、さらに、ブラケット状シート402を条件1のブラケット状シート40として見れば、ブラケット状シート404が条件2を満たすブラケット状シート40に相当する。
あるいは、前記積層構造においては、ブラケット状シート40が、少なくとも次の条件3を満たすように積層されてもよい。
(3)条件3:各ブラケット状シート40において、その一方の端部40b(または40c)が基準アームP0の一方の縦半分に位置し、他方の端部40c(または40b)が、2本の斜め向いアームPiiのうち、前記縦半分に近い方の斜め向かいアームPiiにおける、の一方における基準アームP0に近い側の縦半分に位置し、その中間部40aが、中央部16における基準アームの縦半分と斜め向いアームの縦半分との間となる部位に位置している。
さらに、前記積層構造において、上下に積層されるブラケット状シート40が、前記条件1および2、または条件3に加えて、下記条件4を満たしてもよい。
(4)条件4:上下に隣接して積層されるブラケット状シート40において、それぞれの端部40bまたは端部40cの位置するアームが異なり、かつ、それぞれの中間部40aが一部重なっている。
また、本実施の形態では、前述したように、ロータハブ構造体10が備える5本のアームにそれぞれ11〜15の符号を付している。言い換えれば、5本のアームのいずれか1本を第一アーム(アーム11)と定義すれば、当該第一アームから見て一方の周方向に配列する前記アームを、当該第一アームから近い順に第二アーム(アーム12)、第三アーム(アーム13)、第四アーム(アーム14)および第五アーム(アーム15)と定義している。しかしながら、この符号はいずれも本発明の実施の形態を説明する便宜上のものであり、各アームの序数(第一から第五までのナンバリング)は、本発明を限定するものではない。
また、本実施の形態では、回転翼航空機としてヘリコプタを例示し、前述したロータハブ構造体10が、ヘリコプタのメインロータのロータハブとして用いられる構成を例示しているが、本発明はもちろんこれに限定されず、テールロータに用いられてもよいし、オートジャイロ(ジャイロプレン)、ティルトロータ等の他の回転翼航空機にも適用可能であることはいうまでもない。
なお、本発明は上記の実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、回転翼航空機の分野に広く好適に用いることができる。
10 ロータハブ構造体
11〜15 アーム
16 中央部
40 ブラケット状シート
40a ブラケット状シートの中間部
40b・40c ブラケット状シートの端部
161 軸孔

Claims (4)

  1. 回転翼航空機のメインロータのロータハブとして用いられ、
    回転軸が内挿される軸孔を有する中央部と、
    前記中央部の外周から放射状に延伸して設けられ、それぞれが1枚の回転翼ブレードを支持する5本の平板状のアームと、を備え、
    前記アームは、その外端の幅よりも前記中央部への付け根の幅が狭くなっており、
    前記アームおよび前記中央部は、帯状の複合材料シートであって、その長手方向の両端部が、中間部に対して当該中間部の幅方向において同方向へ折れ曲がった形状のブラケット状シートが、複数枚積層された積層構造を含み、
    さらに、1本の前記アームを延伸方向に沿って二等分した場合の半分となる部位を縦半分、5本の前記アームのいずれか1本を基準アーム、当該基準アームから見て1本置いた位置の前記アームを斜め向いアーム、と定義したときに、
    前記積層構造においては、
    1枚のブラケット状シートが、その一方の端部が前記基準アームの一方の縦半分に位置し、その他方の端部が、2本の前記斜め向かいアームのうち、前記縦半分に近い方の斜め向かいアームにおける、前記基準アームに近い方の縦半分に位置し、かつ、その中間部が前記中央部における前記各縦半分の間の部分に位置するように配置され、
    当該ブラケット状シートから見て、前記基準アームの他方の縦半分に、その一方の端部が位置する、もう1枚のブラケット状シートは、その他方の端部が、2本の前記斜め向かいアームにおける前記基準アームに近い方の縦半分に位置し、かつ、その中間部が前記中央部における前記各縦半分の間の部分に位置するように配置されており、
