JP5559122B2 - 微小機械振動子および微小機械振動子の制御方法 - Google Patents

微小機械振動子および微小機械振動子の制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、センサや信号処理に用いられる微小な機械振動子の振動振幅を高速に制御することにより、微小機械振動子の動作を高速化する手法に関するものである。
微小機械振動子は高感度センサや信号処理に用いられている(特許文献1、非特許文献1参照)。図5にその一例である化合物半導体ヘテロ構造を用いた機械振動子を示す。図中101は絶縁性Al0.3Ga0.7As層、102は導電性GaAs層、103は絶縁性GaAs層あるいはAlGaAs層、104はGaAs基板、105はオーミック電極、106,107はショットキー電極、108は両持ち梁部、111は励振用交流電源、112は検出用アンプである。両持ち梁部108の長さの一例は100ミクロン、幅の一例は10ミクロン、厚さの一例は1ミクロンであるが、微細加工が可能な様々なサイズの機械振動子が広く用いられている。
ショットキー電極106に電圧を印加すると圧電効果により両持ち梁部108に曲げモーメントが発生するが、両持ち梁部108の共振周波数にほぼ等しい交流電圧を励振用交流電源111を用いて印加すると、共振により両持ち梁部108は大きな振幅で振動する。このとき、励振用交流電源111で生成する交流電圧の周波数を、共振周波数から両持ち梁部108の共振幅の半分程度ずらしておくと、両持ち梁部108の共振周波数がほんの少し変化するだけでアンプ112から出力される交流電圧の振幅は大きく変化する。例えば両持ち梁部108に分子が吸着すると、これにより両持ち梁部108の質量が変化し、その結果共振周波数が変化するため、アンプ112から出力される信号の振幅は変化する(図6)。この変化は両持ち梁部108の共振が鋭ければ鋭いほど大きく、高いQ値を持つ振動子ほど高い感度が得られる。
図6において、201は分子が吸着する前の両持ち梁部108の共振スペクトルを示し、202は分子が吸着した後の両持ち梁部108の共振スペクトルを示し、203は励振用交流電源111により加える交流電圧の周波数を示し、204は分子が吸着する前の両持ち梁部108の振動振幅を示し、205は分子が吸着した後の両持ち梁部108の振動振幅を示し、206は分子吸着による両持ち梁部108の振動振幅の変化を示している。
ただし、高いQ値を有する振動子では振動の減衰時間が長いため、外部信号の変化に対して反応が遅く、優れた感度と高速動作を両立できないという問題点があった。例えば、両持ち梁部108に加えられた質量変化を、上記の従来技術により一定の時間間隔で読み出す場合を考える。このためには、パルス状の交流電圧を振動子に与え、その時の両持ち梁部108の振幅の大きさを測定する必要があるが、この場合の交流電圧の振幅変化と測定された両持ち梁部108の振動振幅の変化を図7(A)〜図7(C)に示す。図7(A)は両持ち梁部108の質量変化を示す図、図7(B)は励振用交流電源111からショットキー電極106に印加される読み出し用の交流電圧の励振振幅を示す図、図7(C)は両持ち梁部108の振動振幅の変化を示す図である。
図7(A)〜図7(C)から明らかなように、振動の立ち上がりならびに減衰に時間を要していることが分かる。この時間は共振周波数をfrとすると、Q/frで与えられ、読み出し間隔はこの時間Q/frよりも十分長くとる必要がある。このように高いQ値を有する微小機械振動子は、外部の変化に対して敏感である半面、動作速度が遅いことが分かる。
国際公開WO2009/041362
I.MAHBOOB and H.YAMAGUCHI,"Bit storage and bit flip operations in an electromechanical oscillator",Nature Nanotechnology,VOL3,MAY 2008,pp.275-279
