JP5554176B2 - 軌道の支持力補強工法 - Google Patents
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Description
しかし、バラスト軌道より軌道狂いが生じにくいとはいえ、軌道下の地盤は殆どがN値自沈(構造物自体の重みで沈んでしまう)からN値が5以下程度のローム層の軟弱な盛土(軟弱地盤)となっており、列車の振動加重等で省力化軌道毎に異なる地盤沈下(不同沈下)を起こしている。
従来、レール面での許容沈下量は2cm程度であり、この許容沈下量を超えた部分では、軌道両サイドの掘削を行い、ジャッキを差し込み、省力化軌道全体をリフトアップさせ、リフトアップ状態において省力化軌道底盤部の間隙にセメント系注入材を填充材として補充し、補充後レールを許容高さに調整して列車を通している(特許文献1)。図20は、地盤沈下対策の工程を示す断面図であり、バラスト軌道1の上部50cm程度のバラスト部分がセメント注入材で固結されて填充層2が形成されており、該填充層2上に枕木3の一部が埋設、固定され、その上にレール4a、4bが取り付けられて省力化軌道5が形成されている。
図20(A)に示すように、沈下量が許容沈下量を超えると、図20(B)に示すように、省力化軌道5の両サイドのバラスト部分1a、1bを掘削し、掘削部にジャッキ6a、6bを差し込み、省力化軌道全体を所定の高さまでリフトアップさせ、かかる状態で軌道底盤部の間隙7にセメント系注入材8を填充材として補充し(A矢印参照)、補充完了後レールを許容高さに調整し、最後に図20(C)に示すように、軌道両サイドの掘削部にバラストを埋め込んで地盤沈下対策を完了する。
以上から、本発明の目的は、地盤沈下の修復と同時に地盤沈下対策を行えるようにすることである。
また、上記支持力補強工法において、前記空隙部より下側のマイクロパイル鋼管の外周に布袋を被覆させておき、前記注入パイプより注入された注入材で該布袋をマイクロパイル鋼管周囲の地盤中で膨張させて地盤補強する。
また、本発明によれば、空隙部より下側の孔あき鋼管の外周に布袋を被覆させておき、注入材で該布袋を鋼管周囲の地中で膨張させて地盤補強するようにしたから、透水層へのセメントミルク(地盤改良用グラウト)の逸走が防止されて限定的な地盤改良を図ることが可能となり、より確実な地盤補強効果を得ることができる。
図1は本発明の省力化軌道を含む軌道全体の断面図であり、バラスト軌道11の上部50cm程度のバラスト部分がセメント注入材で固結されて填充層12が形成されており、該填充層12上にコンクリート製の枕木13が埋設、固定され、その上にレール14a、14bが取り付けられて省力化軌道15が構成されている。バラスト軌道11は路盤(地盤)16上に設置され、省力化軌道15を除いたバラスト部11aは透水層を形成する。なお、省力化軌道15には予めボルト材17a〜17cが打設されているが、沈下修復・地盤強化時に打設することも可能である。
(B)第1実施例の沈下修復・地盤強化
地盤沈下が許容沈下量を超えると沈下修復・地盤強化を行なう必要がある。かかる沈下修復・地盤強化を行なうには、まず、ボルト材17a〜17cを打設する。なお、既にボルト材17a〜17cの打設がなされている場合にはこの工程は不要である。
ボルト材17a〜17cは例えばケミカルアンカーである。図2(A)に示すように、(1)ハンマードリルにより枕木13を介して填充層12の所定深さまで削孔し、(2)削孔後、削孔部にボルト材17a〜17cを打設すると共に、各アンカー材の手元側ボルト部に接続ナット17dを設置し、(3)しかる後、ナット17dに防護蓋17eをはめ込む。図2(B)は詳細なボルト材の打設手順説明図であり、(1)枕木13を介して填充層12を削孔し、孔内を清掃し、(2)削孔・清掃後、削孔部に定着材カプセル17fを挿入し、(3)カプセル挿入後、手元側にネジ部を有するボルト材17aを挿入すると共に、該ネジ部にナット17dをはめ込み、(4)最後に防護蓋17eを被せる。後の省力化軌道15のリフティングに際して、(5)各ボルト材(図ではボルト材17a)の防護蓋17eを外し、引き上げ用PC鋼材24aをナット17dにねじ込んで、該引き上げ用PC鋼材を介してボルト材17aと引き上げ部(図示せず)間を接続する。
設置高さの調整が完了すれば、各ボルト材17a〜17cの防護蓋17eを外し、引き上げ用PC鋼材24a〜24c(図6参照)の先端ネジ部をナット17dにねじ込んでボルト材17a〜17cと接続する。ついで、ボルト材17a〜17cの真上位置において、センターホールジャッキ25a〜25cをI型鋼23a〜23cに万力固定すると共に、引き上げ用PC鋼材24a〜24cの他端を該センターホールジャッキ25a〜25cに設置する。また、各センターホールジャッキ25a〜25cを個別に油圧ユニット(図示せず)に接続する。以上により、リフトアップ装置のセットが完了し、図6に示す状態になる。図7(A)、(B)はリフトアップ装置の平面図、側面図である。