    前記基準アームにて互いに隣接する、前記ブラケット状シートの一方の端部同士の間隔は、当該基準アームの前記外端から前記中央部に向かって徐々に狭くなるように構成されていることを特徴とする、無関節型ロータハブ構造体。
  2. 前記積層構造は、前記基準アームに隣接する位置の前記アームを隣接アームと定義したときに、
    前記基準アームの二等分線を基準として、それぞれ対向して位置する2枚の前記ブラケット状シートの対であるA層と、
    当該A層の上に積層され、前記斜め向いアームの二等分線を基準とし、かつ、当該斜め向いアームの前記基準アームから離れた側の縦半分に、その一方の端部が位置する1枚の前記ブラケット状シートであるB層と、
    当該B層の上に積層され、前記隣接アームの二等分線を基準として、それぞれ対向して位置する2枚のブラケット状シートの対であるC層と、
    からなる積層単位を含むように構成されている、請求項1に記載の無関節型ロータハブ構造体。
  3. 回転翼航空機のメインロータのロータハブとして用いられる無関節型ロータハブ構造体の製造方法であって、
    当該ロータハブ構造体は、それぞれが1枚の回転翼ブレードを支持する5本の平板状のアームと、回転軸が内挿される軸孔を有し、かつ、その外周に前記アームが放射状に延伸して設けられている中央部と、を備え、前記アームは、その外端の幅よりも前記中央部への付け根の幅が狭くなっており、前記アームおよび前記中央部は、帯状の複合材料シートが複数枚積層された積層構造を含むものであり、
    帯状の前記複合材料シートとして、その長手方向の両端部が、中間部に対して当該中間部の幅方向において同方向へ折れ曲がった形状のブラケット状シートを用い、
    1本の前記アームを延伸方向に沿って二等分した場合の半分となる部位を縦半分、5本の前記アームのいずれか1本を第一アーム、当該第一アームから見て一方の周方向に配列する前記アームを、当該第一アームから近い順に第二アームないし第五アーム、と定義したときに、
    2枚の前記ブラケット状シートの一方の端部同士を、前記第一アームの前記縦半分にそれぞれ配し、一方の前記ブラケット状シートの他方の端部を、前記第三アームにおける前記第一アームに近い側の前記縦半分に配し、他方の前記ブラケット状シートの他方の端部を、前記第四アームにおける前記第一アームに近い側の前記縦半分に配するように、これら前記ブラケット状シートを、前記第一アームの二等分線を基準として、それぞれ対向して配置させてA層として積層するA層積層工程と、
    1枚の前記ブラケット状シートの一方の端部を、第四アームまたは第三アームにおける前記第一アームから離れた側の縦半分に配し、他方の端部を、前記第二アームまたは前記第五アームにおける前記第一アームから離れた側の縦半分にするように、当該ブラケット状シートをB層として積層するB層積層工程と、
    2枚の前記ブラケット状シートの一方の端部同士を、前記第五アームまたは前記第二アームの前記縦半分にそれぞれ配し、一方の前記ブラケット状シートの他方の端部を、前記B層となる前記ブラケット状シートの他方の端部に対して、前記第二アームまたは前記第五アームの二等分線を基準として対向して配置させ、他方の前記ブラケット状シートの他方の端部を、前記A層となる前記ブラケット状シートのいずれかの他方の端部に対して、前記第三アームまたは前記第四アームの二等分線を基準として対向して配置させるように、これら前記ブラケット状シートをC層として積層するC層積層工程と、を含み、
    これらA層積層工程、B層積層工程、およびC層積層工程では、前記アームの縦半分として隣接する一対の前記ブラケット状シートが、その一方の端部同士の間隔が、当該アームの外端から前記中央部に向かって徐々に狭くなるように配置されており、
    さらに、A層積層工程、B層積層工程、およびC層積層工程をこの順で複数回繰り返すことを特徴とする、無関節型ロータハブ構造体の製造方法。
  4. 前記各積層工程の後に得られる無関節型ロータハブ構造体の前駆体を成形し、仕上げ前の構造体を得る成形工程と、
    前記仕上げ前の構造体における前記中央部の中心となる部位に、前記軸孔を形成するとともに、前記アームの前記外端に、前記回転翼ブレードを取り付けるための取付孔を形成する孔形成工程と、を含むことを特徴とする、請求項に記載の無関節型ロータハブ構造体の製造方法。
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