このように、微小機械振動子をセンサや信号処理等の様々な実用デバイスに応用するためには、高いQ値を維持しながら高速に振動振幅を応答させる手法が求められる。上述のように、応答を遅くする要因には立ち上がり時間と減衰時間の二つがあるが、立ち上がり時間は一定で正確な再現性があれば本質的な問題はない。一方、減衰時間が長いと、前回の読み出し結果が次の読み出し値に影響を与えるため、正確な測定が不可能になる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、振動の減衰時間を大幅に減少させ、微小機械振動子の動作を高速化することを目的とする。
本発明の微小機械振動子は、基板上に形成された支持部と、端が前記支持部で固定されることによって前記基板から浮いた状態で支持され、2つ以上の異なる振動モードを有する振動部と、この振動部を第1の振動モードで励振する励振手段と、前記振動部を前記第1の振動モードおよび第2の振動モードが混合した状態で振動させる混合手段と、前記振動部を前記第1の振動モードで励振する状態から、前記第1の振動モードおよび前記第2の振動モードが混合した状態に切り換える切換手段とを備え、前記励振手段は、前記第1の振動モードの固有振動数と等しい周波数の第1の信号により前記振動部を励振し、前記混合手段は、前記第1の振動モードの固有振動数と前記第2の振動モードの固有振動数との差あるいは和に等しい周波数の第2の信号により、前記振動部を前記第1の振動モードおよび前記第2の振動モードが混合した状態で振動させることを特徴とするものである。
また、本発明の微小機械振動子の1構成例において、前記振動部は、それ自身が2つの異なる振動モードを有する1個の振動部、あるいは、連動して振動することにより2つの振動モードを持つ2個の振動部を結合した構造からなることを特徴とするものである。
また、本発明の微小機械振動子の1構成例において、前記励振手段は、前記第1の信号に応じた圧電効果による力、前記第1の信号に応じた光照射による熱応力、前記第1の信号に応じた静電力、あるいは前記第1の信号に応じたローレンツ力のいずれかを用いて前記振動部を励振し、前記混合手段は、前記第2の信号に応じた圧電効果による力、前記第2の信号に応じた光照射による熱応力、前記第2の信号に応じた静電力、あるいは前記第2の信号に応じたローレンツ力のいずれかを用いて、前記振動部を前記第1の振動モードおよび前記第2の振動モードが混合した状態で振動させることを特徴とするものである。
また、本発明の微小機械振動子の1構成例において、前記混合手段は、前記振動部の振動モードを前記第1の振動モードおよび前記第2の振動モードが混合した状態に切り換えた時点から、前記第1の振動モードのエネルギーが最初に極小になる時間だけ、前記第2の信号を前記振動部に加えることを特徴とするものである。
また、本発明の微小機械振動子の1構成例は、前記第1の振動モードのQ値に比べ、前記第2の振動モードのQ値が小さいことを特徴とするものである。
また、本発明の微小機械振動子の1構成例は、前記振動部として両持ち梁、あるいは片持ち梁、あるいはダイヤフラムの形状を有することを特徴とするものである。
また、本発明は、基板上に形成された支持部と、端が前記支持部で固定されることによって前記基板から浮いた状態で支持され、2つの異なる振動モードを有する振動部とを備えた微小機械振動子の制御方法であって、前記振動部を第1の振動モードで励振する励振ステップと、前記振動部を前記第1の振動モードおよび第2の振動モードが混合した状態で振動させる混合ステップと、前記振動部を前記第1の振動モードで励振する状態から、前記第1の振動モードおよび前記第2の振動モードが混合した状態に切り換える切換ステップとを備え、前記励振ステップは、前記第1の振動モードの固有振動数と等しい周波数の信号により前記振動部を励振し、前記混合ステップは、前記第1の振動モードの固有振動数と前記第2の振動モードの固有振動数との差あるいは和に等しい周波数の信号により、前記振動部を前記第1の振動モードおよび前記第2の振動モードが混合した状態で振動させることを特徴とするものである。