かかる状態において、図示しない油圧ユニットより引き上げ部であるセンターホールジャッキ25a〜25cに省力化軌道の引き上げ力を発生すると、該引き上げ力の反力が反力用架台22を介して支持部21a、21bに受け止められて、図8に示すように省力化軌道15が引き上がり、該省力化軌道15の底盤部と地盤間に空隙部20が発生する。
(2)かかる状態で、セメントミルク(地盤改良用グラウト)を注入パイプ41より注入する。注入されたセメントミルクは注入管併用マイクロパイル18に形成された多数の孔18aから吐き出される。この結果、注入管併用マイクロパイル18を被覆する布製パッカー43が吐き出されたセメントミルクにより周辺地盤16及び透水層11aにおいて加圧膨張し、地盤を強化改良する。なお、注入管併用マイクロパイル18の内部もセメントミルクで満たされる。
布製パッカー43により、透水層11aへのセメントミルク(地盤改良用グラウト)の逸走が防止されて限定的な地盤改良を図ることが可能となり、より確実な地盤補強効果を得ることができる。しかし、布製パッカー43は必須ではない。布製パッカー43がない場合には、セメントミルクが直接注入管併用マイクロパイル18の周辺地盤16及び透水層11aに注入されてゆき地盤を強化改良する。
以上のように、第1実施例によれば、地盤沈下の修復工と同時に基本的な地盤沈下対策工(地盤補強工)を行なうことができる。
第1実施例では引き上げ力に応じた反力を反力用架台を介して支持部で受け止めて省力化軌道をリフティングするリフトアップ装置を用いて該省力化軌道の底部下方に空隙部を発生したが、かかるリフトアップ装置を用いずに省力化軌道の底部下方に空隙部を発生して沈下修復・地盤強化を行なうことができる。
地盤沈下が許容沈下量を超えると、図13に示すように孔あき鋼管18を枕木13および填充層12を貫通して地中16に打設する。孔あき鋼管18は注入材吐出用の多数の孔18aを備え、第1実施例と同様に例えば注入管併用マイクロパイルである。注入管併用マイクロパイルを打設するには、図14に示すように枕木13上に削孔機用鋼製架台31を設置し、その上にマイクロパイル設置用削孔機32を載せ、(1)該マイクロパイル設置用削孔機32により枕木13、填充層12、透水層11aを貫通して地盤16まで削孔し、(2)削孔完了後、注入管併用マイクロパイル18を貫入し、その注入口に防護蓋19を設置する。ただし、打設に際して、少なくも1つの孔18aが、後の省力化軌道のリフティング工程で発生する空隙部(図示せず)に位置するように注入管併用マイクロパイル18を打設する必要がある。また、注入管併用マイクロパイル18の下方には好ましくは後述する布袋(図示せず)を被せる。
リフトアップ用バルーン型ジャッキを設置後、該ジャッキを膨張させ、その膨張力で省力化軌道15を持ち上げれば、図16に示すように省力化軌道15の底盤部と地盤間に空隙部20が発生する。
第2実施例によれば、地盤沈下の修復工と同時に基本的な地盤沈下対策工(地盤補強工)を行なうことができる。また、第1実施例のようにボルト材を省力化軌道に打設する必要はない。
以上の説明では、孔あき鋼管の外側を布製パッカーで覆った場合について説明したが、布製パッカーは必ずしも必要ではない。
また、以上の説明では、バラスト軌道の上部50cm程度のバラストをセメント注入材で固結して填充層とした軌道を省力化軌道として説明したが、省力化軌道は、かかる構成に限らない。例えば、幅は実施例と同等で、全深さのバラストをセメント注入材で固結して填充層とする省力化軌道下の地盤修復と地盤補強にも本発明は適用可能である。
12 填充層
13 枕木
14a、14b レール
15 省力化軌道
16 路盤(地盤)
17a、17b、17c ボルト材
18 孔あき鋼管
20 空隙部
21a〜21b 支持部(リフト用ジャッキ)
22 反力用架台
23a〜23c I型鋼
24a〜24c 引き上げ用PC鋼材
25a〜25c 引き上げ部(センターホールジャッキ)
41 注入パイプ
51 掘削部
61 リフト用ジャッキ
Claims (2)
- 地盤上に形成された填充層に設けられた枕木によりレールを支持する省力化軌道を有する軌道の支持力補強工法において、
前記填充層を貫通して地盤に外周に多数の孔を有するマイクロパイル鋼管を打設すると共に、前記省力化軌道をリフトアップして該省力化軌道の下方に空隙部を形成し、
前記マイクロパイル鋼管内へ注入パイプを挿入し、該注入パイプより、該マイクロパイル鋼管周囲の地盤、前記空隙部及び前記マイクロパイル鋼管内部に注入材を注入する、
ことを特徴とする軌道の支持力補強工法。 - 前記空隙部より下側のマイクロパイル鋼管の外周に布袋を被覆させておき、前記注入パイプより注入された注入材で該布袋をマイクロパイル鋼管周囲の地盤中で膨張させて地盤補強する、
ことを特徴とする請求項1記載の軌道の支持力補強工法。
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