本発明によれば、2つの異なる振動モードを有する振動部を用い、振動部の振動を第1の振動モードから第2の振動モードへ高速に遷移させることにより、振動の減衰時間を大幅に減少させることができ、高いQ値による振動減衰の制限を受けない高速の振動減衰手法を実現することができる。その結果、本発明では、微小機械振動子の動作を高速化することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る微小機械振動子の構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係る微小機械振動子においてショットキー電極に印加する2つの交流電圧をスイッチした時の第1の振動モードおよび第2の振動モードのエネルギー変化を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る微小機械振動子においてショットキー電極に印加する2つの交流電圧をスイッチした時の第1の振動モードおよび第2の振動モードのエネルギー変化を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る微小機械振動子の構成を示す斜視図である。 化合物半導体ヘテロ構造を用いた従来の微小機械振動子の構成を示す斜視図である。 分子吸着による微小機械振動子の共振スペクトルの変化を示す図である。 パルス状に梁部の質量変化を読み出した時の梁部の振動振幅の変化を示す図である。
[第1の実施の形態]
本発明では、2つの固有振動モードを有する微小機械振動子において、外部からの信号によりこれら2つの固有振動が混ざり合う性質を用いる。図1は本実施の形態に係る微小機械振動子の構成を示す斜視図である。従来と同様に、微小機械振動子は、GaAs基板104の上に絶縁性GaAs層あるいはAlGaAs層103が形成され、この絶縁性GaAs層あるいはAlGaAs層103の上に導電性GaAs層102が形成され、導電性GaAs層102の上に絶縁性Al0.3Ga0.7As層101が形成されている。
振動部となる両持ち梁部108の両側の層101〜103は、支持部113,114を構成している。両持ち梁部108の下部の絶縁性GaAs層あるいはAlGaAs層103は、GaAs基板104と接する部分が除去されている。これにより、両持ち梁部108は、両端が支持部113,114で固定されることによってGaAs基板104から浮いた状態で支持される。さらに、支持部113,114の領域にある絶縁性Al0.3Ga0.7As層101の上および両持ち梁部108の両端部の領域にある絶縁性Al0.3Ga0.7As層101の上に、ショットキー電極106,107が形成され、支持部113の絶縁性Al0.3Ga0.7As層101が形成されていない領域にある導電性GaAs層102の上に、オーミック電極105が形成されている。
導電性GaAs層102は、オーミック電極105を介して接地されている。ショットキー電極106には、励振用交流電源411,413からスイッチ412,414を介して電圧が印加される。励振用交流電源411は励振手段を構成し、励振用交流電源413は混合手段を構成している。ショットキー電極106に電圧が印加されると、圧電効果により両持ち梁部108に曲げモーメントが発生し、両持ち梁部108は、上方向に凸あるいは下方向に凸の形状に湾曲する。このように、圧電効果により両持ち梁部108を湾曲させるGaAs/AlGaAsのヘテロ構造も励振手段および混合手段として機能する。両持ち梁部108の固有振動数にほぼ等しい周波数の交流電圧をショットキー電極106に印加すると、共振により両持ち梁部108は大きな振幅で振動する。検出用アンプ112は、ショットキー電極107から出力される電圧を増幅する。
本実施の形態では、図5に示した従来技術と比較して、以下の(A)〜(C)の3つの特徴を有する。
(A)両持ち梁部108の2つの固有振動は、ショットキー電極106に印加する電圧によって混ざり合う。すなわち、梁平面内の位置を表す座標を(x,y)とし、ショットキー電極106に電圧を加えない時の両持ち梁部108の第1の固有振動の波動関数(場所の関数としての変位)をf1(x,y)、同じく電圧を加えない時の両持ち梁部108の第2の固有振動の波動関数をf2(x,y)、ショットキー電極106に電圧Vを加えた時の両持ち梁部108の第1の固有振動の波動関数をf1’(x,y)、同じく電圧Vを加えた時の両持ち梁部108の第2の固有振動の波動関数をf2’(x,y)、これら二つのモード以外の振動モードの波動関数の線形結合をfsum1、fsum2とすると、Vが十分小さい場合に次式が成立する。
f1’(x,y)=f1(x,y)+V[af1(x,y)+bf2(x,y)
+fsum1] ・・・(1)
f2’(x,y)=f2(x,y)+V[cf1(x,y)+df2(x,y)
+fsum2] ・・・(2)
ここで、a,b,c,dは0でない係数である。
(B)ショットキー電極106に接続される交流電源として、励振を行うための交流電源411に加え、振動モードを遷移させるための交流電源413を有する。かつ、この交流電源413が発生する交流電圧の周波数は、両持ち梁部108の2つの固有振動数の差あるいは和と一致させることができる。
(C)さらに、2つの励振用交流電源411,413による交流電圧の印加を、両持ち梁部108の振動周期程度の速さでオン/オフできる切換手段となるスイッチ412,414を有する。
以下、本実施の形態の微小機械振動子ならびにその制御系により、いかにして振動モードを遷移させ、特定の固有振動の振幅を減衰させるかについて述べる。
図2は、本実施の形態の微小機械振動子においてショットキー電極106に印加する2つの交流電圧をスイッチした時の第1の振動モードおよび第2の振動モードのエネルギー変化を示す図である。図2において、B0は励振用交流電源413が発生する交流電圧の振幅である。
まず、2つのスイッチ412,414をオフにした状態で、励振用交流電源411によって周波数fr1の交流電圧を発生させ、励振用交流電源413によって周波数fr2−fr1の交流電圧を発生させておく。ここで、fr1は両持ち梁部108の第1の振動モードの固有振動数、fr2は両持ち梁部108の第2の振動モードの固有振動数である。
ここでスイッチ412をオン、スイッチ414をオフにして、図2(A)に示すように励振用交流電源411からの交流電圧をショットキー電極106に印加すると、両持ち梁部108は固有振動数fr1の第1の振動モードで振動する。次に、時刻t=0においてスイッチ412をオフし、代わりにスイッチ414をオンすることにより、図2(B)に示すように励振用交流電源413からの周波数fr2−fr1の交流電圧をショットキー電極106に印加する。
この励振用交流電源413からの電圧印加により第1の振動モードと第2の振動モードは混ざり合うが、加える交流電圧の周波数が両持ち梁部108の2つの固有振動数の差周波fr2−fr1に一致することから、両持ち梁部108の持つ非線形性により、両持ち梁部108の振動は第1の振動モードから第2の振動モードに遷移する。両持ち梁部108の振動が完全に第1の振動モードから第2の振動モードに遷移すると、今度は逆過程が始まり、両持ち梁部108の第2の振動モードの振幅は減少し第1の振動モードの振幅が再び増加する。図2(C)は両持ち梁部108の第1の振動モードのエネルギー変化を示し、図2(D)は第2の振動モードのエネルギー変化を示している。図2(C)、図2(D)によれば、時間と共に第1の振動モードと第2の振動モードのエネルギー、すなわち振幅が交互に増減していることが分かる。図2(C)、図2(D)に示されているように、この増減する振動数は、励振用交流電源413から発生させる交流電圧の振幅B0に反比例する。
このように、本実施の形態では、両持ち梁部108の2つの固有振動数差と等しい周波数の交流電圧をショットキー電極106に印加することにより、両持ち梁部108の振動モードを周期的に遷移させることができるが、この交流電圧の印加を、ちょうど振幅が第2の振動モードに完全に移行した時点で止めることにより、第1の振動モードの振幅を高速に消滅させることができる。図3にこの結果を示す。図3は、図2と同様にショットキー電極106に印加する2つの交流電圧をスイッチした時の第1の振動モードおよび第2の振動モードのエネルギー変化を示す図である。
図2の場合と同様に、まずスイッチ412をオン、スイッチ414をオフにして、図3(A)に示すように励振用交流電源411からの交流電圧をショットキー電極106に印加する。次に、時刻t=0においてスイッチ412をオフし、代わりにスイッチ414をオンすることにより、図3(B)に示すようにパルス幅tπの時間だけ励振用交流電源413からの周波数fr2−fr1の交流電圧をショットキー電極106に印加する。ここで、パルス幅tπは、図2において、スイッチ414をオンにした時刻t=0から第1の振動モードのエネルギーが最初に極小になる時間である。
図3(C)、図3(D)は2つの振動モードのQ値がどちらも2,000の場合の第1の振動モード、第2の振動モードのエネルギー変化を示している。また、図3(E)、図3(F)は第1の振動モードのQ値(Q1)が2000で第2の振動モードのQ値(Q2)が500の場合の第1の振動モード、第2の振動モードのエネルギー変化を示している。Bstはtπの長さがちょうど両持ち梁部108の自由減衰の時定数Q1/fr1に等しくなる交流電圧の振幅である。
図3(C)、図3(D)から明らかなように、fr2−fr1の周波数の交流電圧をBstに比較して十分大きい振幅でパルス幅tπの時間だけ加えると、両持ち梁部108の第1の振動モードの振動振幅が急速に数桁減少し、代わりに第2の振動モードの振動振幅が増加し、その後、第1、第2の振動モード共に緩やかに減衰することが分かる。このように、本実施の形態では、第1の振動モードの振幅を急速に数桁減少させることが可能である。さらに、第2の振動モードとしてQ値が小さなものを用いた図3(E)ならびに図3(F)の場合には、両持ち梁部108の振動が第1の振動モードから第2の振動モードに遷移した後、第2の振動モードの振動振幅も急速に減衰していることが分かる。第2の振動モードの振動振幅が急速に減衰する理由は、第2の振動モードのQ値が低いために他ならない。このように、Q値の低い振動モードと結合させることにより、第1、第2の振動モード共に振幅を急速に減少させることができる。
以上のように、本実施の形態では、両持ち梁部108の振動の減衰時間(Q/fr)に比較して、ずっと短い時間で特定の振動モードの振幅を大きく減衰させることが可能であり、微小機械振動子を高速に動作させることが可能となる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では1つの微小機械振動子における異なる振動モードを用いたが、構造的に結合した2つの微小機械振動子においても同様の効果を得ることができる。図4は本実施の形態に係る微小機械振動子の構成を示す斜視図である。
支持部121,122は、図示しないGaAs基板上に形成されている。両持ち梁部115,116および支持部121,122の構成材料は、両持ち梁部108および支持部113,114の構成材料と同じである。支持部121,122の領域にある絶縁性Al0.3Ga0.7As層(図1の101)の上および両持ち梁部115の両端部の領域にある絶縁性Al0.3Ga0.7As層(図1の101)の上に、ショットキー電極117,118が形成されている。同様に、支持部121,122の領域にある絶縁性Al0.3Ga0.7As層(図1の101)の上および両持ち梁部116の両端部の領域にある絶縁性Al0.3Ga0.7As層(図1の101)の上に、ショットキー電極119,120が形成されている。
図4では、簡単のためにそれぞれの梁部の内部構造の図示を省略したが、第1の実施の形態と同様に、支持部121の絶縁性Al0.3Ga0.7As層(図1の101)が形成されていない領域にある導電性GaAs層(図1の102)の上に、オーミック電極が形成されている。導電性GaAs層(図1の102)は、このオーミック電極を介して接地されている。両持ち梁部115,116の下部の絶縁性GaAs層あるいはAlGaAs層(図1の103)は、GaAs基板と接する部分が除去されている。これにより、両持ち梁部115,116は、両端が支持部121,122で固定されることによってGaAs基板から浮いた状態で支持される。
そして、本実施の形態では、両持ち梁部115,116の一端が支持部121に設けられた庇状の連結部701によって連結され、さらに両持ち梁部115,116の他端が支持部122に設けられた庇状の連結部702によって連結されている。
ショットキー電極117には、励振用交流電源411からスイッチ412を介して交流電圧が印加され、ショットキー電極119には、励振用交流電源413からスイッチ414を介して交流電圧が印加される。検出用アンプ112は、ショットキー電極120から出力される電圧を増幅する。
上記のように、2つの両持ち梁部115,116を構造的に結合した結果、振動モードは2つの両持ち梁部115,116が連動した振動に対応する。両持ち梁部115,116の第1の振動モードの周波数をfr1、第2の振動モードの周波数をfr2(fr2>fr1)とすると、第1の実施の形態と同様の効果が期待できる。特に2つの両持ち梁部115,116の固有振動数が一致する場合、低い周波数の第1の振動モードは、2つの両持ち梁部115,116が対称に振動するモード(例えば両持ち梁部115が上方向に凸に曲がるときに両持ち梁部116も上方向に凸に曲がり、両持ち梁部115が下方向に凸に曲がるときに両持ち梁部116も下方向に凸に曲がるモード)に対応する。また、2つの両持ち梁部115,116の固有振動数が一致する場合、高い周波数の第2の振動モードは、2つの両持ち梁部115,116が反対称に振動するモード(例えば両持ち梁部115が上方向に凸に曲がるときに両持ち梁部116が下方向に凸に曲がり、両持ち梁部115が下方向に凸に曲がるときに両持ち梁部116が上方向に凸に曲がるモード)に対応する。
第1、第2の振動モードは、2つの両持ち梁部115,116の固有振動数の差に応じて非常に敏感に変化するため、小さな電圧印加により振動モードの混合が起きる。このため、第1の実施の形態に比較し、2つの梁部を構成する必要がある半面、小さな電圧で同等の効果が得られるという利点がある。
微小機械振動子の制御方法は第1の実施の形態と同様であり、まずスイッチ412をオン、スイッチ414をオフにして、励振用交流電源411からの周波数fr1の交流電圧をショットキー電極117に印加し、次にスイッチ412をオフ、スイッチ414をオンにして、パルス幅tπの時間だけ励振用交流電源413からの周波数fr2−fr1の交流電圧をショットキー電極119に印加すればよい。
なお、本実施の形態では、2つの両持ち梁部115,116を連結部701,702によって構造的に結合したが、これに限るものではなく、2つの両持ち梁部115,116に電位を与えることにより、2つの両持ち梁部115,116を静電的に結合することも可能である。また、2つの両持ち梁部115,116に磁性体を塗布あるいは蒸着し、2つの両持ち梁部115,116を磁気的に結合することも可能である。
また、第1、第2の実施の形態では、振動部として両持ち梁の構造を有する振動子を用いたが、片持ち梁やダイヤフラムなど、任意の形状の機械共振器を用いても、同様の効果を得ることができる。特に片持ち梁では、両持ち梁に比較して梁のばね定数を小さくできるため、高感度センサへの応用が可能である。またダイヤフラム構造では両持ち梁に比較してばね乗数を大きくできるため、高速の信号処理に応用可能である。ダイヤフラム構造については、文献「Kojiro Tamaru,Keiichiro Nonaka,Masao Nagase,Hiroshi Yamaguchi,Shinichi Warisawa,and Sunao Ishihara,“Direct Actuation of GaAs Membrane with the Microprobe of Scanning Probe Microscopy”,Japanese Journal of Applied Physics,48,2009,06FG06」に示されている。
また、第1、第2の実施の形態では、振動モード間の遷移を起こす交流電圧の周波数としてfr2−fr1を用いたが、fr1とfr2の和であるfr2+fr1を用いても、同様の効果を得ることができる。
また、第1、第2の実施の形態では、梁部を構成する材料としてGaAs/AlGaAsのヘテロ構造材料を用いたが、電圧を印加することにより2つの振動モードを混合させることのできるあらゆる固体材料を用いることが可能である。
また、第1、第2の実施の形態では、2つの振動モードを混合する手段として圧電効果を用いる手段を採用したが、静電効果やローレンツ力を用いる手段を採用してもよい。
また、第1、第2の実施の形態では、2つの振動モードを電気的に混合する手段を示したが、2つの振動モードを混合する手段として例えば光を照射したことによる熱応力を用いる手段を採用してもよい。本発明では、以上の例に限定されず、2つの振動モードの混合を外部から制御できるあらゆる手法を用いることができることは言うまでもない。
本発明は、微小な機械振動子の動作を高速化する技術に適用することができる。
101…絶縁性Al0.3Ga0.7As層、102…導電性GaAs層、103…絶縁性GaAs層あるい…AlGaAs層、104…GaAs基板、105…オーミック電極、106,107,117,118,119,120…ショットキー電極、108,115,116…両持ち梁部、112…検出用アンプ、113,114,121,122…支持部、411,413…励振用交流電源、412,414…スイッチ、701,702…連結部。

Claims (7)

  1. 基板上に形成された支持部と、
    端が前記支持部で固定されることによって前記基板から浮いた状態で支持され、2つ以上の異なる振動モードを有する振動部と、
    この振動部を第1の振動モードで励振する励振手段と、
    前記振動部を前記第1の振動モードおよび第2の振動モードが混合した状態で振動させる混合手段と、
    前記振動部を前記第1の振動モードで励振する状態から、前記第1の振動モードおよび前記第2の振動モードが混合した状態に切り換える切換手段とを備え、
    前記励振手段は、前記第1の振動モードの固有振動数と等しい周波数の第1の信号により前記振動部を励振し、
    前記混合手段は、前記第1の振動モードの固有振動数と前記第2の振動モードの固有振動数との差あるいは和に等しい周波数の第2の信号により、前記振動部を前記第1の振動モードおよび前記第2の振動モードが混合した状態で振動させることを特徴とする微小機械振動子。
  2. 請求項1記載の微小機械振動子において、
    前記振動部は、それ自身が2つの異なる振動モードを有する1個の振動部、あるいは、連動して振動することにより2つの振動モードを持つ2個の振動部を結合した構造からなることを特徴とする微小機械振動子。
  3. 請求項1または2記載の微小機械振動子において、
    前記励振手段は、前記第1の信号に応じた圧電効果による力、前記第1の信号に応じた光照射による熱応力、前記第1の信号に応じた静電力、あるいは前記第1の信号に応じたローレンツ力のいずれかを用いて前記振動部を励振し、
    前記混合手段は、前記第2の信号に応じた圧電効果による力、前記第2の信号に応じた光照射による熱応力、前記第2の信号に応じた静電力、あるいは前記第2の信号に応じたローレンツ力のいずれかを用いて、前記振動部を前記第1の振動モードおよび前記第2の振動モードが混合した状態で振動させることを特徴とする微小機械振動子。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の微小機械振動子において、
    前記混合手段は、前記振動部の振動モードを前記第1の振動モードおよび前記第2の振動モードが混合した状態に切り換えた時点から、前記第1の振動モードのエネルギーが最初に極小になる時間だけ、前記第2の信号を前記振動部に加えることを特徴とする微小機械振動子。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の微小機械振動子において、
    前記第1の振動モードのQ値に比べ、前記第2の振動モードのQ値が小さいことを特徴とする微小機械振動子。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の微小機械振動子において、
    前記振動部として両持ち梁、あるいは片持ち梁、あるいはダイヤフラムの形状を有することを特徴とする微小機械振動子。
  7. 基板上に形成された支持部と、端が前記支持部で固定されることによって前記基板から浮いた状態で支持され、2つの異なる振動モードを有する振動部とを備えた微小機械振動子の制御方法であって、
    前記振動部を第1の振動モードで励振する励振ステップと、
    前記振動部を前記第1の振動モードおよび第2の振動モードが混合した状態で振動させる混合ステップと
    前記振動部を前記第1の振動モードで励振する状態から、前記第1の振動モードおよび前記第2の振動モードが混合した状態に切り換える切換ステップとを備え、
    前記励振ステップは、前記第1の振動モードの固有振動数と等しい周波数の信号により前記振動部を励振し、
    前記混合ステップは、前記第1の振動モードの固有振動数と前記第2の振動モードの固有振動数との差あるいは和に等しい周波数の信号により、前記振動部を前記第1の振動モードおよび前記第2の振動モードが混合した状態で振動させることを特徴とする微小機械振動子の制御方法。
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